IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三粧化研株式会社の特許一覧 ▶ 株式会社超微細科学研究所の特許一覧 ▶ 株式会社H4の特許一覧

<>
  • 特開-ナノバブル含有化粧料組成物 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104739
(43)【公開日】2024-08-05
(54)【発明の名称】ナノバブル含有化粧料組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/02 20060101AFI20240729BHJP
   A61K 8/31 20060101ALI20240729BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20240729BHJP
   A61K 8/9789 20170101ALI20240729BHJP
   A61K 8/19 20060101ALI20240729BHJP
   A61Q 1/00 20060101ALI20240729BHJP
   A61Q 1/14 20060101ALI20240729BHJP
   A61Q 5/00 20060101ALI20240729BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20240729BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20240729BHJP
【FI】
A61K8/02
A61K8/31
A61K8/37
A61K8/9789
A61K8/19
A61Q1/00
A61Q1/14
A61Q5/00
A61Q19/00
A61Q19/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024004879
(22)【出願日】2024-01-16
(62)【分割の表示】P 2021209621の分割
【原出願日】2021-12-23
(31)【優先権主張番号】P 2020218006
(32)【優先日】2020-12-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】391027929
【氏名又は名称】三粧化研株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】318014588
【氏名又は名称】株式会社超微細科学研究所
(71)【出願人】
【識別番号】517135947
【氏名又は名称】株式会社H4
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安東 淳
(72)【発明者】
【氏名】畠中 克人
(72)【発明者】
【氏名】藤田 勇仁
(72)【発明者】
【氏名】切石 壯
(72)【発明者】
【氏名】竹島 陽介
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA121
4C083AA122
4C083AB501
4C083AB502
4C083AC011
4C083AC012
4C083AC021
4C083AC022
4C083AC351
4C083AC442
4C083AD662
4C083CC23
4C083CC31
4C083DD08
4C083EE07
4C083EE11
4C083EE21
4C083EE41
(57)【要約】
【課題】肌への馴染みが良く、かつ塗布後においても残留オイルによるベタつきの虞がない使用感に優れた化粧料組成物を提供する。
【解決手段】本発明に係るナノバブル含有化粧料組成物は、ナノバブル液および化粧料の成分を含み、前記ナノバブル液が、オイルおよび気泡を含み、前記気泡の直径が5nm~500nmであること、からなるナノバブル含有化粧料組成物に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノバブル液および化粧料の成分を含み、
前記ナノバブル液が、オイルおよび気泡を含み、前記気泡の直径が5nm~500nmであることを特徴とする、ナノバブル含有化粧料組成物。
【請求項2】
前記オイルが、少なくともスクワラン、ミネラルオイル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、およびオリーブオイルからなる群から選択される1以上のオイルであることを特徴とする、請求項1に記載のナノバブル含有化粧料組成物。
【請求項3】
前記気泡が、水素、二酸化炭素、空気、および酸素からなる群から選択される1以上のガスからなる気泡であることを特徴とする、請求項1または2に記載のナノバブル含有化粧料組成物。
【請求項4】
前記ナノバブル含有化粧料組成物が、クレンジング用化粧料組成物、整肌用化粧料組成物、頭髪用化粧料組成物、または浴用化粧料組成物であることを特徴とする、請求項1-3のいずれか1項に記載のナノバブル含有化粧料組成物。
【請求項5】
速やかに肌に馴染ませるために前記気泡の直径が80-140nmである化粧料組成物であることを特徴とする、請求項1-4のいずれか1項に記載のナノバブル含有化粧料組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノバブル含有化粧料組成物に関する。より詳しくは、ナノバブル液および化粧料の成分を含むナノバブル含有化粧料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧料とは、人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、または皮膚もしくは毛髪をすこやかに保つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされているものをいう。
【0003】
化粧料としては、例えば、セッケン、化粧水、乳液、クリームなどのように肌を清潔に整えることを目的とする基礎用化粧料、ファンデーション、紅(べに)、おしろい、アイシャドー、マニキュアのように、色調によって肌色や立体感を調節するメークアップ化粧料、さらにヘアケア化粧料、芳香用化粧料、薬用化粧料等があり、現在までに様々な化粧料が上市されている。この明細書においては化粧料に医薬部外品も含むものとする。
【0004】
近年においては現代人の美的関心は高くなっており、肌を綺麗に保つことについて、老若男女問わず幅広い世代が関心を持っている。肌を綺麗にする具体的な方法としては、食事内容の調節、十分な睡眠時間の確保、紫外線や乾燥等の予防、肌のコンディションを整える等が挙げられ、特に、肌のコンディションを整える化粧料を用いる方法は、美的効果を得やすい点で世間から注目されている。
【0005】
