(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104959
(43)【公開日】2024-08-06
(54)【発明の名称】電気光学装置、および電子機器
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1339 20060101AFI20240730BHJP
G02F 1/1345 20060101ALI20240730BHJP
G02F 1/13 20060101ALN20240730BHJP
【FI】
G02F1/1339 505
G02F1/1345
G02F1/13 505
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023009427
(22)【出願日】2023-01-25
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003177
【氏名又は名称】弁理士法人旺知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉井 栄仁
【テーマコード(参考)】
2H088
2H092
2H189
【Fターム(参考)】
2H088EA14
2H088HA21
2H088KA26
2H088KA27
2H088MA20
2H092GA21
2H092GA32
2H092GA33
2H092GA38
2H092GA45
2H092HA04
2H092JB32
2H092NA25
2H092PA01
2H092PA12
2H092RA05
2H189DA72
2H189EA04Y
2H189FA44
2H189FA52
2H189GA49
2H189HA16
2H189KA17
2H189LA03
2H189LA19
2H189MA07
(57)【要約】
【課題】表示品位の低下が抑制された電気光学装置、および電子機器を提供すること。
【解決手段】電気光学装置は、画像を表示する表示領域と、平面視で前記表示領域の外側に設けられる周辺領域とを有する表示装置であって、前記表示領域に設けられる複数の画素電極を有する第1基板と、前記複数の画素電極に対向する対向電極を有する第2基板と、前記周辺領域に設けられ、前記第1基板と前記第2基板との間に配置され、UV硬化性材料を含むシール部材と、前記第1基板と前記第2基板と前記シール部材で囲まれる領域内に配置され、電界に応じて光学的特性が変化する電気光学層と、を備え、前記第1基板および前記第2基板のうちの一方の基板は、前記シール部材と平面視で重なり、前記複数の画素電極または前記対向電極と同層で、導電性を有する膜が設けられていない非導電領域を有する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する表示領域と、平面視で前記表示領域の外側に設けられる周辺領域とを有する表示装置であって、
前記表示領域に設けられる複数の画素電極を有する第1基板と、
前記複数の画素電極に対向する対向電極を有する第2基板と、
前記周辺領域に設けられ、前記第1基板と前記第2基板との間に配置され、UV硬化性材料を含むシール部材と、
前記第1基板と前記第2基板とに配置され、電界に応じて光学的特性が変化する電気光学層と、を備え、
前記第1基板および前記第2基板のうちの一方の基板は、前記シール部材と平面視で重なり、前記複数の画素電極または前記対向電極と同層で、導電性を有する膜が設けられていない非導電領域を有する、
ことを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
前記一方の基板は、前記シール部材と平面視で重なる導電部をさらに備え、
前記周辺領域における前記非導電領域の占有率は、前記導電部の占有率よりも高い、
請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項3】
前記非導電領域は、前記第2基板に設けられる、
請求項2に記載の電気光学装置。
【請求項4】
前記第2基板には、前記周辺領域に配置され、前記第1基板と前記第2基板との間で電気的な接続をとるための基板間導通材が設けられ、
前記導電部は、前記対向電極と前記基板間導通材とを電気的に接続する接続配線を含む、
請求項3に記載の電気光学装置。
【請求項5】
前記導電部の平面形状は、網目状である、
請求項2に記載の電気光学装置。
【請求項6】
前記導電部は、互いに交差する複数の第1導電線および複数の第2導電線を有し、
前記非導電領域は、前記複数の第1導電線および前記複数の第2導電線の間の複数の開口部である、
請求項5に記載の電気光学装置。
【請求項7】
前記第1基板および前記第2基板のうちの他方の基板は、前記周辺領域に配置され、波長380nmの光を反射させる反射膜を有する、
請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項8】
前記第1基板および前記第2基板のうちの他方の基板は、前記周辺領域に配置され、波長380nmの光を吸収する吸収膜を有する、
請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項9】
前記非導電領域は、前記対向電極の外側に配置され、
前記シール部材は、前記対向電極と離間し、平面視で前記対向電極と異なる箇所に配置される、
請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項10】
請求項1に記載の電気光学装置と、
前記電気光学装置の動作を制御する制御部と、を有することを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気光学装置、および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
プロジェクター等の電子機器には、例えば、画素ごとに光学的特性を変更可能な液晶表示装置等の電気光学装置が用いられる。当該電気光学装置の例として、特許文献1に記載の電気光学装置が知られている。
【0003】
