(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104702
(43)【公開日】2024-08-05
(54)【発明の名称】管理装置、管理システム、管理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/0834 20230101AFI20240729BHJP
【FI】
G06Q10/0834
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023009060
(22)【出願日】2023-01-24
(71)【出願人】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】武村 正則
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA16
5L049CC51
(57)【要約】
【課題】作業の代替要員の手配に関する問題を解決する。
【解決手段】実施の形態に係る管理装置1は、取得部2、生成部3、選択部4を備える。取得部2は、第1事業者に属する第1作業者が所定の作業を行う前に、当該第1作業者の生体情報を取得する。取得部2は、第1作業者の生体情報に基づいて、アラートを生成する。選択部4は、アラートに応じて、作業に対する委託条件を取得し、作業を請負可能なあらかじめ登録された複数の事業者から、委託条件にマッチングする第1事業者と異なる第2事業者を選択して、作業を委託する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1事業者に属する第1作業者が所定の作業を行う前に、当該第1作業者の生体情報を取得する取得部と、
前記第1作業者の生体情報に基づいて、アラートを生成する生成部と、
前記アラートに応じて、前記作業に対する委託条件を取得し、前記作業を請負可能なあらかじめ登録された複数の事業者から、前記委託条件にマッチングする第1事業者と異なる第2事業者を選択して、前記作業を委託する選択部と、
を有する、
管理装置。
【請求項2】
前記第1作業者の生体情報に基づいて、前記第1作業者の前記作業に対する安全レベルを判定する判定部をさらに備え、
前記生成部は、前記安全レベルに応じて、前記第1作業者が前記作業を行うことができるか確認を促す前記アラートを生成する、
請求項1に記載の管理装置。
【請求項3】
前記第2事業者が前記作業を完了したことに応じて、前記第2事業者への報酬と、前記第1事業者への紹介料の支払を決定する支払決定をさらに備える、
請求項1に記載の管理装置。
【請求項4】
前記第2事業者が前記作業を完了しなかった場合、前記第2事業者に対し、賠償金と前記第1事業者への紹介料とを請求する請求額決定部をさらに備える、
請求項1に記載の管理装置。
【請求項5】
前記取得部は、委託された前記作業を行う前に、前記第2事業者における第2作業者の生体情報を取得し、
前記生成部は、前記第2作業者の生体情報に基づいて、アラートを生成する、
請求項1に記載の管理装置。
【請求項6】
第1事業者に属する第1作業者が所定の作業を行う前に、当該第1作業者の生体情報を取得する取得部と、
前記第1作業者の生体情報に基づいて、アラートを生成する生成部と、
前記アラートに応じて、前記作業に対する委託条件を取得し、前記作業を請負可能なあらかじめ登録された複数の事業者から、前記委託条件にマッチングする第1事業者と異なる第2事業者を選択して、前記作業を委託する選択部と、
を有する、
管理システム。
【請求項7】
コンピュータが、
第1事業者に属する第1作業者が所定の作業を行う前に、当該第1作業者の生体情報を取得する処理と、
前記第1作業者の生体情報に基づいて、アラートを生成する処理と、
前記アラートに応じて、前記作業に対する委託条件を取得し、前記作業を請負可能なあらかじめ登録された複数の事業者から、前記委託条件にマッチングする第1事業者と異なる第2事業者を選択して、前記作業を委託する処理と、
を実行する、
管理方法。
【請求項8】
第1事業者に属する第1作業者が所定の作業を行う前に、当該第1作業者の生体情報を取得する処理と、
前記第1作業者の生体情報に基づいて、アラートを生成する処理と、
前記アラートに応じて、前記作業に対する委託条件を取得し、前記作業を請負可能なあらかじめ登録された複数の事業者から、前記委託条件にマッチングする第1事業者と異なる第2事業者を選択して、前記作業を委託する処理と、
をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管理装置、管理システム、管理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
輸送される荷物の衛生管理の観点から、運転手等の作業者の体調管理をする取り組みが広がっている。特許文献1には、作業者の健康状態に関する生体情報に基づいて作業者の健康状態を判定し、判定した健康状態に応じて、移動体によって輸送される荷物に対するアクセスを制御する技術が開示されている。特許文献1では、運転手が体調不良と判定されると、トラックの荷物庫へのアクセスが制限される。また、運転手が体調不良である旨が管理端末装置へ通知されると、拠点の管理者は、運転手へ指示(拠点に戻る等)を与え、荷物庫へのアクセスを行う代替要員の手配や作業指示などを行う。
【0003】
また、運送業者において突発の集荷依頼が来た場合に、自身が所有する複数の車両の中から最適な車両を選択する技術が、特許文献2に開示されている。特許文献2では、集荷依頼の受注条件をオペレータがキーボード等を用いて荷受車両決定装置に入力すると、荷受車両決定装置はこの受注条件を満たすトラックを選択する処理を行うことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-144540号公報
【特許文献2】特開2002-284354号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
