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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104936
(43)【公開日】2024-08-06
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/51 20060101AFI20240730BHJP
   A61F 13/551 20060101ALI20240730BHJP
   A61F 13/539 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
A61F13/51
A61F13/551 200
A61F13/539
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023009388
(22)【出願日】2023-01-25
(71)【出願人】
【識別番号】000183462
【氏名又は名称】日本製紙クレシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】蓑田 哲宏
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200AA01
3B200BA05
3B200BA16
3B200BB03
3B200BB20
3B200CA12
3B200DA21
3B200DA27
(57)【要約】
【課題】交換時に周囲を汚さずに廃棄し易い吸収性物品を提供する。
【解決手段】本開示に係る吸収性物品10は、液透過性の肌側のトップシート21と、液不透過性の非肌側のバックシート22と、トップシート21とバックシート22との間に配置される吸収体23とを有し、体液を吸収可能な吸収性本体20と、吸収性本体20の非肌側面20aに沿って配置されて吸収性本体20に貼り付けられた外側シート30と、を備え、外側シート30は、吸収性本体20の長手方向となる第1方向の両端部に対して貼り付けられた第1方向の両側の強貼付領域31と、強貼付領域31間に位置して吸収性本体20に対して剥離可能に貼り付けられた弱貼付領域32と、弱貼付領域32に設けられて第1方向と交叉する第2方向に延びる易破断部33とを有し、易破断部33を破断することによって弱貼付領域32を第1方向の両側に分割可能である。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液透過性の肌側のトップシートと、液不透過性の非肌側のバックシートと、前記トップシートと前記バックシートとの間に配置される吸収体とを有し、体液を吸収可能な吸収性本体と、
前記吸収性本体の非肌側面に沿って配置されて前記吸収性本体に貼り付けられた外側シートと、を備え、
前記外側シートは、前記吸収性本体の長手方向となる第1方向の両端部に対して貼り付けられた前記第1方向の両側の強貼付領域と、前記強貼付領域間に位置して前記吸収性本体に対して剥離可能に貼り付けられた弱貼付領域と、前記弱貼付領域に設けられて前記第1方向と交叉する第2方向に延びる易破断部とを有し、前記易破断部を破断することによって前記弱貼付領域を前記第1方向の両側に分割可能である
ことを特徴とする吸収性物品。
【請求項2】
前記外側シートは、撥水性の不織布である
ことを特徴とする請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記外側シートの前記強貼付領域は、前記第2方向に延び、
前記外側シートの前記強貼付領域の前記第1方向の長さは、前記吸収性本体の前記第1方向の長さの6%以上12%以下の長さである
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記易破断部は、前記吸収性本体の前記第1方向の一端から前記吸収性本体の前記第1方向の長さの35%以上65%以下の範囲内に設けられる
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記吸収性本体に対する前記外側シートの前記強貼付領域の剥離強度は、200gf/25mm以上であり、
前記吸収性本体に対する前記外側シートの前記弱貼付領域の剥離強度は、30gf/25mm以上120gf/25mm以下である
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記易破断部は、ミシン目である
