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  • 特開-ドリル径確認冶具 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104698
(43)【公開日】2024-08-05
(54)【発明の名称】ドリル径確認冶具
(51)【国際特許分類】
   G01B 3/30 20060101AFI20240729BHJP
【FI】
G01B3/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023009056
(22)【出願日】2023-01-24
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】山口 隆弘
【テーマコード(参考)】
2F061
【Fターム(参考)】
2F061AA23
2F061CC34
2F061DD26
2F061GG04
2F061JJ31
(57)【要約】
【課題】簡易な作業で精度よく穴ピッチを測長可能な穴ピッチ測長補助具を提供する。
【解決手段】ドリル径を確認する場合に使用される冶具であって、作業者が把持可能に形成された本体部10と、前記本体部10の側面に内側へ向けて凹むように形成され、対応するドリル径と各々同一の幅を有する複数の凹部20と、を具備する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドリル径を確認する場合に使用される冶具であって、
作業者が把持可能に形成された本体部と、
前記本体部の側面に内側へ向けて凹むように形成され、対応するドリル径と各々同一の幅を有する複数の凹部と、
を具備する、
ドリル径確認冶具。
【請求項2】
前記複数の凹部は、
前記本体部の側面の長さ方向に沿って、幅が大きい凹部から幅が小さい凹部へと順番に並ぶように設けられる、
請求項1に記載のドリル径確認冶具。
【請求項3】
前記複数の凹部は、
前記本体部の側面のうち、第一の側面に形成される複数の第一の凹部と、当該第一の側面とは異なる第二の側面に形成される複数の第二の凹部と、を含む、
請求項2に記載のドリル径確認冶具。
【請求項4】
前記複数の第一の凹部と前記複数の第二の凹部とは、千鳥状に設けられる、
請求項3に記載のドリル径確認冶具。
【請求項5】
前記複数の凹部のうち、幅が大きいもの順に、奇数番目の凹部は前記複数の第一の凹部に含まれ、偶数番目の凹部は前記複数の第二の凹部に含まれる、
請求項4に記載のドリル径確認冶具。
【請求項6】
前記第二の側面には、
所定のフック状の部材に引っ掛けられるフック部が形成される、
請求項5に記載のドリル径確認冶具。
【請求項7】
前記凹部の底部は、
対応するドリル径を直径とした半円状に形成される、
請求項1から請求項6までの何れか一項に記載のドリル径確認冶具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドリル径を確認するためのドリル径確認冶具の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ドリル径を確認するための技術は公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
【0003】
例えば、特許文献1には、レーザビームを投光するセンサーユニット等を備え、ドリル径を自動的に確認可能な測定装置が開示されている。しかしながら、このような測定装置は、複雑な構成を有するため、費用や配置スペース等の観点から採用し難い。そのため簡易な構成を備え、作業者の作業によりドリル径を確認できる技術が求められる。
【0004】
そこで、例えば作業者が、ノギスを用いてドリル径を確認する方法がある。しかしながら、ノギスを用いた作業は、例えばドリルを加工設備に取り付けた場合等に、作業スペース等の問題により作業性が低下するおそれがある。
【0005】
そこで、例えば市販されている公知のドリルゲージを用いてドリル径を確認する方法がある。ここで、前記ドリルゲージとは、平板状の部材に対して、互いに径の大きさが異なる複数の孔が形成されるものである。こうして、作業者は、前記ドリルゲージの複数の孔にドリルを順次差し込んでみて、当該ドリルが隙間なく挿通された孔によりドリル径を確認できる。
【0006】
