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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104683
(43)【公開日】2024-08-05
(54)【発明の名称】扉体の組立方法及び扉体
(51)【国際特許分類】
   E06B 3/82 20060101AFI20240729BHJP
   C09J 5/00 20060101ALI20240729BHJP
   C09J 201/00 20060101ALI20240729BHJP
【FI】
E06B3/82
C09J5/00
C09J201/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023009029
(22)【出願日】2023-01-24
(71)【出願人】
【識別番号】307038540
【氏名又は名称】三和シヤッター工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103137
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 滋
(74)【代理人】
【識別番号】100145838
【弁理士】
【氏名又は名称】畑添 隆人
(72)【発明者】
【氏名】持田 典之
(72)【発明者】
【氏名】小西 俊輔
【テーマコード(参考)】
2E016
4J040
【Fターム(参考)】
2E016HA02
2E016JA11
2E016JC01
2E016KA01
2E016KA05
2E016LA01
2E016LB03
2E016LC03
2E016MA11
2E016NA05
4J040EF001
4J040JA13
4J040JB01
4J040LA06
4J040PA00
(57)【要約】
【課題】
扉体の組み立てにおいて、骨材の倒れを防止する。
【解決手段】
骨材1~4の第1見付辺11、21、31、41を表面材5に接着する第1工程と、骨材の第2見付辺12、22、32、42に接着剤を塗布して、表面材6を第2見付辺に接着する第2工程と、を備え、第1工程において、第1見付辺11、21、31、41には、主接着剤である第1接着剤と、接着補助手段である第2接着剤と、が塗布され、第1工程の初期において、第2接着剤の接着強度は、第1接着剤の接着強度よりも大きく、第1接着剤が所定の接着強度を発揮するまで、表面材5に載置された骨材1~4の倒れを防止する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
見込辺と、一対の見付辺と、からなる骨材の一方の見付辺に接着剤を塗布して、前記一方の見付辺を一方の表面材に接着することで、前記骨材を前記一方の表面材に載置する第1工程と、
他方の見付辺に接着剤を塗布して、他方の表面材を前記他方の見付辺に接着する第2工程と、を備え、
前記第1工程において、前記一方の見付辺には、接着補助手段が設けられ、前記接着剤が所定の接着強度を発揮するまで、前記一方の表面材に載置された前記骨材の倒れを防止する、
扉体の組立方法。
【請求項2】
前記第1工程において、前記接着剤は、主接着剤である第1接着剤と、前記接着補助手段である第2接着剤と、からなり、
前記第1工程の初期において、前記第2接着剤の接着強度は、前記第1接着剤の接着強度よりも大きい、
請求項1に記載の扉体の組立方法。
【請求項3】
前記第1接着剤の接着強度は、時間の経過と共に、第2接着剤の接着強度よりも大きくなる、
請求項2に記載の扉体の組立方法。
【請求項4】
前記第2接着剤は、前記一方の見付辺において、長さ方向両端部位を除く箇所に部分的に塗布され、前記長さ方向両端部位を含む前記第2接着剤が塗布されていない部位には前記第1接着剤が塗布されている、
請求項2、3いずれか1項に記載の扉体の組立方法。
【請求項5】
複数の骨材から組まれた扉体フレームと、
前記扉体フレームの第1見付辺に第1接着手段で接着された第1表面材と、
前記扉体フレームの第2見付辺に第2接着手段で接着された第2表面材と、
