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特開2024-104697地図データ、地図データの生成方法及びこの地図データを用いたナビゲーション装置
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  • 特開-地図データ、地図データの生成方法及びこの地図データを用いたナビゲーション装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104697
(43)【公開日】2024-08-05
(54)【発明の名称】地図データ、地図データの生成方法及びこの地図データを用いたナビゲーション装置
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/36 20060101AFI20240729BHJP
   G08G 1/0969 20060101ALI20240729BHJP
   G09B 29/00 20060101ALI20240729BHJP
   G09B 29/10 20060101ALI20240729BHJP
【FI】
G01C21/36
G08G1/0969
G09B29/00 A
G09B29/10 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023009054
(22)【出願日】2023-01-24
(71)【出願人】
【識別番号】501271479
【氏名又は名称】株式会社トヨタマップマスター
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095577
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 富雅
(74)【代理人】
【識別番号】100100424
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 知公
(72)【発明者】
【氏名】河▲崎▼ 仁美
【テーマコード(参考)】
2C032
2F129
5H181
【Fターム(参考)】
2C032HC08
2C032HC17
2C032HD07
2C032HD16
2C032HD21
2C032HD26
2F129AA03
2F129BB03
2F129BB40
2F129DD13
2F129DD15
2F129DD40
2F129DD57
2F129DD70
2F129EE02
2F129EE29
2F129EE53
2F129EE65
2F129EE67
2F129EE70
2F129EE73
2F129EE78
2F129EE79
2F129EE90
2F129GG17
2F129HH12
2F129HH20
2F129HH21
5H181AA01
5H181BB13
5H181CC04
5H181FF04
5H181FF14
5H181FF22
5H181FF27
5H181FF33
5H181FF38
5H181MC02
5H181MC18
5H181MC19
5H181MC27
(57)【要約】      (修正有)
【課題】目的の現地交差点の中に有用な案内看板があり、地図に沿ったナビゲーションルートと異なるときは、比較をして差し替える判断などを自動で行って、ドライバの困惑を低減する。
【解決手段】交差点抽出部に、特定の施設への現地ルートを案内する標識が立てられている有標識交差点を抽出させ、現地ルート生成部に、標識に従って有標識交差点から施設までのリンク列からなる現地ルートを生成させる。一方、ナビゲーションルート生成部に、有標識交差点から標識で案内されている施設までのナビゲーションルートを既存のナビゲーションルールに基づき生成させる。ルート比較部に、現地ルートとナビゲーションルートとを比較させ、現地ルートとナビゲーションルートとが不一致のとき、有標識交差点から施設までの部分をナビゲーションルートから現地ルートに置き換える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交差点抽出部、現地ルート生成部、案内呼出しフラグ作成部、ナビゲーションルート生成部、ルート比較部、及びデータ保存部を備える地図データの生成装置を用いる、地図データの生成方法であって、
前記交差点抽出部に、特定の施設への現地ルートを案内する標識が立てられている有標識交差点を抽出させる交差点抽出ステップと、
前記現地ルート生成部に、前記標識に案内された現地ルートであって、前記有標識交差点から前記施設までのリンク列からなる現地ルートを生成させる現地ルート生成ステップと、
前記案内呼出しフラグ作成部に、前記有標識交差点と前記施設とに紐付けて案内呼出しフラグを作成させるステップと、該案内呼出しフラグはナビゲーション装置が前記有標識交差点を通過する際に所定の案内を読出して利用者に案内可能とする、
前記ナビゲーションルート生成部に、前記有標識交差点から前記標識で案内されている施設までのナビゲーションルートを既存のナビゲーションルールに基づき生成させるステップと、
前記ルート比較部に、前記現地ルートと前記ナビゲーションルートとを比較させるステップと、
前記ルート補正フラグ生成部に、前記現地ルートと前記ナビゲーションルートとが不一致のときルート補正フラグを作成させるルート補正フラグ生成ステップと、
ここに、前記案内呼出しフラグと前記ルート補正フラグとは、前記施設までのナビゲーションルートに前記有標識交差点が含まれているときに起動し、前記ルート補正フラグは前記ナビゲーションルートにおいて前記有標識交差点から前記施設までの部分を前記現地ルートに置き換える、
前記データ保存部に、前記有標識交差点の座標、前記案内呼出しフラグ、前記現地ルート及びルート補正フラグを保存させるステップと、
を備えてなる、地図データの生成方法。
【請求項2】
