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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104682
(43)【公開日】2024-08-05
(54)【発明の名称】鞍乗型車両
(51)【国際特許分類】
   B62J 9/30 20200101AFI20240729BHJP
   B62J 9/23 20200101ALI20240729BHJP
   B62J 45/00 20200101ALI20240729BHJP
   B62J 23/00 20060101ALI20240729BHJP
   B62J 25/06 20200101ALI20240729BHJP
   B60R 25/24 20130101ALI20240729BHJP
   E05B 49/00 20060101ALI20240729BHJP
   E05B 83/00 20140101ALI20240729BHJP
   E05B 83/28 20140101ALI20240729BHJP
【FI】
B62J9/30
B62J9/23
B62J45/00
B62J23/00 D
B62J25/06
B60R25/24
E05B49/00 J
E05B83/00 H
E05B83/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023009027
(22)【出願日】2023-01-24
(71)【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】篠原 彰弥
(72)【発明者】
【氏名】里中 志成
【テーマコード(参考)】
2E250
【Fターム(参考)】
2E250AA21
2E250HH07
2E250JJ03
2E250LL11
(57)【要約】
【課題】車両の周囲に位置する携帯送信機を容易に認識することができ、収納ケースへのアクセス性を向上することができる鞍乗型車両が、提供される。
【解決手段】鞍乗型車両1は、携帯送信機Mからの識別信号を検知することで、収納ケース44の施錠状態を変更可能に構成される。鞍乗型車両1は、車体フレーム2と、ライダーシート5と、ブラケット45と、受信機51と、スイッチ52と、を備える。ライダーシート5は、車体フレーム2に設けられる。収納ケース用のブラケット44は、ライダーシート5の後方に配置される。受信機51は、ライダーシート5の下方において車体フレーム2に取り付けられる。スイッチ52は、受信機51より後方、且つ、ブラケット45より前方において車体フレーム2に取り付けられる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納ケースを搭載可能であり、携帯送信機からの識別信号を検知することで、前記収納ケースの施錠状態を変更可能に構成される鞍乗型車両であって、
車体と、
前記車体に設けられるシートと、
前記シートの後方に配置され、前記収納ケースを前記車体に取り付けるために前記車体に設けられるブラケットと、
前記シートの下方において前記車体に取り付けられ、前記識別信号を前記携帯送信機から受信可能に構成される受信機と、
前記受信機より後方、且つ、前記ブラケットより前方において前記車体に取り付けられ、前記収納ケースの施錠状態を変更するために操作可能に構成されるスイッチと、
を備える鞍乗型車両。
【請求項2】
前記車体は、前後方向に延びる車体中心線を有し、
前記スイッチは、前記車体中心線に直交する車幅方向のいずれか一方の側において、前記車体に取り付けられる、
請求項1に記載の鞍乗型車両。
【請求項3】
前記受信機は、前記車幅方向のいずれか一方の側において、前記車体に取り付けられる、
請求項2に記載の鞍乗型車両。
【請求項4】
前記シートを開閉可能に構成され、前記車幅方向のいずれか一方の側において前記車体に取り付けられるキーシリンダ、
をさらに備える請求項2に記載の鞍乗型車両。
【請求項5】
前記シートの後方において前記車体に取り付けられるリアカバー、
をさらに備え、
前記スイッチは、前記リアカバーの側面に取り付けられる、
請求項1に記載の鞍乗型車両。
【請求項6】
前記シートの後方において前記車体に取り付けられるリアカバー、
をさらに備え、
前記スイッチは、前記リアカバーの上面に取り付けられる、
請求項1に記載の鞍乗型車両。
【請求項7】
前記車体は、前記シートを支持する第1リアフレームと、前記第1リアフレームの下方に配置され前記第1リアフレームの後部に接続される第2リアフレームと、を有し、
前記受信機は、前記第2リアフレームの上方に配置される、
請求項1に記載の鞍乗型車両。
【請求項8】
前記受信機は、前記第1リアフレームの下方に配置される、
請求項7に記載の鞍乗型車両。
【請求項9】
前記車体に取り付けられる取付部を含むタンデムステップ、
をさらに備え、
前記スイッチは、前記タンデムステップの前記取付部より後方に配置される、
請求項1に記載の鞍乗型車両。
【請求項10】
前記車体は、前記シートを支持する第1リアフレームと、前記第1リアフレームの下方に配置され前記第1リアフレームの後部に接続される第2リアフレームと、を有し、
前記スイッチの少なくとも一部は、前記第2リアフレームより上方に配置される、
請求項1に記載の鞍乗型車両。
【請求項11】
前記ブラケットに取り付けられた前記収納ケースをさらに備える、
請求項1に記載の鞍乗型車両。
【請求項12】
前記スイッチは、車両側面視において、前記収納ケースと重ならないように前記収納ケースと間隔を隔てて配置される、
請求項11に記載の鞍乗型車両。
【請求項13】
前記識別信号により前記携帯送信機を認証するコントローラ、
をさらに備え、
前記収納ケースは、前記施錠状態を変更するための指令信号を、前記コントローラから受信可能に構成される信号受信部を有し、
前記コントローラは、前記携帯送信機を認証した状態で前記スイッチが操作された場合に、前記指令信号を前記信号受信部に送信する、
請求項1に記載の鞍乗型車両。
【請求項14】
前記スイッチは、前記収納ケースの施錠状態を少なくともロック状態からアンロック状態に変更するために操作可能に構成される、
請求項1に記載の鞍乗型車両。
【請求項15】
前記車体は、前後方向に延びる車体中心線と、前記スイッチが取り付けられる取付面と、を含み、
前記取付面は、下方に向かって、前記車体中心線に直交する車幅方向において内側に傾斜している、
請求項1に記載の鞍乗型車両。
【請求項16】
収納ケースを搭載可能であり、携帯送信機からの識別信号を検知することで、前記収納ケースの施錠状態を変更可能に構成される鞍乗型車両であって、
車体と、
前記車体に設けられるシートと、
前記シートの後方に配置され、前記収納ケースを前記車体に取り付けるために前記車体に設けられるブラケットと、
前記シートの下方において前記車体に取り付けられ、前記識別信号を前記携帯送信機から受信可能に構成される受信機と、
前記収納ケースの施錠状態を変更するために操作されるスイッチを保持可能に構成され、前記受信機より後方、且つ、前記ブラケットより前方において前記車体に取り付けられるスイッチホルダと、
