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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104805
(43)【公開日】2024-08-06
(54)【発明の名称】危険報知システム
(51)【国際特許分類】
   G08B 25/04 20060101AFI20240730BHJP
   G08B 21/02 20060101ALI20240730BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
G08B25/04 K
G08B21/02
H04N7/18 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023009167
(22)【出願日】2023-01-25
(71)【出願人】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【弁理士】
【氏名又は名称】西木 信夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 朋浩
(72)【発明者】
【氏名】中原 みまえ
(72)【発明者】
【氏名】田中 眞二
(72)【発明者】
【氏名】岩山 遼太郎
(72)【発明者】
【氏名】喜多 裕美
【テーマコード(参考)】
5C054
5C086
5C087
【Fターム(参考)】
5C054CA04
5C054CC02
5C054FA04
5C054FC15
5C054FE28
5C054HA19
5C086AA22
5C086BA01
5C086CA09
5C086CA11
5C086CA28
5C086CA30
5C086CB36
5C086CB40
5C086DA40
5C086FA02
5C086FA06
5C086FA17
5C086FA18
5C087AA02
5C087AA03
5C087AA09
5C087AA10
5C087AA19
5C087AA32
5C087AA37
5C087AA44
5C087BB02
5C087BB20
5C087DD03
5C087DD24
5C087DD25
5C087DD26
5C087EE18
5C087FF01
5C087FF02
5C087FF04
5C087FF16
5C087GG08
5C087GG66
5C087GG70
5C087GG84
(57)【要約】
【課題】窓からの子供の転落を防止する。
【解決手段】危険報知システム10は、室内における窓のそばの領域を検知領域とする測距センサ20と、窓の錠の状態を検知する錠センサ30と、情報処理装置40とを備える。情報処理装置40のメモリ42は、子供の名前と生年月日とを対応付けたテーブルと、測距センサ20のセンサIDと窓下高さHb及び錠高さHdとを対応付けたテーブルと、年齢と最高到達高さHbとを対応付けたテーブルとを記憶する。情報処理装置40に実装された管理プログラム47は、測距センサ20の検出値及び上記テーブルに基づいて、検知領域に居る子供の最高到達高さHbを決定し、決定した最高到達高さHbと、錠センサ30の検出値と、窓下高さHb及び錠高さHdとに基づいて、子供が窓から転落するおそれがあるか否かを判断する。管理プログラム47は、当該おそれがあると判断すると、危険情報を出力する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
住宅の窓に面する室内の所定領域を検知領域とする第1センサと、
上記第1センサを識別するセンサ識別情報と窓下高さとを対応付けた第1テーブルを記憶するメモリと、
コントローラと、を備えており、
上記コントローラは、
子供の生年月日を取得して上記メモリに記憶させる第1記憶処理と、
上記第1センサの検出値に基づいて、上記検知領域に子供が居るか否かを判断する第1判断処理と、
上記検知領域に子供が居ると判断したことに応じて、上記メモリに記憶された生年月日に基づいて当該子供の手が届く高さである最高到達高さを決定する第1決定処理と、
子供を検知した上記第1センサの上記センサ識別情報と対応付けられた上記窓下高さを上記第1テーブルから取得する窓下高さ取得処理と、
上記窓下高さ及び上記最高到達高さに基づいて危険か否かを判断する第1危険判断処理と、
上記第1危険判断処理で危険と判断したことに基づいて、危険情報を出力する報知処理と、を実行する、危険報知システム。
【請求項2】
上記コントローラは、
上記第1センサの検出値に基づいて、子供の足場となる物体が上記検知領域に存在するか否かを判断する第2判断処理と、
上記物体が存在すると判断したことに基づいて、当該物体の高さである物体高さを取得する物体高さ取得処理と、を更に実行し、
上記第1危険判断処理は、上記物体高さに更に基づいて危険か否かを判断する処理である、請求項1に記載の危険報知システム。
【請求項3】
窓に設けられた錠のロック状態に応じた検出値及びアンロック状態に応じた検出値を出力する第2センサを更に備えており、
上記第1テーブルは、上記センサ識別情報と錠高さとを更に対応付けており、
上記コントローラは、
上記第2センサの検出値に基づいて上記錠が上記ロック状態であるか上記アンロック状態であるかを判断する第3判断処理を更に実行し、
上記アンロック状態であると判断したことに基づいて上記窓下高さ取得処理及び上記第1危険判断処理を実行し、
上記ロック状態であることに基づいて、子供を検知した上記第1センサの上記センサ識別情報と対応付けられた上記錠高さを上記第1テーブルから取得する錠高さ取得処理、及び上記錠高さと上記最高到達高さとに基づいて危険か否かを判断する第2危険判断処理を実行する、請求項1に記載の危険報知システム。
【請求項4】
上記メモリは、年齢と、最高到達高さに応じた値とを対応付けた第2テーブルを更に備えており、
上記第1決定処理は、
上記メモリに記憶された生年月日及び本日の日付に基づいて子供の年齢を算出する処理と、算出した年齢と上記第2テーブルにおいて対応付けられた上記最高到達高さを取得する処理と、を含む、請求項1に記載の危険報知システム。
【請求項5】
インターネットに接続された通信インタフェースをさらに備えており、
上記第1テーブルは、上記センサ識別情報と、窓の設置場所及び上記窓下高さを示す窓情報とを対応付けており、
上記コントローラは、
ユーザ識別情報及び要求情報を上記通信インタフェースを通じて設計データ管理サーバに送信する要求送信処理と、
上記要求情報に対する返信であって、上記窓情報を含む返信を受信する受信処理と、
上記窓情報を上記第1テーブルに登録する登録処理と、を更に実行する、請求項1に記載の危険報知システム。
【請求項6】
上記第1センサは、天井に設置されて上記検知領域の床までの距離或いは上記検知領域に居る人までの距離を検出する測距センサであり、
上記メモリは、子供の名前と生年月日とを対応付けた第3テーブルを更に備えており、
上記第1判断処理は、
上記第1センサが検出した距離及び閾値距離に基づいて大人か子供であるかを判断する処理と、
上記メモリに記憶された生年月日及び本日の日付に基づいて各子供の年齢を算出し、算出した各年齢から決定された高さと、上記第1センサが検出した距離とに基づいて、上記検知領域に居る子供を特定する処理と、を含む、請求項1に記載の危険報知システム。
【請求項7】
上記第1センサは、天井に設置されて上記検知領域を撮像するカメラであり、
上記メモリは、子供の撮像画像を示す子供画像データを記憶しており、
上記第1判断処理は、
上記カメラの撮影画像と上記子供画像データとに基づいて上記検知領域に子供が居るか否かを判断する処理である、請求項1に記載の危険報知システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅に設置される危険報知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、住宅に設置される事故防止システムを開示する。この事故防止システムは、サーバ、センサ、及び事故防止装置を備える。センサは、窓のそばなど、事故の発生が予想される監視領域に設置され、監視領域に進入した住人を検知する。サーバは、監視領域に進入した住人が幼児である場合、事故防止装置を駆動させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-78304号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、幼児が窓ガラスに向かって転倒して当該窓ガラスを割り、割れた窓ガラスが幼児に突き刺さる事故を想定している。つまり、特許文献1では、窓からの幼児の転落は想定していない。
【0005】
本発明は、前述された事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、窓からの子供の転落を防止可能な危険報知システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1) 請求項1に係る危険報知システムは、住宅の窓に面する室内の所定領域を検知領域とする第1センサと、上記第1センサを識別するセンサ識別情報と窓下高さとを対応付けた第1テーブルを記憶するメモリと、コントローラと、を備える。上記コントローラは、子供の生年月日を取得して上記メモリに記憶させる第1記憶処理と、上記第1センサの検出値に基づいて、上記検知領域に子供が居るか否かを判断する第1判断処理と、上記検知領域に子供が居ると判断したことに応じて、上記メモリに記憶された生年月日に基づいて当該子供の手が届く高さである最高到達高さを決定する第1決定処理と、子供を検知した上記第1センサの上記センサ識別情報と対応付けられた上記窓下高さを上記第1テーブルから取得する窓下高さ取得処理と、上記窓下高さ及び上記最高到達高さに基づいて危険か否かを判断する第1危険判断処理と、上記第1危険判断処理で危険と判断したことに基づいて、危険情報を出力する報知処理と、を実行する。
