(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104823
(43)【公開日】2024-08-06
(54)【発明の名称】発光素子搭載配線用基板の表示用基板への転写による表示装置の製造方法および表示用基板と表示装置
(51)【国際特許分類】
G09F 9/33 20060101AFI20240730BHJP
G09F 9/302 20060101ALI20240730BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20240730BHJP
H01L 33/62 20100101ALI20240730BHJP
H01L 33/00 20100101ALI20240730BHJP
【FI】
G09F9/33
G09F9/302 C
G09F9/00 338
H01L33/62
H01L33/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023009202
(22)【出願日】2023-01-25
(71)【出願人】
【識別番号】508081064
【氏名又は名称】株式会社ナノマテリアル研究所
(71)【出願人】
【識別番号】518251033
【氏名又は名称】エーオーイーティー コーポレーション
【住所又は居所原語表記】603, Yonsei Sarang Bldg., 93 Sogong Ro Jung-gu, Seoul 04531 Korea AOET Corporation
(71)【出願人】
【識別番号】518251044
【氏名又は名称】イ ヤン‐ジュ
【氏名又は名称原語表記】Young-ju, Lee
【住所又は居所原語表記】202 Green House 25, Daeyang-ro 285beon-gil, Deogyang-gu, Goyang-si, Gyeonggi-do, 10273, KOREA
(74)【代理人】
【識別番号】505384793
【氏名又は名称】塩谷 喜美
(72)【発明者】
【氏名】塩谷 喜美
(72)【発明者】
【氏名】オー,サング‐ムク
【テーマコード(参考)】
5C094
5F142
5G435
【Fターム(参考)】
5C094AA03
5C094AA43
5C094BA12
5C094BA25
5C094CA19
5C094CA20
5C094CA24
5C094DB01
5C094EB05
5C094GB01
5C094JA01
5F142AA82
5F142BA32
5F142CA11
5F142CB14
5F142CB18
5F142CB23
5F142CD02
5F142CD44
5F142CD45
5F142CD47
5F142DA14
5F142DA22
5F142DA36
5F142DA73
5F142EA02
5F142EA10
5F142EA18
5F142EA34
5F142FA03
5F142FA26
5F142FA30
5F142FA32
5F142GA02
5G435AA01
5G435AA17
5G435BB04
5G435CC09
5G435CC12
5G435KK05
(57)【要約】 (修正有)
【課題】発光素子ブロックを搭載した配線用基板である発光素子搭載配線用基板を、表示用基板に精度よく転写し、複数の発光素子搭載配線用基板を含む、表示装置を製造し、この表示装置内で均一な発光素子分布が得られるようにする。
【解決手段】本発明では、発光素子ブロック内の青色、緑色、および赤色の3色のマイクロLEDを含む発光素子ブロックと、発光素子ブロックを搭載する配線用基板の形状、大きさ、および配線間隔を規定し、発光素子ブロックを精度よく転写できるようにし、発光素子搭載配線用基板を完成させ、さらに配線用基板の配線間隔に従い、アライメント兼配線を備える表示用基板に複数の発光素子搭載配線用基板を転写し、隣り合う発光素子搭載配線用基板間で、発光素子分布が均一となる表示装置を製造する。
【選択図】
図21
【特許請求の範囲】
【請求項1】
i)青色、緑色、および赤色マイクロLEDを一組とした発光素子を備え、
a)前記赤色、および前記緑色マイクロLEDの面積が前記青色マイクロLEDの面積の1~25倍の大きさとし、
b)前記青色マイクロLEDと前記緑色マイクロLED、前記緑色マイクロLEDと前記赤色マイクロLED、および前記赤色マイクロLEDと前記青色マイクロLEDの間隔が、それぞれ前記緑色マイクロLEDの一辺の半分より大きく、前記赤色マイクロLEDの一辺の半分より大きく、前記赤色マイクロLEDの一辺の半分より大きく、またそれぞれの一辺の5倍未満とし、
