(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104755
(43)【公開日】2024-08-06
(54)【発明の名称】空間浄化装置
(51)【国際特許分類】
F24F 6/00 20060101AFI20240730BHJP
F24F 3/14 20060101ALI20240730BHJP
F24F 3/16 20210101ALI20240730BHJP
A61L 9/01 20060101ALI20240730BHJP
A61L 9/12 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
F24F6/00 D
F24F6/00 E
F24F3/14
F24F3/16
A61L9/01 F
A61L9/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023009080
(22)【出願日】2023-01-25
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】林 智裕
(72)【発明者】
【氏名】吉田 真司
(72)【発明者】
【氏名】白井 伊久真
【テーマコード(参考)】
3L053
3L055
4C180
【Fターム(参考)】
3L053BC05
3L053BD02
3L055BA01
3L055DA11
4C180AA07
4C180AA16
4C180CA06
4C180CB08
4C180EA58X
4C180GG19
4C180HH01
4C180HH05
4C180KK03
4C180LL06
(57)【要約】
【課題】空間浄化装置において加湿量と次亜塩素酸ガスの量とを柔軟に調整する技術を提供する。
【解決手段】空間浄化装置1は、風路に流入した空気が流通するように設けられ、空気の温度を調整する温調部27と、温調部27を流通した温調空気49の一部である第一部分50を加湿する加湿部126と、温調部27を流通した温調空気49の、第一部分50とは異なる第二部分51が流通するように設けられ、次亜塩素酸水を用いて次亜塩素酸ガスを発生させる次亜塩素酸発生部9と、加湿部126を流通した加湿空気52を対象空間Sに放出する送風機29と、を備える。そして、次亜塩素酸発生部9を流通した次亜塩素酸ガスを含む空気(浄化空気53)は、加湿空気52と混合されて、対象空間Sに放出される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
風路に流入した空気が流通するように設けられ、前記空気の温度を調整する温度調整部と、
前記温度調整部を流通した温調空気の一部である第一部分を加湿する加湿部と、
前記温度調整部を流通した前記温調空気の、前記第一部分とは異なる第二部分が流通するように設けられ、次亜塩素酸水を用いて次亜塩素酸ガスを発生させる次亜塩素酸発生部と、
前記加湿部を流通した加湿空気を対象空間に放出する送風部と、
を備え、
前記次亜塩素酸発生部を流通した前記次亜塩素酸ガスを含む空気は、前記加湿空気と混合されて、前記対象空間に放出される、空間浄化装置。
【請求項2】
前記次亜塩素酸発生部と前記加湿部の動作を制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記次亜塩素酸発生部を制御することによって、前記対象空間に放出する前記加湿空気に含ませる前記次亜塩素酸ガスの量を調整し、
前記制御部は、前記温度調整部及び前記加湿部を制御することによって、前記対象空間に放出する前記加湿空気に含ませる加湿量を調整する、請求項1に記載の空間浄化装置。
【請求項3】
前記温調空気の前記第二部分の流量は、前記温調空気の前記第一部分の流量よりも少ない、請求項1または2に記載の空間浄化装置。
【請求項4】
前記次亜塩素酸発生部は、流通する前記温調空気の前記第二部分を気泡として前記次亜塩素酸水中に放出して次亜塩素酸ガスを発生させる、請求項1または2に記載の空間浄化装置。
【請求項5】
風路に流入した空気が流通するように設けられ、前記空気の温度を調整する温度調整部と、
前記温度調整部を流通した温調空気の一部である第一部分を加湿する加湿部と、
前記温度調整部を流通した前記温調空気の、前記第一部分とは異なる第二部分が流通するように設けられ、次亜塩素酸水を用いて次亜塩素酸ガスを発生させる次亜塩素酸発生部と、
前記加湿部を流通した加湿空気を対象空間に放出する送風部と、
を備え、
前記次亜塩素酸発生部を流通した前記次亜塩素酸ガスを含む空気は、前記温調空気の前記第一部分と混合されて、前記加湿部に導入される、空間浄化装置。
【請求項6】
前記次亜塩素酸発生部と前記加湿部の動作を制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記次亜塩素酸発生部を制御することによって、前記対象空間に放出する前記加湿空気に含ませる前記次亜塩素酸ガスの量を調整し、
前記制御部は、前記温度調整部及び前記加湿部を制御することによって、前記対象空間に放出する前記加湿空気に含ませる加湿量を調整する、請求項5に記載の空間浄化装置。
【請求項7】
前記温調空気の前記第二部分の流量は、前記温調空気の前記第一部分の流量よりも少ない、請求項5または6に記載の空間浄化装置。
【請求項8】
前記次亜塩素酸発生部は、流通する前記温調空気の前記第二部分を気泡として前記次亜塩素酸水中に放出して次亜塩素酸ガスを発生させる、請求項5または6に記載の空間浄化装置。
【請求項9】
風路に流入した空気が流通するように設けられ、前記空気の温度を調整する温度調整部と、
前記温度調整部を流通した温調空気を加湿する加湿部と、
前記加湿部を流通した加湿空気を対象空間に放出する送風部と、
前記加湿部を流通した前記加湿空気の一部であり、前記対象空間に放出される前の空気を流通するように設けられ、次亜塩素酸水を用いて次亜塩素酸ガスを発生させる次亜塩素酸発生部と、
を備え、
前記次亜塩素酸発生部を流通した前記次亜塩素酸ガスを含む空気は、前記対象空間に放出される前の前記加湿空気と混合されて、前記対象空間に放出される、空間浄化装置。
【請求項10】
前記次亜塩素酸発生部と前記加湿部の動作を制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記次亜塩素酸発生部を制御することによって、前記対象空間に放出する前記加湿空気に含ませる前記次亜塩素酸ガスの量を調整し、
前記制御部は、前記温度調整部及び前記加湿部を制御することによって、前記対象空間に放出する前記加湿空気に含ませる加湿量を調整する、請求項9に記載の空間浄化装置。
【請求項11】
前記加湿空気の前記一部の流量は、前記加湿空気の前記一部以外の流量よりも少ない、請求項9または10に記載の空間浄化装置。
【請求項12】
前記次亜塩素酸発生部は、流通する前記加湿空気の前記一部以外を気泡として前記次亜塩素酸水中に放出して次亜塩素酸ガスを発生させる、請求項9または10に記載の空間浄化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、次亜塩素酸水を用いた空間浄化装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の空間浄化装置として、空調装置の空気通路の断面を覆うように気化フィルタを設け、その気化フィルタに対して殺菌水を供給して水膜を形成することで、空調空気と殺菌水とを接触させ、除菌を行う除菌空調システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。特に殺菌水として次亜塩素酸水を用いた場合、空調空気に次亜塩素酸を含ませることで、空調空気自体に除菌効果を持たせられることが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、気化フィルタ方式による空間浄化装置では、気化フィルタ(エレメント)に導入する水として次亜塩素酸水を用いる場合、一般的には次亜塩素酸水の濃度が一定であるので、流通する空気に含ませる加湿量によって対象空間に吹き出される空気に含まれる次亜塩素酸ガスの量が決まる。つまり、加湿量と次亜塩素酸ガスの量とを別々に調整できない。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、空間浄化装置において加湿量と次亜塩素酸ガスの量とを柔軟に調整する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そして、この目的を達成するために、本発明に係る空間浄化装置は、風路に流入した空気が流通するように設けられ、空気の温度を調整する温度調整部と、温度調整部を流通した温調空気の一部である第一部分を加湿する加湿部と、温度調整部を流通した温調空気の、第一部分とは異なる第二部分が流通するように設けられ、次亜塩素酸水を用いて次亜塩素酸ガスを発生させる次亜塩素酸発生部と、加湿部を流通した加湿空気を対象空間に放出する送風部と、を備える。そして、次亜塩素酸発生部を流通した次亜塩素酸ガスを含む空気は、加湿空気と混合されて、対象空間に放出される。
【0007】
また、本発明に係る別の空間浄化装置は、風路に流入した空気が流通するように設けられ、空気の温度を調整する温度調整部と、温度調整部を流通した温調空気の一部である第一部分を加湿する加湿部と、温度調整部を流通した温調空気の、第一部分とは異なる第二部分が流通するように設けられ、次亜塩素酸水を用いて次亜塩素酸ガスを発生させる次亜塩素酸発生部と、加湿部を流通した加湿空気を対象空間に放出する送風部と、を備える。そして、次亜塩素酸発生部を流通した次亜塩素酸ガスを含む空気は、温調空気の前記第一部分と混合されて、加湿部に導入される。
【0008】
また、本発明に係るさらに別の空間浄化装置は、風路に流入した空気が流通するように設けられ、空気の温度を調整する温度調整部と、温度調整部を流通した温調空気を加湿する加湿部と、加湿部を流通した加湿空気を対象空間に放出する送風部と、加湿部を流通した加湿空気の一部であり、対象空間に放出される前の空気を流通するように設けられ、次亜塩素酸水を用いて次亜塩素酸ガスを発生させる次亜塩素酸発生部と、を備える。そして