修正部が更に備えられ、該修正部に、プローブカーの走行情報に基づき、前記案内呼出しフラグ及び/又はルート補正フラグを無効にさせる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記有標識交差点から前記施設までのプローブデータのルートがナビゲーションルートに沿ったものである割合が、所定以上のとき、前記案内呼出しフラグ及び/又は前記ルート補正フラグを無効にする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
交差点抽出部、現地ルート生成部、案内呼出しフラグ作成部、ナビゲーションルート生成部、ルート比較部、及びデータ保存部を備える地図データの生成装置であって、
前記交差点抽出部は、特定の施設への現地ルートを案内する標識が立てられている有標識交差点を抽出し、
前記現地ルート生成部は、前記標識に案内された現地ルートであって、前記有標識交差点から前記施設までのリンク列からなる現地ルートを生成し、
前記案内呼出しフラグ作成部は、前記有標識交差点と前記施設とに紐付けて案内呼出しフラグを作成し、該案内呼出しフラグはナビゲーション装置が前記有標識交差点を通過する際に所定の案内を読出して利用者に案内可能とする、
前記ナビゲーションルート生成部は、前記有標識交差点から前記標識で案内されている施設までのナビゲーションルートを既存のナビゲーションルールに基づき生成し、
前記ルート比較部は、前記現地ルートと前記ナビゲーションルートとを比較し、
前記ルート補正フラグ生成部は、前記現地ルートと前記ナビゲーションルートとが不一致のときルート補正フラグを作成し、
ここに、前記案内呼出しフラグと前記ルート補正フラグとは、前記施設までのナビゲーションルートに前記有標識交差点が含まれているときに起動し、前記ルート補正フラグは前記ナビゲーションルートにおいて前記有標識交差点から前記施設までの部分を前記現地ルートに置き換える、
前記データ保存部は、前記有標識交差点の座標、前記案内呼出しフラグ、前記現地ルート及びルート補正フラグを保存する、
地図データの生成装置。
【請求項5】
交差点抽出部、現地ルート生成部、案内呼出しフラグ作成部、ナビゲーションルート生成部、ルート比較部、及びデータ保存部を備える地図データの生成装置のコンピュータ装置に用いられるプログラムであって、
前記交差点抽出部に、特定の施設への現地ルートを案内する標識が立てられている有標識交差点を抽出させ、
前記現地ルート生成部に、前記標識に案内された現地ルートであって、前記有標識交差点から前記施設までのリンク列からなる現地ルートを生成させ、
前記案内呼出しフラグ作成部に、前記有標識交差点と前記施設とに紐付けて案内呼出しフラグを作成させ、該案内呼出しフラグはナビゲーション装置が前記有標識交差点を通過する際に所定の案内を読出して利用者に案内可能とする、
前記ナビゲーションルート生成部に、前記有標識交差点から前記標識で案内されている施設までのナビゲーションルートを既存のナビゲーションルールに基づき生成させ、
前記ルート比較部に、前記現地ルートと前記ナビゲーションルートとを比較させ、
前記ルート補正フラグ生成部に、前記現地ルートと前記ナビゲーションルートとが不一致のときルート補正フラグを作成させ、
ここに、前記案内呼出しフラグと前記ルート補正フラグとは、前記施設までのナビゲーションルートに前記有標識交差点が含まれているときに起動し、前記ルート補正フラグは前記ナビゲーションルートにおいて前記有標識交差点から前記施設までの部分を前記現地ルートに置き換える、
前記データ保存部に、前記有標識交差点の座標、前記案内呼出しフラグ、前記現地ルート及びルート補正フラグを保存させる、コンピュータ用のプログラム。
【請求項6】
有標識交差点を特定するデータと、
該有標識交差点に紐づけられた案内呼出しフラグを特定するデータと、
前記案内呼出しフラグに呼び出される案内データと、
前記有標識交差点から施設までの現地ルートを特定するリンク列データと、
前記有標識交差点に紐付けられたルート補正フラグを特定するデータと、
を備え、
ここに、前記案内呼出しフラグと前記ルート補正フラグは、前記施設までのナビゲーションルートに前記有標識交差点が含まれているときに起動し、
起動した前記案内呼出しフラグは前記案内データを読出してドライバに案内し、起動した前記ルート補正フラグは前記ナビゲーションルートにおいて前記有標識交差点から前記施設までのルートを前記現地ルートに書き替える、
データ構造。
【請求項7】
施設までのナビゲーションルートを生成するルート生成部と、
安心ルート案内制御部と、を備え、
該安心ルート案内制御部は、
データ保存部であって、有標識交差点、案内呼出しフラグ、ルート補正フラグ及び現地ルートを保存するデータ保存部、
前記案内呼出しフラグに対応する案内を保存する案内データ保存部、並びに
第1制御部であって、
前記データ保存部にアクセスして、前記ナビゲーションルートに前記有標識交差点が含まれており、かつ、該有標識交差点に前記ルート補正フラグが紐付けられていたとき、前記ナビゲーションルートにおいて前記有標識交差点から前記目的地までのルートを前記現地ルートに差し替える、ルート差し替え部、及び
前記データ保存部にアクセスして、前記ナビゲーション装置が前記有標識交差点を通過するとき、前記案内読出しフラグを起動し、前記案内データ保存部から読み出して、これを前記ナビゲーション装置のドライバに案内する、インターフェース部、
を有する、第1制御部と、
を有するナビゲーション装置。
【請求項8】
ルート生成部と、データ保存部と、案内データ保存部と、並びにルート差し替え部及びインターフェース部からなる第1制御部とを備える安心ルート案内制御部を備えてなるナビゲーション装置を用いたナビゲーション方法であって、
前記ルート生成部に、施設までのナビゲーションルートを生成させ、
前記安心ルート案内制御部のデータ保存部に、有標識交差点、案内呼出しフラグ、ルート補正フラグ及び現地ルートを保存させ、
前記案内データ保存部に、前記案内呼出しフラグに対応する案内を保存させ、