を備える鞍乗型車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鞍乗型車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯送信機からの識別信号を検知することで、収納ケースの施錠状態を変更可能に構成される鞍乗型車両が知られている。このような鞍乗型車両は、受信機とスイッチとを備えている。
【0003】
受信機は、無線通信により、携帯送信機からの識別信号を受信することで、携帯送信機を認識する。携帯送信機が認識された状態で、スイッチが操作されることで、収納ケースのロックが解除される。或いは、携帯送信機が認識された状態で、スイッチが操作されることで、収納ケースがロックされる。
【0004】
例えば、特許文献1の鞍乗型車両は、スマートキーと通信を行う通信ユニット、を備えている。通信ユニットがスマートキーを認識した場合に、メインスイッチのオン・オフが有効となる。そして、メインスイッチをオンに操作することで、トランクケースのロックが解除される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開WO2020/174544号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の鞍乗型車両では、受信機は、携帯送信機からの識別信号を受信することで、携帯送信機を認識する。しかし、受信機が識別信号を検知する検知範囲は、受信機から、例えば1m~2m程度の小さな範囲に限られている。このため、携帯送信機を有するライダーが、受信機の検知範囲外に位置する場合には、受信機は携帯送信機を認識することができない。
【0007】
例えば、受信機が車両の後部に配置されている場合には、受信機は、車両の前側に位置する携帯送信機を認識することが困難になる。或いは、受信機が車両の前部に配置されている場合には、受信機は、車両の後側に位置する携帯送信機を認識することが困難になる。
【0008】
また、受信機が車両の後部又は車両の前部に配置された状態において、スイッチが受信機から遠く離れて配置された場合には、ライダーがスイッチを操作するためにスイッチに接近すると、ライダーがスイッチを操作する時に受信機が携帯送信機を認識することが困難になる。
【0009】
さらに、収納ケースが車両の後部に配置された状態において、受信機が車両の前部に配置されスイッチが受信機の近くに配置された場合には、ライダーは、スイッチを操作した後に、収納ケースを開閉するために車両の前部から車両の後部へと移動する必要がある。すなわち、収納ケースへのアクセス性が低下する。
【0010】
本発明の目的は、車両の周囲に位置する携帯送信機を容易に認識することができ、収納ケースへのアクセス性を向上することができる鞍乗型車両を、提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様に係る鞍乗型車両は、収納ケースを搭載可能に構成される。鞍乗型車両は、携帯送信機からの識別信号を検知することで、収納ケースの施錠状態を変更可能に構成される。鞍乗型車両は、車体と、シートと、ブラケットと、受信機と、スイッチと、を備える。
【0012】
シートは、車体に設けられる。ブラケットは、シートの後方に配置される。ブラケットは、収納ケースを車体に取り付けるために車体に設けられる。受信機は、シートの下方において車体に取り付けられる。受信機は、識別信号を携帯送信機から受信可能に構成される。スイッチは、受信機より後方、且つ、ブラケットより前方において車体に取り付けられる。スイッチは、収納ケースの施錠状態を変更するために操作可能に構成される。
【0013】
本態様に係る鞍乗型車両では、受信機はシートの下方において車体に取り付けられるので、携帯送信機が鞍乗型車両の前側に位置していても、鞍乗型車両の後側に位置していても、受信機は携帯送信機を容易に認識することができる。
【0014】
また、スイッチは、受信機より後方、且つ、ブラケットより前方において車体に取り付けられるので、ライダーがスイッチを操作するためにスイッチに接近しても、受信機は携帯送信機を容易に認識することができる。
【0015】
また、ライダーは、スイッチを操作した後に、収納ケースに容易にアクセスすることができる。すなわち、本鞍乗型車両では、車両の周囲に位置する携帯送信機を容易に認識することができ、収納ケースへのアクセス性を向上することができる。
【0016】
車体は、前後方向に延びる車体中心線を有していてもよい。この場合、スイッチは、車体中心線に直交する車幅方向のいずれか一方の側において、車体に取り付けられる。この構成では、ライダーがスイッチに接近した際に、受信機は携帯送信機を容易に認識することができる。
【0017】
受信機は、車幅方向のいずれか一方の側において、車体に取り付けられてもよい。この構成では、受信機がスイッチと同じ側で車体に取り付けられるので、ライダーがスイッチに接近した際に、受信機は携帯送信機をより容易に認識することができる。
【0018】
鞍乗型車両は、キーシリンダをさらに備えていてもよい。この場合、キーシリンダは、シートを開閉可能に構成される。キーシリンダは、車幅方向のいずれか一方の側において車体に取り付けられる。この構成では、キーシリンダがスイッチと同じ側で車体に取り付けられるので、ライダーは、収納ケースにアクセスした後に、シートを容易に開閉することができる。また、ライダーは、シートを開閉した後に、収納ケースに容易にアクセスすることができる。
【0019】
鞍乗型車両は、リアカバーをさらに備えていてもよい。この場合、リアカバーは、シートの後方において車体に取り付けられる。スイッチは、リアカバーの側面に取り付けられる。この構成では、ライダーはスイッチに容易にアクセスすることができる。
【0020】
鞍乗型車両は、リアカバーをさらに備えていてもよい。この場合、リアカバーは、シートの後方において車体に取り付けられる。スイッチは、リアカバーの上面に取り付けられる。この構成では、ライダーはスイッチに容易にアクセスすることができる。
【0021】
車体は、第1リアフレームと、第2リアフレームと、を有していてもよい。この場合、第1リアフレームは、シートを支持する。第2リアフレームは、第1リアフレームの下方に配置され、第1リアフレームの後部に接続される。受信機は、第2リアフレームの上方に配置される。この構成では、受信機が第2リアフレームの上方に配置されるので、受信機は携帯送信機を容易に認識することができる。
【0022】
受信機は、第1リアフレームの下方に配置されていてもよい。この構成では、受信機が第1リアフレームの下方に配置されるので、受信機は携帯送信機を容易に認識することができる。
【0023】
鞍乗型車両は、タンデムステップをさらに備えていてもよい。この場合、タンデムステップは、車体に取り付けられる取付部を含む。スイッチは、タンデムステップの取付部より後方に配置される。この構成では、同乗者が乗車した状態において、スイッチに対する同乗者の接触を防ぐことができる。
【0024】
