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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104972
(43)【公開日】2024-08-06
(54)【発明の名称】液晶パネル及び表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/133 20060101AFI20240730BHJP
   G02F 1/13363 20060101ALI20240730BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20240730BHJP
   G02F 1/1347 20060101ALN20240730BHJP
【FI】
G02F1/133 505
G02F1/13363
G09F9/00 313
G02F1/1347
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023009444
(22)【出願日】2023-01-25
(71)【出願人】
【識別番号】520487808
【氏名又は名称】シャープディスプレイテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】増田 純一
(72)【発明者】
【氏名】村田 浩二
【テーマコード(参考)】
2H189
2H193
2H291
5G435
【Fターム(参考)】
2H189AA22
2H189AA35
2H193ZH39
2H193ZH53
2H193ZH56
2H193ZQ08
2H193ZQ16
2H193ZR04
2H193ZR06
2H291FA71Z
2H291HA08
2H291HA15
2H291KA02
2H291KA05
2H291KA06
2H291LA26
2H291NA73
2H291NA76
2H291PA08
5G435AA01
5G435BB04
5G435BB05
5G435BB12
5G435CC09
5G435DD11
5G435EE12
5G435EE49
5G435FF02
5G435KK07
5G435LL17
(57)【要約】
【課題】観察者が画面上側又は画面下側から視認する場合において、水平方向の遮光性が低下することを抑制できる液晶パネル、及び、当該液晶パネルを備える表示装置を提供する。
【解決手段】第一の基板と、上記第一の基板に対向して配置される第二の基板と、上記第一の基板及び上記第二の基板の間に位置し、かつ、液晶分子を含有する液晶層と、上記液晶層に電圧を印加する一対の電極と、第一の絶対値を有する第一の電圧及び上記第一の絶対値とは異なる第二の絶対値を有する第二の電圧を上記一対の電極間に交互に印加する制御を行う電圧制御部と、を備える液晶パネル。
【選択図】図7

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の基板と、
前記第一の基板に対向して配置される第二の基板と、
前記第一の基板及び前記第二の基板の間に位置し、かつ、液晶分子を含有する液晶層と、
前記液晶層に電圧を印加する一対の電極と、
第一の絶対値を有する第一の電圧及び前記第一の絶対値とは異なる第二の絶対値を有する第二の電圧を前記一対の電極間に交互に印加する制御を行う電圧制御部と、を備えることを特徴とする液晶パネル。
【請求項2】
前記第一の電圧は、前記第一の絶対値を有し、かつ、正の値である電圧V1と、前記第一の絶対値を有し、かつ、負の値である電圧-V1と、からなり、
前記第二の電圧は、前記第二の絶対値を有し、かつ、正の値である電圧V2と、前記第二の絶対値を有し、かつ、負の値である電圧-V2と、からなり、
前記電圧制御部は、前記一対の電極間に、前記電圧V1、前記電圧-V1、前記電圧V2及び前記電圧-V2をこの順に繰り返し印加することを特徴とする請求項1に記載の液晶パネル。
【請求項3】
前記第一の電圧は、前記第一の絶対値を有し、かつ、正の値である電圧V1であり、
前記第二の電圧は、前記第二の絶対値を有し、かつ、負の値である電圧-V2であり、
前記電圧制御部は、前記一対の電極間に、前記電圧V1及び前記電圧-V2を順に繰り返し印加することを特徴とする請求項1に記載の液晶パネル。
【請求項4】
前記電圧動制御部は、前記第一の電圧と、前記第二の電圧と、前記第一の絶対値及び前記第二の絶対値とは異なる第三の絶対値を有する第三の電圧とを、前記一対の電極間に順次繰り返し印加する制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の液晶パネル。
【請求項5】
前記電圧制御部は、前記第一の電圧が印加される時間と前記第二の電圧が印加される時間とを互いに異ならせることを特徴とする請求項1に記載の液晶パネル。
【請求項6】
更に、観察者の視線を感知する視線感知センサーを備えることを特徴とする請求項1に記載の液晶パネル。
【請求項7】
前記液晶パネルは、更に、前記第一の基板の観察面側に配置され、かつ、第一の吸収軸を有する第一の偏光板を備え、
平面視したときに、電圧無印加状態の前記液晶分子のダイレクタと前記第一の吸収軸とのなす角度αは、5°以上、20°以下、又は、65°以上、80°以下であることを特徴とする請求項1に記載の液晶パネル。
【請求項8】
更に、前記第二の基板の前記液晶層と反対側に、前記第一の吸収軸と平行な第二の吸収軸を有する第二の偏光板を備えることを特徴とする請求項7に記載の液晶パネル。
【請求項9】
電圧無印加状態において、前記液晶分子のチルト角は、1°以上、5°以下であり、
電圧印加状態において、前記液晶分子のチルト角は、40°以上、75°以下であることを特徴とする請求項1に記載の液晶パネル。
【請求項10】
前記液晶パネルは、ECBモードであることを特徴とする請求項1に記載の液晶パネル。
【請求項11】
電圧印加状態における前記液晶層のリタデーションReは、600nm以上、1000nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の液晶パネル。
【請求項12】
前記液晶層の厚みdは、3μm以上、10μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の液晶パネル。
【請求項13】
前記液晶分子は、正の誘電率異方性を有することを特徴とする請求項1に記載の液晶パネル。
【請求項14】
更に、厚さ方向のリタデーションRthが500nm以上のネガティブCプレートを備えることを特徴とする請求項1に記載の液晶パネル。
【請求項15】
請求項1~14のいずれかに記載の液晶パネルと、
表示パネルと、を備えることを特徴とする表示装置。
【請求項16】
前記表示パネルは、IPSモード又はFFSモードの液晶表示パネルであることを特徴とする請求項15に記載の表示装置。
【請求項17】
更に、バックライトを備え、
前記バックライトは、導光板を有し、
前記導光板は広視野角モード用として機能することを特徴とする請求項15に記載の表示装置。
【請求項18】
前記表示パネルは、有機EL表示パネル、無機EL表示パネル、マイクロLED表示パネル又はQLED表示パネルであることを特徴とする請求項15に記載の表示装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下の開示は、液晶パネル及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶パネルは、一対の基板間に封入された液晶組成物に対して電圧を印加し、印加した電圧に応じて液晶組成物中の液晶分子の配向状態を変化させることにより、光の透過量を制御する光学素子である。このような液晶パネルは、薄型、軽量及び低消費電力といった特長を活かし、幅広い分野で用いられている。
【0003】
ところで、従来、表示装置は、狭い視野角の範囲から観察しても、広い視野角の範囲から観察しても同様の画像が観察できるように視野角特性を向上させることが検討されている。一方で、プライバシー保持の観点からは、狭い視野角の範囲からは画像を観察できるが、広い視野角の範囲からは上記画像を観察し難くする表示方法が検討されている。このように、狭い視野角の範囲においても広い視野角の範囲においても同様の画像が観察できるパブリックモード(広視野角モード)と、狭い視野角の範囲からは画像を観察できるが、広い視野角の範囲からは画像を観察し難いプライバシーモード(狭視野角モード)とを切り替え可能な表示装置が求められている。
【0004】
このようなパブリックモードとプライバシーモードとを切り替えることができる表示装置は、例えば、液晶パネルを用いて実現することができる。例えば、特許文献1には、表示パネルと、電気制御視野角切替器と、電気制御光散乱切替器と、バックライトモジュールと、を含み、前記電気制御視野角切替器は、前記表示パネルに対向し、且つ2つの第1透光基板、前記2つの第1透光基板の間に位置する2つの第1透光導電層、前記2つの第1透光導電層の間に位置する液晶層、及び前記電気制御視野角切替器の前記表示パネルから離れた側に位置する第1偏光板を含み、前記液晶層は複数の液晶分子を含み、前記複数の液晶分子の光軸は前記第1偏光板の透過軸に平行又は垂直となり、前記電気制御光散乱切替器は、前記表示パネルと前記バックライトモジュールとの間に位置し、且つ2つの第2透光基板、前記2つの第2透光基板の間に位置する2つの第2透光導電層、及び前記2つの第2透光導電層の間に位置する電気制御高分子材料層を含む、視野角切り替え可能な表示装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-120210号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
パブリックモードとプライバシーモードとを切り替え可能な表示装置(以下、視野角制御切替型の表示装置ともいう。)を画面正面から観察する場合は、常に画像を視認することができる。一方、視野角制御切替型の表示装置を画面正面より水平方向にずれた斜め方向から観察する場合は、画像を視認可能であるモードと視認不可であるモードとを切り替えることができる。このように視野角を切り替えることができる視野角制御切替型の表示装置は、例えば、助手席用の車載ディスプレイ(Co-driver display)に導入されつつある。
【0007】
視野角を切り替える方法としては、例えば、視野角をコントロールするルーバーフィルムを用いてバックライトの光量をコントロールする方法、及び、透過と遮光とを切り替えることができる液晶パネルを追加する方法、等の方法が挙げられる。前者のルーバーフィルムを用いる方法により、斜め方向の遮光性を高めることができるが、斜め方向に対して高い視認性を得ることが難しい。また、後者の液晶パネルを追加する方法により、画面正面より水平方向に特定の角度ずれた位置において高い遮光性を実現することができる。しかしながら、当該遮光性の高い位置から垂直方向(例えば、表示装置を見下ろす位置)に観察者が移動すると、遮光性が低下するという課題がある。
【0008】
図29及び図30は、パブリックモードとプライバシーモードとを切り替え可能な視野角制御切替型の表示装置の一例を示す斜視模式図である。図31は、図29及び図30に示す視野角制御切替型の表示装置の遮光性能を示すグラフである。
【0009】
液晶パネルを追加する方法により実現される視野角制御切替型の表示装置1Rとして、例えば、図29に示すように、観察面側から背面側に向かって順に、液晶パネル10Rと、表示パネルとしての液晶表示パネル20とバックライト30とを備える表示装置、及び、図30に示すように、観察面側から背面側に向かって順に、表示パネルとしての液晶表示パネル20と、液晶パネル10Rとバックライト30とを備える表示装置が挙げられる。液晶パネル10Rは、遮光パネルともいう。
【0010】
図31に示されるように、視野角制御切替型の表示装置1Rを画面正面から見た場合、水平方向(特に、極角-20°付近から-40°付近)において透過率が抑えられ、高い遮光性が実現されている。しかしながら、画面正面より垂直方向に10°上の角度から視野角制御切替型の表示装置1Rを見下ろした場合、水平方向(特に、極角-20°付近から-40°付近)において透過率が上昇し、遮光性が低下する。また、画面正面より垂直方向に20°上の角度から見下ろした場合は、10°上の角度から見下ろした場合よりも、更に、水平方向(特に、極角-20°付近から-40°付近)において透過率が上昇し、遮光性がより低下する。
