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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104834
(43)【公開日】2024-08-06
(54)【発明の名称】動力噴霧機及びホースガイド
(51)【国際特許分類】
   A01M 7/00 20060101AFI20240730BHJP
【FI】
A01M7/00 J
A01M7/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023009218
(22)【出願日】2023-01-25
(71)【出願人】
【識別番号】000141174
【氏名又は名称】株式会社丸山製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140682
【弁理士】
【氏名又は名称】妙摩 貞茂
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 俊英
【テーマコード(参考)】
2B121
【Fターム(参考)】
2B121CB02
2B121CB23
2B121CB28
2B121CB51
2B121CB55
2B121CB69
2B121FA02
(57)【要約】
【課題】ホースガイドに対してホースが長手方向にずれることを抑制できる背負式動力噴霧機を提供する。
【解決手段】背負式動力噴霧機は、吐出ホース20をホースガイド100に係止する帯状部材80を備える。ホースガイド100は、周壁121を貫通する一対の貫通孔122を有する。一対の貫通孔122は、筒状をなす周壁121の軸方向の所定位置において周方向に互いに離間して形成されている。吐出ホース20は、一対の貫通孔122に挿通された帯状部材80によって周壁121に係止されている。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬液を貯留する薬液タンク(30)と、
前記薬液タンク(30)が搭載される箱状の架台(40)と、
前記架台(40)の内外を連通するように前記架台(40)に設けられた筒状の周壁(121)を有するホースガイド(100)と、
前記ホースガイド(100)に挿通されるホース(20)と、
前記ホース(20)を前記ホースガイド(100)に係止する帯状部材(80)と、を備え、
前記ホースガイド(100)は、前記周壁(121)を貫通する一対の貫通孔(122)を有し、
前記一対の貫通孔(122)は、筒状をなす前記周壁(121)の軸方向の所定位置において周方向に互いに離間して形成されており、
前記ホース(20)は、前記一対の貫通孔(122)に挿通された前記帯状部材(80)によって前記周壁(121)に係止されている、動力噴霧機。
【請求項2】
前記一対の貫通孔(122)は、前記ホースガイド(100)の軸方向から見たときに、前記ホースガイド(100)の中心を基準として中心角が180°の範囲内に収まるように形成されており、
前記ホースガイド(100)の前記周壁(121)は、前記一対の貫通孔(122)同士の間の領域に対向する位置に、前記貫通孔(122)よりも前記周方向に長くなるように形成された長孔(125)を有する、請求項1に記載の動力噴霧機。
【請求項3】
前記ホースガイド(100)の軸方向からみたときに、前記一対の貫通孔(122)の中点と前記ホースガイド(100)の中心とを結ぶ線に直交する方向において、前記長孔(125)の幅は、前記一対の貫通孔(122)が形成される幅よりも小さい、請求項2に記載の動力噴霧機。
【請求項4】
前記ホースガイド(100)は、前記架台(40)に対して固定するための締結部(151)を有しており、
前記締結部(151)は、前記ホースガイド(100)の軸方向において、前記一対の貫通孔(122)と少なくとも一部が重複するように位置に設けられている、請求項1に記載の動力噴霧機。
【請求項5】
前記周壁(121)は、少なくとも軸方向の一端において、軸心に向かって突出する段部(121a1)を有し、
前記ホース(20)は、前記帯状部材(80)によって前記周壁(121)に係止されている状態において、前記段部(121a1)に当接している、請求項1~4のいずれか一項に記載の動力噴霧機。
