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特開2024-104969ワーク取出装置およびワーク取出方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104969
(43)【公開日】2024-08-06
(54)【発明の名称】ワーク取出装置およびワーク取出方法
(51)【国際特許分類】
   B65H 3/06 20060101AFI20240730BHJP
   B65H 3/08 20060101ALI20240730BHJP
   B65H 3/48 20060101ALI20240730BHJP
   B65G 59/02 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
B65H3/06 350A
B65H3/08 342
B65H3/08 344
B65H3/48 310A
B65G59/02
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023009440
(22)【出願日】2023-01-25
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-09-13
(71)【出願人】
【識別番号】591107230
【氏名又は名称】株式会社デンケン
(71)【出願人】
【識別番号】000144038
【氏名又は名称】株式会社三井ハイテック
(74)【代理人】
【識別番号】100131842
【弁理士】
【氏名又は名称】加島 広基
(74)【代理人】
【識別番号】100215267
【弁理士】
【氏名又は名称】古屋 秀人
(74)【代理人】
【識別番号】100215555
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】河野 敬治
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 亮
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 健人
(72)【発明者】
【氏名】松本 文明
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 優
(72)【発明者】
【氏名】東 洋次郎
(72)【発明者】
【氏名】ナジュムル ハリム ビン アジズ
(72)【発明者】
【氏名】渋田 規
(72)【発明者】
【氏名】明神 巌
【テーマコード(参考)】
3F030
3F343
【Fターム(参考)】
3F030AA04
3F030BA02
3F343FA10
3F343FB17
3F343FC01
3F343GA01
3F343GB01
3F343GD02
3F343JB03
3F343JD28
3F343KB05
3F343LA03
3F343MA03
3F343MB03
3F343MB14
3F343MC02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】積層状態の複数のワークから1枚ずつワークを自動で分離させることができるワーク取出装置およびワーク取出方法を提供する。
【解決手段】ワーク取出装置は、板状の複数の金属製のワークが積層状態で載置される載置部10と、保持部分20aを有する取出部20と、取出部20を第1位置と第2位置との間で移動させる第1移動機構30と、取出部20を第1姿勢と第2姿勢との間で移動させる第2移動機構40と、取出部20が第1位置にあり第1姿勢となっている状態で保持部分20aにより載置部10に載置されている最上層のワークWの一部を保持させ、次に取出部20を第1姿勢から第2姿勢に移動させ、その後に取出部20を第1位置から第2位置に移動させるように、取出部20、第1移動機構30および第2移動機構40を制御する制御部と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の複数の金属製のワークが積層状態で載置面上に載置される載置部と、
前記載置部に載置されている複数のワークのうち最上層のワークを取り出すための取出部であって、ワークの一部を保持するための保持部分を有する取出部と、
前記取出部を第1位置と前記第1位置よりも上方または側方にある第2位置との間で移動させる第1移動機構と、
前記載置面と略平行となる第1姿勢と前記載置面に対して角度を有する第2姿勢との間で前記取出部を移動させる第2移動機構と、
前記取出部が前記第1位置にあり前記第1姿勢となっている状態で前記保持部分により前記載置部に載置されている最上層のワークの一部を保持させ、次に前記取出部を前記第1姿勢から前記第2姿勢に移動させ、その後に前記取出部を前記第1位置から前記第2位置に移動させるように、前記取出部、前記第1移動機構および前記第2移動機構を制御する制御部と、
を備えた、ワーク取出装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記取出部を前記第1姿勢から前記第2姿勢に移動させた後、前記取出部を前記第2姿勢に維持した状態で前記取出部を前記第1位置から前記第2位置に移動させるよう前記第1移動機構および前記第2移動機構を制御する、請求項1記載のワーク取出装置。
【請求項3】
前記第1移動機構は、前記取出部を第3位置にも移動させることができるようになっており、
前記制御部は、前記取出部を前記第2位置に移動させた後に前記取出部を前記第2姿勢から前記第1姿勢に移動させ、その後、前記取出部を前記第3位置に移動させた後、前記保持部分によるワークの保持を停止するように、前記取出部、前記第1移動機構および前記第2移動機構を制御する、請求項2記載のワーク取出装置。
【請求項4】
前記第3位置は前記第1位置と前記第2位置との間にある、請求項3記載のワーク取出装置。
【請求項5】
前記保持部分により一部が保持されているワークの前記一部とは他の部分を、前記取出部が前記第1姿勢から前記第2姿勢に移動するときに上方から押さえる押さえ部を更に備え、
前記制御部は、前記取出部が前記第1姿勢から前記第2姿勢に移動した後に前記押さえ部が前記ワークの前記他の部分から退避するよう前記押さえ部を制御する、請求項1記載のワーク取出装置。
【請求項6】
前記取出部が前記第1位置にあるときにワークに気体を噴射する噴射部を更に備え、
