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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104765
(43)【公開日】2024-08-06
(54)【発明の名称】ステータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 11/20 20160101AFI20240730BHJP
【FI】
H02K11/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023009104
(22)【出願日】2023-01-25
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石原 幹三
【テーマコード(参考)】
5H611
【Fターム(参考)】
5H611AA01
5H611PP02
5H611QQ05
5H611QQ06
5H611RR02
5H611RR03
5H611UA03
(57)【要約】
【課題】モータの小型化をしつつ、モータの回路の状態を良好に把握する。
【解決手段】ステータ10は、ステータコア21と、ステータコア21に取り付けられるコイル21B,21C,21Dと、コイル21B,21C,21Dを流れる電流に起因して生じる磁気に応じた検出信号を出力する複数の磁気センサ31Cと、を備えている。磁気センサ31Cは、ステータコア21に取り付けられる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータコアと、
前記ステータコアに取り付けられるコイルと、
前記コイルを流れる電流に起因して生じる磁気に応じた検出信号を出力する磁気センサと、
を備え、
前記磁気センサは、前記ステータコアに取り付けられる、ステータ。
【請求項2】
前記コイルは、複数相設けられ、
複数相の前記コイルは、各々が複数のコイル部を有し、
更に、各前記コイルにおける複数の前記コイル部の接続状態を切り替える切替部を備え、
前記磁気センサは、前記コイル部を流れる電流に起因して生じる磁気に応じた前記検出信号を出力する、請求項1に記載のステータ。
【請求項3】
各前記コイルにおける複数の前記コイル部の各々は、前記接続状態に関わらず電流が流れる第1コイル部と、前記接続状態に応じて電流が流れる通電状態と電流が流れない非通電状態と、に切り替わる第2コイル部と、を有し、
前記磁気センサは、前記第2コイル部を流れる電流に起因して生じる磁気に応じた前記検出信号を出力する、請求項2に記載のステータ。
【請求項4】
前記ステータコアは、
環状のヨーク部と、
前記ヨーク部の内周縁部及び外周縁部のいずれか一方から前記ヨーク部の径方向に突出した形態をなし、前記一方に前記ヨーク部の軸線周りに並んで配置される複数のティース部と、を有し、
前記第1コイル部及び前記第2コイル部は、互いに異なる前記ティース部に巻回される構成をなす、請求項3に記載のステータ。
【請求項5】
前記検出信号が印加される出力線と、
前記出力線が接続され、前記切替部が取り付けられる回路基板と、を備え、
前記磁気センサは、前記出力線を介して前記回路基板に接続される、請求項2から請求項4のいずれか一項に記載のステータ。
【請求項6】
前記ステータコアの表面には、凹部が形成されており、
前記磁気センサの少なくとも一部が、前記凹部に収容されている、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のステータ。
【請求項7】
前記ステータコアは、
環状のヨーク部と、
前記ヨーク部の内周縁部及び外周縁部のいずれか一方から前記ヨーク部の径方向に突出した形態をなし、前記一方に前記ヨーク部の軸線周りに並んで配置される複数のティース部と、を有し、
前記凹部は、前記内周縁部及び前記外周縁部のいずれか他方に形成され、前記ステータコアの軸線方向に沿って延びる溝状をなしている、請求項6に記載のステータ。
【請求項8】
前記ステータコアは、
環状のヨーク部と、
前記ヨーク部の内周縁部及び外周縁部のいずれか一方から前記ヨーク部の径方向に突出した形態をなし、前記一方に前記ヨーク部の軸線周りに並んで配置される複数のティース部と、を有し、
前記コイルは、各前記ティース部に巻回される巻線部を有し、