【請求項6】
薬液タンク(30)が搭載される箱状の架台(40)の内外を連通するように前記架台(40)に取付けられるホースガイドであって、
ホース(20)が挿通される筒状の周壁(121)と、
前記周壁(121)を貫通する一対の貫通孔(122)と、を有し、
前記一対の貫通孔(122)は、筒状をなす前記周壁(121)の軸方向の所定位置において周方向に互いに離間して形成されており、
前記ホース(20)は、前記一対の貫通孔(122)に挿通された帯状部材(80)によって前記周壁(121)に係止される、ホースガイド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、動力噴霧機及びホースガイドに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、背負式動力噴霧機を開示する。この噴霧機は、薬液タンクと、薬液タンクに接続されたポンプと、ポンプに接続されたホースとを有している。このホースは、薬液タンクが搭載される架台に設けられたホースガイドを通じて外部に導出されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-54224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような背負式動力噴霧機では、ホースに対して架台内側に向かって押し込むように外力が加わった場合、及び、ホースに対して架台から引き抜くように外力が加わった場合に、ホースガイドに対するホースの長手方向の位置にずれが生じることが考えられる。この場合、ポンプとホースとの接続部分に負荷がかかり、接続部分が損傷する虞がある。
【0005】
本開示は、ホースガイドに対してホースが長手方向にずれることを抑制できる動力噴霧機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一例の動力噴霧機は、薬液を貯留する薬液タンク(30)と、薬液タンク(30)が搭載される箱状の架台(40)と、架台(40)の内外を連通するように架台(40)に設けられた筒状の周壁(121)を有するホースガイド(100)と、ホースガイド(100)に挿通されるホース(20)と、ホース(20)をホースガイド(100)に係止する帯状部材(80)と、を備える。ホースガイド(100)は、周壁(121)を貫通する一対の貫通孔(122)を有する。一対の貫通孔(122)は、筒状をなす周壁(121)の軸方向の所定位置において周方向に互いに離間して形成されている。ホース(20)は、一対の貫通孔(122)に挿通された帯状部材(80)によって周壁(121)に係止されている。
【0007】
上記の動力噴霧機では、ホースガイド(100)を構成する筒状の周壁(121)にホース(20)が挿通されているため、軸方向を中心とするホース(20)の全方位の動きをホースガイド(100)によって保護することができる。そして、ホースガイド(100)に形成された一対の貫通孔(122)に挿通された帯状部材(80)によって、ホースガイド(100)の周壁(121)に対してホース(20)が係止される。これにより、ホース(20)に対して軸方向(長手方向)に外力が加わった場合にもホースガイド(100)に対してホース(20)の長手方向の位置がずれることが抑制される。
【0008】
一例の一対の貫通孔(122)は、ホースガイド(100)の軸方向から見たときに、ホースガイド(100)の中心を基準として中心角が180°の範囲内に収まるように形成されており、ホースガイド(100)の周壁(121)は、一対の貫通孔(122)同士の間の領域に対向する位置に、貫通孔(122)よりも周方向に長くなるように形成された長孔(125)を有し得る。この構成により、一方の貫通孔(122)に周壁(121)の外側から内側に挿通された帯状部材(80)は、長孔(125)を介して周壁(121)の外側に飛び出し得る。長孔(125)から飛び出した帯状部材(80)は、作業者等によって向きを変えられ、再び長孔(125)を通されて、他方の貫通孔(122)を周壁(121)の内側から外側に挿通される。このように、長孔(125)が設けられていることにより、一対の貫通孔(122)に帯状部材(80)を容易に挿通させることができる。
