(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104671
(43)【公開日】2024-08-05
(54)【発明の名称】画像形成システム
(51)【国際特許分類】
B65H 5/38 20060101AFI20240729BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20240729BHJP
G03G 21/16 20060101ALI20240729BHJP
【FI】
B65H5/38
G03G15/00 431
G03G15/00 402
G03G21/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023009010
(22)【出願日】2023-01-24
(71)【出願人】
【識別番号】000208743
【氏名又は名称】キヤノンファインテックニスカ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】長田 久
(72)【発明者】
【氏名】窪田 一太朗
(72)【発明者】
【氏名】日原 康太
【テーマコード(参考)】
2H072
2H171
3F101
【Fターム(参考)】
2H072BB00
2H072EA00
2H072FB00
2H072GA07
2H171FA01
2H171FA03
2H171FA28
2H171GA11
2H171GA12
2H171HA39
2H171KA02
2H171KA22
2H171SA29
2H171WA01
2H171WA19
3F101FA01
3F101FB00
3F101FE01
3F101LA01
3F101LB03
(57)【要約】
【課題】画像形成装置に装置の外部からシートを供送する給送装置とシート処理装置を画像形成装置の一方の側に併設させる構成において、シート処理装置を画像形成装置に対して位置決めしつつ画像形成装置内のシートを除去することができる画像形成システムを提供する。
【解決手段】画像形成システムは、シート処理装置をスライド移動可能に支持する台座を有し、シート処理装置をスライド移動させた状態で給送装置を幅方向へ移動可能とする。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートに画像を形成する画像形成部を有する画像形成装置であって、前記画像形成装置の鉛直方向において前記画像形成部よりも下方に設けられ、前記画像形成部へ供給するシートを収容可能な収容部と、を有する画像形成装置と、
前記画像形成装置によって画像が形成されたシートに対して綴じ処理を行うシート処理装置と、
前記画像形成装置の幅方向において前記画像形成装置と前記シート処理装置との間に設けられシートを収容する収容部を有し、前記収容部に収容されたシートを前記画像形成装置の一方の側面に設けられた給送口へ給送するシート給送装置と、
前記鉛直方向において前記給送装置よりも上方に設けられ、前記幅方向において前記画像形成装置の前記一方の側面に設けられた排出口から排出されるシートを前記シート処理装置へ搬送する搬送装置と、
前記画像形成装置が設置される設置面に設置された状態で前記画像形成装置に固定される固定部と、前記シート処理装置が載置される載置部と、前記固定部に対して前記載置部を前記幅方向にスライド移動可能とするスライドレールと、を有する台座と、を備え、
前記シート処理装置は、前記載置部のスライド移動に伴って、前記搬送装置を介して前記画像形成装置から搬送されるシートを受け入れ可能な搬送経路を形成する第1位置と、前記幅方向において前記第1位置よりも前記画像形成装置から離れる方向へ移動した第2位置とに移動可能であって、
前記シート給送装置は、前記画像形成装置の給送口へシートを給送可能な第3位置と、前記幅方向において前記第3位置よりも前記画像形成装置から離れる方向へ移動した第4位置とに移動可能であり、前記シート処理装置が前記第2位置に移動した状態において、前記シート給送装置は前記第3位置から前記第4位置へと移動可能であって、
前記画像形成装置は、前記収容部に収容されたシートを前記画像形成部へ向けて搬送する搬送路を開放可能であって前記幅方向において前記一方の側面に設けられたカバーを有し、
前記カバーは、前記シート処理装置が前記第2位置へ移動し、かつ前記シート給送装置が前記第4位置へ移動した状態において、開放可能とある、ことを特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
前記シート給送装置は、前記固定部の上に載置された状態で前記第3位置と前記第4位置とに移動可能である、ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項3】
前記シート給送装置は、第1のキャスターと第2のキャスターを含む複数のキャスターを有し、
前記第2のキャスターは、前記画像形成装置の前後方向において前記第1のキャスターよりも後ろ側に設けられており、
前記スライドレールは、前後方向において前記第1のキャスターと前記第2のキャスターの間に設けられている、ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記固定部は、前記シート処理装置が前記第1位置に位置している状態において前記載置部を支持する第1支持部と、前記シート処理装置が前記第2位置に位置している状態において前記載置部を支持する第2支持部と、を有し、
前記シート給送装置は、第1のキャスターと第2のキャスターを含む複数のキャスターを有し、
前記第2のキャスターは、前記画像形成装置の前後方向において前記第1のキャスターよりも後ろ側に設けられており、
前記スライドレールは、前記幅方向において前記第1支持部と前記第2支持部にまたがるように設けられ、
前記画像形成装置の前後方向における前記第2支持部の長さは、前記前後方向における第1支持部の長さよりも短く、
前記第2支持部は、前記前後方向において前記第1のキャスターと前記第2のキャスターの間に設けられている、ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置と、画像形成装置によって画像形成されたシートに対する処理を施すシート処理装置を含む画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やプリンター等の画像形成装置には、積載部に積載されたシートを給送部によって給送し、給送部により給送されたシートに対して画像形成を行っている。例えば、特許文献1では、画像形成装置の側面に設けられた給送装置に収容されたシートを画像形成装置内部へと給送する構成が開示されている。また、特許文献1では、画像形成装置の側面に設けられた給送装置の上方に、画像形成されたシートに対して各種処理を施すシート処理装置が設けられた画像形成システムを開示している。
【0003】
一方で、画像形成装置に接続されるシート処理装置には、特許文献2のように、処理後のシートを大量に積載することができる排出トレイを備えたものもある。特許文献2の排出トレイは、シートを積載しつつ下降することで、大量のシートを積載することが可能となっている。このようなシート処理装置は、トレイに積載された大量のシートを支えるため、特許文献1のように画像形成装置にシート処理装置が支持される構成ではなく、画像形成装置が設置される設置面に対してキャスターなどの設置部を介してシート処理装置自体が設置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-85468号公報
【特許文献2】特開2013-130730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のような画像形成装置システムに対して特許文献2に記載のシート処理装置を接続する場合、給送装置の上方に画像形成装置から排出されるシートをシート処理装置へ搬送する中継搬送装置を接続することで、システムを構成することが考えられる。このように、画像形成装置とシート処理装置とを中継搬送装置によって接続する場合、中継搬送装置を介して画像形成装置とシート処理装置との位置決めをすることができる。
【0006】
