(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104859
(43)【公開日】2024-08-06
(54)【発明の名称】可変形性クッション
(51)【国際特許分類】
A47C 27/00 20060101AFI20240730BHJP
【FI】
A47C27/00 Q
A47C27/00 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023009256
(22)【出願日】2023-01-25
(71)【出願人】
【識別番号】592009214
【氏名又は名称】大東電機工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】安田岡本弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】鳳 政
(72)【発明者】
【氏名】清水 新策
【テーマコード(参考)】
3B096
【Fターム(参考)】
3B096AA03
3B096AB05
3B096AD00
(57)【要約】
【課題】使用者の体に添って自然に変形するクッションにおいて、簡単に本体形状を変形させて整える機能を備えることにより、より楽な姿勢で使用することができるので、リラックス効果をさらに向上させることができる可変形性クッションを提供する。
【解決手段】本発明の可変形性クッション1は、内部に装入された流動性を有する内容物により使用者Mの体型や姿勢に添って形状を変形可能とされた可変形性クッション1において、内容物が装入された袋体2を備えるクッション体3を有し、クッション体3には、袋体2を少なくとも二つ以上の袋体に仕切って、内容物の移動を制限する制限部材8,11,14が設けられている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に装入された流動性を有する内容物により使用者の体型や姿勢に添って形状を変形可能とされた可変形性クッションにおいて、
前記内容物が装入された袋体を備えるクッション体を有し、
前記クッション体には、前記袋体を少なくとも二つ以上の袋体に仕切って、前記内容物の移動を制限する制限部材が設けられている
ことを特徴とする可変形性クッション。
【請求項2】
前記制限部材は、前記袋体を第1袋体と第2袋体に仕切って、前記内容物の移動を制限する第1制限部材を有している
ことを特徴とする請求項1に記載の可変形性クッション。
【請求項3】
前記第1袋体は、前記第1制限部材により、前記使用者が着座可能な座部となり、
前記第2袋体は、前記第1制限部材により形が整えられ且つ、前記第1袋体に対して後側にて起立された状態で配備される
ことを特徴とする請求項2に記載の可変形性クッション。
【請求項4】
前記制限部材は、前記袋体を第1袋体と第3袋体に仕切って、前記内容物の移動を制限する第2制限部材を有している
ことを特徴とする請求項1または2に記載の可変形性クッション。
【請求項5】
前記第1袋体は、前記第2制限部材により、前記使用者が着座可能な座部となり、
前記第3袋体は、前記第2制限部材により形が整えられ且つ、前記第1袋体に対して左側にて起立された状態で配備される
ことを特徴とする請求項4に記載の可変形性クッション。
【請求項6】
前記制限部材は、前記袋体を第1袋体と第4袋体に仕切って、前記内容物の移動を制限する第3制限部材を有している
ことを特徴とする請求項1、2、4のいずれかに記載の可変形性クッション。
【請求項7】
前記第1袋体は、前記第3制限部材により、前記使用者が着座可能な座部となり、
前記第4袋体は、前記第3制限部材により形が整えられ且つ、前記第1袋体に対して右側にて起立された状態で配備される
ことを特徴とする請求項6に記載の可変形性クッション。
【請求項8】
前記内容物は、前記袋体の内部に前記空間部が設けられるように、前記袋体の内容積より少ない量が装入されていて、前記クッション体が変形可能となる
ことを特徴とする請求項1に記載の可変形性クッション。
【請求項9】
前記袋体には、マッサージ機構が配備されていることを特徴とする請求項1に記載の可変形性クッション。
【請求項10】
前記内容物が装入された前記袋体の外側または内側に、前記マッサージ機構を収容する第5の袋体が設けられていて、
前記マッサージ機構は、前記第5の袋体の内部において移動可能とされている
ことを特徴とする請求項9に記載の可変形性クッション。
【請求項11】
前記第5の袋体には、前記マッサージ機構の移動を制限する装置制限部材が配備されている
ことを特徴とする請求項10に記載の可変形性クッション。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者の姿勢に合わせて形が自然に変化する可変形性クッションであって、簡単に本体形状を変形させて整えて使用することも可能となる可変形性クッションに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、抱き枕に代表されるような「使用者の体型や姿勢に合わせて形状が変化するクッション」は数多く販売されている。例えば、特許文献1には、移動が容易であるような分量の詰め物を棒状蒲団側内に封入した状態において棒状蒲団側内に遊びの空間部を残存させ、任意に折り曲げ可能な状態に構成した抱き蒲団が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来から販売されている抱き枕などの可変形性クッションは、使用者の体に添った形に自然に変形するため心地の良いクッションとなっている。ところが近年、可変形性クッションにおいて、リラックス効果のさらなる向上が求められている。このようなユーザのニーズに応えるべく、従来からある使用者の体に添って自然に変形する機能に加えて、例えば、ユーザのニーズに合わせて簡単に本体形状を(例えば、椅子形状に)変形させて整えることで、可変形性クッションの使用形態を変更することができる機能を持たせるなどの付加価値を検討した。
