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特開2024-104951位置検出スイッチ、アクチュエータおよび位置検出方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104951
(43)【公開日】2024-08-06
(54)【発明の名称】位置検出スイッチ、アクチュエータおよび位置検出方法
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/16 20060101AFI20240730BHJP
   G01B 7/00 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
G01D5/16 V
G01D5/16 S
G01B7/00 101M
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023009409
(22)【出願日】2023-01-25
(71)【出願人】
【識別番号】000102511
【氏名又は名称】SMC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003683
【氏名又は名称】弁理士法人桐朋
(72)【発明者】
【氏名】神田 侑典
【テーマコード(参考)】
2F063
2F077
【Fターム(参考)】
2F063AA02
2F063AA12
2F063BA22
2F063DA02
2F063DA05
2F063GA52
2F077AA11
2F077CC02
2F077JJ03
2F077JJ08
2F077JJ09
2F077JJ23
2F077WW08
(57)【要約】
【解決手段】所定方向に移動可能な移動体86に取り付けられた磁石88に基づいて前記移動体の位置を検出する位置検出スイッチ10は、前記磁石の磁気を検出して、前記磁気に応じた検出値Dを出力する磁気センサ102と、前記検出値が、所定範囲R内にあるか否かを判定する判定部172と、オペレータによって指定された前記移動体の位置Xoである指定位置における前記検出値を中心として前記所定範囲を設定する設定部176と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定方向に移動可能な移動体に取り付けられた磁石に基づいて前記移動体の位置を検出する位置検出スイッチであって、
前記磁石の磁気を検出して、前記磁気に応じた検出値を出力する磁気センサと、
前記検出値が、所定範囲内にあるか否かを判定する判定部と、
オペレータによって指定された前記移動体の位置である指定位置における前記検出値を中心として前記所定範囲を設定する設定部と、
を備える、位置検出スイッチ。
【請求項2】
請求項1に記載の位置検出スイッチであって、
前記オペレータからの指定信号を取得する信号取得部をさらに備え、
前記設定部は、前記指定信号が取得されたタイミングにおける前記移動体の位置を前記指定位置とする、位置検出スイッチ。
【請求項3】
請求項2に記載の位置検出スイッチであって、
前記信号取得部は、外部機器から前記指定信号を取得する、位置検出スイッチ。
【請求項4】
請求項3に記載の位置検出スイッチであって、
前記判定部の判定結果を示す出力信号を外部に出力する出力端子をさらに備え、
前記出力端子には、前記指定信号が入力する、位置検出スイッチ。
【請求項5】
請求項1~3のいずれか1項に記載の位置検出スイッチであって、
前記設定部は、前記指定位置における前記検出値との差が所定値以内である前記検出値の範囲を前記所定範囲として設定する、位置検出スイッチ。
【請求項6】
請求項5に記載の位置検出スイッチであって、
前記設定部は、前記オペレータによって指定された指定値を前記所定値に設定する、位置検出スイッチ。
【請求項7】
請求項6に記載の位置検出スイッチであって、
前記設定部は、外部機器から前記指定値を取得する、位置検出スイッチ。
【請求項8】
請求項7に記載の位置検出スイッチであって、
前記判定部の判定結果を示す出力信号を外部に出力する出力端子をさらに備え、
前記出力端子には、前記指定値を示す指定値入力信号が入力する、位置検出スイッチ。
【請求項9】
請求項1に記載の位置検出スイッチであって、
前記判定部の判定結果を示す出力信号を外部に出力する出力端子をさらに備える、位置検出スイッチ。
【請求項10】
請求項9に記載の位置検出スイッチであって、
前記出力端子は、複数設けられている、位置検出スイッチ。
【請求項11】
請求項4、9および10のいずれか1項に記載の位置検出スイッチであって、
前記磁気センサにより出力される前記検出値に基づいて、前記移動体の位置を示す位置データを算出する位置算出部をさらに備え、
前記出力端子は、前記位置データを示す検出信号を外部に出力する、位置検出スイッチ。
【請求項12】
請求項1~4のいずれか1項に記載の位置検出スイッチであって、
前記設定部は、前記所定範囲を複数設定し、
前記判定部は、前記検出値が、複数の前記所定範囲のいずれか1つの範囲内にあるか否かを判定する、位置検出スイッチ。
【請求項13】
請求項1~4のいずれか1項に記載の位置検出スイッチであって、
前記判定部の判定結果を前記オペレータに報知する報知装置をさらに備える、位置検出スイッチ。
【請求項14】
請求項1~4のいずれか1項に記載の位置検出スイッチであって、
前記磁気センサにより出力される前記検出値に基づいて、前記移動体の位置を示す位置データを算出する位置算出部をさらに備え、
前記位置データが、前記指定位置を中心とした所定区間に前記移動体の位置があることを示す場合、前記判定部は、前記検出値が前記所定範囲内にあると判定し、
前記設定部は、前記所定区間を前記所定範囲として設定する、位置検出スイッチ。
【請求項15】
請求項1~4のいずれか1項に記載の位置検出スイッチと、
前記移動体と、
前記移動体を内部に収容する収容部と、
を備え、
前記収容部の外表面に前記位置検出スイッチが取り付けられた、アクチュエータ。
【請求項16】
所定方向に移動可能な移動体に取り付けられた磁石に基づいて前記移動体の位置を検出する位置検出方法であって、
磁気センサにより前記磁石の磁気を検出する検出ステップと、
前記磁気に応じて検出された検出値が、所定範囲内にあるか否かを判定する判定ステップと、
