(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024010498
(43)【公開日】2024-01-24
(54)【発明の名称】焼却システム及び焼却方法
(51)【国際特許分類】
F23G 5/50 20060101AFI20240117BHJP
F23K 3/02 20060101ALI20240117BHJP
【FI】
F23G5/50 H ZAB
F23G5/50 M
F23G5/50 Z
F23K3/02 D
F23K3/02 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022111873
(22)【出願日】2022-07-12
(71)【出願人】
【識別番号】507214083
【氏名又は名称】メタウォーター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094525
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 健二
(74)【代理人】
【識別番号】100094514
【弁理士】
【氏名又は名称】林 恒徳
(72)【発明者】
【氏名】竹下 知志
【テーマコード(参考)】
3K062
【Fターム(参考)】
3K062AB01
3K062AC02
3K062CA01
3K062CB05
3K062DA01
3K062DA11
3K062DB06
3K062DB08
3K062DB09
(57)【要約】
【課題】局所高温場の発生を抑制することを可能とする焼却システム及び焼却方法を提供する。
【解決手段】上方から投入された被焼却物を焼却し、焼却灰を下方から排出する焼却炉と、焼却炉内における第1高さから被焼却物の燃焼用空気を供給する複数の第1散気管と、焼却炉内における第1高さよりも高い第2高さから被焼却物の燃焼用空気を供給する複数の第2散気管と、焼却炉における被焼却物の焼却状況に応じて、複数の第1散気管と複数の第2散気管とのうちの少なくともいずれかによる燃焼用空気の供給を制御する制御装置と、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方から投入された被焼却物を焼却し、焼却灰を下方から排出する焼却炉と、
前記焼却炉内における第1高さから前記被焼却物の燃焼用空気を供給する複数の第1散気管と、
前記焼却炉内における前記第1高さよりも高い第2高さから前記被焼却物の燃焼用空気を供給する複数の第2散気管と、
前記焼却炉における前記被焼却物の焼却状況に応じて、前記複数の第1散気管と前記複数の第2散気管とのうちの少なくともいずれかによる燃焼用空気の供給を制御する制御装置と、を備えた焼却システム。
【請求項2】
さらに、前記焼却状況として前記焼却炉内の被焼却物の温度を測定する温度計を備え、
前記制御装置は、
前記温度計によって計測された前記温度が所定条件を満たすと判定した場合、前記複数の第1散気管による燃焼用空気の供給量を制御する、請求項1に記載の焼却システム。
【請求項3】
前記温度計は、前記焼却炉内における前記第1高さと前記第2高さとの間の領域における前記温度を測定し、
前記制御装置は、
前記第1高さと前記第2高さとの間の領域における前記温度が前記所定条件を満たす場合、前記複数の第1散気管による燃焼用空気の供給量が低下するように制御する、請求項2に記載の焼却システム。
【請求項4】
前記複数の第2散気管のそれぞれは、外周に取り付けられた1以上の解砕羽根を有し、長軸周りに回転自在であり、かつ、隣接する他の散気管のそれぞれと異なる方向に回転する、請求項1に記載の焼却システム。
【請求項5】
上方から投入された被焼却物を焼却し、焼却灰を下方から排出する焼却炉と、
前記被焼却物の燃焼用空気を供給する複数の散気管と、
前記焼却炉内における第1位置の第1圧力を計測する第1圧力計と、
前記焼却炉内における前記第1位置と同じ高さの第2位置の第2圧力を計測する第2圧力計と、
前記第1圧力と前記第2圧力とに基づいて、前記複数の散気管による燃焼用空気の供給を制御する制御装置と、を備えた焼却システム。
【請求項6】
前記制御装置は、前記第1圧力が前記第2圧力よりも大きい場合、前記複数の散気管のうちの前記第1位置に対して燃焼用空気を供給する第3散気管からの供給量が、前記複数の散気管のうちの前記第2位置に対して燃焼用空気を供給する第4散気管からの供給量より多くなるように制御し、前記第2圧力が前記第1圧力よりも大きい場合、前記第4散気管からの供給量が前記第3散気管からの供給量より多くなるように制御する、請求項5に記載の焼却システム。
【請求項7】
さらに、前記第1位置及び前記第2位置よりも高い第3位置の第3圧力を計測する第3圧力計を備え、
前記制御装置は、前記第1圧力と前記第3圧力との差が前記第2圧力と前記第3圧力との差よりも大きい場合、前記第3散気管からの供給量が前記第4散気管からの供給量より多くなるように制御し、前記第2圧力と前記第3圧力との差が前記第1圧力と前記第3圧力との差よりも大きい場合、前記第4散気管からの供給量が前記第3散気管からの供給量より多くなるように制御する、請求項6に記載の焼却システム。
【請求項8】
被焼却物を焼却する焼却炉と、前記焼却炉内における第1高さから前記被焼却物の燃焼用空気を供給する複数の第1散気管と、前記焼却炉内における前記第1高さよりも高い第2高さから前記被焼却物の燃焼用空気を供給する複数の第2散気管と、前記焼却炉における前記被焼却物の焼却状況に応じて、前記複数の第1散気管と前記複数の第2散気管とのうちの少なくともいずれかによる燃焼用空気の供給を制御する制御装置と、前記焼却状況として前記焼却炉内の被焼却物の温度を測定する温度計とを備えた焼却システムにおける焼却方法であって、
前記温度計によって計測された前記温度が所定条件を満たすと判定した場合、前記複数の第1散気管による燃焼用空気の供給量を制御する、焼却方法。
【請求項9】
上方から投入された被焼却物を焼却し、焼却灰を下方から排出する焼却炉と、前記被焼却物の燃焼用空気を供給する複数の散気管と、前記焼却炉内における第1位置の第1圧力を計測する第1圧力計と、前記焼却炉内における前記第1位置と同じ高さの第2位置の第2圧力を計測する第2圧力計と、前記第1圧力と前記第2圧力とに基づいて、前記複数の散気管による燃焼用空気の供給を制御する制御装置と、を備えた焼却システムにおける焼却方法であって、