【0009】
一例において、ホースガイド(100)の軸方向からみたときに、一対の貫通孔(122)の中点とホースガイド(100)の中心とを結ぶ線に直交する方向において、長孔(125)の幅は、一対の貫通孔(122)が形成される幅よりも小さくてもよい。この構成によれば、帯状部材(80)によってホース(20)を係止する際に、帯状部材(80)をスムースに締結することができる。
【0010】
一例のホースガイド(100)は、架台(40)に対して固定するための締結部(151)を有し得る。締結部(151)は、ホースガイド(100)の軸方向において、一対の貫通孔(122)と少なくとも一部が重複するように位置に設けられていてよい。この構成では、周壁(121)とホース(20)との固定位置と締結部(151)との位置が比較的近く設けられている。そのため、ホース(20)からホースガイド(100)に伝わる力によって締結部(151)が損傷することが抑制される。
【0011】
周壁(121)は、少なくとも軸方向の一端において、軸心に向かって突出する段部(121a1)を有し得る。ホース(20)は、帯状部材(80)によって周壁(121)に係止されている状態において、段部(121a1)に当接していてよい。この構成では、段部(121a1)によって湾曲したホース(20)が段部(121a1)に当接することにより、ホース(20)と周壁(121)とが強固に係止され得る。
【0012】
一例において、薬液タンク(30)が搭載される箱状の架台(40)の内外を連通するように架台(40)に取付けられるホースガイドが提供される。ホースガイドは、ホース(20)が挿通される筒状の周壁(121)と、周壁(121)を貫通する一対の貫通孔(122)と、を有する。一対の貫通孔(122)は、筒状をなす周壁(121)の軸方向の所定位置において周方向に互いに離間して形成されている。ホース(20)は、一対の貫通孔(122)に挿通された帯状部材(80)によって周壁(121)に係止される。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、ホースガイドに対してホースが長手方向にずれることを抑制できる動力噴霧機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】一例の背負式動力噴霧機を後側から見た斜視図である。
図2】一例の背負式動力噴霧機を構成する架台の内側を示す斜視図である。
図3】架台及びホースガイドの一例を示す分解斜視図である。
図4】一例のホースガイドを示す平面図である。
図5】一例のホースガイドを示す側面図である。
図6図5のVI-VI線に沿った断面図である。
図7】一例のホースガイドにホースを係止する手順を説明する断面図である。
図8】一例のホースガイドにホースが係止された状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、ホースガイドを有する動力噴霧機の一例である背負式動力噴霧機について、図面を参照しながら説明する。図面には、参照用としてXYZ直交座標系が示されている場合がある。以下の説明において、特に説明がない限り、上下、前後、および左右の用語は、装置を背負った作業者を基準とした方向を表す。すなわち、装置のうち、作業者の背中に対面する面は、前面ということになる。なお、上下方向はZ方向に沿っており、前後方向はX方向に沿っており、左右方向はY方向に沿っている。
【0016】
図1に示すように、背負式動力噴霧機1は、作業者により背負われる作業機本体10を有するとともに、作業機本体10からの薬液を作業者の手元まで伝送しその先端の噴霧ノズル25aから噴霧させるための吐出配管となる吐出ホース20を具備する。なお、図面では、作業者が作業機本体10を背負うための背負バンドは取り外されている。
【0017】
作業機本体10は、薬液タンク30と、架台40と、ホースガイド100と、を含む。薬液タンク30は、薬液を貯留する容器である。一例の薬液タンク30は、上部に注液口31aを有するタンク本体31と、注液口31aに取付けられる蓋体35とを含む。薬液タンク30に貯留された薬液は、吐出ホース20に排出され得る。
【0018】
