(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104984
(43)【公開日】2024-08-06
(54)【発明の名称】半導体集積回路
(51)【国際特許分類】
G01R 31/28 20060101AFI20240730BHJP
G01R 31/54 20200101ALI20240730BHJP
G01R 31/67 20200101ALI20240730BHJP
H01L 21/822 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
G01R31/28 V
G01R31/54
G01R31/67
H01L27/04 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023009461
(22)【出願日】2023-01-25
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】520124752
【氏名又は名称】株式会社ミライズテクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】杉本 浩一
【テーマコード(参考)】
2G014
2G132
5F038
【Fターム(参考)】
2G014AA02
2G014AA13
2G014AB51
2G014AB59
2G014AC18
2G132AA03
2G132AD15
2G132AK09
2G132AK15
2G132AL04
5F038BE07
5F038DF05
5F038DT08
5F038EZ20
(57)【要約】
【課題】電源端子又はグランド端子と半導体基板上のパッドとの接続状態を、製品単独で、且つ簡易な構成で検査できる機能を備えた半導体集積回路を提供する。
【解決手段】半導体集積回路1の内部で、電源端子VDDとグランド端子GNDとの間に検査回路3を接続する。検査回路3は、分圧抵抗回路5及び比較器7により、電源端子VDD又はグランド端子GNDと半導体基板上のパッドとの接続状態が正常か否かを確認する。遮断制御部6は、分圧抵抗回路5を両端子間より遮断する。記憶素子8には、比較器7による確認結果が記憶される。制御回路9は、記憶素子8に記憶されている確認結果を読み出し、その確認結果がNGであれば通信により外部にアラートを出力する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源端子とグランド端子との間である端子間に実装され、前記電源端子又は前記グランド端子と半導体基板上のパッドとの接続状態が正常か否かを確認するモニタ部(5、7)と、
このモニタ部を、前記端子間より遮断する遮断部(4、6)と、
前記モニタ部による確認結果が記憶される記憶部(8、15)と、を備える半導体集積回路。
【請求項2】
前記モニタ部は、外部より前記端子間に電圧が印加された際に通電される分圧抵抗回路(5)と、
この分圧抵抗回路により分圧された電圧と参照電圧とを比較する比較器(7)とを備える請求項1記載の半導体集積回路。
【請求項3】
前記参照電圧は、事前に測定されて記憶部(15)に記憶された、前記分圧された電圧の初期値である請求項2記載の半導体集積回路。
【請求項4】
前記電源端子が複数であり、
前記分圧抵抗回路を、複数の前記電源端子に対応して複数設け、
複数の前記分圧抵抗回路により分圧された複数の電圧を、前記比較器に選択的に前記記憶部に入力する選択部(17)を備える請求項2記載の半導体集積回路。
【請求項5】
前記遮断部は、前記分圧抵抗回路と共に直列に接続されるスイッチング素子(4)と、
前記端子間に電圧が印加されると、前記スイッチング素子を一定時間オンにした後にオフにする遮断制御部(6)とを備える請求項2から4の何れか一項に記載の半導体集積回路。
【請求項6】
被ミラー電流側のトランジスタが、前記分圧抵抗回路の分圧点に挿入されるカレントミラー回路(20)と、
このカレントミラー回路のミラー電流が、入力端子よりシンクされるI/V変換回路(19)と、を備え、
前記比較器には、前記I/V変換回路により変換された電圧が入力される請求項5記載の半導体集積回路。
【請求項7】
電源が投入されて起動すると、前記記憶部に記憶されている確認結果を読み出し、その確認結果がNGであれば、通信により外部にアラートを出力するアラート出力部(9)を備える請求項1記載の半導体集積回路。
