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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024010489
(43)【公開日】2024-01-24
(54)【発明の名称】冷感服
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/005 20060101AFI20240117BHJP
【FI】
A41D13/005 106
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022111859
(22)【出願日】2022-07-12
(71)【出願人】
【識別番号】000130732
【氏名又は名称】株式会社サンエス
(74)【代理人】
【識別番号】100095337
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100174425
【弁理士】
【氏名又は名称】水崎 慎
(74)【代理人】
【識別番号】100203932
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 克宗
(72)【発明者】
【氏名】橘高 薫
【テーマコード(参考)】
3B011
3B211
【Fターム(参考)】
3B011AC02
3B011AC03
3B211AC02
3B211AC03
(57)【要約】
【課題】本発明は、水を用いる冷感服に関するもので、快適性を高めることを目的とするものである。
【解決手段】本発明の冷感服1は、内装服本体3と、この内装服本体3の表面に配管された中空糸膜4と、この中空糸膜4の給水部に連結され、この給水部から中空糸膜4内に水を供給する給水ホースと、この給水ホースに水を供給する水供給手段とを備え、内装服本体3の裏面側には、この内装服本体3の表面方向とは反対側に突出する凸部と、この内装服本体3の表面側に窪んだ凹部1形成し、凸部16は撥水状態とし水供給手段と電池の少なくとも一方を収納するポケット22を、内装服本体3の表面に設けるとともに、このポケット22に対応する外装服本体23部分、あるいはその近傍には、作業用開口部23aを設け、この作業用開口部23aは開閉自在とした。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外装服本体と、この外装服本体の内側に装着された内装服本体と、前記外装服本体に装着され、この外装服本体と前記内装服本体間の空間に、前記外装服本体外の空気を供給する送風機と、を備え、
前記内装服本体は、この内装服本体の前記外装服本体側表面、または中層に配管された中空糸膜と、この中空糸膜の給水部に連結され、この給水部から前記中空糸膜内に水を供給する給水ホースと、この給水ホースに水を供給する水供給手段と、この水供給手段とこの水供給手段に電源を供給する電池との少なくとも一方を収納するポケットと、を有し、
前記内装服本体の前記外装服本体とは反対側の表面には、前記外装服本体とは反対側に突出する凸部と、前記外装服本体側に窪んだ凹部とが形成され、前記凸部が撥水性を有する構成とし、
前記ポケットを、前記内装服本体の表面に設けるとともに、このポケットに対応する外装服本体部分、あるいはその近傍には、作業用開口部を設け、この作業用開口部は開閉自在とした冷感服。
【請求項2】
前記凸部と前記凹部とは、前記内装服本体を構成する布の前記外装服本体とは反対側面に一体で形成され、前記凹部が非撥水性を有する請求項1に記載の冷感服。
【請求項3】
前記中空糸膜は、前記内装服本体の、前記外装服本体側面から前記外装服本体とは反対側面、前記外装服本体とは反対側面から前記外装服本体側面へと縫い付けられた糸で前記内装服本体に取り付けられ、
前記内装服本体の前記外装服本体とは反対側面側の前記凸部で、前記内装服本体の前記外装服本体側面から前記外装服本体とは反対側面、前記外装服本体とは反対側面から前記外装服本体側面へと向かう前記糸が係る係合部分は、この糸で前記外装服本体側に引っ張られることで、前記凸部の高さが、前記糸の非係合部分における前記凸部の高さよりも低い請求項2に記載の冷感服。
【請求項4】
前記糸は非吸水性である請求項3に記載の冷感服。
【請求項5】
前記凸部と前記凹部は、前記内装服本体の裏面側に配置した、この内装服本体を構成する布とは別体のメッシュ生地により構成し、このメッシュ生地には、前記内装服本体の表面方向とは反対側に突出する凸部と、この内装服本体の表面側に窪んだ凹部を形成した請求項1に記載の冷感服。
【請求項6】
前記中空糸膜は、前記内装服本体の表面側に、この内装服本体の表面側から裏面側、前記内装服本体の裏面から表面側へと縫い付けられた糸で前記内装服本体に取り付けられ、
前記内装服本体裏面側の前記凸部で、前記内装服本体の表面側から裏面側、前記内装服本体の裏面側から表面側へと向かう前記糸が係る係合部分は、この糸で前記内装服本体の表面側に引っ張られることで、前記凸部の高さが、前記糸の非係合部分における前記凸部の高さよりも低い請求項5に記載の冷感服。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水の気化熱を利用する冷感服に関するものである。
【背景技術】
【0002】
水の気化熱を利用する冷感服としては、例えば下記特許文献1、特許文献2が存在する。
