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特開2024-104896通信装置、更新方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104896
(43)【公開日】2024-08-06
(54)【発明の名称】通信装置、更新方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 8/65 20180101AFI20240730BHJP
【FI】
G06F8/65
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023009325
(22)【出願日】2023-01-25
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】弁理士法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】國正 勉
【テーマコード(参考)】
5B376
【Fターム(参考)】
5B376CA05
5B376CA07
5B376CA39
(57)【要約】
【課題】通信装置の制御プログラムの更新作業工数を削減できる通信装置を提供する。
【解決手段】制御プログラムの更新に必要な更新データを受信して、更新データに基づき制御プログラムの更新を行う通信装置において、制御プログラムの更新が完了した際に、第1のネットワークを介して複数の通信装置のうちの1の通信装置の制御プログラムが更新データに基づき更新され得る状態か否かを確認する状態確認手段と、1の通信装置において制御プログラムの更新が完了されていない場合、第1のネットワークを介して1の通信装置へ更新データを送信し、更新データに基づいた制御プログラムの更新を1の通信装置に指示する更新指示手段と、1の通信装置において制御プログラムの更新が完了した際に、1の通信装置から制御プログラムの更新が完了されたことを知らせる更新完了通知を受信する完了通知受信手段と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のネットワークを介して複数の通信装置に接続された通信装置であって、
前記第1のネットワーク又は前記第1のネットワークとは異なる第2のネットワークから所定の制御プログラムの更新に必要な更新データを受信して、前記更新データに基づき前記所定の制御プログラムの更新を行う更新手段と、
前記所定の制御プログラムの更新が完了した際に、前記第1のネットワークを介して前記複数の通信装置のうちの1の通信装置の前記所定の制御プログラムが前記更新データに基づき更新され得る状態か否かを確認する状態確認手段と、
前記1の通信装置において前記所定の制御プログラムの更新が完了されていない場合、前記第1のネットワークを介して前記1の通信装置へ前記更新データを送信し、前記更新データに基づいた前記所定の制御プログラムの更新を前記1の通信装置に指示する更新指示手段と、
前記1の通信装置において前記所定の制御プログラムの更新が完了した際に、前記1の通信装置から前記所定の制御プログラムの更新が完了されたことを知らせる更新完了通知を受信する完了通知受信手段と、
を有することを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記更新完了通知を受信する場合、前記1の通信装置からの前記所定の制御プログラムの更新が完了された情報を記録する記録部を有することを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記更新データは、前記所定の制御プログラムの更新を順次行うべき前記1の通信装置の順序を示す更新順序情報を含み、
前記更新指示手段は、前記更新順序情報に基づき前記1の通信装置が前記更新データを取得するように前記1の通信装置を制御することを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項4】
前記第1のネットワークはリング型ネットワーク又はカスケード型ネットワークであることを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項5】
第1のネットワークを介して複数の通信装置に接続された通信装置の制御プログラムを更新する更新方法であって、
前記第1のネットワーク又は前記第1のネットワークとは異なる第2のネットワークから所定の制御プログラムの更新に必要な更新データを受信して、前記更新データに基づき前記所定の制御プログラムの更新を行う更新ステップと、
前記所定の制御プログラムの更新が完了した際に、前記第1のネットワークを介して前記複数の通信装置のうちの1の通信装置の前記所定の制御プログラムが前記更新データに基づき更新され得る状態か否かを確認する状態確認ステップと、
