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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104690
(43)【公開日】2024-08-05
(54)【発明の名称】検知システム及び検知方法
(51)【国際特許分類】
   G01V 3/12 20060101AFI20240729BHJP
   G01S 13/56 20060101ALI20240729BHJP
【FI】
G01V3/12 A
G01S13/56
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023009040
(22)【出願日】2023-01-24
(71)【出願人】
【識別番号】309036221
【氏名又は名称】三菱重工機械システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹山 泰
(72)【発明者】
【氏名】高桑 義直
(72)【発明者】
【氏名】ファン カンスン
【テーマコード(参考)】
2G105
5J070
【Fターム(参考)】
2G105AA01
2G105BB11
2G105BB14
2G105BB15
2G105CC01
2G105DD02
2G105EE02
2G105HH01
2G105JJ02
5J070AB24
5J070AE09
5J070AF03
(57)【要約】
【課題】車両の室内における人の存在の有無を精度よく検知する。
【解決手段】検知システムは、窓を有する車両の室内において窓よりも高さが低い位置に配置され、室内に向けて検出波を送信し、検出波の反射波を受信する送受信部と、受信した反射波を解析し、解析結果に基づいて室内に人体が存在するか否かの判定を行う検知部とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
窓を有する車両の室内において前記窓よりも高さが低い位置に配置され、前記室内に向けて検出波を送信し、前記検出波の反射波を受信する送受信部と、
受信した前記反射波を解析し、解析結果に基づいて前記室内に人体が存在するか否かの判定を行う検知部と
を備える検知システム。
【請求項2】
前記車両の室内には、複数の座席が前後方向に並んだ状態で設けられ、
前記送受信部は、前記車両の室内の前側に配置され、複数の前記座席に対して前記車両の後方に向けて前記検出波を送信する
請求項1に記載の検知システム。
【請求項3】
前記送受信部は、前記車両の室内の前側端部に配置される
請求項2に記載の検知システム。
【請求項4】
複数の前記座席は、運転席と、前記運転席とは異なる複数の乗員席とを含み、
前記送受信部は、前記運転席の背面側に設けられる
請求項3に記載の検知システム。
【請求項5】
前記送受信部は、前記室内の左右方向の一方側に寄った位置に配置され、前記検出波の中心線が前後方向に対して前記車両の内側に傾くように前記検出波を送信する
請求項1に記載の検知システム。
【請求項6】
複数の前記座席は、運転席と、前記運転席とは異なる複数の乗員席とを含み、
前記車両の室内において、所定の前記乗員席の前方に、金属を用いて形成される飛び出し保護部材が配置され、
前記検出波を前記飛び出し保護部材の後方に向けて反射する反射部材を更に備える
請求項2に記載の検知システム。
【請求項7】
複数の前記座席は、運転席と、前記運転席とは異なる複数の乗員席とを含み、
前記車両の室内において、所定の前記乗員席の前方に、金属を用いて形成される飛び出し保護部材が配置され、
前記送受信部は、前記検出波の中心線が前記飛び出し保護部材から外れるように前記検出波を送信する
請求項2に記載の検知システム。
【請求項8】
前記検知部は、前記車両の室内の複数の検知位置について、前記送受信部で受信された前記反射波の解析を行い、
複数の前記検知位置は、前後方向については一定のピッチとなるように設定され、左右方向については前記送受信部に近いほど多く、遠ざかるほど少なくなるように設定される
請求項3に記載の検知システム。
【請求項9】
前記検知部は、前記反射波の信号に関する信号関連データの解析結果に基づいて、前記判定を行う
請求項2に記載の検知システム。
【請求項10】
前記検知部は、前記反射波の前記信号関連データの解析結果と、前記信号関連データについて予め学習した学習結果とに基づいて、前記判定を行う
請求項9に記載の検知システム。
