(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104815
(43)【公開日】2024-08-06
(54)【発明の名称】スペーサ
(51)【国際特許分類】
F02F 1/14 20060101AFI20240730BHJP
F01P 3/02 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
F02F1/14 D
F01P3/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023009183
(22)【出願日】2023-01-25
(71)【出願人】
【識別番号】000225359
【氏名又は名称】内山工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002686
【氏名又は名称】協明国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】牧野 耕治
【テーマコード(参考)】
3G024
【Fターム(参考)】
3G024AA28
3G024CA08
3G024FA03
(57)【要約】
【課題】複数の分割体を事前に組み合わせることなく冷却水流路内に配置可能なスペーサを提供する。
【解決手段】冷却水の流れを規制するスペーサ10であって、複数の分割体12A,12Bを組み合わせることによって構成されたスペーサ本体11と、所定の外的要因によって、圧縮状態から厚さ方向に膨大化して復元する特性を有する多孔質体のシート体13とを備え、前記複数の分割体は、隣接する他方の分割体と相互に係合可能な位置決め部14A,14Bが設けられており、前記スペーサ本体は、前記一方の分割体及び前記他方の分割体それぞれの前記位置決め部が対向して冷却水流路3内に配置された状態において、前記シート体が圧縮状態から復元した際に前記一方の分割体の前記位置決め部が変位して前記他方の分割体の前記位置決め部と互いに係合することにより、前記一方の分割体と前記他方の分割体との相対位置が位置決めされる位置決め構造を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関のシリンダブロックにシリンダボアを取り囲む状態で設けられた冷却水流路内に配置され、冷却水の流れを規制するスペーサであって、
剛性を有する複数の分割体を組み合わせることによって前記シリンダボアの形状に沿うように構成されたスペーサ本体と、所定の外的要因によって、圧縮状態から厚さ方向に膨大化して復元する特性を有する多孔質体のシート体とを備え、
前記複数の分割体は、隣接する他方の分割体と相互に係合可能な位置決め部が設けられており、隣接する前記複数の分割体のうちの少なくとも一方の分割体には、一方面に圧縮状態の前記シート体が設けられており、
前記スペーサ本体は、前記一方の分割体及び前記他方の分割体それぞれの前記位置決め部が対向して前記冷却水流路内に配置された状態において、前記シート体が圧縮状態から復元した際に前記一方の分割体の前記位置決め部が変位して前記他方の分割体の前記位置決め部と互いに係合することにより、前記一方の分割体と前記他方の分割体との相対位置が位置決めされる位置決め構造を有することを特徴とするスペーサ。
【請求項2】
請求項1において、
前記位置決め構造は、互いに隣接する前記位置決め部同士が係合した状態において、前記冷却水流路における深さ方向、周方向及び溝幅方向への前記複数の分割体同士の相対的な変位を規制する構造であることを特徴とするスペーサ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2において、
前記位置決め構造は、互いに係合する凹部及び凸部による凹凸構造であることを特徴とするスペーサ。
【請求項4】
請求項1又は請求項2において、
前記分割体には、前記冷却水流路内に配置された際に、互いに係合することによって隣接する前記位置決め部同士が離隔する方向への変位を規制する離隔規制部が設けられていることを特徴とするスペーサ。
【請求項5】
請求項1又は請求項2において、
前記スペーサ本体は、前記シート体が設けられた前記一方面とは反対側の面である他方面が前記冷却水流路の壁面に当接することを特徴とするスペーサ。
【請求項6】
請求項1又は請求項2において、
前記シート体は、前記分割体の厚さ方向において前記位置決め部と重なる位置に設けられていることを特徴とするスペーサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関のシリンダブロックにシリンダボアを取り囲む状態で設けられた冷却水流路内に配置され、冷却水の流れを規制するスペーサに関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関のシリンダブロックにシリンダボアを取り囲む状態で設けられた冷却水流路内には、流通する冷却水の流量や流速等を規制するためのスペーサが冷却水流路の上部の開口から挿入されて配置される。下記特許文献1,2では、複数の分割体を組み合わせることによって、複数気筒のシリンダボアを取り囲む形状のスペーサが構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-208744号公報
【特許文献2】特開2021-080856号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1,2のように複数の分割体によって構成されたスペーサでは、冷却水流路内に配置する前に複数の分割体を組み合わせる工程が必要となる。特許文献1では、複数の分割体同士を連結させるための保持具が必要であり、この保持具による分割体同士の相対位置を調整して連結させる工程が必要である。また、特許文献2では、末端部や規制部の形状が複雑であるため、製造するための金型の形状が複雑になる傾向にある。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、複数の分割体を事前に組み合わせることなく冷却水流路内に配置可能なスペーサを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のスペーサは、内燃機関のシリンダブロックにシリンダボアを取り囲む状態で設けられた冷却水流路内に配置され、冷却水の流れを規制するスペーサであって、剛性を有する複数の分割体を組み合わせることによって前記シリンダボアの形状に沿うように構成されたスペーサ本体と、所定の外的要因によって、圧縮状態から厚さ方向に膨大化して復元する特性を有する多孔質体のシート体とを備え、前記複数の分割体は、隣接する他方の分割体と相互に係合可能な位置決め部が設けられており、隣接する前記複数の分割体のうちの少なくとも一方の分割体には、一方面に圧縮状態の前記シート体が設けられており、前記スペーサ本体は、前記一方の分割体及び前記他方の分割体それぞれの前記位置決め部が対向して前記冷却水流路内に配置された状態において、前記シート体が圧縮状態から復元した際に前記一方の分割体の前記位置決め部が変位して前記他方の分割体の前記位置決め部と互いに係合することにより、前記一方の分割体と前記他方の分割体との相対位置が位置決めされる位置決め構造を有することを特徴とする。
【0007】
上記スペーサにおいて、前記位置決め構造は、互いに隣接する前記位置決め部同士が係合した状態において、前記冷却水流路における深さ方向、周方向及び溝幅方向への前記複数の分割体同士の相対的な変位を規制する構造であってもよい。