前記制御部は、前記取出部が前記第1姿勢から前記第2姿勢に移動した後に前記噴射部により前記保持部分により保持されているワークに向かって気体を噴射するよう前記噴射部を制御する、請求項1記載のワーク取出装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記取出部が前記第1姿勢から前記第2姿勢に移動する前に前記噴射部により前記保持部分により保持されているワークに向かって気体を噴射するよう前記噴射部を制御する、請求項6記載のワーク取出装置。
【請求項8】
前記取出部が前記第1位置にあるときにワークに気体を噴射する噴射部を更に備え、
前記制御部は、前記取出部が前記第1姿勢から前記第2姿勢に移動する前に前記噴射部により前記保持部分により保持されているワークに向かって気体を噴射するよう前記噴射部を制御する、請求項1記載のワーク取出装置。
【請求項9】
前記保持部分により保持されているワークに熱風を供給するための熱風供給部を更に備え、
前記制御部は、前記取出部が前記第1姿勢から前記第2姿勢に移動する前または移動中に、前記保持部分により保持されているワークに熱風を供給するよう前記熱風供給部を制御する、請求項1記載のワーク取出装置。
【請求項10】
前記保持部分により保持されているワークの枚数を検知するための第1検知部と、
前記保持部分により保持されているワークに熱風を供給するための熱風供給部と、
を更に備え、
前記制御部は、前記保持部分でワークの一部を保持させた状態で前記取出部が前記第1姿勢から前記第2姿勢に移動した後、前記保持部分により保持されているワークの枚数が2枚以上であることが前記第1検知部により検知されたときに、前記保持部分により保持されているワークに熱風を供給するよう前記熱風供給部を制御する、請求項1記載のワーク取出装置。
【請求項11】
前記熱風供給部は、前記保持部分により保持されているワークに供給される熱風を案内する熱風供給ガイドを有している、請求項9または10記載のワーク取出装置。
【請求項12】
前記熱風供給ガイドは、前記保持部分と並列に配置されている、請求項11記載のワーク取出装置。
【請求項13】
前記制御部は、前記保持部分により保持されているワークに対して前記熱風供給部により熱風が供給された後、前記保持部分により保持されているワークの枚数が依然として2枚以上であることが前記第1検知部により検知されたときに、前記保持部分でワークの一部を保持させた状態で前記取出部を前記第2姿勢から前記第1姿勢に移動させた後、前記取出部を前記第1姿勢から前記第2姿勢に移動させるよう前記第2移動機構を制御する、請求項10記載のワーク取出装置。
【請求項14】
前記制御部は、前記保持部分により保持されているワークに対して前記熱風供給部により熱風が供給された後、前記保持部分により保持されているワークの枚数が依然として2枚以上であることが前記第1検知部により検知されたときに、異常信号を出力する、請求項10記載のワーク取出装置。
【請求項15】
前記載置部の前記載置面上に載置されている複数のワークのうち最上層に位置するワークの位置を検知する第2検知部と、
前記載置部を移動させる第3移動機構と、
を更に備え、
前記制御部は、前記第2検知部により検知されるワークの位置が所定の位置に維持されるように前記載置部を移動させるよう前記第3移動機構を制御する、請求項1記載のワーク取出装置。
【請求項16】
板状の複数の金属製のワークが積層状態で載置面上に載置される載置部と、前記載置部に載置されている複数のワークのうち1枚のワークを取り出すための取出部であって、ワークの一部を保持するための保持部分を有する取出部とを備えたワーク取出装置によるワーク取出方法であって、
前記取出部が前記載置面と略平行となる第1姿勢となっている状態で前記保持部分により前記載置部に載置されている最上層のワークの一部を保持させる工程と、
第2移動機構により前記取出部を前記第1姿勢から前記載置面に対して角度を有する第2姿勢に移動させる工程と、
第1移動機構により前記取出部を第1位置から前記第1位置よりも上方または側方にある第2位置に移動させる工程と、
を含む、ワーク取出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワーク取出装置およびワーク取出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、載置部に積層状態で載置されている板状の複数のワークから最上層のワークを1枚ずつ取り出す装置として様々なものが開示されている。例えば、特許文献1には、グリーンシート等のシート状物を1枚ずつ吸着し、取り出して移送する際に、複数枚の吸着や取り出しを防ぐためのニューマチックセパレータが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8-2720号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、シート状物のワークの取り出し装置が開示されているが、ワークが金属製である場合には単に最上層にあるワークを吸着させただけでは確実にワークを1枚ずつ分離することができない可能性があるため、従来は積層状態の複数のワークから1枚ずつワークを分離させる作業は人が手で行っていた。しかしながら、金属製のワークの分離を人手で行う場合、ワークを傷つける可能性があり、また作業効率が悪いという問題があった。
【0005】
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、積層状態の複数のワークから1枚ずつワークを自動で分離させることができるワーク取出装置およびワーク取出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のワーク取出装置は、
板状の複数の金属製のワークが積層状態で載置面上に載置される載置部と、
前記載置部に載置されている複数のワークのうち最上層のワークを取り出すための取出部であって、ワークの一部を保持するための保持部分を有する取出部と、
前記取出部を第1位置と前記第1位置よりも上方または側方にある第2位置との間で移動させる第1移動機構と、
前記載置面と略平行となる第1姿勢と前記載置面に対して角度を有する第2姿勢との間で前記取出部を移動させる第2移動機構と、
前記取出部が前記第1位置にあり前記第1姿勢となっている状態で前記保持部分により前記載置部に載置されている最上層のワークの一部を保持させ、次に前記取出部を前記第1姿勢から前記第2姿勢に移動させ、その後に前記取出部を前記第1位置から前記第2位置に移動させるように、前記取出部、前記第1移動機構および前記第2移動機構を制御する制御部と、
