(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024010483
(43)【公開日】2024-01-24
(54)【発明の名称】搬送装置
(51)【国際特許分類】
B61B 13/06 20060101AFI20240117BHJP
B65G 49/07 20060101ALI20240117BHJP
【FI】
B61B13/06 D
B65G49/07 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022111852
(22)【出願日】2022-07-12
(71)【出願人】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】藤原 遥介
(72)【発明者】
【氏名】池戸 賢吾
(72)【発明者】
【氏名】山田 慶太
(72)【発明者】
【氏名】矢島 翼
(72)【発明者】
【氏名】萬井 優太
(72)【発明者】
【氏名】戸羽 浩嘉
(72)【発明者】
【氏名】城石 景祐
(72)【発明者】
【氏名】橋口 健信
(72)【発明者】
【氏名】角間 政志
(72)【発明者】
【氏名】坂本 純一
(72)【発明者】
【氏名】鯰江 一也
(72)【発明者】
【氏名】豊島 直哉
(72)【発明者】
【氏名】速水 和弘
(72)【発明者】
【氏名】田村 健二
(57)【要約】
【課題】搬送装置を小型化する。
【解決手段】搬送装置(10)は、軌道(101)に沿って走行する台車(1)と、台車(1)に昇降可能に懸下された移載機構(4)と、を備える。移載機構(4)は、移載機構(4)に配された回転中心の周りを公転する複数のチャック(41)を有している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軌道に沿って走行する台車と、
前記台車に昇降可能に懸下された移載部と、を備え、
前記移載部は、前記移載部に配された回転中心の周りを公転する複数の把持部を有している、搬送装置。
【請求項2】
前記移載部は、前記把持部がそれぞれ接続された複数の端部を有するアーム部と、前記アーム部を支持し、かつ前記回転中心を構成する支持軸が設けられた支持部と、を有する、請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記移載部の複数の前記把持部のうち、1つの前記把持部のみが搬送対象物を把持した状態で、前記台車が走行をするように制御する制御部をさらに備える、請求項1に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記把持部が前記搬送対象物を上側で保持した状態で、前記台車が走行するように制御する、請求項3に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記支持軸は、前記台車が走行する走行方向と水平面で直交する方向に向けて配されている、請求項2に記載の搬送装置。
【請求項6】
前記支持軸は、前記台車が走行する走行方向に向けて配されている、請求項2に記載の搬送装置。
【請求項7】
前記移載部を水平移動させる水平移動機構をさらに備える、請求項1から6のいずれか1項に記載の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
OHT(Over Head Hoist Transport)、OHS(Over Head Shuttle)などの搬送装置は、軌道上を走行する台車によって被搬送物を所定の場所に搬送する装置として半導体製造、液晶製造などの分野において好適に用いられている。例えば、特許文献1には、ウェハを格納する2つのキャリアを把持する2式のフィンガ機構を備え、キャリアの積込みおよび積下ろしを個別に行なうことができるOHT搬送台車が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のOHT搬送台車は、2つのキャリアが水平方向に並ぶように配されているので大型化し、特に搬送方向のスペースを大きく占有する。このため、複数のOHT搬送台車を搬送方向に近接して配置できる台数が少なくなる。それゆえ、搬送効率が低下するという問題があり、搬送装置の小型化が求められていた。
【0005】
本発明の一態様は、搬送装置を小型化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る搬送装置は、軌道に沿って走行する台車と、前記台車に昇降可能に懸下された移載部と、を備え、前記移載部は、前記移載部に配された回転中心の周りを公転する複数の把持部を有している。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、搬送装置を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係る搬送装置を含む移載システムの構成を示す正面図である。