【0008】
また、上記スペーサにおいて、前記位置決め構造は、互いに係合する凹部及び凸部による凹凸構造であってもよい。
【0009】
また、上記スペーサにおいて、前記分割体には、前記冷却水流路内に配置された際に、互いに係合することによって隣接する前記位置決め部同士が離隔する方向への変位を規制する離隔規制部が設けられてもよい。
【0010】
また、上記スペーサにおいて、前記スペーサ本体は、前記シート体が設けられた前記一方面とは反対側の面である他方面が前記冷却水流路の壁面に当接してもよい。
【0011】
そして、上記スペーサにおいて、前記シート体は、前記分割体の厚さ方向において前記位置決め部と重なる位置に設けられてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明のスペーサは上述した構成とされるため、複数の分割体を事前に組み合わせることなく冷却水流路内に配置可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】内燃機関のシリンダブロックに設けられた冷却水流路内に第1実施形態に係るスペーサを配置した状態を模式的に示す概略的横断平面図である。
【
図2】同スペーサの位置決め構造を説明するための要部を拡大した模式的斜視図である。
【
図3】(a)~(c)は、
図1のA部の拡大図において、シート体の圧縮状態から復元して位置決め部同士が係合する過程を経時的に示した説明図である。
【
図4】(a)は同スペーサの要部の模式的側面図、(b)は(a)のシート体が復元した状態におけるB-B’線矢視断面図である。
【
図5】第1実施形態の第1変形例を示す図であり、(a)(b)は要部の示す模式的斜視図、(c)は要部の模式的平面図、(d)は冷却水流路内でシート体が復元した状態における要部の模式的横断面図である。
【
図6】第1実施形態の第2変形例を示す図であり、(a)(b)は要部を示す模式的分解斜視図、(c)は冷却水流路内でシート体が復元した状態における要部の模式的横断面図である。
【
図7】(a)は第1実施形態の第3変形例における要部を示す模式的分解斜視図である。また、(b)~(d)は第1実施形態の第4変形例を示す図であり、(b)(c)は要部を示す模式的分解斜視図、(d)は冷却水流路内でシート体が復元した状態における要部の模式的横断面図である。
【
図8】第2実施形態を示す図であり、(a)は一方の分割体の要部を示す模式的斜視図、(b)は他方の分割体の要部を示す模式的斜視図、(c)は位置決め構造を示す模式的斜視図である。
【
図9】(a)は同スペーサの位置決め構造を示す模式的側面図、(b)は(a)の模式的平面図、(c)はシート体が圧縮した状態における(a)のC-C’線矢視断面図、(d)は冷却水流路内で(c)のシート体が復元した状態における(a)のC-C’線矢視断面図である。
【
図10】(a)は冷却水流路内における
図9(c)のD-D’線矢視断面図、(b)は
図9(d)のE-E’線矢視断面図である。(c)は離隔規制部を説明するための説明図である。
【
図11】(a)は第2実施形態の第1変形例の要部を示す模式的分解斜視図、(b)は冷却水流路内でシート体が復元した状態における要部を示す模式的斜視図、(c)は第2実施形態の第2変形例の要部を示す模式的分解斜視図、(d)は冷却水流路内でシート体が復元した状態における要部を示す模式的斜視図である。
【
図12】第2実施形態の第3変形例を示す図であり、(a)は要部を示す模式的分解斜視図、(b)は要部の模式的平面図、(c)は冷却水流路内でシート体が復元した状態における要部の模式的横断面図である。
【
図13】第2実施形態の第4変形例を示す図であり、(a)は一方の分割体を示す説明図、(b)は他方の分割体を示す模式的斜視図、(c)は冷却水流路内でシート体が圧縮した状態における要部の模式的横断面図、(d)は冷却水流路内でシート体が復元した状態における要部の模式的横断面図である。
【
図14】第3実施形態に係るスペーサを示す図であり、(a)は冷却水流路内でシート体が圧縮した状態における要部の模式的横断面図、(b)は冷却水流路内でシート体が復元した状態における要部の模式的横断面図、(c)は(a)のF線矢視における他方の分割体の模式的側面図、(d)は(a)のG線矢視における一方の分割体の模式的側面図である。
【
図15】(a)~(c)は、位置決め構造における位置決め部同士が係合する過程を経時的に示した説明図である。
【
図16】同スペーサの変形例を示す図であり、(a)は一方の分割体の要部を示す模式的斜視図、(b)は他方の分割体の要部を示す模式的斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本実施形態のスペーサ10は、内燃機関4のシリンダブロック1にシリンダボア2を取り囲む状態で設けられた冷却水流路3内に配置され、冷却水の流れを規制する。スペーサ10は、剛性を有する複数の分割体12を組み合わせることによってシリンダボア2の形状に沿うように構成されたスペーサ本体11と、所定の外的要因によって圧縮状態から厚さ方向に膨大化して復元する特性を有する多孔質体のシート体13とを備える。複数の分割体12は、隣接する他方の分割体12と相互に係合可能な位置決め部14A,14Bが設けられており、隣接する複数の分割体12のうちの少なくとも一方の分割体12Aには、一方面に圧縮状態のシート体13が設けられている。スペーサ本体11は、一方の分割体12A及び他方の分割体12Bそれぞれの位置決め部14A,14Bが対向して冷却水流路3内に配置される。この配置状態において、シート体13が圧縮状態から復元した際に一方の分割体12Aの位置決め部14Aが変位して他方の分割体12Bの位置決め部14Bと互いに係合する。これによって一方の分割体12Aと他方の分割体12Bとの相対位置が位置決めされる位置決め構造をスペーサ本体11は有する。
以下、詳しく説明する。
【0015】
<第1実施形態>
まず、第1実施形態に係るスペーサ10について、
図1~
図4を参照しながら説明する。なお、以下の説明では、冷却水流路3内に配置された状態を基準にして、冷却水流路3の開口部3e側を深さ方向の上側、その反対方向を深さ方向の下側とする。また、冷却水流路3において一方の分割体12A(第1分割体12A)が配置される側を周方向の一方側、他方の分割体12B(第2分割体12B)が配置される側を周方向の他方側とする。つまり
図1の紙面上において上側を周方向の一方側、その反対方向を他方側とする。そして、冷却水流路3の溝幅方向(スペーサ本体11及び分割体12の厚さ方向)において、シリンダボア2側を一方側、その反対方向を他方側とする。
【0016】
<内燃機関>
図1に示すように、内燃機関4はシリンダブロック1を含んで構成される。内燃機関4に組付けられるスペーサ10は、シリンダブロック1の冷却水流路(ウォータジャケット)3内に配置される。シリンダブロック1の上面にはシリンダヘッド(不図示)が、シリンダブロック1の下面にはオイルパン(不図示)がそれぞれ配され、シリンダヘッドは、冷却水流路3の開口部3eが閉塞されるようにシリンダブロック1に一体に締結される。シリンダブロック1は、複数の気筒を有する内燃機関4を構成するものであり、複数のシリンダボア(気筒)2が隣接した状態で直列に連なるように設けられている。以下では、複数のシリンダボア(気筒)2…のうち、
