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特開2024-104934エレベータの制御システム及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104934
(43)【公開日】2024-08-06
(54)【発明の名称】エレベータの制御システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B66B 1/14 20060101AFI20240730BHJP
   B66B 1/34 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
B66B1/14 L
B66B1/34 Z
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023009382
(22)【出願日】2023-01-25
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-01-17
(71)【出願人】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】須藤 豪
(72)【発明者】
【氏名】小村 章
【テーマコード(参考)】
3F502
【Fターム(参考)】
3F502HB02
3F502JA05
3F502JA08
3F502JA17
3F502MA03
3F502MA07
(57)【要約】
【課題】端末装置からの乗場呼びを可能にするための操作を簡略化する技術を提供する。
【解決手段】制御システムは、利用者が携帯する端末装置からの乗場呼びが可能なエレベータに適用が可能であり、コードと、付与処理部と、を備える。コードは、端末装置への暗号キーの付与によって当該端末装置による読取りが可能になる非公開部と、暗号キーなしでの読取りが可能な公開部と、を含む。そして、公開部には、付与処理部と通信するための情報が含まれ、非公開部には、端末装置からの乗場呼びを可能にするための情報が含まれている。また、付与処理部は、端末装置からの要求に応じて、当該端末装置に暗号キーを付与する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者が携帯する端末装置からの乗場呼びが可能なエレベータ、に適用可能な制御システムであって、
前記端末装置への暗号キーの付与によって当該端末装置による読取りが可能になる非公開部と、暗号キーなしでの読取りが可能な公開部と、を含むコードと、
前記端末装置からの要求に応じて、当該端末装置に前記暗号キーを付与する付与処理部と、
を備え、
前記公開部には、前記付与処理部と通信するための情報が含まれ、前記非公開部には、前記端末装置からの乗場呼びを可能にするための情報が含まれている、エレベータの制御システム。
【請求項2】
前記コードは、前記非公開部と前記公開部とが1つに纏めてコード化されたものである、請求項1に記載のエレベータの制御システム。
【請求項3】
前記端末装置から前記暗号キーの付与を要求された場合に、その端末装置を携帯する利用者に対する認証を行う認証処理部、
を更に備え、
前記付与処理部は、前記認証処理部が前記認証に成功したい場合に、その認証で対象となった利用者が携帯する前記端末装置に前記暗号キーを付与する、請求項1又は2に記載のエレベータの制御システム。
【請求項4】
請求項1に記載のエレベータの制御システムとの通信が可能な端末装置、に実行させるプログラムであり、
前記端末装置に前記暗号キーが付与された場合であって、且つ、当該端末装置による前記コードの読取りを利用者が行った場合に、そのコード内の前記非公開部を、前記暗号キーを用いて読み取る読取処理ステップと、
前記読取処理ステップにて前記非公開部が読み取られた場合に、その非公開部に含まれている情報を用いて、前記端末装置からの乗場呼びを可能にするための設定を行う設定処理ステップと、
を前記端末装置に実行させる、プログラム。
【請求項5】
前記端末装置に前記暗号キーが付与された場合に、その端末装置を携帯する利用者に対して、当該端末装置による前記コードの再度の読取りを促す報知処理ステップ、