すなわち、特許文献1に記載されたものは、段落(0045)に記載されているように、冷暖房チョッキ33に、身体側から、下地生地41、保水布帛35、メッシュ42、表面生地43が配置された構成となっている。
また、下地生地41の身体側は水分を通さない繊維材料で構成され、外側部分は水分を通しやすい繊維材料で構成されている。
さらに、段落(0044)に記載されているように、保水布帛35の上方には水貯蔵部34が設けられ、この水貯蔵部34内の水を保水布帛35に供給し、保水布帛35に拡散させるようにしている。
そして、保水布帛35が含侵した水を、段落(0047)(0048)に記載されているように、送風ファン3からの風で気化させ、これにより冷暖房チョッキ33内を冷やすようにしている。
【0003】
また、特許文献2に記載されたものは、段落(0026)~(0030)に記載されているように、ジャケット2の内背面に保水シート6を設けている。
また、ジャケット2内にはファン3から外気を取り込んで、前記保水シート6が含有する水を気化させ、ジャケット2内を冷却することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】登録実用新案第3118697号公報
【特許文献2】登録実用新案第3213394号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1、特許文献2には、装着者の快適性が低くなるという課題がある。
すなわち、特許文献1の下地生地42は、段落(0046)に記載されているように水分を通さない繊維材料で構成されているので、下地生地42で覆われた身体部分の汗は蒸発できず、身体を流れ落ち、不快感の残るものとなる。
また、特許文献2では、段落(0030)に記載されているように保水シート6の身体側に防水ベスト8を装着するようにしており、防水ベスト8で覆われた身体部分の汗は蒸発できず、身体を流れ落ち、不快感の残るものとなる。
【0006】
そこで、本発明は快適性を高めることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そして、この目的を達成するために本発明の冷感服は、外装服本体と、この外装服本体の内側に装着された内装服本体と、前記外装服本体に装着され、この外装服本体と前記内装服本体間の空間に、前記外装服本体外の空気を供給する送風機と、を備え、前記内装服本体は、この内装服本体の前記外装服本体側表面、または中層に配管された中空糸膜と、この中空糸膜の給水部に連結され、この給水部から前記中空糸膜内に水を供給する給水ホースと、この給水ホースに水を供給する水供給手段と、この水供給手段とこの水供給手段に電源を供給する電池との少なくとも一方を収納するポケットと、を有し、前記内装服本体の前記外装服本体とは反対側の表面には、前記外装服本体とは反対側に突出する凸部と、前記外装服本体側に窪んだ凹部とが形成され、前記凸部が撥水性を有する構成とし、前記水供給手段と電池の少なくとも一方を収納するポケットを、前記内装服本体の表面に設けるとともに、このポケットに対応する外装服本体部分、あるいはその近傍には、作業用開口部を設け、この作業用開口部は開閉自在とした。
また、本発明の冷感服は、前記凸部と前記凹部とが、前記内装服本体を構成する布の前記外装服本体とは反対側面に一体で形成され、前記凹部が非撥水性を有する構成としたものである。
さらに、本発明の冷感服は、前記中空糸膜が、前記内装服本体の、前記外装服本体側面から前記外装服本体とは反対側面、前記外装服本体とは反対側面から前記外装服本体側面へと縫い付けられた糸で前記内装服本体に取り付けられ、前記内装服本体の前記外装服本体とは反対側面側の前記凸部で、前記内装服本体の前記外装服本体側面から前記外装服本体とは反対側面、前記外装服本体とは反対側面から前記外装服本体側面へと向かう前記糸が係る係合部分は、この糸で前記外装服本体側に引っ張られることで、前記凸部の高さが、前記糸の非係合部分における前記凸部の高さよりも低い構成としたものである。
また、本発明の冷感服は、前記糸を非吸水性としたものである。
さらに、本発明の冷感服は、前記凸部と前記凹部を、前記内装服本体の裏面側に配置した、この内装服本体を構成する布とは別体のメッシュ生地により構成し、このメッシュ生地には、前記内装服本体の表面方向とは反対側に突出する凸部と、この内装服本体の表面側に窪んだ凹部を形成したものである。
また、本発明の冷感服は、前記中空糸膜が、前記内装服本体の表面側に、この内装服本体の表面側から裏面側、前記内装服本体の裏面から表面側へと縫い付けられた糸で前記内装服本体に取り付けられ、前記内装服本体裏面側の前記凸部で、前記内装服本体の表面側から裏面側、前記内装服本体の裏面側から表面側へと向かう前記糸が係る係合部分は、この糸で前記内装服本体の表面側に引っ張られることで、前記凸部の高さが、前記糸の非係合部分における前記凸部の高さよりも低い構成としたものである。
【発明の効果】
【0008】
以上のように本発明の冷感服は、内装服本体の身体側には、身体側に向けて突出する凸部を設け、この凸部は撥水状態にするとともに、身体とは反対側に窪んだ凹部を形成したものである。
このため、中空糸膜を介して服本体を濡れた状態とし、気化熱で服本体内の温度を下げるようにしても、身体に水が伝わるべとべと感は少なくなり、しかも、身体表面の汗は凹部を介して服本体に吸い取られることとなるので、快適性の高いものとなる。
また、本発明では、水供給手段と電池の少なくとも一方を収納するポケットを、内装服本体の表面に設けるとともに、このポケットに対応する外装服本体部分、あるいはその近傍には、作業用開口部を設け、この作業用開口部は開閉自在としたので、きわめて使い勝手の良いものとなる。