、次亜塩素酸発生部を流通した次亜塩素酸ガスを含む空気は、対象空間に放出される前の加湿空気と混合されて、対象空間に放出される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、空間浄化装置において加湿量と次亜塩素酸ガスの量とを柔軟に調整する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態1に係る空間浄化装置の模式図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施の形態1に係る空間浄化装置における統合制御部の構成を表すブロック図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施の形態2に係る空間浄化装置の模式図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施の形態3に係る空間浄化装置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る空間浄化装置は、風路に流入した空気が流通するように設けられ、空気の温度を調整する温度調整部と、温度調整部を流通した温調空気の一部である第一部分を加湿する加湿部と、温度調整部を流通した温調空気の、第一部分とは異なる第二部分が流通するように設けられ、次亜塩素酸水を用いて次亜塩素酸ガスを発生させる次亜塩素酸発生部と、加湿部を流通した加湿空気を対象空間に放出する送風部と、を備える。そして、次亜塩素酸発生部を流通した次亜塩素酸ガスを含む空気は、加湿空気と混合されて、対象空間に放出される。
【0012】
こうした構成によれば、次亜塩素酸発生部に導入する空気として、温調空気の一部である第二部分を導入するので、外気をそのまま導入する場合と比較して、導入する空気の温度のバラツキが抑えられ、次亜塩素酸ガスの発生量(付与量)を安定化させることができるとともに、加湿部による温調空気の第一部分への加湿と、次亜塩素酸発生部による温調空気の第二部分への次亜塩素酸ガスの付与とを別々に調整した上で、次亜塩素酸ガスを含む空気と加湿した空気とを混合して対象空間に放出することができる。つまり、従来の構成では難しかった空間浄化装置において、加湿量と次亜塩素酸ガスの量とを柔軟に調整することが可能な空間浄化装置とすることができる。
【0013】
また、本発明に係る空間浄化装置は、次亜塩素酸発生部と加湿部の動作を制御する制御部を備え、制御部は、次亜塩素酸発生部を制御することによって、対象空間に放出する加湿空気に含ませる次亜塩素酸ガスの量を調整し、制御部は、温度調整部及び加湿部を制御することによって、対象空間に放出する加湿空気に含ませる加湿量を調整するようにしてもよい。このようにすることで、次亜塩素酸ガスの量の調整と、加湿量の調整を独立して行うことができる。そのため、空間浄化装置において加湿量と次亜塩素酸ガスの量とをさらに柔軟に調整することができる。
【0014】
また、本発明に係る空間浄化装置では、温調空気の第二部分の流量は、温調空気の第一部分の流量よりも少なくすることが好ましい。これにより、次亜塩素酸発生部を通過した空気と温調空気とを混合した際に、成り行きで温湿度が変化する可能性のある第二部分の流量が相対的に少ないので、混合に伴う温湿度の変化をより抑えることができる。
【0015】
また、本発明に係る空間浄化装置では、次亜塩素酸発生部は、流通する温調空気の第二部分を気泡として次亜塩素酸水中に放出して次亜塩素酸ガスを発生させるようにしてもよい。このようにすることで、次亜塩素酸発生部を通過した空気に対して、より多くの次亜塩素酸ガスを含ませることができる。そのため、空間浄化装置において速やかに除菌効果を得ることができる。
【0016】
また、本発明に係る別の空間浄化装置は、風路に流入した空気が流通するように設けられ、空気の温度を調整する温度調整部と、温度調整部を流通した温調空気の一部である第一部分を加湿する加湿部と、温度調整部を流通した温調空気の、第一部分とは異なる第二部分が流通するように設けられ、次亜塩素酸水を用いて次亜塩素酸ガスを発生させる次亜塩素酸発生部と、加湿部を流通した加湿空気を対象空間に放出する送風部と、を備える。そして、次亜塩素酸発生部を流通した次亜塩素酸ガスを含む空気は、温調空気の前記第一部分と混合されて、加湿部に導入される。
【0017】
こうした構成によれば、次亜塩素酸発生部に導入する空気として、温調空気の一部である第二部分を導入するので、外気をそのまま導入する場合と比較して、導入する空気の温度のバラツキが抑えられ、次亜塩素酸ガスの発生量(付与量)を安定化させることができるとともに、加湿部によって次亜塩素酸ガスを含む空気を含む温調空気を加湿して対象空間に放出することができる。そして、この際、次亜塩素酸発生部において第二部分の温調空気に付与される加湿量を踏まえて、加湿部における加湿制御を行うことができる。つまり、従来の構成では難しかった空間浄化装置において、加湿量と次亜塩素酸ガスの量とを柔軟に調整することが可能な空間浄化装置とすることができる。
【0018】
また、本発明に係る別の空間浄化装置は、次亜塩素酸発生部と加湿部の動作を制御する制御部を備え、制御部は、次亜塩素酸発生部を制御することによって、対象空間に放出する加湿空気に含ませる次亜塩素酸ガスの量を調整し、制御部は、温度調整部及び加湿部を制御することによって、対象空間に放出する加湿空気に含ませる加湿量を調整するようにしてもよい。このようにすることで、次亜塩素酸ガスの量の調整と、加湿量の調整を独立して行うことができる。そのため、空間浄化装置において加湿量と次亜塩素酸ガスの量とをさらに柔軟に調整することができる。
【0019】
また、本発明に係る空間浄化装置では、温調空気の第二部分の流量は、温調空気の第一部分の流量よりも少なくすることが好ましい。これにより、次亜塩素酸発生部を通過した空気と温調空気とを混合した際に、成り行きで温度が変化する可能性のある第二部分の流量が相対的に少ないので、温度の変化をより抑えることができる。そのため、空間浄化装置において加湿量と次亜塩素酸ガスの量とをさらに柔軟に調整することができる。
【0020】
また、本発明に係る空間浄化装置では、次亜塩素酸発生部は、流通する温調空気の第二部分を気泡として次亜塩素酸水中に放出して次亜塩素酸ガスを発生させるようにしてもよい。このようにすることで、次亜塩素酸発生部を通過した空気に対して、より多くの次亜塩素酸ガスを含ませることができる。そのため、空間浄化装置において速やかに除菌効果を得ることができる。
【0021】
また、本発明に係るさらに別の空間浄化装置は、風路に流入した空気が流通するように設けられ、空気の温度を調整する温度調整部と、温度調整部を流通した温調空気を加湿する加湿部と、加湿部を流通した加湿空気を対象空間に放出する送風部と、加湿部を流通した加湿空気の一部であり、対象空間に放出される前の空気を流通するように設けられ、次亜塩素酸水を用いて次亜塩素酸ガスを発生させる次亜塩素酸発生部と、を備える。そして、次亜塩素酸発生部を流通した次亜塩素酸ガスを含む空気は、対象空間に放出される前の加湿空気と混合されて、対象空間に放出される。
【0022】
こうした構成によれば、次亜塩素酸発生部に導入する空気として、加湿空気の一部を導入するので、外気をそのまま導入する場合と比較して、導入する空気の温湿度のバラツキが抑えられ、次亜塩素酸ガスの発生量(付与量)を安定化させることができるとともに、温調空気への加湿量とは関係なく次亜塩素酸ガスの発生量(付与量)を制御することがで
きる。そして、この際、次亜塩素酸発生部には、乾燥空気(加湿する前の空気)を導入する場合と比較して加湿されにくい加湿空気が導入されるため、次亜塩素酸発生部によって変化しうる湿度の影響を緩和させることができる。つまり、従来の構成では難しかった空間浄化装置において、加湿量と次亜塩素酸ガスの量とを柔軟に調整することが可能な空間浄化装置とすることができる。
【0023】
加えて、次亜塩素酸ガスを加湿後に混合するため、それ以降、空気条件を変える必要が無い。したがって、対象空間が複数となる場合には分岐後の特定の風路にのみ、次亜塩素酸ガスを導入させることもできる。そのため、汚れやすい空間のみを選択的に除菌するなど、次亜塩素酸ガスを効率的に使用する空間浄化装置とすることができる。
【0024】
また、本発明に係るさらに別の空間浄化装置は、次亜塩素酸発生部と加湿部の動作を制御する制御部を備え、制御部は、次亜塩素酸発生部を制御することによって、対象空間に放出する加湿空気に含ませる次亜塩素酸ガスの量を調整し、制御部は、温度調整部及び加湿部を制御することによって、対象空間に放出する加湿空気に含ませる加湿量を調整するようにしてもよい。このようにすることで、次亜塩素酸ガスの量の調整と、加湿量の調整を独立して行うことができる。そのため、空間浄化装置において加湿量と次亜塩素酸ガスの量とをさらに柔軟に調整することができる。
【0025】
また、本発明に係る空間浄化装置では、加湿空気の一部の流量は、加湿空気の一部以外の流量よりも少なくすることが好ましい。これにより、次亜塩素酸発生部を通過した空気と温調及び加湿した空気とを混合した際に、成り行きで温度が変化する可能性のある次亜塩素酸発生部を通過した空気が相対的に少ないので、混合に伴う温湿度の変化をより抑えることができる。そのため、空間浄化装置において加湿量と次亜塩素酸ガスの量とをさらに柔軟に調整することができる。
【0026】
また、本発明に係る空間浄化装置では、次亜塩素酸発生部は、流通する温加湿空気の一部を気泡として次亜塩素酸水中に放出して次亜塩素酸ガスを発生させるようにしてもよい。このようにすることで、次亜塩素酸発生部を通過した空気に対して、より多くの次亜塩素酸ガスを含ませることができる。そのため、空間浄化装置において速やかに除菌効果を得ることができる。
【0027】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。また、全図面を通して、同一の部位については同一の符号を付して説明を省略している。さらに、本発明に直接には関係しない各部の詳細については重複を避けるために、図面ごとの説明は省略している。
【0028】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0029】
(実施の形態1)
図1を参照して、本発明の実施の形態1に係る空間浄化装置1について説明する。
図1は、本発明の実施の形態1に係る空間浄化装置1の模式図である。
【0030】
<全体構成>
空間浄化装置1は、次亜塩素酸を含む除菌水(除菌水もまた次亜塩素酸水と言える)を用いて空気中に次亜塩素酸ガスを放出して対象空間Sの除菌を行いつつ、外部から得られる市水で気液接触により加湿を行って対象空間Sの加湿を行うシステムである。この際、空間浄化装置1では、ユーザにより設定された設定値に基づいて、次亜塩素酸ガスの放出及び加湿部への通水をそれぞれ独立して制御する。
【0031】
具体的には、空間浄化装置1は、
図1に示すように、次亜塩素酸ガス供給装置4と、空気調和装置20と、水供給装置100と、統合制御部111とを備えて構成される。そして、次亜塩素酸ガス供給装置4は、次亜塩素酸水供給装置2と、次亜塩素酸発生部9と、送風ポンプ5と、次亜塩素酸制御部3とを含む。次亜塩素酸水供給装置2は、次亜塩素酸水ポンプ10と、次亜塩素酸水タンク11とを含む。水供給装置100は、水供給部104と、加湿制御部103とを含む。
【0032】
