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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104741
(43)【公開日】2024-08-05
(54)【発明の名称】外用医薬組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 9/06 20060101AFI20240729BHJP
   A61K 31/573 20060101ALI20240729BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20240729BHJP
   A61K 47/18 20170101ALI20240729BHJP
   A61K 47/06 20060101ALI20240729BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20240729BHJP
   A61K 47/14 20170101ALI20240729BHJP
   A61K 47/22 20060101ALI20240729BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20240729BHJP
   A61K 47/24 20060101ALI20240729BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20240729BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240729BHJP
   A61P 15/18 20060101ALI20240729BHJP
【FI】
A61K9/06
A61K31/573
A61K47/02
A61K47/18
A61K47/06
A61K47/34
A61K47/14
A61K47/22
A61K47/36
A61K47/24
A61K47/38
A61P29/00
A61P15/18 171
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024005774
(22)【出願日】2024-01-18
(31)【優先権主張番号】P 2023008803
(32)【優先日】2023-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002819
【氏名又は名称】大正製薬株式会社
(72)【発明者】
【氏名】坂本 小織
(72)【発明者】
【氏名】廣岡 優美
(72)【発明者】
【氏名】有村 花音
(72)【発明者】
【氏名】唐仁原 亨
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA08
4C076BB31
4C076DD29Q
4C076DD34A
4C076DD46A
4C076DD52Q
4C076DD59A
4C076EE09G
4C076EE27A
4C076EE30G
4C076EE32G
4C076EE36G
4C076EE38G
4C076FF17
4C076FF65
4C086AA01
4C086AA02
4C086DA10
4C086MA02
4C086MA05
4C086MA28
4C086MA63
4C086NA03
4C086NA10
4C086ZA89
4C086ZB11
(57)【要約】
【課題】
本発明は、ベタメタゾン吉草酸エステルの分解を抑制した外用医薬組成物を提供することを課題とする。
【解決手段】
上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、酸化亜鉛及び/又はパンテノールを配合すると、意外にも、ベタメタゾン吉草酸エステルの経時安定性が良好となることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち本発明は、
(a)ベタメタゾン吉草酸エステル、(b)酸化亜鉛及び/又はパンテノール、(c)液状の油性成分、及び(d)増粘剤を含有することを特徴とする外用医薬組成物である。本発明の外用医薬組成物の剤形としては、例えば、軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤、液剤、スティック剤、貼付剤などが挙げられ、軟膏剤、クリーム剤が好ましい。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ベタメタゾン吉草酸エステル、(b)酸化亜鉛及び/又はパンテノール、(c)液状の油性成分、及び(d)増粘剤を含有することを特徴とする外用医薬組成物。