すなわち、水供給手段と電池の少なくとも一方を収納するポケットを、内装服本体の表面に設けているので、外装服本体を脱いで、内装服本体だけの単独使用タイプとすることも可能となる。
また、内装服本体外に外装服本体を重ね着した状態で使用する場合でも、外装服本体の作業用開口部を開口させれば、内装服本体のポケットに収納した水供給手段または電池の操作を、外装服本体外から簡単に行うことができる。
さらに、本発明において重要なのは、内装服本体への水供給が進んでいるか否かの確認も、この作業用開口部を開口させ、内装服本体の表面を触ることで確認することができるということである。
つまり、本発明では、内装服本体の身体側には、身体側に向けて突出する凸部を設け、この凸部は撥水状態にするとともに、身体とは反対側に窪んだ凹部を形成したもので、水供給時にも、身体が濡れていることを感じにくい構成としているので、内装服本体への水供給が進んでいるか否かの確認を、作業用開口部を開口させ、内装服本体の表面を触ることで確認することができるようにしたことは、きわめて使い勝手の良いものとなるのである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1の実施形態にかかる冷感服の正面図
図2】同背面図
図3】同一部拡大断面図
図4】同一部拡大断面図
図5】同動作説明図
図6】同動作説明図
図7】同冷感服の使用例を示す一部欠載正面図
図8】同冷感服の使用例を示す一部欠載背面図
図9】同冷感服の使用例における動作を示す図
図10】同冷感服の回路ブロック図
図11】同冷感服の使用例における回路ブロック図
図12】本発明の第2の実施形態にかかる冷感服の一部拡大断面図
図13】本発明の第3の実施形態にかかる冷感服の正面図
図14】同背面図
図15】同開放正面図
図16】同一部欠載開放正面図
図17】同一部拡大断面図
図18】同一部拡大断面図
図19】同冷感服の使用例における動作を示す図
図20】同冷感服の回路ブロック図
図21】同冷感服の回路ブロック図
図22】同動作説明図
図23】同動作説明図
図24】本発明の第4の実施形態にかかる冷感服の一部拡大断面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施の形態1)
図1図11は本発明の第1の実施形態にかかる冷感服を示している。
図1図2に示すように、この実施形態の冷感服1は、ファスナー2で前開きが可能なベストタイプの内装服本体3と、この内装服本体3の表面に配管された中空糸膜4と、この中空糸膜4の給水部5に連結され、この給水部5から前記中空糸膜4内に水を供給する給水ホース6と、この給水ホース6に水を供給する水供給手段7とを備えている。
【0011】
前記内装服本体3の前身頃と後身頃には、それぞれ上方から下方に向けて中空糸膜4が蛇行状に配置されている。
中空糸膜4は外周に無数の貫通孔が設けられた筒状で、筒状の両端開口部が給水部5となり、この給水部5が連結体8に連結され、また、連結体8には給水ホース6の一端が連結され、給水ホース6の他端には水供給手段7が連結されている。
つまり、水供給手段7からの水が、給水ホース6、連結体8、中空糸膜4の給水部5を介して中空糸膜4に供給され、中空糸膜4外周の貫通孔から内装服本体3の表面に供給され、この内装服本体3の表面を濡らすことになる。
【0012】
水供給手段7は、図1図10に示すように、水をためる水容器9と、水容器9内の水を吸い出すポンプ10とにより構成されている。
ポンプ10の制御回路はよく知られているように、ポンプ10を制御する制御部11と、この制御部11に接続された操作部12、表示部13、メモリ14を備え、電池15により駆動されるようになっている。
【0013】
本実施形態の特徴は、内装服本体3を、例えば、帝人フロンティア株式会社製の(トリプルドライ(登録商標)、カラット(登録商標))で形成したことである。
この内装服本体3は図3に示すように、内装服本体3の裏面側に、この内装服本体3の表面方向とは反対側に突出する凸部16と、この内装服本体3の表面側に窪んだ凹部17を、それぞれ複数個形成し、前記凸部16は、撥水性を有し、撥水状態としたものである。また、凹部17は、非撥水性を有し、非撥水状態で、吸水状態となっている。
つまり、図3の左側が内装服本体3を装着した使用者の身体側、右側が表面側となっている。
本実施形態の内装服本体3は、図3に示すように、複数の凸部16と複数の凹部17が、前記内装服本体3を構成する布の裏面側に一体形成され、前記凸部16を撥水状態、前記凹部17を吸水状態(非撥水状態)としたものである。
【0014】
そして、このような構成の内装服本体3の表面側に、図4に示すように、中空糸膜4を糸18で縫い付けている。
具体的には、中空糸膜4は、図4のごとく、前記内装服本体3の表面側に配置され、この内装服本体3の表面側から裏面側、前記内装服本体3の裏面から表面側へと縫い付けた糸18で前記内装服本体3に取り付けられている。
そして、この状態で、前記内装服本体3裏面側の凸部16で、前記内装服本体3の表面側から裏面側、前記内装服本体3の裏面側から表面側へと向かう前記糸18が係る係合部分は、この糸18で前記内装服本体3の表面側に引っ張ることで、凸部16の高さを、前記糸18の非係合部分における凸部16の高さよりも低くしたものである。
この点を、さらに詳細に説明すると、内装服本体3の裏面側には、上述のごとく複数の凸部16と複数の凹部17が形成されており、中空糸膜4を内装服本体3の表面側に縫い付ける糸18は、複数の凸部16と複数の凹部17に係合する。