【請求項11】
前記信号関連データは、前記反射波の信号レベル、前記反射波の信号パターン、及び前記反射波の信号発生位置のうち少なくとも1つを含む
請求項9に記載の検知システム。
【請求項12】
前記車両は、乗降口を有し、
前記乗降口に設けられ前記検出波を遮蔽する遮蔽部を更に備える
請求項1に記載の検知システム。
【請求項13】
前記検出波は、センチ波である
請求項1に記載の検知システム。
【請求項14】
窓を有する車両の室内において前記窓よりも高さが低い位置に配置される送受信部から前記室内に向けて検出波を送信し、当該送受信部において前記検出波の反射波を受信することと、
受信した前記反射波を解析することと、
解析の結果に基づいて、前記室内に人体が存在するか否かの判定を行うことと
を含む検知方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、検知システム及び検知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の室内に人が存在するか否かを検知する検知システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-66157号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような検知システムにおいては、車両の室内における人の存在の有無を精度よく検知することが求められる。
【0005】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであり、車両の室内における人の存在の有無を精度よく検知することが可能な検知システム及び検知方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る検知システムは、窓を有する車両の室内において前記窓よりも高さが低い位置に配置され、前記室内に向けて検出波を送信し、前記検出波の反射波を受信する送受信部と、受信した前記反射波を解析し、解析結果に基づいて前記室内に人体が存在するか否かの判定を行う検知部とを備える。
【0007】
本開示に係る検知方法は、窓を有する車両の室内において前記窓よりも高さが低い位置に配置される送受信部から前記室内に向けて検出波を送信し、当該送受信部において前記検出波の反射波を受信することと、受信した前記反射波解析することと、解析の結果に基づいて、前記室内に人体が存在するか否かの判定を行うこととを含む。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、車両の室内における人の存在の有無を精度よく検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本実施形態に係る検知システムの一例を模式的に示す図である。
図2図2は、車両の室内の一例を模式的に示す図である。
図3図3は、車両の室内の一例を模式的に示す図である。
図4図4は、本実施形態に係る検知システムの一例を示す機能ブロック図である。
図5図5は、検知部による複数の検知位置の例を模式的に示す図である。
図6図6は、検知システムにおいて送受信部の配置についての他の例を示す図である。
図7図7は、検知システムにおいて送受信部の配置についての他の例を示す図である。
図8図8は、検知システムの他の例を示す図である。
図9図9は、検知システムの他の例を示す図である。
図10図10は、検知システムを用いた検知方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示に係る検知システム及び検知方法の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0011】
図1は、本実施形態に係る検知システム100の一例を模式的に示す図である。図1は車両50を左側から見た図である。図1に示すように、検知システム100は、車両50の室内に人体が存在するか否かを検知するためのシステムである。
【0012】
以下の説明において、前後、上下、左右の各方向は、運転席から正面方向を見た場合における方向を示す。なお、本実施形態では、上下方向は鉛直方向に平行であり、前後方向及び左右方向は水平方向に平行であるとする。
【0013】
