(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104840
(43)【公開日】2024-08-06
(54)【発明の名称】自律走行型移動体及び自律走行型移動体の制御システム
(51)【国際特許分類】
G05D 1/43 20240101AFI20240730BHJP
A47L 9/28 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
G05D1/02 H
A47L9/28 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023009225
(22)【出願日】2023-01-25
(71)【出願人】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】円谷 優佑
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 則和
(72)【発明者】
【氏名】加藤 尚樹
【テーマコード(参考)】
3B057
5H301
【Fターム(参考)】
3B057DA00
5H301BB11
5H301CC03
5H301CC06
5H301GG08
5H301GG09
(57)【要約】
【課題】自己位置推定精度が低下した場合にも、走行効率の低下を抑制した自律走行型移動体を提供する。
【解決手段】本発明の自律走行型移動体100は、部屋内の物体を認識して環境情報を取得する認識部101と、走行を行う駆動部103と、認識部101で取得した前記環境情報に基づき駆動部103を制御する制御部102とを備える。制御部102は、予め取得した部屋の地図情報に基づき、部屋内を複数に分割したゾーンを生成し、分割されたゾーン内を第1走行ルート401に従って自律走行型移動体100が走行するように駆動部103を制御する。さらに制御部102は、認識部101が物体を検出できないゾーンE2を自律走行型移動体100が走行する場合には、第1走行ルート401と異なる第2走行ルート402で走行するように駆動部103を制御する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部屋内の物体を認識して環境情報を取得する認識部と、走行を行う駆動部と、前記認識部で取得した前記環境情報に基づき前記駆動部を制御する制御部とを備えた自律走行型移動体であって、
前記制御部は、予め取得した部屋の地図情報に基づき、部屋内を複数に分割したゾーンを生成し、分割されたゾーン内を第1走行ルートに従って前記自律走行型移動体が走行するように前記駆動部を制御し、
さらに前記制御部は、前記認識部が物体を検出できないゾーンを前記自律走行型移動体が走行する場合には、前記第1走行ルートと異なる第2走行ルートで走行するように前記駆動部を制御することを特徴とする自律走行型移動体。
【請求項2】
請求項1に記載の自律走行型移動体であって、
前記第1走行ルート及び前記第2走行ルートは、前記自律走行型移動体がゾーン内をジクザク走行するように設定したことを特徴とする自律走行型移動体。
【請求項3】
請求項1または2に記載の自律走行型移動体であって、
前記第2走行ルートは、前記認識部が物体を検出しないゾーンと隣り合う他のゾーンを跨ぐように設定したことを特徴とする自律走行型移動体。
【請求項4】
請求項1または2に記載の自律走行型移動体であって、
前記認識部が物体を検出しないゾーンは、隣り合う他のゾーンの一部と重なるように他のゾーンよりも大きく設定し、前記認識部が物体を検出しないゾーンに前記第2走行ルートを設定したことを特徴とする自律走行型移動体。
【請求項5】
請求項1または2に記載の自律走行型移動体であって、
前記制御部は、前記地図情報と前記環境情報に基づく自己位置推定精度が所定値より小さい場合に、前記自律走行型移動体を前記第2走行ルートで走行するように前記駆動部を制御することを特徴とする自律走行型移動体。
【請求項6】
複数の自律走行型移動体と、前記複数の自律走行型移動体を制御する制御装置とを備え、
前記複数の自律走行型移動体のそれぞれは、部屋内の物体を認識して環境情報を取得する認識部と、走行を行う駆動部と、前記認識部で取得した前記環境情報に基づき前記駆動部を制御する制御部とを備え、
前記制御装置は、前記複数の自律走行型移動体のそれぞれとの間で信号の送受信を行う通信部と、前記複数の自律走行型移動体を制御する統括制御部とを備えた自律走行型移動体の制御システムであって、