【請求項8】
前記電源端子が複数であり、
前記モニタ部を、複数の前記電源端子に対応して複数設け、
複数の前記モニタ部の確認結果を選択的に前記記憶部に記憶させる選択部(17)を備える請求項1記載の半導体集積回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体集積回路の検査に係る構成に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路については、実装技術の向上や、プロセステクノロジーズの進化による開発費の増大等により、1つのパッケージに複数のダイを搭載するチップレット構造が採用される場合がある。チップレット構造では、従来のFC-BGAの基板上に、インターポーザと呼ばれるシリコンを搭載するための実装緩衝用の基板を用いる。そして、基板のパッドとシリコンダイのパッドとが、マイクロバンプと称されるはんだボールにより接続される。
【0003】
このような構成は概して端子数が多くなり、端子間のピッチは狭くなる。また、チップレット構造の半導体集積回路は、多くの機能を有しているため、使用する電源電圧の種類も多くなり、電源端子のはんだ接続状態の正常性を容易に確認できることが望ましい。加えて、製品が市場に出荷された後においても、半導体集積回路が実装された状態で接続状態を判定する仕組みが求められる。
【0004】
このような、半導体集積回路の検査に関する技術については、標準規格であるJTAG(Joint Test Action Group)で定められたバウンダリスキャン方式や、その他例えば特許文献1~3等に開示がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-035804号公報
【特許文献2】特開2012-251772号公報
【特許文献3】特開2005-322768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、バウンダリスキャン方式は、製品の出荷時に行う検査を前提としている。また、検査を行う際には、他のICとの接続を行うことを前提としているため、製品単独では検査を行うことができない。特許文献1の構成では、検査対象とする端子の全てについて、半導体装置の内部で電流源を接続する必要がある。特許文献2,3の構成では、やはり市場において製品単独では検査ができない。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、電源端子又はグランド端子と半導体基板上のパッドとの接続状態を、製品単独で、且つ簡易な構成で検査できる機能を備えた半導体集積回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の半導体集積回路によれば、モニタ部(5、7)は、電源端子とグランド端子との間である端子間に実装され、電源端子又はグランド端子と半導体基板上のパッドとの接続状態が正常か否かを確認する。遮断部(4、6)は、モニタ部を前記端子間より遮断する。記憶部(8、15)には、モニタ部による確認結果が記憶される。このように、半導体集積回路がモニタ部を内蔵することで、製品として出荷された後においても、市場にて電源端子又はグランド端子と、半導体基板上のパッドとの接続状態が正常かを確認できる。そして、半導体集積回路に通常の動作をさせる際には、遮断部により、モニタ部を前記端子間より遮断できる。
【0009】
より具体的には、請求項2記載の半導体集積回路のように、モニタ部として、外部より前記端子間に電圧が印加された際に通電される分圧抵抗回路(5)と、分圧抵抗回路により分圧された電圧と参照電圧とを比較する比較器(7)とを備える。電源端子又はグランド端子と基板上のパッドとの接続状態が不良になると、その個所における抵抗値が増大するので、分圧抵抗回路により分圧された電圧が変化する。したがって、その電圧を比較器が参照電圧と比較することで、接続状態を判定できる。
【0010】