【
図2】上記移載システムの構成を示す側面図である。
【
図3】上記移載システムの天井側から見た構成を示す上面図である。
【
図4】移載時に移載機構が下降している状態の上記搬送装置を示す正面図である。
【
図5】移載時に移載機構が下降している状態の上記搬送装置を示す側面図である。
【
図6】移載時に移載機構が回転している状態の上記搬送装置を示す正面図である。
【
図7】移載機構が水平移動機構により搬送方向に直交する方向に移動した位置で移載を行う状態の上記搬送装置を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔移載システムの構成〕
本発明の実施形態に係る搬送装置が用いられる移載システムについて、
図1~
図3を参照して説明する。
図1は、移載システムの構成を示す側面図である。
図2は、移載システムの構成を示す側面図である。
図3は、移載システムの天井100側から見た構成を示す上面図である。
【0010】
図1~
図3に示すように、移載システムは、天井100に吊り下げられるように設けられている。移載システムは、搬送装置10と、軌道101と、吊下金具102とを備えている。
【0011】
軌道101は、搬送装置10の移動経路に配置されており、複数の吊下金具102によって天井100に吊り下げられるように支持されている。軌道101は、上面部101aと、一対の側部101bと、一対の下面部101cとを有している。上面部101aは、吊下金具102に取り付けられる部分であり、天井100に対向するように配置されている。側部101bは、上面部101aの両側端縁から垂下するように設けられた側壁の部分である。下面部101cは、側部101bの下端縁から側部101bの内壁面側に伸びるように短く形成されており、台車1に設けられた後述する車輪13が転動する軌道面を形成している。
【0012】
搬送装置10は、軌道101に懸下された状態で軌道101に沿って搬送方向(X1方向またはX1方向とは逆のX2方向)に走行することにより、容器200(搬送対象物)を搬送先に搬送する。容器200は、収容部200aを有しており、収容部200a内に、例えば、半導体製造に用いられるウェハ、レチクルなどの物品を収容する。収容部200aの上端面には、フランジ部200bが設けられている。
【0013】
〔搬送装置の構成〕
搬送装置10は、台車1と、昇降機構2と、水平移動機構3と、移載機構4(移載部)と、制御部5とを有している。
【0014】
台車1は、軌道101に沿って走行する走行機構である。台車1は、フレーム11と、駆動部12と、車輪13と、支持部材14とを有している。
【0015】
フレーム11は、台車1の走行時に、昇降機構2、水平移動機構3および移載機構4を収納する構造体である。フレーム11は、上部11aと、一対の垂下部11bとを有している。上部11aは、水平方向に配置された板状の部分である。垂下部11bは、上部11aの搬送方向に対向する辺側の端縁から垂下するように設けられた板状の部分である。一対の垂下部11bは、平行に対向するように配置されている。フレーム11は、容器200の昇降と、搬送方向と水平面で直交する直交方向(Y1方向またはY1方向とは逆のY2方向)への移載機構4の移動とが可能となるように、下部および側部が開放されている。
【0016】
駆動部12は、車輪13を駆動する動力の発生源であり、モータなどにより構成されている。駆動部12は、駆動軸12aを有している。駆動軸12aは、車輪13側に突出するように設けられており、車輪13の車軸に直結されている。車輪13は、それぞれ対応する下面部101cの上端面上を転動する位置に配置されている。
【0017】
支持部材14は、フレーム11を駆動部12に吊り下げるように支持する部材である。支持部材14は、駆動部12の下端面とフレーム11における上部11aの上端面とを接続するように設けられている。
【0018】
昇降機構2は、移載機構4を昇降させる機構である。昇降機構2は、昇降装置2aと、複数の昇降ベルト2bとを有している。
【0019】
昇降装置2aは、モータの回転駆動力により、昇降ベルト2bを巻き上げ、または巻き下げる装置である。昇降装置2aは、昇降ベルト2bを巻き上げることにより移載機構4を上昇させ、昇降ベルト2bを巻き下げることにより移載機構4を下降させる。昇降ベルト2bは、例えば、昇降装置2aの四隅付近に1本ずつの、合計で4本設けられている。