しかしながら、前記ドリルゲージの複数の孔のうち、本来の径よりも小さい径の孔にドリルを差し込もうとした場合、当該ドリルの刃によって前記孔が広がってしまい、ドリル径を正確に確認できない場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開平6-61437号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、以上の如き状況を鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、作業者による簡易な作業で精度よくドリル径を確認できるドリル径確認冶具を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0010】
即ち、請求項1においては、ドリル径を確認する場合に使用される冶具であって、作業者が把持可能に形成された本体部と、前記本体部の側面に内側へ向けて凹むように形成され、対応するドリル径と各々同一の幅を有する複数の凹部と、を具備するものである。
【0011】
請求項2においては、前記複数の凹部は、前記本体部の側面の長さ方向に沿って、幅が大きい凹部から幅が小さい凹部へと順番に並ぶように設けられるものである。
【0012】
請求項3においては、前記複数の凹部は、前記本体部の側面のうち、第一の側面に形成される複数の第一の凹部と、当該第一の側面とは異なる第二の側面に形成される複数の第二の凹部と、を含むものである。
【0013】
請求項4においては、前記複数の第一の凹部と前記複数の第二の凹部とは、千鳥状に設けられるものである。
【0014】
請求項5においては、前記複数の凹部のうち、幅が大きいもの順に、奇数番目の凹部は前記複数の第一の凹部に含まれ、偶数番目の凹部は前記複数の第二の凹部に含まれるものである。
【0015】
請求項6においては、前記第二の側面には、所定のフック状の部材に引っ掛けられるフック部が形成されるものである。
【0016】
請求項7においては、前記凹部の底部は、対応するドリル径を直径とした半円状に形成されるものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0018】
本発明においては、作業者による簡易な作業で精度よくドリル径を確認できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態に係るドリル径確認冶具を示した斜視図。
図2】同じく、平面図。
図3】(a)ドリル径確認冶具を用いた確認作業の一例を示した模式図。(b)図3(a)の続きを示した模式図。(c)図3(b)の続きを示した模式図。
図4】(a)図3(c)の続きを示した模式図。(b)図4(a)の続きを示した模式図。(c)図3(a)の続きの別例を示した模式図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下の説明においては、図中に記した矢印に従って、上下方向、左右方向及び前後方向をそれぞれ定義する。
【0021】
以下では、本発明の一実施形態に係る確認冶具1について説明する。なお各図面においては、便宜上、大きさや形状が誇張して示され、また部材の図示が省略される場合がある。
【0022】
図1及び図2に示す確認冶具1は、ドリルDの径(ドリル径)を確認する場合に使用される冶具である。ドリルDとは、軸方向に加工を行うための切削工具であり、本実施形態では所定の加工設備に取り付けられるものを想定している。確認冶具1は、このようなドリルDに対して、作業者による作業でドリル径を確認可能なものである、確認冶具1は、本体部10及び凹部20具備する。
【0023】
本体部10は、確認冶具1の主たる構造体である。本体部10は、略板状に形成される。本体部10は、所定方向(本実施形態では、前後方向)に延びる長尺状に形成される。本体部10は、作業者により把持可能に構成される。なお本体部10は、所定の厚み(上下方向幅)を有することにより、作業者により把持し易く構成される。本体部10は、フック孔11及びドリル径表示部12を具備する。なお以下では、本体部10の左側面及び右側面を、左側面10L及び右側面10Rと称する場合がある。
【0024】
フック孔11は、所定のフック状の部材により引っ掛ける部分である。フック孔11は、本体部10の角部(本実施形態では、右側面10Rの前端部)に形成される。フック孔11は、本体部10の角部において切り欠かれたような部分を、側方からハンドル状の部分11aで囲うことにより、上下方向に貫通するように形成される。こうして、例えば壁部に設けられたフック(所定のフック状の部材)にフック孔11を引っ掛けることにより、確認冶具1を当該壁部に吊るした状態で保管することができる。
【0025】
ドリル径表示部12は、ドリル径を表示する部分である。なおドリル径表示部12の構成については後述する。
【0026】
凹部20は、本体部10の左右側面10L・10Rに、当該本体部10の内側へ向けて凹むように形成された部分である。凹部20は、一対の側面部21と、底部22と、を具備する。