前記磁気センサは、検出対象の前記巻線部の軸線方向と直交する平面方向において、前記巻線部の内周部よりも内側に配置される、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のステータ。
【請求項9】
前記ステータコアは、
環状のヨーク部と、
前記ヨーク部の内周縁部から前記ヨーク部の軸線に向けて突出した形態をなし、前記内周縁部に前記ヨーク部の軸線周りに並んで配置される複数のティース部と、を有し、
前記磁気センサは、前記ヨーク部の外周縁部に取り付けられる、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のステータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ステータに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、巻線切替装置によって三相交流電動機の巻線の結線状態を巻線並列と、巻線直列と、に切り替える構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-162195号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の巻線切替装置は、巻線切替装置の可動部が変位することによって導体部を変位させ、導体部に接触する電極を切り替える構成である。このような構成の場合、導体部の摩耗等によって、巻線切替装置の電気的特性が変化するおそれがある。このような変化を検知するためにモータ内に電流センサや電圧センサ等を設けることが考えられる。しかし、電流センサや電圧センサを設けてしまうとモータの外形が大きくなりがちになる。
【0005】
本開示は、モータの小型化をしつつ、モータの回路の状態を良好に把握し得るステータの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のステータは、
ステータコアと、
前記ステータコアに取り付けられるコイルと、
前記コイルを流れる電流に起因して生じる磁気に応じた検出信号を出力する磁気センサと、
を備え、
前記磁気センサは、前記ステータコアに取り付けられる。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、モータの小型化をしつつ、モータの回路の状態を良好に把握し得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態1のステータの分解斜視図である。
図2図2は、ステータの端面図である。
図3図3は、ステータの側面図である。
図4図4は、図3におけるA-A断面図である。
図5図5は、コイル部とリレースイッチとの接続の一例を示す回路図である。
図6図6は、他の実施形態におけるコイル部とリレースイッチとの接続の一例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下では、本開示の実施形態が列記されて例示される。なお、以下で例示される〔1〕から〔9〕の特徴は、矛盾しない範囲でどのように組み合わされてもよい。
【0010】
本開示のステータは、
〔1〕ステータコアと、
前記ステータコアに取り付けられるコイルと、
前記コイルを流れる電流に起因して生じる磁気に応じた検出信号を出力する磁気センサと、
を備え、
前記磁気センサは、前記ステータコアに取り付けられる。
【0011】
〔1〕のステータは、コイルに電流センサや電圧センサを取り付ける構成と比較して、コイルの大型化を抑えやすい。
【0012】
〔2〕上記〔1〕のステータにおいて、
前記コイルは、複数相設けられ、
複数相の前記コイルは、各々が複数のコイル部を有し、
更に、各前記コイルにおける複数の前記コイル部の接続状態を切り替える切替部を備え、
前記磁気センサは、前記コイル部を流れる電流に起因して生じる磁気に応じた前記検出信号を出力し得る。
【0013】
上記〔2〕のステータは、接続状態に応じて変化する電流を検出することができる。
【0014】
〔3〕上記〔2〕のステータにおいて、
各前記コイルにおける複数の前記コイル部の各々は、前記接続状態に関わらず電流が流れる第1コイル部と、前記接続状態に応じて電流が流れる通電状態と電流が流れない非通電状態と、に切り替わる第2コイル部と、を有し、