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、尿とりパッドが開示されている。この尿とりパッドは、裏面シート、トップシート、及び両シートの間に設けた吸収体からなるパッド本体を有する。尿とりパッドは、パッド本体の裏面シートの外側面にポケットシートを設けてポケットが形成されている。尿とりパッドの廃棄時には、パッド本体を裏面シートが外側になるよう丸め込み、ポケットシートを裏返すようにして丸め込んだパッド本体を収納することができる。
【0003】
特許文献2には、吸収性物品が開示されている。この吸収性物品は、吸収性本体と、袋体とを備える。袋体は、吸収性本体の肌非対向面側に取り付けられ、裏返すことにより形成される内部空間に、吸収性本体を収納可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-284288号公報
【特許文献2】特開2014-151128号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
昨今は被介護者が介護施設に入所できず在宅で介護されるケースが増加しており、高齢の被介護者を高齢のパートナー(配偶者等)が在宅介護したり、高齢の被介護者を比較的高齢の子供が在宅介護したりする、いわゆる老老介護の家庭が増えている。介護者及び被介護者の双方が加齢のため体力が衰える中、介護作業は大変な身体的負担となっている。特におむつ交換作業は心身の負担が大きく、大便を排泄したパッドの交換は、ときに被介護者の重い身体の操作を伴う。このため、布団や衣類等の周辺に排泄物を誤って付着させてしまう場合があり、それらの交換や洗濯等の二次的な作業が発生し、在宅介護上の課題となっている。また、夜間で視界が悪く、急な交換でゴミ袋が手近にない状況でも交換を行う場合があり、この場合も周囲を汚してしまう可能性がある。
【0006】
特許文献1に記載の尿とりパッド(吸収性物品)及び特許文献2に記載の吸収性物品では、吸収性物品を袋等(ポケットを含む)に収納可能である。しかし、吸収性物品を袋等に収納するために折り畳んだり、丸め込んだりする必要があるので、吸収性物品の交換時に尿便の液戻りや漏れのおそれがあり、周囲を汚してしまう可能性がある。
【0007】
そこで、本開示は、交換時に周囲を汚さずに廃棄し易い吸収性物品の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様の吸収性物品は、液透過性の肌側のトップシートと、液不透過性の非肌側のバックシートと、前記トップシートと前記バックシートとの間に配置される吸収体とを有し、体液を吸収可能な吸収性本体と、前記吸収性本体の非肌側面に沿って配置されて前記吸収性本体に貼り付けられた外側シートと、を備え、前記外側シートは、前記吸収性本体の長手方向となる第1方向の両端部に対して貼り付けられた前記第1方向の両側の強貼付領域と、前記強貼付領域間に位置して前記吸収性本体に対して剥離可能に貼り付けられた弱貼付領域と、前記弱貼付領域に設けられて前記第1方向と交叉する第2方向に延びる易破断部とを有し、前記易破断部を破断することによって前記弱貼付領域を前記第1方向の両側に分割可能である。
【0009】
本発明の第2の態様は、上記第1の態様の吸収性物品であって、前記外側シートは、撥水性の不織布である。
【0010】
本発明の第3の態様は、上記第1の態様又は上記第2の態様の吸収性物品であって、前記外側シートの前記強貼付領域は、前記第2方向に延び、前記外側シートの前記強貼付領域の前記第1方向の長さは、前記吸収性本体の前記第1方向の長さの6%以上12%以下の長さである。
【0011】
本発明の第4の態様は、上記第1の態様又は上記第2の態様の吸収性物品であって、前記易破断部は、前記吸収性本体の前記第1方向の一端から前記吸収性本体の前記第1方向の長さの35%以上65%以下の範囲内に設けられる。
【0012】
本発明の第5の態様は、上記第1の態様又は上記第2の態様の吸収性物品であって、前記吸収性本体に対する前記外側シートの前記強貼付領域の剥離強度は、200gf/25mm以上であり、前記吸収性本体に対する前記外側シートの前記弱貼付領域の剥離強度は、30gf/25mm以上120gf/25mm以下である。
【0013】
