(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104760
(43)【公開日】2024-08-06
(54)【発明の名称】無線通信システム
(51)【国際特許分類】
H04W 24/08 20090101AFI20240730BHJP
H04W 88/18 20090101ALI20240730BHJP
H04B 17/18 20150101ALI20240730BHJP
H04B 17/29 20150101ALI20240730BHJP
H04B 17/23 20150101ALI20240730BHJP
【FI】
H04W24/08
H04W88/18
H04B17/18
H04B17/29 300
H04B17/23
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023009094
(22)【出願日】2023-01-25
(71)【出願人】
【識別番号】000001122
【氏名又は名称】株式会社日立国際電気
(74)【代理人】
【識別番号】100097113
【弁理士】
【氏名又は名称】堀 城之
(74)【代理人】
【識別番号】100162363
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 幸彦
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 謙太
(72)【発明者】
【氏名】上田 広司
(72)【発明者】
【氏名】下条 忍
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA33
5K067DD42
5K067EE02
5K067EE10
5K067EE16
5K067FF18
5K067FF23
5K067LL01
(57)【要約】
【課題】現在発生している異常や近い将来発生する蓋然性の高い異常をユーザが容易に認識することができる無線通信システムを得る。
【解決手段】システム状態監視部311は、基地局10の動作に関連した基地局状態情報を、管理監視制御装置50に送信する。回線制御装置30自身の各種の基板の状態や設定情報等、これらの動作に関連した回線制御装置状態情報も基地局状態情報と同様に認識する自己状態監視部313が設けられ、この情報も管理監視制御装置50に送信される。基地局状態情報は、現在における基地局10の異常、老朽化の有無、あるいは近い将来における基地局10の異常の発生の有無、についての判定のために用いられる。回線制御装置状態情報は、現在における回線制御装置30内の各基板の異常、老朽化の有無等についての判定のために用いられる。管理監視制御装置50には、上記のような判定を行う解析部613が設けられる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線端末と、当該無線端末と無線通信する複数の基地局と、複数の前記基地局と接続され前記無線通信の回線制御を行う回線制御装置と、当該回線制御装置と接続されシステム全体の管理・監視・制御を行う管理監視制御装置と、を具備する無線通信システムであって、
前記回線制御装置は、複数の時点において、自身における複数のユニットの動作の状況に対応した情報である回線制御装置状態情報と、前記基地局の動作の状況に対応した情報である基地局状態情報とを前記管理監視制御装置に送信し、
前記管理監視制御装置は、
複数の時点における前記回線制御装置状態情報と前記基地局状態情報を記憶する記憶部を有するサーバ部と、
記憶された前記回線制御装置状態情報と前記基地局状態情報とを表示させるクライアント部と、
が接続されて構成されたことを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
前記サーバ部は、前記回線制御装置状態情報に基づき前記ユニットにおける異常の有無、又は前記基地局状態情報に基づき前記基地局における異常、老朽化の有無、又は将来における異常の発生の蓋然性、を判定する解析部を具備し、
前記クライアント部は、前記解析部による判定結果を表示させることを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記サーバ部は、状態を確認するための確認用動作を行わせる指令を前記回線制御装置における複数の前記ユニットの各々、及び複数の前記基地局の各々に送信し、当該指令を発した後に前記確認用動作が行われるまでの応答時間を認識し、当該応答時間が前記回線制御装置状態情報及び前記基地局状態情報に含まれ、
