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特開2024-104845デッキプレートおよびデッキプレートアッセンブリ
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  • 特開-デッキプレートおよびデッキプレートアッセンブリ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104845
(43)【公開日】2024-08-06
(54)【発明の名称】デッキプレートおよびデッキプレートアッセンブリ
(51)【国際特許分類】
   E04B 5/40 20060101AFI20240730BHJP
【FI】
E04B5/40 D
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023009235
(22)【出願日】2023-01-25
(71)【出願人】
【識別番号】598143790
【氏名又は名称】株式会社クギン
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】釘宮 祐治
(57)【要約】
【課題】メートル単位の幅を持つコンクリートスラブの構築するために必要となる枚数が把握し易くされたデッキプレート、および、このデッキプレートを連結したデッキプレートアッセンブリ。
【解決手段】 鉄筋トラス2を2セット有して、これらの当該鉄筋トラス2がコンクリートスラブC10に用いられる底板部40と一体となって、当該底板部40の幅方向に並んだ状態で建造物の躯体梁5に掛け渡されるデッキプレート1Aであって、底板部40は、鉄筋トラス2が1セットずつ設置される設置エリア41と、幅方向の一方側の端縁45に沿って延在される第一端縁部45Aと、幅方向の他方側の端縁45に沿って延在され、第一端縁部45Aと互いに連結可能な第二端縁部45Bと、を備え、複数枚のデッキプレート1Aを互いに連結させることで、これらのデッキプレート1Aが働き幅500[mm]で幅方向に連結されたデッキプレートアッセンブリ1を構成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
線状に延在する上部主筋と、前記上部主筋の下方に並行して線状に延在し、互いに離間した2本の下部主筋と、前記上部主筋の長さ方向に沿って山部と谷部を繰り返した波状の一対のラチス材と、を備える鉄筋トラスを2セット有して、これらの当該鉄筋トラスがコンクリートスラブに用いられる構造材としての底板部と一体となって、当該底板部の幅方向に並んだ状態で建造物の躯体梁に掛け渡されるデッキプレートであって、
前記底板部は、
前記底板部の板面において、前記長さ方向に沿うように2本が帯状に延在され、それぞれに前記鉄筋トラスが1セットずつ設置される設置エリアと、
前記底板部における前記幅方向の一方側の端縁に沿って延在される第一端縁部と、
前記底板部における前記幅方向の他方側の端縁に沿って延在され、前記第一端縁部と互いに連結可能な構成とされた第二端縁部と、を備え、
2本の設置エリアは、それぞれに設置される前記鉄筋トラスにおける前記上部主筋の離間距離が250[mm]となるように設定され、
複数枚の前記デッキプレートを、その中の一の前記デッキプレートにおける前記第一端縁部と、同じく他の前記デッキプレートにおける前記第二端縁部と、を互いに連結させることで、これらの前記デッキプレートが働き幅500[mm]で前記幅方向に連結されたデッキプレートアッセンブリを構成することが可能とされている、
デッキプレート。
【請求項2】
請求項1に記載されたデッキプレートであって、
前記底板部の板面において、2本の設置エリアの間となる部分に、少なくとも1本の補強リブが、前記長さ方向に沿って延在された状態に設けられている、
デッキプレート。
【請求項3】
請求項1に記載されたデッキプレートアッセンブリであって、
前記幅方向に並ぶ前記各鉄筋トラスにおける前記各上部主筋の上方から、前記長さ方向と交差する方向に架け渡される複数本の主筋支持金具と、
前記上部主筋と同径の鉄筋であって、前記上部主筋の側方に並行して線状に延在される補強用主筋と、を備え、
前記主筋支持金具のそれぞれは、
前記各上部主筋のうちの少なくとも1つに対し、前記交差する方向において係止されることで、前記主筋支持金具の前記幅方向の位置決めを行う係止部と、
前記上部主筋の並びにおいて互いに隣り合う2本の前記上部主筋の間となる中央に、下方に凹んだ状態に設けられた凹状部と、を備え、
前記各凹状部は、前記各主筋支持金具が前記長さ方向に並ぶように配設されることで、当該長さ方向に並ぶ列をなし、
前記補強用主筋は、前記凹状部の列に対して上方から嵌め込まれることで、前記底板部から見た上下方向の高さが前記各上部主筋と揃うように配設されている、
デッキプレートアッセンブリ。
【請求項4】
請求項3に記載されたデッキプレートアッセンブリであって、
前記凹状部が、前記上部主筋と同径の鉄筋を2本、前記幅方向に横並びにして配設させることが可能なサイズに形成されている、
デッキプレートアッセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、デッキプレートおよびデッキプレートアッセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンクリートスラブ等の構築に用いられる構造材として、主筋とラチス材とを有する鉄筋トラスが、板状部材に接合され一体となったトラス付デッキプレートが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、底板部に2セットの鉄筋トラスが配設されたデッキプレートが開示されている。このデッキプレートにおける鉄筋トラスは、1本の上部主筋と2本の下部主筋が、波状に屈曲させた一対のラチス材とそれぞれ接合されている。デッキプレートは、建造物の躯体をなす梁(以下、「躯体梁」と称する)に掛け渡されており、鉄筋トラスの下部主筋と係合する連結金具によって、デッキプレートの端部と躯体梁とが固着されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-262859号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したようなデッキプレートは、しばしば、複数枚をその幅方向に連結したデッキプレートアッセンブリとした状態で使用される。このデッキプレートアッセンブリにおいては、従来、働き幅が400[mm]であり、鉄筋トラスにおける上部主筋の離間距離が200[mm]であるデッキプレートが広く採用されていた。これに対し、上記デッキプレートアッセンブリとしては、同じ働き幅を確保するために必要となるデッキプレートの枚数をより少なくしたいというニーズがあった。