からなる扉体において、
前記第1接着手段は、主接着剤である第1接着剤と、第1接着剤に比べて硬化速度が速い第2接着剤と、からなる、
扉体。
【請求項6】
前記第2接着剤は、各骨材の第1見付辺において、長さ方向両端部位を除く箇所に部分的に塗布され、前記長さ方向両端部位を含む前記第2接着剤が塗布されていない部位には前記第1接着剤が塗布されている、
請求項5に記載の扉体。
【請求項7】
前記第1接着剤は2液反応型接着剤であり、
前記第2接着剤はホットメルト接着剤である、
請求項5、6いずれか1項に記載の扉体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、扉体の組立方法及び扉体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建物の出入り口等に設けられる重量ドアに代表される鋼製ドアでは、骨材(力骨、中骨)と表面材を溶接や接着剤(特許文献1参照)で組み立てる方法が一般に知られている。溶接作業には熟練の技術が必要であり、熱歪みや仕上げの問題もあり、製作に時間と労力が必要な作業となっている。また、溶接作業は溶接ヒュームによる体調への影響やCO2発生等、環境への影響も懸念される。
【0003】
溶接作業を行わずに接着剤を用いた扉体の組立方法においては、一方の表面材と各骨材を接着する接着剤が硬化するまでの乾燥時間が必要となり、接着剤が硬化するまでの間、骨材(力骨、中骨)が倒れないように保持する必要がある。
【特許文献1】特開平6-66072
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、接着工法を用いた扉体フレームの組み立てにおいて、骨材(力骨や中骨)の倒れを防止することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明が採用した技術手段は、
見込辺と、一対の見付辺と、からなる骨材の一方の見付辺に接着剤を塗布して、前記一方の見付辺を一方の表面材に接着することで、前記骨材を前記一方の表面材に載置する第1工程と、
他方の見付辺に接着剤を塗布して、他方の表面材を前記他方の見付辺に接着する第2工程と、を備え、
前記第1工程において、前記一方の見付辺には、接着補助手段が設けられ、前記接着剤が所定の接着強度を発揮するまで、前記一方の表面材に載置された前記骨材の倒れを防止する、
扉体の組立方法、である。
本明細書において、接着強度とは、剥がれ難さの度合いであり、剥離強度である。
1つの態様では、接着補助手段は接着剤であるが、粘着(接着)テープや部分溶接であってもよい。
【0006】
1つの態様では、前記第1工程において、前記接着剤は、主接着剤である第1接着剤と、前記接着補助手段である第2接着剤と、からなり、
前記第1工程の初期において、前記第2接着剤の接着強度は、前記第1接着剤の接着強度よりも大きい。
1つの態様では、第1接着剤の接着強度は、時間の経過と共に、第2接着剤の接着強度よりも大きくなる。
1つの態様では、第1接着剤は2液反応型接着剤(例えば、2液ウレタン樹脂系接着剤)である。
1つの態様では、第2接着剤はホットメルト接着剤であるが、速乾性接着剤、瞬間接着剤でもよい。
【0007】
1つの態様では、前記第2接着剤は、前記一方の見付辺において、長さ方向両端部位を除く箇所に部分的に塗布され、前記長さ方向両端部位を含む前記第2接着剤が塗布されていない部位には前記第1接着剤が塗布されている。
【0008】
本発明に係る扉体は、
複数の骨材から組まれた扉体フレームと、
前記扉体フレームの第1見付辺に第1接着手段で接着された第1表面材と、
前記扉体フレームの第2見付辺に第2接着手段で接着された第2表面材と、
からなる扉体において、
前記第1接着手段は、主接着剤である第1接着剤と、第1接着剤に比べて硬化速度が速い第2接着剤と、からなる。
【0009】
1つの態様では、前記第2接着剤は、各骨材の第1見付辺において、長さ方向両端部位を除く箇所に部分的に塗布され、前記長さ方向両端部位を含む前記第2接着剤が塗布されていない部位には前記第1接着剤が塗布されている。