【0005】
本発明は、上述の市場のニーズなどの課題を鑑みてなされたものであり、使用者の体に添って自然に変形するクッションにおいて、簡単に本体形状を変形させて整える機能を備えることにより、より楽な姿勢で使用することができるので、リラックス効果をさらに向上させることができる可変形性クッションを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本発明においては以下の技術的手段を講じた。
【0007】
即ち、本発明にかかる可変形性クッションは、内部に装入された流動性を有する内容物により使用者の体型や姿勢に添って形状を変形可能とされた可変形性クッションにおいて、前記内容物が装入された袋体を備えるクッション体を有し、前記クッション体には、前記袋体を少なくとも二つ以上の袋体に仕切って、前記内容物の移動を制限する制限部材が設けられていることを特徴とする。
【0008】
好ましくは、前記制限部材は、前記袋体を第1袋体と第2袋体に仕切って、前記内容物の移動を制限する第1制限部材を有しているとよい。
【0009】
好ましくは、前記第1袋体は、前記第1制限部材により、前記使用者が着座可能な座部となり、前記第2袋体は、前記第1制限部材により形が整えられ且つ、前記第1袋体に対して後側にて起立された状態で配備されるとよい。
【0010】
好ましくは、前記制限部材は、前記袋体を第1袋体と第3袋体に仕切って、前記内容物の移動を制限する第2制限部材を有しているとよい。
【0011】
好ましくは、前記第1袋体は、前記第2制限部材により、前記使用者が着座可能な座部となり、前記第3袋体は、前記第2制限部材により形が整えられ且つ、前記第1袋体に対して左側にて起立された状態で配備されるとよい。
【0012】
好ましくは、前記制限部材は、前記袋体を第1袋体と第4袋体に仕切って、前記内容物の移動を制限する第3制限部材を有しているとよい。
【0013】
好ましくは、前記第1袋体は、前記第3制限部材により、前記使用者が着座可能な座部となり、前記第4袋体は、前記第3制限部材により形が整えられ且つ、前記第1袋体に対して右側にて起立された状態で配備されるとよい。
【0014】
好ましくは、前記内容物は、前記袋体の内部に前記空間部が設けられるように、前記袋
体の内容積より少ない量が装入されていて、前記クッション体が変形可能となるとよい。
【0015】
好ましくは、前記袋体には、マッサージ機構が配備されているとよい。
【0016】
好ましくは、前記内容物が装入された前記袋体の外側または内側に、前記マッサージ機構を収容する第5の袋体が設けられていて、前記マッサージ機構は、前記第5の袋体の内部において移動可能とされているとよい。
【0017】
好ましくは、前記第5の袋体には、前記マッサージ機構の移動を制限する装置制限部材が配備されているとよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明の可変形性クッションによれば、使用者の体に添って自然に変形するクッションにおいて、簡単に本体形状を変形させて整える機能を備えることにより、より楽な姿勢で使用することができるので、リラックス効果をさらに向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明にかかる可変形性クッションを模式的に示した斜視図である。
【
図2】本発明にかかる可変形性クッションのクッション体が変形していない様子(制限部材(紐体)で縛らずに、第1袋体と第2袋体が連通状態にある様子)を模式的に示した斜視図である。
【
図3】本発明にかかる可変形性クッションのクッション体が変形した様子(制限部材(紐体)で縛って、第1袋体と第2袋体が独立した状態にある様子)を模式的に示した斜視図である。
【
図4】本発明にかかる可変形性クッションのクッション体が変形した様子(制限部材(紐体)で縛って、第1袋体と第2袋体と第3袋体と第4袋体が独立した状態にある様子)を模式的に示した斜視図である。
【
図5】本発明にかかる可変形性クッションの使用態様の一例を模式的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明にかかる可変形性クッション1の実施形態を、図を参照して説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を具体化した一例であって、その具体例をもって本発明の構成を限定するものではない。また、説明における前後方向、左右方向(幅方向)、上下方向は、本発明の可変形性クッション1に着座した使用者Mから見たものである。
【0021】
図1~
図5は、本発明の可変形性クッション1の概略および使用態様を模式的に示した図である。
【0022】
