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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024010477
(43)【公開日】2024-01-24
(54)【発明の名称】2部材連結装置および建設機械
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/00 20060101AFI20240117BHJP
   E02F 3/38 20060101ALI20240117BHJP
   E02F 3/36 20060101ALI20240117BHJP
【FI】
E02F9/00 F
E02F3/38 B
E02F3/36 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022111841
(22)【出願日】2022-07-12
(71)【出願人】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002457
【氏名又は名称】弁理士法人広和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】本田 丈士
(72)【発明者】
【氏名】古堅 椋太
【テーマコード(参考)】
2D012
2D015
【Fターム(参考)】
2D012DB01
2D015AA01
(57)【要約】
【課題】 連結ピンに対する抜止部材の着脱作業を容易に行えるようにして、2部材を分解、組立するときの作業性を向上する。
【解決手段】 左ブームブラケット22と左ブームフート部24とを連結する左連結ピン26と右ブームブラケット23と右ブームフート部25とを連結する右連結ピン27との間には、左第1ピン挿通孔22Cと左第2ピン挿通孔24Aに対して左連結ピン26を抜け止めし、右第1ピン挿通孔23Cと右第2ピン挿通孔25Aに対して右連結ピン27を抜け止めする抜止部材33が着脱可能に設けられている。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部材に左右方向で対面して設けられた左第1ブラケットおよび右第1ブラケットと、
前記左第1ブラケットに設けられた左第1ピン挿通孔と、
前記右第1ブラケットに設けられた右第1ピン挿通孔と、
前記第1部材に連結される第2部材に設けられ、前記左第1ブラケットと左右方向で重なる左第2ブラケットと、
前記第2部材に設けられ、前記右第1ブラケットと左右方向で重なる右第2ブラケットと、
前記左第2ブラケットに設けられ、前記左第1ブラケットと前記左第2ブラケットとが重なった状態で前記左第1ピン挿通孔と連通する左第2ピン挿通孔と、
前記右第2ブラケットに設けられ、前記右第1ブラケットと前記右第2ブラケットとが重なった状態で前記右第1ピン挿通孔と連通する右第2ピン挿通孔と、
連通状態の前記左第1ピン挿通孔と前記左第2ピン挿通孔とに挿通される左連結ピンと、
連通状態の前記右第1ピン挿通孔と前記右第2ピン挿通孔とに挿通される右連結ピンと、
を備えてなる2部材連結装置において、
前記左連結ピンと前記右連結ピンとの間には、前記左第1ピン挿通孔と前記左第2ピン挿通孔に対して前記左連結ピンを抜け止めし、前記右第1ピン挿通孔と前記右第2ピン挿通孔に対して前記右連結ピンを抜け止めする抜止部材が着脱可能に設けられていることを特徴とする2部材連結装置。
【請求項2】
請求項1に記載の2部材連結装置において、
前記抜止部材は、
前記左連結ピンと前記右連結ピンとの間に左右方向に延びて設けられた棒状体と、
前記棒状体の左端部に設けられ、前記左連結ピンに着脱可能に取り付けられる左取付部と、
前記棒状体の右端部に設けられ、前記右連結ピンに着脱可能に取り付けられる右取付部と、
を備えていることを特徴とする2部材連結装置。
【請求項3】
請求項2に記載の2部材連結装置において、
前記棒状体は、前記左取付部と前記右取付部との間隔寸法を調整する調整部を備えていることを特徴とする2部材連結装置。
【請求項4】
自走可能な下部走行体と、前記下部走行体上に旋回可能に設けられ、前側にキャブを有する上部旋回体と、前記キャブの側方に位置して前記上部旋回体の前側に設けられた作業装置と、前記上部旋回体の旋回フレームと前記作業装置のブームとを回動可能かつ着脱可能に連結する2部材連結装置と、を備え、
前記2部材連結装置は、
前記旋回フレームの前側に左右方向で対面して設けられた左第1ブラケットおよび右第1ブラケットと、
前記左第1ブラケットに設けられた左第1ピン挿通孔と、
前記右第1ブラケットに設けられた右第1ピン挿通孔と、
前記ブームに設けられ、前記左第1ブラケットと左右方向で重なる左第2ブラケットと、
前記ブームに設けられ、前記右第1ブラケットと左右方向で重なる右第2ブラケットと、
前記左第2ブラケットに設けられ、前記左第1ブラケットと前記左第2ブラケットとが重なった状態で前記左第1ピン挿通孔と連通する左第2ピン挿通孔と、
前記右第2ブラケットに設けられ、前記右第1ブラケットと前記右第2ブラケットとが重なった状態で前記右第1ピン挿通孔と連通する右第2ピン挿通孔と、
連通状態の前記左第1ピン挿通孔と前記左第2ピン挿通孔とに挿通される左連結ピンと、
連通状態の前記右第1ピン挿通孔と前記右第2ピン挿通孔とに挿通される右連結ピンと、
を備えてなる建設機械において、
前記左連結ピンと前記右連結ピンとの間には、前記左第1ピン挿通孔と前記左第2ピン挿通孔に対して前記左連結ピンを抜け止めし、前記右第1ピン挿通孔と前記右第2ピン挿通孔に対して前記右連結ピンを抜け止めする抜止部材が着脱可能に設けられていることを特徴とする建設機械。
【請求項5】
請求項4に記載の建設機械において、
前記抜止部材は、
前記左連結ピンと前記右連結ピンとの間に左右方向に延びて設けられた棒状体と、