前記第1制御部のルート差し替え部に、前記データ保存部にアクセスさせて、前記ナビゲーションルートに前記有標識交差点が含まれており、かつ、該有標識交差点に前記ルート補正フラグが紐付けられていたとき、前記ナビゲーションルートにおいて前記有標識交差点から前記目的地までのルートを前記現地ルートに差し替えさせ、及び
前記インターフェース部に、前記データ保存部にアクセスさせて、前記ナビゲーション装置が前記有標識交差点を通過するとき、前記案内読出しフラグを起動させ、前記案内データ保存部から前記案内を読み出させ、これを前記ナビゲーション装置のドライバに案内させる、
ナビゲーション方法。
【請求項9】
ルート生成部と、データ保存部と、案内データ保存部と、並びにルート差し替え部及びインターフェース部からなる第1制御部とを備える安心ルート案内制御部を備えてなるナビゲーション装置のコンピュータ用のプログラムであって、
前記ルート生成部に、施設までのナビゲーションルートを生成させ、
前記安心ルート案内制御部のデータ保存部に、有標識交差点、案内呼出しフラグ、ルート補正フラグ及び現地ルートを保存させ、
前記案内データ保存部に、前記案内呼出しフラグに対応する案内を保存させ、
前記第1制御部のルート差し替え部に、前記データ保存部にアクセスさせて、前記ナビゲーションルートに前記有標識交差点が含まれており、かつ、該有標識交差点に前記ルート補正フラグが紐付けられていたとき、前記ナビゲーションルートにおいて前記有標識交差点から前記目的地までのルートを前記現地ルートに差し替えさせ、及び
前記インターフェース部に、前記データ保存部にアクセスさせて、前記ナビゲーション装置が前記有標識交差点を通過するとき、前記案内読出しフラグを起動させ、前記案内データ保存部から前記案内を読み出させ、これを前記ナビゲーション装置のドライバに案内させる、
コンピュータ用のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ナビゲーション装置に用いられる地図データ及びその地図データの生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ナビゲーション装置が用いる地図データは道路データを含み、この道路データはリンクとノードとからなる。リンクやノードにそれぞれコストが割り付けられており、目的地がセットされたナビゲーション装置のルート生成部は、現在位置から目的地までの総合コストが最小になるようにリンク及びノードを選択する。
この発明に関連する先行文献として、特許文献1~特許文献4を参照されたい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019‐020215号公報
【特許文献2】特開2011‐095050号公報
【特許文献3】特開2008‐032744号公報
【特許文献4】特開2003‐0185457公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ナビゲーション装置で案内された道路のリンクのコストと、現実の道路の運転しやすさとは必ずしも一致していない。現実の道路では交差点に掲げられた看板(標識)に描かれた現地ルートに沿って、道をすすめたほうが運転にストレスがかからない場合がある。ここで、現地ルートは、ナビゲーション装置が案内するナビゲーションルートと異なるものとする。
また、ナビゲーションルートに従った道路を選択したとしても、その道路の見通しが悪い場合には、ナビゲーションルートに沿った運転を躊躇したり、その道路に沿って運転することがドライバのストレスになったりすることがある。
【0005】
図1の例に示す交差点では、目的地の施設であるゴルフ場までのナビゲーションルートは左側の細い道路を示しているが、この道路はそれまで走行してきた道路に比べて極端に狭いので、ドライバがその道を見逃すこともあるし、また、狭い道路への左折を躊躇することがある。
図2の例の交差点では、目的地の施設であるキャンプ場までのナビゲーションルートは右折の道路を示している。しかし、ドライバの目線からは、その道路は道路奥の民家への導入路と映ることがあり、右折を躊躇することがある。また、看板が多いので、ドライバがその道を見逃すこともある。
【0006】
図3の例の交差点では、目的地の施設である寺までのナビゲーションルートは直進を示し、交差点に立てられている看板(標識)にも駐車場は直進したところにあることが示されている。しかし、看板の前には左側への広い道が存在しているので、ドライバはこの左側への広い道を選択しがちである。この道は行き止まりであるため、看板の情報が有効である。換言すれば、この交差点に到着したドライバの注意力を看板に向けさせることが好ましい。
【0007】
上記で説明したように、交差点の中には、ナビゲーションルートに沿って運転をしているにも拘わらずドライバを困惑させるものがある。
本発明者はかかる交差点に着目して検討したところ、かかる交差点には標識が立てられていることが多いことに気が付いた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は上記課題を解決すべくなされたものであり、その第1局面は次のように規定される。
交差点抽出部、現地ルート生成部、案内呼出しフラグ作成部、ナビゲーションルート生成部、ルート比較部、及びデータ保存部を備える地図データの生成装置を用いる、地図データの生成方法であって、
前記交差点抽出部に、特定の施設への現地ルートを案内する標識が立てられている有標識交差点を抽出させる交差点抽出ステップと、
前記現地ルート生成部に、前記標識に案内された現地ルートであって、前記有標識交差点から前記施設までのリンク列からなる現地ルートを生成させる現地ルート生成ステップと、
前記案内呼出しフラグ作成部に、前記有標識交差点と前記施設とに紐付けて案内呼出しフラグを作成させるステップと、該案内呼出しフラグはナビゲーション装置が前記有標識交差点を通過する際に所定の案内を読出して利用者に案内可能とする、