前記1の通信装置において前記所定の制御プログラムの更新が完了されていない場合、前記第1のネットワークを介して前記1の通信装置へ前記更新データを送信し、前記更新データに基づいた前記所定の制御プログラムの更新を前記1の通信装置に指示する更新指示ステップと、
前記1の通信装置において前記所定の制御プログラムの更新が完了した際に、前記1の通信装置から前記所定の制御プログラムの更新が完了されたことを知らせる更新完了通知を受信する完了通知受信ステップと、
前記更新完了通知を受信する場合、前記1の通信装置からの前記所定の制御プログラムの更新が完了された情報を記録する記録ステップと、を含むことを特徴とする更新方法。
【請求項6】
第1のネットワークを介して複数の通信装置に接続された通信装置に搭載されたコンピュータに、
前記第1のネットワーク又は前記第1のネットワークとは異なる第2のネットワークから所定の制御プログラムの更新に必要な更新データを受信して、前記更新データに基づき前記所定の制御プログラムの更新を行う更新ステップと、
前記所定の制御プログラムの更新が完了した際に、前記第1のネットワークを介して前記複数の通信装置のうちの1の通信装置の前記所定の制御プログラムが前記更新データに基づき更新され得る状態か否かを確認する状態確認ステップと、
前記1の通信装置において前記所定の制御プログラムの更新が完了されていない場合、前記第1のネットワークを介して前記1の通信装置へ前記更新データを送信し、前記更新データに基づいた前記所定の制御プログラムの更新を前記1の通信装置に指示する更新指示ステップと、
前記1の通信装置において前記所定の制御プログラムの更新が完了した際に、前記1の通信装置から前記所定の制御プログラムの更新が完了されたことを知らせる更新完了通知を受信する完了通知受信ステップと、
前記更新完了通知を受信する場合、前記1の通信装置からの前記所定の制御プログラムの更新が完了された情報を記録する記録ステップと、
を実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光伝送網を用いて通信を行う光伝送装置(以下、単に、通信装置又は装置ともいう)と、その制御プログラムの更新方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、SONET/SDH(Synchronous Optical NETwork/Synchronous Digital Hierarchy)やOTN(Optical Transport Network)などの光伝送通信網のネットワークを構成する通信装置(以下、ノードともいう)の制御プログラムを最新版数のものに更新する更新方法が記載されている。
【0003】
特許文献1に記載の更新方法においては、通信装置は、更新用のコンフィギュレーションデータを、ID挿入部にて送信宛先の通信装置を指定し、マルチプレクサインターフェース部にてSONET/SDHフレームやOTNフレームの空きバイトに埋め込んで、通常の通信データに多重して送信する。更新用のコンフィギュレーションデータを受信した送信宛先の通信装置は、ID抽出部にて自装置向けの更新用のコンフィギュレーションデータであることを確認したうえで、FPGA(Field Programmable Gate Array)部のコンフィギュレーションデータ(FPGAの制御プログラム)を更新する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-124196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の更新方法では、リング内全装置の制御プログラムを更新する際、更新の指示は、各装置に対して集中管理端末からの操作が必要となり、装置台数に比例したオペレータによる更新作業工数が増える。
【0006】
また、当該従来のシステムでは、更新用のコンフィギュレーションデータ等を、通信装置同士間にて出力されるOTNフレームの空きバイトを使用するため、通信装置にデータ等の挿入/抽出のための独自の回路構成が必要となり回路規模が増大し、また送信側受信側で同じ回路(同一FPGA(Field Programmable Gate Array)又はASIC(application specific integrated circuit)等)を搭載しなければならず、マルチベンダ対応も困難であるという問題点がある。
【0007】
さらに、現状では、集中管理端末からそれぞれの通信装置に対する接続および操作により制御プログラムの更新を行っており、装置台数に比例した作業工数が発生している。このため、数千台レベルで全国展開された通信装置などの設置台数が多い場合は、相応の更新作業工数増となり、事業経営費用を圧迫することとなり、制御プログラムの更新作業工数の削減が望まれている。
【0008】
