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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104991
(43)【公開日】2024-08-06
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
   E06B 3/58 20060101AFI20240730BHJP
   E06B 3/26 20060101ALN20240730BHJP
【FI】
E06B3/58 C
E06B3/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023009475
(22)【出願日】2023-01-25
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 志朗
【テーマコード(参考)】
2E014
2E016
【Fターム(参考)】
2E014AA01
2E014BA02
2E014BA08
2E014BB01
2E016AA01
2E016BA04
2E016CA01
2E016CB01
2E016CC01
2E016CC02
2E016CC03
2E016DA06
2E016DC02
(57)【要約】
【課題】障子のツヅミを容易に解消することのできる建具を提供すること。
【解決手段】建物躯体の開口部に取り付けられる枠体と、上框、下框及び左右の縦框を框組みすることによって構成される框体の内側に面材が納められ、枠体に取り付けられる障子と、障子の左右の縦框の少なくともいずれか一方に設けられる調整部品と、を備え、調整部品は、回転によって縦框から面材に向けて突出して前記面材を押圧する押圧部材を有し、押圧部材の突出量が調整されることによって、面材に対する縦框の見付け方向の位置を調整する、建具である。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物躯体の開口部に取り付けられる枠体と、
上框、下框及び左右の縦框を框組みすることによって構成される框体の内側に面材が納められ、前記枠体に取り付けられる障子と、
前記障子の前記左右の縦框の少なくともいずれか一方に設けられる調整部品と、を備え、
前記調整部品は、回転によって前記縦框から前記面材に向けて突出して前記面材を押圧する押圧部材を有し、前記押圧部材の突出量が調整されることによって、前記面材に対する前記縦框の見付け方向の位置を調整する、建具。
【請求項2】
前記押圧部材は、前記縦框に設けられる雌ねじに螺合するねじ部材である、請求項1に記載の建具。
【請求項3】
前記調整部品は、前記縦框に固定され、前記押圧部材を回転可能に嵌合する軸孔が設けられた軸受部材を有し、
前記軸受部材及び前記押圧部材のいずれか一方に、軸方向に沿う高さが異なる複数のカム面を有し、
前記軸受部材及び前記押圧部材のいずれか他方に、前記カム面に当接する突起部を有し、
前記押圧部材は、回転によって前記突起部が当接する前記カム面の位置が変更されることによって、前記縦框から前記面材に向けた突出量が調整される、請求項1に記載の建具。
【請求項4】
前記面材は、グレイジングチャネルを介して前記縦框の面材収容部内に納められ、
前記グレイジングチャネルは、前記面材の縦端面に配置される端面被覆部と、前記面材の室外側に配置される室外面被覆部と、前記面材の室内側に配置される室内面被覆部と、を一体に有し、
前記調整部品の前記押圧部材の先端は、前記グレイジングチャネルの前記端面被覆部を押圧し、前記端面被覆部と前記室外面被覆部との間及び前記端面被覆部と前記室内面被覆部との間のコーナー部を押圧しないように配置される、請求項1~3のいずれか1項に記載の建具。
【請求項5】
前記調整部品の前記押圧部材の先端と前記面材との間に配置されるスペーサ部材を有し、
前記スペーサ部材の一端は前記縦框に固定され、
前記スペーサ部材の他端は自由端であり、
前記スペーサ部材の前記自由端が、前記押圧部材の先端と前記面材との間に配置される、請求項1~3のいずれか1項に記載の建具。
【請求項6】
前記面材は、グレイジングチャネルを介して前記縦框の面材収容部内に納められ、
前記グレイジングチャネルは、前記面材の縦端面に配置される端面被覆部を有し、
前記グレイジングチャネルの前記端面被覆部は、前記調整部品の前記押圧部材を貫通させる貫通孔を有し、