【0007】
子供の成長とともに、子供の手が届く高さ(最高到達高さ)が高くなる。子供の手が窓の下端に届くと、子供が窓から転落する危険が生じる。コントローラは、子供の生年月日に基づいて最高到達高さを取得し、最高到達高さ及び窓下高さに基づいて、子供の手が窓の下端に届くと判断すると、例えば住宅に設置したスピーカや両親の所持する通信端末に対して危険情報を出力する。したがって、本発明に係る危険報知システムは、窓からの子供の転落を防止することができる。また、本発明に係る危険報知システムは、子供の成長に合わせて最高到達高さを入力するユーザ(住人)の手間を省くことができる。
【0008】
(2) 請求項2は、上記コントローラは、上記第1センサの検出値に基づいて、子供の足場となる物体が上記検知領域に存在するか否かを判断する第2判断処理と、上記物体が存在すると判断したことに基づいて、当該物体の高さである物体高さを取得する物体高さ取得処理と、を更に実行し、上記第1危険判断処理は、上記物体高さに更に基づいて危険か否かを判断する処理である、請求項1に記載の危険報知システム。
【0009】
窓のそばに椅子などの物体が置かれている場合、子供が当該物体を足場にして窓の下端に手をかけるおそれが生じる。コントローラは、子供が物体を足場にして窓の下端に手が届くと判断すると、住宅に設置したスピーカや両親の所持する通信端末に対して危険情報を出力する。したがって、本発明に係る危険報知システムは、窓からの子供の転落を更に有効に防止することができる。
【0010】
(3) 請求項3は、窓に設けられた錠のロック状態に応じた検出値及びアンロック状態に応じた検出値を出力する第2センサを更に備えており、上記第1テーブルは、上記センサ識別情報と錠高さとを更に対応付けており、上記コントローラは、上記第2センサの検出値に基づいて上記錠が上記ロック状態であるか上記アンロック状態であるかを判断する第3判断処理を更に実行し、上記アンロック状態であると判断したことに基づいて上記窓下高さ取得処理及び上記第1危険判断処理を実行し、上記ロック状態であることに基づいて、子供を検知した上記第1センサの上記センサ識別情報と対応付けられた上記錠高さを上記第1テーブルから取得する錠高さ取得処理、及び上記錠高さと上記最高到達高さとに基づいて危険か否かを判断する第2危険判断処理を実行する、請求項1または2に記載の危険報知システム。
【0011】
窓に設けられた錠がロック状態である場合、子供の手が当該錠に届くと子供が窓から転落するおそれが生じる。他方、当該錠がアンロック状態である場合、子供の手が窓の下端に届くと子供が窓から転落するおそれが生じる。コントローラは、窓に設けられた錠の状態を判断し、錠がロック状態である場合は、子供の手が当該錠に届かないと判断すると危険情報を報知しない。したがって、本発明に係る危険報知システムは、錠がロック状態であって且つ子供の手が錠に届かない安全な状況において不必要に危険情報が報知されることを抑制することができる。
【0012】
(4) 請求項4は、上記メモリは、年齢と、最高到達高さに応じた値とを対応付けた第2テーブルを更に備えており、上記第1決定処理は、上記メモリに記憶された生年月日及び本日の日付に基づいて子供の年齢を算出する処理と、算出した年齢と上記第2テーブルにおいて対応付けられた上記最高到達高さを取得する処理と、を含む、請求項1から3のいずれかに記載の危険報知システム。
【0013】
コントローラは、登録された生年月日と第2テーブルとを用いて、子供の手が届く高さである最高到達高さを取得する。
【0014】
(5) 請求項5は、インターネットに接続された通信インタフェースをさらに備えており、上記第1テーブルは、上記センサ識別情報と、窓の設置場所及び上記窓下高さを示す窓情報とを対応付けており、上記コントローラは、ユーザ識別情報及び要求情報を上記通信インタフェースを通じて設計データ管理サーバに送信する要求送信処理と、上記要求情報に対する返信であって、上記窓情報を含む返信を受信する受信処理と、上記窓情報を上記第1テーブルに登録する登録処理と、を更に実行する、請求項1から4のいずれかに記載の危険報知システム。
【0015】
設計データ管理サーバは、お客様IDやお客様コードであるユーザ識別情報と、住宅の設計データとを対応付けて管理する。住宅の設計データは、住宅における窓の設置場所及び窓下高さを含む窓情報を有する。コントローラは、ユーザ識別情報を含む要求情報を設計データ管理サーバに送信して窓情報を受信し、受信した窓情報を第1テーブルに登録する。したがって、コントローラは、窓情報を情報処理装置に入力するユーザ(住人)の手間を省くことができる。
【0016】
(6) 請求項6は、上記第1センサは、天井に設置されて上記検知領域の床までの距離或いは上記検知領域に居る人までの距離を検出する測距センサであり、上記メモリは、子供の名前と生年月日とを対応付けた第3テーブルを更に備えており、上記第1判断処理は、上記第1センサが検出した距離及び閾値距離に基づいて大人か子供であるかを判断する処理と、上記メモリに記憶された生年月日及び本日の日付に基づいて各子供の年齢を算出し、算出した各年齢から決定された高さと、上記第1センサが検出した距離とに基づいて、上記検知領域に居る子供を特定する処理と、を含む、請求項1から5のいずれかに記載の危険報知システム。
【0017】
まず、第1センサが検出した距離と閾値距離とに基づいて、検知した人が大人であるか子供であるかが判断される。更に、子供の生年月日から現在の年齢が算出され、算出された年齢から、子供の身長や四つ這い時の高さなどである子供の高さが決定される。決定された子供の高さと、第1センサが検出した距離とに基づいて、第1センサが検出した子供が特定される。
【0018】
(7) 請求項7は、上記第1センサは、天井に設置されて上記検知領域を撮像するカメラであり、上記メモリは、子供の撮像画像を示す子供画像データを記憶しており、上記第1判断処理は、上記カメラの撮影画像と上記子供画像データとに基づいて上記検知領域に子供が居るか否かを判断する処理である、請求項1から6のいずれかに記載の危険報知システム。
【0019】
撮像画像に基づいて、検知された人が子供であるか否かが判断される。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る危険報知システムは、窓からの子供の転落を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、実施形態に係る危険報知システム10の構成図及び機能ブロック図である。
図2図2は、窓51を含む室50の一部の縦断面図であり、(A)は検知領域52に子供が居る状態を示し、(B)は検知領域に物体が置かれた状態を示す。
図3図3(A)は、家族管理テーブルを示す図であり、図3(B)は、窓情報管理テーブルを示す図であり、図3(C)は、対応テーブルを示す図である。
図4図4(A)は、家族情報登録処理のフローチャートであり、図4(B)は、窓情報ダウンロード処理のフローチャートである。
図5図5は、監視処理のフローチャートである。
図6図6は、変形例1における監視処理のフローチャートである。
図7図7は、変形例2における監視処理のフローチャートである。
図8図8は、変形例3における監視処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は、本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。また、図4及び図5から図8に示す家族情報登録処理、窓情報ダウンロード処理、及び監視処理では、本発明の要旨を変更しない範囲で、各処理の実行順が適宜変更されてもよいし、処理の一部が省略されてもよいし、他の処理が追加されてもよいし、同等の他の処理に代えられてもよい。
【0023】
本実施形態で説明される危険報知システム10(図1参照)は、住宅に使用される。当該住宅は、主に1つの世帯が住む個人住宅であってもよいし、複数の世帯が住む集合住宅であってもよい。また、当該住宅は、木造住宅であってもよいし、鉄骨住宅であってもよい。また、当該住宅は、主に複数階を有する住宅であるが、1階のみを有する住宅であってもよい。
【0024】
本実施形態では、危険報知システム10が、複数階の個人住宅に設置された例が説明される。当該住宅は、リビング、ダイニング、及びキッチン(いわゆるLDK)や、和室や、寝室や、子供部屋などの複数の室50(図2参照)を有する。
【0025】
図1に示されるように、危険報知システム10は、人及び物を検知する複数の測距センサ20と、窓51の錠の状態を検知する複数の錠センサ30と、情報処理装置40と、複数の表示装置16と、を備える。
【0026】
測距センサ20、錠センサ30、及び表示装置16と情報処理装置40とは、LANケーブルなどの通信線によって通信可能に接続され、或いは、Wi-Fiなどの無線LANによって通信可能に接続されている。すなわち、測距センサ20及び錠センサ30が出力した検出値は、情報処理装置40に入力可能である。また、情報処理装置40は、表示装置16に画面データや音声データなどを送信して表示装置16に画面を表示させたり音声を出力させたりすることができる。
