(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104789
(43)【公開日】2024-08-06
(54)【発明の名称】自動取引装置
(51)【国際特許分類】
G07D 11/235 20190101AFI20240730BHJP
G07F 19/00 20060101ALI20240730BHJP
G07D 11/28 20190101ALI20240730BHJP
【FI】
G07D11/235
G07F19/00
G07D11/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023009142
(22)【出願日】2023-01-25
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100180275
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 倫太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100161861
【弁理士】
【氏名又は名称】若林 裕介
(72)【発明者】
【氏名】名和 臣
【テーマコード(参考)】
3E141
【Fターム(参考)】
3E141AA01
3E141AA08
3E141BA07
3E141BA18
3E141CA02
3E141FA06
3E141FJ05
3E141FJ08
3E141HA09
3E141JA10
3E141KC03
3E141KC18
(57)【要約】
【課題】 ホスト端末を介せず、単独で同一口座に対する硬貨入金を制限できる自動取引装置を提供する。
【解決手段】 本発明は、顧客が保持する媒体の情報を用いて所定の取引に係る処理を行う自動取引装置において、当該自動取引装置を介して硬貨を用いた前記取引に係る処理が実行されると、前記媒体に保持された情報の一部を、硬貨を取り扱った所定期間内の履歴情報として記憶する記憶手段と、前記履歴情報を参照して所定の条件に合致する場合、顧客が所望する前記取引を一部制限する旨を含む情報を表示部に表示する取引処理部とを有することを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客が保持する媒体の情報を用いて所定の取引に係る処理を行う自動取引装置において、
当該自動取引装置を介して硬貨を用いた前記取引に係る処理が実行されると、前記媒体に保持された情報の一部を、硬貨を取り扱った所定期間内の履歴情報として記憶する記憶手段と、
前記履歴情報を参照して所定の条件に合致する場合、顧客が所望する前記取引を一部制限する旨を含む情報を表示部に表示する取引処理部と
を有することを特徴とする自動取引装置。
【請求項2】
前記取引は入金取引であって、
前記取引を一部制限する旨を含む情報は、硬貨の入金は制限されることを示す情報である
ことを特徴とする請求項1に記載の自動取引装置。
【請求項3】
前記取引処理部は、前記履歴情報に前記媒体に保持された情報と一致するデータが存在するか否かで、前記取引を一部制限する旨を含む情報を表示するか否か判断することを特徴とする請求項1に記載の自動取引装置。
【請求項4】
前記履歴情報には、少なくとも口座番号を含むことを特徴とする請求項1に記載の自動取引装置。
【請求項5】
前記履歴情報は、所定のタイミングで消去することを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の自動取引装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動取引装置に関し、例えば、硬貨を入金可能な自動取引装置に適用し得るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ATM(現金自動預払機:Automatic Teller Machine)の入金取引では、「硬貨のみ」、「紙幣のみ」、「紙幣及び硬貨」の入金が可能である。ここで、「硬貨のみ」の入金取引や「紙幣及び硬貨」の入金取引(以下、これらを「硬貨入金取引」と呼ぶ)において、一度に投入できる硬貨枚数に制限が設けられてる(例えば、特許文献1)。さらに、上述の硬貨枚数の制限に加えて同一口座に対する複数回の硬貨入金取引を制限する技術も存在する(例えば、特許文献2)。
【0003】