オペレータによって指定された前記移動体の位置である指定位置における前記検出値を中心として前記所定範囲を設定する設定ステップと、
を備える、位置検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置検出スイッチ、アクチュエータおよび位置検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ホールICを有する位置検出装置が開示されている。ホールICは、磁石の位置を検出するセンサである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-104876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ホールICを設置する設計上の位置と、ホールICが実際に設置された位置とにズレが生じる場合、磁石の位置検出の精度が低下する。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様は、所定方向に移動可能な移動体に取り付けられた磁石に基づいて前記移動体の位置を検出する位置検出スイッチであって、前記磁石の磁気を検出して、前記磁気に応じた検出値を出力する磁気センサと、前記検出値が、所定範囲内にあるか否かを判定する判定部と、オペレータによって指定された前記移動体の位置である指定位置における前記検出値を中心として前記所定範囲を設定する設定部と、を備える。
【0007】
本発明の第2の態様は、アクチュエータであって、第1の態様による位置検出スイッチと、前記移動体と、前記移動体を内部に収容する収容部と、を備え、前記収容部の外表面に前記位置検出スイッチが取り付けられている。
【0008】
本発明の第3の態様は、所定方向に移動可能な移動体に取り付けられた磁石に基づいて前記移動体の位置を検出する位置検出方法であって、磁気センサにより前記磁石の磁気を検出する検出ステップと、前記磁気に応じて検出された検出値が、所定範囲内にあるか否かを判定する判定ステップと、オペレータによって指定された前記移動体の位置である指定位置における前記検出値を中心として前記所定範囲を設定する設定ステップと、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、磁気センサの取り付け精度に起因する位置検出精度の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、一実施の形態による位置検出スイッチを有するアクチュエータを例示する図である。
図2図2は、位置検出スイッチの構成を模式的に示す図である。
図3図3は、位置検出スイッチの制御装置の構成を模式的に示すブロック図である。
図4図4は、位置検出スイッチの検出値を例示する図である。
図5図5Aおよび図5Bは、位置検出スイッチと外部機器との接続例を示す図である。
図6図6Aは、位置検出スイッチの制御装置が行う範囲設定の処理手順を示すフローチャートである。図6Bは、位置検出スイッチの制御装置が行う位置検出の処理手順を示すフローチャートである。
図7図7は、変形例1による位置検出スイッチの制御装置の構成を模式的に示す図である。
図8図8は、移動体の位置データを例示する図である。
図9図9Aは、位置検出スイッチの制御装置が行う範囲設定の処理手順を示すフローチャートである。図9Bは、位置検出スイッチの制御装置が行う位置検出の処理手順を示すフローチャートである。
図10図10は、変形例2による位置検出スイッチで算出される移動体の位置データを例示する図である。
図11図11は、変形例3による位置検出スイッチで設定される所定区間に対応する応差を例示する図である。
図12図12Aは、変形例4による位置検出スイッチの制御装置が行う所定値の設定処理手順を示すフローチャートである。図12Bは、位置検出スイッチの制御装置が行う範囲設定の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、一実施の形態による位置検出スイッチ10を有するアクチュエータ20を例示する図である。位置検出スイッチ10は、アクチュエータ20の内部で所定方向に移動可能な移動体(後述)の位置を検出する。本実施の形態において、アクチュエータ20は、不図示のワークを把持するグリッパであるが、エアシリンダ等の、移動体を内蔵する他の装置であってもよい。
【0012】
アクチュエータ20は、一対のフィンガー22と、フィンガー支持部24と、収容部26とを有する。一対のフィンガー22のうち一方をフィンガー22Aと呼び、他方をフィンガー22Bと呼ぶ場合がある。フィンガー22Aとフィンガー22Bとが、互いに近接する閉方向に移動することにより、ワークが一対のフィンガー22に把持される。フィンガー22Aとフィンガー22Bとが、互いに離間する開方向に移動することにより、ワークが一対のフィンガー22から解放される。
【0013】
フィンガー支持部24は、一対のフィンガー22を開閉可能に支持する。フィンガー支持部24は、収容部26に取り付けられる。収容部26の外表面に溝40が形成される。位置検出スイッチ10の本体60が、その溝40に挿入されるようにして、取り付けられる。
【0014】
位置検出スイッチ10は、上述した本体60と、外部接続用のコネクタ62と、ケーブル64とを有する。ケーブル64は、本体60とコネクタ62とを接続する。本体60には、報知装置70が設けられる。報知装置70は、例えばLEDランプである。
【0015】
収容部26は、移動体86と、磁石88とを収容する。移動体86は、一対のフィンガー22の開閉方向と直交する所定方向(移動方向)Mに沿って移動することができる。この移動体86は、例えば、空気圧制御によって移動する。
【0016】
磁石88は、移動体86に取り付けられる。したがって、移動体86が移動すると、磁石88もまた、移動体86とともに移動方向Mに移動する。磁石88の磁気を、上述した位置検出スイッチ10が検出することにより、磁石88の位置を検出することができる。磁石88の位置から移動体86の位置を求められるため、以下においては、磁石88の位置を移動体86の位置とも呼ぶ。
【0017】
