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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104965
(43)【公開日】2024-08-06
(54)【発明の名称】電気光学装置、および電子機器
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1343 20060101AFI20240730BHJP
   G02F 1/1339 20060101ALI20240730BHJP
   G02F 1/1333 20060101ALI20240730BHJP
   G02F 1/13 20060101ALN20240730BHJP
【FI】
G02F1/1343
G02F1/1339 505
G02F1/1333 500
G02F1/13 505
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023009435
(22)【出願日】2023-01-25
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003177
【氏名又は名称】弁理士法人旺知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮脇 大介
【テーマコード(参考)】
2H088
2H092
2H189
2H190
【Fターム(参考)】
2H088EA14
2H088HA13
2H088HA21
2H088HA24
2H088KA26
2H088KA27
2H092GA15
2H092GA21
2H092HA04
2H092JB04
2H092KB02
2H092KB03
2H092KB12
2H092KB13
2H092NA25
2H092PA01
2H092PA04
2H092RA05
2H189DA04
2H189DA72
2H189EA04Y
2H189EA07X
2H189HA16
2H189KA17
2H189LA01
2H189LA03
2H189LA18
2H189MA07
2H190JA03
2H190JA05
2H190JB02
2H190LA01
2H190LA03
(57)【要約】
【課題】表示品位の低下が抑制された電気光学装置、および電子機器を提供すること。
【解決手段】電気光学装置は、画像を表示する表示領域と、平面視で前記表示領域の外側に設けられる周辺領域とを有する電気光学装置であって、第1基板と、前記第1基板に対向する第2基板と、前記周辺領域に設けられ、前記第1基板と前記第2基板との間に配置されるシール部材と、前記第1基板と前記第2基板との間に配置され、電界に応じて光学的特性が変化する電気光学層と、を備え、前記第1基板および前記第2基板の一方または両方は、前記表示領域に設けられ、透明導電材料を含み、前記電気光学層に電界を与える電極と、透明導電材料を含み、前記平面視で前記電極の外側に配置される周辺電極と、を有し、前記周辺電極のグレインサイズは、前記電極のグレインサイズよりも小さい。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する表示領域と、平面視で前記表示領域の外側に設けられる周辺領域とを有する電気光学装置であって、
第1基板と、
前記第1基板に対向する第2基板と、
前記周辺領域に設けられ、前記第1基板と前記第2基板との間に配置されるシール部材と、
前記第1基板と前記第2基板との間に配置され、電界に応じて光学的特性が変化する電気光学層と、を備え、
前記第1基板および前記第2基板の一方または両方は、前記表示領域に設けられ、透明導電材料を含み、前記電気光学層に電界を与える電極と、透明導電材料を含み、前記平面視で前記電極の外側に配置される周辺電極と、を有し、
前記周辺電極のグレインサイズは、前記電極のグレインサイズよりも小さい、
ことを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
前記周辺電極の111面の配向度は、前記電極の111面の配向度よりも低い、
請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項3】
前記周辺電極の抵抗値は、前記電極の抵抗値よりも低い、
請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項4】
前記第1基板および前記第2基板の一方または両方は、前記周辺電極の前記電気光学層とは反対の面に接触し、導電性を有する無機化合物を含む下地膜を、さらに備える、
請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項5】
前記第1基板および前記第2基板の一方または両方は、凹部を有し、
前記周辺電極は、前記凹部内に配置される、
請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項6】
前記凹部は、前記シール部材と離間し、前記シール部材に沿って枠状に形成される溝である、
請求項5に記載の電気光学装置。
【請求項7】
前記周辺電極を含む複数の周辺電極を備え、
前記複数の周辺電極は、互いに離間する、
請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項8】
前記第1基板および前記第2基板の一方または両方は、前記電気光学層に接触する配向膜を、さらに備え、
前記配向膜は、前記電極に接触する第1部分と、前記周辺電極に接触する第2部分と、を含み、
前記第2部分のグレインサイズは、前記第1部分のグレインサイズよりも小さい、
請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項9】
請求項1に記載の電気光学装置と、
前記電気光学装置の動作を制御する制御部と、を有することを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気光学装置、および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
プロジェクター等の電子機器には、例えば、画素ごとに光学的特性を変更可能な液晶表示装置等の電気光学装置が用いられる。当該電気光学装置の例として、特許文献1に記載の電気光学装置が知られている。
【0003】
特許文献1に記載の電気光学装置は、素子基板と、対向基板と、これら基板を貼り合わせるシール部材と、これら基板の間に設けられる液晶層と、を有する。素子基板および対向基板のうちの少なくとも一方の基板の液晶層と接する面には、イオン性不純物を保持するための凹状のイオン吸着部が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-252032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