【0020】
水平移動機構3は、昇降装置2aを直交方向に移動(水平移動)させる機構である。水平移動機構3については、後に詳しく説明する。
【0021】
移載機構4は、搬送先となる後述するポート301(
図4参照)に載置された容器200を台車1によって搬送するために取り上げるとともに、台車1によって搬送された容器200をポート301上に載置することにより容器200を移載する機構である。移載機構4は、昇降機構2によりフレーム11に昇降可能に懸下される。移載機構4は、支持体40(支持部)と、2つのチャック41(把持部)と、回転機構42とを有している。
【0022】
支持体40は、棒状の部材であり、支持体40の長手方向がX1方向およびX2方向に一致し、かつ同じ高さで一定の間隔をおいて互いに平行となるように配置されている。支持体40の両端の付近には、それぞれ1本の昇降ベルト2bの端部が固定されている。このようにして、支持体40は、2本の昇降ベルト2bによって昇降装置2aに懸下されている。
【0023】
支持体40には、後述するように、回転アーム42aを支持する支持軸42bが設けられている。支持体40の内部には、少なくとも一部に、後述する駆動装置42dを内蔵するための空洞が設けられている。
【0024】
チャック41は、容器200を保持する機構である。移載機構4に配された回転中心の周りを公転する。チャック41は、本体部41aと、一対の把持爪41bとを有している。本体部41aは、把持爪41bを支持するとともに、内部に把持爪41bをX1方向およびX2方向に開閉駆動する駆動機構が設けられている。一対の把持爪41bは、対向する先端部を有しており、当該先端部の間隔が最も狭くなる把持位置で、当該先端部により、容器200のフランジ部200bをフランジ部200bの下面側で支持する。一対の把持爪41bは、上記先端部の間隔が最も広くなる開放位置において、フランジ部200bの幅よりも広がる。
【0025】
回転機構42は、チャック41を直交方向の回転中心の周りを公転するように回転させる機構である。回転機構42は、一対の回転アーム42a(アーム部)と、一対の支持軸42bと、複数の支持ピン42cと、駆動装置42dとを有している。
【0026】
回転アーム42aは、細長い短冊状の板部材である。回転アーム42aは、チャック41がそれぞれ接続された2つの端部を有している。また、回転アーム42aは、チャック41の本体部41aに回転可能に支持されている。回転アーム42aは、回転機構42がフレーム11内に収容されている状態では、
図1に示すように、上下方向に向く位置で静止している。これにより、回転アーム42aに支持される2つのチャック41は、上下方向に並ぶように配される。
【0027】
支持軸42bは、回転アーム42aを回転駆動するように支持する軸であり、回転アーム42aの回転中心を構成する。支持軸42bは、Y1方向およびY2方向に伸びるように、直交方向、すなわち台車1が走行する走行方向(搬送方向と同じ方向)と水平面で直交する方向に向けて配されている。支持軸42bは、その一端部で回転アーム42aの中央部に固定されている。また、支持軸42bは、支持体40の内部を貫通しており、支持軸42bの他端が支持体40の側面に露出している。
【0028】
支持ピン42cは、チャック41の本体部41aを回転アーム42aに回転可能に支持させるピンである。支持ピン42cは、Y1方向およびY2方向に伸びるように配されており、軸部と、軸部の直径より大きい直径を有する頭部とを有している。支持ピン42cの軸部は、回転アーム42aの端部に設けられた孔を貫通しており、先端から中央部にわたる部分が、本体部41aの側面における中央部から内部に埋め込まれて固定されている。支持ピン42cの頭部は、回転アーム42aが支持ピン42cから抜け出ないように回転アーム42aを保持する。
【0029】
駆動装置42dは、上述したように支持体40に内蔵されており、支持軸42bを回転駆動する。2つの支持体40にそれぞれ設けられた駆動装置42dは、同じ回転方向および同じ回転速度で動作するように制御される。
【0030】
回転アーム42aは、駆動装置42dの回転駆動力によって回転する支持軸42bを中心に回転する。また、回転アーム42aは、端部の孔が支持ピン42cの軸部の直径よりも大きい直径を有する。これにより、回転機構42は、支持ピン42cを回転中心として自由回転するようにチャック41を回転アーム42aに支持している。それゆえ、チャック41は、容器200を把持した状態で容器200の重量が付加されることにより重心が下方に移るため、非回転状態および回転状態において、搬送方向に対して容器200を常に水平の姿勢に保つ。
