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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104807
(43)【公開日】2024-08-06
(54)【発明の名称】把持具のロック機構
(51)【国際特許分類】
   H02G 1/02 20060101AFI20240730BHJP
   B25J 1/00 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
H02G1/02
B25J1/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023009171
(22)【出願日】2023-01-25
(71)【出願人】
【識別番号】000207311
【氏名又は名称】大東電材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147706
【弁理士】
【氏名又は名称】多田 裕司
(72)【発明者】
【氏名】友本 尭文
(72)【発明者】
【氏名】寺野 一輝
(72)【発明者】
【氏名】柳原 正
【テーマコード(参考)】
3C707
5G352
【Fターム(参考)】
3C707AS01
3C707XF06
5G352AE05
(57)【要約】
【課題】把持レバーを握る手の親指だけでセット・解除ができる、把持具のロック機構を提供する。
【解決手段】把持具100のロック機構10を、開閉する把持端部104を有する把持具100の本体部材102に取り付けられるケース12と、ケース12に対して回動可能に取り付けられており、把持端部104を開閉させる把持レバー14と、ケース12に対して回動可能に取り付けられており、把持レバー14の回動を抑止するロック部42を有するロック部材16と、把持レバー14のロックが解除された状態から把持レバー14をロック状態に戻すロックレバー50とで構成する。そして、ロックレバー50の被操作部60をロック部材16の被操作部43の近傍に配置する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉する把持端部を有する把持具の本体部材に取り付けられるケースと、
前記ケースに対して回動可能に取り付けられており、前記把持端部を開閉させる把持レバーと、
前記ケースに対して回動可能に取り付けられており、前記把持レバーの回動を抑止するロック部を有するロック部材と、
前記把持レバーのロックが解除された状態から前記把持レバーをロック状態に戻すロックレバーとを有しており、
前記ロックレバーの被操作部は、前記ロック部材の被操作部の近傍に配置されている
把持具のロック機構。
【請求項2】
前記ロックレバーは、前記把持レバーが回動する把持レバー回動面に対して直交するロックレバー回動面上で回動する
請求項1に記載のロック機構。
【請求項3】
前記ロックレバーは、前記把持レバーが回動する把持レバー回動面に対して平行なロックレバー回動面上で回動する
請求項1に記載のロック機構。
【請求項4】
前記ロックレバーの前記被操作部は、前記ケースの上面よりも上方に配置されている
請求項1から3のいずれか1項に記載のロック機構。
【請求項5】
前記ロックレバーの回動中心となる、前記ロックレバーに形成されたロックレバー回動孔は、前記ケースの上面よりも上方に配置されている
請求項1から3のいずれか1項に記載のロック機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配電線の活線工事等に用いられる把持具のロック機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従前より、配電線の活線工事を安全かつ効率よく行うため、先端に把持端部を有する把持具を装備し、この把持端部を開閉させる把持レバーを操作して遠隔操作することが行われている。
【0003】
このような把持具は、その使い易さの点から、把持端部で対象物を一旦把持した後、把持レバーから手を離しても当該把持端部が閉じた状態を維持するロック機構を装備したものが種々提案されている(例えば、特許文献1)。
【0004】
特許文献1に開示された把持具であれば、例えば、右手で絶縁操作棒(本体部材)を握って把持端部を移動させ、同じ右手で把持レバーを握ることによって把持端部で対象部を把持する。このとき、ロック機構によって把持レバーが勝手に戻らないようになっているので、対象物を把持した状態が維持される。
【0005】
対象物を把持した状態を解除する場合は、把持レバーを握る右手の親指でロックピンを押圧スライドさせることにより、把持レバーのロック機構が解除され、把持端部が開く方向に把持レバーが回動できるようにする。
【0006】
