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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104989
(43)【公開日】2024-08-06
(54)【発明の名称】薬剤揮散具
(51)【国際特許分類】
   A01M 1/20 20060101AFI20240730BHJP
   B65D 83/00 20060101ALI20240730BHJP
   B65D 85/00 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
A01M1/20 D
B65D83/00 F
B65D85/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023009471
(22)【出願日】2023-01-25
(71)【出願人】
【識別番号】000149181
【氏名又は名称】株式会社大阪製薬
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池田 直子
(72)【発明者】
【氏名】稲見 浩之
【テーマコード(参考)】
2B121
3E068
【Fターム(参考)】
2B121AA11
2B121AA20
2B121CA02
2B121CA16
2B121CA28
2B121CA53
2B121CC02
2B121CC03
2B121CC04
2B121CC31
2B121CC33
2B121CC35
3E068CC18
3E068CD01
3E068CE03
3E068DD09
3E068EE21
3E068EE26
(57)【要約】
【課題】例えば、蚊、蠅、虻等の害虫に対する防虫、忌避、殺虫効果や、消臭、抗菌、除菌、芳香効果、植物育成促進効果等を有する薬剤を好適に揮散可能な薬剤揮散具であって、上記薬剤の有効期間等を視認しやくすることができる薬剤揮散具を提供する。
【解決手段】薬剤と、
前記薬剤に接し、前記薬剤の揮散により視認可能となる標識部を有する標識体1と、
前記薬剤及び前記標識体1を収容する単層又は多層の本体容器と、
前記本体容器の周縁に着止されて前記薬剤及び前記標識体1を封じ、前記薬剤を透過する揮散フィルムを備える、薬剤揮散具。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤と、
前記薬剤に接し、前記薬剤の揮散により視認可能となる標識部を有する標識体1と、
前記薬剤及び前記標識体1を収容する単層又は多層の本体容器と、
前記本体容器の周縁に着止されて前記薬剤及び前記標識体1を封じ、前記薬剤を透過する揮散フィルムを備える、薬剤揮散具。
【請求項2】
前記標識体1は、シート状、板状、柱状、棒状、蛇腹状、プリーツ状、又は、ボール紙状である、請求項1に記載の薬剤揮散具。
【請求項3】
前記標識部は、前記標識体1の少なくとも1つの面に形成されている、請求項1に記載の薬剤揮散具。
【請求項4】
前記標識体1は、薬剤揮散層を含む、又は、薬剤揮散層のみからなる、請求項1に記載の薬剤揮散具。
【請求項5】
前記本体容器は、前記標識体1に近い内側層と前記内側層の外側に外側層を有し、
前記内側層は、ポリエチレン、及び、ポリプロピレンからなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂により形成された層であり、
前記外側層は、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、脂環式オレフィン共重合体、ポリエチレンナフタレート、及び、エチレン・ビニル共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂により形成された層である、請求項1に記載の薬剤揮散具。
【請求項6】
前記揮散フィルムは、ポリエチレン、及び、ポリプロピレンからなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂により形成されたフィルムである、請求項1に記載の薬剤揮散具。
【請求項7】
前記本体容器又は前記揮散フィルムの少なくとも一方において、600nmの光の透過率が10%以上であり、800nmの光の透過率が30%以上である、請求項1に記載の薬剤揮散具。
【請求項8】
前記本体容器は、薬剤格納部を備える、請求項1に記載の薬剤揮散具。
【請求項9】
前記内側層上に1つ又は複数個の突起部を備える、請求項1に記載の薬剤揮散具。
【請求項10】
前記薬剤は、液状、又は、ジェル状である、請求項1~9のいずれか1項に記載の薬剤揮散具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件発明は、蚊、蠅、虻等の害虫を防除したり、心を落ち着かせリラックスさせたり植物の成長を促したりする等の薬剤を空気中に飛散、拡散させるように構成された薬剤揮散具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、容器に収容された揮発性の薬剤をその容器から徐々に放出して空気中に飛散、拡散させることにより、蚊、蠅、虻等の害虫を死滅、忌避させる等して防除するための薬剤揮散具が知られている。
【0003】
例えば、トランスフルトリン等の薬効成分とメタノール、エタノール等のアルコール等からなる薬剤と、その薬剤を収容するPET等からなる容器と、直鎖状低密度ポリエチレン等からなる揮散薬剤透過フィルムからなり、その揮散薬剤透過フィルムからその薬剤が徐々に揮散される薬剤収容具が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
そして、トランスフルトリンと液状イソパラフィン系炭化水素を含有する薬剤と、その薬剤を収容する透明性を有する樹脂製の容器と、低密度ポリエチレン等からなる揮散フィルムからなり、その揮散フィルムからその薬剤が徐々に揮散される害虫防除具が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014-94752号公報
【特許文献2】特開2022-18358号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の薬剤収容具や特許文献2の害虫防除具においては、内包される薬剤が液状であることから、薬剤と広い面積に亘って当接しているため薬剤に含有される溶剤により本体容器や揮散フィルムが膨潤する等して揮散される薬剤の量がばらつくことで、害虫に対する防除効果や芳香効果等が変動するおそれがあった。また、長期間有効化することもできないものであった。
【0007】
また、特許文献1の薬剤収容具や特許文献2の害虫防除具においては、液状の薬剤が減少していき、ほとんどなくなってきたときにすべて揮散したのか、少し残っているのか等を判別することが難しかった。
【0008】
そこで、本件発明は、例えば、蚊、蠅、虻等の害虫に対する防虫、忌避、殺虫効果や、消臭、抗菌、除菌、芳香効果、植物育成促進効果等を有する薬剤を好適に揮散可能な薬剤揮散具であって、上記薬剤の有効期間等を視認しやくすることができる薬剤揮散具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、鋭意研究した結果、以下の構成を有する新規な薬剤収容具等を見出し、本発明を完成させた。
