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特開2024-104963円筒形状容器、乾燥剤及び/又は酸素吸収剤含有容器、並びにその製造方法
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  • 特開-円筒形状容器、乾燥剤及び/又は酸素吸収剤含有容器、並びにその製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104963
(43)【公開日】2024-08-06
(54)【発明の名称】円筒形状容器、乾燥剤及び/又は酸素吸収剤含有容器、並びにその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 77/00 20060101AFI20240730BHJP
【FI】
B65D77/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023009433
(22)【出願日】2023-01-25
(71)【出願人】
【識別番号】000004466
【氏名又は名称】三菱瓦斯化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002620
【氏名又は名称】弁理士法人大谷特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 陽太
(72)【発明者】
【氏名】井上 敦
【テーマコード(参考)】
3E067
【Fターム(参考)】
3E067AA22
3E067AB97
3E067AB99
3E067AC01
3E067BA01A
3E067BB01A
3E067BB06A
3E067BB16A
3E067BC03A
3E067BC07A
3E067EA01
3E067EA35
3E067EA37
3E067EB27
3E067FA01
3E067FC01
3E067GB05
(57)【要約】
【課題】内容物がこぼれにくい円筒形状容器、乾燥剤及び/又は酸素吸収剤含有容器、並びに該容器の製造方法を提供する。
【解決手段】底部10と、前記底部10の外縁から開口部50に向かって伸びる側壁部30と、を有する円筒形状容器100であって、前記側壁部30は、開口部50側に薄肉化された加締め部31を有し、前記加締め部31の長さが前記側壁部30の長さSの1/7以上であり、かつ、前記側壁部30の厚さに対する前記加締め部31の厚さTの比が0.3以上0.8以下であり、かつ、加締め部31の長さL[mm]と加締め部31の厚さT[mm]の積L×Tが1.0[mm]以上である、円筒形状容器100。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部と、前記底部の外縁から開口部に向かって伸びる側壁部と、を有する円筒形状容器であって、
前記側壁部は、開口部側に薄肉化された加締め部を有し、
前記加締め部の長さが前記側壁部の長さの1/7以上であり、かつ、前記側壁部の厚さに対する前記加締め部の厚さTの比が0.3以上0.8以下であり、かつ、加締め部の長さL[mm]と加締め部の厚さT[mm]の積L×Tが1.0[mm]以上である、円筒形状容器。
【請求項2】
前記加締め部の長さが、前記底部の外径の1/8以上である、請求項1に記載の円筒形状容器。
【請求項3】
断面視において、前記側壁部の薄肉化されていない部分である非加締め部の開口部側端部の内径側端点と前記底部の内径の最外点と結んだ対角線が交差する交差点を、径方向に延長した延長線が、前記非加締め部の軸方向の中央から反開口部側に位置する、請求項1又は2に記載の円筒形状容器。
【請求項4】
前記側壁部は、前記開口部に向かって径が大きくなる、請求項1又は2に記載の円筒形状容器。
【請求項5】
前記加締め部の内径と前記底部の外径が同一である、請求項1又は2に記載の円筒形状容器。
【請求項6】
前記加締め部の長さLが3mm以上6mm以下であり、かつ、前記加締め部の厚さが0.1mm以上0.8mm以下である、請求項1又は2に記載の円筒形状容器。
【請求項7】
前記容器の材質が熱可塑性樹脂である、請求項1又は2に記載の円筒形状容器。