【0010】
1つの態様では、
前記第1接着剤は2液反応型接着剤であり、
前記第2接着剤はホットメルト接着剤である。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、扉体の組み立て時において、見込辺と、一対の見付辺と、からなる骨材の一方の見付辺に接着剤を塗布して、前記一方の見付辺を一方の表面材に接着することで、前記骨材を前記一方の表面材に載置する第1工程において、前記一方の見付辺に接着補助手段を設けることで、前記接着剤が所定の接着強度を発揮するまで、前記一方の表面材に載置された前記骨材の倒れを防止するようにした。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態に係る扉体の正面図である。
図2】本実施形態に係る扉体の縦断面図である。
図3】本実施形態に係る扉体の組立方法の第1工程を説明する図である。
図4】本実施形態に係る扉体の組立方法の第1工程を説明する図である。
図5】本実施形態に係る扉体の組立方法の第2工程を説明する図である。
図6】本実施形態に係る扉体の組立方法の第1工程で用いる接着剤の接着強度を示す図である。
図7】本実施形態に係る組立方法の第1工程において、第2接着剤が塗布される領域を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[A]扉体の構成
図1に示すように、扉体のフレームすなわち骨材は、4本の力骨、すなわち、上フレーム1と、下フレーム2と、左右の縦フレーム3と、を四周状に組み合わせることで四周枠状のフレームが形成されており、かつ、上フレーム1と下フレーム2の間には、左右の縦フレーム3に平行して中間縦フレームないし中骨4が設けられる。扉体のフレームに、第1表面材5及び第2表面材6を接着することで扉体が形成される。
【0014】
[A-1]上フレーム
上フレーム1は、扉体の幅方向に延びる長尺部材であって、扉幅(見付幅)に略対応する長さ(見付寸法)と、扉体の厚さ(見込幅)に略対応する幅(見込寸法)と、を備えている。図2に示すように、上フレーム1は、上面(見込面)10と、上面10の幅方向(見込方向)の一端から垂下する第1見付辺11と、上面10の幅方向(見込方向)の他端から垂下する第2見付辺12と、から断面視コ字形状に形成されている。
【0015】
[A-2]下フレーム
下フレーム2は、扉体の幅方向に延びる長尺部材であって、扉幅(見付幅)に略対応する長さ(見付寸法)と、扉体の厚さ(見込幅)に略対応する幅(見込寸法)と、を備えている。図2に示すように、下フレーム2は、上面(見込面)20と、上面20の幅方向(見込方向)の一端から垂下する第1見付辺21と、上面20の幅方向(見込方向)の他端から垂下する第2見付辺22と、から断面視コ字形状に形成されている。
【0016】
[A-3]縦フレーム
縦フレーム3は、扉体の高さ方向に延びる長尺部材であって、扉高に略対応する長さ(高さ)と、扉体の厚さ(見込幅)に略対応する幅(見込寸法)と、を備えている。左右の縦フレーム3は、左右対称であり、実質的な形状は同一である。図2に示すように、縦フレーム3の高さは、扉体の全高よりも僅かに低く、縦フレーム3の上端が上フレーム1に近接ないし当接し、縦フレーム3の下端が下フレーム2に近接ないし当接するようになっている。
【0017】
図3図4に示すように、縦フレーム3は、見込面30と、見辺面30の幅方向(見込方向)の一端から見付方向に延びる第1見付辺31と、見込辺30の幅方向(見込方向)の他端から見付方向に延びる第2見付辺32と、から断面視コ字形状に形成されている。
【0018】
[A-4]中間縦フレーム
中間縦フレーム4は、扉体の高さ方向に延びる長尺部材であって、扉高に略対応する長さ(高さ)と、扉体の厚さ(見込幅)に略対応する幅(見込寸法)と、を備えている。図2に示すように、中間縦フレーム4の高さは、扉体の全高よりも僅かに低く、中間縦フレーム4の上端が上フレーム1に近接ないし当接し、中間縦フレーム4の下端が下フレーム2に近接ないし当接するようになっている。
【0019】