前記ナビゲーションルート生成部に、前記有標識交差点から前記標識で案内されている施設までのナビゲーションルートを既存のナビゲーションルールに基づき生成させるステップと、
前記ルート比較部に、前記現地ルートと前記ナビゲーションルートとを比較させるステップと、
前記ルート補正フラグ生成部に、前記現地ルートと前記ナビゲーションルートとが不一致のときルート補正フラグを作成させるルート補正フラグ生成ステップと、
ここに、前記案内呼出しフラグと前記ルート補正フラグとは、前記施設までのナビゲーションルートに前記有標識交差点が含まれているときに起動し、前記ルート補正フラグは前記ナビゲーションルートにおいて前記有標識交差点から前記施設までの部分を前記現地ルートに置き換える、
前記データ保存部に、前記有標識交差点の座標、前記案内呼出しフラグ、前記現地ルート及びルート補正フラグを保存させるステップと、
を備えてなる、地図データの生成方法。
【0009】
この地図データ生成方法は下記の地図データ生成装置により生成される。即ち、
交差点抽出部、現地ルート生成部、案内呼出しフラグ作成部、ナビゲーションルート生成部、ルート比較部、及びデータ保存部を備える地図データの生成装置であって、
前記交差点抽出部は、特定の施設への現地ルートを案内する標識が立てられている有標識交差点を抽出し、
前記現地ルート生成部は、前記標識に案内された現地ルートであって、前記有標識交差点から前記施設までのリンク列からなる現地ルートを生成し、
前記案内呼出しフラグ作成部は、前記有標識交差点と前記施設とに紐付けて案内呼出しフラグを作成し、該案内呼出しフラグはナビゲーション装置が前記有標識交差点を通過する際に所定の案内を読出して利用者に案内可能とする、
前記ナビゲーションルート生成部は、前記有標識交差点から前記標識で案内されている施設までのナビゲーションルートを既存のナビゲーションルールに基づき生成し、
前記ルート比較部は、前記現地ルートと前記ナビゲーションルートとを比較し、
前記ルート補正フラグ生成部は、前記現地ルートと前記ナビゲーションルートとが不一致のときルート補正フラグを作成し、
ここに、前記案内呼出しフラグと前記ルート補正フラグとは、前記施設までのナビゲーションルートに前記有標識交差点が含まれているときに起動し、前記ルート補正フラグは前記ナビゲーションルートにおいて前記有標識交差点から前記施設までの部分を前記現地ルートに置き換える、
前記データ保存部は、前記有標識交差点の座標、前記案内呼出しフラグ、前記現地ルート及びルート補正フラグを保存する、
地図データの生成装置。
【0010】
また、この地図データの生成装置のコンピュータを稼働させるプログラムは次のように規定される。
交差点抽出部、現地ルート生成部、案内呼出しフラグ作成部、ナビゲーションルート生成部、ルート比較部、及びデータ保存部を備える地図データの生成装置のコンピュータ装置に用いられるプログラムであって、
前記交差点抽出部に、特定の施設への現地ルートを案内する標識が立てられている有標識交差点を抽出させ、
前記現地ルート生成部に、前記標識に案内された現地ルートであって、前記有標識交差点から前記施設までのリンク列からなる現地ルートを生成させ、
前記案内呼出しフラグ作成部に、前記有標識交差点と前記施設とに紐付けて案内呼出しフラグを作成させ、該案内呼出しフラグはナビゲーション装置が前記有標識交差点を通過する際に所定の案内を読出して利用者に案内可能とする、
前記ナビゲーションルート生成部に、前記有標識交差点から前記標識で案内されている施設までのナビゲーションルートを既存のナビゲーションルールに基づき生成させ、
前記ルート比較部に、前記現地ルートと前記ナビゲーションルートとを比較させ、
前記ルート補正フラグ生成部に、前記現地ルートと前記ナビゲーションルートとが不一致のときルート補正フラグを作成させ、
ここに、前記案内呼出しフラグと前記ルート補正フラグとは、前記施設までのナビゲーションルートに前記有標識交差点が含まれているときに起動し、前記ルート補正フラグは前記ナビゲーションルートにおいて前記有標識交差点から前記施設までの部分を前記現地ルートに置き換える、
前記データ保存部に、前記有標識交差点の座標、前記案内呼出しフラグ、前記現地ルート及びルート補正フラグを保存させる、コンピュータ用のプログラム。
【0011】
このように規定される第1局面の地図データ生成方法によれば、有標識交差点に立てられている標識に基づき現地ルートが生成される。この現地ルートはリンク列からなるのでナビゲーション装置で利用可能となり、有標識交差点から施設までのルートとしてこの現地ルートが優先的に用いられる。
有標識交差点では、ナビゲーション装置による案内はもとより、その交差点での標識の確認もドライバに安心感をあたえる。そこで、ナビゲーション装置は、案内呼出しフラグに基づいて、ナビゲーション装置が有標識交差点を通過する際に所定の案内を読出して利用者に案内可能とする。所定の案内として、例えば「交差点の標識にご注意ください」、「交差点の標識に従って走行してください」などの案内を音声出力し、及び/又は画像出力する。
【0012】
ナビゲーション装置が有標識交差点を通過する際であっても、目的地が標識の案内対象と異なっておれば、標識の内容は意味をなさない。
従って、標識の案内対象である施設までのナビゲーションルートに前記有標識交差点が含まれているときに案内呼出しフラグとルート補正フラグとは起動する。
案内呼出しフラグが起動して上記の案内がなされ、ルート補正フラグが起動して、前記ナビゲーションルートにおいて有標識交差点から施設までの部分が現地ルートに書き替えられる。
【0013】
この発明の第2局面は次のように規定される。即ち、
第1局面の生成方法において、修正部が更に備えられ、該修正部に、プローブカーの走行情報に基づき、前記案内呼出しフラグ及び/又はルート補正フラグを無効にさせる。