前記統括制御部は、予め取得した部屋の地図情報に基づき、部屋内を複数に分割したゾーンを生成し、分割されたゾーン内に走行ルートを設定して前記複数の自律走行型移動体が走行する走行ルートを割り振り、
さらに、前記統括制御部は、生成したゾーンに物体が含まれているか否かを判断し、生成したゾーンに物体が含まれていない場合には、前記走行ルートを変更した走行ルートを設定することを特徴とする自律走行型移動体の制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自律走行して掃除を行う自律走行型掃除機等の自律走行型移動体及び自律走行型移動体の制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
掃除領域を網羅的に掃除する自律走行型掃除機として、例えば特許文献1に開示された技術がある。特許文献1では、掃除機を走行駆動する駆動ユニットと、駆動ユニットを制御する制御ユニットと環境地図を取得する地図情報取得ユニットを備えている。制御ユニットは環境地図上の自己位置に基づいて、掃除機の走行ルートの間隔を変えるように駆動ユニットを制御している。例えば、掃除機が外壁から離れるに従い自己位置情報の精度が低下したときに走行ルート間の間隔を狭めるようにして、清掃領域を網羅するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自律走行型掃除機においては、掃除残しが無く、部屋全体を掃除することが望まれる。自律走行型掃除機は、測距センサ等を用いて周囲の環境情報を取得し、自己位置を推定している。そのため、広い部屋の中心部のような周囲に障害物が少ない箇所では自己位置推定精度が低下する。自己位置推定精度が低下すると自律走行型掃除機が設定したルートと実際に自律走行型掃除機が走行する軌跡に乖離が生じる場合がある。
【0005】
特許文献1では、自己位置情報の精度が低下したときに走行ルートの間隔を狭めるようにしているが、例えば広い部屋の中心部のような周囲に障害物が少ない箇所では自己位置推定精度の低下により、走行ルートの間隔を繰り返し狭めるようにして走行することになる。このため、特許文献1では、必要以上に走行時間を要し、自律走行型掃除機の充電容量が低下し、1回の走行で掃除できない箇所が発生する可能性がある。すなわち、特許文献1では、自己位置推定精度の低下時に走行効率が低下するという課題があった。
【0006】
本発明の目的は、自己位置推定精度が低下した場合にも、走行効率の低下を抑制した自律走行型移動体及び自律走行型移動体の制御システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために本発明は、部屋内の物体を認識して環境情報を取得する認識部と、走行を行う駆動部と、前記認識部で取得した前記環境情報に基づき前記駆動部を制御する制御部とを備えた自律走行型移動体であって、前記制御部は、予め取得した部屋の地図情報に基づき、部屋内を複数に分割したゾーンを生成し、分割されたゾーン内を第1走行ルートに従って前記自律走行型移動体が走行するように前記駆動部を制御し、さらに前記制御部は、前記認識部が物体を検出できないゾーンを前記自律走行型移動体が走行する場合には、前記第1走行ルートと異なる第2走行ルートで走行するように前記駆動部を制御することを特徴とする。
【0008】
また本発明は、複数の自律走行型移動体と、前記複数の自律走行型移動体を制御する制御装置とを備え、前記複数の自律走行型移動体のそれぞれは、部屋内の物体を認識して環境情報を取得する認識部と、走行を行う駆動部と、前記認識部で取得した前記環境情報に基づき前記駆動部を制御する制御部とを備え、前記制御装置は、前記複数の自律走行型移動体のそれぞれとの間で信号の送受信を行う通信部と、前記複数の自律走行型移動体を制御する統括制御部とを備えた自律走行型移動体の制御システムであって、前記統括制御部は、予め取得した部屋の地図情報に基づき、部屋内を複数に分割したゾーンを生成し、分割されたゾーン内に走行ルートを設定して前記複数の自律走行型移動体が走行する走行ルートを割り振り、さらに、前記統括制御部は、生成したゾーンに物体が含まれているか否かを判断し、生成したゾーンに物体が含まれていない場合には、前記走行ルートを変更した走行ルートを設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、自己位置推定精度が低下した場合にも、走行効率の低下を抑制した自律走行型移動体及び自律走行型移動体の制御システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施例1に係る自律走行型移動体の構成図である。