物流2024年問題にむけてドライバーの働き方改革が迫られているが、慢性的なドライバー不足や、ドライバーの自己申告のみに基づく体調管理では、潜在する健康起因の事故発生リスクを防ぎきれない。特許文献1のようにドライバーの体調不良を検知できたとしても、中小事業者では交代要員も少ないため、現状は、電話やSNS(Social networking service)等のコミュニケーションツールを活用し、自力で代走の交渉を頼むなど、運行管理者はドライバー以上に過酷な勤務状況であるという実態がある。また、上記文献では、同一事業者内で代替要員を手配しているため、運行計画に乱れが生じるという問題がある。
【0006】
本開示の目的は、上述した課題を鑑み、代替要員の手配に関する問題を解決することが可能な管理装置、管理システム、管理方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る管理装置は、取得部、生成部、選択部を備える。取得部は、第1事業者に属する第1作業者が所定の作業を行う前に、当該第1作業者の生体情報を取得する。生成部は、前記第1作業者の生体情報に基づいて、アラートを生成する。選択部は、前記アラートに応じて、前記作業に対する委託条件を取得し、前記作業を請負可能なあらかじめ登録された複数の事業者から、前記委託条件にマッチングする第1事業者と異なる第2事業者を選択して、前記作業を委託する。
【0008】
本開示の一態様に係る管理システムは、取得部、生成部、選択部を備える。取得部は、第1事業者に属する第1作業者が所定の作業を行う前に、当該第1作業者の生体情報を取得する。生成部は、前記第1作業者の生体情報に基づいて、アラートを生成する。選択部は、前記アラートに応じて、前記作業に対する委託条件を取得し、前記作業を請負可能なあらかじめ登録された複数の事業者から、前記委託条件にマッチングする第1事業者と異なる第2事業者を選択して、前記作業を委託する。
【0009】
本開示の一態様に係る管理方法は、コンピュータが以下の処理を実行する。
第1事業者に属する第1作業者が所定の作業を行う前に、当該第1作業者の生体情報を取得する処理。
前記第1作業者の生体情報に基づいて、アラートを生成する処理。
前記アラートに応じて、前記作業に対する委託条件を取得し、前記作業を請負可能なあらかじめ登録された複数の事業者から、前記委託条件にマッチングする第1事業者と異なる第2事業者を選択して、前記作業を委託する処理。
【0010】
本開示の一態様に係るプログラムは、コンピュータに以下の処理を実行させる。
第1事業者に属する第1作業者が所定の作業を行う前に、当該第1作業者の生体情報を取得する処理。
前記第1作業者の生体情報に基づいて、アラートを生成する処理。
前記アラートに応じて、前記作業に対する委託条件を取得し、前記作業を請負可能なあらかじめ登録された複数の事業者から、前記委託条件にマッチングする第1事業者と異なる第2事業者を選択して、前記作業を委託する処理。
【発明の効果】
【0011】
本開示により、代替要員の手配に関する問題を解決することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施形態1に係る管理装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】実施形態1に係る管理方法の流れを説明するフローチャートである。
【
図3】実施形態1に係る管理システムの構成を示すブロック図である。
【
図4】実施形態2に係る管理システムにおいて、荷主から第1運送業者に依頼された配送作業を、第2運送業者に委託する流れを示す図である。
【
図5】実施形態2に係る管理システムの全体構成を示すブロック図である。
【
図6】
図5の作業者端末の機能構成を示すブロック図である。
【
図7】
図5の管理端末の機能構成を示すブロック図である。
【
図8】
図5の認証装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図9】
図5のサーバの機能構成を示すブロック図である。
【
図10】管理端末に表示される、委託先のマッチングサイトの画面の一例を示す図である。
【
図11】実施形態2に係る管理システムによる管理方法の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下では、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図面において、同一又は対応する要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明は省略される。
【0014】
実施形態1.
図1は、実施形態1に係る管理装置1の構成を示すブロック図である。ここでは、事業者として物流サービスを提供する運送業者、作業者として荷物の搬送を行う職業ドライバー(以下、ドライバーとする)を例に挙げて説明する。ただし、事業者及び作業者は、この例に限定されるものではない。管理装置1は、運送業者に所属するドライバーの健康状態を分析し、ドライバーの体調不良を検知したときに、ドライバーが所属する運送業者と異なる運送業者に搬送の代行を手配する処理を実行する。
【0015】
図1に示すように、管理装置1は、取得部2、生成部3、選択部4を有する。取得部2は、第1運送業者に属する第1ドライバーが所定の作業を行う前に、当該第1ドライバーの生体情報を取得する。ここでは、所定の作業は、物流センターなどの拠点においてトラックの荷物庫内に格納した荷物を、搬送先へ搬送する搬送作業を指すものとするが、これに限定されるものではない。
【0016】