特許文献1に記載の電気光学装置は、素子基板と、対向基板と、これら基板の間に配置されたシール材と、シール材に囲まれた領域内に設けられた電気光学層とを有する。素子基板の対向基板に対向する面には、電気光学層が設けられる領域に複数の画素電極が配置され、シール材が設けられる領域に所定膜厚のITO膜が配置される。当該文献では、シール材を効率良く硬化させるため、素子基板のうちシール材が設けられる領域での350nmの透過率が、素子基板のうち電気光学層が設けられる領域での350nmの透過率よりも高い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の構成では、シール材が設けられる領域にITO膜が存在しているため、350nmの透過率を充分に高めることができず、シール材のUV硬化のためのUVの照射時間が長くなってしまう。このため、生産効率が落ちてしまう。さらに、UV照射時間が長くなると、UV照射により各基板の温度上昇が発生し、表示シミなどの原因となる汚染物質が増加するおそれがある。この結果、表示品位が低下するおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電気光学装置の一態様は、画像を表示する表示領域と、平面視で前記表示領域の外側に設けられる周辺領域とを有する表示装置であって、前記表示領域に設けられる複数の画素電極を有する第1基板と、前記複数の画素電極に対向する対向電極を有する第2基板と、前記周辺領域に設けられ、前記第1基板と前記第2基板との間に配置され、UV硬化性材料を含むシール部材と、前記第1基板と前記第2基板と前記シール部材で囲まれる領域内に配置され、電界に応じて光学的特性が変化する電気光学層と、を備え、前記第1基板および前記第2基板のうちの一方の基板は、前記シール部材と平面視で重なり、前記複数の画素電極または前記対向電極と同層で、導電性を有する膜が設けられていない非導電領域を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態に係る電気光学装置の平面図である。
【
図2】
図1に示す電気光学装置のA-A線の断面図である。
【
図3】
図1の第1基板の電気的な構成を示す等価回路図である。
【
図5】
図2の第2基板およびシール材を示す平面図である。
【
図7】
図6に示すシール部材の形成方法を説明するための図である。
【
図8】第2実施形態の電気光学装置が有する導電部を示す平面図である。
【
図9】第3実施形態の電気光学装置の一部を示す断面図である。
【
図10】第4実施形態の電気光学装置の一部を示す断面図である。
【
図12】電子機器の一例であるパーソナルコンピューターを示す斜視図である。
【
図13】電子機器の一例であるスマートフォンを示す平面図である。
【
図14】電子機器の一例であるプロジェクターを示す模式図である。
【
図15】シール領域における透過率を説明するためのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態を説明する。なお、図面において各部の寸法または縮尺は実際と適宜に異なり、理解を容易にするために模式的に示す部分もある。また、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られない。
【0009】
1.電気光学装置
A.第1実施形態
A-1.基本構成
図1は、実施形態に係る電気光学装置100の平面図である。
図2は、
図1に示す電気光学装置100のA-A線の断面図である。以下では、説明の便宜上、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を適宜用いて説明する。また、X軸に沿う一方向をX1方向と表記し、X1方向とは反対の方向をX2方向と表記する。同様に、Y軸に沿う一方向をY1方向と表記し、Y1方向とは反対の方向をY2方向と表記する。Z軸に沿う一方向をZ1方向と表記し、Z1方向とは反対の方向をZ2方向と表記する。
【0010】
また、本明細書において、「要素α上の要素β」とは、要素βが要素αの上方に位置することを意味する。したがって、「要素α上の要素β」とは、要素βが要素αに直接的に接触している場合のみならず、要素αと要素βとが離間している場合も含む。また、要素αと要素βとの「電気的な接続」は、要素αと要素βとが直接的に接合されることで導通する構成のほか、要素αと要素βとが他の導電体を介して間接的に導通する構成も含まれる。
【0011】
図1および
図2に示す電気光学装置100は、アクティブマトリクス駆動方式の透過型の電気光学装置である。電気光学装置100は、第1基板2と、第2基板3と、枠状のシール部材4と、液晶層5とを有する。
図2に示すように、第1基板2、液晶層5および第2基板3は、この順にZ1方向に並ぶ。なお、第1基板2、液晶層5および第2基板3の重なる方向であるZ1方向またはZ2方向から見ることを「平面視」とする。また、
図1に示す電気光学装置100の平面形状は四角形であるが、四角形以外の多角形または円形であってもよい。本実施形態では、第2基板3が「一方の基板」に相当し、第1基板2が「他方の基板」に相当する。
【0012】
電気光学装置100は透過型であり、第1基板2および第2基板3は、透光性を有する。
図2に示すように、入射光LLが第2基板3に入射した後、第1基板2から出射される間に変調することにより、画像が表示される。なお、第1基板2に入射した光が第2基板3から出射される間に変調することにより、画像が表示されてもよい。また、「透光性」とは、可視光に対する透過性を意味し、好ましくは可視光の透過率が50%以上であることをいう。
【0013】
第1基板2は、基板21と、第1積層体20と、複数の画素電極24と、複数のダミー画素電極24dと、周辺電極28と、第1配向膜29とを有する。基板21、第1積層体20、複数の画素電極24および第1配向膜29は、この順にZ1方向に積層される。
【0014】