肌のコンディションを整える基礎用化粧料としては、例えば、スキンオイル、マッサージオイル、エッセンシャルオイル、クレンジングオイル等の整肌用化粧料が挙げられる。オイルを含有する整肌用化粧料を身体に塗布することにより、油膜によって肌からの水分蒸発を抑え、肌に対して潤いを与えることができる。
【0006】
前述したように、オイルを含有する整肌用化粧料を皮膚に塗布することにより高い保湿感を得ることができる。しかし、整肌用化粧料において使用するオイルの種類またはその使用状況によっては、肌に対して馴染みが悪く、塗布後に残留オイルによるベタつきがあるなど、使用感に優れない化粧料も存在する。
【0007】
このような化粧料の使用感を改善する方法として、HLBの低い界面活性剤を少量配合するという方法が知られており、これによりオイルの表面張力を下げ、肌に対する馴染みの悪さや残留オイルによるベタつきを改善することができる。
【0008】
肌に油性成分を塗布する化粧料組成物として、例えば、特許文献1がある。特許文献1には、融点が50~150℃の固形油、液体油、およびHLB値が5~15の非イオン性界面活性剤を含有する油性固形クレンジング料が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2001-213726号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前述したように、特許文献1では、融点が50~150℃の固形油、液体油、およびHLB値が5~15の非イオン性界面活性剤を含有する油性固形クレンジング料が開示されており、このような化粧料組成物は、界面活性剤を用いない化粧料組成物と比較すると、オイルの肌への馴染みが良く、残留オイルによる肌のギラつきを抑えることができる。
【0011】
一方で、界面活性剤を含む化粧料組成物は、使用者に対して、界面活性剤に起因する肌荒れなどの悪影響を及ぼす虞があり、課題が残されている。また、使用者が界面活性剤に対してアレルギーを有する場合、界面活性剤を含む化粧料組成物の使用自体が難しい。
【0012】
本発明は、前述の状況を鑑みてなされたものであり、ナノバブル液および化粧料の成分を含み、ナノバブル液がオイルおよび気泡を含み、気泡の直径が5nm~500nmであるナノバブル含有化粧料組成物を提供するものである。
【0013】
本発明に係るナノバブル含有化粧料組成物によれば、気泡の直径が5nm~500nmであるナノバブルをオイル中に分散させており、肌への馴染みが良く、かつ化粧料塗布後においてもベタつかない使用感に優れたナノバブル含有化粧料組成物を提供できる。また、本発明に係るナノバブル含有化粧料組成物は界面活性剤を含まないため、使用者に対して肌荒れなどの悪影響を及ぼす虞がなく、界面活性剤に対してアレルギーを有する者であっても使用することができる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1に係る発明は、ナノバブル液および化粧料の成分を含み、前記ナノバブル液が、オイルおよび気泡を含み、前記気泡の直径が5nm~500nmであることを特徴とする、ナノバブル含有化粧料組成物に関する。
【0015】
請求項2に係る発明は、前記オイルが、少なくともスクワラン、ミネラルオイル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、およびオリーブオイルからなる群から選択される1以上のオイルであることを特徴とする、請求項1に記載のナノバブル含有化粧料組成物に関する。
【0016】
請求項3に係る発明は、前記気泡が、水素、二酸化炭素、空気、および酸素からなる群から選択される1以上のガスからなる気泡であることを特徴とする、請求項1または2に記載のナノバブル含有化粧料組成物に関する。
【0017】
請求項4に係る発明は、前記ナノバブル含有化粧料組成物が、クレンジング用化粧料組成物、整肌用化粧料組成物、頭髪用化粧料組成物、または浴用化粧料組成物であることを特徴とする、請求項1-3のいずれか1項に記載のナノバブル含有化粧料組成物に関する。
【0018】
請求項5に係る発明は、速やかに肌に馴染ませるために前記気泡の直径が80-140nmである化粧料組成物であることを特徴とする、請求項1-4のいずれか1項に記載のナノバブル含有化粧料組成物に関する。
【発明の効果】
【0019】
請求項1に係る発明によれば、ナノバブル液および化粧料の成分を含み、前記ナノバブル液が、オイルおよび気泡を含み、前記気泡の直径が5nm~500nmであることを特徴とする、ナノバブル含有化粧料組成物であるため、オイルが速やかに皮膚に馴染み、かつ化粧料塗布後において残留オイルによりベタつかない、使用感に優れたナノバブル含有化粧料組成物を提供できる。また、ナノバブル含有化粧料組成物は界面活性剤を含まないため、使用者に対して界面活性剤に起因する肌荒れなどの悪影響を及ぼす虞がなく、界面活性剤に対してアレルギーを有する者であっても使用できる。また、気泡の直径が5nm~500nmであるナノバブルを用いるため、ナノバブル液が安定して気泡を含有でき、長期に亘ってガスが抜ける虞のないナノバブル含有化粧料組成物を提供できる。
【0020】
請求項2に係る発明によれば、前記オイルが、少なくともスクワラン、ミネラルオイル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、およびオリーブオイルからなる群から選択される1以上のオイルであるため、これらのオイルを用いるナノバブル液は特に皮膚に馴染みやすく、化粧料塗布後においてもベタつきにくいナノバブル含有化粧料組成物を提供できる。
【0021】
請求項3に係る発明によれば、前記気泡が、水素、二酸化炭素、空気、および酸素からなる群から選択される1以上のガスからなる気泡であるため、化粧料組成物に含まれるナノバブル液が皮膚に浸透することにより、肌に温感を付与できる。
【0022】
請求項4に係る発明によれば、前記ナノバブル含有化粧料組成物が、クレンジング用化粧料組成物、整肌用化粧料組成物、頭髪用化粧料組成物、または浴用化粧料組成物であるため、オイルが速やかに皮膚に馴染むことにより皮膚や頭皮などの汚れを充分に落とすことができ、皮膚や頭皮を柔軟にしたり、健やかに保つことができ、かつオイルによるベタつきが少ないために使用感に優れた、クレンジング用化粧料組成物、整肌用化粧料組成物、頭髪用化粧料組成物、または浴用化粧料組成物を提供できる。
【0023】
請求項5に係る発明によれば、速やかに肌に馴染ませるために前記気泡の直径が80-140nmである化粧料組成物であるため、オイルが速やかに皮膚に浸透することにより、皮膚からの水分の蒸発を抑えることができ、保湿性の高いナノバブル含有化粧料組成物を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明に必要なナノバブル発生装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施例に係るナノバブル含有化粧料組成物(以下、単に本化粧料組成物とも称する)の好適な実施形態について説明する。
