(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104717
(43)【公開日】2024-08-05
(54)【発明の名称】データ処理装置、データ処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/12 20230101AFI20240729BHJP
【FI】
G06Q40/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023126066
(22)【出願日】2023-08-02
(62)【分割の表示】P 2023504824の分割
【原出願日】2023-01-24
(71)【出願人】
【識別番号】516380407
【氏名又は名称】ファーストアカウンティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】葛 鴻鵬
(72)【発明者】
【氏名】松田 顕
(72)【発明者】
【氏名】小俣 智
(72)【発明者】
【氏名】森 啓太郎
(72)【発明者】
【氏名】早川 将和
【テーマコード(参考)】
5L040
5L055
【Fターム(参考)】
5L040BB63
5L055BB63
(57)【要約】 (修正有)
【課題】仕訳をする対象の請求書に記載された税額と矛盾しない仕訳データを作成するデータ処理装置、方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】データ処理装置1は、仕訳をする対象の請求書データに含まれる合計金額と、消費税額と、一以上の請求項目それぞれの金額と、を取得する取得部131と、一以上の請求項目に対応する一以上の勘定科目毎に、勘定科目に対応する請求項目の金額を合算することにより勘定科目別税額を算出する算出部132と、算出部132が算出した一以上の勘定科目に対応する勘定科目別税額の合計税額と請求書データに含まれる消費税額との間に差額がある場合に、差額に基づいて調整した税額を含む仕訳データを作成するデータ作成部133と、を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
仕訳をする対象の請求書データに含まれる合計金額と、消費税額と、一以上の請求項目それぞれの金額と、を取得する取得部と、
前記一以上の請求項目に対応する一以上の勘定科目ごとに、勘定科目に対応する前記請求項目の金額を合算することにより勘定科目別税額を算出する算出部と、
前記算出部が算出した前記一以上の勘定科目に対応する勘定科目別税額の合計税額と請求書データに含まれる消費税額との間に差額がある場合に、前記差額に基づいて調整した税額を含む仕訳データを作成するデータ作成部と、
を有するデータ処理装置。
【請求項2】
前記データ作成部は、前記差額に対応する税額を含む調整行を追加した前記仕訳データを作成する、
請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項3】
前記請求書データには、複数の税率に対応する複数の前記請求項目と、前記複数の税率それぞれに対応する前記合計金額と、が含まれており、
前記算出部は、前記複数の税率それぞれに関連付けて、それぞれの税率に対応する一以上の前記勘定科目に対応する前記合計税額を算出し、
前記データ作成部は、それぞれの税率に対応する前記合計税額と前記消費税額とを比較し、前記差額が存在する税率に対応する前記調整行を追加した前記仕訳データを作成する、
請求項2に記載のデータ処理装置。
【請求項4】
前記データ作成部は、前記合計税額と前記消費税額とを比較し、前記差額がある場合に、少なくとも1つの勘定科目に対応する前記勘定科目別税額の調整額の合計が前記差額に等しくなるように前記勘定科目別税額を調整した前記仕訳データを作成する、
請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項5】
前記請求書データには、複数の税率に対応する複数の前記請求項目と、前記複数の税率それぞれに対応する前記合計金額と、が含まれており、
前記算出部は、前記複数の税率それぞれに関連付けて、それぞれの税率に対応する一以上の前記勘定科目に対応する前記合計税額を算出し、