【0010】
すなわち、本発明は以下の薬剤揮散具を提供する。
【0011】
[1]
薬剤と、
前記薬剤に接し、前記薬剤の揮散により視認可能となる標識部を有する標識体1と、
前記薬剤及び前記標識体1を収容する単層又は多層の本体容器と、
前記本体容器の周縁に着止されて前記薬剤及び前記標識体1を封じ、前記薬剤を透過する揮散フィルムを備える、薬剤揮散具。
【0012】
[2]
前記標識体1は、シート状、板状、柱状、棒状、蛇腹状、プリーツ状、又は、ボール紙状である、[1]に記載の薬剤揮散具。
【0013】
[3]
前記標識部は、前記標識体1の少なくとも1つの面に形成されている、[1]又は[2]に記載の薬剤揮散具。
【0014】
[4]
前記標識体1は、薬剤揮散層を含む、又は、薬剤揮散層のみからなる、[1]~[3]のいずれか1に記載の薬剤揮散具。
【0015】
[5]
前記本体容器は、前記標識体1に近い内側層と前記内側層の外側に外側層を有し、
前記内側層は、ポリエチレン、及び、ポリプロピレンからなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂により形成された層であり、
前記外側層は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、脂環式オレフィン共重合体、及び、エチレン・ビニル共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂により形成された層である、[1]~[4]のいずれか1に記載の薬剤揮散具。
【0016】
[6]
前記揮散フィルムは、エチレン、及び、ポリプロピレンからなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂により形成されたフィルムである、[1]~[5]のいずれか1に記載の薬剤揮散具。
【0017】
[7]
前記本体容器又は前記揮散フィルムの少なくとも一方において、600nmの光の透過率が10%以上であり、800nmの光の透過率が30%以上である、[1]~[6]のいずれか1に記載の薬剤揮散具。
【0018】
[8]
前記本体容器は、薬剤格納部を備える、[1]~[7]のいずれか1に記載の薬剤揮散具。
【0019】
[9]
前記内側層上に1つ又は複数個の突起部を備える、[1]~[8]のいずれか1に記載の薬剤揮散具。
【0020】
[10]
前記薬剤は、液状、又は、ジェル状である、[1]~[9]のいずれか1に記載の薬剤揮散具。
【発明の効果】
【0021】
本件発明によれば、上記各構成を有することにより、例えば、蚊、蠅、虻等の害虫に対する防除、忌避、殺虫効果や、消臭、抗菌、除菌、芳香効果、植物育成促進効果等を有する薬剤を好適に揮散可能であって、上記薬剤の有効期間を視認しやくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の薬剤揮散具の実施形態例における正面図である。
図2】本発明の薬剤揮散具の実施形態例におけるA-A線断面図である。
図3】本発明の薬剤揮散具の実施形態例における正面図である。
図4】本発明の薬剤揮散具の実施形態例におけるA-A線断面図である。
図5】本発明の薬剤揮散具の実施形態例における上面図である。
図6】本発明の薬剤揮散具の実施形態例における上面図である。
図7】本発明の薬剤揮散具の実施形態例における上面図である。
図8】本発明の薬剤揮散具の実施形態例におけるA-A線断面図である。
図9】本発明の薬剤揮散具の実施形態例におけるA-A線断面図である。
図10】本発明の薬剤揮散具の実施形態例におけるA-A線断面図である。
図11】本発明の薬剤揮散具の実施形態例における上面図である。
図12】本発明の薬剤揮散具の実施形態例におけるA-A線断面図である。
図13】本発明の薬剤揮散具の実施形態例における上面図である。
図14】本発明の薬剤揮散具の実施形態例におけるA-A線断面図である。
図15】本発明の薬剤揮散具の実施形態例における正面図である。
図16】本発明の薬剤揮散具の実施形態例におけるA-A線断面図である。
図17】本発明の薬剤揮散具の実施形態例における正面図である。
図18】本発明の薬剤揮散具の実施形態例におけるA-A線断面図である。
図19】本発明の薬剤揮散具の実施形態例における正面図である。
図20】本発明の薬剤揮散具の実施形態例におけるA-A線断面図である。
図21】本発明の薬剤揮散具の実施形態例における正面図である。
図22】本発明の薬剤揮散具の実施形態例におけるA-A線断面図である。
図23】本発明の薬剤揮散具の実施形態例における上面図である。
図24】本発明の薬剤揮散具の実施形態例におけるA-A線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明するが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。
【0024】
本明細書において、含有量の単位「w/v%」は、「g/100ml」と同義である。
【0025】
〔薬剤揮散具〕
本発明の薬剤揮散具は、
薬剤と、
前記薬剤に接し、前記薬剤の揮散により視認可能となる標識部を有する標識体1と、
前記薬剤及び前記標識体1を収容する単層又は多層の本体容器と、
前記本体容器の周縁に着止されて前記薬剤及び前記標識体1を封じ、前記薬剤を透過する揮散フィルムを備える。
【0026】
以下、本発明の薬剤揮散具に関する実施形態について詳しく説明する。
【0027】
本発明の薬剤揮散具における鉛直方向は図1~4、8~10、12、及び、14~18における上下方向であり、図5~7、11、及び、13における紙面上下方向である。また、本発明の薬剤揮散具における幅方向は、図1、3、5~15、17における左右方向である。また、本発明の薬剤揮散具における厚み方向は、図2、4、16、及び、18における左右方向である。なお、説明中における範囲を示す表記「~」のある場合は、上限と下限を含有するものである。
【0028】
(薬剤)
本発明の薬剤は、防虫、殺虫、芳香、消臭、除菌、殺菌、植物育成促進剤等のための有効成分が含有することができ、さらに賦形剤、溶剤、増粘剤、酸化防止剤、色素等を適宜含有することができる。
【0029】
(有効成分)
本発明の薬剤揮散具は、上記有効成分が、各図における揮散フィルム3を通じて外部に飛散や拡散されることにより、蚊、蠅、虻等の神経に作用して害虫を死滅や忌避させたり、本発明の薬剤揮散具の周囲にいる人たちの心を落ち着かせリラックスさせることが可能となる。また、本発明の薬剤揮散具は、本発明の薬剤揮散具の周囲を消臭、除菌、殺菌したり、本発明の薬剤揮散具の周囲の植物の育成促進等の効用をもたらすことが可能となる。
【0030】
上記有効成分としては、例えば、新規または公知の、害虫忌避成分、芳香成分、消臭成分、除菌成分、殺菌成分、植物育成促進剤成分等をあげることができる。これらは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。また、ある成分が複数の作用を有していてもよい。
【0031】
本発明の害虫忌避成分は、特に限定はされない。本明細書で「害虫忌避成分」とは、例えば、害虫避けの他、殺虫可能な成分も含む。特に好ましい害虫忌避成分としては、ピレスロイド系化合物及び/又は精油からなる群より選択される少なくとも1種以上の有効成分が含まれる。
【0032】
