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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104817
(43)【公開日】2024-08-06
(54)【発明の名称】読み取りシステムおよび読み取り機
(51)【国際特許分類】
   G06K 7/10 20060101AFI20240730BHJP
   G06K 19/07 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
G06K7/10 184
G06K19/07 170
G06K19/07 230
G06K7/10 144
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023009189
(22)【出願日】2023-01-25
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】菰田 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】道坂 岳央
(72)【発明者】
【氏名】井口 愛
(57)【要約】
【課題】センサを備えるRFIDタグを用いる場合に、センサの測定情報を安定的に取得できる読み取りシステムおよび読み取り機を提供する。
【解決手段】読み取りシステム100は、センサの測定情報を無線信号で送信するRFIDタグ10と、RFIDタグ10からの無線信号を受信して測定情報を取得する読み取り機20と、を備える。RFIDタグ10は、1または複数のセンサを備えるICチップを有する。読み取り機20は、無線信号の電波強度を確認する電波強度確認部と、電波強度に応じてRFIDタグ10への電波の出力を調整する出力調整部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1または複数のセンサを備えるICチップを有し、前記センサの測定情報を無線信号で送信するRFIDタグと、
前記RFIDタグからの前記無線信号を受信して前記測定情報を取得する読み取り機と、を備え、
前記読み取り機は、
前記無線信号の電波強度を確認する電波強度確認部と、
前記電波強度に応じて前記RFIDタグへの電波の出力を調整する出力調整部と、を備える、
読み取りシステム。
【請求項2】
前記出力調整部は、前記電波強度および前記測定情報に応じて前記電波の出力を調整する、
請求項1記載の読み取りシステム。
【請求項3】
前記センサのうち少なくとも1つは、前記ICチップに入力される電力を測定する電力センサである、
請求項1または2に記載の読み取りシステム。
【請求項4】
1または複数のセンサを備えるICチップを有し、前記センサの測定情報を無線信号で送信するRFIDタグからの前記無線信号を受信して前記測定情報を取得する読み取り機であって、
前記無線信号の電波強度を確認する電波強度確認部と、
前記電波強度に応じて前記RFIDタグへの電波の出力を調整する出力調整部と、を備える、
読み取り機。
【請求項5】
前記出力調整部は、前記電波強度および前記測定情報に応じて前記電波の出力を調整する、
請求項4記載の読み取り機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、読み取りシステムおよび読み取り機に関する。
【背景技術】
【0002】
RFIDタグと、読み取り機とを備える読み取りシステムが用いられている。読み取りシステムでは、RFIDタグと読み取り機との間で近距離の無線通信を行うことができる(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6357999号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年では、温度センサなどのセンサを内蔵したRFIDタグが用いられている。センサを備えるRFIDタグを用いる場合、前述の読み取りシステムでは、周囲の電波状況などの影響によって、安定的にセンサの測定情報を取得することが難しくなる可能性があった。
【0005】
本発明の一態様は、センサを備えるRFIDタグを用いる場合に、センサの測定情報を安定的に取得できる読み取りシステムおよび読み取り機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、1または複数のセンサを備えるICチップを有し、前記センサの測定情報を無線信号で送信するRFIDタグと、前記RFIDタグからの前記無線信号を受信して前記測定情報を取得する読み取り機と、を備え、前記読み取り機は、前記無線信号の電波強度を確認する電波強度確認部と、前記電波強度に応じて前記RFIDタグへの電波の出力を調整する出力調整部と、を備える、読み取りシステムを提供する。