図1の紙面上における下方側から順にシリンダボア2の1気筒目、2気筒目、3気筒目として説明する。シリンダブロック1の適所には、シリンダヘッドとヘッドガスケット(不図示)を介して締結させるためのボルト用挿通孔1aが複数設けられている。複数のシリンダボア2の周囲には、オープンデッキタイプの溝状の冷却水流路3が一連に形成されている。またシリンダブロック1の適所には、この冷却水流路3に通じる冷却水導入口3gと冷却水排出口3hとが設けられている。冷却水排出口3hは、不図示のラジエータに配管接続され、ラジエータのアウトレット側は、ウォータポンプ(不図示)を介して冷却水導入口3gに配管接続される。これにより、冷却水流路3とラジエータとの間で冷却水(不凍液も含む)が循環するように構成される。
図1の図中の白抜き矢印は、冷却水導入口3gから冷却水排出口3hへの冷却水の流れる方向の一例を簡略的に示している。
【0017】
シリンダボア2と冷却水流路3との間には、シリンダボア壁20が形成され、冷却水流路3を挟んで向かい合う両壁面は、シリンダボア2側の内周壁3cと、シリンダボア2とは反対側ある外周壁3dとにより構成される。冷却水流路3は、シリンダボア壁20を介してシリンダボア2を取り囲むよう形成された複数の円弧状部3aと、隣接するシリンダボア2,2間部分に互いに接近して対をなすよう形成された複数のくびれ形状部3bとを有している。くびれ形状部3bの溝幅は、冷却水流路3の他の円弧状部3aの溝幅より大きく形成されている。冷却水流路3は、シリンダボア壁20に沿って形成されているため、冷却水が流れることによってシリンダボア壁20を効率よく冷却できる。
【0018】
<スペーサ>
次に、スペーサ10について説明する。
図1に示すように、スペーサ10は、冷却水流路3内に配置されることで、冷却水流路3内を流れる冷却水の流れを規制する。スペーサ10は、スペーサ本体11と、シート体13とを備える。スペーサ本体11は、剛性を有する複数の分割体12を組み合わせることによってシリンダボア2の形状に沿うように構成されている。複数の分割体12は、冷却水流路3の開口部3eから挿入されて冷却水流路3内に配置される。
【0019】
スペーサ本体11を構成する複数の分割体12は、剛性を有する材料からなり、そのような材料としては硬質な樹脂材料が好適である。樹脂材料としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン、ABS、アクリル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリアセタール、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン等が挙げられる。また、熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂やエポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂等が挙げられる。また、樹脂材料には種々の添加剤が添加されたものでもよく、また、例えば、炭素繊維やガラス繊維等の強化繊維を含む樹脂複合材でもよい。
【0020】
スペーサ本体11は、周方向の略中央で分割された構成となっている。スペーサ本体11は、2つの分割体12によって構成されており、シート体13を備える上述した一方の分割体である第1分割体12Aと、シート体13を備えない上述した他方の分割体である第2分割体12Bによって構成されている。なお、本実施形態のスペーサ本体11の周方向の長さは、冷却水流路3の周方向の長さの約半分となっている。
【0021】
第1分割体12Aの本体部120A及び第2分割体12Bの本体部120Bは、平面視して円弧状の円弧状部121及び円弧状部121の半割状の大きさの半円弧状部122と、円弧状部121と半円弧状部122とを接続する接続部123とを備える。第1分割体12A及び第2分割体12Bの互いの半円弧状部122の先端部同士が厚さ方向に重なって冷却水流路3内に配置されることで、スペーサ本体11は3つの円弧状部が周方向に並んだ形態となる。また、スペーサ本体11は、シート体13が設けられた一方面11aとは厚さ方向の反対側の面である他方面11bが、シート体13が復元した際に冷却水流路3の外周壁3dに当接する構成となっている。つまり第1分割体12A及び第2分割体12Bの厚さ方向の他方面12b,12bが、シート体13が復元した際に冷却水流路3の外周壁3dに当接する構成となっている。スペーサ本体11は、第1分割体12A及び第2分割体12Bが係合した状態では、複数のシリンダボア2を取り囲む冷却水流路3に沿った形状とされる。
【0022】
第1分割体12A及び第2分割体12Bの位置決め部14A,14Bによる位置決め構造は、第2気筒目のシリンダボア2に対応する冷却水流路3の円弧状部3aにおける周方向の略中心に配置される。
図1、
図2に示すように、第1分割体12Aは、半円弧状部122の先端部に厚さ方向の一方側に凹んだ凹所124が設けられており、シート体13が復元した際にはこの凹所124に第2分割体12Bの端部が重なる。第1分割体12Aの凹所124には、深さ方向に間隔を空けて並んだ2つの位置決め部14Aが設けられている。この位置決め部14Aは、凹所124から厚さ方向に突出して形成された凸部である。位置決め部14Aは、四角錘台形状に形成され、平面視において先端部側へ先細るように傾斜した側面14Aaを有している。
【0023】
また、第1分割体12Aの厚さ方向の一方面12aには、圧縮状態のシート体13の厚さに合わせて厚さ方向に窪んだ窪みが設けられており、この窪み内にシート体13が配されている。
図3(a)に示すように第1分割体12Aの厚さ方向の一方面12aと圧縮状態のシート体13の一方面13aとは略面一となっている。シート体13には、周方向の他方側の端部から周方向の他方側に突出した突出部131が深さ方向に間隔を空けて2つ形成されている。シート体13は、上述の2つの突出部131,131が第1分割体12Aの厚さ方向において2つの位置決め部14A,14Aと重なるように設けられている。
【0024】
シート体13は、所定の外的要因によって厚さ方向に膨大化して復元する特性を有するものであればよく、本実施形態では水分(冷却水)に接触することで復元するセルロース系スポンジからなるものを用いている。セルロース系スポンジは、パルプ由来のセルロースと、補強繊維として加えられた天然繊維(例えば、綿等)とからなる天然素材からなり、連続気泡型で優れた吸水性を有する。ここでセルロースは、親水基(OH)を有しており、化学的に水分になじみ易い性質であることが知られている。よって、セルロース系スポンジは、加圧した状態で乾燥させるとセルロース分子間が水素結合して圧縮状態に維持される一方、この状態から水分に晒されると水分子がセルロース分子間の水素結合を解離して圧縮状態から復元する特性を有する。
【0025】
第2分割体12Bは、第1分割体12A側である周方向の一方側の端部に、深さ方向に間隔を空けて並んだ2つの位置決め部14Bが設けられている。位置決め部14Bは、厚さ方向に貫通した凹部であり、その内部に第1分割体12Aの位置決め部14Aが挿入可能な形状となっている。また、
図3(a)の破線に示すように、位置決め部14Bは、平面視において厚さ方向の一方側から他方側にかけて凹部の開口幅が次第に小さくなるように傾斜した側壁面14Baを有している。なお、以下の説明では、第1分割体12Aの位置決め部14Aを一方の位置決め部14A、第2分割体12Bの位置決め部14Bを他方の位置決め部14Bとしている。