図3図4に示すように、中間縦フレーム4は、見込辺40と、見込辺40の幅方向(見込方向)の一端から見付方向に延びる第1見付辺41と、見込辺40の幅方向(見込方向)の他端から見付方向に延びる第2見付辺42と、から断面視コ字形状に形成されている。
【0020】
[A-5]表面材
第1表面材5は、見付面部50と、見付面部50の幅方向両端に直角に折り曲げ形成された左右の見込辺51と、見付面部50の上端に直角に折り曲げ形成された上辺52と、見付面部50の下端に直角に折り曲げ形成された下辺53と、からなる。第2表面材6は、見付面部60と、見付面部60の幅方向両端に直角に折り曲げ形成された左右の見込辺61と、見付面部60の上端に直角に折り曲げ形成された上辺62と、見付面部60の下端に直角に折り曲げ形成された下辺63と、からなる。図2に示す態様では、第1表面材5の上辺52、第2表面材6の上辺62は、上フレーム1の上面10に当接した状態で螺子54で固定することで、第1表面材5、第2表面材6の変形を防止し、上フレーム1の脱落を防止すること等によって、防火性能を向上させている。
【0021】
[B]扉体の組立
[B-1] 扉体の組立の概要
扉体の組立は、骨材に第1表面材5を接着する第1工程と、第1表面時5に接着された骨材に第2表面材6を接着する第2工程と、からなる。第1工程では、第1表面材5を床面に載置して、上フレーム1、下フレーム2、左右の縦フレーム3を四周枠状に位置させて、上フレーム1の第1見付辺11、下フレーム2の第1見付辺21、左右の縦フレーム3の第1見付辺31を、第1表面材5の見付面部50に接着させると共に、複数本の中間縦フレーム4を平行状に上フレーム1と下フレーム2間に位置させて、中間縦フレーム4の第1見付辺41を、第1表面材5の見付面部50に接着させる。
【0022】
第1工程において、上フレーム1の第1見付辺11、下フレーム2の第1見付辺21、左右の縦フレーム3の第1見付辺31には、接着補助手段が設けられ、接着剤が所定の接着強度を発揮するまで、第1表面材5の見付面部50に載置された骨材(上フレーム1、下フレーム2、縦フレーム3、中間縦フレーム4)の倒れを防止する。
【0023】
本実施形態において、第1工程で用いるに接着剤は、主接着剤である第1接着剤と、前記接着補助手段である第2接着剤と、からなる。第1工程の初期において、第2接着剤の接着強度は、第1接着剤の接着強度よりも大きい。
【0024】
第2工程では、扉体フレームの第2見付辺(上フレーム1の第2見付辺12、下フレーム2の第2見付辺22、左右の縦フレーム3の第2見付辺32、複数本の中間縦フレーム4の第2見付辺42)に、第2表面材6の見付面部60を接着させることで扉体を形成する。
【0025】
図3図5を参照しつつ、本実施形態に係る扉体の組立方法について説明する。図3図5において、縦フレーム3、中間縦フレーム4、第1表面材5、第2表面材6のみを図示しているが、第1表面材5に対する縦フレーム3、中間縦フレーム4の接着、縦フレーム3、中間縦フレーム4に対する第2表面材6の接着は、第1表面材5に対する上フレーム1、下フレーム2の接着、上フレーム1、下フレーム2に対する第2表面材6の接着に援用することができる点に留意されたい。なお、上フレーム1、下フレーム2について、上下端が第1表面材5の上辺52、第1表面材5の下辺53に当接した状態で倒れが防止されていれば、必ずしも、上フレーム1の第1見付辺11、下フレーム2の第1見付辺21に第2接着剤を塗布しなくてもよい。
【0026】
[B-2]第1工程の詳細
図3は骨材を代表する縦フレーム3(中間縦フレーム4)を示し、第1見付辺31(41)の高さ方向(長さ方向)の2ヵ所(図7参照)に、第2接着剤αが塗布され、第1見付辺31(41)において、第2接着剤αが塗布されていない部位に第1接着剤βが塗布される。本実施形態では、第1接着剤βは2液反応型接着剤(2液ウレタン樹脂系接着剤)であり、第2接着剤αはホットメルト接着剤である。
【0027】