を前記端末装置に実行させる、請求項4に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末装置からの乗場呼びが可能なエレベータの制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータの制御技術として、特許文献1には、行先階登録装置にて利用者が行先階を登録して乗場呼びを行うごとに、その乗場呼びについての乗りかごへの割当てを行う技術が開示されている。このような制御技術において、近年、利用者が携帯している端末装置(スマートフォンなど)からの乗場呼びを可能にするべく、当該端末装置を行先階登録装置として機能させるためのアプリケーションプログラム(以下、「行先階登録用アプリ」と称す)が開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-55976号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、端末装置を行先階登録装置として機能させるためには、次のような煩わしい操作が利用者に強いられる。先ず、利用者は、自身の端末装置に行先階登録用アプリをサーバなどからダウンロードするために、ダウンロードできるWebサイトを探してアクセスしなければならない。また、利用者は、インストール後の行先階登録用アプリを所望のエレベータで利用できるようにするための設定を手動で行わなければならず、しかも、その設定に必要な情報(自身が所望するエレベータの情報など)を、当該情報を提供しているWebサイトにアクセスして取得しなければならない。
【0005】
そこで本発明の目的は、端末装置からの乗場呼びを可能にするための操作を簡略化する技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る制御システムは、利用者が携帯する端末装置からの乗場呼びが可能なエレベータに適用が可能であり、コードと、付与処理部と、を備える。コードは、端末装置への暗号キーの付与によって当該端末装置による読取りが可能になる非公開部と、暗号キーなしでの読取りが可能な公開部と、を含む。そして、公開部には、付与処理部と通信するための情報が含まれ、非公開部には、端末装置からの乗場呼びを可能にするための情報が含まれている。また、付与処理部は、端末装置からの要求に応じて、当該端末装置に暗号キーを付与する。
【0007】
上記制御システムによれば、利用者は、自身の端末装置を用いて公開部の読取り(1回目の読取り)と非公開部の読取り(2回目の読取り)とを順に行う、といった簡単な2段階の操作で、端末装置からの乗場呼びを可能にすることができる。
【0008】
上記制御システムにおいて、コードは、非公開部と公開部とが1つに纏めてコード化されたものであってもよい。この構成によれば、1つのコードを用意するだけで、その1つのコードに対する1回目の読取りが行われた場合に公開部の情報を端末装置に提供し、暗号キーの付与後において同じコードに対する2回目の読取りが行われた場合に非公開部の情報を端末装置に提供することが可能になる。従って、利用者は、1つのコードに対して2回の読取りを行うといった簡単な操作で、端末装置からの乗場呼びを可能にすることができる。
【0009】
上記制御システムは、認証処理部を更に備えていてもよい。ここで、認証処理部は、端末装置から暗号キーの付与を要求された場合に、その端末装置を携帯する利用者に対する認証を行う。この構成において、付与処理部は、認証処理部が上記認証に成功したい場合に、その認証で対象となった利用者が携帯する端末装置に暗号キーを付与してもよい。この構成によれば、認証に成功した利用者が携帯する端末装置だけを対象として、コード内の非公開部の読取りを可能にすることができる。よって、非公開部に含まれている情報に対するセキュリティを向上させることができる。
【0010】
本発明に係るプログラムは、上記エレベータの制御システムとの通信が可能な端末装置に、読取処理ステップと、設定処理ステップと、を実行させる。読取処理ステップでは、端末装置に暗号キーが付与された場合であって、且つ、当該端末装置によるコードの読取りを利用者が行った場合に、そのコード内の非公開部を、暗号キーを用いて読み取る。そして、読取処理ステップにて非公開部が読み取られた場合に、設定処理ステップにおいて、その非公開部に含まれている情報を用いて、端末装置からの乗場呼びを可能にするための設定を行う。
【0011】
上記プログラムによれば、利用者が自身の端末装置で非公開部の読取りを行うだけで、当該端末装置からの乗場呼びを可能にするための設定が自動的に行われることになる。