【0026】
スペーサ本体11は、一方の位置決め部14Aと他方の位置決め部14Bとにより、第1分割体12Aと第2分割体12Bとの相対位置が位置決めされる位置決め構造を有する。この位置決め構造は、凹部である他方の位置決め部14B及び凸部である一方の位置決め部14Aによる、互いに係合する凹凸構造として構成されている。
【0027】
一方の位置決め部14Aは、側面14Aaの傾斜が他方の位置決め部14Bの側壁面14Baの傾斜と合致した形状となっている。また、一方の位置決め部14Aの厚さ方向の突出寸法は、他方の位置決め部14Bの厚さ方向の寸法と略同一である。そして、一方の位置決め部14Aの深さ方向の寸法は、他方の位置決め部14Bの深さ方向の寸法よりも小さく形成されている。
【0028】
他方の位置決め部14Bは、厚さ方向の一方側から他方側にかけて凹部の開口幅が次第に小さくなるように傾斜しての側壁面14Baが構成されている。そのため、他方の位置決め部14Bの側壁面14Baは、シート体13が復元して一方の位置決め部14Aが位置決め部14B側に変位した際に他方の位置決め部14B内に誘導するガイドとして機能する。
【0029】
一方の位置決め部14Aの側面14Aaと他方の位置決め部14Bの側壁面14Baは、上述した構成となっている。そのため、
図3(a)に示すように一方の位置決め部14A及び他方の位置決め部14Bの周方向の位置がずれた状態で冷却水流路3内に配置されても、
図3(b)(c)に示すように一方の位置決め部14Aを他方の位置決め部14B内に誘導することができる。また、第1分割体12A及び第2分割体12Bの相対位置が位置決めされた状態では、第1分割体12Aの周方向の他方側の端面と第2分割体12Bの凹所124の側壁124aとの間には、空隙ができるように構成されている。
【0030】
また、
図4(b)に示すように、上側の一方の位置決め部14Aの下面及び下側の一方の位置決め部14Aの上面と、上側の他方の位置決め部14Bの下面及び下側の他方の位置決め部14Bの上面は、それぞれ傾斜面となっている。そのため、一方の位置決め部14Aと他方の位置決め部14Bとが深さ方向に位置ずれしていても、この傾斜面によって誘導することができる。
【0031】
また、
図4(a)(b)に示すように、他方の位置決め部14Bは、深さ方向の寸法が一方の位置決め部14Aの深さ寸法よりも大きく形成されている。そのため、他方の位置決め部14B内に遊びがある状態で挿入された一方の位置決め部14Aは、深さ方向の変位が他方の位置決め部14B内に規制される。また、一方の位置決め部14Aと他方の位置決め部14Bとが係合した状態では、一方の位置決め部14Aの両側面14Aa,14Aaと他方の位置決め部14Bの両側壁面14Ba,14Baとが互いに当接した状態となるため、周方向の変位が規制される。そして、シート体13が復元した状態では、シート体13によって第1分割体12A及び第2分割体12Bが外周壁3dに押圧されるので、溝幅方向の変位が規制される。また、外周壁3dへの押圧が強ければ、他方の位置決め部14B内に遊びがある状態で挿入された一方の位置決め部14Aであっても、深さ方向の変位が規制される。
【0032】
一方の位置決め部14Aと他方の位置決め部14Bとが対向して冷却水流路3内に配置された状態で冷却水流路3内に流れた冷却水に接触することによって、シート体13は圧縮状態から復元して膨大化する。シート体13の膨大化によって、第1分割体12Aとともに一方の位置決め部14Aが他方の位置決め部14B側に変位して、他方の位置決め部14B内に誘導される。この誘導により、一方の位置決め部14Aと他方の位置決め部14Bとが互いに係合する。
【0033】
このように、スペーサ本体11は、第1分割体12Aと第2分割体12Bとの相対位置が位置決めされる位置決め構造を有する。複数の分割体12同士は冷却水流路3内で互いに位置決めされて係合するため、冷却水流路3内に配置する前に分割体12同士を事前に組み合わせる工程が不要となる。また、スペーサ10を第1分割体12Aと第2分割体12Bとに分解できるので、同形状の分割体を重ね合わせることによって運搬や保管の際に必要となるスペースを小さくすることができる。そして、冷却水流路3内に配置されたスペーサ10は、シート体13の復元により第1分割体12Aの一方の位置決め部14Aが他方の位置決め部14B側に変位して相対位置が位置決めされる。また、シート体13は、第1分割体12Aの厚さ方向において一方の位置決め部14Aと重なるように設けられていることにより、一方の位置決め部14Aの厚さ方向への変位をより確実に行うことができる。そのため、一方の位置決め部14A及び他方の位置決め部14Bの係合による位置決めをより確実に行うことができる。
【0034】
本実施形態のスペーサ10は、シート体13の復元によって第1分割体12A及び第2分割体12Bの相対位置が位置決めされるとともに、シート体13の復元によって冷却水流路3内を流れる冷却水の流量や流速等を規制することができる。この規制によりシリンダボア2の冷却を最適化することができる。また、本実施形態のスペーサ10では、シート体13が設けられたスペーサ本体11の一方面11aとは反対側の面である他方面11bが冷却水流路3の外周壁3dに当接することにより、冷却水流路3内の冷却水の流れをより規制することができる。
【0035】
<第1実施形態の変形例>
次に、
図5~
図7を参照しながら、第1実施形態の第1変形例~第3変形例について説明する。なお、第1実施形態と共通する部分の構成及び効果の説明は省略する。
図5~
図7に示すスペーサ本体11は、湾曲していない構成で図示されているが、冷却水流路3の形状に合わせて適宜湾曲して形成されてよい。まず
図5に示す変形例について説明する。
図5(a)はスペーサ本体11の他方面11bを示す模式的斜視図、(b)はスペーサ本体11の一方面11aを示す模式的斜視図、(c)は模式的平面図、(d)は模式的横断面図である。
【0036】
図5(a)に示すように、第1分割体12Aは他方の位置決め部14Bと合致する凹部である一方の位置決め部14Aが深さ方向に間隔を空けて3つ設けられている。一方の位置決め部14Aは、厚さ方向に貫通して形成されており、厚さ方向の一方側から他方側にかけて次第に孔の径が小さくなるように形成された円錐台形状の凹部である。
【0037】
第2分割体12Bは、厚さ方向において第1分割体12A側とは反対側に段落ちした段差部125が形成されており、
図5(c)に示すようにこの段差部125の厚さ方向の他方面125bから厚さ方向に突出して他方の位置決め部14Bが形成されている。他方の位置決め部14Bは、
図5(a)に示すように、深さ方向に間隔を空けて3つ設けられている。他方の位置決め部14Bは、厚さ方向の一方側から他方側にかけて次第に先細る円錐台形状に突出して形成されている。また、
図5(b)(d)に示すように、第2分割体12Bは、段差部125の厚さ方向の一方面125aに深さ方向に長尺のシート体13が3つの他方の位置決め部14Bと厚さ方向に重なるように設けられている。
【0038】