【0026】
本化粧料組成物は、ナノバブル液および化粧料の成分を備えている。ナノバブル液とは、オイル中にナノバブルが分散している液体をいう。
【0027】
ナノバブルとは、液体(水またはオイル)中の微小気泡の総称であり、気泡の直径が1μm未満のものを指す。なお、本明細書において気泡とは、液体の内部にできる気体の泡のことを指す。
【0028】
ファインバブルとは、気泡の直径が100μm以下のものを指し、ファインバブルはマイクロバブルとナノバブル(ウルトラファインバブル)に分類される。マイクロバブルの気泡の直径は1μm~100μmであり、ナノバブルの気泡の直径は前述したように1μm未満である。
【0029】
本化粧料組成物のナノバブル液は、気泡の直径が1μm未満のものであれば全て使用できるが、本化粧料組成物の品質維持の観点から、本発明で用いられるナノバブル発生装置(株式会社超微細科学研究所製、モデル名 Lab-nano-GS-2A-PD51-F-2106)と同様のナノバブル濃度、ナノバブルの均一性の高さ、ナノバブルの安定性の高さ及びナノ粒子の混入が非常に少ないナノバブル液を製造できる装置を用いることが望ましい。
また、本化粧料組成物のナノバブル液は、気泡の直径が5nm~500nmのものを用いることが望ましく、50nm~500nmのものを用いることがより望ましい。気泡の直径が500nmを超える場合は、気泡径が大きいために溶液からガスが抜ける虞があり、ナノバブル液を長期的に保存することが難しくなる。なお、気泡の平均気泡径では、80nm~140nmであることが望ましい。気泡の平均気泡径が140nmを超える場合は、気泡平均径が大きいために溶液からガスが抜ける虞があり、ナノバブル液を長期的に保存することが難しくなる。
【0030】
本化粧料組成物はナノバブル液を含有することから、マイクロバブル含有化粧料組成物と比較して、化粧料に含まれる気泡を長期に亘って保存することができる。したがって、本化粧料組成物は長期的に保存することができる化粧料として好適に使用することができる。また、ナノバブルはマイクロバブルよりも浸透性が良い点に着目し、本発明者らは、本化粧料組成物においてナノバブル液を用いることで、オイルを肌に速やかに馴染ませ、かつ残留オイルによるベタつきをなくすことができることを見出した。そのため、本化粧料組成物においては、ナノバブル液を使用する必要がある。なお、ナノバブル液は血流促進効果を有しており、本化粧料組成物は肌に温感も付与できる化粧料として、より好適に使用することができる。
【0031】
本化粧料組成物のオイルは、例えば、スクワラン、ミネラルオイル、オリーブオイル、ホホバオイル、スイートアーモンドオイル、グレープシードオイル、アプリコットカーネルオイル、マカデミアナッツオイル、サンフラワーオイル、カメリアオイル、セサミオイル、アルガンオイル、ラズベリーシードオイル、ココナッツオイル、ウォールナッツオイル、ククイナッツオイル、パッションフラワーオイル、ピーチカーネルオイル、ヘーゼルナッツオイル、ヘンプシードオイル、アボカドオイル、アロエベラオイル、イブニングプリムローズオイル、ウィートジャームオイル、カスターオイル(ひまし油)、オレンジシードオイル、ヒッポファエオイル(サジーオイル)、フラックスシードオイル(亜麻仁油)、ローズヒップオイル、プルーンシードオイル、アンディローバオイル、インカインチオイル、カシューナッツオイル、カメリナオイル、キウイシードオイル、キューカンバシードオイル、グァバシードオイル、クランベリーシードオイル、グレープフルーツシードオイル、米油、米ぬか油、ライスブランオイル、アルニカオイル、キャロットオイル、コンフリーオイルなどを用いることができる。また、本化粧料組成物のオイルとしてエステルオイルを用いることができ、例えば、パルミチン酸2-エチルヘキシル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、イソノナン酸2-エチルヘキシル、イソノナン酸イソノニルなどを用いることができる。また、本化粧料組成物のオイルとして高級アルコール類を用いることができ、例えば、オレイルアルコールなどを用いることができる。また、本化粧料組成物のオイルとしてシリコンオイルを用いることができ、例えば、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン(フェニルメチコン)、デカメチルシクロペンタシロキサン揮発シリコン、オクタメチルシクロテトラシロキサン揮発シリコンなどを用いることができる。また、本化粧料組成物のオイルとして、少なくともスクワラン、ミネラルオイル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、またはオリーブオイルの1以上のオイルを用いることが最も好ましい。これらのオイルを用いるナノバブル液は特に皮膚に馴染みやすく、化粧料塗布後においてもベタつきにくい。
【0032】
本化粧料組成物において用いるガスは、当業者に自明のものであれば全て用いることができるが、水素、二酸化炭素、空気、もしくは酸素などを用いることが望ましく、またはこれらを組み合わせたものであってもよい。これらのガスは皮膚に浸透しやすく、肌に温感を付与できる。
【0033】
本化粧料組成物において用いる化粧料の成分は、例えば、保湿剤(柔軟剤、エモリエント剤)、収瞼剤(制汗剤)、清涼剤、美白剤、紫外線吸収剤、またはその他の薬剤などを用いることができる。しかし、化粧料の成分はこれらの例に限定されず、当業者に自明のものであれば全て使用できる。
【0034】
保湿剤は、例えば、ジグリセリン、ジプロピレングリコール、グリコシルトレハロース・水添デンプン分解物混合溶液、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、プロパンジオール、マルチトール、ソルビトール、グルコース、キシリトール、1,2-オクタンジオール、エチルヘキシルグリセリン、アセチル化ヒアルロン酸ナトリウム、加水分解ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ヒドロキシプロピルトリモニウムなどを用いることができる。
【0035】
収斂剤は、例えば、クエン酸、乳酸、硫酸アルミニウム、レモン水、またはハマメリスなどを用いることができる。
【0036】
清涼剤は、例えば、メントール、エチルアルコール、カンフル、またはユーカリ油などを用いることができる。
【0037】
美白剤は、例えば、アルブチン、トラネキサム酸、ビタミンC誘導体またはプラセンタなどを用いることができる。
【0038】
紫外線吸収剤は、例えば、PABA、t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン、オキシベンゾン-1、オキシベンゾン-2、オキシベンゾン-3、オキシベンゾン-4、オキシベンゾン-5、オキシベンゾン-6、オキシベンゾン-9、ポリシリコーン-15、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、またはジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルなどを用いることができる。