【0012】
上記プログラムは、端末装置に暗号キーが付与された場合に報知処理ステップを端末装置に実行させるものであってもよい。報知処理ステップでは、端末装置を携帯する利用者に対して、当該端末装置によるコードの再度の読取りを促す。この構成によれば、端末装置へのプログラムのインストール後、コードに対する2回目の読取りが必要であることを利用者に認識させることが可能になる。換言すれば、コードに非公開部が含まれていることを利用者に認識させることが可能になる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、端末装置からの乗場呼びを可能にするための操作が簡略化される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】(A)実施形態に係る制御システムが適用されたエレベータの全体構成を例示した概念図、及び(B)そのエレベータの行先階登録装置として機能する端末装置の構成を示した概念図である。
図2】実施形態において利用者が行う操作、管理サーバが実行する制御処理、及び端末装置が実行する制御処理、をそれぞれ示したフローチャートである。
図3】(A)第1変形例に係る制御システムが適用されたエレベータの全体構成を例示した概念図、及び(B)そのエレベータの行先階登録装置として機能する端末装置の構成を示した概念図である。
図4】第1変形例において利用者が行う操作、管理サーバが実行する制御処理、及び端末装置が実行する制御処理、をそれぞれ示したフローチャートである。
図5】第2変形例にて行先階登録装置として機能する端末装置の構成についての2つの例を示した概念図である。
図6】第2変形例において利用者が行う操作、管理サーバが実行する制御処理、及び端末装置が実行する制御処理、をそれぞれ示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[1]実施形態
[1-1]エレベータの全体構成
図1(A)は、実施形態に係る制御システムが適用されたエレベータの全体構成を例示した概念図である。図1(A)の例では、エレベータは、群管理制御装置1と、管理サーバ2と、コードSと、を備える。また、このエレベータでは、利用者が携帯する端末装置3(スマートフォンなど)から乗場呼びを行うことができる。換言すれば、端末装置3を行先階登録装置として機能させることが可能である。以下、各部について具体的に説明する。
【0016】
<群管理制御装置>
群管理制御装置1は、上記エレベータが備える複数の乗りかごを一元的に管理する(群管理処理)。本実施形態では、群管理制御装置1は、行先階登録装置として機能する端末装置3とのネットワーク通信が可能である。尚、群管理制御装置1と端末装置3との間のネットワーク通信は、WANで実現されてもよいし、LANで実現されてもよい。そして群管理制御装置1は、群管理処理において、行先階登録装置として機能する端末装置3で乗場呼びが行われるごとに、当該乗場呼びについての乗りかごへの割当てを行う(割当処理)。
【0017】
具体的には、群管理制御装置1は、記憶部11と制御部12とを備える。記憶部11は、群管理処理(割当処理など)に必要な情報が保存される部分であり、ROMやRAMなどの記憶デバイスで構成されている。制御部12は、群管理処理(割当処理など)を実行する部分であり、CPUなどの処理デバイスで構成されている。
【0018】
このような群管理処理は、群管理制御装置1の制御部12内に構築される処理部(不図示)によって実行される。本実施形態では、当該処理部は、制御部12にプログラムを実行させることによってソフトウェアで構成される。そして、そのようなプログラムは、携帯可能な記憶媒体(例えば、フラッシュメモリ等)に読取可能な状態で保存され、当該記憶媒体から読み出されてインストールされたものが群管理制御装置1の記憶部11に保存されてもよいし、他のサーバなどにダウンロード可能に保存され、当該サーバからダウンロードされてインストールされたものが記憶部11に保存されてもよい。尚、上記の処理部は、群管理制御装置1内に回路を構築することによってハードウェアで構成されてもよい。
【0019】
尚、上記エレベータは、乗りかごを1つだけ備えたものであってもよい。この場合、群管理制御装置1に代えて、1つの乗りかごを制御するエレベータ制御装置が、行先階登録装置として機能する端末装置3との間でネットワーク通信を行うことになる。