前記データ作成部は、それぞれの税率に対応する前記合計税額と前記消費税額とを比較し、前記差額が存在する税率に対応する少なくとも1つの勘定科目に対応する前記勘定科目別税額を調整した前記仕訳データを作成する、
請求項4に記載のデータ処理装置。
【請求項6】
前記算出部は、前記合計税額と前記消費税額との関係に基づいて、前記請求書データの発行元が前記消費税額を算出する場合の端数処理方法を特定し、特定した端数処理方法を用いて前記勘定科目別税額を算出する、
請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項7】
前記算出部は、切り捨て、切り上げ又は四捨五入の端数処理方法うち少なくとも2つの端数処理方法に対応する複数の前記合計税額を算出し、
前記データ作成部は、複数の前記合計税額の全てが前記消費税額と一致していない場合に、前記消費税額と複数の前記合計税額のいずれかとの前記差額に基づいて調整した税額を含む前記仕訳データを作成する、
請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項8】
請求書データの発行元に関連付けて端数処理方法を記憶する記憶部をさらに有し、
前記算出部は、前記取得部が取得した前記請求書データの発行元に関連付けて前記記憶部に記憶された端数処理方法を用いて前記勘定科目別税額を算出する、
請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項9】
前記算出部は、切り捨て、切り上げ又は四捨五入の端数処理方法うち少なくとも2つの端数処理方法に対応する複数の前記合計税額を算出し、
前記データ作成部は、複数の前記合計税額それぞれと前記消費税額との複数の前記差額のうち最も小さい前記差額に対応する端数処理方法を、前記発行元に関連付けて前記記憶部に記憶させる、
請求項8に記載のデータ処理装置。
【請求項10】
コンピュータが実行する、
仕訳をする対象の請求書データに含まれる合計金額と、消費税額と、一以上の請求項目それぞれの金額と、を取得するステップと、
前記一以上の請求項目に対応する一以上の勘定科目ごとに、勘定科目に対応する前記請求項目の金額を合算することにより勘定科目別税額を算出するステップと、
算出した前記一以上の勘定科目に対応する勘定科目別税額の合計税額と請求書データに含まれる消費税額との間に差額がある場合に、前記差額に基づいて調整した税額を含む仕訳データを作成するステップと、
を有するデータ処理方法。
【請求項11】
コンピュータに、
仕訳をする対象の請求書データに含まれる合計金額と、消費税額と、一以上の請求項目それぞれの金額と、を取得するステップと、
前記一以上の請求項目に対応する一以上の勘定科目ごとに、勘定科目に対応する前記請求項目の金額を合算することにより勘定科目別税額を算出するステップと、
算出した前記一以上の勘定科目に対応する勘定科目別税額の合計税額と請求書データに含まれる消費税額との間に差額がある場合に、前記差額に基づいて調整した税額を含む仕訳データを作成するステップと、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ処理装置、データ処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、請求書に記載された取引情報に基づいて、自動的に仕訳データを作成する技術が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
請求書には複数の商品名又はサービス名が請求項目として含まれていることがある。このような場合、請求書には、これらの全ての請求項目に対する請求額を税率ごとに合算した額に対する消費税額が記載される。このような請求書の仕訳データを作成する場合、仕訳の勘定科目ごとに消費税額を算出する必要がある。
【0005】
ところが、勘定科目ごとに消費税額を算出する場合には勘定科目ごとに端数処理が行われるため、請求書に記載された消費税額と、仕訳データを作成する際に算出した勘定科目ごとの消費税額の合計額とが一致しないという場合がある。一例として、請求書に記載された消費税額の算出においては端数が生じていないにもかかわらず、複数の請求項目をそれぞれ別の勘定科目に仕訳する場合の消費税額の算出においては、0.9円が切り捨てられた場合、請求項目数×0.9円の差額が生じてしまう。このような場合、請求書に記載された税額と仕訳データ内の税額とが矛盾する状態になるため、仕訳データを登録できないという問題が生じていた。
