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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104899
(43)【公開日】2024-08-06
(54)【発明の名称】プリンタ
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20240730BHJP
【FI】
B41J2/01 301
B41J2/01 129
B41J2/01 303
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023009328
(22)【出願日】2023-01-25
(71)【出願人】
【識別番号】000116057
【氏名又は名称】ローランドディー.ジー.株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067356
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 容一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100160004
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 憲雅
(74)【代理人】
【識別番号】100120558
【弁理士】
【氏名又は名称】住吉 勝彦
(74)【代理人】
【識別番号】100148909
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧澤 匡則
(74)【代理人】
【識別番号】100192533
【弁理士】
【氏名又は名称】奈良 如紘
(72)【発明者】
【氏名】松永 翔
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA20
2C056EA23
2C056FA10
2C056HA37
2C056HA44
2C056HA60
(57)【要約】
【課題】本体ケースの外部への紫外線漏れを、プリンタを大型化することなく、効果的に抑制すること。
【解決手段】プリンタ10は、プラテン40に載置されているメディアMeに吐出された紫外線硬化インクに紫外線を照射する紫外線照射装置と、前記本体ケース90の開口を開閉するフロントカバー100と、前記紫外線が前記開口91を閉塞した状態の前記フロントカバー100と前記プラテン40との間から外部に漏れることを抑制する紫外線漏れ抑制カバー120と、前記紫外線漏れ抑制カバー120の下端122aから前記紫外線照射装置84の照射口84b側に屈曲して設けられた抑制部130とを備える。前記抑制部130の、前記本体ケース90の内部側に設けられた反射面133は、前記紫外線照射装置84から照射された紫外線を前記本体ケース90内に反射させる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部材に設けられ、メディアが載置されるプラテンと、
前記ベース部材に設けられ、前記プラテンより上方に位置し、主走査方向に移動可能なキャリッジと、
前記キャリッジに搭載され、前記主走査方向と直交する副走査方向に搬送される前記メディアに紫外線硬化インクを吐出するインクヘッドと、
前記メディアに吐出された紫外線硬化インクに向けて紫外線を照射する照射部を有し前記キャリッジに搭載される紫外線照射装置と、
前記キャリッジよりも前記副走査方向の下流側に開口が形成され、前記キャリッジ、前記インクヘッド及び前記紫外線照射装置が収容される本体ケースと、
前記開口を開閉するフロントカバーと、
前記照射部から照射された紫外線が、前記プラテンと、前記開口を閉塞した状態の前記フロントカバーと、の間から前記本体ケースの外部に漏れることを抑制する紫外線漏れ抑制カバーと、
前記紫外線漏れ抑制カバーの下端から前記紫外線照射装置の照射口側に屈曲して設けられ、前記照射部から照射された紫外線が前記本体ケースの外部に漏れることを抑制する漏れ光抑制部とを備える、プリンタ。
【請求項2】