【請求項8】
乾燥剤及び/又は酸素吸収剤の包装用である、請求項1又は2に記載の円筒形状容器。
【請求項9】
請求項1に記載の円筒形状容器を用いてなる、乾燥剤及び/又は酸素吸収剤含有容器。
【請求項10】
請求項9に記載の乾燥剤及び/又は酸素吸収剤含有容器の製造方法であって、
請求項1に記載の円筒形状容器に乾燥剤及び/又は酸素吸収剤を充填し、
上記乾燥剤及び/又は酸素吸収剤上に、乾燥剤及び/又は酸素吸収剤を覆う蓋体を配置し、
加熱温度60℃以上150℃以下、加締め時間0.5秒間以上3秒間以下、加締め圧力8.5×10Pa以上14.0×10Pa以下で容器の加締め部を加締める、
乾燥剤及び/又は酸素吸収剤含有容器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円筒形状容器、乾燥剤及び/又は酸素吸収剤含有容器、並びにその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、容器の内容物がこぼれないように、容器の開口部と加締める蓋が知られている。
例えば、特許文献1には、容器本体の上部の開口部の周縁に、ワンタッチ開口部が設けられている天板の周縁をかしめて接合し、かしめ部の直下に縮径部が設けられた缶容器の上部に被せる缶用キャップであって、前記缶容器の天板を覆う円形板部を備え、該円形板部の周囲に一体として連接する周壁の下部には、前記縮径部に密着嵌合する環状シール部を設けたことを特徴とする缶用キャップが記載されている。特許文献1に記載された缶用キャップによれば、缶容器の移動の際に内容物がこぼれたり、周囲の埃等が内容物に混入することがなく、また天板を汚すことなく維持できると記載されている。
【0003】
また、例えば、特許文献2には、酸素吸収剤を通気性容器に収納して成る酸素吸収剤包装体において、当該通気性容器が、形状を保持し得る有底筒及び25℃における透気度が20~4000秒である通気性隔離膜からなる蓋により構成される、粉体バリア性を有する通気性キャニスター容器である、酸素吸収剤包装体が記載されている。特許文献2に記載された酸素吸収剤包装体によれば、酸素吸収剤を形状が一定に保持されるキャニスター容器に入れることにより、誤食や誤飲が防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-109107号公報
【特許文献2】特開2003-312729号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1及び2に記載された発明では、容器の蓋について検討されている。しかしながら、容器の蓋だけではなく、容器の形状を検討し、内容物がよりこぼれにくい容器の実現が望まれていた。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、内容物がこぼれにくい円筒形状容器、乾燥剤及び/又は酸素吸収剤含有容器、並びに該容器の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、特定の加締め部を有する円筒形状容器並びに乾燥剤及び/又は酸素吸収剤含有容器が上記課題を解決できることを見出し、発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
<1> 底部と、前記底部の外縁から開口部に向かって伸びる側壁部と、を有する円筒形状容器であって、前記側壁部は、開口部側に薄肉化された加締め部を有し、前記加締め部の長さが前記側壁部の長さの1/7以上であり、かつ、前記側壁部の厚さに対する前記加締め部の厚さTの比が0.3以上0.8以下であり、かつ、加締め部の長さL[mm]と加締め部の厚さT[mm]の積L×Tが1.0[mm]以上である、円筒形状容器。
<2> 前記加締め部の長さが、前記底部の外径の1/8以上である、上記<1>に記載の円筒形状容器。
<3> 断面視において、前記側壁部の薄肉化されていない部分である非加締め部の開口部側端部の内径側端点と前記底部の内径の最外点と結んだ対角線が交差する交差点を、径方向に延長した延長線が、前記非加締め部の軸方向の中央から反開口部側に位置する、上記<1>又は<2>に記載の円筒形状容器。