【0039】
他の薬剤は、例えば、にきび用剤、ふけ・かゆみ用剤、腋臭防止剤、殺菌・消毒剤(グリチルリチン酸ジカリウム等)、養毛料等の化粧品、または育毛剤などの医薬部外品などを用いることができる。
【0040】
本化粧料組成物は、添加剤、植物性エキス、または増粘剤をさらに含んでいても良い。
【0041】
添加剤は、例えば、防腐剤、酸化防止剤、または金属封鎖剤(金属イオン元素封止剤)などを用いることができる。
【0042】
防腐剤は、例えば、酸化銀、パラオキシ安息香酸エステル、ソルビン酸、デヒドロ酢酸ナトリウム、第四級アンモニウム塩(塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム等)、クロロキシジン、ペンチレングリコール、またはフェノキシエタノールなどを用いることができる。
【0043】
酸化防止剤は、例えば、トコフェロール(ビタミンE)、アスコルビン酸、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、またはブチルヒドロキシアニソール(BHA)などを用いることができる。
【0044】
金属封鎖剤は、例えば、キレート剤(エデト酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸塩(EDTA))などを用いることができる。
【0045】
植物性エキスは、ドクダミエキス、オウバクエキス、メリロートエキス、オドリコソウエキス、カンゾウエキス、シャクヤクエキス、サボンソウエキス、ヘチマエキス、キナエキス、ユキノシタエキス、クララエキス、ウイキョウエキス、サクラソウエキス、バラエキス、ジオウエキス、レモンエキス、シコンエキス、アロエエキス、ショウブ根エキス、ユーカリエキス、スギナエキス、セージエキス、タイムエキス、チャエキス、海藻エキス、キューカンバーエキス、チョウジエキス、キイチゴエキス、メリッサエキス、ニンジンエキス、マロニエエキス、桃葉エキス、クワエキス、ヤグルマギクエキス、ハマメリスエキス、オウゴンエキス、リンゴエキス、ユズエキス、アーチチョークエキス、グレープフルーツエキスなどを用いることができる。
【0046】
増粘剤は、高分子成分などを用いることができる。高分子成分としては、例えば、天然の水溶性高分子、半合成の水溶性高分子、合成の水溶性高分子、または無機の水溶性高分子などを用いることができる。
【0047】
天然の水溶性高分子は、例えば、アラビアガム、トラガカントガム、ガラクタン、グアガム、カラギーナン、ペクチン、カンテン、クインスシード(マルメロ)、アルゲコロイド、デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ)、グリチルリチン酸などの植物系高分子、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、プルランなどの微生物系高分子、またはカゼイン、アルブミン、ゼラチンなどの動物系高分子を用いることができる。
【0048】
半合成の水溶性高分子は、例えば、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプンなどのデンプン系高分子、メチルセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)、結晶セルロース、セルロース末などのセルロース系高分子、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステルなどのアルギン酸系高分子を用いることができる。
【0049】
合成の水溶性高分子は、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリルアミドなどを用いることができる。
【0050】
無機の水溶性高分子は、例えば、ベントナイト、ケイ酸AlMg(ビーガム)、ラポナイト、ヘクトライト、無水ケイ酸などを用いることができる。
【0051】
本化粧料組成物は、ビタミンエキスまたは動物性エキス(コラーゲンなど)を含むことができ、化粧料組成物に優れた保湿効果を付与できる。
【0052】
本化粧料組成物は、例えば、クレンジングオイルなどのクレンジング用化粧料組成物として好適に用いることができる。使用者は本化粧料組成物を速やかに肌に馴染ませることにより、皮膚の油汚れおよび/または塗布した化粧料を充分に落とすことができる。また、本化粧料組成物はオイルによるベタつきが少ないため、クレンジングを快適に行うことができ、使用感に優れる。さらに、本化粧料組成物のナノバブルとして水素、酸素、二酸化炭素などを用いる場合、温感を肌に付与できるため、界面活性剤を用いるクレンジング用化粧料組成物と比較して、より好適なクレンジングオイルとして用いることができる。
【0053】
本化粧料組成物は、例えば、スキンオイルまたはマッサージオイルなどの整肌用化粧料組成物として好適に用いることができる。使用者は本化粧料組成物を速やかに肌に馴染ませることにより、肌を傷つけずに快適にマッサージをすることができる。また、本化粧料組成物はオイルによるベタつきが少ないことから使用感にも優れる。さらに、本化粧料組成物のナノバブルとして水素、酸素、二酸化炭素などを用いる場合は、温感を肌に付与できる。それゆえ、界面活性剤を用いる整肌用化粧料組成物と比較して、より好適な整肌用化粧料組成物として用いることができる。
【0054】
本化粧料組成物は、例えば、ヘアーオイル、または養毛料などの頭髪用化粧料組成物として好適に用いることができる。使用者は本化粧料組成物を速やかに頭皮や髪に馴染ませることにより、頭皮を健やかにしたり、髪を柔軟にすることができ、本化粧料組成物はオイルによるベタつきも少ないため、使用感に優れる。さらに、本化粧料組成物のナノバブルとして水素、酸素、二酸化炭素などを用いる場合は温感を頭皮に付与できるため、界面活性剤を用いる頭髪用化粧料組成物と比較して、より好適な頭髪用化粧料組成物として用いることができる。
【0055】
本化粧料組成物は、例えば、浴用化粧料組成物として好適に用いることができる。使用者は、本化粧料組成物を入浴の際に使用することで、本化粧料組成物を体全体にわたって肌に馴染ませることにより、皮膚全体を柔軟にしたり、保護することができる。また、本化粧料組成物のナノバブルとして水素、酸素、二酸化炭素などを用いる場合、温感を皮膚に付与できることから優れた使用感を有し、界面活性剤を用いる浴用化粧料組成物と比較して、より好適な浴用化粧料組成物として用いることができる。
【0056】
以下、本発明の実施例に係る化粧料組成物の製造方法の好適な実施形態について説明する。
【0057】