イオン性不純物が液晶層で留まると、イオン性不純物の凝縮物により表示シミが発生してしまい、表示品位の低下を招いてしまう。このため、イオン性不純物を保持するトラップ能力の更なる向上が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電気光学装置の一態様は、画像を表示する表示領域と、平面視で前記表示領域の外側に設けられる周辺領域とを有する電気光学装置であって、第1基板と、前記第1基板に対向する第2基板と、前記周辺領域に設けられ、前記第1基板と前記第2基板との間に配置されるシール部材と、前記第1基板と前記第2基板との間に配置され、電界に応じて光学的特性が変化する電気光学層と、を備え、前記第1基板および前記第2基板の一方または両方は、前記表示領域に設けられ、透明導電材料を含み、前記電気光学層に電界を与える電極と、透明導電材料を含み、前記平面視で前記電極の外側に配置される周辺電極と、を有し、前記周辺電極のグレインサイズは、前記電極のグレインサイズよりも小さい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態に係る電気光学装置の平面図である。
図2図1に示す電気光学装置のA-A線の断面図である。
図3図1の第1基板の電気的な構成を示す等価回路図である。
図4図2の電気光学装置の一部を拡大した図である。
図5図4の周辺電極の平面的な配置を示す図である。
図6】第2実施形態の電気光学装置の一部を示す断面図である。
図7図6の周辺電極の平面図である。
図8】第3実施形態の電気光学装置の一部を示す断面図である。
図9】電子機器の一例であるパーソナルコンピューターを示す斜視図である。
図10】電子機器の一例であるスマートフォンを示す平面図である。
図11】電子機器の一例であるプロジェクターを示す模式図である。
図12】配向膜が有する第1部分の表面の画像である。
図13】配向膜が有する第2部分の表面の画像である。
図14】第4実施形態の電気光学装置の一部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態を説明する。なお、図面において各部の寸法または縮尺は実際と適宜に異なり、理解を容易にするために模式的に示す部分もある。また、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られない。
【0009】
1.電気光学装置
A.第1実施形態
A-1.基本構成
図1は、実施形態に係る電気光学装置100の平面図である。図2は、図1に示す電気光学装置100のA-A線の断面図である。以下では、説明の便宜上、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を適宜用いて説明する。また、X軸に沿う一方向をX1方向と表記し、X1方向とは反対の方向をX2方向と表記する。同様に、Y軸に沿う一方向をY1方向と表記し、Y1方向とは反対の方向をY2方向と表記する。Z軸に沿う一方向をZ1方向と表記し、Z1方向とは反対の方向をZ2方向と表記する。
【0010】
また、本明細書において、要素αと要素βとの「電気的な接続」は、要素αと要素βとが直接的に接合されることで導通する構成のほか、要素αと要素βとが他の導電体を介して間接的に導通する構成も含まれる。
【0011】
図1および図2に示す電気光学装置100は、アクティブマトリクス駆動方式の透過型の電気光学装置である。図2に示すように、電気光学装置100は、第1基板2と、第2基板3と、枠状のシール部材4と、液晶層5とを有する。図2に示すように、第1基板2、液晶層5および第2基板3は、この順にZ1方向に並ぶ。なお、第1基板2、液晶層5および第2基板3の重なる方向であるZ1方向またはZ2方向から見ることを「平面視」とする。また、図1に示す電気光学装置100の平面形状は四角形であるが、四角形以外の多角形または円形であってもよい。
【0012】
図2に示す電気光学装置100は透過型であって、第1基板2および第2基板3は、透光性を有する。具体的には、入射光LLが第2基板3に入射した後、第1基板2から出射される間に変調することにより、画像が表示される。なお、第1基板2に入射した光が第2基板3から出射される間に変調することにより、画像が表示されてもよい。また、「透光性」とは、可視光に対する透過性を意味し、好ましくは可視光の透過率が50%以上であることをいう。
【0013】
第1基板2は、基板21と、積層体20と、複数の画素電極22と、複数のダミー画素電極22dと、周辺電極25と、下地膜26と、配向膜29とを有する。基板21、積層体20、複数の画素電極22および配向膜29は、この順にZ1方向に積層される。
【0014】
基板21は、透光性および絶縁性を有する平板であり、例えばガラス基板または石英基板で構成される。積層体20は、詳細な図示はしないが、透光性を有する複数の絶縁膜を含む。当該複数の絶縁膜は、例えば酸化ケイ素等のケイ素を含む無機材料を含む。また、詳細な図示はしないが、積層体20には、各種配線等が設けられる。複数の画素電極22、および複数のダミー画素電極22dは、積層体20上に配置されており、同層に設けられる。複数の画素電極22は、液晶層5に電界を与える電極である。複数の画素電極22は、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)およびFTO(Fluorine-doped tin oxide)等の透明導電材料を含む透明導電膜である。複数のダミー画素電極22dは、表示には寄与しないものの、複数の画素電極22と同様に駆動制御される。例えば、複数のダミー画素電極22dは、複数の画素電極22に書き込まれる画像信号のノイズ対策等のために用いられる。複数のダミー画素電極22dは、複数の画素電極22を平面視で囲む。複数のダミー画素電極22dは、透明導電材料を含む。
【0015】
周辺電極25および下地膜26は、積層体20に配置される。周辺電極25は、液晶層5中のイオン性不純物をトラップするイオントラップ用電極である。周辺電極25は、例えば、ITO、IZOおよびFTO等の透明導電材料を含む透明導電膜である。下地膜26は、周辺電極25の下層に配置され、周辺電極25に接触する。下地膜26は、導電性を有する無機化合物を含み、遮光性を有する。配向膜29は、透光性および絶縁性を有する。配向膜29は、液晶層5に接触しており、液晶層5が有する液晶分子50を配向させる。配向膜29は、複数の画素電極22、複数のダミー画素電極22d、および周辺電極25を覆い、これらに接触する。配向膜29の材料は、例えば酸化ケイ素等である。