また、空気調和装置20は、還気ダクト22と、フィルタ23と、温調部27と、吸込口26と、次亜塩素酸供給口28と、加湿部126と、送風機29と、給気ダクト30と、ドレンパン31と、排水流路32と、送風制御部21と、温湿度センサ40と、操作部41とを備えて構成される。そして、温調部27は、空気冷却器24と、空気加熱器25と、熱源装置33と、複数の流路(流路34~流路37)とを含む。
【0033】
また、統合制御部111は、次亜塩素酸ガス供給装置4における次亜塩素酸制御部3と、水供給装置100における加湿制御部103と、空気調和装置20における送風制御部21との間で無線又は有線により通信可能に接続され、各制御部からの制御信号に基づいて各機器の動作を直接的又は間接的に制御する。なお、統合制御部111は、請求項の「制御部」に相当する。
【0034】
ここで、統合制御部111、送風制御部21、次亜塩素酸制御部3、及び加湿制御部103は、プロセッサ及びメモリを有するコンピュータシステムを有している。そして、プロセッサがメモリに格納されているプログラムを実行することにより、コンピュータシステムがコントローラとして機能する。プロセッサが実行するプログラムは、ここではコンピュータシステムのメモリに予め記録されているとしたが、メモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通じて提供されてもよい。
【0035】
<次亜塩素酸ガス供給装置>
次亜塩素酸ガス供給装置4は、次亜塩素酸水供給装置2によって次亜塩素酸発生部9に供給された次亜塩素酸水に、空気を通風し次亜塩素酸ガスを発生させる装置である。
【0036】
次亜塩素酸ガス供給装置4は、次亜塩素酸水供給装置2、次亜塩素酸発生部9、送風ポンプ5、及び次亜塩素酸制御部3を有して構成されている。
【0037】
送風ポンプ5は、吸込風路6及び後述する吸込口26によって空気調和装置20と接続されており、動作することによって空気調和装置20の内部の空気の一部である第二部分51を次亜塩素酸発生部9に導入する。
【0038】
吸込風路6は、空気調和装置20と次亜塩素酸発生部9とを連通接続するパイプ状の風路である。吸込風路6は、空気調和装置20において温調された温調空気49を通過させ、次亜塩素酸発生部9に供給するための風路である。吸込風路6上には、送風ポンプ5が設置されている。吸込風路6における空気調和装置20側の一端には、吸込口26が設けられている。吸込風路6における次亜塩素酸発生部9側の他端は、次亜塩素酸発生部9の内部に挿通されている。吸込風路6には、送風ポンプ5が動作することにより、吸込口26から吸い込まれた空気(後述する第二部分51)が流通する。
【0039】
次亜塩素酸発生部9は、供給風路7及び次亜塩素酸供給口28によって空気調和装置20と接続されており、送風ポンプ5が動作することで吸込風路6を通過した空気(第二部分51)が、次亜塩素酸発生部9に貯留された次亜塩素酸水内部を気泡状になりながら通
過する。これにより、次亜塩素酸発生部9において、貯留する次亜塩素酸水の表面に、吸込風路6からの空気を通過させるよりも、より多く空気中に次亜塩素酸ガスを含ませることができる。なお、次亜塩素酸発生部9は、請求項の「次亜塩素酸発生部」に相当する。
【0040】
供給風路7は、次亜塩素酸発生部9と空気調和装置20とを接続するパイプ状の風路である。供給風路7は、次亜塩素酸発生部9を通過後の次亜塩素酸ガスを含んだ空気である浄化空気53を通過させ、空気調和装置20に供給するための風路である。供給風路7における次亜塩素酸発生部9側の一端は、次亜塩素酸発生部9の上方空間に挿通されている。供給風路7における空気調和装置20側の他端は、次亜塩素酸供給口28が設けられている。供給風路7には、送風ポンプ5が動作することにより、次亜塩素酸供給口28から放出される浄化空気53が流通する。詳細は後述するが、供給風路7を流通した浄化空気53は、次亜塩素酸供給口28を介して加湿空気52と混合されて混合空気54となる。
【0041】
次亜塩素酸水供給装置2は、次亜塩素酸水タンク11の内部に貯留する高濃度の次亜塩素酸水を次亜塩素酸水ポンプ10によって、次亜塩素酸発生部9に送水する装置である。次亜塩素酸水供給装置2は、送水管8によって次亜塩素酸発生部9と接続されており、次亜塩素酸水ポンプ10を稼働することで、次亜塩素酸発生部9に次亜塩素酸水を供給できる。
【0042】
具体的には、次亜塩素酸水供給装置2は、次亜塩素酸水ポンプ10と、次亜塩素酸水タンク11とを含む。
【0043】
次亜塩素酸水ポンプ10は、送水ポンプであり、送水管8と接続されている。
次亜塩素酸水ポンプ10は、次亜塩素酸水タンク11から送水管8に次亜塩素酸水を流通させる機器である。次亜塩素酸水ポンプ10は、無線又は有線により次亜塩素酸制御部3と通信可能に接続され、次亜塩素酸制御部3からの信号により動作する。次亜塩素酸水ポンプ10が動作することにより、送水管8内に次亜塩素酸水タンク11からの次亜塩素酸水を導入したり停止したりすることができる。
【0044】
次亜塩素酸制御部3は、統合制御部111からの信号に基づいて、次亜塩素酸発生部9の運転に関する情報を統合制御部111に入力する。次亜塩素酸制御部3は、無線又は有線により統合制御部111と通信可能に接続される。
【0045】
次亜塩素酸ガス供給装置4は、統合制御部111からの信号に基づいて、次亜塩素酸制御部3によって次亜塩素酸発生部9からの次亜塩素酸ガスの供給を実行し、除菌成分として次亜塩素酸ガスを空気調和装置20に供給する。
【0046】
<水供給装置>
水供給装置100は、水供給部104から供給される水を、加湿部126に供給する装置である。
【0047】
水供給部104は、外部の設備給水管(図示せず)から流入する市水を、空気調和装置20の加湿部126に供給する部材である。水供給部104は、水道管105と、水道弁106とを有して構成される。水道管105は、外部の設備給水管と空気調和装置20の加湿部126との間を連通接続する配管である。水道弁106は、無線又は有線により加湿制御部103と通信可能に接続され、加湿制御部103からの信号により開閉される。
【0048】
これにより、加湿部126に水道水を導入したり停止したりすることができる。水道弁106は、電磁弁を用いることができる。
【0049】
加湿制御部103は、統合制御部111からの信号に基づいて、水供給部104の空気調和装置20への送水に関する情報を統合制御部111に入力する。加湿制御部103は、無線又は有線により統合制御部111と通信可能に接続される。
【0050】
水供給装置100は、統合制御部111からの信号に基づいて、加湿制御部103によって水供給部104からの水の供給を実行し、加湿部126において加湿に必要な水を空気調和装置20に供給する。
【0051】
<空気調和装置>
空気調和装置20は、外部及び対象空間Sから取り込んだ空気の温度及び湿度の調節を行うとともに、次亜塩素酸ガス供給装置4から送出される次亜塩素酸ガスを混合し、対象空間Sに放出することにより、対象空間Sの除菌又は殺菌を行う。空気調和装置20は、還気ダクト22と、フィルタ23と、温調部27と、吸込口26と、次亜塩素酸供給口28と、加湿部126と、送風機29と、給気ダクト30と、ドレンパン31と、排水流路32と、送風制御部21と、温湿度センサ40と、操作部41とを備えて構成される。空気調和装置20には、還気ダクト22から給気ダクト30に至る風路が形成されている。空気調和装置20に導入された空気(導入空気48)は、風路を、還気ダクト22、フィルタ23、温調部27、加湿部126(または次亜塩素酸発生部9)、及び送風機29の順に通風され、給気ダクト30により、装置外の対象空間Sに排出される。
【0052】
還気ダクト22は、空気調和装置20内に空気を導入するための開口である。還気ダクト22により風路内に導入された空気(導入空気48)は、フィルタ23によって塵及び埃等の不純物が除去される。
【0053】
フィルタ23は、導入された導入空気48から塵及び埃等の不純物を除去する。フィルタ23を通過した空気(導入空気48a)は、温調部27へと通風される。
【0054】
温調部27は、上述した通り、空気冷却器24と、空気加熱器25と、熱源装置33と、複数の流路(流路34~流路37)と、を備えて構成される。温調部27は、温調部27へと通風された導入空気48aの温調を行う。温調部27へと通風された導入空気48aは、空気冷却器24及び空気加熱器25を通風し、空気冷却器24による冷却または空気加熱器25による加熱によって温度の調整がなされる。なお、温調部27は、請求項の「温度調節部」に相当する。
【0055】
空気冷却器24は、通過する空気の冷却を行うユニットである。空気冷却器24は、流路34及び流路35により熱源装置33と連通接続されている。空気冷却器24には、熱源装置33から流路34を流通して冷水が流入し、冷水は、空気冷却器24内を通水する。流入した冷水と、空気冷却器24を通過する空気との間で熱交換が行われ、通過した空気の冷却が行われる。熱交換が行われた冷水は、流路34を流通し、熱源装置33へと送水される。この時、結露により発生する水は、ドレンパン31により回収される。空気冷却器24を通過した空気は、空気加熱器25へと通風される。
【0056】
空気加熱器25は、通過する空気の加熱を行うユニットである。空気加熱器25は、流路36及び流路37により熱源装置33と連通接続されている。空気加熱器25には、熱源装置33から流路36を流通して温水が流入し、温水は、空気加熱器25内を通水する。流入した温水と、空気加熱器25を通過する空気との間で熱交換が行われ、通過した空気の加熱が行われる。熱交換が行われた温水は、流路37を流通し、熱源装置33へと送水される。空気加熱器25を通過した空気は、加湿部126(一部は次亜塩素酸ガス発生装置4)へと通風される。
【0057】
熱源装置33は、水の冷却及び加熱を行い、空気冷却器24に供給するための冷水及び空気加熱器25に供給する温水とする装置である。
【0058】
流路34は、熱源装置33により冷却された水を、熱源装置33から空気冷却器24へ送水する流路である。
【0059】
流路35は、空気冷却器24に通水した水を熱源装置33へ送水する流路である。
【0060】
流路36は、熱源装置33により加熱された水を、熱源装置33から空気加熱器25へ送水する流路である。
【0061】
流路37は、空気加熱器25に通水した水を熱源装置33へ送水する流路である。
【0062】
以上のように、温調部27は、各部材によって構成される。
【0063】
温調部27は、加湿部126の上流側に設置され、内部に流入した空気の温度を操作部41から入力される加湿部126に対する加湿要求量に応じて、空気への加熱を行うユニットである。温調部27は、無線又は有線により送風制御部21と通信可能に接続され、統合制御部111により制御される。温調部27の動作状態としては、暖房運転及び冷房運転の二通の状態があり、操作部41によって選択された動作状態が統合制御部111(または送風制御部21)に記憶される。統合制御部111は、操作部41から入力される加湿部126に対する加湿要求量と、送風制御部21から入力される温調部27の運転に関する情報に基づいて、送風制御部21によって温調部27の制御を行う。