【0027】
一対の側面部21は、互いに対向する部分(側面)である。一対の側面部21は、本体部10の左右側面10L・10Rから内側に延びるように形成される。一対の側面部21は、互いに対向する側面が平行となるように形成される。底部22は、一対の側面部21の内側端部を互いに接続する部分(底面)である。底部22は、平面視で、一対の側面部21の幅(前後方向幅)を直径とする半円状に形成される。
【0028】
また凹部20は、複数(本実施形態では、10個)形成される。複数の凹部20は、対応するドリル径と各々同一の幅(前後方向幅)を有するように形成される。凹部20は、その内側にドリルDを嵌め込むことで、ドリル径を確認するように構成される。なおドリル径の確認作業については後述する。ここで、前記「対応するドリル径」とは、当該凹部20において、確認できるドリル径を指す。例えば、対応するドリル径がφ30mmである場合、凹部20は、30mmの幅を有し、φ30mmのドリル径を確認できる。
【0029】
複数の凹部20は、上述の如く本体部10の左右側面10L・10Rに形成される。本実施形態においては、本体部10の左右側面10L・10Rに、それぞれ5つの凹部20が形成される。左側面10Lの5つの凹部20と右側面10Rの5つの凹部20とは、左右方向に互いに対向しないように、前後方向位置が互いに異なる(ズレる)ように形成される。すなわち、左側面10Lの5つの凹部20と右側面10Rの5つの凹部20とは、千鳥状に形成される。これにより、本体部10の左右方向幅をできるだけ小さくできる。
【0030】
また左右側面10L・10Rの5つの凹部20は、それぞれの側面において、長手方向(前後方向)の一方の端部近傍から他方の端部近傍に亘るように形成される。これにより、作業者が本体部10を把持する場合に、当該本体部10を前側又は後側の何れの側から把持した場合であっても、当該作業者の指を凹部20に引っ掛けることができる。こうして、作業者が確認冶具1を使用する場合に、当該確認冶具1が作業者の手から滑り落ちて落下するのを抑制できる。
【0031】
左右側面10L・10Rの5つの凹部20は、それぞれ本体部10の前側から後側へ行くに従って、幅の大きい凹部20から幅が小さい凹部20へと順番に並ぶように設けられる。また、左右側面10L・10Rの5つの凹部20は、それぞれ前後方向に互いに適宜の間隔をあけて設けられる。
【0032】
具体的には、例えば左側面10Lの5つの凹部20のうち互いに隣り合う凹部の間隔は、当該間隔の右方に配置される右側面10Rの凹部20の幅と同一に形成される。こうして、左側面10Lの5つの凹部20のうち互いに隣り合う凹部20の間隔は、本体部10の前側から後側へ行くに従って、幅が段階的に小さくなるように設けられる。また右側面10Rの5つの凹部20のうち互いに隣り合う凹部20の間隔も、これと同様に設けられる。
【0033】
また、上述の如く本実施形態では、10個の凹部20が設けられる。左側面10Lには、前記5つの凹部20として、10個の凹部20のうち、幅が大きいもの順で奇数番目の凹部20が形成される。具体的には、左側面10Lには、幅が大きいもの順で、1番目の凹部20から、3番目、5番目、7番目、9番目の凹部20が、前側から後側へ向けて順番に形成される。また右側面10Rには、前記5つの凹部20として、10個の凹部20のうち、幅が大きいもの順で偶数番目の凹部20が形成される。具体的には、左側面10Lには、幅が大きいもの順で、2番目の凹部20から、4番目、6番目、8番目、10番目の凹部20が、前側から後側へ向けて順番に形成される。
【0034】
また、10個の凹部20の奥行きの長さ(左右方向の長さ)は、互いに異なるように形成される。具体的には、各凹部20の一対の側面部21の左右方向の長さは、当該凹部20の、対応するドリル径よりも若干長くなるように形成される。こうして、凹部20の奥行きの長さは、後述するドリル径の確認作業において、凹部20にドリルDを嵌め込んだ場合、平面視において当該ドリルDが、凹部20の内側に全て収納され、かつ、本体部10の側面(左右側面10L・10R)から離れた奥側にまで入り込まないように形成される。
【0035】
ドリル径表示部12は、各凹部20において、対応するドリル径を表示する部分である。本実施形態では、ドリル径表示部12は、対応するドリル径の数値を表示する。ドリル径表示部12は、各凹部20の底部22の近傍に形成される。ドリル径表示部12は、本体部10の表面を凹ませることにより立体的に形成される。
【0036】