請求項5記載の半導体集積回路によれば、遮断部として、分圧抵抗回路と共に直列に接続されるスイッチング素子(4)と、前記端子間に電圧が印加されると、スイッチング素子を一定時間オンにした後にオフにする遮断制御部(6)とを備える。これにより、電源端子、グランド端子間に電圧を印加すれば、両端子間に分圧抵抗回路が一定時間だけ接続されるので、比較器は、その間に分圧された電圧を参照電圧と比較できる。一定時間が経過すれば、分圧抵抗回路を両端子間より遮断できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1実施形態であり、半導体集積回路の構成を要部について示す機能ブロック図
【
図2】OBD2のスキャンツールを用いる際に、車外のツールと複数のECUとの接続状態を示す図
【
図3】電源投入時から、検査回路の動作を示すタイミングチャート
【
図4】第2実施形態であり、半導体集積回路の構成を要部について示す機能ブロック図
【
図6】車両のイグニッションスイッチがONされた場合の検査回路の動作を示すフローチャート
【
図7】第3実施形態であり、半導体集積回路の構成を要部について示す機能ブロック図
【
図8】第4実施形態であり、半導体集積回路の構成を要部について示す機能ブロック図
【
図9】第5実施形態であり、半導体集積回路の構成を要部について示す機能ブロック図
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1実施形態)
図1に示すように、本実施形態の半導体集積回路1は、例えば車両に搭載されるECU(Electronic Control Unit)であり、電源端子VDDとグランド端子GNDとの間には、内部回路2と共に検査回路3が接続されている。尚、電源端子VDD及びグランド端子GNDは、それぞれ図示しない半導体基板上の電源パターン及びグランドパターンに繋がるパッドに、はんだボール等ではんだ付けされている。
【0013】
電源端子VDDとグランド端子GNDとの間には、抵抗素子RS1及びRS2並びにスイッチング素子であるNチャネルMOSFET4の直列回路が接続されている。抵抗素子RS1及びRS2は、分圧抵抗回路5を構成する。FET4のゲートは、遮断制御部6により駆動制御される。遮断制御部6は、半導体集積回路1に電源VDDが投入されると、FET4のゲート電圧を一定時間だけハイレベルにし、その後はローレベルに維持する。FET4及び遮断制御部6は、遮断部に相当する。
【0014】
抵抗素子RS1及びRS2の共通接続点は、比較器7の反転入力端子に接続されている。比較器7の非反転入力端子には、参照電圧Vrefが与えられている。参照電圧Vrefは、例えばバンドギャップリファレンスにより生成される。分圧抵抗回路5及び比較器7は、モニタ部に相当する。比較器7の出力端子は、記憶部である記憶素子8に接続されている。記憶素子8は、フラッシュメモリや不揮発性のレジスタ等であり、後述する測定期間において、比較器7の出力信号レベルを記憶する。制御回路9は、記憶素子8の記憶内容を読み出すと、車載LAN通信による信号として半導体集積回路1の外部に出力する。制御回路9は、アラート出力部に相当する。
【0015】
本実施形態では、例えばOBD2のスキャンツールを用いて、外部より記憶素子8の記憶内容を読み出すことを想定する。
図2に示すように、複数の半導体集積回路1(1)~1(3)はECUとして、車載LANのネットワークにより接続されている。OBD2インターフェース11は、OBD2コネクタ12及び変換LSI13を備えている。OBD2コネクタ12は、スキャンツールが接続されるコネクタであり、変換LSI13は、OBD2と車載LANとの間で信号変換を行う。
【0016】
次に、本実施形態の作用について説明する。
図3には、半導体集積回路1が使用する電源電圧がA,Bの2種類ある場合を示しているが、本実施形態では、電源電圧Aのみ、つまり電源VDDだけとして説明する。検査回路3の遮断制御部6は、半導体集積回路1に電源VDDが投入されると、FET4のゲート電圧を当初はローレベルにする。そして、時間t
ON(A)でハイレベルに変化させると、その後、時間t
OFF(A)で再びローレベルにする。時間t
ON(A)~t
OFF(A)の間の一定時間が、検査回路3による測定期間となる。
【0017】
上記の測定期間の間はFET4がON状態となり、電源VDDにより分圧抵抗回路5にも通電が行われる。
図1に示すように、電流i(=i
1+i
2)のうち、電流i
1は、内部回路2の等価抵抗値R
Lと分圧抵抗回路5の抵抗値とに応じて流れ、電流i