しかし、鉛直方向において上方に位置する中継搬送装置のみで画像形成装置とシート処理装置の位置決めをする構成において、シート処理装置に対して前側から後側へ押されるような力が加わった場合、シート処理装置の設置状態が不安定になる恐れがある。これは、鉛直方向においてシート処理装置の下方では画像形成装置に対する位置決めがされておらず、ユーザがシート処理装置の下方を押してしまった場合に、位置決めされている上方部分に対してシート処理装置の下方が前後方向にずれてしまうためである。シート処理装置の上方が位置決めされた状態で下方のみがずれてしまう場合、キャスターなどの設置部の設置面に対する設置状態が不安定となってしまう。したがって、鉛直方向においてシート処理装置の上部のみで画像形成装置に対して位置決めを行う場合、シート処理装置の設置が不十分となる恐れがある。このように、シート処理装置の設置面に対する設置状態が不十分となってしまうと、画像形成装置とのシートの受け渡し部分でシートの搬送異常(所謂、ジャム)が生じたり、設置面に対して傾いた状態で設置されることで排出トレイ上のシートの整合性が低下したりする恐れがある。
【0007】
これに対し、画像形成装置とシート処理装置とを、上方部分において中継搬送装置によって接続し、下方部分において別の位置決め部材を用いて画像形成装置とシート処理装置の位置決めを行うことが考えられる。
【0008】
一方で、画像形成装置の下方にシートを収容するカセットが設けられている構成において、カセットから画像形成ユニットへ給送される搬送経路中でシートの搬送異常が発生した場合は、画像形成装置の下方に設けられるカバーを開放してシートを除去する必要がある。しかしながら、シート処理装置の下方部分においてシート処理装置と画像形成装置とを位置決めする場合において、画像形成装置内のカセットから給送されたシートの除去を容易に行うことができる画像形成システムの構成は、未だ考えられていなかった。
【0009】
そこで、本発明は、上述した従来の問題点を解消するためになされたものであり、画像形成装置に対するシート処理装置の位置決めを行う構成において、画像形成装置でシートの搬送異常が発生した場合のシートの除去作業を容易に行うことができる画像形成システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態に係る画像形成システムは、シートに画像を形成する画像形成部を有する画像形成装置であって、前記画像形成装置の鉛直方向において前記画像形成部よりも下方に設けられ、前記画像形成部へ供給するシートを収容可能な収容部と、を有する画像形成装置と、前記画像形成装置によって画像が形成されたシートに対して綴じ処理を行うシート処理装置と、前記画像形成装置の幅方向において前記画像形成装置と前記シート処理装置との間に設けられシートを収容する収容部を有し、前記収容部に収容されたシートを前記画像形成装置の一方の側面に設けられた給送口へ給送するシート給送装置と、前記鉛直方向において前記給送装置よりも上方に設けられ、前記幅方向において前記画像形成装置の前記一方の側面に設けられた排出口から排出されるシートを前記シート処理装置へ搬送する搬送装置と、前記画像形成装置が設置される設置面に設置された状態で前記画像形成装置に固定される固定部と、前記シート処理装置が載置される載置部と、前記固定部に対して前記載置部を前記幅方向にスライド移動可能とするスライドレールと、を有する台座と、を備え、前記シート処理装置は、前記載置部のスライド移動に伴って、前記搬送装置を介して前記画像形成装置から搬送されるシートを受け入れ可能な搬送経路を形成する第1位置と、前記幅方向において前記第1位置よりも前記画像形成装置から離れる方向へ移動した第2位置とに移動可能であって、前記シート給送装置は、前記画像形成装置の給送口へシートを給送可能な第3位置と、前記幅方向において前記第3位置よりも前記画像形成装置から離れる方向へ移動した第4位置とに移動可能であり、前記シート処理装置が前記第2位置に移動した状態において、前記シート給送装置は前記第3位置から前記第4位置へと移動可能であって、前記画像形成装置は、前記収容部に収容されたシートを前記画像形成部へ向けて搬送する搬送路を開放可能であって前記幅方向において前記一方の側面に設けられたカバーを有し、前記カバーは、前記鉛直方向において前記給送装置と重なっており、前記シート処理装置が前記第2位置へ移動し、かつ前記シート給送装置が前記第4位置へ移動した状態において、開放可能である、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、画像形成装置に対するシート処理装置の位置決めを行う構成において、画像形成装置でシートの搬送異常が発生した場合のシートの除去作業を容易に行うことができる画像形成システムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】
図1のシート折り装置の主要部を示す説明図。
【
図3】(a)~(c)図はシート折り装置による折り処理を工程順に示す説明図。
【
図4】(d)~(f)図は
図3に続く折り処理を工程順に示す説明図。
【
図5】(g)~(i)図は
図4に続く増し折り処理を工程順に示す説明図。
【
図6】シート処理装置が離間した状態の画像形成システムの正面図。
【
図7】給送装置が離間した状態の画像形成システムの正面図。
【
図9】シート処理装置が載置された状態の載置部を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好適な実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。添付図面において、同一又は類似の構成要素には、同様の参照符号を付して表す。
【0014】
[画像形成システム]
図1は、画像形成システム1000の構成全体を正面側から示している。本明細書中において正面とは、特に断らない限り、
図1に示すように、ユーザが操作のために画像形成システム1000に相対する位置である。つまり、ユーザが操作する操作部20が配置されている側面が、正面側であり、画像形成装置Aの前側である。そして、本明細書中において左右とは、画像形成システム1000を正面から見た左側及び右側のことを指す。
【0015】
画像形成システム1000は、画像形成装置Aと、該画像形成装置により画像形成されたシートの後処理装置としてのシート処理装置Bと、それらの間に連結されたシート折り装置Cと、画像形成装置Aに収容しているシートを供給する外付けの給送装置Dと、画像形成装置Aとシート折り装置Cとの間でシートの搬送を行う搬送装置Eとから構成される。尚、以下の説明では、画像形成装置A、シート処理装置B並びにシート折り装置Cのそれぞれにおいて給送側から排紙側に向けてシートが搬送される方向、及び画像形成装置A側からシート折り装置C及びシート処理装置B側に向けてシートが搬送される方向をシート搬送方向とし、単に「上流側」及び「下流側」という場合、それらはシート搬送方向の上流側と下流側を意味するものとする。また、本実施形態において矢印X方向が画像形成装置Aを含む画像形成システム1000の幅方向あり、Z方向が鉛直方向、Y方向が画像形成装置Aを含む画像形成システム1000の前後方向である。
【0016】
[画像形成装置]
画像形成装置Aは、画像形成部A1と、画像読取部A2と、原稿給送部A3とを含む。画像形成部A1は、公知のインクジェット印刷機構によりシート上に画像を形成する型式のものであり、内部に設けられる本体給送部2と、画像形成部3と、搬送部4と、本体制御部(不図示)とを備える。
画像形成部A1の上部には、画像読取ユニット5を内部に有する画像読取部A2と、画像読取部A2へ原稿を搬送する原稿送りユニット6を有する原稿給送部A3とが設けられている。また、画像読取部A2よりも正面側には、ユーザによって操作可能な操作部20が設けられている。操作部20は、タッチパネル21が設けられ、ユーザはタッチパネル21をタッチ操作することで画像形成装置Aへ処理内容を指示することが可能となっている。尚、本実施形態ではタッチパネル21のみを有する操作部20を図示したが、操作部20には各種ハードキーを備えてもよい。
【0017】
本実施形態の画像形成装置Aは、所謂胴内排紙型であり、画像形成部3と搬送部4と画像読取装置A2とが略コの字状に配置されている。そして、鉛直方向において画像形成部3と画像読取装置A2の間には、図中左側(シート処理装置B側)及び正面側が開放した排紙空間(胴内空間)が配置されている。そして、排紙空間には中継搬送ユニットA4が配設されている。
