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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104878
(43)【公開日】2024-08-06
(54)【発明の名称】親綱取付具
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/32 20060101AFI20240730BHJP
   E04G 5/00 20060101ALI20240730BHJP
   E04D 15/00 20060101ALI20240730BHJP
   E04D 13/00 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
E04G21/32 D
E04G5/00 301B
E04D15/00 V
E04D13/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023009284
(22)【出願日】2023-01-25
(71)【出願人】
【識別番号】000203977
【氏名又は名称】日鉄テックスエンジ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000227146
【氏名又は名称】日綜産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100139376
【弁理士】
【氏名又は名称】八代 則子
(72)【発明者】
【氏名】平佐田 崇
(72)【発明者】
【氏名】山口 貴志
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 暁伸
(72)【発明者】
【氏名】藤本 俊伸
(57)【要約】
【課題】親綱から伝わる荷重の好適な吸収が妨げられることを抑制することができる親綱取付具を提供する。
【解決手段】親綱取付具10は、屋根上に設置される台座11と、台座11に固定されるとともに、親綱が連結される支柱12とを含む。台座11は、支柱固定部20と、ベース部21と、2つのフレーム部22とを含む。各フレーム部22は、外フレーム部31と、外フレーム部31とベース部21とを接続する接続フレーム部32とを含む。接続フレーム部32は、外フレーム部31とベース部21との両端同士を接続する2つの端接続部33と、当該2つの端接続部33に挟まれたベース接続部34とを含む。支柱固定部20は、ベース部21とベース接続部34とが互いに接続される部位に設けられる。ベース部21の両端部21aは、各フレーム部22における各ベース接続部34と各外フレーム部31とが接続される部位よりも低剛性である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
命綱が引っ掛けられる親綱を連結することによって、当該親綱を張り渡すように構成された親綱取付具であって、
作業場に設置される台座と、
前記台座に固定されるとともに、前記親綱が連結される支柱と、を含み、
前記台座は、前記支柱を固定するための支柱固定部と、一方向に延びるベース部と、前記ベース部を中心に互いに異なる側に配置される2つのフレーム部とを含み、
前記フレーム部は、前記ベース部が延びる方向に沿って延びる外フレーム部と、前記外フレーム部と前記ベース部とを接続する接続フレーム部とを含み、
前記接続フレーム部は、前記外フレーム部と前記ベース部との両端同士を接続する2つの端接続部と、当該2つの端接続部に挟まれたベース接続部とを含み、
前記支柱固定部は、前記ベース部と前記ベース接続部とが互いに接続される部位に設けられ、
前記ベース部の両端部は、前記フレーム部における前記ベース接続部と前記外フレーム部とが接続される部位よりも低剛性である親綱取付具。
【請求項2】
前記ベース部、前記外フレーム部、及び前記ベース接続部は、前記支柱が延びる方向に沿って延びるフランジ部を有する溝形鋼材であり、
前記端接続部は、前記支柱が延びる方向、かつ、互いに接近する方向に延びる山形をなす山形鋼材であり、
前記ベース部の両端部には、前記ベース部の延びる方向と交差する表面を有する補強板が溶接によって接合され、
前記ベース接続部の前記ベース部と反対側のフレーム端部は、前記ベース部側から前記外フレーム部のフランジ側面に溶接によって接合され、
前記補強板が溶接される範囲は、前記フレーム端部が前記外フレーム部のフランジ側面に対して溶接される範囲よりも小さい請求項1に記載の親綱取付具。
【請求項3】
前記支柱固定部は、前記支柱を挿入するための開口を有する円筒状であり、
前記支柱固定部における前記開口と反対側の基部は、前記ベース部のウェブに溶接によって接合されるウェブ接合部と、前記ベース部及び前記ベース接続部のそれぞれのフランジ部の先端部に溶接によって接合されるフランジ接合部とを含む請求項2に記載の親綱取付具。
【請求項4】
前記ベース部及び前記ベース接続部のうち、前記ベース部は、当該ベース部を貫通する肉抜き孔を有する請求項1~請求項3のうちいずれか一項に記載の親綱取付具。
【請求項5】
前記ベース部及び前記ベース接続部のうち、前記ベース部は、前記台座を作業場に固定するための固定孔を有し、
前記ベース部における前記固定孔は、前記肉抜き孔を兼ねる請求項4に記載の親綱取付具。
【請求項6】
前記支柱は、前記親綱を連結するための複数の連結環を有し、
前記複数の連結環は、前記支柱における前記支柱固定部とは反対側の端部において、前記支柱の周方向に連結口を有するように当該支柱の径方向外側に突出しており、
