(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104686
(43)【公開日】2024-08-05
(54)【発明の名称】ホースホルダおよび3Dプリンタ
(51)【国際特許分類】
B28B 1/30 20060101AFI20240729BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20240729BHJP
B33Y 80/00 20150101ALI20240729BHJP
B33Y 70/00 20200101ALI20240729BHJP
【FI】
B28B1/30
B33Y30/00
B33Y80/00
B33Y70/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023009033
(22)【出願日】2023-01-24
(71)【出願人】
【識別番号】520332793
【氏名又は名称】株式会社Polyuse
(74)【代理人】
【識別番号】100122323
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 憲
(72)【発明者】
【氏名】松下 将士
【テーマコード(参考)】
4G052
【Fターム(参考)】
4G052DA01
4G052DA08
4G052DB12
4G052DB16
4G052DC06
(57)【要約】
【課題】フレキシブルホースの造形物への干渉を防止でき、印刷作業時の作業者の負担を軽減できるホースホルダおよび建築用3Dプリンタを提供する。
【解決手段】本発明におけるホースホルダ1は、フ上枠21と上枠21を下方から支持する複数の支柱23とを含むフレーム20と、フレーム20の上枠21と支柱23とで囲まれた空間R内を移動可能なノズル30と、空間R外から空間R内へ延びてノズル30に接続されてノズル30から吐出される吐出物をノズル30へ導くフレキシブルホースHとを有する3Dプリンタ10におけるフレキシブルホースHを支持するホースホルダ1であって、上枠21に走行可能に取り付けられた走行部2と、走行部2に取り付けられてフレキシブルホースHの長手方向への移動を許容しつつフレキシブルホースHを支持する支持部3とを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上枠と前記上枠を下方から支持する複数の支柱とを含むフレームと、前記フレームの前記上枠と前記支柱とで囲まれた空間内を移動可能なノズルと、前記空間外から前記空間内へ延びて前記ノズルに接続されて前記ノズルから吐出される吐出物を前記ノズルへ導くフレキシブルホースとを有する3Dプリンタにおける前記フレキシブルホースを支持するホースホルダであって、
前記上枠に走行可能に取り付けられた走行部と、
前記走行部に取り付けられて前記フレキシブルホースの長手方向への移動を許容しつつ前記フレキシブルホースを支持する支持部とを備えた
ことを特徴とするホースホルダ。
【請求項2】
前記支持部は、
前記走行部に対して水平方向回転可能であって、平面視でノズル側端が常に前記空間内に配置されるように回転が規制される
ことを特徴とする請求項1に記載のホースホルダ。
【請求項3】
前記支持部は、
前記フレキシブルホースの長手方向に回転可能であって前記フレキシブルホースの下方を支持する複数の支持ローラを備えた
ことを特徴とする請求項1に記載のホースホルダ。
【請求項4】
上枠と、前記上枠を下方から支持する複数の支柱とを含むフレームと、
前記フレームの前記上枠と前記支柱とで囲まれた空間内を上下、左右および前後の各方向へ移動可能なノズルと、
前記フレームに対して前記ノズルを上下、前後および左右に駆動する駆動装置と、
前記空間外から前記空間内へ延びて前記ノズルに接続されるフレキシブルホースと、
前記ノズルから吐出される吐出物を前記フレキシブルホースを通じて前記ノズルへ供給するポンプと、
請求項1から3のいずれか一項に記載のホースホルダとを備えた
ことを特徴とする3Dプリンタ。
【請求項5】
前記フレキシブルホースをフレーム内からフレーム外に引き出す方向へ張力を与える附勢手段を備えた
ことを特徴とする請求項4に記載の3Dプリンタ。
【請求項6】
前記上枠は、矩形であって、前記上枠と前記支柱の一辺が1m以上であって10m以下である
ことを特徴とする請求項4に記載の3Dプリンタ。
【請求項7】
前記吐出物は、セメント系混合流体である
ことを特徴とする請求項4に記載の3Dプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホースホルダおよび3Dプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
3Dプリンタは、複雑な形状の造形物を容易に制作することができるため、様々な用途で利用されている。3Dプリンタは、上下一対の矩形の枠と、上下の枠の角部同士を接続する4本の支柱とで構成されたフレームと、フレーム内に配置されるノズルと、前記フレームに設置されて前記ノズルを前記フレーム内で上下左右前後に駆動する駆動装置とを備えており、ノズルから造形物を得るための材料を吐出して造形物を制作するものがある。
【0003】
このような形態の3Dプリンタとしては、たとえば、ノズルからモルタルを吐出して建築用途で使用されるモルタル製の造形物を制作する3Dプリンタがあり、このような3Dプリンタでは、モルタルを混錬して吐出するポンプミキサと、ノズルとポンプミキサとを接続してポンプミキサから吐出されたモルタルをノズルへ導く可撓性を備えたフレキシブルホースとを備えている。
【0004】
フレキシブルホースは、ポンプミキサから延びてフレームにおける上側の枠を通ってフレーム内に垂下げられており、3Dプリンタによる印刷中の駆動装置によるノズルの移動に応じて適切に姿勢を変化させることが求められる(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、従来の3Dプリンタでは、ノズルがフレキシブルホースをフレーム内に引き込むように駆動される場合にはフレキシブルホースをフレーム内に引き込むことができるが、反対に、ノズルがフレキシブルホースをフレーム外へ押しやる方向へ移動してもフレキシブルホース内に重量物であるモルタルが充満しているためにフレキシブルホースがフレーム外へ押し出されずにフレーム内で撓んでノズルに干渉したり造形物に干渉したりする場合があるため、印刷中は絶えず作業者がフレキシブルホースを捌いてフレキシブルホースのフレーム内に侵入している長さを調節する必要があり、印刷作業時の作業者の負担が大きく、フレキシブルホースのノズル等への干渉によって印刷の一時中断が生じるとコールドジョイントが発生して造形物の強度や水密性が低下する恐れもある。
【0007】
また、小型な造形物を製造するのであれば、予め工場内で造形物を製造した後に、建設現場に造形物を搬送するのが通常であるが、造形物が大型で搬送に適さないような場合には、3Dプリンタを建設現場で組み立てて使用することが考えられる。工場内であれば、3Dプリンタが工場内に不動に設置されるため、フレキシブルホースをフレームから上方に離間した位置で繰り出しと引き戻しを行う大掛かりな装置を容易に設けることができ、フレキシブルホースのノズルや造形物への干渉を防止できるものの、建設現場で使用される3Dプリンタでは、組み立てに長時間を要すると工期に影響するため、短時間での組み立てが要求されるので工場内で使用されるような大掛かりな装置の設置は困難である。
【0008】
さらに、建築業界では施工件数が増える一方で現場作業者が減少しており、なるべく少ない人数の現場作業者で3Dプリンタの操作を行わなくてはならないところ、従来の3Dプリンタではフレキシブルホースを捌く作業者を必ず1人必要となるという問題がある。