【請求項2】
軟膏剤である、請求項1に記載の外用医薬組成物。
【請求項3】
(c)液状の油性成分が、シリコン油、スクワラン、中鎖脂肪酸トリグリセリド、及び酢酸トコフェロールからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の外用医薬組成物。
【請求項4】
(d)の増粘剤が、パルミチン酸デキストリン、カルボキシビニルポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース、及びアルギン酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の外用医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベタメタゾン吉草酸エステルを含有する外用医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ベタメタゾン吉草酸エステルは、ステロイド皮膚用薬としての適応が知られており(特許文献1)、優れた抗炎症効果を発揮する薬剤として多数の報告がある。ステロイド製剤は高い抗炎症効果を有し、湿疹やかぶれに奏功するが、その効果は遅発性であることから、血行促進・かゆみ抑制・収斂作用・組織修復作用等のある成分で配合剤化することによりQOLの改善が見込まれる。
【0003】
ベタメタゾン吉草酸エステルを含有する外用剤は市販されており、例えば軟膏剤が知られている。市販されたベタメタゾン吉草酸エステル含有製品は、ベタメタゾン吉草酸エステルの安定性は良いものであるが、皮膚に塗布した際の使用感については改善の余地が残されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6-128159号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような状況のもと、本発明者らは、ベタメタゾン吉草酸エステルを含有する外用医薬組成物の使用感を改善する目的で、液状の油性成分と増粘剤を配合した製剤の検討を試みたところ、意外にもベタメタゾン吉草酸エステルが経時的に分解することを発見した。
【0006】
したがって、本発明は、ベタメタゾン吉草酸エステルの分解を抑制した外用医薬組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、酸化亜鉛及び/又はパンテノールを配合すると、意外にも、ベタメタゾン吉草酸エステルの経時安定性が良好となることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち本発明は、
(1)(a)ベタメタゾン吉草酸エステル、(b)酸化亜鉛及び/又はパンテノール、(c)液状の油性成分、及び(d)増粘剤を含有することを特徴とする外用医薬組成物、
(2)軟膏剤である、(1)に記載の外用医薬組成物、
(3)(c)液状の油性成分が、シリコン油、スクワラン、中鎖脂肪酸トリグリセリド、及び酢酸トコフェロールからなる群から選ばれる少なくとも1種である、(1)又は(2)に記載の外用医薬組成物、
(4)(d)の増粘剤が、パルミチン酸デキストリン、カルボキシビニルポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース、及びアルギン酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種である、(1)~(3)のいずれかにに記載の外用医薬組成物、
である。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、ベタメタゾン吉草酸エステルの経時安定性が良好な外用医薬組成物を提供することが可能になった。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の外用医薬組成物において用いる(a)ベタメタゾン吉草酸エステルは、通常医薬品に用いられる品質のものを適宜使用することができる。また、本発明に用いるベタメタゾン吉草酸エステルの含有量は、全組成物中好ましくは0.01~1w/w%であり、より好ましくは0.05~0.5w/w%以上であり、更に好ましくは0.1~0.3w/w%である。
【0011】
本発明の外用医薬組成物において用いる(b)酸化亜鉛は、通常医薬品に用いられる品質のものを適宜使用することができる。また、本発明に用いる酸化亜鉛の含有量は、本発明の効果の点から全組成物中好ましくは0.01~40w/w%であり、より好ましくは0.1~10w/w%以上であり、更に好ましくは1~5w/w%である。
【0012】
