(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104968
(43)【公開日】2024-08-06
(54)【発明の名称】溶接システム及び溶接方法
(51)【国際特許分類】
B23K 26/082 20140101AFI20240730BHJP
B23K 26/00 20140101ALI20240730BHJP
【FI】
B23K26/08 H
B23K26/00 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023009439
(22)【出願日】2023-01-25
(71)【出願人】
【識別番号】390014672
【氏名又は名称】株式会社アマダ
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】林本 和也
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 和隆
【テーマコード(参考)】
4E168
【Fターム(参考)】
4E168BA00
4E168CA07
4E168CB03
4E168CB08
4E168EA17
4E168FB01
(57)【要約】
【課題】ティーチングを簡略化しつつワークを精度よく溶接することができる溶接システムを提供する。
【解決手段】溶接対象のワークWの溶接箇所における溶接開始点WP2の上方には第1の教示点TP2が設定され、溶接箇所における溶接終了点WP3の上方には第2の教示点TP3が設定されている。ロボットコントローラは、第1の教示点TP2及び第2の教示点TP3に基づいて、溶接開始点WP2から溶接終了点WP3まで、力覚センサが検出する力が特定値を維持することにより、ノズル21の先端が溶接箇所から離隔して、ノズル21の先端から溶接箇所までの距離を第1の距離に保った状態で溶接トーチ2を移動させるよう、多関節ロボットの動きを制御する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶接トーチが取り付けられ、前記溶接トーチを移動させる多関節ロボットと、
前記多関節ロボットに取り付けられ、前記溶接トーチの移動に伴って変動する前記溶接トーチにかかる力を検出する力覚センサと、
前記溶接トーチにレーザビームを供給するレーザ発振器と、
前記多関節ロボットの動きを制御し、前記溶接トーチのノズルからレーザビームを射出させるオン操作信号と、前記ノズルからのレーザビームの射出を停止させるオフ操作信号とを出力するロボットコントローラと、
前記オン操作信号に従って前記ノズルからレーザビームを射出させ、前記オフ操作信号に従って前記ノズルからのレーザビームの射出を停止させるよう制御する制御装置と、
を備え、
前記ロボットコントローラは、溶接対象のワークの溶接箇所における溶接開始点の上方に設定した第1の教示点と、前記溶接箇所における溶接終了点の上方に設定した第2の教示点とに基づいて、前記溶接開始点から前記溶接終了点まで、前記力覚センサが検出する力が特定値を維持することにより、前記ノズルの先端が前記溶接箇所から離隔して、前記先端から前記溶接箇所までの距離を第1の距離に保った状態で前記溶接トーチを移動させるよう、前記多関節ロボットの動きを制御する
溶接システム。
【請求項2】
前記ロボットコントローラは、
前記溶接箇所の溶接前のティーチングで設定された、前記溶接開始点の上方に設定された第1の教示点と、前記溶接終了点の上方に設定された第2の教示点とを含む複数の教示点に基づいて前記多関節ロボットを動かす加工プログラムを作成し、
前記加工プログラムに従って、前記ノズルの前記先端を前記第1の教示点に位置させた後、前記力覚センサが検出する力が前記特定値となるまで前記溶接トーチを下降させて、前記制御装置に前記オン操作信号を供給し、
前記加工プログラムに従って、前記第2の教示点の下方の前記力覚センサが検出する力が前記特定値となる位置で、前記制御装置に前記オフ操作信号を供給する
請求項1に記載の溶接システム。
【請求項3】
前記レーザ発振器はガイド光を射出するガイド光源を有し、
前記ティーチング時に前記溶接トーチは前記ノズルから前記ガイド光を射出し、
前記第1の教示点は、前記ガイド光が前記溶接開始点に照射されている状態で、前記ノズルの前記先端が前記溶接開始点から前記第1の距離よりも長い第2の距離だけ離隔した位置であり、
前記第2の教示点は、前記ガイド光が前記溶接終了点に照射されている状態で、前記ノズルの前記先端が前記溶接終了点から前記第1の距離よりも長い第3の距離だけ離隔した位置である
請求項2に記載の溶接システム。
【請求項4】
多関節ロボットの動きを制御するロボットコントローラが、
前記多関節ロボットに取り付けられている溶接トーチのノズルの先端を、溶接対象のワークの溶接箇所における溶接開始点の上方に位置する第1の教示点に移動させるよう前記多関節ロボットを制御し、