前記第1圧力が前記第2圧力よりも大きい場合、前記複数の散気管のうちの前記第1位置に対して燃焼用空気を供給する第3散気管からの供給量が、前記複数の散気管のうちの前記第2位置に対して燃焼用空気を供給する第4散気管からの供給量より多くなるように制御し、前記第2圧力が前記第1圧力よりも大きい場合、前記第4散気管からの供給量が前記第3散気管からの供給量より多くなるように制御する、焼却方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焼却システム及び焼却方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下水汚泥(以下、単に汚泥とも呼ぶ)を焼却する焼却炉を備えた焼却システムが様々提案されている(特許文献1及び2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-181311号公報
【特許文献2】特開平8-261427号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、汚泥焼却時において、燃焼場の不均一の発生に伴う局所高温場の発生を抑制することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の抑制を実現するため、本発明における焼却システムは、上方から投入された被焼却物を焼却し、焼却灰を下方から排出する焼却炉と、前記焼却炉内における第1高さから前記被焼却物の燃焼用空気を供給する複数の第1散気管と、前記焼却炉内における前記第1高さよりも高い第2高さから前記被焼却物の燃焼用空気を供給する複数の第2散気管と、前記焼却炉における前記被焼却物の焼却状況に応じて、前記複数の第1散気管と前記複数の第2散気管とのうちの少なくともいずれかによる焼燃用空気の供給を制御する制御装置と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明における焼却炉によれば、局所高温場の発生を抑制することを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、比較例における焼却システム900の構成図である。
【
図2】
図2は、比較例における焼却システム900の構成図である。
【
図3】
図3は、比較例における焼却システム900の構成図である。
【
図4】
図4は、第1の実施の形態における焼却システム100の構成図である。
【
図5】
図5は、第1の実施の形態の制御装置50における処理を説明するフローチャート図である。
【
図6】
図6は、第1の実施の形態の制御装置50における処理を説明する図である。
【
図7】
図7は、第1の実施の形態における焼却システム100の第1の変形例について説明する図である。
【
図8】
図8は、第1の実施の形態における焼却システム100の第1の変形例について説明する図である。
【
図9】
図9は、第1の実施の形態における焼却システム100の第1の変形例について説明する図である。
【
図10】
図10は、第2の実施の形態における焼却システム200の構成図である。
【
図11】
図11は、第2の実施の形態の制御装置50における処理を説明するフローチャート図である。
【
図12】
図12は、第2の実施の形態の制御装置50における処理を説明する図である。
【
図13】
図13は、第3の実施の形態における焼却システム300について説明する図である。
【
図14】
図14は、第3の実施の形態の制御装置50における処理を説明するフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。しかしながら、かかる実施の形態例が、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0009】
[比較例における焼却システム900]
初めに、比較例における焼却システム900について説明を行う。
図1から
図3は、比較例における焼却システム900の構成図である。
【0010】
焼却システム900は、
図1に示すように、例えば、焼却炉10と、ケーシング20(以下、筐体20とも呼ぶ)とを有する。
【0011】
焼却炉10は、例えば、汚泥1(以下、被焼却物1とも呼ぶ)を焼却する燃焼室11と、汚泥投入口12と、排ガス排出口13と、散気管14(以下、第1散気管14とも呼ぶ)とを有する。
【0012】
燃焼室11は、焼却炉10の内部空間であり、例えば、焼却炉10の上端部に位置する汚泥投入口12から投入された汚泥1を内部に堆積する。そして、燃焼室11では、1以上の散気管14によって供給される燃焼用空気によって汚泥1を燃焼する。
【0013】
なお、汚泥1の燃焼によって発生した排ガスは、例えば、排ガス排出口13を介して排ガス処理施設(図示せず)に移送される。具体的に、汚泥1の焼却によって発生した排ガス(以下、単に排ガスとも呼ぶ)は、例えば、排ガス中の水蒸気が白煙として見えることを防止する加熱空気(白煙防止空気)を生成する白煙防止空気予熱器、排ガスの不純物を集塵する集塵機、及び、水と接触させることによって排ガス中のSOX等の成分を除去する洗煙処理塔等に向けて順に移送される。
【0014】
散気管14は、例えば、焼却炉10の外部に配置された空気供給装置(図示せず)から供給された燃焼用空気を、散気管14に設けられた複数の噴出孔(図示せず)から燃焼室11に堆積された汚泥1に対して供給(噴出)する。具体的に、1以上の散気管14のそれぞれ(
図1に示す例ではX方向に並ぶ6本の散気管14のそれぞれ)は、
図1の実線矢印に示すように、例えば、散気管14よりも上方に堆積された汚泥1に向けて(
図1に示す例ではZ1方向に向けて)燃焼用空気の供給を行う。すなわち、燃焼室11では、例えば、散気管14よりも上方の層L(以下、燃焼層Lとも呼ぶ)において汚泥1の焼却が行われる。
【0015】
なお、1以上の散気管14のそれぞれは、
図1に示すように、例えば、Y方向に延伸する配管であってよい。また、各散気管14における複数の噴出孔は、例えば、Y方向に沿ってそれぞれ設けられるものであってよい。
【0016】
また、1以上の散気管14のそれぞれは、例えば、Z1方向以外の方向(例えば、Z2方向)も向けて燃焼用空気の供給を行うものであってもよい。そして、焼却炉10内では、例えば、Z1方向以外の方向に向けて供給された燃焼用空気のうちの少なくとも一部が焼却炉10内を上昇することによって燃焼層Lに供給されるものであってもよい。