前記複数の連結環の位相は、前記支柱の周方向において互いに等角度ずつずれる請求項1~3のうちいずれか一項に記載の親綱取付具。
【請求項7】
前記支柱固定部は、前記支柱を挿入するための開口を有する円筒状であり、かつ、前記親綱を連結するための複数の固定部用連結環を有し、
前記複数の固定部用連結環は、前記開口と反対側の基部と、前記開口との間において、前記支柱固定部の周方向に連結口を有するように当該支柱固定部の径方向外側に突出しており、
前記複数の固定部用連結環の位相は、前記支柱固定部の周方向において互いに等角度ずつずれる請求項1~3のうちいずれか一項に記載の親綱取付具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、親綱取付具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高所作業する作業者は、安全確保のために命綱を使用する。命綱は、高所作業場に張り渡された親綱に引っ掛けて使用される。高所作業場に親綱を張り渡す場合、例えば、特許文献1に記載の親綱取付具、より詳しくは、基台と支柱とを有する親綱取付具が用いられる。基台は、高所作業場である、例えば、屋根上等に固定して用いられる台座である。支柱は、親綱を連結するための連結環を有し、基台に固定されている。支柱における連結環が設けられた側と反対側の端部は、基台に設けられたスリーブに挿入された状態で固定されている。基台におけるスリーブは、基台を構成する溝形鋼材にリブを介して固定されている。親綱取付具は、屋根上等に固定された状態で、親綱を通じて荷重が作用する場合、親綱から伝わる荷重を支柱、スリーブ、リブの順に基台に伝達する。こうして荷重が伝達された基台は、捩じり変形を伴うことによって、親綱から伝わる荷重を吸収することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-215736号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
親綱取付具においては、親綱から伝わる荷重が特定箇所に集中してしまうと、当該荷重の好適な吸収が妨げられてしまう。つまり、親綱から伝わる荷重を吸収する際、当該荷重の特定箇所への集中を抑制することが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決し得る親綱取付具の各態様を記載する。
[態様1]命綱が引っ掛けられる親綱を連結することによって、当該親綱を張り渡すように構成される親綱取付具であって、作業場に設置される台座と、前記台座に固定されるとともに、前記親綱が連結される支柱と、を含み、前記台座は、一方向に延びるベース部と、前記ベース部を中心に互いに異なる側に配置される2つのフレーム部と、前記支柱を固定するための支柱固定部とを含み、前記フレーム部は、前記ベース部が延びる方向に沿って延びる外フレーム部と、前記外フレーム部と前記ベース部とを接続する接続フレーム部とを含み、前記接続フレーム部は、前記外フレーム部と前記ベース部との両端同士を接続する2つの端接続部と、当該2つの端接続部に挟まれたベース接続部とを含み、前記支柱固定部は、前記ベース部と前記ベース接続部とが互いに接続される部位に設けられ、前記ベース部の両端部は、前記ベース接続部と前記外フレーム部とが接続される部位よりも低剛性である親綱取付具。
【0006】
上記構成によれば、親綱を通じて親綱取付具に荷重が作用する場合、親綱から伝わる荷重は、支柱から支柱固定部に伝達される。支柱固定部に伝達された荷重は、支柱固定部から当該支柱固定部と接続されているベース部及び各ベース接続部に伝達される。ベース部及び各ベース接続部に伝達された荷重は、各端接続部及び各外フレーム部に伝達されることによって、各フレーム部に伝達される。つまり、親綱から伝わる荷重は、支柱、支柱固定部、ベース部、各ベース接続部の順に伝達された後、各端接続部、各外フレーム部の順に台座の全体に伝達される。また、親綱から伝わる荷重は、各外フレーム部を介して、親綱取付具の設置先である作業場に伝達される。これにより、親綱から伝わる荷重が特定箇所に集中してしまうことを抑制することができる。したがって、支柱固定部と接続されているベース部及び各ベース接続部のうち、各ベース接続部と各外フレーム部とが接続される部位よりも低剛性であるベース部の両端部に好適な変形を伴わせることができる。これは、親綱から伝わる荷重の好適な吸収が妨げられることを抑制するのに効果的である。
【0007】
[態様2]前記ベース部、前記外フレーム部、及び前記ベース接続部は、前記支柱が延びる方向に沿って延びるフランジ部を有する溝形鋼材であり、前記端接続部は、前記支柱が延びる方向、かつ、互いに接近する方向に延びる山形をなす山形鋼材であり、前記ベース部の両端部には、前記ベース部の延びる方向と交差する表面を有する補強板が溶接によって接合され、前記ベース接続部の前記ベース部と反対側のフレーム端部は、前記ベース部側から前記外フレーム部のフランジ側面に溶接によって接合され、前記補強板が溶接される範囲は、前記フレーム端部が前記外フレーム部のフランジ側面に対して溶接される範囲よりも小さい[態様1]に記載の親綱取付具。
【0008】
上記構成によれば、ベース部について、ベース接続部と外フレーム部とが接続される部位よりも低剛性の構成を好適に実現することができる。