生体情報は、ドライバーの健康状態の分析に必要な情報である。取得部2は、例えば、拠点に設置された図示しない生体情報測定装置から生体情報を取得することができる。または、取得部2は、第1ドライバーが装着したウェアラブルデバイス等から近距離無線通信により生体情報を取得してもよい。ウェアラブルデバイスは、所定の周期で生体情報を測定し、順次取得部2に出力してもよい。例えば、始業前に第1ドライバーがウェアラブルデバイスを装着するようにすれば、取得部2は、ウェアラブルデバイスを外すまで、刻々と変化する第1ドライバーの生体情報を順次取得することができる。
【0017】
図1に示す管理装置1は、ネットワークを介して外部の装置と種々の通信を行うことができる。具体的には、管理装置1は、上記生体情報測定装置(不図示)等にインターネット等の通信回線を介して接続され得る。ただし、通信回線は、インターネットに限定されず、インターネットと他の通信回線との組み合わせであってもよいし、インターネット以外の通信回線であってもよい。通信方式としては、例えば、4G(Generation)、5G、ローカル5G、Wi-Fi(登録商標)、LTE(Long Term Evolution)等の無線通信又は有線通信が用いられ得る。なお、通信方式は、これらの例に限られるものではない。
【0018】
生体情報は、例えば、体温、呼吸、心拍数、血圧、脈波、呼気中のアルコール濃度等であり得る。生体情報測定装置は、上記の生体情報を測定可能な装置であり、ドライバーの呼気からアルコールを検出するアルコール検出センサ、非接触で測定対象者の体表面温度(体温)を測定する体表面温度測定器等を含み得る。また、生体情報は、第1ドライバーが装着したインソール(靴の中敷き)に埋め込まれた検出装置(インソールセンサ)により検出された第1ドライバーの歩容情報であってもよい。歩容情報は、歩幅、歩行速度、接地角度、離地角度等を示す情報を含む。
【0019】
生成部3は、取得した第1ドライバーの生体情報に基づいてアラートを生成する。生成部3は、例えば、取得した第1ドライバーの生体情報を用いて、第1ドライバーの健康状態を判定し、第1ドライバーの搬送作業(運転)に対する安全レベルを評価する。そして、生成部3は、評価結果を選択部4に出力する。したがって、生成部3が出力するアラートは、健康状態に応じて直ちに第1ドライバーが作業を継続できないようにするものではなく、管理者に第1ドライバーの搬送作業に対する安全レベルを知らせるものである。すなわち、このアラートは、管理者による第1ドライバーの健康状態の再チェックを促すリマインダー要素を含むものである。
【0020】
選択部4は、アラートに応じて、搬送作業に対する委託条件を取得する。そして、選択部4は、搬送作業作業を請負可能なあらかじめ登録された複数の事業者から、委託条件にマッチングする第1事業者と異なる第2事業者を選択して、搬送作業を委託する。
【0021】
次に、
図2を参照して管理装置1が行う処理について説明する。
図2は、実施形態1に係る管理装置1が行う管理方法を示すフローチャートである。
【0022】
まず、管理装置1は、第1運送業者に属する第1ドライバーが搬送作業を行う前に、第1ドライバーの生体情報を取得する(S11)。次に、管理装置1は、第1ドライバーの生体情報に基づいて、アラートを生成する(S12)。上述の通り、アラートは、第1ドライバーの生体情報を用いて、第1ドライバーの健康状態を判定し、第1ドライバーの搬送作業(運転)に対する安全レベルを評価したものである。
【0023】
そして、管理装置1は、アラートに応じて、搬送作業に対する委託条件を取得し、搬送作業を請負可能なあらかじめ登録された複数の事業者から、委託条件にマッチングする第1運送業者と異なる第2運送者を選択して、当該搬送作業を委託する(S13)。
【0024】
このように、実施形態1に係る管理装置1によれば、第1ドライバーの健康状態に基づき、社外の運送業者に対して、搬送作業そのものを代行させるマッチングを行うことができる。すなわち、搬送作業を行うドライバーを自社内で交代させるのではなく、事業者・トラック・作業員をすべて外部のものと替えることとなる。これにより、代替要員の手配に関して生じる運行管理者の負担を軽減し、運行計画の乱れの発生を抑制することが可能となる。
【0025】
なお、管理装置1は、図示しない構成としてプロセッサ、メモリ及び記憶装置を備える。当該記憶装置には、実施形態1に係る管理方法の各処理をコンピュータに実行させるプログラムが記憶されている。当該プロセッサは、記憶装置からプログラムをメモリへ読み込ませ、当該プログラムを実行する。これにより、プロセッサは、取得部2、生成部3、選択部4の各機能を実現する。
【0026】
管理装置1の各構成要素は、それぞれが専用のハードウェアで実現されていてもよい。また、各装置の各構成要素の一部又は全部は、汎用又は専用の回路(circuitry)、プロセッサ等やこれらの組合せによって実現されてもよい。これらは、単一のチップによって構成されてもよいし、バスを介して接続される複数のチップによって構成されてもよい。各装置の各構成要素の一部又は全部は、上述した回路等とプログラムとの組合せによって実現されてもよい。また、プロセッサとして、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、量子プロセッサ(量子コンピュータ制御チップ)等を用いてもよい。
【0027】
また、管理装置1の各構成要素の一部又は全部が複数の装置や回路等により実現される場合には、複数の装置や回路等は、集中配置されてもよいし、分散配置されてもよい。
図3は、実施形態1に係る管理システム101の構成を示すブロック図である。
図3に示すように、管理システム101は、取得部102、生成部103、選択部104を備える。管理システム101の各構成の詳細な動作は、上述したように、管理装置1の各構成の動作に対応する。
図3の各構成要素を実現する装置や回路等は、クライアントサーバシステム、クラウドコンピューティングシステム等、各々が通信ネットワークを介して接続される形態として実現されてもよい。また、管理装置1の機能がSaaS(Software as a Service)形式で提供されてもよい。
【0028】
実施形態2.