図1に示すように、本発明の可変形性クッション1(単に、クッション1と呼ぶこともある)は、流動性を有する内容物と、その内容物が装入される袋体2と、その袋体2が二つ以上組み合わせたものからなるクッション体3と、を有している。
【0023】
クッション体3は、使用者Mの体型や姿勢に添って自然に変形可能な可変形性を有している。クッション体3は、使用者Mの体の半分程度の大きさを有するものである。クッション体3には、内容物を装入可能な袋体2が二つ以上備えられている。本実施形態では、クッション体3は、4個の袋体4~7からなる。
【0024】
本実施形態の袋体2は、内容物を密に充填したものではなく、内部に余剰の空間部が設けられるように、袋体2の内容積より少ない量の内容物を装入して、全体的に余裕を持たせたものとなっている。これにより、クッション体3(クッション1)は、使用者Mの体型や姿勢に添って自然に変形するようになっている。
【0025】
袋体2は、布やプラスチックシートを縫い合わせて袋形状にしたものである。袋体2の素材は様々なものが採用可能であるが、綿のブロード地などを採用することができる。なお、袋体2の伸縮性については、設計事項により適宜変更可能である。
【0026】
袋体2の形状としては、様々なものが採用することができる。袋体2の形状は、その素材となる布体のカッティングや縫い合わせ位置により、任意のものが作成可能である。
図1に示すように、略三角錐形状となる袋体2でもよく、使用者Mが座った場合に、内部の内容物が移動し、臀部から腰部を覆うようにクッション1が変形する。
【0027】
図1~
図4などに示すように、本実施形態の袋体2は、使用者Mの臀部を載置可能な大きさを有する第1袋体4と、この第1袋体4から後側に連通状に延びる第2袋体5と、第1袋体4の左側に連通状に設けられる第3袋体6と、第1袋体4の右側に連通状に設けられる第4袋体7と、を有する。
【0028】
つまり、本実施形態の袋体2(クッション体3)は、4個の部屋に分かれていて、第1袋体4、第2袋体5、第3袋体6、第4袋体7のそれぞれは、連通した状態となっている。
【0029】
ただし、袋体2は、4個の部屋(第1袋体4~第4袋体7)に分かれるような形状にして、一枚のシート材からなるものとしてもよいし、4個の第1袋体4~第4袋体7をそれぞれ接合したものでもよい。なお、本実施形態では、第1袋体4、第2袋体5、第3袋体6、第4袋体7の4個に別れるものとしたが、少なくとも2個以上であればよい。
【0030】
第1袋体4は、使用者Mが着座することができる広さを有している。すなわち、第1袋体4は、使用者Mが着座することにより、座部となる。この第1袋体4は、略矩形状にカットされた布(可撓性を有する薄いシート材)を二枚重ね合わせて、縁を縫い合わされて構成されている。この第1袋体4の内部には、内容物としてビーズ(詳細は後述)が装入されている。
【0031】
第2袋体5は、使用者Mが第1袋体4に着座したとき略三角錐形状となり、背中を支えることができる大きさを有している。すなわち、第2袋体5は、使用者Mが第1袋体4に着座したとき、背もたれ部となる。
【0032】
この第2袋体5は、先端(第1袋体4から後方に離れる側)が紡錘状となるようにカットされた布(可撓性を有する薄いシート材)を二枚重ね合わせて、縁を縫い合わされてなるものである。この第2袋体5の内部には、ビーズが装入されている。また、第2袋体5は、第1袋体4と連通した状態となっていて、ビーズは第2袋体5と第1袋体4の間を移動可能となっている。
【0033】
第1袋体4の左側には、第3袋体6が設けられている。第3袋体6は、第1袋体4から左方へ延びるように設けられている。第3袋体6は、使用者Mが第1袋体4に着座したとき略三角錐形状となるものである。すなわち、第3袋体6は、使用者Mが第1袋体4に着座したとき、使用者Mの臀部左側を囲うように配備される。なお、第3袋体6は、左肘掛部として使用可能でもある。
【0034】
この第3袋体6は、先端(第1袋体4から左方向に離れる側)が紡錘状となるようにカットされた布(可撓性を有する薄いシート材)を二枚重ね合わせて、縁を縫い合わされてなるものである。この第3袋体6の内部には、ビーズが装入されている。また、第3袋体6は、第1袋体4と連通した状態となっていて、ビーズは第3袋体6と第1袋体4の間を移動可能となっている。
【0035】
第1袋体4の右側には、第4袋体7が設けられている。第4袋体7は、第3袋体6を左右に鏡像反転させた類似形状である。第4袋体7は、第1袋体4から右方へ延びるように設けられている。第4袋体7は、使用者Mが第1袋体4に着座したとき略三角錐形状となるものである。すなわち、第4袋体7は、使用者Mが第1袋体4に着座したとき、使用者Mの臀部右側を囲うように配備される。なお、第4袋体7は、右肘掛部として使用可能でもある。
【0036】
この第4袋体7は、先端(第1袋体4から右方向に離れる側)が紡錘状となるようにカットされた布(可撓性を有する薄いシート材)を二枚重ね合わせて、縁を縫い合わされているものである。この第4袋体7の内部には、ビーズが装入されている。また、第4袋体7は、第1袋体4と連通した状態となっていて、ビーズは第4袋体7と第1袋体4の間を移動可能となっている。
【0037】
すなわち、第1袋体4と第2袋体5、第1袋体4と第3袋体6、第1袋体4と第4袋体7のそれぞれは連通しており、ビーズは第1袋体4~第4袋体7内を自由に移動する。なお、本実施形態のクッション体3の形状、すなわち、第1袋体4~第4袋体7の形状、材質、配置などについては一例であり、これに限定されない。