前記多関節ロボットに取り付けられている力覚センサが検出する、前記溶接トーチの移動に伴って変動する前記溶接トーチにかかる力が特定値となるまで前記溶接トーチを下降させるよう前記多関節ロボットを制御して、前記ノズルの前記先端を、前記溶接開始点から第1の距離だけ離隔したビーム射出開始位置に位置させ、
前記ビーム射出開始位置で前記ノズルからのレーザビームの射出を開始するようレーザ発振器を制御し、
前記力覚センサが検出する力が前記特定値を維持することにより、前記レーザビームを射出する前記ノズルの前記先端から前記溶接箇所までの距離が前記第1の距離を保った状態で前記溶接トーチを移動させて前記溶接箇所を溶接するよう、前記先端が前記ビーム射出開始位置から前記溶接箇所における溶接終了点の上方に位置する第2の教示点の下方のビーム射出停止位置まで移動するように前記多関節ロボットを制御し、
前記ビーム射出停止位置で前記ノズルからの前記レーザビームの射出を停止するよう前記レーザ発振器を制御する
溶接方法。
【請求項5】
前記溶接箇所の溶接前のティーチングで、前記溶接トーチを手で動かして、前記ロボットコントローラに前記第1及び第2の教示点を教示し、
前記ロボットコントローラが、
前記第1及び第2の教示点を含む複数の教示点に基づいて前記多関節ロボットを動かす加工プログラムを作成し、
前記加工プログラムに従って、前記多関節ロボットを制御し、前記レーザ発振器を制御する
請求項4に記載の溶接方法。
【請求項6】
前記ティーチングで前記ロボットコントローラに前記第1及び第2の教示点を教示するとき、前記ノズルからガイド光を射出させ、
前記ガイド光が前記溶接開始点に照射されている状態で、前記ノズルの前記先端が前記溶接開始点から前記第1の距離よりも長い第2の距離だけ離隔した位置を前記第1の教示点とし、
前記ガイド光が前記溶接終了点に照射されている状態で、前記ノズルの前記先端が前記溶接終了点から前記第1の距離よりも長い第3の距離だけ離隔した位置を前記第2の教示点とする
請求項5に記載の溶接方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶接システム及び溶接方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ロボットのアームの先端に取り付けられた溶接トーチのノズルからレーザビームを射出して、ワークを溶接することがある。このとき、オペレータは、ワークを溶接する前に、ワークの溶接箇所の複数の位置にノズルの先端を接触させて、ロボットを制御するロボットコントローラに溶接箇所を教示するティーチングを行う必要がある。特許文献1には、力覚センサ及び接触センサを用いるティーチングが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7-24758号公報
【特許文献2】特開2003-266188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の従来のティーチングにおいては、ワークの溶接箇所とノズルの先端の位置とを一致させる必要がある。このようなティーチングは煩雑であり、オペレータにとって大きな負担である。ティーチングを簡略化しつつワークを精度よく溶接することができる溶接システム及び溶接方法の登場が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
1またはそれ以上の実施形態の第1の態様は、溶接トーチが取り付けられ、前記溶接トーチを移動させる多関節ロボットと、前記多関節ロボットに取り付けられ、前記溶接トーチの移動に伴って変動する前記溶接トーチにかかる力を検出する力覚センサと、前記溶接トーチにレーザビームを供給するレーザ発振器と、前記多関節ロボットの動きを制御し、前記溶接トーチのノズルからレーザビームを射出させるオン操作信号と、前記ノズルからのレーザビームの射出を停止させるオフ操作信号とを出力するロボットコントローラと、前記オン操作信号に従って前記ノズルからレーザビームを射出させ、前記オフ操作信号に従って前記ノズルからのレーザビームの射出を停止させるよう制御する制御装置とを備え、前記ロボットコントローラは、溶接対象のワークの溶接箇所における溶接開始点の上方に設定した第1の教示点と、前記溶接箇所における溶接終了点の上方に設定した第2の教示点とに基づいて、前記溶接開始点から前記溶接終了点まで、前記力覚センサが検出する力が特定値を維持することにより、前記ノズルの先端が前記溶接箇所から離隔して、前記先端から前記溶接箇所までの距離を第1の距離に保った状態で前記溶接トーチを移動させるよう、前記多関節ロボットの動きを制御する溶接システムを提供する。
【0006】