c)前記発光素子間の間隔を前記マイクロLED間の最大間隔の1~40倍とし、
d)発光素子ブロックの端と、端にある前記発光素子内のマイクロLEDとの間隔を、前記青色、前記緑色、および前記赤色マイクロLED間の最大間隔の0.5~20倍以下とする前記発光素子ブロックを準備する工程、
ii)配線用基板が、
e)前記発光素子ブロックと同一形状、および同等以上の大きさとし、
f)その配線が前記青色、前記緑色、および前記赤色マイクロLEDの間隔に従い、
g)側面配線またはスルービアホールによって接続した下部配線、および横方向駆動配線と縦方向駆動配線への前記アライメント兼コンタクト用配線を備えた、配線用基板を準備する工程、
iii)前記発光素子ブロックを前記配線用基板に転写し、発光素子搭載配線用基板とする工程、
iv)前記発光素子搭載配線用基板の前記発光素子ブロックの裏面の半導体基板をエッチングにより除去し、その後、周辺レジストを除去する工程、
v)前記発光素子搭載配線用基板の前記発光素子ブロックの周辺絶縁膜をエッチングし、上部配線を形成する工程、
vi)表示用基板の前記配線間隔が発光素子ブロックの前記配線間隔に従った駆動用下部配線、および駆動用アライメント兼上部配線を備えた表示用基板を準備する、工程、
vii)前記複数の発光素子搭載配線用基板の前記横方向駆動配線と前記縦方向駆動配線への前記アライメント兼コンタクト用配線を、前記表示用基板の前記駆動用下部配線、および前記駆動用アライメント兼上部配線に重ね合わせて、転写する工程、
を備えた複数の発光素子搭載配線用基板を表示用基板に転写する方法。
【請求項2】
前記駆動用下部配線、および前記駆動用アライメント兼上部配線を備え、請求
項1に記載の複数の発光素子搭載配線用基板の表示用基板への転写による表示装置の製造により製造される表示用基板。
【請求項3】
前記複数の発光素子搭載配線用基板と前記表示用基板の配線接続を行い、前記発光素子分布が前記表示用基板内で均一になるように転写した前記複数の発光素子搭載配線用基板および前記表示用基板を備え、請求項1に記載の複数の発光素子搭載配線用基板の表示用基板への転写による表示装置の製造方法により製造される表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置の製造方法およびその構造に関するものであり、そしてより具体的には青色、緑色、および赤色のマイクロLEDからなる発光素子を搭載した発光素子搭載配線用基板の表示用基板への転写による表示装置の製造方法および表示用基板と表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、表示装置として液晶表示装置や有機発光ダイオードが使用されている。
【0003】
またLEDは、現在照明分野に広く使用されているが、近年、マイクロLEDが開発され、消費電力の少ない表示装置としてとして、利用され始めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-10309号公報
【特許文献2】特開2019-204842号公報
【特許文献3】特開2022-155471号公報
【特許文献4】特開2022-525851号公報
【特許文献5】特開2020‐013809号公報
【特許文献6】特開2020-013811号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
マイクロLEDを表示用基板に転写する方法は、特許文献1~4に示されるように、マイクロLEDが一つずつ表示用基板に転写されている。
【0006】
しかしながら、従来では、マイクロLEDを形成した基板に反りがあるため、基板毎の表示用基板への転写はできなかった。したがって、この作業はマイクロLEDを一つずつ表示用基板に転写せざるを得ず、非常に時間がかかっている。
【0007】
これに対処するため、特許文献5、および6では、Si基板の反りをなくした上で、多数の発光素子(青色、緑色、および赤色マイクロLED)を形成した一つの発光素子ブロックが表示用配線基板に転写されている。
【0008】
ところで、青色、緑色、および赤色マイクロLEDからなる発光素子ブロックを一つだけ表示用基板に転写する方法では、一つの発光素子ブロックに相当する表示装置を完成させることはできるが、発光素子ブロックの何倍かの大きな面積を有する表示装置に複数の発光素子ブロックを搭載する場合は、Si基板を除去する工程上、大きな面積の表示用基板上で複数の発光素子ブロックのSi基板を一度に除去することは困難であるため、発光素子ブロックを配線用基板に搭載した上で、Si基板を除去する必要があり、Si基板を除去した工程後の発光素子ブロックを搭載した複数の発光素子搭載配線用基板を表示用基板に転写する際には、複数の発光素子ブロック搭載配線用基板を精度よく転写する必要があり、このことを実現するためには、発光素子ブロックと配線用基板、および発光素子搭載配線用基板と表示用基板間の配線を精度よく接続する必要があり、この問題を解決しなければ、大きな面積を有する表示装置を得ることはきなかった。