架台40は、作業機本体10の下部を構成しており、薬液タンク30を下側から支持する。すなわち、薬液タンク30は、架台40の上部に搭載されている。例えば架台40は、箱状を呈している。すなわち、架台40は、単体又は他の構成部材(一例として薬液タンク)とともに、所定の空間を画成する。一例の架台40は、底面を含む第1ブラケット41と、側面を含む第2ブラケット51とを有している。第1ブラケット41と第2ブラケット51とは互いに嵌合することにより、上部が開口した箱状の架台40を構成する。
【0019】
図2は、架台40の内側を示す斜視図である。架台40は、その内側空間内に、電動ポンプ43、バッテリ44等を収容している。電動ポンプ43は、バッテリ44によって駆動される。電動ポンプ43の給水口は薬液タンク30に接続され、電動ポンプ43の吐出口は吐出ホース20に接続されている。電動ポンプ43は、薬液タンク30から供給される薬液を吐出ホース20に排出する。吐出ホース20は、架台40の内外を連通するホースガイド100を介して架台40の外部に導出されている。吐出ホース20の先端には、薬液を噴霧するための噴霧装置25が設けられている。噴霧装置25の先端には噴霧ノズル25aが設けられている。
【0020】
図3は、架台40及びホースガイド100を示す分解斜視図である。図示例の架台40は、内外を連通する開口40aを有する。例えば、開口40aは、第1ブラケット41の下端縁に形成された半円状の切欠状部45と、第2ブラケット51の上端縁に形成された半円状の切欠状部55とが合わさって形成されている。ホースガイド100は、開口40aに配置されることにより、架台40の内外を連通する。第2ブラケット51は、ホースガイド100を固定するためのボルト孔が設けられた締結台56を有する。また、第2ブラケットは、ホースガイド100の位置決め等に利用される嵌合溝57a及び嵌合突起57bを有する。嵌合溝57aは、切欠状部55に隣接してX方向に沿っている。図示例では、3つの嵌合溝57aが互いに離間して配置されている。嵌合突起57bは、嵌合溝57aに隣接してX方向に沿って設けられている。図示例では、3つの嵌合突起57bが互いに離間して配置されている。また、第1ブラケット41は、切欠状部45の周辺において、内面から突出する位置決め突起47を有する。図示例の位置決め突起47は、X方向に互いに離間して設けられる一対の第1突起47aと、第1突起47aの外側に配置される第2突起47bとを有する。
【0021】
図4は、ホースガイド100をZ方向の上側から見た平面図である。図5は、ホースガイド100をX方向から見た側面図である。図6は、図5のVI-VI線に沿った断面図である。ホースガイド100は、第1周壁110と、第2周壁120と、第3周壁130と、可撓部140とを有している。第1周壁110、第2周壁120、第3周壁130及び可撓部140は、いずれも、少なくとも一部分が周方向に連続された環状を有しており、その内側に吐出ホース20が挿通される。
【0022】
第1周壁110は、ホースガイド100の軸方向の一端を構成している。図示例では、第1周壁110は、架台40の内側に配置される。一例の第1周壁110は、ホースガイド100の一端に向かって拡径する環状を呈している。第2周壁120は、第1周壁110に接続されて、第1周壁110からホースガイド100の他端に向かって延在している。図示例では、第2周壁120は、架台40の内側に配置される。第2周壁120の詳細は後述する。
【0023】
第3周壁130は、第2周壁120に接続されて、第2周壁120からホースガイド100の他端に向かって延在している。図示例では、第3周壁130は、架台40の開口40aに配置される。第3周壁130は、円筒状を呈する本体部131と、本体部131から突出する第1突起133を有する。第1突起133は、ホースガイド100の軸方向に交差(ここでは直交)する平面に沿って延在している。第1突起133は第1部分133a及び第2部分133bを有する。第1部分133aは、第1突起133の上下方向の中心よりも上半分を構成しおり、第2周壁120の外径と同じ幅を有する略矩形状板状を呈する。第2部分133bは、第1突起133の下半分を構成しており、第2周壁120の外径と同じ外径を有する円板状(円環状)を呈している。
【0024】