1またはそれ以上の実施形態の第1の態様によれば、溶接対象のワークの溶接箇所における溶接開始点の上方に第1の教示点を設定し、溶接終了点の上方に第2の教示点を設定すればよいので、ティーチングが容易である。1またはそれ以上の実施形態の第1の態様によれば、力覚センサが検出する力に基づいてノズルの先端から溶接箇所までの距離を第1の距離に保った状態で溶接箇所を溶接するので、ワークを精度よく溶接することが可能である。
【0007】
1またはそれ以上の実施形態の第2の態様は、多関節ロボットの動きを制御するロボットコントローラが、前記多関節ロボットに取り付けられている溶接トーチのノズルの先端を、溶接対象のワークの溶接箇所における溶接開始点の上方に位置する第1の教示点に移動させるよう前記多関節ロボットを制御し、前記多関節ロボットに取り付けられている力覚センサが検出する、前記溶接トーチの移動に伴って変動する前記溶接トーチにかかる力が特定値となるまで前記溶接トーチを下降させるよう前記多関節ロボットを制御して、前記ノズルの前記先端を、前記溶接開始点から第1の距離だけ離隔したビーム射出開始位置に位置させ、前記ビーム射出開始位置で前記ノズルからのレーザビームの射出を開始するようレーザ発振器を制御し、前記力覚センサが検出する力が前記特定値を維持することにより、前記レーザビームを射出する前記ノズルの前記先端から前記溶接箇所までの距離が前記第1の距離を保った状態で前記溶接トーチを移動させて前記溶接箇所を溶接するよう、前記先端が前記ビーム射出開始位置から前記溶接箇所における溶接終了点の上方に位置する第2の教示点の下方のビーム射出停止位置まで移動するように前記多関節ロボットを制御し、前記ビーム射出停止位置で前記ノズルからの前記レーザビームの射出を停止するよう前記レーザ発振器を制御する溶接方法を提供する。
【0008】
1またはそれ以上の実施形態の第2の態様によれば、溶接対象のワークの溶接箇所における溶接開始点の上方に第1の教示点を設定し、溶接終了点の上方に第2の教示点を設定すればよいので、ティーチングが容易である。1またはそれ以上の実施形態の第2の態様によれば、力覚センサが検出する力に基づいてノズルの先端から溶接箇所までの距離を第1の距離に保った状態で溶接箇所を溶接するので、ワークを精度よく溶接することが可能である。
【発明の効果】
【0009】
1またはそれ以上の実施形態に係る溶接システム及び溶接方法によれば、ティーチングを簡略化しつつワークを精度よく溶接することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、1またはそれ以上の実施形態に係る溶接システムを示す概略的な構成図である。
【
図2】
図2は、1またはそれ以上の実施形態に係る溶接システムを示す斜視図である。
【
図3】
図3は、1またはそれ以上の実施形態に係る溶接システムで用いる溶接トーチを示す斜視図である。
【
図4】
図4は、1またはそれ以上の実施形態に係る溶接システムにおけるティーチングの一例を示す図である。
【
図5】
図5は、1またはそれ以上の実施形態に係る溶接システムにおけるティーチングの一例の部分拡大図である。
【
図6】
図6は、1またはそれ以上の実施形態に係る溶接システムにおいて、多関節ロボットがティーチングで設定された複数の教示点に基づいて溶接トーチを移動させてワークの溶接箇所を溶接する溶接工程を示す図である。
【
図7】
図7は、1またはそれ以上の実施形態に係る溶接システムにおいて、多関節ロボットがティーチングで設定された複数の教示点に基づいて溶接トーチを移動させてワークの溶接箇所を溶接する溶接工程を側面から見た状態を示す図である。
【
図8】
図8は、1またはそれ以上の実施形態に係る溶接システムによって溶接されたワークを示す斜視図である。
【
図9】
図9は、1またはそれ以上の実施形態に係る溶接方法を示すフローチャートである。
【
図10A】
図10Aは、1またはそれ以上の実施形態に係る溶接システムによるワークの曲面に沿った溶接箇所の溶接を示す図である。
【
図10B】
図10Bは、ワークの曲面に沿った溶接箇所を溶接することができない比較例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
1またはそれ以上の実施形態に係る溶接システムは、多関節ロボット、力覚センサ、レーザ発振器、ロボットコントローラ、制御装置を備える。多関節ロボットには溶接トーチが取り付けられ、溶接トーチを移動させる。力覚センサは多関節ロボットに取り付けられ、溶接トーチの移動に伴って変動する溶接トーチにかかる力を検出する。レーザ発振器は、溶接トーチにレーザビームを供給する。ロボットコントローラは、多関節ロボットの動きを制御し、溶接トーチのノズルからレーザビームを射出させるオン操作信号と、ノズルからのレーザビームの射出を停止させるオフ操作信号とを出力する。制御装置は、オン操作信号に従ってノズルからレーザビームを射出させ、オフ操作信号に従ってノズルからのレーザビームの射出を停止させるよう制御する。
【0012】