実施形態2は、上述した実施形態1の具体例である。
図4は、実施形態2に係る管理システム100において、荷主から第1運送業者に依頼された搬送作業を、第2運送業者に委託する流れを示す図である。管理システム100は、荷主が第1運送業者に依頼した荷物の搬送作業を、当該搬送作業を請け負った第1運送業者に所属する第1ドライバーの健康状態に応じて、第1運送業者と異なる第2運送業者に委託するシステムである。すなわち、管理システム100においては、第1運送業者が「委託元」であり、第2運送業者が「委託先」となる。
【0029】
図5は、実施形態2に係る管理システムの全体構成を示すブロック図である。
図5に示すように、管理システム100は、サーバ10、作業者端末20、管理端末30a~30n、認証装置40を含む。サーバ10、作業者端末20、管理端末30a~30n、認証装置40は、それぞれネットワークNを介して接続される。ここで、ネットワークNは、有線又は無線の通信回線、例えばインターネットである。
【0030】
ここでは、管理システム100は、第1ドライバーの本人認証を行う機能(以下、点呼機能と称する)、第1ドライバーの健康状態を管理する機能(以下、体調管理機能と称する)、荷主から依頼された搬送作業を他の運送業者に委託する機能(以下、委託機能と称する)、委託された作業を行った運送業者を評価する機能(以下、評価機能と称する)を含む。
【0031】
以下の説明では、第1運送業者が管理システム100の点呼機能、体調管理機能、委託機能、評価機能を用いて、所属するドライバーの点呼、ドライバーの体調管理、ドライバーの健康状態が不良であるときの搬送作業の委託等を行うものとする。
【0032】
この管理システム100には、複数の運送業者が委託先の候補として登録され得る。ここでは、第1運送業者から第n運送業者までのn社が、委託先として登録されているものとする。すなわち、各運送業者は、荷主から依頼された搬送作業の委託元、或いは、委託元から当該搬送作業を請け負う委託先となり得る。なお、登録される複数の運送業者のうち、委託元からの搬送作業の請け負いのみを可能とする運送業者があってもよい。第1運送業者から第n運送業者には、それぞれ管理端末30a~30nが設けられている。すなわち、第1運送業者には管理端末30aが設けられ、第2運送業者には管理端末30bが設けられている。なお、管理端末30a~30nを区別する必要がない場合には、管理端末30と記載する。
【0033】
管理システム100は、例えば、第1運送業者に所属する第1ドライバーの生体認証を行うことで、本人認証を行うことができる。生体認証に用いられる生体認証情報とは、本人を一意に特定(識別)するための情報である。ここでは、生体認証の一例である顔認証とし、生体認証情報を顔画像として説明する。すなわち、顔画像は、第1ドライバーを特定するための本人認証情報である。
【0034】
なお、生体認証及び生体認証情報は、人物の身体的特徴を利用する他の技術を適用可能である。例えば、生体認証情報には、指紋、声紋、静脈、網膜、瞳の虹彩、手のひらの模様(パターン)といった個人に固有の身体的特徴から計算されるデータ(特徴量)を用いても構わない。第1ドライバーの生体認証情報は、後述する認証装置40にあらかじめ登録され得る。
【0035】
なお、生体認証の代わりに他の本人認証を適用してもよく、生体認証情報も他の本人認証情報であってもよい。例えば、本人認証情報としては、ID、ID及びパスワードの組合せ、マイナンバーや運転免許証等の身分証明書の記載内容(識別番号等やパスワード)、電子証明書、コード情報等が挙げられるが、これらに限定されない。尚、コード情報は、二次元コード例えば、QRコード(登録商標)であってもよい。
【0036】
<作業者端末20>
作業者端末20は、第1ドライバーが所持、操作し、無線通信によりネットワークNを介しサーバ10とデータの送受信を行う情報端末である。作業者端末20は、例えば、手首に装着されるバンドタイプのウェアラブルデバイスであり得る。この場合、測定対象者の手首で、生体情報を測定することができる。なお、作業者端末20は、携帯電話端末、スマートフォン、タブレット端末等であってもよい。
図6は、
図5の作業者端末20の構成を示すブロック図である。
【0037】
作業者端末20は、カメラ21、測定部22、記憶部23、メモリ24、通信部25、処理部26を含む。カメラ21は、処理部26の制御に応じて撮影を行う撮影装置である。測定部22は、例えば、体温、心拍数及び血圧などの生体情報を設定された周期で測定する生体情報測定装置である。測定部22は、測定した生体情報とともに、測定時刻を記録してもよい。
【0038】
記憶部23は、フラッシュメモリやSSD(Solid State Drive)などの不揮発性メモリを含む記憶装置の一例である。記憶部23は、生体認証情報としての顔画像の登録処理、第1ドライバーの健康状態を管理するための生体情報の送信処理等を含む処理が実装されたプログラムを記憶する。
【0039】
メモリ24は、RAM(Random Access Memory)等の揮発性記憶装置であり、処理部26の動作時に一時的に情報を保持するための記憶領域である。通信部25は、ネットワークNとの通信インタフェースである。なお、通信部25は、近距離無線通信の接続を確立し、通信を行ってもよい。ここで、近距離無線通信は、Bluetooth(登録商標)、BLE(Bluetooth Low Energy)、UWB(Ultra-Wide Band)等の様々な規格を適用可能である。
【0040】
処理部26は、作業者端末20が有するハードウェアの制御を行うプロセッサである。処理部26は、記憶部23からプログラムをメモリ24へ読み込ませ、実行する。これにより、処理部26は、登録処理部261、送信処理部262の機能を実現する。なお、作業者端末20は、タッチパネル等の表示装置、入力装置を含んでいてもよい。
【0041】
登録処理部261は、顔画像の事前の登録処理を行う。この顔画像は、第1ドライバーの本人認証に用いられる。具体的には、登録処理部261は、第1ドライバーにより撮影された顔画像の登録要求を、ネットワークNを介してサーバ10へ送信する。後述するが、当該第1作業者の顔画像は、認証装置40の顔情報DB41に登録され得る。
