(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104986
(43)【公開日】2024-08-06
(54)【発明の名称】筐体
(51)【国際特許分類】
H05K 5/06 20060101AFI20240730BHJP
F16J 15/04 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
H05K5/06 A
F16J15/04 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023009464
(22)【出願日】2023-01-25
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】弁理士法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 基博
【テーマコード(参考)】
4E360
【Fターム(参考)】
4E360AB12
4E360AB31
4E360BD03
4E360EA11
4E360EA29
4E360EC05
4E360ED02
4E360ED03
4E360ED14
4E360ED28
4E360EE03
4E360FA02
4E360FA13
4E360GA23
4E360GA29
4E360GB99
4E360GC08
(57)【要約】
【課題】 防水パッキンを使用しない止水構造を備えた筐体を提供する。
【解決手段】 筐体は、環状溝を開口端面に有する第1の筐体と、第1の筐体の開口端面に対向する対向開口端面を有しかつ、第1の筐体の環状溝に嵌合可能な環状リブを対向開口端面に有する第2の筐体と、を有する。第1の筐体の環状溝の底部又は第2の筐体の環状リブの頂部の一方に複数の突起構造が配列される。突起構造は、第1の筐体の開口端面と第2の筐体の対向開口端面とが互いに対して押圧されかつ環状溝と環状リブが嵌合される場合、第1の筐体の環状溝の底部又は第2の筐体の環状リブの頂部の他方に押圧され変形するように、構成されている。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体を収容する収容空間を有する電子機器筐体であって、
環状溝を開口端面に有する第1の筐体と、
前記第1の筐体の前記開口端面に対向する対向開口端面を有しかつ、前記第1の筐体の前記環状溝に嵌合可能な環状リブを前記対向開口端面に有する第2の筐体と、を有し、
前記第1の筐体の前記環状溝の底部又は前記第2の筐体の前記環状リブの頂部の一方に複数の突起構造が配列され、
前記突起構造は、前記第1の筐体の前記開口端面と前記第2の筐体の前記対向開口端面とが互いに対して押圧されかつ前記環状溝と前記環状リブが嵌合される場合、前記第1の筐体の前記環状溝の底部又は前記第2の筐体の前記環状リブの頂部の他方に押圧され変形するように、構成されていることを特徴とする筐体。
【請求項2】
前記突起構造は前記環状溝と前記環状リブに沿って延在しかつ前記環状リブよりも小さい微細リブ状の突起であることを特徴とする請求項1に記載の筐体。
【請求項3】
前記微細リブ状の突起が前記第1の筐体の前記環状溝の底部に設けられかつ前記第2の筐体の前記環状リブの頂部が平坦面であり、又は、
前記微細リブ状の突起が前記第2の筐体の前記環状リブの頂部に設けられかつ前記第1の筐体の前記環状溝の底部が平坦面である場合に、
前記環状溝の底部と前記環状リブの頂部が互いに対して押圧され前記環状溝と前記環状リブが嵌合される状態で前記平坦面によって前記微細リブ状の突起が押圧され潰れて変形していることを特徴とする請求項2に記載の筐体。
【請求項4】
前記微細リブ状の突起が前記第1の筐体の前記環状溝の底部に設けられかつ前記第2の筐体の前記環状リブの頂部が前記底部の前記微細リブ状の突起の先端を受ける凹部を有し、又は、
前記微細リブ状の突起が前記第2の筐体の前記環状リブの頂部に設けられかつ前記第1の筐体の前記環状溝の底部が前記頂部の前記微細リブ状の突起の先端を受ける凹部を有する場合に、
前記環状溝の底部と前記環状リブの頂部が互いに対して押圧され前記環状溝と前記環状リブが嵌合される状態で前記凹部によって前記微細リブ状の突起が押圧され潰れて変形していることを特徴とする請求項2に記載の筐体。
【請求項5】
前記微細リブ状の突起が前記環状リブ又は前記環状溝に対して斜め格子状に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の筐体。
【請求項6】
