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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104701
(43)【公開日】2024-08-05
(54)【発明の名称】ゴルフボール送球装置
(51)【国際特許分類】
   A63B 69/36 20060101AFI20240729BHJP
   A63B 47/02 20060101ALI20240729BHJP
【FI】
A63B69/36 522V
A63B47/02 Z
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023009059
(22)【出願日】2023-01-24
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-01-18
(71)【出願人】
【識別番号】596120245
【氏名又は名称】喜和産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001405
【氏名又は名称】弁理士法人篠原国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100065824
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100104983
【弁理士】
【氏名又は名称】藤中 雅之
(74)【代理人】
【識別番号】100166394
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 和弘
(72)【発明者】
【氏名】安岡 進一郎
(57)【要約】
【課題】ボールの供給に支障を来たさず、ブロワによる送球力を最大に活用可能なゴルフボール送球装置の提供。
【解決手段】ブロワ11、空気吸引用ホース52’、空気圧送用ホース52、ボール吸引用ホース65、ボール圧送用ホース63、箱体12、箱体内で第2収容部30側に傾斜しゴルフボールを個別に区分け配置させる複数の個別配置部15bを有し回転により夫々の個別配置部がホース52の端部とホース63の端部との間を順次通過するように設けられた回転盤15、回転盤の上側半分の第1収容部20側の面を覆うとともに、ホース52の端部と密封状態で接続する開口部13aを備えた板部材13、回転盤の軸の周りの第2収容部30側の面を覆い、板部材13と相俟って回転する回転盤の上側半分の両面を密封状態で挟むとともに、ホース63の端部と密封状態で接続する開口部14aを備えた板部材14を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルフ練習場において、第1の位置に配設された第1のボール収容部内のゴルフボールを第2の位置に配設された第2のボール収容部まで送球するゴルフボール送球装置であって、
少なくとも1台のブロワと、
その一端が前記ブロワの空気吸入口に接続された空気吸引用ホースと、
その一端が前記ブロワの空気排出口に接続された空気圧送用ホースと、
その一端が前記第1のボール収容部に接続されたゴルフボール吸引用ホースと、
その一端が前記第2のボール収容部に接続されたゴルフボール圧送用ホースと、
前記空気吸引用ホースの他端と前記ゴルフボール吸引用ホースの他端の夫々と接続するとともに、前記空気圧送用ホースの他端と前記ゴルフボール圧送用ホースの他端とを対向させた状態で内部に導き入れている箱体と、
前記箱体の内部において前記第2のボール収容部側に傾斜し、円盤部と前記円盤部の外周に沿って形成された、ゴルフボールを個別に区分けして配置させる複数の個別配置部を有し、前記円盤部を通る軸を中心に回転し、回転により夫々の前記個別配置部が前記空気圧送用ホースの他端と前記ゴルフボール圧送用ホースの他端との間を順次通過するように設けられた回転盤と、
前記箱体の内部に固定され、前記回転盤における上側半分の前記第1のボール収容部側の面を密接するように覆うとともに、前記空気圧送用ホースの他端と密封状態で接続する第1の開口部を備えた第1の板部材と、
前記箱体の内部に固定され、前記回転盤における前記軸の周りの前記第2のボール収容部側の面を密接するように覆い、前記第1の板部材と相俟って前記回転盤の上側半分の両面を密封状態で挟むとともに、前記ゴルフボール圧送用ホースの他端と密封状態で接続する第2の開口部を備えた第2の板部材と、
を有することを特徴とするゴルフボール送球装置。
【請求項2】
前記空気吸引用ホースと、前記空気圧送用ホースは、夫々、内部を通る空気の流量を調整可能な調整弁を備えていることを特徴とする請求項1に記載のゴルフボール送球装置。
【請求項3】
前記空気吸引用ホースが接続する前記空気吸入口を備えた前記ブロワと、前記空気圧送用ホースが接続する前記空気排出口を備えた前記ブロワは、1台の同じブロワであることを特徴とする請求項1または2に記載のゴルフボール送球装置。
【請求項4】
前記空気吸引用ホースが接続する前記空気吸入口を備えた前記ブロワと、前記空気圧送用ホースが接続する前記空気排出口を備えた前記ブロワは、2台の別のブロワであることを特徴とする請求項1または2に記載のゴルフボール送球装置。
【請求項5】
前記ゴルフボール吸引用ホースは、前記箱体の近傍において、第1のサクションホースの一端と、管内に段差部が設けられた鉄管の両端と、第2のサクションホースの一端とが接続された部位を備えてなることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載のゴルフボール送球装置。
【請求項6】
前記回転盤の回転速度を調整可能な回転速度調整手段を備えていることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載のゴルフボール送球装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフ練習場に備わる、ゴルフボール集球装置、ゴルフボール自動洗浄・乾燥装置、ゴルフボール販売機等の各設備間において、第1の位置に配設された第1のボール収容部内のゴルフボールを第2の位置に配設された第2のボール収容部まで送球するためのゴルフボール送球装置に関し、例えば、ゴルフボール自動洗浄・乾燥装置に設けられたボールタンク内のゴルフボールをゴルフボール販売機まで送球するゴルフボール送球装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ゴルフ練習場に備わるゴルフボール送球装置として、ゴルフボールを送球するための動力に空気を用いたゴルフボール送球装置がある。この種のゴルフボール送球装置は、本件出願人が当業界で最初に導入し、現在、複数業者により製造されている。
【0003】
この種のゴルフボール送球装置には、圧送式のゴルフボール送球装置と吸引式のゴルフボール送球装置がある。
従来の圧送式のゴルフボール送球装置としては、例えば、第1のボール収容部(例えば、ゴルフボール自動洗浄・乾燥装置に設けられたボールタンク)と第2のボール収容部(例えば、ゴルフボール販売機)とを、インジェクタを備えたホースで繋ぎ、インジェクタから第2のボール収容部(ゴルフボール販売機)までのホースの長さを長くとり、インジェクタを介して第1のボール収容部(ボールタンク)内のゴルフボールを吸い込むと同時にインジェクタ内の空気の吐き出しを行うとともに、ブロワからインジェクタに空気を送ることでインジェクタから第2のボール収容部(ゴルフボール販売機)までのホース内に空気を送ってゴルフボールを送球する構成のものがある。
また、吸引式のゴルフボール送球装置としては、例えば、第1のボール収容部(例えば、ゴルフボール自動洗浄・乾燥装置に設けられたボールタンク)と第2のボール収容部(例えば、ゴルフボール販売機)とを、インジェクタを備えたホースで繋ぎ、第1のボール収容部(ボールタンク)からインジェクタまでのホースの長さを長くとり、インジェクタにおけるゴルフボールの吸引力を強くして、インジェクタを介して第1のボール収容部(ボールタンク)内のゴルフボールを吸い込むと同時にインジェクタ内の空気の吐き出しを行うとともに、ブロワからインジェクタに空気を送ることでインジェクタから第2のボール収容部(ゴルフボール販売機)までのホース内に空気を送ってゴルフボールを送球する構成のものがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、これらのインジェクタを介在させた圧送式のゴルフボール送球装置や吸引式のゴルフボール送球装置には、インジェクタが空気の吸い込みと吐き出しを同時に行っているため、ブロワの圧送力を効率的に活用できず、ゴルフボールを送球するために大きな風量が必要となることからブロワが大型化し、メンテナンスの負担が増大し、稼働音も大きくなるという問題や、インジェクタによる空気の吸い込み量と吐き出し量の調整が連動しているため、ブロワからのゴルフボールの圧送に必要な送風量の調整が難しいという問題があった。