前記棒状体の左端部に設けられ、前記左連結ピンに着脱可能に取り付けられる左取付部と、
前記棒状体の右端部に設けられ、前記右連結ピンに着脱可能に取り付けられる右取付部と、
を備えていることを特徴とする建設機械。
【請求項6】
請求項5に記載の建設機械において、
前記棒状体は、前記左取付部と前記右取付部との間隔寸法を調整する調整部を備えていることを特徴とする建設機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、例えば、連結ピンを用いて旋回フレームとブーム、隣り合うブーム等の2部材を連結するのに好適に用いられる2部材連結装置および建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
建設機械の代表例としての油圧ショベルは、自走可能な下部走行体と、下部走行体上に旋回可能に設けられた上部旋回体と、上部旋回体の前部に回動可能に設けられた作業装置と、を備えている。
【0003】
また、油圧ショベルには、高所の解体を行う大型の機種がある。この大型の油圧ショベルは、一般道で輸送できるように複数の部分に分解することができる。例えば、上部旋回体と作業装置とを分解することができる。この場合、上部旋回体の旋回フレームと作業装置のブームとは、2部材連結装置を用いて着脱可能に連結されている。
【0004】
さらに、高所の解体を行う油圧ショベルは、複数のブームを結合した長尺なマルチブームを備えている。この複数のブームは、隣り合うブーム間が2部材連結装置を用いて着脱可能に連結されている。
【0005】
例えば、旋回フレームとブームとを連結している2部材連結装置は、旋回フレームに左右方向で対面して設けられた左第1ブラケットおよび右第1ブラケットと、左第1ブラケットに設けられた左第1ピン挿通孔と、右第1ブラケットに設けられた右第1ピン挿通孔と、ブームに設けられ、左第1ブラケットと左右方向で重なる左第2ブラケットと、ブームに設けられ、右第1ブラケットと左右方向で重なる右第2ブラケットと、左第2ブラケットに設けられ、左第1ブラケットと左第2ブラケットとが重なった状態で左第1ピン挿通孔と連通する左第2ピン挿通孔と、右第2ブラケットに設けられ、右第1ブラケットと右第2ブラケットとが重なった状態で右第1ピン挿通孔と連通する右第2ピン挿通孔と、連通状態の左第1ピン挿通孔と左第2ピン挿通孔とに挿通される左連結ピンと、連通状態の右第1ピン挿通孔と右第2ピン挿通孔とに挿通される右連結ピンと、を備えている。また、2部材連結装置の左連結ピンと右連結ピンとは、旋回フレームとブームとを連結した状態で抜止部材によって抜け止めされている。
【0006】
左連結ピンは、左第1ピン挿通孔と左第2ピン挿通孔とに左右方向の内側となる右側から挿通され、先端部が左側に突出している。同様に、右連結ピンは、右第1ピン挿通孔と右第2ピン挿通孔とに左右方向の内側となる左側から挿通され、先端部が右側に突出している。そして、抜止部材は、連結ピンよりも大径な板体からなり、連結ピンの突出端にボルトを用いて着脱可能に取り付けられている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011-256961号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ここで、建設機械は、旋回フレームの前側にオペレータが搭乗するキャブを備えている。このキャブは、左第1ブラケットの左側の近傍に配置されている。従って、キャブに近い左連結ピンとキャブとの間には、抜止部材を着脱するためのスペースを確保するのが難しく、狭いスペースでの作業となるから、抜止部材の着脱作業に時間と手間を要してしまうという問題がある。一方、抜止部材の着脱作業を容易に行うことができるように、キャブと左第1ブラケットとの隙間を拡大して作業スペースを確保することが考えられるが、この場合には、上部旋回体の幅寸法が大きくなってしまうという問題がある。
【0009】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、連結ピンに対する抜止部材の着脱作業を容易に行えるようにして、2部材を分解、組立するときの作業性を向上することができるようにした2部材連結装置および建設機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明による2部材連結装置は、第1部材に左右方向で対面して設けられた左第1ブラケットおよび右第1ブラケットと、前記左第1ブラケットに設けられた左第1ピン挿通孔と、前記右第1ブラケットに設けられた右第1ピン挿通孔と、前記第1部材に連結される第2部材に設けられ、前記左第1ブラケットと左右方向で重なる左第2ブラケットと、前記第2部材に設けられ、前記右第1ブラケットと左右方向で重なる右第2ブラケットと、前記左第2ブラケットに設けられ、前記左第1ブラケットと前記左第2ブラケットとが重なった状態で前記左第1ピン挿通孔と連通する左第2ピン挿通孔と、前記右第2ブラケットに設けられ、前記右第1ブラケットと前記右第2ブラケットとが重なった状態で前記右第1ピン挿通孔と連通する右第2ピン挿通孔と、連通状態の前記左第1ピン挿通孔と前記左第2ピン挿通孔とに挿通される左連結ピンと、連通状態の前記右第1ピン挿通孔と前記右第2ピン挿通孔とに挿通される右連結ピンと、を備えてなる2部材連結装置において、前記左連結ピンと前記右連結ピンとの間には、前記左第1ピン挿通孔と前記左第2ピン挿通孔に対して前記左連結ピンを抜け止めし、前記右第1ピン挿通孔と前記右第2ピン挿通孔に対して前記右連結ピンを抜け止めする抜止部材が着脱可能に設けられている。
【0011】