本発明の外用医薬組成物において用いる(b)パンテノールは、通常医薬品に用いられる品質のものを適宜使用することができる。また、本発明に用いるパンテノールの含有量は、本発明の効果の点から全組成物中好ましくは0.01~10w/w%であり、より好ましくは0.1~7w/w%以上であり、更に好ましくは1~5w/w%である。
【0013】
本発明の(b)の酸化亜鉛とパンテノールは、(c)液状の油性成分と(d)増粘剤を含む外用組成物中における(a)ベタメタゾン吉草酸エステルの経時的含量低下を抑制することができる。
【0014】
本発明の外用医薬組成物において用いる(c)液状の油性成分は、通常医薬品に用いられる品質のものを適宜使用することができる。液状の油性成分とは、1気圧、20℃で液状の油性成分である。このような液状の油性成分としては、例えばメチルポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン等のシリコン油類、スクワラン、中鎖脂肪酸トリグリセリド、流動パラフィン、パラフィン、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、オクチルドデカノール、ヘキシルドデカノール、酢酸トコフェロール、ビタミンA類(レチノールパルミチン酸エステル、ビタミンA油など)等があげられる。このうちメチルポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン等のシリコン油類、スクワラン、中鎖脂肪酸トリグリセリド、酢酸トコフェロールが好ましい。本発明の(c)液状の油性成分の含有量は、全組成物中好ましくは30~80w/w%、より好ましくは45~65w/w%であり、更に好ましくは50~60w/w%である。なお、2種類以上含む場合は、その合計量である。また、トコフェロール酢酸エステルの含有量は、全組成物中好ましくは0.01~10w/w%であり、より好ましくは0.05~5w/w%以上であり、更に好ましくは0.1~2w/w%である。シリコン油の含有量は、全組成物中好ましくは0.01~10w/w%であり、より好ましくは0.01~5w/w%以上であり、更に好ましくは0.01~1w/w%である。なお2種類以上のシリコン油を含む場合は、その合計量である。
【0015】
本発明の外用医薬組成物において用いる(d)増粘剤は、通常医薬品に用いられる品質のものを適宜使用することができる。増粘剤とは、水を含む液体または油相の粘度を増加させる成分である。このような増粘剤としては、例えばパルミチン酸デキストリン、カルボキシビニルポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、キサンタンガム、グアーガム、ジェランガム、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、アルギン酸、及びアルギン酸ナトリウムなどがあげられる。このうち、パルミチン酸デキストリン、カルボキシビニルポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウムが好ましい。本発明の(d)増粘剤の含有量は、全組成物中好ましくは0.01~25w/w%、より好ましくは0.1~20w/w%であり、更に好ましくは1~15w/w%である。なお、2種類以上含む場合は、その合計量である。
【0016】
本発明のベタメタゾン吉草酸エステルを含有する外用医薬組成物は、(c)液状の油性成分と(d)増粘剤を含有する。白色ワセリンと流動パラフィンを配合した従来の油性基剤に比べ、液状の油性成分と増粘剤を配合した外用製剤は皮膚に塗布した際のべたつきが抑えられ、使用感が良い。また、液状の油性成分は増粘剤を分散するためにも用いることができる。
【0017】
本発明の外用医薬組成物において用いるl-メントールは、通常医薬品に用いられる品質のものを適宜使用することができる。また、本発明に用いるl-メントールの含有量は、本発明の効果の点から全組成物中好ましくは0.01~10w/w%であり、より好ましくは0.05~7w/w%以上であり、更に好ましくは0.1~5w/w%である。
【0018】
本発明の外用医薬組成物は本発明の効果を損なわない限り、公知の医薬有効成分や添加剤を適宜配合することができる。例えば、抗炎症剤(グリチルレチン酸、グリチルリチン酸ジカリウムなど)、抗ヒスタミン剤(ジフェンヒドラミン及び/又はその塩、クロルフェニラミン及び/又はその塩)、クロタミトン、サリチル酸グリコール、サリチル酸メチル、殺菌剤(グルコン酸クロルヘキシジン、イソプロピルメチルフェノール、塩酸クロルヘキシジン、塩化デカリニウム、ヒノキチオール、ベンザルコニウム塩化物、ベンゼトニウム塩化物など)、創傷治癒剤(アラントインなど)、カンフル類(d-カンフル、dl-カンフル)、保湿剤(ヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸など)、生薬抽出物(ハマメリス、セイヨウトチノミなど)、高分子、界面活性剤、pH調整剤、抗酸化剤(ジブチルヒドロキシトルエン、イソプロピルガレート、ピロ亜硫酸ナトリウム、エデト酸ナトリウム、アスコルビン酸等)、金属イオン封鎖剤(エチレンジアミンテトラアセテートまたはその塩など)、清涼化剤(カンフルなど)、防腐剤(パラベン、安息香酸塩、デヒドロ酢酸、エリソルビン酸、ソルビン酸、フェノキシエタノールなど)、色素、香料などを配合することができる。