前記解析部は、対応して認識された前記応答時間が長い場合に、複数の前記ユニットの各々、複数の前記基地局の各々において異常があると判定することを特徴とする請求項2に記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記回線制御装置における複数の前記ユニットの各々において発生した障害に関する情報が前記回線制御装置状態情報に、複数の前記基地局の各々において発生した障害に関する情報が前記基地局状態情報に、それぞれ含まれ、
前記解析部は、一定期間内における前記障害の発生回数が多い場合に、複数の前記ユニットの各々、複数の前記基地局の各々において老朽化が発生していると判定することを特徴とする請求項2に記載の無線通信システム。
【請求項5】
複数の前記基地局における前記無線通信の状態として、無線電波の信号強度、又はビット誤り率が通信状態パラメータとして前記基地局状態情報に含まれ、
前記解析部は、前記通信状態パラメータの経時変化を外挿して将来における前記通信状態パラメータを予測して前記基地局における将来における異常の発生の蓋然性を判定することを特徴とする請求項2に記載の無線通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末と無線通信する複数の基地局、複数の前記基地局と接続されて回線制御を行う回線制御装置、及び前記回線制御装置と接続されてシステム全体の管理・監視を行う管理監視制御装置を具備する無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
端末(移動局)と複数の基地局との間で無線通信が行われる無線通信システムにおいては、通信が安定して継続的に行われることが要求される。このため、回線制御を行うための回線制御装置と、システム全体の管理・監視・制御を行う管理監視制御装置が用いられる。ここで、端末と基地局とは無線通信によって接続されるが、基地局と回線制御装置、管理監視制御装置と回線制御装置との間は有線伝送路によって接続される。回線制御装置は、ある端末からの通信が安定して継続的に行われるように、例えば複数の基地局のうちの一つを選択し、この基地局とこの端末との間の回線を確立させる動作を行う。このような無線通信システムの構成は、例えば特許文献1に記載されている。
【0003】
特許文献1に記載の技術においては、特に基地局がユーザリソースの状態を管理することによって、安定した動作を行わせることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術においては、現時点のユーザリソースの状態(正常動作が可能であるか否か)がモニターされ、これに応じたシステム全体の管理が行われることにより、現時点において安定した動作を行わせることができる。一方、例えば、現在発生している異常や近い将来発生する蓋然性の高い異常をユーザが容易に認識できれば、無線通信システムをより安定した状態で使用することができるため、このような無線通信システムが求められた。
【0006】
本発明は、このような状況に鑑みなされたもので、上記課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の無線通信システムは、無線端末と、当該無線端末と無線通信する複数の基地局と、複数の前記基地局と接続され前記無線通信の回線制御を行う回線制御装置と、当該回線制御装置と接続されシステム全体の管理・監視・制御を行う管理監視制御装置と、を具備する無線通信システムであって、前記回線制御装置は、複数の時点において、自身における複数のユニットの動作の状況に対応した情報である回線制御装置状態情報と、前記基地局の動作の状況に対応した情報である基地局状態情報とを前記管理監視制御装置に送信し、前記管理監視制御装置は、複数の時点における前記回線制御装置状態情報と前記基地局状態情報を記憶する記憶部を有するサーバ部と、記憶された前記回線制御装置状態情報と前記基地局状態情報とを表示させるクライアント部と、が接続されて構成される。
この際、前記サーバ部は、前記回線制御装置状態情報に基づき前記ユニットにおける異常の有無、又は前記基地局状態情報に基づき前記基地局における異常、老朽化の有無、又は将来における異常の発生の蓋然性、を判定する解析部を具備し、前記クライアント部は、前記解析部による判定結果を表示させてもよい。
また、前記サーバ部は、状態を確認するための確認用動作を行わせる指令を前記回線制御装置における複数の前記ユニットの各々、及び複数の前記基地局の各々に送信し、当該指令を発した後に前記確認用動作が行われるまでの応答時間を認識し、当該応答時間が前記回線制御装置状態情報及び前記基地局状態情報に含まれ、前記解析部は、対応して認識された前記応答時間が長い場合に、複数の前記ユニットの各々、複数の前記基地局の各々において異常があると判定してもよい。
また、前記回線制御装置における複数の前記ユニットの各々において発生した障害に関する情報が前記回線制御装置状態情報に、複数の前記基地局の各々において発生した障害に関する情報が前記基地局状態情報に、それぞれ含まれ、前記解析部は、一定期間内における前記障害の発生回数が多い場合に、複数の前記ユニットの各々、複数の前記基地局の各々において老朽化が発生していると判定してもよい。