【0005】
また、インジェクタを介在させない圧送式のゴルフボール送球装置として、例えば、上述した圧送式のゴルフボール送球装置に備わるインジェクタの代わりにボール供給装置を設け、第1のボール収容部(例えば、ゴルフボール自動洗浄・乾燥装置に設けられたボールタンク)とボール供給装置とを繋ぐホースをボール供給装置側へ下向きに傾斜させるとともに、当該ホースにボール供給弁を設け、ボール供給弁を開くことで、第1のボール収容部(ボールタンク)から所定個数のゴルフボールが自重によりボール供給装置内に送球されるようにし、ボール供給装置内に送球された所定個数のゴルフボールをブロワからの空気で第2のボール収容部(例えば、ゴルフボール販売機)まで送球する構成のものがある。
【0006】
また、インジェクタを介在させない吸引式のゴルフボール送球装置として、例えば、第2のボール収容部(例えば、ゴルフボール販売機)の上方に真空箱を設け、第1のボール収容部(例えば、ゴルフボール自動洗浄・乾燥装置に設けられたボールタンク)と真空箱、真空箱と第2のボール収容部(ゴルフボール販売機)、真空箱とブロワをホースで繋ぎ、ブロワで空気を吸引するようにするとともに、第1のボール収容部(ボールタンク)から真空箱までのホースの長さを長くとり、ブロワの吸引力により、第1のボール収容部(ボールタンク)内のゴルフボールを真空箱へ吸い込むようにし、真空箱内のゴルフボールが満杯になったときに、ボールの吸い込みを停止し、真空箱の底板を開けて第2のボール収容部(ゴルフボール販売機)にボールを落下させる構成のものがある。
【0007】
しかし、これらのインジェクタを介在させないゴルフボール送球装置には、所定個数のゴルフボールが所定位置に送球されるまでの間、ブロワからの空気が逆流しないように供給弁を閉じる必要があり、供給弁を閉じたときにゴルフボールの供給が遮断されるため、ボール供給量が少なくなる問題(圧送式のゴルフボール送球装置)や、真空箱内のゴルフボールが満杯になったときに、真空箱内のボールを第2のボール収容部(ゴルフボール販売機)に落下させ終わるまでの間、真空箱へのボールの吸い込みを停止させる必要があるため、ボール供給量が少なくなり、また、第2のボール収容部(ゴルフボール販売機)の上方へ真空箱を配置する必要があるため、真空箱の設置が大掛かりなものとなるという問題(吸引式のゴルフボール送球装置)があった。
【0008】
そこで、本件発明者は、従来のゴルフボール送球装置に内在するこれらの問題を解決するための方策につき、考察、検討を行った。そして、考察、検討の過程において、ブロワと、その一端がブロワに接続された空気圧送用ホースと、その一端が第1のボール収容部(例えば、ゴルフボール自動洗浄・乾燥装置に設けられたボールタンク)に接続されたゴルフボール送球用ホースと、その一端が第2のボール収容部(例えば、ゴルフボール販売機)に接続されたゴルフボール圧送用ホースと、ゴルフボール送球用ホースの他端と接続するとともに、空気圧送用ホースの他端とゴルフボール圧送用ホースの他端とを対向させた状態で内部に導き入れている箱体と、箱体の内部において第2のボール収容部(ゴルフボール販売機)側に傾斜し、円盤部と円盤部の外周に沿って形成された、ゴルフボールを個別に区分けして配置させる複数の個別配置部を有し、円盤部を通る軸を中心に回転し、回転により夫々の個別配置部が空気圧送用ホースの他端とゴルフボール圧送用ホースの他端との間を順次通過するように設けられた回転盤と、箱体の内部に固定され、回転盤における上側半分の第1のボール収容部(ボールタンク)側の面を密接するように覆うとともに、空気圧送用ホースの他端と密封状態で接続する第1の開口部を備えた第1の板部材と、箱体の内部に固定され、回転盤における軸の周りの第2のボール収容部(ゴルフボール販売機)側の面を密接するように覆い、第1の板部材と相俟って回転する回転盤の上側半分の両面を密封状態で挟むとともに、ゴルフボール圧送用ホースの他端と密封状態で接続する第2の開口部を備えた第2の板部材と、を有し、第1のボール収容部(ボールタンク)と箱体とを繋ぐゴルフボール送球用ホースを箱体側へ下向きに傾斜させた構成のゴルフボール送球装置を導出した。
【0009】
上記のように構成されたゴルフボール送球装置によれば、第1のボール収容部(ボールタンク)から箱体に送られたゴルフボールを、回転盤の回転により、空気漏れ防止措置が講じられた送球位置にゴルフボールを移動させて、ブロワの圧送力を最大に活用でき、従来のインジェクタを介在させたゴルフボール送球装置に内在していた、ブロワの圧送力を効率的に活用できずブロワが大型化する、ゴルフボールの圧送に必要な送風量の調整が難しい等の問題や、インジェクタを介在させないゴルフボール送球装置に内在していた、ゴルフボールの供給量が少なくなる、真空箱の設置が大掛かりなものとなる等の問題を解消できる。
【0010】
しかるに、本件発明者が更なる考察、検討を行ったところ、上記構成のゴルフボール送球装置には、ブロワによる送球力を最大に活用するための改善点があることが判明した。
【0011】
本発明は、このような問題点を鑑みてなされたものであり、ゴルフボールの供給に支障を来たすことなく、ブロワによる送球力を最大に活用してブロワを小型化でき、従来のゴルフボール送球装置に内在していた、ブロワの圧送力を効率的に活用できずブロワが大型化する、ゴルフボールの圧送に必要な送風量の調整が難しい、ゴルフボールの供給量が少なくなる、真空箱の設置が大掛かりなものとなる等の問題を解消でき、かつ、第1のボール収容部から第2のボール収容部までの送球距離が非常に長くなる場合においても、ブロワを大型化させることなく、ブロワによる送球力を最大に活用して第1のボール収容部内のゴルフボールを第2のボール収容部まで送球可能なゴルフボール送球装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明によるゴルフボール送球装置は、ゴルフ練習場において、第1の位置に配設された第1のボール収容部内のゴルフボールを第2の位置に配設された第2のボール収容部まで送球するゴルフボール送球装置であって、少なくとも1台のブロワと、その一端が前記ブロワの空気吸入口に接続された空気吸引用ホースと、その一端が前記ブロワの空気排出口に接続された空気圧送用ホースと、その一端が前記第1のボール収容部に接続されたゴルフボール吸引用ホースと、その一端が前記第2のボール収容部に接続されたゴルフボール圧送用ホースと、前記空気吸引用ホースの他端と前記ゴルフボール吸引用ホースの他端の夫々と接続するとともに、前記空気圧送用ホースの他端と前記ゴルフボール圧送用ホースの他端とを対向させた状態で内部に導き入れている箱体と、前記箱体の内部において前記第2のボール収容部側に傾斜し、円盤部と前記円盤部の外周に沿って形成された、ゴルフボールを個別に区分けして配置させる複数の個別配置部を有し、前記円盤部を通る軸を中心に回転し、回転により夫々の前記個別配置部が前記空気圧送用ホースの他端と前記ゴルフボール圧送用ホースの他端との間を順次通過するように設けられた回転盤と、前記箱体の内部に固定され、前記回転盤における上側半分の前記第1のボール収容部側の面を密接するように覆うとともに、前記空気圧送用ホースの他端と密封状態で接続する第1の開口部を備えた第1の板部材と、前記箱体の内部に固定され、前記回転盤における前記軸の周りの前記第2のボール収容部側の面を密接するように覆い、前記第1の板部材と相俟って回転する前記回転盤の上側半分の両面を密封状態で挟むとともに、前記ゴルフボール圧送用ホースの他端と密封状態で接続する第2の開口部を備えた第2の板部材と、を有することを特徴とする。
【0013】
また、本発明のゴルフボール送球装置においては、前記空気吸引用ホースと、前記空気圧送用ホースは、夫々、内部を通る空気の流量を調整可能な調整弁を備えているのが好ましい。
【0014】
また、本発明のゴルフボール送球装置においては、前記空気吸引用ホースが接続する前記空気吸入口を備えた前記ブロワと、前記空気圧送用ホースが接続する前記空気排出口を備えた前記ブロワは、1台の同じブロワであるのが好ましい。
【0015】