【0006】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、仕訳をする対象の請求書に記載された税額と矛盾しない仕訳データを作成できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様のデータ処理装置は、仕訳をする対象の請求書データに含まれる合計金額と、消費税額と、一以上の請求項目それぞれの金額と、を取得する取得部と、前記一以上の請求項目に対応する一以上の勘定科目ごとに、勘定科目に対応する前記請求項目の金額を合算することにより勘定科目別税額を算出する算出部と、前記算出部が算出した前記一以上の勘定科目に対応する勘定科目別税額の合計税額と請求書データに含まれる消費税額との間に差額がある場合に、前記差額に基づいて調整した税額を含む仕訳データを作成するデータ作成部と、を有する。
【0008】
前記データ作成部は、前記差額に対応する税額を含む調整行を追加した前記仕訳データを作成してもよい。
【0009】
前記請求書データには、複数の税率に対応する複数の前記請求項目と、前記複数の税率それぞれに対応する前記合計金額と、が含まれており、前記算出部は、前記複数の税率それぞれに関連付けて、それぞれの税率に対応する一以上の前記勘定科目に対応する前記合計税額を算出し、前記データ作成部は、それぞれの税率に対応する前記合計税額と前記消費税額とを比較し、前記差額が存在する税率に対応する前記調整行を追加した前記仕訳データを作成してもよい。
【0010】
前記データ作成部は、前記合計税額と前記消費税額とを比較し、前記差額がある場合に、少なくとも1つの勘定科目に対応する前記勘定科目別税額の調整額の合計が前記差額に等しくなるように前記勘定科目別税額を調整した前記仕訳データを作成してもよい。
【0011】
前記請求書データには、複数の税率に対応する複数の前記請求項目と、前記複数の税率それぞれに対応する前記合計金額と、が含まれており、前記算出部は、前記複数の税率それぞれに関連付けて、それぞれの税率に対応する一以上の前記勘定科目に対応する前記合計税額を算出し、前記データ作成部は、それぞれの税率に対応する前記合計税額と前記消費税額とを比較し、前記差額が存在する税率に対応する少なくとも1つの勘定科目に対応する前記勘定科目別税額を調整した前記仕訳データを作成してもよい。
【0012】
前記算出部は、前記合計税額と前記消費税額との関係に基づいて、前記請求書データの発行元が前記消費税額を算出する場合の端数処理方法を特定し、特定した端数処理方法を用いて前記勘定科目別税額を算出してもよい。
【0013】
前記算出部は、切り捨て、切り上げ又は四捨五入の端数処理方法うち少なくとも2つの端数処理方法に対応する複数の前記合計税額を算出し、前記データ作成部は、複数の前記合計税額の全てが前記消費税額と一致していない場合に、前記消費税額と複数の前記合計税額のいずれかとの前記差額に基づいて調整した税額を含む前記仕訳データを作成してもよい。
【0014】
請求書データの発行元に関連付けて端数処理方法を記憶する記憶部をさらに有し、前記算出部は、前記取得部が取得した前記請求書データの発行元に関連付けて前記記憶部に記憶された端数処理方法を用いて前記勘定科目別税額を算出してもよい。
【0015】
前記算出部は、切り捨て、切り上げ又は四捨五入の端数処理方法うち少なくとも2つの端数処理方法に対応する複数の前記合計税額を算出し、前記データ作成部は、複数の前記合計税額それぞれと前記消費税額との複数の前記差額のうち最も小さい前記差額に対応する端数処理方法を、前記発行元に関連付けて前記記憶部に記憶させてもよい。
【0016】
本発明の第2の態様のデータ処理方法は、コンピュータが実行する、仕訳をする対象の請求書データに含まれる合計金額と、消費税額と、一以上の請求項目それぞれの金額と、を取得するステップと、前記一以上の請求項目に対応する一以上の勘定科目ごとに、勘定科目に対応する前記請求項目の金額を合算することにより勘定科目別税額を算出するステップと、算出した前記一以上の勘定科目に対応する勘定科目別税額の合計税額と請求書データに含まれる消費税額との間に差額がある場合に、前記差額に基づいて調整した税額を含む仕訳データを作成するステップと、を有する。
【0017】