また、複数の前記基地局における前記無線通信の状態として、無線電波の信号強度、又はビット誤り率が通信状態パラメータとして前記基地局状態情報に含まれ、前記解析部は、前記通信状態パラメータの経時変化を外挿して将来における前記通信状態パラメータを予測して前記基地局における将来における異常の発生の蓋然性を判定してもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、現在発生している異常や近い将来発生する蓋然性の高い異常をユーザが容易に認識することができる無線通信システムを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態に係る無線通信システムの構成を示す図である。
【
図2】実施の形態に係る無線通信システムにおける回線制御装置、管理監視制御装置等の構成を示す図である。
【
図3】実施の形態に係る無線通信システムにおいて解析の対象となる無線電波強度の経時変化の例を示す図である。、
【
図4】実施の形態に係る無線通信システムにおいて解析の対象となるビット誤り率の経時変化の例を示す図である。、
【0010】
次に、本発明を実施するための形態となる無線通信システムについて説明する。
図1は、この無線通信システム1全体の構成を示す図である。ここで、基地局10は複数設けられ、各々が地上における各地点で固定された複数の基地局10は、無線端末20と無線通信で接続される。無線端末20は移動することがあるため、一つの無線端末20が直接通信をする対象となる基地局10は無線端末20の位置に応じて変化する。回線制御装置30は各基地局10と前記の無線通信とは異なる手法(例えば光ファイバーを介したネットワーク)で各基地局10と接続されることによって、上記の無線通信回線を制御する。また、回線制御装置30は、自身に接続された通信卓40と各基地局10(あるいは各無線端末20)との間の通信も行わせることができる。
【0011】
また、上記の動作を行わせるに際し、回線制御装置30は、通信の状況の変化(例えば通話の開始/終了や障害の発生/復旧等)を認識することができる。このため、このような状況の変化があった場合には、その旨あるいはこれに関する情報を、回線制御装置30に接続された管理監視制御装置50に通知する。これによって、管理監視制御装置50はこの無線通信システム1全体の管理を行う。また、後述するように、管理監視制御装置50は、主たる動作を行うサーバ部と、複数が分散してユーザ側に設けられたクライアント部とを具備し、無線通信に関わる情報はクライアント部で表示させることができる。
【0012】
この際、管理監視制御装置50においては、回線制御装置30における複数の基板(ユニット)の動作の状況に対応した情報である回線制御装置状態情報と、各基地局10の動作の状況に対応した情報である基地局状態情報とが、複数の時点において記憶される。これらの情報はクライアント部でユーザに対して表示されると共に、管理監視制御装置50は、これらの情報に基づき、回線制御装置30の各ユニットにおける異常の有無、基地局10における異常、老朽化の有無、将来における異常の発生の蓋然性、を判定する。この判定結果もクライアント部で表示させることができる。
【0013】
図2は、
図1における基地局10、回線制御装置30、管理監視制御装置50等の接続、構成をより詳細に示す図である。ここでは、管理監視制御装置50は、サーバ部60と、ネットワークを介してサーバ部60と接続された複数のクライアント部70に大別され、実際に一体化された装置とはなっていない。ただし、同様の動作が行われれば、これらが一体化されていてもよい。
【0014】
回線制御装置30には、回線制御装置30全体の動作の制御を行う全体制御部(回線制御装置全体制御部)31、複数の基地局10側との間で通信を行うための基地局通信部32、管理監視制御装置50側との間で通信を行うための管理監視制御装置通信部33、制御を行うにあたり必要なデータを記憶する不揮発性メモリ等である記憶部34が設けられる。また、全体制御部31には通信卓40とも接続され、通信卓40からの制御による動作(例えば通信卓40から基地局10側への通信)も行わせる。
【0015】
全体制御部31においては、基地局通信部32を介して、特に各基地局10と各無線端末20との間の通信の際の各基地局10の状態、各種の設定情報(あるいはこの状態や設定情報の変化があった場合におけるその旨)を認識するシステム状態監視部311が設けられる。これらの情報は記憶部34に記憶される。全体制御部31における回線制御部312は、例えばある一つの無線端末20からの発信があった場合において、この通信の際に使用する基地局10を定め、この基地局10とこの無線端末20との間の通信が良好に行われるように回線を制御する。また、システム状態監視部311は、このように各基地局10側から入手した基地局10の動作に関連した情報(基地局状態情報)を、管理監視制御装置通信部33を介して管理監視制御装置50に送信する。