可撓部140は、第3周壁130に接続されて、ホースガイド100の軸方向の他端(第1周壁110と逆の端部)を構成している。可撓部140は、スリット141を有する筒状を呈しており、周方向のいずれに対しても湾曲し得る。一例において、スリット141は、軸方向の複数の位置にそれぞれ2つずつ設けられている。軸方向において隣り合う位置に設けられたスリット141の周方向の位置は互い違いになっている。可撓部140の端部は、端縁に向かって拡径している。
【0025】
以下、第2周壁120について、より詳細に説明する。第2周壁120は、吐出ホース20が挿通される筒状の周壁121と、周壁121を貫通する一対の貫通孔122とを有する。周壁121の第3周壁130との境界には、周壁121から突出する第2突起123が形成されている。第2突起123は、ホースガイド100の軸方向に交差(ここでは直交)する平面に沿って延在している。第2突起123は、第3周壁130に設けられた第1突起133の第1部分133aと同様の形状を有している。周壁121の内径は、第3周壁130の本体部131の内径よりも大きい。すなわち、周壁121の内周面121aと第3周壁130の本体部131の内周面131aとの間には段部121a1が形成されている(図6参照)。段部121a1は、周壁121の軸方向の一端において、軸心に向かって突出している。一例において、段部121a1は、第3周壁130の端縁であってよく、XZ平面に沿って延在する円環状の面であってよい。
【0026】
一対の貫通孔122は、筒状をなす周壁121の軸方向の所定位置において周方向に互いに離間して形成されている。一例において、一対の貫通孔122は、ホースガイド100の軸方向から見たときに、ホースガイド100の中心を基準として中心角が180°の範囲内に収まるように形成されていてよい。図示例では、第2周壁120の上下方向の上半分の領域内に一対の貫通孔122が設けられている。貫通孔122同士の距離は、特に限定されないが、一例として挿通される吐出ホース20の外径よりも大きくてよい。
【0027】
周壁121は、一対の貫通孔122同士の間の領域に対向する位置に、貫通孔122よりも周方向に長くなるように形成された長孔125を有する。例えば、貫通孔122の周方向の長さは、吐出ホース20を締結する帯状部材80の幅よりも僅かに大きく(例えば2倍以下)、長孔125の周方向の幅は、吐出ホース20の外径よりも大きい。図6に示すように、ホースガイド100の軸方向からみたときに、一対の貫通孔122同士の中点とホースガイド100の中心とを結ぶ線に直交する方向(図示例ではY方向になる)において、長孔125の幅L1は、一対の貫通孔122が形成される幅L2よりも小さい。なお、一対の貫通孔122が形成される幅L2は、Y方向における貫通孔122の外端同士の間の距離であってよい。また、長孔125の幅L1は、一対の貫通孔122の内縁同士の間の距離L3よりも大きい。
【0028】
ホースガイド100は、架台40に対して固定されるための締結部151を有している。締結部151は、ホースガイド100の軸方向(Y方向)において、一対の貫通孔122と少なくとも一部が重複するように位置に設けられている。図示例では、Y方向において、貫通孔122の中心位置と締結部151の中心位置とが一致している。締結部151は、第2周壁120の外周に一対設けられている。一対の締結部151は、Z方向における第2周壁120の中心位置から水平方向に突出するように、板状を呈している。締結部151の中央には、板厚方向に締結部151を貫通する孔151aが設けられている。締結部151は、孔151aに挿通されたボルト58(締結部材)によって、架台40に設けられた締結台56に締結される(図3参照)。
【0029】
なお、ホースガイド100が架台40に固定されている状態において、ホースガイド100の第1突起133の第2部分133bは、嵌合溝57aに嵌合されていてよい。第2部分133bと第2周壁120との間には、嵌合突起57bが嵌合されてもよい。第1突起133の第1部分133a及び第2突起123の上端は、第1ブラケット41の内面から突出した位置決め突起47の第1突起47aに当接していてよい。また、第1突起133の第1部分133a及び第2突起123の左右の端縁は、位置決め突起47の第2突起47bに当接していてよい。
【0030】