本発明の第3の態様のプログラムは、コンピュータに、仕訳をする対象の請求書データに含まれる合計金額と、消費税額と、一以上の請求項目それぞれの金額と、を取得するステップと、前記一以上の請求項目に対応する一以上の勘定科目ごとに、勘定科目に対応する前記請求項目の金額を合算することにより勘定科目別税額を算出するステップと、算出した前記一以上の勘定科目に対応する勘定科目別税額の合計税額と請求書データに含まれる消費税額との間に差額がある場合に、前記差額に基づいて調整した税額を含む仕訳データを作成するステップと、を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、仕訳をする対象の請求書に記載された税額と矛盾しない仕訳データを作成できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】請求書処理システムの概要を説明するための図である。
【
図2】データ処理装置の機能の概要を説明するための図である。
【
図4】算出部の動作を説明するための請求書データと仕訳データを示す図である。
【
図5】算出部の動作を説明するための請求書データと仕訳データを示す図である。
【
図6】算出部の動作を説明するための請求書データと仕訳データを示す図である。
【
図7】データ作成部が差額に基づいて税額を調整する方法を説明するための図である。
【
図8】データ処理装置における処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[請求書処理システムSの概要]
図1は、請求書処理システムSの概要を説明するための図である。請求書処理システムSは、請求書データを処理するためのシステムである。請求書処理システムSには、データ処理装置1と請求書発行装置2とが含まれている。データ処理装置1は、請求書発行装置2がネットワークNを介して送信した請求書データを受信し、受信した請求書データを処理する。
図1には1つの請求書発行装置2が示されているが、請求書処理システムSには多数の請求書発行装置2及び多数のデータ処理装置1が含まれていてもよい。
【0021】
データ処理装置1は、例えば、商品又はサービスを購入して請求書データを受け取る企業の経理部門で使用されるコンピュータである。データ処理装置1は、複数の企業が使用するクラウドサーバであってもよい。データ処理装置1には、例えば、仕訳データを作成するためのアプリケーションソフトウェアがインストールされており、請求書発行装置2から受信した請求書データに記載された事項に基づいて仕訳データを作成する。データ処理装置1は、ネットワークNを介して、外部装置(例えば他のコンピュータ又はサーバ)に仕訳データを送信してもよい。
【0022】
請求書発行装置2は、例えば、商品又はサービスを提供する企業の経理部門で使用されるコンピュータである。請求書発行装置2は、経理担当者等のユーザが入力したデータに基づいて請求書の電子ファイルである請求書データを作成する。請求書発行装置2は、作成した請求書データを、ネットワークNを介してデータ処理装置1に送信する。請求書データの形式は任意であるが、請求書データは、例えばPeppol(Pan European Public Procurement Online)に準拠する形式により構成されている。
【0023】
ネットワークNは、イントラネット又はインターネットを含む。ネットワークNは、電子インボイスを送受信するために用いられるPeppolに準拠するアクセスポイントを含んでもよい。請求書データがPeppolネットワークを介して送信される場合、請求書データは、Peppolで規定された形式で作成される。
【0024】
図2は、データ処理装置1の機能の概要を説明するための図である。
図2(a)は、税抜金額が1,010円、消費税額が101円、税込みの請求金額が1,111円の請求書データに基づいて、従来の方法で仕訳処理をした場合の仕訳データの例を示す図である。税込金額1,111円が、1行目の支払手数料1,000円と2行目の支払手数料111円に仕訳される場合、税率10%に基づいて計算すると、1行目の税抜金額は、端数を切り捨てると1,000円/(1+0.1)=909円となり、消費税額は1,000円-909円=91円になる。また、2行目の税抜金額は111円/(1+0.1)=100円となり、消費税額は111円-100円=11円となる。その結果、税抜金額は1,009円、消費税額は102円となり、請求書データに記載された消費税額101円と一致しない金額になってしまう。