また、本発明のゴルフボール送球装置においては、前記空気吸引用ホースが接続する前記空気吸入口を備えた前記ブロワと、前記空気圧送用ホースが接続する前記空気排出口を備えた前記ブロワは、2台の別のブロワであるのが好ましい。
【0016】
また、本発明のゴルフボール送球装置においては、前記ゴルフボール吸引用ホースは、前記箱体の近傍において、第1のサクションホースの一端と、管内に段差部が設けられた鉄管の両端と、第2のサクションホースの一端とが接続された部位を備えてなるのが好ましい。
【0017】
また、本発明のゴルフボール送球装置においては、前記回転盤の回転速度を調整可能な回転速度調整手段を備えているのが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ゴルフボールの供給に支障を来たすことなく、ブロワによる送球力を最大に活用してブロワを小型化でき、従来のゴルフボール送球装置に内在していた、ブロワの圧送力を効率的に活用できずブロワが大型化する、ゴルフボールの圧送に必要な送風量の調整が難しい、ゴルフボールの供給量が少なくなる、真空箱の設置が大掛かりなものとなる等の問題を解消でき、かつ、第1のボール収容部から第2のボール収容部までの送球距離が非常に長くなる場合においても、ブロワを大型化させることなく、ブロワによる送球力を最大に活用して第1のボール収容部内のゴルフボールを第2のボール収容部まで送球可能なゴルフボール送球装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1実施形態にかかるゴルフボール送球装置の全体構成を模式的に示す説明図である。
図2図1のゴルフボール送球装置における第1のボール収容部と第2のボール収容部の間の吸引経路、圧送経路および箱体内部の構成を模式的に示す説明図である。
図3図2のゴルフボール送球装置における回転盤と第1及び第2の板部材の構成を示す説明図で、(a)は回転盤と第1及び第2の板部材の配置関係を回転盤の正面から示す図、(b)は(a)に示す第1の板部材の正面図、(c)は(a)に示す第2の板部材の正面図である。
図4図1のゴルフボール送球装置におけるゴルフボール吸引用ホースの要部構成を模式的に示す説明図である。
図5】本発明の第2実施形態にかかるゴルフボール送球装置の全体構成を模式的に示す説明図である。
図6】従来のゴルフボール送球装置の一例を模式的に示す説明図で、(a)は全体図、(b)はブロワから送風される空気とインジェクタにより吸い込み及び吐き出される空気の流れを示す説明図である。
図7】従来のゴルフボール送球装置の他の例を模式的に示す説明図である。
図8】従来のゴルフボール送球装置のさらに他の例を模式的に示す説明図である。
図9】従来のゴルフボール送球装置のさらに他の例を模式的に示す説明図である。
図10】本件発明者が本発明を導出する過程の途中段階で導出したゴルフボール送球装置の全体構成および箱体内部の構成を模式的に示す説明図である。
図11図10のゴルフボール送球装置における回転盤と第1及び第2の板部材の構成を示す説明図で、(a)は回転盤と第1及び第2の板部材の配置関係を回転盤の正面から示す図、(b)は(a)に示す第1の板部材の正面図、(c)は(a)に示す第2の板部材の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
実施形態の説明に先立ち、本発明を導出するに至った経緯及び本発明の作用効果について説明する。
本件発明者は、ゴルフボールを送球するための動力に空気を用いた、従来のゴルフボール送球装置に内在する問題点を整理すべく、考察、検討を行った。
この種のゴルフボール送球装置としては、上述のとおり、ボール圧送式のゴルフボール送球装置と、ボール吸引式のゴルフボール送球装置がある。
【0021】
図6は従来のゴルフボール送球装置の一例を模式的に示す説明図で、(a)は全体図、(b)はブロワから送風される空気とインジェクタにより吸い込み及び吐き出される空気の流れを示す説明図である。
図6に示すゴルフボール送球装置は、圧送式ブロワ51と、空気圧送用ホース52と、ゴルフボール吸引用ホース62と、インジェクタ61と、ゴルフボール圧送用ホース63を有している。
そして、図6に示すゴルフボール送球装置は、第1のボール収容部(例えば、ゴルフボール自動洗浄・乾燥装置に設けられたボールタンク)20と第2のボール収容部(例えば、ゴルフボール販売機)30とを、インジェクタ61を備えたホース62、63で繋ぎ、インジェクタ61から第2のボール収容部(ゴルフボール販売機)30までのホース63の長さを長くとり、インジェクタ61を介して第1のボール収容部(ボールタンク)20内のゴルフボールを吸い込むと同時にインジェクタ61内の空気の吐き出しを行うとともに、圧送式ブロワ51からインジェクタ61に空気を送ることでインジェクタ61から第2のボール収容部(ゴルフボール販売機)30までのホース63内に空気を送ってゴルフボールを送球する、送球長が50~150m程度の圧送式のゴルフボール送球装置として構成されている。
【0022】
図6のゴルフボール送球装置では、ブロワ51からインジェクタ61内に空気が送られる。また、第1のボール収容部(ボールタンク)20から継続的にゴルフボールが排出される。排出されたゴルフボールは、インジェクタ61により吸引され、インジェクタ内の所定位置を通過後に吐き出され、ブロワ51から送られる空気により、圧送される。なお、図6のゴルフボール送球装置では、インジェクタ61を介して、空気の吸い込み量と吐き出し量の調整を行うことで、ブロワ51からのゴルフボールの圧送に必要な送風量を調整するようになっている。
【0023】
図6のゴルフボール送球装置によれば、インジェクタ61が空気の吐き出しと吸い込みを同時に行うため、連続して送球でき、多くのゴルフボールを第2のボール収容部(ゴルフボール販売機)30へ送ることができる。
しかし、図6のゴルフボール送球装置は、インジェクタ61が空気の吐き出しと吸い込みを同時に行っているため、ブロワ51からインジェクタ61に送った空気の圧力が弱められてしまい、ブロワ51の圧送力を効率的に活用できず、ゴルフボールを送球するために大きな風量が必要となることからブロワ51が大型化してしまう。
また、インジェクタ61による空気の吸い込み量と吐き出し量の調整が連動しているため、ブロワ51からのゴルフボールの圧送に必要な送風量の調整が難しい。
さらに、ブロワ51が大型化することで、メンテナンスの負担が増えるとともに、稼働音が大きく騒音となってしまう。
【0024】
図7は従来のゴルフボール送球装置の他の例を模式的に示す説明図である。
図7に示すゴルフボール送球装置は、基本的な構成部材は、図6に示すゴルフボール送球装置と同じであるが、第1のボール収容部(例えば、ゴルフボール自動洗浄・乾燥装置に設けられたボールタンク)20からインジェクタ61までのゴルフボール吸引用ホース62の長さを長くとり、インジェクタ61におけるゴルフボールの吸引力が強くなるように調整され、インジェクタ61を介して第1のボール収容部(ボールタンク)20内のボールを吸い込むと同時にインジェクタ61内の空気の吐き出しを行うとともに、圧送式ブロワ51からインジェクタ61に空気を送ることでインジェクタ61から第2のボール収容部(例えば、ゴルフボール販売機)30までのホース63内に空気を送ってゴルフボールを送球する、送球長が50~150m程度の吸引式のゴルフボール送球装置として構成されている。
【0025】
図7のゴルフボール送球装置においても、図6のゴルフボール送球装置と同様、インジェクタ61が空気の吐き出しと吸い込みを同時に行っているため、ブロワ51からインジェクタ61に送った空気の圧力が弱められてしまい、ブロワ51の圧送力を効率的に活用できず、ブロワ51からのゴルフボールを送球するための風量を大きくするためにブロワが大型化してしまう。
また、インジェクタ61による空気の吸い込み、吐き出しが連動しているため、風量の調整が難しい。
さらに、ブロワ51が大型化することで、メンテナンスの負担が増えるとともに、稼働音が大きく騒音となってしまう。
【0026】
図8は従来のゴルフボール送球装置のさらに他の例を模式的に示す説明図である。
図8に示すゴルフボール送球装置は、圧送式ブロワ51と、空気圧送用ホース52と、ゴルフボール送球用ホース62’と、ボール供給装置71と、ゴルフボール圧送用ホース63を有している。
