(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104808
(43)【公開日】2024-08-06
(54)【発明の名称】シート供給装置
(51)【国際特許分類】
B65H 3/52 20060101AFI20240730BHJP
【FI】
B65H3/52 310A
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023009173
(22)【出願日】2023-01-25
(71)【出願人】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(72)【発明者】
【氏名】尾関 健一
【テーマコード(参考)】
3F343
【Fターム(参考)】
3F343FA02
3F343FB01
3F343FC01
3F343GA01
3F343GB01
3F343GC01
3F343GD01
3F343JD02
3F343JD08
3F343JD33
3F343KB05
3F343LA03
3F343LA15
3F343LD04
(57)【要約】
【課題】装置構成の複雑化を抑えつつ、シートの重送を低減できるシート供給装置を提供する。
【解決手段】支持部6は、その上端にサバキ板5が取り付けられており、用紙Pの搬送方向に揺動可能である。バネ7は、支持部6の上端側を用紙Pの搬送方向における上流側に付勢する。バネ7は、用紙Pの重送時において、支持部6の上端側が上流側に揺動し、重送されている複数枚の用紙Pのうちの最下段の用紙Pが上流側に戻るような付勢力を支持部6に付与している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートが積載された積載台と、
前記積載台上のシートを搬送するローラと、
前記ローラによるシートの搬送方向において前記積載台の下流側に配置され、前記ローラに当接し、前記ローラとの間でシートをさばくサバキ板と、
前記サバキ板が一端に取り付けられ、前記搬送方向に揺動可能な支持部と、
前記支持部の前記一端側を前記搬送方向における上流側に付勢する付勢部材とを備え、
前記付勢部材は、シートの重送時において、前記支持部の前記一端側が前記搬送方向における上流側に揺動し、重送されている複数枚のシートのうちの最も前記サバキ板側のシートが前記搬送方向における上流側に戻るような付勢力を前記支持部に付与していることを特徴とするシート供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートを供給するシート供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シートを供給するシート供給装置として、給紙台に積載された用紙をローラにより1枚ずつ送り出して給紙する給紙装置が知られている。
【0003】
図4は、この種の従来の給紙装置の構成の一例を示す図である。なお、
図4における紙面の上下左右を上下左右方向とする。
【0004】
図4に示す給紙装置100は、給紙台101と、スクレーパローラ102と、ピックアップローラ103と、サバキ板104とを備える。
【0005】
スクレーパローラ102は、給紙台101上に積載された用紙Pのうちの最上段(最も上側)の用紙Pを取り出して右側のピックアップローラ103に向けて送る。ピックアップローラ103は、スクレーパローラ102により送られてきた用紙Pを右側に送り出す。サバキ板104は、ピックアップローラ103により用紙Pが1枚ずつ搬送されるようにピックアップローラ103との間で用紙Pをさばく。
【0006】
このような、サバキ板104を用いて用紙Pをさばく給紙装置100は、構造が単純で様々な用紙をさばくことができる。
【0007】
図5は、従来の給紙装置の構成の他の例を示す図である。
図5に示す給紙装置110は、
図4に示した給紙装置100のサバキ板104をサバキローラ111に置き換えた構成である。給紙装置110では、ピックアップローラ103とサバキローラ111との間で用紙Pをさばいて1枚ずつ給紙する。
【0008】
また、特許文献1には、
図4に示した給紙装置100のようなサバキ板を備える給紙装置において、サバキ板に対する用紙の待機位置をセンサで検出し、検出された用紙の待機位置に基づき、サバキ角(水平面に対するサバキ板の上面の角度)を調整する技術が開示されている。特許文献1の技術によれば、用紙の紙質に応じた適切なサバキ角の調整を行ことができるので、用紙の重送を低減できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、
図4に示した給紙装置100では、用紙Pの重送が発生した場合、