<4> 前記側壁部は、前記開口部に向かって径が大きくなる、上記<1>~<3>のいずれか1つに記載の円筒形状容器。
<5> 前記加締め部の内径と前記底部の外径が同一である、上記<1>~<4>のいずれか1つに記載の円筒形状容器。
<6> 前記加締め部の長さLが3mm以上6mm以下であり、かつ、前記加締め部の厚さが0.1mm以上0.8mm以下である、上記<1>~<5>のいずれか1つに記載の円筒形状容器。
<7> 前記容器の材質が熱可塑性樹脂である、上記<1>~<6>のいずれか1つに記載の円筒形状容器。
<8> 乾燥剤及び/又は酸素吸収剤の包装用である、上記<1>~<7>のいずれか1つに記載の円筒形状容器。
<9> 上記<1>~<8>のいずれか1つに記載の円筒形状容器を用いてなる、乾燥剤及び/又は酸素吸収剤含有容器。
<10> 上記<9>に記載の乾燥剤及び/又は酸素吸収剤含有容器の製造方法であって、上記<1>~<8>のいずれか1つに記載の円筒形状容器に乾燥剤及び/又は酸素吸収剤を充填し、上記乾燥剤及び/又は酸素吸収剤上に、乾燥剤及び/又は酸素吸収剤を覆う蓋体を配置し、加熱温度60℃以上150℃以下、加締め時間0.5秒間以上3秒間以下、加締め圧力8.5×10Pa以上14.0×10Pa以下で容器の加締め部を加締める、乾燥剤及び/又は酸素吸収剤含有容器の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、内容物がこぼれにくい円筒形状容器、乾燥剤及び/又は酸素吸収剤含有容器に用いられる円筒形状容器、並びに該容器の製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態に係る円筒形状容器の構成を例示する概略断面図である。
図2】本実施形態に係る円筒形状容器の構成を例示する底面図である。
図3】本実施形態に係る円筒形状容器の構成を例示する平面図である。
図4】本実施形態に係る乾燥剤及び/又は酸素吸収剤含有容器の構成を例示する概略断面図である。
図5】本実施形態に係る乾燥剤及び/又は酸素吸収剤含有容器の製造方法を説明するための概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための好適な実施形態について、図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態は、各請求項に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるものではない。
【0012】
まず、本実施形態に係る円筒形状容器100の構成について、図1を用いて説明する。ここで、図1は、本実施形態に係る円筒形状容器の構成を例示する概略断面図であり、通常の製造時の方向(図4参照)において、円筒形状容器100を垂直に切断した縦断面図である。図2は、本実施形態に係る円筒形状容器の構成を例示する底面図であり、図3は、本実施形態に係る円筒形状容器の構成を例示する平面図である。
【0013】
[円筒形状容器100]
図1及び図3に示すように、本実施形態に係る円筒形状容器100は、底部10と、前記底部10の外縁から開口部50に向かって伸びる側壁部30と、を有し、前記側壁部30は、開口部50側に薄肉化された加締め部31を有し、前記加締め部31の長さが前記側壁部30の長さSの1/7以上であり、かつ、前記側壁部の厚さに対する前記加締め部の厚さTの比が0.3以上0.8以下であり、かつ、加締め部31の長さL[mm]と加締め部31の厚さT[mm]の積L×Tが1.0[mm]以上である。
【0014】
図1乃至図3に示すように、底部10は、円形状を有し、かつ、円筒形状容器100と同心円状に配置される。本実施形態に係る底部10は、その中央に、開口部50方向に平面視円形状に突出する凸部11と、開口部50方向に底面視円形状に窪んだ凹部13と、を有している。本実施形態に係る凸部11及び凹部13も、底部10及び円筒形状容器100と同心円状に配置され、すなわち、凸部11、凹部13、底部10、及び円筒形状容器100は、同心円状に配置されている。
【0015】
底部10が凸部11及び凹部13を有することにより、円筒形状容器100を成形するときに、成形しやすいという利点を有する。