特許文献2等に記載の技術は、ホストコンピュータから硬貨入金取引回数や硬貨取引枚数等の情報をATMに取り込んだ上で、これらの情報を用いて硬貨入金取引を制限する技術である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-256908号公報
【特許文献2】特開2013-127738号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2に記載の技術は、ATMがホストコンピュータから情報を取りこむためには、ホストコンピュータ側のシステム変更が必要なことも多い。即ち、ホストコンピュータ側(金融機関)のコストが思いの外かかってしまうため、金融機関が当該技術を導入し難い実情がある。
【0006】
そのため、ホスト端末を介せず、単独で同一口座に対する硬貨入金を制限できる自動取引装置が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、顧客が保持する媒体の情報を用いて所定の取引に係る処理を行う自動取引装置において、(1)当該自動取引装置を介して硬貨を用いた前記取引に係る処理が実行されると、前記媒体に保持された情報の一部を、硬貨を取り扱った所定期間内の履歴情報として記憶する記憶手段と、(2)前記履歴情報を参照して所定の条件に合致する場合、顧客が所望する前記取引を一部制限する旨を含む情報を表示部に表示する取引処理部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ホスト端末を介せず、単独で同一口座に対する硬貨入金を制限できる自動取引装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1の実施形態に係るATMの制御系の構成を示すブロック図である。
【
図2】第1の実施形態に係る自動取引システムの全体構成を示す全体構成図である。
【
図3】第1の実施形態に係るATMの外観構成を示す外観斜視図である。
【
図4】第1の実施形態に係る硬貨入金履歴データの一例を示す説明図である。
【
図5】第1の実施形態に係るATMの特徴動作(硬貨入金取引に係る処理)を示すフローチャートである。
【
図6】第1の実施形態に係る取引選択画面の構成例について示す説明図である。
【
図7】第1の実施形態に係る紙幣・硬貨挿入画面の構成例について示す説明図である。
【
図8】第1の実施形態に係る紙幣挿入画面の構成例について示す説明図である。
【
図9】第2の実施形態に係るATMの特徴動作(硬貨入金取引に係る処理)を示すフローチャートである。
【
図10】第2の実施形態に係る紙幣挿入画面の構成例について示す説明図である。
【
図11】変形実施形態に係るATMの特徴動作(硬貨入金取引に係る処理)を示すフローチャートである。
【
図12】変形実施形態に係る現金選択画面の構成例について示す説明図である。
【
図13】変形実施形態に係る硬貨取扱不可画面の構成例について示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(A)第1の実施形態
以下では、本発明の自動取引装置の第1の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。第1の実施形態では、本発明の自動取引装置をATMに適用した例について説明する。
【0011】
(A-1)第1の実施形態の構成
【0012】
(A-1-1)全体構成
図2は、第1の実施形態に係る自動取引システムの全体構成を示す全体構成図である。
図2において、自動取引システム5は、ネットワークNに接続可能な、ATM1及びホストコンピュータ2を有して構成される。
【0013】
ネットワークNは、金融取引に関するデータを通信することができる通信網であり、例えば、専用網を適用することができる。また、ネットワークNは、金融取引に関するデータを通信することができるのであれば公衆網としても良い。
【0014】
ATM1は、例えば、金融機関、駅、コンビニエンスストア、ホテル等に設けられている現金自動預け払い装置(ATM)である。なお、変形例として、ATM1の代わりに、硬貨を用いて入金可能な他の装置を適用することもできる。
【0015】
ATM1は、ネットワークNを介して、ホストコンピュータ2と通信可能であり、例えば、振り込み取引、預け入れ取引(入金取引)、引き出し取引(出金取引)、等の各種金融取引を行うものである。なお、
図2では、説明を容易にするために、1台のATM1のみ図示している。しかし、実際には、複数台のATM1のそれぞれが、ネットワークNを介して、ホストコンピュータ2と接続する。
【0016】