前記磁気センサは、前記第2コイル部を流れる電流に起因して生じる磁気に応じた前記検出信号を出力し得る。
【0015】
上記〔3〕のステータは、検出信号に基づいて接続状態の切り替わりをより把握しやすい。
【0016】
〔4〕上記〔3〕のステータにおいて、
前記ステータコアは、
環状のヨーク部と、
前記ヨーク部の内周縁部及び外周縁部のいずれか一方から前記ヨーク部の径方向に突出した形態をなし、前記一方に前記ヨーク部の軸線周りに並んで配置される複数のティース部と、を有し、
前記第1コイル部及び前記第2コイル部は、互いに異なる前記ティース部に巻回される構成をなし得る。
【0017】
上記〔4〕のステータは、第2コイル部を流れる電流のみを検出しやすい。
【0018】
〔5〕上記〔2〕から〔4〕のいずれかのステータは、
前記検出信号が印加される出力線と、
前記出力線が接続され、前記切替部が取り付けられる回路基板と、を備え、
前記磁気センサは、前記出力線を介して前記回路基板に接続され得る。
【0019】
上記〔5〕のステータは、配線を簡素化し易い。
【0020】
〔6〕上記〔1〕から〔4〕のいずれかのステータにおいて、
前記ステータコアの表面には、凹部が形成されており、
前記磁気センサの少なくとも一部が、前記凹部に収容され得る。
【0021】
上記〔6〕のステータは、より小型化しやすい。
【0022】
〔7〕上記〔6〕のステータにおいて、
前記ステータコアは、
環状のヨーク部と、
前記ヨーク部の内周縁部及び外周縁部のいずれか一方から前記ヨーク部の径方向に突出した形態をなし、前記一方に前記ヨーク部の軸線周りに並んで配置される複数のティース部と、を有し、
前記凹部は、前記内周縁部及び前記外周縁部のいずれか他方に形成され、前記ステータコアの軸線方向に沿って延びる溝状をなし得る。
【0023】
上記〔7〕のステータは、軸線方向のガイドとして機能する溝状の凹部を利用して、磁気センサの収容スペースを確保することができる。
【0024】
〔8〕上記〔1〕から〔4〕のいずれかのステータにおいて、
前記ステータコアは、
環状のヨーク部と、
前記ヨーク部の内周縁部及び外周縁部のいずれか一方から前記ヨーク部の径方向に突出した形態をなし、前記一方に前記ヨーク部の軸線周りに並んで配置される複数のティース部と、を有し、
前記コイルは、各前記ティース部に巻回される巻線部を有し、
前記磁気センサは、検出対象の前記巻線部の軸線方向と直交する平面方向において、前記巻線部の内周部よりも内側に配置され得る。
【0025】
上記〔8〕のステータは、検出対象の巻線部を流れる電流に起因して生じる磁気を検出しやすい。
【0026】
〔9〕上記〔1〕から〔4〕のいずれかのステータにおいて、
前記ステータコアは、
環状のヨーク部と、
前記ヨーク部の内周縁部から前記ヨーク部の軸線に向けて突出した形態をなし、前記内周縁部に前記ヨーク部の軸線周りに並んで配置される複数のティース部と、を有し、
前記磁気センサは、前記ヨーク部の外周縁部に取り付けられ得る。
【0027】
上記〔9〕のステータは、磁気センサを取り付けやすい。
【0028】
<実施形態1>
[モータの構成]
実施形態1のステータ10が用いられるモータは、多相交流電源を利用する多相モータである。ステータ10は、図1に示すように、ステータコア21と、複数のコイル21B,21C,21Dと、回路基板31Aと、切替部31と、複数の磁気センサ31Cと、を備えている。
【0029】
[ステータコアの構成]
図4に示すように、ステータコア21は、円環状をなしたヨーク部21Eと、複数のティース部21Fを有している。ヨーク部21E、及びティース部21Fは、一体的に形成されている。ヨーク部21E、及びティース部21Fは、導電性を有する金属製である。ティース部21Fは、ヨーク部21Eの内周縁部からヨーク部21Eの軸線に向けて突出した形態をなしている。複数のティース部21Fは、ヨーク部21Eの内周縁部にヨーク部21Eの軸線周りに所定の間隔を空けて並んで配置されている。
【0030】
ステータコア21のヨーク部21Eの外周面(表面)には、複数の凹部21Gが形成されている。これら凹部21Gは、ヨーク部21Eの外周縁部に形成されている。凹部21Gは、ヨーク部21Eの軸線方向に沿って延び、ヨーク部21Eの軸線に向けて窪んだ溝状をなしている(図1参照)。各凹部21Gは、各ティース部21Fに対応して配置されている。具体的には、各凹部21Gは、各ティース部21Fに対し、ヨーク部21Eの軸線に直交する放射方向に並んで配置されている。
