(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104811
(43)【公開日】2024-08-06
(54)【発明の名称】電動式建設機械
(51)【国際特許分類】
E02F 9/00 20060101AFI20240730BHJP
E02F 9/26 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
E02F9/00 C
E02F9/26 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023009178
(22)【出願日】2023-01-25
(71)【出願人】
【識別番号】398071668
【氏名又は名称】株式会社日立建機ティエラ
(74)【代理人】
【識別番号】110002457
【氏名又は名称】弁理士法人広和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】寺嶋 浩司
(72)【発明者】
【氏名】竹島 宏晃
(72)【発明者】
【氏名】木原 聖一
【テーマコード(参考)】
2D015
【Fターム(参考)】
2D015EA02
2D015EB01
2D015GA03
2D015GB01
2D015GB05
2D015HA03
(57)【要約】
【課題】電源側コネクタの落下による破損を防止する。
【解決手段】電動式油圧ショベル1の上部旋回体3は、動力源となる電動モータ13と、電動モータ13に電力を供給する車体側給電ケーブル17とを備え、車体側給電ケーブル17には、外部電源に接続された電源側給電ケーブル19が電気的に接続される。車体側給電ケーブル17には車体側コネクタ18が設けられ、電源側給電ケーブル19には、車体側コネクタ18に着脱可能に接続される電源側コネクタ20が設けられ、上部旋回体3と電源側コネクタ20との間には、コネクタ保持装置27が設けられる。コネクタ保持装置27は、電源側コネクタ20の接続口20Bと車体側コネクタ18の接続口18Bとを対向させた状態で、電源側コネクタ20を車体側コネクタ18から離れた位置に保持する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自走可能な車体と、前記車体に設けられた作業装置とからなり、
前記車体は、前記作業装置を駆動するための電動モータと、
前記電動モータに電力を供給する車体側給電ケーブルとを備え、
前記車体側給電ケーブルは、外部電源に接続された電源側給電ケーブルの電源側コネクタに接続可能な車体側コネクタを有する電動式建設機械において、
前記車体には前記電源側コネクタを保持するコネクタ保持装置を備え、
前記コネクタ保持装置は、前記電源側コネクタが前記車体側コネクタから取り外された状態で、前記電源側コネクタの接続口を前記車体側コネクタの接続口の方向に向かせるように前記電源側コネクタを保持することを特徴とする電動式建設機械。
【請求項2】
前記車体は、前記車体側給電ケーブルを支持するケーブル支持部材を有し、
前記コネクタ保持装置は、前記ケーブル支持部材に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の電動式建設機械。
【請求項3】
前記車体は、自走可能な下部走行体と、前記下部走行体上に旋回可能に搭載され前記ケーブル支持部材が取り付けられた上部旋回体とを有し、
前記コネクタ保持装置は、一端が前記ケーブル支持部材に連結されると共に他端が前記電源側コネクタに連結された紐状体を含んで構成され、
前記紐状体の長さは、前記ケーブル支持部材と前記下部走行体との距離よりも短いことを特徴とする請求項2に記載の電動式建設機械。
【請求項4】
前記コネクタ保持装置は、前記紐状体の長さを調整するための長さ調整部を有していることを特徴とする請求項3に記載の電動式建設機械。
【請求項5】
前記ケーブル支持部材は、前記車体に取り付けられ先端が前記車体の外部に向けて突出したアーム部と、前記アーム部の先端に設けられ前記車体側給電ケーブルを把持するケーブルクランプとを有し、
前記コネクタ保持装置は、前記ケーブルクランプに隣接して前記アーム部の先端側に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の電動式建設機械。
【請求項6】
前記車体は、前記車体の周囲を撮像するカメラと、前記カメラの撮像画像を表示するモニタとを備え、
前記コネクタ保持装置は、前記車体と前記電源側コネクタとにそれぞれ連結され、
前記車体と前記コネクタ保持装置との連結部、および前記コネクタ保持装置と前記電源側コネクタとの連結部は、前記カメラの撮像範囲内に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の電動式建設機械。
【請求項7】
前記電源側コネクタと前記紐状体の他端との間は連結部材を介して連結され、前記連結部材の耐荷重は、前記電源側コネクタが前記紐状体の長さの範囲で自由落下したときに前記紐状体に作用する荷重よりも大きく、前記電源側給電ケーブルの引張荷重に対する耐荷重よりも小さく設定されていることを特徴とする請求項3に記載の電動式建設機械。
【請求項8】
前記車体側コネクタは、接続口が下側を向いて配置され、
前記コネクタ保持装置は、前記電源側コネクタの接続口を上側に向かせるように前記電源側コネクタの上方から前記電源側コネクタを保持することを特徴とする請求項1に記載の電動式建設機械。
【請求項9】
前記ケーブル支持部材と前記紐状体の前記一端との間には、前記紐状体に作用する引張荷重に応じて巻き出される補助紐状体を含む巻取り装置が設けられ、
前記紐状体と前記補助紐状体とを合わせた長さは、前記ケーブル支持部材と前記車体の接地面との距離よりも長く、
前記巻取り装置は、前記電源側コネクタが前記紐状体の長さの範囲で自由落下したときに前記紐状体に作用する荷重よりも大きな荷重が作用した場合に前記補助紐状体を巻き出し、前記補助紐状体が所定長さ巻き出された場合に前記ケーブル支持部材と前記電源側コネクタとの連結を解除することを特徴とする請求項3に記載の電動式建設機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、動力源として電動モータを備えた油圧ショベル等の電動式建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
建設機械の代表例である油圧ショベルは、自走可能な下部走行体と、下部走行体上に旋回装置を介して旋回可能に搭載された上部旋回体と、上部旋回体の前側に設けられた作業装置とを備えている。近年では、地球温暖化、大気汚染を抑制する対策として、電動モータを動力源とする電動式油圧ショベルが実用化されている。電動式油圧ショベルは、電動モータによって油圧ポンプを駆動することにより、各種の油圧アクチュエータに作動用の圧油を供給する。
【0003】