【0006】
本開示は、従来広く採用されていた働き幅が400[mm]のデッキプレートと比して、デッキプレートアッセンブリの働き幅を確保するために必要となる枚数がより少なくされたデッキプレート、および、このデッキプレートを使用したデッキプレートアッセンブリを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示のデッキプレートおよびデッキプレートアッセンブリは次の手段をとる。
【0008】
まず、第1の開示は、線状に延在する上部主筋と、前記上部主筋の下方に並行して線状に延在し、互いに離間した2本の下部主筋と、前記上部主筋の長さ方向に沿って山部と谷部を繰り返した波状の一対のラチス材と、を備える鉄筋トラスを2セット有して、これらの当該鉄筋トラスがコンクリートスラブに用いられる構造材としての底板部と一体となって、当該底板部の幅方向に並んだ状態で建造物の躯体梁に掛け渡されるデッキプレートであって、前記底板部は、前記底板部の板面において、前記長さ方向に沿うように2本が帯状に延在され、それぞれに前記鉄筋トラスが1セットずつ設置される設置エリアと、前記底板部における前記幅方向の一方側の端縁に沿って延在される第一端縁部と、前記底板部における前記幅方向の他方側の端縁に沿って延在され、前記第一端縁部と互いに連結可能な構成とされた第二端縁部と、を備え、2本の設置エリアは、それぞれに設置される前記鉄筋トラスにおける前記上部主筋の離間距離が250[mm]となるように設定され、複数枚の前記デッキプレートを、その中の一の前記デッキプレートにおける前記第一端縁部と、同じく他の前記デッキプレートにおける前記第二端縁部と、を互いに連結させることで、これらの前記デッキプレートが働き幅500[mm]で前記幅方向に連結されたデッキプレートアッセンブリを構成することが可能とされているものである。
【0009】
デッキプレートを幅方向に連結して構成したデッキプレートの働き幅は、連結されるデッキプレートの働き幅の総和に等しくなる。ここで、第1の開示に係るデッキプレートは、従来広く採用されていた働き幅が400[mm]のデッキプレートよりも、デッキプレート1枚当たりの働き幅が広い。これにより、従来広く採用されていた働き幅が400[mm]のデッキプレートと比して、デッキプレートアッセンブリの働き幅を確保するために必要となる枚数がより少なくされたデッキプレートを提供することができる。
【0010】
ここで、鉄筋トラスはデッキプレート1枚につき2セットずつ使用されているため、1枚のデッキプレートアッセンブリに使用される鉄筋トラスのセット数は、上記従来のデッキプレートアッセンブリに使用される鉄筋トラスのセット数よりも少ない。その分、第1の開示に係るデッキプレートを採用したデッキプレートアッセンブリは、上記従来のデッキプレートアッセンブリよりも、アッセンブリ全体において使用される鉄筋等の金属材料の量を抑えることができる。
【0011】
ここで、第1の開示に係るデッキプレートは、後述する第2の開示に係るデッキプレートであっても良い。この第2の開示に係るデッキプレートは、前記底板部の板面において、2本の設置エリアの間となる部分に、少なくとも1本の補強リブが、前記長さ方向に沿って延在された状態に設けられているものである。
【0012】
第2の開示に係るデッキプレートにおいては、2本の設置エリアにそれぞれ鉄筋トラスが設置されることで、底板部の補強がなされる。これに加え、第2の開示に係るデッキプレートは、2本の設置エリアの間に補強リブを延在させることで、底板部をさらに補強することができる。
【0013】
次に、第3の開示は、第1の開示の説明において上述したデッキプレートアッセンブリであって、前記幅方向に並ぶ前記各鉄筋トラスにおける前記各上部主筋の上方から、前記長さ方向と交差する方向に架け渡される複数本の主筋支持金具と、前記上部主筋と同径の鉄筋であって、前記上部主筋の側方に並行して線状に延在される補強用主筋と、を備え、前記主筋支持金具のそれぞれは、前記各上部主筋のうちの少なくとも1つに対し、前記交差する方向において係止されることで、前記主筋支持金具の前記幅方向の位置決めを行う係止部と、前記上部主筋の並びにおいて互いに隣り合う2本の前記上部主筋の間となる中央に、下方に凹んだ状態に設けられた凹状部と、を備え、前記各凹状部は、前記各主筋支持金具が前記長さ方向に並ぶように配設されることで、当該長さ方向に並ぶ列をなし、前記補強用主筋は、前記凹状部の列に対して上方から嵌め込まれることで、前記底板部から見た上下方向の高さが前記各上部主筋と揃うように配設されているものである。
【0014】
第3の開示に係るデッキプレートアッセンブリによれば、隣り合う2セットの鉄筋トラスにおける上部主筋の中央に補強用主筋を延在させることで、単位幅当たりの主筋の本数を増やすことができる。これにより、第3の開示に係るデッキプレートアッセンブリは、コンクリート打設後のコンクリートスラブにおける強度をより高めることができる。
【0015】
また、第3の開示に係るデッキプレートアッセンブリによれば、補強用主筋を、各主筋支持金具における凹状部の列に対して上方から嵌め込むという比較的簡単な作業によって配設することができる。
【0016】