【0038】
以上述べた第1袋体4~第4袋体7(袋体2)の内部には、流動性を有する内容物(詰
め物)として、ビーズが封入されている。このビーズの素材としては、様々なものが想定される。例えば、発泡スチロール粒、ポリエチレン粒、粒状パイプ等が好適であり、いずれもその直径は数mm~数cm程度である。なお、内容物に関し、流動性を有するものであれば、例示したものに限らず採用可能である。
【0039】
クッション1の第1袋体4~第4袋体7内に封入して使用されるビーズの分量としては、第1袋体4~第4袋体7内の全体積の50~90%程度とされ、ビーズが第1袋体4~第4袋体7内を容易に移動可能なように、第1袋体4~第4袋体7内に遊びの空間部を敢えて残存する状態としている。なお、ビーズの分量については、適宜変更可能である。
【0040】
つまり、ビーズ(内容物)の量は、第1袋体4~第4袋体7の容積より少ない量とされている。また、ビーズは、クッション1としての機能を有するとともに、第1袋体4~第4袋体7内を移動可能な量とされている。ただし、ビーズの素材や封入量などについては、座り心地などを考慮して決定するとよい。
【0041】
このような構成のため、クッション1はその形を自在に変えることができる。例えば、
図1~
図5などに示すように、使用者Mが手などを使って内部のビーズを移動させて自由に変形させたり、使用者Mがクッション1に体重をかけたりすることで、クッション1は使用者Mの体の形(体型や姿勢)に添って、密着するように形を自然に変形することができる。
【0042】
特に、本実施形態のクッション体3の場合、座部となる第1袋体4に使用者Mが腰掛けた場合(第1袋体4に使用者Mの臀部を介して荷重が加えられた場合)、第1袋体4の内部に存在したビーズが、背もたれ部となる第2袋体5に移動するとともに、左右の第3袋体6と第4袋体7にも移動するようになる。なお、座部となる第1袋体4においては、座った使用者Mの重みによりビーズが多く移動するので、ビーズの量が第2袋体5~第4袋体7と比較して少ない量となる。
【0043】
移動してきたビーズは、それぞれの第2袋体5~第4袋体7を充満する(容積をほぼ満たす)ことになる。第2袋体5は、移動してきたビーズにより、後方へ延びるとともに上方へ立ち上がるようになる。立ち上がった第2袋体5の前側には、使用者Mの背中が存在するため、第2袋体5は、使用者Mの背中を支える背もたれ部となる。
【0044】
また、第3袋体6は、移動してきたビーズにより、左方向へ延びるとともに上方へ立ち上がるように変形して配備される。同様に、第4袋体7は、移動してきたビーズにより、右方向へ延びるとともに上方へ立ち上がるように変形して配備される。
【0045】
第3袋体6と第4袋体7は、互いに幅方向で対面するように変形して配備される。この第3袋体6と第4袋体7の間には、使用者Mの臀部が存在するため、第3袋体6と第4袋体7は使用者Mの臀部を挟み込むような形となる。
【0046】
なお、クッション1として、塩化ビニール素材の空洞体に水などの液体(流体)を入れたものでもよい。内部の流体が空間的に移動できるものであれば、袋体2(クッション体3)は自由に変形し、使用者Mの姿勢や体型に添って自由に変形可能となる。
【0047】
本実施形態のクッション体3には、袋体3を少なくとも二つ以上の袋体に仕切って、内容物の移動を制限する制限部材が設けられている。本実施形態の制限部材は、後述する第1制限部材8、第2制限部材11、第3制限部材14からなるものである。
【0048】
本実施形態のクッション体3には、袋体2を第1袋体4と第2袋体5(二つの部屋)に仕切って、ビーズの移動を制限する第1制限部材8が設けられている。第2袋体5は、第1制限部材8により、第1袋体4の後側に設けられることとなる。
【0049】
本実施形態では、第1制限部材8は、第1袋体4と第2袋体5が切り替わる部位(連通した部位)に設けられている。すなわち、第1制限部材8により一つの袋体2が、第1袋体4と第2袋体5に別れるともいえる。
【0050】
第1制限部材8は、袋体2の内部に装入されたビーズの移動を制限することにより、ビーズが増えた一方側の袋体(ここでは、第2袋体5)の形状を整えて維持することができる。
【0051】
例えば、袋体2の内部のうち、第1袋体4となる側のビーズを第2袋体5となる側に移動させておき、第1制限部材8によりビーズの移動を制限することで、第2袋体5は形が
整って略三角錐形状に盛り上がったものとなる。
【0052】
つまり、第2袋体5は、第1制限部材8により形が整えられ且つ、第1袋体4に対して後側にて起立された状態で配備される。すなわち、本実施形態では第1制限部材8により、第1袋体4は使用者Mが着座可能な座部となり、第2袋体5は背もたれ部となる。なお、第1制限部材8を緩めると、第1袋体4と第2袋体5を連通状態に戻すことができる。
【0053】
本実施形態においては、第1制限部材8として、長尺の紐体を採用している。ただし、第1制限部材8は、紐体でもよいし、ベルトでもよく、第1袋体4と第2袋体5との間を制限してビーズの移動を制限することができるものであれば、特に限定はしない。
【0054】
第1袋体4と第2袋体5が切り替わる部位には、左右方向に沿って左側から右側にかけて、長尺の第1紐挿通部9が設けられている。第1紐挿通部9は、切り替わる部位の外側を周回する、左右方向に長いトンネル状の空間である。
【0055】