電動式油圧ショベルの電動モータに電力を供給する方式は、上部旋回体等にバッテリを搭載し、このバッテリに蓄電された電力を用いる方式と、バッテリを搭載せず、給電ケーブルを介して接続された外部電源から供給される電力を用いる方式と、上部旋回体等に搭載したバッテリからの電力、および給電ケーブルを介して接続された外部電源からの電力のいずれか一方の電力を用いる方式とに大別される。バッテリからの電力および外部電源からの電力のいずれか一方を用いる電動式油圧ショベルの場合、外部電源からの電力は、充電器、モータ制御装置等を介して電動モータに供給され、余剰の電力はバッテリに充電される。電動モータは、外部電源やバッテリからの電力によって駆動されることにより油圧ポンプを駆動し、電動式油圧ショベルは、上部旋回体を旋回させつつ作業装置を用いて土砂の掘削作業等を行う。
【0004】
外部電源から電力の供給を受ける電動式油圧ショベルは、モータ制御装置等を介して電動モータに接続された車体側給電ケーブルを備え、この車体側給電ケーブルに対し、外部電源に接続された電源側給電ケーブルが接続される構成となっている。これにより、電動式油圧ショベルは、外部電源からの電力をバッテリに充電したり、外部電源からの電力によって電動モータを駆動しつつ余剰の電力をバッテリに充電したりすることができる(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来技術による電動式油圧ショベルでは、上部旋回体の上面に設けられ、車体側給電ケーブルと接続された端子箱(車体側コネクタ)を介して、車体側給電ケーブルと電源側給電ケーブルとの接続が行われるため、上部旋回体の上面で車体側給電ケーブルと電源側給電ケーブルとを接続する必要がある。
【0007】
ここで、電源側給電ケーブルの先端部には、コネクタ(電源側コネクタ)が設けられるため電源側給電ケーブルの先端側の重量も含めると重量が大きくなる。このため、作業者は、重量物である電源側給電ケーブルの先端部を地面から車体側コネクタの高さまで持ち上げて車体側コネクタに接続し、あるいは車体側コネクタから取り外して保持したり、地面にゆっくりと降ろしたりする作業が必要となるため、作業者の負担が大きくなるという問題がある。
【0008】
本発明の目的は、電源側給電ケーブルを車体側給電ケーブルに対して接続、取り外しする作業の負荷を軽減できるようにした電動式建設機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、自走可能な車体と、前記車体に設けられた作業装置とからなり、前記車体は、前記作業装置を駆動するための電動モータと、前記電動モータに電力を供給する車体側給電ケーブルとを備え、前記車体側給電ケーブルは、外部電源に接続された電源側給電ケーブルの電源側コネクタに接続可能な車体側コネクタを有する電動式建設機械において、前記車体には前記電源側コネクタを保持するコネクタ保持装置を備え、前記コネクタ保持装置は、前記電源側コネクタが前記車体側コネクタから取り外された状態で、前記電源側コネクタの接続口を前記車体側コネクタの接続口の方向に向かせるように前記電源側コネクタを保持することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、電源側給電ケーブルを車体側給電ケーブルに対して接続、取り外しする作業の負荷を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1の実施形態による電動式油圧ショベルを示す右側面図である。
【
図2】車体側給電ケーブル、電源側給電ケーブル、ケーブル支持部材、コネクタ保持装置等を後方から見た斜視図である。
【
図3】電動式油圧ショベルを、作業装置を取り外した状態で後方から見た背面図である。
【
図4】キャブの内部を示す一部破断の左側面図である。
【
図5】車体側給電ケーブル、電源側給電ケーブル、コネクタ保持装置等を拡大して示す斜視図である。
【
図6】ケーブル支持部材とロープとの連結部を示す右側面図である。
【
図7】結束バンドを用いた電源側コネクタとロープとの連結部を示す斜視図である。
【
図8】車体側コネクタから取り外された電源側コネクタをコネクタ保持装置によって保持した状態を示す
図2と同様位置の斜視図である。
【
図9】カメラの前後方向の撮像範囲を示す電動式油圧ショベルの右側面図である。
【
図10】カメラの左右方向の撮像範囲を示す電動式油圧ショベルの右側面図である。
【
図11】カメラによって撮像された車体側コネクタと電源側コネクタとの接続状態を示す斜視図である。
【
図12】カメラによって撮像された車体側コネクタと電源側コネクタとの離脱状態を示す斜視図である。
【
図13】本発明の第2の実施形態によるコネクタ保持装置を示す斜視図である。
【
図14】本発明の第3の実施形態によるコネクタ保持装置を示す斜視図である。
【
図15】車体側コネクタから離脱した電源側コネクタが地面に着地した状態を示す電動式油圧ショベルの右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態による電動式建設機械を、電動式油圧ショベルに適用した場合を例に挙げ、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、実施形態では、電動式油圧ショベルの走行方向を前後方向とし、走行方向と直交する方向を左右方向として説明する。
【0013】
図1ないし
図12は本発明の第1の実施形態を示している。図中、電動式建設機械を代表する電動式油圧ショベル1は、前後方向に自走可能なクローラ式の下部走行体2と、下部走行体2上に旋回可能に搭載された上部旋回体3とを備えている。電動式油圧ショベル1の車体は、下部走行体2と上部旋回体3とにより構成されている。上部旋回体3の前側には、スイング式の作業装置4が設けられ、この作業装置4を用いて土砂の掘削作業等が行われる。
【0014】
スイング式の作業装置4は、後述する旋回フレーム5の前側に左右方向に揺動可能に設けられたスイングポスト4Aを有している。スイングポスト4Aには、ブーム4Bが回動可能に取り付けられ、ブーム4Bの先端には、アーム4Cが回動可能に取り付けられ、アーム4Cの先端には、バケット4Dが回動可能に取り付けられている。また、作業装置4は、スイングポスト4Aを揺動させるスイングシリンダ(図示せず)と、ブーム4Bを回動させるブームシリンダ4Eと、アーム4Cを回動させるアームシリンダ4Fと、バケット4Dを回動させるバケットシリンダ4Gとを備えている。
【0015】
上部旋回体3は、下部走行体2に旋回装置を介して旋回可能に搭載され、下部走行体2上で旋回動作を行う。上部旋回体3はベースとなる旋回フレーム5を備え、旋回フレーム5は上部旋回体3の下面を形成している。旋回フレーム5には、後述するキャブ6、カウンタウエイト11、外装カバー12、電動モータ13、油圧ポンプ14、バッテリ15等が搭載されている。
【0016】
図3に示すように、上部旋回体3の左右方向の幅寸法は、下部走行体2の車幅よりも小さな寸法に設定されている。これにより、電動式油圧ショベル1は、上部旋回体3が下部走行体2上で旋回したときに、カウンタウエイト11の後面11Aが、下部走行体2の車幅の120%以内に収まる後方超小旋回仕様の油圧ショベルとして構成されている。
【0017】
キャブ6は、旋回フレーム5の左側に配置されている。キャブ6は、前面6A、後面6B、左側面6C、右側面6D、上面6Eによって囲まれたボックス状に形成され、オペレータが搭乗する運転室を形成している。キャブ6の後面6Bと上面6Eとが交わる後上角部6Fには、後述するカメラ26が取り付けられている。