【0009】
ここで、発光素子ブロックを搭載した複数の発光素子搭載配線用基板を、表示用基板に転写する際、発光素子ブロックの配線間隔、発光ブロックの端と、端にある発光素子内のマイクロLEDの間隔、および発光素子ブロックを転写する配線用基板の大きさを規定する必要がある。さもなければ、発光素子登載配線用基板間で、発光素子分布が均一にならず、表示用基板全域にわたり均一な発光素子分布を得ることが出来ないという問題が発生していた。
【0010】
本発明は、上記技術に鑑みてなされたものであって、本発明が解決しようとする課題は、第1に、青色、緑色、および赤色マイクロLEDからなる発光素子ブロックを搭載した複数の発光素子搭載基板を表示用基板に精度よく転写することであり、第2に、表示用基板全域にわたり均一な発光素子分布を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願請求項1に記載の複数の発光素子搭載配線用基板を表示用基板に転写する方法は、
i)青色、緑色、および赤色マイクロLEDを一組とした発光素子を備え、
a)前記赤色、および前記緑色マイクロLEDの面積が前記青色マイクロLEDの面積の1~25倍の大きさとし、
b)前記青色マイクロLEDと前記緑色マイクロLED、前記緑色マイクロLEDと前記赤色マイクロLED、および前記赤色マイクロLEDと前記青色マイクロLEDの間隔が、それぞれ前記緑色マイクロLEDの一辺の半分より大きく、前記赤色マイクロLEDの一辺の半分より大きく、前記赤色マイクロLEDの一辺の半分より大きく、またそれぞれの一辺の5倍未満とし、
c)前記発光素子間の間隔を前記マイクロLED間の最大間隔の1~40倍とし、
d)発光素子ブロックの端と、端にある前記発光素子内のマイクロLEDとの間隔を、前記青色、前記緑色、および前記赤色マイクロLED間の最大間隔の0.5~20倍以下とする前記発光素子ブロックを準備する工程、
ii)配線用基板が、
e)前記発光素子ブロックと同一形状、および同等以上の大きさとし、
f)その配線が前記青色、前記緑色、および前記赤色マイクロLEDの間隔に従い、
g)側面配線またはスルービアホールによって接続した下部配線、および横方向駆動配線と縦方向駆動配線への前記アライメント兼コンタクト用配線を備えた、配線用基板を準備する工程、
iii)前記発光素子ブロックを前記配線用基板に転写し、発光素子搭載配線用基板とする工程、
iv)前記発光素子搭載配線用基板の前記発光素子ブロックの裏面の半導体基板をエッチングにより除去し、その後、周辺レジストを除去する工程、
v)前記発光素子搭載配線用基板の前記発光素子ブロックの周辺絶縁膜をエッチングし、上部配線を形成する工程、
vi)表示用基板の前記配線間隔が発光素子ブロックの前記配線間隔に従った駆動用下部配線、および駆動用アライメント兼上部配線を備えた表示用基板を準備する、工程、
vii)前記複数の発光素子搭載配線用基板の前記横方向駆動配線と前記縦方向駆動配線への前記アライメント兼コンタクト用配線を、前記表示用基板の前記駆動用下部配線、および前記駆動用アライメント兼上部配線に重ね合わせて転写する工程、
を備えた複数の発光素子搭載配線用基板を表示用基板に転写する方法を提供することによって、上記課題1および2を解決している。
【0012】
本願請求項1に記載の複数の発光素子搭載配線用基板を表示用基板に転写する方法は、工程vii)に示すように、発光素子搭載配線用基板の横方向駆動配線と縦方向駆動配線へのアライメント兼コンタクト用配線を、表示用基板の駆動用下部配線、および駆動用アライメント兼上部配線に重ね合わせて、転写する。このように、請求項1に記載の方法では、アライメント兼コンタクト用配線を、表示用基板の駆動用下部配線、および駆動用アライメント兼上部配線に重ね合わせることにより、複数の発光素子搭載配線用基板を表示用基板に精度よく転写すると言う、第1の課題が解決される。