また、第3の開示に係るデッキプレートアッセンブリによれば、上部主筋と補強用主筋とは、底板部から見た上下方向の高さが揃えられる。これにより、コンクリート打設後のコンクリートスラブにおける、上部主筋のある部分のかぶり厚さと補強用主筋のある部分のかぶり厚さとを揃えることができる。
【0017】
ここで、第3の開示に係るデッキプレートアッセンブリは、後述する第4の開示に係るデッキプレートアッセンブリであっても良い。この第4の開示に係るデッキプレートアッセンブリは、前記凹状部が、前記上部主筋と同径の鉄筋を2本、前記幅方向に横並びにして配設させることが可能なサイズに形成されているものである。
【0018】
第4の開示に係るデッキプレートアッセンブリによれば、1つの凹状部に、補強用主筋の端部を2本、幅方向に横並びにして配設させることで、補強用主筋を接ぎ合わせて延長することができる。
【発明の効果】
【0019】
本開示は、従来広く採用されていた働き幅が400[mm]のデッキプレートと比して、デッキプレートアッセンブリの働き幅を確保するために必要となる枚数がより少なくされたデッキプレート、および、このデッキプレートを使用したデッキプレートアッセンブリを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】第1の実施形態に係るデッキプレートアッセンブリ1の斜視図である。
図2】第1の実施形態に係るデッキプレートアッセンブリ1の正面図である。
図3】デッキプレート1Aの正面図である。
図4】第2の実施形態に係るデッキプレートアッセンブリ101の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<第1の実施形態>
本開示の第1の実施形態に係るデッキプレートアッセンブリ1は、図2に示すように、複数枚のデッキプレート1Aが、その底板部40の幅方向(以下、「幅方向」と称する)に連結された構成である。これにより、デッキプレートアッセンブリ1は、コンクリートスラブC10を構築する際にコンクリートC11を受ける床の下地材として利用することができる。以下にデッキプレート1Aと、デッキプレートアッセンブリ1と、を説明する。
【0022】
<デッキプレートの構成>
デッキプレート1Aは、図1に示すように、デッキプレートアッセンブリ1に用いられる構造材である。デッキプレート1Aは、建設現場において幅方向に並んだ状態で建造物の躯体梁5に掛け渡される。すなわち、躯体梁5の間に複数枚のデッキプレート1Aが並行して架かった状態で敷き込まれる。そして、鉄筋トラス2の上に必要な配筋工事を行った後、コンクリートC11(図2参照)が打設される。これらにより、コンクリートスラブC10(図2参照)を構築することができる。
【0023】
デッキプレート1Aは、図3に示すように、2セットの鉄筋トラス2および底板部40を有している。当該2セットの鉄筋トラス2は、所定の間隔を隔てて並設した状態で、底板部40の板面に一体的に固着されている。ここで、デッキプレート1Aの働き幅L6は、500[mm]に設定されている。これにより、幅方向に連結されているデッキプレート1Aが、図2に示すように、2枚につき1[m]の働き幅L7を有するデッキプレートアッセンブリ1を構成することができる。このため、メートル単位の幅を持つコンクリートスラブC10を構築するために必要なデッキプレート1Aの枚数は、コンクリートスラブC10の幅のメートル数の2倍となる。これにより、メートル単位の幅を持つコンクリートスラブC10の構築するために必要となる枚数が把握し易くされたデッキプレート1A、および、このデッキプレート1Aを連結したデッキプレートアッセンブリ1を提供することができる。
【0024】
デッキプレート1Aは、従来広く採用されていた働き幅が400[mm]のデッキプレート(図示せず)よりも、デッキプレート1枚当たりの働き幅が広いため、デッキプレートアッセンブリの働き幅を確保するために必要となるデッキプレートの枚数がより少ない。
【0025】
例えば、働き幅が2[m]となるデッキプレートアッセンブリを従来採用されていた400[mm]の働き幅のデッキプレートで構成する場合、必要となるデッキプレートの枚数は、5枚である。一方、働き幅が2[m]となるデッキプレートアッセンブリを、働き幅L6が500[mm]となるデッキプレート1A(図3参照)で構成する場合、必要となるデッキプレートの枚数は4枚である。これは、働き幅が2[m]となる従来のデッキプレートアッセンブリを、400[mm]の働き幅のデッキプレートで構成する場合に必要となるデッキプレートの枚数よりも1枚少ない。鉄筋トラスはデッキプレート1枚につき2セットずつ使用されているため、1枚のデッキプレートアッセンブリ1に使用される鉄筋トラス2のセット数は、上記従来のデッキプレートアッセンブリに使用される鉄筋トラスのセット数よりも2セット少ない。その分、デッキプレートアッセンブリ1は、上記従来のデッキプレートアッセンブリよりも、アッセンブリ全体において使用される鉄筋等の金属材料の量が抑えられている。
【0026】
なお、上部主筋10の長さ方向(以下、「長さ方向」と称する、図1参照)における、鉄筋トラス2および底板部40の寸法は、コンクリートスラブC10の大きさに応じて設定されている。また、底板部40から見た鉄筋トラス2における上部主筋10の上下方向の距離は、コンクリートスラブC10の厚みに応じて設定されている。
【0027】
<鉄筋トラスの構成>
鉄筋トラス2は、図1に示すように、1本の上部主筋10、2本の下部主筋20、および一対のラチス材30を備える。1本の上部主筋10および2本の下部主筋20は、それぞれ直線状に延在している。そして、2本の下部主筋20は、上部主筋10の下方にそれぞれ並行して配設されている。また、一対のラチス材30は、長さ方向に沿って山部31と谷部32を繰り返した波状であり、上部主筋10を、その長さ方向と交差する幅方向の両側から挟むように互いに対向して配設され、当該山部31が上部主筋10と接合されている。また、下部主筋20は、一対のラチス材30の側面にそれぞれ1本ずつ接するように、上部主筋10の斜め下方に配設されている。