前記微細リブ状の突起が前記環状リブ又は前記環状溝に対して並列に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の筐体。
【請求項7】
前記微細リブ状の突起が二色成形されていることを特徴とする請求項2に記載の筐体。
【請求項8】
前記第1の筐体及び前記第2の筐体の前記開口端面及び前記対向開口端面は、締結部材で互いに対して締結されることを特徴とする請求項2に記載の筐体。
【請求項9】
前記第1の筐体及び前記第2の筐体は、それぞれの前記開口端面及び前記対向開口端面の周りにフランジを備え、前記締結部材が前記フランジに設けられていることを特徴とする請求項8に記載の筐体。
【請求項10】
前記締結部材は、ビス若しくはボルト・ナットのネジ又はスナップフィットの少なくとも一種類であることを特徴とする請求項8に記載の筐体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体に関し、特に筐体の防水構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、防水型携帯無線機の筐体の防水構造が記載されている。当該構造は、互いに嵌合する筺体同士の嵌合面全周には溝が形成され、該溝にゴム製の環状パッキンを組み込む際に、筺体の一部の面がパッキンのリブを押しつぶして防水効果を高めているものである。
【0003】
特許文献2には、複数の分割体からなる浴室ユニットにおいて、各々別体に形成された浴槽載置パンと洗い場パンとで構成される防水床パンの接続組立て方法が記載されている。当該方法は、互いに嵌合する凹部と凸部の接続に際して、弾性水密材嵌合凸部の外面に沿わすようにして、接続施工と防水施工とを同時に行う方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10-70375号公報
【特許文献2】特開平8-100451号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の防水嵌合部では、パッキンを筐体に組立入れる際にパッキンが撚れたり、嵌合がズレたりすることがあり、組立時にバラつきが防水性能に影響する。また、パッキンが破断した際に、その隙間からパッキンで止水している水が浸入する可能性が高くなる。嵌合部の防水性能はパッキンの反発力や状態変化に依存している問題点があった。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、防水パッキンを使用しない止水構造を備え防水性を維持できる筐体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による筐体は、物体を収容する収容空間を有する筐体であって、環状溝を開口端面に有する第1の筐体と、前記第1の筐体の前記開口端面に対向する対向開口端面を有しかつ、前記第1の筐体の前記環状溝に嵌合可能な環状リブを前記対向開口端面に有する第2の筐体と、を有し、前記第1の筐体の前記環状溝の底部又は前記第2の筐体の前記環状リブの頂部の一方に複数の突起構造が配列され、前記突起構造は、前記第1の筐体の前記開口端面と前記第2の筐体の前記対向開口端面とが互いに対して押圧されかつ前記環状溝と前記環状リブが嵌合される場合、前記第1の筐体の前記環状溝の底部又は前記第2の筐体の前記環状リブの頂部の他方に押圧され変形するように、構成されている。
【0008】
本発明によれば、防水が必要な嵌合部を有する筐体において、嵌合部の止水を微細な成形形状を筐体自体に施し、該形状を嵌合時に押し潰すことで防水パッキンを使用しない止水構造を備えた筐体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明による第1の実施形態である筺体の外観を示す斜視図である。
【
図2】第1の実施形態の筐体の概略分解斜視図である。
【
図3】
図2の二点鎖線枠Bで示す部分の上カバーの部分拡大斜視図である。
【
図4】
図2の二点鎖線枠Cで示す部分の下カバーの部分拡大斜視図である。
【
図5】
図2の二点鎖線枠Cで示す部分の下カバー12の部分上面図である。
【
図7】第1の実施形態の筐体における下カバーと上カバーとが互いに対して押圧されて嵌合されつつある場合(
図7(a))から、嵌合された後の状態(
図7(b))を示す嵌合部の部分拡大断面図である。
【
図8】第1の実施形態の変形例の筐体における下カバーと上カバーとが互いに対して押圧されて嵌合されつつある場合(
図8(a))から、嵌合された後の状態(
図8(b))を示す嵌合部の部分拡大断面図である。
【
図9】本発明による第2の実施形態である筺体の下カバーの開口端面の角部分を示す部分上面図である。