再び把持レバーがロックされる状態に戻すには、把持レバーを握る右手の人差し指で先ほどとは反対の方向にロックピンをスライドさせることで実現されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4092014号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、把持レバーを握る手の親指と人差し指とでロック機構のセット・解除を行うのはやや難しいことから、把持レバーを握る手の親指だけでセット・解除ができるロック機構の開発が待たれていた。
【0009】
本発明は、このような問題および要望に鑑みてなされたものであり、その目的は、把持レバーを握る手の親指だけでセット・解除ができる、把持具のロック機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一局面によれば、
開閉する把持端部を有する把持具の本体部材に取り付けられるケースと、
前記ケースに対して回動可能に取り付けられており、前記把持端部を開閉させる把持レバーと、
前記ケースに対して回動可能に取り付けられており、前記把持レバーの回動を抑止するロック部を有するロック部材と、
前記把持レバーのロックが解除された状態から前記把持レバーをロック状態に戻すロックレバーとを有しており、
前記ロックレバーの被操作部は、前記ロック部材の被操作部の近傍に配置されている
把持具のロック機構が提供される。
【0011】
好適には、
前記ロックレバーは、前記把持レバーが回動する把持レバー回動面に対して直交するロックレバー回動面上で回動する。
【0012】
好適には、
前記ロックレバーは、前記把持レバーが回動する把持レバー回動面に対して平行なロックレバー回動面上で回動する。
【0013】
好適には、
前記ロックレバーの前記被操作部は、前記ケースの上面よりも上方に配置されている。
【0014】
好適には、
前記ロックレバーの回動中心となる、前記ロックレバーに形成されたロックレバー回動孔は、前記ケースの上面よりも上方に配置されている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、把持レバーの回動を抑止するロック部を有するロック部材の被操作部と、把持レバーのロックが解除された状態から当該把持レバーをロック状態に戻すロックレバーの被操作部とが互いに近傍に配置されているので、把持レバーを握る手の親指だけでセット・解除ができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態に係る把持具100の一例を示す斜視図である。
図2】本発明が適用されたロック機構10の一例を示す斜視図である。
図3】本発明が適用されたロック機構10の一例を示す正面図である。
図4】本発明が適用されたロック機構10の一例を示す右側面図である。
図5図4におけるIV-IV矢視による断面図である。
図6図3におけるIII-III矢視による断面図である。
図7】変形例1に係るロック機構10を示す斜視図である。
図8】変形例1に係るロック機構10を示す正面図である。
図9】変形例1に係るロック機構10を示す右側面図である。
図10図9におけるIX-IX矢視による断面図(ロック状態)である。
図11図9におけるIX-IX矢視による断面図(ロック解除中)である。
図12図9におけるIX-IX矢視による断面図(解除状態)である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(把持具100およびロック機構10の構成)
本実施形態に係る把持具100は、図1に示すように、大略、棒状の本体部材102と、この本体部材102の先端に取り付けられており開閉する把持端部104と、本体部材102における把持端部104が取り付けられた先端とは反対側に取り付けられたロック機構10とを備えている。
【0018】
ロック機構10は、図2から図5に示すように、大略、ケース12と、把持レバー14と、ロック部材16と、解除状態保持機構18とを有している。
【0019】
ケース12は、上述のように、把持具100における棒状の本体部材102に取り付けられる部材であり、ロック機構10を構成する各部材の一部が収容される内部空間20を有している。
【0020】
把持レバー14は、ケース12に対して回動可能に取り付けられており、把持端部104を開閉させるリンク部材106が取り付けられている。本実施形態に係る把持レバー14は、長辺部22と、短辺部24とを略直角に一体的に組み合わせることで略L字状に形成されている。
【0021】
長辺部22と短辺部24との交点部分に回動軸26が挿設される回動軸孔28が形成されており、把持レバー14は、この回動軸孔28を中心としてケース12に対して回動可能となっている。また、把持レバー14の短辺部24の先端部にリンク部材106が回動可能に取り付けられている。さらに、把持レバー14の長辺部22は、本体部材102に沿って把持端部104が配置された先端とは反対側に延びるように配置されている。
【0022】
また、把持レバー14の回動軸26には、ギア30が取り付けられている。このギア30は、把持レバー14と同軸に配置され、当該把持レバー14と共回りするようになっている。