図6に示すように、重送されている複数枚の用紙Pのうちの最下段(最も下側)の用紙Pしかサバキ板104に接触しないため、用紙Pの重送に対応できない。
【0011】
また、特許文献1の給紙装置では、給紙される用紙に連れ動いた用紙がサバキ板に残ってしまうと用紙のサバキ効果が発揮されず、用紙の重送が発生するおそれがある。
【0012】
また、
図5に示した給紙装置110では、重送されている複数枚の用紙Pのうちの最下段の用紙Pを給紙台101に戻して次の用紙Pをさばくことができるため、用紙Pの重送に対応可能である。しかし、サバキローラ111にトルクリミッタや駆動連結が必要となるため、装置構成が複雑になる。また、コストアップを招く。
【0013】
本発明は上記に鑑みてなされたもので、装置構成の複雑化を抑えつつ、シートの重送を低減できるシート供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するため、本発明のシート供給装置は、シートが積載された積載台と、前記積載台上のシートを搬送するローラと、前記ローラによるシートの搬送方向において前記積載台の下流側に配置され、前記ローラに当接し、前記ローラとの間でシートをさばくサバキ板と、前記サバキ板が一端に取り付けられ、前記搬送方向に揺動可能な支持部と、前記支持部の前記一端側を前記搬送方向における上流側に付勢する付勢部材とを備え、前記付勢部材は、シートの重送時において、前記支持部の前記一端側が前記搬送方向における上流側に揺動し、重送されている複数枚のシートのうちの最も前記サバキ板側のシートが前記搬送方向における上流側に戻るような付勢力を前記支持部に付与していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明のシート供給装置によれば、装置構成の複雑化を抑えつつ、シートの重送を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施の形態に係る給紙装置の概略構成図である。
【
図2】通常搬送時における支持部の動作の説明図である。
【
図3】重送時における支持部の動作の説明図である。
【
図4】従来の給紙装置の構成の一例を示す図である。
【
図5】従来の給紙装置の構成の他の例を示す図である。
【
図6】
図4に示した給紙装置における重送時のサバキ板近傍の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。各図面を通じて同一もしくは同等の部位や構成要素には、同一もしくは同等の符号を付している。
【0018】
以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置等を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0019】
図1は、本発明の実施の形態に係る給紙装置の概略構成図である。以下の説明において、
図1における紙面の上下左右を上下左右方向とする。左から右に向かう方向が、用紙の搬送方向である。以下の説明における上流、下流は、用紙の搬送方向における上流、下流を意味する。
【0020】
図1に示すように、本実施の形態に係る給紙装置(シート供給装置に相当)1は、給紙台(積載台に相当)2と、スクレーパローラ3と、ピックアップローラ(ローラに相当)4と、サバキ板5と、支持部6と、バネ(付勢部材に相当)7とを備える。
【0021】
給紙台2は、給紙先の印刷部(図示せず)において印刷に用いられる用紙Pが積載されるものである。
【0022】
スクレーパローラ3は、給紙台2上に積載された用紙Pのうちの最上段(最も上側)の用紙Pに圧接し、摩擦力により用紙Pを取り出して右側に送る。
【0023】
ピックアップローラ4は、スクレーパローラ3により送られてきた用紙Pを右側に搬送する。ピックアップローラ4は、スクレーパローラ3の下流側(右側)に隣接して配置されている。
【0024】
スクレーパローラ3およびピックアップローラ4は、共通のモータにより回転駆動される。
【0025】
サバキ板5は、ピックアップローラ4により用紙Pが1枚ずつ搬送されるように、ピックアップローラ4との間で用紙Pをさばくものである。サバキ板5は、用紙Pの搬送方向(左右方向)における給紙台2の下流側において、ピックアップローラ4の右下側に配置され、ピックアップローラ4に当接している。
【0026】
支持部6は、サバキ板5を支持する部材である。支持部6の上端(一端に相当)にサバキ板5が取り付けられている。支持部6は、用紙Pの搬送方向(左右方向)に揺動可能になっている。換言すれば、支持部6は、ピックアップローラ4の回転軸に平行な揺動軸を中心として揺動可能になっている。
【0027】
バネ7は、支持部6の下端部に接続され、支持部6の上端側を上流側(給紙台2側)に付勢する。