【0009】
なお、このような問題は、建築用の3Dプリンタに限られず、造形物を製造するために使用する材料が重量物であって、作業現場で組み立てられて使用される3Dプリンタに共通する問題である。
【0010】
そこで、本発明は、フレキシブルホースの造形物への干渉を防止でき、印刷作業時の作業者の負担の軽減と作業に要する作業者数を低減できるホースホルダおよび3Dプリンタの提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記した課題を解決するために、本発明のホースホルダは、上枠と上枠を下方から支持する複数の支柱とを含むフレームと、フレームの上枠と支柱とで囲まれた空間内を移動可能なノズルと、ノズルから吐出される吐出物をノズルへ導くフレキシブルホースとを有する3Dプリンタにおけるフレキシブルホースを支持するホースホルダであって、上枠に走行可能に取り付けられた走行部と、走行部に取り付けられてフレキシブルホースの長手方向への移動を許容しつつフレキシブルホースを支持する支持部とを備えている。
【0012】
また、本発明の3Dプリンタは、上枠と、上枠を下方から支持する複数の支柱とを含むフレームと、フレームの上枠と支柱とで囲まれた空間内を上下、左右および前後の各方向へ移動可能なノズルと、フレームに対してノズルを上下、前後および左右に駆動する駆動装置と、空間外から空間内へ延びてノズルに接続されるフレキシブルホースと、ノズルから吐出される吐出物をフレキシブルホースを通じてノズルへ供給するポンプと、ホースホルダとを備え、ホースホルダは、上枠と上枠を下方から支持する複数の支柱とを含むフレームと、フレームの上枠と支柱とで囲まれた空間内を移動可能なノズルと、ノズルから吐出される吐出物をノズルへ導くフレキシブルホースとを有する3Dプリンタにおけるフレキシブルホースを支持するホースホルダであって、上枠に走行可能に取り付けられた走行部と、走行部に取り付けられてフレキシブルホースの長手方向への移動を許容しつつフレキシブルホースを支持する支持部とを備えている。
【0013】
このように構成されたホースホルダによれば、フレキシブルホースを支持する支持部が走行部によって上枠に沿って移動できるので、ノズルの位置に応じてフレキシブルホースも上枠に沿って移動して、フレームに対するフレキシブルホースの支持位置を自動的に変更できる。3Dプリンタが造形物を印刷している最中では、ノズルが絶えずフレームの空間内で上下左右および前後へ移動し、ノズルに接続されたフレキシブルホースもノズルの移動によってフレームで囲まれた空間内でノズルによって引き回されるが、ノズルの位置に応じてフレキシブルホースの支持位置を自動的に変更できるので、ノズルの移動にフレキシブルホースが無理なく追従して、ノズルがフレキシブルホースを空間R内へ引き込む長さが少なくなってフレキシブルホースの空間内での撓みを抑制できるとともに、フレキシブルホースが印刷中の造形物と干渉するのを防止できる。また、ホースホルダの支持部がフレキシブルホースの長手方向への移動を許容しつつフレキシブルホースを長手方向に沿って支持するので、ノズルの移動によるフレキシブルホースの空間内への引き込みと空間外への押し出しも可能となる。以上より、ホースホルダおよびホースホルダを備えた3Dプリンタによれば、フレキシブルホースの造形物への干渉を防止でき、印刷作業時の作業者の負担の軽減と作業に要する作業者数を低減できる。
【0014】
また、ホースホルダは、支持部が走行部に対して水平方向回転可能であって、平面視でノズル側端が常に空間内に配置されるように回転が規制されてもよい。このように構成されたホースホルダによれば、3Dプリンタが造形物を印刷している最中では、ノズルが絶えず空間内で上下左右および前後へ移動し、ノズルに接続されたフレキシブルホースもノズルの移動によって空間内でノズルによって引き回されるが、ホースホルダのフレキシブルホースを支持する支持部が水平方向へ回転できるのでノズルに移動に応じて支持部の支持位置を支点として空間内で水平方向へ首振り動作が可能となって、ノズルの移動に無理なく追従できる。そして、ホースホルダの支持部の空間内を向くノズル側端は平面視で常に空間内に配置されるように回転が規制されているため、フレキシブルホースのホースホルダによる支持部位より空間内に配置される部分が空間外へ撓んでしまうことが無くなる。ホースホルダの支持部がフレキシブルホースの長手方向への移動を許容しつつフレキシブルホースを長手方向に沿って支持するので、ノズルの移動によるフレキシブルホースの空間R内への引き込みと空間外への押し出しも可能となる。以上より、このように構成されたホースホルダによれば、支持部のノズル側端がノズルの方向を指向して、フレキシブルホースが空間外へ撓むことを防止しつつ、ノズルの移動によるフレキシブルホースの空間内外への長手方向の移動を助けることができる。
【0015】
さらに、ホースホルダにおける支持部は、フレキシブルホースの長手方向に回転可能であってフレキシブルホースの下方を支持する複数の支持ローラを備えてもよい。このように構成されたホースホルダによれば、複数の支持ローラでフレキシブルホースを支持することによって、フレキシブルホースの折れ曲がりを防止して緩やかに湾曲する状態で支持でき、フレキシブルホース内を通過する吐出物の滞留を防止しつつも、フレキシブルホースの長手方向への移動を円滑にしてフレキシブルホースの空間内への引き込みと空間外への押し出しをより一層容易にできる。
【0016】
また、3Dプリンタは、フレキシブルホースをフレーム内からフレーム外に引き出す方向へ張力を与える附勢手段を備えていてもよい。このように構成された3Dプリンタによれば、フレキシブルホースの押し出しが可能となるので、作業者のフレキシブルホースHの操作負担をより一層軽減できる。
【0017】
さらに、3Dプリンタにおける上枠が矩形であって、上枠と支柱の一辺が1m以上であって10m以下である場合には、フレキシブルホースの印刷部との干渉を防止できるとともに3Dプリンタの可搬性と組立性も良好となる。
【0018】
また、3Dプリンタにおける吐出物がセメント系混合流体であると、セメント系混合流体の単位体積当たりの重量が重くなるので、ホースホルダを利用することによってフレキシブルホースの印刷物への干渉と空間内外への引き込みと押し出しが容易となるので、3Dプリンタの建築用途への利便性が向上する。
【発明の効果】
【0019】
以上より、本発明のホースホルダおよび建築用3Dプリンタによれば、フレキシブルホースの造形物への干渉を防止でき、印刷作業時の作業者の負担を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】一実施の形態における3Dプリンタの斜視図である。
【
図2】一実施の形態におけるホースホルダを正面側から見た斜視図である。
【
図3】一実施の形態におけるホースホルダを背面側から見た斜視図である。
【
図4】一実施の形態におけるホースホルダの平面図である。
【
図5】一実施の形態の第1変形例における3Dプリンタの側面図である。
【
図6】一時一子の形態の一変形例におけるホースホルダの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図に示した実施の形態に基づき、本発明を説明する。ホースホルダ1は、
図1に示すように、3Dプリンタ10の上枠21に走行可能に取り付けられた走行部2と、走行部2に取り付けられてフレキシブルホースHの長手方向への移動を許容しつつフレキシブルホースHを支持する支持部3とを備えて、3Dプリンタ10の上枠21に吊り下げられてフレキシブルホースHの途中を支持しており、3Dプリンタ10の一部品として用いられている。
【0022】
3Dプリンタ10は、