【0016】
また、図1に示すように、第1基板2には、駆動回路10と複数の外部端子13とが配置される。駆動回路10は、走査線駆動回路11と信号線駆動回路12とを含む。複数の外部端子13の一部は、図示しないが、走査線駆動回路11または信号線駆動回路12から引き回される配線に接続される。また、複数の外部端子13は、定電位Vcomが印加させる端子を含む。
【0017】
図2に示すように、第2基板3は、第1基板2に対向する。第2基板3は、基板31と、積層体30と、電極部300と、下地膜36と、配向膜39と、見切り38とを有する。電極部300は、対向電極32および周辺電極35を含む。基板31、積層体30、対向電極32および配向膜39は、この順にZ2方向に積層される。
【0018】
基板31は、透光性および絶縁性を有する平板であり、例えばガラス基板または石英基板で構成される。積層体30は、絶縁層301、レンズ層302、絶縁層303、レンズ層304、および絶縁層305を含む。絶縁層301、レンズ層302、絶縁層303、レンズ層304、および絶縁層305は、この順に基板31からZ2方向に積層される。各層は、透光性および絶縁性を有しており、例えば酸化ケイ素等のケイ素を含む無機材料で形成される。
【0019】
絶縁層301は複数の凹みを有する。レンズ層302は、絶縁層303からZ1方向に向かって突出する複数の凸状のレンズを有する。当該複数の凸状のレンズは、絶縁層301の複数の凹みに接触する。絶縁層303には、見切り38が設けられる。見切り38は、詳細な図示はしないが、平面視で複数の画素電極22を囲む遮光性の見切りとして機能する。なお、「遮光性」とは、可視光に対する遮光性を意味し、好ましくは可視光の透過率が50%未満であることをいい、より好ましくは15%以下であることをいう。レンズ層304は、絶縁層303からZ2方向に向かって突出する複数の凸状のレンズを有する。絶縁層305は、複数の凹みを有する。当該複数の凹みは、レンズ層304の複数の凸状のレンズに接触する。絶縁層305は、対向電極32に接触する。絶縁層305の対向電極32に接触する面は、平坦面である。なお、積層体30は、レンズを有していなくてもよく、1層で構成されてもよい。
【0020】
電極部300は、積層体30と配向膜39との間に配置される導電性を有する膜である。電極部300は、前述のように、対向電極32および周辺電極35を含む。対向電極32は、電極部300のうち、複数の画素電極22に対して液晶層5を介して対向する部分である。対向電極32は、液晶層5に電界を与える電極である。対向電極32は、透光性および導電性を有する。対向電極32は、例えば、ITO、IZOおよびFTO等の透明導電材料を含む透明導電膜である。周辺電極35は、対向電極32の外側に配置される。周辺電極35は、液晶層5中のイオン性不純物をトラップするイオントラップ用電極である。周辺電極35は、例えば、ITO、IZOおよびFTO等の透明導電材料を含む透明導電膜である。下地膜36は、周辺電極35の下層に配置され、周辺電極35に接触する。下地膜36は、導電性を有する無機化合物を含み、遮光性を有する。配向膜39は、透光性および絶縁性を有する。配向膜39は、液晶層5に接触しており、液晶層5が有する液晶分子を配向させる。配向膜39は、電極部300を覆い、電極部300に接触する。配向膜39の材料は、例えば酸化ケイ素等である。
【0021】
また、図1に示すように、第2基板3には、複数の基板間導通材6が設けられる。複数の基板間導通材6は、第1基板2との第2基板3とを電気的に接続するための導通材である。基板間導通材6は、第1基板2に配置される図示省略された引き回し配線を介して、複数の外部端子13のうちの定電位Vcomが印加させる端子に接続される。よって、対向電極32には定電位Vcomが印加させる。
【0022】
シール部材4は、第1基板2と第2基板3との間に配置され、液晶層5をシールする。シール部材4は、例えばエポキシ樹脂等のUV硬化性材料を含む。UVは、ultravioletの略称であり、特に、波長100nm以上400nm以下の光をいう。また、シール部材4は、ガラス等の無機材料で構成されるギャップ材を含んでもよい。
【0023】
液晶層5は、第1基板2、第2基板3およびシール部材4によって囲まれる領域内に配置される。液晶層5は、電界に応じて光学的特性が変化する電気光学層である。液晶層5は、正または負の誘電異方性を有する液晶分子50を含む。液晶分子50の配向は、液晶層5に印加される電圧に応じて変化する。
【0024】
図1に示すように、電気光学装置100は、表示領域A10と周辺領域A20とを有する。表示領域A10は、画像が表示される領域である。表示領域A10には、行列状に配列される複数の画素Pが設けられる。複数の画素Pに対して複数の画素電極22が1対1で配置される。前述の対向電極32は、複数の画素Pで共通に設けられる。
【0025】
周辺領域A20は、平面視で表示領域A10の外側に設けられる。周辺領域A20は、平面視で表示領域A10を囲む枠状である。周辺領域A20は、ダミー画素領域A21と、周辺電極領域A22と、中間領域A23と、シール領域A24とを含む。これら領域の各平面形状は、枠状である。ダミー画素領域A21には、複数のダミー画素電極22dが配置される。周辺電極領域A22には、複数の周辺電極25が配置される。中間領域A23は、平面視で周辺電極領域A22とシール領域A24との間の領域である。シール領域A24には、シール部材4が配置される。したがって、シール部材4は、対向電極32の外側に設けられる。また、ダミー画素領域A21、周辺電極領域A22、および中間領域A23には、見切り38が配置される。また、周辺領域A20には、走査線駆動回路11、信号線駆動回路12および複数の外部端子13が配置される。
【0026】
また、電気光学装置100は、例えば、後述するパーソナルコンピューターおよびスマートフォン等のカラー表示を行う表示装置に適用される。当該表示装置に適用される場合、電気光学装置100に対してカラーフィルターが適宜用いられる。また、電気光学装置100は、例えば、後述する投射型のプロジェクターに適用される。この場合、電気光学装置100は、ライトバルブとして機能する。なお、この場合、電気光学装置100に対してカラーフィルターが省略される。
【0027】
A-2.第1基板2の電気的な構成
図3は、図1の第1基板2の電気的な構成を示す等価回路図である。図3に示すように、第1基板2は、複数のトランジスター23とn本の走査線241とm本の信号線242とn本の定電位線243とを有する。これらは、図2の積層体20に配置される。nおよびmはそれぞれ2以上の整数である。また、n本の走査線241とm本の信号線242との各交差に対応してトランジスター23が配置される。各トランジスター23は、例えばスイッチング素子として機能するTFT(Thin Film Transistor)である。各トランジスター23は、ゲート、ソースおよびドレインを含む。