前記漏れ光抑制部は、前記本体ケースの内部側に設けられ、前記照射部から照射された紫外線が紫外線を本体ケース内に反射させる反射面を備える、請求項1に記載のプリンタ。
【請求項3】
前記搬送方向上流側から下流側に向かって下降傾斜する搬送面を有し、前記プラテンのメディア搬送方向下流側に配置されるフロントエプロンを、更に備え、
前記抑制部の下端は、前記フロントエプロンの下端よりも上方に位置している、請求項1に記載のプリンタ。
【請求項4】
前記紫外線漏れ抑制カバーは、前記本体ケースよりも前方側に前記副走査方向へ突出して配置されている、請求項2に記載のプリンタ。
【請求項5】
前記紫外線漏れ抑制カバーは、板状部材によって形成されており、
前記紫外線漏れ抑制カバーと前記抑制部との間は、補強部によって補強されている、請求項1に記載のプリンタ。
【請求項6】
前記搬送面は、前記紫外線漏れ抑制カバーへ向かって凸となる曲面に構成されており、
前記照射部は、複数の光源を有しており、前記複数の光源のうち搬送方向下流側の光源から照射される照射光が前記搬送面の接線方向に指向されており、
前記紫外線漏れ抑制カバーの下端における屈曲部分からの長さは、前記反射面が前記搬送面の接線上に位置するように設定されている、請求項3に記載のプリンタ。
【請求項7】
前記紫外線漏れ抑制カバー及び前記抑制部を前記主走査方向から見て、前記反射面のうち、前記反射面と前記接線との交点よりも、前記副走査方向の前側の面と、前記接線と、の成す角度は鈍角に設定されている、請求項6に記載のプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタの改良技術に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタには、キャリッジに搭載されて紫外線硬化型のインクを吐出するインクヘッドと、吐出された紫外線硬化インクに紫外線を照射する紫外線照射装置とを、備えたものがある。紫外線照射装置を備えたプリンタでは、紫外線が本体ケースの外部に漏れないようにすることが求められる。このようなプリンタに関する従来技術として、例えば特許文献1に開示される技術がある。
【0003】
特許文献1に示されるプリンタは、ベース部材または本体ケースに取り付けられた漏れ光抑制カバーを備えている。この漏れ光抑制カバーは、ベース部材または本体ケースに取り付けられた上端から前下方へ傾いている。光照射装置(紫外線照射装置に相当)から照射された光(紫外線)の一部は、漏れ光抑制カバーによって一度反射された後に、フロントカバーとプラテンとの間を通って下方の外部へ漏れる。このため、光照射装置から照射された光が、プリンタの前方へ直接に漏れないように、漏れ光抑制カバーによって抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第7128783号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、プリンタの印刷効率を高めるためには、紫外線照射装置からメディアに紫外線を照射する照射量を多くすることが望まれる。そのためには、本体ケースの外部に漏れる紫外線の漏れ量を、抑制することが好ましい。紫外線照射装置が大型化した場合、従前と同様の漏れ光抑制カバーでは、光照射装置(紫外線照射装置に相当)から照射された光(紫外線)の一部は、漏れ光抑制カバーによって一度反射された後に、下方へ漏れる。よって、本体ケースの外部への紫外線漏れを、効果的に抑制することができない。一方、本体ケースの外部への紫外線漏れを、効果的に抑制するためには、漏れ光抑制カバーを前方に延長させる必要があるが、漏れ光を前方に延長させるとプリンタの搬送方向における全長が長くなり、プリンタが大型化するという問題があった。
【0006】
本発明は、本体ケースの外部への紫外線漏れを、プリンタを大型化することなく、効果的に抑制することができる技術の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、
ベース部材に設けられ、メディアが載置されるプラテンと、
前記ベース部材に設けられ、前記プラテンより上方に位置し、主走査方向に移動可能なキャリッジと、
前記キャリッジに搭載され、前記主走査方向と直交する副走査方向に搬送される前記メディアに紫外線硬化インクを吐出するインクヘッドと、