【
図11】本発明による第3の実施形態の筐体における下カバーと上カバーとが互いに対して押圧されて嵌合されつつある場合(
図11(a))から、嵌合された後の状態(
図11(b))を示す嵌合部の部分拡大断面図である。
【
図12】本発明による実施例の電子機器を収容する筐体を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本発明の実施形態と実施例の筐体を説明する。なお、以下の説明及び添付図面においては、実質的に同一又は等価な部分には同一の参照符号を付し、それらの重複した説明は省略する。
【0011】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態の筐体10を示す。
図2は筐体10の概略分解斜視図である。
【0012】
図1、
図2に示すように、筐体10は略長方体形状を有している。筐体10は、それぞれ合成樹脂素材製の一対の筒箱状の上カバー11及び下カバー12がそれぞれの対向開口端面11E及び開口端面12E(嵌合部KGP)において互いに嵌合されて、筐体10が構成されている。
【0013】
上カバー11及び下カバー12は、図示しない締結部材により締結され、上カバー11及び下カバー12は互いに固着されている。締結部材は、ビス若しくはボルト・ナットのネジ又はスナップフィットの少なくとも一種類であればよい。
【0014】
上カバー11及び下カバー12が対向開口端面11E及び開口端面12Eに設けられた嵌合部KGPにて互いに嵌合されることによって、上カバー11及び下カバー12の内側に、何かしらの物体(図示せず)を収容する密閉された収容空間SPが画定される。
【0015】
嵌合部KGPは、上カバー11の開口端面11Eから一様な高さで一周突出する環状リブ11aと、該環状リブに密嵌する嵌合可能な相補形状を有する一周の凹部である環状溝12aと、で構成されている。
【0016】
図3は
図2の二点鎖線枠Bで示す部分の上カバー11の開口端面11Eの角部分を示す下カバー12側から見た部分拡大斜視図である。
【0017】
図3に示すように、上カバー11の環状リブ11aの頂部11bは平坦面FFである。
【0018】
図4は
図2の二点鎖線枠Cで示す部分の下カバー12の開口端面12Eの角部分を示す部分拡大斜視図である。
図5は
図2の二点鎖線枠Cで示す部分の下カバー12の開口端面12Eの角部分を示す部分上面図である。
【0019】
図4、
図5に示すように、下カバー12の環状溝12aの底部12bには、突起構造である微細リブMRが配列されて、筐体成形材料にて一体的に形成されている。
【0020】
微細リブMRは、環状溝12aの延在する方向に垂直でなく、環状溝12aに対して斜め格子状LRCに形成されている。突起構造の微細リブMRは、環状溝12aと環状リブ11aに沿って延在しかつ環状リブ11aよりも小さい微細リブMR(底部12b上の微細リブ状の突起)である。微細リブMRは、
図6に示す
図5の断面A-Aに示すように微細リブMRの先端が鋭利(断面が鋭角)になっている。
【0021】
下カバー12の環状溝12aの底部12bの突起構造の微細リブMRは、下カバー12の開口端面12Eと上カバー11の対向開口端面11Eとが互いに対して押圧されかつ環状溝12aと環状リブ11aが嵌合される場合、上カバー11の環状リブ11aの頂部11bに押圧され、微細リブMRの先端の峰線から順に変形するように、構成されている。すなわち、嵌合部KGPは、上カバー11の環状リブ11aの頂部11bが、下カバー12の環状溝12aの底部12bの微細リブMRを押し潰せるような構造となっている。環状リブ11aの高さは、環状溝12aの底部12bまでの深さより低く形成されており、両者を嵌合させて組み立てる時、環状リブ11aは環状溝12aに嵌合されるが、環状溝12aの微小リブ状の突起は環状リブ11aの平坦な頂面で押圧されて潰れて変形して底部12bを埋めるように形成されている。
【0022】
(動作の説明)
図7(a)(b)は、下カバー12と上カバー11とが互いに対して押圧されて環状溝12aと環状リブ11aが嵌合されつつある場合(
図7(a))から、嵌合された後の上カバー11の環状リブ11aの頂部11bに押圧され微細リブMRが変形する場合(
図7(b))を示す嵌合部KGPの部分拡大断面図である。上カバー11と下カバー12が図示されていない締結部材で固定された際、下カバー12と上カバー11とが互いに対して押圧されて環状溝12aと環状リブ11aが嵌合し、環状溝12aの底部12bの微細リブMRは環状リブ11aの頂部11bにより押し潰され、
図7(a)(b)に示すように微細リブMRが、その底部12bの隙間を埋めるように変化し、止水する役割を果たす。