図1に示すように、上枠21と上枠21を下方から支持する複数の支柱23とを含むフレーム20と、フレーム20の上枠21と支柱23とで囲まれた空間内を移動可能なノズル30と、ノズル30をフレーム20における上枠21と支柱23とで囲まれる空間R内で駆動する駆動装置50と、空間R外から空間R内へ延びてノズル30に接続されるフレキシブルホースHと、ノズル30から吐出される吐出物をフレキシブルホースHを通じてノズル30へ供給するポンプ40と、フレキシブルホースHを支持するホースホルダ1と、ポンプ40と駆動装置50とを制御するコントローラ60とを備えている。
【0023】
以下、3Dプリンタ10の各部について詳細に説明する。フレーム20は、
図1に示すように、上下方向で対向する矩形の上枠21と下枠22と、上枠21と下枠22の頂点同士に架け渡される4つの支柱23とを備えている。上枠21および下枠22は、ともに、4つの角フレーム材fを矩形に組んで形成されている。本実施の形態では、上枠21を構成する各角フレーム材fの上端には、長手方向に沿って延びる溝fgが設けられている。支柱23は、それぞれ、角フレーム材で形成されており、上枠21と下枠22との4つの頂点同士を接続して、上枠21を支持している。このようにフレーム20は、本実施の形態では、格子状に組まれており、後述するノズル30、ホースホルダ1、フレキシブルホースHおよび駆動装置50を支持できるだけの強度を備えている。なお、フレーム20は、前述のように構成されているが、上枠21および複数の支柱23を含んで構成されて地面上に立設できる構造であればよく、下枠22については不要であれば省略してもよい。また、上枠21は、矩形のみに限られず、多角形或いは円形、楕円形といった他の形状とされてもよい。
【0024】
また、上枠21および下枠22を構成するフレーム材は、角フレーム材f以外のフレーム材やパイプによって形成されてもよく、支柱23についても角フレーム材以外のフレーム材やパイプによって形成されてもよい。
【0025】
ノズル30は、フレーム20で囲まれる空間R内に設けられており、フレキシブルホースHに接続されていて、空間R内にて上下、左右および前後へ移動できる。ポンプ40は、ホッパ40aと、ホッパ40a内に投入されるセメント系混合流体を吐出口40cから吐出するポンプ本体40bとを備えており、吐出口40cとノズル30とを接続するフレキシブルホースHを通じて吐出物をノズル30に供給する。なお、本実施の形態の3プリンタ10は、建築用途で使用される建築用3Dプリンタとされており、そのため、ノズル30から吐出する吐出部をセメント系混合流体として建築に利用される造形物を製造する。3Dプリンタ10の用途は、建築用に限られず、ノズル30から吐出される吐出物は、3Dプリンタ10の用途に応じて適切な造形物を製造可能な流体とされればよい。
【0026】
ノズル30は、駆動装置50によって空間R内を移動しつつ、移動軌跡に沿ってポンプ40からフレキシブルホースHを通じて供給されるセメント系混合流体を連続的或いは間欠的に吐出する。なお、ノズル30は、ポンプ40の駆動によってセメント系混合流体を吐出口から吐出し、ポンプ40が停止するとセメント系混合流体の吐出を停止する。このように、ポンプ40のオンオフによって、ノズル30からのセメント系混合流体の吐出と停止とを切り換えできる。なお、ノズル30は、吐出口に弁を備えてポンプ40のオンオフ以外にセメント系混合流体の吐出の可否を切り替えてもよい。なお、ポンプ40は、セメント系混合流体の混合と吐出が可能なポンプミキサとされてもよい。
【0027】
ポンプ40に投入されるセメント系混合流体は、図示しないアジテータによって製造される。アジテータによって製造されるセメント混合流体は、モルタルやセメントペーストやコンクリートといった種々のセメント系混合流体とされればよく、自立するとともに、速硬性を有するのが好ましい。セメント混合流体が高いチキソトロピー性を備えていると、3Dプリンタ10による良好な混合流体の吐出と、吐出後の混合流体の自立性を満足できる。よって、セメント系混合流体は、高チキソトロピー性を備えているとよい。
【0028】
セメント系混合流体にて速硬性を得るには、早強材、セメント硬化促進剤の添加、急結剤を使用すればよく、アジテータで製造されてから3Dプリンタ10からセメント系混合流体を吐出するまでの間、セメント系混合流体が所定の流動性を維持できるようにクエン酸、酒石酸、グルコン酸およびリンゴ酸等のオキシカルボン酸またはそれらの塩等といった凝結遅延剤をセメントを含む粉体に混合するとよい。なお、速硬性を有するセメント系混合流体としては、具体的には、特開2005-187257号公報等に開示されているものがある。
【0029】
また、アジテータでセメント系混合流体を製造する際に、ポリプロピレン繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリエステル繊維やアラミド繊維等の合成樹脂繊維を針状に形成した短長繊維や、鋼繊維、ガラス繊維、シリカ繊維、セラミック繊維、炭素繊維等の無機繊維を補強材としてセメントに混合すればよい。
【0030】
フレキシブルホースHは、可撓性を備えており、ポンプ40の吐出口とノズル30とを接続して、ポンプ40から吐出されるセメント系混合流体をノズル30へと供給する。フレキシブルホースHは、途中がフレーム20の上枠21に取り付けられたホースホルダ1によって支持されており、山なりに吊り持たれた状態で先端がノズル30に、基端がポンプ40にそれぞれ接続されている。
【0031】
ホースホルダ1は、
図2および
図3に示すように、フレキシブルホースHを支持する支持部3と、支持部3を保持してフレーム20の上枠21に走行可能に取り付けられた走行部2とを備えている。
【0032】
走行部2は、上枠21の4つの角フレーム材fのうちの1つに取り付けられており、角フレーム材fの横方向の側面に対向するプレート2aと、プレート2aに回転自在に保持されており角フレーム材fの上端の溝fg内に挿入される一対の上側ローラ2b,2bと、プレート2aに回転自在に保持されて角フレーム材fの下面に当接する下側ローラ2cとを備えている。
【0033】
プレート2aは、本実施の形態では、左右方向へ延びる上辺2a1と、上辺2a1の中央から垂下される垂直片2a2と、垂直片2a2の下端から水平方向へ延びて支持部3が水平方向へ回転可能に取り付けられる取付片2a3とを備えてT字状となっている。
【0034】
プレート2aの上辺2a1の左右にそれぞれ上側ローラ2b,2bが回転可能に取り付けられている。上側ローラ2bは、それぞれ、周囲に溝fg内に挿入される突条2b1を備えている。よって、上側ローラ2bは、突条2b1を溝fg内に挿入させるとともに突条2b1の以外の周囲を角フレーム材fの上面に当接させて、上枠21の角フレーム材f上を角フレーム材fから脱落することなく走行できる。また、プレート2aが横方向に並べて配置される上側ローラ2b,2bによって、走行部2は、角フレーム材fの長手方向に対して傾かずに上枠21上をスムーズに走行できる。なお、上側ローラ2bにおける突条2b1の利用によって上枠21からの走行部2の脱落を防止しているが、他に脱落防止手段を備えることにより突条2b1を省略してもよい。
【0035】
さらに、プレート2aの垂直片2a2の下方には、上側ローラ2b,2bよりも下方に配置されて上側ローラ2b,2bと上下方向で対向する下側ローラ2cが回転可能に装着されている。下側ローラ2cは、プレート2aに対して上下方向に沿って設置位置を変更可能に取り付けられている。具体的には、下側ローラ2cは、
図2および