前記メディアに吐出された紫外線硬化インクに向けて紫外線を照射する照射部を有し前記キャリッジに搭載される紫外線照射装置と、
前記キャリッジよりも前記副走査方向の下流側に開口が形成され、前記キャリッジ、前記インクヘッド及び前記紫外線照射装置が収容される本体ケースと、
前記開口を開閉するフロントカバーと、
前記照射部から照射された紫外線が、前記プラテンと、前記開口を閉塞した状態の前記フロントカバーと、の間から外部に漏れることを抑制する紫外線漏れ抑制カバーと、
前記紫外線漏れ抑制カバーの下端から前記紫外線照射装置の照射口側に屈曲して設けられた抑制部と、
前記抑制部の、前記本体ケースの内部側に設けられ、前記照射部から照射された紫外線を前記本体ケース内に反射させる反射面とを備える、プリンタが提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、本体ケースの外部への紫外線漏れを、プリンタを大型化することなく、効果的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例によるプリンタの、フロントカバーとステーと紫外線漏れ抑制カバーとを省略した斜視図である。
図2図1に示されるプリンタの断面図である。
図3図2に示されるプラテンとフロントエプロンと紫外線照射装置と紫外線漏れ抑制カバーと抑制部の関係を拡大して表した図である。
図4図3に示される紫外線漏れ抑制カバー及び抑制部の斜視図である。
図5図4の5-5線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、添付図に示した形態は本発明の一例であり、本発明は当該形態に限定されない。
【0011】
<実施例>
図1に示されるように、プリンタ10は、メディアMeにカラー画像を形成可能なインクジェット式プリンタの構成である。このプリンタ10は、例えば大型の看板、ポスターの印刷を行うことができる。
【0012】
印刷対象としてのメディアMeは、例えば、ロールに巻かれたロールメディアである。メディアMeの材質としては、普通紙などの紙類であってもよく、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂等の樹脂類であってもよく、アルミニウム材、鉄材等の金属類であってもよく、様々な材料によって構成可能である。
【0013】
説明中、左、右、上、下とは、プリンタ10の正面にいる作業者から見た左、右、上、下をそれぞれ意味することとする。また、作業者がプリンタ10の正面を向いているときにプリンタ10の後部から作業者へ向かう方向を前方、作業者からプリンタ10の後部へ向かう方向を後方とする。図中Frは前、Rrは後、Leは左、Riは右、Upは上、Dnは下を示している。
【0014】
後述するインクヘッドユニット80(図2参照)は、左方Le及び右方Riへ移動可能に設けられている。プリンタ10の後側Rrを上流側と称し、プリンタ10の前側Frを下流側としたとき、メディアMeは、上流側から下流側へ向けて搬送される。プリンタ10を真上から見て、インクヘッドユニット80の移動方向S1を「主走査方向S1」といい、メディアMeの搬送方向S2を「副走査方向S2」という。ここでは、主走査方向S1は左右方向に対応し、副走査方向S2は前後方向に対応する。主走査方向S1と副走査方向S2とは直交している。
【0015】
図1及び図2に示されるように、プリンタ10は、脚部21を有したベース部材20と、このベース部材20に支持されたプラテン40と、このプラテン40の下流側に配置されたフロントエプロン50と、プラテン40のメディア載置面41に配置されたメディアMeを搬送するメディア移動機構70とを備えている。
【0016】
ベース部材20は、脚部21と、本体部22と、左右のサイドフレーム23と、左右の枠状のサポートフレーム24とを備えている。左右のサイドフレーム23は、主走査方向S1へ互いに離間して、本体部22から起立しつつ前方Frへ延びている。左右のサポートフレーム24は左右のサイドフレーム23に連結されている。左右のサポートフレーム24は、左右どちらも同じようなアーチ形状になっている。キャリッジ82は、そのアーチをくぐって主走査方向S1へ移動可能である。