【0028】
n本の走査線241のそれぞれはX1方向に延在し、n本の走査線241はY1方向に等間隔で並ぶ。n本の走査線241のそれぞれは、対応する複数のトランジスター23のゲートに電気的に接続される。n本の走査線241は、図1に示す走査線駆動回路11に電気的に接続される。1~n本の走査線241には、走査線駆動回路11から走査信号G1、G2、…、およびGnが線順次で供給される。
【0029】
図3に示すm本の信号線242のそれぞれはY1方向に延在し、m本の信号線242はX1方向に等間隔で並ぶ。m本の信号線242のそれぞれは、対応する複数のトランジスター23のソースに電気的に接続される。m本の信号線242は、図1に示す信号線駆動回路12に電気的に接続される。1~m本の信号線242には、信号線駆動回路12から画像信号S1、S2、…、およびSmが並行に供給される。
【0030】
図3に示すn本の走査線241とm本の信号線242とは、互いに電気的に絶縁されており、平面視で格子状に配置される。隣り合う2つの走査線241と隣り合う2つの信号線242とで囲まれる領域が画素Pに対応する。画素Pごとにトランジスター23、画素電極22および蓄積容量24が設けられる。画素電極22は、トランジスター23に対して1対1で設けられる。各画素電極22は、対応するトランジスター23のドレインに電気的に接続される。
【0031】
n本の定電位線243のそれぞれはX1方向に延在し、n本の定電位線243はY1方向に等間隔で並ぶ。また、n本の定電位線243は、n本の走査線241およびm本の信号線242に対して電気的に絶縁されており、これらに対して間隔をもって配置される。各定電位線243には、定電位Vcomが印加される。n本の定電位線243のそれぞれは、対応する蓄積容量24が有する2つの電極のうちの一方に電気的に接続される。各蓄積容量24は、画素電極22の電位を保持するための保持容量である。蓄積容量24は、トランジスター23に対して1対1で設けられる。また、各蓄積容量24が有する2つの電極のうちの他方は、対応する画素電極22に電気的に接続される。したがって、蓄積容量24の一方の電極には定電位Vcomが印加され、他方の電極はトランジスター23のドレインに電気的に接続される。
【0032】
走査信号G1、G2、…、およびGnが順次アクティブとなり、n本の走査線241が順次選択されると、選択される走査線241に接続されるトランジスター23がオン状態となる。すると、m本の信号線242を介して表示すべき階調に応じた大きさの画像信号S1、S2、…、およびSmの応じた電位が、選択される走査線241に対応する画素Pの画素電極22に印加される。これにより、画素電極22と対向電極32との間に形成される液晶容量に、表示すべき階調に応じた電圧が印加され、印加される電圧に応じて液晶分子50の配向が変化する。また、蓄積容量24によって、印加される電圧が保持される。このような液晶分子50の配向の変化によって光が変調され階調表示が可能となる。
【0033】
1C.周辺電極25および35
図4は、図2の電気光学装置の一部を拡大した図である。図4に示すように、第1基板2は、周辺電極25および側壁部27を有する。周辺電極25および側壁部27は、積層体20に設けられる。具体的には、周辺電極25および側壁部27は、積層体20に形成された凹部210内に配置される。凹部210は、積層体20の液晶層5を向く面に形成された溝である。各凹部210は、周辺領域A20に設けられ、表示領域A10の外側に位置する。
【0034】
周辺電極25は、凹部210の底部に配置される。側壁部27は、周辺電極25に接続され、凹部210の側壁に配置される。また、周辺電極25は、第1面251と第2面252とを含む。第1面251は、配向膜29に接触する面であり、液晶層5を向く面である。第2面252は、下地膜26と接触する面であり、周辺電極25の液晶層5とは反対の面である。
【0035】
周辺電極25は、例えば、複数の画素電極22と同じ材料である。周辺電極25および複数の画素電極22は、例えば、積層体20上に一様に形成された膜をエッチングすることにより一括で形成される。また、周辺電極25および複数の画素電極22のそれぞれは、複数の結晶粒子を有する。そして、周辺電極25のグレインサイズ、すなわち粒径は、各画素電極22のグレインサイズよりも低い。
【0036】
第2基板3は、周辺電極35および側壁部37を有する。周辺電極35および側壁部37は、積層体30に設けられる。具体的には、周辺電極35および側壁部37は、電極部300のうち、積層体30に形成された凹部310内に配置される部分である。凹部310は、積層体30の液晶層5を向く面に形成された溝である。各凹部310は、周辺領域A20に設けられ、表示領域A10の外側に位置する。
【0037】
周辺電極35は、凹部310の底部に配置される。側壁部37は、周辺電極35に接続され、凹部310の側壁に配置される。また、周辺電極35は、第1面351と第2面352とを含む。第1面351は、配向膜39に接触する面であり、液晶層5を向く面である。第2面352は、下地膜36と接触する面であり、周辺電極35の液晶層5とは反対の面である。
【0038】
周辺電極35は、対向電極32と同じ材料であり、対向電極32と一体である。また、周辺電極35および対向電極32のそれぞれは、複数の結晶粒子を有する。そして、周辺電極35のグレインサイズは、対向電極32のグレインサイズよりも低い。
【0039】
ここで、シール部材4、液晶層5、配向膜29および39に光が入射すると、光化学反応によりイオン性不純物が発生する。例えば、液晶層5の紫外線劣化により、液晶材料から離脱したイオン性不純物が液晶層5中に拡散する。当該イオン性不純物、すなわち液晶の分解物が凝集すると、例えば、シミ等の発生により凝集物が局在化することによりシミが発生するおそれがある。この結果、表示品位の劣化を招くおそれがある。このため、表示領域A10中にイオン性物質が留まることは好ましくない。そこで、電気光学装置100では、当該イオン性物質をトラップするために、周辺電極25および35を備えている。
【0040】
前述のように、周辺電極25のグレインサイズは、各画素電極22のグレインサイズよりも小さい。このため、周辺電極25のグレインサイズが各画素電極22のグレインサイズ以上である場合に比べ、周辺電極25にイオン性不純物を留らませ易い。このため、表示領域A10中のイオン性不純物を効果的にトラップすることができる。よって、イオン性不純物が、表示領域A10に留まることが抑制される。加えて、周辺電極25に留まっているイオン性物質が表示領域A10に再度拡散するおそれを効果的に抑制することができる。それゆえ、表示品位の低下を抑制することができる。