オイルにガスを供給して気泡の直径が5nm~500nmのナノバブル液を得る工程aと、オイルに化粧料の成分を配合する工程bを含み、工程aおよび工程bを任意の順序又は同時に実施することにより、本化粧料組成物を製造できる。
【0058】
オイルは、本化粧料組成物に使用するオイルと同様のものを用いることができる。
【0059】
ナノバブル液は、オイルにガスを供給してナノバブル液を調製する。
【0060】
ナノバブル液は、ナノバブル発生装置(株式会社超微細科学研究所製、モデル名 Lab-nano-GS-2A-PD51-F-2106)を使用して製造される。ナノバブル液の製造は、前記ナノバブル発生装置と同様のナノバブル濃度、ナノバブルの均一性の高さ、ナノバブルの安定性の高さ及びナノ粒子の混入が非常に少ないナノバブル液を製造できる装置であれば、ナノバブル発生装置は問わないものとする。
ナノバブル濃度は1×10(個数/ml)以上であり、好ましくは1×10(個数/ml)以上である。
均一性の高いナノバブルとは、5-500nm、50-300nm、80-200nmまたは80-140nmの気泡径をもつナノバブルであり、気泡径のばらつきが小さいものである。
安定性の非常に高いナノバブル液とは、オイルにナノバブルを含有させてから、少なくとも3ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、12ヶ月もしくは15ヶ月以上の間、ナノバブル濃度が1×10(個数/ml)の状態を保つナノバブル液である。
本発明に係るナノバブルは、従来の旋回液流式、スタティックミキサー式、エゼクター式、ベンチュリー式、加圧微細孔式又は加圧溶解式のナノバブル発生装置によって発生させたナノバブルに比べて、均一性や安定性が非常に高いことが特徴である。
【0061】
本発明で使用されるナノバブル発生装置(株式会社超微細科学研究所製、モデル名 Lab-nano-GS-2A-PD51-F-2106)について、図1を用いて詳細に説明する。
【0062】
図1は、本発明において使用されるナノバブル発生装置(株式会社超微細科学研究所製、モデル名 Lab-nano-GS-2A-PD51-F-2106)の概略構成を示している。同図に示すように、本発明において使用されるナノバブル発生装置1は、気体放出前の液体を貯留する貯液槽10と、この貯液槽に貯留された液体を吸い上げて送出する送液ユニット20(相対移動手段)と、この送液ユニット20による送液途中の液体にナノバブルを放出する気体放出ユニット41と、この気体放出ユニット41によって気体が放出された液体を貯留する貯液槽40から構成されている。
【0063】
前記送液ユニット20は、液体の流路を形成する送液管21と送液管部分22に設けられた可変流量形の送液ポンプ23と、送液管部分21に設けられた気体放出ユニット41の負圧度を調整するためのバルブ24とを備えており、貯液槽10に貯留された液体が気体放出ユニット41を通って貯液槽40に送出されるようになっている。
【0064】
前記気体放出ユニット41は、気体放出部材42を備えており、気体放出部材42の下面(気体放出面)に液体が接触する状態で液体の流路FCが形成される。放出される気体は、給気管46を通して給気室GRに給気され、気体放出部材42を通して液体にナノバブルとして提供される。
使用される気体は、当業者に自明のものであれば全て用いることができるが、水素、二酸化炭素、空気、もしくは酸素などを用いることが望ましい。
【0065】
貯液槽10に貯留された液体は、送液ユニット20の送液管21から気体放出ユニット41に送られ、流路FCを通って、送液ユニット20の送液管22に送られ、送液管から貯液槽40に送出されるようになっている。
本発明で使用される液体は主にオイルであり、その粘度は1000mPa・s以下であることが好ましい。
【0066】
前記気体放出部材42は、多孔質アルミナ、多孔質ガラス等の多孔質セラミックスによって形成された通気型の多孔質体からなり、孔径(モード径)が1.5[μm]以下の多数の気体放出孔が下面に開放されている。具体的には、気体放出孔の孔径(モード径)が、1.5μm、1μm、0.8μm、0.4μm、0.05μm、0.005μmの6種類である。
【0067】
以上のように構成されたナノバブル発生装置1において、貯液槽10内に液体を導入して送液ポンプ23を運転すると、貯液槽10内の液体が気体放出ユニット41の流路を通って貯液槽40に送出されるが、送液ポンプ23の吸込側に位置している気体放出ユニット41の流路FC内は負圧になっている。
この負圧によって、気体放出部材42の下面に開放された気体放出孔から流路FCを通過する液体内に空気が吸い出される。ポンプ流量は、気体放出ユニット41の流路FC内の液体流速が0.3[m/sec]以上となるように調整する。
前記液体の移動により、気体放出部材42の気体放出孔から流路FCを通過する液体内に吸い出されるガスは、流路FCを流れる液体流によって、1.5μm以下の微細気泡に分断され、この微細気泡がゆっくりと収縮しながらナノオーダーの微細気泡が生成され、ナノバブルを含む液体が貯液槽に貯留される。
【0068】
前記送液ポンプは、流体路独立ポンプでポンプ作動ダストの発生しない構造を持つものであり、揚程が大きいものが望ましく、好ましくは5m以上の揚力のものを使用すればよい。
【0069】
また、従来の旋回液流式、スタティックミキサー式、エゼクター式、ベンチュリー式、加圧微細孔式又は加圧溶解式のナノバブル発生装置は、マイクロバブルも同時に発生することで、装置内部でキャビテーションを起こす。このキャビテーションにより、装置内で少量の壊食が発生し、不純物であるナノ粒子の汚染を起こす。このナノ粒子による汚染はナノバブル濃度計測の際に誤ってナノバブルとして計測されるため、ナノ粒子の汚染は好ましくない。
一方で、本発明で使用するナノバブル発生装置は、ナノバブルのみを発生させ、送液ポンプについても流体路独立ポンプでポンプ作動ダストの発生しない構造を持つものであるため、不純物であるナノ粒子の汚染は非常に少ない。
【0070】
化粧料の成分は、本化粧料組成物に使用する化粧料の成分と同様のものを用いることができる。
【0071】
工程aおよび工程bを任意の順序又は同時に実施することから、以下のパターンがあり得る。(1)オイルにガスを供給して得られたナノバブル液に、化粧料の成分を配合して本化粧料組成物を得る(工程a、工程bの順序で実施)。(2)オイルに化粧料の成分を配合した後に、ガスを供給してナノバブル液を得ることで本化粧料組成物を得る(工程b、工程aの順序で実施)。(3)オイルにガスを供給しながら化粧料の成分を配合して本化粧料組成物を得る(工程a、工程bを同時に実施)。前述したパターンのいずれかで本化粧料組成物を製造できる。
【0072】
また、ガスおよび/または化粧料の成分を必ずしもオイル全量に供給および/または溶解する必要はなく、例えば、オイル全量を2つに分けて、片方のオイルにガスを供給してナノバブル液を調製し、もう片方のオイルに化粧料の成分を溶解させたオイルを調製し、その後にナノバブル液と化粧料の成分を溶解させたオイルを配合して本化粧料組成物を得るものであってもよい。