【0017】
図3も参照する。プラテン40は、左右両端を左右のサイドフレーム23の曲げ部の上に載置された状態で、本体部22の上面に設けられており、メディアMeへの印刷の際にこのメディアMeを載置可能である。
【0018】
プラテン40は、メディアMeを載置可能な平坦なメディア載置面41を有している。このメディア載置面41の、メディア搬送方向S2(副走査方向S2)の下流端41aのことを「プラテン下流端41a」という。
【0019】
フロントエプロン50は、メディア載置面41に載置されているメディアMeをメディア搬送方向S2の下流側へ案内することが可能な部材であって、例えば板状の部材によって構成されている。このフロントエプロン50は、左右のサイドフレーム23間に挟まれた状態で、ベース部材20に設けられている。
【0020】
フロントエプロン50のメディア案内面51(メディアMeを案内する面51)の、メディア搬送方向S2(副走査方向S2)の上流端51aのことを「エプロン上流端51a」という。また、メディア案内面51の、メディア搬送方向S2の下流端51bのことを「エプロン下流端51b」という。
【0021】
エプロン上流端51aは、プラテン40のプラテン下流端41aに対し、隣接して配置され、または一体に設けられている。
【0022】
メディア案内面51は、主走査方向S1の一方から見て、エプロン上流端51aから副走査方向S2の前下方へ向かって凸となりつつ延びる、例えば多角形状や円弧状からなる曲線状の面(曲面)に構成されている。
【0023】
図2及び図3に示されるように、さらにプリンタ10は、インクヘッドユニット80を備えている。このインクヘッドユニット80は、ベース部材20に設けられたレール81と、このレール81に移動可能に設けられているキャリッジ82と、このキャリッジ82に設けられているインクヘッド83及び少なくとも1つ(例えば2つ)の紫外線照射装置84と、を備えている。
【0024】
レール81(ガイドレール81)は、プラテン40より上方に位置し、主走査方向S1へ延びている。
【0025】
キャリッジ82は、プラテン40より上方に位置しており、このプラテン40のメディア載置面41に対し、レール81に沿って主走査方向S1へ走査可能である。このキャリッジ82は、キャリッジ移動機構85(図2参照)により、プラテン40に載置されたメディアMeに対して相対的に主走査方向S1へ移動される。
【0026】
インクヘッド83は、メディア載置面41に載置されたメディアMeに紫外線硬化インクを吐出する。このインクヘッド83は、図示せぬ複数のノズルを備えている。
【0027】
紫外線照射装置84は、インクヘッド83からメディアMeに吐出された紫外線硬化インクに向けて、紫外線を照射することにより、この光硬化性インクを硬化させるものである。これにより、メディアMe上にインク層が形成される。この紫外線照射装置84は、プラテン40より上方に位置しており、キャリッジ82に対し、このキャリッジ82の走査方向S1(主走査方向S1)の少なくとも一方側(例えば両側)に配置されている。紫外線照射装置84は、副走査方向S2の下流側(前側Fr)における端がプラテン40より副走査方向S2で前方Frに位置しており、フロントエプロン50のメディア案内面51と上下方向で重なる位置に配置されている。
【0028】
図3に示されるように、この紫外線照射装置84は、例えば、直方体形状のケース84aに照射部84cが収容されており、下面に照射口84bを有している。照射部84cは、副走査方向S2に並んだ複数の光源、例えば紫外線照射LEDを備えている。ただし、光源はインクを硬化させる光を生成するように構成されていればよく、紫外線照射LEDに限定されるわけではない。
【0029】
図2に示されるように、さらにプリンタ10は、ベース部材20の上部に設けられた本体ケース90と、サポートフレーム24,24(図2参照)に回動可能に支持されたフロントカバー100とを備えている。
【0030】