【0041】
同様に、周辺電極35のグレインサイズは、対向電極32のグレインサイズよりも小さい。このため、周辺電極35のグレインサイズが対向電極32のグレインサイズ以上である場合に比べ、周辺電極35にイオン性不純物を留らませ易い。このため、表示領域A10中のイオン性不純物を効果的にトラップすることができる。よって、イオン性不純物が、表示領域A10に留まることが抑制される。加えて、周辺電極35に留まっているイオン性物質が表示領域A10に再度拡散するおそれを効果的に抑制することができる。それゆえ、表示品位の低下を抑制することができる。
【0042】
なお、周辺電極25および35のうちのいずれか一方は、省略されてもよい。ただし、周辺電極25および35の両方が設けられることで、一方が設けられる場合に比べ、イオン性不純物が表示領域A10に留まることを抑制することができる。
【0043】
また、周辺電極25の結晶性は、複数の画素電極22の結晶性よりも高い。同様に、周辺電極35の結晶性は、対向電極32の結晶性よりも高い。例えば、周辺電極25、35、対向電極32および画素電極22がITOを含む場合、ITOのIn結晶子は(111)方位の三角錐状の構造を作り、緻密に整列する。立方形状のInは(111)方位面に結晶子すなわち立方晶構造が緻密に整列する。
【0044】
周辺電極25の111面の配向度は、各画素電極22の111面の配向度よりも低い。配向度が低いとイオントラップ性が高まる。このため、周辺電極25の111面の配向度が各画素電極22の111面の配向度よりも低いことで、周辺電極25を、イオン性不純物をトラップするイオントラップ電極として機能させることができる。
【0045】
同様に、周辺電極35の111面の配向度が対向電極32の111面の配向度よりも低い。このため、周辺電極35を、イオン性不純物をトラップするイオントラップ電極として機能させることができる。よって、イオン性不純物が、表示領域A10に留まることが抑制される。
【0046】
各画素電極22の111面の配向度は、50%以上であることが好ましく、周辺電極25の111面の配向度は、50%未満であることが好ましい。別の言い方をすれば、各画素電極22は、111面の配向が強い。同様に、対向電極32の111面の配向度は、50%以上であることが好ましく、周辺電極35の111面の配向度は、50%未満であることが好ましい。別の言い方をすれば、対向電極32は、111面の配向が強い。配向度は、X線回折法で測定される。配向度は、X線回折パターンのピーク強度から求められ、配向が他の方向への配向に比べて高められている度合をいう。
【0047】
特に、周辺電極25および35は、アモルファスであることが好ましい。アモルファスであることで、アモルファスでない場合に比べ、イオン性不純物をトラップする機能を好適に発揮することができる。
【0048】
加えて、周辺電極25の抵抗値は、各画素電極22の抵抗値よりも低い。このため、周辺電極25にイオン性不純物を留らませ易くなる。また、イオン性不純物を特に効果的に留らませるためには、周辺電極25の抵抗値[Ω/cm]は、各画素電極22の抵抗値[Ω/cm]の1/2以下であることが好ましい。周辺電極25の抵抗値は、具体的には例えば、5.0[Ω/cm]以上7.0[Ω/cm]以下である。各画素電極22の抵抗値は、具体的には例えば、10.0[Ω/cm]以上14.0[Ω/cm]以下である。なお、周辺電極25の抵抗値は、各画素電極22の抵抗値以上でもよい。
【0049】
同様に、周辺電極35の抵抗値は、対向電極32の抵抗値よりも低い。このため、周辺電極35にイオン性不純物を留らませ易くなる。なお、周辺電極35の抵抗値は、対向電極32の抵抗値以上でもよい。
【0050】
また、前述のように、周辺電極25は、凹部210内に設けられる。このため、周辺電極25が平坦面上に設けられる場合に比べ、周辺電極25にイオン性不純物を留らませ易く、かつ、イオン性物質が表示領域A10に再度拡散し難い。よって、長期にわたり、表示品位の低下を抑制することができる。
【0051】
同様に、周辺電極35は、凹部310内に設けられる。このため、周辺電極35が平坦面上に設けられる場合に比べ、周辺電極35にイオン性不純物を留らませ易く、かつ、イオン性物質が表示領域A10に再度拡散し難い。よって、長期にわたり、表示品位の低下を抑制することができる。
【0052】
なお、凹部210および310の各深さは特に限定されないが、深いほどイオントラップ性能を向上させることができる。
【0053】
また、周辺電極25の厚さは特に限定されないが、画素電極22と周辺電極25とを一括で形成することによる製造の容易性の観点から、例えば各画素電極22の厚さと同様であることが好ましい。同様に、周辺電極35の厚さは特に限定されないが、対向電極32と周辺電極25とを一括で形成することによる製造の容易性の観点から、例えば対向電極32の厚さと同様であることが好ましい。
【0054】
1D.下地膜26および27
図4に示すように、下地膜26は、周辺電極25の下層に設けられる。具体的には、凹部210の底面は開口しており、下地膜26は、周辺電極25の第2面252に接触する。したがって、下地膜26上に周辺電極25が設けられている。下地膜26は、前述のように、導電性を有する無機化合物を含む。具体的には例えば、下地膜26の材料としては、TiN(窒化チタン)、およびWSi(タングステンシリサイド)等の導電性を有する無機化合物が挙げられる。
【0055】
下地膜26上に周辺電極25が形成されることで、周辺電極25のグレインサイズを各画素電極22のグレインサイズよりも小さくすることができる。なお、各画素電極22は、積層体20に接触する。積層体20を形成する複数の絶縁膜は、酸化ケイ素等のケイ素を含む無機材料で形成されており、導電性を有していない。周辺電極25は複数の画素電極22と同一材料であるが、下地膜26上に周辺電極25を形成することで、周辺電極25のグレインサイズを複数の画素電極22のグレインサイズよりも小さくすることができる。
【0056】
同様に、下地膜36は、周辺電極35の下層に設けられる。具体的には、凹部310の底面は開口しており、下地膜36は、周辺電極35の第2面352に接触する。したがって、下地膜36上に周辺電極35が設けられている。下地膜36は、前述のように、導電性を有する無機化合物を含む。具体的には例えば、下地膜36の材料としては、TiN、およびWSi等の導電性を有する無機化合物が挙げられる。
【0057】