【0016】
図1に示すように、凸部11は、その円の中心が開口部50方向に最も高く突出するように構成されている。一方、凹部13は、その円の中心が開口部50方向に最も深く窪むように構成されている。本実施形態では、凸部11の円形状の直径の方が、凹部13の円形状の直径よりも、大きくなるよう構成されている。このような構成により、容器成形性を向上できる。
【0017】
図1に示すように、本実施形態に係る底部10は、反開口部側(開口部50の反対側)に直立配置される脚部15を有する。図2に示すように、本実施形態に係る脚部15は、底面視円形状を有するように反開口部方向に突出して底部10に配置される。脚部15を有することにより、円筒形状容器100は安定性に優れ、また、後述するように、乾燥剤及び/又は酸素吸収剤含有容器200に用いる場合、製造時の作業効率を向上できる。
【0018】
図1に示すように、側壁部30は、底部10の外縁から開口部50に向かって伸びるように構成される。底部10と側壁部30とは、曲線を有して接続してもよい。このような構成により、後述するように、加締め部31を加締めるときに生じる押圧力に、より耐えることができる。なお、底部10と側壁部30とが曲線を有して接続される場合、円筒形状容器100の内側の曲線の最大角度の部分を、後述する底部10の内径の最外点10Aとする。
【0019】
側壁部30は、開口部50に向かって径が大きくなるように構成することができる。このような構成により、円筒形状容器100に内容物を入れやすく、かつ、安定性に優れるという利点を有する。
【0020】
図1及び図3に示すように、側壁部30は、開口部50側に薄肉化された加締め部31を有する。加締め部31は、通常の製造時の方向において垂直方向を指す、加締め部31の長さが、側壁部30の長さSの1/7以上であり、かつ、前記側壁部の厚さに対する前記加締め部の厚さTの比が0.3以上0.8以下であり、かつ、加締め部31の長さL[mm]と加締め部31の厚さT[mm]の積L×Tが1.0[mm]以上である。
【0021】
加締め部31が、上記の関係を満たすことにより、加締め部31を内側に折り曲げるために加締めるときに、加締め部31にしわができにくく、よれを抑制できる。したがって、本実施形態に係る円筒形状容器100によれば、外観性に優れる。そして、本実施形態に係る円筒形状容器100を、例えば、乾燥剤及び/又は酸素吸収剤含有容器に用いる場合、加締め部31にしわができにくく、よれを抑制できるため、後述する蓋体60を加締め部31によって確実に固定することができ、その結果として、容器の内容物である乾燥剤及び/又は酸素吸収剤がこぼれにくいという効果を奏する。
【0022】
加締め部31の長さは、側壁部30の長さSの29/200以上であってもよく、59/400以上であってもよく、3/20以上であってもよい。
【0023】
側壁部の厚さに対する加締め部の厚さTの比は、0.4以上であってもよく、そして、0.7以下であってもよい。
【0024】
上記積L×Tは、1.1[mm]以上であってもよく、1.2[mm]以上であってもよく、1.3[mm]以上であってもよく、1.4[mm]以上であってもよい。
【0025】
加締め部31の長さは、底部10の外径の1/8以上とすることができる。加締め部31の長さが底部10の外径の1/8以上であることにより、上述した場合と同様に、加締め部31を加締めるときに、加締め部31にしわができにくく、よれを抑制でき、円筒形状容器100は外観性に優れる。同様の観点から、加締め部31の長さは、底部10の外径の1/7以上であってもよく、1/6以上であってもよく、1/5以上であってもよい。
【0026】
図1に示すように、加締め部31の内径と底部10の外径が同一となるように構成することができる。このような構成により、取り扱い性に優れた容器を成形できる。
【0027】
図1に示すように、断面視において、側壁部30の薄肉化されていない部分である非加締め部33の開口部側端部34の内径側端点34Aと、対向する側壁部30が接続する底部10の内径の最外点10Aと結んだ対角線Dが交差する交差点を、径方向に延長した延長線Eが、非加締め部33の軸方向の中央から反開口部側に位置するように構成することができる。このような構成により、上述した場合と同様に、加締め部31を加締めるときに、加締め部31にしわができにくく、よれを抑制でき、円筒形状容器100は外観性に優れる。