【0007】
前記出力調整部は、前記電波強度および前記測定情報に応じて前記電波の出力を調整することが好ましい。
【0008】
前記センサのうち少なくとも1つは、前記ICチップに入力される電力を測定する電力センサであることが好ましい。
【0009】
本発明の他の態様は、1または複数のセンサを備えるICチップを有し、前記センサの測定情報を無線信号で送信するRFIDタグからの前記無線信号を受信して前記測定情報を取得する読み取り機であって、前記無線信号の電波強度を確認する電波強度確認部と、前記電波強度に応じて前記RFIDタグへの電波の出力を調整する出力調整部と、を備える、読み取り機を提供する。
【0010】
前記出力調整部は、前記電波強度および前記測定情報に応じて前記電波の出力を調整することが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様によれば、センサを備えるRFIDタグを用いる場合に、センサの測定情報を安定的に取得できる読み取りシステムおよび読み取り機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1実施形態に係る読み取りシステムの模式図である。
図2】第1実施形態に係る読み取りシステムのRFIDタグの模式図である。
図3】第1実施形態に係る読み取りシステムの読み取り機の模式図である。
図4】第1実施形態に係る読み取りシステムが行う処理の概要を説明する図である。
図5】第1実施形態に係る読み取りシステムが行う処理を示すフロー図である。
図6】第1実施形態に係る読み取りシステムが行う処理を示すフロー図である。
図7】第1実施形態に係る読み取りシステムが行う処理を示すフロー図である。
図8】第2実施形態に係る読み取りシステムが行う処理を示すフロー図である。
図9】実施例における温度センサの測定値の経時変化を示す図である。
図10】比較例における温度センサの測定値の経時変化を示す図である。
図11】実施例における温度センサの測定値と実測値との差の経時変化を示す図である。
図12】比較例における温度センサの測定値と実測値との差の経時変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[読み取りシステム](第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る読み取りシステム100の模式図である。図2は、RFIDタグ10の模式図である。図3は、読み取り機20の模式図である。
図1に示すように、読み取りシステム100は、RFIDタグ10と、読み取り機20とを備える。
【0014】
(RFIDタグ)
図2に示すように、RFIDタグ10は、基板11と、ICチップ12と、第1アンテナ13と、を備える。RFIDタグ10は、メモリ、電源回路などを備えていてもよい。RFIDタグは、非接触型データ受送信体の例である。非接触型データ受送信体は、電波を媒体として無線通信によって外部に対して情報を送受信する。
基板11は、例えば、矩形状に形成されている。
【0015】
ICチップ12は、1または複数のセンサ14と、制御部15と、を備える。
センサ14は、自然現象、物品等についての機械的、電磁気的、熱的、音響的、化学的な性質、あるいはそれらで示される情報を信号に置き換えることができる装置である。センサは、検知器ともいう。
【0016】
センサ14としては、例えば、電力センサ、温度センサ、湿度センサ、圧力センサ、歪センサなどが挙げられる。電力センサは、ICチップ12に入力される電力を測定する。温度センサは、例えば、RFIDタグ10が取り付けられた物品の温度を測定する。温度センサとしては、例えば、測温抵抗体、熱電対、サーミスタなどを例示できる。
【0017】
制御部15は、センサ14の測定情報をデジタル情報として取得し、第1アンテナ13に指示信号を送る。例えば、センサ14が電力センサである場合、制御部15は、センサ14による電力の測定値である電力値(測定情報)を取得し、電力値に応じた指示信号を第1アンテナ13に送る。センサ14が温度センサである場合、制御部15は、センサ14による温度の測定値(測定情報)を取得し、測定値に応じた指示信号を第1アンテナ13に送る。
【0018】
センサ14のうち少なくとも1つは、電力センサであることが好ましい。ICチップ12が複数のセンサ14を備える場合、複数のセンサ14は、電力センサと、電力センサ以外の測定用センサとを含んでいてもよい。電力センサ以外の測定用センサは、例えば、温度センサ、湿度センサ、圧力センサ、歪センサなどであってよい。
【0019】
第1アンテナ13は、制御部15からの指示信号を受けて、センサ14の測定情報を無線信号で送信する。第1アンテナ13は、RFIDタグ10のID情報を無線信号で送信することもできる。第1アンテナ13は、例えば、リード線またはICチップの端子を介してICチップ12と電気的に接続される。