[態様3]前記支柱固定部は、前記支柱を挿入するための開口を有する円筒状であり、前記支柱固定部における前記開口と反対側の基部は、前記ベース部のウェブに溶接によって接合されるウェブ接合部と、前記ベース部及び前記ベース接続部のそれぞれのフランジ部の先端部に溶接によって接合されるフランジ接合部とを含む[態様2]に記載の親綱取付具。
【0009】
上記構成によれば、支柱固定部を、ウェブ接合部及びフランジ接合部を介して、ベース部及びベース接続部に接合することができる。例えば、支柱固定部は、親綱から伝わる荷重が大きい場合、フランジ接合部の一部が破断する等して、親綱から伝わる荷重の一部を吸収することができる。これにより、親綱から伝わる荷重が支柱に集中してしまうことを抑制することができる。したがって、親綱を通じて親綱取付具に荷重が作用する場合、支柱が破断する等の事態の発生を抑制することができる。
【0010】
[態様4]前記ベース部及び前記ベース接続部のうち、前記ベース部は、当該ベース部を貫通する肉抜き孔を有する[態様1]~[態様3]のうちいずれか一つに記載の親綱取付具。
【0011】
上記構成によれば、ベース部について、各ベース接続部よりも低剛性の構成を好適に実現することができる。したがって、ベース部の両端部の変形に伴っては、ベース部自体にも変形を伴わせることができる。これは、ベース部及び各ベース接続部にそれぞれ伝達された荷重の一部を好適に吸収するのに効果的である。
【0012】
[態様5]前記ベース部及び前記ベース接続部のうち、前記ベース部は、前記台座を作業場に固定するための固定孔を有し、前記ベース部における前記固定孔は、前記肉抜き孔を兼ねる[態様4]に記載の親綱取付具。
【0013】
上記構成によれば、ベース部について、ベース接続部よりも低剛性の構成を好適に実現する際、肉抜き孔、つまり固定孔を形成する工程を削減することができる。
[態様6]前記支柱は、前記親綱を連結するための複数の連結環を有し、前記複数の連結環は、前記支柱における前記支柱固定部とは反対側の端部において、前記支柱の周方向に連結口を有するように当該支柱の径方向外側に突出しており、前記複数の連結環の位相は、前記支柱の周方向において互いに等角度ずつずれる[態様1]~[態様5]のうちいずれか一つに記載の親綱取付具。
【0014】
上記構成によれば、台座を配置する向きに関係なく、周方向から親綱を連結することができる。これは、台座、すなわち親綱取付具の配置する際の利便性の向上を図るのに効果的である。
【0015】
[態様7]前記支柱固定部は、前記支柱を挿入するための開口を有する円筒状であり、かつ、前記親綱を連結するための複数の固定部用連結環を有し、前記複数の固定部用連結環は、前記開口と、前記開口とは反対側の基部との間において、前記支柱固定部の周方向に連結口を有するように当該支柱固定部の径方向外側に突出しており、前記複数の固定部用連結環の位相は、前記支柱固定部の周方向において互いに等角度ずつずれる[態様1]~[態様6]のうちいずれか一つに記載の親綱取付具。
【0016】
上記構成によれば、台座により近い位置、すなわち低い位置においても、親綱を連結することができる。これは、作業場上に親綱を張り渡す際の利便性の向上を図るのに効果的である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、親綱から伝わる荷重の好適な吸収が妨げられることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施形態に係る親綱取付具の斜視図である。
図2図1の親綱取付具が備える台座を上方から見た斜視図である。
図3図2の台座を上方から見た平面図である。
図4図3の4-4線に沿った断面図である。
図5図3の5-5線に沿った断面図である。
図6図2の台座を側方から見た平面図である。
図7図3の7-7線に沿った断面図である。
図8図1の親綱取付具の他の使用状態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、一実施形態にかかる親綱取付具を図面に従って説明する。
図1に示すように、親綱取付具10は、高所作業場である、例えば、屋根Y上において、作業者の転落を防止する際に使用される。屋根Yは、折板屋根である他、大波屋根、スレート屋根、小波屋根を含む。親綱取付具10は、親綱Rを連結することによって、高所作業場に親綱Rを張り渡す。親綱Rは、天然繊維又は合成繊維からなるロープである他、金属線からなるワイヤーロープを含む。作業者が使用する命綱Lは、高所作業場に張り渡された親綱Rに引っ掛けて使用される。以下の説明において、「上」、「下」等の用語で表される向きは、重力方向を基準として定義される。
【0020】
<親綱取付具>
親綱取付具10は、台座11と、支柱12とを有している。台座11は、作業場に設置される。台座11は、支柱12を固定するための支柱固定部20を有している。支柱固定部20の形状は、支柱12を挿入するための円形状の開口20aを有する円筒状である。開口20aは、支柱固定部20において、屋根Yから離間する側である上側の端部に設けられている。例えば、支柱固定部20は鞘管である。支柱12は、その第1端12aが開口20a側から支柱固定部20に挿入されている。つまり、支柱12は、第1端12aが下側、当該第1端と反対側の第2端12bが上側となって、台座11から上方に向かって延びている。支柱12は、支柱固定部20に挿入された状態で、ピン等によって固定されている。支柱12は、親綱Rを連結するための連結環12cを有している。連結環12cの数は、4つである。各連結環12cは、支柱12の第2端12bに設けられている。各連結環12cは、支柱12の周方向に連結口を有するように支柱12の径方向外側に突出している。各連結環12cの位相は、支柱12の周方向において互いに等角度である90度ずつずれる。各連結環12cは、上方からみて、クロス形状に配置される。