さらに、工程i)のc)前記発光素子間の間隔を前記マイクロLED間の最大間隔の1~40倍とし、d)発光素子ブロックの端と、端にある前記発光素子内のマイクロLEDとの間隔を、前記青色、前記緑色、および前記赤色マイクロLED間の最大間隔の0.5~20倍以下とする前記発光素子ブロックを準備する工程により、複数の発光素子搭載基板を表示用基板に設置する際に、隣り合う発光素搭載基板間の発光素子内のマイクロLED間の間隔が一つの発光素子搭載基板内の発光素子内のマイクロLED間の間隔、すなわちマイクロLED間の最大間隔の0.5~20倍以下の2倍の最大間隔の1~40倍と同一にすることができ、表示用基板全般にわたり均一な発光素子分布を得ることができ、これにより第2の課題が解決される。
【0013】
本願請求項2に記載の表示用基板は、前記駆動用下部配線、および前記駆動用アライメント兼上部配線を備え、請求項1に記載の複数の発光素子搭載配線用基板の表示用基板への転写による表示装置の製造により製造される表示用基板を提供する。
【0014】
本願請求項3に記載の表示装置により、前記発光素子搭載配線用基板と前記表示用基板の配線接続を行い、前記発光素子分布が前記表示用基板内で均一になるように転写した前記複数の発光素子搭載配線用基板および前記表示用基板を備え、請求項1に記載の複数の発光素子搭載配線用基板の表示用基板への転写による表示装置の製造方法により製造される表示装置が提供される。
【0015】
本願請求項3に記載の表示装置により、表示用基板は、複数の発光素子搭載配線用基板を備え、発光素子搭載配線用基板内、および隣り合う発光素子搭載配線用基板間で、均一な発光素子分布を得ることができる。その結果、複数の発光素子搭載配線用基板を備えた大面積のマイクロLED表示装置が得られる。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、請求項1の工程vi)および工程vii)に示されるように、表示用基板が駆動用アライメント兼上部配線を備えることにより、発光素子ブロックを搭載した複数の発光素子搭載基板を表示用基板に転写する第1の課題を解決する。複数の発光素子搭載基板を表示用基板に転写することにより、短時間で、マイクロLEDからなる大面積の表示装置を製造することができる。
また、本発明は、請求項1の工程i)~工程iii)、工程vi)および工程vii)に示されるように、発光素子ブロックの端と、端にある発光素子ブロックのマイクロLEDの間隔を規定し、さらに配線用基板の大きさを規定し、発光素子ブロックを配線用基板に搭載した複数の発光素子搭載配線用基板を表示用基板に転写することにより、第2の課題である、表示用基板全域にわたり均一な発光素子分布を得ることを実現している。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】半導体基板表面に青色、緑色、および赤色マイクロLEDを一組とする発光素子を形成した後、半導体基板のそりを減少させるために裏面に形成した発光素子の形成に必要なp型GaNエピタキシャル層、多重量子井戸層、n型GaNエピタキシャル層、GaNバッファ層、SiC層、およびSi基板を研削する工程を示す。点線で囲んだ領域が研削する領域である。
【
図2】裏面を研削後、半導体基板から発光素子ブロックを切り出す状態を示す。
【
図3】半導体基板から発光素子ブロックを切り出す工程後の状態を示す。ここで、ブロックの端に配線用基板とのアライメントマークを付け、発光素子ブロックを完成する。
【
図4】発光素子を形成した発光素子ブロックを配線用基板に転写するために反転させる工程を示す。
【
図5a】発光素子ブロックを転写するための配線用基板の平面図を示す。基板の角を丸くし、基板裏面に表面配線と接続したアライメント兼コンタクト用配線を、縦方向および横方向に形成する。
【
図5b】配線用基板の横断面図を示す。基板の角を丸くし、基板裏面に表面配線と接続したアライメント兼コンタクト用配線を、横方向に形成する。
【
図5c】配線用基板の縦断面図を示す。基板の角を丸くし、基板裏面に表面配線と接続したアライメント兼コンタクト用配線を、縦方向に形成する。
【
図6】発光素子ブロックと、これを転写するための配線用基板との転写部分の位置関係を示す。アライメントマークを基準としてアライメントする。
【
図7】発光素子ブロックと配線用基板とを転写する工程後の状態を示す。
【
図8】発光素子ブロックの裏面以外にレジスト膜等を形成する工程後の状態を示す。
【
図9】発光素子ブロックと配線用基板を転写した後に、半導体基板をエッチングし、さらにSiC層とGaNバッファ層をエッチングする工程後の状態を示す。
【
図10a】レジストを除去し、絶縁膜を塗布し、最外周の一部をエッチングし、上部配線を形成する工程後の横断面図を示す。
【
図10b】レジストを除去し、絶縁膜を塗布し、最外周の一部をエッチングし、上部配線を形成する工程後の縦断面図を示す。
【