【0016】
また、全体制御部31においては、回線制御装置30自身の各種の基板(ユニット)の状態や設定情報等、これらの動作に関連した情報(回線制御装置状態情報)も前記の基地局状態情報と同様に認識する自己状態監視部313が設けられ、自己状態監視部313は、この情報も管理監視制御装置通信部33を介して管理監視制御装置50に送信する。
【0017】
ここで、基地局状態情報は、現在における基地局10の異常、老朽化の有無、あるいは近い将来における基地局10の異常の発生の有無、について、管理監視制御装置50によって行われる判定のために用いられる。このような情報としては、具体的には、後述するように、確認用の動作を行わせる際の応答時間や、過去(複数の時点)において発生した障害に関する情報、無線端末20との間の無線通信の際の特性値(通信状態パラメータ)等が含まれる。このような特性値としては、基地局10から発せられる無線電波の強度(電界強度)や、BER(Bit Error Rate:ビット誤り率)がある。
【0018】
回線制御装置状態情報は、現在における回線制御装置30内の各基板(ユニット)の異常、老朽化の有無等について、管理監視制御装置50によって行われる判定のために用いられる。このような情報としても、基地局状態情報と同様の、確認用の動作を行わせる際の応答時間や、過去(複数の時点)において発生した障害に関する情報等がある。
【0019】
管理監視制御装置50(サーバ部60)には、管理監視制御装置50全体の動作の制御を行う全体制御部(管理監視制御装置全体制御部)61、回線制御装置30との間で通信を行うための回線制御装置通信部62、ネットワークを介してクライアント部70との間を接続するネットワーク通信部63、前記のように回線制御装置30側から入手した回線制御装置状態情報、基地局状態情報等を記憶するハードディスク等である記憶部(データベース)64が設けられる。全体制御部61における情報収集部611は、これらの情報を回線制御装置30側から入手し、記憶部64に記憶させる。
【0020】
システム管理部612は、これらの情報を全て認識して、無線通信システム1全体の管理を行うことができる。また、これらの情報を、ネットワーク通信部63を介して各クライアント部70側に送信し、各クライアント部70側でこれらの情報を表示させることもできる。このような情報の表示は、実質的にリアルタイムで行わせることができる。
【0021】
また、全体制御部61には、上記のような各種の情報等に基づき、上記のような判定を行う解析部613が設けられる。解析部613は、システム管理部612と協働して、この解析を行う。この解析に用いられるために記憶部64に記憶される基地局状態情報、回線制御装置状態情報は、発生した障害の内容以外については、定期的(例えば1日1回)に取得することができ、発生した障害の内容については、障害が発生した度に、記憶される。この解析の動作の例について以下に説明する。
【0022】
このような動作として、まず、現時点における無線通信システム1における装置の性能劣化についての検出をする第1の動作がある。このためには、例えば、システム管理部612は、回線制御装置30を介して各基地局10に対して、確認用の動作(確認用動作)を行わせる旨の指令を発する。この確認用の動作は、例えば、予め定められた内容の信号を回線制御装置30側に発する等、適宜設定される。
【0023】
また、システム管理部612は、回線制御装置30自身にも、同様の確認用の動作を行わせる旨の指令を発する。この場合には、この指令(確認用の動作)は、システム状態監視部311を介して回線制御装置30の基板(ユニット)毎に行わせることができる。すなわち、この動作においては、各基地局10と、回線制御装置30の各基板(各ユニット)を、劣化を判断する対象とすることができる。
【0024】
システム管理部612は、これらの指令を発した後に、この指令を発した先が確認用の動作を行ったことを確認した旨を回線制御装置30側から入手し、指令が発されてからこの動作が行われたまでの時間(応答時間)を認識する。この応答時間は、基地局状態情報、回線制御装置状態情報の一部として、この指令を発した先毎に記憶部64に記憶される。この動作は適宜、例えば一定間隔で行わせることができる。
【0025】