また、本発明の建設機械は、自走可能な下部走行体と、前記下部走行体上に旋回可能に設けられ、前側にキャブを有する上部旋回体と、前記キャブの側方に位置して前記上部旋回体の前側に設けられた作業装置と、前記上部旋回体の旋回フレームと前記作業装置のブームとを回動可能かつ着脱可能に連結する2部材連結装置と、を備え、前記2部材連結装置は、前記旋回フレームの前側に左右方向で対面して設けられた左第1ブラケットおよび右第1ブラケットと、前記左第1ブラケットに設けられた左第1ピン挿通孔と、前記右第1ブラケットに設けられた右第1ピン挿通孔と、前記ブームに設けられ、前記左第1ブラケットと左右方向で重なる左第2ブラケットと、前記ブームに設けられ、前記右第1ブラケットと左右方向で重なる右第2ブラケットと、前記左第2ブラケットに設けられ、前記左第1ブラケットと前記左第2ブラケットとが重なった状態で前記左第1ピン挿通孔と連通する左第2ピン挿通孔と、前記右第2ブラケットに設けられ、前記右第1ブラケットと前記右第2ブラケットとが重なった状態で前記右第1ピン挿通孔と連通する右第2ピン挿通孔と、連通状態の前記左第1ピン挿通孔と前記左第2ピン挿通孔とに挿通される左連結ピンと、連通状態の前記右第1ピン挿通孔と前記右第2ピン挿通孔とに挿通される右連結ピンと、を備えてなる建設機械において、前記左連結ピンと前記右連結ピンとの間には、前記左第1ピン挿通孔と前記左第2ピン挿通孔に対して前記左連結ピンを抜け止めし、前記右第1ピン挿通孔と前記右第2ピン挿通孔に対して前記右連結ピンを抜け止めする抜止部材が着脱可能に設けられている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、連結ピンに対する抜止部材の着脱作業を容易に行うことができるから、2部材を分解、組立するときの作業性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態による2部材連結装置が適用されるマルチブーム仕様の油圧ショベルを示す左側面図である。
図2】旋回フレーム、キャブ、ロアブーム、2部材連結装置等を示す左側面図である。
図3】旋回フレーム、キャブ、ロアブーム、2部材連結装置、抜止部材等を示す平面図である。
図4】旋回フレーム、キャブ、2部材連結装置、抜止部材等を示す正面図である。
図5】旋回フレームの左ブームブラケット、右ブームブラケット、2部材連結装置、抜止部材等を示す斜視図である。
図6】旋回フレームの左ブームブラケット、右ブームブラケット、2部材連結装置等を示す斜視図である。
図7】抜止部材を組み立てた状態で示す斜視図である。
図8】抜止部材を分解した状態で示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態による2部材連結装置を、建設機械としてのマルチブーム仕様の油圧ショベルに適用した場合を例に挙げ、図1ないし図8を参照しつつ詳細に説明する。具体的には、上部旋回体の旋回フレームと作業装置のブームとを2部材連結装置を用いて回動可能かつ着脱可能に連結した場合を例示している。なお、実施形態では、油圧ショベルの走行方向を前後方向とし、油圧ショベルの走行方向と直交する横方向を左右方向として説明する。
【0015】
図1において、マルチブーム仕様の油圧ショベル1は、前後方向に自走可能なクローラ式の下部走行体2と、下部走行体2上に旋回可能に搭載された上部旋回体3と、上部旋回体3の前側に設けられた後述するマルチブーム式の作業装置8と、を含んで構成されている。油圧ショベル1は、下部走行体2によって作業現場を走行し、上部旋回体3を旋回させつつ作業装置8を回動させることにより、地面から上方に離れた高所の解体作業等を行う。
【0016】
上部旋回体3は、ベースとなる後述の旋回フレーム7と、旋回フレーム7の左前側に設けられたキャブ4と、旋回フレーム7の後側に設けられたカウンタウエイト5と、カウンタウエイト5の前側に位置して旋回フレーム7上に設けられたエンジン、油圧ポンプ、冷却装置等(いずれも図示せず)を収容する建屋カバー6と、を備えている。
【0017】
上部旋回体3の旋回フレーム7は、第1部材を構成している。図3に示すように、旋回フレーム7は、前側に底板7Aを備え、底板7A上には、キャブ4の右側の近傍となる中央付近に、後述の左ブームブラケット22と右ブームブラケット23とが設けられている。左ブームブラケット22と右ブームブラケット23とには、後述する作業装置8のロアブーム9が回動可能に連結されている。
【0018】
マルチブーム式の作業装置8は、旋回フレーム7の前側に回動可能に設けられている。作業装置8は、ブームを構成するロアブーム9、インサートブーム10、アッパブーム11と、アッパブーム11の先端側に回動可能に取り付けられたミドルアーム12と、ミドルアーム12の先端側に回動可能に取り付けられたアームを構成するロアアーム13、アッパアーム14と、アッパアーム14の先端側に回動可能に取り付けられた作業具としてのカッター15と、を含んで構成されている。カッター15は、グラップル等の他の作業具に交換することができる。
【0019】
また、旋回フレーム7とロアブーム9との間には、ロアブーム9を挟んで2本のブームシリンダ16が設けられ、アッパブーム11とミドルアーム12との間には、ミドルアームシリンダ17が設けられている。さらに、ミドルアーム12とロアアーム13との間には、アームシリンダ18が設けられ、アッパアーム14と作業具の一種であるカッター15との間には、作業具シリンダ19が設けられている。
【0020】
ロアブーム9は、第2部材を構成している。ロアブーム9は、全体として四角形の断面形状を有する角筒体によって形成されている。ロアブーム9の基端側(旋回フレーム7側)には、二又状に分岐した後述の左ブームフート部24、右ブームフート部25が設けられている。ロアブーム9に設けられた左ブームフート部24、右ブームフート部25は、後述の左連結ピン26、右連結ピン27を用いて旋回フレーム7の左ブームブラケット22、右ブームブラケット23に回動可能かつ着脱可能に連結されている。