【0019】
本発明の外用医薬組成物には、本発明の液状の油性成分の他に、1気圧、20℃で半固形状の油性成分、1気圧、20℃で固形状の油性成分を適宜使用することができる。1気圧、20℃で半固形状の油性成分の好ましいものとしては、白色ワセリン、ゲル化炭化水素、乳酸セチルなどがあげられる。
1気圧、20℃で固形状の油性成分としては、マイクロスタリンワックス、セタノール、ステアリルアルコール、パルミチン酸イソプロピル等があげられる。
【0020】
本発明の外用医薬組成物中に含まれる1気圧、20℃で半固形状の油性成分の含有量は、全組成物中好ましくは10~40w/w%、より好ましくは15~35w/w%であり、更に好ましくは20~30w/w%である。
【0021】
また、本発明の外用医薬組成物中に含まれる1気圧、20℃で固形状の油性成分の含有量は、全組成物中好ましくは0~15w/w%、より好ましくは0~10w/w%以上であり、更に好ましくは0~5w/w%である。
【0022】
本発明の外用医薬組成物の剤形としては、例えば、軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤、液剤、スティック剤、貼付剤などが挙げられ、軟膏剤、クリーム剤が好ましく、特に軟膏剤が好ましい。
【0023】
本発明の外用医薬組成物は、液状の油性成分と増粘剤を含有しているので、使用感に優れるものである。
【0024】
本発明の外用医薬組成物は、ジェルネイルや汗かぶれによる皮膚の炎症の改善等に用いることが好ましい。適用される炎症部位としては特に限定されないが、本発明の外用医薬組成物は、特に、人目を気にしやすい部位である、手やデコルテにおける湿疹などの皮膚の炎症に好ましく適用され、かき壊して痕に残る前にケアすることができる。
【0025】
以下に、実施例、比較例、参考例、及び試験例を記載し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例等により何ら制約されるものではない。
【実施例0026】
(実施例1)
下記の表1に示す処方に従い、各成分を秤量し、約90℃に加温したスクワラン、中鎖脂肪酸トリグリセリド、ジメチルポリシロキサンにパルミチン酸デキストリン、ジブチルヒドロキシトルエンを融解した。さらに、中鎖脂肪酸トリグリセリドに分散させたカルボキシビニルポリマー、約60℃に加温した白色ワセリンに分散させたベタメタゾン吉草酸エステル及びパンテノールを添加し、攪拌後、室温まで冷却して実施例1の外用医薬組成物を得た。
【0027】
(実施例2)
下記の表1に示す処方に従い、各成分を秤量し、約90℃に加温したスクワラン、中鎖脂肪酸トリグリセリド、ジメチルポリシロキサンにパルミチン酸デキストリン、ジブチルヒドロキシトルエンを融解した。さらに、中鎖脂肪酸トリグリセリドに分散させたカルボキシビニルポリマー、約60℃に加温した白色ワセリンに分散させたベタメタゾン吉草酸エステル及び酸化亜鉛、トコフェロール酢酸エステル及びl-メントールを添加し、攪拌後、室温まで冷却して実施例2の外用医薬組成物を得た。
【0028】
(比較例1)
下記の表1に示す処方に従い、各成分を秤量し、約90℃に加温したスクワラン、中鎖脂肪酸トリグリセリド、ジメチルポリシロキサンにパルミチン酸デキストリン、ジブチルヒドロキシトルエンを融解した。さらに、中鎖脂肪酸トリグリセリドに分散させたカルボキシビニルポリマー、約60℃に加温した白色ワセリンに分散させたベタメタゾン吉草酸エステルを添加し、攪拌後、室温まで冷却して比較例1の外用医薬組成物を得た。
【0029】
(比較例2)
下記の表1に示す処方に従い、各成分を秤量し、約90℃に加温したスクワラン、中鎖脂肪酸トリグリセリド、ジメチルポリシロキサンにパルミチン酸デキストリン、ジブチルヒドロキシトルエンを融解した。さらに、中鎖脂肪酸トリグリセリドに分散させたカルボキシビニルポリマー、約60℃に加温した白色ワセリンに分散させたベタメタゾン吉草酸エステル及びトコフェロール酢酸エステルを添加し、攪拌後、室温まで冷却して比較例2の外用医薬組成物を得た。
【0030】
(比較例3)