図3に示すように、ローラ保持金具2eを介してプレート2aに装着されている。ローラ保持金具2eは、下側ローラ2cが回転可能に装着される本体2e1と、本体2e1に設けられてプレート2aの垂直片2a2に設けられた上下方向に沿う長孔2a21に挿通される螺子軸2e2とを備えている。そして、ローラ保持金具2eの螺子軸2e2を長孔2a21内に挿通した後、垂直片2a2の本体2e1とは反対側の面に当接するとともに螺子軸2e2が貫通する矩形のワッシャ2gを螺子軸2e2に組み付ける。その後、螺子軸2e2に蝶ナット2fを螺合して締め付けていくと、プレート2aにおける垂直片2a2とワッシャ2gとがローラ保持金具2eの本体2e1と蝶ナット2fとで挟み込まれてローラ保持金具2eがプレート2aの垂直片2a2に固定される。なお、ローラ保持金具2eにおける本体2e1には、螺子軸2e2の根元に設けられて長孔2a21内に嵌合して回り止めとして機能する嵌合部2e11が設けられている。ローラ保持金具2eが嵌合部2e11を備えることで、蝶ナット2fを回転操作しても本体2e1が回転することなく、蝶ナット2fの螺子軸2e2への捩じ込みが容易になる。
【0036】
そして、蝶ナット2fを弛めると、螺子軸2e2が長孔2a21内で上下方向へ移動できるので、長孔2a21内で螺子軸2e2が移動を許容される範囲で垂直片2a2に対してローラ保持金具2eを上下方向の任意の位置に固定できる。このように、下側ローラ2cのプレート2aに対する設置位置を上下方向へ変更できる。なお、下側ローラ2cのプレート2aに対する取付構造は、設計変更可能であり、前述した構造に限定されるものではない。ワッシャ2gの垂直片2a2への接触面積は、蝶ナット2fのワッシャ2gへの接触面積よりも広くなっており、蝶ナット2fの座りが良くなりローラ保持金具2eをプレート2aに対して安定的に固定できるが、蝶ナット2fのみでローラ保持金具2eをプレート2aに固定できればワッシャ2gを廃止してもよい。
【0037】
このように構成されたホースホルダ1における走行部2を上枠21に角フレーム材fに装着するには、まず、上側ローラ2b,2bを角フレーム材fの上端に載置する際に、下側ローラ2cが角フレーム材fに干渉しないように、プレート2aの垂直片2a2に対する下側ローラ2cの取付位置を最下方にして、上側ローラ2b,2bと下側ローラ2cとの間の上下方向における間隔を十分に確保しておく。つづいて、上側ローラ2b,2bの突条2b1を角フレーム材fの上端側の溝fg内に挿入しつつ突条2b1以外の周面を角フレーム材fの上端面に当接させ、角フレーム材fの側面にプレート2aを平行に対面させる。その後、プレート2aに対する下側ローラ2cの取付位置を上方へずらして、下側ローラ2cが角フレーム材fの下端面に当接するようにして、角フレーム材fを上側ローラ2b,2bと下側ローラ2cとで挟み込む。すると、上側ローラ2b,2bの突条2b1が角フレーム材fの溝fg内に挿入されているので、ホースホルダ1における走行部2は、上枠21の1つの角フレーム材fに装着されると当該角フレーム材fがガイドとして機能して角フレーム材fから脱落することなく角フレーム材fの長手方向に沿って移動できる。また、上側ローラ2b,2bと下側ローラ2cとで角フレーム材fを挟持しており、走行部2が角フレーム材fに対して移動する際に上側ローラ2b,2bと下側ローラ2cが転動するので、走行部2は角フレーム材f上を円滑に走行できる。
【0038】
プレート2aの下端の取付片2a3は、垂直片2a2の下端から水平に延びる矩形板とされており、支持部3が水平方向へ回転可能に装着される図外の取付孔と、取付孔の中心を曲率中心とした円弧状孔2a31を備えている。本実施の形態では、円弧状孔2a31の両端と曲率中心とを直線で結んでできる扇形における中心角は120度とされている。
【0039】
支持部3は、走行部2における取付片2a3に対して水平方向へ回転可能に取り付けられる支持プレート31と、支持プレート31に取り付けられてフレキシブルホースHの途中の下方を支持する3つの支持ローラ32cを備えたホース支持部材32と、支持プレート31に取り付けられてフレキシブルホースHの途中の上方を抑える2つの抑えローラ33bを備えたホース抑え部材33とを備えている。
【0040】
支持プレート31は、垂直プレート34と、垂直プレート34の上端の中央から水平方向へ延びて取付片2a3に正対する水平プレート35とを備えている。垂直プレート34は、中央に設けられた矩形の孔34aと、孔34aの左右に上下方向に沿って設けられた一対の長孔34b,34bとを備えている。なお、孔34aは、ホースホルダ1の軽量化のために設けられているが設けずともよい。
【0041】
水平プレート35は、上端から垂直に立ち上がるとともにプレート2aの取付片2a3に設けられた円弧状孔2a31内に挿入れるピン35aを備えている。そして、水平プレート35は、走行部2における取付片2a3の図外の取付孔に挿通されるロータリジョイント37を介して取付片2a3に取り付けられており、走行部2に対して水平方向への回転が許容されるが、ピン35aが円弧状孔2a31内に挿入されているために走行部2に対して回転できるのは約120度の範囲に制限されている。フレーム20を上方から見る平面視において、走行部2が取り付けられた上枠21の角フレーム材fに対して支持部3における垂直プレート34が直交する位置にあると、ピン35aが円弧状孔2a31の中央に配置されるように水平プレート35に取り付けられている。
【0042】
よって、
図4に示すように、支持部3は、走行部2が取り付けられた角フレーム材fに対して垂直プレート34が直交する位置から
図4中で時計回りと反時計回りにそれぞれ約60度ずつ回転できる。よって、フレーム20を上方から見た平面視で支持部3の垂直プレート34のフレーム20の内方を向く先端は、走行部2に対して回転しても常に空間R内に配置される。なお、
図4では、図が複雑になることを避けるため、各部を簡略化して表示している。
【0043】
つづいて、ホース支持部材32は、互いに平行に対向する一対の上側に凸となる円弧状プレート32b,32bでなるローラホルダ32aと、円弧状プレート32b,32b間に配置されてローラホルダ32aに回転可能に取り付けられる3つの支持ローラ32cとを備えて、支持プレート31における垂直プレート34の正面側に取り付けられている。
【0044】
支持ローラ32cは、外周に凹部32c1を備えて、それぞれ、円弧状プレート32bの中央と左右端との3箇所にローラホルダ32aの長手方向に沿って回転できるように取り付けられている。また、支持部3の長手方向で中央の支持ローラ32cは、他の支持ローラ32cよりも上方に配置されている。このようにして構成されたホース支持部材32は、支持プレート31における垂直プレート34と平行するようにして垂直プレート34の下方に取り付けられている。ホース支持部材32における支持ローラ32cは、それぞれ外周に凹部32c1を備えており、円弧状プレート32bの中央および両端に取り付けられているので、フレキシブルホースHの途中を下方から支持するとフレキシブルホースHが凹部32c1内に挿入されるとともにフレキシブルホースHを円弧状プレート32bに取り付けられた3つの支持ローラ32cにより弓なりの状態で下方から支持できる。よって、ホース支持部材32によって支持されたフレキシブルホースHは、1つの支持ローラ32cのみで支持した場合に比較して緩やかな曲線を描くようにして支持されるため、フレキシブルホースH内を流動するセメント系混合流体は、ホース支持部材32の支持部位にて滞留することなく円滑に移動できる。なお、支持ローラ32cの設置数は、フレキシブルホースH内のセメント系混合流体の流動を妨げない限りにおいて任意に設定できる。なお、3つの支持ローラ32cは、フレキシブルホースHを緩やかに湾曲する状態で支持できるように配置されていればよいので、円弧状プレート32b以外の形状のプレートやその他の保持部材に取り付けられてもよい。なお、支持ローラ32cは、3つ以上設けられるとフレキシブルホースHの折れ曲がりを防止して緩やかに湾曲する状態で支持できるように適切に配置できるので好ましいが、2つでもフレキシブルホースHの折れ曲がりを防止できるので2つでもよい。フレキシブルホースHの柔軟性、フレキシブルホースH内を通過する吐出物の流動性等によってフレキシブルホースHの折れ曲がりを生じる曲率が変化するので、各支持ローラ32cの配置は、フレキシブルホースHの柔軟性、フレキシブルホースH内を通過する吐出物の流動性等によって決定すればよい。