ロボットコントローラは、溶接対象のワークの溶接箇所における溶接開始点の上方に設定した第1の教示点と、溶接箇所における溶接終了点の上方に設定した第2の教示点とに基づいて、溶接開始点から溶接終了点まで、力覚センサが検出する力が特定値を維持することにより、ノズルの先端が前記溶接箇所から離隔して、先端から溶接箇所までの距離を第1の距離に保った状態で溶接トーチを移動させるよう、多関節ロボットの動きを制御する。
【0013】
1またはそれ以上の実施形態に係る溶接方法において、多関節ロボットの動きを制御するロボットコントローラは、多関節ロボットに取り付けられている溶接トーチのノズルの先端を、溶接対象のワークの溶接箇所における溶接開始点の上方に位置する第1の教示点に移動させるよう多関節ロボットを制御する。1またはそれ以上の実施形態に係る溶接方法において、ロボットコントローラは、多関節ロボットに取り付けられている力覚センサが検出する、溶接トーチの移動に伴って変動する溶接トーチにかかる力が特定値となるまで溶接トーチを下降させるよう多関節ロボットを制御して、ノズルの先端を、溶接開始点から第1の距離だけ離隔したビーム射出開始位置に位置させる。
【0014】
1またはそれ以上の実施形態に係る溶接方法において、ロボットコントローラは、ビーム射出開始位置でノズルからのレーザビームの射出を開始するようレーザ発振器を制御する。1またはそれ以上の実施形態に係る溶接方法において、ロボットコントローラは、力覚センサが検出する力が特定値を維持することにより、レーザビームを射出するノズルの先端から溶接箇所までの距離が第1の距離を保った状態で溶接トーチを移動させて溶接箇所を溶接するよう、先端がビーム射出開始位置から溶接箇所における溶接終了点の上方に位置する第2の教示点の下方のビーム射出停止位置まで移動するように多関節ロボットを制御する。1またはそれ以上の実施形態に係る溶接方法において、ロボットコントローラは、ビーム射出停止位置でノズルからのレーザビームの射出を停止するようレーザ発振器を制御する。
【0015】
以下、1またはそれ以上の実施形態に係る溶接システム及び溶接方法について、添付図面を参照して具体的に説明する。
【0016】
図1~
図3を用いて、1またはそれ以上の実施形態に係る溶接システム100の構成を説明する。
図1は溶接システム100を示す概略的な構成図であり、
図2は、溶接システム100を示す斜視図である。
図3は、溶接システム100で用いる溶接トーチ2を示している。
【0017】
図1及び
図2に示すように、溶接システム100は、ハンディレーザ溶接機1、溶接トーチ2、多関節ロボット3、力覚センサ4、ロボットコントローラ5、制御装置6、表示器7を備える。ロボットコントローラ5は、例えばNC(Numerical Control)装置で構成することができる。制御装置6は回路で構成されていてもよいし、PLC(Programmable Logic Controller)で構成されていてもよい。
【0018】
図2に示すように、多関節ロボット3及びロボットコントローラ5に隣接して、溶接対象のワークWを載置するテーブル200が配置されている。ワークWは互いに溶接される少なくとも2枚の板金である。オペレータ300は、顔を保護する保護面310を装着して、ワークWを溶接する前の後述するティーチングによって多関節ロボット3を動かすための複数の教示点を設定する。
【0019】
ハンディレーザ溶接機1は、オペレータ300が溶接トーチ2を手で持ちながら任意のワークを溶接する際に用いられる。ハンディレーザ溶接機1と共に使用する溶接トーチ2をトーチ操作装置20によって多関節ロボット3のアームの先端に取り付けることができる。多関節ロボット3のアームには、力覚センサ4が取り付けられている。多関節ロボット3は例えば6軸のロボットである。力覚センサ4は、溶接トーチ2の移動に伴って変動する溶接トーチ2にかかる力を検出する。
【0020】
図3に示すように、溶接トーチ2の先端には、レーザビームまたはガイド光を射出するノズル21が設けられている。溶接トーチ2は、レーザビームを射出するための射出ボタンを備える。トーチ操作装置20は、溶接トーチ2を多関節ロボット3に固定する機構と、射出ボタンを押し込む機構とを有する。
【0021】
図1に示すように、ハンディレーザ溶接機1は、レーザ発振器11とシールドガス供給装置12とを有する。レーザ発振器11は、ガイド光を射出するためのガイド光源111を有する。レーザ発振器11と溶接トーチ2とは、レーザビームまたはガイド光を伝送するための光ファイバ101で連結されている。シールドガス供給装置12と溶接トーチ2とは、シールドガスを供給するシールドガス供給管102で連結されている。溶接トーチ2とハンディレーザ溶接機1とは、さらにトーチ信号線103で連結されている。
【0022】