を備えたことを特徴とする。
【0007】
本発明のワーク取出装置において、
前記制御部は、前記取出部を前記第1姿勢から前記第2姿勢に移動させた後、前記取出部を前記第2姿勢に維持した状態で前記取出部を前記第1位置から前記第2位置に移動させるよう前記第1移動機構および前記第2移動機構を制御してもよい。
【0008】
本発明のワーク取出装置において、
前記第1移動機構は、前記取出部を第3位置にも移動させることができるようになっており、
前記制御部は、前記取出部を前記第2位置に移動させた後に前記取出部を前記第2姿勢から前記第1姿勢に移動させ、その後、前記取出部を前記第3位置に移動させた後、前記保持部分によるワークの保持を停止するように、前記取出部、前記第1移動機構および前記第2移動機構を制御してもよい。
【0009】
本発明のワーク取出装置において、
前記第3位置は前記第1位置と前記第2位置との間にあってもよい。
【0010】
本発明のワーク取出装置において、
前記保持部分により一部が保持されているワークの前記一部とは他の部分を、前記取出部が前記第1姿勢から前記第2姿勢に移動するときに上方から押さえる押さえ部を更に備え、
前記制御部は、前記取出部が前記第1姿勢から前記第2姿勢に移動した後に前記押さえ部が前記ワークの前記他の部分から退避するよう前記押さえ部を制御してもよい。
【0011】
本発明のワーク取出装置において、
前記取出部が前記第1位置にあるときにワークに気体を噴射する噴射部を更に備え、
前記制御部は、前記取出部が前記第1姿勢から前記第2姿勢に移動した後に前記噴射部により前記保持部分により保持されているワークに向かって気体を噴射するよう前記噴射部を制御してもよい。
【0012】
本発明のワーク取出装置において、
前記制御部は、前記取出部が前記第1姿勢から前記第2姿勢に移動する前に前記噴射部により前記保持部分により保持されているワークに向かって気体を噴射するよう前記噴射部を制御してもよい。
【0013】
本発明のワーク取出装置において、
前記取出部が前記第1位置にあるときにワークに気体を噴射する噴射部を更に備え、
前記制御部は、前記取出部が前記第1姿勢から前記第2姿勢に移動する前に前記噴射部により前記保持部分により保持されているワークに向かって気体を噴射するよう前記噴射部を制御してもよい。
【0014】
本発明のワーク取出装置において、
前記保持部分により保持されているワークに熱風を供給するための熱風供給部を更に備え、
前記制御部は、前記取出部が前記第1姿勢から前記第2姿勢に移動する前または移動中に、前記保持部分により保持されているワークに熱風を供給するよう前記熱風供給部を制御してもよい。
【0015】
本発明のワーク取出装置において、
前記保持部分により保持されているワークの枚数を検知するための第1検知部と、
前記保持部分により保持されているワークに熱風を供給するための熱風供給部と、
を更に備え、
前記制御部は、前記保持部分でワークの一部を保持させた状態で前記取出部が前記第1姿勢から前記第2姿勢に移動した後、前記保持部分により保持されているワークの枚数が2枚以上であることが前記第1検知部により検知されたときに、前記保持部分により保持されているワークに熱風を供給するよう前記熱風供給部を制御してもよい。
【0016】
本発明のワーク取出装置において、
前記熱風供給部は、前記保持部分により保持されているワークに供給される熱風を案内する熱風供給ガイドを有していてもよい。
【0017】
本発明のワーク取出装置において、
前記熱風供給ガイドは、前記保持部分と並列に配置されていてもよい。
【0018】
本発明のワーク取出装置において、
前記制御部は、前記保持部分により保持されているワークに対して前記熱風供給部により熱風が供給された後、前記保持部分により保持されているワークの枚数が依然として2枚以上であることが前記第1検知部により検知されたときに、前記保持部分でワークの一部を保持させた状態で前記取出部を前記第2姿勢から前記第1姿勢に移動させた後、前記取出部を前記第1姿勢から前記第2姿勢に移動させるよう前記第2移動機構を制御してもよい。
【0019】
本発明のワーク取出装置において、
前記制御部は、前記保持部分により保持されているワークに対して前記熱風供給部により熱風が供給された後、前記保持部分により保持されているワークの枚数が依然として2枚以上であることが前記第1検知部により検知されたときに、異常信号を出力してもよい。
【0020】
本発明のワーク取出装置において、
前記載置部の前記載置面上に載置されている複数のワークのうち最上層に位置するワークの位置を検知する第2検知部と、
前記載置部を移動させる第3移動機構と、
を更に備え、
前記制御部は、前記第2検知部により検知されるワークの位置が所定の位置に維持されるように前記載置部を移動させるよう前記第3移動機構を制御してもよい。
【0021】
本発明のワーク取出方法は、
板状の複数の金属製のワークが積層状態で載置面上に載置される載置部と、前記載置部に載置されている複数のワークのうち1枚のワークを取り出すための取出部であって、ワークの一部を保持するための保持部分を有する取出部とを備えたワーク取出装置によるワーク取出方法であって、
前記取出部が前記載置面と略平行となる第1姿勢となっている状態で前記保持部分により前記載置部に載置されている最上層のワークの一部を保持させる工程と、
第2移動機構により前記取出部を前記第1姿勢から前記載置面に対して角度を有する第2姿勢に移動させる工程と、
第1移動機構により前記取出部を第1位置から前記第1位置よりも上方または側方にある第2位置に移動させる工程と、
を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明のワーク取出装置およびワーク取出方法によれば、積層状態の複数のワークから1枚ずつワークを自動で分離させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明に係るワーク取出装置の構成を概略的に示す正面図である。
図2】本発明に係るワーク取出装置の要部を示す側面図である。
図3】本発明に係るワーク取出装置の機能的な構成を示すブロック図である。
図4】本発明に係るワーク取出装置の一部構成を省略した図であって、載置部の載置面を上方から見たときの上面図である。
図5】本発明に係るワーク取出装置の一部構成を省略した図であって、取出部の下部を下方から見たときの図である。