【0031】
[コイルの構成]
図2に示すように、複数のコイル21B,21C,21Dは、三相のセグメントコイルとして構成されている。コイル21B,21C,21Dは、所謂、集中巻の形態とされている。コイル21Bは、第1相(U相)に相当し、コイル21Cは、第2相(V相)に相当し、コイル21Dは、第3相(W相)に相当する。第1相(U相)のコイル21Bは、巻線部であるコイル部1U,3U,2U,4Uを有している。第2相(V相)のコイル21Cは、巻線部であるコイル部1V,3V,2V,4Vを有している。第3相(W相)のコイル21Dは、巻線部であるコイル部1W,3W,2W,4Wを有している。
【0032】
コイル部1U,3U,2U,4U,1V,3V,2V,4V,1W,3W,2W,4W(以下単に、コイル部群Cともいう)の各々は、自身を形成する電線がステータコア21のティース部21Fに1つずつ螺旋状(コイル状)に巻回されている。コイル部群Cは、ヨーク部21Eの内周に沿って円環状に並んで配置されている。コイル部群Cは、各々の巻回方向に直交する軸線をステータコア21の中心線に直交する向きにして配置されている。
【0033】
各コイル部1U,3U,2U,4U,1V,3V,2V,4V,1W,3W,2W,4Wは、一対の端末部Tを有している。各端末部Tは、ヨーク部21Eの軸線方向の一方側に引き出されている(図1参照)。
【0034】
[回路基板の構成]
回路基板31Aは、例えば、ガラスエポキシ樹脂等で形成されている。図1に示すように、回路基板31Aは、円環状をなしている。回路基板31Aの一方の板面P1、及び他方の板面P2には、導電性を有した回路パターン(図示せず)が形成されている。回路基板31Aは、一方の板面P1を端末部Tが引き出された側のステータコア21の端面に対向させて配置される。
【0035】
[切替部の構成]
切替部31は、複数のリレースイッチ31Bによって構成されている。複数のリレースイッチ31Bは、半導体リレーとして構成される。半導体リレーは、例えば、MOSFET、GaNFET、IGBT、バイポーラトランジスタ等によって構成される。各リレースイッチ31Bは、制御装置(図示せず)からの制御信号によるオン指示又はオフ指示によってオン状態とオフ状態とに切り替えられる構成とされている。各リレースイッチ31Bは、制御装置からのオン指示によって、自身を介した通電を許容するオン状態となり、制御装置からのオフ指示によって、自身を介した通電を遮断するオフ状態となる。
【0036】
各リレースイッチ31Bは、例えば、回路基板31Aの一方の板面P1に形成された回路パターンに対して半田によって固定される。こうして、回路基板31Aには、切替部31が取り付けられる。各リレースイッチ31Bは、回路基板31Aとステータコア21との間に配置される(図3参照)。
【0037】
[コイル部と切替部との接続の構成]
各端末部Tは、例えば、回路基板31Aの一方の板面P1に形成された回路パターンに対して半田によって固定される(図3参照)。コイル部群Cと各リレースイッチ31Bとは、回路基板31Aを介して、例えば、図5に示すような構成をなして電気的に接続される。具体的には、複数のコイル21B,21C,21Dは、中性部Nから放射状に連なるように電気的に接続されている。
【0038】
本開示において、「電気的に接続される」とは、接続対象の両方の電位が等しくなるように互いに導通した状態(電流を流せる状態)で接続される構成であることが望ましい。ただし、この構成に限定されない。例えば、「電気的に接続される」とは、両接続対象の間に電気部品が介在しつつ両接続対象が導通し得る状態で接続された構成であってもよい。
【0039】
コイル21Bは、コイル部1U,3Uが電気的に直列に接続された第1コイル部C1と、コイル部2U,4Uが電気的に直列に接続された第2コイル部C2と、に2つのリレースイッチ31Bが電気的に接続されている。コイル21Bにおいて、各リレースイッチ31Bは、第1コイル部C1の他端と第2コイル部C2の他端との間、及び第1コイル部C1の他端と第2コイル部C2の一端との間、に1つずつ設けられている。
【0040】