2が分圧抵抗回路5に通電される。電源端子VDD及びグランド端子GNDと、それらに対応する半導体基板上のパッドとのはんだ付けによる接触状態が正常であれば、分圧抵抗回路5により分圧された電圧は、当初の電圧レベルV
0を維持する。
【0018】
一方、半導体集積回路1に振動等の外力が作用したり経年的な変化等により、例えば電源端子VDDとパッドとの接触状態が悪化して不良になると、両者の接触部分における抵抗値が上昇する。すると、分圧抵抗回路5における分圧電圧は、当初の電圧レベルよりも低下してV1となる。
【0019】
そこで、例えば(Vref<V0)に設定しておき、(Vref>V1)に変化すると、比較器7の出力信号はローレベルからハイレベルに変化する。変化した信号のレベルは、確認結果NGとして記憶素子8に記憶される。制御回路9は、OBD2スキャンツールより記憶素子8の記憶内容の出力要求を受けると、記憶内容を読出し、車載LANを介してOBD2スキャンツールに送信する。これがアラート出力となり、電源端子VDDとパッドとの接触状態が悪化したことが確認される。
【0020】
また、例えばグランド端子GNDとパッドとの接触状態が悪化して両者の接触部分における抵抗値が上昇すると、分圧抵抗回路5における分圧電圧は、当初の電圧レベルよりも上昇してV2となる。そこで、例えば(Vref>V0)に設定しておき、(Vref<V2)に変化すると、比較器7の出力信号はハイレベルからローレベルに変化する。このレベル変化に伴い記憶素子8に記憶された内容である確認結果NGを、制御回路9がOBD2スキャンツールに送信すれば、グランド端子GNDとパッドとの接触状態が悪化したことが確認される。尚、分圧電圧は、当初の電圧レベルV0を維持している場合、記憶素子8に記憶される内容は確認結果OKとなる。
【0021】
尚、半導体集積回路1が電源電圧Bも使用する際には、
図3に示すように、電源電圧Bの立ち上がりに応じて時間t
ON(B)~t
OFF(B)を設定して、対応する検査回路3による判定を行えば良い。
【0022】
以上のように本実施形態によれば、半導体集積回路1の内部で、電源端子VDDとグランド端子GNDとの間に検査回路3を接続する。検査回路3は、分圧抵抗回路5及び比較器7により、電源端子VDD又はグランド端子GNDと半導体基板上のパッドとの接続状態が正常か否かを確認する。遮断制御部6は、分圧抵抗回路5を両端子間より遮断する。記憶素子8には、比較器7による確認結果が記憶される。制御回路9は、記憶素子8に記憶されている確認結果を読み出し、その確認結果がNGであれば、通信により外部にアラートを出力する。
【0023】
このように、半導体集積回路1が検査回路3を内蔵することで、製品として出荷された後においても、市場にて電源端子VDD又はグランド端子GNDと基板上のパッドとの接続状態が正常かを確認できる。そして、半導体集積回路1に通常の動作をさせる際には、遮断制御部6がFET4をOFF状態にして、分圧抵抗回路5を両端子間より遮断できる。その際に、遮断制御部6は、両端子間に電圧が印加されると、FET4を一定時間ONにした後にOFFにする。これにより、両端子間に電圧を印加すれば分圧抵抗回路5が一定時間だけ接続されるので、比較器7は、その間に分圧された電圧を参照電圧Vrefと比較でき、一定時間が経過すれば、分圧抵抗回路5を両端子間より遮断できる。
【0024】
(第2実施形態)
以下、第1実施形態と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、異なる部分について説明する。
図4に示すように、第2実施形態の半導体集積回路31は、比較器7及び記憶素子8に替えて、A/Dコンバータ12、セレクタ13、デジタルコンパレータ14及び記憶素子15を備えている。セレクタ13は、制御回路9が出力する切換え信号Selに応じて、A/Dコンバータ12のデータをデジタルコンパレータ14と記憶素子15とに切り換えて出力する。
【0025】
記憶素子15が有するレジスタには、電圧V0に相当する初期値データが書き込まれる。記憶素子15は、上記のレジスタに書き込まれた初期値データをデジタルコンパレータ14に出力する。デジタルコンパレータ14は、その初期値データを参照値として、A/Dコンバータ12により変換された分圧電圧のデータ値と比較する。以上が検査回路16を構成している。
【0026】
次に、第2実施形態の作用について説明する。制御回路9は、半導体集積回路31が起動した際に、前述のスキャンツール等からの指示を受けて、セレクタ13の出力先を記憶素子15に切り換えるように設定されている。