図7に、各骨材(上フレーム1、下フレーム2、縦フレーム3、中間縦フレーム4)の第1見付辺11、21、31、41において、第2接着剤αが塗布される領域Aが示してあり、領域Aは、骨材の長さ方向の端部に近い部位に2ヵ所設定されているが、両端部位には設定されておらず、骨材の長さ方向両端部位には第1接着剤βが塗布される。すなわち、領域Aは、長さ方向両端部位を除く箇所に設定される。各第1見付辺11、21、31、41上の領域Aは3ヵ所以上であってもよい。
【0028】
図4に示すように、第1見付辺31に接着剤(第1接着剤β、第2接着剤α)が塗布された状態で、縦フレーム3を反転させて、第1接着剤β、第2接着剤αが塗布された第1見付辺31を、床面に載置した第1表面材5の見付面部50の幅方向端部に当接及び接着させる。縦フレーム3の見込辺30(水平姿勢の第1表面材5上に縦フレーム3が載置した状態)の下半部は、第1表面材5の見込辺51に当接している。縦フレーム3は、第1見付辺31が、第1接着剤β、第2接着剤αによって第1表面材5の見付面部50に接着した状態で、第1見付辺31を底辺として第1表面材5の見付面部50上に立てた状態となる。
【0029】
図4に示すように、第1見付辺41に接着剤(第1接着剤β、第2接着剤α)が塗布された状態で、中間縦フレーム4を反転させて、第1接着剤β、第2接着剤αが塗布された第1見付辺41を、床面に載置した第1表面材5の見付面部50に当接させて載置する。中間縦フレーム4は、第1見付辺41が、第1接着剤β、第2接着剤αによって第1表面材5の見付面部50に接着した状態で、第1見付辺41を底辺として第1表面材5の見付面部50上に立てた状態となる。
【0030】
図3図5では、上フレーム1、下フレーム2は省略したが、本実施形態に係る扉体の組立の第1工程において、上フレーム1、下フレーム2、左右の縦フレーム3は、四周状に組まれた状態で、第1見付辺11、21、31が第1表面材5の見付面部50に接着剤(第1接着剤β、第2接着剤α)で接着されており、接着剤が硬化することで、上フレーム1、下フレーム2、左右の縦フレーム3とから四枠状に組まれた扉体フレームが固定される。中間縦フレーム4の第1見付辺41を第1表面材5の見付面部50の内面に接着するタイミングは、力骨(上フレーム1、下フレーム2、左右の縦フレーム3)の接着と略同じタイミングでもよく、あるいは、四枠状に組まれた力骨(上フレーム1、下フレーム2、左右の縦フレーム3)の接着剤が硬化する前でも後でもよい。
【0031】
上フレーム1、下フレーム2、縦フレーム3、中間縦フレーム4は、いずれも断面視コ字形状であり、断面視において、見込辺10、20、30、40の幅寸法(水平姿勢における高さ寸法、ここで、水平姿勢とは、具体的には、水平姿勢にある第1表面材5の見付面部50上に載置した姿勢)は、第1見付辺11、21、31、41及び第1見付辺12、22、32、42の幅寸法(水平寸法)よりも大きく、第2見付辺11、21、31、41を底辺として立てた状態で不安定(倒れやすい)であるが、主接着剤である第1接着剤βに加えて、接着補助手段として第2接着剤αを用いて接着することで、第1接着剤βが所定の接着強度を発揮するまで、第2接着剤αが接着補助手段として機能することで、骨材を手でもって支えるようなことを行わなくても、第1表面材5の見付面部50に載置された骨材(上フレーム1、下フレーム2、縦フレーム3、中間縦フレーム4)の倒れが防止される。
【0032】
[B-3]第1工程で用いる接着剤
第1工程の初期(例えば、接着後略2時間以内)において、第2接着剤αの接着強度は、第1接着剤βの接着強度よりも大きい。第1接着剤βは、経時的に接着強度が増大する接着剤であり、時間の経過と共に、第1接着剤βの接着強度が、第2接着剤αの接着強度よりも大きくなる。図6に示す例では、第2接着剤αは、塗布時に瞬時に硬化して、その後は接着強度が殆ど変化しないのに対して、第1接着剤βは、塗布後所定時間後(略2時間)に硬化が開始し、時間の経過に伴って接着強度が増大する。
【0033】