溶接トーチ2の射出ボタンがオペレータ300によって操作されるか、後述するように制御装置6による制御によって射出ボタンが操作されると、レーザビームの射出を要求する要求信号がトーチ信号線103を介して溶接トーチ2からハンディレーザ溶接機1へと供給される。レーザ発振器11は、ハンディレーザ溶接機1に要求信号が入力されると、光ファイバ101を介してレーザビームを溶接トーチ2に供給する。ノズル21がワークWに接触すると、溶接トーチ2からハンディレーザ溶接機1へと接触検出信号がトーチ信号線103を介してハンディレーザ溶接機1へと供給されてもよい。
【0023】
オペレータ300は、後述のようにワークWの溶接箇所に対応する教示点を設定するティーチングを行う。ロボットコントローラ5は、ティーチングで設定された教示点に基づいて多関節ロボット3を動かす加工プログラムを作成し、加工プログラムに従って多関節ロボット3の動きを制御する。
【0024】
ロボットコントローラ5と制御装置6とはトーチ操作信号線105で連結されており、制御装置6と溶接トーチ2とはトーチ操作信号線106で連結されている。ロボットコントローラ5は、ティーチングで設定されたレーザビームの射出をオンするよう指令した教示点(オン指令教示点)に対応して設定される、後述するビーム射出開始位置で射出ボタンを押下するオン操作信号を、トーチ操作信号線105を介して制御装置6に供給する。制御装置6は、ロボットコントローラ5から供給されたオン操作信号を、トーチ操作信号線106を介して溶接トーチ2に供給する。
【0025】
これにより、溶接トーチ2の射出ボタンが押下されて、レーザビームの射出を要求する要求信号がハンディレーザ溶接機1へと供給されるので、ノズル21からレーザビームが射出される。
【0026】
ロボットコントローラ5は、ティーチングで設定されたレーザビームの射出をオフするよう指令した教示点(オフ指令教示点)に対応して設定される、後述するビーム射出停止位置で射出ボタンの押下を解除するオフ操作信号を、トーチ操作信号線105を介して制御装置6に供給する。制御装置6は、ロボットコントローラ5から供給されたオフ操作信号を、トーチ操作信号線106を介して溶接トーチ2に供給する。これにより、溶接トーチ2の射出ボタンの押下が解除されて、ノズル21からのレーザビームの射出が停止する。
【0027】
このように、ロボットコントローラ5は、ビーム射出開始位置でノズル21からのレーザビームの射出を開始するようレーザ発振器11を間接的に制御し、ビーム射出停止位置でレーザビームの射出を停止するようレーザ発振器11を間接的に制御する。ロボットコントローラ5が、ビーム射出開始位置でノズル21からのレーザビームの射出を開始するようレーザ発振器11を直接的に制御し、ビーム射出停止位置でレーザビームの射出を停止するようレーザ発振器11を直接的に制御するよう構成されていてもよい。
【0028】
ロボットコントローラ5と表示器7とは、表示信号線107で連結されている。表示器7は、ロボットコントローラ5が作成した加工プログラムを表示したり、多関節ロボット3の状態を表示したりする。なお、表示器7は、1またはそれ以上の実施形態に係る溶接システム100に必須の構成ではない。制御装置6とハンディレーザ溶接機1とは、制御信号線104で連結されている。制御装置6は安全回路を内蔵しており、多関節ロボット3に異常が発生したときに、レーザ発振器11を停止させる制御信号を、制御信号線104を介してレーザ発振器11に供給する。
【0029】
図4及び
図5を用いて、オペレータ300が行うワークWの溶接箇所を教示するティーチングを具体的に説明する。
図4は溶接システム100におけるティーチングの一例を示し、
図5はティーチングの一例を部分的に拡大して示している。
図2では図示を省略しているが、溶接システム100はパーティションで囲われている。
【0030】
ハンディレーザ溶接機1は安全装置を備えている。保護面310は静電容量型の近接センサを内蔵している。オペレータ300が保護面310を装着すると、近接センサはオペレータ300の額を近接で検出する。これにより、近接センサは保護面310がオペレータ300に装着された状態であることを検出し、保護面310はオペレータ300に装着された状態であることを示す信号を無線または有線でハンディレーザ溶接機1に送信する。保護面310は、バイザが下りていることを検出するセンサによってオペレータ300に装着された状態であることを検出してもよい。
【0031】
パーティションのドアには開閉を検出するセンサが設けられている。ドアの開または閉を示す信号は有線にてハンディレーザ溶接機1に送信される。ハンディレーザ溶接機1は、制御装置6が多関節ロボット3の異常の発生を検出しておらず、オペレータ300が保護面310を装着しており、パーティションのドアが閉められているとき、安全装置を解除して、溶接トーチ2のノズル21からガイド光を射出するように構成されている。
【0032】