【0023】
さらに、把持レバー14には、レバー付勢部材32が取り付けられている。このレバー付勢部材32は、把持端部104が開く方向に把持レバー14を付勢するようになっている。本実施形態では、レバー付勢部材32として巻きバネが使用されているが、同じ役割を果たすことができるものであれば、レバー付勢部材32の種類は特に限定されない。
【0024】
ロック部材16は、ケース12に対して回動可能に取り付けられており、把持レバー14の回動を抑止する役割を有する部材である。本実施形態に係るロック部材16は、ロック部材長辺部34と、ロック部材短辺部36とを略直角に一体的に組み合わせることで略L字状に形成されている。
【0025】
ロック部材長辺部34とロック部材短辺部36との交点部分にロック部材回動軸38が挿設されるロック部材回動軸孔40が形成されており、ロック部材16は、このロック部材回動軸孔40を中心としてケース12に対して回動可能となっている。また、ロック部材16のロック部材短辺部36の先端部に把持レバー14のギア30と噛み合うことによって当該ギア30および把持レバー14のケース12に対する回動を抑止するロック部42が形成されている。なお、ロック部42とギア30との噛み合いは、把持レバー14を握る方向に回動(把持レバー14が本体部材102に近づく方向に回動)するのは許容し、逆に、レバー付勢部材32が把持レバー14を付勢する方向に回動(把持レバー14が本体部材102から離れる方向に回動)するのを禁止するようになっている。
【0026】
さらに、ロック部材16のロック部材長辺部34は、本体部材102に沿って把持端部104のある先端とは反対側に延びるように配置されている。また、ロック部材長辺部34の先端部には、作業者が把持具100の本体部材102を握った手の親指でロック部材16を操作する被操作部43が形成されている。
【0027】
また、ロック部材16には、ロック部42がギア30と噛み合う方向にロック部材16を付勢するロック部材付勢部材44が取り付けられている。本実施形態では、ロック部材付勢部材44として巻きバネが使用されているが、同じ役割を果たすことができるものであれば、ロック部材付勢部材44の種類は特に限定されない。
【0028】
これにより、作業者がロック部材16の被操作部43に親指を当てて、ロック部材付勢部材44の付勢力に抗して当該ロック部材16を回動させることにより、ロック部42がギア30から離間して把持レバー14のロックが解除された状態となる。
【0029】
解除状態保持機構18は、ロック部42がギア30から離間して把持レバー14のロックが解除された状態を保持する役割を有する機構であり、大略、ピン部材46と、ピン付勢部材48と、ロックレバー50とを有している。
【0030】
ピン部材46は、ロック部材付勢部材44に抗して把持レバー14のロックが解除された状態でロック部材16を保持するための部材であり、図5および図6に示すように、本実施形態では、ケース12に形成されたピン部材挿通孔52で摺動する断面T字状のピン部材46が使用されている。
【0031】
ロック部材16のロック部材長辺部34における図中上側には、このピン部材46が嵌まるピン部材嵌合溝54が形成されており、ピン部材挿通孔52から押し込まれたピン部材46の先端部がこのピン部材嵌合溝54に嵌まることで、ロック部材付勢部材44に抗して把持レバー14のロックが解除された状態(ロック部材16のロック部42がギア30から離間した状態)が維持される。
【0032】
ピン付勢部材48は、ピン部材46がロックを解除する位置に移動するように付勢する部材であり、本実施形態では、上述のように、ピン部材挿通孔52から押し込まれたピン部材46の先端部がピン部材嵌合溝54に嵌まる方向にピン部材46を付勢するようになっている。
【0033】
本実施形態では、ピン付勢部材48としてプランジャが使用されているが、同じ役割を果たすことができるものであれば、ピン付勢部材48の種類は特に限定されない。
【0034】
ロックレバー50は、上記ピン付勢部材48に抗してピン部材46の先端部をピン部材嵌合溝54から抜き出すことにより、ロック部材付勢部材44の付勢力でロック部材16を回動させてロック部42がギア30と噛み合い、把持レバー14がロックされた状態にするための部材である。
【0035】
本実施形態では、ロックレバー50は、ピン移動部材56と協働してピン部材46を移動させるようになっている。
【0036】
本実施形態に係るロックレバー50は、略四角柱状の部材であり、一方の端部には、図中上下方向に貫通するロックレバー回動孔58が形成されており、他方の端には、作業者が把持具100の本体部材102を握った手の親指でロックレバー50を操作する被操作部60が形成されている。また、ロックレバー50の被操作部60は、上述したロック部材16の被操作部43の近傍に配置されている。
【0037】