【0031】
なお、支持軸42bにロータリーダンパが組み込まれてもよい。これにより、チャック41の回転開始時および回転停止時に、チャック41の質点に作用する慣性力による振動をダンピングし、容器200への振動の影響を軽減することができる。
【0032】
また、支持軸42bの回転駆動力を、傘歯車構造を介して移載機構4の支持体40に伝達することにより、移載機構4が常に下向きになるようにしてもよい。具体的には、傘歯歯車構造は、図示はしないが、第1傘歯歯車と、一対の第2傘歯歯車と、両端に傘歯歯車を有する一対の歯車軸とを有する。
【0033】
第1傘歯歯車は、支持軸42bと同じ中心軸を有するように設けられており、回転しないように支持軸42bと分離した状態で回転アーム42aの例えば内側に固定されている。第2傘歯歯車は、支持ピン42cと同じ中心軸を有するように設けられており、例えば、支持ピン42cの軸部の周囲に形成されている。このため、チャック41の本体部41aと回転アーム42aの内側との間には、第2傘歯歯車が配置される空間が設けられている。また、一対の歯車軸は、それぞれ、歯車軸の軸中心の周りに回転可能となるように回転アーム42aの内側に支持されている。歯車軸の一端側(支持軸42b側)に設けられた傘歯歯車は第1傘歯歯車に噛み合い、歯車軸の他端側(チャック41側)に設けられた傘歯歯車は第2傘歯歯車に噛み合っている。
【0034】
このように構成される傘歯歯車構造は、回転アーム42aが回転すると、歯車軸の一端側の傘歯歯車が第1傘歯歯車と噛み合いながら回転することにより、歯車軸が軸中心の周りに回転する。これにより、歯車軸の回転駆動力が他端側の傘歯歯車に噛み合う第2傘歯歯車に伝達される。それゆえ、第2傘歯歯車は、第1傘歯歯車とは逆方向に、回転アーム42aが回転した角度と同じ角度で回転する。したがって、移載機構4は、回転アーム42aの回転とは逆方向に、回転アーム42aが回転する角度と同じ角度回転する。よって、移載機構4は、回転アーム42aが回転しても、常に下向きに姿勢が維持される。
【0035】
制御部5は、移載システムの全体を管理する図示しない制御装置と連携して、昇降機構2、水平移動機構3、移載機構4および駆動部12の動作を制御する。具体的には、制御部5は、台車1を走行させるときには、駆動部12を動作するように制御する。また、制御部5は、容器200を移載するときには、昇降機構2の動作を制御し、必要に応じて水平移動機構3の動作を制御するとともに、移載機構4におけるチャック41および駆動装置42dの動作を制御する。
【0036】
〔搬送装置の動作〕
上記のように構成される搬送装置10の移載動作について説明する。
図4は、移載時に移載機構4が下降している状態の搬送装置10を示す正面図である。
図5は、移載時に移載機構4が下降している状態の搬送装置10を示す側面図である。
図6は、移載時に移載機構4が回転している状態の搬送装置10を示す正面図である。
【0037】
図1および
図2に示すように、搬送装置10は、搬送状態では移載機構4をフレーム11内に収容している。移載機構4において、上側に配されたチャック41が容器200を把持しており、下側に配されたチャック41が容器200を把持していない。上側のチャック41に把持された容器200には、装置300による処理が行われていない物品が収容されている。
【0038】
図4および
図5に示すように、搬送装置10は、容器200の移載位置の上方に到達すると走行を停止し、昇降機構2により移載機構4を下降させる。この状態では、移載機構4において、2つのチャック41が上下方向に並んだ状態に配されている。
【0039】
移載機構4が移載位置まで下降すると、昇降機構2が下降動作を停止し、下側のチャック41がポート301上に載置された容器200を把持する。この容器200には、装置300による処理が行われた物品が収容されている。
図6に示すように、移載機構4は、回転機構42の回転アーム42aを回転させることにより、上下のチャック41の位置を入れ替える。そして、移載機構4は、上側のチャック41が下側に移動すると、チャック41の把持を解除させて、このチャック41が把持していた容器200をポート301上に載置する。
【0040】
このようにして、容器200の移載が完了すると、昇降機構2は移載機構4を
図1および
図2に示す収容位置まで上昇させる。
【0041】
〔搬送装置の変形例〕
上述したように、回転機構42は、直交方向に向いた回転中心の周りを公転するようにチャック41を回転駆動するが、搬送方向に向いた回転中心の周りを公転するようにチャック41を回転駆動してもよい。以下にこのような構成について説明する。