【0045】
ホース抑え部材33は、支持プレート31における垂直プレート34の正面側に2つのローラ保持金具33a,33aと、ローラ保持金具33a,33aにそれぞれ回転可能に保持される抑えローラ33b,33bと、支持プレート31における垂直プレート34の背面側に当接する平板状のスライダ33cと、ローラ保持金具33a,33aを垂直プレート34に固定する2つの蝶ナット33dとを備えている。
【0046】
ローラ保持金具33aは、それぞれ、抑えローラ33bが回転可能に装着される本体33a1と、本体33a1に設けられて垂直プレート34に設けられた上下方向に沿う長孔34bに挿通される螺子軸33a2とを備えている。スライダ33cは、矩形の平板であって垂直プレート34の背面に当接されると長孔34b,34bに対向するとともに螺子軸33a2の挿通を許容する図外の孔を備えている。そして、ローラ保持金具33aの螺子軸33a2を長孔34b内に挿通し、垂直プレート34の背面にスライダ33cを当接させてスライダ33cの図外の孔内に螺子軸33a2を挿通する。
【0047】
その後、螺子軸33a2に蝶ナット33dを螺合して締め付けていくと、支持プレート31における垂直プレート34とスライダ33cとがローラ保持金具33aの本体33a1と蝶ナット33dとで挟み込まれて2つのローラ保持金具33a,33aが支持プレート31の垂直プレート34に固定される。なお、ローラ保持金具33aにおける本体33a1には、螺子軸33a2の根元に設けられて長孔34b内に嵌合して回り止めとして機能する嵌合部33a11が設けられている。ローラ保持金具33aが嵌合部33a11を備えることで、蝶ナット33dを回転操作しても本体33a1が回転することなく、蝶ナット33dの螺子軸33a2への捩じ込みが容易になる。垂直プレート34に取り付けられた2つの抑えローラ33bは、下方に配置されるホース支持部材32の3つの支持ローラ32cと上下方向から見て一直線上に配置されており、それぞれ支持ローラ32c,32c間に配置される。
【0048】
そして、蝶ナット33dを弛めると、螺子軸33a2が長孔34b内で上下方向へ移動できるので、長孔34b内で螺子軸33a2が移動を許容される範囲で垂直プレート34に対してローラ保持金具33aを上下方向の任意の位置に固定できる。このように、抑えローラ33bの垂直プレート34に対する設置位置を上下方向へ変更できる。なお、ローラ抑え部材33の垂直プレート34に対する取付構造は、設計変更可能であり、前述した構造に限定されるものではない。スライダ33cの垂直プレート34への接触面積は、蝶ナット33dのスライダ33cへの接触面積よりも広くなっており、蝶ナット33dの座りが良くなりローラ保持金具33aを垂直プレート34に対して安定的に固定できるが、蝶ナット33dのみでローラ保持金具33aを垂直プレート34に固定できればスライダ33cを廃止してもよい。
【0049】
このように構成されたホースホルダ1における支持部3にフレキシブルホースHを支持させるには、ホース支持部材32の上方にフレキシブルホースHを配置する際にホース抑え部材33が邪魔にならないように、ホース抑え部材33を支持プレート31の上方側に仮止めして支持ローラ32cと抑えローラ33bとの間の間隔をフレキシブルホースHの直径以上に広げる。
【0050】
そして、フレキシブルホースHを3つの支持ローラ32c上に載置して、フレキシブルホースHを各支持ローラ32cの凹部32c1内に挿入する。その後、ホース抑え部材33の垂直プレート34に対する取付位置を下方にずらして抑えローラ33bがフレキシブルホースHの上端に当接してフレキシブルホースHが支持ローラ32cと抑えローラ33bとの間から横方向へ抜け出ないようにする。このようにフレキシブルホースHが支持部3によって支持されると、支持部3を上方から見て一直線上に配置される3つの支持ローラ32cと2つの抑えローラ33bとによってフレキシブルホースHが挟持される。フレキシブルホースHは、支持部3によって支持された状態で支持ローラ32cと抑えローラ33bとによって挟み込まれているが各ローラ32c,33bが回転するために、支持部3に対して長手方向の移動が許容されつつも、支持部3からの側方への脱落が防止される。フレキシブルホースHは、上方に凸となる円弧状プレート32bによって保持された3つの支持ローラ32cで支持されるので、支持部3によって支持される部分が折れ曲がることなく緩やかな湾曲された状態に維持される。なお、、抑えローラ33bを設けなくても支持ローラ32cのみによってフレキシブルホースHを緩やかに湾曲する状態で支持できるので、抑えローラ33bを廃止することもできる。なお、抑えローラ33bを設けることによって、抑えローラ33bと支持ローラ32cとでフレキシブルホースHを挟持できるので、フレキシブルホースHを安定的に支持できる利点を享受できる。
【0051】
また、支持部3は、走行部2に対して水平方向へ回転可能となっているので、フレキシブルホースHは、支持部3の走行部2に対する回転中心を中心として水平方向へ回転できる。支持部3のホース支持部材32が垂直プレート34に平行に取り付けてあり、支持部3の走行部2に対して回転が許容されるのは、フレーム20を上方から見た平面視で走行部2が取り付けられた上枠21の角フレーム材fに対してホース支持部材32が直交する状態から水平方向の左右にそれぞれ約60度の範囲であるから、支持部3の空間R内を向くノズル側端3aは平面視で常に空間R内に配置されるように回転が規制されている。このように支持部3が水平方向へ回転できるので、フレキシブルホースHは、平面視でノズル30の位置に応じて水平方向へ回転して姿勢を変えつつノズル30の移動に追従できる。また、支持部3の空間R内を向くノズル側端は平面視で常に空間R内に配置されるように回転が規制されているので、フレキシブルホースHのホースホルダ1による支持部位より空間R内に配置される部分が空間R外へ撓んでしまうことが無くなり、支持部3が水平方向へ回転できるので支持部3の空間R内を向くノズル側端3aはノズル30の位置に合わせてノズル30がある方向を指向するため、ノズル30がホースホルダ1に接近する場合にはフレキシブルホースHが支持部3の支持ローラ32cと抑えローラ33bとの間をポンプ40側へ向けて走行して空間R内で余剰となる部分が支持部3を介して空間R外へスムーズに押し出される。
【0052】
つづいて、駆動装置50は、フレーム20の左側の2本の支柱23に架け渡されて支柱23に沿って上下方向へ移動可能な可動レール51と、フレーム20の右側の2本の支柱23に架け渡されて支柱23に沿って上下方向へ移動可能な可動レール52と、可動レール51,52に架け渡されて可動レール51,52に対して左右方向へ水平移動可能なガイドフレーム53と、ガイドフレーム53に取り付けられてガイドフレーム53に沿って前後方向へ移動可能であってノズル30を保持するテーブル54と、可動レール51,52を同期して上下方向へ駆動する駆動部55と、ガイドフレーム53およびテーブル54を駆動する駆動部56とを備えている。
【0053】
駆動部55は、支柱23に設置されたラックと、可動レール51,52側に設置されてラックに歯合する歯付ベルトを駆動するモータとを備えており、モータの駆動によって可動レール51,52をフレーム20に対して同期して上下方向へ駆動する。
【0054】