吐出ホース20は、一対の貫通孔122に挿通される帯状部材80によってホースガイド100(周壁121)に係止される。例えば、帯状部材80は、一方向に延在する帯部81と、帯部81の長さ方向に均等に形成された複数の係止爪81aと、帯部81の基端に形成され、帯部81の先端を挿通するための挿通孔83と、を有する(図8参照)。挿通孔83は、係止爪81aに係合されて、挿通された帯部81の引き抜きを規制する規制突起83aを有する。一例において、帯状部材80は、いわゆる結束バンドであってよい。
【0031】
吐出ホース20の締結方法の手順の一例について説明する。図7は、ホースガイド100に吐出ホース20を係止する手順を説明するための断面図である。図8は、ホースガイド100に吐出ホース20が係止された状態を示す断面図である。なお、図7では、帯状部材80が簡略化されて描かれている。一例の方法では、まず、第2周壁120の外側から一方の貫通孔122に帯状部材80の先端を挿通させる。続いて、長孔125を介して帯状部材80の先端を第2周壁120の外側に飛び出させる。続いて、帯状部材80を湾曲させて、長孔を介して帯状部材80の先端を第2周壁120の内側に再び挿通する。続いて、帯状部材80の先端を第2周壁120の内側から他方の貫通孔122に挿通する。この状態では、一対の貫通孔122を挿通された帯状部材80が第2周壁120の内側において略リング状を呈し得る。続いて、略リング状を呈する帯状部材80の内側に吐出ホース20が挿通されるように、ホースガイド100に吐出ホース20が挿通される(図7の状態)。続いて、帯状部材80の締結動作により、帯状部材80によって吐出ホース20が第2周壁120に係止される。この状態では、第3周壁130の内周面131aと段部121a1との境界121a2(段部121a1の内側のエッジ)に吐出ホース20の外面が当接している。
【0032】
以上説明のとおり、背負式動力噴霧機1は、薬液を貯留する薬液タンク30と、薬液タンク30が搭載される箱状の架台40と、架台40の内外を連通するように架台40に設けられた筒状の周壁121を有するホースガイド100と、ホースガイド100に挿通される吐出ホース20と、吐出ホース20をホースガイド100に係止する帯状部材80と、を備える。ホースガイド100は、周壁121を貫通する一対の貫通孔122を有する。一対の貫通孔122は、筒状をなす周壁121の軸方向の所定位置において周方向に互いに離間して形成されている。吐出ホース20は、一対の貫通孔122に挿通された帯状部材80によって周壁121に係止されている。
【0033】
上記の背負式動力噴霧機では、ホースガイド100を構成する筒状の周壁121に吐出ホース20が挿通されているため、軸方向を中心とする吐出ホース20の全方位の動きをホースガイド100によって保護することができる。そして、ホースガイド100に形成された一対の貫通孔122に挿通された帯状部材80によって、ホースガイド100の周壁121に対して吐出ホース20が係止される。これにより、吐出ホース20に対して軸方向長手方向に外力が加わった場合にもホースガイド100に対して吐出ホース20の長手方向の位置がずれることが抑制される。
【0034】
一例の一対の貫通孔122は、ホースガイド100の軸方向から見たときに、ホースガイド100の中心を基準として中心角が180°の範囲内に収まるように形成されており、ホースガイド100の周壁121は、一対の貫通孔122同士の間の領域に対向する位置に、貫通孔122よりも周方向に長くなるように形成された長孔125を有し得る。この構成により、一方の貫通孔122に周壁121の外側から内側に挿通された帯状部材80は、長孔125を介して周壁121の外側に飛び出し得る。長孔125から飛び出した帯状部材80は、作業者等によって向きを変えられ、再び長孔125を通されて、他方の貫通孔122を周壁121の内側から外側に挿通される。このように、長孔125が設けられていることにより、一対の貫通孔122に帯状部材80を容易に挿通させることができる。
【0035】
一例において、ホースガイド100の軸方向からみたときに、一対の貫通孔122の中点とホースガイド100の中心とを結ぶ線に直交する方向において、長孔125の幅は、一対の貫通孔122が形成される幅よりも小さくてもよい。この構成によれば、帯状部材80によって吐出ホース20を係止する際に、帯状部材80をスムースに締結することができる。