図4に示すように、キャブ6内には、オペレータが座る運転席7、下部走行体2の走行動作を制御する走行用レバー・ペダル8、上部旋回体3の旋回動作、および作業装置4の動作を制御する作業用操作レバー9、カメラ26が撮像した画像等を表示するモニタ10等が設けられている。
【0018】
カウンタウエイト11は、キャブ6よりも後側に位置して旋回フレーム5の後端に設けられている。カウンタウエイト11は、旋回フレーム5の前側に設けられた作業装置4との重量バランスを保っている。カウンタウエイト11は、旋回フレーム5の後端から上方に立上がり、バッテリ15等を後方から覆っている。カウンタウエイト11の後面11Aは、左右方向の中央部が後方に突出した円弧状をなしている。これにより、上部旋回体3が旋回したときに、カウンタウエイト11の後面11Aは一定の旋回半径内に収まる。カウンタウエイト11の上面11Bには、後述する給電口16、ケーブル支持部材21、作業灯25が設けられている。
【0019】
外装カバー12は、カウンタウエイト11の前側に位置して旋回フレーム5上に設けられている。外装カバー12は、電動モータ13、油圧ポンプ14、バッテリ15等をカウンタウエイト11と共に覆っている。外装カバー12は、電動モータ13、油圧ポンプ14、バッテリ15等を右側および上側から覆う右外装カバー12Aと、バッテリ15等を左側から覆う左外装カバー12Bとを含んで構成されている。
【0020】
給電口16は、カウンタウエイト11の左側の上面11Bに設けられている。給電口16は、カウンタウエイト11の上面11Bから上方に突出した直方体のケーシング16A内に収容され、カウンタウエイト11の上面11Bの上方から右斜め下向きに延びている。また、ケーシング16Aには、給電口16の収容空間を開閉する蓋体16Bが設けられている。外装カバー12内には、電動モータ13を制御するモータ制御装置(図示せず)、外部電源からの電力をバッテリ15に充電する充電器(図示せず)等の電気機器が設けられ、この電気機器と給電口16との間は、外装カバー12内に配策された内部ケーブル(図示せず)を介して電気的に接続されている。給電口16と外部電源との間は、後述する車体側給電ケーブル17および電源側給電ケーブル19を介して接続される。
【0021】
車体側給電ケーブル17は、給電口16に接続された状態で上部旋回体3に搭載されている。車体側給電ケーブル17の基端17Aは、給電口16に電気的に接続され、車体側給電ケーブル17の先端は、車体側コネクタ18を介して電源側給電ケーブル19に接続されている。車体側給電ケーブル17の先端側は、後述するケーブル支持部材21により、カウンタウエイト11の後面11Aから後方に突出した状態で支持されている。
【0022】
車体側コネクタ18は、車体側給電ケーブル17の先端に設けられている。車体側コネクタ18は、複数の接続端子を外側から取囲む円筒状のケーシング18Aを有し、ケーシング18Aの先端は開口した接続口18Bとなっている。車体側給電ケーブル17がケーブル支持部材21のケーブルクランプ24に支持された状態で、車体側コネクタ18(ケーシング18A)の接続口18Bは、ケーブルクランプ24よりも下側の位置で下方(地面側)を向いて開口している。これにより、車体側コネクタ18の接続口18Bに雨水等が溜まり難く、車体側コネクタ18の内部に水が浸入することによる接続端子の腐食等の故障を防止することができる。
【0023】
電源側給電ケーブル19は、外部電源と車体側給電ケーブル17との間を電気的に接続している。電源側給電ケーブル19の基端は外部電源に接続され、電源側給電ケーブル19の先端は、電源側コネクタ20および車体側コネクタ18を介して車体側給電ケーブル17に接続されている。外部電源からの電力は、電源側給電ケーブル19、車体側給電ケーブル17、給電口16、モータ制御装置、充電器等の電気機器(図示せず)を介して電動モータ13に供給され、余剰の電力はバッテリ15に充電される。電動モータ13は外部電源からの電力によって駆動され、油圧ポンプ14を駆動する。これにより、電動式油圧ショベル1は、上部旋回体3を旋回させつつ作業装置4を用いて土砂の掘削作業等を行う。給電口16に接続された車体側給電ケーブル17は、ケーブル支持部材21によって支持されている。
【0024】
電源側コネクタ20は、電源側給電ケーブル19の先端に設けられ、車体側給電ケーブル17の車体側コネクタ18に着脱可能に接続される。電源側コネクタ20は、複数の接続端子を外側から取囲む円筒状のケーシング20Aを有し、ケーシング20Aの先端は開口した接続口20Bとなっている。ケーシング20Aの接続口20Bは、車体側コネクタ18のケーシング18Aの接続口18Bに対し、下側から着脱可能に接続される。電源側コネクタ20のケーシング20Aを車体側コネクタ18のケーシング18Aに取り付けた状態で、電源側コネクタ20の各端子と車体側コネクタ18の各端子とが電気的に接続される。
【0025】
電源側コネクタ20のケーシング20Aには、ケーシング20Aの外周面から拡径したフランジ部20Cが一体形成されている。また、ケーシング20Aの先端には、ケーシング20Aの外側に突出する一対のブラケット20Dと、ブラケット20Dに回動可能に取り付けられた蓋体20Eとが設けられている。電源側コネクタ20が車体側コネクタ18から取外されている状態では、電源側コネクタ20の接続口20Bは、蓋体20Eによって閉塞(施蓋)される。
【0026】
ケーブル支持部材21は、運転席7よりも後側に位置して上部旋回体3に設けられている。具体的には、ケーブル支持部材21は、給電口16から右側方に離間してカウンタウエイト11の上面11Bに設けられ、給電口16に接続された車体側給電ケーブル17の先端側を、上部旋回体3から離れるように支持している。これにより、電動式油圧ショベル1の走行時における電源側給電ケーブル19の踏み付け、上部旋回体3の旋回時における電源側給電ケーブル19の巻き込み等を防止することができる。ケーブル支持部材21は、スタンド部22と、アーム部23とを含んで構成され、カウンタウエイト11の上面11Bから給電口16よりも上方まで突出している。
【0027】
ケーブル支持部材21のスタンド部22は、カウンタウエイト11の上面11Bに固定されている。スタンド部22は、例えばパイプ材を用いて形成され、カウンタウエイト11の上面11Bから鉛直上方に立上っている。アーム部23は、スタンド部22の上端に、スタンド部22の軸心を中心として水平方向に回動可能に取り付けられている。アーム部23は、スタンド部22の軸心から離れる方向に延び、アーム部23の先端には、クランプ取付台23Aが設けられている。また、アーム部23の先端側には、クランプ取付台23Aに隣接してU字型のブラケット23Bが固定され、このブラケット23Bには、後述するロープ28の一側取付け部28Aが連結されている(
図6参照)。
【0028】
ケーブルクランプ24は、アーム部23のクランプ取付台23Aに取り付けられている。ケーブルクランプ24は、クランプ取付台23Aにピン24Aを介して取り付けられ、ヒンジ機構等(図示せず)によって開閉可能となった一対のクランプ片によって車体側給電ケーブル17を外周側から挟み込んで把持する。