本発明は、以上の従来技術の問題点に鑑みなされたものであり、オペレータによる光伝送装置(通信装置)の制御プログラムの更新作業工数を削減できる通信装置、更新方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の通信装置は、第1のネットワークを介して複数の通信装置に接続された通信装置であって、前記第1のネットワーク又は前記第1のネットワークとは異なる第2のネットワークから所定の制御プログラムの更新に必要な更新データを受信して、前記更新データに基づき前記所定の制御プログラムの更新を行う更新手段と、前記所定の制御プログラムの更新が完了した際に、前記第1のネットワークを介して前記複数の通信装置のうちの1の通信装置の前記所定の制御プログラムが前記更新データに基づき更新され得る状態か否かを確認する状態確認手段と、前記1の通信装置において前記所定の制御プログラムの更新が完了されていない場合、前記第1のネットワークを介して前記1の通信装置へ前記更新データを送信し、前記更新データに基づいた前記所定の制御プログラムの更新を前記1の通信装置に指示する更新指示手段と、前記1の通信装置において前記所定の制御プログラムの更新が完了した際に、前記1の通信装置から前記所定の制御プログラムの更新が完了されたことを知らせる更新完了通知を受信する完了通知受信手段と、を有することを特徴とする。
【0010】
本発明の更新方法は、第1のネットワークを介して複数の通信装置に接続された通信装置の制御プログラムを更新する更新方法であって、前記第1のネットワーク又は前記第1のネットワークとは異なる第2のネットワークから所定の制御プログラムの更新に必要な更新データを受信して、前記更新データに基づき前記所定の制御プログラムの更新を行う更新ステップと、前記所定の制御プログラムの更新が完了した際に、前記第1のネットワークを介して前記複数の通信装置のうちの1の通信装置の前記所定の制御プログラムが前記更新データに基づき更新され得る状態か否かを確認する状態確認ステップと、前記1の通信装置において前記所定の制御プログラムの更新が完了されていない場合、前記第1のネットワークを介して前記1の通信装置へ前記更新データを送信し、前記更新データに基づいた前記所定の制御プログラムの更新を前記1の通信装置に指示する更新指示ステップと、前記1の通信装置において前記所定の制御プログラムの更新が完了した際に、前記1の通信装置から前記所定の制御プログラムの更新が完了されたことを知らせる更新完了通知を受信する完了通知受信ステップと、前記更新完了通知を受信する場合、前記1の通信装置からの前記所定の制御プログラムの更新が完了された情報を記録する記録ステップと、を含むことを特徴とする。
【0011】
本発明のプログラムは、第1のネットワークを介して複数の通信装置に接続された通信装置に搭載されたコンピュータに、前記第1のネットワーク又は前記第1のネットワークとは異なる第2のネットワークから所定の制御プログラムの更新に必要な更新データを受信して、前記更新データに基づき前記所定の制御プログラムの更新を行う更新ステップと、前記所定の制御プログラムの更新が完了した際に、前記第1のネットワークを介して前記複数の通信装置のうちの1の通信装置の前記所定の制御プログラムが前記更新データに基づき更新され得る状態か否かを確認する状態確認ステップと、前記1の通信装置において前記所定の制御プログラムの更新が完了されていない場合、前記第1のネットワークを介して前記1の通信装置へ前記更新データを送信し、前記更新データに基づいた前記所定の制御プログラムの更新を前記1の通信装置に指示する更新指示ステップと、前記1の通信装置において前記所定の制御プログラムの更新が完了した際に、前記1の通信装置から前記所定の制御プログラムの更新が完了されたことを知らせる更新完了通知を受信する完了通知受信ステップと、前記更新完了通知を受信する場合、前記1の通信装置からの前記所定の制御プログラムの更新が完了された情報を記録する記録ステップと、を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の通信装置、更新方法およびプログラムによれば、隣接ノードである通信装置を順次自動的に(自律で)制御プログラムを更新していくことで、オペレータによる通信装置の制御プログラムの更新作業工数を削減でき、独自の回路構成が不要であり、回路規模の増大を回避可能、またマルチベンダへの対応も容易とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態にかかる通信装置で構成される光伝送網の基本的な構成を示すブロック図である。
図2】本発明の実施例の通信装置の基本的な構成を示すブロック図である。
図3】本実施例の通信装置による更新手順を示した第一のフローチャートである。