本発明の第6の態様は、上記第1の態様又は上記第2の態様の吸収性物品であって、前記易破断部は、ミシン目である。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、交換時に周囲を汚さずに廃棄し易い吸収性物品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係る吸収性物品の肌側からの平面図である。
図2図1の吸収性物品の非肌側からの平面図である。
図3図1のIII-III矢視断面図である。
図4図1のIV-IV矢視断面図である。
図5】吸収性物品の外側シートを展開する際の説明図であって、(a)は破断を開始している状態を、(b)は展開中の状態を、(c)は展開後の状態をそれぞれ示す。
図6】吸収性物品を小さくまとめる際の説明図であって、(a)はまとめ開始時の状態を、(b)は途中の状態を、(c)はまとめ後の状態をそれぞれ示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係る吸収性物品について説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態に係る吸収性物品の肌側からの平面図である。図2は、図1の吸収性物品の非肌側からの平面図である。図3は、図1のIII-III矢視断面図である。図4は、図1のIV-IV矢視断面図である。なお、各図は、吸収性物品の構成部材の寸法の大小関係を規定するものではなく、各構成部材の寸法は、吸収性物品の用途、使用対象とする着用者の年齢等に応じてそれぞれ広い範囲から適宜選択できる。
【0018】
本明細書において、吸収性物品の着用とは、体液の吸収前、吸収時、及び吸収後を問わず、吸収性物品を身体に装着した状態を意味する。また、長手方向(第1方向)とは、吸収性物品の長手の方向を意味し、吸収性物品を着用した際に着用者の前後に沿う方向であり、図中の矢印Xに沿った方向である。また、短手方向(第2方向)とは、吸収性物品の短手の方向を意味し、長手方向と交叉(直交)する方向であり、図中の矢印Yに沿った方向である。また、吸収性物品の厚み方向とは、各構成部材を積層する方向をいい、図中の矢印Zに沿った方向を意味する。また、「前側」とは、吸収性物品を着用したときに着用者の腹側となる方向を意味し、「後側」とは、着用者の背側となる方向を意味する。また、吸収性物品の各構成部材の「肌側」とは、厚み方向のうち吸収性物品を着用した際に着用者の身体に向かう方向を意味し、「非肌側」とは、厚み方向のうち肌側とは反対の方向を意味する。また、左右方向は、前方を向いた状態の着用者から視た左右方向を意味する。また、体液とは、尿や血液、軟便中の水分等の体内から体外に排出された液体をいう。
【0019】
[吸収性物品]
図1図4に示すように、本実施形態に係る吸収性物品10は、ベビー用及び成人用の種々の吸収性物品として使用でき、例えば、軽失禁パッド、尿吸収パッド等のパッド製品が挙げられる。これらの中でも、吸収体を幅広に構成したワイドパッド製品として好適に使用できる。また、アウターとしての各種紙おむつと、インナーとしてのパッド製品形態の吸収性物品10とを組み合わせて使用してもよい。
【0020】
吸収性物品10は、体液を吸収可能な吸収性本体20と、吸収性本体20の非肌側面20aに沿って配置されて吸収性本体20に貼り付けられた外側シート30と、を備える。
【0021】
[吸収性本体]
吸収性本体20は、体液を吸収する吸収性物品10の主となる部材であって、液透過性のトップシート21と、トップシート21に対向配置される液不透過性のバックシート22と、トップシート21とバックシート22との間に配置される吸収体23とを有する。トップシート21は、吸収性物品10の着用時に着用者の肌側に位置する。一方、バックシート22は、吸収性物品10の着用時に着用者の非肌側(例えば、下着側)に位置する。本実施形態の吸収性本体20は、更に、立体ギャザー24を有する。なお、吸収性本体20は、トップシート21、バックシート22、及び立体ギャザー24以外の他のシート(例えば、吸収体23を包むカバーシート等)を有していてもよい。
【0022】
吸収性本体20の形状は、特に限定されるものではないが、例えば、砂時計型、略矩形型、小判型等が挙げられる。本実施形態では、吸収性本体20の形状を、長手方向の中間部よりも長手方向の両端側が幅広に形成された砂時計型としている。
【0023】