【0025】
図2(b)は、同じ請求書データに基づいて本実施形態に係るデータ処理装置1が作成する仕訳データの例である。
図2(b)には、3行目と4行目に税抜金額と消費税額を調整するための行が追加されている。その結果、税抜金額と消費税額が請求書データと一致している。このように、データ処理装置1は、端数処理の影響で仕訳データにおける税抜金額又は消費税額の少なくともいずれかが請求書データ内の金額と一致しないようになることを防ぐことができる。
【0026】
なお、
図2に示した仕訳の方法は一例に過ぎない。データ処理装置1は、請求書データに含まれる一以上の請求項目を一以上の勘定科目に分類し、勘定科目別の税抜金額に基づいて消費税額を算出してもよい。詳細については後述するが、税抜金額が292円、消費税額が29円、税込みの請求金額が321円の請求書データを受け取り、第1の勘定科目に対応する税抜金額が196円、第2の勘定科目に対応する税抜金額が96円として仕訳処理されたとする。この場合、各勘定科目の消費税額はそれぞれ19.6円、9.6円になり、四捨五入又は切り上げをすると20円、10円となるので合計額が30円となり、請求書データに含まれている消費税額29円と一致しない金額になってしまう。この場合においても、データ処理装置1は、請求書データに含まれる消費税額と仕訳データにおける消費税額の合計額との差額に基づいて調整した税額を含む仕訳データを作成する。
以下、データ処理装置1の構成及び動作を詳細に説明する。
【0027】
[データ処理装置1の構成]
図3は、データ処理装置1の構成を示す図である。データ処理装置1は、通信部11と、記憶部12と、制御部13と、を有する。制御部13は、取得部131と、算出部132と、データ作成部133と、を有する。
【0028】
通信部11は、ネットワークNを介してデータを送受信するための通信インターフェースを有する。通信部11は、例えば、ネットワークNを介して請求書データを受信し、受信した請求書データを取得部131に入力する。通信部11は、データ処理装置1を使用する企業の外部のネットワークNを介して請求書データを受信してもよく、データ処理装置1を使用する企業内のネットワークNを介して、他のコンピュータから請求書データを受信してもよい。また、通信部11は、データ作成部133が作成した仕訳データを外部装置(例えば企業内の他のコンピュータ又はストレージ装置)に送信する。
【0029】
記憶部12は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)又はSSD(Solid State Drive)等の記憶媒体を有する。記憶部12は、制御部13が実行するプログラムを記憶する。また、記憶部12は、請求書発行装置2から送られてきた請求書データ、及びデータ作成部133が作成した仕訳データ等の各種のデータを記憶する。記憶部12は、商品名及びサービス名と勘定科目とが関連付けられた勘定科目分類データを記憶してもよい。記憶部12は、データ処理装置1を利用する企業の識別情報に関連付けて、企業別の勘定科目分類データを記憶してもよい。
【0030】
制御部13は、例えばCPU(Central Processing Unit)を有する。制御部13は、記憶部12に記憶されたプログラムを実行することにより、取得部131、算出部132及びデータ作成部133として機能する。
【0031】
取得部131は、通信部11を介して請求書データを取得する。具体的には、取得部131は、仕訳をする対象の請求書データに含まれる合計金額と、消費税額と、一以上の請求項目それぞれの金額と、を取得する。合算金額は、例えば税込の金額であるが、税抜の金額であってもよい。請求項目は、請求書データに含まれる商品名又はサービス名を示す項目である。
【0032】
国によっては商品又はサービスのジャンルごとに異なる消費税率が設定されていることがある。例えば日本においては、8%と10%の消費税率が設定されている。したがって、請求書データには、複数の税率に対応する複数の請求項目と、複数の税率それぞれに対応する合計金額と、が含まれていてもよい。
【0033】