【0017】
ケーシング20は、例えば、焼却炉10の底部(焼却炉10のZ2方向側)に設置され、灰排出室21と、スクリュー22(以下、搬送器22とも呼ぶ)と、灰排出口23と、灰排出口24とを有する。
【0018】
灰排出室21は、ケーシング20の内部空間であり、例えば、燃焼室11において汚泥1が焼却することによって発生した焼却灰1a(以下、残渣1aとも呼ぶ)を焼却システム900の外部に排出する。
【0019】
灰排出室21の上端部(
図1に示す例ではZ1方向側の端部)は、
図1に示すように、例えば、燃焼室11に対して開口している。すなわち、灰排出室21は、燃焼室11と内部において連通している。そして、燃焼室11及び灰排出室21の内部では、灰排出室21の底部から燃焼層Lの近傍までの間に焼却灰1aが堆積され、さらに、その上に焼却中または焼却前の汚泥1が堆積される。そのため、灰排出室21に堆積されていた焼却灰1aを灰排出口23から外部に排出した場合、燃焼室11及び灰排出室21の内部に堆積されている汚泥1及び焼却灰1aは、灰排出室21に堆積されていた焼却灰1aの排出に伴って下方(
図1に示す例ではZ2方向)に移動する。
【0020】
スクリュー22は、例えば、スクリュー軸22aと、第1スクリュー羽根22bと、第2スクリュー羽根22cとを有し、灰排出室21に堆積された焼却灰1aを灰排出口23及び灰排出口24の近傍に移送する。
【0021】
スクリュー軸22aは、例えば、水平方向の一方向(
図1に示す例ではX1方向側からX2方向側)に伸びる軸であり、一端部(
図1に示す例ではX1方向側の端部)がケーシング20の外部に導出されて支持部材(図示せず)によって回転自在に支持される。そして、スクリュー軸22aは、例えば、ケーシング20の外部に導出した一端部と接続したモータ25の駆動によって長軸周りに回転する。
【0022】
第1スクリュー羽根22bは、例えば、スクリュー軸22aの外周に取り付けられ、スクリュー軸22aの灰排出口23側の端部(
図1に示す例ではX1方向側の端部)に向けて螺旋状に延在する。
【0023】
第2スクリュー羽根22cは、例えば、スクリュー軸22aの外周に取り付けられ、スクリュー軸22aの灰排出口24側の端部(
図1に示す例ではX2方向側の端部)に向けて螺旋状に延在する。すなわち、第2スクリュー羽根22cは、例えば、灰排出室21の水平方向(
図1に示す例ではX方向)における中央位置を中心として第1スクリュー羽根22bと左右対称の形状を有する。
【0024】
灰排出口23は、例えば、スクリュー22によって灰排出口23の近傍に移動された焼却灰1aを焼却システム900の外部に外出する。
【0025】
灰排出口24は、例えば、スクリュー22によって灰排出口24の近傍に移動された焼却灰1aを焼却システム900の外部に外出する。
【0026】
なお、
図1に示す例では、第1スクリュー羽根22bと第2スクリュー羽根22cとが灰排出室21の水平方向における中央位置を中心として左右対称である場合について説明を行ったが、これに限られない。具体的に、第1スクリュー羽根22b及び第2スクリュー羽根22cのそれぞれは、例えば、
図2に示すように、同一方向に向くようにスクリュー軸22aの外周に取り付けられるものであってもよい。そして、モータ25は、この場合、例えば、焼却炉10内における汚泥1の高さ(燃焼層Lの高さ)の偏りを少なくすることを目的として、スクリュー軸22aの回転方向を切り替えて焼却灰1aの移動方向(排出方向)を適宜(例えば、定期的に)変えるものであってもよい。
【0027】
ここで、汚泥投入口12から焼却炉10内に投入される汚泥1は、例えば、焼却炉10内における汚泥1の高さ(
図1に示す例ではZ方向の高さ)が均一になるように投入されることが好ましい。
【0028】
しかしながら、例えば、焼却炉10内では、汚泥1の投入装置(図示せず)の位置や汚泥1の投入方法等によって、汚泥1の高さ(燃焼用Lの高さ)に偏りが生じる場合がある。そして、焼却炉10内では、この場合、例えば、散気管14から供給される燃焼用空気が偏流し、焼却中の汚泥1(例えば、燃焼層Lに位置する汚泥1)に対する燃焼用空気の供給が均一に行われなくなる。その結果、焼却炉10内では、
図3に示すように、例えば、燃焼用空気が十分に供給されない場所(すなわち、空気比が十分でない場所)において未燃炭素1bが発生し、焼却炉10内における異常燃焼の原因となる可能性がある。具体的に、焼却炉10内では、この場合、例えば、未燃炭素1bの燃焼によって局所高温場が発生し、クリンカが発生する可能性がある。
【0029】
そこで、本実施の形態における焼却システム100は、後述するように、例えば、散気管14から燃焼層Lに向けた燃焼用空気の供給に加え、散気管14よりも高い位置(燃焼層Lにより近い位置)に設けられた他の散気管から燃焼層Lに向けた燃焼用空気の供給を行うことにより、焼却炉10内における汚泥1の高さが均一でない場合であっても、燃焼用空気が十分に供給されない場所(すなわち、空気比が十分でない場所)の発生を抑制する。
【0030】
これにより、本実施の形態における焼却システム100では、例えば、焼却炉10内における未燃炭素1bの発生を抑制することが可能になる。そのため、焼却システム100では、例えば、未燃炭素1bの燃焼による局所高温場の発生を抑制することが可能になり、クリンカの発生を抑制することが可能になる。以下、第1の実施の形態における焼却システム100について説明を行う。
【0031】
[第1の実施の形態における焼却システム100]
図4は、第1の実施の形態における焼却システム100の構成図である。また、
図5は、第1の実施の形態の制御装置50における処理を説明するフローチャート図である。さらに、
図6は、第1の実施の形態の制御装置50における処理を説明する図である。以下、比較例における焼却システム900と異なる点について説明を行う。なお、以下、
図1で説明したように、第1スクリュー羽根22bと第2スクリュー羽根22cとが灰排出室21の水平方向における中央位置を中心として左右対称である場合について説明を行うが、第1スクリュー羽根22b及び第2スクリュー羽根22cのそれぞれは、
図2で説明したように、例えば、同一方向に向くようにスクリュー軸22aの外周に取り付けられるものであってもよい。
【0032】
焼却システム100は、例えば、散気管15(以下、第2散気管15とも呼ぶ)と、温度計30aと、温度計30bと、制御装置50とをさらに有する。以下、温度計30aと温度計30bとを総称して単に温度計30とも呼ぶ。