吸収性本体20の長手方向の長さ(最大長。以下同じ。)L1は、特に限定されるものではないが、例えば、560mm以上であることが好ましく、850mm以下の範囲であることが好ましい。また、吸収性本体20の短手方向(以下、「幅方向」という場合がある。)の長さL2は、特に限定されるものではないが、例えば、50mm以上であることが好ましく、500mm以下の範囲であることが好ましい。吸収性本体20の寸法を上記範囲に調整すると、種々の形態の吸収性物品10が容易に得られる。なお、吸収性本体20は、吸収性物品10の主となる部材であるので、吸収性本体20の形状及び寸法が、吸収性物品10の形状及び寸法となる。
【0024】
(トップシート)
トップシート21は、吸収体23を挟んで、バックシート22に対向して配置される。トップシート21は、液透過性のシート状部材であって、体液が吸収体23へと移動するような液透過性を備えた基材から形成されていればよい。基材の一例としては、例えば、親水性シート、同種又は異種の親水性シートの積層体である複合不織布、開口ポリエチレンフィルム等の開口性フィルム、ポリエチレンフォーム、ウレタンフォーム等の発泡フィルム等が挙げられる。親水性シートとしては、例えば、ポリプロピレンやポリエチレン等の合成樹脂からなる合成繊維、レーヨン等の再生繊維、綿等の天然繊維等の1種又は2種以上を含む、エアスルー不織布、サーマルボンド不織布、スパンレース不織布、スパンボンド不織布等が挙げられる。
【0025】
トップシート21には、液透過性を向上させる観点から、公知の方法に従ってエンボス加工や穿孔加工を表面に施してもよい。トップシート21には、肌への刺激を低減させる観点から、ローション、酸化防止剤、抗炎症成分、pH調整剤、抗菌剤、保湿剤等の1種又は2種以上を含有させてもよい。トップシート21の坪量は、強度、加工性及び液戻り量の観点から、例えば、15g/m以上であることが好ましく、40g/m以下であることが好ましい。トップシート21の形状は特に制限されず、漏れがないように体液を吸収体23へと誘導するために必要とされる、吸収体23の一部又は全部を覆う形状であればよい。
【0026】
(バックシート)
バックシート22は、吸収体23が保持している体液の非肌側への漏れがないように液不透過性を備えた基材を用いて形成されていればよく、樹脂フィルムや、樹脂フィルムと不織布とを積層した複合シートといった材料から形成される。複合シートに用いられる不織布としては、製法を特に限定せず、例えば、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布、スパンボンド不織布/メルトブロー不織布、スパンボンド不織布/メルトブロー不織布/スパンボンド不織布等の複数の同種及び/又は異種の不織布を積層した複合不織布及びこれらの複合材料が挙げられる。また、樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリプロピレン等のフィルム、ポリエチレンとポリプロピレンとの複合フィルム等が挙げられる。
【0027】
バックシート22の坪量は、例えば強度及び加工性の点から、15g/m以上であることが好ましく、40g/m以下であることが好ましい。また、着用時の蒸れを防止するため、バックシート22には、通気性を持たせることが好ましい。バックシート22に通気性を備えさせるためには、例えば、基材の樹脂フィルムにフィラーを配合したり、バックシート22にエンボス加工を施したりすればよい。なお、フィラーとしては炭酸カルシウムを挙げることができ、その配合方法は、公知の方法を制限なく行うことができる。例えば、樹脂とフィラーとを混練し、得られた混練物をフィルム状に成形し、得られたフィルムからフィラーを除去することにより、多孔性(通気性)樹脂フィルムを得ることができる。
【0028】
(吸収体)
吸収体23としては、例えば、基材としての吸収性繊維と、吸収性繊維に担持された高吸収性ポリマー(以下、「SAP」という場合がある。)と、を含むフラッフ吸収体や、液吸収性シート間にSAP粒子を固着したSAPシートが挙げられる。
【0029】
吸収性繊維は、一般に生理用ナプキンや紙おむつ、尿取りパッド等の吸収性物品に使用されるものであれば特に制限はなく、例えば、フラッフパルプ、コットン、レーヨン、アセテート、ティシュー、吸収紙、親水性不織布等を挙げることができる。フラッフパルプとしては、木材パルプ(例えば、サウザンパインやダグラスファー等の針葉樹晒クラフトパルプ(N-BKP))、合成繊維、樹脂繊維、非木材パルプ等を綿状に解繊したものを挙げることができる。また、液吸収性シートとしては、上記吸収性繊維の1種又は2種以上から構成されるシートが挙げられる。