【0020】
<管理サーバ>
管理サーバ2は、端末装置3を行先階登録装置として機能させるために必要な情報を管理する(管理処理)。そのような情報の1つとして、管理サーバ2は、端末装置3を行先階登録装置として機能させるためのアプリケーションプログラム(以下、「行先階登録用アプリ」と称す)と、後述するコードSの非公開部Spの読取りを可能にするための暗号キーWcと、を管理している。そして本実施形態では、管理サーバ2は、端末装置3とのネットワーク通信が可能であり、当該端末装置3からの要求(例えば、行先階登録用アプリのダウンロードの要求や、暗号キーWcの付与の要求など)に応じて、その端末装置3へ必要な情報を送信する。尚、管理サーバ2と端末装置3との間のネットワーク通信は、WANで実現されてもよいし、LANで実現されてもよい。
【0021】
具体的には、管理サーバ2は、記憶部21と制御部22とを備える。記憶部21は、管理の対象となる情報(行先階登録用アプリや暗号キーWcなど)や管理処理に必要な情報が保存される部分であり、ROMやRAMなどの記憶デバイスで構成されている。制御部22は、管理処理を実行する部分であり、CPUなどの処理デバイスで構成されている。
【0022】
このような管理処理は、管理サーバ2の制御部22内に構築される処理部(付与処理部221など)によって実行される。本実施形態では、当該処理部は、制御部22にプログラムを実行させることによってソフトウェアで構成される。そして、そのようなプログラムは、携帯可能な記憶媒体(例えば、フラッシュメモリ等)に読取可能な状態で保存され、当該記憶媒体から読み出されてインストールされたものが管理サーバ2の記憶部21に保存されてもよいし、他のサーバなどにダウンロード可能に保存され、当該サーバからダウンロードされてインストールされたものが記憶部21に保存されてもよい。尚、上記の処理部は、管理サーバ2内に回路を構築することによってハードウェアで構成されてもよい。
【0023】
従来、端末装置3からの乗場呼びを可能にするためには(即ち、端末装置3を行先階登録装置として機能させるためには)、次のような煩わしい操作が利用者に強いられていた。先ず、利用者は、自身の端末装置3に行先階登録用アプリを管理サーバ2からダウンロードするために、ダウンロードできるWebサイトを探してアクセスしなければならなかった。また、利用者は、インストール後の行先階登録用アプリを所望のエレベータで利用できるようにするための設定を手動で行わなければならず、しかも、その設定に必要な情報(自身が所望するエレベータの情報など)を、当該情報を提供しているWebサイトにアクセスして取得しなければならなかった。
【0024】
そこで、図1(A)のエレベータには、端末装置3からの乗場呼びを可能にするための操作を簡略化するべく、以下に説明するコードSが備えられている。そして管理サーバ2は、端末装置3によるコードSの非公開部Spの読取りを可能にするための暗号キーWcを、その端末装置3からの要求に応じて当該端末装置3に付与する(付与処理)。本実施形態では、管理サーバ2は、端末装置3から行先階登録用アプリのダウンロードの要求があった場合に、その要求に応じて行先階登録用アプリの情報を当該端末装置3へ送信すると共に、暗号キーWcも一緒に当該端末装置3へ送信する。換言すれば、本実施形態においては、端末装置3から管理サーバ2に対して行先階登録用アプリのダウンロードが要求されることにより、その要求を以て、端末装置3から管理サーバ2に対して暗号キーWcの付与も要求されたものとして扱われる。このような付与処理は、管理サーバ2内にソフトウェア又はハードウェアで構築される付与処理部221(図1(A)参照)によって実行される。
【0025】
<コード>
コードSは、端末装置3への暗号キーWcの付与によって当該端末装置3による読取りが可能になる非公開部Spと、暗号キーWcなしでの読取りが可能な公開部Sqと、を含む。本実施形態では、コードSは、非公開部Spと公開部Sqとが1つに纏めてコード化されたものである。具体的には、コードSは、SQRC(登録商標)など、非公開部Spと公開部Sqとを持ったQRコード(登録商標)である。また、このコードSは、利用者が自身の端末装置3を用いて読み取ることができる場所(エレベータの乗場など)において、壁面への貼付や画面への表示などの手段によって利用者に提供される。尚、コードSには、上記QRコード(登録商標)に代えて、非公開部Spと公開部Sqとを持った2次元バーコードが用いられてもよい。