【0028】
鉄筋トラス2における一対のラチス材30は、図3に示すように、一方のラチス材30aと他方のラチス材30bとで一対となっている。これらのラチス材30a、30bは、上部主筋10を、その長さ方向と交差する幅方向の両側から挟むように互いに対向して上部主筋10に固設されている。また、上部主筋10を挟んで対向する、それぞれの谷部32a、32bが互いに離間した状態で底板部40に固設され、ラチス材30a、30bが幅方向にそれぞれ広がりを有するように拡開した構成となっている。すなわち、鉄筋トラス2は、長さ方向からみて、一対のラチス材30が三角状になるように配設されている。これらにより、一対のラチス材30は、上部主筋10が、下方に動くことを抑止することができる。なお、対向する谷部32a、32bの幅方向における離間距離L1は、任意に設定することができ、ラチス材30a、30bが当該離間距離L1に合わせて拡開している。
【0029】
<上部主筋・下部主筋の構成>
上部主筋10および下部主筋20は、図1に示すように、金属製(例えば鋼)の線材を軸方向に引き伸ばして、直線状に成形されたものである。上部主筋10および下部主筋20には、例えば、異形鉄筋を用いても良い。また、上部主筋10および下部主筋20には、それぞれ異なる径の鉄筋が用いられている。なお、上部主筋10の径が、下部主筋20の径よりも大きい構成となっている。これらの主筋に用いる鉄筋は、上部主筋10および下部主筋20に同じ径の鉄筋を用いても良く、それぞれ異なる径の鉄筋を用いても良い。また、上部主筋10および下部主筋20のそれぞれの高さ位置は、鉄筋トラス2の大きさに応じて適宜設定できる。
【0030】
<ラチス材の構成>
一対のラチス材30は、金属製(例えば鋼)の線材を、長さ方向に沿って波状となるように折曲げ加工して成形したものである。一対のラチス材30には、例えば、鉄線コイルを用いても良い。一対のラチス材30は、山部31と谷部32の間に傾斜部38を有している。すなわち、一対のラチス材30は、斜め上方に延びた上方傾斜部38Uおよび斜め下方に延びた下方傾斜部38Dをそれぞれ有している。
【0031】
具体的には、長さ方向において、斜め上方へ直線状に延びたラチス材30が、斜め下方に向きを変えて折り曲げられる。斜め上方から斜め下方に向きを変えて折曲したラチス材30の曲線状の部分が、山部31となる。同じく、斜め下方へ直線状に延びたラチス材30が、斜め上方に向きを変えて折り曲げられる。斜め下方から斜め上方に向きを変えて折曲したラチス材30の曲線状の部分が、谷部32となる。また、長さ方向に、谷部32から山部31に向かって斜め上方に延びている部分が上方傾斜部38U、山部31から谷部32に向かって斜め下方に延びている部分が下方傾斜部38Dである。
【0032】
言い換えれば、ラチス材30は、上方傾斜部38Uが山部31に向かって延びており、山部31において斜め下方に向きを変えて折り曲げられている。そして、ラチス材30は、下方傾斜部38Dが谷部32に向かって延びており、谷部32において斜め上方に向きを変えて折り曲げられている。なお、長さ方向におけるラチス材30の端は、山部31において切断された山カットの構成としても良く、谷部32において切断された谷カットの構成(図示せず)としても良い。
【0033】
また、下部主筋20は、図3に示すように、一対のラチス材30a、30bの側面にそれぞれ接するように配設されている。1本の上部主筋10および2本の下部主筋20は、それぞれ互いに離間している。なお、下部主筋20は、上部主筋10に沿うように斜め下方に位置している。上部主筋10と下部主筋20は互いに平行であるのが好ましい。
【0034】
ラチス材30は、第一接合部位33と第二接合部位34を有している。第一接合部位33は、一対のラチス材30a、30bにおいて、上部主筋10の上方外周面とラチス材30における山部31の頂点部分とが接する部位にそれぞれ設定されている。それぞれの第一接合部位33において、上部主筋10と一対のラチス材30が溶接によって接合されている。なお、第一接合部位33の位置は、任意に設定できる。
【0035】
第二接合部位34は、一対のラチス材30a、30bにおいて、下部主筋20と、山部31と谷部32の中間部位とが接する部位にそれぞれ設定されている。それぞれの第二接合部位34において、下部主筋20とラチス材30a、30bが溶接によってそれぞれ接合されている。なお、第二接合部位34の位置は、任意に設定できる。すなわち、第二接合部位34を鉄筋トラス2の内側に設定しても良く、外側に設定しても良い。
【0036】
ラチス材30は、図1に示すように、一方のラチス材30aの山部31aと他方のラチス材30bの山部31bとがそれぞれ向かい合い、一方のラチス材30aの谷部32aと他方のラチス材30bの谷部32bとがそれぞれ向かい合うように配設される。なお、ラチス材30はそれぞれ同じ振幅、同じピッチで山部31と谷部32を互いに繰り返す構成である。よって、山部31の角度θ1及び谷部32の角度θ2は一定になる。言い換えれば、一方のラチス材30aの山部31aと他方のラチス材30bの山部31bとが、幅方向から見て、それぞれ重なるように配置されている。同じく、一方のラチス材30aの谷部32aと他方のラチス材30bの谷部32bとが、幅方向から見て、それぞれ重なるように配置されている。
【0037】
ラチス材30は、図3に示すように、第二接合部位34と谷部32の間に、任意に設定された折曲点36をそれぞれ有している。また、折曲点36において折曲した脚部37をそれぞれ有している。具体的には、折曲点36において、一方のラチス材30aの谷部32aのそれぞれと他方のラチス材30bの谷部32bのそれぞれとが互いに遠ざかるように、ラチス材30a、30bが折り曲げられ、傾斜部38の谷部32側において脚部37が成形される。言い換えれば、一対のラチス材30は、折曲点36において、幅方向の外側に水平になるように折り曲げられる。なお、折曲点36から谷部32までが脚部37となる。
【0038】