【0021】
ここで、油圧ショベル1を作業現場に輸送するときには、例えば、上部旋回体3から作業装置8を取り外すことにより、下部走行体2と上部旋回体3とからなる車体と、作業装置8とを別々の輸送車両に積載して作業現場に輸送する。作業現場において上部旋回体3に作業装置8を取り付けるときには、まず、作業装置8のロアブーム9を油圧クレーン(図示せず)によって吊り上げた状態で、ロアブーム9の基端側を後述の2部材連結装置21を用いて旋回フレーム7に連結する構成となっている。即ち、本実施形態では、上部旋回体3の旋回フレーム7を第1部材として適用し、作業装置8のロアブーム9を第2部材として適用した場合を例示している。
【0022】
次に、本実施形態に係る2部材連結装置21について、図3ないし図8を用いて詳細に説明する。
【0023】
2部材連結装置21は、旋回フレーム7(第1部材)とロアブーム9(第2部材)との間を連結する。2部材連結装置21は、図3に示すように、後述する左ブームブラケット22、右ブームブラケット23、左第1ピン挿通孔22C、右第1ピン挿通孔23C、左ブームフート部24、右ブームフート部25、左第2ピン挿通孔24A、右第2ピン挿通孔25A、左連結ピン26、右連結ピン27、抜止部材33を含んで構成されている。
【0024】
左第1ブラケットとしての左ブームブラケット22は、旋回フレーム7の前側に設けられている。左ブームブラケット22は、旋回フレーム7の底板7A上に立設された左縦板の前側部分によって構成されている。ここで、図3ないし図6に示すように、左ブームブラケット22は、一定の間隔(左ブームフート部24を挟持する間隔)をもって左右方向で対面する左内側ブームブラケット22Aと左外側ブームブラケット22Bとにより構成されている。左内側ブームブラケット22Aと左外側ブームブラケット22Bとの間には、左ブームフート部24が配置される。
【0025】
また、左内側ブームブラケット22Aと左外側ブームブラケット22Bには、左第1ピン挿通孔22Cがそれぞれ設けられている。左第1ピン挿通孔22Cは、左右方向に貫通する同軸孔として穿設され、左第1ピン挿通孔22Cには、後述の左連結ピン26が抜き差し可能に挿着される。
【0026】
右第1ブラケットとしての右ブームブラケット23は、左ブームブラケット22と左右方向で対面した状態で旋回フレーム7の前側に設けられている。右ブームブラケット23は、旋回フレーム7の底板7A上に立設された右縦板の前側部分によって構成されている。ここで、右ブームブラケット23は、一定の間隔(右ブームフート部25を挟持する間隔)をもって左右方向で対面する右内側ブームブラケット23Aと右外側ブームブラケット23Bとにより構成されている。右内側ブームブラケット23Aと右外側ブームブラケット23Bとの間には、右ブームフート部25が配置される。
【0027】
また、右内側ブームブラケット23Aと右外側ブームブラケット23Bには、右第1ピン挿通孔23Cがそれぞれ設けられている。右第1ピン挿通孔23Cは、左右方向に貫通する同軸孔として穿設され、右第1ピン挿通孔23Cには、後述の右連結ピン27が抜き差し可能に挿着される。
【0028】
左内側ブームブラケット22Aと左外側ブームブラケット22Bとに穿設された左第1ピン挿通孔22Cと、右内側ブームブラケット23Aと右外側ブームブラケット23Bとに穿設された右第1ピン挿通孔23Cとは、同一の軸線上に配置されている。
【0029】
左第2ブラケットとしての左ブームフート部24は、ロアブーム9の基端側に設けられている。左ブームフート部24は、左右方向の軸線を有する厚肉な円筒状のボスとして形成されている。左ブームフート部24は、左ブームブラケット22と左右方向で重なるように、左内側ブームブラケット22Aと左外側ブームブラケット22Bとの間に挟まれて配置されている。
【0030】
図3に示すように、左ブームフート部24には、左第2ピン挿通孔24Aが設けられている。左第2ピン挿通孔24Aは、左ブームブラケット22と左ブームフート部24とが重なった状態で左第1ピン挿通孔22Cと連通する左右方向の貫通孔として形成されている。
【0031】
右第2ブラケットとしての右ブームフート部25は、左ブームフート部24と共にロアブーム9の基端側に設けられている。右ブームフート部25は、左右方向の軸線を有する厚肉な円筒状のボスとして形成されている。右ブームフート部25は、右ブームブラケット23と左右方向で重なるように、右内側ブームブラケット23Aと右外側ブームブラケット23Bとの間に挟まれて配置されている。
【0032】
右ブームフート部25には、右第2ピン挿通孔25Aが設けられている。右第2ピン挿通孔25Aは、右ブームブラケット23と右ブームフート部25とが重なった状態で右第1ピン挿通孔23Cと連通する左右方向の貫通孔として形成されている。
【0033】
ここで、図6に示すように、左ブームフート部24に設けられた左第2ピン挿通孔24Aと、右ブームフート部25に設けられた右第2ピン挿通孔25Aとは、左ブームブラケット22の左第1ピン挿通孔22C、右ブームブラケット23の右第1ピン挿通孔23Cと同一の軸線上に重ねることができる。
【0034】
左連結ピン26は、連通状態の左第1ピン挿通孔22Cと左第2ピン挿通孔24Aとに挿通される円柱体として形成されている。左連結ピン26は、左ブームブラケット22と左ブームフート部24との間を回動可能に連結する。左連結ピン26は、左第1ピン挿通孔22C、右第1ピン挿通孔23C、左第2ピン挿通孔24A、右第2ピン挿通孔25Aと同一軸線上に配置されている。
【0035】
左連結ピン26は、左ブームブラケット22の左第1ピン挿通孔22Cと左ブームフート部24の左第2ピン挿通孔24Aとに対し、左右方向の内側となる右側から抜き差し可能に挿通される。また、左連結ピン26のうち、後述の右連結ピン27と対向する内側の端部26Aには、後述する左リンク31の他端が回動可能に取り付けられている。さらに、図6に示すように、端部26Aの端面には、ねじ穴26Bが形成されている。このねじ穴26Bには、後述する抜止部材33の左取付部40を取り付けるボルト41が螺着される。