車体は、第1リアフレームと、第2リアフレームと、を有していてもよい。この場合、第1リアフレームは、シートを支持する。第2リアフレームは、第1リアフレームの下方に配置され、第1リアフレームの後部に接続される。スイッチの少なくとも一部は、第2リアフレームより上方に配置される。この構成では、スイッチの少なくとも一部が第2リアフレームより上方に配置されるので、スイッチを容易に操作することができる。
【0025】
鞍乗型車両は、収納ケースをさらに備えていてもよい。この場合、収納ケースは、ブラケットに取り付けられる。この構成では、ライダーは、スイッチを操作した後に、収納ケースに容易にアクセスすることができる。
【0026】
スイッチは、車両側面視において、収納ケースと重ならないように収納ケースと間隔を隔てて配置されていてもよい。この構成では、スイッチの操作性を損なうことなく、収納ケースへのアクセス性を向上することができる。
【0027】
鞍乗型車両は、コントローラをさらに備えていてもよい。この場合、コントローラは、識別信号により携帯送信機を認証する。収納ケースは信号受信部を有する。信号受信部は、施錠状態を変更するための指令信号を、コントローラから受信可能に構成される。コントローラは、携帯送信機を認証した状態でスイッチが操作された場合に、指令信号を信号受信部に送信する。
【0028】
この構成では、コントローラは携帯送信機からの識別信号に基づいて携帯送信機を認証し、スイッチ操作時にコントローラからの指令信号に基づいて収納ケースの施錠状態が変更される。このように、コントローラによって収納ケースの施錠状態を容易に変更することができる。
【0029】
スイッチは、収納ケースの施錠状態を少なくともロック状態からアンロック状態に変更するために操作可能に構成されていてもよい。この構成では、収納ケースの施錠状態はロック状態及びアンロック状態を含み、スイッチ操作によって収納ケースの施錠状態をロック状態からアンロック状態に変更することができる。
【0030】
車体は、前後方向に延びる車体中心線と、スイッチが取り付けられる取付面と、を含んでいてもよい。この場合、取付面は、下方に向かって、車体中心線に直交する車幅方向において内側に傾斜している。この構成では、同乗者が乗車した状態において、スイッチに対する同乗者の接触を防ぐことができる。
【0031】
本発明の他の態様に係る鞍乗型車両は、収納ケースを搭載可能に構成される。鞍乗型車両は、携帯送信機からの識別信号を検知することで、収納ケースの施錠状態を変更可能に構成される。鞍乗型車両は、車体と、シートと、ブラケットと、受信機と、スイッチホルダと、を備える。
【0032】
シートは、車体に設けられる。ブラケットは、シートの後方に配置される。ブラケットは、収納ケースを車体に取り付けるために車体に設けられる。受信機は、シートの下方において車体に取り付けられる。受信機は、識別信号を携帯送信機から受信可能に構成される。
【0033】
スイッチホルダは、収納ケースの施錠状態を変更するために操作されるスイッチを保持可能に構成される。スイッチホルダは、受信機より後方、且つ、ブラケットより前方において車体に取り付けられる。
【0034】
本態様に係る鞍乗型車両では、受信機はシートの下方において車体に取り付けられるので、携帯送信機が鞍乗型車両の前側に位置していても、鞍乗型車両の後側に位置していても、受信機は携帯送信機を容易に認識することができる。
【0035】
また、スイッチホルダは、受信機より後方、且つ、ブラケットより前方において車体に取り付けられるので、ライダーがスイッチホルダのスイッチを操作するためにスイッチに接近しても、受信機は携帯送信機を容易に認識することができる。
【0036】
また、ライダーは、スイッチを操作した後に、収納ケースに容易にアクセスすることができる。すなわち、本鞍乗型車両では、車両の周囲に位置する携帯送信機を容易に認識することができ、収納ケースへのアクセス性を向上することができる。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、鞍乗型車両において、車両の周囲に位置する携帯送信機の認識を容易にすると共に、スイッチへのアクセス性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】実施形態に係る鞍乗型車両の側面図である。
図2】鞍乗型車両の上面図である。
図3】鞍乗型車両の後部を部分的に拡大した側面図である。
図4】鞍乗型車両から収納ケースを取り外した状態で鞍乗型車両の後部を部分的に拡大した側面図である。
図5】リアフレーム及びブラケットの側面図である。
図6】リアフレーム及びブラケットの上面図である。
図7】施錠変更システムの機能ブロック図である。
図8A】施錠変更システムのフローチャートである。
図8B】施錠変更システムのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、図面を参照して実施形態にかかる鞍乗型車両について説明する。図1は、実施形態に係る鞍乗型車両1の側面図である。
【0040】
図1に示すように、鞍乗型車両1は、車体フレーム2(車体の一例)と、ステアリング装置3と、燃料タンク4と、ライダーシート5(シートの一例)と、パワーユニット6と、前輪7と、スイングアーム8と、後輪9と、を備える。鞍乗型車両1は、タンデムステップ10と、キーシリンダ11と、を備える。
【0041】
本実施形態では、ライダーがライダーシート5に座った状態における、ライダーの前方(図1の前方)、ライダーの後方(図1の後方)、ライダーの左方、及びライダーの右方が、鞍乗型車両1の前後左右の各方向に対応する。
【0042】
ライダーの上方(図1の上方)が、鞍乗型車両1の上方に対応する。鞍乗型車両1の下方(図1の下方)は、鞍乗型車両1の上方とは反対の方向である。鞍乗型車両1の下方は、重力が鞍乗型車両1に作用する方向である。
【0043】
車体前方視は、鞍乗型車両1の前部を前方から見た状態を示す。車体側方視は、鞍乗型車両1の側面を左側又は右側から見た状態を示す。車体後方視は、鞍乗型車両1の後部を後側から見た状態を示す。車体上方視は、鞍乗型車両1の上部を上方から見た状態を示す。
【0044】
図2に示すように、鞍乗型車両1、例えば、車体フレーム2は、前後方向に延びる車体中心面H、を有する。車体中心面Hは、前後方向及び上下方向に延びる。車両中心面Hは、後述するヘッドパイプ12を前後方向に通過する。
【0045】
例えば、車体上方視において、車両中心面Hは、ヘッドパイプ12の中心を前後方向に通過する。車体上方視において、車両中心面Hは、前後方向に延びる車体中心線を形成する。車幅方向Wは、車体中心面Hに直交する方向に定義される。車幅方向Wは、左右方向に対応する。
【0046】
図1に示すように、車体フレーム2は、ヘッドパイプ12と、メインフレーム13と、リアフレーム14と、を有する。メインフレーム13は、ヘッドパイプ12に接続される。メインフレーム13は、1対のメインフレーム20,21を含む。1対のメインフレーム20,21は、ヘッドパイプ12から後方へ延び、車幅方向Wにおいて互いに間隔を隔てて配置される。
【0047】