長さ方向(図1参照)からみたラチス材30の拡開の角度θ5、及び折曲点36におけるラチス材30の折曲の角度θ6は、脚部37が水平となるように設定されている。なお、拡開の角度θ5及び折曲の角度θ6は、鉄筋トラス2の大きさに応じて任意に設定できる。よって、拡開の角度θ5を小さくし、一対のラチス材30の幅方向への広がりを抑えた構成とすることができる。また、一対のラチス材30が幅方向に拡開せず、幅方向において広がりを有さないように配設することができる。
【0039】
<底板部の構成>
底板部40は、金属製の板部材であり、例えば溶融亜鉛メッキ鋼板を用いても良い。底板部40は、その板面において、2本の設置エリア41と、第一端縁部45Aと、第二端縁部45Bと、を備えている。ここで、設置エリア41は、長さ方向(図1参照)に沿うように2本が帯状に延在され、それぞれに鉄筋トラス2が1セットずつ設置される領域である。また、第一端縁部45Aは、底板部40においてその幅方向における一方側の端縁45に沿って延在された部分である。また、第二端縁部45Bは、底板部40においてその幅方向における他方側の端縁45に沿って延在され、第一端縁部45Aと互いに連結可能な構成とされた部分である。また、底板部40の幅方向の寸法L8は、図2の上方から見て第一端縁部45Aと第二端縁部45Bとが連結されることでそれぞれの重なった部分における当該幅方向の寸法L9に、デッキプレート1Aの働き幅L6である500[mm]を足した寸法となるように設定されている。
【0040】
2本の設置エリア41は、それぞれに設置される鉄筋トラス2における上部主筋10の離間距離L5が250[mm]となるように設定されている。言い換えると、これら鉄筋トラス2における上部主筋10の離間距離L5は、デッキプレート1Aの働き幅L6を鉄筋トラス2のセット数で割った距離であり、250[mm]となるように設定されている。これにより、離間距離L5は、図2に示すように、デッキプレートアッセンブリ1において、その中の一のデッキプレート1Aにおける第一端縁部45A側の鉄筋トラス2の上部主筋10と、同じく他のデッキプレート1Aにおける第二端縁部45B側の鉄筋トラス2の上部主筋10と、の間隔L10と同じとなる。
【0041】
設置エリア41には、図3に示すように、鉄筋トラス2の設置位置に合わせて、幅方向の両端に突条部41Aが成形されている。突条部41Aは、底板部40がその厚み方向において上方へ凸状に突出して成形され、長さ方向に沿って直線状に延びた構成とされている。突条部41Aの断面形状は、半円形になっている。
【0042】
突条部41Aには、ラチス材30の谷部32が接合されている。具体的には、ラチス材30の傾斜部38の谷部32側に成形された脚部37が、突条部41Aと当接する部分、すなわち固着部39において溶接により接合されている。
【0043】
デッキプレート1Aにおいては、図1に示すように、2本の設置エリア41にそれぞれ鉄筋トラス2が設置されることで、底板部40の補強がなされる。これに加え、デッキプレート1Aには、その底板部40の板面において2本の設置エリア41の間となる部分に、2本の補強リブ42が、長さ方向に沿って延在された状態で設けられている。これらの補強リブ42は、鉄筋トラス2と同様に、底板部40の強度を向上させる。すなわち、2本の設置エリアの間に、上記長さ方向に沿って延在する補強リブ42が、底板部40をさらに補強する。なお、本実施形態の補強リブ42は、例えば、突条部41Aと同じ形である。
【0044】
デッキプレート1Aは、図1に示すように、コンクリートスラブC10(図2参照)の大きさに合わせて、複数枚並べて敷き込むことができる。また、デッキプレート1Aを幅方向に複数枚並べる際、隣接する底板部40の端縁部同士が係合するように構成されている。言い換えると、複数枚のデッキプレート1Aが、その中の一のデッキプレート1Aにおける第二端縁部45Bと、同じく他のデッキプレート1Aにおける第一端縁部45Aとを互いに連結することで、デッキプレートアッセンブリ1を構成する。ここで、第一端縁部45Aは、例えば、底板部40においてその幅方向における一方側の端縁45が上方に向かって突出される板状のものであり、長さ方向に沿って延設されている。また、第二端縁部45Bは、例えば、底板部40においてその幅方向における他方側の端縁45が下方に向かってへこんだ溝(図3参照)をなし、この溝の大きさが第一端縁部45Aを挿入可能となるように設定されている。言い換えると、第一端縁部45Aは、デッキプレートアッセンブリ1において一のデッキプレート1Aを他のデッキプレート1Aと接続させる場合に挿入する側として用いられるシングルハゼである。同じく、第二端縁部45Bは、デッキプレートアッセンブリ1において一のデッキプレート1Aを他のデッキプレート1Aと接続させる場合に挿入される側として用いられるダブルハゼである。
【0045】
<デッキプレートアッセンブリの構成>
デッキプレートアッセンブリ1は、複数枚のデッキプレート1Aの他、複数本の主筋支持金具82と、補強用主筋81と、を備えている。ここで、主筋支持金具82は、幅方向に並ぶ各鉄筋トラス2における上部主筋10の上に、長さ方向と交差する方向に架け渡された配設状態とされるものである。また、補強用主筋81は、その上方から掛かる力が配設状態の主筋支持金具82に掛かり、当該主筋支持金具82に掛かる力が鉄筋トラス2に掛けられる。言い換えると、補強用主筋81、主筋支持金具82、および鉄筋トラス2のそれぞれの間でされる支持は、上部主筋10のそれぞれの並びにおいて互いに隣り合う2本の上部主筋10の間となる中央を補強することとなる。以下に補強用主筋81と、主筋支持金具82とを説明する。
【0046】
<補強用主筋の構成>
補強用主筋81は、金属製(例えば鋼)の線材を軸方向に引き伸ばして、直線状に成形されたものである。補強用主筋81には、上部主筋10と同径の鉄筋を用いても良い。また、デッキプレートアッセンブリ1において補強用主筋81は、配設状態の上部主筋10の側方に並行して線状に延在されている。なお、補強用主筋81は、その長さ方向の寸法が上部主筋10より短くても良い。