移動体86の移動によって、一対のフィンガー22が開閉する。一対のフィンガー22は、移動体86が一対のフィンガー22に最も近づいた状態において、最も開いた状態になる。一対のフィンガー22は、移動体86が一対のフィンガー22から最も離れた状態において、最も閉じた状態になる。
【0018】
図2は、位置検出スイッチ10の構成を模式的に示す図である。位置検出スイッチ10の本体60は、上述したように、収容部26の外表面に取り付けられる。位置検出スイッチ10の本体60は、上述した報知装置70に加え、制御装置100と、磁気センサ102と、通信モジュール104とを、さらに有する。
【0019】
磁気センサ102は、例えば、磁気抵抗効果に応じて変化する電気抵抗に基づいて磁気を検出するMRセンサまたはTMRセンサである。磁気センサ102は、ホール効果に応じて生じる電圧に基づいて磁気を検出するホールセンサであってもよい。磁気センサ102は、移動体86とともに移動方向Mに移動する磁石88の磁気を検出して、磁気に応じた検出値Dを出力する。磁気センサ102が出力する検出値Dは、移動体86の位置に応じて変化する。
【0020】
一対のフィンガー22が最も開いた場合の、上述した移動方向Mにおける位置を、位置Xoとする。一対のフィンガー22が最も閉じた場合の、上述した移動方向Mにおける位置を、位置Xcとする。磁気センサ102の移動方向Mにおける位置Xsは、上述した位置Xoおよび位置Xcのいずれの位置にも依存しなくてよい。磁気センサ102が磁石88の磁気を検出可能な限り、位置Xsはいずれの位置にあってもよい。したがって、磁気センサ102の取り付け精度に留意する必要がない。
【0021】
制御装置100は、2種類のモードで動作する。2種類のモードは、移動体86の位置を検出する検出モードと、検出モードの前の設定モードである。検出モードの制御装置100は、磁気センサ102が出力する検出値Dが所定範囲R内にあるか否かを判定する。本実施の形態において、その判定に用いられる所定範囲Rとして、第1所定範囲Roと、第2所定範囲Rcとが設定される。第1所定範囲Roは、一対のフィンガー22が最も開いた状態に対応する。すなわち、磁気センサ102の検出値Dが第1所定範囲Roにある場合、磁石88が位置Xoにあると推定できる。
【0022】
第2所定範囲Rcは、一対のフィンガー22が最も閉じた状態に対応する。すなわち、磁気センサ102の検出値Dが第2所定範囲Rcにある場合、磁石88が位置Xcにあると推定できる。なお、本実施の形態における所定範囲Rの数は2つであるが、所定範囲Rの数は1つであってもよいし、3つ以上あってもよい。複数の所定範囲Rが設定可能であるため、1つの磁気センサ102で複数の位置を検出することができる。
【0023】
制御装置100は、その判定結果を、通信モジュール104、ケーブル64、およびコネクタ62を介して、外部機器110に出力する。判定結果が出力される外部機器110は、例えばPLC(Programmable Logic Controller)110Aである。
【0024】
コネクタ62は、1つまたは複数の出力端子を有する。本実施の形態においては、所定範囲Rの数が2個であるため、図2に示すように、コネクタ62は2つの出力端子120および出力端子122を有する。出力端子120および出力端子122は、制御装置100による判定結果を出力する。例えば、磁気センサ102の検出値Dが第1所定範囲Ro内にあると判定された場合は、出力端子120は、その判定結果を示す出力信号をPLC110Aに出力する。
【0025】
磁気センサ102の検出値Dが第2所定範囲Rc内にあると判定された場合は、出力端子122は、その判定結果を示す出力信号をPLC110Aに出力する。このように、判定に用いられる1つの所定範囲Rが1つの出力端子に対応する。コネクタ62が有する出力端子の数を増やすことにより、所定範囲Rの数を増やすことができる。そのため、利便性が高い。
【0026】
図2には、出力端子120からの出力信号が出力されるPLC110Aと、出力端子122からの出力信号が出力されるPLC110Aとが、別々の装置のように示されている。しかし、出力端子120および出力端子122からの出力信号は、不図示の集線装置を介して、同一のPLC110Aに出力され得る。
【0027】
上述した所定範囲Rは、移動体86の位置検出が行われる前に、以下のようにして設定される。まず、オペレータが、所定範囲Rを設定するために用いる外部機器110を、出力端子120に接続する。ここで、出力端子120に接続される外部機器110は、所定範囲Rの設定用の設定器110Bである。
【0028】
位置検出スイッチ10の制御装置100は、磁気センサ102の検出値Dを示す検出信号を、出力端子120を介して設定器110Bに出力する。検出値Dは、磁石88の移動に応じて変化する。設定器110Bの不図示の演算回路は、移動体86の位置を示す位置データを、制御装置100から出力された検出信号が示す検出値Dに基づいて算出する。
【0029】
オペレータは、算出された位置データを参照し、設定器110Bを操作することにより、移動体86の特定の位置を指定する。具体的には、オペレータは、算出された位置データを参照しながら、移動体86の位置が特定の位置になったときに設定器110Bの押しボタン(後述)を押す。移動体86の特定の位置は、本実施の形態において、移動体86の位置Xoまたは位置Xcとする。押しボタンが押されると、設定器110Bは指定信号を出力する。その指定信号は、出力端子120に入力する。すなわち、指定信号用の入力端子を別途設ける必要がない。そのため、コネクタ62の小型化を実現することができる。
【0030】
設定モードの制御装置100は、出力端子120に入力した指定信号を、ケーブル64および通信モジュール104を介して取得する。制御装置100は、指定位置毎に所定範囲Rを設定する。指定位置は、制御装置100が指定信号を取得したタイミングにおける移動体86の位置Xである。本実施の形態における指定位置は、移動体86の位置Xoまたは位置Xcである。したがって、位置Xoに対して第1所定範囲Roが設定され、位置Xcに対して第2所定範囲Rcが設定される。所定範囲Rの具体的な設定例については、図4を用いて後述する。
【0031】
位置検出スイッチ10の制御装置100と通信モジュール104との間を、出力線130と、通信線132とが接続する。PLC110Aに出力される上述した出力信号は、出力線130を介して制御装置100から通信モジュール104へ転送される。さらにケーブル64を介してコネクタ62に転送された出力信号は、上述したように、出力端子120または122からPLC110Aへ出力される。