【0023】
(効果の説明)
第1の実施形態によれば、下カバー12の環状溝12aの底部12bに斜め格子状LRCの微細リブMRが配列され、斜め格子状LRCの微細リブMRは、下カバー12と上カバー11とが互いに対して押圧されかつ環状溝12aと環状リブ11aが嵌合される場合、上カバー11の環状リブ11aの頂部11bに押圧され変形するように、構成されている故に、環状リブ11aと環状溝12aの嵌合が多少ズレても、微細リブMRのどこかが止水する役割を果たす為、筐体内部への水の侵入を防止することができる。また、微細リブMRは、長期間の経年変化に対しても、パッキンなどの弾力性を持つ部材よりも筐体同等の耐久性がある為、水侵入の可能性を低減できる。
【0024】
(変形例の説明)
図8は、第1の実施形態の変形例の筐体10の嵌合部KGPを示す断面図である。変形例の筐体10は、
図8に示すように、上カバー11の環状リブ11aの頂部11bに、その平坦面上に頂部11bに斜め格子状LRCの微細リブMRが形成され、下カバー12の環状溝12aの底部12bに平坦面が設けられている以外、第1の実施形態と同一構成を有する。
【0025】
なお、
図8(a)(b)は、下カバー12と上カバー11とが互いに対して押圧されて環状溝12aと環状リブ11aが嵌合されつつある場合(
図8(a))から、嵌合された後の下カバー12の環状溝12aの底部12bの平坦面によって、上カバー11の環状リブ11aの頂部11bの斜め格子状LRCの微細リブMRが押圧され変形する場合(
図8(b))を示す嵌合部KGPの部分拡大断面図である。
【0026】
第1の実施形態の変形例によって、環状リブ11aと環状溝12aの嵌合が多少ズレても、微細リブMRのどこかが止水する役割を果たす為、筐体内部への水の侵入を防止することができる。また、微細リブMRは、長期間の経年変化に対しても、パッキンなどの弾力性を持つ部材よりも筐体同等の耐久性がある為、水侵入の可能性を低減できる。
【0027】
このように、第1の実施形態の筐体10は、環状溝12aを開口端面12Eに有する下カバー12(第1の筐体)と、該環状溝12aに嵌合可能な環状リブ11aを対向開口端面11Eに有する上カバー11(第2の筐体)と、から構成されている。そして、筐体10においては、下カバー12の環状溝12aの底部12b又は上カバー11の環状リブ11aの頂部11bの一方に複数の斜め格子状LRCの微細リブMRが配列されており、斜め格子状LRCの微細リブMRは、下カバー12と上カバー11とが互いに対して押圧されかつ環状溝12aと環状リブ11aが嵌合される場合、下カバー12の環状溝12aの底部12b又は上カバー11の環状リブ11aの頂部11bの他方に押圧され変形するように、構成されている。
【0028】
(第2の実施形態)
図9は、第2の実施形態の筐体10の下カバー12の開口端面12Eの角部分を示す部分上面図である。
図10は、
図9のA-A線の断面図である。
【0029】
第2の実施形態の筐体10は、
図5に示す第1の実施形態の微細リブMRが環状リブ11a又は環状溝12aに対して斜め格子状LRCに設けられていることに替えて、
図9、
図10に示すように、微細リブMRが環状リブ11a又は環状溝12aに対して並列PPL(並列PPL・MR)に設けられている以外、第1の実施形態と同一構成を有する。
【0030】
第2の実施形態の筐体10は、第1の実施形態に対して、環状溝12aの底部12bの微細リブMRの形状を簡易化することで、上カバー11と下カバー12、図示していない締結部材での締結力を減らすことで組立性を改善し、また、環状溝12aと環状リブ11aの押圧嵌合状態での環状溝12aの底部12bの隙間を埋めることで止水力が確保され、環状溝12aの底部12bの成形製造性も向上する。
【0031】
なお、第2の実施形態の変形例としては、第1の実施形態の変形例と同じように、上カバー11の環状リブ11aの頂部11bに、その平坦面上に頂部11bに並列PPL・MRが形成され、下カバー12の環状溝12aの底部12bに平坦面が設けられる筐体10の構成としてもよい。
【0032】
(第3の実施形態)
図11は、第3の実施形態の筐体10の嵌合部KGPを示す断面図である。変形例の筐体10は、
図11に示すように、下カバー12の環状溝12aの底部12bに斜め格子状LRCの微細リブMRが形成され、上カバー11の環状リブ11aの頂部11bに、平坦面の代わりに、微細リブMRの先端(微細リブMRの先端の峰線)を略受ける凹部DFが設けられている以外、第1の実施形態と同一構成を有する。
【0033】
なお、