駆動部56は、一端がテーブル54の左側に他端がテーブル54の右側にそれぞれ接続される第1ベルトと、一端がテーブル54の右側に他端がテーブル54の左側にそれぞれ接続される第2ベルトと、第1ベルトが巻き回される第1プーリを回転駆動する第1ステッピングモータと、第2ベルトが巻き回される第2プーリを回転駆動する第2ステッピングモータとを備えて、各ステッピングモータの回転駆動によってテーブル54を前後左右に駆動する、所謂core-XYと称される駆動源とされている。なお、駆動部55,56は、前述した構造に限られず、リニアアクチュエータ等によって構成されてもよい。
【0055】
このように構成された駆動装置50は、駆動部55によって可動レール51,52を上下方向に駆動でき、駆動部56によってテーブル54をガイドフレーム53上で前後方向へ駆動できるとともにガイドフレーム53を可動レール51,52上で左右方向へ駆動できるので、ノズル30を保持するテーブル54を上下、左右および前後方向へ駆動して空間R内で任意に位置に移動させ得る。
【0056】
コントローラ60は、ポンプ40と駆動装置50における各駆動部55,56を制御する。コントローラ60は、具体的には、図示はしないが、たとえば、CPU(Central Processing Unit)と、メモリと、補助記憶装置と、インターフェースと、これら装置を互いに通信可能に接続するバスとを備えた周知のコンピュータと、コンピュータからインターフェースを介して指令を受け取るとポンプ40と各駆動部55,56とに指令通りにパルス信号と電流供給するドライバを備えて構成されている。
【0057】
前記CPUは、3Dプリンティング処理を実行して、製作する造形物の3次元形状をモデリングしたデータを上下方向の薄い層に分割し、分割された各層の2次元データを得て、各層毎の印刷経路を求めて印刷手順を作成する。そして、コントローラ60は、得られた印刷手順通りに駆動部55,56を駆動してノズル30を移動させつつ、ポンプ40を駆動してノズル30からセメント系混合流体を所定の流量で吐出させる。3Dプリンタ10は、ノズル30からセメント系混合流体を吐出しつつ、型枠を用いることなく分割された層ごとに印刷して、全部の層の印刷を終えると造形物を制作できる。
【0058】
以上、本実施の形態のホースホルダ1は、上枠21と上枠21を下方から支持する複数の支柱23とを含むフレーム20と、フレーム20の上枠21と支柱23とで囲まれた空間R内を移動可能なノズル30と、ノズル30から吐出されるセメント系混合流体(吐出物)をノズル30へ導くフレキシブルホースHとを有する3Dプリンタ10におけるフレキシブルホースHを支持するホースホルダ1であって、上枠21に走行可能に取り付けられた走行部2と、走行部2に取り付けられてフレキシブルホースHの長手方向への移動を許容しつつフレキシブルホースHを支持する支持部3とを備えている。
【0059】
このように構成されたホースホルダ1によれば、フレキシブルホースHを支持する支持部3が走行部2によって上枠21を構成する角フレーム材fの一つに沿って移動できるので、ノズル30の位置に応じてフレキシブルホースHも上枠21に沿って移動して、フレーム20に対するフレキシブルホースHの支持位置を自動的に変更できる。3Dプリンタ10が造形物を印刷している最中では、ノズル30が絶えずフレーム20の空間R内で上下左右および前後へ移動し、ノズル30に接続されたフレキシブルホースHもノズル30の移動によってフレーム20で囲まれた空間R内でノズル30によって引き回されるが、ノズル30の位置に応じてフレキシブルホースHの支持位置を自動的に変更できるので、ノズル30の移動にフレキシブルホースHが無理なく追従して、ノズル30がフレキシブルホースHを空間R内へ引き込む長さが少なくなってフレキシブルホースHの空間R内での撓みを抑制できるとともに、フレキシブルホースHが印刷中の造形物と干渉するのを防止できる。また、ホースホルダ1の支持部3がフレキシブルホースHの長手方向への移動を許容しつつフレキシブルホースHを長手方向に沿って支持するので、ノズル30の移動によるフレキシブルホースHの空間R内への引き込みと空間R外への押し出しも可能となる。
【0060】
このように、ホースホルダ1は、フレキシブルホースHの空間R内での撓みを抑制しつつノズル30の移動に追従してフレキシブル―スHの支持位置を上枠21に沿って自動的に変更するから、フレキシブルホースHの印刷中の造形物への干渉を防止でき、印刷作業中におけるセメント系混合流体(吐出物)が充満したフレキシブルホースHを捌く作業者の負担を軽減できるとともに3Dプリンタ10を操作する作業人数を低減できる。
【0061】
さらに、ホースホルダ1は、走行部2と支持部3とで構成された簡素な構造を備えており、3Dプリンタ10のフレーム20の上枠21に設置して使用できるから、フレーム20の上方にフレキシブルホースHをフレーム20から上方に離間した位置で繰り出しと引き戻しを行う大掛かりな装置を設置する必要もないので、3Dプリンタ10を作業現場にて組み立て使用することができ、組み立てに要する時間も短時間で済むようになる。
【0062】
また、本実施の形態のホースホルダ1は、支持部3が走行部2に対して水平方向回転可能であって、平面視でノズル側端3aが常に空間R内に配置されるように回転が規制されている。
【0063】
3Dプリンタ10が造形物を印刷している最中では、前述したように、ノズル30が絶えず空間R内で上下左右および前後へ移動し、ノズル30に接続されたフレキシブルホースHもノズル30の移動によって空間R内でノズル30によって引き回されるが、ホースホルダ1のフレキシブルホースHを支持する支持部3が水平方向へ回転できるのでノズル30に移動に応じて支持部3の支持位置を支点として空間R内で水平方向へ首振り動作が可能となって、ノズル30の移動に無理なく追従できる。そして、ホースホルダ1の支持部3の空間R内を向くノズル側端3aは平面視で常に空間R内に配置されるように回転が規制されているため、フレキシブルホースHのホースホルダ1による支持部位より空間R内に配置される部分が空間R外へ撓んでしまうことが無くなる。ホースホルダ1の支持部3がフレキシブルホースHの長手方向への移動を許容しつつフレキシブルホースHを長手方向に沿って支持するので、ノズル30の移動によるフレキシブルホースHの空間R内への引き込みと空間R外への押し出しも可能となる。
【0064】
このように、ホースホルダ1は、フレキシブルホースHの長手方向への移動を許容しつつフレキシブルホースHを長手方向に沿って支持するとともに、上枠21に対して水平方向回転可能な支持部3を備え、支持部3のノズル側端3aが平面視で常に空間R内に配置されるように回転が規制されているので、支持部3のノズル側端3aがノズル30の方向を指向して、フレキシブルホースHが空間R外へ撓むことを防止しつつ、ノズル30の移動によるフレキシブルホースHの空間R内外への長手方向の移動を助けることができる。
【0065】
また、上枠21と、上枠21を下方から支持する複数の支柱23とを含むフレーム20と、フレーム20の上枠21と支柱23とで囲まれた空間R内を上下、左右および前後の各方向へ移動可能なノズル20と、フレーム20に対してノズル30を上下、前後および左右に駆動する駆動装置50と、空間R外から空間R内へ延びてノズル30に接続されるフレキシブルホースHと、ノズル30から吐出されるセメント系混合流体(吐出物)をフレキシブルホースHを通じてノズル30へ供給するポンプ40と、ホースホルダ1とを備えた3Dプリンタ10によれば、フレキシブルホースHの印刷中の造形物への干渉を防止でき、印刷作業中におけるセメント系混合流体(吐出物)が充満したフレキシブルホースHを捌く作業者の負担を軽減できるとともに3Dプリンタ10を操作する作業人数を低減できる。さらに、本実施の形態の3Dプリンタ10は、走行部2と支持部3とで構成された簡素な構造のホースホルダ1をフレーム20の上枠21に設置してホースホルダHを支持するので、フレーム20の上方にフレキシブルホースHをフレーム20から上方に離間した位置で繰り出しと引き戻しを行う大掛かりな装置を設置する必要もなく、作業現場にて組み立て使用することができ、組み立てに要する時間も短時間で済むようになる。