ホストコンピュータ2は、金融機関のホストコンピュータであり、ATM1から取引に関する情報を取得すると、取得した取引に関する情報に基づいて、顧客が行なった取引の内容を管理するものである。
【0017】
(A-1-2)ATM1の詳細な構成
図3は、第1の実施形態に係るATMの外観構成を示す外観斜視図である。
【0018】
図3において、第1の実施形態のATM1は、操作表示部12、カード入出口13、紙幣入出口14、硬貨入出口15、レシート排出口16、及び通帳入出口17を有する。
【0019】
操作表示部12は、例えば、取引種類の選択メニュー画面、各取引の操作画面、取引内容の確認画面等を表示したり、顧客が入力した入力情報を取り込んだりするものである。操作表示部12は、例えば、タッチパネル方式の操作表示部を適用することができる。なお、操作表示部12は、操作部と表示部とが一体となったタッチパネル方式のものに限らず、操作部と表示部とがそれぞれ物理的に別の構成のものであってもよい。
【0020】
カード入出口13は、利用者がキャッシュカードを挿入したり又はキャッシュカードを取り出したりするものである。
【0021】
紙幣入出口14は、顧客が紙幣を挿入したり又は紙幣を取り出したりするものである。紙幣入出口14は、例えば、開閉可能な開閉体を有するバケットタイプのものを用いても良いし、若しくは、開閉体を有しないバケットタイプのものを用いることができる。顧客が紙幣を投入するときには、例えば、開閉体を有するバケットタイプの場合、開閉体がバケットの開口部を開けた後、顧客はバケットの開口部に紙幣を投入し、その後ATM1は、開閉体が閉じて投入された紙幣を取り込む。またATM1が紙幣を返却するときには、ATM1はバケットに紙幣を繰り出し、その後、開閉体が開放する。なお、紙幣入出口14は、紙幣を投入する紙幣入口と紙幣を放出する紙幣出口とが一体となったものに限らず、紙幣入口と紙幣出口とがそれぞれ物理的に別の構成のものであってもよい。
【0022】
硬貨入出口15は、顧客が硬貨を投入したり又は硬貨を取り出したりするものである。硬貨入出口15も、例えば、開閉体が開口部を開閉可能なバケットタイプのものを用いても良いし、若しくは、開閉体を有しないバケットタイプのものを用いても良い。この場合も、紙幣入出口14と同様に、顧客が硬貨を投入するときには、例えば、開閉体を有するバケットタイプの場合、開閉体がバケットの開口部を開けた後、顧客はバケットの開口部に硬貨を投入し、その後ATM1は、開閉体を閉じて投入された硬貨を取り込む。またATM1が硬貨を返却するときには、ATM1はバケットに硬貨を繰り出し、その後、開閉体が開放する。なお、硬貨入出口15は、硬貨を投入する硬貨入口と硬貨を放出する硬貨出口とが一体となったものに限らず、硬貨入口と硬貨出口とがそれぞれ物理的に別の構成のものであってもよい。
【0023】
レシート排出口16は、取引内容を印刷したレシートを排出するものである。
【0024】
通帳入出口17は、顧客により挿入される通帳を受け入れたり又は通帳を排出したりするものである。
【0025】
図1は、第1の実施形態に係るATMの制御系の構成を示すブロック図である。
図1において、ATM1は、制御部10、記憶部20、通信部30、操作表示制御部40、カード処理部50、通帳処理部60、紙幣入出金部70、硬貨入出金部80、及び明細票発行部90を有する。
【0026】
制御部10は、図示しないCPU(Central Processing Unit)を中心に構成されており、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、記憶部20から所定のプログラムを読み出して実行することにより、各部を制御して入金取引、収納処理や出金取引等の種々の処理を行う。
【0027】
制御部10が備える取引処理部11は、ホストコンピュータ2と連携して、各取引に係る処理を行う機能部である。
【0028】
記憶部20は、制御部10が実行する処理プログラム等を記憶するものあり、例えば、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等により構成される。記憶部20には、利用者が行なった取引の情報である取引情報、発生した障害の内容を示す情報等の障害発生情報等のジャーナルデータ等が記憶される。
【0029】
通信部30は、ネットワークNを介して、ホストコンピュータ2と接続するためのネットワークインタフェースである。
【0030】