【0047】
<主筋支持金具の構成>
主筋支持金具82は、図2に示すように、断面が円形となる金属製(例えば鋼)の線材を折曲げ加工して成形したものである。ここで、折曲げ加工には、係止部82Aおよび凹状部82Bの成形が含まれる。これにより、主筋支持金具82は、係止部82Aと、凹状部82Bとを備える形状となる。
【0048】
係止部82Aは、線材においてその延びる方向の端を直角に屈曲することで成形されている。ここで、係止部82Aが屈曲する方向は、凹状部82Bが凹む方向と同じである。そうすると、デッキプレートアッセンブリ1において配設状態の主筋支持金具82は、その断面が円形であることから、この係止部82Aが下方を向くように配設される。これにより、係止部82Aは、配設状態における主筋支持金具82が長さ方向と交差する方向において上部主筋10と係止する係止状態を実現することができる。そして、係止状態の係止部82Aは、上部主筋10のそれぞれのうちの少なくとも1つに対し、その長さ方向と交差する方向において係止されることで、幅方向において当該主筋支持金具82の位置決めを行う。これにより、配設状態の主筋支持金具82における係止部82Aは、その凹状部82Bが上部主筋10に対して移動することを抑止することができる。
【0049】
凹状部82Bは、線材においてクランク状の屈曲を線材の延びる方向に周期的に形成することで成形されている。具体的には、配設状態の主筋支持金具82における凹状部82Bは、上部主筋10のそれぞれの並びにおいて互いに隣り合う2本の上部主筋10の間となる中央に、下方に凹んだ状態で設けられている。また、図1に示すように、複数本の主筋支持金具82が長さ方向に並ぶように配設されているとき、主筋支持金具82のそれぞれにおいて対応する凹状部82Bのそれぞれは、当該長さ方向に並ぶ列82Cをなす。そうすると、対応する凹状部82Bの列82Cは、長さ方向に沿うように位置される。これにより、対応する凹状部82Bの列82Cは、補強用主筋81がデッキプレートアッセンブリ1に配設されている主筋支持金具82のそれぞれにおいて、対応する凹状部82Bの列82Cに対して上方から嵌め込まれる嵌込状態を実現することができる。
【0050】
また、デッキプレートアッセンブリ1によれば、隣り合う2セットの鉄筋トラス2における上部主筋10の中央に補強用主筋81を延在させることで、単位幅当たりの主筋の本数を増やすことができる。これにより、デッキプレートアッセンブリ1は、コンクリートC11(図2参照)打設後のコンクリートスラブC10(図2参照)における強度をより高めることができる。
【0051】
また、デッキプレートアッセンブリ1を構成する施工者(図示せず)は、補強用主筋81を、主筋支持金具82のそれぞれにおける、対応する凹状部82Bの列82Cに対して上方から嵌め込むという比較的簡単な作業によって配設することができる。
【0052】
ここで、配設状態における凹状部82Bの下方に凹んだ凹みは、図2に示すように、主筋支持金具82における線材の外径と上部主筋10の外径とを足した寸法と略同じ寸法となるように設定されている。そうすると、嵌込状態における補強用主筋81は、底板部40から見た上下方向の高さが上部主筋10のそれぞれと揃うように配設される。すなわち、嵌込状態における補強用主筋81と上部主筋10とは、底板部40から見た上下方向の高さが揃えられる。これにより、コンクリートC11打設後のコンクリートスラブC10における、上部主筋10の上方にある部分のかぶり厚さC10Aと補強用主筋81の上方にある部分のかぶり厚さC10Bとを揃えることができる。
【0053】
また、配設状態における凹状部82Bの下方に凹んだ凹みは、上部主筋10と同径の鉄筋を2本、幅方向に横並びにして配設させることが可能なサイズに形成されている。これにより、1つの凹状部82Bに、補強用主筋81の端部81Aを2本、幅方向に横並びにして配設させることで、補強用主筋81を接ぎ合わせて延長することができる。
【0054】
<デッキプレートアッセンブリの構成手順>
上述した第1の実施形態に係るデッキプレートアッセンブリ1を構成する際の作業の例について、図1を用いて説明する。
【0055】
まず、施工者(図示せず)は、建設現場において建造物の躯体梁5の間に敷き込むデッキプレート1Aの枚数を確認する。ここで、必要となるデッキプレート1Aの枚数は、コンクリートスラブC10の大きさに合わせて決定される。一般に、コンクリートスラブC10の大きさはメートル単位の幅を持つ。このため、施工者は、コンクリートスラブC10を構築するために必要なデッキプレート1Aの枚数を直感的に把握することができる。
【0056】
次に、施工者(図示せず)は、建造物の躯体梁5にデッキプレート1Aを幅方向に並んだ状態で掛け渡す。すなわち、施工者は、躯体梁5の間に複数枚のデッキプレート1Aが並行して架かった状態となるようにデッキプレート1Aを敷き込む。ここで、施工者は、必要となる複数枚のデッキプレート1Aにおいて、その中の一のデッキプレート1Aにおける第二端縁部45Bと、同じく他のデッキプレート1Aにおける第一端縁部45Aとを互いに連結させている。これにより、デッキプレートアッセンブリ1の仕掛品を構成することができる。
【0057】
次に、施工者(図示せず)は、デッキプレートアッセンブリ1の仕掛品において複数の主筋支持金具82を配設状態とする。この際、主筋支持金具82の係止部82Aが、幅方向における一方側の上部主筋10と、その長さ方向と交差する方向において係止されることで、主筋支持金具82のそれぞれの位置決めを行う。そうすると、主筋支持金具82のそれぞれにおいて対応する凹状部82Bのそれぞれは、当該長さ方向に並ぶ列82Cをなす。
【0058】
次に、施工者(図示せず)は、補強用主筋81を、主筋支持金具82のそれぞれにおける、対応する凹状部82Bの列82Cに対して上方から嵌め込む。これにより、嵌め込むという比較的簡単な作業によって、上部主筋10のそれぞれの並びにおいて互いに隣り合う2本の上部主筋10の間となる中央に補強用主筋81を配設することができる。従って、施工者は、デッキプレートアッセンブリ1を比較的簡単な作業によって構成することができる。