コイル21Cは、コイル部1V,3Vが電気的に直列に接続された第1コイル部C3と、コイル部2V,4Vが電気的に直列に接続された第2コイル部C4と、に2つのリレースイッチ31Bが電気的に接続されている。コイル21Cにおいて、各リレースイッチ31Bは、第1コイル部C3の他端と第2コイル部C4の他端との間、及び第1コイル部C3の他端と第2コイル部C4の一端との間、に1つずつ設けられている。
【0041】
コイル21Dは、コイル部1W,3Wが電気的に直列に接続された第1コイル部C5と、コイル部2W,4Wが電気的に直列に接続された第2コイル部C6と、に2つのリレースイッチ31Bが電気的に接続されている。コイル21Dにおいて、各リレースイッチ31Bは、第1コイル部C5の他端と第2コイル部C6の他端との間、及び第1コイル部C5の他端と第2コイル部C6の一端との間、に1つずつ設けられている。
【0042】
第1コイル部C1,C3,C5の一端は、図示しないインバータに電気的に接続されている。実施形態1においてリレースイッチ31Bは、各相に2個設けられる。このため、実施形態1では、合計で6個のリレースイッチ31Bが用いられる。各コイル部1U,3U,2U,4U,1V,3V,2V,4V,1W,3W,2W,4Wは、1つずつティース部21Fに巻回されている(図2参照)。従って、第1コイル部C1,C3,C5、及び第2コイル部C2,C4,C6は、互いに異なるティース部21Fに巻回されていることになる。
【0043】
例えば、図示しない制御装置によって、第1コイル部C1,C3,C5の他端と第2コイル部C2,C4,C6の他端との間のリレースイッチ31Bをオフ状態にする。これとともに、第1コイル部C1,C3,C5の他端と第2コイル部C2,C4,C6の一端との間のリレースイッチ31Bをオン状態にする。これによって、第1コイル部C1及び第2コイル部C2、第1コイル部C3及び第2コイル部C4、第1コイル部C5及び第2コイル部C6の各々を直列に接続することができる。
【0044】
これに対して、第1コイル部C1,C3,C5の他端と第2コイル部C2,C4,C6の他端との間のリレースイッチ31Bをオン状態にする。これとともに、第1コイル部C1,C3,C5の他端と第2コイル部C2,C4,C6の一端との間のリレースイッチ31Bをオフ状態にする。これによって、第1コイル部C1,C3,C5に電流が流れる状態にし、第2コイル部C2,C4,C6に電流が流れない状態にすることができる。このように、切替部31は、コイル21B,21C,21Dにおけるコイル部群Cの接続状態を切り替えることによってモータの特性を変化させることができる。第1コイル部C1,C3,C5は、接続状態に関わらず電流が流れる構成である。第2コイル部C2,C4,C6は、接続状態に応じて電流が流れる通電状態と、電流が流れない非通電状態とに切り替わる構成である。切替部31は、コイル21B,21C,21Dにおけるコイル部群Cの接続状態を切り替えることによって各コイル21B,21C,21Dにおける直列に接続する数を変更する。
【0045】
[磁気センサの構成]
磁気センサ31Cには、ホール素子や、磁気抵抗素子等の磁気検知素子が用いられる。磁気センサ31Cは、コイル21B,21C,21Dに流れる電流に起因して生じる磁気に応じた検出信号を出力し得る構成とされている。図1に示すように、各磁気センサ31Cは、一対の出力線31Dを介して、回路基板31Aに電気的に接続される。例えば、各出力線31Dの一方の端末部は、回路基板31Aに形成された貫通孔に挿通され、回路基板31Aの他方の板面P2に形成された回路パターンに対して半田によって固定される。磁気センサ31Cから出力された検出信号は、一対の出力線31Dに印加され、出力線31Dを介して、回路基板31Aに伝送される。
【0046】
図2に示すように、磁気センサ31Cは、ステータコア21のヨーク部21Eの外周縁部に取り付けられている。具体的には、各磁気センサ31Cは、第2コイル部C2,C4,C6が巻回されたティース部21Fに対応する凹部21Gに収容されている。第2コイル部C2,C4,C6は、磁気センサ31Cの検出対象である。実施形態1では、各磁気センサ31Cは、第2コイル部C2,C4,C6に含まれるコイル部2U,4V,2Wが巻回されたティース部21Fに対応する凹部21Gに収容される。
【0047】