図5に示す初期値書き込み処理では、半導体集積回路31が起動されると(S1)、測定対象回路である検査回路16が動作を開始する(S2)。FET4をONにして(S3)、分圧電圧の初期値V0を、セレクタ13を介して記憶素子15に書き込む(S4)。FET4をOFFにすると(S5)処理を終了する。
図5に示す処理は、製品の出荷前に行われる。
【0027】
図6に示すように、製品の出荷後において、車両のイグニッションスイッチ;IGがONすると、検査回路16の動作によるダイアグモードとなり(S11)測定が実行される(S12)。この時、セレクタ13の出力先はデジタルコンパレータ14となる。「測定」は、
図5に示すステップS2~S4に相当するが、記憶素子15の書込みアドレスは異なる。A/Dコンバータ12が分圧抵抗回路5の分圧電圧をA/D変換し、変換されたデータがデジタルコンパレータ14に入力される。デジタルコンパレータ14は、その入力されたデータを、記憶素子15より入力される参照値である電圧V0のデータと比較する(S13)。この時、LSB側の一部のビットを省いて比較することで、両値の完全一致ではなく、若干の幅を持たせて比較しても良い。比較結果がOKであれば半導体集積回路21の通常動作に移行し(S14)、比較結果がNGであれば制御回路9がエラー出力を行う(S15)。
【0028】
以上のように第2実施形態によれば、分圧電圧の初期値V0のデータを記憶素子15に記憶して、A/Dコンバータ12及びデジタルコンパレータ14によりデジタル的に比較を行うことができる。
【0029】
(第3実施形態)
図7に示す第3実施形態の半導体集積回路32は、2つの電源端子VA,VBがある場合に、それぞれの分圧抵抗回路5A,5Bによる分圧電圧を、セレクタ17を用いて1つの比較器7に切り替えて入力する。尚、分圧抵抗回路5は「R」で示している。以上が検査回路18を構成している。この場合、それぞれの比較結果を、記憶素子8の異なるアドレスに記憶させても良い。
【0030】
(第4実施形態)
図8に示す第4実施形態の半導体集積回路33は、同じく2つの電源端子VA,VBがある場合に、それぞれの比較器7A,7Bによる比較結果を、選択部であるセレクタ17を用いて記憶素子8に切り替えて入力する。以上が検査回路19を構成している。この場合も、それぞれの比較結果を、記憶素子8の異なるアドレスに記憶させても良い。
【0031】
(第5実施形態)
図9に示す第5実施形態の半導体集積回路34は、分圧抵抗回路5と比較器7との間を接続する配線が長くなる場合に対応して、分圧抵抗回路5にカレントミラー回路を組み合わせて、分圧電圧を電流に変換して伝送する。抵抗素子R
S1,R
S2の間には、NチャネルMOSFETのミラー対の一方20aが挿入され、他方のFET20bは、IV変換アンプ21の入力端子に繋がる配線22とグランドとの間に接続されている。これにより、分圧抵抗回路5に流れる電流をFET20bにミラー電流として流す。
【0032】
IV変換アンプ21は、図示しない比較器7の前段に配置されており、入力端子からシンクされるミラー電流に応じた電圧を、比較器7に入力する。以上が検査回路23を構成している。分圧抵抗回路5と比較器7との間を接続する配線が長くなると、抵抗分により電圧降下が発生するため、比較器7での比較精度が低下する。第5実施形態のように、電流で伝送して比較器7の近傍で電圧に変換することで、比較精度が低下することを防止できる。
【0033】
(その他の実施形態)
スイッチング素子は、MOSFETに限らず、バイポーラトランジスタ等でも良い。
記憶素子を、半導体集積回路の外部に設け、制御回路を介して外部の記憶素子に記憶させても良い。
3種類以上の電源電圧を使用するものに適用しても良い。
車外で接続するツールは、OBD2のスキャンツールに限らない。
半導体集積回路は、車両に搭載されECUに限らない。
本開示は、実施例に準拠して記述されたが、本開示は当該実施例や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
【符号の説明】
【0034】
図面中、1は半導体集積回路、2は内部回路、3は検査回路、4はNチャネルMOSFET、5は分圧抵抗回路、6は遮断制御部、7は比較器、8は記憶素子、9は制御回路を示す。