解析部613は、この応答時間を、この指令を発した対象(各基地局10、回線制御装置30内の各基板)における異常(劣化)の有無の指標とすることができる。すなわち、この応答時間がある一定値を超えた場合や、過去の結果との比較により、この応答時間が長くなったと認識された場合には、この対象に劣化があると推定することができる。この場合、システム管理部612は、その旨を、ネットワーク通信部63を介して各クライアント部70側に送信し、各クライアント部70側でこの旨を表示させる。これにより、ユーザは、この無線通信システム1におけるどの部分に劣化が発生したかを認識することができる。
【0026】
上記の第1の動作においては、現在(ある時点)における各部分の劣化の有無が認識された。これに対して、第2の動作は、第1の動作によって得られたデータ等を用いて、老朽化の進行度を推定する。ここでは、記憶部64に記憶された基地局状態情報、回線制御装置状態情報において記録された、過去に発生した障害の内容が考慮される。この障害も、第1の動作における場合と同様に、各基地局10、回線制御装置30内の基板毎に認識することができる。このように記録される障害には、第1の動作によって劣化が発生した場合を含めてもよい。
【0027】
この動作におけるこのような推定の対象は、第1の動作における対象と同様とすることができる。この場合、解析部613は、この対象毎に、記憶部64に記憶されたデータより、一定期間内において発生した障害の回数を認識する。このように認識された障害の回数が特に多かった対象は、第1の動作によってその時点では劣化がないと認識された場合でも、その後に再び障害が発生する蓋然性が高いと推定される。この場合、システム管理部612は、その旨を、ネットワーク通信部63を介して各クライアント部70側に送信し、各クライアント部70側でこの旨を表示させる。これにより、ユーザは、この無線通信システム1において、どの部分に障害が発生する蓋然性が高いかを認識することができる。
【0028】
第1の動作、第2の動作においては、回線制御装置30、基地局10の装置単体としての特性が評価された結果に応じて、現時点における異常(劣化)の有無が判定された。これに対し、第3の動作においては、基地局10と無線端末20との間で実際に行われた無線通信の状況に関する測定結果を用いて、近い将来において異常が発生する蓋然性、あるいは異常が発生する時期の予測が行われる。ここで使用されるのは、過去(複数の時点)における前記の通信状態パラメータであり、これは、記憶部64に記憶された基地局状態情報に含まれる。通信状態パラメータは、例えば一定周期で取得され、記憶部64に記憶されるものとする。
【0029】
例えば、解析部613は、記憶部64に記憶された基地局状態情報から、各基地局10における無線電波の強度の時間経過を、
図3に示されるように認識することができる。この場合、無線電波の強度(任意単位)が時間経過に従って低下していることが認められる。ここで実測されたのは図示された5点のみであるが、解析部613は、この特性を外挿して、例えば無線電波の強度が5以下となる場合を異常と推定することができる。この外挿は、例えばこの5つの測定点を直線、2次曲線等でフィッティングすることによって行うことができ、この場合には2022年7月初旬にこのような異常な状態になると推定される。
【0030】
同様に、
図4は、BER(任意単位)の時間経過を示す例である。ここでは、BERは時間経過に従って上昇している。解析部613は、この特性を外挿して、BERが25以上となる場合を異常と推定することができ、この場合には2022年8月位にこのような異常な状態になると推定される。なお、
図3、4の特性においては、特性に応じ、縦軸、横軸を適宜対数表示とした特性に対して同様のフィッティングを行ってもよい。
【0031】
通信状態パラメータとして、無線電波の強度、BER以外のものを適宜用いてもよい。この場合における異常の有無に対応した閾値は、その種類に応じて適宜設定することができる。また、複数種類の通信状態パラメータを設定し、その各々に対する判定条件を組み合わせて異常の有無を判定する指標とすることもできる。例えば、
図3、
図4の結果を共に用いて、無線電波の強度が5以下でありかつBERが25異常となった場合が異常であると判定してもよい。
【0032】
以上、本発明を、実施形態をもとに説明した。この実施形態は例示であり、それらの各構成要素の組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【符号の説明】
【0033】
1 無線通信システム
10 基地局
20 無線端末
30 回線制御装置
31 全体制御部(回線制御装置全体制御部)
32 基地局通信部
33 管理監視制御装置通信部
34 記憶部
40 通信卓
50 管理監視制御装置
60 サーバ部
61 全体制御部(管理監視制御装置全体制御部)
62 回線制御装置通信部
63 ネットワーク通信部
64 記憶部(データベース)
70 クライアント部
311 システム状態管理部
312 回線制御部
313 自己状態監視部
611 情報収集部
612 システム管理部
613 解析部