【0027】
図1には、住宅の住人が所持する通信端末13、及び住宅の設計を行った住宅メーカが使用する管理サーバ14も示されている。通信端末13及び管理サーバ14は、危険報知システム10に含まれてもよいし、含まれなくてもよい。
【0028】
また、図1には、セキュリティに関するサービスを提供する事業者(いわゆるセキュリティ会社)が管理するセキュリティ管理サーバ15も示されている。セキュリティ管理サーバ15は、インターネット11に接続されたWebサーバである。セキュリティ会社の従業者は、例えば情報処理装置40が送信した危険通知情報をセキュリティ管理サーバ15が受信したことに基づいて、当該危険通知情報が示すユーザの住宅に電話をかけ、或いは当該住宅へ人を派遣する。セキュリティ管理サーバ15は、危険報知システム10に含まれてもよいし、含まれなくてもよい。
【0029】
通信端末13は、例えばスマートフォン(登録商標)である。通信端末13と情報処理装置40とは、インターネット11及び移動体通信網(基地局)12を通じて相互に通信可能である。また、通信端末13と情報処理装置40とは、近接無線通信によって、インターネット11及び移動体通信網12を介さずに直接通信することも可能である。情報処理装置40は、近接無線通信の範囲内に通信端末13を検知した場合、すなわち住人が住宅に居る場合、近接無線通信によって危険情報を住人に通知し、近接無線通信の範囲内に通信端末13を検知できない場合、すなわち住人が住宅に居ない場合、インターネット11及び移動体通信網12を介して危険情報を住人に通知する。
【0030】
管理サーバ14は、インターネット11に接続されたWebサーバである。管理サーバ14は、住宅の設計データ(データベース)を管理する。詳しく説明すると、住宅メーカの設計者は、CAD(Computer Aided Design)を用いて住宅の設計データを作成する。設計データは、例えば室50の床56の隅を原点とした床56の他の隅を示す3次元座標や、天井53の各端(隅)を示す3次元座標や、壁54の各端の3次元座標や、窓51の各隅を示す3次元座標や、錠55を示す3次元座標等と、センサIDとを有する。設計データは、管理サーバ14が管理するデータベースに登録される。管理サーバ14は、設計データ管理サーバの一例である。
【0031】
表示装置16は、住宅が有する各部屋にそれぞれ設置される。表示装置16は、ランドリールームや廊下やテラスなどに設置されていてもよい。表示装置16は、例えばユーザ(住人)の希望する場所に設置される。表示装置16は、例えば表示画面及びスピーカを有するモニタである。パーソナルコンピュータに付設されたディスプレイやテレビなどの既設の設備が表示装置16として流用されてもよい。表示装置16に個々に付されたIDが情報処理装置40に登録される。なお、表示装置16は、情報処理装置40の一部であってもよい。
【0032】
測距センサ20は、検出波として音波或いは超音波を放射し、検知物体で反射された反射波を受信する音波センサ或いは超音波センサであり、或いは検出光としてレーザ光を照射し、検知物体で反射された反射光を受光するレーザセンサであり、或いは検出波として電波を放射し、検知物体で反射された反射波を受信するレーダセンサである。測距センサ20は、自己と検知物体までの距離に応じた検出値と、自己に付されたセンサIDとを出力する。なお、検知物体までの距離を検知可能であれば、音波センサや超音波センサやレーザセンサやレーダセンサ以外のセンサが測距センサ20として用いられてもよい。測距センサ20は、第1センサの一例である。センサIDは、センサ識別情報の一例である。
【0033】
図2に示されるように、測距センサ20は、室50の窓51ごとに設置されている。測距センサ20は、室50における窓51に面した検知領域52に検出波を放射し、或いは検出光を照射する位置及び向きで室50に設置されている。具体的には、測距センサ20は、室50の天井53における窓51の近傍に、下向きに検出波(或いは検出光)を放射(或いは照射)する向きで設置されている。なお、検知領域52に検出波(或いは検出光)を放射(或いは照射)可能であれば、測距センサ20は、天井以外に設けられていてもよい。例えば、測距センサ20は、室50の壁54の上部に設置されていてもよい。また、測距センサ20は、住宅の廊下など室50以外の場所に窓が設けられている場合、当該窓に対して設けられていてもよい。すなわち、測距センサ20が対応して設けられる窓51は、室50が有する窓に限られない。
【0034】
測距センサ20には、検知領域52に進入した人(住人)と、検知領域52に置かれた物体との両方を検知可能なセンサが用いられる。例えば、検知領域52を分割した小領域ごとにそれぞれ検出波を放射する複数のアンテナを有する音波センサや超音波センサや電波センサが測距センサ20として用いられ、或いは、小領域ごとにそれぞれ検出光を照射する複数の照射部及び受光部を有するレーザセンサが測距センサ20として用いられる。或いは、小領域ごとにそれぞれ検出波を放射する複数の音波センサや超音波センサや電波センサのセットが測距センサ20として用いられ、小領域ごとにそれぞれ検出光を照射する複数のレーザセンサのセットが測距センサ20として用いられる。
【0035】
錠センサ30は、窓51に設けられた錠55に対して設けられる。錠55は、例えばクレセント錠である。但し、錠55は、クレセント錠以外の錠であってもよい。錠55は、例えば電子錠或いは電気錠であってもよい。以下では、錠55がクレセント錠である場合について説明がされる。
【0036】
錠センサ30は、錠55が窓51をロック(施錠)したロック状態であるか、窓51をロックしていないアンロック状態であるかを示す検出値を出力する。
【0037】
錠センサ30は、例えば、アンロック状態(或いはロック状態)からロック状態(或いはアンロック状態)にされた錠55によって押圧される操作部を有するタクトスイッチやマイクロスイッチやリミットスイッチなどのスイッチである。或いは錠センサ30は、アンロック状態(或いはロック状態)の錠55を検知する磁気センサである。或いは錠センサ30は、LED及びフォトダイオードを有するフォトインタラプタ(透過型フォトセンサ)である。アンロック状態(或いはロック状態)の錠55は、LEDとフォトダイオードとの間に位置し、ロック状態(或いはアンロック状態)の錠55は、LEDとフォトダイオードとの間から退避した位置に位置する。なお、錠55の状態に応じた検出値を出力可能であれば、スイッチや磁気センサやフォトインタラプタ以外のセンサが錠センサ30として用いられてもよい。
【0038】
錠センサ30は、ロック状態を示す検出値或いはアンロック状態を示す検出値と、自己に付されたセンサIDとを出力する。錠センサ30は、第2センサの一例である。
【0039】
錠センサ30は、窓51のサッシにおける錠55の近傍など、錠55の状態を検知可能な位置に設置される。なお、錠センサ30は、錠55の状態を検知可能であれば、壁54や天井53などに設置されていてもよい。
【0040】
情報処理装置40は、中央演算処理装置であるCPU41と、メモリ42と、クロックモジュール43と、タッチパネル44と、スピーカ49と、通信インタフェース45と、を備える。CPU41は、コントローラの一例である。
【0041】
メモリ42は、オペレーティングシステムであるOS46と、管理プログラム47と、複数のテーブル(図3参照)と、を記憶する。なお、図1に破線で示された人/物判断プログラム48については変形例において説明される。
【0042】
OS46及び管理プログラム47は、CPU41によって実行される。
【0043】
管理プログラム47は、図4及び図5に示す処理をCPU41に実行させるプログラムである。
【0044】
クロックモジュール43は、例えばICであって、日時を示す日時情報を出力する。なお、管理プログラム47がインターネット11を通じて日時情報を取得可能であれば、クロックモジュール43は設けられていなくてもよい。
【0045】
タッチパネル44は、ディスプレイと、当該ディスプレイに重ねられた透明な膜状のタッチセンサと、を有する。すなわち、タッチパネル44は、表示機能及び入力受付機能を有する。
【0046】
スピーカ49は、情報処理装置40に付設されていてもよいし、各室50にそれぞれ付設されていてもよい。スピーカ49は、入力された音声データに応じた音声を出力する。
【0047】
通信インタフェース45は、測距センサ20、錠センサ30、及びインターネット11と、ルータなどのゲートウェイ装置を介して有線或いは無線接続されている。また、通信インタフェース45は、近接無線通信のインタフェースでもある。
【0048】
図1に破線で示された3Dレーザセンサ61、ステレオカメラ62、及びカメラ63については、変形例において説明される。
【0049】
メモリ42が記憶するテーブルは、図3(A)に示される家族管理テーブルと、図3(B)に示される窓情報管理テーブルと、図3(C)に示される対応テーブルと、を含む。
【0050】
図3(A)に示される家族管理テーブルは、ユーザIDと、ユーザ(住人)の家族の氏名と、属性と、生年月日と、通信アドレスと、を対応付けるテーブルである。属性は、父親や母親や長男や長女や次男や祖父や祖母などである。通信アドレスは、父親や母親や祖父や祖母が有する通信端末13の通信アドレスである。なお、図3(A)に示す家族管理テーブルでは、祖父及び祖母のレコードは省略されている。家族管理テーブルは、第3テーブルの一例である。
【0051】