前記押圧部材は、前記貫通孔を貫通して前記面材を押圧するように配置される、請求項1~3のいずれか1項に記載の建具。
【請求項7】
前記枠体の同一のガイドレール上にスライド移動可能に取り付けられる2枚の前記障子を有し、
前記調整部品が設けられる前記縦框は、2枚の前記障子の合掌部を構成する、請求項1~3のいずれか1項に記載の建具。
【請求項8】
前記調整部品は、前記縦框の上下方向の中央部に配置される、請求項1~3のいずれか1項に記載の建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、建具に関する。
【背景技術】
【0002】
枠体の内側に取り付けられる障子は、上框、下框及び左右の縦框を矩形に框組みした框体の内側に、ガラス等の面材を納めることによって構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平6-79987号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
障子の左右の縦框は、障子の組み立て時に、内側に納められる面材の側端部に対して押し込むように取り付けられる。縦框は、上下両端部において上框及び下框に固定される。その際、障子に「ツヅミ」と呼ばれる現象が発生することがある。ツヅミとは、障子の縦框の上下方向の中央部付近を頂点として、縦框が框体の内方に向けて湾曲することである。
【0005】
ツヅミによる縦框の湾曲は極めて微小であり、障子自体を目視しただけでは認識することが困難である。しかしながら、例えば、2枚の障子の縦框同士が突き合わされる合掌部を有する建具では、合掌部において縦框の湾曲が隙間として視認される場合がある。そのため、発明者は、障子のツヅミを容易に解消できるようにする、という課題を見出した。
【0006】
本開示は、障子のツヅミを容易に解消することのできる建具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の建具は、建物躯体の開口部に取り付けられる枠体と、上框、下框及び左右の縦框を框組みすることによって構成される框体の内側に面材が納められ、前記枠体に取り付けられる障子と、前記障子の前記左右の縦框の少なくともいずれか一方に設けられる調整部品と、を備え、前記調整部品は、回転によって前記縦框から前記面材に向けて突出して前記面材を押圧する押圧部材を有し、前記押圧部材の突出量が調整されることによって、前記面材に対する前記縦框の見付け方向の位置を調整する、建具に関する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態に係る建具の正面図である。
図2図1に示す建具の横断面図である。
図3図2に示す建具の左側を拡大して示す横断面図である。
図4図2に示す建具の中央を拡大して示す横断面図である。
図5図2に示す建具の右側を拡大して示す横断面図である。
図6】調整部品を有する縦框を拡大して示す横断面図である。
図7】調整部品によって縦框が調整される様子を説明する説明図である。
図8】他の実施形態に係る調整部品を有する縦框を拡大して示す横断面図である。
図9】他の実施形態に係る調整部品を有する縦框を拡大して示す横断面図である。
図10】他の実施形態に係る調整部品を有する縦框を拡大して示す横断面図である。
図11】他の実施形態に係る調整部品を有する縦框を拡大して示す横断面図である。
図12図11に示す調整部品を示す分解斜視図である。
図13図11に示す調整部品を示す分解斜視図である。
図14図11に示す縦框が調整部品によって調整された状態を示す横断面図である。
図15】他の実施形態に係る調整部品を示す分解斜視図である。
図16】他の実施形態に係る調整部品を示す分解斜視図である。
図17】他の実施形態に係るスペーサ部材を有する縦框を破断して示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1に示す建具1は、4枚の障子3,4,5,6を左右にスライド移動可能に取り付けた引き違いタイプの建具を示す。図1は、建具1を室内側X2から見た正面図である。
【0010】