【0064】
暖房運転は、温調部27を通過する空気の昇温を行う動作状態である。この場合、熱源装置33では、水の加熱を行い、空気加熱器25に温水の供給を行う。
【0065】
冷房運転は、温調部27を通過する空気の冷却を行う動作状態である。この場合、熱源装置33では、水の冷却を行い、空気冷却器24に冷水の供給を行う。
【0066】
以上のように、温調部27は、導入される導入空気48aを熱源装置33によって温調して、温調空気49として流出させる。
【0067】
吸込口26は、吸込風路6の一端と接続され、温調空気49の一部を第二部分51として次亜塩素酸ガス供給装置4(次亜塩素酸発生部9)に取り込むための開口部である。吸込口26は、温調器27(空気加熱器25)と加湿部126との間における風路に設置される。吸込口26は、送風ポンプ5が動作することにより、空気調和装置20内の風路を流通する温調空気49の一部を第二部分51として吸い込む。詳細は後述するが、温調空気49の残りの主たる部分は、第一部分50として加湿部126に導入される。
【0068】
次亜塩素酸供給口28は、供給風路7の他端と接続され、次亜塩素酸ガス供給装置4(次亜塩素酸発生部9)からの浄化空気53を放出するための開口部である。次亜塩素酸供給口28は、加湿部126から対象空間Sまでの風路上に設定される。本実施の形態では、次亜塩素酸供給口28は、送風機29よりも後段(下流)となる給気ダクト30における風路上に設置されている。次亜塩素酸供給口28は、送風ポンプ5が動作することにより、次亜塩素酸ガス供給装置4(次亜塩素酸発生部9)を流通した空気を浄化空気53として放出する。つまり、次亜塩素酸供給口28は、温調空気49の第一部分50を加湿した加湿空気52に対して次亜塩素酸ガスを含む空気(浄化空気53)を放出して、後述する混合空気54にする。
【0069】
ここで、給気ダクト30を対象空間Sごとに分岐する場合には、次亜塩素酸供給口28を分岐後に取り付けることで、汚れやすい空間を選択的に除菌することも可能となる。
【0070】
加湿部126は、内部に流入した空気が流通するように設けられ、空気を加湿するユニットであり、水供給装置100の水供給部104からの水を滴下して気化させるフィルタ式の気液接触部である。加湿部126を通過する空気は、具体的には、温調空気49から分岐した第一部分50である。なお、加湿部126は、請求項の「加湿部」に相当する。
【0071】
加湿部126は、次亜塩素酸供給口28の前段、且つ、給気ダクト30の前段に設けられる。より詳細には、加湿部126は、次亜塩素酸供給口28の前段、且つ、送風機29の前段に設けられる。加湿部126は、水供給部104の水道管105を介して水供給装置100と連通接続されている。加湿部126は、水供給装置100から送出される水を含有することが可能な構造(例えば、気化フィルタ)を有する。加湿部126は、平板形状であり、多くの繊維を備え、繊維と繊維との間に水を保水することができる。加湿部126は、還気ダクト22と加湿部126の平面部(空気の流通面)が対向するように設けられている。そして、水供給装置100から送出される水は、加湿部126の平面部の上方から供給される。そのため、加湿部126を通過する空気を加湿させることが可能となる。つまり、加湿部126は、水を平面部の上方から下方に流して気化させる。そして、加湿することにより、対象空間S内に加湿された空気が放出される。なお、水供給装置100の動作中には、加湿部126に水が常時供給されるため、加湿部126が含有しきれなかった水は、下方に流れ落ちてドレンパン31によって回収される。
【0072】
本実施の形態において、加湿部126は水を含有することが可能な気化フィルタとしたが、加湿機能を有していれば、その他の方式を用いることも可能である。例えば、高温の蒸気を発生させる蒸気管を用いてもよい。
【0073】
送風機29は、空気調和装置20内の風路を流通した空気を対象空間Sに放出するユニットであり、還気ダクト22から給気ダクト30へ向かう空気の流れを生成する。送風機29は、加湿部126の後段、且つ、給気ダクト30の前段に設けられる。これにより、除菌又は殺菌のための空気を空気調和装置20内に流入させることができる。送風機29により、加湿された空気であって、次亜塩素酸を含む空気(混合空気54)が対象空間Sに放出され、対象空間Sの加湿、並びに、除菌又は殺菌を行うことが可能となる。また、送風機29は、送風制御部21と無線又は有線により通信可能に接続され、統合制御部111によって送風制御部21を介して制御される。なお、送風機29は、請求項の「送風部」に相当する。
【0074】
給気ダクト30は、空気調和装置20内の空気を対象空間Sに放出するための開口である。給気ダクト30から、加湿された空気であって、次亜塩素酸を含む空気が対象空間Sに放出され、加湿、並びに、空間の除菌又は殺菌を行うことが可能となる。
【0075】
ドレンパン31は、空気調和装置20内の水を集めるための受け皿である。ドレンパン31は、空気冷却器24、空気加熱器25、及び加湿部126の下部に設けられ、少なくとも空気冷却器24及び加湿部126から流出する水を回収する。
【0076】
排水流路32は、空気調和装置20内に溜まった水を排水するための流路である。排水流路32は、ドレンパン31と接続され、ドレンパン31により集められた水を装置外に排出する。
【0077】
温湿度センサ40は、対象空間Sに設置され、対象空間S内の空気の温湿度(温度及び湿度)を検出する。温湿度センサ40は、送風制御部21と無線又は有線により通信可能
に接続され、検出した温度及湿度に関する情報を送風制御部21に出力する。
【0078】
操作部41は、対象空間Sに設置され、ユーザにより各運転の開始/終了に関する情報などを入力するパネルである。
【0079】
次に、
図2を参照して、空間浄化装置1の統合制御部111による送風機29、次亜塩素酸ガス供給装置4、及び加湿部126の制御動作について説明する。
図2は、本発明の実施の形態1に係る空間浄化装置1における統合制御部111の構成を表すブロック図である。
【0080】
統合制御部111は、次亜塩素酸水供給装置2における次亜塩素酸制御部3、水供給装置100における加湿制御部103、及び空気調和装置20における送風制御部21のそれぞれと連動し、各制御部からの制御信号に基づいて各機器の動作を直接的又は間接的に制御する。具体的には、
図2に示すように、統合制御部111は、入力部111aと、処理部111bと、出力部111cと、記憶部111dとを有している。
【0081】
<送風制御>
統合制御部111は、送風制御部21と連動し、送風制御部21からの制御信号に基づいて送風機29の運転動作を制御する。
【0082】
送風制御において入力部111aは、操作部41から出力される加湿運転の開始/終了に関する情報と、操作部41から出力される温調部27の運転状態(暖房運転、冷房運転)に関する情報とを受け付け、処理部111bに出力する。
【0083】
記憶部111dは、入力部111aが受け付けた情報及び送風機29の設定情報などを記憶する。記憶した情報は、処理部111bからの要求に応じて、記憶部111dから処理部111bに出力される。
【0084】
処理部111bは、入力部111aが受け付けた各情報と、記憶部111dから出力される設定情報と、を送風制御部21に出力する。
【0085】
送風制御部21は、処理部111bから受け付けた各情報に基づいて送風機29の送風動作に関する情報を特定する。具体的には、送風制御部21は、送風機29における送風運転の開始/終了に関するタイミング及び送風量に関する情報を特定する。
【0086】
送風制御部21は、特定した送風動作に関する情報を制御情報として処理部111bに出力する。
【0087】
処理部111bは、送風制御部21から受け付けた制御情報を出力部111cに出力する。
【0088】
出力部111cは、送風制御部21からの制御情報に関する信号を送風機29に出力する。
【0089】
送風機29は、統合制御部111の出力部111cから受け付けた信号に基づいて送風動作を行う。
【0090】
このようにして、統合制御部111は、空間加湿及び空間浄化処理の開始に伴い、送風制御部21と連動して送風機29を起動させる。これにより、空気調和装置20内の空気が対象空間Sに排出され、還気ダクト22から空気(例えば、対象空間Sの空気)が導入
される。なお、導入された空気(導入空気48)は、フィルタ23により不純物(例えば、塵埃)の除去が行われる。
【0091】
<次亜塩素酸制御>
統合制御部111は、次亜塩素酸制御部3と連動し、次亜塩素酸ガス供給装置4及び次亜塩素酸水供給装置2の運転動作を制御する。
【0092】
次亜塩素酸制御において入力部111aは、操作部41から出力される加湿運転の開始/終了に関する情報と、空間の浄化の出力に関する情報と、温湿度センサ40の設置されている空間の設定湿度に関する情報と、温湿度センサ40から出力された湿度情報とを受け付け、処理部111bに出力する。
【0093】
記憶部111dは、入力部111aが受け付けた各情報と、次亜塩素酸ガスの設定情報(送風ポンプ5の流量、次亜塩素酸水ポンプ10の流量及び動作時間などに関する情報)とを記憶する。記憶した情報は、処理部111bからの要求に応じて、記憶部111dから処理部111bに出力される。
【0094】
処理部111bは、入力部111aが受け付けた各情報と、記憶部111dから出力される設定情報とを次亜塩素酸制御部3に出力する。
【0095】
次亜塩素酸制御部3は、処理部111bから受け付けた各情報に基づいて次亜塩素酸ガス供給装置4及び次亜塩素酸水供給装置2の供給動作に関する情報を特定する。具体的には、次亜塩素酸制御部3は、次亜塩素酸ガス供給装置4及び次亜塩素酸水供給装置2における供給運転の開始/終了に関するタイミング、及び、次亜塩素酸水ポンプ10の流量と送風ポンプに関する情報を特定する。
【0096】
ここで、次亜塩素酸水供給装置2による供給開始は、次亜塩素酸水ポンプ10の通水オンとすることであり、次亜塩素酸水供給装置2による供給終了は、次亜塩素酸水ポンプ10の通水オフとすることである。
【0097】
また、次亜塩素酸ガス供給装置4による供給開始は、送風ポンプ5の送風オンとすることであり、次亜塩素酸ガス供給装置4による供給終了は、送風ポンプ5の送風オフとすることである。
【0098】
次亜塩素酸制御部3は、特定した供給動作に関する情報を制御情報として処理部111bに出力する。
【0099】
処理部111bは、次亜塩素酸制御部3から受け付けた制御情報を出力部111cに出力する。
【0100】
出力部111cは、次亜塩素酸制御部3からの制御情報に関する信号を次亜塩素酸ガス供給装置4及び次亜塩素酸水供給装置2(送風ポンプ5、次亜塩素酸水ポンプ10)に出力する。