図7は、移載機構4が水平移動機構3により直交方向に移動した位置で移載を行う状態の搬送装置10を示す側面図である。
【0042】
図7に示すように、水平移動機構3は、支持機構3aと、可動機構3bとを有している。
【0043】
支持機構3aは、フレーム11の上部11aにおける下面に固定されている。支持機構3aは、下面に図示しないスライドレールを有している。スライドレールは、スライドレールの長手方向がY1方向およびY2方向に向くように直線状に形成されている。また、スライドレールは、支持機構3aの下面に対してY1方向またはY2方向に進退移動可能となるように設けられている。
【0044】
可動機構3bは、スライドレールの下端面に配されており、スライドレールとともにY1方向またはY2方向に進退移動する。可動機構3bは、モータ、プーリ、ベルトなどを含む、回転運動を直線運動に変換する機構を有しており、Y1方向またはY2方向への当該直線運動による力をスライドレールに対して作用させる。なお、支持機構3aおよび可動機構3bは、上記の構成に限定されず、水平移動に関する各種の構成を採用することができる。
【0045】
また、移載機構4において、支持軸42bは、搬送方向、すなわち台車1が走行する走行方向に向くように配されている。
【0046】
軌道101の下方には、ポート301が配されている。また、装置300は、ポート301のY2方向側にポート301と隣接するように配されている。
【0047】
上記のように構成される搬送装置10が、ポート301上に載置された容器200を回収し、把持している容器200をポート301上に載置する場合、まず、昇降機構2が移載機構4を下降させる。移載機構4の下側のチャック41がポート301上に載置された容器200を把持すると、水平移動機構3の可動機構3bがY1方向に
図7に示す位置まで移動する。
【0048】
次に、移載機構4は、下側のチャック41が容器200を把持した状態で回転すると、破線で示すような最大の回転範囲で回転する。この回転範囲は、装置300から離れている。これにより、移載機構4は、装置300に干渉することなく回転することができる。それゆえ、上下のチャック41を支障なく入れ替えることができる。そして、水平移動機構3の可動機構3bがY2方向に移動することにより元の位置に戻ると、昇降機構2が移載機構4を上昇させる。
【0049】
〔搬送装置の他の変形例〕
搬送装置10において、フレーム11は、移載機構4を収容している状態で移載機構4が回転可能となるように、搬送方向の幅を拡縮する拡縮機構を有していてもよい。拡縮機構は、例えば、水平移動機構3のような機構や他の公知の水平移動機構により、上部11aにおいて中央部分から分離された両端部を、それぞれ拡張方向(X1方向およびX2方向)に移動させる一方、縮小方向(拡張時の逆方向)に移動させる。
【0050】
図1に示すように移載機構4が搬送方向に沿って回転する場合、複数のポート301が搬送方向に沿って近接して配置されていれば、移載機構4が目的のポート301上まで下降した位置で回転すると、隣のポート301における移載動作に影響を及ぼす。このような不都合を回避するため、フレーム11の幅を拡張することにより、移載機構4がフレーム11内に収容された状態で回転することができる。これにより、搬送方向における所定範囲あたりに存在できる搬送装置10の数を増やすことができる。
【0051】
〔搬送装置の効果〕
以上のように、本発明の態様1に係る搬送装置10は、軌道101に沿って走行する台車1と、台車1に昇降可能に懸下された移載機構4とを備えている。移載機構4は、移載機構4に配された回転中心の周りを公転する2つのチャック41を有している。本実施形態では、移載機構4が2つのチャック41を有する構成について説明したが、複数であれば、移載機構4が3つ以上のチャック41を有していてもよい。
【0052】
上記構成によれば、チャック41が回転することでチャック41の位置を入れ替えることができる。これにより、チャック41を上下に配することができる。したがって、搬送装置10の台車1が走行する方向への小型化が可能になる。よって、複数の搬送装置10を搬送方向に近接して配置できる台数が従来の装置に比べて多くすることができる。
【0053】
本発明の態様2に係る搬送装置10は、上記態様1において、移載機構4が、チャック41がそれぞれ接続された複数の端部を有する回転アーム42aと、回転アーム42aを支持し、かつ回転中心を構成する支持軸42bが設けられた支持体40とを有する。
【0054】
上記構成によれば、回転アーム42aによりチャック41間で所望の間隔を確保することができる。これにより、チャック41が所定の大きさの容器200を把持した状態で回転アーム42aが支持軸42bの周りに回転しても、容器200の回転が妨げられることはない。