家族管理テーブルは、項目名「ユーザID」、「氏名」、「属性」、「生年月日」、及び「通信アドレス」が付された複数のカラムを有する。
【0052】
項目名「ユーザID」が付されたカラムのフィールドには、ユーザ(住人)を識別する識別情報であるユーザIDが登録される。ユーザIDは、例えばお客様番号やお客様コードなどである。
【0053】
項目名「氏名」が付されたカラムのフィールドには、住宅に住む住人の氏名が登録される。
【0054】
項目名「属性」が付されたカラムのフィールドには、住宅に住む住人の属性が登録されている。
【0055】
項目名「生年月日」が付されたカラムのフィールドには、住宅に住む住人のうち、子供の生年月日が登録されている。
【0056】
項目名「通信アドレス」が付されたカラムのフィールドには、住宅に住む住人のうち、危険情報を通知する両親や祖父母の通信端末13の通信アドレスが登録されている。
【0057】
タッチパネル44において入力されたユーザID、氏名、属性、生年月日、及び通信アドレスが、項目名「ユーザID」「氏名」、「属性」、「生年月日」、及び「通信アドレス」が付されたカラムのフィールドに、管理プログラム47によってそれぞれ登録される。
【0058】
図3(B)に示される窓情報管理テーブルは、センサIDと、窓情報とを対応付けるテーブルである。すなわち、測距センサ20及び錠センサ30が設けられた窓と、当該窓の窓情報とが窓情報管理テーブルにおいて対応付けられている。窓情報管理テーブルは、第1テーブルの一例である。
【0059】
窓情報管理テーブルは、項目名「センサID」及び「窓情報」が付された2つのカラムを有する。項目名「センサID」が付されたカラムは、項目名「測距センサ」及び「錠センサ」が付された2つのサブカラムを更に有する。項目名「窓情報」が付されたカラムは、「階」、「室名」、「向き」、「窓下高さHc」、及び「錠高さHd」が付された5つのサブカラムを更に有する。なお、項目名「窓情報」が付されたカラムは、「階」、「室名」、「向き」、「窓下高さHc」、及び「錠高さHd」以外の窓情報を示すサブカラムを更に有していてもよい。
【0060】
項目名「測距センサ」が付されたサブカラムのフィールドには、複数の測距センサ20に個々に付されたセンサIDが登録される。図3(B)に示す例では、測距センサ20のセンサIDとして、「B01」や「B02」が登録されている。「B01」は、1階のリビングの南側に設けられた窓51に対して設置された測距センサ20のセンサIDであり、「B02」は、1階の和室の東側に設けられた窓51に対して設置された測距センサ20のセンサIDである。
【0061】
項目名「錠センサ」が付されたサブカラムのフィールドには、複数の錠センサ30に個々に付されたセンサIDが登録される。図3(B)に示す例では、錠センサ30のセンサIDとして、「C01」や「C02」が登録されている。「C01」は、1階のリビングの南側に設けられた窓51の錠55に対して設置された錠センサ30のセンサIDであり、「C02」は、1階の和室の東側に設けられた窓51の錠55に対して設置された錠センサ30のセンサIDである。
【0062】
項目名「階」が付されたサブカラムのフィールドには、窓51が設置された室50の階数が登録される。項目名「室名」が付されたサブカラムのフィールドには、窓51が設置された室50の室名が登録される。項目名「向き」が付されたサブカラムのフィールドには、窓51が設置された室50における向きとして、「東」、「西」、「南」、「北」等が登録される。
【0063】
項目名「窓下高さHc」が付されたサブカラムのフィールドには、室50の床56から窓51の下枠(下サッシ)までの距離である窓下高さHcが登録される。なお、窓下高さHcがゼロである窓は、いわゆる掃き出し窓である。
【0064】
なお、開閉不可の窓や、滑り出し窓や、突き出し窓や、開口幅が110mm未満の窓など、子供が転落するおそれのない窓は、窓情報管理テーブルに登録されなくともよい。
【0065】
項目名「錠高さHd」が付されたサブカラムのフィールドには、室50の床56から窓51の錠55までの距離である錠高さHdが登録される。
【0066】
センサID及び窓情報は、管理プログラム47が管理サーバ14から取得して窓情報管理テーブルに登録する。
【0067】
図3(C)に示された対応テーブルは、メモリ42に予め記憶されるテーブルである。対応テーブルは、年齢と、当該年齢における推定身長及び最高到達高さHbとを対応付けている。対応テーブルは、第2テーブルの一例である。
【0068】
対応テーブルは、項目名「年齢」、「推定身長」、及び「最高到達高さHb」がそれぞれ付された3つのカラムを有する。
【0069】
項目名「年齢」が付されたカラムのフィールドには、「9月」や「1歳0月」など、子供の年齢が、3月ごとに登録されている。なお、対応テーブルに登録される子供の年齢は、3月ごとではなく、1月ごとや2月ごとや4月ごとや6月ごとなどであってもよい。
【0070】
項目名「推定身長」が付されたカラムのフィールドには、子供の推定身長が登録されている。年齢及び推定身長には、子供の年齢と身長との調査によって作成された「子供の成長曲線を含む統計データ」が用いられる。
【0071】
項目名「最高到達高さHb」が付されたカラムのフィールドには、子供の手が届く高さの推定値が登録されている。子供の手が届く高さは、例えば身長の1.2倍である。なお、管理プログラム47が、推定身長を1.2倍して最高到達高さHbを算出する場合、項目名「最高到達高さHb」が付されたカラムは対応テーブルに設けられていなくてもよい。その場合、推定身長は、最高到達高さに応じた値の一例である。
【0072】
最高到達高さHbには、マージンが設けられていてもよい。例えば、最高到達高さHbは、推定身長の1.3倍とされてもよいし、推定身長の1.2倍に所定値(マージン)を加算した値とされてもよい。また、子供がジャンプ(垂直飛び)可能な年齢以上である場合、最高到達高さHbは、推定身長の1.2倍に、年齢に応じたジャンプ高さが加算された値とされてもよい。
【0073】
以下では、管理プログラム47がCPU41に実行させる家族情報登録処理、窓情報ダウンロード処理、及び監視処理について説明がされる。なお、管理プログラム47がCPU41に実行させる処理は、コントローラであるCPU41、或いは情報処理装置40が実行する処理でもある。以下では、管理プログラム47がCPU41に実行させる処理は、単に管理プログラム47が実行する処理として説明される。
【0074】
図4(A)に示されるように、管理プログラム47は、電源がオンにされたことに基づいて、ホーム画面をタッチパネル44に表示させる(S11)。ホーム画面は、家族情報入力画面の表示指示を受け付ける表示指示アイコンを有する。住人、或いは危険報知システム10を用いたサービスを住人に提供するサービス提供者は、タッチパネル44を通じて、当該アイコンを選択する。管理プログラム47は、当該アイコンの選択を受け付けたことに基づいて(S12)、家族情報入力画面をタッチパネル44に表示させる(S13)。住人或いはサービス提供者は、家族情報入力画面において、ユーザID、住人(家族)の氏名、属性、子供の生年月日、及び通信アドレスを入力する。管理プログラム47は、ユーザID、住人(家族)の氏名、属性、子供の生年月日、及び通信アドレスの入力を受け付ける(S14)。管理プログラム47は、入力されたユーザID、住人(家族)の氏名、属性、子供の生年月日、及び通信アドレスを家族管理テーブル(図3(B)参照)に登録する(S15)。なお、サービス提供者と住宅の設計を行った住宅メーカとは、同一であってもよいし、相違していてもよい。ステップS15の処理は、第1記憶処理の一例である。
【0075】
タッチパネル44に表示されるホーム画面は、窓情報の登録指示を受け付ける登録指示アイコンを有する。住人或いはサービス提供者は、登録指示アイコンを選択する。図4(B)に示されるように、管理プログラム47は、登録指示アイコンの選択を受け付けたことに基づいて(S21)、家族管理テーブル(図3(B)参照)に登録されたユーザIDと、要求情報と、を含むHTTPリクエストを生成する(S22)。要求情報は、例えばユーザIDを付帯するコマンドである。ユーザIDは、ユーザ識別情報の一例である。
【0076】
管理プログラム47は、生成したHTTPリクエストを、通信インタフェース45及びインターネット11を通じて住宅メーカの管理サーバ14に送信する(S23)。なお、管理サーバ14の通信アドレスは、メモリ42に予め記憶されている。ステップS23の処理は、要求送信処理の一例である。
【0077】
管理サーバ14は、HTTPリクエストを受信したことに基づいて(S23)、管理するデータベースにおいて検索を行う(S24)。具体的には、管理サーバ14は、受信したHTTPリクエストに含まれるユーザIDと一致するユーザIDを有するレコードを当該データベースにおいて特定する。管理サーバ14は、特定したレコードに登録されたセンサID及び窓情報を読み出し、読み出したセンサID及び窓情報を含むHTTPレスポンスを生成する(S25)。管理サーバ14は、生成したHTTPレスポンスを、ステップS23で受信したHTTPリクエストに対して返信する(S26)。なお、開閉不可の窓に関する窓情報は、読み出す窓情報から除外されてもよい。開閉不可の窓であるか否かは、上述のデータベースに予め登録されている。
【0078】
管理プログラム47は、HTTPレスポンスを受信したことに基づいて(S26)、受信したHTTPレスポンスに含まれるセンサID及び窓情報を、窓情報管理テーブル(図3(B)参照)に登録する(S27)。ステップS26の処理は、受信処理の一例である。ステップS27の処理は、登録処理の一例である。