【0101】
次亜塩素酸ガス供給装置4は、統合制御部111の出力部111cから受け付けた信号に基づいて次亜塩素酸ガスの供給動作を行う。
【0102】
このようにして、統合制御部111は、空間浄化処理の開始に伴い、次亜塩素酸制御部3と連動して次亜塩素酸ガス供給装置4を起動させる。これにより、次亜塩素酸供給口28から所定の次亜塩素酸濃度を有する次亜塩素酸ガスが供給される。この結果、次亜塩素
酸供給口28を流通した次亜塩素酸ガスを含む空気(浄化空気53)は、加湿空気52と混合されて混合空気54となり、送風機29により給気ダクト30から対象空間Sに放出される。対象空間S内に次亜塩素酸が設定濃度で放出されることで、対象空間Sの除菌又は殺菌が行われる。
【0103】
<加湿制御>
統合制御部111は、加湿制御部103と連動し、水供給装置100の運転動作を制御する。なお、水供給装置100の運転動作を制御することは、加湿部126の動作を制御することに相当する。
【0104】
加湿制御において入力部111aは、操作部41から出力される加湿運転の開始/終了に関する情報と、温湿度センサ40の設置されている空間の設定湿度に関する情報と、温湿度センサ40から出力された湿度情報とを受け付け、処理部111bに出力する。
【0105】
記憶部111dは、入力部111aが受け付けた各情報と、加湿設定情報(水道弁106の開閉状態、及び通水時間などに関する情報)とを記憶する。記憶した情報は、処理部111bからの要求に応じて、記憶部111dから処理部111bに出力される。
【0106】
処理部111bは、入力部111aが受け付けた各情報と、記憶部111dから出力される加湿設定情報とを加湿制御部103に出力する。
【0107】
加湿制御部103は、処理部111bから受け付けた各情報に基づいて水供給装置100の供給動作に関する情報を特定する。具体的には、加湿制御部103は、水供給装置100における供給運転の開始/終了に関するタイミング(水道弁106の開閉状態)に関する情報を特定する。ここで、水供給装置100による供給開始は、水道弁106を「開」状態とすることであり、水供給装置100による供給終了は、水道弁106を「閉」状態とすることである。
【0108】
加湿制御部103は、特定した供給動作に関する情報を制御情報として処理部111bに出力する。
【0109】
処理部111bは、加湿制御部103から受け付けた制御情報を出力部111cに出力する。
【0110】
出力部111cは、加湿制御部103からの制御情報に関する信号を水供給装置100(水道弁106)に出力する。
【0111】
水供給装置100は、統合制御部111の出力部111cから受け付けた信号に基づいて加湿部126への水の供給動作を行う。
【0112】
このようにして、統合制御部111は、空間加湿処理の開始に伴い、加湿制御部103と連動して水供給装置100を起動させる。これにより、加湿部126に対して水が供給される。この結果、加湿部126を流通した加湿空気52は、浄化空気53と混合されて混合空気54となり、送風機29により給気ダクト30から対象空間Sに放出される。対象空間S内に設定加湿量で放出されることで、対象空間Sの加湿が行われる。
【0113】
次に、
図1を参照して、空気調和装置20の風路を流通する空気に関する空気条件の変化について説明する。
【0114】
送風機29が動作することによって空気調和装置20の内部に導入される空気は、還気
ダクト22、フィルタ23、温調部27、加湿部126、送風機29、及び給気ダクト30の順に流通するとともに、温調部27を通過した温調空気49の一部(第二部分51)が分岐して次亜塩素酸ガス供給装置4を流通した後に給気ダクト30において加湿空気52に混合され、装置外の対象空間Sに排出される。そして、この際、空気調和装置20の内部に導入される空気は、導入空気48、導入空気48a、温調空気49、加湿空気52、混合空気54の順に空気条件が変化していく。
【0115】
導入空気48は、対象空間Sの空気が還気ダクト22から導入された空気である。
【0116】
導入空気48aは、導入空気48がフィルタ23を通過した空気である。導入空気48aは、導入空気48から塵及び埃等の不純物が除去された空気である。
【0117】
温調空気49は、導入空気48aが温調部27(空気冷却器24及び空気加熱器25)を通過した空気である。つまり、温調空気49は、温調部27によって導入空気48aの温度を調節した空気である。より詳細には、温調空気49は、空気冷却器24によって導入空気48aを冷却した空気、または、空気加熱器25によって導入空気48aを昇温した空気である。ここで、温調空気49は、あらかじめ設定された温度(例えば25℃)に整えられる。
【0118】
その後、温調部27を流通した温調空気49は、温調空気49の一部である第一部分50と、温調空気49の残りの部分である第二部分51(温調空気49の第一部分50とは異なる第二部分51)と、に分岐される。分岐の際には、温調空気49の第二部分51の風量(流量)が第一部分50の風量(流量)に対して少なくなるように調整される。具体的には、温調空気49の第一部分50の風量を3000m3/h~6000m3/hとし、第二部分51の風量を0.05m3/h~0.1m3/hとして、第一部分50の風量に対して、第二部分51の風量が0.1%未満の風量となるように調整している。このようにすることで、浄化空気53となる第二部分51が加湿空気52となる第一部分50に混合される際に、第二部分51が次亜塩素酸発生部9を通過することで生じる温湿度変化の影響を抑えることができる。
【0119】
温調空気49の第一部分50は、加湿部126に導入される空気である。
【0120】
温調空気49の第二部分51は、次亜塩素酸ガス供給装置4(次亜塩素酸発生部9)に導入される空気である。その後、温調空気49の第二部分51は、次亜塩素酸発生部9を流通し、浄化空気53として次亜塩素酸供給口28から放出される。この際、次亜塩素酸発生部9を通過する第二部分51があらかじめ設定された温度に温調された空気であるので、導入する空気の温度の変化による次亜塩素酸ガスの供給量のバラツキを比較的小さくすることができる。
【0121】
浄化空気53は、温調空気49の第二部分51が次亜塩素酸発生部9を通過した空気である。つまり、浄化空気53は、次亜塩素酸発生部9によって温調空気49の第二部分51に次亜塩素酸ガスを含ませた空気である。ここで、浄化空気53に含まれる次亜塩素酸ガスの量は、加湿空気52と浄化空気53との風量割合を加味し、混合後にあらかじめ設定した濃度となるように、十分に濃い濃度に設定されている。
【0122】
加湿空気52は、温調空気49の第一部分50が加湿部126を通過した空気である。つまり、加湿空気52は、加湿部126によって温調空気49の第一部分50の湿度を調整した空気である。ここで、加湿空気52は、あらかじめ設定された湿度(例えば相対湿度50%)に整えられる。
【0123】
混合空気54は、加湿空気52が給気ダクト30を流通する過程で、加湿空気52に次亜塩素酸供給口28からの浄化空気53を混合した空気である。
【0124】
空気調和装置20の風路を流通する空気は、以上のように変遷して対象空間Sに放出される。
【0125】
以上のように、本実施の形態に係る空間浄化装置1では、水供給装置100の動作を制御することによって加湿部126への水の供給有無及び供給量が調整されるので、内部を流通する空気(温調空気49の第一部分50)に導入する加湿量を調整できる。また、次亜塩素酸ガス供給装置4の動作を制御することによって次亜塩素酸発生部9への空気の供給有無及び供給量が調整されるので、内部を流通する空気(温調空気49の第二部分51)に導入する次亜塩素酸ガスの量を調整できる。この際、水供給装置100(加湿部126)と次亜塩素酸ガス供給装置4とを独立して制御することによって、加湿量と次亜塩素酸ガスの量とが独立して調整されるので、空間浄化装置1において加湿量と次亜塩素酸ガスの量とを柔軟に調整することができる。
【0126】
以上、本実施の形態1に係る空間浄化装置1によれば、以下の効果を享受することができる。
【0127】
(1)空間浄化装置1は、風路に流入した空気が流通するように設けられ、空気の温度を調整する温調部27と、温調部27を流通した空気(温調空気49)の一部である第一部分50を加湿する加湿部126と、温調部27を流通した温調空気49の、第一部分50とは異なる第二部分51が流通するように設けられ、次亜塩素酸水を用いて次亜塩素酸ガスを発生させる次亜塩素酸発生部9と、加湿部126を流通した加湿空気52を対象空間Sに放出する送風機29とを備える。そして、次亜塩素酸発生部9を流通した次亜塩素酸ガスを含む空気(浄化空気53)は、加湿空気52と混合されて対象空間Sに放出するようにした。
【0128】
こうした構成によれば、次亜塩素酸発生部9に導入する空気として、温調空気49の一部である第二部分51を導入するので、外気をそのまま導入する場合と比較して、導入する温度のバラツキを抑えられ、次亜塩素酸ガスの発生量(付加量)を安定化させることができるとともに、加湿部126による温調空気49の第一部分50への加湿と、次亜塩素酸発生部9による温調空気49の第二部分51への次亜塩素酸ガスの付与とを別々に調整した上で、次亜塩素酸ガスを含む空気(浄化空気53)と加湿した空気(加湿空気52)とを混合して、混合空気54として対象空間Sに放出することができる。つまり、従来の構成では難しかった空間浄化装置1において、加湿量と次亜塩素酸ガスの量とを柔軟に調整することが可能な空間浄化装置1とすることができる。
【0129】
(2)空間浄化装置1は、次亜塩素酸発生部9と加湿部126の動作を制御する統合制御部111を備え、統合制御部111は、次亜塩素酸ガス供給装置4を制御することによって、対象空間Sに放出する混合空気54(加湿空気52)に含ませる次亜塩素酸ガスの量を調整し、統合制御部111は、温調部27及び加湿部126を制御することによって、対象空間Sに放出する混合空気54(加湿空気52)に含ませる加湿量を調整するようにした。このようにすることで、次亜塩素酸ガスの量の調整と、加湿量の調整を独立して行うことができる。そのため、空間浄化装置1において加湿量と次亜塩素酸ガスの量とをさらに柔軟に調整することができる。
【0130】
(3)空間浄化装置1では、温調空気49の第二部分51の風量(流量)は、温調空気49の第一部分50の風量(流量)よりも少なくした。これにより、次亜塩素酸発生部9を通過した空気(浄化空気53)と温調空気49の第一部分50とを混合した際に、成り
行きで温湿度が変化する可能性のある第二部分51の風量(流量)が相対的に少ないので、混合に伴う温湿度の変化をより抑えることができる。
【0131】