プローブカーの走行情報を参照することで、有標識交差点から施設(標識が案内する)までの実際のルートが検証できる。換言すれば、ナビゲーションルートと現地ルートとの実際の使用割合が特定される。
かかる走行情報に基づき、ルート補正フラグや案内呼出しフラグを起動したり、起動させなかったりすることができる。
より具体的には、有標識交差点から施設までのプローブデータのルートがナビゲーションルートに沿ったものである割合が、所定以上のとき、案内呼出しフラグ及び/又はルート補正フラグを無効にすることができる(第3局面)
【0014】
このようにして生成された地図データは、次のように規定される(第4局面)。
有標識交差点を特定するデータと、
該有標識交差点に紐づけられた案内呼出しフラグを特定するデータと、
前記案内呼出しフラグに呼び出される案内データと、
前記有標識交差点から施設までの現地ルートを特定するリンク列データと、
前記有標識交差点に紐付けられたルート補正フラグを特定するデータと、
を備え、
ここに、前記案内呼出しフラグと前記ルート補正フラグは、前記施設までのナビゲーションルートに前記有標識交差点が含まれているときに起動し、
起動した前記案内呼出しフラグは前記案内データを読出してドライバに案内し、起動した前記ルート補正フラグは前記ナビゲーションルートにおいて前記有標識交差点から前記施設までのルートを前記現地ルートに書き替える、
データ構造。
【0015】
上記のデータ構造をデータ保存部に備えるナビゲーション装置(第5局面)は次のように規定される。
施設までのナビゲーションルートを生成するルート生成部と、
安心ルート案内制御部と、を備え、
該安心ルート案内制御部は、
データ保存部であって、有標識交差点、案内呼出しフラグ、ルート補正フラグ及び現地ルートを保存するデータ保存部、
前記案内呼出しフラグに対応する案内を保存する案内データ保存部、
第1制御部であって、
前記データ保存部にアクセスして、前記ナビゲーションルートに前記有標識交差点が含まれており、かつ、該有標識交差点に前記ルート補正フラグが紐付けられていたとき、前記ナビゲーションルートにおいて前記有標識交差点から前記目的地までのルートを前記現地ルートに差し替える、ルート差し替え部、及び
前記データ保存部にアクセスして、前記ナビゲーション装置が前記有標識交差点を通過するとき、前記案内読出しフラグを起動し、前記案内データ保存部から読み出して、これを前記ナビゲーション装置のドライバに案内する、インターフェース部、
を有する、第1制御部と、
を有するナビゲーション装置。
【0016】
かかるナビゲーション装置を用いるナビゲーション方法は次の様に規定される。
ルート生成部と、データ保存部と、案内データ保存部と、並びにルート差し替え部及びインターフェース部からなる第1制御部とを備える安心ルート案内制御部を備えてなるナビゲーション装置を用いたナビゲーション方法であって、
前記ルート生成部に、施設までのナビゲーションルートを生成させ、
前記安心ルート案内制御部のデータ保存部に、有標識交差点、案内呼出しフラグ、ルート補正フラグ及び現地ルートを保存させ、
前記案内データ保存部に、前記案内呼出しフラグに対応する案内を保存させ、
前記第1制御部のルート差し替え部に、前記データ保存部にアクセスさせて、前記ナビゲーションルートに前記有標識交差点が含まれており、かつ、該有標識交差点に前記ルート補正フラグが紐付けられていたとき、前記ナビゲーションルートにおいて前記有標識交差点から前記目的地までのルートを前記現地ルートに差し替えさせ、及び
前記インターフェース部に、前記データ保存部にアクセスさせて、前記ナビゲーション装置が前記有標識交差点を通過するとき、前記案内読出しフラグを起動させ、前記案内データ保存部から前記案内を読み出させ、これを前記ナビゲーション装置のドライバに案内させる、
ナビゲーション方法。
【0017】
ナビゲーション装置のコンピュータ装置に組み込まれるプログラムは次のように規定される。
ルート生成部と、データ保存部と、案内データ保存部と、並びにルート差し替え部及びインターフェース部からなる第1制御部とを備える安心ルート案内制御部を備えてなるナビゲーション装置のコンピュータ用のプログラムであって、
前記ルート生成部に、施設までのナビゲーションルートを生成させ、
前記安心ルート案内制御部のデータ保存部に、有標識交差点、案内呼出しフラグ、ルート補正フラグ及び現地ルートを保存させ、
前記案内データ保存部に、前記案内呼出しフラグに対応する案内を保存させ、
前記第1制御部のルート差し替え部に、前記データ保存部にアクセスさせて、前記ナビゲーションルートに前記有標識交差点が含まれており、かつ、該有標識交差点に前記ルート補正フラグが紐付けられていたとき、前記ナビゲーションルートにおいて前記有標識交差点から前記目的地までのルートを前記現地ルートに差し替えさせ、及び
前記インターフェース部に、前記データ保存部にアクセスさせて、前記ナビゲーション装置が前記有標識交差点を通過するとき、前記案内読出しフラグを起動させ、前記案内データ保存部から前記案内を読み出させ、これを前記ナビゲーション装置のドライバに案内させる、
コンピュータ用のプログラム。
【0018】
このように規定される第5局面のナビゲーション装置によれば、このナビゲーション装置が有標識交差点を通過する際、案内読出しフラグが起動して案内データの内容がドライバに対してなされる。これにより、道路選択を躊躇しがちな有標識交差点におけるドライバに安心感を与える。
このナビゲーション装置では、有標識交差点から施設までのルートとして標識が案内する現地ルートが優先的に使用される。
なお、ナビゲーション装置が有標識交差点を通過する際であっても、その目的地が標識の案内対象である施設と異なるときは、案内呼出しフラグやルート補正フラグが起動せず、ナビゲーション装置が生成したナビゲーションルートに沿っての標準的な案内がなされ、有標識交差点における固有の案内はなされない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は有標識交差点の実際例を示す。