上記ピレスロイド系化合物としては、天然ピレスロイドとして、例えば、ピレトリンI<(1R,3R)-2,2-ジメチル-3-(2-メチル-1-プロペニル)シクロプロパンカルボン酸(1S)-2-メチル-4-オキソ-3-(2Z)-2,4-ペンタジエニル-2-シクロペンテン-1-イルエステル>、ピレトリンII<(1R,3R)-3-[(1E)-3-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-1-プロペニル]-2,2-ジメチルシクロプロパンカルボン酸(1S)-2-メチル-4-オキソ-3-(2Z)-2,4-ペンタジエニル-2-シクロペンテン-1-イルエステル>、シネリンI<(1R,3R)-2,2-ジメチル-3-(2-メチル-1-プロペニル)シクロプロパンカルボン酸(1S)-3-(2Z)-(2-ブテニル)-2-メチル-4-オキソ-2-シクロペンテン-1-イルエステル>、シネリンII<(1R,3R)-3-[(1E)-3-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-1-プロペニル]-2,2-ジメチルシクロプロパンカルボン酸(1S)-3-(2Z)-(2-ブテニル)-2-メチル-4-オキソ-2-シクロペンテン-1-イルエステル>、ジャスモリンI<(1R,3R)-2,2-ジメチル-3-(2-メチル-1-プロペニル)シクロプロパンカルボン酸 (1S)-2-メチル-4-オキソ-3-(2Z)-2-ペンテニル-2-シクロペンテン-1-イルエステル>、ジャスモリンII<(1R,3R)-3-[(1E)-3-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-1-プロペニル]-2,2-ジメチルシクロプロパンカルボン酸 (1S)-2-メチル-4-オキソ-3-(2Z)-2-ペンテニル-2-シクロペンテン-1-イルエステル>、合成ピレスロイドとして、アレスリンI<2,2-ジメチル-3-(2-メチル-1-プロペニル)シクロプロパンカルボン酸2-メチル-4-オキソ-3-(2-プロペニル)-2-シクロペンテン-1-イルエステル>、アレスリンII<3-(3-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-1-プロペニル)-2,2-ジメチルシクロプロパンカルボン酸2-メチル-4-オキソ-3-(2-プロペニル)-2-シクロペンテン-1-イルエステル>、フタルスリン(別名;D-テトラメトリン)<(1,3-ジオキソ-4,5,6,7-テトラヒドロイソインドリン-2-イル)メチル=2,2-ジメチル-3-(2-メチルプロパ-1-エン-1-イル)シクロプロパン-1-カルボキシラート>、レスメトリン<(5-ベンジル-3-フリル)メチル=2,2-ジメチル-3-(2-メチルプロパ-1-エン-1-イル)シクロプロパンカルボキシラート>、フェノトリン<3-フェノキシベンジル=2-ジメチル-3-(メチルプロペニル)シクロプロパンカルボキシラート>、ペルメトリン<3-フェノキシベンジル=3-(2,2-ジクロロビニル)-2,2-ジメチルシクロプロパンカルボキシラート>、シフェノトリン<シアノ(3-フェノキシフェニル)メチル=2,2-ジメチル-3-(2-メチルプロパ-1-エン-1-イル)シクロプロパンカルボキシラート>、エトフェンプロックス<4-(4-エトキシフェニル)-4-メチル-1-(3-フェノキシフェニル)-2-オキサペンタン>、メトフルトリン<2,2-ジメチル-3-(プロパ-1-エン-1-イル)シクロプロパンカルボン酸=2,3,5,6-テトラフルオロ-4-(メトキシメチル)ベンジル>、トランスフルトリン<(1R,3S)-3-[(E)-2,2-ジクロロビニル]-2,2-ジメチルシクロプロパンカルボン酸=2,3,5,6-テトラフルオロベンジル>、シフルトリン<シアノ(4-フルオロ-3-フェノキシフェニル)メチル=3-(2,2-ジクロロビニル)-2,2-ジメチルシクロプロパン-1-カルボキシラート>、エンペントリン<4-メチルヘプタ-4(E)-エン-1-イン-3-オール>、プロフルトリン<(1R,3R)-2,2-ジメチル-3-[(Z)-1-プロペニル]シクロプロパンカルボン酸2,3,5,6-テトラフルオロ-4-メチルベンジル>等をあげることができる。また、上記のうち、ペルメトリン、フェノトリン、アレスリン、フタルスリン、レストメトリン、メトフルトリン、トランスフルトリン、エンペントリン、プロフルトリンがより好ましく、さらに、メトフルトリン、トランスフルトリン、エンペントリン、プロフルトリンが最も好ましい。上記ピレスロイド系化合物を防虫のために使用することができる。これらは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0033】
本発明における精油としては、限定はされないが、天然精油成分が好ましい。天然精油成分は、例えば、植物の枝葉、根茎、木皮、果実、花、つぼみ、樹脂等から得られる揮発性の油状物であり、水蒸気蒸留法、圧搾法、抽出法等で植物の各箇所より分離し、精製して得られる化合物である。
【0034】
上記精油としては、例えば、グレープフルーツ、ゼラニウム、ローズマリー、アニス、アルモワーズ、イランイラン、オレンジ、カナンガ、カモミール、カルダモン、カユプテ、クラリセージ、コリアンダー、サイプレス、サンダルウッド、シダーウッド、シトロネラ、ジュニパーベリー、ジンジャー、スペアミント、セージ、ティートリー、ナツメグ、ネロリ、パインニードル、バジル、パチョリー、パルマローザ、フェンネル、ブラックペッパー、ペチグレン、ベチバー、ペパーミント,ベルガモット、マージョラム、マンダリン、レモンユーカリ、ユーカリプタス、コパイバ、ライム、ラベンダー、レモン、レモングラス、ローズウッド、月桃葉、桂皮、薄荷等の植物より抽出されたものが好ましい。上記精油を防虫及び芳香のために使用することができる。これらは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0035】
上記植物から得られる精油には、以下のように揮発性を有する種々の化合物である精油成分が含有されており、精油成分を薬剤の有効成分として使用することもできる。グレープフルーツには、d-リモネン、ミルセン、α-ピネン等が含有されている。ゼラニウムには、シトロネロール、ゲラニオール、リナロール等が含有されている。ローズマリーには、α-ピネン、カンファー、1,8-シネオール等が含有されている。アニスには、(E)-アネトール、リモネン、アニスアルデヒド等が含有されている。アルモアーズには、1,8-シネオール、ツジョン、ボルネオール、カンファー、ピネン、アルテミシニン(セスキテルペン・ラクトン)リナロール、ネロール等が含有されている。イランイランには、リナロール、β-カリオレフィン、ゲルマクレンD等が含有されている。オレンジには、リモネン、ミルセン、β-ビサボレン等が含有されている。カナンガには、カリオフィレン、酢酸ゲラニル、テルピネオール等が含有されている。カモミールには、ファルネセン、カマズレン、α-ビサボロールオキサイドB等が含有されている。カルダモンには、1,8-シネオール、α-テルピニルアセテート、リモネン等が含有されている。カユプテには、1,8-シネオール、α-テルピネオール、パラ-シメン等が含有されている。クラリセージには、酢酸リナリル、リナロール、ゲルマクレンD等が含有されている。クローブには、オイゲノール、β-カリオフィレン、オイゲニルアセテート等が含有されている。