【
図2A】本発明の実施例1に係る自律走行型移動体100の認識部101から赤外線光を放射した状態を示す図である。
【
図2B】本発明の実施例1に係る認識部101が物体を認識する動作を示す図である。
【
図3】本発明の実施例1に係る制御部102が行う制御の動作を示すフローチャートである。
【
図4A】本発明の実施例1に係る自己位置推定精度が低下しない場合の自律走行型移動体100の走行ルートを示す図である。
【
図4B】本発明の実施例1に係る自己位置推定精度が低下した場合の自律走行型移動体100の走行ルートを示す図である。
【
図5】本発明の実施例2に係る制御部102が行う制御の動作を示すフローチャートである。
【
図6】本発明の実施例2に係る自己位置推定精度が低下した場合の自律走行型移動体100の走行ルートを示す図である。
【
図7A】本発明の実施例3に係る自律走行型移動体100の認識部101から赤外線光を放射した状態を示す図である。
【
図7B】本発明の実施例3に係る認識部101が物体を認識する動作を示す図である。
【
図8】本発明の実施例3に係る制御部102が行う制御の動作を示すフローチャートである。
【
図9】本発明の実施例4に係る自律走行型移動体の制御システムの全体構成図である。
【
図10】本発明の実施例4に係る制御部102a,102b,102c及び統括制御部902が行う制御の動作を示すフローチャートである。
【
図11】本発明の実施例4に係る自律走行型移動体100a,100b,100cの走行ルートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施例について説明する。なお、同一の要素については、全ての図において、原則として同一の符号を付している。また、同一の機能を有する部分については、説明を省略する。なお、以下に説明する構成はあくまで実施例に過ぎず、本発明に係る実施様態が、以下の具体的様態に限定されることを意図する趣旨ではない。
【実施例0012】
まず、全体構成について説明する。
【0013】
<全体構成>
図1は、本発明の実施例1に係る自律走行型移動体の構成図である。
図1に示すように、自律走行型移動体100は、カメラや測距センサ(LiDAR:Light Detection and Ranging)等の認識部101と、認識部101で認識した情報に基づいて駆動部103を制御する制御部102と、制御部102によって制御され自律走行型移動体100を走行させる駆動部103を有する。
【0014】
<物体の検出>
自律走行型移動体100が壁201を有する部屋に配置された場合において、認識部101が取得する測距点群202と地図情報203より物体(壁)を検出する手法について
図2A、
図2Bを用いて説明する。
【0015】
図2Aは、本発明の実施例1に係る自律走行型移動体100の認識部101から赤外線光を放射した状態を示す図である。
図2Bは、本発明の実施例1に係る認識部101が物体を認識する動作を示す図である。
【0016】
認識部101は、周囲360°の物体との距離を測定可能な測距センサであり、例えば赤外線光等を利用したLiDARを用いる。認識部101は、周囲に向けて所定出力の赤外線光を放射し、物体に当たって跳ね返ってくる赤外線光を受光して部屋の環境情報を取得する。環境情報には壁、障害物等の物体が含まれ、制御部102は認識部101が取得した情報に基づいて物体を認識する。そして、制御部102は環境情報と地図情報から自律走行型移動体100の自己位置を推定する。認識部101は、
図2Aのような壁201に囲まれた部屋においては、複数の距離情報である測距点群202を取得する。
【0017】
制御部102は、
図2Bに示す様に取得した測距点群202から隣り合う点の距離L1を算出し、距離L1が20cm以上となる箇所を物体の端として検出する。すべての隣り合う点に対して距離L1を算出し物体の端を検出する。物体の端から端までの距離を物体の大きさとして算出し、大きさが20cm以上となる物体を壁として検出する。本実施例では、赤外線光を用いて物体(壁)を検出する手法の一例を示したが、この限りでなく、他の手法を用いて物体(壁)を検出してもよい。
【0018】
<制御部102の動作>
図3は、本発明の実施例1に係る制御部102が行う制御の動作を示すフローチャートである。
【0019】
電源が投入されると、制御部102は制御を開始する(ステップS300)。
【0020】
制御部102は、認識部101を動作させ、認識部101から周囲の環境情報を取得する(ステップS301)。
【0021】