【0073】
ガスは、本化粧料組成物に使用するガスと同様のものを用いることができる。
【0074】
本化粧料組成物は、例えば、クレンジングオイルなどのクレンジング用化粧料組成物として好適に用いることができる。使用者は本化粧料組成物を速やかに肌に馴染ませることにより、皮膚の油汚れおよび/または塗布した化粧料を充分に落とすことができる。また、本化粧料組成物はオイルによるベタつきが少ないため、クレンジングを快適に行うことができ、使用感に優れる。さらに、本化粧料組成物のナノバブルとして水素、酸素、二酸化炭素などを用いる場合、温感を肌に付与できるため、界面活性剤を用いるクレンジング用化粧料組成物と比較して、より好適なクレンジング用化粧料組成物として用いることができる。
【0075】
本化粧料組成物は、例えば、スキンオイルまたはマッサージオイルなどの整肌用化粧料組成物として好適に用いることができる。使用者は本化粧料組成物を速やかに肌に馴染ませることにより、肌を傷つけずに快適にマッサージをすることができる。また、本化粧料組成物はオイルによるベタつきが少ないことから使用感にも優れる。さらに、本化粧料組成物のナノバブルとして水素、酸素、二酸化炭素などを用いる場合は、温感を肌に付与できる。それゆえ、界面活性剤を用いる整肌用化粧料組成物と比較して、より好適な整肌用化粧料組成物として用いることができる。
【0076】
本化粧料組成物は、例えば、ヘアーオイル、または養毛料などの頭髪用化粧料組成物として好適に用いることができる。使用者は本化粧料組成物を速やかに頭皮や髪に馴染ませることにより、頭皮を健やかにしたり、髪を柔軟にすることができる。また、本化粧料組成物はオイルによるベタつきが少ないため、使用感に優れる。さらに、本化粧料組成物のナノバブルとして水素、酸素、二酸化炭素などを用いる場合は温感を頭皮に付与できるため、界面活性剤を用いる頭髪用化粧料組成物と比較して、より好適な頭髪用化粧料組成物として用いることができる。
【0077】
本化粧料組成物は、例えば、浴用化粧料組成物として好適に用いることができる。例えば、浴用化粧料組成物である本化粧料組成物を入浴の際に使用することで、本化粧料組成物を体全体にわたって肌に馴染ませることにより、皮膚全体を柔軟にしたり、保護することができる。また、本化粧料組成物のナノバブルとして水素、酸素、二酸化炭素などを用いる場合、温感を肌に付与できることから優れた使用感を有し、界面活性剤を用いる浴用化粧料組成物と比較して、より好適な浴用化粧料組成物として用いることができる。
【実施例0078】
以下、本発明に係るナノバブル含有化粧料組成物の実施例を示すことにより、本発明の効果をより明確なものとする。但し、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
【0079】
[実施例1]
(水素ガスからなるナノバブル含有化粧料組成物の調製)
ナノバブル発生装置(株式会社超微細科学研究所製、モデル名 Lab-nano-GS-2A-PD51-F-2106)により発生させた、水素ガスからなるナノバブルをパルミチン酸2-エチルヘキシルに通気し、ナノバブル液を調製した。続いて、調製したナノバブル液に化粧料の成分としてトコフェロールを混合し、実施例1のナノバブル含有化粧料組成物を調製した。実施例1のナノバブル含有化粧料組成物の配合割合を表1に示した。
【0080】
[実施例2]
(酸素ガスからなるナノバブル含有化粧料組成物の調製)
ナノバブル発生装置(株式会社超微細科学研究所製、モデル名 Lab-nano-GS-2A-PD51-F-2106)により発生させた、酸素ガスからなるナノバブルをパルミチン酸2-エチルヘキシルに通気し、ナノバブル液を調製した。続いて、調製したナノバブル液に化粧料の成分としてトコフェロールを混合し、実施例2のナノバブル含有化粧料組成物を調製した。実施例2のナノバブル含有化粧料組成物の配合割合を表1に示した。
【0081】
[実施例3]
(二酸化炭素ガスからなるナノバブル含有化粧料組成物の調製)
ナノバブル発生装置(株式会社超微細科学研究所製、モデル名 Lab-nano-GS-2A-PD51-F-2106)により発生させた、二酸化炭素ガスからなるナノバブルをパルミチン酸2-エチルヘキシルに通気し、ナノバブル液を調製した。続いて、調製したナノバブル液に化粧料の成分としてトコフェロールを混合し、実施例3のナノバブル含有化粧料組成物を調製した。実施例3のナノバブル含有化粧料組成物の配合割合を表1に示した。
【0082】
[実施例4]
(水素ガスからなるナノバブル含有化粧料組成物の調製)
ナノバブル発生装置(株式会社超微細科学研究所製、モデル名 Lab-nano-GS-2A-PD51-F-2106)により発生させた、水素ガスからなるナノバブルをスクワランに通気し、ナノバブル液を調製した。続いて、調製したナノバブル液に化粧料の成分としてトコフェロールを混合し、実施例4のナノバブル含有化粧料組成物を調製した。実施例4のナノバブル含有化粧料組成物の配合割合を表1に示した。
【0083】
[比較例1]
(オイル含有化粧料組成物の調製)
パルミチン酸2-エチルヘキシルおよび化粧料の成分としてトコフェロールを混合し、オイル含有化粧料組成物を調製した。比較例1のオイル含有化粧料組成物の配合割合を表1に示した。
【0084】
[比較例2]
(界面活性剤を含むオイル含有化粧料用基剤の調製)
比較例1で使用したトコフェロールの代わりに、界面活性剤であるモノイソステアリン酸ソルビタンをパルミチン酸2-エチルヘキシルに配合し、オイル含有化粧料用基剤を調製した。比較例2のオイル含有化粧料用基剤の配合割合を表1に示した。
【0085】
(試験方法)
実施例1-4のナノバブル含有化粧料組成物、比較例1のオイル含有化粧料組成物、および比較例2のオイル含有化粧料用基剤である各試料1mLを人の前腕部に塗布した後に指先でマッサージを行い、肌への馴染み具合と使用感を官能により評価した。効能評価試験結果を表1に示す。表1中の効果について、○は塗布後速やかに肌に馴染み、残留オイルによるベタつきがなく使用感に優れる、△は塗布後肌に馴染むが残留オイルによるベタつきがある、×は塗布後オイルが肌に残り、残留オイルによる肌のギラつきがあるとして評価した。また、表1中、ナノバブルの欄において、○はナノバブルを含有することを示し、×はナノバブルを含有しないことを示し、括弧内は使用したガスの種類を示した。なお、実施例1-4および比較例1の試料には化粧料の成分としてトコフェロールを0.1%配合した。
【0086】
【表1】
【0087】
[実施例5]
(水素ガスからなるナノバブル含有化粧料組成物の調製)
ナノバブル発生装置(株式会社超微細科学研究所製、モデル名 Lab-nano-GS-2A-PD51-F-2106)により発生させた、水素ガスからなるナノバブルをオリーブオイルに通気し、ナノバブル液を調製した。続いて、調製したナノバブル液に化粧料の成分としてトコフェロールを混合し、実施例5のナノバブル含有化粧料組成物を調製した。実施例5のナノバブル含有化粧料組成物の配合割合を表2に示した。