【0029】
ここで、ケーブルクランプ24は、ピン24Aを中心として
図6中の実線で示す上側位置と二点鎖線で示す下側位置とに回動変位し、上側位置および下側位置のいずれかに固定される。例えば地面に配置された外部電源から供給される電力によって電動式油圧ショベル1が屋外で稼働する場合(本実施形態の場合)には、ケーブルクランプ24は上側位置(実線の位置)に固定される。一方、例えば建物の天井に配置された外部電源から供給される電力によって電動式油圧ショベルが屋内で稼働する場合には、ケーブルクランプ24は下側位置(二点鎖線の位置)に固定される。アーム部23のブラケット23Bは、ピン24Aを中心として回動するケーブルクランプ24の回動範囲から外れた部位に設けられている。
【0030】
作業灯25は、運転席7よりも後側に位置して上部旋回体3に設けられている。作業灯25は、ケーブル支持部材21のスタンド部22と給電口16との間に位置してカウンタウエイト11の上面11Bに配置されている。作業灯25は、カウンタウエイト11の上面11Bから上方に突出し、下部走行体2の走行時あるいは上部旋回体3の旋回時、作業装置4の作動時(電動式油圧ショベル1の稼働時)に点灯する。これにより、電動式油圧ショベル1の周囲の作業者に対し、電動式油圧ショベル1が作動中であることを表示(報知)する。
【0031】
カメラ26は、キャブ6の後面6Bと上面6Eとが交わる後上角部6Fに取り付けられている。これにより、カメラ26は、ケーブル支持部材21よりも高く、かつ給電口16よりも前側(作業装置4側)の位置で、上部旋回体3の後方に向けて配置されている。カメラ26は、コントローラ(図示せず)を介してキャブ6内のモニタ10に接続され、下部走行体2および上部旋回体3からなる車体の周囲を撮像し、この車体の周囲(例えば、車体後方)の画像をキャブ6内のモニタ10に映し出す。運転席7に座ったオペレータは、モニタ10に映し出された車体後方の画像を目視することにより、例えば運転席7から体を反転させて後方を目視することなく、車体後方の状況を把握することができる。
【0032】
ここで、カメラ26は、ケーブル支持部材21よりも高く、かつ給電口16よりも前側の位置で、上部旋回体3の後方に向けて配置されている。これにより、カメラ26は、
図9および
図10中にハッチングを付した撮像範囲A、即ち、下部走行体2の車幅よりも大きく、キャブ6の上面6Eよりも下側、かつキャブ6の後面6Bよりも後方において、電源側給電ケーブル19が地面に接するまでの広い範囲を撮像することができる。
【0033】
次に、本実施形態に用いられるコネクタ保持装置27について説明する。
【0034】
コネクタ保持装置27は、上部旋回体3に設けられたケーブル支持部材21と、電源側給電ケーブル19の電源側コネクタ20との間に設けられている。
図5ないし
図8に示すように、コネクタ保持装置27は、ロープ28と、連結環29,30と、結束バンド31とを含んで構成されている。コネクタ保持装置27は、電源側コネクタ20が車体側コネクタ18から取り外された状態で、電源側給電ケーブル19の電源側コネクタ20を、電源側コネクタ20の接続口20Bが車体側コネクタ18の接続口18Bの方向を向くように保持する(
図8参照)。これにより、電源側給電ケーブル19の電源側コネクタ20を、車体側給電ケーブル17の車体側コネクタ18に接続するときに、作業者が誤って電源側コネクタ20を落としたとしても、コネクタ保持装置27が電源側コネクタ20を保持することにより、電源側コネクタ20の地面への落下が防止できる構成となっている。
【0035】
紐状体としてのロープ28は、例えばワイヤロープ等の可撓性を有する素材を用いて直線状に形成されている。ロープ28の長さ方向の一端には、環状の一側取付け部28A(
図6参照)が設けられ、ロープ28の長さ方向の他端には、環状の他側取付け部28B(
図7参照)が設けられている。一側取付け部28Aには連結環29が着脱可能に取り付けられ、他側取付け部28Bには連結環30が着脱可能に取り付けられている。連結環29は、例えば長円形の環状体からなり、連結環29の一部を開閉するゲート部29Aを有している。連結環30も連結環29と同様な長円形の環状体からなり、連結環30の一部を開閉するゲート部30Aを有している。なお、紐状体は、針金、繊維等を撚り合わせたロープに限らず、例えば細長いゴム板、テープ等を用いて構成してもよい。
【0036】
ロープ28の一端としての一側取付け部28Aは、ケーブル支持部材21のアーム部23に設けられたブラケット23Bに、連結環29を介して連結されている。具体的には、連結環29のゲート部29Aを開いた状態で、ロープ28の一側取付け部28Aを連結環29に挿通すると共に、連結環29をアーム部23のブラケット23Bに係合させる。これにより、ロープ28の一端(一側取付け部28A)は、連結環29を介してケーブル支持部材21(アーム部23)に着脱可能に連結されている。この場合、コネクタ保持装置27は、ケーブルクランプ24の回動範囲から外れた位置に配置されるので、ケーブルクランプ24の回動動作が、コネクタ保持装置27によって妨げられることはない。
【0037】
一方、ロープ28の他端としての他側取付け部28Bは、電源側給電ケーブル19の電源側コネクタ20に、連結環30、および結束バンド31を介して連結されている。具体的には、電源側コネクタ20のうちフランジ部20Cとブラケット20Dとの間の外周側には、環状に締め込まれた結束バンド31が径方向に適度な隙間をもって取り付けられ、この結束バンド31に取り付けられた連結環30に、ロープ28の他側取付け部28Bが取り付けられている。なお、電源側コネクタ20にフランジ部20Cがない場合には、ロープ28の一側取付け部28A側に電源側コネクタ20の外周部を保持するような環状の保持具を設けても良い。
【0038】
連結部材としての結束バンド31は、例えばナイロン等の樹脂材料を用いて帯状に形成され、長さ方向の一端に取付穴31Aが設けられると共に、取付穴31Aに隣接して内側にラチェットを有する角枠状の抜止め部31Bが設けられている。結束バンド31は、長さ方向の他端側を抜止め部31Bに挿通することにより電源側コネクタ20の外周側に環状に締め込まれ、電源側コネクタ20のフランジ部20Cとブラケット20Dとの間に抜止め状態で配置されている。結束バンド31の取付穴31Aには、連結環30が移動可能に取り付けられている。結束バンド31に取り付けられた連結環30には、ゲート部30Aを通じてロープ28の他側取付け部28Bが挿通される。これにより、ロープ28の他端(他側取付け部28B)は、連結環30、結束バンド31を介して電源側コネクタ20に着脱可能に連結される。
【0039】
この場合、車体側コネクタ18から離脱した電源側コネクタ20は、コネクタ保持装置27によって保持された状態(
図8の状態)で、接続口20Bが上側を向くように構成されている。具体的には、結束バンド31は、電源側コネクタ20の長手方向(抜差し方向)において、電源側コネクタ20の重心よりも接続口20B側に偏った位置に配置されている。また、ロープ28の一側取付け部28Aは連結環30に対して移動自在に取り付けられ、連結環30は結束バンド31の取付穴31Aに対して移動自在に取り付けられている。これにより、連結環30および結束バンド31を介してロープ28の一側取付け部28Aに連結された電源側コネクタ20は、コネクタ保持装置27によって保持されたときに自重によってロープ28に対する姿勢が調整され、接続口20Bが上側を向くようになっている。