本体ケース90は、箱型状の構成であって、主にプラテン40のメディア載置面41から上側を囲うことによって、プラテン40及びインクヘッドユニット80を囲っている。この本体ケース90は、左右のサイドフレーム23に連結される左右のサポートフレーム24を有しており、かかる左右のサポートフレーム24の間であってキャリッジ82よりも副走査方向S2の下流側(前側Fr)に開口91が形成されている。この開口91は、プラテン40よりも本体ケース90の前方Frに位置している。
【0031】
フロントカバー100は、本体ケース90の開口91を開閉する。このフロントカバー100は、プラテン40(第1プラテン下流端41a)よりも副走査方向S2の前方Frに位置しており、左右のサポートフレーム24に回転軸101が支持されることにより、本体ケース90に対して前後スイング可能に支持されている。
【0032】
図2及び図3に示されるように、さらにプリンタ10は、金属製の板状部材によって構成された主走査方向S1に長い紫外線漏れ抑制部材110を備えている。この紫外線漏れ抑制部材110は、本体ケース90の前下部に設けられフロントエプロン50のメディア案内面51に対向する紫外線漏れ抑制カバー120と、この紫外線漏れ抑制カバー120の下端122aに設けられた抑制部130と、紫外線漏れ抑制カバー120と抑制部130とを繋ぐとともに補強する補強部140とを備えており、左右のサイドフレーム23に取り付けられたステー25(図2参照)に固定される。
【0033】
図3図5に示されるように、紫外線漏れ抑制カバー120は、各紫外線照射装置84,84から照射された紫外線が、閉塞状態のフロントカバー100とプラテン40との間から外部へ漏れないように抑制する部材である。この紫外線漏れ抑制カバー120は、本体ケース90(図3参照)よりも前方Frへ突出して位置している。
【0034】
この紫外線漏れ抑制カバー120は、例えば副走査方向S2に長い金属製の板状部材によって構成されている。詳しく述べると、紫外線漏れ抑制カバー120は、板面が副走査方向S2を向いた縦板状の基板121と、この基板121の下端121aから副走査方向S2の前下方へ延びた傾斜板122とを備えている。基板121と傾斜板122の両端は、取り外し可能に取り付けられる。傾斜板122の下端122a、つまり紫外線漏れ抑制カバー120の下端122aは、エプロン下流端51bよりも上方に位置している。
【0035】
抑制部130は、紫外線漏れ抑制カバー120の下端122aから補強部140を介して、紫外線照射装置84の照射口84b側へ屈曲して設けられており、主走査方向S1に長い金属製の板状部材によって構成されている。
【0036】
紫外線漏れ抑制カバー120と抑制部130との間は、副走査方向S2の前方Frへ向かって凸となる補強部140によって補強されている。この補強部140は、紫外線漏れ抑制カバー120の下端側に補強部140を折り曲げて形成されており、主走査方向S1の一方から見て、逆L字状の構成であって、主走査方向S1に長い金属製の板状部材によって構成されている。なお、補強部140の形状は逆L字状に限定されるものではなく、例えば円弧状であってもよい。
【0037】
より詳しく述べると、補強部140の上端141は、紫外線漏れ抑制カバー120の下端122aから屈曲して設けられている。抑制部130の上端131は、補強部140の下端142から屈曲して設けられている。抑制部130は、補強部140の下端142から副走査方向S2の後下方へ延びている。抑制部130の下端132は、フロントエプロン50の下端51bに対して高さHi(図4参照)だけ上方に位置している。
【0038】
紫外線漏れ抑制カバー120と抑制部130との間を、凸状の補強部140によって補強することにより、紫外線漏れ抑制部材110全体の曲げ剛性を高めることができる。さらには、紫外線漏れ抑制カバー120と補強部140と抑制部130とを、単一の板金部品や、単一の板状部材を折り曲げた部品とすることによって、紫外線漏れ抑制部材110を安価に構成することができる。
【0039】
抑制部130について、図2図5を参照しつつ詳しく説明する。この抑制部130は、紫外線照射装置84から照射された紫外線を本体ケース90内に反射させる反射面133を備えている。この反射面133は、本体ケース90(図2参照)の内部側に設けられている。
【0040】