図11a】青色マイクロLEDの上部配線上に緑色蛍光体、および赤色蛍光体を塗布し、緑色マイクロLED、および赤色マイクロLEDを形成する工程後の横断面図を示す。
【
図11b】青色マイクロLEDの上部配線上に緑色蛍光体、および赤色蛍光体を塗布し、緑色マイクロLED、および赤色マイクロLEDを形成する工程後の縦断面図を示す。
【
図12a】発光素子ブロックを転写するためのスルービアホールを備えた配線用基板の平面図を示す。基板裏面に、表面配線と接続したアライメント兼コンタクト用配線を、縦方向および横方向に形成する。
【
図12b】スルービアホールを備えた配線用基板の横断面図を示す。基板裏面に、表面配線と接続したアライメント兼コンタクト用配線を、横方向に形成する。
【
図12c】スルービアホールを備えた配線用基板の縦断面図を示す。基板裏面に上部配線と接続したアライメント兼コンタクト用配線を、縦方向に形成する。
【
図13】発光素子ブロックと、これを転写するためのスルービアホールを備えた配線用基板との転写部分の位置関係を示す。
【
図14】発光素子ブロックを、スルービアホールを備えた配線用基板に転写する工程後の状態を示す。
【
図15】発光素子ブロックの裏面以外にレジスト膜等を形成する工程後の状態を示す。
【
図16】発光素子ブロックを、スルービアホールを備えた配線用基板に転写した後に、半導体基板をエッチングする工程後の状態を示す。
【
図17a】レジストを除去し、絶縁膜を塗布し、最外周の一部をエッチングし、上部配線を形成する工程後の横断面図を示す。
【
図17b】レジストを除去し、絶縁膜を塗布し、最外周の一部をエッチングし、上部配線を形成する工程後の縦断面図を示す。
【
図18】表示用基板を示す。配線間隔は等間隔である。下部配線の上部には絶縁層を挟んで、上部配線との接続を行う縦方向のアライメント兼コンタクト配線がある。
【
図19】表示用基板を示す。配線間隔は異なった間隔である。下部配線の上部には絶縁層を挟んで、上部配線との接続を行う縦方向のアライメント兼コンタクト配線がある。
【
図20】表示用基板に多数の発光素子搭載配線用基板を転写する工程後の状態を示す。配線間隔は等間隔であり、下部配線が点線で、上部配線が実線で示してある。
【
図21】表示用基板に多数の発光素子搭載配線用基板を転写する工程後の状態を示す。配線間隔は異なった間隔であり、下部配線が点線で、上部配線が実線で示してある。
【
図22a】表示基板に複数の発光素子搭載配線用基板を転写した場合の下部配線の接続状態を示す。基板の角を丸めて表面と裏面の配線の接続を行った配線用基板を採用した場合の横断面図を示す。
【
図22b】表示基板に複数の発光素子搭載配線用基板を転写した場合の上部配線の接続状態を示す。基板の角を丸めて表面と裏面の配線の接続を行った配線用基板を採用した場合の縦断面図を示す。
【
図23a】表示基板に複数の発光素子搭載配線用基板を転写した場合の下部配線の接続状態を示す。スルービアホールにより表面と裏面の配線の接続を行った配線用基板を採用した場合の横断面図を示す。
【
図23b】表示基板に複数の発光素子搭載配線用基板を転写した場合の上部配線の接続状態を示す。スルービアホールにより表面と裏面の配線の接続を行った配線用基板を採用した場合の縦断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。図は、図の構造を実現するための具体的な製造工程を示す。各図において同一部分には、同一の符号を付している。
(実施形態1)
【0019】
本実施形態は、Si基板1上に大きさを規定した青色マイクロLED21、緑色マイクロLED22、および赤色マイクロLED23を形成し、これらマイクロLEDの配線間隔を規定し、3色のマイクロLEDの一組を発光素子27とし、発光素子27間の配線間隔を規定したSi基板1から切り出した発光素子ブロック30を、発光素子ブロック30の配線間隔に従い、側面配線またはスルービアホールによって接続した下部配線40A、40B、および40C、ならびに40a、40b、および40cと、横方向駆動配線および縦方向駆動配線へのアライメント兼コンタクト配線、それぞれ50A、50B、ならびに50C、50a、50b、および50cを備えた配線用基板40に転写し、発光素子搭載用配線基板70を完成させ、この発光素子搭載配線用基板70を、駆動用下部配線、それぞれ90A、90B、および90C、駆動用アライメント兼上部配線90a、90b、および90cを備えた表示用基板80にアライメント配線を重ねて転写し、表示装置100を完成する方法である。
以下この方法を具体的に示す。
【0020】