【0040】
このように、ロープ28の一端(一側取付け部28A)は、連結環29を介してケーブル支持部材21(アーム部23)に着脱可能に連結され、ロープ28の他端(他側取付け部28B)は、連結環30、結束バンド31を介して電源側コネクタ20に着脱可能に連結されている。従って、
図8に示すように、電源側コネクタ20が車体側コネクタ18から取外されている状態では、コネクタ保持装置27は、電源側コネクタ20を車体側コネクタ18から下方に離れた位置に保持し、電源側コネクタ20の接続口20Bと車体側コネクタ18の接続口18Bとは、上下方向で対向する。ここで、接続口20Bと接続口18Bとが対向する状態とは、両者が正対している状態に限らず、両者が概ね向き合っている状態も含んでいる。
【0041】
また、ロープ28の長さは、ケーブル支持部材21のアーム部23と下部走行体2との間の距離よりも短く設定されている。このため、ロープ28の他側取付け部28Bに連結された電源側コネクタ20は、車体側コネクタ18から取り外された状態で、下部走行体2よりも上側(上部旋回体3の旋回フレーム5よりも上側)となり、かつ、車体側コネクタ18よりも下側となる所定の地上高さ(地面からの高さ)に保持(仮置き)される。これにより、例えば電源側コネクタ20を車体側コネクタ18から取外したときに、コネクタ保持装置27によって保持された電源側コネクタ20が大きく揺れたとしても、電源側コネクタ20が下部走行体2に衝突して破損する事態を防止することができる。
【0042】
ここで、上部旋回体3とコネクタ保持装置27との連結部、即ち、ケーブル支持部材21(アーム部23)のブラケット23Bとロープ28の一側取付け部28Aとの連結部は、
図9および
図10中のハッチングを付したカメラ26の撮像範囲A内に配置されている。また、コネクタ保持装置27と電源側コネクタ20との連結部、即ち電源側コネクタ20に取り付けられた結束バンド31とロープ28の他側取付け部28Bとの連結部も、カメラ26の撮像範囲A内に配置されている。従って、カメラ26は、電動式油圧ショベル1の車体後方と共に、ケーブル支持部材21、車体側給電ケーブル17、車体側コネクタ18、電源側給電ケーブル19、電源側コネクタ20、コネクタ保持装置27等を撮像することができる。これにより、
図11に示すように、車体側コネクタ18に電源側コネクタ20が接続された状態、あるいは
図12に示すように、車体側コネクタ18から離脱した電源側コネクタ20がコネクタ保持装置27によって保持されている状態を、常にカメラ26によって監視することができる。
【0043】
電源側給電ケーブル19を車体側給電ケーブル17に接続する作業を行うときには、作業者は、
図8に示す所定の地上高さに保持された電源側コネクタ20を把持し、電源側コネクタ20の接続口20Bを車体側コネクタ18の接続口18Bに接続する。これにより、
図2に示すように、電源側給電ケーブル19と車体側給電ケーブル17とが電気的に接続され、外部電源からの電力は、電源側給電ケーブル19、車体側給電ケーブル17、給電口16、モータ制御装置、充電器等の電気機器(図示せず)を介して電動モータ13に供給される。
【0044】
このように、電源側コネクタ20は、車体側コネクタ18から取外された状態では、コネクタ保持装置27によって所定の地上高さに保持されている。このため、電源側給電ケーブル19と車体側給電ケーブル17との接続作業を行うときには、重量物である電源側コネクタ20を車体側コネクタ18に向けて持上げる距離を短くし、作業者の負担を軽減することができる。しかも、電源側給電ケーブル19と車体側給電ケーブル17との接続作業を行う作業者が、誤って電源側コネクタ20を落としたとしても、電源側コネクタ20は、コネクタ保持装置27に保持されることにより、地面に落下して破損することはない。これらのことは、車体側コネクタ18から電源側コネクタ20を取り外す作業についても同様である。
【0045】
ここで、電源側コネクタ20とロープ28の他側取付け部28Bとの間を、連結環30を介して連結する結束バンド31の耐荷重は、電源側コネクタ20がロープ28の長さの範囲で自由落下したときにロープ28に作用する荷重よりも大きく、電源側給電ケーブル19の引張荷重に対する耐荷重よりも小さく設定されている。従って、電源側給電ケーブル19を車体側給電ケーブル17に対して着脱するときに誤って電源側コネクタ20を落としたとしても、結束バンド31が電源側コネクタ20の落下の衝撃によって破断し、電源側コネクタ20から離脱することはない。
【0046】
一方、例えば電源側給電ケーブル19が車体側給電ケーブル17に接続された状態で電動式油圧ショベル1が走行し、例えば電源側給電ケーブル19の長さによって制限された移動範囲を超えた場合には、車体側コネクタ18から電源側コネクタ20が離脱する。さらに電動式油圧ショベル1が走行した場合には、ケーブル支持部材21と電源側コネクタ20との間でロープ28が延びきった状態となる。この状態において、電源側給電ケーブル19が引張り力によって破断する前に、結束バンド31の抜止め部31Bが破損することにより、結束バンド31は電源側コネクタ20から離脱する。これにより、電動式油圧ショベル1が、電源側給電ケーブル19の長さによって制限された移動範囲を超えて走行したとしても、電源側給電ケーブル19が破断する事態を防止することができる。
【0047】
本実施形態による電動式油圧ショベル1は、上述の如き構成を有するもので、以下、電源側給電ケーブル19を車体側給電ケーブル17に接続する作業について説明する。
【0048】
電源側給電ケーブル19を車体側給電ケーブル17に接続する場合には、まず、
図6に示すように、車体側給電ケーブル17を支持するケーブル支持部材21(アーム部23)に設けられたブラケット23Bに、連結環29を介してロープ28の一側取付け部28Aを連結する。次に、
図7に示すように、電源側コネクタ20の外周側に結束バンド31を介して取り付けられた連結環30に、ロープ28の他側取付け部28Bを連結する。これにより、
図8に示すように、電源側コネクタ20は、コネクタ保持装置27によって上部旋回体3の旋回フレーム5よりも上側、(下部走行体2よりも上側)となる所定の地上高さに保持される。この状態で、電源側コネクタ20の接続口20Bは、車体側給電ケーブル17に設けられた車体側コネクタ18の接続口18Bと上下方向で対向する。
【0049】
次に、作業者は、コネクタ保持装置27に保持された電源側コネクタ20を把持し、電源側コネクタ20の接続口20Bを車体側コネクタ18の接続口18Bに接続する。これにより、