コリアンダーには、d-リナロール、カンファー、α―ピネン等が含有されている。サイプレスには、α―ピネン、δ-3-カレン等が含有されている。サンダルウッドには、シス-α-サンタロール、シス-β-サンタロール、epi-β-サンタロール等が含有されている。シダーウッドには、ツヨプセン、α-セドレン、セドロール等が含有されている。シトロネラには、ゲラニオール、リモネン、シトロネロール、カンフェン、シトロネラール、酢酸ゲラニル、α-ピネン、α-テルピネオール等が含有されている。ジュニパーベリーには、α-ピネン、ミルセン、β-ファルネセン等が含有されている。ジンジャーには、ar-クルクメン、α-ジンジベレン、β-セスキフェランドレン等が含有されている。スペアミントには、(-)-カルボン、ジヒドロカルボン、1,8-シネオール等が含有されている。セージには、α-ツヨン、β-ツヨン、カンファー等が含有されている。ティートリーには、テルピネン-4-オール、γ-テルピネン、α-テルピネン等が含有されている。ナツメグには、α-ピネン、サビネン、β-ピネン等が含有されている。ネロリには、リナロール、リモネン、βピネン等が含有されている。パインニードルには、α-ピネン、β-ピネン、ミルセン等が含有されている。バジルには、リナロール、メチルチャビコール、β-カリオフィレン等が含有されている。パチョリーには、パチュリアルコール、α-パチュレン、β-カリオフィレン等が含有されている。パルマローザには、ゲラニオール、酢酸ゲラニル、リナロール等が含有されている。フェンネルには、(E)-アネトール、リモネン、メチルチャビコール等が含有されている。ブラックペッパーには、β-3-カリオフィレン、δ-3-カレン、リモネン等が含有されている。ペチグレンには、リナリルアセテート、リナロール、α―テルピネオール等が含有されている。ベチバーには、ベチベロール、ベチベン、α-ベチボール等が含有されている。ベルガモットには、リモネン、リナリルアセテート、リナロール等が含有されている。マージョラムには、テルピネン-4-オール、シス-サビネンヒドレート、パラ-シメン等が含有されている。マンダリンには、リモネン、γ-テルピネン、β-ピネン等が含有されている。レモンユーカリには、シトロネラール、シトロネロール、シトラール等が含有されている。ユーカリプタスには、1,8-シネオール、α-ピネン、リモネン、アロマデンドレン、p-サイメン、t-ピノカルベオール、グロブロール等が含有されている。コパイバには、β-カリオレフィン、α-フュムレン、α-コパエン、t-α-ベルガモッテン、ゲルマクレンD、カジネン、α-ビサボレン、γ-ムロレン、β-エレメン、σ-エレメン等が含有されている。ライムには、リモネン、γ-テルピネン、β-ピネン等が含有されている。ラベンダーには、酢酸リナリル、リナロール、(Z)-β-オシメン等が含有されている。レモンには、リモネン、β-ピネン、γ-テルピネン等が含有されている。レモングラスには、ゲラニアール、シトラール、エレモール等が含有されている。ローズウッドには、リナロール、α-テルピネオール、シスーリナロールオキサイド等が含有されている。ペパーミントには、l-メントール、l-メントン、メントフラン等が含有されている。桂皮には、シンナムアルデヒド、t-2-メトキシシンナムアルデヒド、クマリン等含有されている。月桃葉には、1,8-シネオール、テルピネン-4-オール、p―サイメン等が含有されている。薄荷には、l-メントール、l-メントン、メントフラン等が含有されている。上記精油成分を防虫及び芳香のために使用することができる。これらは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0036】
また、殺虫可能な成分としては、例えば、常温揮散性ピレスロイド系のエムペントリン、プロフルトリン、トランスフルトリン、メトフルトリン等があげられる。これらは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0037】
本発明における害虫としては、限定はされないが、主に、飛翔害虫があげられる。飛翔害虫としては、例えば、ユスリカ、チョウバエ、ショウジョウバエ等の不快害虫や蚊、虻、ブユ等の衛生害虫、イガ,コイガ等衣類害虫があげられるがこれに限定されない。
【0038】
本発明の芳香成分は、特に限定はされない。本明細書で「芳香成分」とは、新規または公知の、天然又は人工の芳香成分を適宜用いることができる。上記芳香成分は、例えば、香料(香料成分)、精油(精油成分)等をあげることができる。これらは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0039】
上記香料としては、ラベンダー油、じゃ香、竜延香、アビエス油、シトロネラ油、ユーカリ油、フェンネル油、ガーリック油、ジンジャー油、グレープフルーツ油、レモン油、レモングラス油、ナツメッグ油、ハッカ油、オレンジ油、テレピン油およびセイジ油などの精油類、ピネン、リモネン、リナロール、ゲラニオール、シトロネラール、ボルネオール、ベンジルアルコール、アニスアルコール、アネトール、オイゲノール、アルデヒド、シトラール、シトロネラール、ワニリン、カルボン、ケトン、メントン、アセトフェノン、クマリン、シネオール、酢酸エチル、酢酸オクチル、酢酸リナリル、酢酸ブチルシクロヘキシル、酢酸ブチルシクロヘプチル、イソ酪酸イソプロピル、カプロン酸アリル、安息香酸エチル、桂皮酸メチル及びサリチル酸メチル等をあげることができる。これらは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0040】
上記精油としては、例えば、上述の害虫忌避成分の欄にあげた精油の他、新規ないし公知の、天然又は人工の精油等をあげることができる。これらは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0041】
本発明の消臭成分は、特に限定はされない。本明細書で「消臭成分」とは、消臭機能を有する成分をいい、例えば、臭い成分を吸着、分解等をする成分を含む。上記消臭成分として、例えば、イネ科、ツバキ科、イチョウ科、モクセイ科、クワ科、ミカン科、キントラノオ科、カキノキ科の中から選ばれる植物抽出物等をあげることができる。さらには、「緑の香り」と呼ばれる青葉アルコールや青葉アルデヒド等を添加してリラックス効果を付与することもできる。これらは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0042】
本発明の除菌成分は、特に限定はされない。本明細書で「除菌成分・殺菌成分」とは、微生物、カビ、細菌、ウイルス等を抑制,除去又は死滅させる成分をいい、例えば、揮散して空気中及び/又は付着して抗菌、除菌、殺菌、分解、不活性化等をする成分を含む。上記除菌成分・殺菌成分として、例えば、イソプロピルメチルフェノール、パラオキシ安息香酸エステル(エチルエステル、プロピルエステル、ブチルエステル)、IPBC、チオベンダゾール、トリクロサン、p-クロロメタキシレノール(PCMX)、エタノール、イソプロパノール、ヒノキチオール、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-(4-チアゾリル)ベンゾイミダゾール、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、トリホリン、p-クロロメタキシレノール、3-メチル-4-イソプロピルフェノール、オルト-フェニルフェノール、グルコン酸クロルヘキシジン、ポリリジンやキトサン、テトラヒドロリナロール、ジアルキルジメチルアンモニウムクロライド等をあげることができる。これらは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0043】