【0028】
バネ7は、ピックアップローラ4の搬送力より小さく、かつ、用紙間摩擦や裁断面等の用紙密着により発生する、重送用紙(重送されている複数枚の用紙P)を搬送する力より大きい付勢力を支持部6に付与している。
【0029】
換言すれば、バネ7は、用紙Pの重送がない通常搬送時は、支持部6の上端側がピックアップローラ4の搬送力により下流側に揺動し、かつ、用紙Pの重送時において、支持部6の上端側が上流側に揺動し、重送されている複数枚の用紙Pのうちの最下段(最も下側(サバキ板5側))の用紙Pが上流側に戻るような付勢力を支持部6に付与している。
【0030】
次に、給紙装置1の動作について説明する。
【0031】
給紙装置1において給紙を行う際、スクレーパローラ3およびピックアップローラ4は、
図1における反時計回り方向に回転駆動される。
【0032】
これにより、スクレーパローラ3が、給紙台2上に積載された用紙Pのうちの最上段の用紙Pを右側に送る。ピックアップローラ4は、スクレーパローラ3により送られてきた用紙Pをサバキ板5との間でさばきつつ右側に搬送する。
【0033】
ここで、前述のように、バネ7が支持部6の上端側を上流側(給紙台2側)に付勢する付勢力は、ピックアップローラ4の搬送力より小さい。このため、通常搬送時は、
図2に示すように、直接または用紙Pを介してサバキ板5に伝わるピックアップローラ4の搬送力により、支持部6の上端側が下流側に揺動する。
【0034】
この動作により、サバキ角(水平面に対するサバキ板の上面の角度)が小さくなり、最低限のサバキ力のみになるため、用紙Pへのダメージを最小限に抑えることができる。
【0035】
また、この動作により、後述する用紙Pの重送時において、重送されている複数枚の用紙Pのうちの最も下側の用紙Pを上流側に戻すストロークを確保することができる。
【0036】
また、前述のように、バネ7が支持部6の上端側を上流側(給紙台2側)に付勢する付勢力は、重送用紙を搬送する力より大きい。このため、重送時には、支持部6の上端側は、重送用紙とともに上流側に揺動する。
【0037】
この動作により、
図3に示すように、重送されている複数枚の用紙Pのうちの最下段の用紙Pが上流側に戻る。これにより、最下段の用紙Pの直上の用紙Pをサバキ板5に接触させることができ、重送発生を低減できる。
【0038】
また、サバキ角が大きくなるため、最大限のサバキ力を発生させることができ、重送発生を低減できる。
【0039】
以上説明したように、給紙装置1は、支持部6の上端側を上流側(給紙台2側)に付勢するバネ7を備える。バネ7は、用紙Pの重送時において、支持部6の上端側が上流側に揺動し、重送されている複数枚の用紙Pのうちの最下段の用紙Pが上流側に戻るような付勢力を支持部6に付与している。
【0040】
これにより、重送時において、サバキ角を自動的に大きくしてサバキ力を増大させ、かつ、重送されている複数枚の用紙Pのうちの最下段の用紙Pを上流側(給紙台2側)に戻して最下段の用紙Pの直上の用紙Pをサバキ板5に接触させることができるので、重送発生を低減できる。
【0041】
また、バネ7により支持部6に付勢力を付与する構成であるため、装置構成の複雑化は抑えられる。
【0042】
したがって、給紙装置1によれば、装置構成の複雑化を抑えつつ、用紙Pの重送を低減できる。
【0043】
なお、上述した実施の形態では、バネ7により支持部6に付勢力を付与したが、これに限らず、バネ以外の弾性部材を用いてもよい。
【0044】
また、上述した実施の形態では、用紙を給紙する給紙装置について説明したが、用紙以外のシートを供給する装置にも本発明は適用可能である。
【0045】
本発明は上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【0046】
[付記]
本出願は、以下の発明を開示する。
【0047】
(付記1)
シートが積載された積載台と、
前記積載台上のシートを搬送するローラと、
前記ローラによるシートの搬送方向において前記積載台の下流側に配置され、前記ローラに当接し、前記ローラとの間でシートをさばくサバキ板と、
前記サバキ板が一端に取り付けられ、前記搬送方向に揺動可能な支持部と、
前記支持部の前記一端側を前記搬送方向における上流側に付勢する付勢部材とを備え、
前記付勢部材は、シートの重送時において、前記支持部の前記一端側が前記搬送方向における上流側に揺動し、重送されている複数枚のシートのうちの最も前記サバキ板側のシートが前記搬送方向における上流側に戻るような付勢力を前記支持部に付与していることを特徴とするシート供給装置。
【符号の説明】
【0048】
1 給紙装置
2 給紙台
3 スクレーパローラ
4 ピックアップローラ
5 サバキ板
6 支持部
7 バネ