【0021】
<台座>
図2及び図3に示すように、台座11は、支柱固定部20と、ベース部21と、2つのフレーム部22とを有している。
【0022】
ベース部21と各フレーム部22とは、互いに接続されることによって、格子状の枠体16を構成している。ベース部21は、上下方向に直交する一方向(水平方向)に延びている。各フレーム部22は、ベース部21を中心に互いに異なる側に配置されている。各フレーム部22は、上方からみて、支柱固定部20を中心に点対象である。各フレーム部22は、外フレーム部31と、接続フレーム部32とを有している。外フレーム部31は、ベース部21が延びる方向に沿って延びている。外フレーム部31の全長は、ベース部21の全長と同一である。接続フレーム部32は、2つの端接続部33と、ベース接続部34とを有している。
【0023】
各端接続部33及びベース接続部34は、ベース部21が延びる方向と直交する方向に沿って延びている。各端接続部33及びベース接続部34の全長は、ベース部21、すなわち外フレーム部31よりも小さい。
【0024】
各端接続部33は、ベース部21と外フレーム部31との両端同士を接続する。各端接続部33は、ベース部21の両端部21aと、外フレーム部31の両端部31aとの互いに対向するフランジ側面間を接続する。
【0025】
ベース接続部34は、各端接続部33に挟まれている。ベース接続部34は、各端接続部33の間、すなわち各端接続部33からの距離が同一となるように配置されている。つまり、ベース接続部34は、ベース部21と外フレーム部31との長手方向の中央部同士を接続する。ベース接続部34は、ベース部21の長手方向の中央部21bと、外フレーム部31の長手方向の中央部31bとの互いに対向するフランジ側面間を接続する。
【0026】
ベース部21において、ベース部21と各フレーム部22のベース接続部34とがクロスする部位である枠体16の中心部17には、支柱固定部20が固定されている。支柱固定部20は、その開口20aとは反対側の基部20bを介して、枠体16に固定されている。支柱固定部20において、開口20aと基部20bとの間には、2つのピン孔20cと、2つの連結環20dと、溶接板20eとが設けられている。各ピン孔20cは、支柱12を固定するためのピン等を挿入する際に使用される。各ピン孔20cは、支柱固定部20の周壁を貫通する貫通孔である。各連結環20dは、親綱Rを連結する際に使用される。各連結環20dは、支柱固定部20の周方向に連結口を有するように支柱固定部20の径方向外側に突出している。各連結環20dの位相は、支柱固定部20の周方向において互いに等角度である180度ずつずれる。各連結環20dは、上方からみて、I字形状に配置される。溶接板20eは、支柱固定部20を枠体16に固定する際に使用される。溶接板20eは、上方からみて、長方形状を有するように、支柱固定部20の径方向外側に突出している。本実施形態において、連結環20dは、固定部用連結環の一例である。
【0027】
<枠体について>
図2及び図3に示すように、枠体16は、それぞれ条鋼材である、ベース部21と、2つの外フレーム部31と、4つの端接続部33と、2つのベース接続部34とを、例えば、融接法等の溶接でそれぞれ接合したものである。なお、溶接の方法は、融接法に分類される方法以外、圧接法やろう接法に分類される方法を採用してもよい。
【0028】
より詳しくは、ベース部21は、上方に開口する溝を有する溝形鋼材である。ベース部21は、上方に向かって延びる2つのフランジ部41と、各フランジ部41の下側の端部41aを接続するウェブ42とを有している。各フランジ部41の上側の先端部41bは、その先端が互いに対向するように折り曲げられている。ウェブ42には、ウェブ42を厚み方向に貫通する固定孔43が設けられている。固定孔43は、上方からみて、真円である丸孔43aと、オーバル形状である長孔43bとを含む。オーバル形状は、2つの半円を2つの線分で繋いだ、例えば、角丸長方形である。長孔43bは、ウェブ42の両端に1つずつ配置されている。2つの長孔43bの間には、ウェブ42の長手方向に沿って等間隔を空けて、複数の丸孔43aが設けられている。この場合の固定孔43は、枠体16、すなわち台座11の短辺の中央において、長手方向に沿って配置されている。固定孔43は、台座11を作業場に固定する際に使用される。固定孔43は、台座11を作業場に固定する際以外にも、ウェブ42の剛性を低くするのにも使用される。つまり、固定孔43は、ウェブ42の剛性を低くする肉抜き孔を兼用する。
【0029】
各外フレーム部31は、ベース部21と同様、上方に開口する溝を有する溝形鋼材である。各外フレーム部31は、上方に向かって延びる2つのフランジ部51と、各フランジ部51の下側の端部51aを接続するウェブ52とを有している。各フランジ部51の上側の先端部51bは、その先端が互いに対向するように折り曲げられている。ウェブ52には、ウェブ52を厚み方向に貫通する固定孔53が設けられている。固定孔53は、上方からみて、オーバル形状である。固定孔53は、ウェブ52の両端に1つずつ配置されている。この場合の固定孔53は、枠体16、すなわち台座11の四隅に配置されている。固定孔53は、台座11を作業場に固定する際に使用される。