【0042】
送信処理部262は、生体認証情報としての顔画像や、第1ドライバーの体調管理のための生体情報をサーバ10に送信する。送信処理部262は、これらの情報とともに、作業者端末20の端末IDや、作業者IDを送信し得る。
【0043】
<管理端末30>
管理端末30は、各運送業者の拠点に設置され、運行管理者により操作される。管理端末30は、例えば、パーソナルコンピュータ、タブレット、スマートフォンなどである。管理端末30は、ネットワークNを介してサーバ10とデータの送受信を行う。
図7は、
図5の管理端末30の機能構成を示すブロック図である。
図7に示すように、管理端末30は、入出力部31、通信部32、記憶部33、処理部34、報知部35を含む。
【0044】
入出力部31は、画面等の表示装置(表示部)と入力装置(入力部)を含む、例えば、タッチパネルであり得る。通信部32は、ネットワークNとの通信インタフェースである。記憶部33は、後述する情報の送信処理や、表示処理を実行するための各処理が実装されたプログラムを記憶する。処理部34は、管理端末30が有するハードウェアの制御を行うプロセッサである。処理部34は、記憶部33からプログラムを図示しないメモリに読み込ませ、実行する。これにより、処理部34は、送信処理部341、表示処理部342の機能を実現する。
【0045】
第1ドライバーの生体情報に異常がある場合(例えば、体温が閾値以上)、すなわち、第1ドライバーの健康状態が不良である時、サーバ10は、管理端末30に対してアラートを出力することができる。上述したように、アラートは、運行管理者に第1ドライバーの搬送作業に対する安全レベルを知らせるものである。運行管理者は、アラートに応じて、入力装置を用いて、当該搬送作業を他の運送業者の委託するための委託条件を入力することができる。送信処理部341は、入力された委託条件をサーバ10に送信する。なお、運行管理者は、第1ドライバーに対して、作業を中断して拠点に戻る等の適切な対応を取るように連絡してもよい。
【0046】
表示処理部342は、プログラムの実行により生成された画面を入出力部31に表示させる。表示処理部342は、搬送作業の委託に関して、運行管理者に報知したい情報を入出力部31に表示させることができる。例えば、表示処理部342は、上述した委託条件の入力画面や、委託先の運行業者が行った搬送作業に対する評価を行うための入力画面を表示することができる。
【0047】
報知部35は、上記アラートを発光や、音声により運行管理者に報知する。なお、アラートに関する情報は、文字として入出力部31に表示させてもよい。なお、表示処理部342は、サーバ10から、搬送作業の委託に関して、第1ドライバーに報知したい情報を受信した場合、作業者端末20に当該情報を出力してもよい。第1ドライバーに報知したい情報は、例えば、作業中断後の行動や、委託先がどの運送業者に決まったか等に関する情報であり得る。
【0048】
<認証装置40>
ここでは、管理システム100の点呼機能を実現するために、認証装置40が設けられている。点呼機能は、就業前に、ドライバーの本人確認、勤怠管理を行う。なお、点呼は、ドライバーが拠点で実行する対面点呼であってもよく、遠隔地で実行する遠隔点呼であってもよい。認証装置40は、第1運送業者に所属する複数のドライバーの顔画像を管理し、顔認証を行う情報処理装置である。また、認証装置40は、外部から受信した認証要求に応じて、当該要求に含まれる顔画像について、管理する第1ドライバーの顔画像と照合を行い、照合結果を要求元へ返信する。
【0049】
図8は、
図5の認証装置40の構成を示すブロック図である。認証装置40は、顔情報DB(DataBase)41、顔検出部42、特徴点抽出部43、登録部44、認証部45を備える。顔情報DB41は、例えば、ドライバーの登録用の顔画像から抽出された特徴点の集合である顔特徴情報を記憶することができる。顔情報DB41は、ドライバーの作業者ID又はドライバーが使用する作業者端末20の端末IDと、顔特徴情報とを対応付けて記憶する。
図8の例では、作業者IDと顔特徴情報が対応付けて記憶されている。
【0050】
顔検出部42は、顔特徴情報を登録するための登録用の顔画像に含まれる顔領域を検出し、特徴点抽出部43に出力する。特徴点抽出部43は、作業者端末20等から受信した登録用の顔画像の顔領域から特徴点を抽出し、登録部44に顔特徴情報を出力する。登録部44は、顔特徴情報の登録に際して、第2ドライバーの作業者IDと、登録用顔画像から抽出した顔特徴情報とを対応付けて顔情報DB41へ登録する。
【0051】
また、顔検出部42は、認証処理に用いる顔画像に含まれる顔領域を検出し、特徴点抽出部43に出力する。また、特徴点抽出部43は、サーバ10等から受信した認証用顔画像に含まれる特徴点を抽出し、認証部45に顔特徴情報を出力する。
【0052】
認証部45は、顔特徴情報を用いた顔認証を行う。具体的には、認証部45は、認証用顔画像から抽出された顔特徴情報と、顔情報DB41内の顔特徴情報との照合を行う。認証部45は、顔特徴情報の一致の有無を顔認証結果として要求元へ返信する。顔特徴情報の一致の有無は、認証の成否に対応する。このように実施形態2では、顔認証を行うことで、他者の第1ドライバーへのなりすましを防止することができる。
【0053】
例えば、サーバ10から、認証要求が送信された場合、認証部45は、該認証要求に含まれる顔画像について顔認証を行い、認証結果をサーバ10へ返信する。サーバ10は、認証が成功した場合、照合された顔特徴情報に対応付けられた第1ドライバーを特定し、勤怠管理に関する情報を更新することができる。
【0054】
<サーバ10>
サーバ10は、体調管理機能、委託機能、評価機能を実現する情報処理装置である。なお、サーバ10は複数台のサーバで構成されていてもよく、各機能ブロックは複数台のコンピュータで実現されてもよい。
図9は、