ここで、例えば本実施形態とは異なり、本体部10の表面に、対応するドリル径の数値を印字した場合、剥がれ落ちや汚れ等によって数値を識別困難となる場合が想定される。これに対して、本実施形態に係るドリル径表示部12は、立体的に形成されるため、剥がれ落ちや汚れ等によって数値が識別困難となるのを抑制できる(識別容易な状態を維持できる)。またドリル径表示部12を構成する凹みの内側を着色すれば、数値をより識別し易くできる。ドリル径表示部12は、本体部10の上側面及び下側面の両方に形成される(図3等参照)。
【0037】
以下では、図3及び図4を用いて、上述の如く構成された確認冶具1を用いた、作業者によるドリル径の確認作業について説明する。
【0038】
作業者は、ドリル径を確認したいドリルDがある場合、まず目視にて大まかに当該ドリルDのドリル径を推測する。次に作業者は、確認冶具1において、推測したドリル径に相当する幅を有する凹部20の位置を、ドリル径表示部12により確認する。次に作業者は、本体部10を介して確認冶具1を把持し、確認した凹部20をドリルDへ近づける。
【0039】
この場合、図3(a)に示すように、作業者は、ドリルDの側方(長手方向に対して直交する方向)から当該凹部20を押し当てるようにして、当該凹部20に対してドリルDが隙間無く嵌まるか否か確認する。なお本実施形態において、凹部20に対してドリルDが隙間無く嵌まる状態とは、ドリルDの外周面に対して、凹部20の一対の側面部21の両方が当接した状態、及び、凹部20の底部22の全部が当接した状態の、少なくとも一方を満たした状態を意味する。
【0040】
例えば、作業者は、ドリル径がφ18mmであると推測した場合、確認冶具1の前側を把持し、ドリルDに対して確認冶具1の左側面10Lを近づけて、後側から2番目のφ18mmの凹部20に当該ドリルDが隙間無く嵌まるか否かを確認する。
【0041】
図3(b)に示すように、仮にドリルDに対してφ18mmの凹部20(左側面10Lの後側から2番目の凹部20)が嵌まらなかった場合、ドリル径がφ18mmよりも大きいことが分かる。この場合、作業者は、図3(c)及び図4(a)に示すように、確認冶具1の上下を反転させて、次にドリルDに対して確認冶具1の右側面10Rを近づけて、φ18mmの凹部20の次に幅の大きな凹部20(後側から3番目のφ21mmの凹部20)にドリルDが隙間無く嵌まるか否かを確認する。
【0042】
こうして、図4(b)に示すように、仮にドリルDに対してφ21mmの凹部20(右側面10Rの後側から2番目の凹部20)が隙間なく嵌まった場合、ドリル径がφ21mmであることが分かる。
【0043】
また図4(c)に示すように、仮にドリルDに対してφ18mmの凹部20(左側面10Lの後側から2番目の凹部20)が嵌まった場合でも、当該ドリルDと当該凹部20との間に隙間があれば、ドリル径がφ18mmよりも小さいことが分かる。この場合、作業者は、確認冶具1の上下を反転させて、次にドリルDに対して確認冶具1の右側面10Rを近づけて、φ18mmの凹部20の次に幅の小さな凹部20(後側から2番目のφ17mmの凹部20)にドリルDが隙間無く嵌まるか否かを確認する。
【0044】
このように、作業者は、ドリルDに対して確認冶具1の上下の反転を繰り返して、左側面10Lの凹部20又は右側面10Rの複数の凹部20の中から、ドリルDが隙間無く嵌まる凹部20を探し出す。こうして、ドリルDが隙間無く嵌まる凹部20が見つかった場合、作業者は、当該凹部20の幅がドリルDのドリル径であると確認できる。
【0045】
以上の如く、本実施形態に係る確認冶具1においては、
ドリル径を確認する場合に使用される冶具であって、
作業者が把持可能に形成された本体部10と、
前記本体部10の側面に内側へ向けて凹むように形成され、対応するドリル径と各々同一の幅を有する複数の凹部20と、
を具備するものである。
【0046】
このような構成により、作業者による簡易な作業で精度よくドリル径を確認できる。
具体的には、作業者は、確認冶具1を側方からドリルDに当て嵌めるという簡易な作業によりドリル径を確認できる。またこれによれば、ドリル径の確認作業の短縮化を図ることもできる。また上述の如く確認冶具1はドリルDの側方から当て嵌められるため、ドリルDの刃により確認冶具1が削られることを抑制できる。すなわち、確認冶具1の凹部20の幅を当初のまま維持できるため、ドリル径を精度よく確認できる。
【0047】
また確認冶具1は簡易な構成により比較的コンパクトに形成できるため、例えばドリルDが加工設備に取り付けられた場合(作業スペースが比較的狭い場合)でも、作業者がドリル径の確認作業を容易に行うことができる。
【0048】