第1紐体8は、第1袋体4と第2袋体5が切り替わる部位を周回するように、第1紐挿通部9内を通過して添設されている。第1紐体8は、第1紐挿通部9の第1紐通し口10から外側に末端部が突出し、この末端部には持ち手が設けられている。本実施形態の第1紐通し口10は、左側に設けられている。なお、第1紐挿通部9、第1紐通し口10の位置については、適宜変更可能である。
【0056】
例えば、ビーズを第1袋体4と第2袋体5のそれぞれに寄せておく。なお、ビーズを袋体4,5のそれぞれに寄せる割合は任意に変更することができる。第1紐体8を引っ張って、第1紐挿通部9を蛇腹状に折りたたむことで、第1袋体4と第2袋体5の連通状態が制限され、二つの部屋(第1袋体4と第2袋体5)の間におけるビーズの移動を制限する。
【0057】
第1紐体8により、ビーズが増えた第2袋体5は形状が整った状態となるとともに、第1袋体4と第2袋体5はそれぞれ独立した状態で配備される。つまり、第1袋体4が座部となるとともに、第2袋体5が背もたれ部となり、着座可能なクッション体3となる。
【0058】
なお、第1紐体8を緩めると、第1紐挿通部9の折りたたみが解除されるので、第1袋体4と第2袋体5が連通する状態となり、ビーズの移動が可能となる。
【0059】
クッション体3には、袋体2を第1袋体4と第3袋体6(二つの部屋)に仕切って、ビーズの移動を制限する第2制限部材11が設けられている。第3袋体6は、第2制限部材11により第1袋体4の左側に設けられることとなる。
【0060】
本実施形態では、第2制限部材11は、第1袋体4と第3袋体6が切り替わる部位(連通した部位)に設けられている。すなわち、第2制限部材11により一つの袋体2が、第1袋体4と第3袋体6に別れるともいえる。
【0061】
第2制限部材11は、袋体2の内部に装入されたビーズの移動を制限することにより、ビーズが増えた一方側の袋体(ここでは、第3袋体6)の形状を整えて維持することができる。
【0062】
例えば、袋体2の内部のうち、第1袋体4となる側のビーズを第3袋体6となる側に移動させておき、第2制限部材11によりビーズの移動を制限することで、第3袋体6は形が整って略三角錐形状に盛り上がったものとなる。
【0063】
つまり、第3袋体6は、第2制限部材11により形が整えられ且つ、第1袋体4に対して左側にて起立された状態で配備される。すなわち、本実施形態では第2制限部材11により、第1袋体4は使用者Mが着座可能な座部となり、第3袋体6は左壁部となる。なお、第2制限部材11を緩めると、第1袋体4と第3袋体6を連通状態に戻すことができる。
【0064】
本実施形態においては、第2制限部材11として、長尺の紐体を採用している。ただし、第2制限部材11は、紐体でもよいし、ベルトでもよく、第1袋体4と第3袋体6との間を制限してビーズの移動を制限することができるものであれば、特に限定はしない。
【0065】
第1袋体4と第3袋体6が切り替わる部位には、前後方向に沿って前側から後側にかけて、長尺の第2紐挿通部12が設けられている。第2紐挿通部12は、切り替わる部位の外側を周回する、前後方向に長いトンネル状の空間である。
【0066】
第2紐体11は、第1袋体4と第3袋体6が切り替わる部位を周回するように、第2紐
挿通部12内を通過して添設されている。第2紐体11は、第2紐挿通部12の第2紐通し口13から外側に末端部が突出し、この末端部には持ち手が設けられている。本実施形態の第2紐通し口13は、後側に設けられている。なお、第2紐挿通部12、第2紐通し口13の位置については、適宜変更可能である。
【0067】
例えば、ビーズを第1袋体4と第3袋体6のそれぞれに寄せておく。なお、ビーズを袋体4,6のそれぞれに寄せる割合は任意に変更することができる。第2紐体11を引っ張って、第2紐挿通部12を蛇腹状に折りたたむことで、第1袋体4と第3袋体6の連通状態が制限され、二つの部屋(第1袋体4と第3袋体6)の間におけるビーズの移動を制限する。
【0068】
第2紐体11により、ビーズが増えた第3袋体6は形状が整った状態となるとともに、第1袋体4と第3袋体6はそれぞれ独立した状態で配備される。つまり、第3袋体6が第1袋体4に対して立ち上がるような形状となる。この第3袋体6は、使用者Mが第1袋体4に着座したとき、使用者Mの臀部左側を囲うように配備される。
【0069】
なお、第2紐体11を緩めると、第2紐挿通部12の折りたたみが解除されるので、第1袋体4と第3袋体6が連通する状態となり、ビーズの移動が可能となる。
【0070】
クッション体3には、袋体2を第1袋体4と第4袋体7(二つの部屋)に仕切って、ビーズの移動を制限する第3制限部材14が設けられている。第4袋体7は、第3制限部材14により第1袋体4の右側に設けられることとなる。
【0071】
本実施形態では、第3制限部材14は、第1袋体4と第4袋体7が切り替わる部位(連通した部位)に設けられている。すなわち、第3制限部材14により一つの袋体2が、第1袋体4と第4袋体7に別れるともいえる。
【0072】
第3制限部材14は、袋体2の内部に装入されたビーズの移動を制限することにより、ビーズが増えた一方側の袋体(ここでは、第4袋体7)の形状を整えて維持することができる。
【0073】
例えば、袋体2の内部のうち、第1袋体4となる側のビーズを第4袋体7となる側に移動させておき、第3制限部材14によりビーズの移動を制限することで、第4袋体7は形が整って略三角錐形状に盛り上がったものとなる。
【0074】