【0018】
図1に示すように、幅方向Xにおける画像形成装置Aの一方の側面51(本実施形態では、左側面)に、排出口17が設けられている。排出口17は、画像形成装置Aから装置外部へとシートを排出するための排出口であり、本実施形態においては中継搬送ユニットA4における排出口である。排紙部A5は、画像形成部A1の左上角部で、画像読取ユニットA2及び原稿給送ユニットA3の左側に位置するように固定支持されている。そして、排紙部A5は、中継搬送部A4から排出口17を介してシートを受け取り、さらに下流へと搬送するための搬送ガイドを有している。尚、本実施形態では中継搬送ユニットA4に設けられた排出口17を画像形成装置Aの排出口としたが、排紙部A5に設けられる排出口を画像形成装置Aの排出口としてもよい。
【0019】
一方、鉛直方向において画像形成装置Aの下方であって画像形成ユニット3の下方には、シートを収容し、収容したシートを画像形成ユニット3へ給送する本体給送部2が設けられている。本体給送部2は、複数段(本実施形態では2段)のカセット2a、2bが、着脱自在に設けられている。カセット2a、2bには、それぞれシートサイズが異なるシートを収容することも可能である。本体給送部2は、操作部20や外部機器を介してユーザから指示されたサイズのシートを、対応する給送カセットから給送経路8に給送し、画像形成部3へ送り出す。
【0020】
画像形成部A1には、画像形成装置Aに内蔵される本体給送部2に加えて、手差し給送部9が設けられている。言い換えると、画像形成装置Aの側面51には、手差し給装部9が設けられている。手差し給送部9は、画像形成装置Aの側面51に設けられた手差しトレイ10を有する。手差しトレイ10は、正面側から見てその下端付近の回動軸54を中心に、
図1に実線で示す開位置と破線で示す閉位置との間で回動可能である。手差しトレイ10は、開位置に位置している状態において、上面10aが概ね水平に開いており、画像形成ユニットA1に供給されるシートを積載するための載置面10aを有している。手差しトレイ10の回動によって、画像形成装置Aの側面51に設けられた手差し給送口(図示せず)が開口する。手差しトレイ10の不使用時には、
図1に破線で示すように、画像形成装置Aの側面51に沿う閉位置に戻し、手差し給送口を閉じることも可能となっている。
【0021】
開位置(給送位置)に位置した状態の手差しトレイ10の載置面10aに積載されたシートは、画像形成装置Aの手差し給送口付近に設けられた給送ローラR1によって画像形成部A1内部に給送され、給送経路8に合流し、画像形成ユニット3へ送り出される。手差しトレイ10には、より多数枚のシートを揃えた状態で積載し得るように、後述する給送機構を一体に設けることができる。
【0022】
給送装置Dは、画像形成装置Aの側面51に設けられる給送口へシートを給送可能に接続されており、幅方向Xに移動することで画像形成装置Aに対して離間することが可能となっている。尚、給送装置Dの離間動作については後述する。給送装置Dは、本体給送部2のカセット2a,2bよりも多数枚(例えば、数百枚~数千枚)のシートの積載に対応可能な大容量に構成されている。給送装置Dから給送されたシートは、画像形成装置Aの給送口付近に設けられた給送ローラR2によって画像形成装置A内部に給送され、給送経路8に合流して画像形成部3に送り出される。また、
図1に示すように、画像形成装置の幅方向Xにおいて、給送装置Dは画像形成装置Aとシート処理装置Bとの間に設けられ、かつ鉛直方向Zにおいて搬送装置Eの下方に設けられている。
【0023】
更に画像形成部A1には、画像形成ユニット3により片面に画像形成されたシートを反転させて、裏面にも画像形成するために、反転排紙口264が設けられている。反転排紙口264は、手差し給送部9と同じく画像形成装置Aの側面51に配置されている。
【0024】
画像形成ユニット3は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック等の各色毎のユニットを有しており、搬送されるシートに対してそれぞれ画像形成可能となっている。本実施形態では、画像形成ユニット3は、色毎にそれぞれがユニット化されたインクジェットヘッドのことを示している。尚、画像形成部3は、本体給送部2、手差し給送部9や給送装置Dから給送されたシートに画像を形成するように構成されていればよく、種々の画像形成機構が採用可能である。本実施形態では、インクジェット方式の画像形成ユニットを示したが、電子写真方式、オフセット印刷方式、シルク印刷方式等、他の種々の画像形成機構を採用することも可能である。
【0025】
搬送部4は、本体給送部2、手差し給送部9及び給送装置Dからシートを画像形成ユニット3による画像形成位置へ搬送する給送経路8と、画像形成ユニット3によって画像形成されたシートをさらに下流へと搬送する搬送路12が設けられている。搬送路12は、反転トレイ11へとシートを搬送する第1搬送経路13と、反転トレイ11からスイッチバックして画像形成部3へシートを搬送する第2搬送経路14と、画像形成部3から排紙部A5(胴内空間)へシートを搬送する主搬送経路15とを備える。尚、説明を省略したが、それぞれの搬送路には図示するように複数の搬送ローラ対が設けられており、各搬送ローラ対によってシートを搬送している。
【0026】
主搬送経路15は、第1中継搬送ユニットA4に設けられた第1中継搬送経路16にシートを受け渡し可能となるように、第1中継搬送経路16と接続されている。第1中継搬送経路16には、シート搬送方向に沿って複数の搬送ローラ対が配設され、排出口17に接続されている。排紙部A5には、第1中継搬送ユニットA4から排出口17を介して搬送されたシートを搬送装置Eに排出するための搬送経路が設けられている
【0027】
画像読取ユニット5は、不図示のプラテンガラスの上に載置された原稿に光源から光を照射し、その反射光をCCDに入力することによって原稿画像を読み取ることができる。また、画像読取ユニット5は、不図示の流し読み位置において停止することで、自動原稿送り部6によって搬送される原稿の画像を読み取ることができる。読み取られた原稿画像は、電気信号に変換されて画像データとして画像形成部3に伝送される。上述した不図示のプラテンガラスは、原稿送り部6を上方に回動することで露出する構成となっている。
【0028】
[シート処理装置]
シート処理装置Bは、画像形成装置Aに対してシート搬送方向下流側に配置されている。また、シート処理装置Bは、画像形成装置Aと同じ設置面56に設置されている。シート処理装置Bは、後述するシート折り装置Cと結合され、搬送装置Eを介して画像形成装置Aに連結されている。
【0029】
シート処理装置Bは、右側面に画像形成装置Aによって画像が形成されたシートを受け入れるための給送口22が設けられている。シート処理装置Bの内部には、給送口22から給送されるシートにそれぞれ異なる後処理を行う第1~第3処理部B1~B3が設けられている。またシート処理装置Bには、給送口22からシートを搬送する不図示のシート搬送経路が内設され、第1~第3処理部B1~B3に向けて分岐されている。本実施例において、第1処理部B1は、シートに対して穿孔処理を行う穿孔処理部であり、第2処理部B2は、複数枚のシートの端部等を綴じる綴じ処理部であり、第3処理部B3は、シートに対して2つ折りや3つ折りを施す折り処理や、シートの中央部を綴じて折り処理を施す中綴じ処理などを行う折り処理部である。
【0030】
第2処理部B2によって綴じ処理されたシートは、積載トレイ23に排出される。積載トレイ23は、破線で示した方向に移動可能な機構を備え、多くのシート(例えば2000枚)を積載可能にしている。また、第3処理部B3によって折り処理されたシート束は、積載トレイ24に排出される。シート処理装置Bの処理内容として上述した処理は、あくまでも一例であり、他の処理を実行するユニットを備える構成であってもよう。例えば、搬送されるシートをシート搬送方向に直交するシートの幅方向に所定量オフセットするオフセット処理を施すユニットを備えていてもよい。オフセット処理が施されたシートは積載トレイ25に排出さる構成であってもよい。また、積載トレイ25には、各種処理を施さずにシートを排出するための積載トレイとして用いてもよい。また、画像形成システム1000では、画像形成装置Aとシート処理装置Bの下部の位置がずれてしまうことを抑制するための位置決め部材700を設けている。台座700は、画像形成装置Aとシート処理装置Bが上部において