操作表示制御部40は、制御部10の制御の下、操作表示部12の動作を制御するものである。操作表示制御部40は、制御部10から画面情報に基づいて、操作表示部12に画面を表示させたり、又は操作表示部12から入力された情報を制御部10に与えたりするものである。
【0031】
カード処理部50は、制御部10の制御の下、カード入出口13からキャッシュカードを取り込んだり又は排出したりするものである。また、カード処理部50は、カード入出口13から挿入されたキャッシュカードの格納部(例えば、磁気格納部やICチップ等)に格納されているカード情報を読み取り、そのカード情報を制御部10に与えるものである。
【0032】
通帳処理部60は、制御部10の制御の下、通帳入出口17から通帳を取り込んだり又は排出したりするものである。また、通帳処理部60は、通帳入出口17から挿入された通帳の格納部(例えば、磁気データ格納部)に格納されている通帳情報を読み取り、その通帳情報を制御部10に与えるものである。
【0033】
紙幣入出金部70は、制御部10の制御の下、紙幣を金種別に収納・管理するものである。
【0034】
硬貨入出金部80は、制御部10の制御の下、硬貨を金種別に収納・管理するものである。
【0035】
明細票発行部90は、制御部10の制御の下、取引明細票に取引結果を印刷して、レシート排出口16から発行(排出)を行うものである。
【0036】
(A-1-3)取引処理部11の詳細な構成
第1の実施形態のATM1(取引処理部11)は、所定期間内の自行の硬貨入金取引の回数を1回に制限する処理を行うことに特徴を有する。取引処理部11は、硬貨入金履歴データTを備える。
【0037】
図4は、第1の実施形態に係る硬貨入金履歴データの一例を示す説明図である。
【0038】
図4に示す硬貨入金履歴データTは、金融機関の各支店を識別する「店番」と、顧客の口座番号を識別する「口座番号」の項目を備える。
【0039】
硬貨入金履歴データTには、所定期間内(例えば、1日)において、顧客がATM1に対して硬貨入金取引を初めて実施した際に、硬貨入金の履歴情報として、顧客口座の店番と口座番号とを含むデータを追加する。そして、顧客が硬貨入金取引を行う度に顧客の店番と口座番号をキーとして、硬貨入金履歴データTを検索して、同一データがヒットする場合(同一データが存在する場合)には、所定期間内に既に1度硬貨入金取引を実施したとして、当該ATM1における硬貨入金取引の取引を制限するものとする。
【0040】
硬貨入金履歴データTに記憶できる容量(データ件数)は、特に限定されるものではないが、例えば、200件分記憶できる容量を割り当てれば良い。なお、新たなデータを追加する際に、硬貨入金履歴データTに記憶できる容量の限界を超えていた場合には、取引処理部11は、最も古いデータを削除した上で新たなデータを追加するものとする。
【0041】
また、硬貨入金履歴データTは、所定のタイミングで全消去されるが、全消去タイミングとしては、例えば、ATM1の電源OFF(シャットダウン)のタイミングでも良い。ATM1は、通常1日の業務時間終了後に電源OFFするので、このタイミングで全消去を行うと1日のサイクルで硬貨入金取引の回数を制限することになる(1日1回しか硬貨入金取引を行うことができない)。これ以上の取引処理部11の詳細は動作の項で述べる。
【0042】
(A-2)第1の実施形態の動作
次に、以上のような構成を有する第1の実施形態の自動取引システム5の動作を説明する。
【0043】
図5は、第1の実施形態に係るATMの特徴動作(硬貨入金取引に係る処理)を示すフローチャートである。
【0044】
まず、初期状態(顧客待ち状態)として、取引処理部11の制御に基づいて、操作表示部12に、取引の種類を選択することが可能な操作画面(以下、「取引選択画面」と呼ぶ)が表示されているものとする。例えば、
図6に示すような取引選択画面100である。そして、ここでは、顧客により、上述の取引選択画面100で、「入金(預け入れ)」が押下(選択)されたものとして説明する(S101)。
【0045】
次に、取引処理部11は、顧客から入金取引を受け付けた場合、操作表示部12にキャッシュカード又は通帳の挿入を要求する画面(例えば、「キャッシュカード又は通帳を挿入してください」というメッセージを表示した画面)を表示させる(S102)。ここでは、顧客により、カード入出口13にキャッシュカード(又は通帳入出口17に通帳)が挿入されたものとする。
【0046】