【0011】
この理由は次のように考えられる。視野角制御切替型の表示装置1Rは、モジュールの設計及び印加された電圧によって遮光角度が決定されるが、遮光性能が最大化される角度は、特定の角度に限定されるため、その位置からずれていくと遮光性能は低下してしまう。
【0012】
なお、本明細書において、表示装置を画面正面から見た場合とは、観察者の視線が画面の中心を通り、かつ、画面の法線と平行となる場合をいう。画面正面より垂直方向に10°上の角度から表示装置を見下ろした場合とは、観察者が画面正面より上側から視認しており、かつ、視線と画面の法線とのなす角度が10°となる場合をいう。画面正面より垂直方向に20°上の角度から表示装置を見下ろした場合とは、観察者が画面正面より上側から視認しており、かつ、視線と画面の法線とのなす角度が20°となる場合をいう。
【0013】
また、本明細書において、水平方向とは、方位角0°-180°に平行な方向をいい、垂直方向(上下方向ともいう。)とは、方位角90°-270°に平行な方向をいう。図31では、水平方向の位置を極角で示している。
【0014】
本明細書中、極角とは、対象となる方向(例えば測定方向)と、液晶パネル(又は表示装置)の画面の中心を通り、当該画面に対して垂直であり、かつ、当該画面の上下方向(方位角90°-270°に平行な方向)に沿った面(以下、単に「画面の上下方向に沿った面」ともいう)とのなす角度を意味する。また、極角は、対象となる方向が、画面の上下方向に沿った面に対して右側(すなわち、方位角0°以上、90°未満の領域、及び、方位角270°を超え、360°未満の領域)に位置する場合は正の値で表され、対象となる方向が、画面の上下方向に沿った面に対して左側(すなわち、方位角90°を超え、270°未満の領域)に位置する場合は負の値で表される。
【0015】
上記特許文献1では、配光を広げる液晶パネルと視野角を制御する液晶パネル(遮光パネル)とを組み合わせることで、プライバシーモードとパブリックモードとを切り替えることができる表示装置を実現している。しかしながら、特許文献1の表示装置では、特定の遮光角度から離れるにつれて遮光性能が低下し、ディスプレイを視認する観察者の位置によっては充分な遮光性能が得られない。例えば、特許文献1では、観察者が画面正面より垂直方向にずれた位置、すなわち、画面上側又は画面下側から視認する場合において、水平方向の遮光性が低下する場合がある。
【0016】
本発明は上記現状に鑑みてなされたものであり、観察者が画面上側又は画面下側から視認する場合において、水平方向の遮光性が低下することを抑制できる液晶パネル、及び、当該液晶パネルを備える表示装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
(1)本発明の一実施形態は、第一の基板と、上記第一の基板に対向して配置される第二の基板と、上記第一の基板及び上記第二の基板の間に位置し、かつ、液晶分子を含有する液晶層と、上記液晶層に電圧を印加する一対の電極と、第一の絶対値を有する第一の電圧及び上記第一の絶対値とは異なる第二の絶対値を有する第二の電圧を上記一対の電極間に交互に印加する制御を行う電圧制御部と、を備える、液晶パネル。
【0018】
(2)また、本発明のある実施形態は、上記(1)の構成に加え、上記第一の電圧は、上記第一の絶対値を有し、かつ、正の値である電圧V1と、上記第一の絶対値を有し、かつ、負の値である電圧-V1と、からなり、上記第二の電圧は、上記第二の絶対値を有し、かつ、正の値である電圧V2と、上記第二の絶対値を有し、かつ、負の値である電圧-V2と、からなり、上記電圧制御部は、上記一対の電極間に、上記電圧V1、上記電圧-V1、上記電圧V2及び上記電圧-V2をこの順に繰り返し印加する、液晶パネル。
【0019】
(3)また、本発明のある実施形態は、上記(1)の構成に加え、上記第一の電圧は、上記第一の絶対値を有し、かつ、正の値である電圧V1であり、上記第二の電圧は、上記第二の絶対値を有し、かつ、負の値である電圧-V2であり、上記電圧制御部は、上記一対の電極間に、上記電圧V1及び上記電圧-V2を順に繰り返し印加する、液晶パネル。
【0020】
(4)また、本発明のある実施形態は、上記(1)の構成に加え、上記電圧動制御部は、上記第一の電圧と、上記第二の電圧と、上記第一の絶対値及び上記第二の絶対値とは異なる第三の絶対値を有する第三の電圧とを、上記一対の電極間に順次繰り返し印加する制御を行う、液晶パネル。
【0021】
(5)また、本発明のある実施形態は、上記(1)、上記(2)、上記(3)又は上記(4)の構成に加え、上記電圧制御部は、上記第一の電圧が印加される時間と上記第二の電圧が印加される時間とを互いに異ならせる、液晶パネル。
【0022】
(6)また、本発明のある実施形態は、上記(1)、上記(2)、上記(3)、上記(4)又は上記(5)の構成に加え、更に、観察者の視線を感知する視線感知センサーを備える、液晶パネル。
【0023】
(7)また、本発明のある実施形態は、上記(1)、上記(2)、上記(3)、上記(4)、上記(5)又は上記(6)の構成に加え、上記液晶パネルは、更に、上記第一の基板の観察面側に配置され、かつ、第一の吸収軸を有する第一の偏光板を備え、平面視したときに、電圧無印加状態の上記液晶分子のダイレクタと上記第一の吸収軸とのなす角度αは、5°以上、20°以下、又は、65°以上、80°以下である、液晶パネル。
【0024】
(8)また、本発明のある実施形態は、上記(7)の構成に加え、更に、上記第二の基板の上記液晶層と反対側に、上記第一の吸収軸と平行な第二の吸収軸を有する第二の偏光板を備える、液晶パネル。
【0025】
(9)また、本発明のある実施形態は、上記(1)、上記(2)、上記(3)、上記(4)、上記(5)、上記(6)、上記(7)又は上記(8)の構成に加え、電圧無印加状態において、上記液晶分子のチルト角は、1°以上、5°以下であり、電圧印加状態において、上記液晶分子のチルト角は、40°以上、75°以下である、液晶パネル。
【0026】
(10)また、本発明のある実施形態は、上記(1)、上記(2)、上記(3)、上記(4)、上記(5)、上記(6)、上記(7)、上記(8)又は上記(9)の構成に加え、上記液晶パネルは、ECBモードである、液晶パネル。
【0027】
(11)また、本発明のある実施形態は、上記(1)、上記(2)、上記(3)、上記(4)、上記(5)、上記(6)、上記(7)、上記(8)、上記(9)又は上記(10)の構成に加え、電圧印加状態における上記液晶層のリタデーションReは、600nm以上、1000nm以下である、液晶パネル。
【0028】
(12)また、本発明のある実施形態は、上記(1)、上記(2)、上記(3)、上記(4)、上記(5)、上記(6)、上記(7)、上記(8)、上記(9)、上記(10)又は上記(11)の構成に加え、上記液晶層の厚みdは、3μm以上、10μm以下である、液晶パネル。
【0029】
(13)また、本発明のある実施形態は、上記(1)、上記(2)、上記(3)、上記(4)、上記(5)、上記(6)、上記(7)、上記(8)、上記(9)、上記(10)、上記(11)又は上記(12)の構成に加え、上記液晶分子は、正の誘電率異方性を有する、液晶パネル。
【0030】
(14)また、本発明のある実施形態は、上記(1)、上記(2)、上記(3)、上記(4)、上記(5)、上記(6)、上記(7)、上記(8)、上記(9)、上記(10)、上記(11)、上記(12)又は上記(13)の構成に加え、更に、厚さ方向のリタデーションRthが500nm以上のネガティブCプレートを備える、液晶パネル。
【0031】
(15)また、本発明の他の実施形態は、上記(1)、上記(2)、上記(3)、上記(4)、上記(5)、上記(6)、上記(7)、上記(8)、上記(9)、上記(10)、上記(11)、上記(12)、上記(13)又は上記(14)、のいずれかに記載の液晶パネルと、表示パネルと、を備える、表示装置。
【0032】
(16)また、本発明のある実施形態は、上記(15)の構成に加え、上記表示パネルは、IPSモード又はFFSモードの液晶表示パネルである、表示装置。
【0033】
(17)また、本発明のある実施形態は、上記(15)又は上記(16)の構成に加え、更に、バックライトを備え、上記バックライトは、導光板を有し、上記導光板は広視野角モード用として機能する、表示装置。
【0034】
(18)また、本発明のある実施形態は、上記(15)の構成に加え、上記表示パネルは、有機EL表示パネル、無機EL表示パネル、マイクロLED表示パネル又はQLED表示パネルである、表示装置。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、観察者が画面上側又は画面下側から視認する場合において、水平方向の遮光性が低下することを抑制できる液晶パネル、及び、当該液晶パネルを備える表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】実施形態1に係る液晶パネルの電圧無印加状態を示した断面模式図である。
図2】実施形態1に係る液晶パネルの電圧印加状態を示した断面模式図である。
図3】実施形態1の液晶パネルを模式的に示したブロック図である。
図4】遮光パネルとして用いられる従来の液晶パネルを画面正面から見た場合の水平方向の遮光性能を示すグラフであって、一対の電極間に第一の電圧が印加された場合の遮光性能、及び、第二の電圧が印加された場合の遮光性能のそれぞれを示すグラフである。
図5】遮光パネルとして用いられる従来の液晶パネルを画面正面より垂直方向に20°上の角度から見下ろした場合の水平方向の遮光性能を示すグラフであって、一対の電極間に第一の電圧が印加された場合の遮光性能、及び、第二の電圧が印加された場合の遮光性能のそれぞれを示すグラフである。
図6】実施形態1に係る液晶パネルを画面正面から見た場合の水平方向の遮光性能、及び、実施形態1に係る液晶パネルを画面正面より垂直方向に20°上の角度から見下ろした場合の水平方向の遮光性能を示すグラフである。
図7】実施形態1に係る液晶パネルが備える一対の電極間に印加される電圧の波形の一例を示すグラフである。
図8】実施形態1に係る液晶パネルの斜視模式図である。
図9】実施形態1に係る液晶パネルの正面模式図である。
図10】実施形態1に係る液晶パネルが備える液晶分子の電圧無印加状態におけるダイレクタと偏光板の吸収軸との関係を示した斜視模式図である。
図11】実施形態1に係る液晶パネルが備える液晶分子の電圧印加状態におけるダイレクタと偏光板の吸収軸との関係を示した斜視模式図である。
図12】実施形態1の変形例1に係る液晶パネルが備える一対の電極間に印加される電圧の波形の一例を示すグラフである。
図13】実施形態1の変形例2に係る液晶パネルが備える一対の電極間に印加される電圧の波形の一例を示すグラフである。
図14】実施形態1の変形例4に係る液晶パネルの断面模式図である。
図15】実施形態1の変形例5に係る液晶パネルの斜視模式図である。
図16】実施形態1の変形例6に係る液晶パネルを搭載した車の車内を運転手の横から見た場合を示す模式図である。
図17】実施形態1の変形例6に係る液晶パネルを搭載した車の車内を運転手の後方から見た場合を示す模式図である。
図18】実施形態1の変形例6に係る液晶パネルを模式的に示したブロック図である。
図19】実施形態2に係る表示装置の断面模式図である。
図20】実施形態2に係る表示装置の正面模式図である。
図21】実施例1の液晶パネルが備える一対の電極間に印加される電圧の波形を示すグラフである。
図22】実施例1の液晶パネルを画面正面から見た場合の水平方向の遮光性能、及び、実施例1の液晶パネルを画面正面より垂直方向に20°上の角度から見下ろした場合の水平方向の遮光性能を示すシミュレーション結果である。
図23】比較例1の液晶パネルが備える一対の電極間に印加される電圧の波形を示すグラフである。
図24】比較例1の液晶パネルを画面正面から見た場合の水平方向の遮光性能、及び、比較例1の液晶パネルを画面正面より垂直方向に20°上の角度から見下ろした場合の水平方向の遮光性能を示すシミュレーション結果である。