下地膜36上に周辺電極25が形成されることで、周辺電極35の111面のグレインサイズを対向電極32の111面のグレインサイズよりも小さくすることができる。なお、対向電極32は、積層体30に接触する。積層体30を形成する複数の絶縁膜は、酸化ケイ素等のケイ素を含む無機材料で形成されており、導電性を有していない。周辺電極35は対向電極32と同一材料であるが、下地膜36上に周辺電極25を形成することで、周辺電極25のグレインサイズを対向電極32のグレインサイズよりも小さくすることができる。
【0058】
1E.配向膜29および39
図4に示すように、配向膜29は、周辺電極25および複数の画素電極22上に設けられる。配向膜29は、複数の第1部分291と第2部分292とを含む。複数の第1部分291は、複数の画素電極22上の部分である。第2部分292は、周辺電極25上の部分である。また、配向膜29は、欠損部H2を有する。配向膜29は、例えば、斜方蒸着により形成される。このため、斜方蒸着により配向膜29を形成する際、凹部210の壁面が陰になり、配向膜29が蒸着されない部分が生じる。当該部分が欠損部H2である。
【0059】
同様に、周辺電極35および対向電極32上には、配向膜39が設けられる。配向膜39は、第1部分391と第2部分392とを含む。第1部分391は、対向電極32上の部分である。第2部分392は、周辺電極35上の部分である。また、配向膜39は、欠損部H3を有する。配向膜39は、例えば、斜方蒸着により形成される。このため、斜方蒸着により配向膜39を形成する際、凹部310の壁面が陰になり、配向膜39が蒸着されない部分が生じる。当該部分が欠損部H3である。
【0060】
周辺電極25のグレインサイズが複数の画素電極22のグレインサイズよりも小さいことで、第2部分292のグレインサイズを第1部分291のグレインサイズよりも小さくすることができる。よって、第2部分292は、周辺電極25のトラップ性を発揮する。このため、第2部分292を、イオン性不純物をトラップするイオントラップ部として機能させることができる。また、欠損部H2が存在していても、存在していない場合と変わらず、第2部分292は、トラップ性能を発揮することができる。
【0061】
同様に、周辺電極35のグレインサイズが対向電極32のグレインサイズよりも小さいことで、第2部分392のグレインサイズを第1部分391のグレインサイズよりも小さくすることができる。よって、第2部分392は、周辺電極35のトラップ性を発揮する。このため、第2部分392を、イオン性不純物をトラップするイオントラップ部として機能させることができる。また、欠損部H3が存在していても、存在していない場合と変わらず、第2部分392は、トラップ性能を発揮することができる。
【0062】
図12は、配向膜29が有する第1部分291の表面の画像である。図13は、配向膜29が有する第2部分292の表面の画像である。図12および図13に示すように、第2部分292のグレインサイズは、第1部分291のグレインサイズよりも小さい。第2部分292の111面の配向度は、第1部分291の111面の配向度よりも低い。また、特に、図13に示すように、第2部分292の表面は、アモルファスである。
【0063】
なお、画像では示さないが、第1部分391の表面は、図12に示す画像と同様である。第2部分392の表面は、図13に示す画像と同様であり、アモルファスである。
【0064】
また、本実施形態では、配向膜29は周辺電極25上に設けられる第2部分292を有するが、配向膜29は、周辺電極25上に配置されていなくてもよい。よって、第2部分292は存在していなくてもよい。同様に、配向膜39は周辺電極35上に設けられる第2部分392を有するが、配向膜39は、周辺電極35上に配置されていなくてもよい。よって、第2部分392は存在していなくてもよい。
【0065】
1F.周辺電極25および35の平面配置
図5は、図4の周辺電極25および35の平面的な配置を示す図である。図5に示すように、凹部210および310は、周辺領域A20に配置されており、平面視で表示領域A10を囲む。よって、周辺電極25および35は、周辺領域A20に配置されており、表示領域A10を囲む。したがって、詳細な図示はしないが、周辺電極25および35は、平面視で、複数の画素電極22および対向電極32を囲む。
【0066】
また、凹部210および310は、シール部材4と離間し、シール部材4の内縁に沿って枠状に形成される溝である。したがって、周辺電極25および35は、シール部材4と離間し、シール部材4の内縁に沿って枠状に配置される。周辺電極25および35が枠状であることで、液晶層5中のイオン性不純物を液晶層5の全周に渡ってトラップし易い。なお、周辺電極25および35が枠状でなくてもよく、例えば点在していてもよい。
【0067】
以上説明したように、電気光学装置100は、前述の周辺電極25および35を有するため、従来よりもイオントラップ性能をより向上させることができる。このため、従来の構成に比べ、イオン性不純物の凝縮物により表示シミが発生するおそれが低減される。よって、従来の構成よりも表示品位の低下をさらに抑制することができる。
【0068】
B.第2実施形態
第2実施形態を説明する。なお、以下の各例示において機能が第1実施形態と同様である要素については、第1実施形態の説明で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0069】
図6は、第2実施形態の電気光学装置100Aの一部を示す断面図である。図7は、図6の周辺電極25および35の平面図である。本実施形態の電気光学装置100Aは、複数の凹部210、複数の凹部310、複数の周辺電極25、および複数の周辺電極35を有することが第1実施形態の電気光学装置100と異なる。なお、第2実施形態では中間領域A23が省略される。
【0070】
図6に示すように、電気光学装置100Aの第1基板2Aが有する積層体20Aは、複数の凹部210を有する。図示の例では、積層体20Aは、複数の凹部210として3つの凹部210を有する。図7に示すように、各凹部210は、シール部材4と離間し、シール部材4の内縁に沿って枠状に配置される。また、3つの凹部210は、互いに離間し、表示領域A10から外側に向かって並ぶ。
【0071】
図6に示すように、第1基板2Aは、複数の周辺電極25および複数の側壁部27を含む。複数の周辺電極25および複数の側壁部27は、複数の凹部210に1対1で配置される。図7に示すように、各周辺電極25は、シール部材4と離間し、シール部材4の内縁に沿って枠状に配置される。また、3つの周辺電極25は、互いに離間し、表示領域A10から外側に向かって並ぶ。
【0072】