シート体13が復元することにより、第2分割体12Bが第1分割体12A側に変位して一方の位置決め部14A内に他方の位置決め部14Bが入り込んで係合し、第1分割体12A及び第2分割体12Bの相対位置が位置決めされる。第1分割体12A及び第2分割体12Bは、互いに合致した形状の凹部及び凸部であり、係合した際に当接する面同士が略平行に傾斜して形成されている。これにより、シート体13の復元による押圧によって互いを誘導して位置決めすることができる。また、第1実施形態よりも数の多い3対の一方の位置決め部14A及び他方の位置決め部14Bが係合するので、第1分割体12A及び第2分割体12Bがより強固に連結される。
【0039】
また、シート体13の復元による押圧によって、第1分割体12A及び第2分割体12Bの厚さ方向の他方面12b,12bが冷却水流路3の外周壁3dに当接する。そして、第1分割体12A及び第2分割体12Bがシート体13と冷却水流路3の外周壁3dとに挟まれることによって、厚さ方向の変位が規制される。また、第1分割体12A及び第2分割体12Bが係合することにより、第1分割体12Aの厚さ方向の他方面12bと他方の位置決め部14Bの厚さ方向の端面14Bbとが略面一となる。
【0040】
図5(d)に示すように、本実施形態のスペーサ10が冷却水流路3内に配置されると、第1分割体12A及び第2分割体12Bの他方面12bが冷却水流路3の外周壁3dに当接するとともに、段差部125が配された部分の冷却水流路3の溝幅が小さくなる。そして、段差部125に設けられたシート体13が冷却水流路3の内周壁3cに当接する。これにより、冷却水流路3を流れる冷却水の流量や流速等を規制することができる。
【0041】
次に
図6に示す変形例について説明する、
図6(a)は、分解した状態におけるスペーサ10の一方面側を示す模式的斜視図、(b)は(a)におけるスペーサ10の他方面側を示す模式的斜視図、(c)は冷却水流路3内でシート体が復元した状態におけるスペーサ10の模式的横断面図である。
【0042】
図6のスペーサ10は、厚さ方向に突出した四角錐台形状の一方の位置決め部14Aを有する第1分割体12Aと、一方の位置決め部14Aに合致する形状の凹状の他方の位置決め部14Bを有する第2分割体12Bとを備えている(
図6(a)(b)参照)。他方の位置決め部14Bは、第2分割体12Bを貫通しない程度に凹んだ四角錐台形状の凹部である。また、第2分割体12Bには、厚さ方向において第1分割体12A側とは反対側に段落ちした段差部125が形成されている。
【0043】
第1分割体12A及び第2分割体12Bには、それぞれシート体13A,13Bが設けられている。シート体13Aは第1分割体12Aの厚さ方向の一方面12aの略全体に設けられ、シート体13Bは第2分割体12Bの段差部125の他方面125bに他方の位置決め部14Bと厚さ方向に重なるように設けられている。
【0044】
冷却水流路3内に冷却水が流れた際には、
図6(c)に示すように、復元したシート体13A,13Bによって第1分割体12A及び第2分割体12Bが冷却水流路3の内周壁3c及び外周壁3dから離れるように押圧される。第1分割体12A及び第2分割体12Bは、シート体13A,13Bによって厚さ方向の両側から押圧されるので、この押圧によって相対位置の変位が規制される。一方の位置決め部14A及び他方の位置決め部14Bは、第1実施形態よりも少ない一対しか備えていなくとも、シート体13A,13Bの押圧により互いに係合して位置決めすることができる。
【0045】
また、冷却水流路3の内周壁3cに当接するシート体13Aと、外周壁3dに当接するシート体13Bとにより、冷却水流路3内を流れる冷却水の流量や流速等を規制することができる。シート体13Bは、周方向及び深さ方向の寸法が小さいので、第1分割体12Aや第2分割体12Bが外周壁3dに当接するものと比べて冷却水を規制する効果が小さい傾向にある。そのため、第1分割体12Aや第2分割体12Bが外周壁3dに当接するものよりも冷却水を流したい場合に好適である。
【0046】
また、
図7(a)に示すスペーサ10は、
図6のスペーサ10のさらなる変形例である。
図7(a)のスペーサ10は、
図6のスペーサと比べて一方の位置決め部14A及び他方の位置決め部14Bの深さ方向の寸法及び周方向の寸法が大きく形成されている。さらに、
図6のものとは異なり、第2分割体12Bの他方の位置決め部14Bが、第2分割体12Bの段差部125を厚さ方向に貫通した構成となっている。そして、第2分割体12Bの段差部125の他方面125bにおいて、他方の位置決め部14Bの縁部に沿ってシート体13Bが設けられている構成となっている。なお、この
図7(a)のスペーサ10では、第1分割体12Aにシート体13Aが設けられていても設けられていなくてもよい。また、一方の位置決め部14Aは、
図6のものよりも大きいが、四角錘台形状に突出している点は
図6のものと同様である。また、他方の位置決め部14Bは、厚さ方向に貫通した構成となっているが、四角錘台形状の凹部である点は
図6のものと同様である。シート体13Bは、他方の位置決め部14Bの縁部に沿った形状となっているので中心部に厚さ方向に貫通した孔を有しているが、
図6のシート体13Bと比べて、外形寸法が大きくなっている。そのため、
図7(a)のシート体13Bは、冷却水の流れを規制する際、
図6のシート体13Bと比べて、冷却水の流れを規制する効果が大きくなっている。
【0047】
次に
図7(b)~(d)に示す変形例について説明する。
図7(b)は、分解した状態におけるスペーサ本体11における第1分割体12A及び第2分割体12Bの厚さ方向の一方面12a側を模式的に示す斜視図、(c)は(b)における第1分割体12A及び第2分割体12Bの厚さ方向の他方面12b側を模式的に示す斜視図、(d)は冷却水流路3内でシート体が復元した状態におけるスペーサ10の模式的横断面図である。
【0048】
図7(b)~(d)に示すスペーサ10は、第1分割体12Aが一方の位置決め部14Aと厚さ方向に重なる程度の大きさのシート体13を備えており、第2分割体12Bがシート体13を備えていない構成となっている。第1分割体12Aは、厚さ方向の他方面12bに厚さ方向に突出した四角錘台形状の一方の位置決め部14Aを備えている。
【0049】
第2分割体12Bは、厚さ方向において第1分割体12A側とは反対側に段落ちした段差部125が形成されている。段差部125の厚さ方向の一方面125aには、厚さ方向に貫通しない程度に凹んだ凹状の他方の位置決め部14Bが設けられている。他方の位置決め部14Bの凹部の形状は、一方の位置決め部14Aと略合致した形状となっている。
【0050】
そして、第2分割体12Bの段差部125における他方面125bには、厚さ方向に突出した円柱部126が4つ設けられている。
図7(d)に示すように、第1分割体12Aのシート体13が膨大化した際には、円柱部126が冷却水流路3の外周壁3dに当接し、円柱部126とシート体13以外は、冷却水流路3の内周壁3c及び外周壁3dに当接しない構成となっている。段差部125の厚さ方向の他方面125bと外周壁3dとの間に隙間が出来るので、規制されながらもその隙間を通って冷却水が流れる。
図7(d)に示すように、段差部125が配置されている部分では、冷却水流路3の溝幅が狭くなっているが、段差部125の厚さ方向の他方面125bと外周壁3dとの間の隙間を通って冷却水を流すことができる。そのため、冷却水の流れを規制しながらも第1実施形態のものよりも冷却水を流したい場合に好適である。
【0051】
<第2実施形態>
次に
図8~
図10を参照しながら、第2実施形態に係るスペーサ10について説明する。なお、第1実施形態と共通する部分の構成及び効果の説明は省略する。