図25】実施例2の液晶パネルが備える一対の電極間に印加される電圧の波形を示すグラフである。
図26】実施例2の液晶パネルを画面正面から見た場合の水平方向の遮光性能、及び、実施例2の液晶パネルを画面正面より垂直方向に20°上の角度から見下ろした場合の水平方向の遮光性能を示すシミュレーション結果である。
図27】実施例3の液晶パネルが備える一対の電極間に印加される電圧の波形を示すグラフである。
図28】実施例4の液晶パネルを画面正面から見た場合の水平方向の遮光性能、及び、実施例4の液晶パネルを画面正面より垂直方向に20°上の角度から見下ろした場合の水平方向の遮光性能を示すシミュレーション結果である。
図29】パブリックモードとプライバシーモードとを切り替え可能な視野角制御切替型の表示装置の一例を示す斜視模式図である。
図30】パブリックモードとプライバシーモードとを切り替え可能な視野角制御切替型の表示装置の一例を示す斜視模式図である。
図31図29及び図30に示す視野角制御切替型の表示装置の遮光性能を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
[用語の定義]
本明細書中、観察面側とは、液晶パネルの画面(表示面)に対してより近い側を意味し、背面側とは、液晶パネルの画面(表示面)に対してより遠い側を意味する。
【0038】
本明細書中、方位とは、対象となる方向を液晶パネル(又は表示装置)の画面上に射影したときの方向を意味し、基準となる方位との間のなす角度(方位角)で表現される。ここで、基準となる方位(0°)は、液晶パネル(又は表示装置)の画面の水平右方向に設定される。方位角は、反時計回りを正の角度、時計回りを負の角度とする。反時計回り及び時計回りは、いずれも液晶パネル(又は表示装置)の画面を観察面側(正面)から見たときの回転方向を表す。また、角度は、液晶パネル(又は表示装置)を平面視した状態で測定された値を表し、2つの直線(軸、方向及び稜線を含む)が互いに直交するとは、液晶パネル(又は表示装置)を平面視した状態で直交することを意味する。
【0039】
本明細書中、画面正面とは、画面の中心を通り、かつ、画面の法線と平行な方向をいう。画面上側とは、方位角0°を超え、方位角180°未満の領域を指す。画面下側とは、方位角180°を超え、360°未満の領域を指す。画面右側とは、方位角0°以上、90°未満の領域、及び、方位角270°を超え、360°未満の領域を指す。画面左側とは、方位角90°を超え、270°未満の領域を指す。
【0040】
本明細書において、軸方位とは、特に断りのない限り偏光子の吸収軸(反射軸)、又は、複屈折層の光軸(遅相軸)の方位を意味する。
【0041】
本明細書中、2つの軸が直交するとは、両者のなす角度が90°±3°であることを意味し、好ましくは90°±1°、より好ましくは90°±0.5°、特に好ましくは90°(完全に直交)であることを意味する。2つの軸が平行であるとは、両者のなす角度が0°±3°であることを意味し、好ましくは0°±1°、より好ましくは0°±0.5°、特に好ましくは0°(完全に平行)であることを意味する。
【0042】
本明細書中、面内方向のリタデーションRpは、Rp=(ns-nf)dで定義される。また、厚さ方向のリタデーションRthは、Rth=(nz-(nx+ny)/2)dで定義される。nsはnx、nyのうち大きい方を、nfは小さい方を指す。また、nx及びnyは、複屈折層(位相差板と液晶パネルを含む)の面内方向の主屈折率を示し、nzは、面外方向、すなわち、複屈折層の面に対して垂直方向の主屈折率を示し、dは、複屈折層の厚みを示す。
【0043】
なお、本明細書中で主屈折率、位相差等の光学パラメータの測定波長は、特に断りのない限り550nmとする。
【0044】
本明細書において、複屈折層とは、光学的異方性を有する層のことであり、位相差板と液晶パネルを包含する概念である。複屈折層は、例えば、面内方向のリタデーションと、厚さ方向のリタデーションの絶対値とのいずれか一方が10nm以上の値を有するものであり、好ましくは、20nm以上の値を有するものである。
【0045】
以下、本発明の実施形態について説明する。本発明は、以下の実施形態及び変形例に記載された内容に限定されるものではなく、本発明の構成を充足する範囲内で、適宜設計変更を行うことが可能である。なお、以下の説明において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して適宜用い、その繰り返しの説明は適宜省略する。本発明の各態様は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜組み合わされてもよい。
【0046】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る液晶パネルの電圧無印加状態を示した断面模式図である。図2は、実施形態1に係る液晶パネルの電圧印加状態を示した断面模式図である。図3は、実施形態1の液晶パネルを模式的に示したブロック図である。図1図3に示すように、本実施形態の液晶パネル10は、第一の基板110と、第一の基板110に対向して配置される第二の基板150と、第一の基板110及び第二の基板150の間に位置し、かつ、液晶分子131を含有する液晶層130と、液晶層130に電圧を印加する上記一対の電極としての第一の電極112及び第二の電極152、と、第一の絶対値を有する第一の電圧及び上記第一の絶対値とは異なる第二の絶対値を有する第二の電圧を上記一対の電極(第一の電極112及び第二の電極152)間に交互に印加する制御を行う電圧制御部300と、を備える。このような態様とすることにより、液晶パネル10を、互いに異なる第一の電圧及び第二の電圧で駆動させることが可能となり、観察者が画面上側又は画面下側から視認する場合において、水平方向の遮光性が低下することを抑制できる。すなわち、視認する人の目線が画面の水平位置から上側、又は、下側に移動しても、水平方向の遮光性が低下することを抑制できる。本実施形態の液晶パネル10は、遮光パネルともいう。以下、当該効果について詳細に説明する。
【0047】
図4は、遮光パネルとして用いられる従来の液晶パネルを画面正面から見た場合の水平方向の遮光性能を示すグラフであって、一対の電極間に第一の電圧が印加された場合の遮光性能、及び、第二の電圧が印加された場合の遮光性能のそれぞれを示すグラフである。図5は、遮光パネルとして用いられる従来の液晶パネルを画面正面より垂直方向に20°上の角度から見下ろした場合の水平方向の遮光性能を示すグラフであって、一対の電極間に第一の電圧が印加された場合の遮光性能、及び、第二の電圧が印加された場合の遮光性能のそれぞれを示すグラフである。図6は、実施形態1に係る液晶パネルを画面正面から見た場合の水平方向の遮光性能、及び、実施形態1に係る液晶パネルを画面正面より垂直方向に20°上の角度から見下ろした場合の水平方向の遮光性能を示すグラフである。
【0048】
図4及び図5に示すように、遮光パネルとして用いられる従来の液晶パネルは、電圧の設定を変更することにより、遮光パネルの遮光角度をコントロールすることができる。したがって、画面上側から見下ろす場合は、図5に示すように、第一の電圧を印加するよりも第二の電圧を印加する方が、例えば、極角-5°付近から-50°付近にかけての透過率を抑えることが可能となり、水平方向においてより高い遮光性能が得られる。しかしながら、画面正面から見た場合は、図4に示すように、第一の電圧を印加するよりも第二の電圧を印加する方が、例えば、極角-30°付近から-80°付近にかけて透過率が上昇し、水平方向の遮光性能が低下してしまう。なお、本明細書において透過率とは、特に、透過率正面輝度比をいう。
【0049】
一方、本実施形態の液晶パネル10は、電圧制御部300により、第一の絶対値を有する第一の電圧及び上記第一の絶対値とは異なる第二の絶対値を有する第二の電圧を一対の電極(第一の電極112及び第二の電極152)間に交互に印加することができる。その結果、図6に示すように、液晶パネル10を画面正面から見た場合も、上から見下ろした場合も、水平方向において高い遮光性を実現することができる。
【0050】
ここで、極角がマイナスである領域に着目しているのは、遮光パネルが、車載ディスプレイの中でも、特に、左ハンドルの車の助手席用に用いられることを想定しているためである。遮光パネルの遮光機能を左右反転させることは容易であり、遮光パネルを右ハンドルの車用に用いることもできる。以下、本実施形態の液晶パネル10について詳細を説明する。
【0051】
電圧制御部300は、第一の絶対値を有する第一の電圧及び上記第一の絶対値とは異なる第二の絶対値を有する第二の電圧を上記一対の電極(第一の電極112及び第二の電極152)間に交互に印加する制御を行う。このような電圧の制御は、例えば、電圧の大きさを可変するように設計されたデジタル制御回路などで実現される。デジタル制御回路からは、例えば、矩形波を描く電圧信号が出力されており、正の電圧と負の電圧を切り替え可能に構成されている。
【0052】
第一の絶対値の好ましい範囲は、液晶層130の厚さ(セル厚)、液晶分子131の誘電率異方性(Δε)により変わるが、通常、2.5以上、5以下に設定される。
【0053】
第二の絶対値は、第一の絶対値の1.05倍以上、1.20倍以下であることが好ましい。例えば、第一の絶対値が3であり、第二の絶対値が3.2である場合のように、第二の絶対値は、第一の絶対値の1.05倍以上、1.10倍以下であることが好ましい。また、第一の絶対値が3であり、第二の絶対値が3.5である場合のように、第二の絶対値は、第一の絶対値の1.10倍以上、1.20倍以下であることも好ましい。なお、上記は一例であり、所望の効果が得られれば、第一の絶対値及び第二の絶対値の関係は自由に設定することができる。
【0054】
図7は、実施形態1に係る液晶パネルが備える一対の電極間に印加される電圧の波形の一例を示すグラフである。本実施形態では、図7に示すように、上記第一の絶対値がV1に対応し、上記第二の絶対値がV2に対応する。V1及びV2は正の値である。
【0055】
電圧V1は通常2.5V以上、5V以下に設定される。ここで、電圧V1が3Vであり、かつ、電圧V2が3.2Vである場合のように、電圧V2は、電圧V1に対して、5%以上、10%以下高い電圧に設定されることが好ましい。また、電圧V1が3Vであり、かつ、電圧V2が3.5Vである場合のように、電圧V2は、電圧V1に対して、10%以上、20%以下高い電圧に設定されることも好ましい。なお、上記は一例であり、所望の効果が得られれば、電圧V1及び電圧V2の関係は自由に設定することができる。
【0056】
図7に示すように、本実施形態の液晶パネル10が備える一対の電極間に印加される電圧の波形は、上記第一の電圧に対応する領域R1、及び、上記第二の電圧に対応する領域R2を交互に有する。第一の電圧に対応する領域R1とは、第一の電圧が連続して印加される領域であり、第二の電圧に対応する領域R2とは、第二の電圧が連続して印加される領域である。
【0057】
ここで、第一の電圧に対応する領域R1は、第一の絶対値に対応する振幅領域を1つのみ含んでもよいし、2つ以上含んでもよい。また、第二の電圧に対応する領域R2は、第二の絶対値に対応する振幅領域を1つのみ含んでもよいし、2つ以上含んでもよい。なお、振幅領域とは、電圧の波形において山となる領域、及び、谷となる領域のそれぞれを指し、山となる領域の数、及び、谷となる領域の数の合計が、振幅領域の数となる。
【0058】
本実施形態では、一対の電極間に印加される電圧の波形において、第一の電圧に対応する領域R1は、電圧V1が印加される領域R11と、電圧-V1が印加される領域R12とからなり、第二の電圧に対応する領域R2は、電圧V2が印加される領域R21と、電圧-V2が印加される領域R22とからなる。
【0059】
電圧V1が印加される領域R11とは、電圧V1が連続して印加される領域であり、電圧-V1が印加される領域R12とは、電圧-V1が連続して印加される領域であり、電圧V2が印加される領域R21とは、電圧V2が連続して印加される領域であり、電圧-V2が印加される領域R22とは、電圧-V2が連続して印加される領域である。
【0060】