基板21は、透光性および絶縁性を有する平板であり、例えばガラス基板または石英基板で構成される。第1積層体20は、詳細な図示はしないが、透光性を有する複数の絶縁膜を含む。また、詳細な図示はしないが、第1積層体20には、トランジスターおよび各種配線等が設けられる。複数の画素電極24、複数のダミー画素電極24d、および周辺電極28は、第1積層体20上に配置されており、同層に設けられる。複数の画素電極24は、液晶層5に電界を印加するために用いられる。複数のダミー画素電極24dは、表示には寄与しないものの、複数の画素電極24と同様に駆動制御される。例えば、複数のダミー画素電極24dは、複数の画素電極24に書き込まれる画像信号のノイズ対策等のために用いられる。周辺電極28は、液晶層5中のイオン性不純物をトラップするイオントラップ用の電極である。周辺電極28は、例えば、平面視で枠状をなす。なお、周辺電極28は複数設けられてもよく、平面視で枠状でなくてもよい。
【0015】
図1に示すように、複数のダミー画素電極24dは、複数の画素電極24を平面視で囲む。複数の画素電極24、複数のダミー画素電極24dおよび周辺電極28のそれぞれは、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)およびFTO(Fluorine-doped tin oxide)等の透明導電材料を含む。また、
図2に示す第1配向膜29は、透光性および絶縁性を有する。第1配向膜29は、液晶層5に接触しており、液晶層5が有する液晶分子50を配向させる。第1配向膜29は、複数の画素電極24、複数のダミー画素電極24d、および複数の周辺電極28を覆うように配置される。第1配向膜29の材料は、例えばポリイミドおよび酸化ケイ素等である。
【0016】
また、
図1に示すように、第1基板2には、駆動回路10と複数の外部端子13とが配置される。駆動回路10は、走査線駆動回路11と信号線駆動回路12とを含む。複数の外部端子13の一部は、図示しないが、駆動回路10から引き回される配線に接続される。また、複数の外部端子13は、定電位Vcomが印加させる端子を含む。
【0017】
図2に示す第2基板3は、第1基板2に対向して配置される。第2基板3は、基板31と、第2積層体30と、対向電極32と、第2配向膜39と、見切り38とを有する。基板31、第2積層体30、対向電極32および第2配向膜39は、この順にZ2方向に積層される。また、後で詳述するが、第2基板3は、
図4に示す複数の電極33および導電部34を有する。
【0018】
基板31は、透光性および絶縁性を有する平板であり、例えばガラス基板または石英基板で構成される。第2積層体30は、絶縁層301、レンズ層302、絶縁層303、レンズ層304、および絶縁層305を含む。絶縁層301、レンズ層302、絶縁層303、レンズ層304、および絶縁層305は、この順に基板31からZ2方向に積層される。各層は、透光性および絶縁性を有しており、例えば酸化ケイ素等のケイ素を含む無機材料で形成される。
【0019】
絶縁層301は複数の凹部を有する。レンズ層302は、絶縁層303からZ1方向に向かって突出する複数の凸状のレンズを有する。当該複数の凸状のレンズは、絶縁層301の複数の凹部に接触する。絶縁層303には、見切り38が設けられる。見切り38は、詳細な図示はしないが、平面視で複数の画素電極24を囲む遮光性の見切りとして機能する。なお、「遮光性」とは、可視光に対する遮光性を意味し、好ましくは可視光の透過率が50%未満であることをいい、より好ましくは10%以下であることをいう。レンズ層304は、絶縁層303からZ2方向に向かって突出する複数の凸状のレンズを有する。絶縁層305は、複数の凹部を有する。当該複数の凹部は、レンズ層304の複数の凸状のレンズに接触する。絶縁層305は、対向電極32に接触する。絶縁層305の対向電極32に接触する面は、平坦面である。
【0020】
対向電極32は、複数の画素電極24に対して液晶層5を介して対向する対向電極である。対向電極32は、液晶層5に電界を印加するために用いられる。対向電極32は、透光性および導電性を有する。対向電極32は、例えば、ITO、IZOおよびFTO等の透明導電材料を含む。第2配向膜39は、透光性および絶縁性を有する。第2配向膜39は、液晶層5が有する液晶分子を配向させる。第2配向膜39の材料は、例えばポリイミドおよび酸化ケイ素等である。
【0021】
また、
図1に示すように、第2基板3には、複数の基板間導通材6が設けられる。複数の基板間導通材6は、第1基板2との第2基板3とを電気的に接続するための導通材である。基板間導通材6は、第1基板2に配置される図示省略された引き回し配線を介して、複数の外部端子13のいずれかの外部端子13に接続される。よって、対向電極32には、定電位Vcomが印加させる。
【0022】
シール部材4は、第1基板2と第2基板3との間に配置される。シール部材4は、例えばエポキシ樹脂等のUV硬化性材料を含む。UVは、ultravioletの略称であり、特に、波長100nm以上400nm以下の光をいう。また、シール部材4は、ガラス等の無機材料で構成されるギャップ材を含んでもよい。
【0023】
液晶層5は、第1基板2、第2基板3およびシール部材4によって囲まれる領域内に配置される。液晶層5は、電界に応じて光学的特性が変化する電気光学層である。液晶層5は、正または負の誘電異方性を有する液晶分子50を含む。液晶分子50の配向は、液晶層5に印加される電圧に応じて変化する。
【0024】
図1に示すように、電気光学装置100は、画像を表示する表示領域A10と、平面視で表示領域A10の外側に設けられる周辺領域A20とを有する。表示領域A10には、行列状に配列される複数の画素Pが設けられる。複数の画素Pに対して複数の画素電極24が1対1で配置される。よって、複数の画素電極24は行列状に配置される。一方、前述の対向電極32は、複数の画素Pで共通に設けられる。対向電極32は、表示領域A10に設けられる。
【0025】
周辺領域A20は、平面視で表示領域A10を囲む枠状である。周辺領域A20は、ダミー画素領域A21と、周辺電極領域A22と、中間領域A23と、シール領域A24とを含む。これら領域の各平面形状は、枠状である。ダミー画素領域A21には、複数のダミー画素電極24dが配置される。周辺電極領域A22には、周辺電極28が配置される。中間領域A23は、平面視で周辺電極領域A22とシール領域A24との間に設けられる領域である。シール領域A24には、シール部材4が配置される。したがって、シール部材4は、対向電極32の外側に設けられる。また、ダミー画素領域A21、周辺電極領域A22、および中間領域A23には、