【0088】
[実施例6]
(酸素ガスからなるナノバブル含有化粧料組成物の調製)
ナノバブル発生装置(株式会社超微細科学研究所製、モデル名 Lab-nano-GS-2A-PD51-F-2106)により発生させた、酸素ガスからなるナノバブルをオリーブオイルに通気し、ナノバブル液を調製した。続いて、調製したナノバブル液に化粧料の成分としてトコフェロールを混合し、実施例6のナノバブル含有化粧料組成物を調製した。実施例6のナノバブル含有化粧料組成物の配合割合を表2に示した。
【0089】
[実施例7]
(二酸化炭素ガスからなるナノバブル含有化粧料組成物の調製)
ナノバブル発生装置(株式会社超微細科学研究所製、モデル名 Lab-nano-GS-2A-PD51-F-2106)により発生させた、二酸化炭素ガスからなるナノバブルをオリーブオイルに通気し、ナノバブル液を調製した。続いて、調製したナノバブル液に化粧料の成分としてトコフェロールを混合し、実施例7のナノバブル含有化粧料組成物を調製した。実施例7のナノバブル含有化粧料組成物の配合割合を表2に示した。
【0090】
[比較例3]
(オイル含有化粧料組成物の調製)
オリーブオイルおよび化粧料の成分としてトコフェロールを混合し、オイル含有化粧料組成物を調製した。比較例3のオイル含有化粧料組成物の配合割合を表2に示した。
【0091】
[比較例4]
(界面活性剤を含むオイル含有化粧料用基剤の調製)
比較例3で使用したトコフェロールの代わりに、界面活性剤であるモノイソステアリン酸ソルビタンをオリーブオイルに配合し、オイル含有化粧料用基剤を調製した。比較例4のオイル含有化粧料用基剤の配合割合を表2に示した。
【0092】
(試験方法)
実施例5-7のナノバブル含有化粧料組成物、比較例3のオイル含有化粧料組成物、および比較例4のオイル含有化粧料用基剤である各試料1mLを人の前腕部に塗布した後に指先でマッサージを行い、肌への馴染み具合と使用感を官能により評価した。効能評価試験結果を表2に示す。表2中の効果について、○は塗布後速やかに肌に馴染み、残留オイルによるベタつきがなく使用感に優れる、△は塗布後肌に馴染むが残留オイルによるベタつきがある、×は塗布後オイルが肌に残り、残留オイルによる肌のギラつきがあるとして評価した。また、表2中、ナノバブルの欄において、○はナノバブルを含有することを示し、×はナノバブルを含有しないことを示し、括弧内は使用したガスの種類を示した。なお、実施例5-7および比較例3の試料には化粧料の成分としてトコフェロールを0.1%配合した。
【0093】
【表2】
【0094】
[実施例8]
(水素ガスからなるナノバブル含有化粧料組成物の調製)
ナノバブル発生装置(株式会社超微細科学研究所製、モデル名 Lab-nano-GS-2A-PD51-F-2106)により発生させた、水素ガスからなるナノバブルをミネラルオイルに通気し、ナノバブル液を調製した。続いて、調製したナノバブル液に化粧料の成分としてトコフェロールを混合し、実施例8のナノバブル含有化粧料組成物を調製した。実施例8のナノバブル含有化粧料組成物の配合割合を表3に示した。
【0095】
[実施例9]
(酸素ガスからなるナノバブル含有化粧料組成物の調製)
ナノバブル発生装置(株式会社超微細科学研究所製、モデル名 Lab-nano-GS-2A-PD51-F-2106)により発生させた、酸素ガスからなるナノバブルをミネラルオイルに通気し、ナノバブル液を調製した。続いて、調製したナノバブル液に化粧料の成分としてトコフェロールを混合し、実施例9のナノバブル含有化粧料組成物を調製した。実施例9のナノバブル含有化粧料組成物の配合割合を表3に示した。
【0096】
[実施例10]
(二酸化炭素ガスからなるナノバブル含有化粧料組成物の調製)
ナノバブル発生装置(株式会社超微細科学研究所製、モデル名 Lab-nano-GS-2A-PD51-F-2106)により発生させた、二酸化炭素ガスからなるナノバブルをミネラルオイルに通気し、ナノバブル液を調製した。続いて、調製したナノバブル液に化粧料の成分としてトコフェロールを混合し、実施例10のナノバブル含有化粧料組成物を調製した。実施例10のナノバブル含有化粧料組成物の配合割合を表3に示した。
【0097】
[比較例5]
(オイル含有化粧料組成物の調製)
ミネラルオイルおよび化粧料の成分としてトコフェロールを混合し、オイル含有化粧料組成物を調製した。比較例5のオイル含有化粧料組成物の配合割合を表3に示した。
【0098】
[比較例6]
(界面活性剤を含むオイル含有化粧料用基剤の調製)
比較例5で使用したトコフェロールの代わりに、界面活性剤であるモノイソステアリン酸ソルビタンをミネラルオイルに配合し、オイル含有化粧料用基剤を調製した。比較例6のオイル含有化粧料用基剤の配合割合を表3に示した。
【0099】
(試験方法)
実施例8-10のナノバブル含有化粧料組成物、比較例5のオイル含有化粧料組成物、および比較例6の化粧料用基剤である各試料1mLを人の前腕部に塗布した後に指先でマッサージを行い、肌への馴染み具合と使用感を官能により評価した。効能評価試験結果を表3に示す。表3中の効果について、○は塗布後速やかに肌に馴染み、残留オイルによるベタつきがなく使用感に優れる、△は塗布後肌に馴染むが残留オイルによるベタつきがある、×は塗布後オイルが肌に残り、残留オイルによる肌のギラつきがあるとして評価した。また、表3中、ナノバブルの欄において、○はナノバブルを含有することを示し、×はナノバブルを含有しないことを示し、括弧内は使用したガスの種類を示した。なお、実施例8-10および比較例5の試料には化粧料の成分としてトコフェロールを0.1%配合した。
【0100】
【表3】
【0101】
(ナノバブル含有化粧料組成物中のナノバブル安定性の測定)
本発明に用いるナノバブルの安定性を以下の条件下で比較測定した。
実施例11-22に用いるナノバブル含有オイルは、ナノバブル発生装置(株式会社超微細科学研究所製、モデル名 Lab-nano-GS-2A-PD51-F-2106)を用いて作製した。詳しくは、1Lの各種オイル(パルミチン酸2-エチルヘキシル、オリーブオイル、ミネラルオイル)に各種ガス(水素、二酸化炭素、酸素、空気)のナノバブルを発生させ、ナノバブル含有オイルを作製した。作製後30分静置し、調製したナノバブル含有オイルに化粧料の成分としてトコフェロールを混合し、ナノバブル含有化粧料組成物を調製した。
比較例7-9に用いるナノバブル含有オイルは、プロペラの高速回転によって作製した。詳しくは、密閉容器1L内に空気非存在化で各種オイル(パルミチン酸2-エチルヘキシル、オリーブオイル、ミネラルオイル)を満たし、完全にシーリングされた回転軸に取り付けたプロペラを1時間高速回転(10,000rpm)させることで作製した。作製後30分静置し、調製したナノバブル含有オイルに化粧料の成分としてトコフェロールを混合し、ナノバブル含有化粧料組成物を調製した。