図5のサーバ10の構成を示すブロック図である。サーバ10は、記憶部11、メモリ12、通信部13、処理部14を含む。記憶部11は、ハードディスク、フラッシュメモリ等の記憶装置の一例である。記憶部11は、プログラム111及び体調管理DB112を記憶する。プログラム111は、体調管理機能、委託機能及び評価機能等の一部が実装されたコンピュータプログラムである。
【0055】
体調管理DB112は、第1運送業者に所属するドライバーの体調管理に関する情報を管理するデータベースである。体調管理DB112は、作業者IDと、ドライバーの生体情報とを対応付けて管理する。すなわち、実施形態2では、生体情報と生体認証情報とは作業者IDに紐づけられ、サーバ10の体調管理DB112と認証装置40の顔情報DB41とで、運送業者ごとに管理され得る。
【0056】
また、体調管理DB112には、ドライバーの安全レベルを判定するための判定条件が記憶される。判定条件は、例えばそれぞれの生体情報について、段階的な範囲と安全レベルを関連付けたものとしてもよい。また、安全レベルの判定条件は、例えば複数の生体情報を組み合わせた判定に対して、安全レベルを関連付けたものとしてもよい。例えば、体温が37℃以上37.5℃未満、且つ、心拍数が所定値以下の場合は安全レベル「中」、体温が36.5℃未満、且つ、心拍数が所定値より低い場合は安全レベル「高」、体温が36.5℃以上37℃未満、且つ、心拍数が所定値以上である場合は安全レベル「中」のように、判定条件を設定することができる。
【0057】
安全レベルの判定条件は、ドライバーの属性毎に異なる条件を設定したものであってもよい。例えば、所定の年齢の範囲毎や、性別毎に異なる安全レベル判定条件を設けてもよい。また、安全レベル判定条件は、ドライバー毎に異なる条件を設定したものであってもよい。
【0058】
メモリ12は、RAM等の揮発性記憶装置であり、処理部14の動作時に一時的に情報を保持するための記憶領域である。通信部13は、ネットワークNとの通信インタフェースである。処理部14は、サーバ10の各構成を制御するプロセッサである。処理部14は、記憶部11からプログラム111をメモリ12へ読み込ませ、プログラム111を実行する。これにより、処理部14は、認証処理部141、取得部142、判定部143、生成部144、選択部145、出力処理部146、支払額決定部147、請求額決定部148、評価受付部149の機能を実現する。
【0059】
認証処理部141は、上述した点呼機能を実現する。第1に、認証処理部141は、任意の作業者端末20から登録用の顔画像を含む登録要求を受信し、顔画像を認証装置40に登録する処理を行う。また、認証処理部141は、認証装置40から顔画像の登録時に発行された作業者IDを受信する。第2に、認証処理部141は、作業者端末20からドライバーの顔画像を含む認証要求を受信した場合、当該顔画像を含む認証要求を認証装置40へ送信する。そして認証処理部141は、認証装置40から顔認証結果を受信する。認証処理部141は、顔認証が成功した場合、照合された顔特徴情報に対応付けられたドライバーを特定し、特定されたドライバーが出勤したことを記録することができる。
【0060】
取得部142は、第1運送業者に属する第1ドライバーが搬送作業を行う前に、当該第1ドライバーの生体情報を取得する。生体情報は、上述した作業者端末20により測定され、例えば、点呼を行う際の認証用の顔画像と同時に、作業者IDとともにサーバ10へ送信され得る。取得部142は、作業者IDに紐づけて、受信した生体情報を体調管理DB112に登録する。なお、取得部142は、所定の周期で測定された生体情報を順次取得することができる。
【0061】
判定部143は、上述した判定条件を用い、第1ドライバーの生体情報に基づいて、当該第1ドライバーの搬送作業に対する安全レベルを判定する。判定部143は、例えば、時間経過に伴う第1ドライバーの生体情報の変化から、疲労の予兆を検知したり、メンタル状態の判定を行ったりすることで、安全運転への影響を判定することができる。安全レベルは、例えば、高/中/低等、段階で評価してもよい。
【0062】
生成部144は、安全レベルに応じて、第1ドライバーが搬送作業を行うことができるか確認を促すアラートを生成する。安全レベルが低いと判定された場合、サーバ10は第1運送業者の管理端末30aにアラートを発出することができる。運行管理者は、アラートが発出された対象の第1ドライバーの再点呼を行い、運転を含む搬送作業に適さないと判断した場合、当該第1ドライバーの作業を中止させる。すなわち、アラートは、運行管理者に提供される、第1ドライバーの作業の適否を判断するエビデンスとなる。運行管理者は、経験値や目に見える情報だけでなく、第1ドライバーの生体情報に基づく体調管理を行うことが可能となる。
【0063】
選択部145は、アラートに応じて、搬送作業に対する委託条件を取得し、当該搬送作業を請負可能なあらかじめ登録された複数の運送業者から、委託条件にマッチングする第1運送業者と異なる第2運送業者を選択して、搬送作業を委託する。まず、運行管理者又は第1運送業者の経営者は、第1ドライバーの搬送作業を中止させた場合において、当該搬送作業の委託が必要であると判断すると、管理端末30aを用いて、委託条件を入力することができる。これにより、選択部145は、登録されている複数の運送業者から、入力された委託条件に適合する運送業者を選択することができる。
【0064】
委託条件としては、以下のうちの少なくとも1つが含まれる。
・トラックの積載量、寸法等の、搬送作業に必要な車両に関する条件
・紹介料に関する条件(荷主から支払われる料金のうち、委託元の取り分)
・搬送作業に支払われる報酬に関する条件(荷主から支払われる料金から委託元の取り分を引いた額)
【0065】
選択部145は、例えば、第1運送業者が入力した委託条件と、他の運送業者それぞれの受託条件とのマッチング確度を示すスコアを算出し、スコアの高い運送業者を選出する、AI(Artificial Intellignece)推薦機能に基づいて、委託先の候補を選択してもよい。すなわち、選択部145は、マッチング相手となる登録された他の運送業者の選定実績をまとめた過去のデータを学習用データとして機械学習を行うことによりマッチングモデルを構築し、このマッチングモデルを用いて、マッチング相手を探している第1運送業者の委託条件を入力し、スコアを出力する手法を採用することができる。なお、あらかじめ決められた運送業者を、委託先として直接指定することも可能である。