【0032】
設定器110Bに出力される上述した検出信号は、通信線132を介して制御装置100から通信モジュール104へ転送される。さらにケーブル64を介してコネクタ62に転送された検出信号は、上述したように、出力端子120から設定器110Bへ出力される。また、設定器110Bから出力される上述した指定信号は、出力端子120に入力する。さらにコネクタ62からケーブル64を介して通信モジュール104へ転送された指定信号は、通信線132を介して制御装置100により取得される。
【0033】
図3は、位置検出スイッチ10の制御装置100の構成を模式的に示すブロック図である。制御装置100は、処理回路150と、記憶装置152とを有する。処理回路150は、CPUまたはGPU等のプロセッサを含む。記憶装置152は、RAM等の揮発性メモリと、ROMまたはフラッシュメモリ等の不揮発性メモリとを含む。揮発性メモリは、プロセッサのワーキングメモリとして用いられる。不揮発性メモリは、プロセッサが実行するプログラムと、その他必要なデータとを記憶する。
【0034】
処理回路150は、検出値取得部170と、判定部172と、信号取得部174と、設定部176と、報知部178と、出力部180とを有する。処理回路150が記憶装置152に保存されたプログラムを実行することにより、検出値取得部170と、判定部172と、信号取得部174と、設定部176と、報知部178と、出力部180とが実現される。検出値取得部170と、判定部172と、信号取得部174と、設定部176と、報知部178と、出力部180とのうちの少なくとも一部は、ASICまたはFPGA等の集積回路、或いはディスクリートデバイスを含む電子回路によって実現されてもよい。
【0035】
検出値取得部170は、磁気センサ102の検出値Dを磁気センサ102から取得する。外部機器110として設定器110Bがコネクタ62に接続されている場合、検出値取得部170は、検出値Dを示す検出信号を、設定器110Bに出力することができる。
【0036】
判定部172は、磁気センサ102が出力する検出値Dが所定範囲R内にあるか否かを判定する。報知部178は、判定部172による判定結果を、報知装置70に報知させる。報知装置70がLEDランプの場合、検出値Dが所定範囲R内にあると判定されると、LEDランプが点灯状態となる。検出値Dが所定範囲R内にないと判定されると、LEDランプが消灯状態となる。
【0037】
出力部180は、判定部172による判定結果を示す出力信号を、外部機器110(PLC110A)に出力する。検出値Dが所定範囲R内にあると判定されると、その旨が外部機器110によりオペレータへ通知される。
【0038】
信号取得部174は、オペレータからの指定信号を、外部機器110(設定器110B)から取得する。設定部176は、指定信号が取得されたタイミングでの指定位置における検出値Dを用いて、所定範囲Rを設定する。
【0039】
図4は、位置検出スイッチ10の検出値Dを例示する図である。図4に示す例において、移動体86が位置Xoにある場合、検出値Dの値はDoである。上述した指定位置として、移動体86の位置Xoがオペレータにより指定されたとする。その場合、制御装置100の設定部176は、その指定位置における検出値D=Doを中心として所定範囲R(第1所定範囲Ro)を設定する。オペレータが指定位置を1つ指定すれば、所定範囲Rが設定される。そのため、所定範囲Rの設定が簡便である。
【0040】
具体的には、指定位置である位置Xoにおける検出値Dとの差の大きさが所定値V以内である検出値Dの範囲が、第1所定範囲Roとして設定される。第1所定範囲Roの下限値および上限値は、それぞれ検出値D=Do-Vおよび検出値D=Do+Vである。検出値D=Do-Vおよび検出値D=Do+Vにそれぞれ対応する移動体86の位置は、Xo-P1およびXo+P2である。したがって、移動体86の位置がXo-P1以上Xo+P2以下の範囲内にある場合、検出値Dが第1所定範囲Ro内にあると判定される。
【0041】
図4に示す例において、移動体86が位置Xcにある場合、検出値Dの値はDcである。上述した指定位置として、移動体86の位置Xcがオペレータにより指定されたとする。その場合、制御装置100の設定部176は、その指定位置における検出値D=Dcを中心として所定範囲R(第2所定範囲Rc)を設定する。
【0042】
具体的には、指定位置である位置Xcにおける検出値Dとの差の大きさが所定値V以内である検出値Dの範囲が、第2所定範囲Rcとして設定される。第2所定範囲Rcの下限値および上限値は、それぞれ検出値D=Dc-Vおよび検出値D=Dc+Vである。検出値D=Dc-Vおよび検出値D=Dc+Vにそれぞれ対応する移動体86の位置は、Xc-P3およびXc+P4である。したがって、移動体86の位置がXc-P3以上Xc+P4以下の範囲内にある場合、検出値Dが第2所定範囲Rc内にあると判定される。
【0043】
図5Aおよび図5Bは、位置検出スイッチ10と外部機器110との接続例を示す図である。図5Aおよび図5Bにおいて、外部機器110は、所定範囲Rの設定用の設定器110Bである。所定範囲Rの設定は、移動体86の位置検出が行われる前に予め行われる。設定器110Bは、上述した不図示の演算回路に加え、表示部200、および押しボタン202をさらに有する。設定器110Bは、上述したように出力端子120に接続される。
【0044】
設定器110Bの表示部200は、移動体86の移動に応じて、設定器110Bの演算回路により算出された位置データを表示する。オペレータは、設定器110Bの表示部200に表示された位置データを参照し、特定の位置で設定器110Bの押しボタン202を押す。押しボタン202が押されると、設定器110Bは上述した指定信号を出力する。
【0045】
図5Aは、移動体86が、一対のフィンガー22が最も開いた場合の上述した位置Xoにある状態を示している。移動体86が上述した位置Xoにある場合、設定器110Bの演算回路の算出により得られた位置データQoが、移動体86の位置として表示部200に表示されている。すなわち、位置データQoは、移動体86が上述した位置Xoにあることを示す。位置データQoが表示された場合、オペレータは設定器110Bの押しボタン202を押す。オペレータが押しボタン202を押すことにより、上述した指定信号が出力される。