比較例10-12に用いるナノバブル含有オイルは、ナノバブル発生装置(マイクロバブル発生ノズルよって発生したマイクロバブルを、キャビテーションさせることでナノバブルを発生させる方式)を用いて作製した。詳しくは、1Lの各種オイル(パルミチン酸2-エチルヘキシル、オリーブオイル、ミネラルオイル)にマイクロバブル発生ノズルを用いて、マイクロバブルを発生させ、振動子にて40kHzの超音波を照射してキャビテーションを起こすことでナノバブル含有オイルを作製した。作製後60分静置することでマイクロバブルを消滅させた後に、調製したナノバブル含有オイルに化粧料の成分としてトコフェロールを混合し、ナノバブル含有化粧料組成物を調製した。
それぞれの実施例及び比較例に含まれるオイルやガスは[表4]に記載のとおりである。
【0102】
【表4】
【0103】
(ナノバブル含有化粧料組成物中のナノバブル計測)
ナノバブル含有化粧料組成物中のナノバブル濃度計測は、株式会社超微細科学研究所製の濃度計測装置を用いて行った。
各種オイル(パルミチン酸2-エチルヘキシル、オリーブオイル、ミネラルオイル)に各種ガス(水素、二酸化炭素、酸素、空気)のナノバブルを含有させたナノバブル含有化粧料組成物を各50ccずつ、経過時間ごとにナノバブル濃度(個数/ml)の計測をおこなった。
それぞれのナノバブル含有化粧料組成物の保存条件は常温・常圧下とした。ここでいう常温は1~30℃であり、常圧とは大気圧下のことを指す。
計測結果は以下の[表5]に記載の通りである。
【0104】
【表5】
【0105】
表5に示される通り、従来のナノバブル発生方法の1つであるプロペラの高速回転を用いて作製したナノバブル含有化粧料組成物(比較例7-9)は製造後1週間でナノバブル濃度が急激に減少し、製造後1ヶ月で計測不能となっている。同様に、従来のナノバブル発生方法の1つであるマイクロバブルのキャビテーションによって作製したナノバブル含有化粧料組成物(比較例10-12)も製造後1週間でナノバブル濃度が急激に減少し、製造後1ヶ月で計測不能となっている。
一方で、本発明で使用されるナノバブル発生装置(株式会社超微細科学研究所製、モデル名 Lab-nano-GS-2A-PD51-F-2106)によって作製したナノバブル含有化粧料組成物は6ヶ月が経過してもナノバブル濃度がほとんど変化せず、1.0×10(個数/ml)以上を維持していることがわかる。
従って、従来のナノバブル発生装置によるナノバブルと本発明で使用されるナノバブル発生装置(株式会社超微細科学研究所製、モデル名 Lab-nano-GS-2A-PD51-F-2106)によるナノバブルは、従来のナノバブル発生装置で発生させるナノバブルと比較して性質の異なるものであり、従来のナノバブルに比べて安定性に優れており、化粧品等の長期安定性を必要とする用途に好適に使用することができる。
【0106】
(考察)
オイルとしてパルミチン酸2-エチルヘキシルを用いた、表1の効能評価試験結果について考察する。
【0107】
比較例1のオイル含有化粧料組成物は、肌に塗布してもオイルが馴染まず、オイルのベタつきが残ったことから、使用感に優れないことが分かった。
【0108】
比較例2のオイル含有化粧料用基剤は、界面活性剤としてモノイソステアリン酸ソルビタンを含有させており、これにより塗布後においてオイルが肌にゆっくり馴染むことが分かり、オイルに界面活性剤を添加することにより浸透性の問題については改善されることが分かった。しかし、依然として残留オイルによるベタつきは残り、使用感の改善が必要であることが分かった。
【0109】
実施例1-3のナノバブル含有化粧料組成物は、化粧料の塗布後、速やかに肌に馴染み、かつ塗布後においても残留オイルによりベタつかないことが分かり、使用感が改善されたことが分かった。また、実施例1-3のナノバブル含有化粧料組成物は、界面活性剤を含まずとも、オイルが肌に速やかに馴染み、使用感にも優れるため、オイル使用者に対する界面活性剤に起因する肌荒れなどの悪影響の虞がなく、界面活性剤に対してアレルギーを有する者であっても使用可能な化粧料組成物として好適に使用できることが分かった。また、実施例1-3では、ナノバブルにおけるガスの種類として、水素、酸素、および二酸化炭素の3種類を検討したが、いずれも肌への馴染み、および使用感が改善されたことが分かったため、前記ガスを用いる化粧料組成物は好適に使用できることが分かった。
【0110】
実施例4のナノバブル含有化粧料組成物は、オイルをパルミチン酸2-エチルヘキシルからスクワランに変更したが、化粧料の塗布後、速やかに肌に馴染み、かつ塗布後においても残留オイルによりベタつかなかったため、オイルとしてスクワランを用いるナノバブル含有化粧料組成物についても好適に使用できることが分かった。
【0111】
表2の効能評価試験結果では、オイルとしてオリーブオイルを用いたが、表1の効能評価試験結果と同様の傾向が見られた。すなわち、実施例5-7のナノバブル含有化粧料組成物は、化粧料の塗布後、速やかに肌に馴染み、かつ塗布後においても残留オイルによりベタつかないことが分かり、使用感が改善されたことが分かった。
【0112】
表3の効能評価試験結果では、オイルとしてミネラルオイルを用いたが、表1および表2の効能評価試験結果と同様の傾向が見られた。すなわち、実施例8-10のナノバブル含有化粧料組成物は、化粧料の塗布後、速やかに肌に馴染み、かつ塗布後においても残留オイルによりベタつかないことが分かり、使用感が改善されたことが分かった。
【0113】
したがって、本発明に係るナノバブル含有化粧料組成物は、種々のオイルを用いたとしても、速やかに肌に馴染み、かつ塗布後においても残留オイルによりベタつかないナノバブル含有化粧料組成物として好適に用いることができることが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0114】
本発明に係るナノバブル含有化粧料組成物によれば、ナノバブル液および化粧料の成分を含み、前記ナノバブル液が、オイルおよび気泡を含み、前記気泡の直径が5nm~500nmであることを特徴とする、ナノバブル含有化粧料組成物であるため、オイルが速やかに肌に馴染み、かつ化粧料塗布後において残留オイルによりベタつかない使用感に優れたナノバブル含有化粧料組成物を提供できる。また、ナノバブル含有化粧料組成物は界面活性剤を含まないため、使用者に対して界面活性剤に起因する肌荒れなどの悪影響を及ぼす虞がなく、界面活性剤に対してアレルギーを有する者であっても使用できる。また、気泡の直径が5nm~500nmであるナノバブルを用いるため、ナノバブル液が安定して気泡を含有でき、長期に亘ってガスが抜ける虞のないナノバブル含有化粧料組成物を提供できる。
【0115】
したがって、本発明に係るナノバブル含有化粧料組成物は、肌への馴染みが良く、かつ塗布後においても残留オイルによるベタつきの虞がない使用感に優れた化粧料組成物として、好適に幅広く利用することができる。
図1