【0030】
高吸収性ポリマーとしては、体液を吸収し、かつ、逆流を防止できるものであれば特に制限はなく、ポリアクリル酸塩、ポリアスパラギン酸塩、(デンプン-アクリル酸)グラフト共重合体、(アクリル酸-ビニルアルコール)共重合体、(イソブチレン-無水マレイン酸)共重合体及びそのケン化物等が挙げられる。これらの中でも、重量当たりの吸収量の観点から、ポリアクリル酸塩が好ましく、ポリアクリル酸アルカリ金属塩がより好ましく、ポリアクリル酸ナトリウムが更に好ましい。高吸収性ポリマーは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0031】
吸収体23において、吸収性繊維及びSAPの形態は、吸収性繊維中にSAP粒子を混合して形成したものであってもよく、或いは吸収性繊維間にSAP粒子を固着したものであってもよい。
【0032】
吸収体23の形状としては、特に限定されるものではなく、例えば、矩形状、砂時計状、I字状、長方形の4角が丸まった角丸四角形状、長円状、一方向に長い楕円形状等が挙げられる。吸収体23は、2層以上を重ねて用いてもよい。
【0033】
(カバーシート)
吸収性本体20は、吸収体23からのSAP粒子の漏洩防止や吸収体23の形状の安定化の目的から、吸収体23を包むような、カバーシート(図示省略)を有していてもよい。カバーシートの基材としては、親水性を有するものであればよく、例えば、ティッシュ、吸収紙、エアレイド不織布、スパンボンド不織布等の親水性不織布を挙げることができる。これらの中でも、スパンボンド不織布が好ましい。また、カバーシートを複数備える場合は、複数のカバーシートの基材は同一のものであっても異なるものであってもよい。また、トップシート21とカバーシートとの間に、体液をカバーシート側から吸収体23側へ迅速に捕捉し分配するためのADL層を設けてもよい。
【0034】
(立体ギャザー)
立体ギャザー24は、例えば、着用者が排泄した体液の横モレを防止するために、吸収性本体20の幅方向の両端付近で吸収性本体20の長手方向に沿ってトップシート21の肌側面に固定される。立体ギャザー24は、撥水性及び/又は防水性のシート部材24aと、弾性伸縮部材24bとを含む。
【0035】
シート部材24aは撥水性及び/又は防水性を有するシートであり、例えば不織布から構成される。シート部材24a用の不織布としては、疎水性繊維にて形成された撥水性及び/又は防水性(液不透過性)の不織布を特に限定なく使用でき、例えば、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布、スパンボンド不織布/メルトブロー不織布/スパンボンド不織布積層体である複合不織布(SMS不織布)等が挙げられる。シート部材24aの坪量は、例えば、13g/m以上20g/m以下の範囲であることが好ましい。シート部材24aは、本実施形態では幅方向の一端(固定端)がバックシート22の肌側面の幅方向の両端付近に固定され、幅方向の途中部がトップシート21の肌側面の幅方向の両端付近に固定され、幅方向の他端が起立性を有する自由端となっている。シート部材24aの固定端(幅方向の一端)の固定位置は、上記位置に限定されるものではなく、例えば、バックシート22の非肌側面の幅方向の両端付近等が挙げられる。
【0036】
弾性伸縮部材24bは、シート部材24aの自由端(他端)付近に長手方向に沿って配設され、該自由端に起立性を付与し、シート部材24aの自由端及びその近傍領域を装着者の体型に合わせて変形可能にする。弾性伸縮部材24bとしては、例えば、天然ゴム、合成ゴム、ポリウレタン等からなる、糸状、紐状、帯状のものを適宜使用することができる。
【0037】
[外側シート]
図2図4に示すように、外側シート30は、使用済みの吸収性物品10を廃棄する際に吸収性本体20を小さくまとめるためのシートであって、吸収性本体20の非肌側面20aに沿って配置されて吸収性本体20に貼り付けられる。使用済みの吸収性本体20を外側シート30で小さくまとめる際には、外側シート30を吸収性本体20から剥がして使用する。なお、使用済みの吸収性本体20を外側シート30で小さくまとめる方法については、後述する。
【0038】