本発明の植物育成促進剤成分は、特に限定はされない。本明細書で「植物育成促進剤成分」とは、本発明の薬剤揮散具の周囲に揮散して、当該薬剤揮散具の周囲の植物に付着及び/又は吸収され、育成促進等に役立つ成分をいう。上記植物育成促進成分として、例えば、ヘキサナール、2-ヘキセナール、2-ブテナール、2-ヒドロキシアクロレイン等の飽和又は不飽和の脂肪族アルデヒド、エチルビニルケトン、3-ペンテン-2-オン等の飽和又は不飽和の脂肪族ケトンが好ましい。また、上記の飽和又は不飽和の脂肪族アルデヒドや脂肪族ケトンであれば、農業現場において植物に対する高温障害抑制、蒸散促進、害虫忌避等のために使用することもできる。これらは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0044】
上記有効成分は、使用目的や用途に応じて、含有量を適宜調整することができる。上記有効成分は、薬剤全量に対して、例えば、0.1~100w/v%含有することができ、0.5~90w/v%であってもよく、1~80w/v%であってもよく、3~70w/v%であってもよく、5~60w/v%であってもよく、10~50w/v%であってもよく、15~40w/v%であってもよく、20~30w/v%であってもよい。例えば、害虫に対して駆除効力を有効に発現するために、薬剤全量に対して0.5~60w/v%含有されることが好ましく、1~50w/v%含有されることがさらに好ましく、3~40w/v%含有されることがより好ましい。また、例えば、芳香効果等を有効に発現するためには、薬剤全量に対して、0.1~100w/v%含有されることが好ましく、1~100w/v%含有されることがさらに好ましく、3~100w/v%含有されることがより好ましい。
【0045】
(薬剤中の溶媒等)
本発明の薬剤は、例えば、溶媒や増粘剤等を含んで、液状、又は、ジェル状であって溶媒や増粘剤は、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0046】
本発明における溶媒は、有効成分を均一に溶解できる溶媒(例えば、水や有機溶媒)であれば特に限定はされない。これらは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0047】
上記有機溶媒は、例えば、いずれも、20~40℃程度の室温において液状の化合物であり、かつ引火点が好ましくは、65℃~230℃、より好ましくは、70~220℃である。これらは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0048】
より具体的には、有機溶媒としては、液状イソパラフィン系炭化水素、アルコール系、パラフィン系炭化水素、及びグリコールエーテル系,クエン酸エステル系溶媒からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0049】
液状イソパラフィン系炭化水素は、好ましくは、分岐鎖を有する炭素数10~24の飽和炭化水素であり、より好ましくは、分岐鎖を有する炭素数11~16の飽和炭化水素、さらに好ましくは、分岐鎖を有する炭素数12~15の飽和炭化水素である。例えば、「アイソパーL」(エクソンモービル社製)、「アイソパーM」(エクソンモービル社製)等の市販品を使用してもよい。
【0050】
アルコール系溶媒としては、例えば、メタノ-ル、エタノール、及び/又はイソプロピルアルコール等のアルコール類があげられる。これらは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0051】
パラフィン系炭化水素溶媒は、好ましくは、炭素数10~24のノルマルパラフィン系炭化水素であり、より好ましくは、炭素数10~16のノルマルパラフィン系炭化水素、さらに好ましくは、炭素数12~14のノルマルパラフィン系炭化水素ことをいい飽和炭化水素である。
【0052】
グリコールエーテル系溶媒としては、例えば、ジエチレングリコールメチルエーテル、トリエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、トリエチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールn-プロピルエーテル、エチレングリコールn-ブチルエーテル、ジエチレングリコールn-ブチルエーテル、トリエチレングリコールn-ブチルエーテル、エチレングリコールヘキシルエーテル、ジエチレングリコールヘキシルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールターシャリーブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、3-メトキシ-3メチル-1-ブタノール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールn-プロピルエーテル、ジプロピレングリコールn-ブチルエーテル、トリプロピレングリコールn-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、又はプロピレングリコールフェニルエーテル等があげられる。これらは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0053】
クエン酸エステル系溶媒としては、例えば、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル等をあげることができる。これらは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0054】
本発明の薬剤における増粘剤として、例えば、水溶性高分子として寒天、カラギーナン、ローカストビーンガム、グアーガム、アラビアガム等の天然成分や、カルボキシビニルポリマー等の合成成分等があげられる。これらは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0055】
有機溶媒を用いる場合、本発明の効果をよりよく発揮する為に、例えば、薬剤全量に対して30~99.5w/v%含有されることが好ましく、40~98w/v%含有されることがさらに好ましく、50~95w/v%含有されることがより好ましい。
【0056】
本発明において、有効成分と有機溶媒の割合は特に限定はされないが、使用目的や用途に応じて、上記有効成分に併せて適宜設定することが可能である。例えば、有効成分1重量部に対して、0.5~150重量部、1~130重量部、2~120重量部、3~110重量部、5~100重量部、8~90重量部、10~80重量部、12~70重量部、15~60重量部、20~50重量部、30~40重量部等であってもよい。また、有機溶剤を使用しない場合も可能である。また、有機溶剤に替えて水を用いる場合、または、有機溶媒と水の混合溶液の場合も、同様に適宜用いることが可能である。
【0057】