本実施形態において、車両50は、例えば保育園、幼稚園、認定こども園当の送迎用バス等が挙げられる。なお、車両50は、送迎用バスとは異なる種類の車両であってもよい。本実施形態に係る検知システム100が搭載される車両50は、車体51と、走行部52とを有する。車体51には、窓53と、乗降口54が設けられる。窓53は、外部の光を取り入れ可能となるように、例えばガラス等の光透過部材が用いられる。また、乗降口54には、外部の光を取り入れるための窓部分54aが設けられる。窓部分54aには、窓53と同様、例えばガラス等の光透過部材が用いられる。車両50(車体51)の室内50Rには、複数の座席55が前後方向に並んだ状態で設けられる。複数の座席55は、運転席56と、当該運転席56とは異なる複数の乗員席57とを含む。本実施形態では、運転席56が室内50Rの右側に配置される構成を例に挙げて示している。
【0014】
図2及び図3は、車両50の室内50Rの一例を模式的に示す図である。図2は室内50Rの平面図、図3は室内50Rの右側(運転席側)半分の構成を模式的に示す図である。なお、図3では、室内50Rの左側半分の領域に配置される構成(後述する飛び出し保護部材58等)についても一部示している。
【0015】
図2及び図3に示すように、運転席56は、複数の座席55のうち、前後方向の最前列に配置される。本実施形態において、乗員席57は、三人用乗員席57aと、二人用乗員席57b、57cとを含む。三人用乗員席57aは、運転席56の後方に前後方向に並んだ状態で配置される。二人用乗員席57bは、運転席56の側方かつ乗降口54の前方に、前後方向に並んだ状態で配置される。二人用乗員席57cは、三人用乗員席57aの側方かつ乗降口54の後方に、前後方向に並んだ状態で配置される。なお、二人用乗員席57b、57cの一方又は両方が省略されてもよい。また、三人用乗員席57aの左右方向の寸法が二人用乗員席57b、57cと同様であってもよい。
【0016】
車両50の室内50Rには、飛び出し保護部材58が設けられる。飛び出し保護部材58は、例えば管状に形成され、コ字状等に湾曲した状態で設置される(図2参照)。なお、飛び出し保護部材58は、板状であってもよいし、コ字状等に湾曲した部分の内側に金属等で形成された板状部材58pが配置されてもよい(図2参照)。また、飛び出し保護部材58は、コ字状に限定されず、例えば車体51の側壁部分から内側に突出した形状であってもよい。飛び出し保護部材58は、所定の乗員席57の前方、すなわち、三人用乗員席57aの前方及び二人用乗員席57b、57cの前方に、それぞれ配置される。すなわち、飛び出し保護部材58は、最前列の三人用乗員席57aの前方に配置される保護部材58aと、最前列の二人用乗員席57bの前方に配置される保護部材58bと、最前列の二人用乗員席57cの前方に配置される保護部材58cとを含む。
【0017】
続いて、本実施形態に係る検知システム100について説明する。検知システム100は、送受信部10と、検知部20とを備える。
【0018】
送受信部10は、車両50の室内50Rに検出波を送信し、室内50Rで反射された検出波(以下、反射波と表記する)を受信する。送受信部10は、受信した反射波を電気信号に変換して検知部20に出力する。検出波としては、例えばセンチ波、ミリ波等の電波を送信及び受信することができる。本実施形態において、検出波として、例えばセンチ波を用いることができる。ここで、センチ波は、例えば波長が1cm以上、10cm以下の電波である。検出波としてセンチ波を用いることで、センチ波よりも波長が短い(周波数が高い)ミリ波等の他の種類の電波を用いる場合に比べて検知距離を長くすることができる。このため、より少ない数の送受信部10で広範囲を検知することができる。
【0019】
送受信部10は、車両50の室内50Rにおいて、窓53よりも高さが低い位置に配置される。より具体的には、送受信部10は、車体51の左右方向の両側に配置される窓53の下端部の高さH(図3参照)よりも低い位置に配置される。下端部の高さ位置が異なる複数の窓53が設けられる場合、例えば最も下端部の高さが低い窓53の高さ位置を基準とすることができる。送受信部10が窓53よりも高さが低い位置に配置されることで、送受信部10から送信される検出波が窓53のガラス等を透過して出入りすることを抑制できる。送受信部10は、車両50の室内50Rの各部、例えば壁部、床部、段部等に取り付けられた状態で設けられる。
【0020】