【0079】
図5に示される監視処理は、管理プログラム47が実行する処理であって、子供が窓51から転落するおそれが生じた場合に住人に通知する処理である。
【0080】
監視処理は、例えば情報処理装置40の電源がオンにされたことに基づいて、或いは監視処理の実行指示がタッチパネル44を通じて入力されたことに基づいて実行される。
【0081】
測距センサ20は、検出値及びセンサIDを所定のサンプリング周期で繰り返し出力する。所定のサンプリング期間は、例えば数十ミリ秒から数秒までである。管理プログラム47は、測距センサ20が出力した検出値及びセンサIDを取得してメモリ42に記憶させる(S31)。メモリ42は、1つの測距センサ20に対して、複数の検出値を記憶可能な記憶領域を有する。
【0082】
管理プログラム47は、複数の検出値に基づいて、人を検知したか否かを判断する(S32)。詳しく説明すると、検知領域52内において人が移動すると、測距センサ20と人との間の距離が変化する。他方、検知領域52内に人が居ない場合、測距センサ20は、自己と床56或いは物体との間の距離(一定値)を検出する。管理プログラム47は、複数の検出値がそれぞれ示す検出距離が変化することに基づいて人を検知したと判断し(S32:Yes)、複数の検出値がそれぞれ示す検出距離が変化しないことに基づいて、人を検知していないと判断する(S32:No)。
【0083】
管理プログラム47は、人を検知していないと判断すると(S32:No)、測距センサ20が検出した検出距離が、メモリ42に予め記憶された第1閾値距離未満であるか否かを判断する(S33)。第1閾値距離は、天井53或いは測距センサ20から床56までの距離である。すなわち、ステップS33では、測距センサ20が床56までの距離を検出したか、検知領域52に置かれた椅子などの物体を検知したかが判断される。換言すると、ステップS33では、物体が検知領域52に置かれているか否かが判断される。ステップS33の処理は、第2判断処理の一例である。
【0084】
管理プログラム47は、検出距離が第1閾値距離未満であって、物体が検知領域52に置かれていると判断すると(S33:Yes)、物体高さHaを算出し、算出した物体高さHaと、当該検出距離を検出した測距センサ20のセンサIDとを対応付けてメモリ42に記憶させる(S34)。物体高さHaは、第1閾値距離から検出距離を減じることによって算出される。物体高さHaは、子供が物体を足場にした場合の足場の高さを示す。ステップS34の処理は、物体高さ取得処理の一例である。
【0085】
管理プログラム47は、検出距離が第1閾値距離以上であって、物体が検知領域52に置かれていないと判断すると(S33:No)、メモリ42に記憶された物体高さHaをゼロで上書きする(S35)。物体高さHaがゼロであることは、子供が足場とする物体が床56に置かれていないことを示す。なお、物体が検知領域52に置かれた後、検知領域52から移動された場合、物体の高さを示す物体高さHaがメモリ42に記憶された後、物体高さHaにゼロが上書きされる。
【0086】
管理プログラム47は、ステップS34或いはS35の処理の実行後、ステップS31の処理を再度実行する。ステップS31の処理は、上述のように、所定のサンプリング周期で繰り返される。
【0087】
管理プログラム47は、ステップS32において、人(住人)を検知したと判断すると(S32:Yes)、検出距離が、メモリ42に予め記憶された第2閾値距離未満であるか否かを判断する(S36)。第2閾値距離は、天井53或いは測距センサ20から床56までの距離から、所定身長を減じた距離である。所定身長は、例えば窓51からの転落のおそれが低い小学校高学年(11歳)以上の身長であって、例えば140cmである。すなわち、ステップS36では、検知した人(住人)が父親や母親や祖父や祖母などの大人であるか子供であるかが判断される。なお、管理プログラム47は、家族情報登録処理(図4(A)参照)において、父親や母親や祖父や祖母などの大人のうち、最も背の低い大人の身長の入力を受け付け、入力された身長を用いて第2閾値を算出してメモリ42に記憶させてもよい。ステップS36の処理は、第1判断処理の一例である。第2閾値距離は、閾値距離の一例である。
【0088】
管理プログラム47は、検出距離が第2閾値未満であって、検知した人が大人であると判断すると(S36:Yes)、ステップS37以降の処理をスキップし、監視処理を終了するか否かを判断する(S52)。例えば、管理プログラム47は、タッチパネル44を通じて終了指示が入力され、或いは情報処理装置40の電源がオフにされたことに基づいて、監視処理を終了すると判断する。管理プログラム47は、監視処理を終了すると判断すると(S52:Yes)、監視処理を終了し(エンド)、監視処理を終了しないと判断すると(S52:No)、ステップS31以降の処理を再度実行する。
【0089】
管理プログラム47は、検出距離が第2閾値以上であって、検知した人が子供であると判断すると(S36:No)、本日の日付と、家族情報管理テーブル(図3(A)参照)に登録された子供の生年月日に基づいて、各子供の年齢を算出する(S37)。ステップS37の処理は、子供の年齢を算出する処理の一例である。
【0090】
管理プログラム47は、算出した年齢と、対応テーブル(図3(C)参照)とに基づいて、各子供の推定身長を取得する(S38)。各子供の推定身長は、「年齢から決定された高さ」の一例である。
【0091】
管理プログラム47は、天井53或いは測距センサ20から床56までの距離から検出距離を減じることにより、検知した子供の身長(検出身長)を算出する(S39)。
【0092】
子供は時に奇抜な行動を取るため、子供が、立って検知領域52内を移動する場合と、中腰や膝立ちなどで検知領域内52を移動する場合と、四つん這いで検知領域52内を移動する場合とが想定される。子供が立って検知領域52内を移動する場合、ステップS38で取得した推定身長は、ステップS39で算出された検出身長に近似する。
【0093】
管理プログラム47は、推定身長が検出身長に近似するか否かを判断する(S40)。例えば、生年月日から推定された長男の推定身長が110cmであり、生年月日から推定された長女の推定身長が95cmであり、生年月日から推定された次男の推定身長が80cmであり、検出身長が108cmである場合、管理プログラム47は、推定身長(110cm)が検出身長(108cm)に近似すると判断する(S40:Yes)。他方、長男の推定身長が110cmであり、長女の推定身長が95cmであり、次男の推定身長が80cmであり、長男が膝立ちで移動していて検出身長が90cmであった場合、管理プログラム47は、推定身長が検出身長に近似しないと判断する(S40:No)。近似の範囲は、試行錯誤(トライアルアンドエラー)や、いわゆる機械学習によって決定される。機械学習は、例えば測距センサ20によって検出した種々の身長の子供の四つ這い高さを学習データとして収集し、既存の人工知能(AI)に学習データを入力することで行われる。ステップS40の処理は、検知領域に居る子供を特定する処理の一例である。
【0094】
管理プログラム47は、推定身長が検出身長に近似すると判断すると(S40:Yes)、検出身長に近似すると判断した推定身長に対応する最高到達点高さHbを対応テーブル(図3(C)参照)から読み出してメモリ42に一時記憶させる(S41)。上述の例では、検出身長の108cmに近似する推定身長が110cmである長男を、検知領域52に居る子供であると決定し、長男の年齢に対応する最高到達高さHbを対応テーブルから読み出してメモリ42に一時記憶させる。ステップS41の処理は、第1決定処理の一例である。
【0095】
管理プログラム47は、ステップS40において、推定身長が検出身長に近似しないと判断すると(S40:No)、ステップS38で取得した推定身長に基づいて、各子供の四つ這い高さを算出する(S42)。四つ這い高さは、四つ這い状態における子供の頭の高さである。メモリ42は、推定身長が代入されることにより四つ這い高さを出力する演算式を予め記憶する。管理プログラム47は、当該演算式と、ステップS38で取得した推定身長とに基づいて、四つ這い高さを算出する。四つ這い高さは、「年齢から決定された高さ」の一例である。
【0096】
管理プログラム47は、算出した四つ這い高さが検出身長に近似するか否かを判断する(S43)。例えば、生年月日から推定された長男の四つ這い高さが60cmであり、生年月日から推定された長女の四つ這い高さが50cmであり、生年月日から推定された次男の四つ這い高さが40cmであり、検出身長が51cmである場合、管理プログラム47は、四つ這い高さ(50cm)が検出身長(51cm)に近似すると判断する(S43:Yes)。他方、長男の四つ這い高さが60cmであり、長女の四つ這い高さが50cmであり、次男の四つ這い高さが40cmであり、長男が中腰で移動していて検出身長が80cmであった場合、管理プログラム47は、四つ這い高さが検出身長に近似しないと判断する(S43:No)。近似の範囲は、試行錯誤(トライアルアンドエラー)や、いわゆる機械学習によって決定される。ステップS43の処理は、検知領域に居る子供を特定する処理の一例である。
【0097】