取引処理部11は、挿入されたキャッシュカードのICチップ(又は通帳の磁気ストライプ)から顧客の口座情報を取得し、自行の取引又は他行の取引(自行の媒体又は他行の媒体)であるかを判断する(S103)。自行又は他行の判断方法は、例えば、取得した顧客の口座情報に含まれている金融機関番号等に基づいて判断することができる。取引処理部11は、自行の取引の場合には、次のステップS104へ移行し、一方、自行の取引以外(他行の取引)の場合には、後述するステップS106へ移行する。
【0047】
取引処理部11は、所定期間(例えば、ATM1の電源をONにしてから現在の取引までの期間)内に当該ATM1において、既に硬貨入金取引を実施したか否か判定を行う(S104)。具体的には、取引処理部11は、上述のステップS103で媒体(キャッシュカード又は通帳)から読み取った口座番号及び店番をキーとして、硬貨入金履歴データT中に一致するデータが存在するかを確認する。
【0048】
取引処理部11は、硬貨入金履歴データT中に一致するデータが存在する場合、硬貨入金取引を既に実施したと判定する(今回の入金取引は硬貨の入金を不可とする)。一方、取引処理部11は、一致するデータが存在しない場合、硬貨入金取引を未実施と判定する(今回の入金取引は硬貨の入金を可能とする)。取引処理部11は、硬貨入金取引を未実施と判定された場合には、次のステップS105へ移行し、一方、既に硬貨入金取引を実施した場合には、後述するステップS106へ移行する。
【0049】
取引処理部11は、上述のステップS104で硬貨入金取引を未実施と判定された場合、操作表示部12に紙幣・硬貨の挿入(投入)を要求する画面(以下、「紙幣・硬貨挿入画面」と呼ぶ)を表示させる(S105)。
【0050】
図7は、第1の実施形態に係る紙幣・硬貨挿入画面の構成例について示す説明図である。
【0051】
図7に示す紙幣・硬貨挿入画面200には、紙幣・硬貨の投入を促す旨のメッセージや図等を表示する本体部201と、入金取引の利用を取り消す(中止する)ための取消ボタン202とが配置されている。なお、
図7の紙幣・硬貨挿入画面は、あくまで一例であって、種々様々な構成を採用することができる。
【0052】
一方、上述のステップS104で既に硬貨入金取引を実施したと判定された場合(又は上述のステップS103で他行の取引と判定された場合)、操作表示部12に紙幣の挿入(投入)を要求する画面(以下、「紙幣挿入画面」と呼ぶ)を表示させる(S106)。
【0053】
図8は、第1の実施形態に係る紙幣挿入画面の構成例について示す説明図である。
【0054】
図8に示す紙幣挿入画面300には、紙幣の投入を促す旨のメッセージや図等を表示する本体部301と、入金取引の利用を取り消す(中止する)ための取消ボタン302とが配置されている。なお、
図8の紙幣挿入画面は、あくまで一例であって、種々様々な構成を採用することができる。
【0055】
紙幣入出金部70及び硬貨入出金部80(紙幣入出口14、硬貨入出口15)に、現金が投入されると(S107)、取引処理部11は、紙幣入出金部70及び硬貨入出金部80を制御して投入された現金の金額確認(金種ごとの計数)を実行させ(S108、S109)、さらに、ホストコンピュータ2と通信して入金取引の情報処理(トランザクション処理)を実行する(S110)。
【0056】
取引処理部11は、上述のステップS110の入金取引が成立したか否か判定する(S111)。取引処理部11は、入金取引が成立した場合には、次のステップS112へ移行し、一方、入金取引が不成立の場合には、後述するステップS115へ移行する。
【0057】
取引処理部11は、成立した入金取引で硬貨入金があったか否か判定する(S112)。取引処理部11は、硬貨入金があった場合には、次のステップS113へ移行し、一方、硬貨入金がなかった場合には、後述するステップS114へ移行する。
【0058】
取引処理部11は、成立した入金取引で硬貨入金があった場合、硬貨入金の履歴情報として顧客の媒体から読み取った情報(店番、口座番号)を硬貨入金履歴データTに記憶する(S113)。
【0059】
取引処理部11は、顧客に挿入されたカード(又は通帳)を、カード入出口13(通帳入出口17)から排出(返却)させると共に、レシート排出口16から入金取引に係る明細書を発行する(S114)。
【0060】
一方、上述のステップS111で入金取引が不成立の場合には、カード又は通帳の返却に加えて、紙幣入出口14及び硬貨入出口15から投入された現金等を返却する(S115)。
【0061】
(A-3)第1の実施形態の効果
第1の実施形態によれば以下の効果を奏する。
【0062】
ATM1内部の硬貨入金履歴データTで、当該ATM1の顧客の硬貨入金取引を管理することにより、ホストコンピュータ2を介せず、ATM1単独で同一口座に対する1日の硬貨入金回数を1回と制限することが可能となった。