凸部16で、糸18が係合した部分は、この糸18で内装服本体3の表面側へと引っ張られることで窪んだ状態となる。
したがって、糸18が係合した凸部16で、糸18が係合した部分は、糸18が係合していない他の凸部16の高さよりも低くなるのである。
【0015】
本実施形態においては、以上の構成であるので、図5図6に示す作用が奏される。
まず、水供給手段7からの水は、上述のごとく、給水ホース6、連結体8、中空糸膜4の給水部5を介して中空糸膜4に供給され、中空糸膜4外周の貫通孔から内装服本体3の表面に供給され、この内装服本体3の表面を濡らすことになる。
図5では、理解を助けるために、内装服本体3の表面側に、中空糸膜4の貫通孔から内装服本体3に流出した水19を示しているが、実際には、この水19は内装服本体3に染み込み、内装服本体3の広範部に拡散し、次に、図6に示すように内装服本体3の表面側から蒸発(気化)する。
そして、この時に気化熱で、内装服本体3の内側の身体20を、内装服本体3、および内装服本体3内空気を介して冷却することになる。つまり、内装服本体3の温度を下げれば、この内装服本体3を装着した身体の冷却ができるのである。
図5において身体20側への矢印に×マークを付けたのは、内装服本体3に染み込んだ水19が身体20側に流出しない状態を示すためである。
【0016】
内装服本体3の裏面側(身体20側)には、上述のごとく、この内装服本体3の表面方向とは反対側に突出する凸部16が設けられ、この凸部16は撥水状態としている。
このため、内装服本体3に染み込んだ水19は、内装服本体3の広範部に拡散してはいるが、図6に示すように内装服本体3の表面側から蒸発(気化)し、身体20側には流出しない。
このため、水19を用いた冷感服1でありながら、身体20を、この水19で濡らすことはなく、快適なものとなる。
【0017】
本実施形態で特徴的なのは、中空糸膜4を、図4のごとく、前記内装服本体3の表面側に配置し、この内装服本体3の表面側から裏面側、前記内装服本体3の裏面から表面側へと縫い付けた糸18で前記内装服本体3に取り付けたことである。
この状態で、本実施形態では、前記内装服本体3裏面側の凸部16で、前記内装服本体3の表面側から裏面側、前記内装服本体3の裏面側から表面側へと向かう前記糸18が係る係合部分を、この糸18で前記内装服本体3の表面側に引っ張ることで、凸部16の高さを、前記糸18の非係合部分における凸部16の高さよりも低くしている。
【0018】
その理由は、糸18で中空糸膜4を内装服本体3に縫い付けた場合、糸18の表面を伝って内装服本体3の裏面側に水19の一部が流出する虞があるので、それを対策するためである。
このように糸18が係合した部分の凸部16の高さを、糸18が係合していない部分の凸部16の高さよりも低くすると、例え、糸18の表面を伝って内装服本体3の裏面側に水19の一部が流出したとしても、その部分は他の凸部16よりも低いので身体20には到達せず、身体20を濡らすことがない。
【0019】
また、糸18が係合した部分の凸部16にまで少量の水19が流出しても、撥水処理がされた凸部16ではじかれ、次に、その部分に隣接する凹部17へと流動することになる。
この凹部17は撥水処理をしていない吸水部であるので、ここで吸水され、内装服本体3の表面側に移動し、気化する。
図6において身体20に示した汗21は、撥水処理をしていない吸水部である上記凹部17で吸水され、内装服本体3の表面側に移動し、気化する。
つまり、身体20表面には内装服本体3からの水19が到達することは少なく、また、身体20表面の汗21も凹部17を介して内装服本体3の表面側に移動し、気化する。
これにより、きわめて快適なものとなるのである。
【0020】
また、前記糸18は、ナイロンなどの非吸水性材料を用いれば、この糸18を介して内装服本体3の表面側から裏面側への水19の移動をさらに抑制できる。
【0021】
本実施形態の冷感服1は、図1に示すように、前記内装服本体3の表面側下部に水供給手段7などを収納するポケット22を設けているが、前記中空糸膜4は、このポケット22よりも上方部分の内装服本体3に配置したものである。
つまり、中空糸膜4の一部がポケット22に被った状態であると、中空糸膜4から流出し、内装服本体3に広がった水19の気化がスムーズに進まないエリアが形成されるので、それを避けるためである。
【0022】
図7図9図11は本実施形態の内装服本体3の、効果的な使用例を示したものである。
すなわち、身体20に、先ずは内装服本体3を装着し、次に、図7図8の外装服本体23を装着する。
外装服本体23はよく知られているように、外気を導入する二つの送風機24を備えている。
また、送風機24は図11に示すように制御部25に接続され(同図、ファン1,2参照)、制御部25には表示部26、操作部27、メモリ28、電池29が接続されている。
つまり、操作部27の操作で、送風機24を電池29で駆動し、外気を外装服本体23内に導入し、導入した風を内装服本体3の表面に沿わせて、外装服本体23内を上昇させ、首筋や、袖部分から外装服本体23外へと流出させる。
そして、この空気の流れで、内装服本体3に供給された水19を効果的に気化させ、身体20に対する冷却効果を高めるものである。
【0023】
なお、この実施形態では、中空糸膜4を前記内装服本体3の表面側に配置したが、内装服本体3が多層状態であれば、中空糸膜4を前記内装服本体3の中層に設けた状態にすることもできる。