より詳しくは、図8に示すゴルフボール送球装置は、図6に示したゴルフボール送球装置に備わるインジェクタ61の代わりにボール供給装置71を設け、第1のボール収容部(例えば、ゴルフボール自動洗浄・乾燥装置に設けられたボールタンク)20とボール供給装置71とを繋ぐゴルフボール送球用ホース62’をボール供給装置20側へ下向きに傾斜させるとともに、ゴルフボール送球用ホース62’にボール供給弁72を設け、ボール供給弁72を開くことで、第1のボール収容部(ボールタンク)20からのゴルフボールが自重によりボール供給装置71内に送球されるようにし、ボール供給装置71内に送球されたゴルフボールを圧送式ブロワ51からの空気で第2のボール収容部(例えば、ゴルフボール販売機)30まで送球する、送球長が50~150m程度の圧送式のゴルフボール送球装置として構成されている。
【0027】
そして、図8に示すゴルフボール送球装置では、圧送式ブロワ51は常時稼働した状態とし、ボール供給弁72を開くことで、傾斜するゴルフボール送球用ホース62’内のゴルフボールが5球程度、自重によりボール供給装置71内に送球されるようにする。ボール供給装置71内へゴルフボールが5球程度入ったときにボール供給弁72を閉じ、圧送式ブロワ51からの空気により5球程度のゴルフボールを一括で圧送する。圧送されるゴルフボールがゴルフボール圧送用ホース63内の所定位置まで到達したとき、ボール供給弁72を開き、次の5球のゴルフボールを送球する。
【0028】
図8に示すゴルフボール送球装置によれば、ボール供給弁72を閉じることで、圧送式ブロワ51からの空気の流れはボール供給装置71内で逆流することがない。このため、圧送式ブロワ51からの空気の圧送力を最大に活用することができ、小容量のブロワでゴルフボールを送球できる。
しかし、図8に示すゴルフボール送球装置では、ボール供給弁72を閉じることで、ゴルフボールの供給路が遮断される。また、圧送されるゴルフボールがゴルフボール圧送用ホース63内の所定位置まで到達する間は、ボール供給弁72を閉じたままとなる。このため、図8に示すゴルフボール送球装置では、ボール供給量が少なくなってしまう。また、ゴルフボール圧送用ホース63の長さを長くした場合、次の5球のゴルフボールをボール供給装置71に供給するまでの時間が長くかかり、次の5球のゴルフボールを送球するまでの時間が長くなってしまう。
【0029】
図9は従来のゴルフボール送球装置のさらに他の例を模式的に示す説明図である。
図9に示すゴルフボール送球装置は、吸引式ブロワ51’と、空気吸引用ホース52’と、真空箱81と、ゴルフボール吸引用ホース62と、ゴルフボール送球用ホース62’を有している。
より詳しくは、図9に示すゴルフボール送球装置は、第2のボール収容部(例えば、ゴルフボール販売機)30の上方に真空箱81を設け、第1のボール収容部(例えば、ゴルフボール自動洗浄・乾燥装置に設けられたボールタンク)20と真空箱81、真空箱81と第2のボール収容部(ゴルフボール販売機)30、真空箱81と吸引式ブロワ51’を夫々ホース(ゴルフボール吸引用ホース62、ゴルフボール送球用ホース62’、空気吸引用ホース52’)で繋ぎ、第1のボール収容部(ボールタンク)20から真空箱81までのゴルフボール吸引用ホース62の長さを長くとり、吸引式ブロワ51’の吸引力により、第1のボール収容部(ボールタンク)20内のゴルフボールを真空箱81へ吸い込むようにし、真空箱81内のゴルフボールが満杯になったときに、吸引式ブロワ51’によるゴルフボールの吸い込みを停止し、真空箱81の底板を開けて第2のボール収容部(ゴルフボール販売機)30にゴルフボールを落下させる、送球長が50~150m程度の吸引式のゴルフボール送球装置として構成されている。
【0030】
図9に示すゴルフボール送球装置によれば、吸引式ブロワ51’による空気の吸引力を最大に活用することができ、小容量のブロワでゴルフボールを送球できる。
しかし、図9に示すゴルフボール送球装置は、真空箱81が満杯になったときに真空箱81の底板を開けて第2のボール収容部(ゴルフボール販売機)30にゴルフボールを落下させるために、吸引式ブロワ51’による吸引動作を停止させる必要があり、ゴルフボールの供給量が低下してしまう。また、第2のボール収容部(ゴルフボール販売機)30の上部に真空箱81を設置する必要があり、真空箱81の設置が平置きの場合と比べて大掛かりなものとなってしまう。
【0031】
そこで、本件発明者は、図6図9に示した従来のゴルフボール送球装置に内在するこれらの問題を解決するための方策につき、考察、検討を行った。そして、考察、検討の過程において、図10図11に示すゴルフボール送球装置を導出した。
図10は本件発明者が本発明を導出する過程の途中段階で導出したゴルフボール送球装置の全体構成および箱体内部の構成を模式的に示す説明図である。図11図10のゴルフボール送球装置における回転盤と第1及び第2の板部材の構成を示す説明図で、(a)は回転盤と第1及び第2の板部材の配置関係を回転盤の正面から示す図、(b)は(a)に示す第1の板部材の正面図、(c)は(a)に示す第2の板部材の正面図である。
図10図11に示すゴルフボール送球装置は、圧送式ブロワ51と、空気圧送用ホース52と、ゴルフボール送球用ホース62’と、ゴルフボール圧送用ホース63と、箱体12と、回転盤15と、第1の板部材13と、第2の板部材14と、を有する。
【0032】
空気圧送用ホース52は、その一端が圧送式ブロワ51の空気排出口(不図示)に接続されている。
ゴルフボール送球用ホース62’は、その一端が第1のボール収容部(例えば、ゴルフボール自動洗浄・乾燥装置に設けられたボールタンク)20に接続されている。
ゴルフボール圧送用ホース63は、その一端が第2のボール収容部(例えば、ゴルフボール販売機)30に接続されている。
箱体12は、ゴルフボール送球用ホース62’の他端と接続するとともに、空気圧送用ホース52の他端とゴルフボール圧送用ホース63の他端とを対向させた状態で内部に導き入れている。
また、第1のボール収容部(ボールタンク)20と箱体12とを繋ぐゴルフボール送球用ホース62’を、箱体12側へ下向きに傾斜させている。
【0033】
回転盤15は、箱体12の内部において第2のボール収容部(ゴルフボール販売機)30側に傾斜した状態に設けられ、円盤部15aと、複数の個別配置部15bを有している。個別配置部15bは、円盤部15aの外周に沿って形成され、径の異なる2つの輪状フレームと円盤部15aの中心から等角度で半径方向に延びる複数の棒状フレームとからなり、ゴルフボールを個別に区分けして配置させることができるように構成されている。
そして、回転盤15は、円盤部15aを通る軸16を中心に回転し、回転により夫々の個別配置部15bが空気圧送用ホース52の他端とゴルフボール圧送用ホース63の他端との間を順次通過するように設けられている。なお、軸16は、図示しない回転駆動装置を介して回転するように構成されている。
第1の板部材13は、箱体12の内部に固定され、回転盤15における上側半分の第1のボール収容部(ボールタンク)20側の面を密接するように覆うとともに、第1の開口部13aを備えている。第1の開口部13aは、空気圧送用ホース52内のゴルフボールを通過させて個別配置部15bに導き入れることが可能な大きさ及び形状を有し、空気圧送用ホース52の他端と密封状態で接続するように構成されている。
第2の板部材14は、箱体12の内部に固定され、回転盤15における軸16の周りの第2のボール収容部(ゴルフボール販売機)30側の面を密接するように覆い、第1の板部材13と相俟って回転盤15の上側半分の両面を密封状態で挟むとともに、第2の開口部14aを備えている。第2の開口部14aは、個別配置部15b内のゴルフボールを通過させてゴルフボール圧送用ホース63に導き入れることが可能な大きさ及び形状を有し、ゴルフボール圧送用ホース63の他端と密封状態で接続するように構成されている。なお、図11(c)中、14bは、軸16の外径よりも大きな径を有し、軸16を通す軸孔である。
【0034】
このように構成されたゴルフボール送球装置では、圧送式ブロワ51が稼動すると、空気排出口(不図示)から圧縮空気が排出される。また、圧送式ブロワ51の稼働と共に回転盤15が稼働し回転する。
第1のボール収容部(ボールタンク)20からゴルフボールが自重によりゴルフボール送球用ホース62’内を通り、箱体12内に移動する。箱体12の内部に移動したゴルフボールは、軸16を中心に回転する回転盤15の夫々の個別配置部15bに、個別に区分けして入り込む。このとき、回転盤15は第2のボール収容部(ゴルフボール販売機)30側に傾斜しているとともに、回転盤15における軸16の周りの第2のボール収容部(ゴルフボール販売機)30側の面は、第2の板部材14により密接するように覆われている。このため、個別配置部15bに入り込んだゴルフボールは、第2の板部材14に支持されながら、回転盤15の回転により、上方に位置する空気圧送用ホース52の他端とゴルフボール圧送用ホース63の他端との間に搬送される。