【0066】
さらに、本実施の形態におけるホースホルダ1における支持部3は、フレキシブルホースHの長手方向に回転可能であってフレキシブルホースHの下方を支持する複数の支持ローラ32cを備えている。このように構成されたホースホルダ1によれば、複数の支持ローラ32cでフレキシブルホースHを支持することによって、フレキシブルホースHの折れ曲がりを防止して緩やかに湾曲する状態で支持でき、フレキシブルホースH内を通過するセメント系混合流体(吐出物)の滞留を防止しつつも、フレキシブルホースHの長手方向への移動を円滑にしてフレキシブルホースHの空間R内への引き込みと空間R外への押し出しをより一層容易にできる。
【0067】
フレキシブルホースHの長手方向への移動を許容しつつフレキシブルホースHを長手方向に沿って支持するとともに、上枠21に対して水平方向回転可能であって、ノズル側端3aが平面視で常にフレーム21内に配置されるように回転が規制される限りにおいて、前述した支持部3の具体的な構造は、任意に設計変更可能である。また、走行部2の具体的な構造についても上枠21を走行可能であって支持部3の水平方向への回転を許容できる限りにおいて任意に設計変更可能である。
【0068】
なお、フレキシブルホースHの空間R外への押し出しを容易にするために、
図5に示すように、フレキシブルホースHのホースホルダ1による支持部位とポンプ40との間に、フレキシブルホースHを空間R内から空間R外に引き出す方向へ張力を与える附勢手段70を設けてもよい。附勢手段70は、フレキシブルホースHのホースホルダ1による支持部位とポンプ40との間の任意の部位Haに取り付けたカウンタウエイトとされており、常時、フレキシブルホースHの前記部位Haを下方に向けて押圧して、フレキシブルホースHに空間R内から空間R外へ引き出す方向の張力を付与している。このように構成された3Dプリンタ10によれば、ノズル30のホースホルダ1側への接近する方向への移動のみではセメント系混合流体が充満するフレキシブルホースHを空間R外へ押し出せない場合であっても、附勢手段70を設けることによってフレキシブルホースHの押し出しが可能となるので、作業者のフレキシブルホースHの操作負担をより一層軽減できる。なお、附勢手段70は、カウンタウエイト以外にもフレキシブルホースHを空間R内から空間R外へ引き出す方向へ張力を付与できればよいので、ばねを利用した附勢手段であってよい。ばねを利用する場合、カウンタウエイトと異なり部位Haを地面側に向けて鉛直下方に押し下げる力を付与する以外にも、滑車との組み合わせによって部位Haを鉛直下方以外の方向に付勢してフレキシブルホースHを空間R内から引き出す方向へ張力を付与するようにしてもよい。さらには、附勢手段70は、フレキシブルホースHに対して電動機等のアクチュエータによって張力を付与してもよい。
【0069】
前述したホースホルダ1では、走行部2の下方に水平方向へ回転可能に支持部3を取り付けているが、走行部2に対して固定的に支持部3を取り付けてもよい。この場合、支持部3は、走行部2の走行方向である角フレーム材fに沿う方向に対して平面視でフレキシブルホースHの長手方向の軸線を直交させるように支持するとよいが、ノズル30との位置関係によって平面視で、フレキシブルホースHの長手方向の軸線が角フレーム材fに対して直交以外の角度で交わるように指示してもよい。
【0070】
また、
図6に示した一実施の形態の一変形例のホースホルダ1Aのように、走行部2Aが上枠21の角フレーム材fの上方に配置されて、支持部3Aが走行部2Aの上方に取り付けられる構造を採用してもよい。
【0071】
この一変形例のホースホルダ1Aの各部について説明すると、走行部2Aは、詳しくは図示しないが、上枠21の一辺の角フレーム材fの上方に隙間を空けて跨って角フレーム材fに沿って移動可能な
図6中で破線で示す本体と、本体に取り付けられて角フレーム材fの上面に当接する図外のローラとを備えており、角フレーム材f上を角フレーム材fの長手方向に沿って移動できる。
【0072】
支持部3Aは、角フレーム材fの長手方向で互いに対向する一対の支持プレート35,35と、支持プレート35,35同士を連結するとともに走行部2Aを保持する接続梁36,36と、支持プレート35,35間に角フレーム材fの長手方向に沿って架け渡された図外の軸に対して周方向へ回転可能に装着された3つの支持ローラ37と、各支持プレート35,35の両端にそれぞれに垂直方向に沿って架け渡された図外の2つの軸に対して周方向へ回転可能に装着された2つのガイドローラ38とを備えて構成されている。
【0073】
支持プレート35,35は、角フレーム材fの長手方向に直交しており、角フレーム材fの長手方向を前後方向とすると、互いに前後方向で対向している。また、支持プレート35,35は、上端に凹部を備えた略矩形のプレートとなっており、左右の両端の上下の四隅には、それぞれ、支持プレート35,35の内側を向く方向に突出するローラ取付片35aを備えている。支持プレート35,35の両端の上下で対向するローラ取付片35a,35aには、上下方向となる垂直方向に架け渡される図外の軸が取り付けられており、当該軸の軸回りに回転可能なガイドローラ38が装着されている。ガイドローラ38は、1つの支持プレート35に対して、支持プレート35の左右両端に1つずつ水平方向へ回転可能に設けられている。また、ガイドローラ38は、支持プレート35,35間に突出した位置に配置されている。
【0074】
また、接続梁36,36は、前後方向に沿って平行に配置されており、支持プレート35,35の中央の下方に架け渡されて支持プレート35,35を連結している。接続梁36,36は、走行部2Aに連結されており、走行部2Aを支持部3Aに取り付けている。よって、走行部2Aが上枠21に対して移動すると、支持部3Aも走行部2Aとともに上枠21上を角フレーム材fに沿って移動できる。
【0075】
さらに、支持プレート35,35には、前後方向に沿う3つの図外の軸が架け渡されており、当該軸の軸回りに回転可能な支持ローラ37が装着されている。3つの支持ローラ37は、支持プレート35,35に対して垂直方向へ回転可能とされている、また、左右方向で中央の支持ローラ37が左右側の支持ローラ37よりも上方に配置されており、各支持ローラ37でフレキシブルホースHの下方を支持すると、フレキシブルホースHを緩やかに湾曲する状態で支持できる。
【0076】
このように構成された支持部3Aは、3つの支持ローラ37の上方に左右の2つずつ配置されたガイドローラ38で挟まれる空部が形成され、当該空部内に収容されるフレキシブルホースHを3つの支持ローラ37で下方から支持するとともに、フレキシブルホースHを挟んでフレキシブルホースHの側方に対向する複数のガイドローラ38によってフレキシブルホースHの長手方向の移動を案内できる。よって、支持部3Aは、フレキシブルホースHがノズル30の移動によって長手方向に対して側方へ振られてもフレキシブルホースHの側部に対向するガイドローラ38によってフレキシブルホースHをガイドしてフレキシブルホースHの長手方向の移動を案内でき、支持ローラ37とガイドローラ38とによりフレキシブルホースHの長手方向への円滑な移動を実現できる。
【0077】