図8(a)は第1分割体12Aの要部を示す模式的斜視図、
図8(b)は第2分割体12Bの要部を示す模式的斜視図、(c)は冷却水流路3内でシート体13が復元して1分割体12A及び第2分割体12Bの相対位置が位置決めされた状態を示す模式的斜視図である。また、
図9(a)は第1分割体12A及び第2分割体12Bが対向した状態で配置された状態を模式的に示す側面図、(b)は(a)の平面図、(c)は(a)のC-C’線矢視断面図、(d)は冷却水流路3内でシート体13A,13Bが復元した状態における(a)のC-C’線矢視断面図である。
図10(a)は冷却水流路3内における
図9(c)のD-D’線矢視断面図、(b)は
図9(d)のE-E’線矢視断面図、(c)は離隔規制部15A,15Bの効果を説明するための模式的平面図である。なお、
図9(a)では、第1分割体12Aと第2分割体12Bとを見分けるために、第2分割体12Bに斑点模様を加えている。
【0052】
図8(a)に示すように、第1分割体12Aの周方向の他方側には一方の位置決め部14Aが設けられている。一方の位置決め部14Aは、他方面12bから厚さ方向に枠状に突出した枠部141と、枠部141の周方向の他方側の端部からさらに厚さ方向に突出した突出部142とを備える。この突出部142は、深さ方向に間隔を空けて2つ形成されており、枠部141の周方向の他方側の端部の上端部と下端部からそれぞれ突出して形成されている。この突出部142,142間の隙間は、後述する他方の位置決め部14Bの接続片部144が入り込むことが可能な大きさで形成されている。
【0053】
また、
図9(a)(c)及び
図10に示すように枠部141及び突出部142は、厚さ方向の一方側から他方側にかけて次第に先細るように傾斜している。枠部141は、内壁面141aが厚さ方向の一方側から他方側にかけて開口が大きくなるように傾斜していることによって、他方の位置決め部14Bと係合する際に誘導するガイド部となっている。突出部142,142同士の深さ方向に対向する面も厚さ方向の一方側から他方側にかけて次第に先細るように傾斜していることによって、他方の位置決め部14Bを誘導するためのガイド部となっている。
【0054】
第1分割体12Aでは、一方の位置決め部14Aから周方向の他方側に離隔した位置に、離隔規制部15Aが設けられている。離隔規制部15Aは、第1分割体12Aの周方向の他方側の端部における上側に形成されている。離隔規制部15Aは、周方向の他方側に延びた延出部151と、延出部151の周方向の他方側の端部から厚さ方向の他方側に突出した突出部152とを備える。第1分割体12Aは、一方の位置決め部14Aと厚さ方向に重なって本体部120Aの厚さ方向の一方面12aにシート体13Aが設けられている(
図9(c)参照)。
【0055】
図8(b)に示すように、第2分割体12Bの周方向の一方側の端部には、他方の位置決め部14Bと離隔規制部15Bとが設けられている。他方の位置決め部14B及び離隔規制部15Bは、第2分割体12Bの本体部120Bよりも厚さ方向の他方側に位置しており、接続部123によって本体部120Bと接続されている。この接続部123は、本体部120Bの周方向の一方側の端部から周方向の一方側へ厚さ方向の他方側に傾斜して形成されている。接続部123は、深さ方向の寸法が本体部120Bよりも小さく、第1分割体12Aと係合した際には接続部123の上方に突出部152が位置するように構成されている。
【0056】
他方の位置決め部14Bは、枠部141内に入り込んで係合する台形部143と、台形部143と第2分割体12Bとを接続し、突出部142,142間に入り込んで係合する接続片部144とを備えている。台形部143は、厚さ方向の一方側に先細る四角錐台形状であり、枠部141の内部の空間と略同形状かそれよりも小さい形状となっている。接続片部144は、深さ方向の寸法が突出部142,142間の寸法と略同一かそれよりも小さい寸法で形成されている。
【0057】
接続片部144に隣接して、離隔規制部15Bが設けられている。離隔規制部15Bは、接続片部144よりも深さ方向の上側に位置し且つ厚さ方向の一方側に突出して形成されている。台形部143と周方向に対向する離隔規制部15Bの面は傾斜して形成されており、台形部143と協働して離隔規制部15Bと台形部143間の空間に上側の突出部142を誘導することができる。第2分割体12Bでは、本体部120Bの厚さ方向の一方面12aにシート体13Bが設けられており、このシート体13Bは他方の位置決め部14B、離隔規制部15B及び接続部123と厚さ方向に重ならないように設けられている。
【0058】
図9(a)~(c)に示すように、第1分割体12A及び第2分割体12Bは、一方の位置決め部14Aと他方の位置決め部14Bとが係合せずに対向した状態で配置することができる。そして、シート体13A,13Bは冷却水流路3内に流れた冷却水に接触することで膨大化して復元し、第1分割体12A及び第2分割体12Bを冷却水流路3の外周壁3dに押圧する。これにより、一方の位置決め部14A及び他方の位置決め部14Bが変位するとともに互いに係合して、第1分割体12Aと第2分割体12Bとの相対位置が位置決めされる。
【0059】
位置決めされる際、第1分割体12Aと第2分割体12Bとが多少ずれた状態で配置されていても、一方の位置決め部14A及び他方の位置決め部14Bは互いを適切な位置に誘導するための傾斜面を備えた構造となっている。一方の位置決め部14Aの枠部141は、厚さ方向の一方側から他方側にかけて開口が次第に大きくなるように内壁面141aが傾斜している。また、他方の位置決め部14Bの台形部143は、厚さ方向の他方側から一方側にかけて次第に先細るように傾斜している。そして、枠部141と台形部143は互いに合致した形状を有する凹部と凸部である。そのため、
図9(c)に示す互いに厚さ方向に離隔して対向した状態からシート体13A,13Bが復元することにより、枠部141の傾斜と台形部143の傾斜とによって、
図9(d)に示すように適切な周方向の相対位置に誘導することができる。
【0060】
また、
図10(a)に示すように一方の位置決め部14A及び他方の位置決め部14Bの上下面も傾斜している。そのため、第1分割体12A及び第2分割体12Bが深さ方向に位置ずれしていても、
図10(b)に示すように適切な深さ方向の相対位置に誘導することができる。また、本実施形態では、枠部141内に台形部143が略隙間なく入り込んで係合されるので、冷却水流路3における深さ方向、周方向及び溝幅方向への第1分割体12A及び第2分割体12Bの相対的な変位を規制することができる。また、枠部141内に台形部143が略隙間なく入り込んで係合されるので、相対位置の位置決め精度が向上する。
【0061】
また、離隔規制部15A,15Bは、冷却水流路3内に配置された際に互いに係合することによって隣接する位置決め部14A,14B同士が離隔する方向への変位を規制することができる。
図10(c)に示すように、離隔規制部15A,15B同士が一部でも当接して係合することにより、シート体13Aやシート体13Bの復元バランスが崩れ、位置決め部14A,14Bが互いに係合する前に周方向に離隔する方に変位しても、離隔規制部15A,15Bによって位置決め部14A,14B同士が係合できなくなる位置まで離隔することを規制する。
【0062】