図2に示す見切り38が配置される。また、周辺領域A20には、
図1に示す走査線駆動回路11、信号線駆動回路12および複数の外部端子13が配置される。
【0026】
かかる電気光学装置100は、例えば、後述するパーソナルコンピューターおよびスマートフォン等のカラー表示を行う表示装置に適用される。当該表示装置に適用される場合、電気光学装置100に対してカラーフィルターが適宜用いられる。また、電気光学装置100は、例えば、後述する投射型のプロジェクターに適用される。この場合、電気光学装置100は、ライトバルブとして機能する。なお、この場合、電気光学装置100に対してカラーフィルターが省略される。
【0027】
A-2.第1基板2の電気的な構成
図3は、
図1の第1基板2の電気的な構成を示す等価回路図である。
図3に示すように、第1基板2には、複数のトランジスター23とn本の走査線241とm本の信号線242とn本の定電位線243とが設けられる。これらは
図2の第1積層体20に設けられる。なお、nおよびmはそれぞれ2以上の整数である。n本の走査線241とm本の信号線242との各交差に対応してトランジスター23が配置される。各トランジスター23は、例えばスイッチング素子として機能するTFT(Thin Film Transistor)である。各トランジスター23は、ゲート、ソースおよびドレインを含む。
【0028】
n本の走査線241のそれぞれはX1方向に延在し、n本の走査線241はY1方向に等間隔で並ぶ。n本の走査線241のそれぞれは、対応する複数のトランジスター23のゲートに電気的に接続される。n本の走査線241は、
図1に示す走査線駆動回路11に電気的に接続される。1~n本の走査線241には、走査線駆動回路11から走査信号G1、G2、…、およびGnが線順次で供給される。
【0029】
図3に示すm本の信号線242のそれぞれはY1方向に延在し、m本の信号線242はX1方向に等間隔で並ぶ。m本の信号線242のそれぞれは、対応する複数のトランジスター23のソースに電気的に接続される。m本の信号線242は、
図1に示す信号線駆動回路12に電気的に接続される。1~m本の信号線242には、信号線駆動回路12から画像信号S1、A2、…、およびSmが並行に供給される。
【0030】
図3に示すn本の走査線241とm本の信号線242とは、互いに電気的に絶縁されており、平面視で格子状に配置される。隣り合う2つの走査線241と隣り合う2つの信号線242とで囲まれる領域が画素Pに対応する。画素Pごとにトランジスター23、画素電極24および蓄積容量25が設けられる。画素電極24は、トランジスター23に対して1対1で設けられる。各画素電極24は、対応するトランジスター23のドレインに電気的に接続される。
【0031】
n本の定電位線243のそれぞれはX1方向に延在し、n本の定電位線243はY1方向に等間隔で並ぶ。また、n本の定電位線243は、n本の走査線241およびm本の信号線242に対して電気的に絶縁されており、これらに対して間隔をもって配置される。各定電位線243には、定電位Vcomが印加される。n本の定電位線243のそれぞれは、対応する蓄積容量25が有する2つの電極のうちの一方に電気的に接続される。各蓄積容量25は、画素電極24の電位を保持するための保持容量である。蓄積容量25は、トランジスター23に対して1対1で設けられる。また、各蓄積容量25が有する2つの電極のうちの他方は、対応する画素電極24に電気的に接続される。したがって、蓄積容量25の一方の電極には定電位Vcomが印加され、他方の電極はトランジスター23のドレインに電気的に接続される。
【0032】
走査信号G1、G2、…、およびGnが順次アクティブとなり、n本の走査線241が順次選択されると、選択される走査線241に接続されるトランジスター23がオン状態となる。すると、m本の信号線242を介して表示すべき階調に応じた大きさの画像信号S1、A2、…、およびSmの応じた電位が、選択される走査線241に対応する画素Pの画素電極24に印加される。これにより、画素電極24と対向電極32との間に形成される液晶容量に、表示すべき階調に応じた電圧が印加され、印加される電圧に応じて液晶分子50の配向が変化する。また、蓄積容量25によって、印加される電圧が保持される。このような液晶分子の配向の変化によって光が変調され階調表示が可能となる。
【0033】
1C.第2基板3
図4は、
図2の第2基板3を示す平面図である。
図4は、第2基板3をZ1方向に見た平面図である。
図4では、第2配向膜39の図示が省略される。第2基板3は、対向電極32、複数の電極33および導電部34を有する。また、第2基板3は、非導電領域S3を有する。
【0034】
対向電極32の平面形状は、第2基板3の平面視での外形と同様に、四角形である。なお、前述の基板31および第2積層体30の各平面視形状も同様に四角形である。対向電極32の平面積は、第2積層体30の平面積よりも小さい。対向電極32は、第2積層体30の中央に位置する。なお、第2積層体30の平面積は、基板31の平面積とほぼ等しい。
【0035】
複数の電極33は、前述の基板間導通材6による第1基板2との第2基板3との電気的な接続をとるために設けられる。複数の電極33は、第2積層体30上に配置されており、対向電極32と同層に設けられる。各電極33の材料は、対向電極32と同材料である。本実施形態では、複数の電極33として4つの電極33が設けられる。4つの電極33のそれぞれは、第2積層体30の角部に設けられる。なお、各電極33の平面形状は、四角形であるが、円形等の他の形状でもよい。
【0036】
導電部34は、複数の導電線340を含む。各導電線340は、導電性を有し、対向電極32と複数の電極33とを接続する配線である。導電部34は、第2積層体30上に配置されており、対向電極32と同層に設けられる。導電部34の材料は、対向電極32と同材料である。導電部34、複数の電極33および対向電極32は、例えば、金属膜をエッチングすることにより一括で形成される。また、本実施形態では、複数の導電部34は、4つの導電線340を有するが、1、2、3または5以上の導電線340を有してもよい。各導電線340は、平面視で、直線状であるが、湾曲していてもよい。