外側シート30は、通気性を有する基材を用いて形成されることが好ましい。また、外側シート30は、衛生的な観点から撥水性を有する基材を用いて形成されることが好ましい。撥水性を有する基材としては、例えば、樹脂フィルムや、不織布や、これらを積層した複合シートが挙げられる。不織布としては、製法を特に限定せず、例えば、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布、スパンボンド不織布/メルトブロー不織布、スパンボンド不織布/メルトブロー不織布/スパンボンド不織布等の複数の同種及び/又は異種の不織布を積層した複合不織布及びこれらの複合材料が挙げられる。また、樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリプロピレン等のフィルム、ポリエチレンとポリプロピレンとの複合フィルム等が挙げられる。
【0039】
外側シート30は、強度的な観点から撥水性を有する不織布であることが好ましい。外側シート30を、撥水性を有する不織布で形成することによって、多孔性の樹脂フィルム(例えば通気性PEフィルム等)で形成する場合とは異なり、外側シート30を吸収性本体20から剥がす際に破れ難くすることができる。具体的には、外側シート30を、多孔性の樹脂フィルムで形成すると、外側シート30を吸収性本体20から剥がす際に、外側シート30が柔軟に伸びず、脆く破れてしまう可能性があるが、撥水性を有する不織布で形成することによって、外側シート30を吸収性本体20から剥がす際に破れ難くすることができる。
【0040】
外側シート30は、吸収性本体20に対して強く貼り付けられた長手方向(第1方向)の両側の強貼付領域31と、吸収性本体20に対して剥離可能に貼り付けられた弱貼付領域32と、弱貼付領域32に設けられた易破断部33とを有する。外側シート30は、吸収性本体20と略同じ大きさであることが好ましい。なお、図2では、分かり易くするために、強貼付領域31を着色して示している。
【0041】
(強貼付領域)
外側シート30の強貼付領域31は、吸収性本体20の長手方向の両端部に対して強固に貼り付けられる領域(図2に着色している領域)である。強貼付領域31は、吸収性本体20から容易に剥離できないように、吸収性本体20に対して固定的に貼り付けられる。例えば、外側シート30の強貼付領域31は、構造用ホットメルト接着剤を吸収性本体20に対して所定の強度を付与する塗布量、パターンで塗布することによって、吸収性本体20に対して固定的に貼り付けられる。強貼付領域31は、外側シート30の長手方向の両端部に位置して、幅方向(第2方向)に延びる領域であることが好ましい。
【0042】
外側シート30の強貼付領域31の長手方向(第1方向)の長さL3は、吸収性本体20の長手方向の長さL1を100%とした場合の6%以上の長さであることが好ましく、12%以下の長さであることが好ましい。強貼付領域31の第1方向の長さL3を、収性本体20の長手方向の長さL1の6%以上の長さに設定することによって、吸収性本体20に対する外側シート30の貼り付け強度を確保することができる。また、強貼付領域31の第1方向の長さL3を、収性本体20の長手方向の長さL1の12%以下の長さに設定することによって、使用済みの吸収性本体20を小さくまとめるための弱貼付領域32の第1方向の長さL4を十分に確保することができる。
【0043】
(弱貼付領域)
外側シート30の弱貼付領域32は、外側シート30のうち両側の強貼付領域31間に位置する領域(図2に着色していない領域)である。すなわち、弱貼付領域32は、長手方向の一側の強貼付領域31から他側の強貼付領域31まで長手方向に延びている。弱貼付領域32は、吸収性本体20の非肌側面20aの長手方向の中間部に剥離可能に貼り付けられる。例えば、外側シート30の弱貼付領域32は、ズレ止めホットメルト接着剤を吸収性本体20に対して強すぎず弱すぎず適切な接着強度(手で剥離可能な強度)が得られる塗布量、パターンで塗布することによって、吸収性本体20に対して貼り付けられる。
【0044】
外側シート30の弱貼付領域32の長手方向(第1方向)の長さL4は、吸収性本体20の長手方向の長さL1を100%とした場合の76%以上の長さであることが好ましく、88%以下の長さであることが好ましい。弱貼付領域32の第1方向の長さL4を、収性本体20の長手方向の長さL1の76%以上の長さに設定することによって、使用済みの吸収性本体20を小さくまとめるための弱貼付領域32の第1方向の長さL4を十分に確保することができる。また、弱貼付領域32の第1方向の長さL4を、収性本体20の長手方向の長さL1の88%以下の長さに設定することによって、外側シート30の強貼付領域31の第1方向の長さL3を十分に確保することができる。