図7に示すように、本実施形態の第一の電圧は、第一の絶対値を有し、かつ、正の値である電圧V1と、上記第一の絶対値を有し、かつ、負の値である電圧-V1と、からなり、第二の電圧は、上記第二の絶対値を有し、かつ、正の値である電圧V2と、上記第二の絶対値を有し、かつ、負の値である電圧-V2と、からなり、電圧制御部300は、上記一対の電極間に、上記電圧V1、上記電圧-V1、上記電圧V2及び上記電圧-V2をこの順に繰り返し印加する。このような態様とすることにより、観察者が画面上側又は画面下側から視認する場合において、水平方向の遮光性が低下することをより効果的に抑制できる。
【0061】
上記一対の電極間に印加される電圧の周波数(パネルの駆動周波数ともいう)は適宜設定することができる。パネルの駆動周波数は、例えば、30Hz以上、300Hz以下であり、45Hz以上、240Hz以下であることが好ましく、60Hz以上、120Hz以下であることがより好ましい。パネルの駆動周波数が300Hz以下であることにより、液晶分子を充分に駆動させることができる。パネルの駆動周波数が60Hz以上であることにより、表示品位を向上させることができる。
【0062】
ここで、電圧の周波数(パネルの駆動周波数)とは、絶対値の互いに異なる電圧が一対の電極間に交互に印加される場合の繰り返し単位を1サイクルとした場合の周波数である。電圧の周波数(パネルの駆動周波数)とは、例えば、図7では、電圧+V1の印加が開始された時点から、電圧+V1に次いで電圧-V1が印加され、次いで電圧+V2が印加され、次いで電圧-V2が印加され、電圧-V2の印加が終了する時点までを1サイクルとして捉えた場合の周波数である。すなわち、連続して配置される領域R11、R12、R21及びR22により1サイクルが構成される。
【0063】
また、電圧の波形(パネルの駆動波形ともいう)は、例えば、図7に示すように、矩形波であるが、所望の効果が得られればその他の形状であってもよい。
【0064】
図1及び図2に示すように、本実施形態の液晶パネル10は、更に、第一の基板110の観察面側に配置され、かつ、第一の吸収軸10P1Aを有する第一の偏光板10P1を備え、平面視したときに、電圧無印加状態の液晶分子131のダイレクタと第一の吸収軸10P1Aとのなす角度αは、5°以上、20°以下、又は、65°以上、80°以下であることが好ましい。このような態様とすることにより、狭視野角モードにおいて、画面右側で透過率が最小となる極角(遮光角ともいう。)と、画面左側で透過率が最小となる極角とを異ならせることが可能となり、水平方向において左右非対称な視野角を実現することができる。この狭視野角モードにおいては、画面右側及び画面左側のうち一方の側の遮光角を例えば極角40°とすることが可能であり、一方の側において充分に小さな遮光角を実現することができる。このような液晶パネル10は、例えば、助手席用の車載ディスプレイに好適である。角度αを調整することにより、透過率が最小となる極角をより小さくすることが可能となる。
【0065】
本実施形態の液晶パネル10が備える第一の基板110は、上記一対の電極の一方の電極である第一の電極112を有し、第二の基板150は、上記一対の電極の他方の電極である第二の電極152を有する。このような態様とすることにより、ECB(Electrically Controlled Birefringene)モードの液晶パネル10を実現することができる。
【0066】
本実施形態の液晶パネル10は、より具体的には、ECBモードであり、平面視したときに、電圧無印加状態の液晶分子131のダイレクタと上記第一の吸収軸とのなす角度αが、5°以上、20°以下、又は、65°以上、80°以下である。このような態様とすることにより、ECB液晶(液晶層130)に電圧印加する時は、画面右側と画面左側とで非対称な視野角が得られるようになる。例えば、角度αを適切に調整することによって、透過率が最小となる極角(遮光角ともいう)をより小さな角度で実現することができる。
【0067】
正の誘電率異方性を有する液晶分子を備えるECBモードの液晶パネルでは、角度α=0°又は90°において、遮光角と液晶層のリタデーションReとの間にはトレードオフの関係がある。具体的には、液晶層のRe=800nmであるとき、遮光角は最適電圧において約45°となる。これに対して、約30°の遮光角を得るには、Re=1600nm程度が必要となり、液晶層の複屈折率Δn又はセル厚dのいずれかを大きくしなければならい。例えば、セル厚dを大きくする場合は、Δn=0.12、かつ、d=13μmとする必要があり、複屈折率Δnを大きくする場合は、Δn=0.22、かつ、d=7μmとする必要がある。
【0068】
しかしながら、セル厚dを大きくする場合、及び、複屈折率Δnを大きくする場合のいずれにおいても、生産性や信頼性に課題がある。セル厚dを大きくする場合は、セル厚が分厚くなるために面内ムラや歩留まり(特性安定性)に課題がある。また、複屈折率Δnを大きくする場合は、液晶材料にトラン系を用いることで高いΔnを実現することができるが、低温時の動作が不安定になるなどに課題がある。一方、本実施形態の液晶パネル10は、セル厚dや複屈折率Δnを大きくする必要がないため、生産性や信頼性を低下させることなく、また、低温時の動作が不安定となることを抑えつつ、狭視野角モードにおいては、遮光角を充分に小さくすることができる。
【0069】
図8は、実施形態1に係る液晶パネルの斜視模式図である。図8では、第一の配向膜120及び第二の配向膜140を省略している。図1図2及び図8に示すように、本実施形態の液晶パネル10は、更に、第二の基板150の液晶層130と反対側に、第一の吸収軸と平行な第二の吸収軸を有する第二の偏光板10P2を備えることが好ましい。このような態様とすることにより、第一の偏光板10P1及び第二の偏光板10P2をパラレルニコルに配置することが可能となり、液晶パネル10の背面側にバックライトを配置する場合に、電圧無印加状態において、低い極角側から高い極角側にかけてバックライト光をより効果的に透過させることが可能となる。
【0070】
本実施形態の液晶パネル10は、より具体的には、図1図2及び図8に示すように、観察面側から背面側に向かって順に、第一の吸収軸を有する第一の偏光板10P1と、第一の支持基板111及び第一の電極112を有する第一の基板110と、第一の配向膜120と、正の誘電率異方性を有する液晶分子131を含有する液晶層130と、第二の配向膜140と、第二の支持基板151及び第二の電極152を有する第二の基板150と、上記第一の吸収軸に平行な第二の吸収軸を有する第二の偏光板10P2と、を備える。本実施形態の液晶パネルは、誘電率異方性が正のネマティック液晶を用いたECBモードの液晶パネルである。液晶パネル10は、第一の電極112と第二の電極152との間に印加する電圧を変化させることにより、液晶層130のリタデーションを変化させ、液晶層130の光の透過及び不透過を制御することができる。
【0071】
液晶パネル10はパッシブ駆動されるパッシブ液晶パネルである。一般的なパッシブ液晶パネルと同様に、液晶パネル10が備える第一の基板110は、画面40全面を覆うようなベタ電極である第一の電極112を備え、第二の基板150は、画面40全面を覆うようなベタ電極である第二の電極152を備える。このような態様とすることにより、画面40全体でパブリックモードとプライバシーモードとの切り替えを行うことができる。
【0072】
第一の支持基板111及び第二の支持基板151としては、例えば、ガラス基板、プラスチック基板等の基板が挙げられる。ガラス基板の材料としては、例えば、フロートガラス、ソーダガラス等のガラスが挙げられる。ブラスチック基板の材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、脂環式ポリオレフィン等のプラスチックが挙げられる。
【0073】
第一の電極112及び第二の電極152は、透明電極であってもよく、例えば、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)等の透明導電材料、又は、それらの合金で形成することができる。
【0074】
第一の配向膜120及び第二の配向膜140は、電圧無印加状態における液晶分子131の配向方位及び電圧無印加状態における液晶分子131のチルト角を制御する。第一の配向膜120及び第二の配向膜140は、水平配向膜であっても垂直配向膜であってもよいが、電圧無印加状態における透過率を向上させる観点から、第一の配向膜120及び第二の配向膜140は、水平配向膜であることが好ましい。
【0075】
ここで、水平配向膜は、当該配向膜を備える基板を液晶パネルに用いた場合に、液晶層に電圧を印加しない電圧無印加状態において、液晶層中の液晶分子を配向膜に対して、略水平に配向させる配向規制力を発現させる配向膜である。また、垂直配向膜は、当該配向膜を備える基板を液晶パネルに用いた場合に、液晶層に電圧を印加しない電圧無印加状態において、液晶層中の液晶分子を配向膜に対して、略垂直に配向させる配向規制力を発現させる配向膜である。
【0076】
略水平とは、チルト角が0°以上、10°以下であることを意味し、好ましくは0°以上、5°以下、より好ましくは0°以上、2°以下であることを意味する。略垂直とは、チルト角が83°以上、90°以下であることを意味し、好ましくは85°以上、90°以下、より好ましくは87.5°以上、88.0°以下であることを意味する。
【0077】
なお、本明細書において「チルト角」とは、液晶分子のダイレクタと基板の主面とのなす角を意味するのではなく、液晶層の厚み方向における液晶分子のダイレクタと基板(第一の基板及び上記第二の基板)の主面とのなす角度の平均値を意味し、基板の主面と平行な角度が0°、基板の主面の法線の角度が90°である。特に、電圧無印加状態における液晶分子のチルト角をプレチルト角ともいう。また、電圧無印加状態における液晶分子の配向方位を初期配向方位ともいう。
【0078】
チルト角は、クリスタルローテーション法を用いて求めることが可能であり、例えば、Axoscan(Axometrics社製)を用いて求めることができる。また、本実施形態において、液晶分子のダイレクタは、配向主軸の方向(ネマティック液晶において分子長軸の平均的に揃う方向)である。例えば、平面視において、電圧無印加状態における液晶分子のダイレクタは、配向膜の配向処理方向と一致する。
【0079】
第一の配向膜120及び第二の配向膜140の材料としては、ポリイミドを主鎖に有するポリマー、ポリアミック酸を主鎖に有するポリマー、ポリシロキサンを主鎖に有するポリマー等の液晶パネルの分野で一般的な材料を用いることができる。第一の配向膜120及び第二の配向膜140は配向膜材料を塗布することによって形成することができ、上記塗布方法は特に限定されず、例えば、フレキソ印刷、インクジェット塗布等を用いることができる。
【0080】
第一の配向膜120及び第二の配向膜140は、光官能基を有し、かつ配向処理として光配向処理が施された光配向膜であってもよいし、配向処理としてラビング処理が施されたラビング配向膜であってもよいし、配向処理が施されていない配向膜であってもよい。
【0081】
液晶層130は液晶分子131を含有する。液晶層130に対して印加された電圧に応じて液晶分子131の配向状態が変化することにより、光の透過量が制御される。液晶分子131の誘電率異方性(Δε)は下記式(L)で定義される。
【0082】
液晶分子131は、正の誘電率異方性を有することが好ましい。このような態様とすることにより、駆動電圧を低減することが可能となる。また、外部の温度環境に強い(信頼性が高い)液晶パネルとして動作させることが可能となる。なお、正の誘電率異方性を有する液晶分子をポジ型の液晶分子といい、負の誘電率異方性を有する液晶分子をネガ型の液晶分子という。また、電圧無印加状態における液晶分子の長軸の方向は、液晶分子の初期配向の方向ともいう。
Δε=(液晶分子の長軸方向の誘電率)-(液晶分子の短軸方向の誘電率) (L)
【0083】