【0035】
空気排出口(不図示)から排出された圧縮空気は、空気圧送用ホース52を通り、第1の板部材13における第1の開口部13aを通過し、空気圧送用ホース52の他端とゴルフボール圧送用ホース63の他端との間に送られる。このとき、第1の板部材13と第2の板部材14とが、相俟って回転盤15の上側半分の両面を密封状態で挟んでいるため、空気圧送用ホース52の他端とゴルフボール圧送用ホース63の他端との間に送られた空気は外部に漏れることがなく、回転盤15が回転していても、空気圧送用ホース52からの空気の圧送力が弱められることなく、空気圧送用ホース52の他端とゴルフボール圧送用ホース63の他端との間に送られた個別配置部15bの内部に入り込んだゴルフボールをゴルフボール圧送用ホース63内に送り出す。個別配置部15bからゴルフボール圧送用ホース63内に送り出されたゴルフボールは、空気圧送用ホース52からの空気により圧送されて第2のボール収容部(ゴルフボール販売機)30まで導かれる。
【0036】
このように構成されたゴルフボール送球装置によれば、第1のボール収容部(ボールタンク)20から箱体12へ自重により送られたゴルフボールを、回転盤15の回転により、空気漏れ防止措置が講じられた送球位置にゴルフボールを移動させて、ブロワの圧送力を最大に活用でき、従来のインジェクタを介在させたゴルフボール送球装置に内在していた、ブロワの圧送力を効率的に活用できずブロワが大型化する、ゴルフボールの圧送に必要な送風量の調整が難しい等の問題や、インジェクタを介在させないゴルフボール送球装置に内在していた、ゴルフボールの供給量が少なくなる、真空箱の設置が大掛かりなものとなる等の問題を解消できる。
【0037】
しかるに、本件発明者が更なる考察、検討を行ったところ、上記構成のゴルフボール送球装置には、圧送式ブロワ51による送球力を最大に活用するための改善点があることが判明した。
【0038】
詳しくは、図10のゴルフボール送球装置においては、第1のボール収容部(ボールタンク)20から第2のボール収容部(ゴルフボール販売機)30までの距離が長くなる場合において、圧送式ブロワ51による送球力を効率化するためには、圧送式ブロワ51から第2のボール収容部(ゴルフボール販売機)30までの距離を抑え、その分、第1のボール収容部(ボールタンク)20から箱体12までの距離を長くとる必要がある。
しかし、図10図11に示すゴルフボール送球装置では、第1のボール収容部(ボールタンク)20と箱体12とを繋ぐゴルフボール送球用ホース62’を箱体12側へ下向きに傾斜させた構成であるため、第1のボール収容部(ボールタンク)20から箱体12までの距離が長くなると、ゴルフボール送球用ホース62’の傾斜が緩やかになって、ゴルフボール送球用ホース62’内のゴルフボールが自重では箱体12まで移動し難くなり、ゴルフボールの供給に支障を来たす虞がある。
【0039】
しかるに、ゴルフ練習場は、広さや設計が多様であり、第1のボール収容部(ボールタンク)20から箱体12までの距離を長くとることが必要となる練習場も存在し得る。このため、図10図11に示すゴルフボール送球装置では、第1のボール収容部(ボールタンク)20から箱体12までの距離を長くとることが必要となるゴルフ練習場には適用することが難しい。
また、第1のボール収容部(ボールタンク)から第2のボール収容部(ゴルフボール販売機)までの送球距離が非常に長くなる設計のゴルフ練習場も存在する。そのようなゴルフ練習場においても、ゴルフボールの供給に支障を来たすことなく、ブロワによる送球力を効率化しながら、第1のボール収容部(ボールタンク)内のゴルフボールを第2のボール収容部(ゴルフボール販売機)まで送球できるようにすることが必要である。
【0040】
そこで、本件発明者は、更なる考察、検討を重ね、ゴルフボールの供給に支障を来たすことなく、ブロワによる送球力を最大に活用してブロワを小型化でき、従来のゴルフボール送球装置に内在していた、ブロワの圧送力を効率的に活用できずブロワが大型化する、ゴルフボールの圧送に必要な送風量の調整が難しい、ゴルフボールの供給量が少なくなる、真空箱の設置が大掛かりなものとなる等の問題を解消でき、かつ、第1のボール収容部から第2のボール収容部までの送球距離が非常に長くなる場合においても、ブロワを大型化させることなく、ブロワによる送球力を最大に活用して第1のボール収容部内のゴルフボールを第2のボール収容部まで送球可能な本発明のゴルフボール送球装置を導出するに至った。
【0041】
本発明のゴルフボール送球装置は、ゴルフ練習場において、第1の位置に配設された第1のボール収容部内のゴルフボールを第2の位置に配設された第2のボール収容部まで送球するゴルフボール送球装置であって、少なくとも1台のブロワと、その一端が前記ブロワの空気吸入口に接続された空気吸引用ホースと、その一端が前記ブロワの空気排出口に接続された空気圧送用ホースと、その一端が前記第1のボール収容部に接続されたゴルフボール吸引用ホースと、その一端が前記第2のボール収容部に接続されたゴルフボール圧送用ホースと、前記空気吸引用ホースの他端と前記ゴルフボール吸引用ホースの他端の夫々と接続するとともに、前記空気圧送用ホースの他端と前記ゴルフボール圧送用ホースの他端とを対向させた状態で内部に導き入れている箱体と、前記箱体の内部において前記第2のボール収容部側に傾斜し、円盤部と前記円盤部の外周に沿って形成された、ゴルフボールを個別に区分けして配置させる複数の個別配置部を有し、前記円盤部を通る軸を中心に回転し、回転により夫々の前記個別配置部が前記空気圧送用ホースの他端と前記ゴルフボール圧送用ホースの他端との間を順次通過するように設けられた回転盤と、前記箱体の内部に固定され、前記回転盤における上側半分の前記第1のボール収容部側の面を密接するように覆うとともに、前記空気圧送用ホースの他端と密封状態で接続する第1の開口部を備えた第1の板部材と、前記箱体の内部に固定され、前記回転盤における前記軸の周りの前記第2のボール収容部側の面を密接するように覆い、前記第1の板部材と相俟って回転する前記回転盤の上側半分の両面を密封状態で挟むとともに、前記ゴルフボール圧送用ホースの他端と密封状態で接続する第2の開口部を備えた第2の板部材と、を有する。
【0042】
本発明のゴルフボール送球装置のように、回転盤、第1の板部材、第2の板部材を介して、ブロワによる吸引経路と圧送経路とが完全に隔離された状態で、ゴルフボールを送り出すことができるように構成すれば、ブロワと回転盤を常時稼働させることで、ブロワによる吸引力、圧送力が夫々妨げられることのない状態で、第1のボール収容部内のゴルフボールを第2のボール収容部に常時送球することが可能となる。
また、ブロワによる吸引力、圧送力が弱められないため、ブロワを極力小型化することや、吸引と圧送の風量調整弁を各々調整することにより箱体を所望の場所に設置することや、第1のボール収容部と第2のボール収容部の間の送球距離を従来のゴルフボール送球装置と比べて延ばすことが可能となる。
また、ブロワの吸引力により箱体の内部へ第1のボール収容部からのゴルフボールを吸引するようにしたので、第1のボール収容部と箱体の距離が離れていても、ゴルフボールを確実に箱体内へ導き入れることが可能となる。
さらに、ブロワによる吸引力、圧送力が弱められないため、第1のボール収容部と箱体を接続するゴルフボール吸引用ホースや、箱体と第2のボール収容部を接続するゴルフボール圧送用ホースの勾配に制限を設ける必要がなくなって、最大90度の勾配を設けることができるようになり、第1のボール収容部から第2のボール収容部の間に敷設するホースの敷設態様の自由度を増大させることが可能となる。
【0043】
また、本発明のゴルフボール送球装置においては、好ましくは、前記空気吸引用ホースと、前記空気圧送用ホースは、夫々、内部を通る空気の流量を調整可能な調整弁を備えている。
このようにすれば、広さや設計が多様で、ブロワの容量や、ブロワ、第1のボール収容部、第2のボール収容部、箱体の設置位置や、空気吸引用ホース、空気圧送用ホース、ゴルフボール吸引用ホース、ゴルフボール圧送用ホースの長さによっては、ブロワによる空気吸引力または空気圧送力が強すぎるようなゴルフ練習場においても、ブロワの吸引力や、圧送力を調整して、ブロワの容量を異ならせることなく、ブロワの吸引力や、圧送力を最大に活用してゴルフボールを送球することが可能となる。