(その他成分)
本発明における薬剤には、上記有効成分及び上記溶媒等以外にも防除効果、芳香効果等の個々の使用目的を妨げない範囲において、他の成分を適宜混合することができる。
【0058】
本発明の薬剤に追加することができる他の成分として、染料、顔料等の着色剤;使用者の臭覚で感知することができる香料;害虫忌避成分の酸化を防止するためにtーブチルメトキシジベンゾイルメタン、4-tertープチルー4’-メトキシジベンゾイルメタン、メトキシケィヒ酸エチルヘキシル、ジブチルヒドロキシトルエン等の酸化防止剤;害虫忌避成分の紫外線による分解等を防止するためにトリアジン系(例えば、Phenol,2-(4,6-Diphenyl-1,3,5-triazin-2-y1)-5-hexyloxy)、ベンゾフェノン系(例えば、Methanone[2-hydroxy-4-(octyloxy)phenyl]phenyl)、ベンゾエート系、ベンゾトリアゾール系(例えば、Phenol、2-(2H-benzotriazol-2-yl)-4-methyl)等の紫外線吸収剤等、薬剤に着色するために青、赤、緑等の染料等の色素等をあげることができる。これらは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0059】
(薬剤揮散具)
本発明の薬剤揮散具は、
薬剤と、
前記薬剤に接し、前記薬剤の揮散により視認可能となる標識部を有する標識体1と、
前記薬剤及び前記標識体1を収容する単層又は多層の本体容器と、
前記本体容器の周縁に着止されて前記薬剤及び前記標識体1を封じ、前記薬剤を透過する揮散フィルムを備える。
【0060】
具体的には、例えば、図1、3、15,17の実施形態例に例示するように、標識体1は、上記薬剤4に接し、上記薬剤4の揮散により視認可能となる標識部を有する部材であり、本発明の薬剤揮散具の容器を構成する本体容器2と揮散フィルム3によって収容されている。
【0061】
標識体1は、前記薬剤に接し、前記薬剤の揮散により視認可能となる標識部を有する部材である。
【0062】
標識体1は、例えば、薬剤4を吸収、膨潤、濡れ等を生じる部材であってもよい。また、標識体1は、例えば、内部に隙間がある網目構造を有しており、その隙間に前記薬剤4を表面張力等により保持しうる部材である。上記標識体1における網目は、規則性を有していても不規則であってもよい。
【0063】
標識体1としては、具体的には、内部に微細な空間を有する紙や不織布等が好ましい。標識体1として、不織布であるときには、その材質において、ポリオレフィン繊維、アラミド繊維、ポリエステル繊維、ビニロン繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維等から選ばれる1種又は2種以上であることが好ましい。
【0064】
本発明において、例えば、図1、3、15,17の実施形態例に示すように、標識体1の外形は鉛直方向に長い矩形状であるが、他の実施形態において、後述する標識部を有する限り、標識体1の外形を幅方向に長い矩形状としたり、円形状、楕円形状、三角形や正方形や五角形以上の多角形状、ハート型形状、星型形状等としたりすることができる。また、前記標識体1は、例えば、鉛直方向に、シート状、板状、柱状、棒状、蛇腹状、プリーツ状、又は、ボール紙状等としたりすることができる。また、前記標識体1は、丸形や星形、点状等の孔や切れ込み等があってもよい。
【0065】
本発明において、例えば、図5~7、11、13の実施形態例に示すように、標識体1の外形は紙面水平方向に、各々本体容器2の形状にそって、四角形、円形、楕円形であるが、他の実施形態において、後述する標識部を有する限り、標識体1の外形を紙面水平方向に矩形状としたり、円形状、楕円形状、三角形や正方形や五角形以上の多角形状、ハート型形状、星型形状等としたりすることができる。また、前記標識体1は、例えば、水平方向に、シート状、板状、柱状、棒状、蛇腹状、プリーツ状、又は、ボール紙状等としたりすることができる。また、前記標識体1は、丸形や星形、点状等の孔や切れ込み等があってもよい。
【0066】
また、本発明において、標識体1は薬剤4に接するが、例えば、図9の実施形態例のように、使用開始前や使用初期、又は使用終了間際まで、標識体1は薬剤4中に一部又は全部が浮いていてもよい。また、例えば、図10の実施形態例のように、使用開始前や使用初期、又は使用終了間際まで、標識体1は薬剤4中に一部又は全部が沈んでいてもよい。また、他の実施形態において、薬剤4を充填した容器を標識体1の下部に接触させて当該薬剤4を毛細管現象により吸い上げることにより標識体1に薬剤4を吸収、膨潤、濡れ等させてもよい。
【0067】
また、標識体1は、厚みは、例えば、0.1mm~3cmとすることができ、1mm~1cm等であってもよい。
【0068】
また、標識体1は、当該単位当たりの質量(目付)は、例えば、30g/m~250g/mとすることができ、40g/m~200g/m、30g/m~180g/m等であってもよい。上記単位当たりの質量(目付)が30g/m未満であると、標識部(例えば、インジケーター)としての表示機能を示す程度の紙面の強度が無くなってしまう場合がある。また、250g/mを超えると、標識体1内部がまだ薬剤が相応に残存しているのに表面の標識部11は薬剤がほぼなくなった状態となる等、標識部の表示が速やか又は正確に反映されない場合が生じる。
【0069】
また、標識体1は、表面積が大きい方が揮散能力を大きくすることができる。本発明の上記使用用途においては、例えば、1cm~1000cmとすることができ、10cm~100cm等であってもよい。
【0070】
また、標識体1は、薬剤揮散層を含む部材、又は、薬剤揮散層のみからなる部材であってもよい。なお、本明細書において、例えば、「薬剤揮散層」とは、薬剤4を気化、蒸散させることに役立ちそうであればよい。薬剤揮散層は、その前提として、薬剤4を吸収、膨潤、含浸、濡れ等をする作用を有していてもよい。
【0071】
標識体1は、含浸する薬剤4の量によってその厚みを種々の変更することできる。このため、ある実施態様では、標識体1は、使用する薬剤4の量が少ないときには、例えば、比較的薄い紙等のシート状とすることができ、また、ある実施態様では、使用する薬剤4の量が多いときは、例えば、前記シート状より厚みのある板状とすることができる。
【0072】
前記標識部は、前記標識体1の少なくとも1つの面に形成されている。
【0073】
標識部11は、標識体1において、前記薬剤4の揮散により視認可能となる部材である。標識部11により、使用者は、標識体1に含浸された前記薬剤4の95重量%以上又は99重量%以上等含浸された前記薬剤4のほとんど全て揮散したことを視認することができる。
【0074】
標識部11は、標識体1の外表面に接着剤、嵌合、溶着等の手法により固設することができる。標識部11は、具体的には、二酸化ケイ素(屈折率1.45)、ゼオライト(屈折率1.48)、カオリン(屈折率1.56)、タルク(屈折率1.57)、炭酸カルシウム(屈折率1.58)、ポリスチレン(屈折率1.6)、ポリエチレン(屈折率1.53)、メタクリル酸メチル樹脂(屈折率1.49)等の白色又は透明等の微粒子によって構成される。これらは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0075】