【0026】
そして、公開部Sqには、管理サーバ2と通信するための情報が含まれ、非公開部Spには、端末装置3からの乗場呼びを可能にするための情報(即ち、端末装置3を行先階登録装置として機能させるために必要な情報)が含まれている。より具体的には、以下のとおりである。
【0027】
公開部Sqには、管理サーバ2から行先階登録用アプリをダウンロードするためのWebサイトのURLの情報が含まれている。この公開部Sqについては、利用者は、自身の端末装置3に対して管理サーバ2から暗号キーWcが付与される前であっても、当該端末装置3のカメラ機能(後述する読取部34(図1(B)参照))を用いて読み取ることができる。
【0028】
非公開部Spには、端末装置3への行先階登録用アプリのインストール後の設定(ここでは、その行先階登録用アプリを所望のエレベータで利用できるようにするための設定)で必要となる情報が含まれている。換言すれば、従来はWebサイトにアクセスして取得しなければならなかった情報が、本実施形態ではコードSの非公開部Spに含まれている。一例として、非公開部Spには、エレベータが設置されている建物の情報、群管理制御装置1のIPアドレス、その群管理制御装置1の制御対象となるバンク(群管理制御の対象となる乗りかごをグループ化したもの)の情報、制御方式などが含まれる。この非公開部Spについては、利用者は、暗号キーWcの付与前には読み取ることができず、自身の端末装置3に対して管理サーバ2から暗号キーWcを付与してもらうことにより、当該端末装置3のカメラ機能を用いて読み取ることができるようになる。
【0029】
<端末装置>
図1(B)は、端末装置3の構成を示した概念図である。端末装置3は、通信部31と、入力部32と、表示部33と、読取部34と、記憶部35と、制御部36と、を備える。
【0030】
通信部31は、ネットワーク通信用のデバイスで構成される部分であり、外部とのネットワーク通信を担う。入力部32は、タッチパネルやボタンなどの入力デバイスで構成される部分であり、利用者による乗場呼びなどの各種情報の入力に用いられる。表示部33は、タッチパネルなどの表示デバイスで構成される部分であり、各種情報の表示を担う。読取部34は、カメラなどの撮像デバイスで構成される部分であり、コードSの読取りを担う。
【0031】
記憶部35は、ROMやRAMなどの記憶デバイスで構成された部分である。記憶部35には、端末装置3にインストールされた行先階登録用アプリや、当該行先階登録用アプリの設定に用いられた情報などが保存される。
【0032】
制御部36は、CPUなどの処理デバイスで構成された部分であり、端末装置3の各部の動作を制御する。そして、利用者が自身の端末装置3にて行先階登録用アプリを起動した場合には、制御部36は、行先階登録用アプリに基づいた制御処理を実行することにより、その利用者の端末装置3を行先階登録装置として機能させる。換言すれば、端末装置3を行先階登録装置として機能させるために必要な処理が、行先階登録用アプリの実行によって遂行される。また、そのような処理は、行先階登録用アプリの実行によって端末装置3の制御部36内にソフトウェアで構築される処理部(読取処理部361など)によって遂行される。これにより、利用者は、自身の端末装置3からの乗場呼びを行うことが可能になる。尚、行先階登録用アプリに基づいて制御部36が実行する制御処理の詳細については以下で説明する。
【0033】
[1-2]操作及び制御処理
図2は、本実施形態において利用者が行う操作、管理サーバ2が実行する制御処理、及び端末装置3が実行する制御処理、をそれぞれ示したフローチャートである。
【0034】
端末装置3からの乗場呼びを可能にするために、利用者は、先ず、自身の端末装置3の読取部34を用いてコードSの読取りを行う(1回目の読取り。ステップS101)。この時点では端末装置3には暗号キーWcが付与されていないため、ステップS101では、コードS内の公開部Sqだけが端末装置3によって読み取られる。これにより、利用者は、管理サーバ2から行先階登録用アプリをダウンロードするためのWebサイトにアクセスすることが可能になる。
【0035】