図1に示すように、Si基板1の裏面に形成したn型GaNエピタキシャル層15、青色、緑色、および赤色マイクロLED用量子井戸層、それぞれ7、10,および13、絶縁層5、8、および11、GaNバッファ層3、SiC層2および半導体基板1の裏面をグラインダーによって研削し、半導体基板1の残りの厚さを50~300μmとする(工程i))。点線部分は研削する部分である。
図2に示すように、青色マイクロLED21、緑色マイクロLED22、および赤色マイクロLED23からなる発光素子25を含む発光素子ブロック30を切り出す(工程i))。
図3に示すように、Si基板1の裏面を研削する工程後の状態を示す(工程i))。ここでは、配線用基板40との位置合わせを行うため、レーザ等により、配線用基板40とのアライメントマーク18を付ける。
図4に示すように、配線用基板40に転写するために、上下、左右を反転させる(工程i))。
【0021】
図5a、b、およびcに示すように、青色マイクロLED21、緑色マイクロLED22、および赤色マイクロLED23からなる発光素子27を駆動するための、青色、緑色、および赤色マイクロLED、それぞれ21、22、および23の間隔に従い、側面配線によって接続した下部配線および、横方向駆動配線と縦方向駆動配線へのアライメント兼コンタクト用配線を備えた配線用基板40を準備する(工程ii))、
図5aは配線用基板の平面図を示し、ここでは、下部配線40A、40B、および40C、上部配線40a、40b、および40cを示す(工程ii))。
図5bは端部を丸めて断線を防止した配線用基板の横断面図を示し、ここでは、下部配線40A、40B、および40C、横方向駆動配線へのアライメント兼コンタクト配線50A、50B、および50Cを示す(工程ii))。
そして
図5cは端部を丸めて断線を防止した配線用基板の縦断面図を示し、ここでは、上部配線40a、40b、および40c、縦方向駆動配線へのアライメント兼コンタクト配線50a、50b、および50cを示す(工程ii))。
【0022】
図6に示すように、青色マイクロLED21、緑色マイクロLED22、および赤色マイクロLED23からなる発光素子25を備えた発光素子ブロック30を、配線用基板40とのアライメントマーク18を基準にして、配線用基板40に位置合わせし、発光素子ブロック30と配線用基板40の対応する電極同士を接合させる。配線基板40の表面の下部電極接続端子51、52、および53の表面には、金合金、半田、または導電性樹脂を(図示せず)を形成してもよい。ここでは、一点鎖線の矢印で示すように青色マイクロLED21、および青色マイクロ用下部電極接続端子51、緑色マイクロLED22、および緑色マイクロLED用下部電極接続端子52、赤色マイクロLED23、および赤色マイクロLED用下部電極接続端子53をアライメントした上で接合し、発光素子ブロック30を配線用基板40に転写する様子を示す(工程iii))。
【0023】
図7に示すように、配線用基板とのアライメントマーク18を基準として発光素子ブロック30と配線用基板40を接合し、転写する(工程iii))。
【0024】
図8に示すように、接合した発光素子ブロック30と配線用基板40の、Si基板1の表面以外をレジスト(または有機物、または絶縁層)60で覆い、半導体基板1をエッチングする際に、他の部分がエッチングされないように保護する(工程iii))。
【0025】
図9に示すように、発光素子搭載配線用基板70の半導体基板1およびGaNバッファ層3を、SiC層をエッチストッパーとしてエッチング除去する工程後の状態を示す(工程iv))。
【0026】
図10aに示すように、周辺のレジスト層60を除去する工程後の状態の横断面図を示す。配線用基板40周辺に絶縁層61を形成し、透明導電性配線である上部配線40a、40bおよび40cと縦方向駆動用配線へのアライメント兼コンタクト用配線、50a、50bおよび50cとの接続を行うためにその一部をエッチングし、透明導電性配線である上部配線40a、40bおよび40cを形成し、縦方向駆動用配線へのアライメント兼コンタクト用配線、50a、50bおよび50cとの接続を行う(工程v))。
【0027】
図10bに示すように、周辺のレジスト層60を除去する工程後の状態の縦断面図を示す。配線用基板40周辺に絶縁層61を形成し、透明配線である上部配線40a、40bおよび40cと縦方向駆動用配線へのアライメント兼コンタクト用配線、50a、50bおよび50cとの接続を行うためにその一部をエッチングし、透明導電性配線である上部配線40a、40bおよび40cを形成し、縦方向駆動用配線へのアライメント兼コンタクト用配線、50a、50bおよび50cとの接続を行う(工程v))。
【0028】