本実施形態において、標識部11は、図1に示す点線内に、例えば、「おとりかえください」、「おわり」、「おしまい」等日本語及びその内容に相当する外国語の文字、「×」等の図形や記号等前記薬剤4がおおよそ全て飛散したことにより効果が乏しいことを示す標識を用いることができる。また、これらの文字、図形、記号を複数組み合わせて構成されてもよい。また、本実施形態において、標識部11が、標識体1における本体容器2側の面に設けられているが、他の実施形態において、標識体1における揮散フィルム3側の面や、標識体1における本体容器2側の面と揮散フィルム3側の面の両方に設けることもできる。
【0076】
また、他の実施形態として、標識部11は、例えば、所定の容量減少後に、意匠的な表示や情報等が表示される構成としてもよい。
【0077】
また、一実施形態として、例えば、標識体1に前記薬剤4が十分に含浸されているときには、前記薬剤4の屈折率が1.4~1.6と標識部11を構成する微粒子の屈折率と同様の値であることから、標識部11を構成する微粒子が前記薬剤4に接触して濡れることにより、前記薬剤4と標識部11が同化して、使用者は標識部11を視認することが難しい。一方、前記薬剤4の95重量%以上又は99重量%以上等含浸された前記薬剤4のほとんど全てが揮散されると、標識部11を構成する微粒子が前記薬剤4に接触せず周囲の空気(屈折率1.0)と接触することにより、標識部11を構成する微粒子と空気の屈折率の差が大きくなるため、使用者は標識部11を視認可能となる。また、標識部11を視認し易くなるように、標識部11の微粒子の色と、標識体1の色を異なるようにすることが好ましく、標識部11の微粒子が前記薬剤4に接触して濡れている場合は無色透明であり、前記薬剤4に接触しておらず濡れていない場合は白色であり、また、標識体1が青や赤、黄、緑、茶、黒色等であることがさらに好ましい。また、標識体1は、2色印刷されていてもよい。また、標識体1は、例えば、残量(又は残量の目安の)表示等の印刷がなされていてもよい。また、例えば、標識体1の色と、標識部11の溶媒揮発後の色とが、濃い色と薄い色のように、コントラストのある組み合わせであることが好ましい。
【0078】
本体容器2は、標識体1を収容する単層又は多層の部材である。本体容器2は、その周縁が揮散フィルム3に着止されることで、標識体1を封じて内包することができる。
【0079】
本体容器2において、例えば、厚みが200~1000μmであることが好ましく、そして、600nmの光の透過率が10%以上であり、800nmの光の透過率が30%以上であることが好ましく、600nmの光の透過率が20%以上であり、800nmの光の透過率が50%以上であることがより好ましい。本体容器2における厚みや特定波長における透過率がこの範囲であると、本体容器2を真空成型や押圧形成等の方法により成型するときに穴が開かずに所望の形状に成形しやすい等の成型性に優れ、そして、内包する標識体1に付された標識部11があらわれたときに標識部11を本体容器2側から視認しやすくなる。また、本体容器2の光の透過率について、紫外可視分光光度計を用いて入射光に対する透過光の比率として算出されることが好ましい。
【0080】
本体容器2は、単層又は多層構造である。本体容器2が多層構造を有している場合、
例えば、標識体1に近い内側層21がポリエチレン(以下、PEともいう)又はポリプロピレン(以下、PPともいう)から選ばれる少なくとも1種の樹脂から形成され、前記内側層の外側の外側層22にポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、脂環式オレフィン共重合体、エチレン・ビニル共重合体から選ばれる少なくとも1種の樹脂から形成される層を有している場合を好適な例としてあげることができる。なお、本体容器2が単層構造を有している場合、標識体1に近い表面を内側表面21、前記内側層の外側の表面を外側表面22という。内側層21がポリエチレンやポリプロピレンから形成されていることにより、同じ材料からなる揮散フィルム3との密着性がより良好となるので、本体容器2と揮散フィルム3の間から薬剤4が揮散することを防ぐことができる。内側層21の外側には、外側層22が設けられている。外側層22は、内包する標識体1の標識部11を視認しやすい透明性及び前記薬剤4の揮散の抑制することから、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETともいう)、ポリプロピレン、脂環式オレフィン共重合体(以下、COCという)、エチレン・ビニル共重合体(以下、EVOHともいう)等の樹脂から形成されていることが好ましい。図2における本体容器2は、内側層21と外側層22の二層を有しているが、他の実施形態において、内側層21が外側層22より相対的に内包される標識体1から近い位置関係である限りにおいて、内側層21と外側層22の間等に中間層等他の層を設けて三層以上とすることができる。このとき、中間層等他の層も、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、脂環式オレフィン共重合体、エチレン・ビニル共重合体等の樹脂から形成されていることが好ましい。
【0081】
本体容器2は、前記薬剤4のほとんどの揮散後に内包する標識体1の標識部11を(少なくとも、本体容器2側か揮散フィルム3側かいずれかの方から)視認することができる限りにおいて、着色されていてもよい。例えば、青、緑、赤等に着色されてもよい。ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、脂環式オレフィン共重合体、エチレン・ビニル共重合体等の樹脂の表面又は裏面に塗料が塗布されることにより着色したり、前記樹脂に予め染料や顔料が練り込まれて着色したりすることができる。
【0082】
揮散フィルム3は、本体容器2の周縁に着止されて標識体1を封じるとともに、前記薬剤4を透過し、例えば、ポリエチレン又はポリプロピレンから選ばれる少なくとも1種の樹脂から形成される部材である。
【0083】
前記薬剤4の揮散フィルム3の透過は、一実施形態では、例えば、前記薬剤4が液状のまま透過してもよい。また、他の実施形態では、前記薬剤4の揮散フィルム3の透過は、例えば、前記薬剤が上記容器内中で気化して、気体として透過してもよい。
【0084】
揮散フィルム3は、薬剤4を通すことができる。揮散フィルム3としては、例えば、ポリエチレンの中でも低密度ポリエチレンが好ましい。低密度ポリエチレンは、一般的なポリエチレンに比べて結晶化度が低いことから、密度が0.910~0.930であり、非結晶の部分から多くの前記薬剤4が通過して外部に飛散される。低密度ポリエチレンのうちでも、密度が0.910~0.925であり、分岐鎖をあまり有していない直鎖状低密度ポリエチレンであることがより好ましい。このような直鎖状低密度ポリエチレンを用いることで、内包される薬剤4の揮散量が使用時期によって大きく変わらないように調整することができる。揮散フィルム3として、ポリエチレン及びポリプロピレン混合又は多層化して使用することができる。
【0085】
揮散フィルム3の膜厚は、例えば、30~100μmであることが好ましく、さらに40~90μmであることがより好ましい。このような膜厚であれば、標識体1に含浸される薬剤4の揮散量が所定の期間にわたりおおよそ同程度とすることができる。
【0086】