【0028】
本実施形態に係る円筒形状容器100は、例えば、加締め部31の長さLを3mm以上6mm以下、かつ、前記加締め部の厚さを0.1mm以上0.8mm以下とすることができる。
【0029】
本実施形態に係る円筒形状容器100の材質は、上述した形状を有し得るものであれば特に限定されないが、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂であってもよい。円筒形状容器100の材質が熱可塑性樹脂である場合、従来公知の樹脂成形により円筒形状容器100を製造することができる。
【0030】
以上、本実施形態に係る円筒形状容器100の構成について説明した。次に、乾燥剤及び/又は酸素吸収剤含有容器200について、図4及び図5を用いて説明する。ここで、図4は、本実施形態に係る乾燥剤及び/又は酸素吸収剤含有容器の構成を例示する概略断面図であり、図5は、本実施形態に係る乾燥剤及び/又は酸素吸収剤含有容器200の製造方法を説明するための概略断面図である。なお、図4及び図5は、通常の製造時の方向において、乾燥剤及び/又は酸素吸収剤含有容器を垂直に切断した縦断面図である。上述した実施形態と同一又は類似する構成については、同一の符号を付して説明を省略する場合がある。本実施形態に係る乾燥剤及び/又は酸素吸収剤含有容器200は、上述した円筒形状容器100を用いてなるものであってもよい。
【0031】
[乾燥剤及び/又は酸素吸収剤含有容器200]
図4に示すように、本実施形態に係る乾燥剤及び/又は酸素吸収剤含有容器200は、円筒形状容器100と、円筒形状容器100に充填される乾燥剤及び/又は酸素吸収剤Aと、乾燥剤及び/又は酸素吸収剤A上に配置される蓋体60と、を有して構成される。
【0032】
乾燥剤及び/又は酸素吸収剤Aは、従来公知のものを用いることができる。乾燥剤は水分を吸収するものであればよく、酸素吸収剤は酸素を吸収するものであればよい。乾燥剤及び酸素吸収剤のいずれか一方のみを用いてもよく、乾燥剤及び酸素吸収剤の両方を用いてもよい。乾燥剤及び酸素吸収剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0033】
蓋体60は、乾燥剤及び/又は酸素吸収剤A上に配置され、かつ、乾燥剤及び/又は酸素吸収剤Aを覆うものであり、円筒形状容器100の加締め部31により固定される。蓋体60の材質は、通気性を有するものであれば特に限定されないが、厚紙等の紙、ポリプロピレン製等の不織布等とすることができる。
【0034】
図4に示すように、本実施形態に係る蓋体60は、上述した円筒形状容器100を用いて乾燥剤及び/又は酸素吸収剤含有容器200を製造した場合、折り曲げられた加締め部31の部分と非加締め部33の開口部側端部34により把持されるので、より確実に固定される。したがって蓋体60として、非常に薄く折れ曲がりやすい材質のものを用いた場合であっても、確実に固定することができ、乾燥剤及び/又は酸素吸収剤含有容器の軽量化を実現できる。また、本発明によれば、乾燥剤及び/又は酸素吸収剤Aがよりこぼれにくくなる。
【0035】
本実施形態に係る乾燥剤及び/又は酸素吸収剤含有容器200は、円筒形状容器100に乾燥剤及び/又は酸素吸収剤Aを充填し、乾燥剤及び/又は酸素吸収剤A上に、乾燥剤及び/又は酸素吸収剤Aを覆う蓋体60を配置し、容器の加締め部31を加締めることにより製造することができる(図5参照)。
【0036】
円筒形状容器100に乾燥剤及び/又は酸素吸収剤Aを充填する方法は、特に限定されず、従来公知の方法により実施できる。
【0037】
乾燥剤及び/又は酸素吸収剤A上に、蓋体60を配置する方法も特に限定されず、従来公知の方法により実施できる。
【0038】