図4】本実施例の通信装置による更新手順を示した第二のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ本発明による実施形態に係る通信装置について説明する。なお、以下の実施形態および実施例において、実質的に同一の機能および構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0015】
図1は、本発明の実施形態にかかる通信装置で構成されるリング接続されたOTNの第1のネットワーク(光伝送網)10の基本的な構成を示すブロック図である。
【0016】
ネットワーク10は、複数の通信装置101、102、103、…1xxと、隣接ノード同士を接続するコアネットワークとしてリング冗長構成の光伝送路11により構成される。ネットワーク10の複数の通信装置は、第2のネットワークである監視制御網WCNにLAN又はWANで接続されたリングの代表装置(以下、HUB局ともいう)101と、HUB局101の配下の複数の通信装置(以下、GC局ともいう)102、103、…1xxとに分類される。リング内の隣接ノード同士は、OTNフレーム内のGCCチャネルを使用してGCC通信を行う。
【0017】
HUB局101は、監視制御網WCNに接続された監視制御端末WCPCに対してLAN経由で通信を行うか、監視制御網WCNを介さず直接接続された監視制御端末WCPCとLAN通信することができる。
【0018】
HUB局101、GC局102、103、…1xxは例えば数千台レベルで接続され、ノードのHUB局101及びGC局102、103、…1xxの各々は数万台レベルの複数のクライアント回線CLを収容することができる。
【0019】
本実施形態では、隣接ノードであるHUB局101、GC局102、103、…1xxを順次自動的に(自律で)制御プログラム(以下、ソフトウエアともいう)を逐次更新していく。なお、更新は、各ノードにインストールされたソフトウエア自体すべてを更新、又は、パターンファイルなどソフトウエアの一部分を更新するアップグレード(以下、Vupともいう)を含む。
【0020】
逐次更新の最初は、HUB局101をVupするための監視制御網WCNに接続された監視制御端末WCPCからHUB局101にログインし、所定の制御プログラムのVupに必要な更新データ(以下、Vup用ファイルともいう)を、監視制御網WCNに接続されたFTPサーバ等から又は監視制御端末WCPCから、HUB局101へダウンロード(以下、FDLともいう)し、HUB局101内メモリの面切替(バンク切替等)や、装置再起動を行う。
【0021】
次は、それぞれGCC通信を介して、Vup完了のHUB局101がGC局102へVup指示とVup完了受信を行い、その後、Vup完了のGC局102がGC局103へVup指示とVup完了受信を行い、その後順に、Vup完了のノードとVup未完の隣接ノードの間でVup指示とVup完了受信を実行し、最後に、GC局1xxがVup完了するように逐次更新を実行する。
【0022】
(通信装置)
通信装置101、102、103、…1xxの各々、例えばHUB局101は、自装置内の各種の機能モジュール(図示しないインタフェースモジュール等)を監視制御するコンピュータ装置である監視制御部201を有する。監視制御部201は、内部バスで互いに接続された、CPU(Central Processing Unit)部302と、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、やフラッシュメモリ等の記憶装置を有する。記憶装置のメモリ部303はソフトウエアを処理するにあたり一時的にデータを保存する。記憶装置のFlashメモリ部304は、ソフトウエアや設定データ等を格納する。具体的に、Flashメモリ部304は、FTPサーバ、監視制御端末WCPC又は隣接ノードからFDLされて保持されるVup用ファイル505と、Vup用ファイル505のソフトウエアバージョンを記録するVer記録部506を保持する。インストールされたソフトウエアに従うCPUによって監視制御部201が通信装置全体動作を制御する。
【0023】
Vup用ファイル505は、Vupを順次行うべき隣接ノードの通信装置の順序を示す更新順序情報を含み、後述のVup指示部502が、前記更新順序情報に基づき隣接ノードの通信装置(GC局102等)がVup用ファイル505を取得するように隣接ノードの通信装置を制御する。
【0024】
HUB局101は、さらに、配下の通信装置であるGC局102、103、…1xxとOTNフレームを用いて光伝送を行うラインインタフェース部202と、ラインインタフェース部と複数のクライアント回線CL(図1、参照)とフレーム交換するするクライアントインタフェース部203とを有する。
【0025】
(監視制御部)
監視制御部201は、監視制御網WCNからのLAN信号を生成終端して、監視制御網WCN及びCPU部302間のLAN通信を実行するLAN終端部305を有する。
【0026】
CPU部302は、そのキャッシュメモリ内に展開されたソフトウエアの機能部として、Vup実行部500と、隣接ノードステータスチェック機能部501と、Vup指示部502と、を有する。