(4)空間浄化装置1では、次亜塩素酸発生部9は、流通する温調空気の第二部分51を気泡として次亜塩素酸水中に放出して次亜塩素酸ガスを発生させるようにした。このようにすることで、次亜塩素酸発生部9を通過した空気(浄化空気53)に対して、より多くの次亜塩素酸ガスを含ませることができる。そのため、空間浄化装置1において速やかに除菌効果を得ることができる。
【0132】
(5)空間浄化装置1では、次亜塩素酸供給口の位置を送風機29の後段に設置するようにした。このようにすることで、混合空気54に含まれる次亜塩素酸ガスが、送風機29を通過すること無く、対象空間Sに供給され、送風機29の通過時の次亜塩素酸ガスの減衰を無くすことができる。そのため、空間浄化装置1において速やかに除菌効果を得ることができる。
【0133】
(実施の形態2)
次に、
図3を参照して、本発明の実施の形態2に係る空間浄化装置1aについて説明する。
図3は、本発明の実施の形態2に係る空間浄化装置1aの模式図である。
【0134】
実施の形態1に係る空間浄化装置1では、次亜塩素酸供給口28を、流入した空気の流れに対して加湿部126の下流側に配置したが、実施の形態2に係る空間浄化装置1aでは、次亜塩素酸供給口28aを、流入した空気の流れに対して加湿部126の上流側に配置した。これ以外の空間浄化装置1aの構成及び制御方法は、実施の形態1に係る空間浄化装置1と同様である。以下、実施の形態1で説明済みの内容は再度の説明を適宜省略し、実施の形態1と異なる点を主に説明する。
【0135】
<全体構成>
空間浄化装置1aもまた、ユーザにより設定された設定値に基づいて、次亜塩素酸ガスの放出及び加湿部への通水をそれぞれ独立して制御する。具体的には、空間浄化装置1aは、
図3に示すように、次亜塩素酸ガス供給装置4aと、空気調和装置20aと、水供給装置100と、統合制御部111とを備えて構成される。そして、次亜塩素酸ガス供給装置4aは、次亜塩素酸水供給装置2と、次亜塩素酸発生部9と、送風ポンプ5と、次亜塩素酸制御部3とを含む。次亜塩素酸水供給装置2は、次亜塩素酸水ポンプ10と、次亜塩素酸水タンク11とを含む。水供給装置100は、水供給部104と、加湿制御部103とを含む。
【0136】
また、空気調和装置20aは、還気ダクト22と、フィルタ23と、温調部27と、吸込口26と、次亜塩素酸供給口28aと、加湿部126と、送風機29と、給気ダクト30と、ドレンパン31と、排水流路32と、送風制御部21と、温湿度センサ40と、操作部41とを備えて構成される。そして、温調部27は、空気冷却器24と、空気加熱器25と、熱源装置33と、複数の流路(流路34~流路37)とを含む。
【0137】
また、統合制御部111は、次亜塩素酸水供給装置2における次亜塩素酸制御部3と、水供給装置100における加湿制御部103と、空気調和装置20aにおける送風制御部21と無線又は有線により通信可能に接続され、各制御部からの制御信号に基づいて各機器の動作を直接的又は間接的に制御する。
【0138】
<水供給装置>
本実施の形態の水供給装置100は、実施の形態1における水供給装置100と同じであるので、説明を省略する。
【0139】
<次亜塩素酸ガス供給装置>
図3に示すように、本実施の形態の次亜塩素酸ガス供給装置4aは、供給風路7aの次亜塩素酸供給口28aへの接続位置が異なるという点で実施の形態1と異なる。次亜塩素酸水供給装置2の装置構成及び制御については実施の形態1と同様であるため適宜省略する。
【0140】
次亜塩素酸ガス供給装置4aは、次亜塩素酸水供給装置2、次亜塩素酸発生部9、及び送風ポンプ5から構成されている。
【0141】
送風ポンプ5は、吸込風路6及び吸込口26によって空気調和装置20aと接続されており、空気調和装置20aの内部の空気の一部である第二部分51を次亜塩素酸発生部9に導入するようになっている。
【0142】
次亜塩素酸発生部9は、供給風路7a及び次亜塩素酸供給口28aによって空気調和装置20aと接続されており、送風ポンプ5が動作することで吸込風路6を通過した空気(第二部分51)が、次亜塩素酸発生部9に貯留された次亜塩素酸水内部を気泡状になりながら通過する。これにより、次亜塩素酸発生部9において、貯留する次亜塩素酸水の表面に、吸込風路6からの空気を通過させるよりも、より多く空気中に次亜塩素酸ガスを含ませることができる。なお、次亜塩素酸発生部9は、請求項の「次亜塩素酸発生部」に相当する。
【0143】
供給風路7aは、次亜塩素酸発生部9と空気調和装置20aとを接続するパイプ状の風路である。供給風路7aは、次亜塩素酸発生部9を通過後の次亜塩素酸ガスを含んだ空気である浄化空気53aを通過させ、空気調和装置20aに供給するための風路である。供給風路7aにおける次亜塩素酸発生部9側の一端は、次亜塩素酸発生部9の上方空間に挿通されている。供給風路7aにおける空気調和装置20a側の他端は、次亜塩素酸供給口28aが設けられている。供給風路7aには、送風ポンプ5が動作することにより、次亜塩素酸供給口28aから放出される浄化空気53aが流通する。詳細は後述するが、供給風路7aを流通した浄化空気53aは、温調空気49の第一部分50と混合されて混合空気54aとなる。
【0144】
<空気調和装置>
図3に示すように、本実施の形態の空気調和装置20aは、供給風路7aと連通接続する次亜塩素酸供給口28aの設置位置が異なるという点で実施の形態1と異なる。空気調和装置20aの装置構成及び制御については実施の形態1と同様であるため適宜省略する。
【0145】
次亜塩素酸供給口28aは、供給風路7aの他端と接続され、次亜塩素酸ガス供給装置4a(次亜塩素酸発生部9)からの浄化空気53aを放出するための開口部である。次亜塩素酸供給口28aは、吸込口26の後段(下流側)、且つ、加湿部126の前段(上流側)の風路上に設定される。次亜塩素酸供給口28aは、送風ポンプ5が動作することにより、次亜塩素酸ガス供給装置4a(次亜塩素酸発生部9)を流通した空気を浄化空気53aとして放出する。つまり、次亜塩素酸供給口28aは、温調空気49の第一部分50に対して次亜塩素酸ガスを含む空気(浄化空気53a)を放出して、後述する混合空気54aにする。
【0146】
次に、
図3を参照して、空気調和装置20aの風路を流通する空気に関する空気条件の変化について説明する。
【0147】
送風機29が動作することによって空気調和装置20aの内部に導入される空気は、還気ダクト22、フィルタ23、温調部27、加湿部126、送風機29、及び給気ダクト30の順に流通して、装置外の対象空間Sに排出される。本実施の形態では、この流通過程で、温調部27を通過した温調空気49の一部(第二部分51)が分岐して次亜塩素酸ガス供給装置4を流通した後に温調空気49の第一部分50に混合されている。つまり、本実施の形態では、空気調和装置20の内部に導入される空気は、導入空気48、導入空気48a、温調空気49、混合空気54a、加湿空気52aの順に空気条件が変化していく。
【0148】
本実施の形態の導入空気48、導入空気48a、及び温調空気49は、実施の形態1と同じであるので、説明を省略する。
【0149】
温調部27を流通した温調空気49は、温調空気49の一部である第一部分50と、温調空気49の残りの部分である第二部分51(温調空気49の第一部分50とは異なる第二部分51)と、に分岐される。分岐の際には、温調空気49の第二部分51の風量(流量)が第一部分50の風量(流量)に対して少なくなるように調整される。具体的には、温調空気49の第一部分50の風量を3000m3/h~6000m3/hとし、第二部分51の風量を0.05m3/h~0.1m3/hとして、第一部分50の風量に対して、第二部分51の風量が0.1%未満の風量となるように調整している。このようにすることで、浄化空気53aとなる第二部分51が温調空気49の第一部分50に混合される際に、第二部分51が次亜塩素酸発生部9を通過することで生じる温湿度変化の影響を抑えることができる。
【0150】
温調空気49の第一部分50は、分岐後に加湿部126へ向かって流通する空気である。
【0151】
温調空気49の第二部分51は、次亜塩素酸ガス供給装置4(次亜塩素酸発生部9)に導入される空気である。その後、温調空気49の第二部分51は、次亜塩素酸発生部9を流通し、浄化空気53aとして次亜塩素酸供給口28aから放出される。この際、次亜塩素酸発生部9を通過する第二部分51があらかじめ設定された温度に温調された空気であるので、導入する空気の温度の変化による次亜塩素酸ガスの供給量のバラツキを比較的小さくすることができる。
【0152】
浄化空気53aは、温調空気49の第二部分51が次亜塩素酸発生部9を通過した空気である。つまり、浄化空気53aは、次亜塩素酸発生部9によって温調空気49の第二部分51に次亜塩素酸ガスを含ませた空気である。ここで、浄化空気53aに含まれる次亜塩素酸ガスの量は、温調空気49の第一部分50と浄化空気53aとの風量割合を加味し、混合後にあらかじめ設定した濃度となるように、十分に濃い濃度に設定されている。
【0153】
混合空気54aは、温調空気49の第一部分50が加湿部126の前段の風路を流通する過程で、温調空気49の第一部分50に次亜塩素酸供給口28aからの浄化空気53aを混合した空気である。
【0154】
加湿空気52aは、混合空気54aが加湿部126を通過した空気である。つまり、加湿空気52aは、加湿部126によって混合空気54aの湿度を調整した空気である。ここで、加湿空気52aは、次亜塩素酸ガスを含んだ状態で、あらかじめ設定された湿度(例えば相対湿度50%)に整えられる。
【0155】
空気調和装置20aの風路を流通する空気は、以上のように変遷して対象空間Sに放出される。
【0156】
以上のように、本実施の形態に係る空間浄化装置1aでは、水供給装置100の動作を制御することによって加湿部126への水の供給有無及び供給量が調整されるので、内部を流通する空気(混合空気54a)に導入する加湿量を調整できる。また、次亜塩素酸ガス供給装置4aの動作を制御することによって次亜塩素酸発生部9への空気の供給有無及び供給量が調整されるので、内部を流通する空気(温調空気49の第二部分51)に導入する次亜塩素酸ガスの量を調整できる。この際、水供給装置100(加湿部126)と次亜塩素酸ガス供給装置4aとを独立して制御することによって、加湿量と次亜塩素酸ガスの量とが独立して調整されるので、空間浄化装置1において加湿量と次亜塩素酸ガスの量とを柔軟に調整することができる。
【0157】
ここで、次亜塩素酸発生部9を通過し、温湿度が変化した空気(温調空気49の第二部分51)が第一部分50と合流して混合空気54aとなった後に、加湿が行われるので、加湿部126を流通した後で加湿される可能性がなくなり、設定湿度に対して過加湿が発生するリスクを低減することができる。さらに、加湿部126の前段に温湿度センサを設ける場合には、混合後の温湿度の変化を検知することもできるようになるため、加湿制御にフィードバックし、より過加湿のリスクを低減することも可能となる。
【0158】