図2に示すように、電源側給電ケーブル19と車体側給電ケーブル17とが電気的に接続される。この場合、電源側コネクタ20の接続口20Bを、車体側コネクタ18の接続口18Bに接続する前段階において、電源側コネクタ20は、コネクタ保持装置27によって所定の地上高さに保持されている。このため、電源側コネクタ20が地面に置かれている場合に比較して、電源側コネクタ20を車体側コネクタ18に向けて持上げる距離を短くできるので、作業者の負担を軽減することができ、作業性を向上させることができる。さらに、コネクタ保持装置27は、電源側コネクタ20を、その接続口20Bが車体側コネクタ18の接続口18Bの方向に向くように保持するので、車体側コネクタ18の接続口18Bに合わせて電源側コネクタ20の向きを変える作業が不要となり、一層作業性を向上させることができる。しかも、作業者が、誤って電源側コネクタ20を落としたとしても、電源側コネクタ20が地面に落下して破損することがなく、電源側コネクタ20を保護することができる。
【0050】
このようにして、電源側コネクタ20の接続口20Bが車体側コネクタ18の接続口18Bに接続されることにより、外部電源からの電力は、電源側給電ケーブル19、車体側給電ケーブル17、給電口16、モータ制御装置、充電器等の電気機器(図示せず)を介して電動モータ13に供給される。この状態で、オペレータが走行用レバー・ペダル8を操作することにより、電動式油圧ショベル1を作業現場まで走行させることができる。電動式油圧ショベル1が作業現場まで移動した後には、オペレータが作業用操作レバー9を操作することにより、上部旋回体3を旋回させつつ作業装置4によって土砂等の掘削作業を行うことができる。
【0051】
電動式油圧ショベル1が稼働する作業現場までの距離が、電源側給電ケーブル19の長さを超える場合には、バッテリ15に蓄電された電力を用いて電動モータ13が駆動される。このため、例えば作業現場の手前で車体側給電ケーブル17と電源側給電ケーブル19との接続状態を解除するため、車体側コネクタ18から電源側コネクタ20を取り外す作業が行われる。このとき、電源側コネクタ20の取り外し作業を行う作業者が、誤って電源側コネクタ20を落としたとしても、電源側コネクタ20は、コネクタ保持装置27に保持される(
図8参照)。この結果、電源側コネクタ20が地面に落下して破損することがなく、電源側コネクタ20を保護することができる。
【0052】
車体側コネクタ18から取り外された電源側コネクタ20は、コネクタ保持装置27によって、車体側コネクタ18の地上高さよりも低い所定の地上高さに保持されている。この状態で、例えば連結環29からロープ28の一側取付け部28Aを取り外す、あるいは連結環30からロープ28の他側取付け部28Bを取り外すことにより、電源側コネクタ20を地面側に下ろすことができる。この場合にも、取り外された電源側コネクタ20を、車体側コネクタ18の高さ位置から地面に下ろす場合に比較して、作業者の負担を軽減することができ、作業性を向上させることができる。
【0053】
一方、電源側給電ケーブル19が車体側給電ケーブル17に接続された状態で、電動式油圧ショベル1が、電源側給電ケーブル19の長さによって制限される移動範囲を超えて走行した場合には、電源側コネクタ20と車体側コネクタ18との接続部に作用する引張り力により、電源側コネクタ20が車体側コネクタ18から離脱する。この場合にも、電源側コネクタ20は、コネクタ保持装置27に保持されることにより、地面への落下による破損、下部走行体2への衝突による破損が防止され、電源側コネクタ20を保護することができる。
【0054】
電源側コネクタ20が車体側コネクタ18から離脱した状態においても、電動式油圧ショベル1は、バッテリ15からの電力によって電動モータ13が駆動されることにより、走行動作を継続する場合がある。この場合には、電源側コネクタ20がコネクタ保持装置27によって保持されているため、ケーブル支持部材21と電源側コネクタ20との間でロープ28が延びきった状態となる。ここで、コネクタ保持装置27の結束バンド31の耐荷重は、電源側コネクタ20がロープ28の長さの範囲で落下したときにロープ28に作用する荷重よりも大きく、電源側給電ケーブル19の引張荷重に対する耐荷重よりも小さく設定されている。このため、電源側給電ケーブル19が引張り力によって破断する前に、結束バンド31の抜止め部31Bが破損することにより、結束バンド31は電源側コネクタ20から離脱する。この結果、電動式油圧ショベル1が、電源側給電ケーブル19の長さによって制限された移動範囲を超えて走行したとしても、電源側給電ケーブル19が破断する事態を防止することができる。
【0055】
電動式油圧ショベル1の稼働時には、キャブ6の後上角部6Fに取り付けられたカメラ26により、
図9および
図10中にハッチングを付した車体後方の撮像範囲Aが撮像される。これにより、カメラ26は、電動式油圧ショベル1の車体後方と共に、ケーブル支持部材21、車体側給電ケーブル17、車体側コネクタ18、電源側給電ケーブル19、電源側コネクタ20、コネクタ保持装置27等を撮像することができる。従って、オペレータは、キャブ6内のモニタ10に映し出された画像により、車体側コネクタ18に電源側コネクタ20が接続された状態(
図11の状態)、車体側コネクタ18から離脱した電源側コネクタ20がコネクタ保持装置27によって保持されている状態(
図12の状態)を常に監視することができる。さらに、オペレータはモニタ10により、給電口16と車体側給電ケーブル17の基端17Aとの接続状況、車体側コネクタ18と電源側コネクタ20との接続状況、下部走行体2の走行時における電源側給電ケーブル19の踏みつけ、上部旋回体3の旋回時における電源側給電ケーブル19の巻き込み等を監視することができる。
【0056】
また、オペレータは、ケーブル支持部材21とコネクタ保持装置27との連結部、即ちアーム部23のブラケット23Bとロープ28の一側取付け部28Aとの連結部をモニタ10によって監視することができる。さらに、オペレータは、コネクタ保持装置27と電源側コネクタ20との連結部、即ち電源側コネクタ20に取り付けられた結束バンド31とロープ28の他側取付け部28Bとの連結部も、モニタ10によって監視することができる。
【0057】
かくして、実施形態では、下部走行体2および上部旋回体3からなる自走可能な車体と、上部旋回体3に設けられた作業装置4とからなり、上部旋回体3は、作業装置4を駆動するための電動モータ13と、電動モータ13に電力を供給する車体側給電ケーブル17とを備え、車体側給電ケーブル17には、外部電源に接続された電源側給電ケーブル19の電源側コネクタ20に接続可能な車体側コネクタ18を有する電動式油圧ショベル1において、上部旋回体3には電源側コネクタ20を保持するコネクタ保持装置32を備え、コネクタ保持装置32は、電源側コネクタ20が車体側コネクタ18から取り外された状態で、電源側コネクタ20の接続口20Bを車体側コネクタ18の接続口18Bの方向に向かせるように電源側コネクタ20を保持することを特徴としている。
【0058】
この構成によれば、電源側給電ケーブル19を車体側給電ケーブル17に対して接続、取り外しする作業を行う場合に、電源側コネクタ20を車体側コネクタ18に向けて移動させる距離、あるいは車体側コネクタ18から取り外した電源側コネクタ20を持ち運ぶ距離を短くすることができる。さらに、車体側コネクタ18から取り外された電源側コネクタ20は、コネクタ保持装置27によって、接続口20Bを車体側コネクタ18の接続口18Bの方向に向かせた状態に保持されるので、接続口20Bを接続口18Bに接続するときに、電源側コネクタ20の向きを変える作業が不要となる。この結果、作業者の負担を軽減することができ、作業性を向上させることができる。しかも、作業時に誤って電源側コネクタ20を落としたとしても、コネクタ保持装置27によって電源側コネクタ20を保持することができる。これにより、電源側コネクタ20が地面に落下して破損する事態を防止することができる。