つまり、第4袋体7は、第3制限部材14により形が整えられ且つ、第1袋体4に対して右側にて起立された状態で配備される。すなわち、本実施形態では第3制限部材14により、第1袋体4は使用者Mが着座可能な座部となり、第4袋体7は右壁部となる。なお、第3制限部材14を緩めると、第1袋体4と第4袋体7を連通状態に戻すことができる。
【0075】
本実施形態においては、第3制限部材14として、長尺の紐体を採用している。ただし、第3制限部材14は、紐体でもよいし、ベルトでもよく、第1袋体4と第4袋体7との間を制限してビーズの移動を制限することができるものであれば、特に限定はしない。
【0076】
第1袋体4と第4袋体7が切り替わる部位には、前後方向に沿って前側から後側にかけて、長尺の第3紐挿通部15が設けられている。第3紐挿通部15は、切り替わる部位の外側を周回する、前後方向に長いトンネル状の空間である。
【0077】
第3紐体14は、第1袋体4と第4袋体7が切り替わる部位を周回するように、第3紐挿通部15内を通過して添設されている。第3紐体14は、第3紐挿通部15の第3紐通し口16から外側に末端部が突出し、この末端部には持ち手が設けられている。本実施形態の第3紐通し口16は、後側に設けられている。なお、第3紐挿通部15、第3紐通し口16の位置については、適宜変更可能である。
【0078】
例えば、ビーズを第1袋体4と第4袋体7のそれぞれに寄せておく。なお、ビーズを袋体4,7のそれぞれに寄せる割合は任意に変更することができる。第3紐体14を引っ張って、第3紐挿通部15を蛇腹状に折りたたむことで、第1袋体4と第4袋体7の連通状態が制限され、二つの部屋(第1袋体4と第4袋体7)の間におけるビーズの移動を制限する。
【0079】
第3紐体14により、ビーズが増えた第4袋体7は形状が整った状態となるとともに、第1袋体4と第4袋体7はそれぞれ独立した状態で配備される。つまり、第4袋体7が第
1袋体4に対して立ち上がるような形状となる。この第4袋体7は、使用者Mが第1袋体4に着座したとき、使用者Mの臀部右側を囲うように配備される。
【0080】
なお、第3紐体14を緩めると、第3紐挿通部15の折りたたみが解除されるので、第1袋体4と第4袋体7が連通する状態となり、ビーズの移動が可能となる。
【0081】
すなわち、第2紐体11によって独立する第3袋体6と、第3紐体14によって独立する第4袋体7は、座部となる第1袋体4を左右側方から囲うように変形する。これにより、第3袋体6と第4袋体7は、使用者Mの臀部を包み込むように配備される。
【0082】
なお、本実施形態の制限部材8,11,14(紐体8,11,14)、紐挿通部9,12,15、紐通し口10,13,16の形状、材質、配置などについては一例であり、これに限定されない。
【0083】
また、各制限部材8,11,14は、袋体2の内部に装入された内容物(ビーズ)の移動を制限する手段であり、本実施形態で例示した紐体やベルトのほかに、以下のような構造でも可能である。
【0084】
例えば、袋体2に制限部材8,11,14としてファスナー(ジッパー)を設けておき、そのファスナーの開閉により袋体2内のビーズの移動を制限するという手段などが挙げられる。また例えば、袋体2に制限部材8,11,14としてボタンを設けておき、そのボタンの開閉により袋体2内のビーズの移動を制限するという手段なども挙げられる。
【0085】
このように、ビーズが内部に装入された袋体2に、そのビーズの移動を制限する制限部材8,11,14を設けることで、自由度があるビーズクッション1において、使用者Mが気に入った形状(リラックスできる形状)にすることができるとともに、その形状を確実に維持することができるようになる。
[使用態様]
以上述べた本実施形態のクッション1の使用態様について、図面を参照しながら説明する。このクッション1の使用態様は一例であり、これに限定されない。
【0086】
本実施形態では、上述した制限部材8,11,14(紐体8,11,14)により、使用前にクッション体3の形状を任意の形状に予め変形させることができる。
【0087】
詳しくは、紐体8,11,14を使用していない、
図2に示す状態から始めることとする。まず、第1紐体8を使用する場合を述べる。ビーズを第1袋体4と第2袋体5のそれぞれに寄せておく。例えば、ビーズを第2袋体5に多めに移動させておく。
【0088】
図3に示すように、第1紐体8の持ち手を握り、第1紐体8を引っ張ると、第1紐通し口10から第1紐体8が引っ張り出され、第1紐挿通部9が蛇腹状に折りたたまれる。すなわち、第1袋体4と第2袋体5は、巾着袋を縛ったような状態となる。
【0089】
これにより、第1袋体4と第2袋体5の連通状態が制限され、第1袋体4と第2袋体5の間におけるビーズの移動が制限されて、第1紐体8(第1制限部材8)により、ビーズが増えた一方の第2袋体5の形状が整えられて維持される。これにより、第1袋体4と第2袋体5は、それぞれ独立した状態となる。なお、この状態でも使用可能であり、使用者Mが第1袋体4に体重をかけて座りこむと、第1袋体4が座部となるとともに、第2袋体5が背もたれ部となる。
【0090】
次に、第1紐体8に加えて、第2紐体11と第3紐体14を使用する場合を述べる。まず、ビーズを第1袋体4、第2袋体5、第3袋体6、第4袋体7のそれぞれに寄せておく。例えば、ビーズを第2袋体5、第3袋体6、第4袋体7に多く移動させておく。なお、第1紐体8の使用手順については、上述した通りである。
【0091】