【0063】
(B)第2の実施形態
以下では、本発明の自動取引装置の第2の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。第2の実施形態では、本発明の自動取引装置をATMに適用した例について説明する。
【0064】
(B-1)第2の実施形態の構成
第2の実施形態のATM及び自動取引システムの構成については、第1の実施形態と同様に上述の
図1~
図4を用いて説明することができる。以下では、第2の実施形態について第1の実施形態との差異を中心に説明を行う。
【0065】
第1の実施形態のATM1(取引処理部11)では、所定期間内の硬貨入金取引の回数が上限(1日1回)に達していた場合、紙幣による入金のみを受け付ける処理を行っていた。一方、第2の実施形態のATM1(取引処理部11A)では、第1の実施形態と同様にATM単独で硬貨入金の顧客の取扱回数を制限しつつ、制限を受けた顧客に対して窓口又は別ATMへ誘導する機能を提供する。これ以上の第2の実施形態の取引処理部11Aの詳細は動作の項で述べる。
【0066】
(B-2)第2の実施形態の動作
次に、以上のような構成を有する第2の実施形態の自動取引システム5の動作を説明する。
【0067】
(B-2-1)誘導メッセージ表示処理
図9は、第2の実施形態に係るATMの特徴動作(硬貨入金取引に係る処理)を示すフローチャートである。なお、
図9の処理の内、上述の
図5のフローチャートと同一符号に係る処理は、基本的に同一又は類似する処理のため、詳しい説明を省略する。
【0068】
取引処理部11Aは、上述のステップS104で既に硬貨入金取引を実施したと判定された場合、操作表示部12に紙幣挿入画面(窓口又は別ATMへの誘導メッセージを含む)を表示させる(S201)。
【0069】
図10は、第2の実施形態に係る紙幣挿入画面の構成例について示す説明図である。
【0070】
図10に示す紙幣挿入画面400には、上述の本体部301と、上述の取消ボタン302とに加えて、硬貨入金を所望する顧客のためのメッセージを表示するメッセージ欄401とが配置されている。なお、
図10の紙幣挿入画面は、あくまで一例であって、種々様々な構成を採用することができる。
【0071】
メッセージ欄401には、当該ATM1での硬貨入金の取扱は終了した旨・窓口または別ATMでの手続きを誘導する文言を表示する。この後、紙幣入金では無く硬貨入金を所望する顧客は、取消ボタン302を押下して、当該ATM1における入金取引を中止して、窓口又は別ATMで硬貨入金を行うことになる。
【0072】
(B-2-2)変形例
図11は、変形実施形態に係るATMの特徴動作(硬貨入金取引に係る処理)を示すフローチャートである。なお、
図11の処理の内、上述の
図5、
図9のフローチャートと同一符号に係る処理は、基本的に同一又は類似する処理のため、詳しい説明を省略する。
【0073】
取引処理部11Aは、上述のステップS104で硬貨入金取引が未実施と判定された場合、操作表示部12に入金する現金の種類(硬貨若しくは紙幣又はその両方)を選択させる画面(以下、「現金選択画面」と呼ぶ)を表示させる(S301)。
【0074】
図12は、変形実施形態に係る現金選択画面の構成例について示す説明図である。
【0075】
図12に示す現金選択画面500には、入金する現金の選択を促す旨のメッセージや硬貨入金の制限メッセージを表示するメッセージ欄501と、紙幣のみの入金(挿入)を受け付ける紙幣入金ボタン502と、硬貨のみの入金(挿入)を受け付ける硬貨入金ボタン503と、紙幣及び硬貨の入金(挿入)を受け付ける紙幣・硬貨入金ボタン504と、入金取引の利用を取り消す(中止する)ための取消ボタン505とが配置されている。なお、
図12の現金選択画面は、あくまで一例であって、種々様々な構成を採用することができる。
【0076】
取引処理部11Aは、上述の紙幣・硬貨入金ボタン504の選択を受け付けると、上述のステップS105以下の処理を実行することになる。紙幣入金ボタン502を受け付けた場合、又は硬貨入金ボタン503を受け付けた場合も入金する現金が異なるだけで、基本的な処理は従来と同一であるので詳しい説明は省略する。
【0077】
一方、取引処理部11Aは、上述のステップS104で既に硬貨入金取引を実施したと判定された場合、操作表示部12に硬貨の入金は不可であることを通知する画面(以下、「硬貨取扱不可画面」と呼ぶ)を表示させる(S302)。
【0078】