ステップS101の後、利用者は、上記Webサイトにアクセスして自身の端末装置3に行先階登録用アプリをダウンロードし、ダウンロードの完了後、その行先階登録用アプリを自身の端末装置3にインストールする(ステップS102)。本実施形態では、管理サーバ2からの行先階登録用アプリのダウンロード時に、そのダウンロードを要求した端末装置3に暗号キーWcが付与される(付与処理。ステップS200)。従って、端末装置3は、行先階登録用アプリのインストール後には、コードS内の非公開部Spを読取部34によって読み取ることができるようになる。
【0036】
そこで利用者は、ステップS102の後には、先ず、インストールした行先階登録用アプリを起動し(ステップS103)、次に、ステップS101で読み取ったコードSと同じコードSに対して、再度、自身の端末装置3の読取部34を用いた読取りを行う(2回目の読取り。ステップS104)。
【0037】
ステップS104の操作が行われた場合、端末装置3は、コードS内の非公開部Spを、自身に付与されている暗号キーWcを用いて読み取ることにより、当該非公開部Spに含まれている情報を取得する(読取処理。ステップS301)。これにより、行先階登録用アプリのインストール後の設定(ここでは、その行先階登録用アプリを所望のエレベータで利用できるようにするための設定)で必要となる情報が端末装置3に取り込まれる。このような読取処理は、端末装置3内にソフトウェアで構築される読取処理部361(図1(B)参照)によって実行される。
【0038】
その後、端末装置3は、ステップS301で読み取った情報を用いて行先階登録用アプリの設定を行う(設定処理。ステップS302)。このとき、端末装置3は、設定のための操作(入力や選択など)を利用者に要求することなく、ステップS301で読み取った情報を用いて自動で設定を行う。換言すれば、従来は利用者がWebサイトにアクセスして取得してから手動で設定しなければならなかった情報が、本実施形態ではコードS内の非公開部Spの読取りによって自動で設定されることになる。従って、行先階登録用アプリによれば、利用者が自身の端末装置3で非公開部Spの読取りを行うだけで、当該端末装置3からの乗場呼びを可能にするための設定が自動的に行われることになる。このような設定処理は、端末装置3内にソフトウェアで構築される設定処理部362(図1(B)参照)によって実行される。
【0039】
このような本実施形態の構成によれば、利用者は、自身の端末装置3を用いて公開部Sqの読取り(1回目の読取り)と非公開部Spの読取り(2回目の読取り)とを順に行う、といった簡単な2段階の操作で、端末装置3からの乗場呼びを可能にすることができる。
【0040】
また本実施形態では、コードSは、非公開部Spと公開部Sqとが1つに纏めてコード化されたものである。このような構成によれば、1つのコードSを用意するだけで、その1つのコードSに対する1回目の読取りが行われた場合に公開部Sqの情報を端末装置3に提供し、暗号キーWcの付与後において同じコードSに対する2回目の読取りが行われた場合に非公開部Spの情報を端末装置3に提供することが可能になる。従って、利用者は、1つのコードSに対して2回の読取りを行うといった簡単な操作で、端末装置3からの乗場呼びを可能にすることができる。
【0041】
行先階登録用アプリの設定後、利用者は、その行先階登録用アプリを用いて自身の端末装置3から乗場呼びを行うことが可能になる。そして、利用者が、行先階登録用アプリにて出発階(乗車階)と行先階(降車階)とを入力した場合には、それらが1つの乗場呼びとして群管理制御装置1へ送信される。群管理制御装置1は、端末装置3から乗場呼びが送信されてくるごとに、当該乗場呼びについての乗りかごへの割当てを行い(割当処理)、その割当てに関する情報(乗場呼びが割り当てられた乗りかごの情報など)を、割当ての対象である乗場呼びを送信してきた端末装置3へ返信する。
【0042】
端末装置3は、送信した乗場呼びについての割当てに関する情報を群管理制御装置1から受信した場合には、その情報(乗りかごの情報など)を、行先階登録用アプリを通じて利用者に通知する。利用者は、通知された割当てに関する情報を確認することにより、自身が乗車すべき乗りかごを認識することができる。
【0043】
[2]変形例
[2-1]第1変形例
上述した制御システムにおいて、管理サーバ2は、行先階登録用アプリのダウンロードを要求した端末装置3に暗号キーWcを付与する構成に代えて、インストール後の行先階登録用アプリを通じて利用者に対する認証を行い、その認証に成功した場合にのみ暗号キーWcを付与する構成に適宜変更されてもよい。
【0044】