【0059】
<作用・効果>
デッキプレートを幅方向に連結して構成したデッキプレートの働き幅は、連結されるデッキプレートの働き幅の総和に等しくなる。ここで、上述したデッキプレート1Aは、従来広く採用されていた働き幅が400[mm]のデッキプレート(図示せず)よりも、デッキプレート1枚当たりの働き幅が広い。これにより、従来広く採用されていた働き幅が400[mm]のデッキプレートと比して、デッキプレートアッセンブリ1の働き幅を確保するために必要となる枚数がより少なくされたデッキプレート1Aを提供することができる。
【0060】
ここで、鉄筋トラス2はデッキプレート1Aの1枚につき2セットずつ使用されているため、1枚のデッキプレートアッセンブリ1に使用される鉄筋トラスのセット数は、上述した従来のデッキプレートアッセンブリに使用される鉄筋トラスのセット数よりも少ない。その分、デッキプレート1Aを採用したデッキプレートアッセンブリ1は、上記従来のデッキプレートアッセンブリよりも、アッセンブリ全体において使用される鉄筋等の金属材料の量を抑えることができる。
【0061】
上述したデッキプレート1Aによれば、幅方向に連結されるデッキプレート1Aが2枚につき1[m]の働き幅L7を有するデッキプレートアッセンブリ1を構成することができる。このため、メートル単位の幅を持つコンクリートスラブC10を構築するために必要なデッキプレート1Aの枚数は、コンクリートスラブC10の幅のメートル数の2倍となる。これにより、メートル単位の幅を持つコンクリートスラブC10の構築するために必要となる枚数が把握し易くされたデッキプレート1A、および、このデッキプレート1Aを連結したデッキプレートアッセンブリ1を提供することができる。
【0062】
上述したデッキプレート1Aにおいては、2本の設置エリア41にそれぞれ鉄筋トラス2が設置されることで、底板部40の補強がなされる。これに加え、デッキプレート1Aは、上部主筋10の長さ方向に沿って補強リブ42を延在させることで、底板部40をさらに補強することができる。
【0063】
なお、従来広く採用されていたデッキプレートは、働き幅が400[mm]で、鉄筋トラスにおける上部主筋の離間距離が200[mm]であるものである(図示省略)。これに対し、上述したデッキプレート1Aは、その鉄筋トラス2における上部主筋10の離間距離L5(図3参照)が、相対的に25[%]だけ長い。このデッキプレート1Aは、上述した補強の構成を有しており、デッキプレートアッセンブリ1に使用されるデッキプレートとして設計上要求される水準を満足させうる。
【0064】
上述したデッキプレートアッセンブリ1によれば、隣り合う2セットの鉄筋トラス2における上部主筋10の中央に補強用主筋81を延在させることで、単位幅当たりの主筋の本数を増やすことができる。これにより、デッキプレートアッセンブリ1は、コンクリートC11打設後のコンクリートスラブC10における強度をより高めることができる。
【0065】
上述したデッキプレートアッセンブリ1によれば、補強用主筋81を、各主筋支持金具82における凹状部82Bの列82Cに対して上方から嵌め込むという比較的簡単な作業によって配設することができる。
【0066】
上述したデッキプレートアッセンブリ1によれば、上部主筋10と補強用主筋81とは、底板部40から見た上下方向の高さが揃えられる。これにより、コンクリートC11打設後のコンクリートスラブC10における、上部主筋10のある部分のかぶり厚さC10Aと補強用主筋81のある部分のかぶり厚さC10Bとを揃えることができる。
【0067】
上述したデッキプレートアッセンブリ1によれば、1つの凹状部82Bに、補強用主筋81の端部を2本、幅方向に横並びにして配設させることで、補強用主筋81を接ぎ合わせて延長することができる。
【0068】
<第2の実施形態>
続いて、本開示の第2の実施形態にかかるデッキプレートアッセンブリ101の構成について、図4を用いて説明する。第2の実施形態にかかるデッキプレートアッセンブリ101は、第1の実施形態にかかるデッキプレートアッセンブリ1を変形した実施形態である。したがって、上記第1の実施形態にかかるデッキプレートアッセンブリ1の各構成と共通する構成については、第1の実施形態にかかるデッキプレートアッセンブリ1の各構成に付した符号の数字に「100」を加えた符号を付して対応させ、その詳細な説明を省略する。
【0069】
<主筋支持金具の構成>
主筋支持金具182は、断面が円形となる金属製の線材を折曲げ加工して成形したものである。ここで、折曲げ加工には、係止部182Aおよび凹状部182Bの成形が含まれる。これにより、主筋支持金具182は、係止部182Aと、凹状部182Bとを備える形状となる。
【0070】
係止部182Aは、線材においてその延びる方向の端を直角に屈曲することで成形されている。ここで、係止部182Aが屈曲する方向は、凹状部182Bが凹む方向と同じである。そうすると、デッキプレートアッセンブリ101において配設状態の主筋支持金具182は、この係止部182Aが下方を向くように配設される。これにより、係止部182Aは、配設状態における主筋支持金具182が長さ方向と交差する方向において係止する係止状態を実現することができる。そして、係止状態の係止部182Aは、上部主筋110のそれぞれのうちの少なくとも1つに対し、その長さ方向と交差する方向において係止されることで、幅方向において当該主筋支持金具182の位置決めを行う。これにより、配設状態の主筋支持金具182における係止部182Aは、その凹状部182Bが上部主筋110に対して移動することを抑止することができる。本実施形態においては、主筋支持金具182の幅方向の位置決めは、その凹状部182Bの凹みが2セットの鉄筋トラス102における上部主筋110の中央に来るようになされる。
【0071】