【0020】
(読み取り機)
図3に示すように、読み取り機20は、第2アンテナ21と、電波強度確認部22と、電波強度比較部23と、メモリ24と、センサ検出部25と、センサ比較部26と、出力調整部27と、を備える。
読み取り機20は、RFIDタグ10と別体とされている。読み取り機20は、第1アンテナ13からの無線信号を受信して測定情報を取得できる。読み取り機20は、第1アンテナ13からの無線信号を受信してRFIDタグ10のID情報を取得できる。
【0021】
第2アンテナ21は、第1アンテナ13からの無線信号を受信することができる。第2アンテナ21は、RFIDタグ10に向けて無線信号を送信することができる。
電波強度確認部22は、第2アンテナ21が受信した無線信号の強度(電波強度)を確認する。電波強度は、例えば、RSSI(Received Signal Strength Indication:受信電波強度)である。
電波強度は、RFIDタグ10と読み取り機20との間で送受信される電波の状態に影響される。電波強度は、例えば、RFIDタグ10と読み取り機20との距離、および周囲の電波状況などに応じた値となる。
【0022】
電波強度比較部23は、第2アンテナ21が受信した無線信号の電波強度を、好適な電波強度の範囲と比較することができる。好適な電波強度の範囲は、例えば、読み取り機20がRFIDタグ10から無線信号を受信して測定情報を取得することを考慮して、任意に定めることができる。
メモリ24は、RFIDタグ10からの無線信号に基づいて取得した測定情報等を記憶することができる。
【0023】
センサ検出部25は、センサ14の測定情報をデジタル情報として取得する。
センサ比較部26は、センサ検出部25が取得した測定情報を、好適な測定情報の範囲と比較することができる。好適な測定情報の範囲は任意に定めることができる。
【0024】
出力調整部27は、第2アンテナ21からRFIDタグ10に送信する電波の出力を調整することができる。出力調整部27は、少なくとも電波強度(電波強度確認部22で確認された電波強度)に応じて電波出力を調整することができる。
【0025】
[情報取得方法]
次に、読み取りシステム100を用いた場合を例として、第1実施形態の情報取得方法について説明する。
まず、図4を参照して、この情報取得方法の概要を説明する。図4は、読み取りシステム100が行う処理の概要を説明する図である。RFIDタグ10は、センサ14(図2参照)を備えるため、「センサRFID」ともいう。
【0026】
(1)図4に示すように、読み取り機20は、RFIDタグ10(センサRFID)に、起電のための初期電波を送信する。
(2)RFIDタグ10は、読み取り機20にID情報を送信する。
(3)読み取り機20は、ID情報を確認した後、電波強度(RSSI)、およびセンサ14による測定情報(センサ値)を要求する。
(4)RFIDタグ10は、初期の電波強度(RSSI)、および初期の測定情報(センサ値)を読み取り機20に送信する。
(5)読み取り機20は、電波強度(RSSI)および測定情報(センサ値)に応じて出力を調整する。
(6)読み取り機20は、出力を調整した電波を送信する。RFIDタグ10は、電波強度(RSSI)および測定情報(センサ値)を読み取り機20に送信する。
(7)必要に応じ、電波強度(RSSI)および測定情報(センサ値)が所定の範囲内となるまで処理(5)、(6)を繰り返す。
【0027】
次いで、図1および図5図7を参照して、第1実施形態の情報取得方法を詳細に説明する。
【0028】
(第1工程:準備)
RFIDタグ10を、例えば、流通管理などの対象となる物品(対象物)に取り付ける。図1では、RFIDタグ10が取り付けられた物品は、容器30に収容される。容器30は、例えば、紙製の箱(例えば、段ボール箱)などである。
読み取り機20は、例えば、容器30の外に配置する。読み取り機20は、RFIDタグ10に対して通信可能な距離に配置する。
【0029】
図5は、読み取りシステム100が行う処理を示すフロー図である。
図5に示すように、読み取り機20は、予め、RFIDタグ10に送信する電波の出力を下限値に設定しておく(ステップS11)。読み取り機20は、RFIDタグ10に電波を送信する。
【0030】
(第2工程:測定情報および電波強度の取得)
読み取り機20は、送信する電波の出力を下限値から徐々に高め、RFIDタグ10を起電する(ステップS12)。
【0031】
第2アンテナ21は、RFIDタグ10から、ID情報を含む無線信号を受信する。読み取り機20は、RFIDタグ10のID情報を取得したか否かを判定する(ステップS13)。ID情報が取得されたと判定された場合は、読み取り機20は、RFIDタグ10に、電波強度(RSSI)、およびセンサ14による測定情報(センサ値)を要求する(ステップS14)。ID情報が未取得であると判定された場合は、読み取り機20は、RFIDタグ10に送信する電波の出力を高めたうえで、ステップS12に戻る。