図3(A)は、第1変形例に係る制御システムが適用されたエレベータの全体構成を例示した概念図であり、図3(B)は、そのエレベータの行先階登録装置として機能する端末装置3の構成を示した概念図である。図4は、第1変形例において利用者が行う操作、管理サーバ2が実行する制御処理、及び端末装置3が実行する制御処理、をそれぞれ示したフローチャートである。
【0045】
第1変形例では、管理サーバ2の記憶部21に認証管理データDrが保存される(図3(A)参照)。ここで、認証管理データDrは、行先階登録用アプリの利用を許可できる利用者ごとの情報が予め記録されたものである。一例として、認証管理データDrでは、行先階登録用アプリの利用を許可できる利用者(例えば、特定の建物に入っているテナントの社員や店員など)ごとに、その利用者の識別情報(IDなど)とパスワードとが対応付けられた状態で記録される。
【0046】
端末装置3は、行先階登録用アプリのインストール後、そのアプリを利用者が起動した場合(ステップS103。図4参照)に、利用者に対して、認証に必要な情報の入力を要求する(ステップS311)。一例として、端末装置3は、タッチパネルに、識別情報(IDなど)とパスワードとを入力するための画面を表示する。そして、認証に必要な情報が端末装置3にて入力された場合(ステップS110)に、当該情報が、端末装置3から管理サーバ2に送信される(ステップS312)。本変形例では、このように認証に必要な情報が端末装置3で入力されて管理サーバ2へ送信されることにより、端末装置3から管理サーバ2に対して暗号キーWcの付与が要求されることになる(要求処理)。このような要求処理は、端末装置3内にソフトウェアで構築される要求処理部363(図3(B)参照)によって実行される。
【0047】
管理サーバ2は、端末装置3から暗号キーWcの付与を要求された場合に、その端末装置3を携帯する利用者に対する認証を行う(認証処理。ステップS211)。具体的には、管理サーバ2は、認証に必要な情報が端末装置3から送信されてきた場合に、その情報を認証管理データDr内の情報と照合することによって認証の成否を判断する。一例として、認証に必要な情報が利用者の識別情報及びパスワードである場合には、管理サーバ2は、端末装置3から送信されたきた識別情報及びパスワードと一致する情報が認証管理データDr内に含まれているかどうかを判断することにより、認証の成否を判断する。このような認証処理は、管理サーバ2内にソフトウェア又はハードウェアで構築される認証処理部222(図3(A)参照)によって実行される。
【0048】
そして、管理サーバ2は、ステップS211にて認証に成功した場合に、その認証に必要な情報を送信してきた端末装置3(即ち、その認証で対象となった利用者が携帯する端末装置3)に対して暗号キーWcを付与する(付与処理。ステップS212)。一方、管理サーバ2は、ステップS211にて認証に失敗した場合には、その認証に必要な情報を送信してきた端末装置3に対してエラー信号を送信する(ステップS213)。このエラー信号を端末装置3が受信した場合には、当該端末装置3は、認証に失敗したことを、行先階登録用アプリを通じて利用者に通知する。
【0049】
利用者は、認証に成功して自身の端末装置3に暗号キーWcが付与された場合には、ステップS101で読み取ったコードSと同じコードSに対して、再度、自身の端末装置3の読取部34を用いた読取りを行う(ステップS104)。これにより、端末装置3において読取処理(ステップS301)と設定処理(ステップS302)とが実行され、その結果として、端末装置3からの乗場呼びを可能にするための設定が自動的に行われることになる。
【0050】
このような第1変形例の構成によれば、認証に成功した利用者が携帯する端末装置3だけを対象として、コードS内の非公開部Spの読取りを可能にすることができる。よって、非公開部Spに含まれている情報に対するセキュリティを向上させることができる。
【0051】
尚、認証管理データDrは、行先階登録用アプリの利用を許可できる利用者ごとに、その利用者の情報と、当該利用者に付与する暗号キーWcとが対応付けられたものに適宜変更されてもよい。この構成によれば、利用者ごと或いは利用者が属するグループごと(例えば建物ごと)に異なる暗号キーWcを付与することができる。また、コードSには、異なる暗号キーWcにそれぞれ対応した複数の非公開部Spを含ませることで、利用者ごとに、その利用者に応じた情報を提供することができる。