図6に示すように、電気光学装置100Aの第2基板3Aが有する積層体30Aは、複数の凹部310を有する。図示の例では、積層体30Aは、複数の凹部310として3つの凹部310を有する。図7に示すように、各凹部310は、シール部材4と離間し、シール部材4の内縁に沿って枠状に配置される。また、3つの凹部310は、互いに離間し、表示領域A10から外側に向かって並ぶ。
【0073】
図6に示すように、第2基板3Aは、複数の周辺電極35および複数の側壁部37を含む。複数の周辺電極35および複数の側壁部37は、複数の凹部310に1対1で配置される。図7に示すように、各周辺電極35は、シール部材4と離間し、シール部材4の内縁に沿って枠状に配置される。また、3つの周辺電極35は、互いに離間し、表示領域A10から外側に向かって並ぶ。
【0074】
複数の周辺電極25を備えることで、1つの周辺電極25を有する場合に比べ、イオントラップ性能を向上させることができる。よって、表示品位の低下をより抑制することができる。同様に、複数の周辺電極35を備えることで、1つの周辺電極35を有する場合に比べ、イオントラップ性能を向上させることができる。よって、従来よりも表示シミを低減することができ、この結果、従来よりも表示品位の低下をより抑制することができる。
【0075】
C.第3実施形態
第3実施形態を説明する。なお、以下の各例示において機能が第1実施形態と同様である要素については、第1実施形態の説明で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0076】
図8は、第3実施形態の電気光学装置100Bの一部を示す断面図である。本実施形態の電気光学装置100Bは、周辺電極25および35の代わりに、周辺電極25Bおよび35Bを有することが第1実施形態の電気光学装置100と異なる。
【0077】
図8に示すように、第1基板2Bが有する積層体20Bは、凹部201Bを有する。凹部201B内に下地膜26が配置される。下地膜26の液晶層5を向く面と積層体20Bの液晶層5を向く面とは、連続しており、平坦である。下地膜26は、周辺電極25Bの第2面252に接触する。周辺電極25Bは、凹部201B内に配置されておらず、平坦面上に配置されていると捉えられる。
【0078】
同様に、第2基板3Bが有する積層体30Bは、凹部310Bを有する。凹部310B内に下地膜36が配置される。下地膜36の液晶層5を向く面と積層体30Bの液晶層5を向く面とは、連続しており、平坦である。下地膜36は、周辺電極35Bの第2面352に接触する。周辺電極35Bは、凹部310B内に配置されておらず、平坦面上に配置されていると捉えられる。周辺電極35Bは、電極部300Bのうちの下地膜36に接触する部分である。
【0079】
本実施形態においても第1実施形態と同様に、周辺電極25Bのグレインサイズは、複数の画素電極22のグレインサイズよりも小さい。また、周辺電極35Bのグレインサイズは、対向電極32のグレインサイズよりも小さい。このため、従来の構成よりも、周辺電極25Bおよび35Bはイオン性不純物のイオントラップ性能に優れる。よって、従来よりも表示シミを低減することができ、この結果、従来よりも表示品位の低下をより抑制することができる。
【0080】
また、第1実施形態と同様に、配向膜29は、周辺電極25Bおよび複数の画素電極22上に配置される。配向膜29の第2部分292のグレインサイズは、第1部分291のグレインサイズよりも小さい。よって、第2部分292は、周辺電極25Bのトラップ性を発揮する。同様に、配向膜39は、周辺電極35Bおよび対向電極32上に配置される。配向膜39の第2部分392のグレインサイズは、第1部分391のグレインサイズよりも小さい。よって、第2部分392は、周辺電極35Bのトラップ性を発揮する。
【0081】
D.第4実施形態
第4実施形態を説明する。なお、以下の各例示において機能が第1実施形態と同様である要素については、第1実施形態の説明で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0082】
図14は、第4実施形態の電気光学装置100Cの一部を示す断面図である。本実施形態の電気光学装置100Cは、積層体20、30、周辺電極25および35、下地膜26および36の代わりに、積層体20C、30C、周辺電極25Cおよび35C、下地膜26Cおよび36Cを有することが第1実施形態の電気光学装置100と異なる。
【0083】
図14に示すように、第1基板2Cが有する積層体20Cの液晶層5を向く面は、平坦面であり、積層体20Cには凹部201が設けられていない。下地膜26Cは、当該平坦面上に配置される。周辺電極25Cは、下地膜26C上に配置される。よって、下地膜26Cおよび周辺電極25Cは、積層体20Cから突出している。
【0084】
同様に、第2基板3Cが有する積層体30Cの液晶層5を向く面は、平坦面であり、積層体30Cには凹部310が設けられていない。下地膜36Cは、当該平坦面上に配置される。周辺電極35Cは、下地膜36C上に配置される。よって、下地膜36Cおよび周辺電極35Cは、積層体20Cから突出している。なお、周辺電極35Cは、電極部300Cのうちの下地膜36Cに接触する部分である。
【0085】
本実施形態においても第1実施形態と同様に、周辺電極25Cのグレインサイズは、複数の画素電極22のグレインサイズよりも小さい。また、周辺電極35Cのグレインサイズは、対向電極32のグレインサイズよりも小さい。このため、従来の構成よりも、周辺電極25Cおよび35Cはイオン性不純物のイオントラップ性能に優れる。よって、従来よりも表示シミを低減することができ、この結果、従来よりも表示品位の低下をより抑制することができる。
【0086】
また、第1実施形態と同様に、配向膜29は、周辺電極25Cおよび複数の画素電極22上に配置される。配向膜29の第2部分292のグレインサイズは、第1部分291の111面のグレインサイズよりも小さい。よって、第2部分292は、周辺電極25Bのトラップ性を発揮する。同様に、配向膜39は、周辺電極35Cおよび対向電極32上に配置される。配向膜39の第2部分392のグレインサイズは、第1部分391のグレインサイズよりも小さい。よって、第2部分392は、周辺電極35Cのトラップ性を発揮する。
【0087】
E.変形例
以上に例示した実施形態は多様に変形され得る。前述の実施形態に適用され得る具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は、相互に矛盾しない範囲で適宜に併合され得る。
【0088】
第1基板2が有する「周辺電極」の数と、第2基板3が有する「周辺電極」の数とは、互いに同じでなくてもよく、異なっていてもよい。また、第1基板2および第2基板3のうちのいずれか一方は、凹部内に「周辺電極」が配置されており、他方は、平坦面上に「周辺電極」が配置されてもよい。また、第1基板2が有する「周辺電極」と、第2基板3が有する「周辺電極」とは、平面視で重なっていてもよいし、重なっていなくてもよい。また、第1基板2および第2基板3のうちのいずれか一方に「周辺電極」が配置され、他方には「周辺電極」が配置されていなくてもよい。