【0055】
本発明の態様3に係る搬送装置10は、上記態様1または2において、制御部5が、移載機構4の複数のチャック41のうち、1つのチャック41のみが容器200を把持した状態で、前記台車が走行をするように制御する。
【0056】
上記構成によれば、1つのチャック41が容器200を搬送する一方、容器200を把持していないチャック41が搬送すべき容器200を把持することができる。これにより、容器200の搬送先への搬送とともに、搬送先での他の容器200の取り上げとを行うことができる。
【0057】
本発明の態様4に係る搬送装置10は、上記態様3において、制御部5が、チャック41が容器200を上側で保持した状態で、台車1が走行するように制御する。
【0058】
上記構成によれば、容器200を把持していないチャック41を下側に配することができる。これにより、所定の場所において、下側のチャック41が搬送すべき容器200を把持した後に移載機構4が回転すると、上側のチャック41は、下側に下降して、把持している容器200を降ろすことができる。したがって、容器200の上げ下ろしを効率的に行うことができる。また、下側のチャック41が容器200を把持しないことにより、容器200を搬送している状態の搬送装置10を上下方向に小型化することができる。
【0059】
本発明の態様5に係る搬送装置10は、上記態様1から4のいずれかにおいて、支持軸42bが、台車1の走行方向と水平面で直交する方向に向けて配されている。これにより、チャック41を搬送方向に沿って回転させることができる。それゆえ、軌道101の周辺に障害物が存在する場合に、障害物と干渉することなく容器200を把持したチャック41を回転させることができる。
【0060】
本発明の態様6に係る搬送装置10は、上記態様1から4のいずれかにおいて、支持軸42bが、台車1の走行方向に向けて配されている。これにより、チャック41を搬送方向に交差するように回転させることができる。それゆえ、軌道101の周辺に障害物が存在する場合に、障害物と干渉することなく容器200を把持したチャック41を回転させることができる。
【0061】
本発明の態様7に係る搬送装置10は、上記態様1から6のいずれかにおいて、移載機構4を水平移動させる水平移動機構3を備えている。これにより、チャック41を回転させる領域に何らかの障害物が存在する場合、水平移動機構3により移動した位置で移載機構4を回転させることで、障害物と干渉することなく容器200を把持したチャック41を回転させることができる。
【0062】
〔ソフトウェアによる実現例〕
搬送装置10(以下、「装置」と呼ぶ)の制御機能は、当該装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、当該装置の各制御ブロック(特に制御部5の各機能)としてコンピュータを機能させるためのプログラムにより実現できる。
【0063】
この場合、上記装置は、上記プログラムを実行するためのハードウェアとして、少なくとも1つの制御装置(例えばプロセッサ)と少なくとも1つの記憶装置(例えばメモリ)を有するコンピュータを備えている。この制御装置と記憶装置により上記プログラムを実行することにより、上記各実施形態で説明した各機能が実現される。
【0064】
上記プログラムは、一時的ではなく、コンピュータ読み取り可能な、1または複数の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体は、上記装置が備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、上記プログラムは、有線または無線の任意の伝送媒体を介して上記装置に供給されてもよい。
【0065】
また、上記各制御ブロックの機能の一部または全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、上記各制御ブロックとして機能する論理回路が形成された集積回路も本発明の範疇に含まれる。
【0066】
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。また、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0067】
1 台車
2 昇降機構
3 水平移動機構
4 移載機構(移載部)
5 制御部
10 搬送装置
40 支持体(支持部)
41 チャック(把持部)
42a 回転アーム(アーム部)
42b 支持軸
101 軌道
200 容器(搬送対象物)