【0030】
各端接続部33は、上方、かつ、互いに接近する方向に延びる山形(L形)をなす山形鋼材(L形鋼材)である。各端接続部33は、上方に向かって延びる壁部61と、壁部61の上側の端部61aの先端が互いに対向するように延びる延在部62とを有している。
【0031】
各ベース接続部34は、ベース部21と同様、上方に開口する溝を有する溝形鋼材である。各ベース接続部34は、上方に向かって延びる2つのフランジ部71と、各フランジ部71の下側の端部71aを接続するウェブ72とを有している。各フランジ部71の上側の先端部71bは、その先端が互いに対向するように折り曲げられている。
【0032】
<フレーム部の接合について>
図3及び図4に示すように、各フレーム部22において、外フレーム部31と各接続フレーム部32(各端接続部33及びベース接続部34)とは、溶接によって接合されている。
【0033】
より詳しくは、各端接続部33は、長手方向の第1端33aの先端が外フレーム部31の一方のフランジ部51の外面であるに対向した状態で、外フレーム部31のフランジ側面に対して溶接接合されている。各端接続部33における第1端33aの先端は、その全体が溶接接合される。この場合の各溶接接合部81は、壁部61及び延在部62の断面形状であるL字状をなす部位として、外フレーム部31の両端部31aに形成される。
【0034】
ベース接続部34は、長手方向の第1端34aの先端が外フレーム部31の一方のフランジ部51の外面に対向した状態で、外フレーム部31のフランジ側面に対して溶接接合されている。ベース接続部34における第1端34aの先端は、その全体が溶接接合される。この場合の溶接接合部82は、各フランジ部71及びウェブ72の断面形状であるU字状をなす部位として、外フレーム部31の中央部31bに形成される。本実施形態において、各ベース接続部34の第1端34aは、フレーム端部の一例である。
【0035】
<ベース部とフレーム部との接合について>
図3及び図5に示すように、枠体16において、ベース部21と各フレーム部22とは、溶接によって接合されている。ベース部21と各フレーム部22とは、各フレーム部22の各端接続部33及びベース接続部34を介して、互いに溶接接合されている。
【0036】
より詳しくは、各端接続部33は、第1端33aの反対側の第2端33bの先端がベース部21の一方のフランジ部41の外面に対向した状態で、ベース部21のフランジ側面に対して溶接接合されている。各端接続部33における第2端33bの先端は、その全体が溶接接合される。この場合の各溶接接合部83は、壁部61及び延在部62の断面形状であるL字状をなす部位として、ベース部21の両端部21aに形成される。
【0037】
ベース接続部34は、第1端34aの反対側の第2端34bの先端がベース部21の一方のフランジ部41の外面に対向した状態で、ベース部21のフランジ側面に対して溶接接合されている。ベース接続部34における第2端34bの先端は、その全体が溶接接合される。この場合の溶接接合部84は、各フランジ部71及びウェブ72の断面形状であるU字状をなす部位として、ベース部21の中央部21bに形成される。
【0038】
<補強板の接合について>
図2及び図3に示すように、枠体16には、補強のための補強板18が溶接によって接合されている。補強板18は、薄板状であって、その板厚がベース部21及び外フレーム部31等の他の部位の板厚と略同一である。補強板18は、ベース部21の溝内に設けられた2つのベース補強板44と、各外フレーム部31の溝内に設けられた4つのフレーム補強板54とを含む。
【0039】
図3及び図6に示すように、各ベース補強板44は、その表面がベース部21の延びる方向と直交した状態で、ベース部21の溝内に対して溶接接合されている。つまり、各ベース補強板44は、その周縁44aがベース部21の各フランジ部41及びウェブ42の内面に対向した状態で、ベース部21の溝内に溶接接合されている。各ベース補強板44の周縁44aは、その一部が溶接接合される。この場合の各溶接接合部85は、ベース部21が折り曲げられた部位を除いた、各フランジ部41の内面の一部、及びウェブ42の内面の一部のように、非連続な形状をなす部位として、ベース部21の両端部21aに形成される。ベース部21が折り曲げられた部位は、各フランジ部41の折り曲げられた先端と、各フランジ部41及びウェブ42の連結部とである。
【0040】
各溶接接合部85は、その溶接範囲が各溶接接合部82の溶接範囲よりも小さく形成されている。これにより、各ベース補強板44がベース部21の溝内に対して溶接される各溶接接合部85は、各ベース接続部34が各外フレーム部31のフランジ側面に対して溶接される各溶接接合部82よりも低剛性である。つまり、ベース部21の両端部21aは、各ベース接続部34と各外フレーム部31とが接続される部位よりも低剛性である。
【0041】
図3図6、及び図7に示すように、各フレーム補強板54は、その表面が外フレーム部31の延びる方向と直交した状態で、外フレーム部31の溝内に対して溶接接合されている。つまり、各フレーム補強板54は、その周縁54aが外フレーム部31の各フランジ部51及びウェブ52の内面に対向した状態で、外フレーム部31の溝内に溶接接合されている。各フレーム補強板54の周縁54aは、その一部が溶接接合される。この場合の各溶接接合部86は、外フレーム部31が折り曲げられた部位を除いた、各フランジ部51の内面の一部、及びウェブ52の内面の一部のように、非連続な形状をなす部位として、外フレーム部31の両端部31a及び中央部31bに形成される。外フレーム部31が折り曲げられた部位は、各フランジ部51の折り曲げられた先端と、各フランジ部51及びウェブ52の連結部とである。