算出部132は、請求書データに含まれる一以上の請求項目に対応する一以上の勘定科目ごとに、勘定科目に対応する請求項目の金額を合算することにより勘定科目別税額を算出する。具体的には、まず、算出部132は、商品名及びサービス名と勘定科目とが関連付けられた勘定科目分類データを参照することにより、請求書データに含まれる一以上の請求項目に対応する商品名又はサービス名が、どの勘定科目に属するかを特定する。
【0034】
続いて、算出部132は、特定した勘定科目ごとに、それぞれの勘定科目に含まれる商品名又はサービス名に対応する一以上の請求項目を特定する。算出部132は、特定した一以上の請求項目に対応する金額を合算することにより、勘定科目別請求額を算出する。算出部132は、勘定科目別請求額に税率を乗算してから端数処理することで、勘定科目別税額を算出する。端数処理は、切り捨て、切り上げ又は四捨五入である。算出部132がどの端数処理を行うかについての詳細は後述する。
【0035】
算出部132は、複数の税率それぞれに関連付けて、それぞれの税率に対応する一以上の勘定科目に対応する合計税額を算出してもよい。具体的には、8%と10%の税率がある場合、算出部132は、8%に対応する一以上の勘定科目の勘定科目別税額を合算した第1合計税額と、10%に対応する一以上の勘定科目の勘定科目別税額を合算した第2合計税額とを算出する。算出部132は、算出した合計税額をデータ作成部133に通知する。
【0036】
図4から
図6は、算出部132の動作を説明するための請求書データと仕訳データを示す図である。
図4(a)は、本と消しゴムが請求項目に記載された請求書データの例を示しており、消費税額が29円となっている。
図4(b)は、
図4(a)に基づく仕訳データの例を示している。
図4(b)に示す仕訳データにおいては、本及び消しゴムの両方が勘定科目「消耗品費」に割り当てられている。算出部132は、本と消しゴムの金額の合算額292円に税率10%を乗算することにより端数処理前の税額29.20円を算出し、四捨五入することにより勘定科目別税額を29円と算出している。この例においては、請求書データに含まれている消費税額と、仕訳データにおける勘定科目別税額とが一致している。
【0037】
図5(a)は、
図4(a)と同様に本と消しゴムが請求項目に記載された請求書データの例を示しており、消費税額が29円となっている。
図5(b)は、
図4(b)に示した仮の仕訳データを作成した企業と異なる企業で作成される仮の仕訳データの例であり、本が勘定科目「新聞図書費」に割り当てられており、消しゴムが勘定科目「消耗品費」に割り当てられている。仮の仕訳データは、請求書データに含まれている消費税額と算出した一以上の勘定科目別税額を合算した合計税額との差額が調整されていない仕訳データである。
【0038】
算出部132は、本の金額の合計額196円に税率10%を乗算することにより端数処理前の税額19.60円を算出し、四捨五入することにより、新聞図書費に対応する勘定科目別税額を20円と算出している。また、算出部132は、消しゴムの金額の合計額96円に税率10%を乗算することにより端数処理前の税額9.60円を算出し、四捨五入することにより、消耗品費に対応する勘定科目別税額を10円と算出している。新聞図書費に対応する勘定科目別税額と消耗品費に対応する勘定科目別税額とを合算した合計税額は30円になり、請求書データに含まれている消費税額と一致していない。
【0039】
図6(a)は、業務委託費が請求項目に記載された請求書データの例を示しており、消費税額が8,880円となっている。
図6(b)は、業務委託費の一部が第1の勘定科目である「技術手数料」に割り当てられ、業務委託費の他の一部が第2の勘定科目である「事務手数料」に割り当てられた仮の仕訳データを示している。この場合、算出部132は、技術手数料に対応する勘定科目別税額を7,688円と算出し、事務手数料に対応する勘定科目別税額を1,193円と算出している。勘定科目別税額の合計税額は8,881円となり、請求書データに含まれている消費税額8,880円と一致していない。
【0040】
データ処理装置1は、このように、請求書データに含まれている消費税額と、算出部132が算出した勘定科目別税額の合計額とが一致していない場合に、仕訳データにおける勘定科目別税額の合計税額が請求書データに含まれている消費税額と一致するように調整することを特徴としている。すなわち、データ作成部133は、算出部132が算出した一以上の勘定科目に対応する勘定科目別税額の合計税額と請求書データに含まれる消費税額との間に差額がある場合に、差額に基づいて調整した税額を含む仕訳データを作成する。