【0027】
Vup実行部500は、監視制御網WCN又は隣接ノードからVup指示信号と共に受信したVup用ファイル505に基づきVupを行う更新手段である。Vup実行部500はVup用ファイル505に含まれ、CPU部302に展開された機能部である。
【0028】
Vup実行部500は、自装置(例えば自装置がGC局102である場合)のVupが完了した際に、隣接ノード(HUB局101)にVupが完了したことを知らせる更新完了通知を送信する完了通知送信手段としても機能する。
【0029】
隣接ノードステータスチェック機能部501は、OTNフレーム内のGCCチャネルを通じて、隣接ノードの通信装置(GC局102)の故障の有無、ソフトウエアバージョン、及び、後述するVup実施済フラグの値等の状態(ステータス)の読出しとその状態の判別を行う状態確認手段である。隣接ノードステータスチェック機能部501はVup用ファイル505に含まれ、CPU部302に展開された機能部である。隣接ノードステータスチェック機能部501は、自装置がVupが完了した際に、GCCチャネルを介して隣接ノードの通信装置(GC局102)のソフトウエアがVup用ファイル505に基づき更新され得る状態か否かを確認する。
【0030】
隣接ノードステータスチェック機能部501は、隣接ノードの通信装置(GC局102)の故障の有無、ソフトウエアバージョン、及び、Vup実施済フラグの値のステータス情報をGC局102のCPU部302に要求するステータスチェック要求機能と、GC局102のCPU部302から当該ステータス情報を受信する受信機能を有する。隣接ノードステータスチェック機能部501は、隣接ノードの故障の有無、ソフトウエアバージョン、及び、Vup実施済フラグの値の判断を行い、Vup指示部502にその判断を送る。
【0031】
隣接ノードステータスチェック機能部501により読出す、隣接ノードのステータス(故障有無、ソフトウエアバージョン、Vup実施済フラグ)情報と、Vup指示部502の動作内容(Vup指示、スキップ等)の関係はテーブルとしてFlashメモリ部304内に事前に格納することとし、テーブルの内容を下記の表1と図3図4に示す。
【0032】
【表1】
【0033】
Vup指示部502は、隣接ノードステータスチェック機能部501の判断に応じて、OTNフレーム内のGCCチャネルを通じて、隣接ノードの通信装置(GC局102)に対してVup指示(面切替指示、再起動指示)又はスキップ処理を行う。Vup指示部502は、隣接ノードの通信装置(GC局102)においてVupが完了されていない場合、Vup指示として、GCCチャネルを介して隣接ノードのGC局102へVup用ファイル505を送信し、Vup用ファイル505に基づいたVupを隣接ノードの通信装置に指示する更新指示手段である。Vup指示部502はVup用ファイル505に含まれ、CPU部302に展開された機能部である。
【0034】
Vup指示部502は、隣接ノードの通信装置(GC局102)のVupが完了した際に、GC局102のVup実行部500からVupが完了されたことを知らせる更新完了通知を受信する完了通知受信手段としても機能する。
【0035】
Vup指示部502は、前記更新完了通知を受信する場合、隣接ノードの通信装置(GC局102)からのVup(指示)が完了されたVup状態情報を記録する(「Vup実施済フラグ」を未実施→実施済)Vup状態記録手段としても機能する。
【0036】
すなわち、Flashメモリ部304内のビットアサインとして、隣接ノードへのVup指示を実施し隣接ノードのVupが完了した際に理論値「0」(未実施)から理論値「1」(実施済)へ設定するVup実施済フラグ503と、監視制御端末WCPCからの操作により、Vup指示部502の機能を有効にする際に理論値「0」(OFF)から理論値「1」(ON)へ設定する、Vup指示有効化フラグ504と、をさらに有する。
【0037】
(ラインインタフェース部)
ラインインタフェース部202は、ライン終端部401と、ADM部402とを有する。
【0038】
ライン終端部401は、隣接ノードとOTNフレームを用いて光伝送を行うため光信号を生成終端し、光信号をADM部402に送る。
【0039】
ADM部402は、光回線用のOADM(Optical Add Drop Multiplexer)であり、リング接続ネットワークに挿入され、高速通信路から情報を抜き出したり(Drop)、情報を通信路に乗せたり(Add)するための多重化装置である。ADM部402は、クライアントインタフェース部203との間でやり取りされるクライアント回線データ、および、監視制御部201内のCPU部302と配下のGC局102の間でやり取りされる各種制御情報(Vup用ファイル、ステータスチェック及びチェック応答の信号、Vup指示信号、Vup完了通知信号等含む)をOTNフレームに挿入/抽出を行う。