【0042】
各溶接接合部86は、各ベース接続部34が延びる方向において、各溶接接合部82の延長上に形成されている。これにより、各ベース接続部34が各外フレーム部31のフランジ側面に対して溶接される各溶接接合部82における剛性は、各フレーム補強板54や各溶接接合部86によって補強されている。この場合、各ベース補強板44がベース部21の溝内に対して溶接される各溶接接合部85は、各ベース接続部34が各外フレーム部31のフランジ側面に対して溶接される各溶接接合部82よりも低剛性である。つまり、ベース部21の両端部21aは、各ベース接続部34と各外フレーム部31とが接続される部位よりも低剛性である。
【0043】
<支柱固定部の接合について>
図7に示すように、台座11において、枠体16と支柱固定部20とは、溶接によって接合されている。枠体16と支柱固定部20とは、ベース部21及びベース接続部34を介して、互いに溶接接合されている。
【0044】
より詳しくは、支柱固定部20は、基部20bの先端がベース部21のウェブ42の上面に対向した状態で、ベース部21の溝内に溶接接合されている。基部20bの先端は、その全体が溶接接合される。この場合の溶接接合部87は、基部20bの断面形状である円形状をなす部位として、ベース部21の中央部21b、すなわち枠体16の中心部17に形成される。本実施形態において、溶接接合部87は、ウェブ接合部の一例である。
【0045】
また、支柱固定部20は、基部20bの溶接板20eがベース部21の各フランジ部41の先端部41b、及び各ベース接続部34の各フランジ部71の先端部71bに上方から対向した状態で、ベース部21及び各ベース接続部34に溶接接合されている。溶接板20eは、その下面の一部が溶接接合される。この場合の溶接接合部88は、各フランジ部41及び各フランジ部71の先端と対向するクロス形状をなす部位として、ベース部21の中央部21b及び各ベース接続部34の第2端34b、すなわち枠体16の中心部17に形成される。本実施形態において、溶接接合部88は、フランジ接合部の一例である。
【0046】
<親綱取付具の使用状態について>
図1は、折板屋根である屋根Y上における親綱取付具10の使用状態を示す。例えば、屋根Yは、鉄骨下地に固定されたタイトフレームを介して、鉄骨下地に対して固定される。屋根Yは、ナット等でタイトフレームに固定される。この場合、台座11は、折板屋根の山Yaが延びる方向に対し、ベース部21の長手方向が直交するように配置される。台座11は、ベース部21に設けられた肉抜き孔を兼用する固定孔43のうち、山Yaと当接する範囲に存在する固定孔43を介して、ナット等で屋根Y、すなわちタイトフレームに対して固定される。例えば、図1において、屋根Yに対する固定に使用される固定孔43は、3つの丸孔43aと、1つの長孔43bとである。これにより、親綱取付具10の設置が完了する。
【0047】
図8は、大波屋根である屋根Y上における親綱取付具10の使用状態を示す。この場合、台座11は、大波屋根の山Ybが延びる方向に対し、ベース部21の長手方向が一致するように配置される。台座11は、大波屋根の山Ybの裏側において、当該山Ybが延びる方向に直交する方向に沿って延びる鉄骨下地Ycに対して、各外フレーム部31の長手方向が直交するように配置される。台座11は、各外フレーム部31に設けられた固定孔53のうち、鉄骨下地Ycと上下方向で重なる範囲に存在する固定孔53を介して、ビス等で屋根Yに対して固定される。例えば、図8において、屋根Yに対する固定に使用される固定孔53は、四隅の全てである。これにより、親綱取付具10の設置が完了する。
【0048】
<本実施形態の作用>
図1に示すように、設置が完了した親綱取付具10は、支柱12の連結環12cに親綱Rを連結することによって、屋根Y上に親綱Rを張り渡す。図1は、ベース部21が延びる方向に設けられた2つの連結環12cに対して親綱Rが連結される場合を示す。屋根Y上に張り渡された親綱Rには、作業者が使用する命綱Lが引っ掛けられる。なお、親綱Rは、4つ又は3つの連結環12cに対して連結される場合もあるし、支柱12の周方向において隣り合う2つの連結環12cに対して連結される場合もある。
【0049】
例えば、親綱R、すなわち命綱Lを通じて親綱取付具10に荷重が作用する場合、親綱Rから伝わる荷重は、支柱12から支柱固定部20に伝達される。支柱固定部20に伝達された荷重は、支柱固定部20から当該支柱固定部20と接続されているベース部21及び各ベース接続部34に伝達される。ベース部21及び各ベース接続部34に伝達された荷重は、各端接続部33及び各外フレーム部31に伝達されることによって、各フレーム部22に伝達される。つまり、親綱Rから伝わる荷重は、支柱12、支柱固定部20、ベース部21、各ベース接続部34の順に伝達された後、各端接続部33、各外フレーム部31の順に台座11の全体に伝達される。また、親綱Rから伝わる荷重は、各外フレーム部31を介して、屋根Yの山Yaに伝達される。これにより、親綱Rから伝わる荷重が特定箇所に集中してしまうことを抑制することができる。
【0050】
このようにして、親綱Rから伝わる荷重が台座11の全体に伝達されるなかで、支柱固定部20と接続されているベース部21及び各ベース接続部34のうち、ベース部21の両端部21aに好適な変形を伴わせることができる。