シート折り装置Cおよび搬送装置Eと接続された位置に対して、シート処理装置Bの下部が前後方向(Y方向)に位置ずれしないように構成されている。また、台座700は、画像形成装置Aに対してシート処理装置Bを離間させた状態から再接続する場合であっても、画像形成装置Aとシート処理装置Bの位置決めを容易に行うことができるように設けられている。台座700の詳細については、後述する。
【0031】
[搬送装置]
画像形成システム1000は、画像形成装置Aと、シート処理装置Bと、搬送装置Eを有している。中継搬送装置Eは、排紙部A5を介して画像形成装置Aから排出されたシートを受け取り、シート折り装置Cまたはシート折り装置Cを介してシート処理装置Bへと搬送する。
【0032】
搬送装置Eは、鉛直方向における画像形成装置Aの排出口17と反転排出口30との間の距離よりも、鉛直方向における中継搬送路dと搬送装置Eの底部263の距離が長い。従って、搬送装置Eは、画像形成装置Aにおけるシートの反転処理を行うために、画像形成装置Aの反転排出口30と対応する位置に、シート受入れ口264を備えている。これにより、第1搬送経路13を通ってシートの反転を行う際に、シートの搬送方向先端側の端部は、搬送装置Eの内部へと侵入する。その後、シートの後端部が第2搬送経路14へと搬送されることで、搬送装置Eの内部に侵入していたシートの端部がシート受入れ口264および反転排出口30を通過して画像形成装置Aの内部へと戻る。このようにして、鉛直方向に一定の長さを有する搬送装置Eが画像形成装置Aに接続される構成であっても、搬送装置Eにシート受入れ口264を設けることで、画像形成装置Aの反転動作を阻害することを抑制することができる。
【0033】
なお、搬送装置Eは、中継搬送路dを境に、破線で示す262の位置に中継搬送路dを形成する上側のガイドを開放することができる。これにより、搬送装置Eの搬送路内でシートのジャムが発生した場合でも、シートを簡単に取り除くことができる。つまり、シートのJAMを解消させるための作業を行う際に、それぞれのユニットを離間させる必要がないため、作業性を向上させることができる。
【0034】
[シート折り装置]
シート折り装置Cは、
図1に示すように、搬送装置Eとシート処理装置Bとの間に連結されている。シート折り装置Cは、画像形成装置Aから排出されたシートに対して折り処理を施す装置である。
図2に、シート折り装置Cの概略断面図を示す。
【0035】
シート折り装置Cは、その内部に設けられた搬送経路101の上流端である給送口101aが、搬送装置Eの排出口から排出されるシートを受け入れ可能となるように配置されている。更にシート折り装置Cは、排出口101bから、シート処理装置Bの給送口22へシートを搬送可能となるように配置されている。従って、搬送装置Eからシート折り装置Cに搬送されたシートは、シート折り装置Cで折り処理された後シート処理装置Bに搬送され、積載トレイ25へと排出される。尚、シート折り装置Cは、シートに折り処理を実行せず、搬送装置Eからシート処理装置Bへシートを搬送することも可能となっている。
【0036】
シート折り装置Cの搬送経路101には、
図2に示すように、一つ又は複数の搬送ローラ対102と、搬送ローラ対102の下流側に配置される折り処理機構103即ち折り処理部とが設けられ、折り処理機構103の下流側の搬送経路101の末端部には、増し折りユニット104が設けられている。これにより、シート折り装置Cは、搬送経路101に沿って搬送されるシートに折り処理機構103によって折り処理を施した後に、増し折りユニット104によって増し折り処理を施し、折り処理及び増し折り処理を施したシートをシート処理装置Bに引き渡すことができる。
【0037】
搬送経路101上には、搬送されるシートの先端及び後端を検出するセンサ304a、304bが設けられている。センサ304aは、搬送ローラ対102の上流側で画像形成装置Aと搬送ローラ対102との間に配置されており、センサ304bは、折りローラ対105の下流側で該折りローラ対105と増し折りユニット104との間に配置されている。
【0038】
搬送ローラ対102は、ゴムローラで形成されており、上側に配置される上側搬送ローラ102aと、上側搬送ローラ102aと対向して下側に配置される下側搬送ローラ102bとを含んでいる。本実施形態では、上側搬送ローラ102aは、図示されていない搬送ローラ駆動モータに連結されており、搬送ローラ駆動モータの回転に伴って回転するようになっている一方、下側ローラ102bは、図示されていないバネの付勢力によって上側搬送ローラ102aに圧接されており、従動的に回転するようになっている。しかしながら、搬送ローラ対102は、シートSを搬送することができれば、上述の構成に限定されるものではなく、適宜の構成を採用することが可能である。
【0039】
折り処理機構103は、折りローラ対105と、突き板107とによって構成されている。折りローラ対105は、ゴムローラで形成されており、上側に配置される上側折りローラ105aと、上側折りローラ105aと対向して下側に配置される下側折りローラ105bとを含んでいる。下側折りローラ105bは、図示されていないバネの付勢力によって上側折りローラ105aに圧接されており、上側折りローラ105aと下側折りローラ105bとは、図示されていない共通の折りローラ駆動モータに連結されており、折りローラ駆動モータの回転に伴って互いと逆向きに回転するようになっている。突き板107は、搬送ローラ対102と折りローラ対105との間に配置され、図示されていない突き板駆動モータに連結されており、該突き板駆動モータの駆動に伴って折りローラ対105の上流側で搬送経路101と平行にシート搬送方向に直線状に移動するようになっている。
【0040】
搬送ローラ対102と折りローラ対105との間の搬送経路101には、上側搬送ガイド108と、下側搬送ガイド109と、上側折りガイド110と、下側折りガイド111とが設けられている。
【0041】
上側搬送ガイド108は、シートSの先端を搬送ローラ対102から突き板107まで導くように搬送ローラ対102の直後から突き板107の上方まで形成されている。上側搬送ガイド108は、搬送経路101を搬送されるシートSの搬送方向をガイドするためのもので、搬送経路101の上側に配置されており、下流側に向かうに従い下方に屈曲した形状となっている。また、上側折りガイド110は、上側搬送ガイド108と折りローラ対105との間に配置され、折りローラ対105にシートSの先端及び後述するシートSの折り曲げ部を導くように折りローラ対105の直前まで延びている。上側折りガイド110は、折り処理機構103におけるシートSの搬送方向をガイドするためのものであり、上側搬送ガイド108の下流側で搬送経路101の上側に設けられている。
【0042】
下側搬送ガイド109は、搬送経路101を搬送されるシートSの搬送方向をガイドするためのもので、搬送経路101の下側に配置されており、上側搬送ガイド108と同様に下流側に向かうに従い下方に屈曲した形状となっている。下側搬送ガイド109は、突き板107の手前で途切れており、下側搬送ガイド109の下流側には、開いたループ形成空間50が形成されている。下側折りガイド111は、突き板107の下流側に配置され、搬送されるシートSの先端及び後述するシートSの折り曲げ部を折りローラ対105のニップ部へ導くための水平面と水平面へ導きやすくするための傾斜面とを有している。
【0043】
突き板107は、突き板駆動モータからなる図示されていない突き板駆動装置と不図示の制御部とによってシート搬送方向に移動されるようになっている。また、突き板107は、搬送経路101に沿ってシートSを搬送ローラ対102によって折りローラ対105まで搬送するとき、下側搬送ガイド109と下側折りガイド111との間のループ形成空間50を埋めるように配置されており、搬送されるシートSの先端を下側折りガイド111まで導くようになっている。
【0044】