図1には、左側のメインフレーム20が図示される。右側のメインフレーム21は、車両中心面Hを基準として、左側のメインフレーム20と鏡像配置される。このため、右側のメインフレーム21は、左側のメインフレームの符号20とともに括弧内に示される。
【0048】
図1に示すように、リアフレーム14は、メインフレーム13に接続される。リアフレーム14は、1対のリアフレーム24,25を含む。1対のリアフレーム24,25、例えば、左側のリアフレーム24及び右側のリアフレーム25は、1対のメインフレーム20,21から各別に後方へ延びる。
【0049】
図1には、左側のリアフレーム24が図示される。右側のリアフレーム25は、車両中心面Hを基準として、左側のリアフレーム24と鏡像配置される。このため、左側のリアフレーム24は、左側のリアフレーム25とともに括弧内に示される。
【0050】
図1に示すように、左側のリアフレーム24及び右側のリアフレーム25は、ライダーシート5の下方に配置される。1対のリアフレーム24,25は、1対のメインフレーム20,21に各別に接続される。
【0051】
左側のリアフレーム24及び右側のリアフレーム25は、ライダーシート5を支持する。左側のリアフレーム24は、第1左リアフレーム26と、第2左リアフレーム27と、を有する。
【0052】
図1に示すように、第1左リアフレーム26は、ライダーシート5を支持する。第1左リアフレーム26は、左側のメインフレーム20に接続される。第2左リアフレーム27は、第1左リアフレーム26を支持する(図5を参照)。第2左リアフレーム27は、第1左リアフレーム26の下方に配置される。第2左リアフレーム27は、左側のメインフレーム20及び第1左リアフレーム26の後部に、接続される。
【0053】
図1に示すように、タンデムステップ10は、アーム部28を介して、第2左リアフレーム27に取り付けられる。タンデムステップ10は、アーム部28に対して揺動可能に取り付けられる。例えば、タンデムステップ10は、揺動軸29(取付部の一例)を介して、アーム部28に対して揺動可能に取り付けられる。
【0054】
右側のリアフレーム25は、車両中心面Hを基準として、左側のリアフレーム24と鏡像配置される(図6を参照)。この点を除いて、右側のリアフレーム25の構成は、左側のリアフレーム24の構成と同じである。
【0055】
図1に示すように、右側のリアフレーム25は、第1右リアフレーム30と、第2右リアフレーム31と、を有する。第1右リアフレームの符号30及び第2右リアフレームの符号31は、第1左リアフレームの符号26及び第2左リアフレームの符号27とともに、括弧内に示される。
【0056】
第1右リアフレーム30は、車幅方向Wにおいて、第1左リアフレーム26と間隔を隔てて配置される(図6を参照)。第1右リアフレーム30は、第1左リアフレーム26とともに、ライダーシート5を支持する。第1右リアフレーム30は、右側のメインフレーム21に接続される。
【0057】
第2右リアフレーム31は、車幅方向Wにおいて、第2左リアフレーム27と間隔を隔てて配置される(図6を参照)。第2右リアフレーム31は、第1右リアフレーム30を支持する(図5を参照)。第2右リアフレーム31は、第1右リアフレーム30の下方に配置される。第2右リアフレーム31は、右側のメインフレーム21及び第1右リアフレーム30の後部に、接続される。
【0058】
図1に示すように、ステアリング装置3は、ヘッドパイプ12に回転可能に支持される。ステアリング装置3は、前輪7を回転可能に支持する。ステアリング装置3は、ステアリングシャフト32と、ハンドル部材33と、フロントフォーク34と、アッパブラケット35と、ロアブラケット36と、を有する。
【0059】
ステアリングシャフト32は、ヘッドパイプ12に挿入される。ハンドル部材33は、ヘッドパイプ12よりも上方に配置される。ハンドル部材33は、ステアリングシャフト32に接続される。ハンドル部材33は、左右方向に延びる。
【0060】
フロントフォーク34は、アッパブラケット35及びロアブラケット36を介して、ステアリングシャフト32に接続される。フロントフォーク34は、前輪7を回転可能に支持する。
【0061】
図1及び図2に示すように、燃料タンク4は、ヘッドパイプ12の後方に配置される。燃料タンク4は、ライダーシート5の前方に配置される。燃料タンク4は、メインフレーム13に上方に配置され、メインフレーム13に支持される。
【0062】
図1及び図2に示すように、ライダーシート5は、車体フレーム2に設けられる。ライダーシート5は、リアフレーム14に支持される。例えば、ライダーシート5は、第1左リアフレーム26及び第1右リアフレーム30に支持される。
【0063】
図1に示すように、ライダーシート5は、リアフレーム14の上方に配置される。ライダーシート5は、燃料タンク4の後方に配置される。ライダーシート5の後方には、タンデムシート37が配置される。ライダーシート5は、燃料タンク4とタンデムシート37との間に配置される。
【0064】
図1に示すように、タンデムシート37は、リアフレーム14に支持される。例えば、タンデムシート37は、第1左リアフレーム26及び第1右リアフレーム30に支持される。
【0065】
図1及び図2に示すように、タンデムシート37の後部の周囲には、グラブバー38が配置される。グラブバー38は、タンデムシート37における、後部、左部、及び右部を取り囲む。グラブバー38は、リアフレーム14に支持される。
【0066】
図1に示すように、キーシリンダ11は、ライダーシート5を開閉可能に構成される。キーシリンダ11は、車幅方向Wのいずれか一方の側に配置される。本実施形態では、キーシリンダ11は、車幅方向Wにおける左側に配置される。キーシリンダ11は、ライダーシート5の下方に配置される。キーシリンダ11は、後述するスイッチ52の前方に配置される。
【0067】
キーシリンダ11は、車体フレーム2に取り付けられる。例えば、キーシリンダ11は、後述する左側のリアカバー41に取り付けられる。左側のリアカバー41は、第1左リアフレーム26及び第1右リアフレーム30に取り付けられる。すなわち、キーシリンダ11は、左側のリアカバー41を介して、第1左リアフレーム26及び第1右リアフレーム30に取り付けられる。
【0068】
図1に示すように、パワーユニット6は、燃料タンク4の下方に配置される。パワーユニット6は、メインフレーム13に支持される。パワーユニット6は、例えば内燃エンジンを有する。後輪9は、スイングアーム8を介して、メインフレーム13に支持される。後輪9は、スイングアーム8に回転可能に支持される。スイングアーム8は、メインフレーム13に揺動可能に支持される。
【0069】
鞍乗型車両1は、メインカウル22と、リアカバー24と、を備える。メインカウル22は、ヘッドパイプ12の前方、ヘッドパイプ12の左方、及びヘッドパイプ12の右方に、配置される。メインカウル22は、メインフレーム13に装着される。
【0070】
図1に示すように、メインカウル22は、ハンドル部材33の前方、燃料タンク4の前部側方、燃料タンク4の下方、及びライダーシート5の下方に、配置される。メインカウル22は、左側のメインフレーム20の上部、右側のメインフレーム21の上部、左側のリアフレーム24の前部、及び右側のリアフレーム25の前部を、覆う。