図3に示されるように、紫外線照射装置84の照射口84bから照射される紫外線のなかには、フロントエプロン50のメディア案内面51(曲面51)に当たる紫外線ULがあり、この紫外線ULのことを「放射紫外線UL」という。つまり、放射紫外線ULは、照射口84bから照射される紫外線ULのうち、放射紫外線ULの照射起点と放射紫外線ULがフロントエプロン50のメディア案内面51(曲面51)と当たる接点とを結ぶ接線方向に照射されるため、本体ケース90の開口91(図2参照)から外側へ照射される恐れがある。これを防止するために紫外線漏れ抑制カバー120が設けられている。フロントエプロン50のメディア案内面51に沿って搬送されるメディアMeが紫外線漏れ抑制カバー120に干渉しないように、フロントエプロン50と紫外線漏れ抑制カバー120との間には所定の間隔が必要である。このため、フロントエプロン50の、プラテン40からの突出量に応じて、紫外線漏れ抑制カバー120も本体ケース90から前方Frに突出する。この突出量が大きいと、本体ケース90の外側(前側Fr)から作業する作業者のプラテン40までの距離も大きくなるため、作業が不便となるだけでなく、プリンタ10が大型化する。そこで、フロントエプロン50の、プラテン40からの突出量が大きくなった場合でも、紫外線漏れ抑制カバー120の本体ケース90から前方Frへの突出量を抑えるために、抑制部130が設けられている。
【0041】
抑制部130は、本体ケース90の内側に位置する反射面133が照射口84bから照射される紫外線ULのうち、最も下側(ベース部材20の脚部21が設置される設置面側)に照射される紫外線UL、即ち、照射口84bの最も搬送方向S2下流側から照射される紫外線ULと当たるように、紫外線漏れ抑制カバー120に設けられている。具体的には、照射口84bから照射される紫外線ULの照射方向に延びる照射線ELがプラテン40のメディア載置面41に対して最も傾きが大きい(図3に示される傾き角αが最も大きい)紫外線ULmの照射線EL上に、反射面133が位置するように抑制部130が設定されている。
【0042】
紫外線漏れ抑制カバー120及び抑制部130を主走査方向S1の一方から見て、反射面133のうち、この反射面133と照射線ELとの交点Piよりも、抑制部130の上端131側の面133a(副走査方向S2の前側Frの面133a)と、照射線ELと、の成す角度θは鈍角、例えば95°~100°に設定されている。上記角度θが90°より小さいと、反射面が本体ケース90の内側(本体ケース90の開口91側)ではなく、外側(フロントエプロン50側)に向いてしまうので、反射面133に当たって本体ケース90の内側に反射した紫外線ULmは、フロントエプロン50に当たる。反射面133に当たって反射した紫外線ULmがフロントエプロン50に当たると、さらに本体ケース90の外側に反射し、反射した紫外線ULmが抑制部130の下側を通過して本体ケース90の外側へ漏れ出てしまう。これを防止するために、フロントエプロン50に当たらないように上記角度θが設定されている。
【0043】
図5に示されるように、基板121の上端121bは縁折りによって構成された縁折り部121cを有している。抑制部130の下端132は、縁折りによって構成された縁折り部132aを有している。特に抑制部130は、上端131を補強部140によって補強されるとともに、抑制部130の下端132を縁折り部132aによって補強されている。このため、反射面133の平滑度を容易に維持することができる。紫外線照射装置84から照射された紫外線を、反射面133によって本体ケース90内に確実に反射させることができる。
【0044】
以上の説明をまとめると、次の通りである。
【0045】
図2及び図3に示されるように、プリンタ10は、
ベース部材20に設けられ、メディアMeが載置されるプラテン40と、
ベース部材20に設けられ、プラテン40より上方に位置し、主走査方向S1に移動可能なキャリッジ82と、
キャリッジ82に搭載され、主走査方向S1と直交する副走査方向S2に搬送されるメディアMeに紫外線硬化インクを吐出するインクヘッド83と、
メディアMeに吐出された紫外線硬化インクに向けて紫外線を照射する照射部84cを有しキャリッジ82に搭載される紫外線照射装置84と、