【0033】
散気管15は、
図4に示すように、散気管14よりも高い位置に設けられた散気管であり、例えば、焼却炉10の外部に配置された空気供給装置(図示せず)から供給された燃焼用空気を、散気管15に設けられた複数の噴出孔(図示せず)から燃焼室11に堆積された汚泥1に対して供給(噴出)する。具体的に、複数の散気管15のそれぞれ(
図4に示す例ではX方向に並ぶ6本の散気管15のそれぞれ)は、
図4の実線矢印に示すように、例えば、散気管15よりも上方に堆積された汚泥1に向けて(
図4に示す例ではZ1方向に向けて)燃焼用空気の供給を行う。
【0034】
すなわち、本実施の形態における焼却炉10では、例えば、散気管14よりも高い位置において散気管15を設けることで、散気管15の上方に堆積される汚泥1の厚みを抑える、言い換えれば、散気管14から汚泥1の上部までの距離を短くすることが可能になる。具体的に、焼却炉10では、この場合、例えば、散気管15の上方に堆積される汚泥1の厚みを30(mm)から300(mm)程度に抑えることが可能になる。そのため、焼却炉10では、例えば、焼却炉10内の汚泥1の高さにばらつきがある場合であっても、汚泥1の表面(燃焼層L)の各位置に対して燃焼用空気を偏流せずに供給することが可能になる。
【0035】
したがって、本実施の形態における焼却システム100では、例えば、局所高温場の発生原因となる未燃炭素1bの発生を抑制することが可能になり、クリンカの発生を抑制することが可能になる。
【0036】
なお、複数の散気管15のそれぞれは、
図4に示すように、例えば、Y方向に延伸する配管(すなわち、複数の散気管14のそれぞれと同じ方向に延伸する配管)であってよい。そして、各散気管15における複数の噴出孔は、この場合、例えば、Y方向に沿ってそれぞれ設けられるものであってよい。さらに、複数の散気管15のそれぞれは、この場合、例えば、複数の散気管14のそれぞれの真上の位置に設けられるものであってもよい。
【0037】
また、複数の散気管15のそれぞれは、例えば、X方向に延伸する配管(すなわち、複数の散気管14のそれぞれと異なる方向に延伸する配管)であってもよい。そして、各散気管15における複数の噴出孔は、この場合、例えば、X方向に沿ってそれぞれ設けられるものであってよい。
【0038】
温度計30a及び温度計30bのそれぞれは、例えば、焼却炉10内の各位置における汚泥1(焼却中の汚泥1)の温度を測定する。以下、焼却炉10内において2つの温度計30が設けられる場合について説明を行うが、焼却炉10内には、例えば、1つまたは3つ以上の温度計30が設けられるものであってもよい。また、以下、焼却炉10内における散気管14の高さと散気管15の高さとの間の領域(以下、中間領域とも呼ぶ)において温度計30が設けられる場合について説明を行うが、温度計30は、例えば、中間領域に加え、散気管14の下方の領域や散気管15の上方の領域に設けられるものであってもよい。
【0039】
制御装置50は、例えば、温度計30において測定された各位置の温度に基づいて、散気管14と散気管15とのうちの少なくともいずれかによる燃焼用空気の供給を制御する処理を行う。制御装置50は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やメモリを有するコンピュータ装置である。
【0040】
具体的に、制御装置50は、
図5に示すように、例えば、中間領域内において汚泥1の温度が閾値よりも高い位置(以下、特定の位置とも呼ぶ)が存在するか否かを判定する(
図5のステップS1)。制御装置50は、例えば、1分間隔等のタイミングにおいてステップS1を実行するものであってよい。
【0041】
そして、例えば、特定の位置が存在すると判定した場合、制御装置50は、散気管14による燃焼用空気の供給量を低下させる(
図5のステップS2)。
【0042】
すなわち、例えば、温度が閾値よりも高い特定の位置が存在していると判定した場合、特定の位置において未燃炭素1bの燃焼による局所高温場の発生している可能性があると判断可能である。そして、制御装置50は、この場合、例えば、未燃炭素1bのさらなる燃焼によって特定の位置の温度がさらに上昇することを抑制するため、中間領域に対する燃焼用空気の供給(散気管14による燃焼用空気の供給)を抑制する。言い換えれば、制御装置50は、
図6に示すように、例えば、燃焼層Lにおける汚泥1の焼却によって未燃炭素1bが発生し、中間領域において未燃炭素1bの燃焼による局所高温場が発生した場合であっても、発生した局所高温場に対する燃焼用空気の供給を抑制することで、中間領域におけるさらなる温度上昇を抑制する。
【0043】
なお、制御装置50は、この場合、中間領域に対する燃焼用空気の供給(散気管14による燃焼用空気の供給)を完全に停止するものであってもよい。
【0044】
一方、例えば、特定の位置が存在しないと判定した場合(ステップS1のNO)、制御装置50は、ステップS2の処理を行わない。
【0045】
なお、制御装置50は、ステップS1において、例えば、中間領域内において汚泥1の温度が他の位置よりも所定以上高い位置が存在するか否かを判定するものであってもよい。そして、制御装置50は、例えば、温度が他の位置よりも所定以上高い位置が存在すると判定した場合に、ステップS2の処理を行うものであってもよい。
【0046】
また、制御装置50は、例えば、焼却炉10内の空気比が目標範囲内(例えば、0.6から1.3までの間、好ましくは0.7から1.0までの間)になるように、各散気管15からの燃焼用空気の供給量を制御するものであってよい。具体的に、制御装置50は、例えば、焼却炉10内に新たに供給される汚泥1の投入量や温度計30によって測定された汚泥1の温度等に応じて、各散気管15からの燃焼用空気の供給量を制御するものであってよい。
【0047】
このように、本実施の形態における焼却システム100は、例えば、上方から投入された汚泥1を焼却し、焼却灰1aを下方から排出する焼却炉10と、焼却炉10内における高さ(以下、第1高さとも呼ぶ)から汚泥1の燃焼用空気を供給する複数の散気管14と、焼却炉10内における第1高さよりも高い高さ(以下、第2高さとも呼ぶ)から汚泥1の燃焼用空気を供給する複数の散気管15と、焼却炉10における汚泥1の焼却状況に応じて、複数の散気管14と複数の散気管15とのそれぞれによる燃焼用空気の供給を制御する制御装置50と、を備える。