図6】本発明に係るワーク取出方法を説明するためのフロー図である。
図7A】本発明に係るワーク取出方法を説明するための図であって、取出部を載置部近傍の第1位置まで下降させた状態の図である。
図7B図7Aの状態の本発明に係るワーク取出装置の一部構成を省略した図であって、押さえ部を示すための図である。
図8A】本発明に係るワーク取出方法を説明するための図であって、取出部を図7Aの状態の第1姿勢から第2姿勢に移動させた状態の図である。
図8B図8Aの状態の本発明に係るワーク取出装置の一部構成を省略した図であって、押さえ部を示す図である。
図9】本発明に係るワーク取出方法を説明するための図であって、取出部を図8Aの状態の第1位置から第2位置まで上昇させた状態の図である。
図10】本発明に係るワーク取出方法を説明するための図であって、取出部を図9の状態の第2姿勢から第1姿勢に移動させた状態の図である。
図11】本発明に係るワーク取出方法を説明するための図であって、図10の状態の取出部の下方に受取台座を移動させた状態の図である。
図12】本発明に係るワーク取出方法を説明するための図であって、図11の状態の受取台座にワークを載置させた状態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、本発明において、「板状の金属製ワーク」とは通常の意味で用いられる(被)工作(加工)物を含む用語であり、特に限定されない。例えば、ワークはSUSプレートであってもよく、取出した後の用途、寸法等も限定されない。
【0025】
[ワーク取出装置]
まず、本発明に係るワーク取出装置を説明する。図1は、本発明に係るワーク取出装置の構成を概略的に示す正面図であり、図2はその側面図であり、図3はブロック図である。本発明のワーク取出装置1は、載置部10、取出部20、第1移動機構30、第2移動機構40、制御部50を備えている。載置部10、取出部20、第1移動機構30、第2移動機構40の組合せ体はワーク取出装置1の台座2や背部3に取り付けることができる。以下、ワーク取出装置1の構成部材を説明する。
【0026】
(載置部10)
図1、2、4等に示されるように、載置部10は、載置面10aを有し、そこに板状の複数の金属製のワークWが積層状態で載置される。図4では、2点鎖線で示されたワークが4つの載置面10a(載置部10)に載置されているが、載置部10の形状や材料は安定的にワークを支持できるものであれば特に限定されない。
図1では、載置部10は台座2に設けられており、載置部10の位置を後述する第3移動機構110により移動、調整することができる。
【0027】
(取出部20)
取出部20は、載置部10に載置されている複数のワークのうち最上層のワークを取り出すためのものである。図2に示す例では、取出部20は、主に、本体部分21、保持部分20aから構成され、保持部分20aによりワークWを保持する。本体部分21、保持部分20aは一体的に取出部20として形成されてもよい。なお、保持部分20aの数は限定されない。
ワークを保持するために、機械的にワークWを挟むように保持してもよく、その金属材料によっては磁力を利用してもよい。或いは、好適な例として、空気を吸引して真空状態を作り、ワークを保持部分20aに吸着させることができる。後述するように、複数枚のワークを保持してしまった場合の対応や、様々な材質のワークWに対応可能である点から後者の手段が好ましい。
取出部20の移動は、制御部50により、第1移動機構30、第2移動機構40を介して制御される。
【0028】
(第1移動機構30)
本実施形態では、第1移動機構30により、取出部20を第1位置(例えば、図7A)と当該第1位置よりも上方にある第2位置(図2図9等)との間で鉛直方向に沿って移動させる。また、第1移動機構30は、取出部20を第3位置に移動させることもできる(図12等)。他の実施形態として、これらの第1~第3位置を水平方向(側方)に設定することもできる。
図2等に示す例では、第1移動機構30は、ガイドレール31、アーム32、連結部33、34、35を有し、アーム32を不図示のモーターによって収縮させることにより連結部33がガイドレール31に沿って移動可能に構成されている。この例では、第1移動機構30は背部3に設けられている。第1移動機構30は、連結部33、34、35等を介して取出部20と第2移動機構40とに連結している。
【0029】
(第2移動機構40)
第2移動機構40により、載置面10aと略平行となる第1姿勢(図7A、10等)と、載置面10aに対して角度α(図8A、8B)を有する第2姿勢(図8A、9等)との間で、取出部20を移動させる。図2に示す例では、第2移動機構40はアーム41、軸42を有し、アーム41が不図示のモーターによって伸縮することにより、取出部20を第1姿勢と第2姿勢との間で軸42回りに揺動させることができる。
第1移動機構30と第2移動機構40は連結しているが、それぞれ独立して動作することができる。これにより、取出部20とワークWの姿勢を維持したまま、取出部20とワークWの位置を移動させることが可能となる。
取出すワークWの寸法や材質にもよるが、第2姿勢における角度α(図8A、8B)は、ワークを効率的に剥離させることができる観点から、8度から14度の範囲の大きさであることが好ましく、10度であることが更に好ましい。
【0030】
(制御部50)
制御部50は、以上のような取出部20、第1移動機構30、第2移動機構40を制御して、取出部20が第1位置にあり第1姿勢となっている状態で保持部分20aにより載置部10に載置されている最上層のワークの一部を保持させ、次に取出部20を第1姿勢から第2姿勢に移動させ、その後に取出部20を第1位置から第2位置に移動させることができる。
制御部50は、CPUおよび半導体メモリを含むマイクロコンピュータで構成することができ、図3に示すように、ワーク取出装置1の他の構成部材に接続させて所望の動作を実行させることができる。
【0031】
(押さえ部60)
第2移動機構40には、押さえ部60を設けることができる(図5、7B、8B)。押さえ部60は、第2移動機構40によってワークWが第1姿勢から第2姿勢に揺動される際に角度αを調整するためのストッパーとしての役割を担う。押さえ部60は、ワークWの移動を妨害しないように、ワークWから退避できるよう構成されている。
【0032】
(噴射部70)