キャリッジ82よりも副走査方向S2の下流側に開口91が形成され、キャリッジ82、インクヘッド83及び紫外線照射装置84が収容される本体ケース90と、
開口91を開閉するフロントカバー100と、
照射部84cから照射された紫外線が、プラテン40と、開口91を閉塞した状態のフロントカバー100と、の間から外部に漏れることを抑制する紫外線漏れ抑制カバー120と、
この紫外線漏れ抑制カバー120の下端122aから紫外線照射装置84の照射口84b側に屈曲して設けられ、紫外線照射装置84から照射された紫外線が前記本体ケース90の外部に漏れることを抑制する抑制部130とを備える。
このため、紫外線漏れ抑制カバー120の下端122aから紫外線照射装置84の照射口84b側に屈曲して設けられた抑制部130により、紫外線照射装置84から照射された紫外線が前記本体ケース90の外部に漏れることを抑制することができるので、紫外線漏れ抑制カバー120の下端122aを延長して抑制部を設けた場合に比べて、プリンタの大型化を防止できる。
【0046】
さらには、抑制部130は、本体ケース90の内部側に設けられ、照射部84cから照射された紫外線ULを本体ケース90内に反射させる反射面133とを備えている。このため、紫外線照射装置84から照射された紫外線ULを、紫外線漏れ抑制カバー120の下端122aから屈曲して設けられた抑制部130の反射面133によって、本体ケース90内に反射させることができる。従って、紫外線照射装置84からの直射光UL(紫外線UL)を本体ケース90内に回折させることより、本体ケース90の外部への紫外線漏れを効果的に抑制することができる。
【0047】
さらには、図3に示されるように、プリンタ10は、搬送方向(メディア搬送方向S2(副走査方向S2)の上流側から下流側に向かって下降傾斜する搬送面51を有し、プラテン40のメディア搬送方向S2(副走査方向S2)下流側に配置されるフロントエプロン50を備えている。抑制部130の下端132は、フロントエプロン50の下端51bよりも上方に位置している。
【0048】
プラテン40のメディア搬送方向S2下流側には、メディアMeを案内するフロントエプロン50が設けられている。抑制部130の下端132が、フロントエプロン50の下端51bよりも下方に位置している場合は、紫外線漏れ抑制カバー120の下端122aとフロントエプロン50との間に形成される隙間は下方に開放される。従って、紫外線照射装置84から照射された紫外線ULは紫外線漏れ抑制カバー120に反射して下方Dnから外部に漏れ出るので、作業者が位置する前方Fr側に漏れ出ることを防止できる。
【0049】
一方、紫外線漏れ抑制カバー120の下端122aがフロントエプロン50の下端51bより上方に位置している場合は、紫外線漏れ抑制カバー120の下端122aとフロントエプロン50との間に形成される隙間は、前方Frに開放される。紫外線照射装置84から照射された紫外線ULが紫外線漏れ抑制カバー120に反射せず、そのまま本体ケース90の前方Fr側から外部に漏れ出てしまう。
【0050】
これに対し本発明では、紫外線漏れ抑制カバー120の下端122aがフロントエプロン50の下端51bより上方に位置している場合であっても、紫外線漏れ抑制カバー120の抑制部130の反射面133により、紫外線照射装置84から照射された紫外線ULは、図3に示されるように本体ケース90内に反射されるので、作業者が位置する前方Fr側に漏れ出ることを防止できる。
【0051】
さらには、図2及び図3に示されるように、紫外線漏れ抑制カバー120は、本体ケース90よりも前方Fr側に副走査方向S2へ突出して配置されている。
【0052】
紫外線漏れ抑制カバー120が本体ケース90よりも前方Frに突出している場合、紫外線照射装置84から照射された紫外線ULが紫外線漏れ抑制カバー120に当てて本体ケース90内に反射させようとすると、さらに、紫外線漏れ抑制カバー120の下端122aを前方Frに延長しなければならず、紫外線漏れ抑制カバー120の前方Frへの突出量が増大することで、プリンタ10全体が大型化し、設置スペースが増大する。
【0053】