本実施形態において、第2接着剤αはホットメルト接着剤であり、接着強度は経時的に略一定である。ホットメルトからなる第2接着剤αは、塗布装置で高温(例えば、180℃)で溶融した状態で塗布されると、常温(例えば、15℃~30℃)となって瞬時に硬化する。本実施形態において、第1接着剤βは2液反応型接着剤(2液ウレタン樹脂系接着剤)であり、硬化するまでに所定の時間を要する。図6に示すように、第2接着剤αの接着強度は、第1接着剤βの最終的な接着強度に比べて相対的に小さいが、第2接着剤α単独で、あるいは、第1接着剤βの初期の接着強度と組み合わさることで、第1見付辺を底辺として立てた骨材の倒れを防止することができる程度の接着強度を有している。第2接着剤αの接着強度は経時的に略一定であるため、第1見付辺を底辺として骨材を第1表面材5の見付面部50上に立てた直ぐ後であれば(第1接着剤βの接着強度が発揮されない前)、当該骨材の位置を調整することも可能である。第1接着剤βは、2液ウレタン樹脂系接着剤に限定されず、例えば、2液形アクリル樹脂系でもよい。第2接着剤αは、ホットメルト接着剤に限定されず、一液常温速硬化形接着剤や瞬間接着剤でもよい。
【0034】
[B-4]第2工程の詳細
第2工程において、床面に載置した第1表面材5上で組み立てられた扉体フレームに対して、第2表面材6を被せるように接着して取り付ける。第1工程において第1表面材5上に載置した上フレーム1の第2見付辺12、下フレーム2の第2見付辺22、左右の縦フレーム3の第2見付辺32、中間縦フレーム4の第2見付辺42に、接着剤を塗布する。1つの態様では、第2工程で用いられる接着剤は第1接着剤βである。図5右図では、便宜上、縦フレーム3の第2見付辺32、中間縦フレーム4の第2見付辺42上に延ばした状態の第1接着剤βが示してあるが、第1接着剤βをチューブから塗布した場合には、図3に示すような態様となる。
【0035】
第2表面材6の見付面部60を、上フレーム1の第2見付辺12、下フレーム2の第2見付辺22、左右の縦フレーム3の第2見付辺32、中間縦フレーム4の第2見付辺42上に載せることで、第2表面材6の見付面部60の内面が、上フレーム1の第2見付辺12、下フレーム2の第2見付辺22、左右の縦フレーム3の第2見付辺32、中間縦フレーム4の第2見付辺42上に第1接着剤βで接着される。
【0036】
扉体が組み立てられた状態において、第1表面材5の上辺52と第2表面材6の上辺62は、上フレーム1の上面10に当接した状態で、先端が近接している。図2に示す態様では、第1表面材5の上辺52、第2表面材6の上辺62を上フレーム1の上面10に当接させた状態で、螺子54で固定することで、防火性能を向上させている。
【0037】
第1表面材5の下辺53と第2表面材6の下辺63は、下フレーム2の第1見付辺21の下端、第2見付辺22の下端に当接ないし近接した状態で、先端が離間対向している。第1表面材5の見込辺51と第2表面材6の見込辺61は、第1表面材5の見込辺51が縦フレーム3の見込辺30(水平姿勢の第1表面材5上に縦フレーム3が載置した状態)の下半部に当接し、第2表面材6の見込辺61が縦フレーム3の見込辺30水平姿勢の第1表面材5上に縦フレーム3が載置した状態)の上半部に当接した状態で、先端が近接している。
【0038】
図7に、本実施形態に係る組立方法の第1工程において、第2接着剤αが塗布される領域Aを示している。領域Aは、骨材の長さ方向両端部位には設定されておらず、骨材の長さ方向両端部位には、第2接着剤αよりも接着強度が大きい第1接着剤βが塗布されており、骨材の長さ方向両端部位と表面材5、6は、接着強度が大きい第1接着剤βによって固定することで、扉体の端部に作用する衝撃によって接着が剥離することを防止している。
【符号の説明】
【0039】
1 上フレーム(骨材、扉体フレーム)
11 第1見付辺
12 第2見付辺
2 下フレーム(骨材、扉体フレーム)
21 第1見付辺
22 第2見付辺
3 縦フレーム(骨材、扉体フレーム)
31 第1見付辺
32 第2見付辺
4 中間縦フレーム(骨材、扉体フレーム)
41 第1見付辺
42 第2見付辺
5 第1表面材
6 第2表面材
α 第2接着剤(接着補助手段)
β 第1接着剤
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7