【0046】
位置検出スイッチ10の制御装置100の信号取得部174が指定信号を取得する。設定部176は、指定信号が取得されたタイミングにおける移動体86の位置Xoを指定位置として、第1所定範囲Roを設定する。
【0047】
図5Bは、移動体86が、一対のフィンガー22が最も閉じた場合の上述した位置Xcにある状態を示している。移動体86が上述した位置Xcにある場合、設定器110Bの演算回路の算出により得られた位置データQcが、移動体86の位置として表示部200に表示されている。すなわち、位置データQcは、移動体86が上述した位置Xcにあることを示す。位置データQcが表示された場合、オペレータは設定器110Bの押しボタン202を押す。オペレータが押しボタン202を押すことにより、上述した指定信号が出力される。
【0048】
位置検出スイッチ10の制御装置100の信号取得部174が指定信号を取得する。設定部176は、指定信号が取得されたタイミングにおける移動体86の位置Xcを指定位置として、第2所定範囲Rcを設定する。
【0049】
図6Aは、位置検出スイッチ10の制御装置100が行う範囲設定の処理手順を示すフローチャートである。本処理手順は、例えば制御装置100が有する処理回路150により、移動体86の位置検出の前の設定モードで、周期的に行われる。本処理手順が開始されると、ステップS1で、検出値取得部170は、磁気センサ102の検出値Dを磁気センサ102から取得する。なお、本処理手順の実行中に、移動体86は移動方向Mに移動している。ステップS2で、検出値取得部170は、検出値Dを示す検出信号を、外部機器110(設定器110B)に出力する。
【0050】
ステップS3で、信号取得部174は、オペレータからの指定信号を、外部機器110(設定器110B)から取得したか否かを判定する。ステップS3でYESとなった場合、本処理手順はステップS4へ進む。ステップS3でNOとなった場合、本処理手順は終了する。ステップS4で、設定部176は、ステップS1で取得された検出値Dを用いて、所定範囲Rを設定する。ステップS4の処理が完了すると、本処理手順は終了する。
【0051】
図6Bは、位置検出スイッチ10の制御装置100が行う位置検出の処理手順を示すフローチャートである。本処理手順は、例えば制御装置100が有する処理回路150により、検出モードで、周期的に行われる。本処理手順が開始されると、ステップS31で、検出値取得部170は、磁気センサ102の検出値Dを磁気センサ102から取得する。
【0052】
ステップS32で、判定部172は、ステップS31で取得された検出値Dが、一対のフィンガー22が最も開いた状態に対応する第1所定範囲Ro内にあるか否かを判定する。ステップS33で、判定部172は、ステップS32で行われた判定結果に基づき、一対のフィンガー22が最も開いた位置Xoに移動体86があるか否かを判定する。
【0053】
ステップS32で検出値Dが第1所定範囲Ro内にあると判定された場合、ステップS33で移動体86が位置Xoにあると判定される。ステップS32で検出値Dが第1所定範囲Ro内にないと判定された場合、ステップS33で移動体86が位置Xoにないと判定される。ステップS33でYESとなった場合、本処理手順はステップS36へ進む。ステップS33でNOとなった場合、本処理手順はステップS34へ進む。
【0054】
ステップS34で、判定部172は、ステップS31で取得された検出値Dが、一対のフィンガー22が最も閉じた状態に対応する第2所定範囲Rc内にあるか否かを判定する。ステップS35で、判定部172は、ステップS34で行われた判定結果に基づき、一対のフィンガー22が最も閉じた位置Xcに移動体86があるか否かを判定する。
【0055】
ステップS34で検出値Dが第2所定範囲Rc内にあると判定された場合、ステップS35で移動体86が位置Xcにあると判定される。ステップS34で検出値Dが第2所定範囲Rc内にないと判定された場合、ステップS35で移動体86が位置Xcにないと判定される。ステップS35でYESとなった場合、本処理手順はステップS36へ進む。ステップS35でNOとなった場合、本処理手順はステップS37へ進む。
【0056】
ステップS36で、報知部178は、判定部172による判定結果を、報知装置70に報知させる。判定結果として、ステップS33で移動体86が位置Xoにあると判定されたこと、またはステップS35で移動体86が位置Xcにあると判定されたことが、報知される。
【0057】
ステップS37で、出力部180は、判定部172による判定結果を示す出力信号を、外部機器110(PLC110A)に出力する。ステップS37の処理が完了すると、本処理手順は終了する。
【0058】
[変形例]
上記実施の形態は、以下のように変形されてもよい。
【0059】
(変形例1)
上述した実施の形態において、所定範囲Rの設定のため、制御装置100の検出値取得部170は、磁気センサ102の検出値Dを示す検出信号を設定器110Bに出力する。しかし、移動体86の位置データQを示す検出信号が出力されてもよい。
【0060】
図7は、変形例1による位置検出スイッチ10の制御装置100の構成を模式的に示す図である。図7に示す制御装置100の処理回路150は、位置算出部220をさらに有する点で、図3に示す制御装置100の処理回路150と相違する。以下において、図3に示す制御装置100の処理回路150と重複する説明は省略する。
【0061】
位置算出部220は、移動体86の位置を示す位置データQを、検出値取得部170により取得された検出値Dに基づいて算出する。検出値取得部170が検出値Dを示す検出信号を出力するのではなく、位置算出部220が算出した位置データQを示す検出信号を設定器110Bに出力する。その場合、設定器110Bの演算回路は、位置データQを、表示部200に表示させる。
【0062】
図8は、移動体86の位置データQを例示する図である。図8に示す例において、移動体86が位置Xoにある場合、位置データQの値はQoである。上述した指定位置として、移動体86の位置Xoがオペレータにより指定されたとする。その場合、制御装置100の設定部176は、その指定位置における位置データQ=Qoを中心として所定区間S(第1所定区間So)を設定する。オペレータが指定位置を1つ指定すれば、所定区間Sが設定される。そのため、所定区間Sの設定が簡便である。