ワーク取出装置1には、ワークWに気体を噴射する噴射部70を設けることができる。噴射部70の取付位置は特に限定されないが、図2に示す例では、噴射部70は保持部分20aの側方に設けられている。これにより、保持部分20aにより保持されているワークWに対して気体を噴射することができる。図2では、噴射部70は本体部71と連結部72を有し、図示しないが本体部71はコンプレッサ73に接続されて空気等の気体の供給を受けることができる。
噴射部70は、間欠噴射や連続噴射を行うことが可能となるように構成されていてもよい。噴射部70の噴射量は、ワークWの寸法や噴射目的に合わせて適宜調整可能であることが好ましい。
【0033】
(第1検知部80)
ワーク取出装置1には、保持部分20aにより保持されているワークWの枚数を検知するための第1検知部80を設けることができる。図1図8Aに示すように、ワーク取出装置1の手前側、ワークや取出部20の前方に設けることができる。第1検知部80として、カメラや画像センサーを用いることができるが、これらに限定されない。
【0034】
(熱風供給部90)
また、ワーク取出装置1には、保持部分20aにより保持されているワークWに熱風を供給するための熱風供給部90を設けることができる(図3)。ワークには製造過程で使用した潤滑油等の残渣が残っている場合があり、積層状態のワーク同士が貼り付いて一枚ずつ剥離できない原因となる。そのため、このような残渣を乾燥させたり、熱変形させるために、ワークWに熱風を吹きかけることが好ましい。
熱風供給部90は、間欠噴射や連続噴射を行うことが可能となるように構成されていてもよい。熱風供給部90の噴射量は、ワークWの寸法や噴射目的に合わせて適宜調整可能であることが好ましい。熱風の温度は、潤滑油の種類や熱風供給面積に応じて適宜設定されるが、400Wから1200Wの熱容量の範囲であることが好ましい。また、熱風の種類や発生方法も適宜設定変更できる。
さらに、熱風供給部90は、本体部の他に、保持部分20aにより保持されているワークWに供給される熱風を案内する熱風供給ガイド90aを有していることが好ましい。図5に示すように、この熱風供給ガイド90aは保持部分20aと並列に配置されていてもよい。熱風供給ガイド90aは例えばアルミニウム等から形成されていてもよい。熱風供給ガイド90aには、熱風が通る通路90bが形成されている。
熱風供給部90の本体部は、熱風供給ガイド90aと連接する連接部91と、この連接部91に連結する熱風生成部92とを有しても良い。熱風生成部92で加熱された空気等の気体が熱風として連接部91を介してワークWに供給される。
取出部20が第1姿勢の場合に(図2図7A等)、熱風生成部92に対して連接部91は傾斜し、取出部20が第2姿勢の場合には(図8A等)、連接部91はその上面が熱風生成部92の下面に平行になるように連結する構成としてもよい。連接部91には、熱風が通る穴が設けられており、この穴径は熱風生成部92の噴射口の直径以下としてもよい。これにより、熱風のロス(逃げ)を減らし、効率的に熱風をワークWにあて、剥離を効率よく行うことができる。また、板状ワークWに直接熱風があたることによる周辺の樹脂部品の劣化を軽減する遮蔽部材としての役割も連接部91は果たすことができる。
【0035】
(第2検知部100)
図1に示すように、ワーク取出装置1には、載置部10の載置面10a上に載置されている複数のワークWのうち最上層に位置するワークの位置を検知する第2検知部100を設けることができる。第2検知部100として、光学センサーを用いることができるが、ワークの位置を検知できるものであれば特に限定されない。
【0036】
(第3移動機構110)
図1に示すように、ワーク取出装置1には、載置部10を鉛直方向に移動させる第3移動機構110を設けることができる。これにより、載置部10の位置を調節できる。
【0037】
(受取台座120)
ワーク取出装置1には、取出したワークWを載置してその後の使用のために搬送させる受取台座120を設けることができる(図11~12)。この受取台座120は、取出部20と載置部10の間の位置と、受取台座120が退避する位置との間で水平方向に移動する。受取台座120は、台座2に設置させてもよいし、外部からワーク取出装置1に取り付けるようにしてもよい。
【0038】
(その他)
その他にも、制御部50を実行する制御プログラムを保存する記憶部、検知部の結果等を表示する表示部、ワーク取出装置1を操作するための操作部(入力部)、異常信号等を知らせる出力部等も設けてもよい。
【0039】
以上のようなワーク取出装置1を増設して、個々のワークWの取出し効率を上げることもできる。また、上述した各部材の大きさや位置関係は、取り出すべきワークWの大きさに合わせて適宜調節すべきであることは言うまでもない。
【0040】
[ワーク取出方法]
次に、図面を参照しながら、本発明に係るワーク取出方法を説明する。ここでは、上述したワーク取出装置1を用いる例を説明する。図6は本発明に係るワーク取出方法を説明するためのフロー図である。図7Aは、取出部20を載置部10まで下降させた状態を示す。図8Aは、取出部20を図7Aの状態の第1姿勢から第2姿勢に移動させた状態を示す。図9は、取出部20を図8Aの状態の第1位置から第2位置まで上昇させた状態を示す。図10は、取出部20を図9の状態の第2姿勢から第1姿勢に移動させた状態を示す。図11は、図10の状態の取出部20の下方に受取台座120を移動させた状態を示す。図12は、図11の状態の受取台座120にワークWを載置させた状態を示す。
【0041】
まず、取り出されるべきワークの寸法に合わせて、ワーク取出装置1の各部材の位置を適宜調整した後、積層状態のワークWを載置部10の載置面10a上に載置する(図1図2参照)。
【0042】
次に、第1位置に移動させた取出部20が載置面10aと略平行となる第1姿勢となっている状態で保持部分20aにより載置部10に載置されている最上層のワークWの一部を保持させる(図6のステップS1。図7A)。なお、図6中のカッコ内の位置と姿勢は取出部20の位置と姿勢を示すものである。
【0043】
続いて、噴射部70によりワークWに対して空気を噴射させてもよい。ステップS1の後、第2移動機構40により取出部20を第1姿勢から載置面10aに対して角度αを有する第2姿勢に移動させる(図6のステップS2。図8A)。
【0044】
続いて、第1検知部80により、1枚のワークが取出部20によって保持されていることが検知された場合には(図6のステップS3の「YES」)、第1移動機構30により取出部20を第1位置から第1位置よりも上方にある第2位置に移動させる(図6のステップS4。図9)。
【0045】