本実施形態において、送受信部10は、室内50Rの前側端部、例えばダッシュボード上等に配置される。なお、送受信部10は、室内50Rの前側に配置される構成であれば、前側端部に配置される構成に限定されない。ここで、前側とは、前後方向について車両50の室内50Rの中央よりも前方の範囲とすることができる。また、送受信部10は、窓53よりも高さが低い位置であれば、適宜高さ位置を調整して配置することができる。送受信部10は、車両50の室内50Rの前側端部から複数の座席55に向けて、後方に検出波を送信する。
【0021】
送受信部10は、中心線Lが飛び出し保護部材58の上方を通るように当該検出波の送信方向を設定することができる。この構成により、検出波が飛び出し保護部材58により吸収等されて減衰することを抑制できる。また、送受信部10は、例えば室内50Rのうち左右方向の中央部に配置される。この場合、例えば図2に示すように、平面視において中心線Lが前後方向(車両50の前後方向軸AX)に平行となるように検出波の送信方向を設定することができる。なお、中心線Lが前後方向軸AXに対して傾くように当該検出波の送信方向を設定してもよい。また、図3に示すように、送受信部10は、側方から見て中心線Lが後方に向けて下方に傾くように検出波の送信方向が設定されているが、この構成人限定されず、中心線Lが水平方向に平行又は後方に向けて上方に傾くように検出波の送信方向が設定されてもよい。
【0022】
検知部20は、受信した反射波に人体固有の振動が含まれるか否かを解析し、人体固有の振動が含まれる場合に室内50Rに人体が存在すると判定する。図4は、本実施形態に係る検知システム100の一例を示す機能ブロック図である。図4に示すように、検知部20は、通信部21と、処理部22と、記憶部23と、報知部24とを有する。検知部20としては、例えばスマートフォン、タブレット等の携帯型情報端末、パーソナルコンピュータ等の据え置き型情報端末等を用いることができる。
【0023】
通信部21は、送受信部10との間で有線又は無線による通信を行う。通信部21は、ネットワークインタフェースカード等のインタフェースを含む。
【0024】
処理部22は、各種の情報処理を行う。処理部22は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサと、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等のメモリとを含む。
【0025】
処理部22は、解析部25と、判定部26とを有する。
【0026】
解析部25は、受信した反射波を解析する。解析部25は、反射波の信号に関する信号関連データについて解析を行う。信号関連データは、例えば、反射波の信号レベル、反射波の信号パターン、及び反射波の信号発生位置のうち少なくとも1つを含む。なお、信号関連データは、上記以外のデータを含んでもよい。解析部25は、車両50の室内50Rの複数の検知位置について、反射波の解析を行う。図5は、検知部20による複数の検知位置の例を模式的に示す図である。図5に示すように、本実施形態において、複数の検知位置Dは、車両50の室内50Rに設定される。複数の検知位置Dは、室内50Rの全体に亘って設定される。複数の検知位置Dは、車両50の前後方向については一定のピッチとなるように設定され、左右方向については送受信部10に近いほど多く、遠ざかるほど少なくなるように設定される。
【0027】
本実施形態では、送受信部10が車両50の前部に設けられる。したがって、検知位置Dは、車両50の前部から後部にかけて、左右方向の数が少なくなるように設定される。この場合、車両50の前部から後部にかけて、1つ当たりの検知位置Dの左右方向の検知範囲が広くなる。
【0028】
図4に戻り、判定部26は、解析部25による解析結果に基づいて、室内50Rに人体が存在するか否かの判定を行う。本実施形態において、判定部26は、上記した反射波の信号関連データの解析結果に基づいて、判定を行うことができる。なお、判定部26は、反射波の信号関連データの解析結果と、信号関連データについて予め学習した学習結果とに基づいて判定を行ってもよい。
【0029】
例えば、判定部26は、反射波に人体固有の振動が含まれるか否かを判定する。人体固有の振動については、例えば人間の心拍、呼吸等による振動が挙げられる。判定部26は、反射波に人体固有の振動が含まれると判定した場合、当該人体固有の振動数の信号レベルが閾値より高いか否かを判定する。人体固有の振動数の信号レベルが閾値よりも高いと判定した場合、室内50Rに人体が存在すると判定する。判定部26は、反射波に人体固有の振動が含まれないと判定した場合、又は人体固有の振動数の信号レベルが閾値以下と判定した場合、室内50Rに人体が存在しないと判定する。