シート位置検知センサ304a、304b及び突き板107の位置を検出するセンサ304cによって検出される検出結果、及び画像形成装置Aから入力される各種情報に基づいて、搬送ローラ対102、折りローラ対105、突き板107、スライダ124及び支持部材112のそれぞれが駆動されて、シート折り装置Cにおけるシートの搬送、折り処理及び増し折り処理が実行される。
【0045】
搬送されているシートSの先端が折りローラ対105にニップされた状態において、シートSに折り曲げ部を形成するために、突き板107を下側搬送ガイド109の下方の退避位置へ移動させて、下側搬送ガイド109と下側折りガイド111との間にループ形成空間50を開放させる。その後、シートSの先端が折りローラ対105にニップされた状態で、搬送ローラ対102によりシートSを所定量だけ搬送すると、シートSの中間部がループ形成空間50で搬送経路101から下方に撓んでループ部を作成する。
【0046】
この状態で、突き板107を退避位置から折りローラ対105へ向かって水平方向に移動させて、シートSに折り曲げ部を形成する。突き板107が折りローラ対105の手前まで到達した後に、折りローラ対105を駆動させてシートSを搬送させる。これによって、シートSに第1の折り目132が形成される。更に、突き板107を退避位置へ移動させた後に、折りローラ対105によってシートSを搬送させてループ部をニップする。これによって、第2の折り目133が形成されて、Z折りが施されたシートSが下流側に搬送される。
【0047】
シート折り装置Cには、
図1に破線で示すように、搬送経路101よりも上側に設けられた上蓋部分142が、シート処理装置B側の枢軸(図示せず)を中心に上向きに回転可能に構成されている。上蓋部分142を
図1に破線で示す位置まで回転させることによって、シート折り装置Cの上部が開放されるので、内部でジャムが発生したときに、シートを取り除くなどのジャム解消作業を行うことができる。
【0048】
本実施形態において、シート折り装置Cは、画像形成装置Aに設けられた手差し給送部9の回動を阻害しないよう、鉛直方向下部の形状が傾斜している。これによって、画像形成システム1000の接続を解除しなくても、手差し給紙部9を開閉することが可能となっている
【0049】
[折り処理及び増し折り処理]
シート折り装置Cの折り処理及び増し折り処理について、
図3~
図5を用いて具体的に説明する。
図3(a)~(c)、
図4(d)~(f)及び
図5(g)~(f)は、シート折り装置Cシートを受け入れ、搬送して折り処理及び増し折り処理を行う過程を工程順に示している。
【0050】
まず、突き板107がホームポジションにない場合はホームポジションへ移動させる(
図3(a)の位置)。そして搬送ローラ対102が回転を停止した状態で、画像形成装置Aから搬送されたシートSの先端をセンサ304aで検出して所定時間が経過すると、搬送ローラ駆動モータを駆動して搬送ローラ対102を回転させ、
図3(a)に示すようにシートを受け取り、搬送を開始する。所定時間とは、シートの先端が搬送ローラ対102のニップ部に当接して、その先端位置を揃えさせるのに必要かつ十分な時間である。
【0051】
そして、突き板107が搬送ローラ対102と折りローラ対105との間でループ形成空間50を閉じる位置に配置された状態(ホームポジション)で、搬送ローラ対102を回転させて、シートSを搬送経路101に沿って搬送し、
図3(b)に示すように、シートSの先端が突き板107の先端を通過した後(折りローラ対105のニップ点よりも19mm手前の位置)、折りローラ対105を回転させると共に、突き板駆動モータを駆動して、突き板107を下側搬送ガイド109の下側に位置する退避位置(
図3(c)参照)に向けて移動開始する。
【0052】
図3(c)に示すように、シートSの先端がセンサ304bを通過して所定距離(20mm)搬送された時点で、突き板107は退避位置に到達している。なお、シートSの先端の位置は、シートSが折りローラ対105にニップされた状態でシートSの先端がセンサ304bに検出された時点からの折りローラ対105の駆動量を検出することでシートSの先端の位置を制御する。突き板107が退避位置に移動することで、搬送経路101の下方にループ空間50が開放される。そして、シートSの先端がセンサ304bよりも20mm下流側に到達した場合に折りローラ対105を逆転させて、シートSの先端をシート搬送方向上流側に向けてスイッチバック搬送をする。その間も、搬送ローラ対102は、シートSをシート搬送方向へ搬送するように回転し続けるので、シートSは、折りローラ対105より上流側の部分が、搬送経路101からループ形成空間50内にループ状に湾曲して垂れ下がり、該シートに折り目を形成するための折りループFLが形成される。その後も、ループFLは、搬送ローラ対102によるシートSの送出量に応じて大きくなる。
【0053】
シートSの先端が折りローラ対105のニップ点よりもセンサ304b側にある状態で折りローラ対105のスイッチバック搬送を停止し(
図3(c)の状態から33mm戻した状態。折りローラ対105のニップ点からセンサ304bまでの距離は14mm)、
図4(d)に示す状態で搬送ローラ対102による搬送を継続する。このとき、ループ形成空間50には、搬送ローラ対102の継続的なシートの送り出しによって、シートSに所定の折り位置で折り目を形成するのに適した大きさの折りループFLが形成されている。
【0054】
シートSに所定のループFLが形成されたら突き板107を退避位置から折りローラ対105側に向けて移動開始し、突き板107の先端を折りループFLに突き当てる。更に突き板107は、その先端でシートの所定位置を突き押しながら、
図4(e)に示すように、折りローラ対105のニップ部の直前(突き板107の先端がホームポジションよりも折りローラ対105側に位置する突き位置。突き板107の先端から折りローラ対105のニップ点までの距離は3mm。)まで移動する。このとき、突き板107の先端で突き押しされたシートSの先端部分は、シートSの第1の折り目となる折り位置が仮折りされる。
【0055】
突き板107が折りローラ対105のニップ点から4.5mm手前の位置まで来たら折りローラ対105を回転させる。その状態で突き板107が上述した突き位置に到達すると、シートSの1つ目の折り目となる折り位置が、折りローラ対105のニップ部に巻き込まれ、下流側へ搬送されつつ、上下折りローラ105a,105b間で加圧折曲される。この加圧加工により、シートSには、
図4(f)に示すように、1つ目即ち第1の折り目132が所定の折り位置に形成される。突き板107は、折りローラ対105のニップ部へのシートSの巻き込みを妨げないように、下側搬送ガイド109下側の退避位置に移動させる。これにより、搬送経路101の下方にループ形成空間50が再び開放される。
【0056】
折りローラ対105は、突き板107を退避させた後も、引き続き回転駆動される。従って、シートSは、
図4(f)に示すように、そのシート搬送方向の先端及び折りローラ対105により形成された第1の折り目132を先にして三つ折り(Z折り)に重ねた状態で、折りローラ対105にニップされ、下流側へ搬送される。
【0057】
シートSのシート搬送方向の後端が、上流ユニットである画像形成装置Aの搬出口を抜けて、シート折り装置Cに完全に搬送されると、
図5(g)に示すように、第1の折り目132が、増し折り処理位置を通過して下流側へ所定の搬送量送り出されたところで、折りローラ対105及び搬送ローラ対102を停止させる。ここで、増し折り処理位置とは、増し折りコロ114と増し折り受け部材120との間で、増し折り処理を行うためにシートSの折り目が配置されるシート搬送方向の位置である。
【0058】
シートSの1つ目の折り目132が増し折り処理位置から停止するまでにシート搬送方向下流側に送り出される所定の搬送量は、シートSのシート搬送方向のシート長によって決定され、その短長に応じて変更することができる。本実施形態では、上述したように、折りローラ対105及び搬送ローラ対102の停止時に、シートSのシート搬送方向の後端が上流ユニットを抜けてシート折り装置Cに完全に搬送されている状態であるように、シートSのシート搬送方向長さに応じて決定される。シートSのシート搬送方向の長さ情報は、画像形成装置Aから事前に受け取ることができ、またシート位置検出センサセンサ304a、304bによって、搬送されるシートSの先端及び後端をそれぞれ検出し、その時間差から算出することもできる。