本明細書において、見込み方向とは、建具1における室内外方向に沿う方向である。見付け方向とは、建具1における面材の面方向に沿う方向であり、見込み方向に対して直交する方向である。図面において、建具1の室外側を「室外側X1」とし、建具1の室内側を「室内側X2」とする。建具1を正面視したときの横方向を「左右」とする。
【0011】
建具1は、建物躯体100の開口部101の内周に取り付けられる枠体2と、枠体2の内側に、左右方向にスライド移動することによって開口部101を開閉可能に取り付けられる4枚の障子3,4,5,6と、によって構成される。
【0012】
まず、枠体2について説明する。
【0013】
枠体2は、上枠21、下枠22、左右の縦枠23を矩形に枠組みすることによって形成される。上枠21、下枠22、左右の縦枠23は、それぞれアルミニウム等の金属材を長さ方向に押出し成形することによって形成される押出形材からなる。
【0014】
図2図3及び図5に示すように、下枠22は、下枠22の長さ方向に沿って延びる下枠本体220と、下枠本体220の上面220aに突設されるガイドレール221,222,223と、を有する。ガイドレール221,222,223は、下枠本体220の長さ方向に沿って平行に延びている。図2に示すように、4枚の障子3,4,5,6のうちの室内側X2の2枚の障子3,4は、ガイドレール221に沿ってスライド移動可能に取り付けられる。室外側X1の2枚の障子5,6は、ガイドレール222に沿ってスライド移動可能に取り付けられる。最も室外側X1のガイドレール223には、図示しない網戸がスライド移動可能に取り付けられる。図示しないが、上枠21の上枠本体にも、下枠22のガイドレール221,222,223に対応するガイドレールが突設されている。
【0015】
図3及び図5に示すように、左右の縦枠23は、縦枠23の長さ方向に沿って延びる平板状の縦枠本体230と、縦枠本体230の内面230aに突設される突出片231,232,233と、樹脂製のカバー材234と、樹脂製のアングル部材235と、縦枠本体230の内面230aに突設される係止片236と、を有する。
【0016】
最も室外側X1の突出片231は、縦枠本体230において、上枠21及び下枠22の網戸用のガイドレール223の両端部に対応する位置に配置される。
【0017】
突出片232は、縦枠本体230において、上枠21及び下枠22のガイドレール222の両端部に対応する位置に配置される。
【0018】
突出片233は、縦枠本体230の最も室内側X2に配置される。係止片236は、突出片232と突出片233との間に配置される。
【0019】
カバー材234は、室外側X1の障子5,6よりも室内側X2の縦枠本体230の内面230aを覆うように設けられる。詳しくは、カバー材234は、係止片236から室内側X2に延び、最も室内側X2の突出片233に亘って、室外側X1の障子5,6よりも室内側X2の縦枠本体230の内面230aを覆っている。カバー材234の室外側X1の端部は、縦枠本体230の内面230aから間隔をおいて離隔している。カバー材234の室外側X1の端部は、係止片236に対して係止することによって、縦枠本体230に取り付けられている。カバー材234は、室内側X2に向かうに従って縦枠本体230の内面230aに近づき、最も室内側X2の突出片233付近で縦枠本体230の内面230aに当接している。カバー材234の室内側X2の端部は、突出片233に沿って縦枠23の内方に向けて延びている。
【0020】
カバー材234の室外側X1の端部には、室外側X1に向けて突出するヒレ部材234aが設けられている。ヒレ部材234aは、室外側X1の障子5,6の閉鎖時に、障子5,6の戸先側の縦框53,63の見込み面に弾性的に当接する。ヒレ部材234aは、障子5,6の閉鎖時に、戸先側の縦框53,63と縦枠23との間における室外側X1から室内側X2への風雨の侵入を防止する。
【0021】
アングル部材235は、カバー材234の室内側X2の端部に連続して一体に形成されている。アングル部材235は、突出片233を内方に向けて延長するようにカバー材234に一体に設けられる立壁部235aと、立壁部235aの内方端から室内側X2に向けて屈曲するアングル部235bと、によって構成される。カバー材234及びアングル部材235の接続部位235cは、突出片233の先端部233aに対して係合することによって、突出片233に取り付けられている。
【0022】
次に、障子3,4,5,6について説明する。
【0023】