【0063】
具体的には、指定位置である位置Xoにおける位置データQとの差の大きさが所定値U以内である位置データQの範囲が、第1所定区間Soとして設定される。第1所定区間Soの下限値および上限値は、それぞれ位置データQ=Qo-Uおよび位置データQ=Qo+Uである。位置データQ=Qo-Uおよび位置データQ=Qo+Uにそれぞれ対応する移動体86の位置は、Xo-P11およびXo+P12である。したがって、移動体86の位置がXo-P11以上Xo+P12以下の範囲内にある場合、位置データQが第1所定区間So内にあると判定される。
【0064】
図8に示す例において、移動体86が位置Xcにある場合、位置データQの値はQcである。上述した指定位置として、移動体86の位置Xcがオペレータにより指定されたとする。その場合、制御装置100の設定部176は、その指定位置における位置データQ=Qcを中心として所定区間S(第2所定区間Sc)を設定する。
【0065】
具体的には、指定位置である位置Xcにおける位置データQとの差の大きさが所定値U以内である位置データQの範囲が、第2所定区間Scとして設定される。第2所定区間Scの下限値および上限値は、それぞれ位置データQ=Qc-Uおよび位置データQ=Qc+Uである。位置データQ=Qc-Uおよび位置データQ=Qc+Uにそれぞれ対応する移動体86の位置は、Xc-P13およびXc+P14である。したがって、移動体86の位置がXc-P13以上Xc+P14以下の範囲内にある場合、位置データQが第2所定区間Sc内にあると判定される。
【0066】
図9Aは、位置検出スイッチ10の制御装置100が行う範囲設定の処理手順を示すフローチャートである。本処理手順は、例えば制御装置100が有する処理回路150により、移動体86の位置検出の前の設定モードで、周期的に行われる。なお、本処理手順の実行中に、移動体86は移動方向Mに移動している。図9Aに示す本処理手順のステップのうち、図6Aに示す処理手順のステップに付与された符号と一致する符号が付されたステップにおける処理の説明は、省略する。
【0067】
ステップS1の処理が完了すると、ステップS41で、位置算出部220は、移動体86の位置を示す位置データQを、ステップS1で取得された検出値Dに基づいて算出する。ステップS41の処理が完了すると、本処理手順はステップS2へ進む。
【0068】
ステップS3でYESとなった場合、ステップS42で、設定部176は、ステップS41で算出された位置データQを用いて、所定区間Sを設定する。この所定区間Sの設定は、上述した実施の形態において、設定部176が検出値Dを用いて所定範囲Rを設定したことに相当する。ステップS42の処理が完了すると、本処理手順は終了する。
【0069】
図9Bは、位置検出スイッチ10の制御装置100が行う位置検出の処理手順を示すフローチャートである。本処理手順は、例えば制御装置100が有する処理回路150により、検出モードで、周期的に行われる。本処理手順が開始されると、ステップS31で、検出値取得部170は、磁気センサ102の検出値Dを磁気センサ102から取得する。ステップS51で、位置算出部220は、移動体86の位置を示す位置データQを、ステップS31で取得された検出値Dに基づいて算出する。
【0070】
ステップS52で、判定部172は、ステップS51で算出された位置データQが、一対のフィンガー22が最も開いた状態に対応する第1所定区間So内にあるか否かを判定する。ステップS52で位置データQが第1所定区間So内にあると判定されることは、上述した実施の形態において、検出値Dが第1所定範囲Ro内にあると、判定部172が判定することに相当する。
【0071】
ステップS53で、判定部172は、ステップS52で行われた判定結果に基づき、一対のフィンガー22が最も開いた位置Xoに移動体86があるか否かを判定する。ステップS52で位置データQが第1所定区間So内にあると判定された場合、ステップS53で移動体86が位置Xoにあると判定される。ステップS52で位置データQが第1所定区間So内にないと判定された場合、ステップS53で移動体86が位置Xoにないと判定される。
【0072】
ステップS53でYESとなった場合、本処理手順はステップS56へ進む。ステップS53でNOとなった場合、本処理手順はステップS54へ進む。
【0073】
ステップS54で、判定部172は、ステップS51で取得された位置データQが、一対のフィンガー22が最も閉じた状態に対応する第2所定区間Sc内にあるか否かを判定する。ステップS54で位置データQが第2所定区間Sc内にあると判定されることは、上述した実施の形態において、検出値Dが第2所定範囲Rc内にあると、判定部172が判定することに相当する。
【0074】
ステップS55で、判定部172は、ステップS54で行われた判定結果に基づき、一対のフィンガー22が最も閉じた位置Xcに移動体86があるか否かを判定する。ステップS54で位置データQが第2所定区間Sc内にあると判定された場合、ステップS55で移動体86が位置Xcにあると判定される。ステップS54で位置データQが第2所定区間Sc内にないと判定された場合、ステップS55で移動体86が位置Xcにないと判定される。
【0075】
ステップS54で位置データQが第2所定区間Sc内にあると判定された場合、ステップS55で移動体86が位置Xcにあると判定される。ステップS54で位置データQが第2所定区間Sc内にないと判定された場合、ステップS55で移動体86が位置Xcにないと判定される。ステップS55でYESとなった場合、本処理手順はステップS56へ進む。ステップS55でNOとなった場合、本処理手順はステップS57へ進む。
【0076】
ステップS56で、報知部178は、判定部172による判定結果を、報知装置70に報知させる。判定結果として、ステップS53で移動体86が位置Xoにあると判定されたこと、またはステップS55で移動体86が位置Xcにあると判定されたことが、報知される。
【0077】
ステップS57で、出力部180は、判定部172による判定結果を示す出力信号を、外部機器110(PLC110A)に出力する。ステップS57の処理が完了すると、本処理手順は終了する。