【0032】
第2アンテナ21は、RFIDタグ10から無線信号を受信する。センサ検出部25は、センサ14による測定情報(センサ値)を取得する。電波強度確認部22は、第2アンテナ21が受信した無線信号の電波強度(RSSI)を確認する。
【0033】
読み取り機20は、電波強度(RSSI)と測定情報(センサ値)の両方を取得したか否かを判定する(ステップS15)。測定情報(センサ値)と電波強度(RSSI)の両方を取得したと判定された場合は、電波強度(RSSI)および測定情報(センサ値)がともに正常範囲にあるか否かを判定する(ステップS16)。ステップS16では、詳しくは、電波強度比較部23において、電波強度(RSSI)を、予め設定された電波強度の範囲(正常範囲)と比較するとともに、センサ比較部26において、測定情報(センサ値)を、予め設定された測定情報の範囲(正常範囲)と比較する。
【0034】
ステップS15において、測定情報(センサ値)と電波強度(RSSI)のうち少なくとも一方が未取得と判定された場合は、RFIDタグ10に送信する電波の出力を高めたうえで、ステップS12に戻る。
【0035】
(第3工程:電波出力の調整)
ステップS16において、電波強度(RSSI)および測定情報(センサ値)がともに正常範囲にあると判定された場合は、この工程を終了する。
【0036】
ステップS16において、電波強度(RSSI)と測定情報(センサ値)の少なくとも一方が正常範囲を外れていると判定された場合は、電波強度(RSSI)と測定情報(センサ値)がともに正常範囲より小さいか否かを判定する(ステップS17)。電波強度(RSSI)と測定情報(センサ値)が正常範囲より小さいと判定された場合は、RFIDタグ10に送信する電波の出力を高めたうえで、ステップS14に戻る。
【0037】
ステップS17において、電波強度(RSSI)と測定情報(センサ値)が正常範囲より小さいと判定されなかった場合(すなわち、電波強度と測定情報の少なくとも一方が正常範囲より大きいと判定された場合)は、RFIDタグ10に送信する電波の出力を低くしたうえで、ステップS14に戻る。
【0038】
このように、電波強度(RSSI)と測定情報(センサ値)の少なくとも一方が正常範囲を外れている場合は、電波強度(RSSI)および測定情報(センサ値)が正常範囲内となるまで前述の処理を繰り返す。
【0039】
図6は、RFIDタグ10に送信する電波の出力を高めるときの処理を示すフロー図である。
図6に示すように、電波の出力を高めるときは、出力が読み取り機20の最大出力未満であるか否かを判定する(ステップS21)。出力が最大出力未満である場合、読み取り機20は、出力調整部27によって電波の出力を1段階上げる(ステップS22)。これによって、電波の出力は高められる。
ステップS21において、出力が読み取り機20の最大出力未満ではない(すなわち、最大出力以上である)と判定された場合は、故障の可能性があると判定される(ステップS23)。
【0040】
図7は、RFIDタグ10に送信する電波の出力を低くするときの処理を示すフロー図である。
図7に示すように、電波の出力を低くするときは、出力が読み取り機20の最小出力より大きいか否かを判定する(ステップS24)。出力が最小出力より大きい場合、読み取り機20は、出力調整部27によって電波の出力を1段階下げる(ステップS25)。これによって、電波の出力は低くされる。
ステップS24において、出力が読み取り機20の最小出力より大きくない(すなわち、最小出力以下である)と判定された場合は、故障の可能性があると判定される(ステップS26)。
【0041】
[第1実施形態の読み取りシステムおよび読み取り機が奏する効果]
この実施形態の読み取りシステム100は、少なくともRFIDタグ10からの無線信号の電波強度に応じて、RFIDタグ10への電波の出力を調整する出力調整部27を備える。そのため、電波の出力を適正な範囲とし、センサ14の測定情報を安定的に取得することができる。
【0042】
センサを備えたRFIDタグでは、周囲の電波状況などによっては、ICチップに入力される電力が不足または過剰となる可能性がある。そのため、電力の不足または過剰を原因としてセンサの動作が不安定となり、測定情報の取得に支障を来す場合がある。例えば、長時間の自動測定を行う場合、一時的なデータの欠損などが起こり得る。
【0043】
読み取りシステム100では、電波強度に応じてRFIDタグ10への電波の出力を調整するため、ICチップに入力される電力の変動を抑制することができる。そのため、センサ14を安定に動作させることができる。よって、読み取り機20による測定情報の取得を安定的に行うことができる。
【0044】