【0059】
次に、
図5(h)に示すように、搬送ローラ対102を停止させた状態で折りローラ対105を逆転させ、シートSをシート搬送方向上流側へ移動させる。シートSの第1の折り目132が前記増し折り位置に戻されると、折りローラ対105を停止させて、第1の折り目132を前記増し折り位置に配置する。
【0060】
このとき、搬送ローラ対102が停止していることによって、シートSには、搬送ローラ対102と折りローラ対105との間で弛みが生じ、搬送経路101からループ形成空間50に垂れ下がって、第2のループFL2を先のループFLの上側に形成する。このように2つのループFL,FL2が1つのループ形成空間50に形成されるので、装置が不必要に大型化せず、装置の小型化・低コスト化を図ることができる。
【0061】
増し折り処理が終了すると、搬送ローラ対102及び折りローラ対105を回転させて、シートSを下流側へ搬送する。
【0062】
ここで、シートSの下流側への搬送を開始する際、搬送ローラ対102と折りローラ対105の各起動を時間差を設けて開始してもよい。具体的には、例えば、折りローラ対105を先に起動し、それから所定時間経過後に搬送ローラ対102を起動する。このように搬送ローラ対102及び折りローラ対105の起動開始に適当な時間差を設定することによって、ループ形成空間50内に形成された第2のループFL2を解消し又は縮小することができる。また、先のループFLが折りローラ対105に巻き込まれた後に、第2のループFL2が形成されるようにすることもできる。尚、前記時間差は、搬送ローラ対102及び折りローラ対105の回転量、それらを駆動する前記モータの回転量、シート搬送量等に置き換えて設定することもできる。
【0063】
シートSが下流側へ搬送されるに連れて、ループ形成空間50内の折りループFLは徐々に小さくなり、第2の折り目133が形成される所望の折り位置で上下から二つ折りに屈曲される。この第2の折り目133となるシートSの折り位置は、このように屈曲された形態で搬送され、折りローラ対105のニップ部で加圧折曲され、第2の折り目133が所望の位置に形成される。
【0064】
本実施形態では、シートSのシート搬送方向の後端位置を、第1の折り目132が前記増し折り位置を越えてシートSを下流側に搬送して折りローラ対105及び搬送ローラ対102を停止した時点で、完全に画像形成装置Aを抜けている状態に調整した。しかしながら、折りローラ対105の逆転及び増し折り処理に関連する搬送ローラ対102の回転制御は、これに限定されるものではない。
【0065】
なお、
図5(g)に関連して説明したステップにおいて、折りローラ対105を停止させる一方、その後も搬送ローラ対102を回転させてシートSの後端側をシート搬送方向下流側へ送り出す構成であってもよい。この搬送ローラ対102によるシートS後端側の搬送は、折りローラ対105が一旦停止後に逆転しかつ第1の折り目132を前記増し折り位置に戻して停止するまでの間、更に増し折り処理が行われて次のステップに進むまでの間、それら期間の全部で又は部分的に選択して行うことができる。
【0066】
これにより、第1の折り目132の増し折り処理が終了してシートSの下流側への搬送が開始する際におけるシートSの後端位置を、シート搬送方向に沿って調整することができる。例えば、シートSのシート搬送方向の後端が、そのシート搬送方向長さによっては、折りローラ対105の停止時に、未だシート折り装置Cに完全に搬送されておらず、上流のユニット内に位置する状態があり得る。この場合であっても、上述したように搬送ローラ対102を回転制御することにより、遅くとも第1の折り目132の増し折り処理が終わるとき、シートSのシート搬送方向の後端が完全に上流のユニットを抜けている状態にすることができる。それにより、上述したように、折り処理を含む画像形成システム全体として、生産性の維持・向上を図ることができる。
【0067】
なお、折りローラ対105を停止して逆転させ、シートSをシート搬送方向上流側に搬送する際に、搬送ローラ対102も一旦停止して逆転させ、シートSの後端側をシート搬送方向上流側へ搬送してもよい。この場合、搬送ローラ対102の逆転によるシート搬送量は、折りローラ対105の逆転によるシート搬送量よりも少なくなるように、前記搬送ローラ対及び折りローラ対を制御する。
【0068】
これにより、ループ形成空間50内における第2のループFL2の形成を解消し又はその大きさを縮小することができる。この場合、シートSのシート搬送方向後端は、上流側ユニットの画像形成装置Aに向けて移動するが、この実施形態においても、遅くとも第1の折り目132の増し折り処理が終わるとき、完全に画像形成装置Aを抜けている状態であることが、上述したシステム全体の生産性の観点から好ましい。
【0069】
ここで、搬送ローラ対102及び折りローラ対105の逆転によるシート搬送量は、シートSのシート搬送方向の搬送距離、搬送時間、前記搬送ローラ対及び折りローラ対の回転量(回転速度、回転時間)等に基づいて設定することができる。また、搬送ローラ対102及び折りローラ対105の逆転開始及び/又は逆転停止は、必ずしも同時に行う必要は無い。例えば、搬送ローラ対102の逆転開始を折りローラ対105の逆転開始よりも遅らせたり、搬送ローラ対102の逆転停止を折りローラ対105の逆転停止よりも早くすることができる。
【0070】
次に
図5(i)に示すように,シートSの2つ目即ち第2の折り目133が前記増し折り処理位置に到達すると、折りローラ対105及び搬送ローラ対102を停止させて、第2の折り目133を前記増し折り処理位置に配置させる。この状態で、増し折り駆動モータ128を駆動して、増し折りコロ114と増し折り受け部材120とにより第2の折り目133の増し折り処理を行う。増し折り処理が終了すると、折りローラ対105を回転させて、シートSを下流側へ搬送し、下流側のシート処理装置Bへ搬出する。
【0071】
これにより、シート折り装置Cにおける一連の折り処理及び増し折り処理が終了する。このとき、シートSの後端は、シート折り装置C側に完全に抜けているので、上流側の画像形成装置Aでは、次のシートをシート折り装置Cへ送り出す準備ができており、システム全体として生産性の維持向上が図られる。
【0072】
[作業性向上]
上述したように、画像形成装置Aの内部に設けられた本体給送部2に加えて、シートを画像形成装置Aに外部から供給する給送手段として、手差し給送部9と外付けの給送装置Dとが、画像形成ユニットA1の前記一方の側面に設けられている。更に、画像形成装置Aによって画像形成されたシートに後処理を施す後処理装置として、シート処理装置B及びシート折り装置Cが、同じく画像形成ユニットA1の一方の側面に配置されている。
【0073】
このような配置構成により、ユーザは、画像形成ユニットA1の一方の側面51の側に留まったまま、シートを手差し給送部9及び給送装置Dに補給する作業と、後処理されたシートをシート処理装置Bの積載トレイ23~25から取り出す作業とを行うことができる。更に、手差し給送部9、給送装置D、シート処理装置B及び/又はシート折り装置Cに発生するシートのジャム等のトラブル処理及び保守作業を、同様にユーザは、画像形成ユニットA1の前記一方の側面の側で行うことができる。従って、ユーザは、画像形成処理システム1000に対する様々な上記作業を効率良く行うことができる。
【0074】
また、シート折り装置Cは、上述した折り処理を行うために、搬送経路101の下方に十分な大きさのループ形成空間50を確保する必要があり、そのため、シート折り装置Cは、搬送経路101より下方の部分が大きく下方に突出している。他方、シート折り装置Cは、手差しトレイ10を開閉させる範囲(
図1中破線で示す四半円形の範囲)に干渉しない形状となっている。つまり、
図1に示した画像形成システム1000の構成において、手差しトレイ10は閉状態から開状態へ動作することが可能となっている。よって、手差しトレイ10を開状態として載置面10aにシートを積載することで手差しトレイ10からの給送が可能となっている。
【0075】
[各装置の離間構成]