図4に示すように、第2紐体11の持ち手を握り、第2紐体11を引っ張ると、第2紐通し口13から第2紐体11が引っ張り出され、第2紐挿通部12が蛇腹状に折りたたまれる。すなわち、第1袋体4と第3袋体6は、巾着袋を縛ったような状態となる。
【0092】
これにより、第1袋体4と第3袋体6の連通状態が制限され、第1袋体4と第3袋体6の間におけるビーズの移動が制限されて、第2紐体11(第2制限部材11)により、ビーズが増えた一方の第3袋体6の形状が整えられて維持される。これにより、第1袋体4と第3袋体6は、それぞれ独立した状態となる。この第3袋体6は、使用者Mが第1袋体4に着座したとき、使用者Mの臀部左側を囲うように配備される。
【0093】
つぎに、第3紐体14の持ち手を握り、第3紐体14を引っ張ると、第3紐通し口16から第3紐体14が引っ張り出され、第3紐挿通部15が蛇腹状に折りたたまれる。すなわち、第1袋体4と第4袋体7は、巾着袋を縛ったような状態となる。
【0094】
これにより、第1袋体4と第4袋体7の連通状態が制限され、第1袋体4と第4袋体7の間におけるビーズの移動が制限されて、第2紐体11(第2制限部材11)により、ビーズが増えた一方の第3袋体6の形状が整えられて維持される。これにより、第1袋体4と第4袋体7は、それぞれ独立した状態となる。この第4袋体7は、使用者Mが第1袋体4に着座したとき、使用者Mの臀部右側を囲うように配備される。
【0095】
このように、使用者Mが紐体8,11,14を使用して予め変形させたクッション1に座りこむことで、使用者Mの体に添いやすくなり、より立ち上がった第2袋体5にもたれ掛かることが可能になるとともに、第3袋体6と第4袋体7がより立ち上がることにより、使用者Mの臀部が深く包み込まれるので、より楽な姿勢で使用することができる。
【0096】
なお、第1紐体8を緩めると第1紐挿通部9の折りたたみが解除され、第2紐体11を緩めると第2紐挿通部12の折りたたみが解除され、第3紐体14を緩めると第3紐挿通部15の折りたたみが解除されるので、第1袋体4~第4袋体7の全てが連通する状態となり、ビーズの移動が可能となる(
図2を参照)。
【0097】
また、本実施形態では、紐体8,11,14を用いない場合でも、クッション1を使用することができる。
図2に示す状態で、使用者Mは、座部となる第1袋体4に体重をかけて、クッション体3に座りこむ。このとき、ビーズの一部が第1袋体4内の使用者Mの重みで、第2袋体5、第3袋体6、第4袋体7のそれぞれに移動する。第2袋体5は、移動してきたビーズにより内部が充満する。同様に、第3袋体6、第4袋体7も、移動してきたビーズにより内部が充満する。
【0098】
すると、第2袋体5は、後方へ延びるとともに上方へ立ち上がるようになり、使用者Mの背中を支える背もたれ部となる。また、第3袋体6は、左方向へ延びるとともに上方へ立ち上がるように変形し、使用者Mの臀部左側を囲うように配備される。なお、第3袋体6は、左肘掛部として使用してもよい。
【0099】
同様に、第4袋体7は、右方向へ延びるとともに上方へ立ち上がるように変形し、使用者Mの臀部右側を囲うように配備される。なお、第4袋体7は、右肘掛部として使用してもよい。
【0100】
図5に示すように、使用者Mがクッション1に座りこむことで、使用者Mの体に添って自然に変形し、第2袋体5にもたれ掛かることが可能になるとともに、第3袋体6と第4袋体7により使用者Mの臀部が包み込まれるので、楽な姿勢で使用することができる。
【0101】
以上、本発明の可変形性クッション1によれば、使用者Mの体に添って自然に変形するクッションにおいて、簡単に本体形状を任意の形状に(例えば、椅子形状に)予め変形させて整える機能、すなわち制限部材8,11,14(紐体8,11,14)を備えることにより、より楽な姿勢で使用することができるので、リラックス効果をさらに向上させることができる。
【0102】
さらに、本発明の可変形性クッション1は、例えば、内容物のビーズを移動させる前に、第1袋体4~第4袋体7の間でのビーズの流れを、各制限部材8,11,14で制限することにより、ビーズを移動させないようにすることもできる。これにより、可変形性クッション1の形状を簡単に変えることができる。
【0103】
各制限部材8,11,14でビーズの流れを制限しない場合、使用者が第1袋体4に座ると、第1袋体4の内部にあるビーズは、第2袋体5、第3袋体6、第4袋体7にそれぞれ押し出される。
【0104】
このとき、一例として第1制限部材8で第1袋体4と第2袋体5のビーズの流れを制限した場合、使用者が第1袋体4に座ると、第1袋体4から第2袋体5へのビーズの流量が制限され、その分第3袋体6、第4袋体7への流量(ビーズが移動する量)が増えることになる。
【0105】
すると、左右の第3袋体6と第4袋体7が立ち上がる(盛り上がる)が、後側の第2袋体5はビーズの流入が減るため、その第2袋体5の立ち上がり(盛り上がり)は、第1制
限部材8を使用しない場合と比較して抑えられる。つまり、背凭れ部となる第2袋体5は、寝た状態に近づくようになり、使用者は仰向けに寝たような姿勢となる。
【0106】
ビーズの流量(ビーズが移動する量)は、各制限部材8,11,14による制限の加減で変わるため、第2袋体5の立ち上がり具合は、第1制限部材8の加減(例えば、第1制限部材8を第1紐体8で実施する場合、巾着上にしたひもの内寸法長や結び目の強さ)によって調整することができる。
【0107】