図2図2は有標識交差点の他の実際例を示す。
図3図3は有標識交差点の他の実際例を示す。
図4図4は有標識交差点の例を示す模式図である。
図5図5はこの発明の実施形態の地図データ生成装置を示すブロック図である。
図6図6は他の実施形態の地図データ生成装置を示すブロック図である。
図7図7図5の地図データ生成装置の動作を示すフローチャートである。
図8図8はこの発明の実施形態のナビゲーション装置を示すブロック図である。
図9図9はナビゲーション装置の動作を示すフローチャートである。
図10図10は地図データ生成装置のハード構成を示すブロック図である。
図11図11はナビゲーション装置のハード構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、この発明の実施形態を、図面を参照しながら、説明する。
この発明の実施形態の地図データ生成装置1を用い、寺1を目的地として有標識交差点を通過するナビゲーションルートに適用される地図データの生成方法を説明する。
ここに、ナビゲーションルートとは、ナビゲーション装置のルート生成部により生成されるルートを指す。地図データは、一般的には、ナビゲーション装置がルート案内をするときに参照するデータの集合体を指す。この地図データにはリンク及びノードを規定する道路データの他、車線数、道幅、制限速度など各種の交通情報が含まれる。この発明では、有標識交差点においてナビゲーション装置が参照するデータを生成する。
【0021】
図4の例を参照して、有標識交差点Cには寺1用の標識1と寺2用の標識2が立てられている。標識1には有標識交差点Cにおいて左折することが案内されている。標識2には有標識交差点Cを直進することが案内されている。
寺1を目的地としたとき、車両1のナビゲーション装置のルート生成部は、汎用的なルート選択プログラムに従って、道幅に基づくコスト等から、道路L1、道路L2、道路L3からなるナビゲーションルート(図中矢印で示す)を生成する。
他方、標識1には道路L4からなる現地ルートが案内されている。
【0022】
寺2を目的地としたとき、車両1のナビゲーション装置のルート生成部は道路L1及び道路L2からなるナビゲーションルートが案内される。
なお、有標識交差点Cの標識2において寺2の案内がされているが、有標識交差点Cから寺2は視認できるものとし、道路L2は道幅が広く、運転が容易な道路である。
他方、寺1に続く道路L4の道幅は狭く、かつ、有標識交差点Cから寺1は視認できないものとする。
車両2では、寺1を目的地として設定したとき、そのナビゲーションルートには有標識交差点Cは含まれない。
【0023】
図5において、地図データ生成装置1は、交差点抽出部11、案内呼出しフラグ生成部13、現地ルート生成部15、ナビゲーションルート生成部17、データ保存部21、ルート比較部31及びルート補正フラグ生成部35を備える。
汎用地図データ保存部2に道路データメモリ3と道路画像データメモリ5とが備えられる。
道路データメモリ3にはリンクやノードのデータが保存される。ここに、交差点の座標はノードの座標として特定される。道路画像データメモリ5には道路走行画像撮影車の撮影した画像がその画像の座標とともに保存されている。
【0024】
交差点抽出部11は、道路データより交差点を割り出し、この交差点の座標における道路画像データを抽出する、この道路画像データを画像処理して、これに標識が含まれているかを特定する。標識が含まれている道路画像データに対応する座標の交差点を有標識交差点とする。
なお、このようにして抽出された道路画像データにつき、オペレータによる人の目で、有標識交差点においてドライバへの更なる案内が好ましいか否かの必要性を判断することもできる。
例えば、図4の例において、寺1については更なる案内をした方が好ましいが、寺2については更なる案内をしなくてもよい。寺2については有標識交差点から視認できているからである。よって、有標識交差点Cおいて設定される案内呼出しフラグは、寺1が目的地として指定したものに限られる。
【0025】
案内呼出しフラグ生成部13は、交差点抽出部11において有標識交差点として抽出された交差点に対して、目的地である施設に紐づけて案内呼出しフラグを生成する。図4の例では、ナビゲーションルートの目的地として寺1が設定されていることを条件として有標識交差点に案内読出しフラグが生成される。この案内呼出しフラグは寺2には紐づけられていない。この案内呼出しフラグはデータ保存部21の案内呼出しフラグメモリ23に保存される。
【0026】
現地ルート生成部15は、有標識交差点から寺1までの、標識が案内するルート(道路L4)に対応するリンク列を作成する。
このリンク列は、コンピュータ装置に、標識の画像に基づき、その案内内容を認識させて、有標識交差点から寺1までのルートを特定し、リンク列に変換させることにより得られる。このリンク列が現地ルートである。
リンク列の作成に際し、オペレータがマニュアルで修正及び/又は加筆することができる。
この現地ルートはデータ保存部21の現地ルートメモリ25に保存される。
【0027】
ナビゲーションルート生成部17は、汎用地図データ保存部2の道路データメモリ3の内容や図示しない道路情報を参照して、既存の汎用的なナビゲーションルート作成プログラムに基づき、有標識交差点から寺1までのナビゲーションルートを生成する。図4の例では道路L2及び道路L3を通るルートがナビゲーションルートである。
このナビゲーションルートはデータ保存部21のナビゲーションルートメモリ27に保存される。
【0028】
ルート比較部31は、有標識交差点から寺1までのルートにつき、現地ルートメモリ25に保存されている現地ルートとナビゲーションルートメモリ27に保存されているナビゲーションルートとを比較する。