【0045】
(易破断部)
外側シート30の弱貼付領域32には、弱貼付領域32を破り易くしている易破断部33が設けられる。易破断部33は、外側シート30の幅方向(第2方向)の一端から他端まで、幅方向に線状に延びる。易破断部33は、外側シート30に対して容易に形成することが可能なミシン目であることが好ましい。易破断部33をミシン目とした場合、易破断部33は、予め切断されている切断部(ミシン目)と、切断されていない未切断部とが交互に直列的に線状に配置される部分となり、弱貼付領域32を幅方向に破り易い部分となる。易破断部33に沿って弱貼付領域32を破断することによって、弱貼付領域32を、易破断部33よりも長手方向の一側の弱貼付領域32aと他側の弱貼付領域32bとに分割可能である。なお、本実施形態では、易破断部33としてミシン目を設けたが、これに限定されるものではなく、他の領域よりも強度が低い低強度部(例えば、他の領域よりも薄肉の薄肉部など)を易破断部33として弱貼付領域32に設けることができる。
【0046】
易破断部33は、吸収性本体20の長手方向の一端から、吸収性本体20の長手方向の長さL1を100%とした場合の35%以上65%以下の範囲A(図2参照)内に設けられることが好ましい。すなわち、吸収性本体20の長手方向の一端から易破断部33までの距離L5は、吸収性本体20の長手方向の長さL1を100%とした場合の35%以上であることが好ましく、65%以下あることが好ましい。易破断部33を上記範囲A内に配置することによって、使用済みの吸収性本体20を小さくまとめる際に作業が難しくならないように、易破断部33の第1方向の両側の弱貼付領域32a,32bの第1方向の長さの差を抑えることができる。
【0047】
(剥離強度)
吸収性本体20に対する外側シート30の強貼付領域31の剥離強度は、200gf/25mm以上であることが好ましい。強貼付領域31の剥離強度を200gf/25mm以上に設定することによって、使用済みの吸収性本体20を小さくまとめる際の吸収性本体20から外側シート30の剥がれを防止することができる。
【0048】
また、吸収性本体20に対する外側シート30の弱貼付領域32の剥離強度は、30gf/25mm以上であることが好ましく、120gf/25mm以下であることが好ましい。弱貼付領域32の剥離強度を30gf/25mm以上に設定することによって、吸収性物品10の使用中に外側シート30が吸収性本体20から意図せず剥がれてしまうことを防止して、装着感の低下を防止することができる。また、弱貼付領域32の剥離強度を120gf/25mm以下に設定することによって、使用済みの吸収性本体20を小さくまとめる際に、外側シート30の弱貼付領域32を吸収性本体20から容易に剥がすことができる。
【0049】
外側シート30の強貼付領域31及び弱貼付領域32の剥離強度は、強貼付領域31又は弱貼付領域32を吸収性本体20に対して剥がすように長手方向に引っ張った際の引張強度(gf/25mm)を意味し、テンシロン引張試験機を用いて測定する。強貼付領域31及び弱貼付領域32の剥離強度を測定する際には、先ず、幅方向の長さが25mmの試料を準備する。次に、当該試料の吸収性本体20と外側シート30(強貼付領域31又は弱貼付領域32)とをテンシロン引張試験機の上下のチャック部に挟む。次に、剥離速度を500mm/minに設定し、吸収性本体20から外側シート30(強貼付領域31又は弱貼付領域32)が剥離するときの平均引張強度(gf/25mm)を剥離強度として測定する。このような測定を複数回行い、その平均値を外側シート30の強貼付領域31及び弱貼付領域32の剥離強度とする。
【0050】
(使用方法)
次に、使用済みの吸収性物品10を交換する際の作業の一例について説明する。
【0051】
図5は、吸収性物品の外側シートを展開する際の説明図であって、(a)は破断を開始している状態を、(b)は展開中の状態を、(c)は展開後の状態をそれぞれ示す。図6は、吸収性物品を小さくまとめる際の説明図であって、(a)はまとめ開始時の状態を、(b)は途中の状態を、(c)はまとめ後の状態をそれぞれ示す。なお、図5及び図6は、概略的な説明図であり、分かり易くするために、図5(d)及び図6では、概略的な断面を図示している。
【0052】