画像形成システム1000の画像形成装置Aは、シートの搬送異常等によってカセット2a、2bから給送されたシートを搬送路から取り除く場合に開放するカバー2cを備えている。カバー2cは、カセット2a,2bから給送されたシートの搬送をガイドする一対のガイド部材のうちの一つが一体的に備えられている。したがって、カバー2cを開放することで、搬送路が開放されることになる。ユーザは、シートの搬送異常が発生する等してシートを除去しなければならない場合、カバー2cを開放することで、シートを取り除くことが可能となっている。
【0076】
カバー2cは、画像形成装置Aの左側面(一方の側面)51に設けられており、画像形成システム1000として動作する際には給送装置Dによって覆われる位置に設けられている。つまり、画像形成装置Aのカバー2cは、鉛直方向において給送装置Dとオーバーラップしている。したがって、画像形成装置Aのカバー2cを開放するためには、画像形成装置Aの側面51側に配置されているシート処理装置Bと給送装置Dを離間させる必要がある。お
【0077】
次に、
図6及び
図7を用いて、画像形成システム1000の離間動作について説明をする。
図6は、画像形成システム1000のシート処理装置Bとシート折り装置Cが離間をした状態を示した概略斜視図である。
図7は、給送装置Dが離間をした状態を示す概略斜視図である。
図6に示すように、給送装置Dを画像形成装置Aに対して離間する場合、まずシート処理装置Bを+X方向に離間する。そして、
図7に示すように、画像形成装置Aに対して給送装置Dを+X方向に移動させることで、給送装置Dを画像形成装置Aの側面51から離間させる。これにより、画像形成装置Aの本体給送部2は、その幅方向Xの側面51が給送装置Dから開放されて、比較的大きなスペースが画成される。これにより、前記一方の側の側面に設けられた開閉可能なカバー2cを、その内面を
図7に示すように上向きに開くことができ、本体給送部2は、本体給送部2から給送経路8に送られるシートのジャムを解消するための作業スペースを確保することができる。
【0078】
カバー2cを開放してシートを除去した後は、離間動作と逆の手順で接続することで、画像形成システム1000を稼働可能な状態に戻すことができる。つまり、カバー2cを閉じた後、給送装置Dを-X方向へ移動して画像形成装置に接続し、シート処理装置Bを-X方向に移動する。本実施形態では、シート処理装置Bとシート折り装置Cとが一体的に動作する構成を示している。つまり、シート折り装置Cはシート処理装置Bに支持(固定)されている。したがって、シート処理装置Bを幅方向Xに移動させた場合、シート折り装置Cも幅方向Xに移動し、搬送装置Eからシート折り装置Cが離間する。
【0079】
ここで、シート処理装置Bは、台座700に載置された状態で、画像形成装置Aに対して離間をすることが可能となっている。したがって、シート処理装置Bの離間または接続動作に伴って画像形成装置Aに対するシート処理装置Bの位置がずれてしまうことを抑制することができる。台座700の詳細構成について、
図8を用いて説明をする。
図8は、台座700の分解斜視図である。
【0080】
台座700は、画像形成装置Aのキャスター300が設置される設置面56に設置される設置部701と、設置部701に支持された状態でシート処理装置Bが載置される載置部702を有している。設置部701は、
図1等に示したように、画像形成装置Aの不図示のフレームの底板部分に固定されている。これにより、シート処理装置Bは,台座700を介して画像形成装置Aとの位置決めがされている。本実施形態では、設置部701が画像形成装置に固定される固定部の一例である。
【0081】
また、載置部702は、不図示の連結機構によってシート処理装置Bと連結されている。したがって、載置部702は、シート処理装置Bを載置した状態で、設置部701に対して幅方向Xにスライド移動可能となっている。つまり、シート処理装置Bを幅方向
に移動させることに応じて載置部702が設置部701に対してスライド移動する。尚、載置部702は、幅方向Xに延びるスライドレール703a,bによってスライド移動が可能となっている。載置部702は、
図1に示した位置から
図6に示した位置へスライド移動可能となっている。本実施形態では、
図1に示したシート処理装置Bの位置が、画像形成装置Aから搬送されるシートを受け入れ可能な搬送経路を形成する第1位置の一例である。また、
図6に示したシート処理装置Bの位置が、幅方向Xにおいて第1位置よりも画像形成装置Aから離れる方向へ移動した第2位置の一例である。また、
図1に示した給送装置Dの位置が、画像形成装置Aの給送口へシートを給送可能な第3位置の一例である。また、
図6に示した給送装置Dの位置が、第3位置よりも画像形成装置Aから離れる方向へ移動した第4位置の一例である。画像形成システム1000は、シート処理装置Bを第2位置にどうさせることで、給送装置Dを第4位置へ移動させることが可能となる。
【0082】
次に、シート処理装置Bを台座700へ載置する方法について説明をする。
図9は、台座700の載置部702にシート処理装置Bを載置した状態を示す斜視図である。尚、
図9では設置部701を省略している。台座700は、シート処理装置Bを矢印W方向(幅方向X)に移動して台座700に乗せるための設置部701に設けられたスロープ701a,bと、載置部702に設けられたスロープ702a,bを有する。
【0083】
スロープ701a,bおよびスロープ702a,bは、シート処理装置Bの前後方向(Y方向)にそれぞれ設けられるキャスターba,bbがそれぞれ載置されるよう合計2つ設けられている。シート処理装置Bは、スロープ701a,bおよびスロープ702a,bを乗り上げることで、設置部702a,bに設置することが可能となっている。本実施形態では、
図8に示したように、載置部702が設置部701に対して最も端側(
図1において左側)に位置する状態において、スロープ701a,bとスロープ702a,bとが連続するように設けられている。つまり、
図6及び7に示した状態において、シート処理装置Bは台座700に載せることが可能となっている。これにより、シート処理装置Bを台座700に簡単に載せることができ、画像形成システム1000を設置する際の作業性を向上することができる。
【0084】
載置部702に設けられた溝部702c,dは、幅方向Xに沿って伸びており、それぞれの溝部の間には平面部702eが設けられている。シート処理装置Bのキャスターba,bbは、溝部702c,dにそれぞれが収まることで、前後方向Yにおいて画像形成装置Aに対して位置がずれてしまうことを抑制することができる。また、ユーザによって画像形成装置Aのカバー2cを開放してシートを除去する際の作業性を向上することができる。
【0085】
本実施形態において、キャスターba,bbの前後方向Yにおける幅は、50mmとなっている。そして、前後方向Yにおける溝部702c,dの幅は、それぞれ52mmとなっている。これにより、キャスターba,bbは、溝部702c,dにおいて旋回が規制されているため、シート処理装置Bが画像形成装置Aに対して前後方向Yにおいて位置がずれることを抑制することができる。尚、キャスターや溝部の寸法は上述したものに限らず、前後方向Yにおける位置がずれることを抑制できる範囲内であればよい。例えば、前後方向Yにおけるキャスターba,bbの幅に対して、溝部702c,dの幅がそれぞれ5mm程度大きければよい。より位置ずれを抑制するためには、前後方向Yにおけるキャスターba,bbの幅よりも、前後方向における溝部702c,dの幅を2~3mm程度大きくすればよい。
なお、シート処理装置Bの高さが画像形成装置Aに対して低い場合、シートを受け渡すためにシート処理装置Bの高さを高くする必要がある。この場合は、シート処理装置Bの高さを画像形成装置Aに合わせるように、台座700の高さを設定するとよい。
【0086】
尚、本実施形態では、給送装置Dが台座700の設置部701に載った状態で設置されている。そして、設置部701に設けられたスライドレール703a,bは、前後方向Yにおいて、給送装置Dに設けられた複数のキャスターdのうち前後にそれぞれ設けられているキャスターの間隔よりも狭い位置に設けられている。本実施形態では、給送装置Dに設けられた前後のキャスターの間隔L1に対して、スライドレール703a,703bの間隔をL2とした場合、L1>L2の関係となるように設けられている。これにより、設置部701にスライドレール703a,bを設ける構成であっても、給送装置Dは幅方向Xへ移動することができる。