【0036】
右連結ピン27は、連通状態の右第1ピン挿通孔23Cと右第2ピン挿通孔25Aとに挿通される円柱体として形成されている。右連結ピン27は、右ブームブラケット23と右ブームフート部25との間を回動可能に連結する。右連結ピン27は、左第1ピン挿通孔22C、右第1ピン挿通孔23C、左第2ピン挿通孔24A、右第2ピン挿通孔25Aと同一軸線上に配置されている。
【0037】
右連結ピン27は、右ブームブラケット23の右第1ピン挿通孔23Cと右ブームフート部25の右第2ピン挿通孔25Aとに対し、左右方向の内側となる左側から抜き差し可能に挿通される。右連結ピン27のうち、左連結ピン26と対向する内側の端部27Aには、後述する右リンク32の他端が回動可能に取り付けられている。さらに、端部27Aの端面には、ねじ穴27Bが形成されている。このねじ穴27Bには、後述する抜止部材33の右取付部42を取り付けるボルト41が螺着される。
【0038】
ピン抜差機構28は、左ブームブラケット22と右ブームブラケット23との間に設けられている。ピン抜差機構28は、左ブームブラケット22の左第1ピン挿通孔22Cと左ブームフート部24の左第2ピン挿通孔24Aとに対して左連結ピン26を抜き差しすると共に、右ブームブラケット23の右第1ピン挿通孔23Cと右ブームフート部25の右第2ピン挿通孔25Aとに対して右連結ピン27を抜き差しする。このピン抜差機構28は、後述の油圧シリンダ29、浮動リンク30、左リンク31、右リンク32等により構成されている。
【0039】
油圧シリンダ29は、チューブ29Aと、ピストン(図示せず)と、基端側がピストンに取り付けられ、先端側がチューブ29Aから突出したロッド29Bと、により構成されている。油圧シリンダ29は、左連結ピン26、右連結ピン27から所定寸法離間した位置、例えば、下側に離間した位置に左右方向に延びて配置されている。
【0040】
浮動リンク30は、油圧シリンダ29と平行をなすように、油圧シリンダ29の上側に左右方向に延びて設けられている。浮動リンク30は、左右方向に延びる長方形の平板状に形成されている。浮動リンク30は、左ブームブラケット22、右ブームブラケット23のいずれにも取り付けられておらず、左ブームブラケット22、右ブームブラケット23に対して浮いた状態(自由に動ける状態)となっている。浮動リンク30は、左連結ピン26、右連結ピン27と油圧シリンダ29との間に配置されている。
【0041】
左リンク31は、長さ方向(上下方向)の途中部分が浮動リンク30の左側部位に回動可能に取り付けられている。この上で、左リンク31は、下側の一端が油圧シリンダ29のチューブ29Aに回動可能に取り付けられ、上側の他端が左連結ピン26の端部26Aに回動可能に取り付けられている。これにより、左リンク31は、油圧シリンダ29が伸長したときに左連結ピン26を引き抜き、油圧シリンダ29が縮小したときに左連結ピン26を差し込むことができる。
【0042】
右リンク32は、左リンク31と左右方向で対称形状をなし、長さ方向(上下方向)の途中部分が浮動リンク30の右側部位に回動可能に取り付けられている。この上で、右リンク32は、下側の一端が油圧シリンダ29のロッド29Bに回動可能に取り付けられ、上側の他端が右連結ピン27の端部27Aに回動可能に取り付けられている。これにより、右リンク32は、油圧シリンダ29が伸長したときに右連結ピン27を引き抜き、油圧シリンダ29が縮小したときに右連結ピン27を差し込むことができる。
【0043】
次に、本実施形態の特徴部分となる抜止部材33の構成および機能について詳細に説明する。
【0044】
抜止部材33は、左連結ピン26と右連結ピン27との間に着脱可能に設けられている。抜止部材33は、左ブームブラケット22の左第1ピン挿通孔22Cと左ブームフート部24の左第2ピン挿通孔24Aとに対して左連結ピン26を抜け止めし、右ブームブラケット23の右第1ピン挿通孔23Cと右ブームフート部25の右第2ピン挿通孔25Aとに対して右連結ピン27を抜け止めする。図7図8に示すように、抜止部材33は、後述の棒状体34、左取付部40、右取付部42を含んで構成されている。なお、抜止部材33の構成の説明では、抜止部材33が左連結ピン26と右連結ピン27との間に取り付けられた状態(左右方向に延びた状態)での方向を用いている。
【0045】
棒状体34は、左連結ピン26と右連結ピン27の抜け止め状態では、左連結ピン26と右連結ピン27との間に左右方向に延びて設けられている。棒状体34は、左ねじ筒35、右ねじ筒36、調整ねじ37、左ロックナット38および右ロックナット39により構成されている。
【0046】
図8に示すように、左ねじ筒35は、左右方向に延びて設けられている。左ねじ筒35は、左連結ピン26と反対側の筒部分の内部にねじ穴35Aを備えている。このねじ穴35Aには、右ねじ(または左ねじ)が刻まれている。
【0047】
右ねじ筒36は、左右方向に延びて設けられている。右ねじ筒36は、右連結ピン27と反対側の筒部分の内部にねじ穴36Aを備えている。このねじ穴36Aには、ねじ穴35Aと逆方向となる左ねじ(または右ねじ)が刻まれている。
【0048】
調整ねじ37は、左ねじ筒35のねじ穴35A、右ねじ筒36のねじ穴36Aと一緒に調整部を構成している。調整ねじ37は、左右方向に延びたねじ部材からなり、長さ方向の中央にボルトの頭部に相当する六角部37Aを備えている。調整ねじ37は、六角部37Aから左側に延びたねじ部分が、左ねじ筒35のねじ穴35Aに螺着される第1ねじ37B(右ねじ)となり、六角部37Aから右側に延びたねじ部分が、右ねじ筒36のねじ穴36Aに螺着される第2ねじ37C(左ねじ)となっている。