【0036】
一例のホースガイド100は、架台40に対して固定するための締結部151を有し得る。締結部151は、ホースガイド100の軸方向において、一対の貫通孔122と少なくとも一部が重複するように位置に設けられていてよい。この構成では、周壁121と吐出ホース20との固定位置と締結部151との位置が比較的近く設けられている。そのため、吐出ホース20からホースガイド100に伝わる力によって締結部151が損傷することが抑制される。
【0037】
一例の周壁121は、少なくとも軸方向の一端において、軸心に向かって突出する段部121a1を有し得る。吐出ホース20は、帯状部材80によって周壁121に係止されている状態において、段部121a1に当接していてよい。この構成では、段部121a1によって湾曲した吐出ホース20が段部121a1に当接することにより、吐出ホース20と周壁121とが強固に係止され得る。
【0038】
以上、実施形態について具体的に説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではない。
【0039】
例えば、円筒状を呈するホースガイド100を例示したが、ホースガイドは必ずしもホースの周方向の全域をガイドしていなくてもよい。例えば、ホースガイドは、ホースの軸方向から見てU字状のように、部分的にスリットが設けられていてもよい。この場合であっても、本開示と同様に一対の貫通孔122を設けることにより、ホースガイドにホースを係止させることができる。
【0040】
本開示の形態は、以下のように示され得る。
[1]
薬液を貯留する薬液タンク(30)と、
前記薬液タンク(30)が搭載される箱状の架台(40)と、
前記架台(40)の内外を連通するように前記架台(40)に設けられた筒状の周壁(121)を有するホースガイド(100)と、
前記ホースガイド(100)に挿通されるホース(20)と、
前記ホース(20)を前記ホースガイド(100)に係止する帯状部材(80)と、を備え、
前記ホースガイド(100)は、前記周壁(121)を貫通する一対の貫通孔(122)を有し、
前記一対の貫通孔(122)は、筒状をなす前記周壁(121)の軸方向の所定位置において周方向に互いに離間して形成されており、
前記ホース(20)は、前記一対の貫通孔(122)に挿通された前記帯状部材(80)によって前記周壁(121)に係止されている、動力噴霧機。
[2]
前記一対の貫通孔(122)は、前記ホースガイド(100)の軸方向から見たときに、前記ホースガイド(100)の中心を基準として中心角が180°の範囲内に収まるように形成されており、
前記ホースガイド(100)の前記周壁(121)は、前記一対の貫通孔(122)同士の間の領域に対向する位置に、前記貫通孔(122)よりも前記周方向に長くなるように形成された長孔(125)を有する、[1]に記載の動力噴霧機。
[3]
前記ホースガイド(100)の軸方向からみたときに、前記一対の貫通孔(122)の中点と前記ホースガイド(100)の中心とを結ぶ線に直交する方向において、前記長孔(125)の幅は、前記一対の貫通孔(122)が形成される幅よりも小さい、[2]に記載の動力噴霧機。
[4]
前記ホースガイド(100)は、前記架台(40)に対して固定するための締結部(151)を有しており、
前記締結部(151)は、前記ホースガイド(100)の軸方向において、前記一対の貫通孔(122)と少なくとも一部が重複するように位置に設けられている、[1]~[3]のいずれかに記載の動力噴霧機。
[5]
前記周壁(121)は、少なくとも軸方向の一端において、軸心に向かって突出する段部(121a1)を有し、
前記ホース(20)は、前記帯状部材(80)によって前記周壁(121)に係止されている状態において、前記段部(121a1)に当接している、[1]~[4]のいずれかに記載の動力噴霧機。
【符号の説明】
【0041】
1…背負式動力噴霧機(動力噴霧機)、20…吐出ホース(ホース)、30…薬液タンク、40…架台、80…帯状部材、100…ホースガイド、121…周壁、122…貫通孔、125…長孔、151…締結部。
図1
図2
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図8