【0048】
これにより、本実施の形態における焼却システム100は、例えば、燃焼層Lの各位置における汚泥1の高さにばらつきがある場合であっても、燃焼層Lの各位置に対して焼用空気を十分に供給することが可能になる。そのため、焼却システム100は、例えば、未燃炭素1bの発生を抑制することが可能になり、未燃炭素1bに燃焼によるクリンカの発生を抑制することが可能になる。また、焼却システム100は、散気管14からの燃焼用空気の供給と散気管15からの燃焼用空気の供給とをそれぞれ行うことで、例えば、焼却炉10内に投入された汚泥1の焼却を十分に行うことが可能になり、灰排出口23や灰排出口24から未燃状態のまま排出される汚泥1の割合を低下させることが可能になる。
【0049】
また、本実施の形態における焼却システム100は、例えば、焼却炉10内における汚泥1の焼却状況として汚泥1の温度を測定する温度計30を備える。そして、制御装置50は、例えば、温度計30によって測定された汚泥1の温度が所定条件を満たすと判定した場合、複数の散気管14による燃焼用空気の供給量を制御する。所定条件は、例えば、温度計30によって測定された汚泥1の温度が予め定められた閾値を超えることであってよい。
【0050】
具体的に、本実施の形態における温度計30は、例えば、焼却炉10内における第1高さと第2高さとの間の領域(中間領域)における温度を測定する。そして、制御装置50は、例えば、第1高さと第2高さとの間の領域における焼却状況が所定条件を満たす場合、複数の散気管14による燃焼用空気の供給量が低下するように制御する。
【0051】
これにより、本実施の形態における焼却システム100は、例えば、燃焼層Lにおける汚泥1の焼却によって未燃炭素1bが発生し、中間領域において局所高温場が発生した場合であっても、さらなる温度上昇(すなわち、異常燃焼の発生)を抑制することが可能になる。
【0052】
[焼却システム100の第1の変形例]
次に、第1の実施の形態における焼却システム100の第1の変形例について説明を行う。
図7から
図9は、第1の実施の形態における焼却システム100の第1の変形例について説明する図である。
【0053】
複数の散気管15のそれぞれには、
図7に示すように、例えば、外周において1以上の羽根16(以下、解砕羽根16とも呼ぶ)が取り付けられるものであってもよい。
【0054】
具体的に、
図7に示す散気管15a、散気管15b、散気管15c及び散気管15dのそれぞれには、各散気管15の長軸に沿って(
図7に示す例ではY方向に沿って)延びる羽根16a、羽根16b、羽根16c及び羽根16dがそれぞれ取り付けられている。
【0055】
なお、以下、各散気管15に羽根16が1つずつ取り付けられている場合について説明を行うが、各散気管15には、2以上の羽根16が取り付けられるものであってもよい。具体的に、各散気管15には、例えば、各散気管15の周方向に沿って2以上の羽根16が取り付けられるものであってもよいし、各散気管15の長軸に沿って2以上の羽根16が取り付けられるものであってもよい。
【0056】
そして、複数の散気管15のそれぞれは、この場合、例えば、各散気管15の長軸周りに回転自在である。具体的に、複数の散気管15のそれぞれは、例えば、焼却炉10の外部に導出した一端部と接続した複数のモータ(図示せず)の駆動によって長軸周りに回転する。
【0057】
具体的に、制御装置50は、例えば、複数のモータのそれぞれを制御することによって、各散気管15を各散気管15に隣接する他の散気管15のそれぞれと異なる方向に回転させる。
【0058】
さらに具体的に、
図7に示す例では、例えば、散気管15bが反時計回りに回転しているのに対し、散気管15bに隣接する散気管15a及び散気管15cのそれぞれは、時計回りに回転している。同様に、例えば、散気管15cが時計回りに回転しているのに対し、散気管15cに隣接する散気管15b及び散気管15dのそれぞれは、反時計回りに回転している。
【0059】
すなわち、
図8に示すように、隣接する2つの散気管15の隙間(
図8に示す例では散気管15aと散気管15bとの隙間)よりも大きいクリンカ1cが各散気管15に上側において発生した場合、クリンカ1cは、各散気管15よりも下方に移動せず、各散気管15の上側に留まることになる。そのため、クリンカ1cは、この場合、例えば、散気管14や散気管15から供給された燃焼用空気の偏流の発生原因となる。
【0060】
そこで、本実施の形態における焼却システム100は、
図9に示すように、例えば、隣接する2つの散気管15の隙間よりも大きいクリンカ1cが各散気管15に上側において発生した場合、各散気管15の回転により、隣接する2つの散気管15のそれぞれに設けられた各羽根16でクリンカ1cを挟み込む。そして、焼却システム100は、例えば、各散気管15のさらなる回転により、隣接する2つの散気管15のそれぞれに設けられた各羽根16でクリンカ1cを解砕する。
【0061】
これにより、本実施の形態における焼却システム100は、例えば、各散気管15の上側において発生したクリンカ1cを解砕することが可能になり、さらに、解砕したクリンカ1cを各散気管15よりも下方に移動させることが可能になる。そのため、焼却システム100は、例えば、散気管14や散気管15から供給された燃焼用空気の偏流の発生を抑制することが可能になる。したがって、焼却システム100は、例えば、焼却炉10内における汚泥1の燃焼安定性を高めることが可能になる。
【0062】
なお、制御装置50は、例えば、各散気管15の回転方向を所定のタイミングにおいて逆転させることにより、クリンカ1cの解砕をより効率的に行うものであってもよい。具体的に、制御装置50は、例えば、散気管15a及び散気管15bの上側に発生したクリンカ1cを解砕した後、各散気管15の回転方向を逆転させることにより、散気管15b及び散気管15cの上側に発生した他のクリンカ(図示せず)についても解砕することが可能になる。
【0063】
このように、本実施の形態における複数の散気管15のそれぞれは、例えば、外周に取り付けられた1以上の羽根16を有し、長軸周りに回転自在であり、かつ、隣接する他の散気管15のそれぞれと異なる方向に回転する。
【0064】