【0049】
左ロックナット38は、調整ねじ37の第1ねじ37Bに螺着されている。左ロックナット38は、左ねじ筒35(ねじ穴35A)と協働してダブルナットを構成している。また、右ロックナット39は、調整ねじ37の第2ねじ37Cに螺着されている。右ロックナット39は、右ねじ筒36(ねじ穴36A)と協働してダブルナットを構成している。
【0050】
そして、調整部は、例えば、左ねじ筒35を左連結ピン26に仮止めし、右ねじ筒36を右連結ピン27に仮止めする。この状態で、六角部37Aにスパナ等の工具を係合させ、調整ねじ37を左ねじ筒35、右ねじ筒36に対して任意の方向に回転させる。これにより、調整ねじ37は、第1ねじ37Bを左ねじ筒35のねじ穴35Aに出し入れし、第2ねじ37Cを右ねじ筒36のねじ穴36Aに出し入れする。この動作によって、調整部は、左ねじ筒35と右ねじ筒36との間隔寸法を調整することができる。さらに、左ロックナット38、右ロックナット39を締付けることで、左ねじ筒35と右ねじ筒36との間隔寸法を固定することができる。
【0051】
左取付部40は、棒状体34の左端部、即ち、左ねじ筒35の左端部に設けられている。左取付部40は、左連結ピン26の端部26Aの端面に当接する長円状の板体からなる。左取付部40は、長さ方向の一側が左ねじ筒35の左端部に取り付けられている。また、左取付部40の長さ方向の一側には、ボルト挿通孔40Aが設けられている。左取付部40は、ボルト挿通孔40Aに挿通したボルト41を左連結ピン26のねじ穴26Bに螺着することにより、左連結ピン26に着脱可能に取り付けることができる。
【0052】
右取付部42は、棒状体34の右端部、即ち、右ねじ筒36の右端部に設けられている。右取付部42は、右連結ピン27の端部27Aの端面に当接する長円状の板体からなる。右取付部42は、長さ方向の一側が右ねじ筒36の右端部に取り付けられている。また、右取付部42の長さ方向の一側には、ボルト挿通孔42Aが設けられている。右取付部42は、ボルト挿通孔42Aに挿通したボルト41を右連結ピン27のねじ穴27Bに螺着することにより、右連結ピン27に着脱可能に取り付けることができる。
【0053】
本実施形態による2部材連結装置21は、上述の如き構成を有するもので、次に、2部材連結装置21を用いて油圧ショベル1の旋回フレーム7に対し、作業装置8のロアブーム9を連結するブーム連結作業の一例について説明する。
【0054】
まず、油圧クレーン(図示せず)を用いてロアブーム9を吊り上げ、ロアブーム9の左ブームフート部24を旋回フレーム7に設けられた左ブームブラケット22の近傍に配置し、右ブームフート部25を右ブームブラケット23の近傍に配置する。
【0055】
このときに、ピン抜差機構28は、油圧シリンダ29のロッド29Bを伸長させることにより、左連結ピン26の先端だけが左内側ブームブラケット22Aの左第1ピン挿通孔22Cに挿通し、右連結ピン27の先端だけが右内側ブームブラケット23Aの右第1ピン挿通孔23Cに挿通した状態にする。
【0056】
次に、図3に示すように、左ブームブラケット22の左内側ブームブラケット22Aと左外側ブームブラケット22Bとの間に、ロアブーム9の左ブームフート部24を挿入し、右ブームブラケット23の右内側ブームブラケット23Aと右外側ブームブラケット23Bとの間に、ロアブーム9の右ブームフート部25を挿入する。そして、左ブームフート部24の第2ピン挿通孔24A、右ブームフート部25の第2ピン挿通孔25Aを、左ブームブラケット22の左第1ピン挿通孔22C、右ブームブラケット23の右第1ピン挿通孔23Cと同一の軸線上に重ねる。
【0057】
この状態で、ピン抜差機構28の油圧シリンダ29のロッド29Bを縮小させることにより、左リンク31を介して左連結ピン26を、左ブームフート部24の左第2ピン挿通孔24Aと左外側ブームブラケット22Bの左第1ピン挿通孔22Cとに挿通させ、右リンク32を介して右連結ピン27を、右ブームフート部25の右第2ピン挿通孔25Aと右外側ブームブラケット23Bの右第1ピン挿通孔23Cとに挿通させる。これにより、2部材連結装置21は、上部旋回体3の旋回フレーム7と作業装置8のロアブーム9とを回動可能かつ着脱可能に連結することができる。
【0058】
次に、抜止部材33を用いて左連結ピン26と右連結ピン27の抜け止めを行う場合の作業手順の一例について説明する。なお、作業手順は、現場の状況、作業者の好みに応じて様々であり、以下の作業手順に限定されるものではない。
【0059】
抜止部材33を組み立てる作業では、調整ねじ37の第1ねじ37Bに左ロックナット38と左ねじ筒35のねじ穴35Aを螺合させ、第2ねじ37Cに右ロックナット39と右ねじ筒36のねじ穴36Aを螺合させる。このときに、抜止部材33の全長寸法、即ち、左取付部40の取付面と右取付部42の取付面との距離寸法が、左連結ピン26の端部26Aの端面と右連結ピン27の端部27Aの端面との間隔寸法よりも僅かに小さな寸法となるように、調整ねじ37を回して調整する。なお、取り外した抜止部材33を再度取り付ける場合には、取り外した状態を保持しておくことで、ここまでの作業を省略することができる。
【0060】
抜止部材33を組み立てたら、取り付ける作業に移る。抜止部材33を吊り上げて左連結ピン26と右連結ピン27との間に配置し、左取付部40のボルト挿通孔40Aに挿通したボルト41を左連結ピン26のねじ穴26Bに螺合する(仮止め)。同様に、右取付部42のボルト挿通孔42Aに挿通したボルト41を右連結ピン27のねじ穴27Bに螺合する(仮止め)。抜止部材33を仮止めしたら、調整ねじ37の六角部37Aにスパナを掛け、左取付部40と右取付部42との間隔寸法が大きくなるように回し、左取付部40を左連結ピン26の端面に押し付け、右取付部42を右連結ピン27の端面に押し付ける。次に、左右のボルト41を締付けた後に、左ロックナット38を左ねじ筒35に押し付け、右ロックナット39を右ねじ筒36に押し付けて調整ねじ37を回り止め(ロック)する。これにより、抜止部材33を用いて左連結ピン26と右連結ピン27とを抜け止めすることができる。