管理プログラム47は、四つ這い高さが検出身長に近似すると判断すると(S43:Yes)、四つ這い高さの算出の元となった推定身長に対応する最高到達点高さHbを対応テーブル(図3(C)参照)から読み出してメモリ42に一時記憶させる(S41)。上述の例では、検出身長の51cmに近似する四つ這い高さが50cmである長女を、検知領域52に居る子供であると決定し、長女の年齢に対応する最高到達高さHbを対応テーブルから読み出してメモリ42に一時記憶させる。ステップS41の処理は、第1決定処理の一例である。
【0098】
管理プログラム47は、四つ這い高さが検出身長に近似しないと判断すると(S43:No)、ステップS38で取得した各子供の推定身長のうち、最も高い推定身長に対応する最高到達点高さHbを対応テーブル(図3(C)参照)から読み出してメモリ42に一時記憶させる(S44)。すなわち、検出身長に基づいて検知領域52に居る子供を長男、長女、次男のいずれかに特定できない場合、安全を考慮して、最も高い推定身長に対応する最高到達点高さHbが採用される。ステップS44の処理は、第1決定処理の一例である。
【0099】
管理プログラム47は、ステップS41或いはS44において最高到達高さHbをメモリ42に一時記憶させた後、錠センサ30が出力した検出値及びセンサIDを取得する(S45)。管理プログラム47は、取得した検出値に基づいて、子供が近づいた窓51の錠55がロック状態であるかアンロック状態であるかを判断する(S46)。具体的には、管理プログラム47は、ステップS31で取得したセンサIDに対応する錠センサ30のセンサIDを窓情報管理テーブルから取得し、取得したセンサIDと同一のセンサIDと対応付けられた検出値に基づいて、子供が近づいた窓51の錠55がロック状態であるかアンロック状態であるかを判断する。ステップS46の処理は、第3判断処理の一例である。
【0100】
管理プログラム47は、錠55の状態がアンロック状態であると判断すると(S46:アンロック)、子供が近づいた窓51の窓下高さHcを窓情報管理テーブル(図3(B)参照)から取得してメモリ42に一時記憶させる(S47)。具体的には、管理プログラム47は、ステップS31で取得した測距センサ20のセンサID或いはステップS45で取得した錠センサ30のセンサIDに対応する窓下高さHcを、窓情報管理テーブル(図3(B)参照)から取得する。ステップS47の処理は、窓下高さ取得処理の一例である。
【0101】
管理プログラム47は、ステップS41或いはS44でメモリ42に一時記憶させた最高到達高さHbが、ステップS47でメモリ42に一時記憶させた窓下高さHcから物体高さHaを減じた値(Hc-Ha)以上であるか否かを判断する(S48)。すなわち、ステップS48では、窓51の錠55がロックされていない状態において、足場となる物体があれば当該物体に上った子供の手が窓51の下枠に届くか否かが判断される。ステップS48の処理は、第1危険判断処理の一例である。
【0102】
管理プログラム47は、Hbが「Hc-Ha」以上であると判断すると、すなわち子供の手が窓51の下枠に届くと判断すると(S48:Yes)、危険情報を母親や父親や祖父や祖母に報知する報知処理を実行する(S49)。具体的には、管理プログラム47は、子供が検知された窓51が設置された室名を、窓情報管理テーブルから取得し、当該室名と、メモリ42に予め記憶されたフォーマット音声データとに基づいて報知音声データを生成し、生成した報知音声データをスピーカ49に入力する。当該報知音声データは、例えば「子供が(室名)の窓の近くにいます」との音声を示す。
【0103】
また、管理プログラム47は、報知処理(S49)において、子供が検知された窓51が設置された室名を、窓情報管理テーブルから取得し、当該室名と、メモリ42に予め記憶されたテキストデータとを含む危険情報を、通信インタフェース45を通じて通信端末13に送信する。当該危険情報は、インターネット11を通じて、或いは近接無線通信により、通信端末13によって受信される。テキストデータは、例えば「子供が(室名)の窓の近くにいます。」のテキスト文を示すデータである。通信端末13は、受信した危険情報に含まれる室名及びテキスト文を含む危険報知画面を表示する。例えば危険報知画面は、「子供がリビングの窓の近くにいます。」の文字を有する。
【0104】
また、管理プログラム47は、報知処理(S49)において、上述の危険情報をタッチパネル44に入力し、危険報知画面をタッチパネル44に表示させる。
【0105】
また、管理プログラム47は、報知処理(S49)において、上述の危険情報及び報知音声データを表示装置16へ送信し、危険報知画面を表示装置16に表示させ、報知音声を表示装置16に出力させる。
【0106】
また、管理プログラム47は、報知処理(S49)において、子供が窓から転落するおそれが生じたことを示す危険通知情報をセキュリティ管理サーバ15へ送信する。
【0107】
住宅内に居てスピーカ49或いは表示装置16が出力した音声を聞いた大人、或いはタッチパネル44或いは通信端末13或いは表示装置16に表示された危険報知画面を見た大人は、報知された室名の室50に急行する。
【0108】
管理プログラム47は、ステップS46において錠55の状態がロック状態であると判断すると(S46:ロック)、子供が近づいた窓51の錠高さHdを窓情報管理テーブル(図3(B)参照)から取得してメモリ42に一時記憶させる(S50)。具体的には、管理プログラム47は、ステップS31で取得した測距センサ20のセンサID或いはステップS45で取得した錠センサ30のセンサIDに対応する錠高さHdを、窓情報管理テーブル(図3(B)参照)から取得する。ステップS50の処理は、錠高さ取得処理の一例である。
【0109】
管理プログラム47は、ステップS41或いはS44でメモリ42に一時記憶させた最高到達高さHbが、ステップS50でメモリ42に一時記憶させた錠高さHdから物体高さHaを減じた値(Hd-Ha)以上であるか否かを判断する(S51)。すなわち、ステップS51では、窓51の錠55がロックされた状態において、足場となる物体があれば当該物体に上った子供の手が錠55に届くか否かが判断される。ステップS51の処理は、第2危険判断処理の一例である。
【0110】
管理プログラム47は、Hbが「Hd-Ha」以上であると判断すると、すなわち子供の手が錠55に届くと判断すると(S51:Yes)、上述の報知処理を実行する(S49)。
【0111】
管理プログラム47は、ステップS48においてHbが「Hc-Ha」以上でないと判断すると(S48:No)、或いはステップS51においてHbが「Hd-Ha」以上でないと判断すると(S51:No)、ステップS49の報知処理をスキップする。
【0112】
管理プログラム47は、監視処理を終了するか否かを判断し(S52)、終了しないと判断すると(S52:No)、ステップS31以降の処理を再度実行し、終了すると判断すると(S52、Yes)、監視処理を終了する(エンド)。
【0113】
[実施形態の作用効果]
本実施形態では、窓51に近づいた子供の手が窓51の下枠に届く場合、危険情報が報知される。したがって、危険報知システム10は、子供が窓51から転落することを防止することができる。
【0114】
本実施形態では、子供の手が届く高さである最高到達高さHbを、生年月日及び本日の日付から算出する。したがって、危険報知システム10は、子供の身長や手が届く高さを子供の成長とともに住人が情報処理装置40に逐次入力する場合に比べ、住人の手間を省くことができる。
【0115】
本実施形態では、窓51のそばに椅子などの足場となる物体が置かれている場合、当該物体の高さHaが窓下高さHc或いは錠高さHdから減算されて最高到達高さHbと比較される。したがって、危険報知システム10は、窓51のそばに置かれた物体を考慮しない場合に比べ、子供が窓51から転落することを更に有効に防止することができる。
【0116】
本実施形態では、錠55がロック状態である場合は、子供の手が窓51の下枠ではなく錠55に届くか否かを判断する。したがって、危険報知システム10は、錠55がロック状態であって且つ子供の手が錠55に届かない安全な状況において不必要に危険情報が報知されることを抑制することができる。
【0117】
本実施形態では、管理プログラム47は、管理サーバ14からセンサID及び窓情報をダウンロードして窓情報管理テーブルに登録する。したがって、危険報知システム10は、センサID及び窓情報を情報処理装置40に入力する住人或いはサービス提供者の手間を省くことができる。
【0118】
[変形例1]
本変形例では、測距センサ20に代えて3Dレーザセンサ61(図1参照)が設けられ、情報処理装置40のメモリ42が人/物判断プログラム48(図1参照)を記憶する例が説明される。なお、以下で説明される構成及び処理以外の構成及び処理は、実施形態で説明された構成及び処理と同じである。実施形態で説明された構成及び処理は、実施形態と同一の符号及びステップ番号が付されて説明が省略される。
【0119】
3Dレーザセンサ61は、レーザ光を照射する照射部と、レーザ光の照射方向を変えて走査を行う走査部と、反射光を受光する受光部と、制御部と、を備える。
【0120】
走査部は、複数のレンズからなる光学系であってもよいし、モータなどであってもよい。走査部が光学系である場合、走査部は、レンズの向きを変えることによって走査を行う。走査部がモータである場合、操作部は、3Dレーザセンサ61自体の向きを変えて走査を行う。以下では、走査部が、レンズの向き変えることによって走査を行うものとして説明がされる。
【0121】
受光部は、反射光を集光する集光レンズと、CCDやCMOSなどの複数のイメージセンサと、を有する。複数のイメージセンサは、マトリクス状(格子状)に配置されている。集光レンズに入射した反射光は、入射角度に応じた位置のイメージセンサによって感知される。すなわち、マトリクス状に配置された複数のイメージセンサのうち、光を感知したイメージセンサは、反射光の入射角度、すなわちレーザ光を反射した物体の方向を示す。