これにより、本実施の形態における焼却システム100は、例えば、各散気管15に上側において発生したクリンカ1c(隣接する2つの散気管15の隙間よりも大きいクリンカ1c)を解砕し、解砕したクリンカ1cを各散気管15の下方に移動させることが可能になる。そのため、焼却システム100は、例えば、燃焼用空気の偏流の発生を抑制することが可能になり、焼却炉10内における汚泥1の燃焼安定性を高めることが可能になる。
【0065】
[第2の実施の形態における焼却システム200]
次に、第2の実施の形態における焼却システム200について説明を行う。
図10は、第2の実施の形態における焼却システム200の構成図である。また、
図11は、第2の実施の形態の制御装置50における処理を説明するフローチャート図である。さらに、
図12は、第2の実施の形態の制御装置50における処理を説明する図である。以下、第1の実施の形態における焼却システム100と異なる点について説明を行う。
【0066】
本実施の形態における焼却システム200は、例えば、焼却炉10内における同一の高さに設けられた複数の圧力計が計測した圧力の差に基づいて、焼却炉10内における汚泥1の高さが均一であるか否かを判定する。そして、制御装置50は、例えば、焼却炉10内における汚泥1の高さが均一でないと判定した場合、汚泥1の高さが他の位置よりも高いと判定した位置に対して燃焼用空気が十分に供給されていない(空気比が十分でない)可能性があると判定し、汚泥1の高さが他の位置よりも高いと判定した位置に対する燃焼用空気の供給量を増加させる。
【0067】
これにより、本実施の形態における焼却システム200では、例えば、燃焼層Lにおいて燃焼用空気が十分に供給されていない位置の発生を抑制することが可能になり、焼却炉10内における未燃炭素1bの発生を抑制することが可能になる。そのため、焼却システム200では、例えば、未燃炭素1bの燃焼による局所高温場の発生を抑制することが可能になり、クリンカの発生を抑制することが可能になる。以下、第2の実施の形態における焼却システム200の構成について説明を行う。
【0068】
焼却システム200は、例えば、圧力計40a(以下、第1圧力計40aとも呼ぶ)と、圧力計40b(以下、第2圧力計40bとも呼ぶ)とをさらに有する。以下、圧力計40aと圧力計40bとを総称して単に圧力計40とも呼ぶ。なお、以下、焼却システム200が第1の実施の形態において説明した制御装置50を有する場合について説明を行うが、第2の実施の形態における制御装置50は、例えば、第1の実施の形態における制御装置50と異なる装置(コンピュータ装置)であってもよい。
【0069】
圧力計40a及び圧力計40bのそれぞれは、例えば、焼却炉10内における同一の高さに設けられ、各位置における圧力を測定する圧力計である。
【0070】
具体的に、圧力計40a及び圧力計40bのそれぞれは、
図10に示すように、例えば、焼却炉10内における燃焼層Lよりも下方の位置であって、同一XY平面上における互いに異なる位置に設けられる。すなわち、圧力計40a及び圧力計40bのそれぞれは、例えば、上方に堆積された汚泥1の厚さが厚いほど高い圧力を計測する。以下、圧力計40aが設けられた位置(XY平面上における位置)を第1位置とも呼び、圧力計40bが設けられた位置(XY平面上における位置)を第2位置とも呼ぶ。また、以下、圧力計40aによって計測された圧力を第1圧力とも呼び、圧力計40bによって計測された圧力を第2圧力とも呼ぶ。
【0071】
制御装置50は、例えば、圧力計40において測定された各位置における圧力に基づいて、散気管14による燃焼用空気の供給を制御する処理を行う。
【0072】
具体的に、制御装置50は、
図11に示すように、例えば、圧力計40aによって計測された圧力(第1圧力)が圧力計40bによって計測された圧力(第2圧力)よりも大きいか否かを判定する(
図11のステップS11)。制御装置50は、例えば、1分間隔等のタイミングにおいてステップS11を実行するものであってよい。
【0073】
そして、例えば、第1圧力が第2圧力よりも大きいと判定した場合、制御装置50は、圧力計40aが設けられた位置の近傍領域(第1位置)に対して燃焼用空気を供給する散気管14(以下、散気管14aまたは第3散気管14aとも呼ぶ)による供給量が、圧力計40bが設けられた位置の近傍領域(第2位置)に対して燃焼用空気を供給する散気管14(以下、散気管14bまたは第4散気管14bとも呼ぶ)による供給量よりも多くなるように制御する(
図11のステップS12)。
【0074】
具体的に、制御装置50は、
図12に示すように、例えば、汚泥1に対して燃焼用空気を供給する複数の散気管14(
図12に示す例ではX方向に並ぶ6本の散気管14)のうち、圧力計40aに近い1以上の散気管14a(
図12に示す例ではX2方向側に配置された3本の散気管14)による燃焼用空気の供給量を増加させる。
【0075】
すなわち、例えば、第1圧力が第2圧力よりも大きい場合、圧力計40aの上方に堆積された汚泥1の厚さが圧力計40bの上方に堆積された汚泥1の厚さよりも厚くなっており、圧力計40aの上方に堆積された汚泥1(圧力計40aの上方に位置する燃焼層L)に対する燃焼用空気の供給量が、圧力計40bの上方に堆積された汚泥1(圧力計40bの上方に位置する燃焼層L)に対する燃焼用空気の供給量よりも少なくなっている可能性が高いと判断可能である。そのため、制御装置50は、この場合、例えば、圧力計40bよりも高い圧力を計測した圧力計40aの近傍領域に対する燃焼用空気の供給量を増加させる制御を行う。
【0076】
一方、例えば、第1圧力が第2圧力よりも小さいと判定した場合、制御装置50は、圧力計40bが設けられた位置の近傍領域(第2位置)に対して燃焼用空気を供給する散気管14bによる供給量が、圧力計40aが設けられた位置の近傍領域(第1位置)に対して燃焼用空気を供給する散気管14aによる供給量よりも多くなるように制御する(
図11のステップS13)。
【0077】
具体的に、制御装置50は、
図12に示すように、例えば、汚泥1に対して燃焼用空気を供給する複数の散気管14のうち、圧力計40bに近い1以上の散気管14bによる燃焼用空気の供給量を増加させる。
【0078】
なお、制御装置50は、例えば、第1圧力が第2圧力よりも所定以上大きい場合に、ステップS12の処理を行い、第2圧力が第1圧力よりも所定以上大きい場合に、ステップS13の処理を行うものであってもよい。言い換えれば、制御装置50は、例えば、第1圧力と第2圧力との差が所定未満である場合、ステップS12及びステップS13の処理を行わないものであってもよい。