液晶分子131は、電圧無印加状態で、ホモジニアス配向する。本明細書において、ホモジニアス配向とは、液晶パネルを構成する基板の基板面(例えば、第一の基板110及び第二の基板150の少なくとも一方の基板面)に対して水平であり、且つ向きも揃っている配向状態を意味する。また、電圧無印加状態(電圧無印加時)とは、液晶層中に液晶分子の閾値以上の電圧が印加されていない状態をいい、例えば、第一の電極112及び第二の電極152に同じ定電圧が印加されている状態であってもよいし、第一の電極112及び第二の電極152の一方の電極に定電圧が印加され、他方の電極に、上記定電圧に対して液晶分子の閾値未満の電圧が印加される状態であってもよい。電圧印加状態(電圧印加時)とは、液晶層中に液晶分子の閾値以上の電圧が印加されている状態をいう。
【0084】
図9は、実施形態1に係る液晶パネルの正面模式図である。図10は、実施形態1に係る液晶パネルが備える液晶分子の電圧無印加状態におけるダイレクタと偏光板の吸収軸との関係を示した斜視模式図である。図11は、実施形態1に係る液晶パネルが備える液晶分子の電圧印加状態におけるダイレクタと偏光板の吸収軸との関係を示した斜視模式図である。
【0085】
図9に示すように、平面視したときに、電圧無印加状態の液晶分子131のダイレクタ131Aと第一の偏光板10P1の第一の吸収軸10P1Aとのなす角度α=φ(ただし、α=5°以上、20°以下、又は、65°以上、80°以下)であるとき、電圧無印加状態では、図10に示すように、極角0°から観察する場合も大きな極角から観察する場合も、液晶分子131のダイレクタ131Aと第一の偏光板10P1の第一の透過軸10P1Bとのなす角度は90°-φを満たす。
【0086】
一方、電圧印加状態では、図11に示すように、極角0°から観察する場合、液晶分子131のダイレクタ131Aと第一の偏光板10P1の第一の透過軸10P1Bとのなす角度は90°-φを満たすが、大きな極角(例えば、極角30°)から観察する場合、液晶分子131のダイレクタ131Aと第一の偏光板10P1の第一の透過軸10P1Bとのなす角度は液晶分子131のチルト角θ及び角度φに依存し、正面方向から観察する場合とは異なる角度となる。
【0087】
このように、本実施形態では、平面視したときに、電圧無印加状態の液晶分子131のダイレクタ131Aと第一の偏光板10P1が有する第一の吸収軸10P1Aとのなす角度αが5°以上、20°以下、又は、65°以上、80°以下であることにより、狭視野角モードにおいて、画面右側で透過率が最小となる極角(遮光角ともいう。)と、画面左側で透過率が最小となる極角とを異ならせることが可能となり、水平方向において左右非対称な視野角を実現することができる。
【0088】
電圧無印加状態において、液晶分子131のチルト角は、1°以上、5°以下であり、電圧印加状態において、液晶分子131のチルト角は、40°以上、75°以下であることが好ましい。このような態様とすることにより、プライバシーモードにおいて、遮光角を更に小さくすることが可能となる。即ち、より低極角側での遮光が可能となる。ここで、本明細書では、液晶パネルの表示面に対して垂直方向を基準とし、垂直方向に近ければより低極角側、垂直方向から遠ざかればより高極角側とする。なお、本明細書では、一対の電極間(第一の電極112及び第二の電極152間)に閾値以上の電圧が印加された電圧印加状態を、単に「電圧印加状態」ともいい、一対の電極間(第一の電極112及び第二の電極152間)に閾値未満の電圧が印加された(電圧無印加を含む)電圧無印加状態を、単に「電圧無印加状態」ともいう。上記電圧V1、上記電圧-V1、上記電圧V2及び上記電圧-V2は、いずれも、閾値以上の電圧である。
【0089】
液晶分子131の複屈折率Δnは、0.08以上、0.24以下であってもよい。高い信頼性(高い電圧保持率、広い動作温度範囲)の観点から、Δnは、0.08以上、0.16以下が好ましい。
【0090】
液晶層130の厚み(セル厚)dは、3μm以上、10μm以下であることが好ましい。このような態様とすることにより、液晶分子131の応答速度を速くすることができる。また、液晶パネル10の厚みをより薄くすることができる。薄型化の観点では、液晶層130の厚みdは、3μm以上、5μm以下であることがより好ましい。歩留まりの観点では、液晶層130の厚みdは、5μm以上、10μm以下であることがより好ましい。液晶層130の厚みdが5μm以上であると、異物混入時の表示ムラを目立ちにくくし、歩留まりを向上させることができる。
【0091】
電圧印加状態における液晶層130のリタデーションReは、600nm以上、1000nm以下であることが好ましい。このような態様とすることにより、充分な遮光性能とともに、生産安定性も担保することができる。液晶層130のリタデーションReは、液晶分子の複屈折率(Δn)と液晶層の厚み(d)の積で表される。
【0092】
第一の偏光板10P1及び第二の偏光板10P2は、いずれも吸収型偏光子である。第一の偏光板10P1及び第二の偏光板10P2としては、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)フィルムにヨウ素錯体(又は染料)等の異方性材料を、染色及び吸着させてから延伸配向させた偏光子(吸収型偏光板)等を用いることができる。
【0093】
第一の偏光板10P1は、第一の吸収軸10P1Aと、第一の吸収軸10P1Aに直交する第一の透過軸10P1Bとを有する。第二の偏光板10P2は、第二の吸収軸10P2Aと、第二の吸収軸10P2Aに直交する第二の透過軸10P2Bとを有する。
【0094】
第二の吸収軸10P2Aは、第一の吸収軸10P1Aと平行であることが好ましい。例えば、第一の吸収軸10P1Aと第二の吸収軸10P2Aの軸方位は90°に設定される。
【0095】
本実施形態では、液晶パネル10がパブリックモードとプライバシーモードとを切り替え可能な場合を例に挙げて説明したが、液晶パネル10は、常時プライバシーモードとして機能してもよい。このような場合であっても、観察者が画面上側又は画面下側から視認する場合において、水平方向の遮光性が低下することを抑制できる。
【0096】
(実施形態1の変形例1)
本変形例において説明すること以外の構成は、上記実施形態1と同じである。また、説明の便宜上、上記実施形態1の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0097】
図12は、実施形態1の変形例1に係る液晶パネルが備える一対の電極間に印加される電圧の波形の一例を示すグラフである。本実施形態では、図12に示すように、上記第一の絶対値がV1に対応し、上記第二の絶対値がV2に対応する。V1及びV2は正の値である。
【0098】
図12に示すように、本変形例の液晶パネルが備える一対の電極間に印加される電圧の波形は、上記第一の電圧に対応する領域R1、及び、上記第二の電圧に対応する領域R2を交互に有する。本変形例の一対の電極間に印加される電圧の波形において、第一の電圧に対応する領域R1は、電圧V1が印加される領域R11であり、第二の電圧に対応する領域R2は、電圧-V2が印加される領域R22である。
【0099】
図12に示すように、本変形例における上記第一の電圧は、上記第一の絶対値を有し、かつ、正の値である電圧V1であり、上記第二の電圧は、上記第二の絶対値を有し、かつ、負の値である電圧-V2であり、電圧制御部300は、上記一対の電極間に、上記電圧V1及び上記電圧-V2を順に繰り返し印加する。このような態様とすることによっても、観察者が画面上側又は画面下側から視認する場合において、水平方向の遮光性が低下することをより効果的に抑制できる。
【0100】
本変形例では、駆動電圧の正負で電圧の値を変更させている。このような駆動によって、複雑な信号を与えることなく、上記実施形態1と同様の効果が得られる。
【0101】
上記一対の電極間に印加される電圧の周波数(パネルの駆動周波数ともいう)は適宜設定することができる。パネルの駆動周波数は、例えば、30Hz以上、300Hz以下であり、45Hz以上、240Hz以下であることが好ましく、60Hz以上、120Hz以下であることがより好ましい。パネルの駆動周波数が300Hz以下であることにより、液晶分子を充分に駆動させることができる。パネルの駆動周波数が60Hz以上であることにより、表示品位を向上させることができる。
【0102】
本変形例における電圧の周波数(パネルの駆動周波数)とは、例えば、図12では、電圧+V1の印加が開始された時点から、電圧+V1に次いで電圧-V2が印加され、電圧-V2の印加が終了する時点までを1サイクルとして捉えた場合の周波数である。すなわち、連続して配置される領域R11及びR22により1サイクルが構成される。
【0103】
なお、本変形例では、上記第一の電圧は、上記第一の絶対値を有し、かつ、正の値である電圧V1であり、上記第二の電圧は、上記第二の絶対値を有し、かつ、負の値である電圧-V2であり、電圧制御部300は、上記一対の電極間に、上記電圧V1及び上記電圧-V2を順に繰り返し印加する態様について説明したが、上記第一の電圧は、上記第一の絶対値を有し、かつ、負の値である電圧-V1であり、上記第二の電圧は、上記第二の絶対値を有し、かつ、正の値である電圧V2であり、電圧制御部300は、上記一対の電極間に、上記電圧-V1及び上記電圧V2を順に繰り返し印加しても同様の効果が得られる。
【0104】
(実施形態1の変形例2)
本変形例において説明すること以外の構成は、上記実施形態1及びその変形例と同じである。また、説明の便宜上、上記実施形態1及びその変形例の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0105】
本変形例の電圧制御部300は、上記第一の電圧と、上記第二の電圧と、上記第一の絶対値及び上記第二の絶対値とは異なる第三の絶対値を有する第三の電圧とを、上記一対の電極間に順次繰り返し印加する制御を行う。このような態様とすることにより、観察者が画面上側又は画面下側から視認する場合において、水平方向の遮光性が低下することを更により効果的に抑制できる。
【0106】
第三の絶対値は、第二の絶対値の1.05倍以上、1.20倍以下であることが好ましい。第二の絶対値は、第一の絶対値の1.05倍以上、1.20倍以下であり、かつ、第三の絶対値は、第二の絶対値の1.05倍以上、1.20倍以下であることがより好ましい。
【0107】
例えば、第一の絶対値が3であり、第二の絶対値が3.2であり、第三の絶対値が3.4である場合のように、第二の絶対値は、第一の絶対値の1.05倍以上、1.10倍以下であり、かつ、第三の絶対値は、第二の絶対値の1.05倍以上、1.10倍以下であることが好ましい。
【0108】
また、第一の絶対値が3であり、第二の絶対値が3.5であり、第三の絶対値が4.0である場合のように、第二の絶対値は、第一の絶対値の1.10倍以上、1.20倍以下であり、第三の絶対値は、第二の絶対値の1.10倍以上、1.20倍以下であることも好ましい。なお、上記は一例であり、所望の効果が得られれば、第一の絶対値、第二の絶対値及び第三の絶対値の関係は自由に設定することができる。
【0109】
図13は、実施形態1の変形例2に係る液晶パネルが備える一対の電極間に印加される電圧の波形の一例を示すグラフである。本変形例では、図13に示すように、上記第一の絶対値がV1に対応し、上記第二の絶対値がV2に対応し、上記第三の絶対値がV3に対応する。V1、V2及びV3は正の値である。
【0110】
電圧V1は通常2.5V以上、5V以下に設定される。ここで、電圧V1が3Vであり、電圧V2が3.2Vであり、かつ、電圧V3が3.4Vである場合のように、電圧V2は電圧V1に対して、5%以上、10%以下高い電圧に設定され、かつ、電圧V3は、電圧V2に対して、5%以上、10%以下高い電圧に設定されることが好ましい。
【0111】
また、電圧V1が3Vであり、電圧V2が3.5Vであり、かつ、電圧V3が4.0Vである場合のように、電圧V2は電圧V1に対して、10%以上、20%以下高い電圧に設定され、かつ、電圧V3は、電圧V2に対して、10%以上、20%以下高い電圧に設定されることも好ましい。なお、上記は一例であり、所望の効果が得られれば、電圧V1、電圧V2及び電圧V3の関係は自由に設定することができる。
【0112】
図13に示すように、本変形例の液晶パネルが備える一対の電極間に印加される電圧の波形は、上記第一の電圧に対応する領域R1、上記第二の電圧に対応する領域R2、及び、上記第三の電圧に対応する領域R3をこの順に繰り返し有する。第一の電圧に対応する領域R1とは、第一の電圧が連続して印加される領域であり、第二の電圧に対応する領域R2とは、第二の電圧が連続して印加される領域であり、第三の電圧に対応する領域R3とは、第三の電圧が連続して印加される領域である。