【0059】
実施形態では、上部旋回体3は、車体側給電ケーブル17を支持するケーブル支持部材21を有し、コネクタ保持装置27は、ケーブル支持部材21に設けられている。この構成によれば、ケーブル支持部材21によって支持された車体側給電ケーブル17の車体側コネクタ18に近い位置に、コネクタ保持装置27によって保持された電源側コネクタ20を配置することができる。
【0060】
実施形態では、車体は、自走可能な下部走行体2と、下部走行体2上に旋回可能に搭載されケーブル支持部材21が取り付けられた上部旋回体3とを有し、コネクタ保持装置27は、一端(一側取付け部28A)がケーブル支持部材21に連結されると共に他端(他側取付け部28B)が電源側コネクタ20に連結されたロープ28を含んで構成され、ロープ28の長さは、ケーブル支持部材21と下部走行体2との距離よりも短くなっている。この構成によれば、例えば電源側コネクタ20を車体側コネクタ18から取外したときに、コネクタ保持装置27によって保持された電源側コネクタ20が大きく揺れたとしても、電源側コネクタ20が下部走行体2に衝突して破損する事態を防止することができる。
【0061】
実施形態では、ケーブル支持部材21は、上部旋回体3に取り付けられ先端が上部旋回体3の外部に向けて突出したアーム部23と、アーム部23の先端に設けられ車体側給電ケーブル17を把持するケーブルクランプ24とを有し、コネクタ保持装置27は、ケーブルクランプ24に隣接してアーム部23の先端側に設けられている。この構成によれば、コネクタ保持装置27によってケーブルクランプ24の回動動作が妨げられることがなく、外部電源が地面に配置されるか建物の天井に配置されるかに応じて、ケーブルクランプ24を、
図6中の上側位置(実線の位置)または下側位置(二点鎖線の位置)に固定することができる。
【0062】
実施形態では、上部旋回体3は、車体の周囲を撮像するカメラ26と、カメラ26の撮像画像を表示するモニタ10とを備え、コネクタ保持装置27は、上部旋回体3と電源側コネクタ20とにそれぞれ連結され、上部旋回体3とコネクタ保持装置27との連結部、およびコネクタ保持装置27と電源側コネクタ20との連結部は、カメラ26の撮像範囲内に配置されている。この構成によれば、電源側コネクタ20がコネクタ保持装置27によって保持されているか否かをカメラ26によって撮像し、常にモニタ10によって監視することができる。
【0063】
実施形態では、電源側コネクタ20とロープ28の他側取付け部28Bとの間は結束バンド31を介して連結され、結束バンド31の耐荷重は、電源側コネクタ20がロープ28の長さの範囲で自由落下したときに結束バンド31に作用する荷重よりも大きく、電源側給電ケーブル19の引張荷重に対する耐荷重よりも小さく設定されている。この構成によれば、電源側給電ケーブル19を車体側給電ケーブル17に対して着脱するときに誤って電源側コネクタ20を落としたとしても、結束バンド31が破断して電源側コネクタ20から離脱することはなく、コネクタ保持装置27によって電源側コネクタ20を確実に保持することができる。一方、電源側給電ケーブル19が車体側給電ケーブル17から離脱した状態で電動式油圧ショベル1が走行した場合には、電源側給電ケーブル19が引張り力によって破断する前に結束バンド31が破断して電源側コネクタ20から離脱することにより、電源側給電ケーブル19が破断する事態を防止することができる。
【0064】
実施形態では、車体側コネクタ18は、接続口18Bが下側を向いて配置され、コネクタ保持装置27は、電源側コネクタ20の接続口20Bを上側に向かせるように電源側コネクタ20の上方から電源側コネクタ20を保持する。この構成によれば、電源側コネクタ20の接続口20Bと車体側コネクタ18の接続口18Bとを上下方向に着脱することができ、電源側給電ケーブル19を車体側給電ケーブル17に接続する作業、および電源側給電ケーブル19を車体側給電ケーブル17から取外す作業の作業性を高めることができる。
【0065】
次に、
図13は本発明の第2の実施形態を示している。本実施形態の特徴は、コネクタ保持装置が、ロープの長さを調整するための長さ調整部を有していることにある。なお、本実施形態では、第1の実施形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略する。
【0066】
第2の実施形態によるコネクタ保持装置32は、第1の実施形態によるコネクタ保持装置27と同様に、ロープ28と、連結環29,30と、結束バンド31とを含んで構成されている。しかし、本実施形態によるコネクタ保持装置32は、後述する長さ調整部33を有している点で、第1の実施形態によるコネクタ保持装置27とは異なっている。
【0067】
長さ調整部33は、例えばロープ28の一側取付け部28Aに隣接する位置に設けられている。長さ調整部33は、ケーシング33Aと、ケーシング33A内に回転可能に設けられたリール(図示せず)とを含んで構成され、前記リールにはロープ28の途中部位が巻き付けられている。従って、前記リールに対するロープ28の巻き付け量を変化させることにより、ロープ28の長さ(一側取付け部28Aから他側取付け部28Bまでの長さ)を調整することができる。
【0068】
第2の実施形態によるコネクタ保持装置32は、上述の如き長さ調整部33を有するもので、その基本的作用については、第1の実施形態によるコネクタ保持装置27と格別差異はない。然るに、コネクタ保持装置32は、長さ調整部33によってロープ28の長さを調整することができる。これにより、車体側コネクタ18から取外された電源側コネクタ20をコネクタ保持装置32によって保持した状態で、電源側コネクタ20の地上高さ(地面からの高さ)を、作業者の体格等に応じて適宜に調整することができる。この結果、電源側給電ケーブル19を車体側給電ケーブル17に対して接続、取り外しするときの作業性を一層高めることができる。
【0069】
次に、
図14および
図15は本発明の第3の実施形態を示している。本実施形態の特徴は、ケーブル支持部材とロープの一端との間に、ロープに作用する引張荷重に応じて巻き出される補助ロープを含む巻取り装置が設けられていることにある。なお、本実施形態では、第1の実施形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略する。
【0070】
第3の実施形態によるコネクタ保持装置34は、第1の実施形態によるコネクタ保持装置27と同様に、ロープ28と、連結環29,30と、結束バンド31とを含んで構成されている。しかし、本実施形態によるコネクタ保持装置34は、後述する巻取り装置35を有している点で、第1の実施形態によるコネクタ保持装置27とは異なっている。
【0071】