第2制限部材11または第3制限部材14によって第1袋体4から第3袋体6、または第1袋体4から第4袋体7へのビーズの流量(流れ出すビーズの量)を制限した場合も同様に、第3袋体6または第4袋体7の立ち上がりが抑えられる。
【0108】
このように、各制限部材8,11,14を用いることにより、いずれかの袋体4~7に負荷をかけたときに、その袋体4~7から流れ出すビーズの流出先となる別の袋体4~7と、その袋体4~7への流出量(例えば、第1袋体4からビーズが流れ出る場合、別の袋体5~7とその袋体5~7へのビーズの移動量)を、選択的に調整することができ、ビーズクッション1の形状生成を自由に行うことが可能となる。
【0109】
本発明のクッション1を具現化するにあたっては、様々な改良を施してもよい。例えば、袋体2に、図示はしないが、マッサージ機構が配備されているとよい。
【0110】
具体的には、内容物(ビーズ)が装入された袋体2の外側または内側に、マッサージ機構を収容する第5の袋体(図示せず)が設けられているとよい。すなわち、マッサージ機構は第5の袋体を介して、袋体2に配備されている。また、マッサージ機構は、第5の袋体の内部において移動可能とされているとよい。
【0111】
例えば、第1袋体4の外側にマッサージ機構を収容した第5の袋体を配備しておけば、臀部などをマッサージすることができる。また、第2袋体5の外側にマッサージ機構を収容した第5の袋体を配備しておけば、背部などをマッサージすることができる。
【0112】
また、第5の袋体には、マッサージ機構の移動を制限する装置制限部材(図示せず)が配備されているとよい。装置制限部材により、マッサージ機構の位置を任意に設定することができるようになる。
【0113】
また例えば、袋体2(クッション体3)の内部は、使用者Mにマッサージを付与可能なマッサージ機構(機械式・エアバッグ式いずれも可能)を収容可能な構成としてもよい。すなわち、少なくとも第1袋体4~第4袋体7のいずれかの内部は、マッサージ機構を移動可能に収容する構成とされているとよい。
【0114】
連通状とされた第1袋体4と第2袋体5との間を、マッサージ機構が移動することができるようにしておき、第1紐体8(第1制限部材8)で第1袋体4と第2袋体5のいずれかの内部に移動させて配置することができるようにするとよい。
【0115】
詳しくは、第1紐体8を使用していない、
図2に示す状態から始めることとする。例えば、マッサージ機構を第2袋体5に移動させておく。なお、ビーズも第2袋体5に移動させておくとよい。すなわち、第2袋体5にビーズをやや多めに移動させておくことで、背中と当たる表面側にマッサージ機構を寄せておく。
【0116】
図3に示すように、第1紐体8の持ち手を握り、第1紐体8を引っ張ると、第1紐通し口10から第1紐体8が引っ張り出され、第1紐挿通部9が蛇腹状に折りたたまれる。この第1袋体4と第2袋体5は、巾着袋を縛ったような状態となる。
【0117】
これにより、第1袋体4と第2袋体5の連通状態が制限され、マッサージ機構は第2袋体5の内部に配置されることとなる。第1袋体4と第2袋体5がそれぞれ独立した状態となる。この状態で使用者Mが第1袋体4に体重をかけて座りこむと、第1袋体4が座部となるとともに、第2袋体5が背もたれ部となる。使用者Mの背中にマッサージ機構が当たることとなり、背中に対してマッサージを受けることができるようになる。
【0118】
なお、マッサージ機構を第1袋体4に移動させておき、上述の手順を行うと、第1袋体4が座部となって使用者Mの臀部にマッサージ機構が当たることとなり、臀部に対してマッサージを受けることができるようになる。
【0119】
また、マッサージ機構を第3袋体6に移動させて配置する場合、第2紐体11を用いて第3袋体6からのマッサージ機構の移動を制限しておくと、所望の施療部に対してマッサ
ージを受けることができる。
【0120】
また、マッサージ機構を第4袋体7に移動させて配置する場合、第3紐体14を用いて第4袋体7からのマッサージ機構の移動を制限しておくと、所望の施療部に対してマッサージを受けることができる。
【0121】
また、袋体2を二重構造とすることも好ましい。二重構造とした場合、外布体(外カバー)は、洗濯するために取り外せるカバーとすることができ、内布体(内カバー)は、ビーズを収めた袋体2とすることができる。
【0122】
ただし、袋体2内での内容物(ビーズ)の移動を制限する各制限部材8,11,14(例えば、紐体やベルトなど)に関しては、外布体(外カバー)、または、内布体(内カバー)のいずれに配備してもよい。
【0123】
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。特に、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。
【0124】
ただし、本実施形態での第1袋体4~第4袋体7、第1制限部材8~第3制限部材14の名称の付し方については、本発明を説明する上で便宜的に付けただけであり、それらの名称の付し方については任意である。
【符号の説明】
【0125】
1 可変形性クッション
2 袋体
3 クッション体
4 第1袋体
5 第2袋体
6 第3袋体
7 第4袋体
8 第1制限部材(第1紐体)
9 第1紐挿通部
10 第1紐通し口
11 第2制限部材(第2紐体)
12 第2紐挿通部
13 第2紐通し口
14 第3制限部材(第3紐体)
15 第3紐挿通部
16 第3紐通し口
M 使用者