【0044】
また、本発明のゴルフボール送球装置においては、好ましくは、前記空気吸引用ホースが接続する前記空気吸入口を備えた前記ブロワと、前記空気圧送用ホースが接続する前記空気排出口を備えた前記ブロワは、1台の同じブロワである。
このようにすれば、ブロワの台数を増やすことなく、容量の小さなブロワの吸引力や、圧送力を最大に活用してゴルフボールを送球することが可能となる。
【0045】
また、本発明のゴルフボール送球装置においては、好ましくは、前記空気吸引用ホースが接続する前記空気吸入口を備えた前記ブロワと、前記空気圧送用ホースが接続する前記空気排出口を備えた前記ブロワは、2台の別のブロワである。
このようにすれば、ゴルフボールの送球距離が、例えば、50~150m程度の一般的な距離をはるかに超えた長距離となるように設計された練習場に対しても、第1のボール収容部からのゴルフボールを吸引するためのブロワ、ゴルフボールを第2のボール収容部に送球するためのブロワの夫々のブロワを大型化させることなく、吸引力、圧送力を最大に活用して、第1のボール収容部から第2のボール収容部までの送球距離が超長距離となるゴルフ練習場でのゴルフボールの送球が可能となる。
【0046】
また、本発明のゴルフボール送球装置においては、好ましくは、前記ゴルフボール吸引用ホースは、前記箱体の近傍において、第1のサクションホースの一端と、管内に段差部が設けられた鉄管の両端と、第2のサクションホースの一端とが接続された部位を備えてなる。
第1のボール収容部から吸引されるゴルフボールは、箱体に近づくにつれて搬送速度が速くなり勢いが増加する。このため、ゴルフボール吸引用ホースが箱体近傍で曲がっているような場合、ゴルフボール吸引用ホースの内壁にゴルフボールが衝突すると孔があきやすい。
本発明のゴルフボール送球装置のように、ゴルフボール吸引用ホースが、箱体の近傍において、第1のサクションホースの一端と、管内に段差部が設けられた鉄管の両端と、第2のサクションホースの一端とが接続された部位を備えた構成とすれば、ゴルフボール吸引用ホースが箱体近傍で曲がっているような場合であっても、第1のサクションホースから鉄管に入り込んだゴルフボールが管内の段差部に衝突することで勢いが低減する。このため、鉄管を通過後のゴルフボールを、勢いが低減した状態で第2のサクションホースの曲がっている部位の内壁に衝突させることができ、ゴルフボールの衝突による孔があき難くなり、ゴルフボール吸引用ホースの耐久性を向上させることができる。
【0047】
また、本発明のゴルフボール送球装置においては、好ましくは、前記回転盤の回転速度を調整可能な回転速度調整手段を備えている。
このようにすれば、ブロワの圧送力を最大に活用しながら、ゴルフボールの送球距離に応じてゴルフボールの送球量を調整できる。
例えば、ゴルフボールの送球距離が短い場合は、ブロワによるゴルフボールに対する圧送力が強く働くため、回転盤の回転速度を速くしても、回転により空気圧送用ホースの他端とゴルフボール圧送用ホースの他端との間に位置するゴルフボールを確実にゴルフボール圧送用ホース側へ送り出し易い。しかるに、本発明のゴルフボール送球装置によれば、ゴルフボールの送球距離が短い場合は、回転速度調整手段により回転盤の回転速度を速くすることで、ゴルフボールの送球量を最大にすることができる。
また、例えば、ゴルフボールの送球距離が長い場合は、ブロワによるゴルフボールに対する圧送力がその分弱められるため、ブロワの容量が小さい場合、回転盤の回転速度を速くしすぎると、回転により空気圧送用ホースの他端とゴルフボール圧送用ホースの他端との間に位置するゴルフボールをゴルフボール圧送用ホース側へ送り出し難くなり、玉詰まりの虞が生じ得る。しかるに、本発明のゴルフボール送球装置によれば、ゴルフボールの送球距離が長い場合は、回転速度調整手段により回転盤の回転速度を遅くすることで、玉詰まりを防止しながら、ブロワの容量を最大に活用したゴルフボールの送球が可能となる。
【0048】
このため、本発明によれば、ゴルフボールの供給に支障を来たすことなく、ブロワによる送球力を最大に活用してブロワを小型化でき、従来のゴルフボール送球装置に内在していた、ブロワの圧送力を効率的に活用できずブロワが大型化する、ゴルフボールの圧送に必要な送風量の調整が難しい、ゴルフボールの供給量が少なくなる、真空箱の設置が大掛かりなものとなる等の問題を解消でき、かつ、第1のボール収容部から第2のボール収容部までの送球距離が非常に長くなる場合においても、ブロワを大型化させることなく、ブロワによる送球力を最大に活用して第1のボール収容部内のゴルフボールを第2のボール収容部まで送球可能なゴルフボール送球装置が得られる。
【0049】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。
第1実施形態
図1は本発明の第1実施形態にかかるゴルフボール送球装置の全体構成を模式的に示す説明図、図2図1のゴルフボール送球装置における第1のボール収容部と第2のボール収容部の間の吸引経路、圧送経路および箱体内部の構成を模式的に示す説明図である。図3図2のゴルフボール送球装置における回転盤と第1及び第2の板部材の構成を示す説明図で、(a)は回転盤と第1及び第2の板部材の配置関係を回転盤の正面から示す図、(b)は(a)に示す第1の板部材の正面図、(c)は(a)に示す第2の板部材の正面図である。図4図1のゴルフボール送球装置におけるゴルフボール吸引用ホースの要部構成を模式的に示す説明図である。
【0050】
本実施形態のゴルフボール送球装置は、1台のブロワ11と、空気吸引用ホース52’と、空気圧送用ホース52と、ゴルフボール吸引用ホース65と、ゴルフボール圧送用ホース63と、箱体12と、回転盤15と、第1の板部材13と、第2の板部材14と、を有する。
【0051】
ブロワ11は、空気吸入口11aと、空気排出口11bを有し、空気の吸引と圧送とを同時に行うことができるように構成されている。
空気吸引用ホース52’は、その一端がブロワ11の空気吸入口11aに接続されている。また、空気吸引用ホース52’は、内部を通る空気の流量を調整可能な調整弁17aを備えている。
空気圧送用ホース52は、その一端がブロワ11の空気排出口11bに接続されている。また、空気圧送用ホース52は、内部を通る空気の流量を調整可能な調整弁17bを備えている。
ゴルフボール吸引用ホース65は、その一端が第1のボール収容部(例えば、ゴルフボール自動洗浄・乾燥装置に設けられたボールタンク)20に接続されている。また、ゴルフボール吸引用ホース65は、箱体12の近傍において、第1のサクションホース18aの一端と、管内に段差部19aが設けられた鉄管19の両端と、第2のサクションホース18bの一端とが接続された部位を備えて構成されている。なお、鉄管19は、ゴルフボールが段差部19aに衝突したときの衝撃音の反響を抑えるために、管の厚みを10mm程度有するものを用いるのが好ましい。
ゴルフボール圧送用ホース63は、その一端が第2のボール収容部(例えば、ゴルフボール販売機)30に接続されている。
箱体12は、空気吸引用ホース52’の他端とゴルフボール吸引用ホース65の他端の夫々と接続するとともに、空気圧送用ホース52の他端とゴルフボール圧送用ホース63の他端とを対向させた状態で内部に導き入れている。
【0052】
回転盤15は、箱体12の内部において第2のボール収容部(ゴルフボール販売機)30側に傾斜した状態に設けられ、円盤部15aと、複数の個別配置部15bを有している。個別配置部15bは、円盤部15aの外周に沿って形成され、径の異なる2つの輪状フレームと円盤部15aの中心から等角度で半径方向に延びる複数の棒状フレームとからなり、ゴルフボールを個別に区分けして配置させることができるように構成されている。
そして、回転盤15は、円盤部15aを通る軸16を中心に回転し、回転により夫々の個別配置部15bが空気圧送用ホース52の他端とゴルフボール圧送用ホース63の他端との間を順次通過するように設けられている。なお、軸16は、図示しない回転駆動装置を介して回転するように構成されている。
また、本実施形態のゴルフボール送球装置は、図示しない回転駆動装置を介した軸16を中心とする回転盤15の回転速度を調整可能な回転速度調整手段(不図示)を備えている。
第1の板部材13は、箱体12の内部に固定され、回転盤15における上側半分の第1のボール収容部(ボールタンク)20側の面を密接するように覆うとともに、第1の開口部13aを備えている。第1の開口部13aは、空気圧送用ホース52内のゴルフボールを通過させて個別配置部15bに導き入れることが可能な大きさ及び形状を有し、空気圧送用ホース52の他端と密封状態で接続するように構成されている。