各磁気センサ31Cは、検出対象となる第2コイル部C2,C4,C6の軸線方向と直交する平面方向において、第2コイル部C2,C4,C6の内周部よりも内側に配置される(図3参照)。図3には、第2コイル部C4の軸線方向と直交する平面方向において、第2コイル部C4の内周部よりも内側に磁気センサ31Cが配置された様子が表れている。これにより、各磁気センサ31Cは、第2コイル部C2,C4,C6を流れる電流に起因して生じる磁気を良好に検知し、検知した磁気に応じた検出信号を出力する。
【0048】
こうして形成されたステータ10は、図示しない円筒状のハウジングに対して同軸状の姿勢で収容される。ステータ10をハウジングに収容する際、ステータコア21は、モータを組み立てる自動機の把持部(図示せず)によって凹部21Gが把持される。これにより、ステータ10の周方向の位置が決まり、ハウジングに対して常に一定の姿勢で挿入する作業を繰り替して行うことができる。ヨーク部21Eの外周面は、ハウジングの内周面に接触する。これによって、ステータ10は、ハウジングに対して固定される。
【0049】
次に、本構成の効果を例示する。
ステータ10は、ステータコア21と、ステータコア21に取り付けられるコイル21B,21C,21Dと、コイル21B,21C,21Dを流れる電流に起因して生じる磁気に応じた検出信号を出力する複数の磁気センサ31Cと、を備えている。磁気センサ31Cは、ステータコア21に取り付けられる。この構成によれば、コイル21B,21C,21Dに電流センサや電圧センサを取り付ける構成と比較して、コイル21B,21C,21Dの大型化を抑えやすい。
【0050】
ステータ10において、コイル21B,21C,21Dは、複数相設けられ、
複数相のコイル21B,21C,21Dは、各々が複数のコイル部1U,3U,2U,4U,1V,3V,2V,4V,1W,3W,2W,4Wを有する。ステータ10は、更に、各コイル21B,21C,21Dにおける複数のコイル部1U,3U,2U,4U,1V,3V,2V,4V,1W,3W,2W,4Wの接続状態を切り替える切替部31を備える。磁気センサ31Cは、コイル部2U,4U,2V,4V,2W,4Wを流れる電流に起因して生じる磁気に応じた検出信号を出力する。この構成によれば、接続状態に応じて変化する電流を検出することができる。
【0051】
ステータ10において、各コイル21B,21C,21Dにおける複数のコイル部1U,3U,2U,4U,1V,3V,2V,4V,1W,3W,2W,4Wの各々は、第1コイル部C1,C3,C5と、第2コイル部C2,C4,C6と、を有する。第1コイル部C1,C3,C5は、接続状態に関わらず電流が流れる。第2コイル部C2,C4,C6は、接続状態に応じて電流が流れる通電状態と電流が流れない非通電状態とに切り替わる。磁気センサ31Cは、第2コイル部C2,C4,C6を流れる電流に起因して生じる磁気に応じた検出信号を出力する。この構成によれば、検出信号に基づいて接続状態の切り替わりを、より把握しやすい。
【0052】
ステータ10において、ステータコア21は、円環状のヨーク部21Eと、ヨーク部21Eの内周縁部からヨーク部21Eの径方向内向きに突出した形態をなし、内周縁部にヨーク部21Eの軸線周りに並んで配置される複数のティース部21Fと、を有している。第1コイル部C1,C3,C5及び第2コイル部C2,C4,C6は、互いに異なるティース部21Fに巻回される構成をなす。この構成によれば、第2コイル部C2,C4,C6を流れる電流のみを検出しやすい。
【0053】
ステータ10は、検出信号が印加される出力線31Dと、出力線31Dが接続され、切替部31が取り付けられる回路基板31Aと、を備え、磁気センサ31Cは、出力線31Dを介して回路基板31Aに接続される。この構成によれば、配線を簡素化し易い。
【0054】
ステータ10において、ステータコア21の表面には、凹部21Gが形成されており、磁気センサ31Cが、凹部21Gに収容される。この構成によれば、モータをより小型化しやすい。
【0055】
ステータ10において、ステータコア21は、円環状のヨーク部21Eと、ヨーク部21Eの内周縁部からヨーク部21Eの径方向内向きに突出した形態をなし、内周縁部にヨーク部21Eの軸線周りに並んで配置される複数のティース部21Fと、を有する。凹部21Gは、ヨーク部21Eの外周縁部に形成され、ステータコア21の軸線方向に沿って延びる溝状をなす。この構成によれば、軸線方向のガイドとして機能する溝状の凹部21Gを利用して、磁気センサ31Cの収容スペースを確保することができる。