【0113】
本変形例では、一対の電極間に印加される電圧の波形において、第一の電圧に対応する領域R1は、電圧V1が印加される領域R11と、電圧-V1が印加される領域R12と、からなり、第二の電圧に対応する領域R2は、電圧V2が印加される領域R21と、電圧-V2が印加される領域R22と、からなり、第三の電圧に対応する領域R3は、電圧V3が印加される領域R31と、電圧-V3が印加される領域R32と、からなる。
【0114】
電圧V1が印加される領域R11とは、電圧V1が連続して印加される領域であり、電圧-V1が印加される領域R12とは、電圧-V1が連続して印加される領域であり、電圧V2が印加される領域R21とは、電圧V2が連続して印加される領域であり、電圧-V2が印加される領域R22とは、電圧-V2が連続して印加される領域であり、電圧V3が印加される領域R31とは、電圧V3が連続して印加される領域であり、電圧-V3が印加される領域R32とは、電圧-V3が連続して印加される領域である。
【0115】
図13に示すように、本実施形態の第一の電圧は、第一の絶対値を有し、かつ、正の値である電圧V1と、上記第一の絶対値を有し、かつ、負の値である電圧-V1と、からなり、第二の電圧は、上記第二の絶対値を有し、かつ、正の値である電圧V2と、上記第二の絶対値を有し、かつ、負の値である電圧-V2と、からなり、第三の電圧は、上記第三の絶対値を有し、かつ、正の値である電圧V3と、上記第三の絶対値を有し、かつ、負の値である電圧-V3と、からなり、電圧制御部300は、上記一対の電極間に、上記電圧V1、上記電圧-V1、上記電圧V2、上記電圧-V2、上記電圧V3、及び、上記電圧-V3をこの順に繰り返し印加する。
【0116】
本変形例では、第一の電圧、第二の電圧及び第三の電圧がこの順に繰り返し印加される場合を例に挙げて説明しているが、印加される電圧の順序は適宜変更することができる。
【0117】
上記一対の電極間に印加される電圧の周波数(パネルの駆動周波数ともいう)は適宜設定することができる。パネルの駆動周波数は、例えば、30Hz以上、300Hz以下であり、45Hz以上、240Hz以下であることが好ましく、60Hz以上、120Hz以下であることがより好ましい。パネルの駆動周波数が300Hz以下であることにより、液晶分子を充分に駆動させることができる。パネルの駆動周波数が60Hz以上であることにより、表示品位を向上させることができる。
【0118】
本変形例における電圧の周波数(パネルの駆動周波数)とは、例えば、図13では、電圧+V1の印加が開始された時点から、電圧+V1に次いで電圧-V1が印加され、次いで電圧+V2が印加され、次いで電圧-V2が印加され、次いで電圧+V3が印加され、次いで電圧-V3が印加され、電圧-V3の印加が終了する時点までを1サイクルとして捉えた場合の周波数である。すなわち、連続して配置される領域R11、R12、R21、R22、R31及びR32により1サイクルが構成される。
【0119】
また、電圧の波形(パネルの駆動波形ともいう)は、例えば、図13に示すように、矩形波であるが、所望の効果が得られればその他の形状であってもよい。
【0120】
(実施形態1の変形例3)
本変形例において説明すること以外の構成は、上記実施形態1及びその変形例と同じである。また、説明の便宜上、上記実施形態1及びその変形例の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0121】
本変形例の電圧制御部300は、上記第一の電圧が印加される時間と上記第二の電圧が印加される時間とを互いに異ならせる。このような態様とすることにより、観察者が画面上側又は画面下側から視認する場合において、水平方向の遮光性が低下することを更により効果的に抑制できる。ここで、第一の電圧が印加される時間とは、第一の電圧に対応する各領域R1の時間の合計であり、第二の電圧が印加される時間とは、第二の電圧に対応する各領域R2の時間の合計である。
【0122】
すなわち、本変形例の電圧制御部300は、上記第一の電圧が印加される時間と、上記第二の電圧が印加される時間との比率(印加比率ともいう)を、1:1以外に設定する。本変形例の電圧制御部300は、例えば、上記第一の電圧が印加される時間と、上記第二の電圧が印加される時間との比率(印加比率ともいう)を、4:1~8:1に設定することが好ましく、5:1~7:1に設定することがより好ましく、6:1に設定することが更に好ましい。
【0123】
(実施形態1の変形例4)
本変形例において説明すること以外の構成は、上記実施形態1及びその変形例と同じである。また、説明の便宜上、上記実施形態1及びその変形例の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0124】
図14は、実施形態1の変形例4に係る液晶パネルの断面模式図である。図14に示すように、液晶パネル10は、更に、厚さ方向のリタデーションRthが500nm以上のネガティブCプレート160を有することが好ましい。このような態様とすることにより、狭視野角モードにおいて遮光角をより小さくすることができる。ネガティブCプレート160は、位相差板である。ネガティブCプレート160は、単層であっても複数の層からなる積層体であってもよい。
【0125】
ネガティブCプレート160の厚さ方向のリタデーションRthは、500nm以上であることがより好ましく、550nm以上であることが更に好ましい。ネガティブCプレート160の厚さ方向のリタデーションRthの上限は特に限定されないが、例えば、1000nm以下である。
【0126】
ネガティブCプレートとしては、例えば、延伸処理されたシクロオレフィンポリマーフィルムが挙げられる。
【0127】
(実施形態1の変形例5)
本変形例において説明すること以外の構成は、上記実施形態1及びその変形例と同じである。また、説明の便宜上、上記実施形態1及びその変形例の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0128】
上記実施形態1及びその変形例の液晶パネル10はパッシブ駆動されるパッシブ液晶パネルであるが、液晶パネル10はこれに限定されず、例えば、アクティブマトリクス駆動されるアクティブマトリクス液晶パネルであってもよい。
【0129】
図15は、実施形態1の変形例5に係る液晶パネルの斜視模式図である。図15に示す本変形例の液晶パネル10はアクティブマトリクス駆動されるアクティブマトリクス液晶パネルである。このような態様とすることにより、画面全体ではなく、部分的にパブリックモードとプライバシーモードとを切り替えることが可能となる。
【0130】
液晶パネル10が備える第二の基板150は、一般的なアクティブマトリクス液晶パネルと同様に、互いに直交したゲート線153とソース線154とが、格子を形成するように配設され、その交点近傍には、スイッチング素子としてのTFT(Thin Film Transistor)155が設けられている。そして、ゲート線153とソース線154とに囲まれた領域が画素11Pを形成し、各画素11Pには、第二の電極152として、TFT155に接続された画素電極が設けられる。
【0131】
一方、第二の基板150と対向する第一の基板110には、第一の電極112として、画面40全面を覆うようなベタ電極である共通電極が設けられる。
【0132】
液晶パネル10の駆動方法は、特には限定されず、例えば一般に行われているアクティブマトリクス駆動方式を用いることができる。すなわち、ゲートドライバを介して各画素に設けられたTFT155をスイッチングする(オン・オフする)。そして、このスイッチングに連動して、オンする画素に対して、ソースドライバを介して電圧を印加し、TFT155のドレインバスを介して各画素内の蓄積容量に電荷を蓄積する。そして、この蓄積容量によって、当該画素がオン状態に保たれるというものである。
【0133】
ゲート線153は、TFT155のゲート電極に接続された配線(通常は複数のゲート電極に接続されたバスライン)であり、接続されたTFT155のゲート電極に走査信号(TFTのオン状態及びオフ状態を制御する信号)を印加する。ソース線154は、TFT155のソース電極に接続された配線(通常は複数のソース電極に接続されたバスライン)であり、接続されたTFT155にデータ信号(例えば映像信号)を印加する。ゲート線153及びソース線154は、通常、一方が、TFT155がマトリクス状に配列されたアレイ領域を縦断するように線状に配置され、他方が、上記アレイ領域を横断するように線状に配置される。
【0134】
ゲート線153、ソース線154及びTFT155を構成する各種配線及び電極は、スパッタリング法等により、銅、チタン、アルミニウム、モリブデン、タングステン等の金属、又は、それらの合金を、単層又は複数層で成膜し、続いて、フォトリソグラフィ法等でパターニングを行うことで形成することができる。これら各種配線及び電極は、同じ層に形成されるものについては、それぞれ同じ材料を用いることで製造が効率化される。
【0135】
(実施形態1の変形例6)
本変形例において説明すること以外の構成は、上記実施形態1及びその変形例と同じである。また、説明の便宜上、上記実施形態1及びその変形例の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0136】
図16は、実施形態1の変形例6に係る液晶パネルを搭載した車の車内を運転手の横から見た場合を示す模式図である。図17は、実施形態1の変形例6に係る液晶パネルを搭載した車の車内を運転手の後方から見た場合を示す模式図である。図18は、実施形態1の変形例6に係る液晶パネルを模式的に示したブロック図である。
【0137】
図16及び図17に示すように、本変形例の液晶パネル10は、更に、観察者U(例えば、運転手)の視線を感知する視線感知センサー170を備えていてもよい。ここで、液晶パネル10は、一対の電極間に印加される電圧に応じて垂直方向の遮光強度を変更することができる。したがって、液晶パネル10が、更に、観察者U(例えば、運転手)の視線を感知する視線感知センサー170を備えることにより、観察者Uの目線の位置おいて最大の遮光性能が得られるよう、液晶パネル10の電圧を決定することが可能となり、観察者Uの視線の位置に応じて遮光性能を高めることができる。
【0138】
上記実施形態1及びその変形例では、運転手の視線位置にかかわらず良好な遮光性能が得られるが、本変形例の液晶パネル10は、視線感知センサー170を備えることにより、観察者Uの視線の位置に応じて効果的に遮光性能を高めることが可能となり、観察者Uにとって良好な遮光性能を実現することができる。
【0139】
視線感知センサー170は、観察者Uの目線の位置を検出する機能を有する。視線感知センサー170は、液晶パネル10の画面40上に配置されていても、液晶パネル10の画面40の外側に配置されていてもよい。視線感知センサー170は、例えば、液晶パネル10の画面40の外側であって、かつ、観察者の前方上側に配置される。
【0140】
視線感知センサー170は、例えば、対象(観察者U)の状態を確認するウェブカメラと、対象(観察者U)の視線を検出する検出システムと、を備え、得られた画像から画像処理を行うことで、視線を検出することが可能である。なお、これは、視線感知センサー170の一例であり、視線を感知できる手段であればどのようなものでも用いることができる。
【0141】
図18に示すように、液晶パネル10は、更に、視線感知センサー170により得られた観察者Uの目線の位置において最大の遮光性能が得られる電圧を決定する機能を有する電圧決定部310を備えていてもよい。この場合、電圧制御部300は、電圧決定部により決定された電圧に基づき、上記一対の電極に印加される電圧を制御する。
【0142】
(実施形態2)
本実施形態では、本実施形態に特有の特徴について主に説明し、上記実施形態1及びその変形例と重複する内容については説明を省略する。本実施形態は、実施形態1及びその変形例のいずれかの液晶パネル10と、表示パネルとを備える表示装置に関する。本実施形態では、特に、実施形態1の液晶パネル10を用いる場合を例に挙げて説明する。