第2の板部材14は、箱体12の内部に固定され、回転盤15における軸16の周りの第2のボール収容部(ゴルフボール販売機)30側の面を密接するように覆い、第1の板部材13と相俟って回転盤15の上側半分の両面を密封状態で挟むとともに、第2の開口部14aを備えている。第2の開口部14aは、個別配置部15b内のゴルフボールを通過させてゴルフボール圧送用ホース63に導き入れることが可能な大きさ及び形状を有し、ゴルフボール圧送用ホース63の他端と密封状態で接続するように構成されている。なお、図3(c)中、14bは、軸16の外径よりも大きな径を有し、軸16を通す軸孔である。
【0053】
このように構成された第1実施形態のゴルフボール送球装置では、ブロワ11が稼動すると、空気吸入口11aから空気が吸引されると同時に、空気排出口11bから圧縮空気が排出される。また、回転盤15も稼働し回転する。
空気吸引用ホース52’に接続する箱体12は、ブロワ11による空気吸入口11aからの空気の吸引により真空状態となる。さらに、箱体12に接続するゴルフボール吸引用ホース65内の空気が吸引され、第1のボール収容部(ボールタンク)20からゴルフボールが箱体12の内部に吸い込まれる。このとき、ゴルフボール吸引用ホース65では、第1のサクションホース18aから鉄管19に入り込んだゴルフボールが管内の段差部19aに衝突して勢いを低減させられる。そして、鉄管19を通過後のゴルフボールは、勢いが低減した状態で第2のサクションホース18bの内壁に衝突しながら、箱体12の内部に入り込む。箱体12の内部に吸い込まれたゴルフボールは、軸16を中心に回転する回転盤15の夫々の個別配置部15bに、個別に区分けして入り込む。このとき、回転盤15は第2のボール収容部(ゴルフボール販売機)30側に傾斜しているとともに、回転盤15における軸16の周りの第2のボール収容部(ゴルフボール販売機)30側の面は、第2の板部材14により密接するように覆われている。このため、個別配置部15bに入り込んだゴルフボールは、第2の板部材14に支持されながら、回転盤15の回転により、上方に位置する空気圧送用ホース52の他端とゴルフボール圧送用ホース63の他端との間に搬送される。
【0054】
空気排出口11bから排出された圧縮空気は、空気圧送用ホース52を通り、第1の板部材13における第1の開口部13aを通過し、空気圧送用ホース52の他端とゴルフボール圧送用ホース63の他端との間に送られる。このとき、第1の板部材13と第2の板部材14とが、相俟って回転盤15の上側半分の両面を密封状態で挟んでいるため、空気圧送用ホース52の他端とゴルフボール圧送用ホース63の他端との間に送られた空気は外部に漏れることがなく、回転盤15が回転していても、空気圧送用ホース52からの空気の圧送力が弱められることなく、空気圧送用ホース52の他端とゴルフボール圧送用ホース63の他端との間に送られた個別配置部15bに入り込んだゴルフボールをゴルフボール圧送用ホース63内に送り出す。個別配置部15bからゴルフボール圧送用ホース63内に送り出されたゴルフボールは、空気圧送用ホース52からの空気により圧送されて第2のボール収容部(ゴルフボール販売機)30まで導かれる。
【0055】
なお、ゴルフ練習場ごとに広さや設備は多様であり、ブロワ11の容量や、ブロワ11、第1のボール収容部20、第2のボール収容部30、箱体12の設置位置や、空気吸引用ホース52’、空気圧送用ホース52、ゴルフボール吸引用ホース65、ゴルフボール圧送用ホース63の長さによっては、ブロワ11による空気吸引力または空気圧送力が強すぎる場合が生じ得る。
そのような場合は、調整弁17aや調整弁17bを用いて空気吸引用ホース52’や空気圧送用ホース52の内部を通る空気の流量を調整する。
【0056】
また、回転速度調整手段(不図示)により、ゴルフボールの送球距離に応じて、ブロワ11の圧送力を最大に活用したゴルフボールの送球をすることができるように、回転盤15の回転速度を調整して、ゴルフボールの送球量を調整する。
【0057】
第1実施形態のゴルフボール送球装置によれば、回転盤15、第1の板部材13、第2の板部材14を介して、ブロワ11による吸引経路と圧送経路とが完全に隔離された状態で、ゴルフボールを移動させることができるようにしたので、ブロワ11と回転盤15を常時稼働させることで、ブロワ11による吸引力、圧送力が夫々妨げられることのない状態で、第1のボール収容部(ボールタンク)20内のゴルフボールを第2のボール収容部(ゴルフボール販売機)30に常時送球することができる。
また、ブロワ11による吸引力、圧送力が弱められないため、ブロワを極力小型化することが可能となり、また、吸引と圧送の風量調整弁17a、17bを各々調整することにより箱体12を所望の場所に設置できる。また、第1のボール収容部(ボールタンク)20と第2のボール収容部(ゴルフボール販売機)30の間の送球距離を従来のゴルフボール送球装置と比べて延ばすことが可能となる。
また、第1実施形態のゴルフボール送球装置によれば、ブロワ11の吸引力により箱体12の内部へ第1のボール収容部(ボールタンク)20からのゴルフボールを吸引するようにしたので、第1のボール収容部(ボールタンク)20と箱体12の距離が離れていても、ゴルフボールを確実に箱体12内へ導き入れることができる。
さらに、ブロワ11による吸引力、圧送力が弱められないため、第1のボール収容部(ボールタンク)20と箱体12を接続するゴルフボール吸引用ホース65や、箱体12と第2のボール収容部(ゴルフボール販売機)30を接続するゴルフボール圧送用ホース63の勾配に制限を設ける必要がなくなって、最大90度の勾配を設けることができるようになり、第1のボール収容部(ボールタンク)20から第2のボール収容部(ゴルフボール販売機)30の間に敷設するホースの敷設態様の自由度を増大させることが可能となる。
また、第1実施形態のゴルフボール送球装置によれば、空気吸引用ホース52’が接続する空気吸入口を備えたブロワと、空気圧送用ホース52が接続する空気排出口を備えたブロワとして、空気吸入口11aと、空気排出口11bを有し、空気の吸引と圧送とを同時に行うことができるように構成された1台の同じブロワ11で構成したので、ブロワの台数を増やすことなく、容量の小さなブロワの吸引力や、圧送力を最大に活用してゴルフボールを送球することができる。
また、第1実施形態のゴルフボール送球装置によれば、空気吸引用ホース52’と、空気圧送用ホース52が、夫々、内部を通る空気の流量を調整可能な調整弁17a、17bを備えたので、広さや設計が多様で、ブロワの容量や、ブロワ、第1のボール収容部、第2のボール収容部、箱体の設置位置や、空気吸引用ホース、空気圧送用ホース、ゴルフボール吸引用ホース、ゴルフボール圧送用ホースの長さによっては、ブロワによる空気吸引力または空気圧送力が強すぎるようなゴルフ練習場においても、ブロワの吸引力や、圧送力を調整して、ブロワの容量を異ならせることなく、ブロワの吸引力や、圧送力を最大に活用してゴルフボールを送球することができる。
また、第1実施形態のゴルフボール送球装置によれば、ゴルフボール吸引用ホース65が、箱体12の近傍において、第1のサクションホース18aの一端と、管内に段差部19aが設けられた鉄管19の両端と、第2のサクションホース18bの一端とが接続された部位を備えた構成としたので、ゴルフボール吸引用ホース65が箱体12近傍で曲がっているような場合であっても、第1のサクションホース18aから鉄管19に入り込んだゴルフボールが管内の段差部19aに衝突することで勢いが低減する。このため、鉄管19を通過後のゴルフボールを、勢いが低減した状態で第2のサクションホース18bの曲がっている部位の内壁に衝突させることができ、ゴルフボールの衝突による孔があき難くなり、ゴルフボール吸引用ホース65の耐久性を向上させることができる。
また、第1実施形態のゴルフボール送球装置によれば、回転盤15の回転速度を調整可能な回転速度調整手段(不図示)を備えたので、ブロワ11の圧送力を最大に活用しながら、ゴルフボールの送球距離に応じてゴルフボールの送球量を調整できる。