図11aは、青色マイクロLED上に緑色、および赤色蛍光体を塗布し、あ緑色マイクロLED、および赤色マイクロLEDとする場合を示し、ここでは、透明電極周辺のレジスト層60を除去する工程後の状態の横断面図を示す。配線用基板40周辺に絶縁層61を形成し、透明導電性配線である上部配線40a、40bおよび40cと縦方向駆動用配線へのアライメント兼コンタクト用配線、50a、50bおよび50cとの接続を行うためにその一部をエッチングし、透明導電性配線である上部配線40a、40bおよび40cを形成し、縦方向駆動用配線へのアライメント兼コンタクト用配線、50a、50bおよび50cとの接続を行う(工程v))。
【0029】
図11bは、青色マイクロLED上に緑色、および赤色蛍光体を塗布し、あ緑色マイクロLED、および赤色マイクロLEDとする場合を示し、ここでは、周辺のレジスト層60を除去する工程後の状態の縦断面図を示す。配線用基板40周辺に絶縁層61を形成し、その一部をエッチングし、透明導電性配線である上部配線40a、40bおよび40cを形成し、縦方向駆動用配線へのアライメント兼コンタクト用配線、50a、50bおよび50cとの接続を行う(工程v))。
【0030】
同様にスルービアホール41によりそれぞれ表面の透明導電性配線である上部配線40a、40b、および40cと40B、40C、40A、裏面の配線50a、50b、および50cと50B、50C、50Aとの接続を行う配線用基板40を準備し、発光素子搭載配線用基板を形成する工程を
図12a、12bおよび12c~17aおよび17bに示す(工程iii))。
【0031】
図18に示すように、駆動用下部配線90A、90B、および90C、ならびに絶縁層(図示せず)を挟んで、駆動用アライメント兼上部配線90a、90b、および90cを備えた表示用基板80を準備する(工程vi)。ここでは配線が等間隔である。
図19に示すように、駆動用下部配線90A、90B、および90C、ならびに絶縁層(図示せず)を挟んで、駆動用アライメント兼上部配線90a、90b、および90cを備えた表示用基板80を準備する(工程vi)。ここでは配線間隔が青色、緑色、および赤色マイクロLED、それぞれ21、22、および23の配線間隔に従って異なったものである。
【0032】
図20に示すように、表示基板80に複数の発光素子搭載配線用基板70を転写する(工程vii))。配線間隔は等間隔である。
【0033】
図21に示すように、表示基板80に複数の発光素子搭載配線用基板70を転写する(工程vii))。配線間隔は青色、緑色、および赤色マイクロLED、それぞれ21、22、および23の配線間隔に従って、異なったものである。
【0034】
図22aに表示基板に複数の発光素子搭載配線用基板を転写した場合の下部配線の接続状態を示す。基板の角を丸めて表面と裏面の配線の接続を行った配線用基板を採用した場合の横断面図を示す。
図22bに表示基板に複数の発光素子搭載配線用基板を転写した場合の透明導電性配線である上部配線の接続状態を示す。基板の角を丸めて表面と裏面の配線の接続を行った配線用基板を採用した場合の縦断面図を示す。ここでは、
図22a、および
図22bからわかるように発光素子搭載配線用基板40から表示用基板70に配線が接続していることがわかる。
【0035】
図23aに表示基板に複数の発光素子搭載配線用基板を転写した場合の下部配線の接続状態を示す。スルービアホールにより表面と裏面の配線の接続を行った配線用基板を採用した場合の横断面図を示す。
図23bに表示基板に複数の発光素子搭載配線用基板を転写した場合の透明導電性配線である上部配線の接続状態を示す。スルービアホールにより表面と裏面の配線の接続を行った配線用基板を採用した場合の縦断面図を示す。ここでは、
図23a、および
図23bからわかるように発光素子搭載配線用基板40から表示用基板70に配線が接続していることがわかる。
【0036】
ここで、駆動用下部配線、90A、90B、および90C、および駆動用アライメント兼上部配線90a、90b、および90cに数段階の電圧をかけ、青色、緑色、および赤色マイクロLED、21、22、および23の色調整を行い、表示装置100を動作させることができる。
(実施形態2)
【0037】
本実施形態は、
図18および
図19に示すように、駆動用下部配線、および駆動用アライメント兼上部配線、それぞれ90A、90B、および90C、ならびに90a、90b、および90cを備えた表示用基板80を採用する。本実施形態の表示用基板80により、下部配線、および横方向駆動配線と縦方向駆動配線への前記アライメント兼コンタクト用配線、それぞれ40A、40B、および40C、ならびに50A、50B,および50Cを備える複数の発光素子搭載配線用基板70との配線接続を精度よく行うことができ、複数の発光素子搭載配線用基板70を転写することができ、一つの発光素子搭載配線用基板70内、および隣り合う発光素子搭載配線用基板70間で同一の発光素子間隔を得ることができ、表示装置100全体で均一な発光素子分布を得ることができる。