【0078】
(変形例2)
上述した変形例1において、オペレータは複数の指定位置を指定する。しかし、オペレータは1つの指定位置を指定してもよい。図10は、変形例2による位置検出スイッチ10で算出される移動体86の位置データQを例示する図である。図10に示す例において、移動体86が位置Xaにある場合、位置データQの値はQaである。上述した指定位置として、移動体86の位置Xaがオペレータにより指定されたとする。その場合、制御装置100の設定部176は、その指定位置における位置データQ=Qaを中心として所定区間Sを設定する。
【0079】
具体的には、指定位置である位置Xaにおける位置データQとの差の大きさが所定値U以内である位置データQの範囲が、所定区間Sとして設定される。所定区間Sの下限値および上限値は、それぞれ位置データQ=Qa-Uおよび位置データQ=Qa+Uである。位置データQ=Qa-Uおよび位置データQ=Qa+Uにそれぞれ対応する移動体86の位置は、Xa-P21およびXa+P22である。したがって、移動体86の位置がXa-P21以上Xo+P22以下の範囲内にある場合、位置データQが所定区間S内にあると判定される。
【0080】
本変形例によると、オペレータが、移動体86が移動可能な位置の中から指定位置を1つ指定すれば、所定区間Sが設定される。指定位置がいずれの位置であるかに関わらず、磁気センサ102を任意の位置に取り付けることができる。したがって、磁気センサ102の取り付け精度が必要とされない。磁気センサ102の取り付け位置に関わらず、移動体86が移動可能な任意の位置を指定位置として指定することができる。
【0081】
(変形例3)
上述した変形例1および2において、所定区間Sの下限値および上限値は、それぞれ指定位置における位置データQとの差の大きさが所定値Uになる値である。しかし、所定区間Sの下限値および上限値のそれぞれに応差が設定されてもよい。本変形例においては、変形例2の図10に示す所定区間Sに対して応差が設定される例を説明する。
【0082】
図11は、変形例3による位置検出スイッチ10で設定される所定区間Sに対応する応差Shを例示する図である。ここで、制御装置100の判定部172が、磁気センサ102が出力する検出値Dが所定区間S内にあると判定した場合、判定結果がオンであると呼ぶ。判定部172が、磁気センサ102が出力する検出値Dが所定区間S外にあると判定した場合、判定結果がオフであると呼ぶ。
【0083】
位置データQが所定区間S外の値から所定区間S内の値に変化する場合、判定結果がオフからオンに変化する。その場合、所定区間Sの下限値および上限値は、変形例2と同様に、それぞれ位置データQ=Qa-Uおよび位置データQ=Qa+Uである。
【0084】
判定結果がオンからオフに変化する場合の所定区間Stは、所定区間Sに対して応差Shが設定されることにより得られる。位置データQが所定区間St内の値から所定区間St外の値に変化する場合、判定結果がオフからオンに変化する。その場合、所定区間Stの下限値および上限値は、それぞれ位置データQ=Qa-U-Shおよび位置データQ=Qa+U+Shである。
【0085】
所定区間Stの下限値は、所定区間Sの下限値よりも応差Shの分だけ低い。所定区間Stの上限値は、所定区間Sの上限値よりも応差Shの分だけ高い。本変形例によると、判定結果がオンとオフとを繰り返す不安定な状態が発生することを防止することができる。
【0086】
(変形例4)
上述した変形例1において、制御装置100の設定部176は、指定位置における位置データQと、所定値Uとに基づいて所定区間Sを設定する。その所定値Uは、オペレータにより指定されてもよい。本変形例において、オペレータは、外部機器110である設定器110B(図5A参照)を操作して、所定値Uとして設定される指定値を入力する。入力された指定値を示す指定値入力信号が、設定器110Bからコネクタ62の出力端子120に入力する。
【0087】
出力端子120に入力した指定値入力信号は、コネクタ62からケーブル64を介して通信モジュール104へ転送される。さらに、指定値入力信号は、通信線132を介して制御装置100の信号取得部174(図3および図7参照)により取得される。こうして、信号取得部174は、オペレータによって指定された指定値を、外部機器110(設定器110B)から取得する。信号取得部174は、取得した指定値を、記憶装置152に保存する。
【0088】
制御装置100の設定部176は、記憶装置152に保存された指定値を、所定値Uに設定する。設定部176は、指定位置における位置データQと、記憶装置152に保存された所定値Uとに基づいて所定区間Sを設定する。
【0089】
図12Aは、変形例4による位置検出スイッチ10の制御装置100が行う所定値Uの設定処理手順を示すフローチャートである。本処理手順は、例えば制御装置100が有する処理回路150により、後述する図12Bに示す範囲設定の処理手順の前に行われる。
【0090】
本処理手順が開始されると、ステップS61で、信号取得部174は、外部機器110から指定値入力信号を取得し、オペレータによって指定された指定値を取得する。ステップS62で、信号取得部174は、ステップS61で取得された指定値を、記憶装置152に保存する。ステップS62の処理が完了すると、本処理手順は終了する。
【0091】
図12Bは、位置検出スイッチ10の制御装置100が行う範囲設定の処理手順を示すフローチャートである。本処理手順は、例えば制御装置100が有する処理回路150により、移動体86の位置検出の前の設定モードで、周期的に行われる。図12Bに示す本処理手順のステップのうち、図6Aまたは図9Aに示す処理手順のステップに付与された符号と一致する符号が付されたステップにおける処理の説明は、省略する。
【0092】
ステップS3でYESとなった場合、ステップS71で、設定部176は、信号取得部174により記憶装置152に保存された指定値を、所定値Uに設定する。ステップS71の処理が完了すると、本処理手順はステップS42へ進む。
【0093】
本変形例によると、オペレータが、アクチュエータ20の用途に応じて所定値Uを設定可能となり、適切な精度で移動体86の位置を検出することができる。
【0094】
(変形例5)
上述した実施の形態および各変形例は、組み合わされてもよい。