図11(a)(b)は、下カバー12と上カバー11とが互いに対して押圧されて環状溝12aと環状リブ11aが嵌合されつつある場合(
図11(a))から、嵌合された後の上カバー11の環状リブ11aの頂部11bの凹部DFに押圧され微細リブMRが変形する場合(
図11(b))を示す嵌合部KGPの部分拡大断面図である。上カバー11と下カバー12が図示されていない締結部材で固定された際、下カバー12と上カバー11とが互いに対して押圧されて環状溝12aと環状リブ11aが嵌合し、環状溝12aの底部12bの微細リブMRは環状リブ11aの頂部11bの凹部DFにより押し潰され、
図11(a)(b)に示すように微細リブMRが、その底部12bの隙間を埋めるように変化し、止水する役割を果たす。
【0034】
第3の実施形態によって、環状リブ11aと環状溝12aの嵌合が多少ズレても、微細リブMRと凹部DFの組のどこかが止水する役割を果たす為、筐体内部への水の侵入を防止することができる。また、微細リブMRは、長期間の経年変化に対しても、凹部DFにて受け止められ、パッキンなどの弾力性を持つ部材よりも筐体同等の耐久性がある為、水侵入の可能性を低減できる。
【0035】
なお、第3の実施形態の変形例としては、第1の実施形態の変形例と同じように、上カバー11の環状リブ11aの頂部11bに、その平坦面上に頂部11bに並列PPL・MRが形成され、下カバー12の環状溝12aの底部12bに凹部DFが設けられる筐体10の構成としてもよい。
【実施例0036】
図12は、実施例の電子機器を収容する筐体10を示す斜視図である。
図12において、破線、二点鎖線にて内部を透視した部品を示している。なお、
図12では、筐体10に収容された電子機器13に設けられている電源、電子部品、電子部品間のケーブル等を省略し図示していない。また、電子機器13を動作させるための外部の給電ケーブルや入出力ケーブルやアンテナ等を通過させるための接続孔が側面壁部の一部において設けられているが、省略し図示していない。
【0037】
図12に示すように、実施例の筐体10は、下カバー12及び上カバー11の開口端面12E及び対向開口端面11E(
図2、参照)の周りにフランジ11G、12Gを備え、締結部材の複数のネジ15がフランジ11G、12Gに設けられて、電子機器13を収容する以外、第1の実施形態と同一構成を有する。なお、防水のために、上カバー11のフランジ11Gの外縁は、下カバー12のフランジ12Gの外縁に沿って収容空間SP側に屈曲されている。
【0038】
筐体用樹脂材料としては、熱可塑性エラストマー(ThermoPlastic Elastomer, TPE)のポリスチレン系(TPS)、ポリ塩化ビニル系(TPVC)、ポリウレタン系(TPU)、ポリエステル系(TPEE 或は TPC)、ポリアミド系(TPAE)が挙げられ、耐水性のあるオレフィン/アルケン系(TPO)も挙げられる。
【0039】
上カバー11と下カバー12のフランジ11G、12G同士が嵌合部KGPの環状リブ11aと環状溝12aの嵌合を介してネジ15で接合されることによって、下カバー12及び上カバー11の中央内側に、例えばアンテナ機器等の電子機器13を収容する密閉された収容空間SPが液密に画定される。
【0040】
(動作の説明)
上カバー11及び下カバー12を固定する締結部材であるネジ15は、上カバー11のフランジ11Gの外縁に沿って並置される複数の貫通孔(図示せず)から、下カバー12のフランジ12Gに形成された貫通孔(図示せず)に対応する複数の雌ネジ(図示せず)へ、螺合させられ、両フランジ(上カバー11及び下カバー12)を締結固定する。締結部材はネジの他、ボルト・ナットやスナップ結合機構等でもよい。ネジ15等による上カバー11及び下カバー12の締め付けは、筐体材料の降伏点(塑性変形へ移行するときの応力)未満で行われる。
【0041】
(効果の説明)
本実施例によれば、締結部材用にフランジ11G、12Gを設けることにより、下カバー12と上カバー11とが互いに対して押圧されることができる。そのため、環状リブの密着が確保され筐体内部への浸水を防ぐことができる。
【0042】
さらに、上記の実施形態と実施例において、射出成形により筐体10の微細リブMRを含む部分が二色成形されていてもよい。また、二色成形の場合、筐体用樹脂材料としては、熱可塑性樹脂のポリカーボネート(PC)、ポリカーボネート(PC)+アクリロ二トリル・ブタジエン・スチレン(ABS)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリル・スチレン・アクリレート(ASA)なども挙げられる。本発明は上記の実施形態と実施例のいずれの組み合わせをも含む。