【0122】
制御部は、例えばICである。制御部は、反射波を受光(感知)したイメージセンサの位置に基づいて、複数の画素データからなる画像データを生成する。当該画像データは、レーザ光を反射した物体までの距離を示す距離情報を更に含む。例えば制御部は、レーザ光を照射してから反射光を受光(感知)するまでの時間、或いは照射したレーザ光と受光した反射光との位相差によって、検知物体までの距離を算出し、距離情報として画像データに含ませる。すなわち、3Dレーザセンサ61が生成する画像データは、複数の画素データ及び距離情報を含む3次元画像データである。
【0123】
3Dレーザセンサ61は、室50の窓51ごとに設置されている。3Dレーザセンサ61は、室50における窓51に面した検知領域52にレーザ光を走査しつつ照射する。3Dレーザセンサ61は、自己に付されたセンサIDと、生成した3次元画像データとを、情報処理装置40に対して出力する。3Dレーザセンサ61は、第1センサ、測距センサ、及びカメラの一例である。
【0124】
人/物判断プログラム48は、画像に人や物が映っているか否かを判断するプログラムである。人/物判断プログラム48は、例えばディープラーニングなどによって育成されたプログラムを情報処理装置40にダウンロードして使用される。
【0125】
管理プログラム47は、図5に示される監視処理に代えて、図6に示される監視処理を実行する。
【0126】
管理プログラム47は、監視処理において、3Dレーザセンサ61が出力したセンサID及び3次元画像データを取得してメモリ42に記憶させる(S61)。管理プログラム47は、取得した3次元画像データに基づいて、応答情報を取得する(S62)。詳しく説明すると、管理プログラム47は、取得した3次元画像データ及び解析要求を、OS46を通じて人/物判断プログラム48に受け渡す。解析要求は、例えばコマンドである。なお、管理プログラム47は、3次元画像データに代えて、3次元画像データが記憶された記憶領域を示すパスを人/物判断プログラム48に受け渡してもよい。
【0127】
人/物判断プログラム48は、受け渡された3次元画像データが示す画像に人が映っているか否かや、物体が映っているか否かや、当該画像に映る人が長男、長女、次男のいずれであるかや、父親、母親、祖父、祖母などの大人であるか否かや、人が映って位置を示す人位置情報や、物が映っている位置を示す物位置情報などを特定する。
【0128】
例えば、人/物判断プログラム48は、3次元画像データにおいて、輝度や明度が閾値以上変化するか否かによって外形ラインを抽出する。人/物判断プログラム48は、外形ラインを抽出できなかった場合、3次元画像データが示す画像に人及び物体が映っていないと判断する。人/物判断プログラム48は、外形ラインを抽出できた場合、当該外形ラインの形状と、サンプル形状とが近似するか否かを判断する。サンプル形状は、各住人の画像から抽出された形状である。例えば、父親、母親、各子供(長男、長女、次男)、祖父、及び祖母の撮像によって得られた画像データから特定した外形ラインが、サンプル形状として採用される。人/物判断プログラム48は、3次元画像データから抽出した外形ラインが、いずれかのサンプル形状と近似する場合、近似するサンプル形状が示す人が3次元画像データが示す画像に映っていると判断する。人/物判断プログラム48は、3次元画像データから特定した外形ラインが、いずれのサンプル形状とも近似しないと判断した場合、3次元画像データが示す画像に物体が映っていると判断する。人/物判断プログラム48は、人が映っていると判断した場合、3次元画像データから抽出した外形ラインを示す物体位置情報(画素番号)を、人が映っている位置を示す人位置情報とする。人/物判断プログラム48は、物体が映っていると判断した場合、3次元画像データから抽出した外形ラインを示す物体位置情報(画素番号)を、物体が映っている位置を示す物位置情報とする。なお、人/物判断プログラム48における人や物体の特定方法は、上述した方法以外の方法が採用されてもよい。すなわち、どのような種別の人/物判断プログラム48が用いられてもよい。子供を撮像した画像から抽出されたサンプル形状は、子供画像データの一例である。
【0129】
人/物判断プログラム48は、特定した人を示す人物情報及び特定した人の位置を示す人位置情報、或いは特定した物の位置を示す物位置情報、或いは人が映っていないことを示す人検知無し情報、或いは物体が映っていないことを示す物体検知無し情報を含む応答情報を管理プログラム47に返す。人物情報は、父親や母親や祖父や祖母や長男や長女や次男を示す情報である。なお、人/物判断プログラム48は、応答情報に代えて、応答情報が記憶された記憶領域を示すパスを管理プログラム47に返してもよい。
【0130】
管理プログラム47は、人/物判断プログラム48が返した応答情報を取得する(S62)。管理プログラム47は、取得した応答情報に基づいて、検知領域52に人(住人)が居るか否かを判断する(S63)。管理プログラム47は、検知領域52に人が居ないと判断すると(S63:No)、応答情報に基づいて、検知領域52に物体が置かれているか否かを判断する(S64)。管理プログラム47は、子供の足場となる物体が検知領域52に置かれていると判断すると(S64:Yes)、物体高さHaを算出する(S65)。具体的には、管理プログラム47は、応答情報に含まれる物位置情報が示す画素と対応付けられた検出距離を3次元画像データから取得する。管理プログラム47は、取得した検出距離と、自己に対する物体の向きと、天井53から床56までの距離とに基づいて、物体高さHaを算出する。なお、検出距離、自己に対する物体の向き、及び天井53から床56までの距離が入力されることによって物体高さHaを算出する演算式がメモリ42に予め記憶されている。管理プログラム47は、算出した物体高さHaを、ステップS61で取得したセンサIDと対応付けてメモリ42に記憶させる(S34)。
【0131】
管理プログラム47は、ステップS64において物体が検知領域52に置かれていないと判断すると(S64:No)、メモリ42に記憶された物体高さHaをゼロで上書きする(S35)。管理プログラム47は、ステップS34或いはS35で物体高さHaをメモリ42に記憶させた後、ステップS61の処理を再度実行する。管理プログラム47は、所定のサンプリング周期でステップS61以降の処理を繰り返し実行する。所定のサンプリング期間は、例えば数十ミリ秒から数秒である。
【0132】
管理プログラム47は、ステップS63において検知領域52に人が居ると判断すると(S63:Yes)、取得した応答情報に基づいて、検知領域52に居る人(住人)が大人であるか子供であるかを判断する(S66)。ステップS66の処理は、第1判断処理の一例である。
【0133】
管理プログラム47は、検知領域52に居る人が大人であると判断すると(S66:Yes)、監視処理を終了するか否かを判断する(S52)。管理プログラム47は、監視処理を終了しないと判断すると(S52:No)、ステップS61以降の処理を再度実行する。
【0134】
管理プログラム47は、検知領域52に居る人が大人ではなく子供であると判断すると(S66:No)、応答情報が示す子供の年齢を算出する(S67)。具体的には、管理プログラム47は、本日の日付と、家族情報管理テーブル(図3(A)参照)に登録された子供の生年月日とに基づいて、応答情報が示す子供の年齢を算出する(S67)。
【0135】
管理プログラム47は、ステップS67の処理の実行後、実施形態と同様にしてステップS38及びS45からS52までの処理を実行する。
【0136】
[変形例1の作用効果]
3Dレーザセンサ61を用いても、危険報知システム10は、子供が窓51から転落することを防止することができる。
【0137】
また、3Dレーザセンサ61を用いることにより、検知領域52に居る子供の特定を、測距センサ20を用いた場合よりも精度良く行うことができる。
【0138】
[変形例2]
本変形例では、測距センサ20に代えてステレオカメラ62(図1参照)が設けられ、情報処理装置40のメモリ42が人/物判断プログラム48(図1参照)を記憶する例が説明される。なお、以下で説明される構成及び処理以外の構成及び処理は、実施形態及び変形例1で説明された構成及び処理と同じである。実施形態及び変形例1で説明された構成及び処理は、実施形態及び変形例1と同一の符号及びステップ番号が付されて説明が省略される。
【0139】
ステレオカメラ62は、並んで配置された2つのカメラを有する。当該2つのカメラは、イメージセンサを有するデジタルカメラである。ステレオカメラ62は、2つのカメラで同時に撮像を行う。各カメラがそれぞれ撮像した2つの画像では、2つのカメラの離間距離と、撮影対象までの距離とに応じた視差を生じる。2つのカメラの離間距離は一定値であるから、当該視差は、ステレオカメラ62から撮影対象までの距離に応じた値となる。
【0140】
ステレオカメラ62は、室50の窓51ごとに設置されている。ステレオカメラ62は、室50における窓51に面した検知領域52を撮像する。ステレオカメラ62は、自己に付されたセンサIDと、生成した画像データとを、情報処理装置40に対して出力する。ステレオカメラ62は、第1センサ、測距センサ、及びカメラの一例である。
【0141】
管理プログラム47は、図5或いは図6に示される監視処理に代えて、図7に示される監視処理を実行する。