これに対し本発明では、紫外線漏れ抑制カバー120が本体ケース90よりも前方Frに突出している場合であっても、紫外線漏れ抑制カバー120を照射口84b側に曲げて抑制部130を設け、その抑制部130における本体ケース90の内部側に反射面133を設けることにより、紫外線漏れ抑制カバー120の下端122aを延長させずに、作業者側への漏れ光UL(紫外線UL)を防止できる。
【0054】
さらには、図4及び図5に示されるように、紫外線漏れ抑制カバー120は、板状部材によって形成されている。紫外線漏れ抑制カバー120と抑制部130との間は、補強部140によって補強されている。
【0055】
紫外線漏れ抑制カバー120は板状部材によって形成されており、撓み等が発生するため、強度を勘案する必要がある。これに対し本発明では、紫外線漏れ抑制カバー120の下端122aと抑制部130との間を、補強部140によって補強している。従って、紫外線漏れ抑制カバー120の強度を十分に確保することができる。
【0056】
さらには、図3に示されるように、搬送面51は、紫外線漏れ抑制カバー120へ向かって凸となる曲面に構成されている。照射部84cは、複数の光源を有しており、複数の光源のうち搬送方向S2(副走査方向S2)下流側の光源から照射される照射光ULmが搬送面51の接線EL方向に指向されている。紫外線漏れ抑制カバー120の下端122aにおける屈曲部分(補強部140)からの長さLe(反射面133の長さLe)は、反射面133が搬送面51の接線EL上に位置するように設定されている。
【0057】
反射面133を、曲面51と接線ELを結んだときに最も傾きが大きい紫外線ULmの接線EL上に位置するだけの、簡単な構成によって、紫外線照射装置84からの直射光UL,ULm(紫外線UL,ULm)を、本体ケース90内に回折させることできる。
【0058】
さらには、図3に示されるように、紫外線漏れ抑制カバー120及び抑制部130を主走査方向S1から見て、反射面133のうち、この反射面133と接線ELとの交点Piよりも、副走査方向S2の前側Frの面133aと、接線ELと、の成す角度θは鈍角に設定されている。
【0059】
このように、副走査方向S2の前側Frの面133aと接線ELとの成す角度θを、鈍角に設定した。このため、紫外線照射装置84からの直射光UL,ULm(紫外線UL,ULm)を、本体ケース90内に確実に回折させることできる。
【0060】
なお、本発明によるプリンタ10は、本発明の作用及び効果を奏する限りにおいて、上記実施例に限定されるものではない。例えば、この紫外線漏れ抑制カバー120の下端122aから紫外線照射装置84の照射口84b側に屈曲して抑制部130を設け、この抑制部130に反射面133を設けたが、紫外線照射装置84の照射口84bから照射された紫外線ULを吸収する吸収面を設ける場合であってもよい。この場合であっても、吸収面により紫外線照射装置84の照射口84bから照射された紫外線ULが吸収されるので、本体ケース90の外部に紫外線ULが漏れ出ることを抑制できる。なお、吸収面は、抑制部における本体ケース90の内部側の面に紫外線吸収部材を貼着したり、本体ケース90の内部側の面に紫外線を吸収する黒色加工を施したりすることで簡易に形成できる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明のプリンタ10は、インクジェット式のプリンタに好適である。
【符号の説明】
【0062】
10 プリンタ
20 ベース部材
40 プラテン
41 メディア載置面
41a 第1プラテン下流端(メディア搬送方向の下流端)
50 フロントエプロン
51 搬送面
51a 上流端
51b 下流端
81 レール
82 キャリッジ
83 インクヘッド
84 紫外線照射装置
84a ケース
84b 照射口
90 本体ケース
91 開口
100 フロントカバー
110 紫外線漏れ抑制部材
120 紫外線漏れ抑制カバー
130 抑制部
131 上端
132 下端
133 反射面
133a 交点よりも抑制部の上端側の面
140 補強部
EL 接線
Hi フロントエプロンの下端に対する抑制部の下端の高さ
Me メディア
Pi 反射面と延長線との交点
S1 主走査方向
S2 副走査方向
UL メディア案内面と接する紫外線
ULm 最も傾きが大きい紫外線
α 傾き角
θ 前側の面と延長線との成す角度
図1
図2
図3
図4
図5