読み取りシステム100では、電波強度および測定情報に応じてRFIDタグ10への電波の出力を調整することが望ましい。電波強度だけでなく測定情報に応じた出力調整を行うことにより、センサ14への電力供給を適正化できる。よって、読み取り機20において測定情報を安定的に取得することができる。
【0045】
センサ14が電力センサであると、読み取り機20は、ICチップ12に入力される電力の測定値(電力値)に応じて電波の出力を調整することができる。そのため、周囲の電波状況などによらず、RFIDタグ10が得る電力を安定化することができる。よって、センサ14の測定情報をさらに安定的に取得することができる。
【0046】
[読み取りシステム](第2実施形態)
図1図3に示す第1実施形態の読み取りシステム100では、出力調整部27は、電波強度(RSSI)と測定情報(センサ値)の両方に応じて電波出力を調整するが、出力調整部27は、電波強度のみに応じて電波出力を調整することもできる。第1実施形態と共通の構成は、同じ符号を付して説明を省略する。
【0047】
図8は、第2実施形態に係る読み取りシステムが行う処理を示すフロー図である。第1実施形態と共通の工程については、説明を省略する場合がある。以下、第2実施形態の情報取得方法を説明する。
図8に示すように、ステップS26では、読み取り機20は、電波強度(RSSI)が正常範囲にあるか否かを判定する。ステップS26では、詳しくは、電波強度比較部23において、電波強度(RSSI)を、予め設定された電波強度の範囲(正常範囲)と比較する。
【0048】
ステップS26において、電波強度(RSSI)が正常範囲にあると判定された場合は、第3工程(電波出力の調整)を終了する。
【0049】
ステップS26において、電波強度(RSSI)が正常範囲を外れていると判定された場合は、電波強度(RSSI)が正常範囲より小さいか否かを判定する(ステップS27)。電波強度(RSSI)が正常範囲より小さいと判定された場合は、RFIDタグ10に送信する電波の出力を高めたうえでステップS14に戻る。
【0050】
ステップS27において、電波強度(RSSI)が正常範囲より小さいと判定されなかった場合(すなわち、電波強度(RSSI)が正常範囲より大きいと判定された場合)は、RFIDタグ10に送信する電波の出力を低くしたうえで、ステップS14に戻る。
【0051】
このように、電波強度(RSSI)が正常範囲を外れている場合は、電波強度(RSSI)が正常範囲内となるまで前述の処理を繰り返す。
【0052】
[第2実施形態の読み取りシステムおよび読み取り機が奏する効果]
この実施形態の読み取りシステム100は、第1実施形態と同様に、出力調整部27によって電波の出力を適正な範囲とし、センサ14の測定情報を安定的に取得することができる。
【実施例0053】
(実施例1)
読み取りシステム100を用意した(図1参照)。RFIDタグ10は、基板11(幅30mm×長さ90mmの長方形状)と、ICチップ12(Axzon社製のMaguns3D)と、第1アンテナ13とを備える(図2参照)。ICチップ12は温度センサを備える。読み取り機20としては、サーランド・アイエヌイー社のminbeeを使用した(図3参照)。
【0054】
RFIDタグ10を木板(幅910mm×長さ18200mm×厚さ12mm)(対象物)に取り付けた。
【0055】
RFIDタグ10を取り付けた木板を恒温槽に入れ、前述の情報取得方法(図4図7参照)を用いて、読み取り機20によって測定情報(温度の測定値)を取得した。結果を図9に示す。
【0056】
(比較例1)
電波出力の調整を行わないこと以外は実施例1と同様にして、読み取り機によって測定情報(温度の測定値)を取得した。結果を図10に示す。
【0057】
図11は、実施例1における温度の測定値と実測値との差の経時変化を示す図である。図11に示すように、実施例1では、測定値と実測値との誤差は最大で3℃程度であり、データの欠損もなく、安定したデータ取得が可能であった。
【0058】
図12は、比較例1における温度の測定値と実測値との差の経時変化を示す図である。図12に示すように、比較例1では、測定値と実測値との誤差は最大で10℃程度であり、一部にデータの欠損が生じた。そのため、データ取得はやや安定性を欠いた。
【0059】
以上、本発明の実施形態を説明したが、実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。例えば、実施形態の読み取り機20(図3参照)は、測定情報、電波強度などの情報を表示する表示部を備えていてもよい。
【符号の説明】
【0060】
10…RFIDタグ、12…ICチップ、13…第1アンテナ、14…センサ、20…読み取り機、21…第2アンテナ、22…電波強度確認部、27…出力調整部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12