【0071】
図1及び図3に示すように、リアカバー24は、ライダーシート5の下方に配置される。例えば、リアカバー24は、ライダーシート5の後方に配置される。リアカバー24は、ライダーシート5の下方及びタンデムシート37の下方に、配置される。リアカバー24は、1対のリアカバー41,42、例えば、左側のリアカバー41及び右側のリアカバー42、を含む。
【0072】
右側のリアカバー42は、車両中心面Hを基準として、左側のリアカバー41と鏡像配置される。このため、右側のリアカバーの符号42は、左側のリアカバーの符号41とともに、括弧内に示される。
【0073】
図1及び図3に示すように、左側のリアカバー41は、左側のリアフレーム24の中部及び後部、例えば第1左リアフレーム26及び第2左リアフレーム27の中部及び後部を、覆う。左側のリアカバー41は、第1左リアフレーム26に装着される。図4に示すように、左側のリアカバー41は、第1サイドケース装着孔41aと、スイッチ取付面41bと、を有する。
【0074】
図4に示すように、第1サイドケース装着孔41aは、後述する左側のサイドケース44aを第1左リアフレーム26に装着するために用いられる孔部である。スイッチ取付面41bには、スイッチ52例えば後述するスイッチホルダ43が、設けられる。スイッチ取付面41bは、下方に向かうにつれて車幅方向Wにおいて内側に傾斜するように、左側のリアカバー41の外面を形成する。
【0075】
図1及び図3に示すように、右側のリアカバー42は、右側のリアフレーム25の中部及び後部、例えば第1右リアフレーム30及び第2右リアフレーム31の中部及び後部を、覆う。右側のリアカバー42は、第1右リアフレーム30に装着される。図4に示すように、右側のリアカバー42は、第2サイドケース装着孔42aを有する。第2サイドケース装着孔42aは、後述する右側のサイドケース44bを第1右リアフレーム30に装着するために用いられる孔部である。
【0076】
図4に示すように、鞍乗型車両1は、スイッチホルダ43を備える。スイッチホルダ43は、スイッチ52を保持可能に構成される。スイッチホルダ43は、スイッチ52を保持可能な孔部である。
【0077】
スイッチホルダ43は、車幅方向Wのいずれか一方の側に配置される。本実施形態では、スイッチホルダ43は、車幅方向Wにおける左側に配置される。スイッチホルダ43は、第2左リアフレーム27の上方に配置される。スイッチホルダ43は、第1左リアフレーム26の下方に配置される。
【0078】
スイッチホルダ43は、後述する受信機51の後方、且つ、後述するブラケット45より前方に配置される。例えば、車体側方視において、スイッチホルダ43は、受信機51より後方、且つ、後述する第1サイドブラケット47より前方に配置される。車体側方視において、スイッチホルダ43は、受信機51より後方、且つ、後述する第2サイドブラケット48より前方に配置される。
【0079】
スイッチホルダ43は、左側のリアカバー41の側面又は左側のリアカバー41の上面に設けられる。本実施形態では、スイッチホルダ43は、左側のリアカバー41の側面に設けられる。スイッチホルダ43が左側のリアカバー41の上面に設けられる例については、図4では符号「43’」を用いて破線にて示されている。
【0080】
ここで、左側のリアカバー41は第1左リアフレーム26に取り付けられる。スイッチホルダ43は、左側のリアカバー41のスイッチ取付面41bに設けられる。すなわち、スイッチホルダ43は、左側のリアカバー41を介して第1左リアフレーム26に取り付けられる。
【0081】
図1図3に示すように、鞍乗型車両1は、収納ケース44を搭載可能に構成される。鞍乗型車両1は、図1図3に示す収納ケース44と、図4図6に示すブラケット45と、を備える。本実施形態では、収納ケース44が鞍乗型車両1の構成要件である場合の例が示されるが、収納ケース44は鞍乗型車両1の構成要件でなくてもよい。
【0082】
収納ケース44は、物品を収納可能に構成される。収納ケース44は、物品を出し入れするために開閉可能に構成される。収納ケース44は、図7に示すロック機構44eを有する。ロック機構44eは、施錠状態を変更可能に構成される。施錠状態は、収納ケース44の開閉を許可するアンロック状態と、収納ケース44の開閉を規制するロック状態と、を含む。
【0083】
図1図3に示す収納ケース44は、図4図6に示すブラケット45を介して、車体フレーム2に着脱可能に装着される。図1図3に示すように、収納ケース44は、左側のサイドケース44aと、右側のサイドケース44bと、トップケース44cと、を含む。
【0084】
左側のサイドケース44aは、車体フレーム2の後部において、車体フレーム2の左方に配置される。左側のサイドケース44aは、第1左リアフレーム26の左方に配置される。右側のサイドケース44bは、車体フレーム2の後部において、車体フレーム2の右方に配置される。右側のサイドケース44bは、第1右リアフレーム30の右方に配置される。
【0085】
トップケース44cは、ライダーシート5の後方に配置される。例えば、トップケース44cは、タンデムシート37の後方に配置される。トップケース44cは、車体フレーム2の後部において、車体フレーム2の上方に配置される。詳細には、トップケース44cは、第1左リアフレーム26の後端及び第1右リアフレーム30の後端の上方に配置される。
【0086】
図4図6に示すブラケット45は、収納ケース44を車体フレーム2に取り付けるために用いられる。図5及び図6に示すように、ブラケット45は、車体フレーム2、例えば第1左リアフレーム26及び第1右リアフレーム30に、設けられる。ブラケット45は、第1サイドブラケット47と、第2サイドブラケット48と、を有する。ブラケット45は、第1リアブラケット49と、第2リアブラケット50と、を有する。
【0087】
図5及び図6に示す第1サイドブラケット47は、左側のサイドケース44aを装着するために用いられる。図4に示すように、第1サイドブラケット47は、ライダーシート5の後方に配置される。第1サイドブラケット47は、タンデムシート37の下方に配置される。
【0088】
図5及び図6に示すように、第1サイドブラケット47は、第1左リアフレーム26の後部に取り付けられる。例えば、左側のサイドケース44aは、図4に示す第1サイドケース装着孔41aを介して、第1サイドブラケット47に着脱可能に装着される。
【0089】
図5及び図6に示す第2サイドブラケット48は、右側のサイドケース44bを装着するために用いられる。図4に示すように、第2サイドブラケット48は、ライダーシート5の後方に配置される。第2サイドブラケット48は、タンデムシート37の下方に配置される。
【0090】
図5及び図6に示すように、第2サイドブラケット48は、第1右リアフレーム30の後部に取り付けられる。例えば、右側のサイドケース44bは、図4に示す第2サイドケース装着孔42aを介して、第2サイドブラケット48に着脱可能に装着される。
【0091】