ルート補正フラグ生成部35は、両者に違いがあるときに、ルート補正フラグを生成する。ルート補正フラグが生成されると、ナビゲーションルートメモリ27に保存されているナビゲーションルートのコストを上げて、及び/又は現地ルートメモリ25に保存されている現地ルートのコストを下げることにより、車両1のナビゲーション装置が寺1を目的地としてルート検索するとき、有標識交差点から寺1までは現地ルートが優先的に案内されるようにする。
【0029】
図6に、他の実施形態の地図データ生成装置100を示す。なお、図5と同一の要素には同一の符号を付してその説明を省略する。
図6において、プローブカー走行情報保存部40には、プローブカーの走行履歴が保存されている。
修正部43は有標識交差点から寺1まで走行したプローブカーの走行履歴を収集して、現地ルートとナビゲーションルートとの頻度を比較する。
ここに、ナビゲーションルートの頻度が高い場合は、補正ルートの採用を取りやめることができる。この場合、修正部43はルート補正フラグ生成部35により生成されたルート補正フラグを無効化する。
【0030】
プローブカーの走行履歴において有標識交差点でのプローブカーのブレーキ頻度が小さく、及び/又は、減速の頻度も小さいときは、有標識交差点での案内は不要と判断することができる。その場合、修正部43は案内呼出しフラグを無効化することができる。
上記において、寺1をナビゲーション装置で目的地としていないプローブカーの走行履歴を専ら採用することが好ましい。かかるプローブカーのドライバは寺1までのルートに慣れていると考えられるからである。
【0031】
図7のフローチャートに従って、地図データ生成装置1による地図データ生成方法を説明する。
ステップ1では、交差点抽出部11が汎用地図データ保存部2に保存されている道路データと道路画像データに基づいて、有標識交差点を抽出する。例えば、道路データのノードの座標に対応する道路画像データを画像処理して標識の有無を特定し、標識の存在が認められた交差点を有標識交差点とすることができる。
このように抽出された有標識交差点について、更にオペレータが目視観察して、ドライバにとって注意喚起すべきものを選別することができる。かかるオペレータによる選別を許容する装置も交差点抽出部11を構成する。
ステップ1で抽出された有標識交差点の座標はデータ保存部21の有標識交差点メモリ22に保存される。
【0032】
ステップ3では、現地ルート生成部15が有標識交差点の標識の案内内容からこの標識の案内対象(施設)までのルートを生成し、現地ルートとする。現地ルートの生成は、標識の内容を画像処理して、標識の案内内容に沿った施設までのリンク列を生成することによる。なお、標識の画像が不鮮明であるときは、オペレータが、現地に赴いたり、他の道路走行画像撮影車の撮影画像や航空写真を参照にしたりして、有標識交差点から施設までの現地ルートをマニュアルで作成することもできる。現地ルートのマニュアル作成を許容する装置も現地ルート生成部15を構成する。
このようにして生成された現地ルートはデータ保存部21の現地ルートメモリ25に保存される。
【0033】
ステップ5では、有標識交差点につき案内呼出しフラグを生成する。
この案内呼出しフラグは、ナビゲーション装置が有標識交差点に近づいたり、これを通過したりするときに、その交差点を通過するドライバに適した、換言すれば、ドライバのストレスを取り去り、運転の安全性を確保することに供する案内を選択し、これをナビゲーション装置を介して出力させる。
案内の例として、「交差点の標識にご注意ください」、「交差点の標識に従って走行してください」、「道は狭いですが左折してください」等、有標識交差点の状況に応じて任意に設定できる。
この案内呼出しフラグは有標識交差点に立てられた標識の案内対象である施設に紐付けられる。即ち、この施設が目的地として設定されているときにのみ稼働する。
【0034】
ステップ7では、ルート生成部17が有標識交差点から施設までのルートを、ナビゲーション装置の既存の汎用的なプログラムに従って生成し、データ保存部21のナビゲーションルートメモリ27に保存する。
ステップ9では、ルート比較部31が現地ルートメモリ25に保存されている現地ルートとナビゲーションルートメモリ27に保存されているナビゲーションルートとを比較する。比較の結果、両者が異なるとき(ステップ9:N)、現地ルートを補正ルートとするためのルート補正フラグがルート補正フラグ生成部35により生成され、ルート補正フラグメモリ29に保存される(ステップ11)。
【0035】
このようにして、地図データ生成装置1で生成され、有標識交差点メモリ22に保存された有標識交差点を特定するデータ、案内呼出しフラグメモリ23に保存された案内呼出しフラグを特定するデータ、現地ルートメモリ25に保存される現地ルートを特定するリンク列データ、及びルート補正フラグメモリ29に保存されたルート補正フラグを特定するデータはデータ構造として、ナビゲーション装置の地図データに組み込まれて、利用される。
【0036】
上記のデータ構造を利用するナビゲーション装置200を図8に示す。
このナビゲーション装置200はナビゲーション実行部250とナビゲーション用地図データ保存部270とを備えてなる。
ナビゲーション実行部250は入力部251、現在位置特定部253、ルート生成部255、案内部259及び第1制御部261を備える。
入力部251は、タッチパネルなどのナビゲーション装置に備えられる汎用的な入力インターフェースからなる。現在位置特定部253はGPSやジャイロを用いて、ナビゲーション装置の現在位置を特定する。ルート生成部255は現在位置から目的地までのルートを所定のプログラムに従って生成する。案内部259はナビゲーション装置に備えられるディスプレイや音声出力装置が該当する。
【0037】
第1制御部261はルート差し替え部262とインターフェース部263とを備える。
ルート差し替え部262は、目的地までのルートに目的地に紐づけられた有標識交差点が存在し、かつルート補正フラグが存在したとき、ナビゲーションルートにおいて有標識交差点から目的地までのルートを現地ルートに差し替える。