そして、本実施の形態のホースホルダAは、上枠21と上枠21を下方から支持する複数の支柱23とを含むフレーム20と、フレーム20の上枠21と支柱23とで囲まれた空間R内を移動可能なノズル30と、空間R外から空間R内へ延びてノズル30に接続されてノズル30から吐出されるセメント系混合流体(吐出物)をノズル30へ導くフレキシブルホースHとを有する3Dプリンタ10におけるフレキシブルホースHを支持するホースホルダ1Aであって、上枠21に走行可能に取り付けられた走行部2Aと、走行部2Aに取り付けられてフレキシブルホースHの長手方向への移動を許容しつつフレキシブルホースHを支持する支持部3Aとを備えている。
【0078】
このように構成されたホースホルダ1Aによれば、フレキシブルホースHを支持する支持部3Aが走行部2Aによって上枠21を構成する角フレーム材fの一つに沿って移動できるので、ノズル30の位置に応じてフレキシブルホースHも上枠21に沿って移動して、フレーム20に対するフレキシブルホースHの支持位置を自動的に変更でき、ノズル30の移動にフレキシブルホースHが無理なく追従して、ノズル30がフレキシブルホースHを空間R内へ引き込む長さが少なくなってフレキシブルホースHの空間R内での撓みを抑制できるとともに、フレキシブルホースHが印刷中の造形物と干渉するのを防止できる。また、ホースホルダ1Aの支持部3AがフレキシブルホースHの長手方向への移動を許容しつつフレキシブルホースHを長手方向に沿って支持するので、ノズル30の移動によるフレキシブルホースHの空間R内への引き込みと空間R外への押し出しも可能となる。このように、ホースホルダ1Aは、フレキシブルホースHの空間R内での撓みを抑制しつつノズル30の移動に追従してフレキシブル―スHの支持位置を上枠21に沿って自動的に変更するから、フレキシブルホースHの印刷中の造形物への干渉を防止でき、印刷作業中におけるセメント系混合流体(吐出物)が充満したフレキシブルホースHを捌く作業者の負担を軽減できるとともに3Dプリンタ10を操作する作業人数を低減できる。
【0079】
また、本実施の形態のホースホルダ1Aでは、支持部3AがフレキシブルホースHを挟んでフレキシブルホースHの側方に対向する複数のガイドローラ38を備えているので、フレキシブルホースHがノズル30の移動によって長手方向に対して側方へ振られてもフレキシブルホースHの側部に対向するガイドローラ38によってフレキシブルホースHをガイドしてフレキシブルホースHの長手方向の移動を案内できるので、フレキシブルホースHの長手方向への円滑な移動を実現できる。ホースホルダ1Aにおける支持部3Aにおいて支持ローラ37とガイドローラ38とを保持する構造については適宜設計変更可能であり、走行部2Aについても上枠21上を走行可能なものであればよいので適宜設計変更可能である。
【0080】
なお、本実施の形態のホースホルダ1および3Dプリンタ10は、ノズル30から吐出されて造形物を構成する材料となる吐出物を重量物であるセメント系混合流体とした建築用のものとしているので、吐出物が充満したフレキシブルホースHが重くなるので、印刷中の造形物との干渉の恐れが大きくなることから、吐出物をセメント系混合流体としてホースホルダ1および3Dプリンタ10を建築用途に利用するとホースホルダ1および3Dプリンタ10の実用性が高くなる。これに対して、前述した通り、吐出部がセメント系混合流体以外の流体であっても、吐出物が重量物である場合、フレキシブルホースHの内径が大きく吐出物が軽量であっても全体重量が重くなる場合、3Dプリンタ10が大型でフレキシブルホースノズル30の全長が長く吐出物が軽量であっても全体重量が重くなる場合など、単に上枠21にフレキシブルホースHを吊り下げただけではノズル30の移動によってフレキシブルホースHが空間R内で撓んでしまいフレキシブルホースHが印刷中の造形物に干渉してしまって作業者がフレキシブルホースHを捌かなくてはならない状況が生じ得る3Dプリンタに適用可能であることは当然である。
【0081】
なお、フレキシブルホースH内を流動する吐出物の単位体積当たりの重量が1500kg/m3以上の場合、吐出物を含むフレキシブルホースHの全体重量が重くなって、フレキシブルホースHを単に滑車等で吊っただけではフレーム20で囲まれた空間R内への引き込みと空間R外への押し出しがし難くなるので、ホースホルダ1でフレキシブルホースHを支持することによるフレキシブルホースHの印刷中の造形物への干渉の防止および作業者の負担の軽減と3Dプリンタ10を操作する作業人数を低減できるという利点を効果的に享受でき、吐出物の単位体積当たりの重量がさらに好ましくは1700kg/m3以上、最も好ましくは2100kg/m3以上であると、より吐出物を含むフレキシブルホースHの重量がより重くなって空間R内外へのフレキシブルホースHの引き込みと押し出しがより難しくなるためホースホルダ1を利用することによる利点をより一層効果的に享受できる。なお、吐出物をセメント系混合流体として3Dプリンタ10で造形物を印刷する場合、セメント系混合流体の単位体積当たりの重量が1700kg/m3以上になるので、ホースホルダ1を利用することによってフレキシブルホースHの印刷物への干渉と空間R内外への引き込みと押し出しに好適となり、3Dプリンタ10の建築用途への利便性が向上する。
【0082】
また、フレキシブルホースHの内径は、13mm以上であって24mm以下、さらに好ましくは15mm以上であって23mm以下、最も好ましくは17mm以上であって22mm以下であると、吐出物を含むフレキシブルホースHの重量が重くなるとともにフレキシブルホースHを単に滑車等で吊っただけではフレーム20で囲まれた空間R内への引き込みと空間R外への押し出しがし難くなるので、ホースホルダ1を利用することにより、フレキシブルホースHの印刷中の造形物への干渉の防止および作業者の負担の軽減と3Dプリンタ10を操作する作業人数を低減できるという利点を効果的に享受できる。
【0083】
さらに、ホースホルダ1は、上枠21および支柱23を構成するフレーム材の一辺の長さが1m以上であって10m以下である3Dプリンタ10への利用に好適となる。フレキシブルホースHを1m以上の長さの支柱23の上端に取り付けられた上枠21に取り付けたホースホルダ1で支持するとフレキシブルホースHの空間R内での長さが長く撓みやすくなって印刷物と干渉しやすくなるため、ホースホルダ1の利用によって印刷物との干渉を防止でき、また、フレーム材の一辺の長さが長すぎると空間R内のフレキシブルホースHの長さが長くなるとともに可搬性が乏しくなり建設現場で3Dプリンタ10を組み立てて使用するのに僅かに適しなくなってくるが、ホースホルダ1の利用によってフレキシブルホースHの蔭佐物への干渉を防止しつつも、上枠21と支柱23の一辺の長さが10m以下であれば良好な組立性と可搬性とを実現できる。そして、フレーム材の一辺の長さが2m以上であって8m以下である場合には、ホースホルダ1の利用によって印刷物とフレキシブルホースHとの干渉を防止しつつも3Dプリンタ10の可搬性および建設現場での組立性がより向上する。さらに、フレーム材の一辺の長さが2m以上であって6m以下である場合には、ホースホルダ1の利用によって印刷物とフレキシブルホースHとの干渉を防止と3Dプリンタ10の可搬性および建設現場での組立性とをバランスよく両立でき、ホースホルダ1および3Dプリンタ10の実用性が向上するので、ホースホルダ1の利用に際し最適となる。
【0084】
以上、本発明の好ましい実施の形態を詳細に説明したが、特許請求の範囲から逸脱しない限り、改造、変形、および変更が可能である。
【符号の説明】
【0085】
1,1A・・・ホースホルダ、2,2A・・・走行部、3,3A・・・支持部、3a・・・支持部におけるノズル側端、10・・・3Dプリンタ、20・・・フレーム、21・・・上枠、23・・・支柱、30・・・ノズル、32c,37・・・支持ローラ、33b・・・抑えローラ、40・・・ポンプ、40c・・・吐出口、70・・・附勢手段、H・・・フレキシブルホース