【0087】
尚、給送装置Dの幅方向Xへの移動が可能な構成であれば、台座700の形状を変えてもよい。例えば、
図10に示すように、スライドレール703a,bを有する設置部705の形状としてもよい。
図10は、他の位置決め部材710の例を示す概略斜視図である。尚、
図10において、
図8に示した台座700と同じ構成については同符号を付与して説明を省略する。
【0088】
図10における位置決め部材710は、設置部705に給送装置Dを載せない点が、
図8に示した位置決め装置700と異なる。従って、設置部705は、給送装置Dの幅方向Xへの移動を阻害しない形状としている。具体的には、鉛直方向においてスロープ701a,bが設けられる部分705aよりも、鉛直方向において給送装置Dの下方に位置する部分705bを狭くし、かつ給送装置Dのキャスターの間隔よりも狭くした。具体的には、給送装置Dに設けられた前後のキャスターの間隔をL1、スライドレール703a,703bの間隔をL2、鉛直方向において給送装置Dの下方に位置する部分705bの幅をL3、鉛直方向においてスロープ701a,bが設けられる部分705aの幅をL4とした場合、L4>L1>L3>L2の関係となるように設けられている。これによって、給送装置Dを設置部705に載せない場合であっても、給送装置Dを幅方向Xに移動することができる。尚、設置部705のうち前後方向Yの幅をL3とした部分の幅方向Xの長さは、画像形成装置Aのカバー2cを開放するのに必要な給送装置Dの離間量を稼げる長さであればよい。本実施形態において、
【0089】
また、台座700は、給送装置Dの幅方向Xの移動を阻害せず、シート処理装置Bを位置決めできる形状であれば、他の形状であってもよい。例えば、
図11に示すように、設置部702に設置溝702f~iを備える構成であってもよい。
図11に示すように、溝部702c、dに対して凹ませた設置溝702f~iを設けることで、よりシート処理装置Bの位置決めを確実行うことが可能となる。尚、設置溝702f~iは、シート処理装置Bに設けられるキャスターbb,baなどの設置部ごとに設けることで、シート処理装置Bの移動を規制することができる。
図11に示した形状では、シート処理装置Bを載置部702に固定する部材を別途設ける必要がなく、簡単な構成でシート処理装置Bの位置決めを行うことができる。鉛直方向においてスロープ701a,bが設けられる部分705aが、シート処理装置Bが離間した状態において載置部701を支持する第1支持部の一例である。また、鉛直方向において給送装置Dの下方に位置する部分705bが、シート処理装置Bが接続された状態において載置部701を支持する第2支持部の一例である。
【0090】
また、台座700に、給送装置Dの移動を規制する構成を設けてもよい。例えば、
図12に示すように、シート処理装置Bの溝部702c,dと同様の機能を有する溝部701c、dを設けてもよい。溝部701c、dは、給送装置Dのキャスターの前後方向の間隔に合わせて設けられればよい。例えば、溝部702c,dと同様に、給送装置dのキャスターの前後方向Yにおける幅に対して、5mm程度大きい長さを有する溝であればよい。より位置ずれを抑制するためには、給送装置Dの前後方向Yにおけるキャスターの幅よりも、前後方向における溝部701c,dの長さを2~3mm程度大きくすればよい。
【0091】
尚、溝部701c、dの幅方向Xにおける長さは、画像形成装置Aのカバー2cを開放するのに必要な給送装置Dの幅方向Xにおける離間量を稼げる長さであればよい。したがって、鉛直方向Zにおいて載置部702の下方まで延びる溝としてもよい。このようにして、溝部701c、dを設けることで、給送装置Dについても画像形成装置Aに対する接続及び離間作業に伴う位置ずれを抑制することができる。また、給送装置Dの移動を溝部701c、dによってガイドすることができるため、ユーザによって画像形成装置Aのカバー2cを開放してシートを除去する際の作業性を向上することができる。
【0092】
[各装置の連結構成]
シート処理装置Bは、画像形成システム1000として上流側の装置に対する連結を解除するための解除レバーを備えていてもよい。例えば、
図9に示したシート処理装置Bの外装カバー600を開放した場合に露出する位置に解除レバーを設ける構成であればよい。このように、外装カバー600の内側に解除レバーを備えることで、誤って解除レバーに触れることでシート処理装置Bが離間してしまうことを抑制することができる。
【0093】
尚、上述したように、シート処理装置Bとシート折り装置Cとが連結した状態で搬送装置Eに対して離間する構成の場合、解除レバーをシート折り装置Cに設けてもよい。この場合であっても、外装カバーの内側に解除レバーを設けることで、誤って解除レバーを操作してしまうことを抑制することができる。尚、誤って解除レバーに触れた場合の操作を防止することができる構成であれば、外装カバーの外側に解除レバーを設ける構成であってもよい。
【0094】
尚、上述した実施形態では、シート処理装置Bとシート折り装置Cとが連結した状態で搬送装置に対して離間および接続可能な構成としたが、画像形成システム1000としての連結を解除できる構成であれば、いずれの装置間で連結を解除する構成であってもよい。例えば、シート折り装置Cが搬送装置Eを介して画像形成装置Aに支持される構成であれば、シート処理装置Bのみが画像形成システム1000の幅方向Xに離間する構成であってもよい。
【0095】
また、上述した実施形態では、画像形成装置Aとシート処理装置Bの間に搬送装置E及びシート折り装置Cを設ける構成としたが、このシステム構成に限らなくてもよい。例えば、シート折り装置Cではなく別の処理を施す処理装置を、画像形成装置Aとシート処理装置Bとの間に設ける構成であってもよい。また、画像形成装置Aとシート処理装置Bとの間を1つの搬送装置のみで連結する構成であってもよい。
【0096】
また、上述した実施形態では、シート処理装置Bの前後方向Yにおける位置決めとして溝部702c,dを有する載置部702を例に示したが、シート処理装置Bが移動することを規制できる構成であれば、他の形態であってもよい。例えば、溝部702c,dの代わりに突出部を設けることでシート処理装置Bの前後方向Yへの移動を規制する構成であってもよい。シート処理装置Bにアジャスターなどを設けることで、シート処理装置Bが載置部702上で移動することを規制してもよい。
【0097】
以上のように、シート処理装置Bを載置し、画像形成装置Aに対する位置決めを行う台座700を設けることで、シート処理装置Bを離間または接続動作をする際に画像形成装置Aに対してシート処理装置Bの位置がずれてしまうことを抑制することができる。また、台座700を設ける構成において、給送装置Dの幅方向Xへの移動を阻害しないため、画像形成装置Aに対してシート処理装置B及び給送装置Dを離間または接続する際の作業性が向上する。よって、ユーザが画像形成装置Aに設けられるカバー2cを開放してシートを除去する際の作業性を向上することができる。
【0098】
なお、上述した実施形態では、画像形成装置Aの左側面に給送トレイ10を設ける構成を説明したが、給送トレイ10を右側面に設け、搬送経路を左右反転し、排紙口17を右側面側に設ける構成であってもよい。この場合は、各搬送装置やシート処理装置Bも画像形成装置Aの右側に設けられる構成であればよい。この場合であっても、上述したように画像形成装置Aとシート処理装置Bとの位置決めを行うことで、同様の課題を解決することができる。
【0099】
以上、本発明を好適な実施形態に関連して説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものでなく、その技術的範囲において、様々な変更又は変形を加えて実施し得ることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0100】
A 画像形成装置
A1 画像形成ユニット
A4 中継搬送ユニット
A5 排紙部
B シート処理装置
C シート折り装置
E 搬送装置
D 給送装置
2 カセット
2a カバー
7 主積載トレイ
9 手差し給送部
10 手差しトレイ
19 排紙部中継搬送経路
19a 伸縮経路部
23~25 積載トレイ
50 ループ形成空間
101 搬送経路
700 台座
1000 画像形成処理システム