【0079】
また、制御装置50は、例えば、焼却炉10内の空気比が目標範囲内(例えば、0.6から1.3までの間、好ましくは0.7から1.0までの間)になるように、各散気管14からの燃焼用空気の供給量を制御するものであってもよい。具体的に、制御装置50は、例えば、焼却炉10内に新たに供給される汚泥1の投入量や温度計(図示せず)によって測定された汚泥1の温度等に応じて、各散気管14からの燃焼用空気の供給量を制御するものであってもよい。
【0080】
このように、本実施の形態における焼却システム200は、例えば、上方から投入された汚泥1を焼却し、焼却した汚泥1を下方から排出する焼却炉10と、汚泥1の燃焼用空気を供給する複数の散気管14と、焼却炉10内における第1位置の第1圧力を計測する第1圧力計40aと、焼却炉10内における第1位置と同じ高さの第2位置の第2圧力を計測する第2圧力計40bと、第1圧力と第2圧力とに基づいて、複数の散気管14による燃焼用空気の供給を制御する制御装置50と、を備える。
【0081】
具体的に、本実施の形態における制御装置50は、例えば、
図12に示すように、第1圧力が第2圧力よりも大きい場合、散気管14aからの供給量が散気管14bからの供給量より多くなるように制御する。一方、制御装置50は、例えば、
図12に示す例とは異なり、第2圧力が第1圧力よりも大きい場合、散気管14bからの供給量が散気管14aからの供給量より多くなるように制御する。
【0082】
これにより、本実施の形態における焼却システム200は、例えば、燃焼層Lの各位置における汚泥1の高さにばらつきがある場合であっても、このばらつきを容易に検知することが可能になる。そして、焼却システム200は、この場合、例えば、燃焼層Lに含まれる位置ごとに、各位置における汚泥1の高さに応じた量の燃焼用空気をそれぞれ供給することが可能になる。そのため、焼却システム200は、例えば、燃焼層Lの各位置に対して燃焼用空気を十分に供給することが可能になる。したがって、焼却システム200は、この場合、例えば、未燃炭素1bの発生を抑制することが可能になり、未燃炭素1bに燃焼によるクリンカの発生を抑制することが可能になる。
【0083】
[第3の実施の形態における焼却システム300]
次に、第3の実施の形態における焼却システム300について説明を行う。
図13は、第3の実施の形態における焼却システム300の構成図である。また、
図14は、第3の実施の形態の制御装置50における処理を説明するフローチャート図である。以下、第2の実施の形態における焼却システム200と異なる点について説明を行う。
【0084】
焼却システム300は、例えば、圧力計40c(以下、第3圧力計40cとも呼ぶ)と、圧力計40dと、圧力計40eとをさらに有する。以下、圧力計40aと圧力計40とに加え、圧力計40cと、圧力計40dと、圧力計40eとを総称して単に圧力計40とも呼ぶ。
【0085】
圧力計40cは、例えば、焼却炉10内における圧力計40a及び圧力計40bの上方に設けられる圧力計である。
【0086】
具体的に、圧力計40cは、
図13に示すように、例えば、焼却炉10内における燃焼層Lよりも上方の位置、すなわち、焼却炉10内における汚泥1が堆積しない位置に設けられる。以下、圧力計40cが設けられた位置を第3位置とも呼ぶ。また、以下、圧力計40cによって計測された圧力を第3圧力とも呼ぶ。
【0087】
圧力計40d及び圧力計40eのそれぞれは、例えば、焼却炉10内における同一の高さに設けられ、各位置における汚泥1の圧力を測定する圧力計である。
【0088】
具体的に、圧力計40d及び圧力計40eのそれぞれは、
図13に示すように、例えば、圧力計40cよりも下方の位置に設けられる。また、圧力計40d及び圧力計40eのそれぞれは、例えば、圧力計40a及び圧力計40bよりも上方の位置であって、かつ、同一XY平面上における互いに異なる位置に設けられる。なお、圧力計40dは、例えば、圧力計40aの真上の位置に設けられるものであってよい。また、圧力計40eは、例えば、圧力計40bの真上の位置に設けられるものであってよい。
【0089】
制御装置50は、
図14に示すように、例えば、圧力計40aによって計測された圧力(第1圧力)と圧力計40cによって計測された圧力(第3圧力)との差(以下、第1圧力差とも呼ぶ)が、圧力計40bによって計測された圧力(第2圧力)と圧力計40cによって計測された圧力(第3圧力)との差(以下、第2圧力差とも呼ぶ)よりも大きいか否かを判定する(
図14のステップS21)。制御装置50は、例えば、1分間隔等のタイミングにおいてステップS21を実行するものであってよい。
【0090】
具体的に、制御装置50は、例えば、圧力計40aによって計測された圧力から圧力計40cによって計測された圧力を減算することによって第1圧力差を算出する。また、制御装置50は、例えば、圧力計40bによって計測された圧力から圧力計40cによって計測された圧力を減算することによって第2圧力差を算出する。そして、制御装置50は、例えば、算出した第1圧力差と第2圧力差との比較を行う。
【0091】
その結果、例えば、第1圧力差が第2圧力差よりも大きいと判定した場合、制御装置50は、圧力計40aが設けられた位置の近傍領域(第1位置)に対して燃焼用空気を供給する散気管14aによる供給量が、圧力計40bが設けられた位置の近傍領域(第2位置)に対して燃焼用空気を供給する散気管14bによる供給量よりも多くなるように制御する(
図14のステップS22)。
【0092】
具体的に、制御装置50は、例えば、汚泥1に対して燃焼用空気を供給する複数の散気管14のうち、圧力計40aに近い1以上の散気管14aによる燃焼用空気の供給量を増加させる。
【0093】
一方、例えば、第1圧力差が第2圧力差よりも小さいと判定した場合、制御装置50は、圧力計40bが設けられた位置の近傍領域(第2位置)に対して燃焼用空気を供給する散気管14bによる供給量が、圧力計40aが設けられた位置の近傍領域(第1位置)に対して燃焼用空気を供給する散気管14aによる供給量よりも多くなるように制御する(
図14のステップS23)。
【0094】
具体的に、制御装置50は、例えば、汚泥1に対して燃焼用空気を供給する複数の散気管14のうち、圧力計40bに近い1以上の散気管14bによる燃焼用空気の供給量を増加させる。
【0095】