【0061】
次に、2部材連結装置21と別個に設けられた他の2部材連結装置51について説明する。他の2部材連結装置51は、2部材連結装置21と同様の構成を有していることから、簡略化して説明する。
【0062】
他の2部材連結装置51は、旋回フレーム7と2本のブームシリンダ16との間を連結する。即ち、他の2部材連結装置51では、上部旋回体3の旋回フレーム7を第1部材として適用し、左右のブームシリンダ16を第2部材として適用した場合を例示している。
【0063】
ここで、2部材連結装置51は、後述する左シリンダブラケット52、右シリンダブラケット53、左第1ピン挿通孔、右第1ピン挿通孔(いずれも図示せず)、左シリンダ取付アイ54、右シリンダ取付アイ55、左第2ピン挿通孔、右第2ピン挿通孔(いずれも図示せず)、左連結ピン56、右連結ピン57、抜止部材63を含んで構成されている。
【0064】
図3に示すように、左第1ブラケットとしての左シリンダブラケット52は、旋回フレーム7の前端部に設けられている。図4に示すように、左シリンダブラケット52は、左内側シリンダブラケット52Aと左外側シリンダブラケット52Bとにより構成されている。また、左内側シリンダブラケット52Aと左外側シリンダブラケット52Bには、左右方向に貫通する左第1ピン挿通孔(図示せず)がそれぞれ穿設されている。
【0065】
右第1ブラケットとしての右シリンダブラケット53は、旋回フレーム7の前端部に設けられている。右シリンダブラケット53は、右内側シリンダブラケット53Aと右外側シリンダブラケット53Bとにより構成されている。また、右内側シリンダブラケット53Aと右外側シリンダブラケット53Bには、左右方向に貫通する右第1ピン挿通孔(図示せず)がそれぞれ穿設されている。
【0066】
左第2ブラケットとしての左シリンダ取付アイ54は、左側のブームシリンダ16に設けられている(図3参照)。左シリンダ取付アイ54は、略円筒状のボスとして形成され、左内側シリンダブラケット52Aと左外側シリンダブラケット52Bとの間に配置される。また、左シリンダ取付アイ54には、左シリンダブラケット52の左第1ピン挿通孔に対応する左第2ピン挿通孔(図示せず)が穿設されている。
【0067】
右第2ブラケットとしての右シリンダ取付アイ55は、右側のブームシリンダ16に設けられている。右シリンダ取付アイ55は、略円筒状のボスとして形成され、右内側シリンダブラケット53Aと右外側シリンダブラケット53Bとの間に配置される。また、右シリンダ取付アイ55には、右シリンダブラケット53の右第1ピン挿通孔に対応する右第2ピン挿通孔(図示せず)が穿設されている。
【0068】
左連結ピン56は、左シリンダブラケット52と左シリンダ取付アイ54との間を連結する。左連結ピン56は、左シリンダブラケット52の左第1ピン挿通孔と左シリンダ取付アイ54の左第2ピン挿通孔とに抜き差し可能に挿通される。また、左連結ピン56の端部には、後述する左リンク61の他端が回動可能に取り付けられている。さらに、端部の端面には、後述する抜止部材63の左取付部を取り付けるボルトが螺着されるねじ穴(図示せず)が形成されている。
【0069】
右連結ピン57は、右シリンダブラケット53と右シリンダ取付アイ55との間を連結する。右連結ピン57は、右シリンダブラケット53の右第1ピン挿通孔と右シリンダ取付アイ55の右第2ピン挿通孔とに抜き差し可能に挿通される。また、右連結ピン57の端部には、後述する右リンク62の他端が回動可能に取り付けられている。さらに、端部の端面には、抜止部材63の右取付部を取り付けるボルトが螺着されるねじ穴(図示せず)が形成されている。
【0070】
ここで、左シリンダブラケット52の左第1ピン挿通孔、右シリンダブラケット53の右第1ピン挿通孔と、左シリンダ取付アイ54の左第2ピン挿通孔、右シリンダ取付アイ55の右第2ピン挿通孔と、左連結ピン56、右連結ピン57とは、同一の軸線上に配置されている。
【0071】
ピン抜差機構58は、左シリンダブラケット52と右シリンダブラケット53との間に設けられている。ピン抜差機構58は、左シリンダブラケット52の左第1ピン挿通孔と左シリンダ取付アイ54の左第2ピン挿通孔とに対して左連結ピン56を抜き差しすると共に、右シリンダブラケット53の右第1ピン挿通孔と右シリンダ取付アイ55の右第2ピン挿通孔とに対して右連結ピン57を抜き差しする。ピン抜差機構58は、前述したピン抜差機構28と同様に、油圧シリンダ59、浮動リンク60、左リンク61、右リンク62等により構成されている。ピン抜差機構58の機能および動作は、ピン抜差機構28と同様であるので、その説明を省略する。
【0072】
抜止部材63は、左連結ピン56と右連結ピン57との間に着脱可能に設けられている。抜止部材63は、左シリンダブラケット52の左第1ピン挿通孔と左シリンダ取付アイ54の左第2ピン挿通孔とに対して左連結ピン56を抜け止めし、右シリンダブラケット53の右第1ピン挿通孔と右シリンダ取付アイ55の右第2ピン挿通孔とに対して右連結ピン57を抜け止めする。抜止部材63は、前述した抜止部材33と同様に、棒状体64(左ねじ筒65、右ねじ筒66、調整ねじ67)、左ロックナット68、右ロックナット69、左取付部70、右取付部71を含んで構成されている。抜止部材63の機能および動作は、抜止部材33と同様であるので、その説明を省略する。
【0073】