例えば、前記内装服本体3の表面側に、もう一層の布を設けて内装服本体3を構成した場合には、中空糸膜4は、内装服本体3の内層に設けられた状態となる。
【0024】
また、送風機24用の電池29と水供給手段7用の電池15は図1に示す内装服本体3の表面に設けたポケット22内に収納されている。ポケット22は図1のごとく内装服本体3の左右に設けられているので、左右の一方に電池15、29を収納し、他方に水供給手段7を収納させる。
なお、電池15、29は、一つの電池として、送風機24と水供給手段7が使用できるようにしても良い。また、ポケット22には、電池15、29及び水供給手段7の何れか片方のみを収納してもよいので、例えば、左右の一方に電池15、29を収納し、他方には水供給手段7を収納しなくてもよいし、また、左右の一方に水供給手段7を収納し、他方には電池15、29を収納しなくてもよい。
ポケット22は上方に開口部を設けているので、電池15、29、水供給手段7は、ポケット22の上方から収納、取り出しができるようになっている。
【0025】
そのような構成において、ポケット22に対応する外装服本体23部分、あるいはその近傍には、図7に示すように作業用開口部23aを設けている。
この作業用開口部23aは、外装服本体23のポケット23bとは独立したもので、開閉自在となっている。作業用開口部23aは、外装服本体23の一部を貫通している。したがって、作業用開口部23aを介して、外装服本体23の外側と内側とが通じている。
すなわち、本実施形態では、内装服本体3の身体側には、身体側に向けて突出する凸部16を設け、この凸部16は撥水状態にするとともに、身体とは反対側に窪んだ凹部17を形成したもので、水供給時にも、身体が濡れていることを感じにくい構成としている。
このため、内装服本体3への水供給が進んでいるか否かの確認を、作業用開口部23aを開口させ、内装服本体3の表面を触ることで確認することができるようにしたことは、きわめて使い勝手の良いものとなるのである。
【0026】
本発明者は、特開2019-218666号公報で、中空糸膜4を用いた方式では注水初期には、中空糸膜4からの空気追い出しのために水供給手段7の能力を高めることを報告しているが、中空糸膜4から水が流出したことは作業用開口部23aを開口させ、内装服本体3の表面を触ることで確認することができる。
このため、中空糸膜4から水が流出したことを確認した後は、水供給手段7の能力を手動で変更することも可能となる。
また、作業用開口部23aを開口させれば、外装服本体23外から、作業用開口部23aを介して、内装服本体3のポケット22に対して電池15、29、水供給手段7の収納、取り出しもでき、きわめて使い勝手の良いものとなる。
【0027】
さらに、作業用開口部23aは、開閉自在となっているので、作業終了後は閉じることができ、この作業用開口部23aを介しての空気漏れも防止できる。
なお、内装服本体3と外装服本体23は、ファスナーを用いて一体となる。具体的には、図15に示されているとおり、例えば、外装服本体33は、外側ファスナー61と、この外側ファスナー61の内側に設けられた内側ファスナー60とを有している。外側ファスナー61は、外装服本体33の前身頃を開閉するために用いられ、一方で、内側ファスナー60は、内装服本体34のファスナー62と着脱されるために用いられる。したがって、外装服本体33の内側ファスナー60と、内装服本体34のファスナー62とが係合することで、外装服本体33と内装服本体34とが一体となる。また、ファスナー62同士が係合することで、外装服本体33とは別個に内装服本体34のみで用いることもできる。
【0028】
(第2の実施形態)
図12は本発明の第2の実施形態を示している。
この実施形態では、内装服本体3の裏面側(身体20側)に、内装服本体3を構成する布とは別体のメッシュ生地31を設けたものである。
つまり、メッシュ生地31で、図12に示すように、前記凸部16と凹部17を構成し、凸部16を撥水状態、前記凹部17の近傍の開口で吸水状態(非撥水状態)となるようにしたものである。
そして、このような構成のメッシュ生地31も、内装服本体3に、中空糸膜4を縫い付ける糸18で縫い付けられる。
具体的には、中空糸膜4は、図4のごとく、前記内装服本体3の表面側に配置され、この内装服本体3の表面側から裏面側、前記内装服本体3の裏面から表面側へと縫い付けた糸18で前記内装服本体3に取り付けられている。
そして、この状態で、前記内装服本体3裏面側で、メッシュ生地31の凸部16に糸18が係合する部分は、この糸18で内装服本体3の表面側に引っ張り、この糸18が係合する部分の凸部16の高さを、前記糸18の非係合部分における凸部16の高さよりも低くする。
この点を、さらに詳細に説明すると、メッシュ生地31の裏面側には、複数の凸部16と複数の凹部17が形成されており、中空糸膜4を内装服本体3の表面側に縫い付ける糸18は、複数の凸部16と複数の凹部17に係合する。
凸部16で、糸18が係合した部分は、この糸18で内装服本体3の表面側へと引っ張られることで窪んだ状態となる。
したがって、糸18が係合した凸部16で、糸18が係合した部分は、糸18が係合していない他の凸部16の高さよりも低くなるのである。
このような構成とすれば、(第1の実施形態)と同様の効果を奏することができる。
【0029】
もちろん、メッシュ生地31を内装服本体3に他の糸で縫い付けた状態にすることもでき、この場合は、他の糸が係合する凸部16部分の高さを、他の糸が係合しない凸部16部分の高さよりも低くする。
【0030】
(第3の実施形態)