ステップS4に続いて、第2移動機構40により取出部20を第2姿勢から第1姿勢に移動させる(図6のステップS5。図10)。
続いて、受取台座120を取出部20の下方の位置に移動させる(図6のステップS6。図11)。
続いて、第1移動機構30により取出部20を第2位置から第3位置に移動させる(図6のステップS7。図12)。
その後、1枚のワークWを載置させた受取台座120を取出部20(第3位置)から退避させる。このようにしてワークWの取出動作が完了する。以上の工程を繰り返し行わせることにより、積層状態の複数のワークから最上層のワークを1枚ずつ自動で分離させることが可能になる。すなわち、積層状態のワークWの最上層にある別のワークWを取り出す動作を繰り返すことができる。
【0046】
なお、上述したような潤滑油等が原因で、ステップS2において取出部20を第1姿勢から第2姿勢に移動させたときに、取出部20(保持部分20a)が複数のワークWを保持してしまうことがある。このような取出エラーに対応するために、ステップS2の後に、第1検知部80により取出部20の保持部分20aが複数のワークWを保持していないか確認し、第1検知部80により取出部20が複数のワークを保持していることが検知された場合には(図6のステップS3の「NO」)、噴射部70や熱風供給部90によりこれらのワークWに気体や熱風を吹きかけて(ステップS8)、ワークを1枚ずつに剥離させることもできる。また、図8Aの状態(第2姿勢)から図7Aの状態(第1姿勢)に取出部20を戻してから(ステップS9)、再度ステップS2を実行しても良い。
【0047】
以上のような構成からなる本実施形態のワーク取出装置1によれば、上述したように、板状の複数の金属製のワークWが積層状態で載置面10a上に載置される載置部10と、載置部10に載置されている複数のワークWのうち最上層のワークWを取り出すための取出部20であって、ワークWの一部を保持するための保持部分20aを有する取出部20と、取出部20を第1位置と該第1位置よりも上方または側方にある第2位置との間で移動させる第1移動機構30と、取出部20を載置面10aと略平行となる第1姿勢と載置面10aに対して角度αを有する第2姿勢との間で移動させる第2移動機構40と、取出部20が第1位置にあり第1姿勢となっている状態で保持部分20aにより載置部10に載置されている最上層のワークWの一部を保持させ、次に取出部20を第1姿勢から第2姿勢に移動させ、その後に取出部20を第1位置から第2位置に移動させるように、取出部20、第1移動機構30および第2移動機構40を制御する制御部50と、が設けられている。そして、本実施形態のワーク取出装置1およびワーク取出方法によれば、取出部20の保持部分20aで最上層のワークWを保持させた状態で取出部20を第1姿勢から第2姿勢に移動させ、その後に取出部20を第1位置から第2位置に移動させている。特に、取出部20によって最上層のワークWの全面ではなく一部を保持し、第2移動機構の移動(揺動)によってワークWをめくるように反らすことによりワーク毎の剥離を実現させている。こうして、ワークWを傷つけることなく1枚ずつ分離させることが可能になる。さらに、第1移動機構30により取出部20を第1位置と第2位置との間で移動させることにより、ワーク取出の自動化が実現可能となる。
【0048】
また、本実施形態のワーク取出装置1およびワーク取出方法によれば、制御部50は、取出部20を第1姿勢から第2姿勢に移動させた後、取出部20を第2姿勢に維持した状態で取出部20を第1位置から第2位置に移動させるよう第1移動機構30および第2移動機構40を制御する。こうして、保持部分20aで保持された最上層のワークWを積層状態の他のワークから確実に分離・取り出すことができる。第1位置で第1姿勢に戻した場合に再び他のワークに貼り付く恐れがあるからである。
【0049】
また、本実施形態のワーク取出装置1およびワーク取出方法によれば、第1移動機構30は、取出部20を第3位置にも移動させることができるようになっており、制御部50は、取出部20を第2位置に移動させた後に取出部20を第2姿勢から第1姿勢に移動させ、その後、取出部20を第3位置に移動させた後、保持部分20aによるワークの保持を停止するように、取出部20、第1移動機構30および第2移動機構40を制御する。また、第3位置は第1位置と第2位置との間にある。こうして、前述したように取出部20の下方の位置に受取台座120を移動させ、その後に取出したワークWを受取台座120に載置させて、その後の加工等に供することができる。このように、ワーク取出の一つのサイクルが終了し、次のワークWの取出が開始される。
【0050】
また、本実施形態のワーク取出装置1およびワーク取出方法によれば、保持部分20aにより一部が保持されているワークWのこの一部とは他の部分を、取出部20が第1姿勢から第2姿勢に移動するときに上方から押さえる押さえ部60を更に備え、制御部50は、取出部20が第1姿勢から第2姿勢に移動した後に押さえ部60がワークWの前記他の部分から退避するよう押さえ部60を制御する。こうして、押さえ部60が「反らし」の支点となって、保持されたワークWを積層状態の他のワークWから分離できる。なお、保持部分20aにより保持されるワークWの一部と他の部分の範囲(領域)について特に限定されず、ワークWの大きさ、重さ等を考慮して適宜変更可能である。
【0051】
また、本実施形態のワーク取出装置1およびワーク取出方法によれば、取出部20が第1位置にあるときにワークWに気体を噴射する噴射部70を更に備え、制御部50は、取出部20が第1姿勢から第2姿勢に移動した後に噴射部70により保持部分20aにより保持されているワークWに向かって気体を噴射するよう噴射部70を制御する。こうして、複数枚のワークWが保持された場合でも、噴射された気体によりワークWを確実に1枚ずつに剥離することができる。また、自動ワーク取出サイクルの中で噴射部70による噴射を通常一回と設定することができる。なお、間欠噴射すると、エアー圧が強くなるため好ましい。さらに、側方からワークWに気体を噴射すると、ワークW同士が貼り付いた箇所に効果的に気体を吹き付けることができるため好ましい。
また、上述したように、制御部50は、取出部20が第1姿勢から第2姿勢に移動する前に噴射部70により保持部分20aにより保持されているワークWに向かって気体を噴射するよう噴射部70を制御してもよい。こうして、積層状態のワークWの束をほぐして、剥離の精度を上げることができる。
【0052】