巻取り装置35は、ケーブル支持部材21とロープ28の一側取付け部28Aとの間に設けられている。具体的には、巻取り装置35は、ケーブル支持部材21(アーム部23)のブラケット23Bに連結環29を介して取り付けられ、巻取り装置35の補助ロープ35Bは、連結金具36を介してロープ28の一側取付け部28Aに連結されている。
【0072】
巻取り装置35は、ブラケット23Bに連結環29を介して取り付けられたケーシング35Aと、ケーシング35A内に設けられたリール(図示せず)と、巻取り装置に巻回されたワイヤロープ等からなる補助ロープ35Bと、を含んで構成されている。補助ロープ35Bはケーシング35A内でリールに巻回され、補助ロープ35Bの先端にはフック35Cが取り付けられている。フック35Cはケーシング35Aの外部に配置され、フック35Cには、巻取り装置35の一部を構成する連結金具36が取付けられている。巻取り装置35の連結金具36には、ロープ28の一側取付け部28Aが着脱可能に連結されている。ロープ28と補助ロープ35Bを合計した長さは、ケーブル支持部材21のアーム部23と地面(下部走行体2の接地面)との間の距離よりも長く設定されている。
【0073】
ここで、ケーシング35A内に設けられたリールは、常に補助ロープ35Bを巻き取る方向に付勢されている。巻取り装置35のリールによって補助ロープ35Bに作用する巻取り方向の付勢力は、電源側コネクタ20がロープ28の長さの範囲で自由落下したときにロープ28に作用する荷重(引張荷重)よりも大きく設定されている。従って、車体側コネクタ18から電源側コネクタ20が取り外された状態では、電源側コネクタ20の重量によって補助ロープ35Bが巻き出されることはなく、電源側コネクタ20は、結束バンド31、連結環30、ロープ28および巻取り装置35を介して、下部走行体2よりも上側となる所定の地上高さに保持される。一方、ロープ28に対し、電源側コネクタ20がロープ28の長さの範囲で自由落下したときに作用する荷重よりも大きな荷重が作用したときには、補助ロープ35Bは、巻取り装置35の付勢力に抗してケーシング35Aから巻き出される。そして、補助ロープ35Bがケーシング35Aから所定長さ巻き出され、補助ロープ35Bに対して過大な引張荷重が作用したときには、例えば連結金具36が破断することにより、ケーブル支持部材21と電源側コネクタ20との連結が解除される。
【0074】
巻取り装置35の一部を構成する連結金具36は、例えば薄肉な細長い金属板を長円形状に折曲げることにより形成され、連結金具36の一部を開閉するゲート部36Aを有している。ロープ28の一側取付け部28Aは、ゲート部36Aを通じて連結金具36に取り付けられている。ここで、連結金具36の耐荷重は、例えば電源側コネクタ20がロープ28の範囲で自由落下したときにロープ28に作用する荷重よりも大きく、結束バンド31の耐荷重よりも小さく設定されている。
【0075】
第3の実施形態によるコネクタ保持装置34は、上述の如き巻取り装置35を有するもので、その基本的作用については、第1の実施形態によるコネクタ保持装置27と格別差異はない。然るに、コネクタ保持装置34は、ケーブル支持部材21とロープ28の一側取付け部28Aとの間に、補助ロープ35Bを有する巻取り装置35が設けられている。これにより、電動式油圧ショベル1が、電源側給電ケーブル19の長さによって制限される移動範囲を超えて走行した場合において、電源側コネクタ20が上部旋回体3に衝突するのを防止することができる。
【0076】
即ち、電源側給電ケーブル19が車体側給電ケーブル17に接続された状態で、電動式油圧ショベル1が、電源側給電ケーブル19の長さによって制限される移動範囲を超えて走行した場合には、電源側コネクタ20と車体側コネクタ18との接続部に作用する引張り力により、電源側コネクタ20が車体側コネクタ18から離脱する。この状態においても、バッテリ15からの電力によって電動モータ13が駆動されることにより、電動式油圧ショベル1は走行動作を継続することができる。この場合には、電源側コネクタ20がコネクタ保持装置34のロープ28によって保持されているため、ケーブル支持部材21と電源側コネクタ20との間でロープ28が直線状に延びきった状態となる。
【0077】
ここで、ロープ28を介して巻取り装置35の補助ロープ35Bに作用する引張荷重が、巻取り装置35によって補助ロープ35Bに作用する巻取り方向の付勢力よりも大きくなると、
図15に示すように、ケーシング35Aから補助ロープ35Bが巻き出される。これにより、ロープ28の他側取付け部28Bに連結された電源側コネクタ20は、ケーブル支持部材21に連結されたロープ28の一側取付け部28Aを中心に揺動して上部旋回体3に衝突することなく、ロープ28の他側取付け部28Bが連結されたまま静かに地面に着地することができる。この結果、電動式油圧ショベル1が、電源側給電ケーブル19の長さによって制限される移動範囲を超えて走行したとしても、電源側コネクタ20が上部旋回体3に衝突して破損するのを防止し、電源側コネクタ20を保護することができる。
【0078】
さらに、電源側コネクタ20が地面に着地した
図15の状態から、電動式油圧ショベル1が走行動作を継続することにより、巻取り装置35の補助ロープ35Bがケーシング35Aから所定長さ巻き出され、補助ロープ35Bに対して過大な引張荷重が作用した場合には、補助ロープ35Bのフック35Cとロープ28の一側取付け部28Aとの間を連結する連結金具36が破断する。これにより、コネクタ保持装置34を介したケーブル支持部材21と電源側コネクタ20との連結状態が解除され、電源側コネクタ20およびケーブル支持部材21を保護することができる。
【0079】
なお、実施形態では、外部電源からの電力を蓄電するバッテリ15が搭載された電動式油圧ショベル1を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えばバッテリが搭載されておらず、電動モータ13が外部電源から供給される電力によって駆動される方式の電動式建設機械にも適用することができる。
【0080】
また、実施形態では、外装カバー12内に設けられた電気機器に内部ケーブルを介して接続された給電口16が、上部旋回体3に設けられ、この給電口16に基端17Aが接続された車体側給電ケーブル17に電源側給電ケーブル19が接続される構成を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えば給電口16を設けることなく、車体側給電ケーブル17の基端17Aを電気機器に直接的に接続する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0081】
2 下部走行体(車体)
3 上部旋回体(車体)
4 作業装置
10 モニタ
13 電動モータ
17 車体側給電ケーブル
18 車体側コネクタ
18B,20B 接続口
19 電源側給電ケーブル
20 電源側コネクタ
21 ケーブル支持部材
24 ケーブルクランプ
26 カメラ
27,32,34 コネクタ保持装置
28 ロープ(紐状体)
28A 一側取付け部(一端)
28B 他側取付け部(他端)
31 結束バンド(連結部材)
33 長さ調整部
35 巻取り装置
35B 補助ロープ