図13~図23は、本発明の第3の実施形態に係る冷感服32を示している。
本実施形態の冷感服32は、図13図16に示すように、外装服本体33と、この外装服本体33の内側に装着された内装服本体34を備えている。
内装服本体34の外周部は、それに対応する外装服本体33部分に縫い付けられ、これにより外装服本体33内に、内装服本体34で覆われた空間が形成される。
ただし、内装服本体34、外装服本体33の首筋、脇の下部分等においては、両者は縫い付けられておらず、これにより首筋と、脇の下部分に、空気の流出口が形成された状態となっている。
【0031】
前記外装服本体33の背面下部には、この外装服本体33と前記内装服本体34間の空間に、前記外装服本体33外の空気を供給する2個の送風機35が装着されている。
内装服本体34の前記外装服本体33側表面には中空糸膜36が配管されており、この中空糸膜36の給水部37には、この給水部37から前記中空糸膜36内に水を供給する給水ホース38が連結され、この給水ホース38には水供給手段39が連結されている。
前記内装服本体34の前身頃と後身頃には、それぞれ上方から下方に向けて中空糸膜36が蛇行状に配置されている。
【0032】
中空糸膜36は外周に無数の貫通孔が設けられた筒状で、筒状の両端開口部が給水部37となり、この給水部37が連結体40に連結され、また、連結体40には給水ホース38の一端が連結され、給水ホース38の他端には水供給手段39が連結されている。
つまり、水供給手段39からの水が、給水ホース38、連結体40、中空糸膜36の給水部37を介して中空糸膜36に供給され、中空糸膜36外周の貫通孔から内装服本体34の表面側(外装内装服本体33側の面)に供給され、この内装内装服本体34の表面を濡らすことになる。
【0033】
水供給手段39は、図15図20に示すように、水をためる水容器41と、水容器41内の水を吸い出すポンプ42とにより構成されている。
ポンプ42の制御回路はよく知られているように、ポンプ42を制御する制御部43と、この制御部43に接続された操作部44、表示部45、メモリ46を備え、電池47により駆動されるようになっている。
【0034】
本実施形態の特徴は、内装服本体34を、例えば、帝人フロンティア株式会社製の(トリプルドライ(登録商標)、カラット(登録商標))で形成したことである。
この内装服本体34は図17に示すように、内装服本体34の裏面側に、この内装服本体34の表面方向(外装服本体33方向)とは反対側に突出する複数の凸部48と、この内装服本体34の表面側(外装服本体33側)に窪んだ複数の凹部49を形成し、前記凸部48は撥水状態としたものである。また、凹部49は非撥水状態で、吸水状態となっている。
つまり、図17の左側が冷感服32を装着した使用者の身体側、右側が表面側(外装服本体33側)となっている。
【0035】
本実施形態の内装服本体34は、図17に示すように、前記凸部48と凹部49が、前記内装服本体34を構成する布の裏面側に一体形成され、前記凸部48を撥水状態、前記凹部49を吸水状態(非撥水状態)としたものである。
そして、このような構成の内装服本体34の表面側(外装服本体33側)に、図18に示すように、中空糸膜36を糸50で縫い付けている。
具体的には、中空糸膜36は、図15のごとく、前記内装服本体34の表面側(外装服本体33側)に配置され、この内装服本体34の表面側から裏面側、前記内装服本体34の裏面から表面側へと縫い付けた糸50で、前記内装服本体34に取り付けられている。
そして、この状態で、前記内装服本体34裏面側の凸部48で、前記内装服本体34の表面側から裏面側、前記内装服本体34の裏面側から表面側へと向かう前記糸50が係る係合部分は、この糸50で前記内装服本体34の表面側(外装服本体33側)に引っ張ることで、凸部48の高さを、前記糸50の非係合部分における凸部48の高さよりも低くしている。
この点を、さらに詳細に説明すると、内装服本体34の裏面側には、上述のごとく複数の凸部48と複数の凹部49が形成されており、中空糸膜36を内装服本体34の表面側に縫い付ける糸50は、複数の凸部48と複数の凹部49に係合する。
凸部48で、糸50が係合した部分は、この糸50で内装服本体34の表面側へと引っ張られることで窪んだ状態となる。
したがって、糸50が係合した凸部48で、糸50が係合した部分は、糸50が係合していない他の凸部48の高さよりも低くなるのである。
【0036】
本実施形態においては、以上の構成であるので、図22図23に示す作用が奏される。
まず、水供給手段39からの水は、上述のごとく、給水ホース38、連結体40、中空糸膜36の給水部37を介して中空糸膜36に供給され、中空糸膜36外周の貫通孔から内装服本体34の表面側(外装服本体33側)に供給され、この内装服本体34の表面側(外装服本体33側)を濡らすことになる。
図22では、理解を助けるために、内装服本体34の表面側(外装服本体33側)に、中空糸膜36の貫通孔から内装服本体34の表面側(外装服本体33側)に流出した水51を示しているが、実際に、この水51は内装服本体34に染み込み、内装服本体34の広範部に拡散し、次に、図23示すように内装服本体34の表面側(外装服本体33側)から気化(蒸発)する。
そして、この時に気化熱で内装服本体34の内側の身体52を冷却することになる。
つまり、内装服本体34の温度を下げれば、この内装服本体34を装着した身体の冷却ができるのである。
図23において身体52側への矢印に×マークを付けたのは、内装服本体34に染み込んだ水51が身体52側に流出しない状態を示すためである。