以上、実施の形態2に係る空間浄化装置1aによれば、以下の効果を享受することができる。
【0159】
(1a)空間浄化装置1aは、内部に流入した空気が流通するように設けられ、空気の温度を調整する温調部27と、温調部27を流通した空気の一部(温調空気49)である第一部分50を加湿する加湿部126と、温調部27を流通した温調空気49の、第一部分50とは異なる第二部分51が流通するように設けられ、次亜塩素酸水を用いて次亜塩素酸ガスを発生させる次亜塩素酸発生部9と、加湿部126を流通した加湿空気52を対象空間Sに放出する送風機29とを備える。そして、次亜塩素酸発生部9を流通した次亜塩素酸ガスを含む空気は、温調空気と混合されて対象空間Sに放出するようにした。
【0160】
こうした構成によれば、次亜塩素酸発生部9に導入する空気として、温調空気49の一部である第二部分51を導入するので、外気をそのまま導入する場合と比較して、導入する空気の温度のバラツキを抑えることで次亜塩素酸ガスの発生量(付加量)を安定化させることができるとともに、加湿部126によって次亜塩素酸ガスを含む空気を含む温調空気49(混合空気54a)を加湿して対象空間Sに放出することができる。そして、この際、次亜塩素酸発生部9において第二部分51の温調空気49に付与される加湿量を踏まえて、加湿部126における加湿制御を行うことができる。つまり、従来の構成では難しかった空間浄化装置1aにおいて、加湿量と次亜塩素酸ガスの量とを柔軟に調整することが可能な空間浄化装置1aとすることができる。
【0161】
(2a)空間浄化装置1aでは、次亜塩素酸発生部9と加湿部126の動作を制御する統合制御部111を備え、統合制御部111は、次亜塩素酸ガス供給装置4aを制御することによって、対象空間Sに放出する加湿空気52aに含ませる次亜塩素酸ガスの量を調整し、統合制御部111は、温調部27及び加湿部126を制御することによって、対象空間Sに放出する加湿空気52aに含ませる加湿量を調整するようにした。このようにすることで、次亜塩素酸ガスの量の調整と、加湿量の調整を独立して行うことができる。そのため、空間浄化装置1aにおいて加湿量と次亜塩素酸ガスの量とをさらに柔軟に調整することができる。
【0162】
(3a)空間浄化装置1aでは、温調空気49の第二部分51の風量(流量)は、温調空気49の第一部分50の風量(流量)よりも少なくした。これにより、次亜塩素酸発生
部を通過した空気(浄化空気53)と温調空気49の第一部分50とを混合した際に、成り行きで温度が変化する可能性のある第二部分51の風量(流量)が相対的に少ないので、温度の変化をより抑えることができる。そのため、空間浄化装置1aにおいて加湿量と次亜塩素酸ガスの量とをさらに柔軟に調整することができる。
【0163】
(4a)空間浄化装置1aでは、次亜塩素酸発生部9は、流通する温調空気49の第二部分51を気泡として次亜塩素酸水中に放出して次亜塩素酸ガスを発生させるようにした。このようにすることで、次亜塩素酸発生部9を通過した空気(浄化空気53a)に対して、より多くの次亜塩素酸ガスを含ませることができる。そのため、空間浄化装置1aにおいて速やかに除菌効果を得ることができる。
【0164】
(実施の形態3)
次に、
図4を参照して、本発明の実施の形態3に係る空間浄化装置1bについて説明する。
図4は、本発明の実施の形態3に係る空間浄化装置1bの模式図である。
【0165】
実施の形態1に係る空間浄化装置1では、吸込口26を、風路内の空気の流れに対して温調部27の下流側に配置したが、実施の形態3に係る空間浄化装置1bでは、吸込口26bを、風路内の空気の流れに対して加湿部126の後段(下流側)、且つ、次亜塩素酸供給口28の前段(上流側)の風路上に配置した。
【0166】
これ以外の空間浄化装置1bの構成及び制御方法は、実施の形態1に係る空間浄化装置1と同様である。以下、実施の形態1で説明済みの内容は再度の説明を適宜省略し、実施の形態1と異なる点を主に説明する。
【0167】
<全体構成>
空間浄化装置1bもまた、ユーザにより設定された設定値に基づいて、次亜塩素酸ガスの放出及び加湿部への通水をそれぞれ独立して制御する。具体的には、空間浄化装置1bは、
図4に示すように、次亜塩素酸ガス供給装置4bと、空気調和装置20bと、水供給装置100と、統合制御部111とを備えて構成される。そして、次亜塩素酸ガス供給装置4bは、次亜塩素酸水供給装置2と、次亜塩素酸発生部9と、送風ポンプ5と、次亜塩素酸制御部3とを含む。次亜塩素酸水供給装置2は、次亜塩素酸水ポンプ10と、次亜塩素酸水タンク11とを含む。水供給装置100は、水供給部104と、加湿制御部103とを含む。
【0168】
また、空気調和装置20bは、還気ダクト22と、フィルタ23と、温調部27と、加湿部126と、送風機29と、吸込口26bと、次亜塩素酸供給口28と、給気ダクト30と、ドレンパン31と、排水流路32と、送風制御部21と、温湿度センサ40と、操作部41とを備えて構成される。そして、温調部27は、空気冷却器24と、空気加熱器25と、熱源装置33と、複数の流路(流路34~流路37)とを含む。
【0169】
また、統合制御部111は、次亜塩素酸水供給装置2における次亜塩素酸制御部3と、水供給装置100における加湿制御部103と、空気調和装置20aにおける送風制御部21と無線又は有線により通信可能に接続され、各制御部からの制御信号に基づいて各機器の動作を直接的又は間接的に制御する。
【0170】
<水供給装置>
本実施の形態の水供給装置100は、実施の形態1に係る水供給装置100と同じであるので、説明を省略する。
【0171】
<次亜塩素酸ガス供給装置>
図4に示すように、実施の形態3に係る次亜塩素酸ガス供給装置4bは、吸込風路6bの吸込口26bへの接続位置が異なるという点で、実施の形態1と異なる。次亜塩素酸水供給装置2の装置構成及び制御については実施の形態1と同様であるため適宜省略する。
【0172】
次亜塩素酸ガス供給装置4bは、次亜塩素酸水供給装置2、次亜塩素酸発生部9、及び送風ポンプ5から構成されている。
【0173】
送風ポンプ5は、吸込風路6b及び、吸込口26bによって空気調和装置20bと接続されており、空気調和装置20bの内部の空気の一部である第二部分51bを次亜塩素酸発生部9に導入するようになっている。
【0174】
吸込風路6bは、空気調和装置20bと次亜塩素酸発生部9とを連通接続するパイプ状の風路である。吸込風路6bは、空気調和装置20bにおいて加湿された加湿空気52bを通過させ、次亜塩素酸発生部9に供給するための風路である。吸込風路6b上には、送風ポンプ5が設置されている。吸込風路6bにおける空気調和装置20b側の一端には、吸込口26bが設けられている。吸込風路6bにおける次亜塩素酸発生部9側の他端は、次亜塩素酸発生部9の内部に挿通されている。吸込風路6bには、送風ポンプ5が動作することにより、吸込口26bから吸い込まれた空気(加湿空気52bの第二部分51b)が流通する。
【0175】
次亜塩素酸発生部9は、供給風路7及び次亜塩素酸供給口28によって空気調和装置20bと接続されており、送風ポンプ5が動作することで吸込風路6bを通過した空気(加湿空気52bの第二部分51b)が、次亜塩素酸発生部9に貯留された次亜塩素酸水内部を気泡状になりながら通過する。これにより、次亜塩素酸発生部9において、貯留する次亜塩素酸水の表面に、吸込風路6bからの空気を通過させるよりも、より多く空気中に次亜塩素酸ガスを含ませることができる。なお、次亜塩素酸発生部9は、請求項の「次亜塩素酸発生部」に相当する。
【0176】
供給風路7は、次亜塩素酸発生部9と空気調和装置20bとを接続するパイプ状の風路である。供給風路7は、次亜塩素酸発生部9を通過後の次亜塩素酸ガスを含んだ空気である浄化空気53bを通過させ、空気調和装置20に供給するための風路である。供給風路7における次亜塩素酸発生部9側の一端は、次亜塩素酸発生部9の上方空間に挿通されている。供給風路7における空気調和装置20側の他端は、次亜塩素酸供給口28が設けられている。供給風路7には、送風ポンプ5が動作することにより、次亜塩素酸供給口28から放出される浄化空気53bが流通する。詳細は後述するが、供給風路7を流通した浄化空気53bは、次亜塩素酸供給口28を介して加湿空気52bの第一部分50bと混合されて混合空気54bとなる。
【0177】
<空気調和装置>
図4に示すように、本実施の形態の空気調和装置20bは、吸込風路6bと連通接続する吸込口26bの設置位置が異なるという点で実施の形態1と異なる。空気調和装置20bの装置構成及び制御については実施の形態1と同様であるため適宜省略する。
【0178】
吸込口26bは、吸込風路6bの一端と接続され、加湿空気52bの一部を第二部分51bとして次亜塩素酸ガス供給装置4(次亜塩素酸発生部9)に取り込むための開口部である。吸込口26bは、空気の流れに対して加湿部126の後段(下流側)、且つ、次亜塩素酸供給口28の前段(上流側)の風路上に設置される。吸込口26bは、送風ポンプ5が動作することにより、空気調和装置20b内の風路を流通する加湿空気52bの一部を第二部分51bとして吸い込む。詳細は後述するが、加湿空気52bの残りの主たる部分は、第一部分50bとして給気ダクト30をそのまま流通していく。
【0179】
次亜塩素酸供給口28は、供給風路7の他端と接続され、次亜塩素酸ガス供給装置4(次亜塩素酸発生部9)からの浄化空気53を放出するための開口部である。次亜塩素酸供給口28は、吸込口26bから対象空間Sまでの風路上に設定される。本実施の形態では、次亜塩素酸供給口28は、吸込口26bよりも後段(下流)となる給気ダクト30における風路上に設置されている。次亜塩素酸供給口28は、送風ポンプ5が動作することにより、次亜塩素酸ガス供給装置4b(次亜塩素酸発生部9)を流通した空気を浄化空気53bとして放出する。つまり、次亜塩素酸供給口28は、加湿空気52bの第一部分50bに対して次亜塩素酸ガスを含む空気(浄化空気53b)を放出して、後述する混合空気54bにする。
【0180】
次に、
図4を参照して、空気調和装置20bの風路を流通する空気に関する空気条件の変化について説明する。
【0181】
送風機29が動作することによって空気調和装置20bの内部に導入される空気は、還気ダクト22、フィルタ23、温調部27、加湿部126、送風機29、及び給気ダクト30の順に流通して、装置外の対象空間Sに排出される。本実施の形態では、この流通過程で、加湿部126及び送風機29を通過した加湿空気52bの一部(第二部分51b)が分岐して次亜塩素酸ガス供給装置4bを流通した後に加湿空気52bの第一部分50bに混合されている。つまり、本実施の形態では、空気調和装置20bの内部に導入される空気は、導入空気48、導入空気48a、温調空気49、加湿空気52b、混合空気54bの順に空気条件が変化していく。
【0182】
本実施の形態の導入空気48、導入空気48a、及び温調空気49は、実施の形態1と同じであるので、説明を省略する。