また、本実施形態のワーク取出装置1およびワーク取出方法によれば、保持部分20aにより保持されているワークWの枚数を検知するための第1検知部80と、保持部分20aにより保持されているワークWに熱風を供給するための熱風供給部90と、を更に備え、制御部50は、保持部分20aでワークWの一部を保持させた状態で取出部20が第1姿勢から第2姿勢に移動した後、保持部分20aにより保持されているワークWの枚数が2枚以上であることが第1検知部80により検知されたときに、保持部分20aにより保持されているワークWに熱風を供給するよう熱風供給部90を制御する。
また、制御部50は、取出部20が第1姿勢から第2姿勢に移動する前または移動中に、保持部分20aにより保持されているワークWに熱風を供給するよう熱風供給部90を制御してよい。
こうして、例えば、ワークWに残っていた油を熱風により乾燥させたり、熱変形させて、1枚ずつの剥離を確実に実現できる。さらに、上述のようにエアー剥離できなかったエラー時にも対応可能であり、噴射部70と熱風供給部90による2段階のエラー対応が可能となる。
【0053】
また、本実施形態のワーク取出装置1およびワーク取出方法によれば、第1検知部80として、ワークWの枚数を画像センサーにより検知する。またこの画像センサーは、保持されたワークWの厚みtを画像から検知できる。例えば、画像中のワークWの厚みtが1枚のワークWの厚みtより大きい場合、2枚以上のワークWが保持されていると判断するよう設定されていてもよい。
【0054】
また、本実施形態のワーク取出装置1およびワーク取出方法によれば、熱風供給部90は、保持部分20aにより保持されているワークWに供給される熱風を案内する熱風供給ガイド90aを有している。熱風をワークW全体に案内する必要はないため、熱風供給ガイド90aは、保持部分20aと並列に配置されていてもよい。熱風供給ガイド90aにより熱風を効果的に供給し、ワークWの分離・剥離がより確実に行われる。
【0055】
また、本実施形態のワーク取出装置1およびワーク取出方法によれば、制御部50は、保持部分20aにより保持されているワークWに対して熱風供給部90により熱風が供給された後、保持部分20aにより保持されているワークWの枚数が依然として2枚以上であることが第1検知部80により検知されたときに、保持部分20aでワークWの一部を保持させた状態で取出部20を第2姿勢から第1姿勢に移動させた後、取出部20を第1姿勢から第2姿勢に移動させるよう第2移動機構40を制御する。このように、第2移動機構40の移動(揺動)によるワークWの反らし動作を繰り返すことにより、ワーク毎の剥離を実現して、エラー対応できる。
【0056】
また、本実施形態のワーク取出装置1およびワーク取出方法によれば、制御部50は、保持部分20aにより保持されているワークWに対して熱風供給部90により熱風が供給された後、保持部分20aにより保持されているワークWの枚数が依然として2枚以上であることが第1検知部80により検知されたときに、異常信号を出力する。この場合には、人為的にワークWを分離して、ワーク取出操作を再開できる。或いは、異常状態が検知されたワークWを受取台座120に乗せて、取り出すべきワークWとは別に保管してもよい。
【0057】
また、本実施形態のワーク取出装置1およびワーク取出方法によれば、載置部10の載置面10a上に載置されている複数のワークWのうち最上層に位置するワークWの位置を検知する第2検知部100と、載置部10を移動させる第3移動機構110と、を更に備え、制御部50は、第2検知部100により検知されるワークWの位置が所定の位置に維持されるように載置部10を移動させるよう第3移動機構110を制御する。こうして、載置部10ひいてはワークWの高さを一定にすることにより、一連のワークW毎の自動取出動作を確実にする。
【0058】
なお、本発明によるワーク取出装置およびワーク取出方法は、上述したような態様に限定されることはなく、様々な変更を加えることができる。
【0059】
図8A図12において、取出部20を上下方向に移動させる例を示してあるが、本発明はこれに限定されない。例えば、取出部20を第2姿勢に揺動させてワークWを反らせた後に水平方向に移動させる構成も可能であり、第1~第3位置を鉛直方向と水平方向に任意に設定することもできる。
【0060】
さらに、複数枚のワークWをすべて個別に取り出した後に再度積層状態のワークWを自動的に供給するための部材をワーク取出装置1に設けてもよい。例えば、1セットのワークの取出しが終了したことを知らせるセンサーを設けてもよく、新たな1セットのワークを搬送する部材をワーク取出装置1に設けてもよい。
【0061】
また、積層状態のワークWの束をほぐして剥離の精度を上げるために、取出部20が第1姿勢から第2姿勢に移動する前に保持部分20aにより保持されているワークWに向かって気体を噴射するように噴射部70を制御してもよいが、保持部分20aにより保持される前のワークWに向かって気体を噴射するように噴射部70を制御してもよい。
【符号の説明】
【0062】
1 ワーク取出装置
2 台座
3 背部
10 載置部
10a 載置面
20 取出部
20a 保持部分
21 本体部分
30 第1移動機構
31 ガイドレール
32 アーム
33、34、35 連結部
40 第2移動機構
41 アーム
42 軸
50 制御部
60 押さえ部
70 噴射部
71 本体部
72 連結部
73 コンプレッサ
80 第1検知部(画像センサー)
90 熱風供給部
90a 熱風供給ガイド
90b 通路
91 連接部
92 熱風生成部
100 第2検知部
110 第3移動機構
120 受取台座
W ワーク
α 角度
t ワークの厚み
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2023-06-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の複数の金属製のワークが積層状態で載置面上に載置される載置部と、
前記載置部に載置されている複数のワークのうち最上層のワークを取り出すための取出部であって、ワークの一部を保持するための保持部分を有する取出部と、
前記取出部を第1位置と前記第1位置よりも上方または側方にある第2位置との間で移動させる第1移動機構と、
前記載置面と略平行となる第1姿勢と前記載置面に対して角度を有する第2姿勢との間で前記取出部を移動させる第2移動機構と、