離隔規制部15A,15Bにより位置決め部14A,14B同士が係合できなくなる位置まで離隔することが規制されるので、シート体13Aやシート体13Bの復元バランスが崩れても位置決め部14A,14B同士が離隔せずに係合する。これにより、第1分割体12A及び第2分割体12Bの相対位置が決定される。なお、冷却水流路3の溝幅の大きさによっては、冷却水流路3内に配置する際に離隔規制部15Aと接続部123が干渉するおそれがあるため、第2分割体12Bを配置した後に第1分割体12Aを配置するのが望ましい。
【0063】
また、
図9(d)に示すように、冷却水流路3の外周壁3dに他方の位置決め部14Bが当接する。そして、冷却水流路3の外周壁3dに他方の位置決め部14Bが当接した状態では、離隔規制部15A,15Bや接続部123が冷却水流路3の溝幅方向に沿って配置されているので、離隔規制部15A,15Bや接続部123が障害となって冷却水の流量や流速を規制することができる。
【0064】
<第2実施形態の変形例>
次に、
図11~
図13を参照しながら第2実施形態の変形例について説明する。なお、第2実施形態と共通する部分の構成及び効果の説明は省略する。
図12、
図13に示すスペーサ本体11は、湾曲していない構成で図示されているが、冷却水流路3の形状に合わせて適宜湾曲して形成されてよい。まず
図11(a)(b)に示す変形例について説明する。
【0065】
図11(a)(b)では、第1分割体12Aの周方向の他方側の端部に一方の位置決め部14Aが設けられている。一方の位置決め部14Aは、厚さ方向の他方側に先細る四角錘台形状の台形部143と、台形部143と第1分割体12Aの本体部120Aとを接続する接続片部144と、台形部143の周方向の他方側に延出する平板状の板部145とを有する。
【0066】
図11(a)(b)では、第2分割体12Bの周方向の一方側の端部に他方の位置決め部14Bが設けられている。他方の位置決め部14Bは、本体部120Bの一方面12aから厚さ方向に枠状に突出した枠部141と、枠部141の周方向の一方側の端部からさらに厚さ方向に突出した突出部142とを備える。この突出部142は、枠部141に深さ方向に間隔を空けて2つ形成されており、枠部141の周方向の一方側の端部の上端部と下端部からそれぞれ突出して形成されている。この突出部142,142は、隙間を介して上下方向に離隔している。
【0067】
図11(a)(b)に示すように、スペーサ10ではシート体13が一方の位置決め部14Aと厚さ方向に重なるように一方面12aに設けられている。
図11(b)は、シート体13が復元して位置決め部14A,14B同士が係合する中途の様子を模式的に示している。シート体13の復元によって第1分割体12Aが厚さ方向に変位して第2分割体12B側に向かう。一方の位置決め部14Aの接続片部144が他方の位置決め部14Bの突出部142,142間に係合し、一方の位置決め部14Aの台形部143が他方の位置決め部14Bの枠部141内に係合する。そして、一方の位置決め部14Aの板部145は、シート体13の復元により他方の位置決め部14Bの枠部141に当接するようになっている。
【0068】
位置決め部14A,14B同士が係合することによって、冷却水流路3内における深さ方向、周方向及び溝幅方向への第1分割体12A及び第2分割体12B同士の相対位置の変位が規制される。また、本変形例では離隔規制部が設けられていないので、第1分割体12A及び第2分割体12Bの冷却水流路3内への配置する順番を考慮しなくてよい。
【0069】
次に
図11(c)(d)に示す変形例について説明する。
図11(c)に示すように一方の位置決め部14Aは、第1分割体12Aの一方面12aにおいて深さ方向に間隔を空けて2つ設けられ、それぞれ厚さ方向の一方側に突出した形状となっている。この2つの一方の位置決め部14A,14Aは、互いに深さ方向に対向する面が傾斜面となって、他方の位置決め部14Bを一方の位置決め部14A,14A間に誘導することができる。
【0070】
また、他方の位置決め部14Bは、本体部120Bの一方面12aから厚さ方向の一方側に、位置決め部14Aの突出寸法と同寸法突出し、さらに周方向に突出した形状となっている。他方の位置決め部14Bの深さ方向の上面及び下面は、厚さ方向の他方側に向けて先細るように傾斜している。他方の位置決め部14Bは、一方の位置決め部14A,14A間の空間に入り込む形状で形成されている。
【0071】
図11(c)(d)のスペーサ10では、シート体13は第1分割体12Aの厚さ方向の他方面12bに設けられている。シート体13は、一方の位置決め部14A,14Aと厚さ方向に重なるように配されており、その深さ方向の寸法は2つの一方の位置決め部14A,14A間の寸法よりも大きく形成されている。そして、シート体13が復元して膨大化することにより、第1分割体12Aが第2分割体12B側に変位して、一方の位置決め部14Aと他方の位置決め部14Bとが係合する。これにより、第1分割体12Aと第2分割体12Bとの相対位置が位置決めされる。なお、位置決め部14A,14Bでは、深さ方向の面の傾斜面によって深さ方向の位置を位置決めする構造となっているが、周方向の位置決めはしない構造となっている。周方向の位置決めをしない位置決め構造となっていても、膨大化したシート体13によってスペーサ本体11が冷却水流路3の内周壁3cに押圧されることで、周方向の変位が規制される。
【0072】
また、変形例では、冷却水流路3の内周壁3cに位置決め部14A,14Bが当接し、外周壁3dにシート体13が当接する構成となっている。そのため、位置決め部14A,14B、シート体13が配置された部分で冷却水の流量や流速を規制することができる。
【0073】
次に
図12のスペーサ10について説明する。
図12(a)に示すように、第1分割体12Aは、他方面12bに厚さ方向に先細るように突出した一方の位置決め部14Aが設けられている。第1分割体12Aの一方面12aには、一方の位置決め部14Aと厚さ方向に重なるようにシート体13が設けられている。
【0074】
第2分割体12Bの本体部120Bの周方向の一方側の端部は、
図12(a)(b)に示すように平面視して二股に分かれて周方向に延びた形状となっており、この二股に分かれた部分を二股部127とする。この二股部127の一方の股部127Aには、厚さ方向に貫通した孔が設けられており、この孔が他方の位置決め部14Bとなっている。他方の位置決め部14Bは、厚さ方向の一方側から他方側に向けて次第に孔が小さくなるように傾斜した四角錐状の孔である。
【0075】
図12のスペーサ10が冷却水流路3内に配置される際には、二股部127の一方の股部127Aと他方の股部127Bとの間に第1分割体12Aの位置決め部14Aが位置するように行われる(
図12(b)参照)。そして、冷却水流路3内に冷却水が流れることによって第1分割体12Aのシート体13が復元して第2分割体12Bの二股部127の他方の股部127Bに当接する。この他方の股部127Bに当接したシート体13によって第1分割体12Aが変位して、一方の位置決め部14Aが他方の位置決め部14B内に入り込んで、第1分割体12Aと第2分割体12Bとの相対位置が位置決めされる。
【0076】
この変形例では、シート体13の復元によってはスペーサ10が冷却水流路3の内周壁3cや外周壁3dに押圧されない構成となっている。二股部127の配置されている部分では、冷却水流路3の溝幅が狭くなって冷却水の流量や流速が規制されるが、二股部127と冷却水流路3の内周壁3c及び外周壁3dとの間を通って冷却水が流れる。そのため本変形例は、冷却水流路3の内周壁3cや外周壁3dにも冷却水を流したい場合に好適である。