【0037】
内装服本体34の裏面側(身体52側)には、上述のごとく、この内装服本体34の表面方向とは反対側に突出する凸部48が設けられ、この凸部48は撥水状態としている。
このため、内装服本体34に染み込んだ水51は、内装服本体34の広範部に拡散しているが、図23に示すように内装服本体34の表面側から蒸発し、身体52側には流出しない。
このため、水51を用いた冷感服32でありながら、身体52をこの水51濡らすことはなく、快適なものとなる。
【0038】
本実施形態で特徴的なのは、中空糸膜36を、図18のごとく、前記内装服本体34の表面側に配置し、この内装服本体34の表面側から裏面側、前記内装服本体34の裏面から表面側へと縫い付けた糸50で前記内装服本体34に取り付けたことである。
前記内装服本体34裏面側の凸部48で、前記内装服本体34の表面側から裏面側、前記内装服本体34の裏面側から表面側へと向かう前記糸50が係る係合部分を、この糸50で前記内装服本体34の表面側に引っ張ることで、凸部48の高さを、前記糸50の非係合部分における凸部48の高さよりも低くしている。
【0039】
その理由は、糸50で中空糸膜36を内装服本体34に縫い付けた場合、糸50の表面を伝って内装服本体34の裏面側に水51の一部が流出する虞があるので、それを対策するためである。
このように糸50が係合した部分の凸部48の高さを、糸50が係合していない部分の凸部48の高さよりも低くすると、例え、糸50の表面を伝って内装服本体34の裏面側に水51の一部が流出したとしても、その部分は他の凸部48よりも低いので身体52には到達せず、身体52を濡らすことがない。
【0040】
また、糸50が係合した部分の凸部48にまで少量の水51が流出しても、撥水処理がされた凸部48ではじかれ、次には、その部分に隣接する凹部49へと流動することになる。
この凹部49は撥水処理をしていない吸水部であるので、ここで吸水され、内装服本体34の表面側に移動し、気化する。
図23において身体52に示した汗53は、撥水処理をしていない吸水部である上記凹部49はで吸水され、内装服本体34の表面側に移動し、気化する。
つまり、身体52表面には内装服本体34からの水51が到達することは少なく、また、身体52表面の汗53も内装服本体34の表面側に移動し、気化する。
これにより、きわめて快適なものとなるのである。
【0041】
また、前記糸50は、ナイロンなどの非吸水性材料を用いれば、この糸50を介して内装服本体34の表面側から裏面側への水51の移動をさらに抑制できる。
【0042】
本実施形態の冷感服32は、外装内装服本体33と、この外装服本体33の内側に装着された内装服本体34を備えている。
前記外装服本体33の背面下部には、この外装服本体33と前記内装服本体34間の空間に、前記外装内装服本体33外の空気を供給する2個の送風機35が装着されている。
また、送風機35は、図21に示すように制御部54に接続され、制御部54には表示部55、操作部56、メモリ57、電池58が接続されている。
つまり、操作部56の操作で、送風機35を電池58で駆動し、図19のように、外装服本体33と前記内装服本体34間の空間に、前記外装服本体33外の空気を導入し、導入した風を内装服本体34の表面に沿わせて、上昇させ、首筋や、袖部分の上記開口部から冷感服32外へと流出させる。
そして、この空気の流れで、内装服本体34に供給された水51を効果的に気化させ、身体52に対する冷却効果を高めるものである。
【0043】
また、外装服本体33と前記内装服本体34間の空間に、前記外装服本体33外の空気が導入されると、その空気圧で、内装服本体34が身体52側へと押し付けられる状態となり、これによっても冷却効果を高めることができる。
つまり、冷たい内装服本体34が身体52側へと押し付けられると、身体52の冷却効果が高くなるのである。
【0044】
なお、本実施形態では、図16に示すように、外装服本体33の下部に送風機35を設け、前記中空糸膜36は、この送風機35よりも上方の内装服本体34に配置した。
これは、送風機35からの送風で、内装服本体34に供給された水51を効果的に気化させ、身体52に対する冷却効果を高めるものである。
【0045】
なお、この実施形態では、中空糸膜36を前記内装服本体34の表面側に配置したが、内装服本体34が多層状態であれば、中空糸膜36を前記内装服本体34の中層に設けた状態にすることもできる。
例えば、前記内装服本体34の表面側に、もう一層の布を設けて内装服本体34を構成した場合には、中空糸膜36は、内装服本体34の内層に設けられた状態となる。
【0046】
また、水供給手段39、および送風機35用の電池58と水供給手段39用の電池47は図13に示す内装服本体34の表面側(外装服本体33側)に設けたポケット34a内に収納されている。ポケット34aは図13のごとく内装服本体34の左右に設けられているので、左右の一方に電池47、58を収納し、他方に水供給手段39を収納させる。
なお、電池47、58は、一つの電池として、送風機35と水供給手段39が使用できるようにしても良い。また、ポケット34aには、電池47、58及び水供給手段39の何れか片方のみを収納してもよいので、例えば、左右の一方に電池47、58を収納し、他方には水供給手段39を収納しなくてもよいし、また、左右の一方に水供給手段39を収納し、他方には電池47、58を収納しなくてもよい。