例えば、被介護者が装着している使用済みの吸収性物品10を交換する場合、交換作業者(介護者又は被介護者自身を含む。)は、先ず、新しい吸収性物品10を手元に準備した状態で、装着している使用済みの吸収性物品10をアウター(下着や各種紙おむつを含む。)から取り外して、被介護者の身体から取り外す。
【0053】
次に、交換作業者は、図5(a)に白抜き矢印で示すように、使用済みの吸収性物品10の外側シート30の易破断部33を破断して、外側シート30の弱貼付領域32を2つの弱貼付領域32a,32bに分割する。
【0054】
次に、交換作業者は、図5(b)に示すように、外側シート30の弱貼付領域32a,32bを把持して長手方向の外側の強貼付領域31まで、吸収性本体20の非肌側面20aから剥がし、図5(c)及び(d)に示すように、弱貼付領域32a,32bを吸収性本体20よりも長手方向の外側まで広げる。
【0055】
次に、交換作業者は、図6(a)に白抜き矢印で示すように、広げた両側の弱貼付領域32a,32bを肌側へ持ち上げ、図6(b)に示すように、吸収性本体20の肌側面20b側(トップシート21側)が内側になるように、弱貼付領域32a,32bを吸収性本体20の肌側で交叉させる。
【0056】
次に、交換作業者は、図6(c)に示すように、吸収性本体20の肌側で両側の弱貼付領域32a,32bを互いに結ぶ。これにより、吸収性本体20の汚れた肌側面20bを内側にした状態で、外側シート30の両側の弱貼付領域32a,32bが展開しないようにすることができ、使用済みの吸収性物品10を小さくまとめて衛生的に拘束した状態(以下、「拘束状態」という。)にすることができる。
【0057】
次に、交換作業者は、拘束状態の使用済みの吸収性物品10を自身の近くに仮置きするなどして、新しい吸収性物品10を被介護者へ装着する。最後に、交換作業者は、仮置きしていた拘束状態の使用済みの吸収性物品10を廃棄する。
【0058】
上記のように構成された吸収性物品10では、吸収性本体20の非肌側面20aに沿って外側シート30が設けられる。外側シート30は、吸収性本体20の長手方向の両端部に強固に貼り付けられた強貼付領域31と、吸収性本体20に対して剥離可能に貼り付けられた弱貼付領域32と、弱貼付領域32に設けられる易破断部33とを有する。外側シート30は、易破断部33を破断することによって弱貼付領域32を長手方向の両側に分割可能である。このため、破断して広げた外側シート30の両側の弱貼付領域32a,32bを吸収性本体20の肌側で互いに結ぶことができる。これにより、使用済みの吸収性物品10を小さくまとめた状態で拘束することができる。また、両側の弱貼付領域32a,32bを互いに結ぶ際の力加減によって、吸収性本体20を強く潰すことなく緩やかに拘束することができる。このように、使用済みの吸収性本体を折り畳んだり丸めたりして袋等に入れる場合とは異なり、吸収性本体20を強く潰すことなく、使用済みの吸収性物品10を緩やかに小さくまとめることができるので、体液(尿便)の液戻りや漏れを防止することができ、吸収性物品10を衛生的に交換することができる。
【0059】
また、外側シート30の両側の弱貼付領域32a,32bを互いに結ぶことによって使用済みの吸収性物品10を拘束状態にすることができるので、吸収性物品10の交換時に取り外した使用済みの吸収性物品10を自身の近く等に衛生的に仮置きすることができ、仮置きする際に周囲を汚してしまうことを防止することができる。このため、使用済みの吸収性物品10による周囲の汚れ等を気にすることなく安心して使用済みの吸収性物品10を仮置きした状態で、新しい吸収性物品10の装着作業を行うことができる。
【0060】
したがって、本実施形態によれば、交換時に周囲を汚さずに廃棄し易い吸収性物品10を提供することができる。
【0061】
以上、本発明について、上記実施形態に基づいて説明を行ったが、本発明は上記実施形態の内容に限定されるものではなく、当然に本発明を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。すなわち、この実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論である。
【符号の説明】
【0062】
10:吸収性物品
20:吸収性本体
21:トップシート
22:バックシート
23:吸収体
30:外側シート
31:強貼付領域
32:弱貼付領域
33:易破断部
図1
図2
図3
図4
図5
図6