【0066】
出力処理部146は、選択された第2運送業者に、搬送作業の委託の打診を行うことができる。具体的には、出力処理部146は、第2運送業者の管理端末30bに、第1運送業者からの委託の打診がある旨の情報を出力することができる。なお、委託先は短時間で決定されることが好ましいため、複数の運送業者が委託条件にマッチする場合、委託条件にマッチした複数の運送業者に同時に委託打診に関する情報を送信してもよい。この場合、委託受諾の旨の応答が最も速い運送業者を委託先として決定することができる。又は、委託条件にマッチする複数の運送業者から、委託先を荷主が決定したい場合には、荷主側に運送業者の候補を通知し、荷主が委託先の運送業者を決定することも可能である。さらに、あらかじめ決められた運送業者を直接指定した場合には、出力処理部146は、当該指定された運送業者の管理端末30に対して直接、委託に関する連絡を出力することができる。委託元からの搬送作業を受託した、第2運送業者は、自社の第2ドライバーの点呼を行い、通常の搬送作業と同様の作業指示を行うことができる。
【0067】
なお、現在は、法律上、異なる運送業者間で、運行管理者が他の運送業者のドライバーの点呼を行うことはできない。しかしながら、将来的な法改正の可能性、また、法定点呼以外の第三者点呼として、委託元が委託先のドライバーの状態を確認したいという希望がある場合、遠隔点呼できる環境を提供してもよい。
【0068】
すなわち、第三者点呼とは、搬送作業を請け負う、委託先の第2運送業者に属する第2ドライバーが、委託元の第1運送業者によって点呼を受けることを指し得る。第1運送業者は、例えば、管理システム100を用いて、第2運送業者に属する第2ドライバーの本人認証及び体調管理を行うことができる。すなわち、取得部142は、委託された搬送作業を行う前に、第2運送業者における第2ドライバーの生体情報を取得し、判定部143は、第2ドライバーの生体情報に基づいてアラートを生成することができる。
【0069】
例えば、第2ドライバーは、自己の顔画像と生体情報とをサーバ10に送信して、点呼及び体調管理を受けてもよい。なお、第三者点呼は、ZOOM(登録商標)、MICROSOFT TEAMS(登録商標)、SKYPE(登録商標)等のビデオ通話システムを利用して遠隔で行うことも可能である。この場合、委託条件には、「第三者点呼に関する条件」が含まれていてもよい。
【0070】
支払額決定部147は、第2運送業者による搬送作業が完了したことに応じて、第2運送業者への報酬と、第1運送業者への紹介料の支払を決定する。荷主から搬送作業に対する料金が確定すると、支払額決定部147は、この料金を委託条件に規定された、「紹介料に関する条件」、「搬送作業に支払われる報酬に関する条件」を用いて、それぞれの支払額を算出することができる。
例えば、荷主からの搬送作業に対する料金は、以下のように分配され得る。
・システム利用料:固定額
・紹介料:荷主からの搬送作業に対する料金の1割
・第2運送業者への報酬:荷主からの搬送作業に対する料金から紹介料とシステム利用料とを引いた金額
【0071】
なお、第2運送業者への報酬の支払方法については、第2運送業者が指定することが可能である。例えば、支払方法を第2運送業者に選択させる画面を、管理端末30bに表示してもよい。支払方法としては、例えば第2運送業者が指定する口座への振込処理や、電子マネーの送金処理であってもよい。また、同様に、搬送作業の委託元の第1事業者への紹介料の支払方法は、第1運送業者が指定することが可能である。
【0072】
事故や、怠慢、不正等の何らかの理由により、委託先の第2運送業者が搬送作業を完了できないことが考えられる。このように第2運送業者が受託した搬送作業を完了しなかった場合、請求額決定部148は、第2運送業者に対し、荷主への賠償額と第1運送業者への紹介料とを請求することができる。請求額決定部148は、荷主に対する賠償額が確定すると、例えば以下のように第2運送業者に対する賠償金を請求することができる。
・システム利用料:固定額
・紹介料:荷主からの搬送作業に対する料金の1割
・賠償金:荷主への賠償額に、紹介料とシステム利用料を足した金額
【0073】
なお、本来委託した第1運送業者に支払われるべき紹介料とシステム利用料は、荷主への賠償額に加算して、ペナルティとして第2運送業者に請求することができる。また、第1事業者への紹介料の支払方法は、第1運送業者が指定することが可能である。
【0074】
評価受付部149は、第2運送業者による搬送作業が完了した場合、委託元の第1事業者から第2運送業者の搬送作業に対する評価を受け付ける。この評価値は、マッチングの際の委託先の選定基準として使用することも可能である。なお、第2運送業者による搬送作業が完了していない場合は、第2運送業者の評価はシステム側で自動的に入力されてもよい。なお、自動的に入力された評価値は、委託元の第1事業者により変更されてもよい。
【0075】
図10は、第1運送業者の管理端末30aに表示される、委託先のマッチングサイトの画面の一例を示す図である。マッチングサイトの画面には、事前に登録された複数の運送業者の受託条件が示されている。また、過去に受託した搬送作業に対する評価値が◎、○、×の三段階で示されている。運行管理者は、評価値を参照して、委託先を指定して選択することも可能である。
【0076】
図11は、実施形態2に係る管理システムによる管理方法の流れを示す図である。
図11は、委託先を決定するまでの、管理システム100の処理の流れが示されている。まず、作業者端末20は、カメラ21により第1ドライバーの顔を撮影する(S101)。そして、作業者端末20は、顔画像をサーバ10に出力する(S102)。サーバ10は、取得した顔画像を含めた顔認証要求を、ネットワークNを介して認証装置40へ送信する(S103)。認証装置40は、顔認証要求を受信すると顔認証処理を行う(S104)。