例えば、ゴルフボールの送球距離が短い場合は、ブロワ11によるゴルフボールに対する圧送力が強く働くため、回転盤15の回転速度を速くしても、回転により空気圧送用ホース52の他端とゴルフボール圧送用ホース63の他端との間に位置するゴルフボールを確実にゴルフボール圧送用ホース63側へ送り出し易い。しかるに、本実施形態のゴルフボール送球装置によれば、ゴルフボールの送球距離が短い場合は、回転速度調整手段(不図示)により回転盤15の回転速度を速くすることで、ゴルフボールの送球量を最大にすることができる。
また、例えば、ゴルフボールの送球距離が長い場合は、ブロワ11によるゴルフボールに対する圧送力がその分弱められるため、ブロワ11の容量が小さい場合、回転盤15の回転速度を速くしすぎると、回転により空気圧送用ホース52の他端とゴルフボール圧送用ホース63の他端との間に位置するゴルフボールをゴルフボール圧送用ホース63側へ送り出し難くなり、玉詰まりの虞が生じ得る。しかるに、本実施形態のゴルフボール送球装置によれば、ゴルフボールの送球距離が長い場合は、回転速度調整手段(不図示)により回転盤15の回転速度を遅くすることで、玉詰まりを防止しながら、ブロワ11の容量を最大に活用したゴルフボールの送球をすることができる。
【0058】
第2実施形態
図5は本発明の第2実施形態にかかるゴルフボール送球装置の全体構成を模式的に示す説明図である。
本実施形態のゴルフボール送球装置では、空気吸引用ホース52’が接続する空気吸入口を備えたブロワは吸引式ブロワ51’で構成され、空気圧送用ホース52が接続する空気排出口を備えたブロワは吸引式ブロワ51’とは別の圧送式ブロワ51で構成されており、2台の別のブロワを用いた構成となっている。その他の構成は、第1実施形態のゴルフボール送球装置と略同じである。
【0059】
ゴルフ練習場の中には、ゴルフボールの送球距離が、例えば、50~150m程度の一般的な距離をはるかに超えた長距離となるように設計された練習場も存在し得る。
このような超長距離のゴルフボールの送球距離が必要となるゴルフ練習場では、1台のブロワの吸引力と圧送力を最大に活用しても、もともとのブロワの容量がゴルフボールの吸引や圧送に不足する場合が考えられる。
しかるに、第2実施形態にかかるゴルフボール送球装置のように、空気吸引用ホース52’が接続する空気吸入口(不図示)を備えたブロワと、空気圧送用ホース52が接続する空気排出口(不図示)を備えたブロワとを、2台の別のブロワ(吸引式ブロワ52’、圧送式ブロワ52)で構成すれば、第1のボール収容部(例えば、ゴルフボール自動洗浄・乾燥装置に設けられたボールタンク)20からのゴルフボールを吸引するためのブロワ、ゴルフボールを第2のボール収容部(例えば、ゴルフボール販売機)30に送球するためのブロワの夫々のブロワを大型化させることなく、吸引力、圧送力を最大に活用して、第1のボール収容部(ボールタンク)20から第2のボール収容部(ゴルフボール販売機)30までの送球距離が超長距離となるゴルフ練習場でのゴルフボールの送球が可能となる。
その他の作用効果は、第1実施形態のゴルフボール送球装置と略同じである。
【0060】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施形態に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0061】
また、本願明細書においては、ゴルフボール送球装置における第1のボール収容部をゴルフボール自動洗浄・乾燥装置に設けられたボールタンク、第2のボール収容部をゴルフボール販売機とし、当該ボールタンク内のゴルフボールをゴルフボール販売機まで送球する用途について説明したが、本発明のゴルフボール送球装置は、当該用途に限定されるものではなく、ゴルフ練習場に備わる、ゴルフボール集球装置、ゴルフボール自動洗浄・乾燥装置、ゴルフボール販売機等の各設備間における、ゴルフボールの送球に適用可能である。例えば、第1のボール収容部をゴルフボール集球装置におけるゴルフボールが集められたボールピットとし、第2のボール収容部をゴルフボール自動洗浄・乾燥装置に設けられたボールタンクとして、ゴルフボール集球装置からゴルフボール自動洗浄・乾燥装置までのゴルフボールの送球に用いることが可能である。さらには、これら以外のゴルフボールの送球を必要とするその他のあらゆる設備間でのゴルフボールの送球に用いることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明のゴルフボール送球装置は、ゴルフ練習場において、ボールタンク内のゴルフボールをゴルフボール販売機まで送球することが求められる分野の他にも、ボールタンク内のボールをボール販売機まで送球することが求められる分野に有用である。
【符号の説明】
【0063】
11 ブロワ
11a 空気吸入口
11b 空気排出口
12 箱体
13 第1の板部材
13a 第1の開口部
14 第2の板部材
14a 第2の開口部
14b 軸孔
15 回転盤
15a 円盤部
15b 個別配置部
16 軸
17a 吸引量調整弁
17b 圧送量調整弁
18a 第1のサクションホース
18b 第2のサクションホース
19 鉄管
19a 段差部
20 第1のボール収容部
30 第2のボール収容部
51 圧送式ブロワ
51’ 吸引式ブロワ
52 空気圧送用ホース
52’ 空気吸引用ホース
61 インジェクタ
62、65 ゴルフボール吸引用ホース
62’ ゴルフボール送球用ホース
63 ゴルフボール圧送用ホース
71 ボール供給装置
72 ボール供給弁
81 真空箱
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2023-11-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルフ練習場において、第1の位置に配設された第1のボール収容部内のゴルフボールを第2の位置に配設された第2のボール収容部まで送球するゴルフボール送球装置であって、
少なくとも1台のブロワと、
その一端が前記ブロワの空気吸入口に接続された空気吸引用ホースと、
その一端が前記ブロワの空気排出口に接続された空気圧送用ホースと、
その一端が前記第1のボール収容部に接続されたゴルフボール吸引用ホースと、
その一端が前記第2のボール収容部に接続されたゴルフボール圧送用ホースと、
前記空気吸引用ホースの他端と前記ゴルフボール吸引用ホースの他端の夫々と接続するとともに、前記空気圧送用ホースの他端と前記ゴルフボール圧送用ホースの他端とを対向させた状態で内部に導き入れている箱体と、
前記箱体の内部において前記第2のボール収容部側に傾斜し、円盤部と前記円盤部の外周に沿って形成された、ゴルフボールを個別に区分けして配置させる複数の個別配置部を有し、前記円盤部を通る軸を中心に回転し、回転により夫々の前記個別配置部が前記空気圧送用ホースの他端と前記ゴルフボール圧送用ホースの他端との間を順次通過するように設けられた回転盤と、
前記箱体の内部に固定され、前記回転盤における上側半分の前記第1のボール収容部側の面を密接するように覆うとともに、前記空気圧送用ホースの他端と密封状態で接続する第1の開口部を備えた第1の板部材と、
前記箱体の内部に固定され、前記回転盤における前記軸の周りの前記第2のボール収容部側の面を密接するように覆い、前記第1の板部材と相俟って前記回転盤の上側半分の両面を密封状態で挟むとともに、前記ゴルフボール圧送用ホースの他端と密封状態で接続する第2の開口部を備えた第2の板部材と、
を有することを特徴とするゴルフボール送球装置。
【請求項2】
前記空気吸引用ホースと、前記空気圧送用ホースは、夫々、内部を通る空気の流量を調整可能な調整弁を備えていることを特徴とする請求項1に記載のゴルフボール送球装置。
【請求項3】
前記空気吸引用ホースが接続する前記空気吸入口を備えた前記ブロワと、前記空気圧送用ホースが接続する前記空気排出口を備えた前記ブロワは、1台の同じブロワであることを特徴とする請求項1または2に記載のゴルフボール送球装置。
【請求項4】
前記空気吸引用ホースが接続する前記空気吸入口を備えた前記ブロワと、前記空気圧送用ホースが接続する前記空気排出口を備えた前記ブロワは、2台の別のブロワであることを特徴とする請求項1または2に記載のゴルフボール送球装置。
【請求項5】
前記ゴルフボール吸引用ホースは、前記箱体の近傍において、第1のサクションホースの一端と、管内に段差部が設けられた鉄管の両端と、第2のサクションホースの一端とが接続された部位を備えてなることを特徴とする請求項1に記載のゴルフボール送球装置。
【請求項6】
前記回転盤の回転速度を調整可能な回転速度調整手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載のゴルフボール送球装置。