ここで、一般的な油圧ショベルは、左ブームブラケットの左側の近傍にキャブが配置されている。従って、キャブと左ブームブラケットとの間には、左連結ピンを抜け止めするための部材を配置したり、この部材を着脱する作業(ボルトの着脱作業等)を行ったりするためのスペースを確保することが難しく、着脱作業に時間と手間を要してしまう。また、抜け止めするための部材の着脱作業を容易に行えるように、キャブと左ブームブラケットとの隙間を拡大して作業スペースを確保することが考えられるが、この場合には、上部旋回体の幅寸法が大きくなってしまう。
【0074】
然るに、本実施形態では、左ブームブラケット22と左ブームフート部24とを連結する左連結ピン26と右ブームブラケット23と右ブームフート部25とを連結する右連結ピン27との間には、左第1ピン挿通孔22Cと左第2ピン挿通孔24Aに対して左連結ピン26を抜け止めし、右第1ピン挿通孔23Cと右第2ピン挿通孔25Aに対して右連結ピン27を抜け止めする抜止部材33が着脱可能に設けられている。
【0075】
従って、左ブームブラケット22(左外側ブームブラケット22B)の左側の近傍にキャブ4が配置されている場合でも、左連結ピン26と右連結ピン27との間に形成されたスペースを利用して抜止部材33を着脱することができる。また、左連結ピン56と右連結ピン57との間に形成されたスペースを利用して抜止部材63を着脱することができる。
【0076】
この結果、抜止部材33,63の着脱作業を容易に行うことができ、2部材連結装置21,51による連結作業の作業性を向上することができる。また、キャブ4と左ブームブラケット22との間に、抜止部材33,63を着脱するためのスペースを確保する必要がないから、上部旋回体3の幅寸法を小さく抑えることができる。
【0077】
しかも、抜止部材33は、1本で左連結ピン26と右連結ピン27の抜け止めをすることができ、抜止部材63は、1本で左連結ピン56と右連結ピン57の抜け止めをすることができる。これにより、抜止部材33,63を用いた抜け止め作業を容易に行うことができる。
【0078】
抜止部材33は、左連結ピン26と右連結ピン27との間に左右方向に延びて設けられた棒状体34と、棒状体34の左端部に設けられ、左連結ピン26に着脱可能に取り付けられる左取付部40と、棒状体34の右端部に設けられ、右連結ピン27に着脱可能に取り付けられる右取付部42と、を備えている。従って、左取付部40を左連結ピン26に取り付け、右取付部42を右連結ピン27に取り付けることにより、棒状体34によって左連結ピン26と右連結ピン27とを抜け止めすることができる。また、抜止部材63も同様の効果を得ることができる。
【0079】
さらに、棒状体34は、左取付部40と右取付部42との間隔寸法を調整する調整部としてのねじ穴35A,36Aおよび調整ねじ37を備えている。従って、左連結ピン26と右連結ピン27との間隔寸法に応じて抜止部材33の全長寸法を調整することができ、抜止部材33を安定的に取り付けることができる。また、抜止部材33を他の部位にも利用することができる。これらの効果は、抜止部材63も同様に得ることができる。
【0080】
なお、実施形態では、油圧シリンダ29を備えたピン抜差機構28を用いて、左ブームブラケット22の左第1ピン挿通孔22Cと左ブームフート部24の左第2ピン挿通孔24Aとに左連結ピン26を抜き差しし、右ブームブラケット23の左第1ピン挿通孔23Cと右ブームフート部25の左第2ピン挿通孔25Aとに右連結ピン27を抜き差しした場合を例示している。また、油圧シリンダ59を備えたピン抜差機構58を用いて、左シリンダブラケット52の左第1ピン挿通孔と左シリンダ取付アイ54の左第2ピン挿通孔とに左連結ピン56を抜き差しし、右シリンダブラケット53の左第1ピン挿通孔と右シリンダ取付アイ55の左第2ピン挿通孔とに右連結ピン57を抜き差しした場合を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えば、手作業によって連結ピンを各ピン挿通孔に抜き差しする構成としてもよい。
【0081】
また、実施形態では、2部材連結装置21を用いて旋回フレーム7とロアブーム9との間を連結し、他の2部材連結装置51を用いて旋回フレーム7とブームシリンダ16との間を連結した場合を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えば、ロアブームとインサートブームとの間、インサートブームとアッパブームとの間等を2部材連結装置で連結したものにも広く適用することができる。
【0082】
さらに、実施形態では、クローラ式の下部走行体2を備えた油圧ショベル1を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、ホイール式の下部走行体を備えた油圧ショベルに適用してもよい。
【符号の説明】
【0083】
1 油圧ショベル(建設機械)
2 下部走行体
3 上部旋回体
4 キャブ
7 旋回フレーム(第1部材)
8 作業装置
9 ロアブーム(第2部材)
21 2部材連結装置
22 左ブームブラケット(左第1ブラケット)
22C 左第1ピン挿通孔
23 右ブームブラケット(右第1ブラケット)
23C 右第1ピン挿通孔
24 左ブームフート部(左第2ブラケット)
24A 左第2ピン挿通孔
25 右ブームフート部(右第2ブラケット)
25A 右第2ピン挿通孔
26,56 左連結ピン
27,57 右連結ピン
33,63 抜止部材
34,64 棒状体
35,65 左ねじ筒
35A,36A ねじ穴(調整部)
36,66 右ねじ筒
37,67 調整ねじ(調整部)
40,70 左取付部
42,71 右取付部
51 他の2部材連結装置
52 左シリンダブラケット(左第1ブラケット)
53 右シリンダブラケット(右第1ブラケット)
54 左シリンダ取付アイ(左第2ブラケット)
55 右シリンダ取付アイ(右第2ブラケット)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8