ポケット34aは上方に開口部を設けているので、電池47、58、水供給手段39は、ポケット34aの上方から収納、取り出しができるようになっている。
【0047】
そのような構成において、ポケット34aに対応する外装服本体33部分、あるいはその近傍には、図13に示すように作業用開口部33aを設けている。
この作業用開口部33aは、外装服本体33のポケット33bとは独立したもので、開閉自在となっている。作業用開口部33aは、外装服本体33の一部を貫通している。したがって、作業用開口部33aを介して、外装服本体33の外側と内側とが通じている。
すなわち、本実施形態では、内装服本体34の身体側には、身体側に向けて突出する凸部48を設け、この凸部48は撥水状態にするとともに、身体とは反対側に窪んだ凹部49を形成したもので、水供給時にも、身体が濡れていることを感じにくい構成としている。
このため、内装服本体34への水供給が進んでいるか否かの確認を、作業用開口部33aを開口させ、内装服本体34の表面を触ることで確認することができるようにしたことは、きわめて使い勝手の良いものとなるのである。
【0048】
本発明者は、特開2019-218666号公報で、中空糸膜36を用いた方式では注水初期には、中空糸膜36からの空気追い出しのために水供給手段39の能力を高めることを報告しているが、中空糸膜36から水が流出したことは作業用開口部33aを開口させ、内装服本体34の表面を触ることで確認することができる。
このため、中空糸膜36から水が流出したことを確認した後は、水供給手段39の能力を手動で変更することも可能となる。
また、作業用開口部33aを開口させれば、外装服本体33外から、作業用開口部33aを介して、内装服本体34のポケット34aに対して電池47、58、水供給手段39の収納、取り出しもでき、きわめて使い勝手の良いものとなる。
さらに、作業用開口部33aは、開閉自在となっているので、作業終了後は閉じることができ、この作業用開口部33aを介しての空気漏れも防止できる。
【0049】
(第4の実施形態)
図24は本発明の第4の実施形態を示している。
この実施形態では、内装服本体34の裏面側(身体52側)に、内装服本体34を構成する布とは別体のメッシュ生地59を設けたものである。
つまり、メッシュ生地59でも、図24に示すように、前記凸部48と凹部49を構成し、凸部48を撥水状態、前記凹部49の近傍の開口で吸水状態(非撥水状態)を構成できるようにしたものである。
そして、このような構成のメッシュ生地59も、内装服本体34に、中空糸膜36を縫い付ける糸50で縫い付けられる。
具体的には、中空糸膜36は、図18のごとく、前記内装服本体34の表面側に配置され、この内装服本体34の表面側から裏面側、前記内装服本体34の裏面から表面側へと縫い付けた糸50で前記内装服本体34に取り付けられている。
そして、この状態で、前記内装服本体34裏面側で、メッシュ生地59の凸部48に糸50が係合する部分は、この糸50で内装服本体34の表面側に引っ張り、この糸50が係合する部分の凸部48の高さを、前記糸50の非係合部分における凸部48の高さよりも低くする。
この点を、さらに詳細に説明すると、メッシュ生地59の裏面側には、複数の凸部48と複数の凹部49が形成されており、中空糸膜36を内装服本体34の表面側に縫い付ける糸50は、複数の凸部48と複数の凹部49に係合する。
凸部48で、糸50が係合した部分は、この糸50で内装服本体34の表面側へと引っ張られることで窪んだ状態となる。
したがって、糸50が係合した凸部48で、糸50が係合した部分は、糸50が係合していない他の凸部48の高さよりも低くなるのである。
【0050】
このような構成とすれば、(第3の実施形態)と同様の効果を奏することができる。
もちろん、メッシュ生地59を内装服本体34に他の糸で縫い付けた状態にすることもでき、この場合は、他の糸が係合する凸部48部分の高さを、他の糸が係合しない凸部48部分の高さよりも低くする。
【0051】
以上、本発明の実施形態を詳述したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。そして本発明は、特許請求の範囲に記載された事項を逸脱することがなければ、種々の設計変更を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0052】
1 冷感服
2 ファスナー
3 内装服本体
4 中空糸膜
5 給水部
6 給水ホース
7 水供給手段
8 連結体
9 水容器
10 ポンプ
11 制御部
12 操作部
13 表示部
14 メモリ
15 電池
16 凸部
17 凹部
18 糸
19 水
20 身体
21 汗
22 ポケット
23 外装服本体
23a 作業用開口部
23b ポケット
24 送風機
25 制御部
26 表示部
27 操作部
28 メモリ
29 電池
31 メッシュ生地
32 冷感服
33 外装服本体
33a 作業用開口部
33b ポケット
34 内装服本体
34a ポケット
35 送風機
36 中空糸膜
37 給水部
38 給水ホース
39 水供給手段
40 連結体
41 水容器
42 ポンプ
43 制御部
44 操作部
45 表示部
46 メモリ
47 電池
48 凸部
49 凹部
50 糸
51 水
52 身体
53 汗
54 制御部
55 表示部
56 操作部
57 メモリ
58 電池
59 メッシュ生地
60 内側ファスナー
61 外側ファスナー
62 ファスナー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24