凹状部182Bは、線材においてV字状の屈曲を線材の延びる方向に周期的に形成することで成形されている。具体的には、配設状態の主筋支持金具82における凹状部182Bは、上部主筋110のそれぞれの並びにおいて互いに隣り合う2本の上部主筋110の間となる中央に、下方に凹んだ状態で設けられている。また、複数本の主筋支持金具182が長さ方向に並ぶように配設されているとき、主筋支持金具182のそれぞれにおいて対応する凹状部182Bのそれぞれは、当該長さ方向に並ぶ列(図示せず)をなす。そうすると、対応する凹状部182Bの列は、長さ方向に沿うように位置される。これにより、対応する凹状部182Bの列は、補強用主筋181がデッキプレートアッセンブリ101に配設されている主筋支持金具182のそれぞれにおいて、対応する凹状部182Bの列に対して上方から嵌め込まれる嵌込状態を実現することができる。この嵌込状態においては、各補強用主筋181は、凹状部182BにおけるV字状の屈曲に係止されることで、その幅方向(図4参照)の位置ずれが抑制される。
【0072】
また、デッキプレートアッセンブリ101によれば、隣り合う2セットの鉄筋トラス102における上部主筋110の中央に補強用主筋181を延在させることで、単位幅当たりの主筋の本数を増やすことができる。これにより、デッキプレートアッセンブリ101は、コンクリートC21打設後のコンクリートスラブC20における強度をより高めることができる。
【0073】
また、デッキプレートアッセンブリ101を構成する施工者(図示せず)は、補強用主筋181を、主筋支持金具182のそれぞれにおける、対応する凹状部182Bの列(図示せず)に対して上方から嵌め込むという比較的簡単な作業によって配設することができる。
【0074】
ここで、配設状態における凹状部182Bの下方に凹んだ凹みは、図4の底板部140から見て、嵌込状態における補強用主筋181の上方外周面の高さが、同じく上部主筋110の上方外周面の高さと略同じになるように設定されている。言い換えると、嵌込状態における補強用主筋181は、底板部140から見た上下方向の高さが上部主筋110のそれぞれと揃うように配設される。すなわち、嵌込状態における補強用主筋181と上部主筋110とは、底板部140から見た上下方向の高さが揃えられる。これにより、コンクリートC21打設後のコンクリートスラブC20における、上部主筋110の上方にある部分のかぶり厚さC20Aと補強用主筋181の上方にある部分のかぶり厚さC20Bとを揃えることができる。
【0075】
上述したデッキプレートアッセンブリ101によれば、嵌込状態における補強用主筋181が幅方向に位置ずれすることを抑制することができる。
【0076】
上述したデッキプレートアッセンブリ101によれば、嵌込状態における補強用主筋181は、2セットの鉄筋トラス102における上部主筋110の中央に、より近づけることができる。
【0077】
<他の実施形態>
以上、本発明を実施するための形態について、上述した実施形態によって説明した。しかしながら、当業者であれば、本発明の目的を逸脱することなく種々の代用、手直し、変更が可能であることは明らかである。すなわち、本発明の目的を実施するための形態は、本明細書に添付した請求の範囲の精神および目的を逸脱しない全ての代用、手直し、変更を含みうるものである。例えば、本発明を実施するための形態として、以下のような各種の形態を実施することができる。
【0078】
本開示に係るデッキプレートは、底板部に設けられる補強リブが2本でなくても良い。すなわち、本開示に係るデッキプレートは、その底板部に補強リブが1本だけ設けられたものであっても、3本以上の補強リブが底板部に設けられたものであっても良い。
【0079】
本開示に係るデッキプレートアッセンブリにおいて、主筋支持金具は、その形状が1種類に特定されたものに限定されない。例えば、本開示に係るデッキプレートアッセンブリは、図2に示す主筋支持金具82と、図4に示す主筋支持金具182の2種類を両方用いたものであっても良い。この場合においては、補強用主筋の接ぎ合わせが行われる位置の主筋支持金具を主筋支持金具82とし、それ以外の位置の主筋支持金具を主筋支持金具182としても良い。係る場合、デッキプレートアッセンブリは、2本の補強用主筋を幅方向に横並びに並べて接ぎ合わせることと、これらの補強用主筋が幅方向に位置ずれすることの抑止とを両立させることができる。
【0080】
本開示に係るデッキプレートアッセンブリにおいて、補強用主筋には、上部主筋と区別する目印が付設されても良い。例えば、補強用主筋は、その長さ方向における両端において黄色のテープが貼付されても良い。係る場合、施工者は、補強用主筋がデッキプレートアッセンブリに配設されていることを認識することができる。
【符号の説明】
【0081】
1 デッキプレートアッセンブリ
1A デッキプレート
2 鉄筋トラス
5 躯体梁
10 上部主筋
20 下部主筋
30 ラチス材
30a ラチス材
30b ラチス材
31 山部
31a 山部
31b 山部
32 谷部
32a 谷部
32b 谷部
33 第一接合部位
34 第二接合部位
36 折曲点
37 脚部
38 傾斜部
38D 下方傾斜部
38U 上方傾斜部
39 固着部
40 底板部
41 設置エリア
41A 突条部
42 補強リブ
45 端縁
45A 第一端縁部
45B 第二端縁部
81 補強用主筋
81A 端部
82 主筋支持金具
82A 係止部
82B 凹状部
82C 列
101 デッキプレートアッセンブリ
101A デッキプレート
102 鉄筋トラス
110 上部主筋
120 下部主筋
140 底板部
141A 突条部
142 補強リブ
145 端縁
145A 第一端縁部
145B 第二端縁部
181 補強用主筋
182 主筋支持金具
182A 係止部
182B 凹状部
C10 コンクリートスラブ
C10A かぶり厚さ
C10B かぶり厚さ
C11 コンクリート
C20 コンクリートスラブ
C20A かぶり厚さ
C20B かぶり厚さ
C21 コンクリート
L1 離間距離
L5 離間距離
L6 働き幅
L7 働き幅
L8 寸法
L9 寸法
L10 間隔
θ1 角度
θ2 角度
θ5 角度
θ6 角度
図1
図2
図3
図4