【0037】
非導電領域S3は、対向電極32、複数の電極33および導電部34が設けられていない領域である。非導電領域S3は、対向電極32の外側に配置される。さらに、非導電領域S3は、その他の導電性を有する膜が設けられていない領域である。導電性を有する膜としては、透明導電材料で形成された電極等を含む各種電極および各種配線等が挙げられる。本実施形態では、非導電領域S3として4つの非導電部S30が設けられる。各非導電部S30は、2つの導電線340の間に設けられる。非導電領域S3は、導電部34を除き、平面視で対向電極32を囲む枠状である。非導電領域S3には、シール部材4が設けられる。また、非導電領域S3は、UV光をシール部材4に到達させる波長開口部である。つまり、非導電領域S3は、それ以外の領域に比べ、UV光を透過させ易い領域であり、よって、UV光をシール部材4に到達させ易い。
【0038】
図5は、
図2の第2基板3およびシール部材4を示す平面図である。
図5は、第2基板3およびシール部材4をZ1方向に見た平面図である。
図5では、第2配向膜39の図示が省略される。
【0039】
図5に示すように、複数の電極33、導電部34および非導電領域S3は、周辺領域A20に設けられる。特に、導電部34、および非導電領域S3は、シール領域A24に設けられ、複数の電極33は、平面視でシール領域A24の外側に設けられる。したがって、導電部34、および非導電領域S3は、平面視でシール部材4に重なり、複数の電極33は、平面視でシール部材4の外側に設けられる。また、導電部34は、第2積層体30からZ1方向に突出している。このため、シール部材4は、導電部34によって凹凸を有する。
【0040】
図6は、
図2の電気光学装置100の一部を示す図である。
図6に示すように、シール部材4は、第1配向膜29と第2積層体30のそれぞれに接触する。シール部材4は、対向電極32および第2配向膜39に接触していない。また、シール部材4は、対向電極32と離間し、平面視で対向電極32および第2配向膜39と異なる箇所に配置される。シール部材4は、対向電極32および第2配向膜39と接触していない。また、非導電領域S3は、対向電極32および第2配向膜39の外側に配置される。
【0041】
図7は、
図6に示すシール部材4の形成方法を説明するための図である。
図7に示すシール母材4aは、
図6のシール部材4の母材であり、硬化前のUV硬化樹脂を含む。
図7に示すように、第1基板2と第2基板3との間にシール母材4aを配置する。シール母材4aは、平面視で周辺領域A20の対向電極32よりも外側の領域、すなわちシール領域A24に配置する。その後、シール領域A24において、第2基板3の外表面からZ2方向に光Lを照射する。シール部材4への光Lの照射により、シール母材4aが硬化し、シール部材4となり、シール部材4によって第1基板2および第2基板3が接合される。
【0042】
光Lとは、10nm以上400nm以下の波長域の光をいう。例えば、非導電領域S3の380nmの透過率は、例えば、70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。
【0043】
前述のように、第2基板3は、非導電領域S3を有する。非導電領域S3は、平面視でシール部材4と重なり、対向電極32と同層に設けられており、導電部34およびその他の導電性を有する膜が設けられていない。かかる非導電領域S3がシール領域A24に設けられることで、シール母材4aを硬化させための光Lの照射時間を短くすることができる。よって、生産効率に低下を抑制することができる。さらに、光Lの照射時間を短くすることができるため、光Lの照射により第1基板2および第2基板3の温度上昇による液晶層5内への汚染物質の増加を抑制することができる。例えば、シール母材4aに含まれる成分が液晶層5の汚染物質として液晶層5に浸入することを抑制することができる。よって、表示シミを抑制でき、この結果、表示品位の低下を抑制することができる。
【0044】
なお、導電性を有する膜は、光Lの透過率が第2積層体30に比べて低い。このため、非導電領域S3の光Lの透過率は、平面視で導電部34が設けられる部分よりも光Lの透過率が高い。また、非導電領域S3の光Lの透過率は、対向電極32が設けられている領域、すなわち表示領域A10よりも高い。それゆえ、複数の非導電領域S3がシール領域A24に設けられることで、シール母材4aを硬化させための光Lの照射時間を短くすることができる。
【0045】
非導電領域S3が設けられることによる効果を特に好適に発揮するためには、第2基板3のうちの非導電領域S3における光Lの透過率は、70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。
【0046】
図15は、シール領域A24における透過率Aを説明するためのグラフである。
図15では、シール領域A24の非導電領域S3での透過率Aが実線で示され、シール領域A24に薄膜なITO膜が設けられている場合の透過率Aが破線で示される。当該薄膜なITO膜の厚さは、例えば、20nmである。
図15の縦軸は、透過率A[%]を示す。
図15の横軸は、波長N[nm]を示し、図中右に行くほど波長が高い。
図15からも分かるように、ITO膜が設けられていない非導電領域S3における透過率Aは、ITO膜が設けられている場合における透過率Aよりも高い。なお、波長380nmの光L以外のUV光においても同様に、ITO膜が設けられていない非導電領域S3における透過率Aは、ITO膜が設けられている場合における透過率Aよりも高い。
【0047】
また、周辺領域A20における非導電領域S3の占有率は、導電部34の占有率よりも高い。このため、非導電領域S3の占有率が導電部34の占有率以下である場合に比べ、シール部材4の硬化時間を短くすることができる。なお、非導電領域S3の占有率が導電部34の占有率以上であっても、非導電領域S3が設けられていない場合に比べれば、シール部材4の硬化時間を短くすることができる。