ロックレバー50は、ロックレバー回動孔58に挿通されたロックレバー回動軸62によってケース12の上面に取り付けられている。つまり、ロックレバー回動孔58は、ケース12の上面よりも上方に配置されている。これにより、ロックレバー50は、把持レバー14が回動する把持レバー回動面Aに対して直交するロックレバー回動面B上で回動するようになっている。
【0038】
なお、本明細書全体を通して、ケース12の「上面」とは、把持具100の本体部材102を握った手で把持レバー14を自然に握ることのできる向き、つまり本体部材102の鉛直下方に把持レバー14がくるようにしたときにおける、ケース12の鉛直上側の面をいう。
【0039】
また、ロックレバー50の中央部側面には、ピン移動部材56の端部が挿設されるピン移動部材挿設スリット64が形成されている。さらに、ロックレバー50の中央部上面には、このピン移動部材挿設スリット64に連通するピン移動部材協働ピン孔66が形成されており、このピン移動部材協働ピン孔66にピン移動部材協働ピン68が挿通されることで、ロックレバー50の回動に合わせてピン移動部材56が水平方向に移動するようになっている。
【0040】
ピン移動部材56は、短冊状部材をL字に折り曲げたような形状の本体部70と、この本体部70の長辺部72の一端部に形成された、ピン移動部材協働ピン68が挿通される協働ピン挿通孔74と、長辺部72の中央部に形成されたガイド孔76と、本体部70の短辺部78に形成された、断面T字状のピン部材46における鍔部80を外向きに押圧する押圧部82とを有している。
【0041】
なお、ピン移動部材56は、そのガイド孔76に挿通され、ケース12の上面に固定されたガイドピン84によってピン部材46を外向きに押圧する方向にのみ移動できるようになっている。
【0042】
これにより、作業者がロックレバー50の被操作部60に親指を当てて、当該ロックレバー50をロックレバー回動面B上で回動させると、ピン移動部材56がロックレバー回動面Bと平行に移動し、当該ピン移動部材56がピン付勢部材48の付勢力に抗してピン部材46を外向きに移動させる。すると、ピン部材46の先端部がこのピン部材嵌合溝54から外れることでロック部材16が回動してロック部42がギア30に噛み合い、把持レバー14の開く方向の回動がロックされた状態となる。
【0043】
(把持具100およびロック機構10の特徴)
先ず、ロック部材16のロック部42が把持レバー14と共回りするギア30と噛み合った状態で、把持具100の把持端部104で対象物を把持するように把持レバー14を握る。ロック部42とギア30とが噛み合った状態であるので、把持レバー14を離しても当該把持レバー14は本体部材102から離れる方向に回動せず、把持端部104は対象物を把持した状態を維持する。
【0044】
然る後、把持具100の本体部材102を握った手の親指をロック部材16の被操作部43に当てて、当該ロック部材16をロック部材付勢部材44の付勢力に抗して回動させる。
【0045】
すると、ロック部材16のロック部42がギア30から離間するとともに、ロック部材16のピン部材嵌合溝54にピン付勢部材48によって押されたピン部材46が入って、ロック部材16の被操作部43から親指を離しても当該ロック部材16がロック部材付勢部材44の付勢力で回動しない状態が保持される。
【0046】
この状態では、把持レバー14を本体部材102から離れる方向に回動させることができるので、把持端部104から対象物を離すことができる。
【0047】
把持端部104から対象物を離した後、把持具100の本体部材102を握った手の親指をロックレバー50の被操作部60に当てて、ロックレバー50をロックレバー回動面B上で回動させる。すると、上述のように、ピン移動部材56がロックレバー回動面Bと平行に移動し、当該ピン移動部材56がピン付勢部材48の付勢力に抗してピン部材46を外向きに移動させ、ピン部材46の先端部がこのピン部材嵌合溝54から外れることでロック部材16が回動してロック部42が再びギア30に噛み合い、把持レバー14がロックされた状態(把持レバー14が本体部材102に近づく方向にのみ回動する状態)に戻る。
【0048】
このように、本実施形態に係る把持具100およびロック機構10によれば、把持レバー14の回動を抑止するロック部42を有するロック部材16の被操作部43と、把持レバー14のロックが解除された状態から当該把持レバー14をロック状態に戻すロックレバー50の被操作部60とが互いに近傍に配置されているので、把持レバー14を握る手の親指だけでセット・解除ができるロック機構10を提供することができる。
【0049】
(変形例1)
上述した実施形態では、把持レバー14が回動する把持レバー回動面Aに対して直交するロックレバー回動面B上でロックレバー50が回動する例について説明したが、図7から図10に示すように、変形例1として、把持レバー14が回動する把持レバー回動面Aに対して平行なロックレバー回動面C上でロックレバー200が回動する例について説明する。なお、変形例1では、上述した実施形態と同じ部分についてはこれを援用して説明を省略し、上述した実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0050】