制御部102は、認識部101から取得した環境情報と予め取得した地図情報から自律走行型移動体100の自己位置を推定する(ステップS302)。
【0022】
制御部102は、予め取得した部屋の地図情報に基づいて部屋内を複数に分割した複数のゾーンを生成する(ステップS303)。
【0023】
制御部102は、生成したゾーンに基づいて自律走行型移動体100の走行ルートを設定する(ステップS304)。
【0024】
制御部102は、自律走行型移動体100が走行するために設定するゾーンに壁が含まれているか否かを判断し(ステップS305)、壁が含まれない場合(ステップS305のNO)には、ゾーン内を走行する自律走行型移動体100の走行ルートを変更する(ステップS306)。そして、制御部102は、ゾーン内を変更した走行ルートで走行するように駆動部103を制御する(ステップS307)。
【0025】
自律走行型移動体100が走行するゾーンに壁が含まれる場合(ステップS305のYES)には、制御部102は、ゾーン内を通常の走行ルートで走行するように駆動部103を制御する(ステップS307)。
【0026】
制御部102は、自律走行型移動体100の走行が終了したか否かを判断し(ステップS308)、走行が終了した場合(ステップS308のYES)には、自律走行型移動体100の制御を終了する(ステップS309)。
【0027】
制御部102は、自律走行型移動体100の走行が終了していない場合(ステップS308のNO)には、ステップS301に戻り自律走行型移動体100を走行させるように制御を続ける。
【0028】
<自律走行型移動体100の走行ルート>
次に、自律走行型移動体100の走行ルートについて
図4A、
図4Bを用いて説明する。
【0029】
図4Aは、本発明の実施例1に係る自己位置推定精度が低下しない場合の自律走行型移動体100の走行ルートを示す図である。
図4Bは、本発明の実施例1に係る自己位置推定精度が低下した場合の自律走行型移動体100の走行ルートを示す図である。
【0030】
図3のステップS303で説明したように、制御部102は、予め取得した部屋の地図情報に基づいて部屋内を複数に分割した複数のゾーンを生成する。例えば、部屋の広さが縦15m、横15mであり、その情報が地図情報203として取得された場合、制御部102は地図情報203に基づいて1つのゾーンが縦5m、横5mになるように部屋をゾーンA~Iの9つ(複数)に分割する。
【0031】
自律走行型移動体100は、生成されたゾーン毎に走行する。制御部102は、生成されたゾーンに基づいてゾーン毎に第1走行ルート401を設定する。ゾーンAから走行を開始した自律走行型移動体100は、第1走行ルート401に従い、ゾーンAをジクザクに走行する。ゾーンAの走行が完了すると、制御部102は自律走行型移動体100がゾーンBをジクザク走行するように駆動部103を制御する。同様に、制御部102は、自律走行型移動体100がゾーンC~ゾーンIまで順次ジクザク走行するように駆動部103を制御する。
【0032】
図4Aの場合、ゾーンEの周囲には壁等の物体が無く、認識部101が物体を検出できないことから、自律走行型移動体100の自己位置推定精度が低下する可能性がある。自律走行型移動体100が自律走行型掃除機の場合、自己位置推定精度が低下すると、物体を検出できないゾーンと隣り合う他のゾーンの境界部において塵埃の除去が出来ていない掃除残しが発生する可能性がある。
【0033】
そこで、本実施例では認識部101がゾーンに壁等の物体を検出できず、自己位置推定精度が低下した場合には、ステップS306で説明したように、ゾーンEでの走行ルートを変更する。
【0034】
第1走行ルート401に従いゾーンDでの走行が終了すると、制御部102は第1走行ルート401とは異なる第2走行ルート402に変更し、自律走行型移動体100を走行制御する。第2走行ルート402は、ゾーンEの範囲のみならず、ゾーンEと隣り合う他のゾーンであるゾーンA、B、C、D、F、G、H、Iを跨ぐようにジクザク走行する。すなわち、第2走行ルート402では、自律走行型移動体100はゾーンA→ゾーンD→ゾーンG→ゾーンH→ゾーンE→ゾーンB→ゾーンE→ゾーンH→ゾーンE→ゾーンB→ゾーンC→ゾーンF→ゾーンIのように走行した後、ゾーンFに移動し、ゾーンFにて再び第1走行ルート401に戻り走行する。
【0035】