前記取出部が前記第1位置にあり前記第1姿勢となっている状態で前記保持部分により前記載置部に載置されている最上層のワークの一部を保持させ、次に前記取出部を前記第1姿勢から前記第2姿勢に移動させ、その後に前記取出部を前記第1位置から前記第2位置に移動させるように、前記取出部、前記第1移動機構および前記第2移動機構を制御する制御部と、
前記保持部分により保持されているワークの枚数を検知するための第1検知部と、
前記保持部分により保持されているワークのうち最上層にあるワークの上面に上方から熱風を供給するための熱風供給部と、
を備え
前記制御部は、前記保持部分でワークの一部を保持させた状態で前記第1位置にある前記取出部を前記第1姿勢から前記第2姿勢に移動させ、前記取出部が前記第2姿勢にあるときの前記保持部分により保持されているワークの枚数を前記第1検知部により検知し、前記保持部分により保持されているワークの枚数が2枚以上であることが前記第1検知部により検知されたときに、前記第1位置にある前記取出部が前記第2姿勢にあるときの前記保持部分により保持されているワークのうち最上層にあるワークの上面に上方から熱風を供給するよう前記第2移動機構、前記熱風供給部を制御する、ワーク取出装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記取出部を前記第1姿勢から前記第2姿勢に移動させた後、前記取出部を前記第2姿勢に維持した状態で前記取出部を前記第1位置から前記第2位置に移動させるよう前記第1移動機構および前記第2移動機構を制御する、請求項1記載のワーク取出装置。
【請求項3】
前記第1移動機構は、前記取出部を第3位置にも移動させることができるようになっており、
前記制御部は、前記取出部を前記第2位置に移動させた後に前記取出部を前記第2姿勢から前記第1姿勢に移動させ、その後、前記取出部を前記第3位置に移動させた後、前記保持部分によるワークの保持を停止するように、前記取出部、前記第1移動機構および前記第2移動機構を制御する、請求項2記載のワーク取出装置。
【請求項4】
前記第3位置は前記第1位置と前記第2位置との間にある、請求項3記載のワーク取出装置。
【請求項5】
前記保持部分により一部が保持されているワークの前記一部とは他の部分を、前記取出部が前記第1姿勢から前記第2姿勢に移動するときに上方から押さえる押さえ部を更に備え、
前記制御部は、前記取出部が前記第1姿勢から前記第2姿勢に移動した後に前記押さえ部が前記ワークの前記他の部分から退避するよう前記押さえ部を制御する、請求項1記載のワーク取出装置。
【請求項6】
前記取出部が前記第1位置にあるときにワークに気体を噴射する噴射部を更に備え、
前記制御部は、前記取出部が前記第1姿勢から前記第2姿勢に移動した後に前記噴射部により前記保持部分により保持されているワークに向かって気体を噴射するよう前記噴射部を制御する、請求項1記載のワーク取出装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記取出部が前記第1姿勢から前記第2姿勢に移動する前に前記噴射部により前記保持部分により保持されているワークに向かって気体を噴射するよう前記噴射部を制御する、請求項6記載のワーク取出装置。
【請求項8】
前記取出部が前記第1位置にあるときにワークに気体を噴射する噴射部を更に備え、
前記制御部は、前記取出部が前記第1姿勢から前記第2姿勢に移動する前に前記噴射部により前記保持部分により保持されているワークに向かって気体を噴射するよう前記噴射部を制御する、請求項1記載のワーク取出装置。
【請求項9】
前記熱風供給部は、前記保持部分により保持されているワークに供給される熱風を案内する熱風供給ガイドを有している、請求項記載のワーク取出装置。
【請求項10】
前記熱風供給ガイドは、前記保持部分と並列に配置されている、請求項記載のワーク取出装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記保持部分により保持されているワークに対して前記熱風供給部により熱風が供給された後、前記保持部分により保持されているワークの枚数が依然として2枚以上であることが前記第1検知部により検知されたときに、前記保持部分でワークの一部を保持させた状態で前記取出部を前記第2姿勢から前記第1姿勢に移動させた後、前記取出部を前記第1姿勢から前記第2姿勢に移動させるよう前記第2移動機構を制御する、請求項記載のワーク取出装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記保持部分により保持されているワークに対して前記熱風供給部により熱風が供給された後、前記保持部分により保持されているワークの枚数が依然として2枚以上であることが前記第1検知部により検知されたときに、異常信号を出力する、請求項記載のワーク取出装置。
【請求項13】
前記載置部の前記載置面上に載置されている複数のワークのうち最上層に位置するワークの位置を検知する第2検知部と、
前記載置部を移動させる第3移動機構と、
を更に備え、
前記制御部は、前記第2検知部により検知されるワークの位置が所定の位置に維持されるように前記載置部を移動させるよう前記第3移動機構を制御する、請求項1記載のワーク取出装置。
【請求項14】
板状の複数の金属製のワークが積層状態で載置面上に載置される載置部と、前記載置部に載置されている複数のワークのうち1枚のワークを取り出すための取出部であって、ワークの一部を保持するための保持部分を有する取出部と、前記保持部分により保持されているワークの枚数を検知するための第1検知部と、前記保持部分により保持されているワークのうち最上層にあるワークの上面に上方から熱風を供給するための熱風供給部とを備えたワーク取出装置によるワーク取出方法であって、
前記取出部が前記載置面と略平行となる第1姿勢となっている状態で前記保持部分により前記載置部に載置されている最上層のワークの一部を保持させる工程と、
第2移動機構により前記取出部を前記第1姿勢から前記載置面に対して角度を有する第2姿勢に移動させる工程と、
第1移動機構により前記取出部を第1位置から前記第1位置よりも上方または側方にある第2位置に移動させる工程と、
前記第1位置にある前記取出部が前記第2姿勢にあるときの前記保持部分により保持されているワークの枚数を前記第1検知部により検知し、前記保持部分により保持されているワークの枚数が2枚以上であることが前記第1検知部により検知されたときに、前記第1位置にある前記取出部が前記第2姿勢にあるときの前記保持部分により保持されているワークのうち最上層にあるワークの上面に上方から熱風を前記熱風供給部により供給する工程と、
を含む、ワーク取出方法。