【0077】
次に
図13に示すスペーサ10について説明する。
図13(a)に示す第1分割体12Aは、深さ方向に間隔を空けて3つ並んだ一方の位置決め部14Aを備えている。一方の位置決め部14Aは半球状に形成されており、第1分割体12Aの本体部120Aの一方面12aから厚さ方向に突出している。
【0078】
図13(b)に示す第2分割体12Bは、厚さ方向の一方側に段落ちした段差部125を備えており、この段差部125に深さ方向に間隔を空けて3つ並んだ他方の位置決め部14Bが形成されている。段差部125の厚みは、一方の位置決め部14Aの厚さ方向の寸法よりも大きく形成されている。他方の位置決め部14Bは、厚さ方向の貫通した凹部であり、位置決めの際には他方の位置決め部14B内に一方の位置決め部14Aが収容される。
【0079】
図13に示すスペーサ10では、第2分割体12Bがシート体13を備えており、第1分割体12Aはシート体を備えない構成となっている。シート体13は、第2分割体12Bの段差部125の厚さ方向の一方側の面全体を覆うように設けられている。そのため、シート体13は他方の位置決め部14Bの開口の一方を覆っており、
図13(d)に示すようにシート体13が復元した際にはシート体13の一部が他方の位置決め部14B内に入り込む。
【0080】
<第3実施形態>
次に、
図14、
図15を参照しながら第3実施形態のスペーサ10について説明する。なお、第1実施形態と共通する部分の構成及び効果の説明は省略する。なお、
図14(a)(b)の紙面上において右側を第1分割体12A、左側を第2分割体12Bとし、
図14(c)は第2分割体12Bの厚さ方向の一方面12aの模式的側面図、
図14(d)は第1分割体12Aの厚さ方向の他方面12bの模式的側面図である。また、第3実施形態においても第1実施形態と同様に、第1分割体12Aが配置される側を冷却水流路3における周方向の一方側、第2分割体12Bが配置される側を冷却水流路3における周方向の他方側とする。つまり、
図14(a)(b)において紙面上の右側を周方向の一方側、その反対方向を他方側とする。なお、
図14(c)は(a)のF線矢視における他方の分割体の模式的側面図、(d)は(a)のG線矢視における一方の分割体の模式的側面図である。
【0081】
第3実施形態のスペーサ10は、第1実施形態と同様に3気筒のシリンダボア2を備える内燃機関4の冷却水流路3内に配置される。スペーサ10は、冷却水流路3内に配置されると、第3気筒目のシリンダボア2に沿った冷却水流路3の円弧状部3aにおける周方向の略中心の位置に、一方の位置決め部14A及び他方の位置決め部14Bが配置される構成となっている。また、第1分割体12A及び第2分割体12Bは、それぞれシート体13A,13Bを備える構成となっている。
【0082】
第1分割体12Aの周方向の他方側に設けられた一方の位置決め部14Aは、本体部120Aの厚さ方向の他方面12bから厚さ方向に突出して形成されている(
図14(a)(d)参照)。一方の位置決め部14Aは、周方向の一方側の面に側面視して円弧状に窪んだ窪み部146が深さ方向に間隔を空けて3つ設けられている。窪み部146は周方向に窪むとともに厚さ方向の他方側に開口して形成されている。
【0083】
第2分割体12Bは、本体部120Bの周方向の一方側の端部から厚さ方向に段落ちした段差部125が形成されており、段差部125の厚さ方向の一方側の面から厚さ方向に突出した他方の位置決め部14Bが形成されている(
図14(a)(c)参照)。他方の位置決め部14Bは、周方向の他方側の面に側面視して円弧状に突出した突出部147が深さ方向に間隔を空けて3つ設けられている。突出部147の厚さ方向の他方側の面は平面となっている。スペーサ10を冷却水流路3内に配置する際には、本体部120Bの周方向の一方側の端部と段差部125と他方の位置決め部14Bとの間の空間に一方の位置決め部14Aが位置するように配置される。
【0084】
第1分割体12A及び第2分割体12Bは、冷却水流路3内に配置された際にシリンダボア2を介して対向するようにそれぞれシート体13A,13Bが設けられている。そのため、冷却水流路3内に冷却水が流れてシート体13A,13Bが膨大化して復元すると、第1分割体12A及び第2分割体12Bは互いに離隔する方向に変位する。なお、
図14(a)(b)及び
図15の紙面上においては、第1分割体12Aは右側、第2分割体12Bは左側に変位する。
【0085】
第2分割体12Bの本体部120Bの周方向の一方側の端部と段差部125と他方の位置決め部14Bとの間の空間には、一方の位置決め部14Aが配置されている。そのため、シート体13A,13Bの復元によって一方の位置決め部14Aの窪み部146と他方の位置決め部14Bの突出部147が接近するように変位し、やがて窪み部146内に突出部147が入り込んで互いに係合する。この際、窪み部146と突出部147の深さ方向の位置にずれがあっても、
図15(a)~(c)に示すように窪み部146の湾曲した縁部に突出部147の一部が当接することによって窪み部146内に突出部147が誘導されて深さ方向の位置ずれが修正される。
【0086】
また、
図16(a)の変形例に示すように、一方の位置決め部14Aの窪み部146が厚さ方向の他方側が開口していない構成であってもよい。これにより、
図16(b)の他方の位置決め部14Bの突出部147が窪み部146内に入り込むと、冷却水流路3の外周壁3dに当接する前から第1分割体12Aと第2分割体12Bの厚さ方向の相対的な変位が規制される。また、シート体13A,13Bの復元により第2分割体12Bの段差部125が冷却水流路3の外周壁3dに当接するので、冷却水の流量や流速を規制することができる。
【0087】
上述した各スペーサ10の構成は、図示したものに限定されることはない。例えば、スペーサ10を構成する分割体12の数は2つに限定されず、さらに多くの分割体12によってスペーサ10が構成されてもよい。その場合は、隣接する分割体12同士に相対位置を位置決めするための位置決め部による位置決め構造がそれぞれ設けられればよい。またシート体13は、セルロース系スポンジに限られず、水可溶性または熱溶融性のバインダーで圧縮状態とされたゴム系発泡体や合成樹脂系発泡体等でもよく、その他、種々の構成とされたものでもよい。また、各位置決め部14A,14Bの形状も図示したものに限定されることはなく、また、互いに係合する凹部及び凸部による凹凸構造に限定されることもない。また、離隔規制部15A,15Bについても、図示した形状に限定されることはなく、また、離隔規制部15A,15Bを備えない実施形態のスペーサ10が離隔規制部15A,15Bを備えてもよい。また、スペーサ10は、3気筒のシリンダボア2の冷却水流路3内に配置されるものに限定されることはなく、配置される冷却水流路3の形状に合わせてスペーサ本体11は形成されればよい。スペーサ10は、目的とする冷却水の流量や流速の規制によって、種々の形状に形成されればよい。
【符号の説明】
【0088】
1 シリンダブロック
2 シリンダボア
3 冷却水流路
3c 内周壁
3d 外周壁
4 内燃機関
10 スペーサ
11 スペーサ本体
11a 一方面
11b 他方面
12,12A,12B 分割体
12a 一方面
12b 他方面
13,13A,13B シート体
14A,14B 位置決め部
15A,15B 離隔規制部