本実施例では、複数に分割されたゾーンA~Iを所定の第1走行ルート401に従って順次走行するにあたり、所定のゾーンEにおいて認識部101が物体(壁)を検出できず自律走行型移動体100の自己位置推定精度が低下した場合、制御部102は、自律走行型移動体100が所定のゾーンEにおいて第1走行ルート401とは異なる第2走行ルート402で走行するように駆動部103を制御するようにしている。このように構成することにより、本実施例によれば、自律走行型移動体100を自律走行型掃除機として使用した場合、自己位置推定精度が低下によるゾーン境界部での掃除残しを低減することが出来、掃除効率、走行効率の低下を抑制することができる。
【0036】
また、本実施例によれば、自己位置推定精度が低下し難い壁に近いゾーンでは走行ルートを変更することなく走行することで、走行時間、掃除時間の短縮を行うことができる。
制御部102は、自律走行型移動体100が走行するために設定するゾーンに壁が含まれているか否かを判断し(ステップS504)、壁が含まれない場合(ステップS504のNO)には、設定するゾーンの大きさを変更する(ステップS505)。
制御部102は、自律走行型移動体100が走行するゾーンに壁が含まれる場合(ステップS504のYES)には、生成したゾーンに基づいて自律走行型移動体100の走行ルートを設定する(ステップS506)。
制御部102は、自律走行型移動体100の走行が終了したか否かを判断し(ステップS508)、走行が終了した場合(ステップS508のYES)には、自律走行型移動体100の制御を終了する(ステップS509)。
制御部102は、自律走行型移動体100の走行が終了していない場合(ステップS508のNO)には、ステップS501に戻り自律走行型移動体100を走行させるように制御を続ける。
実施例2において、実施例1と異なるところは、ゾーンEの大きさにある。ゾーンEの大きさは、他のゾーンA~D、F~Iの大きさよりも大きく生成されている。すなわち、制御部102は、ゾーンEが、隣接する他のゾーンA~D、F~Iの一部と重なるように設定する。そして、制御部102は、ゾーンに壁等の物体が無く、自己位置推定精度が低下した場合には、ステップS505で説明したように、設定するゾーンEの大きさを変更し、このゾーンEの大きさに応じた走行ルートを設定する。
自律走行型移動体100は、生成されたゾーン毎に走行する。制御部102は、生成されたゾーンに基づいてゾーン毎に第1走行ルート401を設定する。ゾーンAから走行を開始した自律走行型移動体100は、第1走行ルート401に従い、ゾーンAをジクザクに走行する。ゾーンAの走行が完了すると、制御部102は自律走行型移動体100がゾーンBをジクザク走行するように駆動部103を制御する。同様に、制御部102は、自律走行型移動体100がゾーンDまで順次ジクザク走行するように駆動部103を制御する。
ゾーンEでは、ゾーンEの周囲に壁等の物体が無く、認識部101が物体を検出できないことから、自律走行型移動体100の自己位置推定精度が低下する可能性がある。自律走行型移動体100が自律走行型掃除機の場合、自己位置推定精度が低下すると、隣り合うゾーンの境界部において塵埃の除去が出来ていない掃除残しが発生する可能性がある。
そこで、本実施例では認識部101がゾーンに壁等の物体を検出できず、自己位置推定精度が低下した場合には、ゾーンEを他のゾーンよりも大きく設定し、ゾーンEが隣り合う他のゾーンA~D、F~Iの一部と重なるようにしている。
第1走行ルート401に従いゾーンDの走行が終了すると、制御部102はゾーンEに応じた第1走行ルート401とは異なる第2走行ルート403に変更し、自律走行型移動体100を走行制御する。ゾーンEは、隣接する他のゾーンA~D、F~Iの一部と重なっているので、第2走行ルート403に従い走行する自律走行型移動体100は、ゾーンEと重なる他のゾーンであるゾーンA、B、C、D、F、G、H、Iの一部に入り込んでジクザク走行する。
本実施例では、複数に分割されたゾーンA~Iを所定の第1走行ルート401に従って順次走行するにあたり、所定のゾーンEにおいて認識部101が物体(壁)を検出できず自律走行型移動体100の自己位置推定精度が低下した場合、制御部102は、自律走行型移動体100が所定のゾーンEの大きさを変更し、ゾーンEでの第2走行ルート403が隣接する他のゾーンA~D、F~Iの一部に入り込んで走行するように走行制御している。このように構成することにより、本実施例によれば、自律走行型移動体100を自律走行型掃除機として使用した場合、自己位置推定精度が低下によるゾーン境界部での掃除残しを低減することが出来、掃除効率、走行効率の低下を抑制することができる。
また、本実施例によれば、自己位置推定精度が低下し難い壁に近いゾーンでは走行ルートを変更することなく走行することで、走行時間、掃除時間の短縮を行うことができる。