【0048】
占有率とは、平面形状の面積占有率であって、周辺領域の平面積における面積占有率である。占積率[%]は、周辺領域A20における面積比率であって、「非導電領域S3の面積÷周辺領域A20の面積:導電部34の面積÷周辺領域面積」で求められる。
【0049】
周辺領域A20における非導電領域S3の占有率は、90%以上100%未満であることが好ましく、95%以上100%未満であることがより好ましく、98%以上100%未満であることがより好ましい。かかる下限値以上であることで、下限値未満である場合に比べ、シール部材4の硬化時間を大幅に短くすることができる。
【0050】
また、前述のように、非導電領域S3は、第2基板3に設けられる。第1基板2には、周辺領域A20に走査線駆動回路11および信号線駆動回路12が設けられることに対し、第2基板3には、周辺領域A20に走査線駆動回路11および信号線駆動回路12が設けられていない。このため、第2基板3は、第1基板2に比べて非導電領域S3の周辺領域A20における占有率の高くし易い。このため、第2基板3に非導電領域S3を設けることで、走査線駆動回路11および信号線駆動回路12の配置の自由度が高まり、かつシール部材4の硬化時間を短縮することができる。
【0051】
なお、非導電領域S3および導電部34は、第1基板2に設けられてもよい。この場合、第1基板2が「一方の基板」に相当し、第2基板3が「他方の基板」に相当する。この場合には、非導電領域S3の周辺領域A20における占有率を高くするよう、走査線駆動回路11および信号線駆動回路12の配置を工夫すればよい。例えば、走査線駆動回路11および信号線駆動回路12をシール領域A24に重ならないようにする。
【0052】
また、前述のように、第2基板3には、導電部34が設けられる。導電部34が有する各導電線340は、対向電極32と基板間導通材6とを電気的に接続する接続配線である。そして、本実施形態では、シール領域A24において接続配線として機能する各導電線340以外の全ての領域を非導電領域S3としている。このため、シール部材4の硬化時間を大幅に短縮することができる。
【0053】
また、各導電線340の幅は、特に限定されないが、各導電線340に断線が生じ難く、かつ、非導電領域S3の占有率を高める観点から、例えば、5μm以上10μm以下である。
【0054】
以上説明したように、電気光学装置100では、シール領域A24には、従来の構成のように、対向電極32の一部が平面視でシール部材4と重なっていない。このため、シール部材4の硬化時間を短くすることができる。さらに、従来の構成では、対向電極32と基板間導通材6とを電気的な接続のために、対向電極32の一部をシール領域A24に設ける必要がある。これに対し、電気光学装置100では、導電部34を設けることで、対向電極32と基板間導通材6とを電気的な接続を確保しつつ、シール領域A24のうちの導電部34以外の全ての領域を非導電領域S3として利用することができる。このため、従来の構成に比べ、シール部材4の硬化時間を大幅に短縮することができる。
【0055】
B.第2実施形態
第2実施形態を説明する。なお、以下の各例示において機能が第1実施形態と同様である要素については、第1実施形態の説明で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0056】
図8は、第2実施形態の電気光学装置100Aが有する導電部34Aを示す平面図である。本実施形態の電気光学装置100Aは、第1実施形態の導電部34の代わりに導電部34Aが設けられ、非導電領域S3の代わりに非導電領域S3Aが設けられることが第1実施形態の電気光学装置100と異なる。
【0057】
図8に示すように、導電部34Aは、平面視で網目状である。導電部34Aは、複数の第1導電線341と複数の第2導電線342とを含む。複数の第1導電線341および複数の第2導電線342のそれぞれは、対向電極32と基板間導通材6とを電気的に接続する接続配線である。複数の第1導電線341と複数の第2導電線342とは、互いに交差し、行列状に配置される。複数の第1導電線341は、互いに離間し、X1方向に延びる。複数の第2導電線342は、互いに離間し、Y1方向に延びる。かかる導電部34Aは、4つの電極33に接続される。また、導電部34Aは、第2積層体30からZ1方向に突出している。このため、詳細な図示はしないが、シール部材4は、導電部34Aによって複数の凹凸を有する。
【0058】
非導電領域S3Aは、導電性を有する膜が設けられていない領域である。非導電領域S3Aは、複数の開口部S31を含む。複数の開口部S31は、平面視で、互いに離間し、シール領域A24において行列状に配置される。複数の開口部S31は、複数の第1導電線341と複数の第2導電線342との間の領域である。
【0059】
導電部34Aの平面視形状が網目状であることで、導電部34Aに起因する第2積層体30上のシール部材4の凹凸度合いを分散させることができ、かつ、シール部材4の凹凸度合いの分布の均一化を図ることができる。このため、第1実施形態に比べ、第2積層体30および導電部34A上に配置されるシール部材4の均一性を高めることができる。よって、第1実施形態に比べ、第1基板2および第2基板3の距離の均一性を高めることができる。つまり、セルギャップの均一性を高めることができる。
【0060】
本実施形態では、導電部34Aの網目の開口率、すなわち周辺領域A20における非導電領域S3の占有率は、50%以上100%未満であることが好ましく、60%以上100%未満であることがより好ましく、80%以上100%未満であることがより好ましい。かかる下限値以上であることで、下限値未満である場合に比べ、網目状の導電部34Aを形成し易く、かつ、シール部材4の硬化時間を大幅に短くすることができる。
【0061】
占有率とは、平面形状の面積占有率であって、周辺領域の平面積における面積占有率である。占積率[%]は、周辺領域A20における面積比率であって、「非導電領域S3Aの面積÷周辺領域A20の面積:導電部34Aの面積÷周辺領域面積」で求められる。特に、本実施形態では、非導電領域S3Aは、複数の第1導電線341と複数の第2導電線342との間の複数の開口部S31を含む。周辺領域A20の平面積における複数の開口部S31の面積占有率の合計が非導電領域S3Aの占有率に相当する。