【0142】
管理プログラム47は、監視処理において、ステレオカメラ62が出力したセンサID及び2つの画像データを取得してメモリ42に記憶させる(S71)。管理プログラム47は、変形例1と同様に、取得した画像データを人/物判断プログラム48に受け渡し、応答情報を取得する(S62)。
【0143】
管理プログラム47は、変形例1と同様にステップS62、S63、S64の処理を実行する。管理プログラム47は、ステップS64において検知領域52に物体が置かれていると判断すると(S64:Yes)、応答情報に含まれる物位置情報(画素番号)と、上述の視差とに基づいて、天井53或いはステレオカメラ62から物体までの距離を算出する。管理プログラム47は、算出した距離と、画像における物体の位置と、天井53から床56までの距離とに基づいて、物体高さHaを算出する(S72)。なお、算出した距離、画像における物体の位置、及び天井53から床56までの距離が入力されることによって物体高さHaを算出する演算式がメモリ42に予め記憶されている。
【0144】
管理プログラム47は、ステップS71、S72以外の処理を、実施形態及び変形例1と同様にして実行する。
【0145】
[変形例2の作用効果]
ステレオカメラ62を用いても、危険報知システム10は、子供が窓51から転落することを防止することができる。
【0146】
また、ステレオカメラ62を用いることにより、検知領域52に居る子供の特定を、測距センサ20を用いた場合よりも精度良く行うことができる。
【0147】
[変形例3]
本変形例では、測距センサ20に加え、カメラ63(図1参照)が設けられ、情報処理装置40のメモリ42が人/物判断プログラム48(図1参照)を記憶する例が説明される。なお、以下で説明される構成及び処理以外の構成及び処理は、実施形態及び変形例1で説明された構成及び処理と同じである。実施形態及び変形例1で説明された構成及び処理は、実施形態及び変形例1と同一の符号及びステップ番号が付されて説明が省略される。
【0148】
カメラ63は、イメージセンサを有するデジタルカメラである。カメラ63は、室50の窓51ごとに設置されている。カメラ63は、室50における窓51に面した検知領域52を撮像する。カメラ63は、自己に付されたセンサIDと、生成した画像データとを、情報処理装置40に対して出力する。カメラ63は、第1センサ及びカメラの一例である。
【0149】
管理プログラム47は、図5或いは図6に示される監視処理に代えて、図8に示される監視処理を実行する。
【0150】
管理プログラム47は、監視処理において、測距センサ20のセンサID及び検出値と、カメラ63のセンサID及び画像データと、を取得してメモリ42に記憶させる(S81)。管理プログラム47は、変形例1と同様に、取得した画像データを人/物判断プログラム48に受け渡し、応答情報を取得する(S62)。
【0151】
管理プログラム47は、変形例1と同様にステップS62、S63、S64の処理を実行する。管理プログラム47は、ステップS64において検知領域52に物体が置かれていると判断すると(S64:Yes)、応答情報に含まれる物位置情報(画素番号)と、測距センサ20が検出した検出値が示す検出距離とに基づいて、天井53或いはステレオカメラ62から物体までの距離を算出する。管理プログラム47は、算出した距離を、天井53から床56までの距離から減じることにより、物体高さHaを算出する(S82)。
【0152】
管理プログラム47は、ステップS81、S82以外の処理を、実施形態及び変形例1と同様にして実行する。
【0153】
[変形例2の作用効果]
カメラ63を用いても、危険報知システム10は、子供が窓51から転落することを防止することができる。
【0154】
[その他の変形例]
上述の実施形態では、窓51のそばに物体が置かれている場合、当該物体を足場にしてしまう場合を考慮して、ステップS33、S34、S35を実行して物体高さHaを算出してメモリ42に記憶させている。しかしながら、子供がいる住宅では窓際に物を置かない場合も想定されるから、物体の検知は行われなくてもよい場合がある。その場合、ステップS33、S34、S35の処理が省略され、且つステップS48、S51では、Ha=0で判断がされる。また、変形例1、2、3でも同様に、ステップS64、S65、S34、S35、S72、S82の処理が省略されてもよい。また、物体の検知を行わない場合、変形例3では、測距センサ20は設けられなくてもよい。
【0155】
[付記1]
住宅の窓に面する室内の所定領域を検知領域とする第1センサと、
上記第1センサを識別するセンサ識別情報と窓下高さとを対応付けた第1テーブルを記憶するメモリと、
コントローラと、を備えており、
上記コントローラは、
子供の生年月日を取得して上記メモリに記憶させる第1記憶処理と、
上記第1センサの検出値に基づいて、上記検知領域に子供が居るか否かを判断する第1判断処理と、
上記検知領域に子供が居ると判断したことに応じて、上記メモリに記憶された生年月日に基づいて当該子供の手が届く高さである最高到達高さを決定する第1決定処理と、
子供を検知した上記第1センサの上記センサ識別情報と対応付けられた上記窓下高さを上記第1テーブルから取得する窓下高さ取得処理と、
上記窓下高さ及び上記最高到達高さに基づいて危険か否かを判断する第1危険判断処理と、
上記第1危険判断処理で危険と判断したことに基づいて、危険情報を出力する報知処理と、を実行する、危険報知システム。
【0156】
[付記2]
上記コントローラは、
上記第1センサの検出値に基づいて、子供の足場となる物体が上記検知領域に存在するか否かを判断する第2判断処理と、
上記物体が存在すると判断したことに基づいて、当該物体の高さである物体高さを取得する物体高さ取得処理と、を更に実行し、
上記第1危険判断処理は、上記物体高さに更に基づいて危険か否かを判断する処理である、付記1に記載の危険報知システム。
【0157】
[付記3]
窓に設けられた錠のロック状態に応じた検出値及びアンロック状態に応じた検出値を出力する第2センサを更に備えており、
上記第1テーブルは、上記センサ識別情報と錠高さとを更に対応付けており、
上記コントローラは、
上記第2センサの検出値に基づいて上記錠が上記ロック状態であるか上記アンロック状態であるかを判断する第3判断処理を更に実行し、
上記アンロック状態であると判断したことに基づいて上記窓下高さ取得処理及び上記第1危険判断処理を実行し、
上記ロック状態であることに基づいて、子供を検知した上記第1センサの上記センサ識別情報と対応付けられた上記錠高さを上記第1テーブルから取得する錠高さ取得処理、及び上記錠高さと上記最高到達高さとに基づいて危険か否かを判断する第2危険判断処理を実行する、付記1に記載の危険報知システム。
【0158】
[付記4]
上記メモリは、年齢と、最高到達高さに応じた値とを対応付けた第2テーブルを更に備えており、
上記第1決定処理は、
上記メモリに記憶された生年月日及び本日の日付に基づいて子供の年齢を算出する処理と、算出した年齢と上記第2テーブルにおいて対応付けられた上記最高到達高さを取得する処理と、を含む、付記1に記載の危険報知システム。
【0159】
[付記5]
インターネットに接続された通信インタフェースをさらに備えており、
上記第1テーブルは、上記センサ識別情報と、窓の設置場所及び上記窓下高さを示す窓情報とを対応付けており、
上記コントローラは、
ユーザ識別情報及び要求情報を上記通信インタフェースを通じて設計データ管理サーバに送信する要求送信処理と、
上記要求情報に対する返信であって、上記窓情報を含む返信を受信する受信処理と、
上記窓情報を上記第1テーブルに登録する登録処理と、を更に実行する、付記1に記載の危険報知システム。
【0160】
[付記6]
上記第1センサは、天井に設置されて上記検知領域の床までの距離或いは上記検知領域に居る人までの距離を検出する測距センサであり、
上記メモリは、子供の名前と生年月日とを対応付けた第3テーブルを更に備えており、
上記第1判断処理は、
上記第1センサが検出した距離及び閾値距離に基づいて大人か子供であるかを判断する処理と、
上記メモリに記憶された生年月日及び本日の日付に基づいて各子供の年齢を算出し、算出した各年齢から決定された高さと、上記第1センサが検出した距離とに基づいて、上記検知領域に居る子供を特定する処理と、を含む、付記1に記載の危険報知システム。
【0161】
[付記7]
上記第1センサは、天井に設置されて上記検知領域を撮像するカメラであり、
上記メモリは、子供の撮像画像を示す子供画像データを記憶しており、
上記第1判断処理は、
上記カメラの撮影画像と上記子供画像データとに基づいて上記検知領域に子供が居るか否かを判断する処理である、付記1に記載の危険報知システム。
【符号の説明】
【0162】
10・・・危険報知システム
11・・・インターネット
12・・・基地局
13・・・通信端末
14・・・管理サーバ
15・・・セキュリティ管理サーバ
16・・・表示装置
20・・・測距センサ
30・・・錠センサ
40・・・情報処理装置
41・・・CPU
42・・・メモリ
43・・・クロックモジュール
44・・・タッチパネル
45・・・通信インタフェース
47・・・管理プログラム
48・・・人/物判断プログラム
49・・・スピーカ
51・・・窓
52・・・検知領域
55・・・錠
61・・・3Dレーザセンサ
62・・・ステレオカメラ
63・・・カメラ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8