また、揮散フィルム3において、600nmの光の透過率が10%以上であり、800nmの光の透過率が30%以上であることが好ましく、600nmの光の透過率が20%以上であり、800nmの光の透過率が50%以上であることがより好ましい。それら透過率がこの範囲であると、本発明の薬剤揮散具において、標識体1における標識部11が揮散フィルム3側に設けられているときにおいても使用者が標識部11を視認することができる。
【0087】
また、揮散フィルム3の酸素ガス透過度は、23℃の環境において1000~6000cc/(m・24hr・atm)であることが好ましく、1200~4000cc/(m・24hr・atm)であることが好ましい。ガス透過度がこの範囲であると、前記薬剤4の揮散量が所定の期間にわたりおおよそ同程度とすることができるとともに、害虫の防除効果や芳香効果、植物育成硬化等を、例えば、90日、100日、120日、150日、180日、200日、210日、240日、250日、270日、300日、1年(365日)等、長い期間持続しやすくなる。なお、ガス透過度は、JIS K 7126-2に記載された等圧法におけるガスクロ法により測定されることが好ましい。
【0088】
例えば、一実施形態として、ピレスロイド系化合物と溶剤を含有する薬剤4を含浸した標識体1を、所定の本体容器2及び揮散フィルム3に封入することにより、前記薬剤4と本体容器2や揮散フィルム3へ接触しにくくなるので、本体容器2や揮散フィルム3の膨潤を低減し薬剤4の有効期間を視認しやくすることができる。
【0089】
また、本発明の薬剤揮散具について、揮散フィルム3における標識体1及び本体容器2とは反対側の面に、ポリエチレンテレフタレート、アルミ蒸着されたポリエチレンテレフタレート等からなる保護フィルムが、揮散フィルム3の周縁等に融着や圧着、(例えば、接着剤等による)接着等により、全面又は部分的に着止されていることが好ましい。保護フィルムにより、使用者が実際に使用する前に薬剤4が揮散フィルム3から揮散することを防止することができる。なお、本発明の薬剤揮散具を使用するときには、保護フィルムを揮散フィルム3から剥がして使用する。
【0090】
例えば、一実施形態として、揮散フィルム3と上記表面保護フィルムを積層したもの(例えば、貼り合わせたもの)を、上記表面保護フィルムとは反対側を、本体容器2に貼り合わせて溶融等で着止して、薬剤揮散具を形成することができる。
【0091】
また、例えば、図1~14、19~22の実施形態例では、本体容器2と揮散フィルム3で包接された薬剤揮散具の内部が薬剤4で完全に充填されている態様ではなく、薬剤面41があり、その鉛直方向上方に気体層が存在している。一方、例えば、図15~18の実施形態例では、本体容器2と揮散フィルム3で包接された薬剤揮散具の内部が薬剤4で完全(ないしほほ完全)に充填されている態様である。いずれも、使用目的や用途に応じて、適宜選択することができる。
【0092】
また、一実施形態として、図3、4のように、前記本体容器2は、薬剤格納部5を備えていてもよい。本実施形態では、鉛直方向下方に薬剤格納部5を備えることで、より多くの薬剤4を格納することが可能となり、例えば、使用期間を長くすることができうる。また、薬剤格納部5を備えることで、意匠的に広範な形態をとり得るようにしうる。
【0093】
また、一実施形態として、図1~4、15~22のように、前記揮散フィルム3が鉛直方向と平行ないし略並行となるように静置して用いることができる。
【0094】
また、一実施形態として、図5~14、23~24のように、前記揮散フィルム3が上面(鉛直方向上側)となるように静置して用いることができる。
【0095】
また、一実施形態として、図11~14、19~24のように、前記内側層上に1つ又は複数個の突起部6を備えていてもよい。突起部6の形状は、円柱状、円錐状、角柱状、多角錘状等とすることができる。
【0096】
突起部6を設ける場合、図19~22のように実施態様では、例えば、前記揮散フィルム3が鉛直方向と平行ないし略並行となるように用いる場合(例えば、図19~22のような実施態様では)、薬剤4が減少後に突起部6により、本体容器2の内側層(内側表面)21に貼り付いて揮散効果が低減してしまうことを抑制しうる。また、突起部6は、前記薬剤4のほとんどの揮散後まで、標識体1が本体容器2の内側層(内側表面)21に貼り付いてしまわないように、高さや形状、配置パターン等が構成されることが好ましい。
【0097】
また、例えば、前記揮散フィルム3が上面(鉛直方向上側)となるように静置して用いる場合、突起部6は、本体容器2の内側層(内側表面)21の表面上に、1つ又は複数個備えていてもよく(例えば、図19~22のような実施態様)、また、本体容器2の内側層(内側表面)21の表面上周辺部の一部又は全周部に段差のように備えていてもよい(例えば、図23、24のような実施態様)。また、突起部6は、使用開始前や使用初期、又は使用終了間際まで、標識体1は薬剤4中に一部又は全部が浮いていてもよく、使用開始前や使用初期、又は使用終了間際まで、標識体1は薬剤4中に一部又は全部が沈んでいてもよく、薬剤4が減少後に突起部6により、本体容器2の内側層(内側表面)21に貼り付いて揮散効果が低減してしまうことを抑制しうる。また、突起部6は、前記薬剤4のほとんどの揮散後まで、薬剤4に標識体1が接しているように高さや形状、配置パターン等が構成されることが好ましい。
【実施例0098】
次に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0099】
〔実施例1〕
20℃の室温中において、容量が200mlのグリフィンビーカーに、ピレスロイド系化合物としてプロフルトリンを5g添加し、イソパラフィン系炭化水素を全体量が100mlとなるまで添加し、均一に溶解するまで攪拌し、合計100mlの薬剤を得た(プロフルトリンの濃度が5w/v%)。
【0100】
揮散面積56cmの長方形箱状の容器に、上記で得られた薬剤の液4mLを添加し、80mm×54mmの大きさの、パルプ製の目付80g/mの標識体を入れ、PETで全面溶着等されたPE40μmの揮散フィルムを、PEが容器側になるように容器に置き、シール機にて溶着し密閉し、試験体を作成した。
【0101】
〔実施例2~5〕
下記表1に記載の各成分等に変えたこと以外は、実施例1と同様に、それぞれの試験体を試作した。
【0102】
評価(標識部の視認性)
得られた各試験体を用いて、揮散フィルムのPETフィルムを剥離し、45℃の恒温槽に静置した。20日以上静置後、薬剤が揮散した際、試験体表面から垂直方向に50cm離れた位置から、フォントサイズ5pt以上の文字が視認・判別可能かについて、目視にて評価、判断した。
(評価基準)
・文字が明瞭に視認・判別することができた場合 ◎
・文字を視認・判別することができた場合 ○
・文字を視認・判別しにくかった場合 △
・文字を視認・判別できなかった場合 ×
【0103】
【表1】
【0104】
表1の結果によると、実施例1~5は、いずれも、使用初期は標識部の文字が見えていなかったが、薬剤が揮散した後に表示部の文字が明瞭に視認・判別できた。
【符号の説明】
【0105】
1・・・・標識体
11・・・標識部
2・・・・本体容器
21・・・内側層(内側表面)
22・・・外側層(外側表面)
3・・・・揮散フィルム
4・・・・薬剤
41・・・薬剤面
5・・・・薬剤格納部
6・・・・突起部
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