【0051】
例えば、図1に示した使用状態の場合、台座11は、屋根Yに設置固定されているベース部21を軸として変形する。この場合、ベース部21は、特に低剛性である両端部21aにおいて、各ベース補強板44が屈曲することに伴って、各フランジ部41が互いに接近するように変形する。これにより、枠体16は、親綱Rから荷重が伝わるのと反対側のフレーム部22の全体が、ベース部21を軸として屋根Yから離間するように変形する。一方、各フレーム部22は、基の状態を維持することができる。これは、図8に示した使用状態の場合も同様である。つまり、台座11は、屋根Yに設置固定されていないベース部21を軸とし変形する。この場合、ベース部21は、特に低剛性である両端部21aにおいて、各ベース補強板44が伸展することに伴って、各フランジ部41が互いに離間するように変形する。これにより、枠体16は、ベース部21が屋根Yから離間するように変形する。一方、各フレーム部22は、基の状態を維持することができる。
【0052】
また、ベース部21を軸とした変形によって吸収し切れない残り荷重は、台座11の各所へと分散伝達される。例えば、残り荷重は、親綱Rから荷重が伝わる側のフレーム部22において、各端接続部33又はベース接続部34自体が屈曲する等の変形によって吸収される。また、残り荷重は、親綱Rから荷重が伝わる側のフレーム部22が設置される屋根Yの部位において、山Ya自体が屈曲する等の変形によって吸収される。また、残り荷重は、支柱固定部20において、溶接接合部88の一部が破断する等の変形によって吸収される。この場合、溶接接合部87は、基の状態を維持することができる。つまり、親綱取付具10は、台座11を分離破断させることなく、親綱Rから伝わる荷重を吸収することができる。
【0053】
以上のように、親綱取付具10によれば、親綱Rから伝わる荷重が特定箇所に集中してしまうことを抑制することができる。
<実施形態の効果>
(1-1)親綱取付具10によれば、親綱Rから伝わる荷重が特定箇所に集中してしまうことを抑制することができるので、ベース部21の両端部21aに好適な変形を伴わせることができる。これは、親綱Rから伝わる荷重の好適な吸収が妨げられることを抑制するのに効果的である。
【0054】
(1-2)ベース部21を軸とした変形によって吸収し切れない残り荷重は、親綱Rから荷重が伝わる側のフレーム部22において、外フレーム部31を介して、屋根Yの山Yaへと伝達される。これにより、山Yaは、屈曲する等の変形することによって残り荷重を吸収することができる。これは、親綱Rから伝わる荷重の一部を好適に吸収するのに効果的である。
【0055】
(1-3)各溶接接合部85は、その溶接範囲が各溶接接合部82の溶接範囲よりも小さく形成されている。これにより、ベース部21の両端部21aについて、各ベース接続部34と各外フレーム部31とが接続される各溶接接合部82よりも低剛性の構成を好適に実現することができる。
【0056】
(1-4)支柱固定部20の基部20bは、溶接接合部87及び溶接接合部88を介して、枠体16に接合されるようにしている。例えば、支柱固定部20は、親綱Rから伝わる荷重が大きい場合、溶接接合部88の一部が破断する等して、親綱Rから伝わる荷重の一部を吸収することができる。これにより、親綱Rから伝わる荷重が支柱12(特に支柱固定部20に固定される側の第1端12a)に集中してしまうことを抑制することができる。したがって、親綱Rを通じて親綱取付具10に荷重が作用する場合、支柱12が破断する等の事態の発生を抑制することができる。
【0057】
(1-5)ベース部21は、ウェブ42を貫通する固定孔43を有するようにしている。これにより、ベース部21のウェブ42について、各ベース接続部34よりも低剛性の構成を好適に実現することができる。したがって、ベース部21の両端部21aの変形に伴っては、ベース部21自体にも変形を伴わせることができる。これは、ベース部21及び各ベース接続部34にそれぞれ伝達された荷重の一部を好適に吸収するのに効果的である。
【0058】
(1-6)ベース部21において、固定孔43は、肉抜き孔を兼ねるようにしている。これにより、ベース部21について、各ベース接続部34よりも低剛性の構成を好適に実現する際、肉抜き孔、つまり固定孔43を形成する工程を削減することができる。
【0059】
(1-7)支柱12は、上方からみて、クロス形状に配置された4つの連結環12cを有するようにしている。これにより、台座11を配置する向きに関係なく、四方から親綱Rを連結することができる。これは、台座11、すなわち親綱取付具10の配置する際の利便性の向上を図るのに効果的である。
【0060】
(1-8)支柱固定部20は、上方からみて、I字形状に配置された2つの連結環20dを有するようにしている。これにより、台座11により近い位置、すなわち低い位置においても、親綱Rを連結することができる。これは、屋根Y上に親綱Rを張り渡す際の利便性の向上を図るのに効果的である。
【0061】
<他の実施形態>
上記実施形態は次のように変更してもよい。また、以下の他の実施形態は、技術的に矛盾しない範囲において、互いに組み合わせることができる。
【0062】
・ベース部21は、固定孔43とは別に肉抜き孔を有していてもよい。つまり、固定孔43は、肉抜き孔を兼用していなくてもよい。この場合、肉抜き孔は、貫通孔であれば、その形状を適宜変更してもよい。
【0063】