【0041】
データ作成部133は、例えば、仮の仕訳データに含まれる少なくとも1つの勘定科目に対応する勘定科目別税額に差額を加算又は減算することにより調整した後の額を、仕訳データの勘定科目別税額とする。具体的には、データ作成部133は、算出部132が算出した合計税額と請求書データ内の消費税額とを比較し、差額がある場合に、少なくとも1つの勘定科目に対応する勘定科目別税額の調整額の合計が差額に等しくなるように前記勘定科目別税額を調整した仕訳データを作成する。データ作成部133は、差額に対応する税額を含む調整行を追加した仕訳データを作成してもよい。
【0042】
図7は、データ作成部133が差額に基づいて税額を調整する方法を説明するための図である。
図7(a)は、
図5(b)に示した仮の仕訳データである。
図7(b)は、勘定科目「新聞図書費」に対応する勘定科目税額を調整して19円に変更した仕訳データを示している。データ作成部133は、勘定科目「消耗品費」に対応する勘定科目税額を調整して9円にしてもよいが、複数の勘定科目のうち、金額が最も金額が大きい勘定科目に対応する勘定科目税額を調整することで、調整前の勘定科目税額に対する調整額(すなわち差額)の割合が最小になる。算出部132がこのように動作することで、調整の影響が小さくなる。
【0043】
なお、勘定科目の数が多いほど差額が大きくなる蓋然性が高くなる。差額が大きい場合、1つの勘定科目税額を調整すると、調整前の勘定科目税額に対する調整額の割合が大きくなり過ぎることがある。そこで、データ作成部133は、差額が閾値未満である場合、1つの勘定科目税額を調整し、差額が閾値以上である場合、複数の勘定科目税額を調整してもよい。
【0044】
図7(c)は、差額に対応する税額を含む調整行が、勘定科目「新聞図書費」について追加された仕訳データを示している。データ作成部133がこのように調整行を追加した仕訳データを作成することで、調整が行われたことを経理担当者が把握しやすくなる。
【0045】
複数の税率が存在する場合、データ作成部133は、それぞれの税率に対応する勘定科目別税額の合計税額と請求書データの消費税額とを比較し、合計税額と消費税額との間に差額が存在する税率に対応する税額を調整した仕訳データを作成する。データ作成部133は、例えば、差額が存在する税率に対応する少なくとも1つの勘定科目に対応する勘定科目別税額を調整した仕訳データを作成する。データ作成部133は、差額が存在する税率に対応する調整行を追加した仕訳データを作成してもよい。データ作成部133がこのように動作することで、調整が必要な税率に対応しない勘定科目の税額が変更されてしまうことを防げる。
【0046】
[端数処理の選択]
上述したように、端数処理の方法として、切り捨て、切り上げ又は四捨五入がある。したがって、端数処理の方法を変えることにより、合計税額と消費税額との間に差額が生じないことも生じ得る。
【0047】
そこで、算出部132は、切り捨て、切り上げ又は四捨五入の端数処理方法のうち少なくとも2つの端数処理方法に対応する複数の合計税額を算出する。データ作成部133は、複数の合計税額の全てが、請求書データに含まれる消費税額と一致していない場合に、消費税額と複数の合計税額のいずれかとの差額に基づいて調整した税額を含む仕訳データを作成する。データ作成部133は、複数の端数処理方法に対応する複数の合計税額のうち少なくとも1つが、請求書データに含まれる消費税額と一致している場合、税額を調整せず、差額が生じない端数処理方法に基づく勘定科目別税額を含む仕訳データを作成する。算出部132及びデータ作成部133がこのように動作することで、差額の調整が行われていない仕訳データを作成できる確率が高まる。
【0048】
複数の端数処理方法のうち、算出部132が算出した勘定科目別税額の合計額と請求書データに含まれる消費税額との差額が小さい端数処理方法は、請求書データを発行した企業が使用している端数処理方法であるという蓋然性が高い。そこで、算出部132は、算出した一以上の勘定科目別税額の合計税額と請求書データに含まれる消費税額との関係に基づいて、請求書データの発行元が消費税額を算出する場合の端数処理方法を特定し、特定した端数処理方法を用いて勘定科目別税額を算出してもよい。