下記の表1に示す処方に従い、各成分を秤量し、約90℃に加温したスクワラン、中鎖脂肪酸トリグリセリド、ジメチルポリシロキサンにパルミチン酸デキストリン、ジブチルヒドロキシトルエンを融解した。さらに、中鎖脂肪酸トリグリセリドに分散させたカルボキシビニルポリマー、約60℃に加温した白色ワセリンに分散させたベタメタゾン吉草酸エステル、トコフェロール酢酸エステル及びl-メントールを添加し、攪拌後、室温まで冷却して比較例3の外用医薬組成物を得た。
【0031】
実施例1~2、比較例1~3の処方を表1に示す。いずれも軟膏剤である。
【0032】
【表1】
【0033】
<試験例1:ベタメタゾン吉草酸エステル含量の評価>
実施例1~2、比較例1~3に関し、試験開始時及び50℃条件下7日経過後のベタメタゾン吉草酸エステル含量をHPLCにより測定した。下記の式に従い、対開始時のベタメタゾン吉草酸エステルの含量を算出した。その結果を表2に示す。
対開始時のベタメタゾン吉草酸エステル含量(%)=(50℃条件下7日経過後のベタメタゾン吉草酸エステル含量/試験開始時のベタメタゾン吉草酸エステル含量)×100
【0034】
【表2】
【0035】
ベタメタゾン吉草酸エステル製剤(比較例1)は、50℃条件下7日経過後ベタメタゾン吉草酸エステルの含量低下が認められたが、パンテノールを配合した実施例1では、ベタメタゾン吉草酸エステルの含量低下が大幅に抑制された。
また、比較例1にコフェロール酢酸エステルを配合した比較例2、及びさらにl-メントールを配合した比較例3ではベタメタゾン吉草酸エステルの含量低下は改善されなかった。比較例3に酸化亜鉛を配合した実施例2では、ベタメタゾン吉草酸エステルの含量低下が大幅に抑制された。
【0036】
(実施例3)
下記表3に示す処方に従い、各成分を秤量し、約90℃に加温したスクワラン、中鎖脂肪酸トリグリセリドにパルミチン酸デキストリンを融解した。さらに、約60℃に加温した白色ワセリンに分散させたベタメタゾン吉草酸エステル及び酸化亜鉛を添加し、攪拌後、室温まで冷却して実施例3の外用医薬組成物を得た。
【0037】
(実施例4)
下記表3に示す処方に従い、各成分を秤量し、約90℃に加温したスクワラン、中鎖脂肪酸トリグリセリドにパルミチン酸デキストリンを融解した。さらに、約60℃に加温した白色ワセリンに分散させたベタメタゾン吉草酸エステル及びパンテノールを添加し、攪拌後、室温まで冷却して実施例4の外用医薬組成物を得た。
【0038】
(比較例4)
下記表3に示す処方に従い、各成分を秤量し、約90℃に加温したスクワラン、中鎖脂肪酸トリグリセリドにパルミチン酸デキストリンを融解した。さらに、約60℃に加温した白色ワセリンに分散させたベタメタゾン吉草酸エステルを添加し、攪拌後、室温まで冷却して比較例4の外用医薬組成物を得た。
【0039】
(実施例5)
下記表3に示す処方に従い、各成分を秤量し、約90℃に加温したスクワラン、中鎖脂肪酸トリグリセリド、マイクロクリスタリンワックスにパルミチン酸デキストリンを融解した。さらに、約60℃に加温した白色ワセリンに分散させたベタメタゾン吉草酸エステル及び酸化亜鉛を添加し、攪拌後、室温まで冷却して実施例5の外用医薬組成物を得た。
【0040】
(実施例6)
下記表3に示す処方に従い、各成分を秤量し、約90℃に加温したスクワラン、中鎖脂肪酸トリグリセリド、マイクロクリスタリンワックスにパルミチン酸デキストリンを融解した。さらに、約60℃に加温した白色ワセリンに分散させたベタメタゾン吉草酸エステル及びパンテノールを添加し、攪拌後、室温まで冷却して実施例6の外用医薬組成物を得た。
【0041】
(比較例5)
下記表3に示す処方に従い、各成分を秤量し、約90℃に加温したスクワラン、中鎖脂肪酸トリグリセリド、マイクロクリスタリンワックスにパルミチン酸デキストリンを融解した。さらに、約60℃に加温した白色ワセリンに分散させたベタメタゾン吉草酸エステルを添加し、攪拌後、室温まで冷却して比較例5の外用医薬組成物を得た。
【0042】
実施例3~6、比較例4~5の処方を表3に示す。いずれも軟膏剤である。
【0043】
【表3】
【0044】
実施例3~6、比較例4~5に関し、試験例1に記載した方法と同じ方法でベタメタゾン吉草酸エステルの含量の評価を行った。その結果を表4に示す。
【0045】
【表4】
【0046】
結果から明らかなように、酸化亜鉛又はパンテノールを配合することによって、ベタメタゾン吉草酸エステルの含量低下が抑制された。
製剤例
以下表5に、処方例-1~処方例-14を示す。いずれも軟膏剤である。これらは表5に示した各容器に適量収容することができる。
【0047】
【表5】
【産業上の利用可能性】
【0048】
ベタメタゾン吉草酸エステルの経時的な分解を酸化亜鉛及び/又はパンテノールの配合によりベタメタゾン吉草酸エステルの分解を抑制し、使用感の優れた外用医薬組成物を提供することができるようになった。