図13は、変形実施形態に係る硬貨取扱不可画面の構成例について示す説明図である。
【0079】
図13に示す硬貨取扱不可画面600には、硬貨の入金は制限される旨のメッセージと共に、紙幣の入金しか選択できないことを示すメッセージを表示するメッセージ欄601と、紙幣のみの入金(挿入)を受け付ける紙幣入金ボタン602と、入金取引の利用を取り消す(中止する)ための取消ボタン603とが配置されている。なお、
図13の硬貨取扱不可画面は、あくまで一例であって、種々様々な構成を採用することができる。
【0080】
取引処理部11Aは、上述の紙幣入金ボタン602の選択を受け付けると、上述のステップS201以下の処理を実行することになる。
【0081】
なお、上述のステップS103で他行の取引と判定された場合、取引処理部11Aは、上述のステップS302と同様の処理(硬貨取扱不可画面の表示)を行うことになる。
【0082】
(B-3)第2の実施形態の効果
第2の実施形態によれば、第1の実施形態で述べた効果に加えて、硬貨入金制限(硬貨入金は1日1回のみ)に該当する顧客に対しては、硬貨入金のために窓口や別ATMへ誘導することが可能となった。
【0083】
(C)他の実施形態
本発明は、上記各実施形態に限定されるものではなく、以下に例示するような変形実施形態も挙げることができる。
【0084】
(C-1)上記各実施形態では、ATM1は1日の業務終了後に電源OFFにすることにしていた。そして、電源OFF時に硬貨入金履歴データTの全データをクリアにしていた。電源OFFのタイミングの無いATM(24時間対応ATM)においては、ATM1は、所定のタイミング(日付変更のタイミング等)で硬貨入金履歴データTの全データをクリアにしても良い。なお、クリアするタイミングで、顧客がATM1を操作して取引を行っていた場合には、顧客の取引終了後に硬貨入金履歴データTをクリアしても良い。何れにしても硬貨入金履歴データTの全データをクリアするタイミング及び条件は特に限定されるものでは無い。
【0085】
(C-2)上記各実施形態では、ATM1は、所定期間内(例えば、1日)における硬貨入金の回数は1回に制限していた(2回以上は不可)。変形例として、硬貨入金の回数は2回以上に制限しても良い。顧客が入金取引を所望する際、取引処理部11は、硬貨入金履歴データTを検索して同一顧客によるデータ(店番、口座番号)の数が制限回数未満の場合には硬貨入金可と判定すれば良い。一方、取引処理部11は、同一顧客によるデータ(店番、口座番号)の数が制限回数以上の場合には硬貨入金不可と判定すれば良い。
【0086】
また、硬貨入金履歴データTにカウンタの項目を備えて、同一顧客による2件目以降の硬貨入金の際には硬貨入金履歴データTに新たなデータを追加するのではなく、カウンタで各顧客の硬貨入金の数を管理しても良い。この場合、取引処理部11は、カウンタの値と硬貨制限回数とを比較することで硬貨入金の可否を判定することになる。
【0087】
(C-3)上記実施形態では、硬貨入金履歴データTには、顧客口座情報として店番と口座番号のみを記憶していたが、これに限定されるものでは無い。即ち、口座番号のみで顧客の口座を特定できるのであれば、口座番号のみ記憶すれば良い。一方、店番と口座番号のみでは顧客の口座を完全には特定できないのであれば、科目等の他の口座情報も記憶して判断しても良い。
【0088】
(C-4)上記各実施形態では、入金取引において、硬貨入金の制限を行っていたが、変形例として、現金として硬貨を取り扱う他の取引(出金取引等)においても本発明を適用することができる。
【0089】
(C-5)変形例として、ATM1は、上記各実施形態、(C-1)~(C-4)で述べた変形例の構成及び/又は機能の全部又は一部を組み合わせて使用しても良い。また、ATM1は、上記各実施形態及び(C-1)~(C-4)で述べた変形例の構成及び/又は機能のうち少なくとも一部を省略しても良い。
【符号の説明】
【0090】
1…ATM、2…ホストコンピュータ、5…自動取引システム、10…制御部、11、11A…取引処理部、12…操作表示部、13…カード入出口、14…紙幣入出口、15…硬貨入出口、16…レシート排出口、17…通帳入出口、20…記憶部、30…通信部、40…操作表示制御部、50…カード処理部、60…通帳処理部、70…紙幣入出金部、80…硬貨入出金部、90…明細票発行部、100…取引選択画面、200…硬貨挿入画面、300…紙幣挿入画面、400…紙幣挿入画面、500…現金選択画面、600…硬貨取扱不可画面、N…ネットワーク、T…硬貨入金履歴データ。