【0049】
算出部132は、例えば、複数の合計税額それぞれと消費税額との複数の差額のうち最も小さい差額に対応する端数処理方法を、請求書データの発行元が使用する端数処理方法であると特定する。一例として、算出部132は、複数の端数処理方法のうち1つの端数処理方法で算出した一以上の勘定科目別税額の合計税額と消費税額とが一致している場合、当該端数処理方法を請求書データの発行元が使用する端数処理方法であると特定する。算出部132は、合計税額と消費税額とが一致していない場合、他の端数処理方法を用いて一以上の勘定科目別税額の合計税額を算出し、算出した合計税額と消費税額とが一致する場合に、当該端数処理方法を請求書データの発行元が使用する端数処理方法であると特定する。算出部132は、この処理を繰り返すことにより発行元が使用する端数処理方法を特定する。
【0050】
算出部132は、特定した端数処理方法を発行元に関連付けて記憶部12に記憶させてもよい。この場合、算出部132は、取得部131が取得した請求書データの発行元に関連付けて記憶部12に記憶された端数処理方法を用いて勘定科目別税額を算出してもよい。算出部132がこのように動作することで、過去に請求書データを受領したことがある企業から新たな請求書データを受領した場合に、データ作成部133が勘定科目別税額の合計額と請求書データに含まれる消費税額とが一致する仕訳データを作成できる確率が高まる。
【0051】
[データ処理装置1における処理の流れ]
図8は、データ処理装置1における処理の流れを示すフローチャートである。
図8に示すフローチャートは、通信部11が仕訳の対象となる請求書データを受信した時点から開始している。
【0052】
取得部131は、仕訳の対象となる請求書データを取得する(S11)。続いて、算出部132は、記憶部12に記憶された勘定科目分類データを参照することにより、請求書データに含まれている一以上の請求項目に対応する一以上の勘定科目を特定する(S12)。
【0053】
続いて、算出部132は、一以上の勘定科目それぞれに対して、勘定科目に対応する一以上の請求項目の消費税額を算出し、算出した消費税額を合算することにより、勘定科目別税額を算出する(S13)。データ作成部133は、算出部132が算出した一以上の勘定科目に対応する一以上の勘定科目別税額を合算することにより合計税額を算出する(S14)。
【0054】
続いて、データ作成部133は、算出した合計税額と請求書データに含まれている消費税額とを比較する(S15)。データ作成部133は、合計税額と消費税額との間に差額があると判定した場合(S16においてYES)、差額に基づいて調整した税額を含む仕訳データを作成する(S17)。具体的には、データ作成部133は、
図7(b)又は
図7(c)に示したように、算出部132が算出した勘定科目別税額が含まれる仮の仕訳データにおける少なくとも1つの勘定科目に対応する勘定科目別税額を変更したり、算出部132が算出した勘定科目別税額が含まれる仮の仕訳データに調整用の税額を含む新たな行を追加したりすることにより、仕訳データを作成する。
【0055】
データ作成部133は、合計税額と消費税額との間に差額がないと判定した場合(S16においてNO)、算出部132が算出した勘定科目別税額を含み、調整した税額を含まない仕訳データを作成する(S18)。データ作成部133は、作成した仕訳データを出力する(S19)。
【0056】
[データ処理装置1による効果]
以上説明したように、データ処理装置1は、一以上の請求項目に対応する一以上の勘定科目ごとに、勘定科目に対応する請求項目の金額を合算することにより勘定科目別税額を算出する算出部132と、一以上の勘定科目に対応する勘定科目別税額の合計税額と請求書データに含まれる消費税額との間に差額がある場合に、差額に基づいて調整した税額を含む仕訳データを作成するデータ作成部133と、を有する。データ処理装置1がこのような構成を有することで、仕訳をする対象の請求書に仕訳をする対象の請求書データに記載された税額と矛盾しない仕訳データを作成できる。
【0057】
以上、実施の形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0058】
1 データ処理装置
2 請求書発行装置
11 通信部
12 記憶部
13 制御部
131 取得部
132 算出部
133 データ作成部