図5及び図6に示す第1リアブラケット49及び第2リアブラケット50は、トップケース44cを装着するために用いられる。第1リアブラケット49は、第1左リアフレーム26の後端に取り付けられる。第2リアブラケット50は、第1右リアフレーム30の後端に取り付けられる。トップケース44cは、図示しないステーを介して、第1リアブラケット49及び第2リアブラケット50に着脱可能に装着される。
【0092】
図1に示すように、鞍乗型車両1は、受信機51と、スイッチ52と、バッテリ53と、を備える。鞍乗型車両1は、第1車速センサ54と、第2車速センサ55と、コントローラ61と、を備える。
【0093】
受信機51は、車幅方向Wのいずれか一方の側に配置される。本実施形態では、受信機51は、車幅方向Wにおける左側に配置される。受信機51は、車体フレーム2、例えば第1左リアフレーム26及び/又は第1右リアフレーム30に、取り付けられる。
【0094】
図4に示すように、受信機51は、ライダーシート5の下方に配置される。受信機51は、第1左リアフレーム26の下方に配置される。受信機51は、第2左リアフレーム27の上方に配置される。すなわち、受信機51は、上下方向において、第1左リアフレーム26及び第2左リアフレーム27の間に配置される。
【0095】
図7に示すように、受信機51は、識別信号を携帯送信機Mから受信可能に構成される。受信機51は、携帯送信機Mを識別するための識別信号を携帯送信機Mから受信する。例えば、受信機51は、携帯送信機Mとの距離に応じて、識別信号を携帯送信機Mから受信する。
【0096】
詳細には、携帯送信機M及び受信機51の距離が所定の距離以下である場合、受信機51は識別信号を携帯送信機Mから受信する。この場合、受信機51は識別信号をコントローラ61に送信する。携帯送信機M及び受信機51の距離が所定の距離より大きい場合、受信機51は識別信号を携帯送信機Mから受信しない。この場合、受信機51は識別信号をコントローラ61に送信しない。
【0097】
図1及ぶ図4に示すスイッチ52は、車幅方向Wのいずれか一方の側に配置される。本実施形態では、スイッチ52は、車幅方向Wにおける左側に配置される。図4に示すように、スイッチ52は、受信機51より後方、且つ、ブラケット45より前方に配置される。例えば、車体側方視において、スイッチ52は、受信機51より後方、且つ、第1サイドブラケット47より前方に配置される。車体側方視において、スイッチ52は、受信機51より後方、且つ、第2サイドブラケット48より前方に配置される。
【0098】
図1に示すように、スイッチ52は、車両側面視において、収納ケース44と重ならないように収納ケース44と間隔を隔てて配置される。例えば、スイッチ52は、車両側面視において、左側のサイドケース44aと重ならないように、左側のサイドケース44aと間隔を隔てて配置される。詳細には、スイッチ52は、車両側面視において、左側のサイドケース44a及び右側のサイドケース44bと重ならないように、左側のサイドケース44a及び右側のサイドケース44bと間隔を隔てて配置される。
【0099】
図4に示すように、スイッチ52の少なくとも一部は、第2左リアフレーム27より上方に配置される。本実施形態では、スイッチ52が第2左リアフレーム27より上方に配置される場合の例が示されるが、スイッチ52の一部が、第2左リアフレーム27の側方に配置されてもよい。スイッチ52は、タンデムステップ10の揺動軸29より後方に配置される。
【0100】
スイッチ52は、左側のリアカバー41の側面又は左側のリアカバー41の上面に取り付けられる。本実施形態では、スイッチ52は、左側のリアカバー41の側面に取り付けられる。スイッチ52が左側のリアカバー41の上面に設けられる例については、図4では符号「52’」を用いて破線にて示されている。
【0101】
スイッチ52は、左側のリアカバー41のスイッチホルダ43(孔部)に取り付けられる。例えば、スイッチ52は、スイッチホルダ43(孔部)に弾性的に係合する。ここで、左側のリアカバー41は、第1左リアフレーム26に装着される。すなわち、スイッチ52は、左側のリアカバー41を介して第1左リアフレーム26に装着される。
【0102】
スイッチ52は、収納ケース44の施錠状態を変更するために操作される。スイッチ52は、左側のサイドケース44a及び右側のサイドケース44bの施錠状態を少なくともロック状態からアンロック状態に変更するために操作される。
【0103】
スイッチ52は、受信機51が識別信号を携帯送信機Mから受信した場合に、左側のサイドケース44a及び右側のサイドケース44bの施錠状態を、ロック状態及びアンロック状態のいずれか一方から、ロック状態及びアンロック状態のいずれか他方に変更する。
【0104】
例えば、図7に示すように、スイッチ52は、収納ケース44をロックするために用いられるロックボタン52aと、収納ケース44のロックを解除するために用いられるロック解除ボタン52bと、を有する。ロックボタン52aが押圧された場合、スイッチ52はロック信号をコントローラ61に送信する。ロック解除ボタン52bが押圧された場合、スイッチ52はロック解除信号をコントローラ61に送信する。
【0105】
図1及び図4に示すバッテリ53は、受信機51と、第1車速センサ54と、第2車速センサ55と、コントローラ61とに、電力を供給する。なお、スイッチ52及び収納ケース4には、スイッチ52及び後述する信号受信部44dを動作させるためのバッテリが、各別に内蔵されている。
【0106】
図4に示すように、バッテリ53は、ライダーシート5の下方に配置される。バッテリ53は、上下方向において、ライダーシート5及び受信機51の間に配置される。例えば、バッテリ53は、上下方向において、ライダーシート5及び第2左リアフレーム27の間に配置される。バッテリ53は、第1左リアフレーム26に装着される。
【0107】
図1に示すように、第1車速センサ54は、左側のフロントフォーク34の先端部に装着される。第1車速センサ54は、前輪の回転速度を検知する。第1車速センサ54は、前輪の回転速度に対応する第1回転速度信号を、コントローラ61に送信する。
【0108】
第2車速センサ55は、左側のスイングアーム8の先端部に装着される。第2車速センサ55は、後輪の回転速度を検知する。第2車速センサ55は、後輪の回転速度に対応する第2回転速度信号を、コントローラ61に送信する。
【0109】
図7に示すように、コントローラ61は、プロセッサ61aと、メモリ61bとを、有する。なお、コントローラ61は、ハードディスク及び/又はSSD等のような、外部記憶装置及び補助記憶装置を、さらに備えていてもよい。
【0110】
プロセッサ61aは、少なくとも1つのCPU(Central Processing Unit)を、有する。本実施形態では、プロセッサ61aが、1つのCPUから構成される場合の例を用いて、説明を行う。なお、本実施形態では、プロセッサ61aが、1つのCPUから構成される場合の例を示すが、複数のCPUから構成されてもよい。
【0111】