【0062】
以上の第2実施形態によっても、第1実施形態と同様に、従来の比べ、シール部材4の硬化時間を大幅に短縮することができる。
【0063】
また、本実施形態では、導電部34Aは平面視で網目状であるが、シール部材4の凹凸度合いの均一化を図ることができれば、網目状以外の形状でもよい。導電部34Aは、例えば、ハニカム構造でもよい。また、導電部34Aは複数の第1導電線341および複数の第2導電線342のそれぞれは、曲線状でもよい。
【0064】
C.第3実施形態
第3実施形態を説明する。なお、以下の各例示において機能が第1実施形態と同様である要素については、第1実施形態の説明で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0065】
図9は、第4実施形態の電気光学装置100Bの一部を示す断面図である。本実施形態では、第1基板2が反射膜26を有することが第1実施形態と異なる。
【0066】
図9に示すように、本実施形態の第1基板2は、反射膜26を有する。反射膜26は、光Lに対する反射性を有する。反射膜26は、第2積層体30に設けられる。反射膜26としては、例えば、第1基板2に設けられる配線260の一部を用いることができる。例えば、配線260は、アルミニウム膜および窒化チタン膜の積層体で構成される。窒化チタン膜は、入射光LLの反射を避けるよう、入射光LLを吸収するために設けられる。この場合、配線260のうちシール領域A24に設けられる部分は、窒化チタン膜の一部を除去してアルミニウム膜だけにする。こうすることで、配線260の一部を反射膜26として用いることができる。このため、反射膜26を別途設けずに済む。
【0067】
第1基板2に反射膜26が設けられることで、第2基板3から入射した光Lを反射膜で反射させることができる。このため、反射膜26で反射した反射光でシール部材4を第1基板2側から硬化させることができる。よって、光Lにより第2基板3側からシール部材4を硬化させるとともに、反射光により第1基板2側からもシール部材4を硬化させることができる。よって、反射膜26がもうけられていることで、反射膜26が設けられていない場合に比べ、シール部材4の硬化時間を短縮させることができる。
【0068】
反射膜26としての機能を効果的に発揮するためには、反射膜26による光Lの反射率は、70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。
【0069】
なお、第1基板2に非導電領域S3が設けられており、光Lが第1基板2からZ1方向に照射される場合、第2基板3に「反射膜」を設ければよい。また、反射膜26は、配線260の一部でなくてもよく、配線260とは別で設けてもよい。
【0070】
以上の第2実施形態によっても、第1実施形態と同様に、従来の比べ、シール部材4の硬化時間を大幅に短縮することができる。
【0071】
D.第4実施形態
第4実施形態を説明する。なお、以下の各例示において機能が第1実施形態と同様である要素については、第1実施形態の説明で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0072】
図10は、第4実施形態の電気光学装置100Cの一部を示す断面図である。本実施形態では、第1基板2が吸収膜27を有することが第1実施形態と異なる。
【0073】
図10に示すように、本実施形態の第1基板2は、吸収膜27を有する。吸収膜27は、光Lを吸収する機能を有する。吸収膜27は、第2積層体30上の複数の画素電極24と同層に設けられる。吸収膜27の材料は、例えば、透明導電材料であり、複数の画素電極24と同じである。吸収膜27、および複数の画素電極24は、例えば、透明導電膜をエッチングすることにより一括で形成される。
【0074】
第1基板2は吸収膜27を有することで、第2基板3から入射した光Lを吸収膜27で吸収させることができる。さらに、吸収膜27を駆動回路10よりもシール部材4に近い。吸収膜27を例えば駆動回路10よりもシール部材4の近くに配置することで、シール部材4を透過した光Lが駆動回路10に到達することを抑制することができる。したがって、吸収膜27は、駆動回路10をUV照射から保護する保護膜として機能する。このため、吸収膜27が設けられることで、駆動回路10が有する各要素がUV照射により劣化することを抑制することができる。
【0075】
なお、吸収膜27は、駆動回路10以外の要素を保護する保護膜として機能してもよい。また、吸収膜27は、第1積層体20上でなく、第1積層体20内に配置されてもよい。また、第1基板2に非導電領域S3が設けられており、光Lが第1基板2からZ1方向に照射される場合、第2基板3に「吸収膜」を設ければよい。
【0076】
吸収膜27としての機能を効果的に発揮するためには、吸収膜27による光Lの吸収率は、50%以上であることが好ましい。吸収率[%]は、(100-透過率[%]-反射率[%])である。
【0077】
以上の第4実施形態によっても、第1実施形態と同様に、従来の比べ、シール部材4の硬化時間を大幅に短縮することができる。
【0078】
E.変形例
以上に例示した実施形態は多様に変形され得る。前述の実施形態に適用され得る具体的な変形の態様を以下に例示する。
【0079】
図11は、変形例の電気光学装置100Dの断面図である。
図11に示す電気光学装置100Dが有する第2配向膜39Dは、延在部391を有する。延在部391は、第2配向膜39Dのうちシール部材4と第2積層体30との間に配置される部分である。延在部391は、対向電極32から外側に向かって延在する。
【0080】
図11に示すように、第2積層体30とシール部材4とは直接的に接触しておらず、第2積層体30とシール部材4との間には第2配向膜39Dが介在していてもよい。また、第2配向膜39D以外の他の膜が介在していてもよい。ただし、第2配向膜39等の膜が介在していない方が、シール領域A24における第2基板3の光Lの透過率を高めることができる。
【0081】