【0095】
[実施の形態から得られる発明]
上記実施の形態から把握しうる発明について、以下に記載する。
【0096】
(1)所定方向(M)に移動可能な移動体(86)に取り付けられた磁石(88)に基づいて前記移動体の位置を検出する位置検出スイッチ(10)は、前記磁石の磁気を検出して、前記磁気に応じた検出値(D、Q)を出力する磁気センサ(102)と、前記検出値が、所定範囲(R、S)内にあるか否かを判定する判定部(172)と、オペレータによって指定された前記移動体の位置(X、Xo、Xc、Xa)である指定位置における前記検出値を中心として前記所定範囲を設定する設定部(176)と、を備える。これにより、磁気センサの取り付け精度に留意する必要がない。したがって、磁気センサの取り付け精度に起因する位置検出精度の低下を防止することができる。
【0097】
(2)前記位置検出スイッチは、前記オペレータからの指定信号を取得する信号取得部(174)をさらに備え、前記設定部は、前記指定信号が取得されたタイミングにおける前記移動体の位置を前記指定位置としてもよい。これにより、任意の指定位置に対応する所定範囲を設定することができる。
【0098】
(3)前記信号取得部は、外部機器(110)から前記指定信号を取得してもよい。これにより、外部機器を操作して指定位置を決定することができる。
【0099】
(4)前記位置検出スイッチは、前記判定部の判定結果を示す出力信号を外部に出力する出力端子(120、122)をさらに備え、前記出力端子には、前記指定信号が入力してもよい。これにより、指定信号用の入力端子を別途設ける必要がなくなる。
【0100】
(5)前記設定部は、前記指定位置における前記検出値との差が所定値(V、U)以内である前記検出値の範囲を前記所定範囲として設定してもよい。これにより、指定位置における検出値を中心として所定範囲を設定することができる。
【0101】
(6)前記設定部は、前記オペレータによって指定された指定値を前記所定値に設定してもよい。これにより、オペレータが、移動体を有するアクチュエータの用途に応じて所定値を設定可能となる。
【0102】
(7)前記設定部は、外部機器から前記指定値を取得してもよい。これにより、外部機器を操作して所定値を決定することができる。
【0103】
(8)前記位置検出スイッチは、前記判定部の判定結果を示す出力信号を外部に出力する出力端子(120、122)をさらに備え、前記出力端子には、前記指定値を示す指定値入力信号が入力してもよい。これにより、指定値入力信号用の入力端子を別途設ける必要がなくなる。
【0104】
(9)前記位置検出スイッチは、前記判定部の判定結果を示す出力信号を外部に出力する出力端子をさらに備えてもよい。これにより、移動体の位置が指定位置にあるか否かについての判定結果を、PLC等の外部装置で集中管理することができる。
【0105】
(10)前記出力端子は、複数設けられてもよい。これにより、複数の指定位置の各々に対して、移動体の位置が指定位置にあるか否かを判定することができる。
【0106】
(11)前記位置検出スイッチは、前記磁気センサにより出力される前記検出値に基づいて、前記移動体の位置を示す位置データ(Q)を算出する位置算出部(220)をさらに備え、前記出力端子は、前記位置データを示す検出信号を外部に出力してもよい。これにより、オペレータは指定位置を指定しやすくなる。
【0107】
(12)前記設定部は、前記所定範囲を複数設定し、前記判定部は、前記検出値が、複数の前記所定範囲のいずれか1つの範囲内にあるか否かを判定してもよい。これにより、移動体が移動する複数の位置を検出することができる。
【0108】
(13)前記位置検出スイッチは、前記判定部の判定結果を前記オペレータに報知する報知装置(70)をさらに備えてもよい。これにより、オペレータは、移動体の位置が指定位置にあるか否かについての判定結果を視認しやすくなる。
【0109】
(14)前記位置検出スイッチは、前記磁気センサにより出力される前記検出値に基づいて、前記移動体の位置を示す位置データ(Q)を算出する位置算出部(220)をさらに備え、前記位置データが、前記指定位置を中心とした所定区間(S)に前記移動体の位置があることを示す場合、前記判定部は、前記検出値が前記所定範囲内にあると判定し、前記設定部は、前記所定区間を前記所定範囲として設定してもよい。これにより、オペレータは指定位置を指定しやすくなる。
【0110】
(15)アクチュエータ(20)は、前記位置検出スイッチと、前記移動体と、前記移動体を内部に収容する収容部(26)と、を備え、前記収容部の外表面に前記位置検出スイッチが取り付けられてもよい。これにより、移動体の位置が指定位置にあるか否かについての判定結果が安定的に得られる。
【0111】
(16)所定方向(M)に移動可能な移動体(86)に取り付けられた磁石(88)に基づいて前記移動体の位置を検出する位置検出方法は、磁気センサ(102)により前記磁石の磁気を検出する検出ステップと、前記磁気に応じて検出された検出値(D、Q)が、所定範囲(R、S)内にあるか否かを判定する判定ステップと、オペレータによって指定された前記移動体の位置(X、Xo、Xc、Xa)である指定位置における前記検出値を中心として前記所定範囲を設定する設定ステップと、を備える。これにより、磁気センサの取り付け精度に留意する必要がない。したがって、磁気センサの取り付け精度に起因する位置検出精度の低下を防止することができる。
【0112】
なお、本発明は、上述した開示に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得る。
【符号の説明】
【0113】
10…位置検出スイッチ 20…アクチュエータ
22…フィンガー 24…フィンガー支持部
26…収容部 40…溝
60…本体 62…コネクタ
70…報知装置 86…移動体
88…磁石 100…制御装置
102…磁気センサ 104…通信モジュール
110…外部機器 120、122…出力端子
130…出力線 132…通信線
150…処理回路 152…記憶装置
170…検出値取得部 172…判定部
174…信号取得部 176…設定部
178…報知部 180…出力部
200…表示部 202…押しボタン
220…位置算出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12