・ベース部21において、固定孔43の数は、適宜変更してもよい。例えば、固定孔43は、丸孔43aのみであってもよいし、長孔43bのみであってもよい。また、固定孔43は、各長孔43bのうち、一方を丸孔43aに変更してもよい。また、丸孔43aの数は、例えば、1つにする等、適宜変更してもよい。これは、各外フレーム部31における固定孔53の数や形状についても同様である。例えば、固定孔53は、真円である丸孔であってもよいし、オーバル形状である長孔と丸孔とが混在していてもよい。
【0064】
・固定孔43は、ベース部21に設けられる代わりに、各ベース接続部34に設けられていてもよい。
・各ベース接続部34は、台座11を作業場に固定する際に使用する固定孔を有していてもよい。この場合、各ベース接続部34のウェブ72には、ウェブ72を厚み方向に貫通する複数の固定孔が形成されていればよい。
【0065】
・支柱固定部20の形状は、適宜変更してもよい。例えば、支柱固定部20の形状は、角筒状であってもよいし、開口20aが四角形状であってもよい。開口20aが四角形状の場合、支柱12の第1端12aが四角柱状をなしていればよい。
【0066】
・支柱固定部20は、溶接接合部87及び溶接接合部88のいずれかのみを介して、枠体16に接合されるようにしてもよい。また、支柱固定部20は、ベース部21及び各ベース接続部34のいずれかのみに接合されていてもよい。その他、溶接接合部87及び溶接接合部88は、互いに連結された接合部として実現することもできる。
【0067】
・支柱固定部20の枠体16に対する接合は、接合強度を確保することができれば、溶接以外の方法を採用してもよい。
・支柱固定部20は、各連結環20dを削除してもよい。つまり、支柱固定部20は、親綱Rが連結可能に構成されていなくてもよい。
【0068】
・支柱固定部20において、連結環20dの数は、1つ以上であれば適宜変更してもよい。例えば、3つ以上の場合、連結環20dの位相は、支柱固定部20の周方向において互いに等角度ずつずれるようにすればよい。この場合、連結環20dの数を4つにすることによって、連結環12cの数と連結環20dの数とが互いに同数になるようにしてもよい。
【0069】
・支柱固定部20において、4つの連結環20dの位相は、等角度ずつに限らず、互いに異なる角度ずつずれるようにしてもよい。これは、連結環20dの数を3つ以上にする場合についても同様である。
【0070】
・支柱固定部20は、溶接板20eを削除してもよい。つまり、溶接接合部88は、支柱固定部20の外面を直接に溶接接合されてもよい。
・枠体16を構成する、ベース部21と、各外フレーム部31と、各端接続部33と、各ベース接続部34について、条鋼材の種類は適宜変更してもよい。例えば、ベース部21、各外フレーム部31、及び各ベース接続部34は、下方に開口する溝形鋼材であってもよいし、H形鋼材を採用してもよい。また、各端接続部33は、下方又は上方に開口する溝形鋼材を採用したり、棒鋼材を採用したりしてもよい。
【0071】
・各溶接接合部85は、その溶接範囲が各溶接接合部82の溶接範囲よりも小さく形成されるならば、溶接する範囲を変更することもできる。
・各溶接接合部86は、削除してもよい。この場合であっても、各溶接接合部85は、その溶接範囲が各溶接接合部82の溶接範囲よりも小さく形成されていれば、上記実施形態に準じた効果を奏することができる。
【0072】
・各ベース補強板44の板厚は、ベース部21及び外フレーム部31等の他の部位の板厚よりも小さくしてもよい。これは、各溶接接合部85の溶接範囲が各溶接接合部82と同一であっても、各溶接接合部85が各溶接接合部82よりも低剛性になる構成を好適に実現することができる。
【0073】
・各ベース補強板44、すなわち各溶接接合部85は、削除してもよい。この場合であっても、各溶接接合部85が各溶接接合部82よりも低剛性になることによって、上記実施形態に準じた効果を奏することができる。
【0074】
・各ベース補強板44は、その表面がベース部21の延びる方向と交差した状態で、ベース部21の溝内に対して溶接接合されていればよい。ここに記載した他の実施形態において、ベース部21の補強をすることができればよい。
【0075】
・支柱12において、連結環12cの数は、1つ以上であれば適宜変更してもよい。例えば、2つ又は3つ、5つ以上の場合、連結環12cの位相は、支柱12の周方向において互いに等角度ずつずれるようにすればよい。
【0076】
・支柱12において、2つの連結環12cの位相は、等角度ずつに限らず、互いに異なる角度ずつずれるようにしてもよい。これは、連結環12cの数を2つ又は3つ、5つ以上にする場合についても同様である。
【0077】
・親綱取付具10において、屋根Y上に設置固定するための方法は、枠体16の下方側に固定金具を取り付けることによって、当該固定金具が屋根Yの山Ya,Ybを把持する方法であってもよい。
【符号の説明】
【0078】
L…命綱
R…親綱
Y(Ya、Yb)…屋根(山)
10…親綱取付具
11…台座
12…支柱
16…枠体
17…中心部
20…支柱固定部
20a…開口
20b…基部
21…ベース部
21a…端部
21b…中央部
22…フレーム部
31…外フレーム部
31a…端部
31b…中央部
32…接続フレーム部
33…端接続部
34…ベース接続部
41…フランジ部
41b…先端部
42…ウェブ
43…固定孔
44…ベース補強板
71…フランジ部
71b…先端部
72…ウェブ
82、85、87、88…溶接接合部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8