【0052】
[2-2]第2変形例
上述した行先階登録用アプリは、端末装置3に以下のような制御処理を実行させるものに適宜変更されてもよい。
【0053】
図5(A)及び図5(B)は、第2変形例にて行先階登録装置として機能する端末装置3の構成についての2つの例を示した概念図である。図6は、第2変形例において利用者が行う操作、管理サーバ2が実行する制御処理、及び端末装置3が実行する制御処理、をそれぞれ示したフローチャートである。
【0054】
第2変形例では、端末装置3は、管理サーバ2から暗号キーWcが付与された場合(図2のステップS200又は図4のステップS212)に、利用者に対して、コードSの再度の読取りを促す(報知処理。ステップS320。図6参照)。一例として、端末装置3は、タッチパネルに、コードSの再度の読取りを促す画面を表示する。このような報知処理は、端末装置3内にソフトウェアで構築される報知処理部364(図5(A)及び図5(B)参照)によって実行される。
【0055】
このような第2変形例の構成によれば、端末装置3への行先階登録用アプリのインストール後、コードSに対する2回目の読取りが必要であることを利用者に認識させることが可能になる。換言すれば、コードSに非公開部Spが含まれていることを利用者に認識させることが可能になる。
【0056】
[2-3]他の変形例
上述した制御システムにおいて、コードSは、非公開部Spと公開部Sqとが別個にコード化されたものであってもよい。即ち、利用者が自身の端末装置3を用いて読み取ることができる場所(エレベータの乗場など)において、非公開部Spのコードと、公開部Sqのコードと、が別々に、壁面への貼付や画面への表示などの手段によって利用者に提供されてもよい。
【0057】
上述した制御システムにおいて、コードSの非公開部Spには、そのコードSが何階で提供されているものであるのかを示す階情報(即ち、利用者にとって出発階(乗車階)となる情報)が含まれていてもよい。そして、行先階登録用アプリは、利用者が自身の端末装置3を用いて乗場でコードSの非公開部Spを読み取った場合に、その非公開部Sp内の階情報を出発階(乗車階)として用いるものに適宜変更されてもよい。この場合、利用者は、行先階登録用アプリでの入力操作として行先階(降車階)を入力するだけで自身の端末装置3から乗場呼びを行うことが可能になる。
【0058】
上述の実施形態及び変形例の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態や変形例ではなく、特許請求の範囲によって示される。更に、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0059】
また、上述の実施形態や変形例からは、発明の対象として、エレベータの構成要素(群管理制御装置1、管理サーバ2、コードSなど)が個々に抽出されてもよいし、それらの幾つかを組み合わせたものが抽出されてもよい。また、発明の対象として、端末装置3が抽出されてもよい。更には、それらの構成要素(端末装置3を含む)で実行される制御処理やプログラムが個々に抽出されてもよいし、それらの一部が部分的に抽出されてもよい。
【符号の説明】
【0060】
1 群管理制御装置
2 管理サーバ
3 端末装置
S コード
11 記憶部
12 制御部
21 記憶部
22 制御部
31 通信部
32 入力部
33 表示部
34 読取部
35 記憶部
36 制御部
Dr 認証管理データ
Sp 非公開部
Sq 公開部
Wc 暗号キー
221 付与処理部
222 認証処理部
361 読取処理部
362 設定処理部
363 要求処理部
364 報知処理部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2023-10-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項3
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項3】
前記端末装置から前記暗号キーの付与を要求された場合に、その端末装置を携帯する利用者に対する認証を行う認証処理部、
を更に備え、
前記付与処理部は、前記認証処理部が前記認証に成功した場合に、その認証で対象となった利用者が携帯する前記端末装置に前記暗号キーを付与する、請求項1又は2に記載のエレベータの制御システム。