【0030】
なお、判定部26は、反射波の信号パターンが人体固有の振動による信号パターンか否かを判定し、人体固有の振動による信号パターンであると判定した場合に、室内50Rに人体が存在すると判定してもよい。人間固有の振動による信号パターンは、例えば人が車両50を揺らす場合、車両50の近傍を他の車両等が通過する場合等に車両50に生じる振動のパターンとは異なる。このため、上記のような人体固有の振動とは異なる場合に車両50に生じうる振動の信号パターンを予め記憶部23に記憶しておく。判定部26は、受信された反射波の信号パターンと、記憶部23に記憶される信号パターンとを比較することで、反射波の信号パターンが、人体固有の振動のパターンか否かを判定することができる。
【0031】
また、判定部26は、反射波に含まれる人体固有の振動の信号発生位置に基づいて、室内50Rに人体が存在するか否かの判定を行うことができる。人間固有の振動は、人間が存在する位置から発生する。このため、室内50Rに人(例えば、児童等)が存在する場合の存在位置の情報を学習して学習結果を記憶部23に記憶しておく。判定部26は、受信された反射波の信号発生位置と、記憶部23に記憶される学習結果とに基づいて、室内50Rに人体が存在すると判定することができる。例えば、判定部26は、反射波の信号発生位置が、室内50Rにおいて人が存在する可能性が高い位置である場合、室内50Rに人体が存在すると判定することができる。
【0032】
判定部26は、上記した反射波の信号レベル、反射波の信号パターン、及び反射波の信号発生位置について2つ以上を組み合わせて判定を行ってもよい。また、判定部26は、上記したような反射波の信号発生位置について解析結果と学習結果とを用いる場合に限られない。例えば、信号レベル、信号パターンについても予め学習結果を記憶部23に記憶し、解析結果と学習結果とを用いて判定部26が判定を行ってもよい。また、解析部25及び判定部26は、上記した反射波の信号レベル、反射波の信号パターン及び反射波の信号発生位置とは異なる態様で反射波の解析及び判定を行ってもよい。
【0033】
記憶部23は、各種プログラム、データ等の情報を記憶する。記憶部23は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等のストレージを含む。記憶部23は、判定部26の判定において解析結果と対比するための情報、例えば反射波の信号レベルの閾値、上記の人体固有の振動とは異なる場合に車両50に生じる信号パターン等の情報等を記憶することができる。また、記憶部23は、信号関連データについて予め学習した学習結果、例えば反射波の信号レベルの学習結果、反射波の信号パターンの学習結果、室内50Rにおける人の存在位置の学習結果等を記憶することができる。
【0034】
報知部24は、判定部26により室内50Rに人体が存在すると判定された場合、判定結果を報知する。報知部24としては、例えば判定結果を文字又は画像等として表示する表示部、判定結果をアラームとして出力する音声出力部、判定結果を振動として出力する振動出力部等を用いることができる。
【0035】
検知部20では、処理部22においてプロセッサが各種プログラムを読み出してメモリに展開することで、上記各部の機能に対応した情報処理を実行する。各種プログラムとしては、例えば通信部21が受信したプログラム、記憶部23に記憶されたプログラム、外部の記録媒体に記録されたプログラム等が挙げられる。検知部20は、各種の情報処理を実行する情報処理装置(コンピュータ)として機能する。なお、検知部20とは異なる他の情報処理装置が各種プログラムを実行してもよいし、検知部20と他の情報処理装置とが協働して各種プログラムを実行してもよい。
【0036】
図6及び図7は、検知システム100において送受信部10の配置についての他の例を示す図である。図6は室内50Rの平面図、図7は室内50Rの右側(運転席側)半分の構成を模式的に示す図である。なお、図7では、室内50Rの左側半分の領域に配置される構成(後述する飛び出し保護部材58等)についても一部示している。
【0037】
送受信部10は、図6及び図7に示すように、運転席56の背面側の位置10A、10B、10Cに配置される構成であってもよい。位置10Aは、室内50Rの側方の壁部51a寄りであって保護部材58aの上方の位置である。位置10Bは、室内50Rの側方の壁部51a寄りであって保護部材58aの下方の位置である。位置10Cは、室内50Rの中央部寄りであって保護部材58aの上方の位置である。