図4に示すように、ワークWは互いに溶接される板金W1及びW2であり、左端部の溶接開始点WP2から右端部の溶接終了点WP3までの直線が溶接箇所である。オペレータ300は、溶接トーチ2を手で動かして、ワークWの左上方の所定の位置にノズル21の先端の位置として1つ目の教示点TP1を設定する。オペレータ300が多関節ロボット3に設けられている登録ボタンを押すことによって、そのときのノズル21の先端の位置が教示点TP1として登録されて、所定の位置にある溶接トーチ2を教示点TP1へと移動させる移動指令が加工プログラムに挿入される。
【0033】
続けて、オペレータ300は、溶接開始点WP2の上方にノズル21の先端を位置させて、2つ目の教示点TP2(第1の教示点)を設定する。オペレータ300が登録ボタンを押すことによって教示点TP2が登録され、溶接トーチ2を教示点TP2へと移動させる移動指令が加工プログラムに挿入される。オペレータ300は、多関節ロボット3が有する指令作成機能によって、教示点TP2をレーザビームの射出を開始する教示点として指令する。教示点TP2をオン指令教示点と称することとする。
【0034】
後述するように、ノズル21の先端の位置が教示点TP2に移動するとレーザビームの射出が開始されるのではなく、ノズル21の先端が溶接開始点WP2に向かって力覚センサ4の値が閾値に達するまで下降した位置でレーザビームの射出が開始される。教示点TP2をオン指令教示点に設定すると、溶接トーチ2を教示点TP2へと移動させる移動指令に続けて、溶接トーチ2を力覚センサ4の値が閾値に達するまで下降させる指令と、溶接トーチ2の下降が完了したらレーザビームの射出をオンする指令が加工プログラムに挿入される。
【0035】
図5に示すように、ノズル21の先端からはガイド光Lgが射出されている。ノズル21がワークW上にガイド光Lgを照射する位置は、ノズル21がワークW上にレーザビームを照射する位置と同じである。オペレータ300は、ノズル21の先端をワークWから所定の距離だけ離隔した状態で、溶接開始点WP2にガイド光Lgが照射されるように溶接トーチ2を位置決めして、教示点TP2を設定する。ガイド光Lgを用いて溶接開始点WP2の位置を決定して教示点TP2を設定することにより、教示点TP2と溶接開始点WP2とが高さ方向に異なる2つの平面内の同じ平面的な位置で対向する。
【0036】
さらに、
図4において、オペレータ300は、ノズル21の先端をワークWから所定の距離だけ離隔した状態で、溶接終了点WP3にガイド光Lgが照射されるように溶接トーチ2を位置決めして、3つ目の教示点TP3(第2の教示点)を設定する。ガイド光Lgを用いて溶接終了点WP3の位置を決定して教示点TP3を設定することにより、教示点TP3と溶接終了点WP3とが高さ方向に異なる2つの平面内の同じ平面的な位置で対向する。オペレータ300は、教示点TP3をレーザビームの射出を終了する教示点として指令する。教示点TP3をオフ指令教示点と称することとする。
【0037】
オペレータ300が登録ボタンを押すことによって教示点TP3が登録される。教示点TP3が登録されると、溶接トーチ2を力覚センサ4の値に基づいてワークWとの距離を一定に保ちながら、溶接開始点WP2に近接した位置から溶接終了点WP3に近接した位置まで移動させて、レーザビームの射出をオフする指令が加工プログラムに挿入される。なお、教示点TP2におけるワークWからノズル21の先端までの距離と、教示点TP3におけるワークWからノズル21の先端までの距離とは同じである必要はない。
【0038】
最後に、オペレータ300は、ワークWの右上方の所定の位置に4つ目の教示点TP4を設定する。オペレータ300が登録ボタンを押すことによって教示点TP4が登録され、溶接トーチ2を溶接終了点WP3に近接した位置から教示点TP4へと移動指令が加工プログラムに挿入される。オペレータ300は、少なくともオン指令教示点TP2及びオフ指令教示点TP3を含む複数の教示点を設定すればよい。
【0039】
オペレータ300は、以上の教示点TP1~TP4の設定の他に、力覚センサ4が検出する力の大きさを示す値の閾値をロボットコントローラ5に設定する。
【0040】
以上のように、オペレータ300が、溶接トーチ2が移動を開始して最初に位置させる教示点TP1、オン指令教示点TP2、オフ指令教示点TP3、最後に位置させる教示点TP4、及び力覚センサ4の閾値を設定すると、ロボットコントローラ5は、次のような加工プログラムを作成する。ロボットコントローラ5が加工プログラムに従って多関節ロボット3を制御し、制御装置6を介してレーザ発振器11を制御することにより、ワークWにおける溶接開始点WP2から右端部の溶接終了点WP3までの溶接箇所が適切に溶接される。
【0041】