【0056】
ステータ10において、ステータコア21は、円環状のヨーク部21Eと、ヨーク部21Eの内周縁部からヨーク部21Eの径方向内向きに突出した形態をなし、内周縁部にヨーク部21Eの軸線周りに並んで配置される複数のティース部21Fと、を有する。コイル21B,21C,21Dは、各ティース部21Fに巻回されるコイル部1U,3U,2U,4U,1V,3V,2V,4V,1W,3W,2W,4W(巻線部)を有する。磁気センサ31Cは、検出対象のコイル部2U,4V,2W(巻線部)の軸線方向と直交する平面方向において、コイル部2U,4V,2W(巻線部)の内周部よりも内側に配置される。この構成によれば、検出対象のコイル部2U,4V,2Wを流れる電流に起因して生じる磁気を検出しやすい。
【0057】
ステータ10において、ステータコア21は、円環状のヨーク部21Eと、ヨーク部21Eの内周縁部からヨーク部21Eの軸線に向けて突出した形態をなし、内周縁部にヨーク部21Eの軸線周りに並んで配置される複数のティース部21Fと、を有する。磁気センサ31Cは、ヨーク部21Eの外周縁部に取り付けられる。この構成によれば、磁気センサ31Cを取り付けやすい。
【0058】
<他の実施形態>
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、今回開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0059】
実施形態1とは異なり、磁気センサの一部が凹部に収容された構成としてもよい。
【0060】
実施形態1とは異なり、磁気センサを第1コイル部が巻回されたティース部に対応する凹部に収容した構成としてもよい。また、磁気センサを第1コイル部、第2コイル部に関係なく凹部に収容した構成としてもよい。これによって、磁気センサは、コイル部を流れる電流に起因して生じる磁気に応じた検出信号を出力し得る。
【0061】
実施形態1とは異なり、アウターロータ型のステータに本開示を適用してもよい。具体的には、円環状のヨーク部の外周縁部からヨーク部の径方向の外向きに突出した形態をなし、ヨーク部の軸線周りに並ぶように複数のティース部を設ける。そして、ヨーク部の内周縁部に、ヨーク部の径方向の外向きに窪むように凹部を設け、この凹部に磁気センサを設ける。
【0062】
実施形態1とは異なり、回路基板を円盤状としてもよい。この場合ロータは、ハウジングの一方側のみに突出した形成となる。
【0063】
実施形態1ではU相、V相、W相の各コイルがコイル部を4つ有する構成を示したが、各コイルにおけるコイル部の数はこの数に限られない。
【0064】
リレースイッチの数は、実施形態1に開示された数に限らない。例えば、図6に示すように、第1コイル部50、第2コイル部51が3つのリレースイッチ52,53,54で接続される構成としてもよい。この構成の場合、リレースイッチ52,54をオフ状態にし、リレースイッチ53をオン状態とすることによって、第1コイル部50、第2コイル部51を直列接続とすることができる。これに対して、リレースイッチ52,54をオン状態にし、リレースイッチ53をオフ状態とすることによって、第1コイル部50、第2コイル部51を並列接続とすることができる。この構成の場合、リレースイッチ52,53,54を切り替えることによって第1コイル部50、及び第2コイル部51の接続状態を直列接続と、並列接続と、に切り替えることができる。
【0065】
実施形態1とは異なり、コイルは分布巻であってもよい。分布巻の場合、磁気センサが第1コイル部と第2コイル部の磁気を検出する位置に配置されていてもよい。
【符号の説明】
【0066】
1U,1V,1W,2U,2V,2W,3U,3V,3W,4U,4V,4W…コイル部(巻線部)
10…ステータ
21…ステータコア
21B,21C,21D…コイル
21E…ヨーク部
21F…ティース部
21G…凹部
31…切替部
31A…回路基板
31B,52,53,54…リレースイッチ
31C…磁気センサ
31D…出力線
C…コイル部群
C1,C3,C5,50…第1コイル部
C2,C4,C6,51…第2コイル部
N…中性部
P1…板面
T…端末部
図1
図2
図3
図4
図5
図6