【0038】
また、送受信部10は、運転席56の側方の位置10Dに配置される構成であってもよい。運転席56の側方にサイドボード等が配置される場合、送受信部10は、当該サイドボードに取り付けられた構成であってもよい。
【0039】
送受信部10は、位置10A、10B、10C、10Dにおいて、それぞれ中心線LA、LB、LC、LDが後方にかけて左右方向の中央部側に傾くように検出波を送信することができる。この構成では、室内50Rのうち左右方向の一方側の位置に送受信部10が配置される場合には、検出波の中心線が後方にかけて左右方向の他方側に傾くように当該検出波の送信方向を設定することができる。例えば、室内50Rのうち右側の位置(位置10A、10B、10C)に送受信部10が配置される場合には、中心線(LA、LB、LC)が後方にかけて左側に傾くように当該検出波の送信方向を設定することができる。例えば、室内50Rのうち左側の位置(位置10D)に送受信部10が配置される場合には、中心線(LD)が後方にかけて右側に傾くように当該検出波の送信方向を設定することができる。このように、中心線を室内50Rの対角線に沿って配置することにより、室内50Rに検出波の覆域をより適切に確保することができる。
【0040】
また、本実施形態において、送受信部10は、送信する検出波の中心線が飛び出し保護部材58から外れるように検出波を送信することができる。例えば、送受信部10は、位置10Aに配置する場合、検出波の中心線LAが保護部材58cの上方かつ側方(右側)を通過するように当該検出波の送信方向を設定することができる。また、送受信部10は、位置10Bに配置する場合、検出波の中心線LBが保護部材58aを潜るように当該保護部材58aの下方を通過し、更に保護部材58cの側方(右側)を通過するように当該検出波の送信方向を設定することができる。また、送受信部10は、位置10Cに配置する場合、検出波の中心線LCが後方にかけて左右方向の中央部側に傾くように当該検出波の送信方向を設定することができる。また、送受信部10は、位置10Cに配置する場合、検出波の中心線LCが保護部材58cの側方(右側)を通過するように当該検出波の送信方向を設定することができる。また、送受信部10は、位置10Dに配置する場合、検出波の中心線LDが保護部材58aの側方(左側)、保護部材58b、58cの側方(右側)を通過するように当該検出波の送信方向を設定することができる。このように、検出波の中心線が飛び出し保護部材58から外れるように当該検出波の送信方向を設定することにより、金属で形成される飛び出し保護部材58により阻まれること(反射など)で乗員席に到達できないことを抑制できる。
【0041】
図8及び図9は、検知システム100の他の例を示す図である。図8に示すように、検知システム100は、送受信部10から送信された検出波を飛び出し保護部材58の後方に反射する反射部材30を有する構成であってもよい。反射部材30は、検出波を反射する反射面30aを有する。反射部材30の位置及び反射面30aの向きについては、送受信部10の位置及び検出波の中心線の方向と、飛び出し保護部材58の位置とに応じて設定することができる。
【0042】
また、図9に示すように、検知システム100は、検出波を遮蔽する遮蔽部40が車両50の乗降口54に配置された構成であってもよい。遮蔽部40は、例えば乗降口54の窓部分54aに設置することができる。遮蔽部40としては、公知の電波吸収材等を用いることができる。遮蔽部40が設けられることにより、乗降口54の窓部分54aから検出波が出入りすることを抑制できる。
【0043】
図10は、検知システム100を用いた検知方法の一例を示すフローチャートである。図10に示すように、車両50の室内50Rに配置された送受信部10から検出波を送信させる(ステップS10)。送受信部10は、送信された検出波の反射波を受信する(ステップS20)。送受信部10は、受信した反射波を電気信号に変換して検知部20に入力する(ステップS30)。
【0044】