【0143】
図19は、実施形態2に係る表示装置の断面模式図である。図20は、実施形態2に係る表示装置の正面模式図である。図19及び図20に示すように、本実施形態の表示装置1は、実施形態1の液晶パネル10と、上記表示パネルとしての液晶表示パネル20とを備える。本実施形態の表示装置1は、デュアルセル方式の視野角制御液晶表示装置である。このような態様とすることにより、液晶層130中に液晶分子131の閾値以上の電圧が印加されていない電圧無印加状態において、液晶パネル10は広視野角モードとして機能し、液晶表示パネル20に表示される画像を広視野角で視認可能となる。また、液晶層130中に液晶分子131の閾値以上の電圧が印加されている電圧印加状態において、液晶パネル10は、画面右側で透過率が最小となる極角(遮光角ともいう。)と、画面左側で透過率が最小となる極角とを異ならせることが可能となり、水平方向において左右非対称な視野角を実現することができる。この狭視野角モードにおいては、画面右側及び左側のうち一方の側の遮光角を例えば極角40°とすることが可能であり、一方の側において充分に小さな遮光角を実現することができる。その結果、狭視野角モードにおいて、液晶表示パネル20に表示される画像を視認可能な範囲(極角範囲)を小さくすることができる。
【0144】
本実施形態の表示装置1は、背面側から観察面側に向かって順に、バックライト30と液晶パネル10と液晶表示パネル20とを備える。
【0145】
液晶パネル10は、観察面側から背面側に向かって順に、第一の偏光板10P1と、第一の基板110と、第一の配向膜120と、液晶層130(第一の液晶層130ともいう)と、第二の配向膜140と第二の基板150と第二の偏光板10P2とを備える。
【0146】
液晶表示パネル20は、観察面側から背面側に向かって順に、第三の偏光板10P3と、第三の基板210と、第三の配向膜220と、第二の液晶層230と、第四の配向膜240と、第四の基板250と、第三の偏光板10P3と、を備える。液晶表示パネル20は、面内方向にマトリクス状に配置された複数の画素を含む。
【0147】
第三の基板210は、観察面側から背面側に向かって順に、第三の支持基板211と、カラーフィルタ層212及びブラックマトリクス層213と、を備える。第三の基板210は、カラーフィルタ基板ともいう。
【0148】
第三の支持基板211としては、特に限定されず、例えば、第一の支持基板111及び第二の支持基板151と同様のものを挙げることができる。
【0149】
カラーフィルタ層212は、例えば、赤色カラーフィルタ、緑色カラーフィルタ及び青色カラーフィルタから構成される。赤色カラーフィルタ、緑色カラーフィルタ及び青色カラーフィルタは、例えば、顔料を含有する透明樹脂で構成されている。
【0150】
ブラックマトリクス層213は、カラーフィルタ層212に設けられた各色カラーフィルタを区画するように格子状に配置されている。ブラックマトリクス層の材料は、遮光性を有するものである限り特に限定されないが、黒色顔料を含有した樹脂材料、又は、遮光性を有する金属材料が好適に用いられる。ブラックマトリクス層213は、例えば、黒色顔料を含む感光性樹脂を塗布して成膜し、露光及び現像等を行うフォトリソグラフィ法により形成される。
【0151】
第四の基板250は、第三の電極252及び第四の電極254を備えることが好ましい。このような態様とすることにより、IPS(In-Plane Switching)モード又はFFS(Fringe Field Switching)モードを実現することが可能であり、液晶表示パネル20単独では、広視野角モードとして機能することができる。本実施形態では、液晶表示パネル20がFFSモードである場合を例に挙げて説明する。
【0152】
図19に示したように、第四の基板250は、背面側から観察面側に向かって順に、第四の支持基板251と、上記画素毎に配置された第三の電極252と、絶縁層253と、線状電極部254aを有する第四の電極254とを有する。すなわち、第四の基板250は、絶縁層253を介して積層された第三の電極252及び第四の電極254を有するFFS型の電極構造を有する。第四の基板250は、アクティブマトリクス基板ともいう。
【0153】
また、第四の基板250は、第四の基板250上に、互いに平行に延設された複数のゲート線と、絶縁膜を介して各ゲート線と交差する方向に互いに平行に延設され複数のソース線とを備える。複数のゲート線及び複数のソース線は、全体として格子状に形成されている。ゲート線とソース線との交点にはスイッチング素子として、TFTが配置される。
【0154】
なお、本実施形態ではFFS型の電極構造を有する液晶表示パネル20を例に挙げて説明するが、本実施形態は、第三の電極252及び第四の電極254がそれぞれ櫛歯電極であり、櫛歯電極である第三の電極252及び櫛歯電極である第四の電極254が、互いに櫛歯が嵌合し合うように、同一の電極層に設けられているIPS型の電極構造にも適用することができる。
【0155】
第四の基板250が備える第四の支持基板251としては、特に限定されず、例えば、第一の支持基板111及び第二の支持基板151と同様のものを挙げることができる。
【0156】
第三の電極252及び第四の電極254は、画素毎に配置される。第三の電極252は、平面状電極であることが好ましい。本明細書中、「平面状電極」とは、平面視において、スリットや開口が設けられていない電極をいう。第三の電極252は、平面視において、少なくとも後述する第四の電極254が有する線状電極部254aと重畳することが好ましい。
【0157】
第四の電極254は、複数の画素を跨いで電気的に結合して配置されている。第四の電極254は、線状電極部254aを有する。第四の電極254の平面形状としては、複数の線状電極部254aの両端が閉じられた構造が挙げられる。第四の電極254には、電極部分に囲まれた開口254bが設けられてもよい。
【0158】
画素毎に配置された複数の第四の電極254は、互いに電気的に接続され、記複数の画素に対して共通した定電圧を印加し、かつ、画素毎に配置された複数の第三の電極252のそれぞれはTFTが備える半導体層を介して、対応するソース線と電気的に接続され、画像信号に応じて画素毎に異なる電圧を印加してもよい。また、複数の第四の電極254のそれぞれは、TFTが備える半導体層を介して、対応するソース線と電気的に接続され、画像信号に応じて画素毎に異なる電圧を印加し、かつ、複数の第三の電極252は、互いに電気的に接続され、上記複数の画素に対して共通した定電圧を印加してもよい。
【0159】
第三の電極252及び第四の電極254としては、第一の電極112及び第二の電極152と同様のものを挙げることができる。
【0160】
絶縁層253としては、無機絶縁膜、有機絶縁膜等が挙げられる。無機絶縁膜としては、例えば、窒化珪素(SiNx)、酸化珪素(SiO)等の無機膜(比誘電率ε=5~7)や、それらの積層膜を用いることができる。有機絶縁膜としては、例えば、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ノボラック樹脂等の有機膜や、それらの積層体を用いることができる。
【0161】
第三の配向膜220及び第四の配向膜240は、電圧無印加状態における液晶分子231の配向方位及び電圧無印加状態における液晶分子231のチルト角を制御する。第三の配向膜220及び第四の配向膜240は、水平配向膜であっても垂直配向膜であってもよいが、面内の液晶リタデーションを調整し、十分な白輝度を得る観点から、第三の配向膜220及び第四の配向膜240は、水平配向膜であることが好ましい。
【0162】
第三の配向膜220及び第四の配向膜240は、ラビング配向膜であっても光配向膜であってもよい。第三の配向膜220及び第四の配向膜240は、例えば、ポリイミドを主鎖に有するポリマー、ポリアミック酸を主鎖に有するポリマー、ポリシロキサンを主鎖に有するポリマー等の配向膜ポリマーを含有する。第三の配向膜220及び第四の配向膜240は、例えば、上記配向膜ポリマーを含有する配向膜材料を第三の基板210及び第四の基板250上に塗布することによって形成することができ、上記塗布方法は特に限定されず、例えば、フレキソ印刷、インクジェット塗布等を用いることができる。
【0163】
第二の液晶層230は液晶分子231を含有し、第二の液晶層230に対して印加された電圧に応じて液晶分子231の配向状態が変化することにより、光の透過量が制御される。液晶分子は、上記式(L)で定義される誘電率異方性(Δε)が正の値を有するものであってもよく、負の値を有するものであってもよいが、誘電率異方性が正の値を有するものであることが好ましい。
【0164】
第三の偏光板10P3及び第四の偏光板10P4は、いずれも吸収型偏光子である。第三の偏光板10P3及び第四の偏光板10P4としては、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)フィルムにヨウ素錯体(又は染料)等の異方性材料を、染色及び吸着させてから延伸配向させた偏光子(吸収型偏光板)等を用いることができる。
【0165】
第三の偏光板10P3は、第三の吸収軸10P3Aと、第三の吸収軸10P3Aに直交する第三の透過軸とを有する。第四の偏光板10P4は、第四の吸収軸10P4Aと、第四の吸収軸10P4Aに直交する第四の透過軸とを有する。
【0166】
第三の吸収軸10P3Aは、第四の吸収軸10P4Aと直交することが好ましい。すなわち、第三の偏光板10P3及び第四の偏光板10P4は、クロスニコルに配置されることが好ましい。
【0167】
第三の吸収軸10P3Aは、第一の吸収軸10P1A及び第二の吸収軸10P2Aと直交することが好ましい。このような態様とすることにより、電圧無印加状態において黒表示を実現することができる。
【0168】
図20に示すように、例えば、第一の吸収軸10P1A、第二の吸収軸10P2A及び第四の吸収軸10P4Aの軸方位は90°に設定され、第三の吸収軸10P3Aの軸方位は0°に設定される。
【0169】
図19に示すように、バックライト30は、液晶パネル10の背面側に配置される。バックライト30は、液晶パネル10に対して光を照射するものであれば特に限定されず、直下型やエッジ型やその他のどの方式でもよい。本実施形態のバックライト30はエッジ型であり、図19に示すように、光源31及び導光板32を有する。バックライト30は、更に、反射板、拡散板、プリズムシート等の光学シートを適宜備えていてもよい。また、バックライト30は、指向性を向上させるために、ルーバーフィルムを備えていてもよい。
【0170】
光源31は、可視光を含む光を発するものであれば特に限定されず、可視光のみを含む光を発するものであってもよく、可視光及び紫外光の両方を含む光を発するものであってもよい。液晶表示パネル20によるカラー表示を可能とするためには、白色光を発する光源が好適に用いられる。光源31の種類としては、例えば、冷陰極蛍光灯(CCFL)、発光ダイオード(LED)等が好適に用いられる。なお、本明細書において、「可視光」とは、波長380nm以上、800nm未満の光(電磁波)を意味する。
【0171】
導光板32は、端面より入射した光を均一に面発光させる機能を有していればよく、液晶表示装置の分野において通常使用されるものを用いることができる。
【0172】
バックライト30は、導光板32を有し、導光板32は広視野角モード用として機能することが好ましい。このような態様とすることにより、当該導光板により広視野角モードを実現し、液晶パネル10が備える液晶層130への電圧の印加及び無印加により広視野角モード及び狭視野角モードを実現することができる。
【0173】
広視野角モード用の導光板は、例えば、光を拡散する機能を有する導光板により実現することができる。広視野角モードでは、少なくとも1つ以上の光を拡散する機能を有する導光板に光を入射させることで面発光を出射させる。更に、遮光パネル(液晶パネル10)は、電圧無印加状態とすることにより、遮光機能をオフにすることができる。液晶表示パネル20は、バックライト30、遮光パネルの組み合わせによって得られた面発光を元に広視野角に映像を表示することができる。この時、狭視野角モード用の導光板へ光を入射し、狭視野角モードと広視野角モードの2つの導光板を発光させることで、広視野角モードとしてもよいし、狭視野角モード用の導光板へは光を入射せず、広視野角モードの導光板単体で、広視野角モードとしても良い。