加締め部31を加締める方法は、特に限定されないが、図5に示すように、加締め部31の形状に相応する形状を有する加熱治具Jを用いて、円筒形状容器100の材質がポリプロピレン等の熱可塑性樹脂である場合、好ましくは、加熱温度60℃以上150℃以下、加締め時間0.5秒間以上3秒間以下、加締め圧力8.5×10Pa以上14.0×10Pa以下の条件下で、加締め部31を加熱し、かつ、垂直方向に圧力をかけて加締め部31を加締めて内側に折り曲げることができる。上記条件下で加締め部31を加締めることにより、容器や内容物である乾燥剤及び/又は酸素吸収剤の変質を防ぐことができるとともに、より確実に加締め部31を加締めることができる。
【0039】
上述した円筒形状容器100を用いてなる、乾燥剤及び/又は酸素吸収剤含有容器200は、加締め部31を加締めるときに加締め部31にしわができにくく、よれを抑制できるため、蓋体60を、折り曲げられた加締め部31の部分と非加締め部33の開口部側端部34とによって確実に固定することができ、その結果として、容器の内容物である乾燥剤及び/又は酸素吸収剤がこぼれにくいという効果を奏する。
【0040】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載された範囲には限定されない。上記実施形態には、多様な変更または改良を加えることが可能である。
【0041】
例えば、上述した実施形態では、円筒形状容器100の底部10は、凸部11、凹部13、及び脚部15を有して構成されているが、凸部11、凹部13、及び脚部15を有していなくもよい。
【0042】
また、例えば、上述した実施形態では、円筒形状容器100は、底部10と側壁部30とは、曲線を有して接続されているが、曲線を有して接続されていなくてもよい。
【0043】
さらに、例えば、上述した実施形態では、側壁部30が開口部50に向かって径が大きくなるように構成されているが、側壁部30の径は一定であってもよい。
【実施例0044】
以下に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。
【0045】
[評価]
(加締め部の状態)
実施例及び比較例の酸素吸収剤含有容器を作製した後、加締め部の状態を目視で確認し、しわやよれの有無により、以下のとおり評価した。
A:しわやよれがない。
B:しわやよれがある。
【0046】
実施例1
側壁部の長さを20mm、側壁部の厚さを1.0mm、加締め部の長さLを4.0mm、加締め部の厚さTを0.5mm、底部の外径を14mmとし、積L×Tを2.0mmとした円筒形状容器(図1参照)に、酸素吸収剤(三菱瓦斯化学株式会社製、製品名「ファーマキープ」)を充填し、酸素吸収剤上に蓋体として厚紙を配置し、加熱治具を用いて、加熱温度100℃、加締め時間1秒間、加締め圧力9.1×10Pa±0.6×10Paの条件で加締め部を加締めて酸素吸収剤含有容器を作製した(図4参照)。その結果を表1に示す。
【0047】
実施例2~7及び比較例1~4
加締め部の長さL、加締め部の厚さT及び積L×Tを表1に示す値に変更した以外は、実施例1と同様に酸素吸収剤含有容器を作製した。
【0048】
【表1】
【0049】
表1からわかるように、本発明によれば、加締め部にしわやよれが生じないため、蓋体が、加締め部と非加締め部の開口部側端部とによって確実に把持される。その結果として、内容物がこぼれにくい乾燥剤及び/又は酸素吸収剤含有容器が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明の円筒形状容器は、加締め部と非加締め部の開口部側端部とによって確実に把持され、内容物がこぼれにくいため、乾燥剤及び/又は酸素吸収剤の包装用途に好適であり、乾燥剤及び/又は酸素吸収剤含有容器に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0051】
100:円筒形状容器、
200:乾燥剤及び/又は酸素吸収剤含有容器、
10:底部、10A:底部の内径の最外点、11:凸部、13:凹部、15:脚部、
30:側壁部、31:加締め部、33:非加締め部、34:非加締め部の開口部側端部、34A:開口部側端部の内径側端点、
50:開口部、
60:蓋体、
A:乾燥剤及び/又は酸素吸収剤、
D:対角線、E:延長線、L:加締め部の長さ、S:側壁部の長さ、T:加締め部の厚さ、
J:加熱治具
図1
図2
図3
図4
図5