(実施形態3)
【0038】
本実施形態は、
図20、
図21、
図22a、
図22b、
図23a、および
図23bに示すように、複数の発光素子搭載配線用基板70と表示用基板80の配線接続を行い、発光素子分布が表示用基板80内で均一になるように転写した複数の発光素子搭載配線用基板70および表示用基板80を備えた、表示装置100を採用する。本表示装置100によって、均一な発光素子分布が得られ、複数の発光素子搭載配線用基板70を表示用基板80に転写した大画面の表示装置100を実現できる。
【符号の説明】
【0039】
1 半導体基板(Siウェハ)
2 SiC層
3 GaNバッファ層(ノンドープまたはn型GaN)
4 n型GaNエピタキシャル層
5 絶縁層
6 青色マイクロLED形成のための絶縁層エッチング領域
7 青色マイクロLED用多重量子井戸層
8 絶縁層
9 緑色マイクロLED形成のための絶縁層エッチング領域
10 緑色マイクロLED用多重量子井戸層
11 絶縁層
12 赤色マイクロLED形成のための絶縁層エッチング領域
13 赤色マイクロLED用多重量子井戸層
14 青色、緑色、および赤色マイクロLED形成のための
絶縁層エッチング領域
15 p型GaNエピタキシャル層
16 電極層
17 絶縁層(SOG層)
18 配線用基板とのアライメントマーク
21 青色マイクロLED
22 緑色マイクロLED
23 赤色マイクロLED
24 緑色蛍光体
25 赤色蛍光体
27 発光素子
30 発光素子ブロック
40 配線用基板(Siウェハ、または石英ガラス、ガラス、サファイヤ、およびプラスチック等を矩形に切り出した基板)
40A 下部配線
(横方向;青色マイクロLED用で金属配線、または透明導電性配線)
40B 下部配線
(横方向;緑色マイクロLED用で金属配線、または透明導電性配線)
40C 下部配線
(横方向;赤色マイクロLED用で金属配線、また透明導電性配線)
40a 上部配線
(縦方向;青色マイクロLED用透明導電性配線)
40b 上部配線
(縦方向;緑色マイクロLED用透明導電性配線)
40c 上部配線
(縦方向;赤色マイクロLED用透明導電性配線)
41 スルービアホール(導体充填)
50A 横方向駆動配線へのアライメント兼コンタクト用配線
(青色マイクロLED用で金属配線、または透明導電性配線)
50B 横方向駆動配線へのアライメント兼コンタクト用配線
(緑色マイクロLED用で金属配線、または透明導電性配線)
50C 横方向駆動配線へのアライメント兼コンタクト用配線
(赤色マイクロLED用で金属配線、または透明導電性配線)
50a 縦方向駆動配線へのアライメント兼コンタクト用配線
(青色マイクロLED用で金属配線、または透明導電性配線)
50b 縦方向駆動配線へのアライメント兼コンタクト用配線
(緑色マイクロLED用で金属配線、または透明導電性配線)
50c 縦方向駆動配線へのコンタクト用配線
(赤色マイクロLED用で金属配線、または透明導電性配線)
51 下部配線コンタクト領域
(青色マイクロLED用で金属配線、または透明導電性配線)
52 下部配線コンタクト領域
(緑色マイクロLED用で金属配線、または透明導電性配線)
53 下部配線コンタクト領域
(赤色マイクロLED用で金属配線、または透明導電性配線)
60 レジスト(または有機物、または絶縁層)
61 絶縁層(SOG)
70 発光素子搭載配線用基板(発光素子ブロック搭載済み配線用基板)
80 表示用基板
(石英ガラス、ガラス、プラスチック基板、Si、およびサファイヤ等)
81 横方向駆動回路構成領域
82 縦方向駆動回路構成領域
90A 駆動用下部配線
(横方向;赤色マイクロLED用で金属配線、または透明導電性配線)
90B 駆動用下部配線
(横方向;緑色マイクロLED用で金属配線、または透明導電性配線)
90C 駆動用下部配線
(横方向;青色マイクロLED用で金属配線、または透明導電性配線)
90a 駆動用アライメント兼上部配線
(縦方向;赤色マイクロLED用で金属配線、または透明導電性配線)
90b 駆動用アライメント兼上部配線
(縦方向;緑色マイクロLED用で金属配線、または透明導電性配線)
90c 駆動用アライメント兼上部配線
(縦方向;青色マイクロLED用で金属配線、または透明導電性配線)
100 表示装置