検知部20は、解析部25において、入力された反射波の電気信号を解析する(ステップS40)。以下、反射波の信号レベルに基づいて室内50Rに人体が存在するか否かの判定を行う場合を例に挙げて説明する。判定部26は、解析部25による解析結果に基づいて、反射波において人体固有の振動数の信号レベルが閾値よりも高いか否かを判定する(ステップS50)。判定部26は、反射波において人体固有の振動数の信号レベルが閾値よりも高いと判定した場合(ステップS50のYes)、室内50Rに人体が存在すると判定する(ステップS60)。この場合、報知部24は、判定結果を報知して(ステップS70)、処理を終了する。
【0045】
一方、判定部26は、反射波において人体固有の振動数の信号レベルが閾値よりも高くないと判定した場合(ステップS50のNo)、室内50Rに人体が存在しないと判定し(ステップS80)、処理を終了する。
【0046】
以上のように、本開示の第1態様に従えば、窓53を有する車両50の室内50Rにおいて窓53よりも高さが低い位置に配置され、室内50Rに向けて検出波を送信し、検出波の反射波を受信する送受信部10と、受信した反射波を解析し、解析結果に基づいて室内50Rに人体が存在するか否かの判定を行う検知部20とを備える検知システム100が提供される。
【0047】
この構成によれば、検出波を送信する送受信部10が室内50Rにおいて窓53よりも高さが低い位置に配置されるため、送受信部10から送信される検出波が窓53を通過した場合でも車両50の外部の人等に当たりにくくすることができる。これにより、車両50の外部の影響を抑制し、室内50Rの検出精度を高めることができる。なお、上記したように、反射波の解析と判定は閾値との対比に限定されるものではない。例えば、車両50の振動と人体固有の振動との信号パターンの対比や、反射波の信号発生位置と室内50Rにおいて人が存在する位置(座標)を学習させた学習結果との対比などに基づいて、室内50Rに人体が存在するか否かを判定しても良い。また、上記した反射波の信号レベル、反射波の信号パターン及び反射波の信号発生位置とは異なる態様で反射波の解析及び判定を行ってもよい。
【0048】
本開示の第2態様に従えば、第1態様に係る検知システム100において、車両50の室内50Rには、複数の座席55が前後方向に並んだ状態で設けられ、送受信部10は、車両50の室内50Rの前側に配置され、複数の座席55に対して車両50の後方に向けて検出波を送信する。この構成によれば、複数の座席55に人体が存在するか否かを適切に検出することができる。
【0049】
本開示の第3態様に従えば、第2態様に係る検知システム100において、送受信部10は、車両50の室内50Rの前側端部に配置される。この構成によれば、前側端部から後方に亘って室内50Rに検出波の覆域を適切に確保できる。
【0050】
本開示の第4態様に従えば、第2態様又は第3態様に係る検知システム100において、複数の座席55は、運転席56と、運転席56とは異なる複数の乗員席57とを含み、送受信部10は、運転席56の背面側に設けられる。この構成によれば、運転席56の背面側から後方に亘って室内50Rに検出波の覆域を適切に確保できる。
【0051】
本開示の第5態様に従えば、第1態様から第4態様のいずれかに係る検知システム100において、送受信部10は、室内50Rの左右方向の一方側に寄った位置に配置され、検出波の中心線が前後方向に対して車両50の内側に傾くように検出波を送信する。この構成によれば、中心線を室内50Rの対角線に沿って配置することができるため、室内50Rに検出波の覆域をより適切に確保することができる。
【0052】
本開示の第6態様に従えば、第2態様から第4態様のいずれかに係る検知システム100において、複数の座席55は、運転席56と、運転席56とは異なる複数の乗員席57とを含み、車両50の室内50Rにおいて、所定の乗員席57の前方に、金属を用いて形成される飛び出し保護部材58が配置され、検出波を飛び出し保護部材58の後方に向けて反射する反射部材30を更に備える。この構成によれば、飛び出し保護部材58の後方に検出波の覆域を適切に確保できる。
【0053】
本開示の第7態様に従えば、第2態様から第4態様のいずれかに係る検知システム100において、複数の座席55は、運転席56と、運転席56とは異なる複数の乗員席57とを含み、車両50の室内50Rにおいて、所定の乗員席57の前方に、金属を用いて形成される飛び出し保護部材58が配置され、送受信部10は、検出波の中心線が飛び出し保護部材58から外れるように検出波を送信する。この構成によれば、検出波の中心線が飛び出し保護部材58から外れるように当該検出波の送信方向を設定することにより、飛び出し保護部材58による検出波の吸収を抑制できる。