【0174】
一方、狭視野角モードでは、光を拡散する機能を有する導光板には光を入射せず、狭視野角モード用に設計された導光板に光を入射させる。更に、遮光パネルを電圧印加状態とすることにより、特定の角度方向以外へ光を出射しない面発光を得ることができる。狭視野角モードの導光板に光を入射したことで得られる面発光、及び、遮光パネルによって特定角度方向の光が遮光された面発光が表示パネルに照射されることで、狭い視野角のみに映像を表示することができる。
【0175】
なお、バックライト30が備える導光板の枚数は特に制限されず、2枚以上備えていてもよい。バックライト30が導光板を複数枚備える場合は、そのうちの少なくとも1枚が狭視野角モード用であってもよい。例えば、バックライト30は、少なくとも一層の、光を拡散する機能を有する導光板(拡散用導光板ともいう。)と、少なくとも一層の、光の拡散を抑える機能を有する導光板(非拡散用導光板ともいう。)と、を重ね合わせた導光板積層体を有し、各々の導光板の端部に配置されたLEDを独立に制御することで、バックライトとしてパブリックモードとプライバシーモードとを切り替えることができるものであってもよい。
【0176】
液晶表示パネル20は、更に、第三の基板210の観察面側又は第四の基板250の背面側に視野角拡大フィルム(位相差フィルム)を備えていてもよい。視野角拡大フィルムとしては、例えば、微細な楔状の斜面構造を有し、直進光を全方位に拡散させるSAMフィルム等が挙げられる。
【0177】
(実施形態2の変形例1)
上記実施形態2の表示装置1は、液晶パネル10を1枚備えるが、表示装置1は、液晶パネル10を複数枚備えていてもよい。このような構成によっても、実施形態2と同様の効果が得られる。
【0178】
(実施形態2の変形例2)
上記実施形態2の表示装置1が備える液晶表示パネル20は、液晶パネル10の観察面側に配置されるが、液晶表示パネル20の配置はこれに限定されず、液晶表示パネル20は、液晶パネル10の背面側に配置されてもよい。このような構成によっても、実施形態2と同様の効果が得られる。
【0179】
(実施形態2の変形例3)
上記実施形態2では、上記表示パネルとして液晶表示パネル20を用いるが、表示パネルは発光系であれば特に限定されず、例えば、有機EL(Electro Luminescence)表示パネル、無機EL表示パネル、マイクロLED表示パネル又はQLED(Quantum dot Light emitting diode)表示パネルであってもよい。
【0180】
表示パネルが有機EL表示パネル、無機EL表示パネル、マイクロLED表示パネル又はQLED表示パネルである場合、液晶パネル10は、当該表示パネルの観察面側に配置され、表示装置1はバックライトを備えない。QLEDの方式としては、例えば液晶タイプが用いられ、バックライト光源には、青色LEDを用い、量子ドットによる波長変換(青色光から緑色光への変換、青色光から赤色光への変換、青色光はそのまま透過)を用いることにより、従来の液晶パネルと比べて、より豊かな色再現と低消費電力が実現可能となる。
【0181】
第二の偏光板10P2として、吸収型を用いても良いが、例えば、有機EL表示パネルに用いられるOLED(organic light-emitting diode)光は無偏光であるため、反射型(構成としては、直線偏光板/反射型偏光板)を用いることにより光リサイクル効率を高めて輝度を向上させることもできる。
【0182】
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明の効果を説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
【0183】
(実施例1)
図21は、実施例1の液晶パネルが備える一対の電極間に印加される電圧の波形を示すグラフである。図22は、実施例1の液晶パネルを画面正面から見た場合の水平方向の遮光性能、及び、実施例1の液晶パネルを画面正面より垂直方向に20°上の角度から見下ろした場合の水平方向の遮光性能を示すシミュレーション結果である。
【0184】
上記実施形態1と同様の構成を有する実施例1の液晶パネルについて、遮光性能をシミュレーションした。実施例1の液晶パネルが備える一対の電極間には、図21に示すように電圧を印加した。具体的には、実施例1では、一対の電極間に、電圧V1、電圧-V1、電圧V2及び電圧-V2を順次繰り返し印加した。実施例1では、例えば、電圧V1及び電圧-V1が上記第一の電圧に対応し、電圧V2及び電圧-V2が上記第二の電圧に対応する。実施例1では、一対の電極間に絶対値の互いに異なる第一の電圧及び第二の電圧を交互に印加した。電圧V1は、3.0Vであり、電圧-V1は、-3.0Vであり、電圧V2は、3.2Vであり、電圧-V2は、-3.2Vであった。
【0185】
(比較例1)
図23は、比較例1の液晶パネルが備える一対の電極間に印加される電圧の波形を示すグラフである。図24は、比較例1の液晶パネルを画面正面から見た場合の水平方向の遮光性能、及び、比較例1の液晶パネルを画面正面より垂直方向に20°上の角度から見下ろした場合の水平方向の遮光性能を示すシミュレーション結果である。
【0186】
一対の電極間に図23に示す電圧を印加したこと以外は、実施例1と同様の構成を有する比較例1の液晶パネルについて、遮光性能をシミュレーションした。具体的には、比較例1では、一対の電極間に、電圧V1及び電圧-V1を交互に印加した。すなわち、比較例1では、絶対値が同じである正負の電圧(電圧V1及び電圧-V1)を交互に印加した。
【0187】
(実施例1及び比較例1の対比)
図22及び図24に基づき、画面正面から見た場合、及び、画面正面より垂直方向に20°上の角度から見下ろした場合のそれぞれについて、所定の極角での透過率正面輝度比を検討した。結果を下記表1に示す。
【0188】
【表1】
【0189】
表1に示すように、20度上の角度から液晶パネルを見下ろす場合の極角-35度での遮光性能(透過率正面輝度比)は、比較例1で1.5%であるの対し、実施例1では0.7%であった。したがって、比較例1に比べて実施例1の方が、遮光性能が向上することが分かった。すなわち、実施例1の液晶パネルでは、画面上側から視認する場合において、水平方向の遮光性が低下することを抑制できることが分かった。
【0190】
比較例1のような通常の液晶パネルは、視線を上下に動かすことにより遮光性能が低下する場合がある。しかしながら、実施例1の液晶パネルを用いるにより、視線を上下に動かしても高い遮光性能を実現することが可能となる。
【0191】
実施例1では、図21に示すように、駆動周波数を60Hzに設定したが、120Hzに設定してもよく、駆動周波数は自由に選択で可能である。また、パネルの駆動波形は矩形波であるが、所望の効果が得られればその他の形状であってもよい。
【0192】
尚、本実施例は左ハンドルの車に搭載することを想定して検討したため、遮光性能は極角がマイナス方向の範囲で検討した。遮光性能を左右反転させることは容易であり、右ハンドルにも容易に適応できる。
【0193】
(実施例2)
図25は、実施例2の液晶パネルが備える一対の電極間に印加される電圧の波形を示すグラフである。図26は、実施例2の液晶パネルを画面正面から見た場合の水平方向の遮光性能、及び、実施例2の液晶パネルを画面正面より垂直方向に20°上の角度から見下ろした場合の水平方向の遮光性能を示すシミュレーション結果である。
【0194】
上記実施形態1の変形例1と同様の構成を有する実施例2の液晶パネルについて、遮光性能をシミュレーションした。実施例2の液晶パネルが備える一対の電極間には、図25に示すように電圧を印加した。具体的には、実施例2では、一対の電極間に、電圧V1、及び、電圧-V2を順次繰り返し印加した。実施例2では、例えば、電圧V1が上記第一の電圧に対応し、電圧-V2が上記第二の電圧に対応する。実施例2では、一対の電極間に絶対値の互いに異なる第一の電圧及び第二の電圧を交互に印加した。電圧V1は、3.0Vであり、電圧-V2は、-3.2Vであった。
【0195】
(実施例2及び比較例1の対比)
図24及び図26に基づき、画面正面から見た場合、及び、画面正面より垂直方向に20°上の角度から見下ろした場合のそれぞれについて、所定の極角での透過率を検討した。図24及び図26に示すように、実施例2では、駆動電圧の正負で電圧の値を変更させることにより複雑な信号を与えることなく、上記実施例1と同様の効果が得られることが分かった。
【0196】
(実施例3)
図27は、実施例3の液晶パネルが備える一対の電極間に印加される電圧の波形を示すグラフである。上記実施形態1の変形例2と同様の構成を有する実施例3の液晶パネルについて、遮光性能をシミュレーションした。
【0197】
図27に示すように、実施例3の液晶パネルが備える一対の電極間には、絶対値の互いに異なる第一の電圧、第二の電圧、及び、第三の電圧を順次繰り返し印加した。具体的には、一対の電極間に、電圧V1、電圧-V1、電圧V2、電圧-V2、電圧V3、及び、電圧-V3を順次繰り返し印加した。電圧V1は、3.0Vであり、電圧-V1は、-3.0Vであり、電圧V2は、3.2Vであり、電圧-V2は、-3.2Vであり、電圧V3は、3.4Vであり、電圧-V3は、-3.4Vであった。実施例3では、視線を上下に動かした場合の遮光性能を更に向上させることができた。
【0198】
(実施例4)
図28は、実施例4の液晶パネルを画面正面から見た場合の水平方向の遮光性能、及び、実施例4の液晶パネルを画面正面より垂直方向に20°上の角度から見下ろした場合の水平方向の遮光性能を示すシミュレーション結果である。
【0199】
上記実施形態1の変形例3と同様の構成を有する実施例4の液晶パネルについて、遮光性能をシミュレーションした。第一の電圧が印加される時間と、第二の電圧が印加される時間との比率を、6:1に設定したこと以外は、実施例1と同様にして実施例4のシミュレーションを行った。すなわち、実施例4では、第一の電圧が印加される時間と第二の電圧が印加される時間とを互いに異ならせた。
【0200】
(実施例1及び実施例4の対比)
図22及び図28に基づき、画面正面から見た場合、及び、画面正面より垂直方向に20°上の角度から見下ろした場合のそれぞれについて、所定の極角での透過率を検討した。
【0201】
実施例1では、第一の電圧が印加される時間と、第二の電圧が印加される時間との比率を1:1に設定した。図22に示すように、実施例1では、画面正面から見た場合と、画面正面より垂直方向に20°上の角度から見下ろした場合との間で、水平方向における極角-20°~-30°の領域の遮光性能に差が僅かに生じた。一方、実施例4では、図28に示すように、当該遮光性能の差が抑えられていた。
【符号の説明】
【0202】
1、1R:表示装置
10:液晶パネル(遮光パネル)
10P1:第一の偏光板
10P1A:第一の吸収軸
10P1B:第一の透過軸
10P2:第二の偏光板
10P2A:第二の吸収軸
10P2B:第二の透過軸
10P3:第三の偏光板
10P3A:第三の吸収軸
10P4:第四の偏光板
10P4A:第四の吸収軸
11P:画素
20:液晶表示パネル
30:バックライト
31:光源
32:導光板
40:画面
110:第一の基板
111:第一の支持基板
112:第一の電極
120:第一の配向膜
130:液晶層(第一の液晶層)
131、231:液晶分子
131A:ダイレクタ
140:第二の配向膜
150:第二の基板
151:第二の支持基板
152:第二の電極
153:ゲート線
154:ソース線
155:TFT(Thin Film Transistor)
160:ネガティブCプレート
170:視線感知センサー
210:第三の基板
211:第三の支持基板
212:カラーフィルタ層
213:ブラックマトリクス層
220:第三の配向膜
230:第二の液晶層
240:第四の配向膜
250:第四の基板
251:第四の支持基板
252:第三の電極
253:絶縁層
254:第四の電極
254a:線状電極部
254b:開口
300:電圧制御部
310:電圧決定部
U:観察者

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31