また作業者は例えばノギスを使用した場合のように、細かな目盛りから正確な数値を読み出す必要がないため、例えば作業現場が比較的暗い場合でも、ドリル径の確認作業を容易に行うことができる。また作業者は、一方の手で確認冶具1を把持できるため、もう一方(他方)の手で別の道具を使用できる。例えば作業者は、前記他方の手で懐中電灯を把持し、ドリルDと確認冶具1の凹部20との当て嵌め状態を、照らしながら確認することもできる。
【0049】
また、ドリル径の確認作業が比較的容易となるため、作業者が熟練者である場合だけでなく、新規入職者や海外実習生である場合も、精度よくドリル径を確認できる。
【0050】
また、確認冶具1において、
前記複数の凹部20は、
前記側面の長さ方向に沿って、幅が大きい凹部20から幅が小さい凹部20へと順番に並ぶように設けられるものである。
【0051】
このような構成により、作業者が所望の幅を有する凹部20を見つけ易くでき、作業効率を向上できる。
【0052】
また、確認冶具1において、
前記複数の凹部20は、
前記本体部10の側面のうち、左側面10L(第一の側面)に形成される複数の左側面10Lの凹部20(第一の凹部)と、当該左側面10L(第一の側面)とは異なる右側面10R(第二の側面)に形成される複数の右側面10Rの凹部20(第二の凹部)と、を含むものである。
【0053】
このような構成により、本体部10の2つの側面を用いて、複数の凹部20を効率よく形成できる。また凹部20を左側面10L(第一の側面)及び右側面10R(第二の側面)に形成することによって、作業者がドリル径の確認作業を行う場合、確認冶具1の上下を繰り返し反転させることとなる。これによれば、ドリルDが隙間無く嵌まった凹部20があった場合、作業者が他の凹部20と混同するのを抑制し、正しい凹部20を識別し易くできる。
【0054】
また、確認冶具1において、
前記複数の左側面10Lの凹部20(第一の凹部)と前記複数の右側面10Rの凹部20(第二の凹部)とは、千鳥状に設けられるものである。
【0055】
このような構成により、本体部10の左右方向幅をできるだけ小さくでき、確認冶具1のコンパクト化を図ることができる。
【0056】
また、確認冶具1において、
前記複数の凹部20のうち、幅が大きいもの順に、奇数番目の凹部20は前記複数の左側面10Lの凹部20(第一の凹部)に含まれ、偶数番目の凹部20は前記複数の右側面10Rの凹部20(第二の凹部)に含まれるものである。
【0057】
このような構成により、互いに隣り合う凹部20の大きさの違いを作業者が識別し易くできる。すなわち、ドリルDが隙間無く嵌まった凹部20があった場合、作業者が他の凹部20と混同するのを抑制し、正しい凹部20を識別し易くできる。
【0058】
また、確認冶具1において、
前記右側面10R(第二の側面)には、
所定のフック状の部材に引っ掛けられるフック孔11が形成されるものである。
【0059】
このような構成により、確認冶具1を壁部に吊るした状態で保管することができる。また、フック孔11は、右側面10R(すなわち、左側面10Lと比較して、比較的幅の小さい凹部20が形成される側面)に形成されるため、本体部10のスペースを効率よく利用できる。
【0060】
また、確認冶具1において、
前記凹部20の底部22は、
対応するドリル径を直径とした半円状に形成されるものである。
【0061】
このような構成により、作業者のドリル径の確認作業において、ドリルDが凹部20に隙間無く嵌まる場合、当該ドリルDを一対の側面部21だけでなく、底部22でも当接しているか確認できるため(すなわち、ダブルチェックができるため)、正しい凹部20を識別し易くできる。
【0062】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0063】
例えば、本実施形態において、ドリルDは、軸方向に加工する工具としたが、これに限定されない。例えば、ドリルには、回転軸と直交した方向に加工可能なエンドミルが含まれる。このように、本発明に係るドリル径確認冶具を用いてドリル径を確認するドリルとしては、用途や機能に限定されず、種々のドリルが採用される。
【0064】
また確認冶具1は、例えば切削加工や3Dプリンタ等の種々の方法により製造することができる。
【0065】
また凹部20の個数や並べ方は、本実施形態に係るものに限定されない。また凹部20の形状も、本実施形態に係るものに限定されない。例えば凹部20の底部22は半円状ではなく直線状に形成されてもよい。また例えば凹部20は、一対の側面部21において外側の部分が、外側にいくに従って幅が広がるようなテーパ状に形成されてもよい。これによれば、ドリルDに凹部20を嵌める場合に、ドリルDを凹部20へ導き易くできる。
【符号の説明】
【0066】
1 確認冶具
10 本体部
20 凹部
D ドリル
図1
図2
図3
図4