変形例1の解除状態保持機構18は、ロック部42がギア30から離間して把持レバー14のロックが解除された状態を保持する役割を有する機構であり、把持レバー14が回動する把持レバー回動面Aに対して平行なロックレバー回動面C上で回動するロックレバー200を有している。
【0051】
ロックレバー200は、ロックが解除された状態でロック部材16を保持する解除状態保持位置204と、ロック部材16が把持レバー14の回動を抑止する状態にするロック状態保持位置202とを有しており、ロックレバー200の回動中心位置(=ロックレバー回動孔206)から解除状態保持位置204の先端までの長さは、当該回動中心位置からロック状態保持位置202の先端までの長さよりも長く設定されている。
【0052】
具体的には、ロックレバー200は、そのロックレバー回動孔206を中心として突出する、第1突出部208と、第2突出部210と、第3突出部212とを有している。なお、変形例1においても、ロックレバー200の回動中心となるロックレバー回動孔206は、ケース12の上面よりも上方に配置されている。
【0053】
第1突出部208は、基本的に常にいずれかの部分がロック部材16に当接している部分であり、ロックレバー回動孔206からの距離が最も短い点Yがロック状態保持位置202となり、ロックレバー回動孔206からの距離が最も長い点Xが解除状態保持位置204となる。
【0054】
第2突出部210は、第1突出部208のロック状態保持位置202がロック部材16に当接している状態において、把持具100を把持する作業者の手の方向に向けて斜め上方に延びる部分である。第2突出部210の先端部がロックレバー200の被操作部214となる。
【0055】
作業者が、把持レバー14を握る手の親指をこの被操作部214に当てて、ロックレバー200を下方向に回すことにより、第1突出部208の点Xがロック部材16を下方向に回動させる。あるいは、ロック部材16の被操作部43に親指を当てて、当該ロック部材16をロック部材付勢部材44の付勢力に抗して回動させる。これにより、ロック部材16のロック部42がギア30から離間してロック状態が解除される(図11を参照)。
【0056】
この状態から第2突出部210をさらに下方向に回して、第1突出部208の点Xがロックレバー回動孔206から垂直下方に延びる仮想線Lを越えてロック部材16のロック部材回動軸孔40に近づくと、図12に示すように、ロックレバー200から親指を離してもロックレバー200は戻る方向に回動しなくなる。この状態で、ロック部材16の解除状態が維持される。
【0057】
この解除状態をロック状態に戻すには、第3突出部212を用いる。第3突出部212は、図12に示す解除状態において把持具100を把持する作業者の手の方向に向けて斜め上方に延びる部分である。ロック状態に戻す場合、作業者はこの第3突出部212に親指をあてて、ロックレバー200が先ほどとは反対回転する方向に押す。つまり、第3突出部212の先端部もロックレバー200の被操作部214と同じ役割である。すると、第1突出部208の点Yがロックレバー回動孔206から垂直下方に延びる仮想線Lを越えて再びロック部材16の回動軸孔28から離れる方向に移動するので、ロックレバー200は図10に示す状態に戻り、ロック部材16のロック部42がギア30と噛み合ってロック状態に戻る。
【0058】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0059】
10…ロック機構、12…ケース、14…把持レバー、16…ロック部材、18…解除状態保持機構、20…(ケース12の)内部空間、22…長辺部、24…短辺部、26…回動軸、28…回動軸孔、30…ギア、32…レバー付勢部材、34…ロック部材長辺部、36…ロック部材短辺部、38…ロック部材回動軸、40…ロック部材回動軸孔、42…ロック部、43…(ロック部材16の)被操作部、44…ロック部材付勢部材、46…ピン部材、48…ピン付勢部材、50…ロックレバー、52…ピン部材挿通孔、54…ピン部材嵌合溝、56…ピン移動部材、58…ロックレバー回動孔、60…(ロックレバー50の)被操作部、62…ロックレバー回動軸、64…ピン移動部材挿設スリット、66…ピン移動部材協働ピン孔、68…ピン移動部材協働ピン、70…(ピン移動部材56の)本体部、72…(本体部70の)長辺部、74…協働ピン挿通孔、76…ガイド孔、78…(本体部70の)短辺部、80…(ピン部材46の)鍔部、82…押圧部、84…ガイドピン
100…把持具、102…本体部材、104…把持端部、106…リンク部材
200…ロックレバー、202…ロック状態保持位置、204…解除状態保持位置、206…ロックレバー回動孔、208…第1突出部、210…第2突出部、212…第3突出部、214…(ロックレバー200の)被操作部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12