【0054】
本開示の第8態様に従えば、第2態様又は第3態様に係る検知システム100において、検知部20は、車両50の室内50Rの複数の検知位置Dについて、送受信部10で受信された反射波の解析を行い、複数の検知位置Dは、前後方向については一定のピッチとなるように設定され、左右方向については送受信部10に近いほど多く、遠ざかるほど少なくなるように設定される。この構成によれば、検出波の特性に応じた検知位置とすることで、検知位置Dの数を抑えつつ、車両50の室内50Rに適切に検知位置Dを確保できる。
【0055】
本開示の第9態様に従えば、第2態様から第4態様のいずれかに係る検知システム100において、検知部20は、反射波の信号に関する信号関連データの解析結果に基づいて、判定を行う。この構成によれば、反射波の解析結果に基づいて、精度よく判定を行うことができる。
【0056】
本開示の第10態様に従えば、第9態様に係る検知システム100において、検知部20は、反射波の信号関連データの解析結果と、信号関連データについて予め学習した学習結果とに基づいて、判定を行う。この構成によれば、反射波の解析結果と、予め学習した学習結果とに基づいて、精度よく判定を行うことができる。
【0057】
本開示の第11態様に従えば、第2態様から第4態様のいずれかに係る検知システム100において、信号関連データは、反射波の信号レベル、反射波の信号パターン、及び反射波の信号発生位置のうち少なくとも1つを含む。この構成によれば、反射波の信号レベル、反射波の信号パターン、及び反射波の信号発生位置のうち少なくとも1つの解析結果に基づいて、精度よく判定を行うことができる。
【0058】
本開示の第12態様に従えば、第1態様から第11態様のいずれかに係る検知システム100において、車両50は、乗降口54を有し、乗降口54に設けられ検出波を遮蔽する遮蔽部40を更に備える。この構成によれば、検出波が乗降口54を通過して外部に出ることを抑制できる。
【0059】
本開示の第13態様に従えば、第1態様から第12態様のいずれかに係る検知システム100において、検出波は、センチ波である。この構成によれば、センチ波よりも波長が短い(周波数が高い)ミリ波等の他の種類の電波を用いる場合に比べて検知距離を長くすることができる。このため、より少ない数の送受信部10で広範囲を検知することができる。電波は、波長が長く(周波数が高く)なるほどガラスの透過率が低下する。このため、検出波としてセンチ波を用いると、他の種類の電波に比べて窓53等のガラスから透過しやすくなる。一方、本開示の態様では、送受信部10が室内50Rにおいて窓53よりも高さが低い位置に配置されるため、検出波が窓53を通過した場合でも車両50の外部の人等に当たりにくく、車両50の外部の影響が抑制される。したがって、センチ波を用いた場合、室内50Rにおける検知距離を確保しつつ、車両50の外部の影響を抑制することができる。
【0060】
本開示の第14態様に従えば、窓53を有する車両50の室内50Rにおいて窓53よりも高さが低い位置に配置される送受信部10から室内50Rに向けて検出波を送信し、当該送受信部10において検出波の反射波を受信することと、受信した反射波を解析することと、解析の結果に基づいて、室内50Rに人体が存在するか否かの判定を行うこととを含む検知方法が提供される。
【0061】
この構成によれば、室内50Rにおいて窓53よりも高さが低い位置に配置される送受信部10から検出波を送信するため、送受信部10から送信される検出波が窓53を通過した場合でも車両50の外部の人等に当たりにくくすることができる。これにより、車両50の外部の影響を抑制し、室内50Rの検出精度を高めることができる。
【符号の説明】
【0062】
10 送受信部
10A,10B,10C,10D 位置
20 検知部
21 通信部
22 処理部
23 記憶部
24 報知部
25 解析部
26 判定部
30 反射部材
30a 反射面
40 遮蔽部
50 車両
50R 室内
51 車体
51a 壁部
52 走行部
53 窓
54 乗降口
54a 窓部分
55 座席
56 運転席
57 乗員席
57a 三人用乗員席
57b,57c 二人用乗員席
58 出し保護部材
58a,58b,58c 保護部材
100 検知システム
D 検知位置
LA,LB,LC,LD,L 中心線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10