プロセッサ61aは、メモリ61に記録された制御プログラムに基づいて、後述する施錠変更システムの制御を実行する。施錠変更システムの制御の実行時には、プロセッサ61aは、制御データをメモリ61bから読み出し、制御データをメモリ61bに記録する。
【0112】
メモリ61bは、RAM等の揮発性メモリを含む。メモリ61bは、ROM等の不揮発性メモリを含む。メモリ61bは、施錠変更システムの実行で用いられる、制御プログラム及び制御データを、記録する。
【0113】
図1に示すコントローラ61は、メインフレーム13に装着される。コントローラ61は、燃料タンク4の前部に配置される。本実施形態では、携帯送信機M、スイッチ52、受信機51、後述する収納ケース44の信号受信部44d、及びコントローラ61は、無線通信によって互いに接続される。コントローラ61、バッテリ53、第1車速センサ54、及び第2車速センサ55は、有線通信によって互いに接続される。コントローラ61、バッテリ53、第1車速センサ54、及び第2車速センサ55は、無線通信によって互いに接続されてもよい。
【0114】
本実施形態では、図7に示すように、左側のサイドケース44a及び右側のサイドケース44bのそれぞれが、信号受信部44dを有する。本実施形態では、トップケース44cが信号受信部44dを有していない場合の例が示されるが、トップケース44cは信号受信部44dを有していてもよい。
【0115】
信号受信部44dは、左側のサイドケース44a及び右側のサイドケース44b、及びトップケース44cに各別に設けられたバッテリから、電力供給を受ける。信号受信部44dは、施錠状態を変更するための指令信号を、コントローラ61から受信する。指令信号は、ロック信号及びロック解除信号を含む。
【0116】
施錠変更システムでは、プロセッサ61aは以下のように動作する。図7に示すプロセッサ61aは、携帯送信機Mを検知する。例えば、プロセッサ61aは、携帯送信機Mからの識別信号を検知する。詳細には、プロセッサ61aは、携帯送信機Mからの識別信号を、受信機51を介して検知する。携帯送信機M及び受信機51の距離が所定の距離以下である場合に、プロセッサ61aは、受信機51から識別信号を受信する。
【0117】
プロセッサ61aは、識別信号により携帯送信機Mを認証する。例えば、プロセッサ61aは、識別信号を受信機51から受信した場合、識別信号に対応する携帯送信機Mの第1識別情報と、メモリ60に記録された携帯送信機Mの第2識別情報とを、比較する。第1識別情報及び第2識別情報が一致した場合、プロセッサ61aは携帯送信機Mを認識する。携帯送信機M及び受信機51の距離が所定の距離より大きい場合に、プロセッサ61aは、携帯送信機Mから識別信号を受信しない。プロセッサ61aは、識別信号を受信機51から受信しない場合、携帯送信機Mを認識しない。
【0118】
プロセッサ61aは、収納ケース44(左側のサイドケース44a及び右側のサイドケース44b)のロック機構44eを、制御する。プロセッサ61aが携帯送信機Mを認識した状態でスイッチ52が操作された場合、プロセッサ61aは、ロック信号又はロック解除信号をスイッチ52から受信し、指令信号(ロック信号又はロック解除信号)を収納ケース44の信号受信部44dに送信する。これにより、収納ケース44のロック機構44eがロック又はロック解除される。
【0119】
プロセッサ61aが携帯送信機Mを認識していない状態でスイッチ52が操作された場合、プロセッサ61aは、ロック信号又はロック解除信号をスイッチ52から受信し、指令信号(ロック信号又はロック解除信号)を収納ケース44の信号受信部44dに送信しない。この場合、収納ケース44のロック機構44eのロック状態が維持される。
【0120】
プロセッサ61aは、第1回転速度信号及び第2回転速度信号を、第1車速センサ54及び第2車速センサ55から各別に受信する。第1回転速度信号に対応する前輪の回転速度、及び、第2回転速度信号に対応する後輪の回転速度が、所定値以下である場合、プロセッサ61aは、ロック信号又はロック解除解除信号をスイッチ52から受け取った時に、指令信号(ロック信号又はロック解除信号)を収納ケース44の信号受信部44dに送信する。これにより、スイッチ52が押圧された時に、収納ケース44のロック機構44eが作動する。「所定値以下」は、鞍乗型車両1が静止していると判断される範囲に対応する。
【0121】
第1回転速度信号に対応する前輪の回転速度、及び、第2回転速度信号に対応する後輪の回転速度が、所定値より大きい場合、プロセッサ61aは、ロック信号又はロック解除解除信号をスイッチ52から受け取った時に、指令信号(ロック信号又はロック解除信号)を収納ケース44の信号受信部44dに送信しない。これにより、走行中にスイッチ52が押圧されたとしても、収納ケース44のロック機構44eの作動が規制される。「所定値より大きい」は、鞍乗型車両1が動いていると判断される範囲に設定される。
【0122】
上記の機能を有する施錠変更システムは、以下のようにプロセッサ61aによって実現される。図8A及び図8Bは、施錠変更システムのフローチャートである。
【0123】
プロセッサ61aは、第1車速センサ54の第1回転速度信号及び第2車速センサ55の第2回転速度信号を、監視している(S1)。プロセッサ61aは、第1回転速度信号に対応する前輪の回転速度、及び、第1回転速度信号に対応する後輪の回転速度に基づいて、鞍乗型車両1が静止しているか否かを判断する(S2)。
【0124】
鞍乗型車両1が静止していない場合(S2でNo)、例えば鞍乗型車両1が移動している場合(S2でNo)、走行中にスイッチ52が押圧されたとしても、収納ケース44のロック機構44eの作動が規制される。鞍乗型車両1が静止している場合(S2でYes)、プロセッサ61aは、以下のステップ3(S3)の処理を実行する。
【0125】
プロセッサ61aは第1識別信号を監視している(S3)。プロセッサ61aは、識別信号を受信機51から受信したか否かを、判断する(S4)。プロセッサ61aが識別信号を受信機51から受信していない場合(S4でNo)、例えば携帯送信機Mが受信機51から離れている場合、プロセッサ61aはステップ1(S1)の処理を実行する。
【0126】
プロセッサ61aが識別信号を受信機51から受信した場合(S4でYes)、例えば携帯送信機Mが受信機51に接近した場合、プロセッサ61aは、携帯送信機Mの第1識別情報がメモリ60の第2識別情報と一致するか否かを、判断する(S5)。第1識別情報及び第2識別情報が一致しない場合(S5でNo)、プロセッサ61aはステップ1(S1)の処理を実行する。この場合、プロセッサ61aは携帯送信機Mを認証せず、スイッチ52が操作されたとしてもプロセッサ61aは指令信号(ロック信号又はロック解除信号)を収納ケース44の信号送信部44dに送信しない。
【0127】
第1識別情報及び第2識別情報が一致した場合(S5でYes)、プロセッサ61aは携帯送信機Mを認識する(S6)。プロセッサ61aは、スイッチ52が操作されたか否かを判断する(S7)。スイッチ52が操作された場合(S7でYes)、プロセッサ61aは、指令信号(ロック信号又はロック解除信号)を収納ケース44の信号受信部44dに送信する(S8)。
【0128】