【0089】
前述の各実施形態では、アクティブマトリクス方式の電気光学装置100が例示されるが、これに限定されず、電気光学装置100の駆動方式は、例えば、パッシブマトリクス方式等でもよい。
【0090】
「電気光学装置」の駆動方式は、縦電界方式に限定されず、横電界方式でもよい。なお、横電界方式としては、例えばIPS(In Plane Switching)モードが挙げられる。また、縦電界方式としては、TN(Twisted Nematic)モード、VA(Virtical Alignment)、PVAモードおよびOCB(Optically Compensated Bend)モードが挙げられる。
【0091】
また、前述した説明では、「電気光学装置」の一例として液晶表示装置について説明したが、「電気光学装置」のはこれに限定されない。例えば、「電気光学装置」のは、イメージセンサー等にも適用することができる。
【0092】
2.電子機器
電気光学装置100は、各種電子機器に用いることができる。
【0093】
図9は、電子機器の一例であるパーソナルコンピューター2000を示す斜視図である。パーソナルコンピューター2000は、各種の画像を表示する電気光学装置100と、電源スイッチ2001およびキーボード2002が設置される本体部2010と、制御部2003と、を有する。制御部2003は、例えばプロセッサーおよびメモリーを含み、電気光学装置100の動作を制御する。
【0094】
図10は、電子機器の一例であるスマートフォン3000を示す平面図である。スマートフォン3000は、操作ボタン3001と、各種の画像を表示する電気光学装置100と、制御部3002と、を有する。操作ボタン3001の操作に応じて電気光学装置100に表示される画面内容が変更される。制御部3002は、例えばプロセッサーおよびメモリーを含み、電気光学装置100の動作を制御する。
【0095】
図11は、電子機器の一例であるプロジェクターを示す模式図である。投射型表示装置4000は、例えば、3板式のプロジェクターである。電気光学装置1rは、赤色の表示色に対応する電気光学装置100であり、電気光学装置1gは、緑の表示色に対応する電気光学装置100であり、電気光学装置1bは、青色の表示色に対応する電気光学装置100である。すなわち、投射型表示装置4000は、赤、緑および青の表示色に各々対応する3個の電気光学装置1r、1g、1bを有する。制御部4005は、例えばプロセッサーおよびメモリーを含み、電気光学装置100の動作を制御する。
【0096】
照明光学系4001は、光源である照明装置4002からの出射光のうち赤色成分rを電気光学装置1rに供給し、緑色成分gを電気光学装置1gに供給し、青色成分bを電気光学装置1bに供給する。各電気光学装置1r、1g、1bは、照明光学系4001から供給される各単色光を表示画像に応じて変調するライトバルブ等の光変調器として機能する。投射光学系4003は、各電気光学装置1r、1g、1bからの出射光を合成して投射面4004に投射する。
【0097】
以上の電子機器は、前述の電気光学装置100と、制御部2003、3002または4005と、を備える。前述の電気光学装置100は表示品位の低下が抑制されている。このため、よって、電気光学装置100を備えることで、パーソナルコンピューター2000、スマートフォン3000または投射型表示装置4000の表示品位の低下を抑制することができる。なお、電気光学装置100の代わりに、電気光学装置100A、または100Bを適用した場合にも同様の効果が得られる。
【0098】
なお、本発明の電気光学装置が適用される電子機器としては、例示した機器に限定されず、例えば、PDA(Personal Digital Assistants)、デジタルスチルカメラ、テレビ、ビデオカメラ、カーナビゲーション装置、車載用の表示器、電子手帳、電子ペーパー、電卓、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、およびPOS(Point of sale)端末等が挙げられる。さらに、本発明が適用される電子機器としては、プリンター、スキャナー、複写機、ビデオプレーヤー、またはタッチパネルを備えた機器等が挙げられる。
【0099】
以上、好適な実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は前述の実施形態に限定されない。また、本発明の各部の構成は、前述の実施形態の同様の機能を発揮する任意の構成に置換でき、また、任意の構成を付加できる。
【符号の説明】
【0100】
1b…電気光学装置、1g…電気光学装置、1r…電気光学装置、2…第1基板、2A…第1基板、2B…第1基板、3…第2基板、3A…第2基板、3B…第2基板、4…シール部材、5…液晶層、6…基板間導通材、10…駆動回路、11…走査線駆動回路、12…信号線駆動回路、13…外部端子、20…積層体、20A…積層体、20B…積層体、21…基板、22…画素電極、22d…ダミー画素電極、23…トランジスター、24…蓄積容量、25…周辺電極、25B…周辺電極、26…下地膜、27…側壁部、29…配向膜、30…積層体、30A…積層体、30B…積層体、31…基板、32…対向電極、35…周辺電極、35B…周辺電極、36…下地膜、37…側壁部、38…見切り、39…配向膜、50…液晶分子、100…電気光学装置、100A…電気光学装置、100B…電気光学装置、201B…凹部、210…凹部、241…走査線、242…信号線、243…定電位線、251…第1面、252…第2面、291…第1部分、292…第2部分、300…電極部、300B…電極部、301…絶縁層、301B…凹部、302…レンズ層、303…絶縁層、304…レンズ層、305…絶縁層、310…凹部、351…第1面、352…第2面、391…第1部分、392…第2部分、2000…パーソナルコンピューター、2001…電源スイッチ、2002…キーボード、2003…制御部、2010…本体部、3000…スマートフォン、3001…操作ボタン、3002…制御部、4000…投射型表示装置、4001…照明光学系、4002…照明装置、4003…投射光学系、4004…投射面、4005…制御部、A10…表示領域、A20…周辺領域、A21…ダミー画素領域、A22…周辺電極領域、A23…中間領域、A24…シール領域、H2…欠損部、H3…欠損部、LL…入射光、P…画素。
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