【0040】
(クライアントインタフェース部203)
クライアントインタフェース部203は、複数のクライアント回線CL(図1、参照)を収容し、クライアント回線CL及びラインインタフェース部202間でパケットのルーティング処理を行う。
【0041】
一方、HUB局101の配下のGC局102、103、…1xxについてもHUB局101と同様な構成(監視制御部201、隣接ノードと光伝送を行うラインインタフェース部202、並びにクライアントインタフェース部203)を有する。なお、配下のGC局102、103、…1xxは監視制御網WCNへの接続がないためLAN終端部305は機能OFFとする。
【0042】
(通信装置の動作)
図3は、本実施例の通信装置による更新手順を示した第一のフローチャートである。通信装置のノードは数千台レベルの接続が可能であるが、図3に示すHUB局101及びGC局102、103のリング構成で説明する。
【0043】
初期設定として、監視制御端末WCPCから、HUB局101および配下の各GC局102、103にログインし、各装置のVup指示有効化フラグ504を理論値「1」(ON)に設定し、各装置のVup指示部502の機能を有効にする。
【0044】
初期設定後、まずは監視制御端末WCPCから、HUB局101に対して通常のVup指示を行う(ステップS0)。具体的に、通常のVupは、Vup用ファイルをFTPサーバ(図1、参照)等からHUB局101のFlashメモリ部304内にFDLし、装置内メモリの面切替、装置再起動を行う(ステップS1)。
【0045】
Vup完了したHUB局101のソフトウエアが新バージョンに更新された後、Vup指示部502はFlashメモリ部304内にVup状態情報を記録する(「Vup実施済フラグ」を未実施「0」→実施済「1」)。
【0046】
HUB局101は隣接ノードステータスチェック機能部501の自律動作により、隣接ノードのGC局102のステータス(故障の有無、ソフトウエアバージョン、Vup実施済フラグ)をステータスチェック(ステップS2)とステータスチェック応答(ステップS3)とで読み出す。この時、隣接ノードとしてはリングの内回り方向、外回り方向の2方向があるが、どちらの方向を選んでもよく、どちらか一方の方向を選ぶ(ここでは記録された更新順序情報に基づきGC局102が選択される)。
【0047】
HUB局101は、隣接ノードのGC局102のステータスを読み出した結果を判断し(ステップS4)、故障なし、かつソフトウエアが旧バージョンであった場合、Vup指示部502の自律動作によりVup指示を行う(ステップS5)。Vup指示は、HUB局101内のFlashメモリ部304に格納されたVup用ファイルを隣接ノードのGC局102へFDLすることと、FDL完了後、装置内メモリの面切替指示、装置再起動指示を含む。
【0048】
そして、GC局102は、FDLされたVup用ファイルに基づいて装置起動しVup完了となる(ステップS6)。Vup完了後、隣接ノードのGC局102はVup指示元の装置(今回はHUB局101)に対して、Vup完了通知を送信する(ステップS7)。
【0049】
そのVup完了通知を受信したHUB局101は、Vup実施済フラグ503を理論値「1」(実施済)にする(ステップS8)。
【0050】
さらに、隣接ノードのGC局102はその先の隣接ノードのGC局103に対して、自装置の隣接ノードステータスチェック機能部により、隣接ノードのGC局103のステータスの読み出しをステータスチェック(ステップS9)とステータスチェック応答(ステップS10)とで行う。以降、同様な動作が隣接ノードのGC局で順次行われる。
【0051】
GC局102は、隣接ノードのGC局103のステータスを読み出した結果を判断し(ステップS11)、故障なし、かつソフトウエアが旧バージョンであった場合、Vup指示部502の自律動作によりVup指示を行う(ステップS12)。Vup指示は、GC局102内のFlashメモリ部304に格納されたVup用ファイルを隣接ノードのGC局103へFDLすることと、FDL完了後、装置内メモリの面切替指示、装置再起動指示を含む。
【0052】
そして、GC局103は、FDLされたVup用ファイルに基づいて装置起動しVup完了となる(ステップS13)。Vup完了後、隣接ノードのGC局103はVup指示元の装置(今回はGC局102)に対して、Vup完了通知を送信する(ステップS14)。
【0053】
そのVup完了通知を受信したGC局102は、Vup実施済フラグ503を理論値「1」(実施済)にする(ステップS15)。
【0054】
隣接ノードのGC局103はその先の隣接ノードのHUB局101に対して、自装置の隣接ノードステータスチェック機能部により、隣接ノードのHUB局101のステータスの読み出しをステータスチェック(ステップS16)とステータスチェック応答(ステップS17)とで行う。
【0055】