所定の位置にある溶接トーチ2を、ノズル21の先端が教示点TP1に位置するように移動させる指令を第1の指令とする。ノズル21の先端を教示点TP1からオン指令教示点TP2まで移動させる指令を第2の指令とする。ノズル21の先端をオン指令教示点TP2から鉛直方向下方に、力覚センサ4の値が閾値に達するまで下降させる指令を第3の指令とする。ノズル21の先端が下降したら、トーチ操作装置20の射出ボタンを押下するオン操作信号の出力を開始する指令を第4の指令とする。
【0042】
ノズル21の先端をオン指令教示点TP2の下方の位置からオフ指令教示点TP3の下方の位置まで溶接箇所に沿って移動させる指令を第5の指令とする。オフ指令教示点TP3の下方の位置で、射出ボタンの押下を解除するオフ操作信号を出力する指令を第6の指令とする。ノズル21の先端をオフ指令教示点TP3の下方の位置から教示点TP4まで移動させる指令を第7の指令とする。
【0043】
ロボットコントローラ5は、以上の第1~第7の指令を含む加工プログラムを作成する。ワークWの溶接箇所を溶接するために、オペレータ300は加工プログラムを実行するようロボットコントローラ5に指示する。すると、
図6に示すように、ロボットコントローラ5は、ノズル21の先端が教示点TP1及びオン指令教示点TP2に順に位置するように多関節ロボット3を制御する。ロボットコントローラ5は、ノズル21の先端がオン指令教示点TP2に位置している状態で、溶接トーチ2を鉛直方向下方に下降させる。
図6は、多関節ロボット3がティーチングで設定された教示点TP1~TP4に基づいて溶接トーチ2を移動させてワークWの溶接箇所を溶接する溶接工程を示している。
【0044】
図7は、溶接工程を側面から見た状態を示している。
図7に示すように、ノズル21の先端がワークWに近付いていくと、力覚センサ4の値が閾値に達する位置Ponとなり、ロボットコントローラ5は溶接トーチ2の下降を停止させる。この時点で、ロボットコントローラ5は制御装置6にオン操作信号の供給を開始し、制御装置6が溶接トーチ2にオン操作信号を供給して射出ボタンが押下される。これにより、レーザビームの射出を要求する要求信号がハンディレーザ溶接機1へと供給されるから、位置Ponでガイド光Lgの射出が停止されてレーザビームの射出が開始される。位置Ponをビーム射出開始位置と称することとする。
【0045】
溶接トーチ2がレーザビームを射出している期間、溶接トーチ2にはシールドガス供給装置12からシールドガスが供給される。よって、ノズル21の先端からレーザビームが射出されるのに併せて、ノズル21の先端からシールドガスが噴射される。
【0046】
ロボットコントローラ5は、力覚センサ4の値が閾値に達する状態を維持するように、ノズル21の先端からワークWまでの距離を保ちながら、ノズル21の先端をビーム射出開始位置Ponからオフ指令教示点TP3の下方の位置Poffまで移動させるよう多関節ロボット3を制御する。ノズル21の先端が位置Poffに到達すると、ロボットコントローラ5は制御装置6にオフ操作信号を供給し、制御装置6が溶接トーチ2にオフ操作信号を供給して射出ボタンの押下が解除される。これにより、レーザビームの射出の停止を指示する指示信号がハンディレーザ溶接機1へと供給されるから、位置Poffでレーザビームの射出が停止される。位置Poffをビーム射出停止位置と称することとする。
【0047】
力覚センサ4の閾値は、ノズル21の先端をビーム射出開始位置Ponからビーム射出停止位置Poffまで移動させるときに、力覚センサ4が検出する力を特定値に固定するための値となる。また、力覚センサ4の閾値は、ノズル21の先端をビーム射出開始位置Ponからビーム射出停止位置Poffまで移動させるときに、ノズル21の先端からワークWまでの距離を所定の一定の距離に保つための値となる。ノズル21の先端からワークWまで距離が適切な距離となるように力覚センサ4の閾値を加工プログラムに設定すればよい。
【0048】
レーザビームを射出するノズル21は、ノズル21の先端からワークWまで所定の距離を維持しながら、ビーム射出開始位置Ponからビーム射出停止位置Poffまで移動するので、
図8に示すようにワークWの溶接箇所が溶接される。
図8は、溶接されたワークWを示している。ノズル21の先端がビーム射出停止位置Poffに到達してレーザビームの射出が停止すると、
図6に示すように、ロボットコントローラ5は、ノズル21の先端をビーム射出停止位置Poffから教示点TP4まで移動させるよう多関節ロボット3を制御する。
【0049】
図9に示すフローチャートを用いて、溶接システム100で実行される1またはそれ以上の実施形態に係る溶接方法を説明する。ロボットコントローラ5が
図9に示す処理を実行する前に、上記のようなティーチングによって複数の教示点が設定されている。
図6に示す例では、複数の教示点は教示点TP1~TP4である。
【0050】
図9において、ロボットコントローラ5が溶接システム100によるワークWを溶接する動作を開始すると、ロボットコントローラ5は、ステップS1にて、力覚センサ4をリセットする。ロボットコントローラ5は、ステップS2にて、溶接トーチ2のノズル21の先端をオン指令教示点まで移動させる。