これにより、収納ケース44のロック機構44eがロック又はロック解除される。例えば、スイッチ52のロック解除ボタン52bが押圧された場合、収納ケース44がロック解除される。スイッチ52のロックボタン52aが押圧された場合、収納ケース44がロックされる。
【0129】
スイッチ52が操作されていない場合(S7でNo)、プロセッサ61aは、指令信号(ロック信号又はロック解除信号)を収納ケース44の信号受信部44dに送信しない(S9)。
【0130】
ステップ7-9(S7-S9)の処理の実行中には、プロセッサ61aは常にステップ3(S3)の監視を実行している。ステップ4(S4)においてプロセッサ61aが識別信号を受信機51から受信している間は、ステップ7-9(S7-S9)の処理は実行される。一方で、ステップ4(S4)においてプロセッサ61aが識別信号を受信機51から受信しなくなった場合、ステップ7-9(S7-S9)の処理は終了し、ステップ1(S1)の処理が実行される。
【0131】
上述した鞍乗型車両1は、以下のような特徴を有する。鞍乗型車両1では、受信機51はライダーシート5の下方において車体フレーム2に取り付けられるので、携帯送信機Mが鞍乗型車両1の前側に位置していても、鞍乗型車両1の後側に位置していても、受信機51は携帯送信機Mを容易に認識することができる。
【0132】
また、スイッチ52は、受信機51より後方、且つ、ブラケット45(第1サイドブラケット47及び第2サイドブラケット48)より前方において車体フレーム2に取り付けられるので、ライダーがスイッチ52を操作するためにスイッチ52に接近しても、受信機51は携帯送信機Mを容易に認識することができる。
【0133】
また、ライダーは、スイッチ52を操作した後に、収納ケース44(左側のサイドケース44a及び右側のサイドケース44b)に容易にアクセスすることができる。すなわち、鞍乗型車両1では、車両の周囲に位置する携帯送信機Mを容易に認識することができ、収納ケース44へのアクセス性を向上することができる。
【0134】
スイッチ52は、車両中心面Hに直交する車幅方向のいずれか一方の側(例えば左側)において、車体フレーム2に取り付けられるので、ライダーがスイッチ52に接近した際に、受信機51は携帯送信機Mを容易に認識することができる。受信機51は、スイッチ52と同じ側で車体に取り付けられるので、ライダーがスイッチ52に接近した際に、受信機51は携帯送信機Mをより容易に認識することができる。
【0135】
キーシリンダ11がスイッチ52と同じ側で車体フレーム2に取り付けられるので、ライダーは、収納ケース44(左側のサイドケース44a及び右側のサイドケース44b)にアクセスした後に、ライダーシート5を容易に開閉することができる。また、ライダーは、ライダーシート5を開閉した後に、収納ケース44に容易にアクセスすることができる。
【0136】
リアカバー24(左側のリアカバー41)は、ライダーシート5の後方において車体フレーム2に取り付けられる。スイッチ52は、リアカバー24(左側のリアカバー41)の側面に取り付けられる。これにより、ライダーはスイッチ52に容易にアクセスすることができる。
【0137】
スイッチ52は、リアカバー24(左側のリアカバー41)の上面に取り付けられてもよい。このように構成しても、ライダーはスイッチ52に容易にアクセスすることができる。
【0138】
受信機51は第2左リアフレーム27の上方且つ第1左リアフレーム26の下方に配置されるので、受信機51は携帯送信機Mを容易に認識することができる。
【0139】
スイッチ52は、タンデムステップ10の揺動軸29より後方に配置されるので、同乗者が乗車した状態において、スイッチ52に対する同乗者の接触を防ぐことができる。
【0140】
スイッチ52は、第2左リアフレーム27より上方に配置される。この構成では、スイッチ52の少なくとも一部が第2左リアフレーム27より上方に配置されるので、スイッチ52を容易に操作することができる。
【0141】
収納ケース44(左側のサイドケース44a及び右側のサイドケース44b)は、上記のレイアウトを有するブラケット45(第1サイドブラケット47及び第2サイドブラケット48)に取り付けられるので、ライダーは、スイッチ52を操作した後に、収納ケース44に容易にアクセスすることができる。
【0142】
スイッチ52は、車両側面視において、収納ケース44(左側のサイドケース44a及び右側のサイドケース44b)と重ならないように収納ケース44と間隔を隔てて配置されるので、スイッチ52の操作性を損なうことなく、収納ケース44へのアクセス性を向上することができる。
【0143】
鞍乗型車両1では、コントローラ61は携帯送信機Mからの識別信号に基づいて携帯送信機Mを認証し、スイッチ操作時にコントローラ61からの指令信号(ロック信号又はロック解除信号)に基づいて収納ケース44(左側のサイドケース44a及び右側のサイドケース44b)の施錠状態が変更される。
【0144】
このように、コントローラ61によって収納ケース44の施錠状態を容易に変更することができる。例えば、スイッチ52操作によって収納ケース44の施錠状態を、ロック状態及びアンロック状態のいずれか一方から、ロック状態及びアンロック状態のいずれか他方に変更することができる。
【0145】
車体フレーム2の取付面41bは、下方に向かって、車幅方向において内側に傾斜しているので、同乗者が乗車した状態において、スイッチ52に対する同乗者の接触を防ぐことができる。
【0146】
スイッチホルダ43は、受信機51より後方、且つ、ブラケット45(第1サイドブラケット47及び第2サイドブラケット48)より前方において車体フレーム2に取り付けられる。これにより、ライダーがスイッチホルダ43のスイッチ52を操作するためにスイッチ52に接近しても、受信機51は携帯送信機Mを容易に認識することができる。
【0147】
また、ライダーは、スイッチ52を操作した後に、収納ケース44(左側のサイドケース44a及び右側のサイドケース44b)に容易にアクセスすることができる。すなわち、鞍乗型車両1では、車両の周囲に位置する携帯送信機Mを容易に認識することができ、収納ケース44へのアクセス性を向上することができる。
【産業上の利用可能性】
【0148】
本発明によれば、車両の周囲に位置する携帯送信機を容易に認識することができ、収納ケースへのアクセス性を向上することができる鞍乗型車両を、提供することができる。
【符号の説明】
【0149】
1 鞍乗型車両
2 車体フレーム
5 ライダーシート
10 タンデムステップ
11 キーシリンダ
24 リアカバー
26 第1左リアフレーム
27 第2左リアフレーム
41 左側のリアカバー
41b 取付面
43 スイッチホルダ
44d 信号受信部
44 収納ケース
44a 左側のサイドケース
44b 右側のサイドケース
45 ブラケット
47 第1サイドブラケット
48 第2サイドブラケット
51 受信機
52 スイッチ
61 コントローラ
H 車体中心線
M 携帯送信機
W 車幅方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B