リングの最後のGC局103は、隣接ノードがHUB局101となるが、HUB局101の「Vup実施済フラグ」が「実施済」であり、かつソフトウエアバージョンが新であるため、Vup操作は行わず、リング内の全Vup作業はここで完了となる。
【0056】
(通信装置の他の動作)
図4は、本実施例の通信装置による更新手順を示した第二のフローチャートである。
【0057】
隣接ノードステータスチェック機能部にて装置故障中、又は新バージョンである場合は、該当装置のVupをスキップする必要があり、さらにその先の装置へのVupを実施することとする。図4に示す場合は、GC局102のソフトウエアが既に新バージョンになっている状態の更新手順である。
【0058】
図4の第二のフローチャートでは、ステップS4までは上記第一のフローチャートと同一である。
【0059】
HUB局101は、隣接ノードのGC局102のステータスを読み出した結果を判断して(ステップS4)、ソフトウエアが新バージョンであった場合なので、Vup指示をスキップする(ステップS4A)。
【0060】
そして、HUB局101はその先の隣接ノードのGC局103に対して、自装置の隣接ノードステータスチェック機能部により、隣接ノードのGC局103のステータスの読み出しをステータスチェック(ステップS9)とステータスチェック応答(ステップS10)とで行う。以降、GC局102に代わりHUB局101が同様な動作(ステップS16、ステップS17)を行い、以下、上記第一のフローチャートと同ように順次行われる(ステップS18)。
【0061】
(効果の説明)
本実施例は、HUB局101へ監視制御端末WCPCよりVupを実施した後、装置が隣接ノードを順次自動的に(自律で)Vupしていくことを可能とするものであり、Vup作業にともなう工数がHUB局101へのVup作業時のみとなり、GC局のVup作業工数が削減されることで、全体のVup作業工数を削減可能とするものである。また、リング装置のVupでは、配下のGC局を常時監視状態とする必要があることから、複数同時のVupは許容されず1台ずつのVupが必要であるが、この制約事項をオペレータの操作によることなく、自動的に1台ずつVupすることが可能であり、安全なVupが可能となる。また、FDL、および装置内メモリの面切替や再起動指示等のVup指示に、標準で使用されるOTNフレーム内のGCCチャネルを使用することで、独自の回路構成が不要であり、回路規模の増大を回避可能、またマルチベンダへの対応も容易となる。
【0062】
本実施例では、隣接ノードとの光伝送にOTNフレームを使用し、HUB局及びGC局間の監視制御にGCCチャネルを使用した装置に適用した例を説明したが、隣接ノードとの光伝送にSONET/SDHフレームを使用し、HUB局及びGC局間の監視制御にDCC (Data Communication Channel)チャネルを使用したSONET/SDH通信装置についても適用可能である。
【0063】
本実施例では、ネットワークはリング型ネットワークに適用した例を説明したが、通信装置101、102、103、…1xxがカスケード接続されたカスケード型ネットワークにおいても本発明は適用可能である。
【0064】
本実施例によれば、OTNの通信装置において、ソフトウエアの機能としてOTNフレーム内のGCCチャネルを通じて、隣接ノードのステータス(故障有無、ソフトウエアバージョン、Vup実施済フラグ)の読出しを行う隣接ノードステータスチェック機能部と、同じくOTNフレーム内のGCCチャネルを通じて、隣接ノードのVup指示(面切替指示、再起動指示)を行うVup指示部を有し、また、Flashメモリ内のビットアサインとして、隣接ノードへのVup指示を実施し隣接ノードのVupが完了した際に値0(未実施)から1(実施済)へ設定するVup実施済フラグと、監視制御端末WCPCからの操作により、Vup指示部の機能を有効にする際に値0(OFF)から1(ON)とするVup指示有効化フラグを有することで、HUB局101へ監視制御端末WCPCよりVupを実施した後、装置が隣接ノードを順次自動的に(自律で)Vupしていくことで、Vup作業にともなう全体工数を削減可能となり、またこのときリング内の各装置のVupが自動的に1台ずつVupされることで安全なVup実施となり、また、FDL、および装置内メモリの面切替や再起動指示等のVup指示に、標準で使用されるOTNフレーム内のGCCチャネルを使用することで、独自の回路構成が不要であり、回路規模の増大を回避可能、またマルチベンダへの対応も容易となる。
【符号の説明】
【0065】
10 ネットワーク
101、102、103、1xx 通信装置
11 光伝送路
201 監視制御部
302 CPU部
303 メモリ部
304 Flashメモリ部
500 Vup実行部
501 隣接ノードステータスチェック機能部
502 Vup指示部
505 Vup用ファイル
506 Ver記録部
図1
図2
図3
図4