図6に示す例では、教示点TP2がオン指令教示点である。ロボットコントローラ5は、ステップS3にて、溶接トーチ2の降下を開始させる。
【0051】
ロボットコントローラ5は、ステップS4にて、力覚センサ4の値が閾値以上であるか否かを判定する。力覚センサ4の値が閾値以上でなければ(NO)、ロボットコントローラ5はステップS4の処理を繰り返す。力覚センサ4の値が閾値以上であれば(YES)、ロボットコントローラ5は、ステップS5にて、溶接トーチ2の降下を終了させる。このとき、ノズル21の先端はビーム射出開始位置に到達する。
図6に示す例では、
図7に示す位置Ponがビーム射出開始位置である。
【0052】
ロボットコントローラ5は、ステップS6にて、レーザビームの射出を開始させる。続けて、ロボットコントローラ5は、ステップS7にて、溶接トーチ2のノズル21の先端をオフ指令教示点の下方のビーム射出停止位置まで移動させる。
図6に示す例では、
図7に示す位置Poffがビーム射出停止位置である。上記のように、ノズル21の先端がビーム射出開始位置からビーム射出停止位置まで移動する間、力覚センサ4の値が閾値で決まる特定値となるように、ノズル21の先端からワークWまでの距離が一定の距離に制御される。
【0053】
ロボットコントローラ5は、ステップS8にて、レーザビームの射出を終了させる。ロボットコントローラ5は、ステップS9にて、溶接トーチ2のノズル21の先端を最後の教示点まで移動させて、処理を終了させる。
図6に示す例では、教示点TP4が最後の教示点である。
【0054】
なお、
図6及び
図7において、溶接開始点WP2から溶接終了点WP3までの溶接箇所の溶接において維持されるノズル21の先端からワークWまでの距離を第1の距離とする。
図4において、オペレータ300が溶接開始点WP2の上方に教示点TP2を設定するとき、ノズル21の先端をワークWから第1の距離よりも長い第2の距離だけ離隔した位置に教示点TP2を設定すればよい。また、オペレータ300が溶接終了点WP3の上方に教示点TP3を設定するとき、ノズル21の先端をワークWから第1の距離よりも長い第3の距離だけ離隔した位置に教示点TP3を設定すればよい。第2の距離と第3の距離とは同じ距離であってもよいし、異なる距離であってもよい。
【0055】
以上のように、1またはそれ以上の実施形態に係る溶接システム100及び溶接方法によれば、ティーチングにおいてワークWの溶接箇所とノズル21の先端の位置とを一致させる必要がなく、ワークWから離隔した所定の高さの位置に教示点を設定すればよいので、ティーチングが容易である。さらに、力覚センサ4が溶接トーチ2にかかる力を検出した値に基づいてノズル21の先端と溶接箇所との距離を一定に保ちながら溶接箇所を溶接するので、ワークWを精度よく溶接することが可能である。
【0056】
1またはそれ以上の実施形態に係る溶接システム100及び溶接方法によれば、ワークWが曲面であったり、レーザビームの照射による入熱によってワークWの面に反りが生じたりしたとしても、ノズル21の先端と溶接箇所との距離を一定に保ちながら溶接箇所を溶接することが可能である。
図10Aは、ワークWが曲面であって、その曲面に対して
図4及び
図6と同様の教示点TP2及びTP3を設定して、溶接システム100によってワークWが溶接される状態を示している。
図10Bは比較例であり、ワークWが曲面であって、その曲面に接触するように教示点TP2’及びTP3’を設定した場合を示している。
【0057】
図10Bにおいては、教示点TP2’と教示点TP3’とを結ぶ直線がワークWと干渉するので、教示点TP2’と教示点TP3’とを結ぶ直線を溶接の軌跡とすることはできない。一方、
図10Aにおいては、ワークWの表面から離隔した教示点TP2及びTP3が設定され、ノズル21の先端とワークWの表面との距離を一定に保ちながらワークWが溶接される。従って、溶接の軌跡がワークWと干渉することはなく、ワークWが曲面であっても精度よく溶接することが可能である。
【0058】
本発明は以上説明した1またはそれ以上の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。
【符号の説明】
【0059】
1 ハンディレーザ溶接機
2 溶接トーチ
3 多関節ロボット
4 力覚センサ
5 ロボットコントローラ
6 制御装置
7 表示器
11 レーザ発振器
12 シールドガス供給装置
20 トーチ操作装置
21 ノズル
101 光ファイバ
102 シールドガス供給管
103 トーチ信号線
104 制御信号線
105,106 トーチ操作信号線
107 表示信号線
300 オペレータ
310 保護面
Pon ビーム射出開始位置
Poff ビーム射出停止位置
TP1~TP4 教示点
W ワーク
W1,W2 板金
WP2 溶接開始点
WP3 溶接終了点