なお、制御装置50は、例えば、第1圧力差が第2圧力差よりも所定以上大きい場合に、ステップS22の処理を行い、第2圧力差が第1圧力差よりも所定以上大きい場合に、ステップS23の処理を行うものであってもよい。言い換えれば、制御装置50は、例えば、第1圧力差と第2圧力差との差が所定未満である場合、ステップS22及びステップS23の処理を行わないものであってもよい。
【0096】
また、制御装置50は、例えば、ステップS21の処理において、圧力計40dによって計測された圧力と圧力計40cによって計測された圧力との差(以下、第3圧力差とも呼ぶ)が、圧力計40eによって計測された圧力と圧力計40cによって計測された圧力との差(以下、第4圧力差とも呼ぶ)よりも大きいか否かを判定するものであってもよい。そして、制御装置50は、例えば、ステップS22の処理において、第3圧力差が第4圧力差よりも大きいと判定した場合、制御装置50は、圧力計40dが設けられた位置の近傍領域に対して燃焼用空気を供給する散気管14aによる供給量が、圧力計40eが設けられた位置の近傍領域に対して燃焼用空気を供給する散気管14bによる供給量よりも多くなるように制御するものであってもよい。一方、制御装置50は、例えば、ステップS23の処理において、第3圧力差が第4圧力差よりも小さいと判定した場合、制御装置50は、圧力計40eが設けられた位置の近傍領域に対して燃焼用空気を供給する散気管14bによる供給量が、圧力計40dが設けられた位置の近傍領域に対して燃焼用空気を供給する散気管14aによる供給量よりも多くなるように制御するものであってもよい。
【0097】
また、制御装置50は、例えば、ステップS21の処理において、圧力計40cによって計測された圧力から圧力計40aによって計測された圧力を減算して算出した値が、圧力計40cによって計測された圧力から圧力計40bによって計測された圧力を減算して算出した値よりも大きいか否かを判定するものであってもよい。そして、例えば、ステップS22の処理において、圧力計40cによって計測された圧力から圧力計40aによって計測された圧力を減算して算出した値が、圧力計40cによって計測された圧力から圧力計40bによって計測された圧力を減算して算出した値よりも小さいと判定した場合、制御装置50は、圧力計40aが設けられた位置の近傍領域に対して燃焼用空気を供給する散気管14aによる供給量が、圧力計40bが設けられた位置の近傍領域に対して燃焼用空気を供給する散気管14bによる供給量よりも多くなるように制御するものであってもよい。一方、例えば、ステップS23の処理において、圧力計40cによって計測された圧力から圧力計40aによって計測された圧力を減算して算出した値が、圧力計40cによって計測された圧力から圧力計40bによって計測された圧力を減算して算出した値よりも大きいと判定した場合、制御装置50は、圧力計40bが設けられた位置の近傍領域に対して燃焼用空気を供給する散気管14bによる供給量が、圧力計40aが設けられた位置の近傍領域に対して燃焼用空気を供給する散気管14aによる供給量よりも多くなるように制御するものであってもよい。
【0098】
このように、本実施の形態における焼却システム300は、例えば、第1位置及び第2位置よりも高い第3位置の第3圧力を計測する圧力計40cを備える。そして、制御装置50は、例えば、第1圧力と第3圧力との差(第1圧力差)が第2圧力と第3圧力との差(第2圧力差)よりも大きい場合、散気管14aからの供給量が散気管14bからの供給量より多くなるように制御し、第2圧力と第3圧力との差(第2圧力差)が第1圧力と第3圧力との差(第1圧力差)よりも大きい場合、散気管14bからの供給量が散気管14aからの供給量より多くなるように制御する。
【0099】
これにより、本実施の形態における焼却システム300は、焼却システム200の場合と同様に、例えば、燃焼層Lの各位置における汚泥1の高さにばらつきがある場合であっても、燃焼層Lの位置ごとに、各位置における汚泥1の高さに応じた量の燃焼用空気をそれぞれ供給することが可能になる。そのため、焼却システム300は、例えば、燃焼層Lの各位置に対して燃焼用空気を十分に供給することが可能になる。したがって、焼却システム300は、例えば、未燃炭素1bの発生を抑制することが可能になり、未燃炭素1bに燃焼によるクリンカの発生を抑制することが可能になる。
【0100】
なお、上記の例では、同一XY平面上において2つの圧力計40(例えば、圧力計40a及び圧力計40b)が設けられる場合について説明を行ったが、焼却システム200及び焼却システム300(以下、焼却システム200等とも呼ぶ)は、例えば、同一XY平面上に設けられた3以上の圧力計40を有するものであってよい。そして、焼却システム200等は、例えば、同一XY平面上に設けられた他の圧力計40が計測した圧力のそれぞれよりも高い圧力を計測した圧力計40(以下、特定の圧力計40とも呼ぶ)が存在する場合、特定の圧力計40の近傍領域に対して供給する燃焼用空気の供給量が、特定の圧力計40以外の圧力計40の近傍領域に対して供給する燃焼用空気の供給量よりも多くなるように制御するものであってもよい。
【0101】
また、例えば、圧力計40cによって測定された圧力と圧力計40eによって測定された圧力との差が0である場合、
図13に示すように、焼却炉10内に堆積された汚泥1の高さが圧力計40eの設置高さよりも低くなっている可能性がある。そのため、制御装置50は、この場合、例えば、焼却炉10内における汚泥1の高さが正常範囲内にない可能性があることを示す情報を、焼却システム200等の管理者に対して通知するものであってもよい。
【0102】
これにより、制御装置50は、例えば、焼却炉10内に堆積された汚泥1の高さが正常範囲外になることを抑制することが可能になる。
【符号の説明】
【0103】
1:汚泥 1a:焼却灰
1b:未燃炭素 10:焼却炉
11:燃焼室 12:汚泥投入口
13:排ガス排出口 14:散気管
14a:散気管 14b:散気管
15:散気管 16:羽根
20:ケーシング 21:灰排出室
22:スクリュー 22a:スクリュー軸
22b:第1スクリュー羽根 22c:第2スクリュー羽根
23:灰排出口 24:灰排出口
25:モータ 30a:温度計
30b:温度計 40a:圧力計
40b:圧力計 40c:圧力計
40d:圧力計 40e:圧力計
50:制御装置 100:焼却システム
200:焼却システム 300:焼却システム
900:焼却システム L:燃焼層