【0077】
サーバ10は、認証装置40からネットワークNを介して顔認証結果を受信する(S105)。そして、サーバ10は、顔認証結果に応じて、点呼処理を実行する(S106)。サーバ10は、顔認証が成功した場合、顔認証結果に含まれる作業者IDに対応付けられた第1ドライバーの勤怠管理に関する情報を更新することができる。
【0078】
そして、作業者端末20は、生体情報測定装置により第1ドライバーの生体情報を測定する(S107)。そして、作業者端末20は、生体情報をサーバ10に出力する(S108)。サーバ10は、取得した生体情報に基づいて、体調管理処理を行う(S109)。第1ドライバーの健康状態が不良である場合、アラートが管理端末30aに送信される(S110)。
【0079】
アラートが発出された場合、例えば、運行管理者は、第1ドライバーの搬送作業を中止させるか否かを判断し、当該搬送作業の委託が必要であると判断すると、管理端末30aを用いて、委託条件を入力することができる(S111)。サーバ10は、委託条件にマッチングする委託業者を選択する、委託処理を実行する(S112)。これにより、登録されている複数の運送業者から、入力された委託条件に適合する運送業者を選択することができる。なお、ここでは図示していないが委託先が決定した後に、サーバ10は、委託先の運送会社に属するドライバーに対する第三者点呼処理を行ってもよい。
【0080】
以降の処理(不図示)は、委託先として決定された第2運送業者に対する処理が含まれる。以下、第2運送業者が搬送作業を完了した場合と、完了しなかった場合に分けて説明する。第2運送業者が搬送作業を完了した場合、サーバ10は、第2運送業者に対する報酬と、第1運送業者に対する紹介料の決定処理を実行する。この場合は、第1運行業者の運行管理者は、第2運行業者の実行した配送作業の評価することができる。一方、第2運送業者が搬送作業を完了しなかった場合、サーバ10は、第2運送業者に対する賠償額と、第1運送業者に対する紹介料の決定処理を実行する。この場合は、第2運行業者の評価はシステムにて自動的になされ、第1運行業者は自動入力された評価値を変更することができる。
【0081】
このように、実施形態2の管理システム100によれば、ドライバーの点呼、体調管理、委託マッチングをサポートすることが可能となる。点呼時のドライバーの生体情報に基づく安全レベルからアラートを発出し、運送業者に通知することで、自己申告に依存しないデータに基づくドライバーの健康状態を可視化し、健康状態に起因する事故リスクを低減することが可能となる。また、事前に登録された運送業者から委託先のマッチングを自動的に行うことで、交代要員の問題を解消することができる。委託元には紹介料、委託先には報酬が支払われるようにすることで、委託元、委託先のいずれの運送会社も自社のドライバーの生活を守ることができる。また、運送会社のマッチングサイトへの登録を無償とすることで登録のハードルを下げ、委託先をより多くの運送会社から選択することが可能となる。これにより、運行管理者の負担軽減、運送業者のイメージを向上することができ、止まらない物流インフラの実現に寄与することができる。また、荷主の希望に応じて、委託先の運送業者のドライバーの遠隔点呼を行うことも可能である。
【0082】
上述の例において、プログラムは、コンピュータに読み込まれた場合に、実施形態で説明された1又はそれ以上の機能をコンピュータに行わせるための命令群(又はソフトウェアコード)を含む。プログラムは、非一時的なコンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体に格納されてもよい。限定ではなく例として、コンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体は、RAM、ROM(read-only memory)、フラッシュメモリ、SSD又はその他のメモリ技術、CD-ROM、digital versatile disc(DVD)、Blu-ray(登録商標)ディスク又はその他の光ディスクストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ又はその他の磁気ストレージデバイスを含む。プログラムは、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体上で送信されてもよい。限定ではなく例として、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体は、電気的、光学的、音響的、またはその他の形式の伝搬信号を含む。
【0083】
なお、本開示は上記実施形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。また、本開示は、それぞれの実施形態を適宜組み合わせて実施されてもよい。上述の例では、運転を含む、荷物の搬送作業の委託について記載したが、高所作業車、機械操作等、他の作業の委託であってもよい。
【符号の説明】
【0084】
1 管理装置
2 取得部
3 生成部
4 選択部
10 サーバ
11 記憶部
12 メモリ
13 通信部
14 処理部
111 プログラム
112 体調管理DB
141 認証処理部
142 取得部
143 判定部
144 生成部
145 選択部
146 出力処理部
147 支払額決定部
148 請求額決定部
149 評価受付部
20 作業者端末
21 カメラ
22 測定部
23 記憶部
24 メモリ
25 通信部
26 処理部
261 登録処理部
262 送信処理部
30 管理端末
31 入出力部
32 通信部
33 記憶部
34 処理部
341 送信処理部
342 表示処理部
35 報知部
40 認証装置
41 顔情報DB
42 顔検出部
43 特徴点抽出部
44 登録部
45 認証部
100 管理システム
101 管理システム
102 取得部
103 生成部
104 選択部
N ネットワーク