「電気光学装置」の駆動方式は、縦電界方式に限定されず、横電界方式でもよい。なお、横電界方式としては、例えばIPS(In Plane Switching)モードが挙げられる。また、縦電界方式としては、TN(Twisted Nematic)モード、VA(Virtical Alignment)、PVAモードおよびOCB(Optically Compensated Bend)モードが挙げられる。
【0082】
前述の各実施形態では、アクティブマトリクス方式の電気光学装置100が例示されるが、これに限定されず、電気光学装置100の駆動方式は、例えば、パッシブマトリクス方式等でもよい。
【0083】
また、前述した説明では、「電気光学装置」のの一例として液晶表示装置について説明したが、「電気光学装置」のはこれに限定されない。例えば、「電気光学装置」のは、イメージセンサー等にも適用することができる。
【0084】
2.電子機器
電気光学装置100は、各種電子機器に用いることができる。
【0085】
図12は、電子機器の一例であるパーソナルコンピューター2000を示す斜視図である。パーソナルコンピューター2000は、各種の画像を表示する電気光学装置100と、電源スイッチ2001およびキーボード2002が設置される本体部2010と、制御部2003と、を有する。制御部2003は、例えばプロセッサーおよびメモリーを含み、電気光学装置100の動作を制御する。
【0086】
図13は、電子機器の一例であるスマートフォン3000を示す平面図である。スマートフォン3000は、操作ボタン3001と、各種の画像を表示する電気光学装置100と、制御部3002と、を有する。操作ボタン3001の操作に応じて電気光学装置100に表示される画面内容が変更される。制御部3002は、例えばプロセッサーおよびメモリーを含み、電気光学装置100の動作を制御する。
【0087】
図14は、電子機器の一例であるプロジェクターを示す模式図である。投射型表示装置4000は、例えば、3板式のプロジェクターである。電気光学装置1rは、赤色の表示色に対応する電気光学装置100であり、電気光学装置1gは、緑の表示色に対応する電気光学装置100であり、電気光学装置1bは、青色の表示色に対応する電気光学装置100である。すなわち、投射型表示装置4000は、赤、緑および青の表示色に各々対応する3個の電気光学装置1r、1g、1bを有する。制御部4005は、例えばプロセッサーおよびメモリーを含み、電気光学装置100の動作を制御する。
【0088】
照明光学系4001は、光源である照明装置4002からの出射光のうち赤色成分rを電気光学装置1rに供給し、緑色成分gを電気光学装置1gに供給し、青色成分bを電気光学装置1bに供給する。各電気光学装置1r、1g、1bは、照明光学系4001から供給される各単色光を表示画像に応じて変調するライトバルブ等の光変調器として機能する。投射光学系4003は、各電気光学装置1r、1g、1bからの出射光を合成して投射面4004に投射する。
【0089】
以上の電子機器は、前述の電気光学装置100と、制御部2003、3002または4005と、を備える。前述の電気光学装置100は表示品位の低下が抑制されている。このため、よって、電気光学装置100を備えることで、パーソナルコンピューター2000、スマートフォン3000または投射型表示装置4000の表示品位の低下を抑制することができる。なお、電気光学装置100の代わりに、電気光学装置100A、100B、100Cまたは100Dを適用した場合にも同様の効果が得られる。
【0090】
なお、本発明の電気光学装置が適用される電子機器としては、例示した機器に限定されず、例えば、PDA(Personal Digital Assistants)、デジタルスチルカメラ、テレビ、ビデオカメラ、カーナビゲーション装置、車載用の表示器、電子手帳、電子ペーパー、電卓、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、およびPOS(Point of sale)端末等が挙げられる。さらに、本発明が適用される電子機器としては、プリンター、スキャナー、複写機、ビデオプレーヤー、またはタッチパネルを備えた機器等が挙げられる。
【0091】
以上、好適な実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は前述の実施形態に限定されない。また、本発明の各部の構成は、前述の実施形態の同様の機能を発揮する任意の構成に置換でき、また、任意の構成を付加できる。
【符号の説明】
【0092】
1b…電気光学装置、1g…電気光学装置、1r…電気光学装置、2…第1基板、3…第2基板、4…シール部材、4a…シール母材、5…液晶層、6…基板間導通材、10…駆動回路、11…走査線駆動回路、12…信号線駆動回路、13…外部端子、20…第1積層体、21…基板、23…トランジスター、24…画素電極、24d…ダミー画素電極、25…蓄積容量、26…反射膜、27…吸収膜、28…周辺電極、29…第1配向膜、30…第2積層体、31…基板、32…対向電極、33…電極、34…導電部、34A…導電部、38…見切り、39…第2配向膜、39D…第2配向膜、50…液晶分子、100…電気光学装置、100A…電気光学装置、100B…電気光学装置、100C…電気光学装置、100D…電気光学装置、241…走査線、242…信号線、243…定電位線、260…配線、301…絶縁層、302…レンズ層、303…絶縁層、304…レンズ層、305…絶縁層、340…導電線、341…第1導電線、342…第2導電線、391…延在部、2000…パーソナルコンピューター、2001…電源スイッチ、2002…キーボード、2003…制御部、2010…本体部、3000…スマートフォン、3001…操作ボタン、3002…制御部、4000…投射型表示装置、4001…照明光学系、4002…照明装置、4003…投射光学系、4004…投射面、4005…制御部、A…透過率、A10…表示領域、A20…周辺領域、A21…ダミー画素領域、A22…周辺電極領域、A23…中間領域、A24…シール領域、L…光、LL…入射光、P…画素、S3…非導電領域、S3A…非導電領域、S30…非導電部、S31…開口部。