【0183】
加湿空気52bは、温調空気49が加湿部126を通過した空気である。つまり、加湿空気52bは、加湿部126によって温調空気49の湿度を調整した空気である。ここで、加湿空気52bは、あらかじめ設定された湿度(例えば相対湿度50%)に整えられる。その後、加湿空気52bは、送風機29を通過する。
【0184】
加湿部126及び送風機29を流通した加湿空気52bは、加湿空気52bの一部である第二部分51bと、加湿空気52bの主たる部分である第一部分50bと、に分岐される。分岐の際には、加湿空気52bの第二部分51bの風量(流量)が第一部分50bの風量(流量)に対して少なくなるように調整される。具体的には、加湿空気52bの第一部分50bの風量を3000m3/h~6000m3/hとし、第二部分51bの風量を0.05m3/h~0.1m3/hとして、第一部分50bの風量に対して、第二部分51bの風量が0.1%未満の風量となるように調整している。このようにすることで、浄化空気53bとなる第二部分51bが加湿空気52bの第一部分50bに混合される際に、第二部分51bが次亜塩素酸発生部9を通過することで生じる温湿度変化の影響を抑えることができる。
【0185】
加湿空気52bの第一部分50bは、分岐後に対象空間Sへ向かって流通する空気である。
【0186】
加湿空気52bの第二部分51bは、次亜塩素酸ガス供給装置4b(次亜塩素酸発生部9)に導入される空気である。その後、加湿空気52bの第二部分51bは、次亜塩素酸発生部9を流通し、浄化空気53bとして次亜塩素酸供給口28から放出される。この際、次亜塩素酸発生部9を通過する第二部分51bがあらかじめ設定された温度に温調された空気であるので、導入する空気の温度の変化による次亜塩素酸ガスの供給量のバラツキ
を比較的小さくすることができる。
【0187】
浄化空気53bは、加湿空気52bの第二部分51bが次亜塩素酸発生部9を通過した空気である。つまり、浄化空気53bは、次亜塩素酸発生部9によって加湿空気52bの第二部分51bに次亜塩素酸ガスを含ませた空気である。ここで、浄化空気53bに含まれる次亜塩素酸ガスの量は、加湿空気52bの第一部分50bと浄化空気53bとの風量割合を加味し、混合後にあらかじめ設定した濃度となるように、十分に濃い濃度に設定されている。
【0188】
混合空気54bは、加湿空気52bの第一部分50bが対象空間Sに至る風路を流通する過程で、加湿空気52bの第一部分50bに次亜塩素酸供給口28からの浄化空気53bを混合した空気である。
【0189】
空気調和装置20bの風路を流通する空気は、以上のように変遷して対象空間Sに放出される。
【0190】
以上のように、本実施の形態に係る空間浄化装置1bでは、水供給装置100の動作を制御することによって加湿部126への水の供給有無及び供給量が調整されるので、内部を流通する空気(温調空気49)に導入する加湿量を調整できる。また、次亜塩素酸ガス供給装置4bの動作を制御することによって次亜塩素酸発生部9への空気の供給有無及び供給量が調整されるので、内部を流通する空気(加湿空気52bの第二部分51b)に導入する次亜塩素酸ガスの量を調整できる。この際、水供給装置100(加湿部126)と次亜塩素酸ガス供給装置4bとを独立して制御することによって、加湿量と次亜塩素酸ガスの量とが独立して調整されるので、空間浄化装置1において加湿量と次亜塩素酸ガスの量とを柔軟に調整することができる。
【0191】
以上、実施の形態3に係る空間浄化装置1bによれば、以下の効果を享受することができる。
【0192】
(1b)空間浄化装置1bでは、風路に流入した空気が流通するように設けられ、空気の温度を調整する温調部27と、温調部27を流通した温調空気49を加湿する加湿部126と、加湿部126を流通した加湿空気52bを対象空間Sに放出する送風機29と、加湿部126を流通した加湿空気52bの一部(第二部分51b)であり、対象空間Sに放出される前の空気を流通するように設けられ、次亜塩素酸水を用いて次亜塩素酸ガスを発生させる次亜塩素酸発生部9と、を備える。そして、次亜塩素酸発生部9を流通した次亜塩素酸ガスを含む空気(浄化空気53b)は、対象空間Sに放出される前の加湿空気52bの第一部分50bと混合されて、対象空間Sに放出されるようにした。
【0193】
こうした構成によれば、次亜塩素酸発生部9に導入する空気として、加湿空気52bの一部(第二部分51b)を導入するので、外気をそのまま導入する場合と比較して、導入する空気の温湿度のバラツキが抑えられ、次亜塩素酸ガスの発生量(付与量)を安定化させることができるとともに、温調空気49への加湿量とは関係なく次亜塩素酸ガスの発生量(付与量)を制御することができる。そして、この際、次亜塩素酸発生部9には、乾燥空気(加湿する前の空気)を導入する場合と比較して加湿されにくい加湿空気52bが導入されるため、次亜塩素酸発生部9によって変化しうる湿度の影響を緩和させることができる。つまり、従来の構成では難しかった空間浄化装置1bにおいて、加湿量と次亜塩素酸ガスの量とを柔軟に調整することが可能な空間浄化装置1bとすることができる。
【0194】
加えて、次亜塩素酸ガスを加湿後に混合するため、それ以降、空気条件を変える必要が無い。したがって、対象空間Sが複数となる場合には、分岐後の特定の風路にのみ、次亜
塩素酸ガスを導入させることもできる。そのため、汚れやすい空間のみを選択的に除菌するなど、次亜塩素酸ガスを効率的に使用する空間浄化装置1bとすることができる。
【0195】
(2b)空間浄化装置1bでは、次亜塩素酸発生部9と加湿部126の動作を制御する統合制御部111を備え、統合制御部111は、次亜塩素酸ガス供給装置4bを制御することによって、対象空間Sに放出する加湿空気52bに含ませる次亜塩素酸ガスの量を調整し、統合制御部111は、温調部27及び加湿部126を制御することによって、対象空間Sに放出する加湿空気52bに含ませる加湿量を調整するようにした。このようにすることで、次亜塩素酸ガスの量の調整と、加湿量の調整を独立して行うことができる。そのため、空間浄化装置1bにおいて加湿量と次亜塩素酸ガスの量とをさらに柔軟に調整することができる。
【0196】
(3b)空間浄化装置1bでは、加湿空気52bの一部である第二部分51bの風量(流量)は、加湿空気52bの一部以外である第一部分50b流量よりも少なくした。これにより、次亜塩素酸発生部9を通過した空気(浄化空気53b)と温調及び加湿した空気(加湿空気52bの第一部分50b)とを混合した際に、成り行きで温度が変化する可能性のある次亜塩素酸発生部9を通過した空気が相対的に少ないので、混合に伴う温湿度の変化をより抑えることができる。そのため、空間浄化装置1bにおいて加湿量と次亜塩素酸ガスの量とをさらに柔軟に調整することができる。
【0197】
(4b)空間浄化装置1bでは、次亜塩素酸発生部9は、流通する温調された加湿空気52bの第二部分51bを気泡として次亜塩素酸水中に放出して次亜塩素酸ガスを発生させるようにした。このようにすることで、次亜塩素酸発生部9を通過した空気に対して、より多くの次亜塩素酸ガスを含ませることができる。そのため、空間浄化装置1bにおいて速やかに除菌効果を得ることができる。
【0198】
(5)空間浄化装置1bでは、次亜塩素酸供給口28の位置を送風機29の後段に設置するようにした。このようにすることで、混合空気54bにふくまれる次亜塩素酸ガスが、送風機29を通過すること無く、対象空間Sに供給され、送風機29の通過時の次亜塩素酸ガスの減衰を無くすことができる。そのため、空間浄化装置1bにおいて速やかに除菌効果を得ることができる。
【0199】
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記の実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
【0200】
実施の形態における空間浄化装置1では、導入空気48を対象空間Sからの循環空気としたが、これに限らない。例えば、対象空間S外の外気あるいは外気及び対象空間Sからの循環空気が混合されたものであってもよく、その条件を制限するものでは無い。
【0201】
また、実施の形態における空間浄化装置1では、第一部分50及び第二部分51の風量(流量)、並びに、第一部分50と第二部分51との間の風量比は、対象空間Sあるいは対象空間Sの換気条件によって異なるものであり、その出力の値を制限するものでは無い。
【0202】
また、実施の形態における空間浄化装置1では、次亜塩素酸水供給装置2を、次亜塩素酸水タンク11に貯留した次亜塩素酸水を供給する構成としたが、これに限らない。例えば、次亜塩素酸水供給装置2を、次亜塩素酸発生部9内において電気分解を行って次亜塩素酸水を生成する電極ユニットとしてもよい。より詳細には、電極ユニットに通電することで、次亜塩素酸発生部9内の水または塩水を電気分解して次亜塩素酸水を生成するよう
にして、次亜塩素酸発生部9内の次亜塩素酸水濃度を設定された濃度に高める構成としてもよい。この場合、次亜塩素酸水供給装置2は、次亜塩素酸発生部9内の次亜塩素酸濃度を調節する機能を有すれば、その構成を制限するものでは無い。
【産業上の利用可能性】
【0203】
本発明に係る空間浄化装置は、次亜塩素酸発生部を流通する空気に次亜塩素酸を含ませ、加湿部を流通する空気の加湿を行う場合に、空間浄化装置において加湿量と次亜塩素酸ガスの量とを柔軟に調整することが可能な構成となっており、対象空間の加湿、及び、対象空間を除菌又は殺菌するシステムとして有用である。
【符号の説明】
【0204】
1 空間浄化装置
1a 空間浄化装置
1b 空間浄化装置
2 次亜塩素酸水供給装置
3 次亜塩素酸制御部
4 次亜塩素酸ガス供給装置
4a 次亜塩素酸ガス供給装置
4b 次亜塩素酸ガス供給装置
5 送風ポンプ
6 吸込風路
6b 吸込風路
7 供給風路
7a 供給風路
8 送水管
9 次亜塩素酸発生部
10 次亜塩素酸水ポンプ
11 次亜塩素酸水タンク
20 空気調和装置
20a 空気調和装置
20b 空気調和装置
21 送風制御部
22 還気ダクト
23 フィルタ
24 空気冷却器
25 空気加熱器
26 吸込口
26b 吸込口
27 温調部
28 次亜塩素酸供給口
28a 次亜塩素酸供給口
29 送風機
30 給気ダクト
31 ドレンパン
32 排水流路
33 熱源装置
34 流路
35 流路
36 流路
37 流路
40 温湿度センサ
41 操作部
48 導入空気
48a 導入空気
49 温調空気
50 第一部分
50b 第一部分
51 第二部分
51b 第二部分
52 加湿空気
52a 加湿空気
52b 加湿空気
53 浄化空気
53a 浄化空気
53b 浄化空気
54 混合空気
54a 混合空気
54b 混合空気
100 水供給装置
103 加湿制御部
104 水供給部
105 水道管
106 水道弁
111 統合制御部
126 加湿部