インターフェース部263はナビゲーション装置が有標識交差点に近づいたり、通過したりするとき、案内読出しフラグが指定した案内を、案内データ保存部280から読み出す。この案内が案内部259を介してドライバに伝達される。
【0038】
ナビゲーション用地図データ保存部270には、道路データ保存部271に加えて、データ保存部21が組み込まれる。
案内データ保存部280には、案内読出しフラグが読み出すべき案内の内容が保存される。
データ保存部21、第1制御部261及び案内データ保存部280で安心ルート案内部260が構成される。
【0039】
図9のフローチャートに基づきナビゲーション装置200の動作を説明する。
ステップ21において、ドライバは目的地とする施設を特定し、入力部251を介して入力すると、ルート生成部255は現在位置から施設までのナビゲーションルートを生成する。このナビゲーションルートは案内部259を介してドライバへ案内される。
ステップ23において、施設に紐づけられた有標識交差点がナビゲーションルートに有るか無いかが判断される。有標識交差点が存在したとき(ステップ23:Y)、ステップ24において、そこにルート補正フラグの存在を確認する。ルート補正フラグが存在したとき(ステップ24:Y)、有標識交差点から施設までのルートとして現地ルートを採用する。
【0040】
ステップ27では、ナビゲーション装置が有標識交差点に接近しているか否かを判定し、例えば有標識交差点の20m前まで到着したときに(ステップ27:Y)、インターフェース部263は案内呼出しフラグメモリ23から案内読出しフラグを読出し(ステップ29)、この案内呼出しフラグに対応した案内を、案内データ保存部280から読み出して、案内部259を介してドライバに案内する(ステップ31)。
【0041】
上記において、図4の例では、車両1であっても寺2を目的地としたときは、有標識交差点Cを通過しても案内呼出しフラグは何ら起動しない。車両2においては、寺1が目的地であっても当所のナビゲーションルート(道路L5→道路L3)に有標識交差点Cが含まれていないので、そもそも案内呼出しフラグが起動することはない。
【0042】
図10に、図5に示した地図データ生成装置1のハード構成を示す。
演算部300はCPU301、ROM303及びRAM305を備え、システム全体の制御をつかさどる。それとともに、交差点抽出部11、案内呼出しフラグ生成部13、現地ルート生成部15、ナビゲーションルート生成部17、ルート比較部31及びルート補正フラグ生成部35の演算部分をつかさどる。ROM303は、演算部300を制御する制御プログラム等が格納された不揮発性メモリである。RAM305はCPU301に対してワーキングエリアを提供する。演算部300を制御する制御プログラムはROM303に限らずRAM305や第1、第2記憶装置340及び350に格納されていてもよい。出力装置320を介して各種のデータが出力される。有標識交差点や現地ルートについて、入力装置330を介してオペレータによる入力が可能となる。
【0043】
第1記憶装置340はデータ保存部21として機能する。
第2記憶装置350は汎用地図データ保存部2として機能する。
第1、第2記憶装置340、350はハードメモリやフラッシュメモリなど、サーバシステムのメモリ装置の一部の領域を利用することが好ましい。
一時的に保存されるデータ用保存部としての、いわゆるバッファメモリには、演算部のRAMの一部領域を利用できる。外部の通信ネットワークには通信インターフェース360でつながれる。
コンピュータを構成する各装置はシステムバス370で連結されている。
【0044】
図11に、図8に示したナビゲーション装置200のハード構成を示す。
演算部400はCPU401、ROM403及びRAM405を備え、システム全体の制御をつかさどる。それとともに、ナビゲーション実行部250の演算部分をつかさどる。即ち、現在位置特定部253、ルート生成部255、第1制御部261として機能する。ROM403は、演算部400を制御する制御プログラム等が格納された不揮発性メモリである。RAM405はCPU401に対してワーキングエリアを提供する。演算部400を制御する制御プログラムはROM403に限らずRAM405や第1、第2記憶装置440及び450に格納されていてもよい。案内部259を介して各種のナビゲーションデータが利用者に案内される。入力部251を介して施設の選択条件などが利用者により入力される。
【0045】
第1記憶装置440は道路データ保存部271として機能する。これは汎用的なナビゲーション装置に備えられるものである。
第2記憶装置450はデータ保存部21及び案内データ保存部280として機能する。
第1、第2記憶装置440、450はハードメモリやフラッシュメモリなど、サーバシステムのメモリ装置の一部の領域を利用することが好ましい。
一時的に保存されるデータ用保存部としての、いわゆるバッファメモリには、演算部のRAMの一部領域を利用できる。外部の通信ネットワークには通信インターフェース460でつながれる。
コンピュータを構成する各装置はシステムバス470で連結されている。
【0046】
この発明は、上記発明の実施の形態及び実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
【符号の説明】
【0047】
1、100 地図データ生成装置
11 交差点抽出部
13 案内呼出しフラグ生成部
15 現地ルート生成部
17 ナビゲーションルート生成部
21 データ保存部
31 ルート比較部
35 ルート補正フラグ生成部
43 修正部
200 ナビゲーション装置
255 ルート生成部
261 第1制御部
262 ルート差し替え部
263 インターフェース部
280 案内データ保存部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11