障子3,4,5,6は、図1に示すように、それぞれ上框31,41,51,61と、下框32,42,52,62と、戸先側の縦框33,43,53,63と、戸尻側の縦框34,44,54,64と、を矩形に框組みすることによって形成される框体30,40,50,60の内側に、面材Gを納めることによって構成される。本明細書において、障子3,4,5,6の框体30,40,50,60の内側に向かう方向を「内方」とし、框体30,40,50,60の外側に向かう方向を「外方」とする。
【0024】
框体30,40,50,60は縦勝ち構造を有する。詳しくは、縦框33,43,53,63及び縦框34,44,54,64は、上框31,41,51,61及び下框32,42,52,62の左右両端部に対して、左右方向から挟み付けるように配置される。縦框33,43,53,63及び縦框34,44,54,64の上下両端部は、縦框33,43,53,63及び縦框34,44,54,64を左右方向に貫通する図示しない取付ねじによって、上框31,41,51,61及び下框32,42,52,62の左右両端部に固定される。
【0025】
本実施形態の各障子3,4,5,6の面材Gは、図3図5に示すように、それぞれ2枚のガラス板G1,G2を、スペーサSPを挟んで平行に対面させたペアガラスからなる。スペーサSPは、ガラス板G1,G2の周縁部の間に、四周に亘って配置される。但し、ガラス板は、2枚に限定されず、1枚であってもよいし、3枚以上であってもよい。面材は、ガラス板に限定されず、パネル板等であってもよい。
【0026】
室内側X2の障子3,4の縦框33,34,43,44について説明する。室内側X2の障子3,4は、下枠22上の共通のガイドレール221に沿ってスライド移動可能に設けられる。
【0027】
まず、障子3,4の縦框33,34,43,44のうちの戸先側の縦框33,43について説明する。
【0028】
図2及び図4に示すように、戸先側の縦框33,43は、障子3,4の閉鎖時に、左右方向から互いに突き合わされる合掌部10を構成する。縦框33,43は、金属製の縦框本体331,431と、縦框本体331,431の室内側X2を覆う樹脂製のカバー材332,432と、を有する。
【0029】
縦框本体331,431は、それぞれアルミニウム等の金属材を長さ方向に押出し成形することによって形成される押出形材からなる。縦框本体331,431は、実質的に左右対称構造を有する。縦框本体331,431は、第1中空部3311、4311と、第2中空部3312,4312と、を有する。
【0030】
第1中空部3311,4311は、室外側X1に面するように配置される第1側壁部3311a,4311aと、室内側X2に面するように配置される第2側壁部3311b,4311bと、障子3,4の外方に面するように配置される第3側壁部3311c,4311cと、障子3,4の内方に面するように配置される第4側壁部3311d,4311dと、によって断面略矩形に形成される。
【0031】
第2中空部3312,4312は、第1中空部3311,4311の室内側X2に隣接して配置される。第2中空部3312,4312は、室内側X2に面するように配置される第1側壁部3312a,4312aと、障子3,4の外方に面するように配置される第2側壁部3312b,4312bと、障子3,4の内方に面するように配置される第3側壁部3312c,4312cと、第1中空部3311,4311の第2側壁部3311b,4311bと、によって断面略矩形に形成される。第2中空部3312,4312の見込み方向及び左右の見付け方向の寸法は、第1中空部3311,4311の見込み方向及び左右の見付け方向の寸法よりも大きい。第2中空部3312,4312は、第1中空部3311,4311よりも障子3,4の内方及び外方に僅かに突出している。
【0032】
第1中空部3311,4311を形成する第4側壁部3311d,4311dは、第1側壁部3311a,4311aよりも室外側X1に延出している。第4側壁部3311d,4311dの室外側X1の端部は内方に屈曲し、面材Gの端縁部Gaの室外側X1を覆うように配置される室外側壁部3311e,4311eを形成している。
【0033】
第1中空部3311,4311を形成する第2側壁部3311b,4311bは、第3側壁部3311c,4311cよりも外方に延出し、カバー材332,432を係止するための第1係止部3311f,4311fを形成している。
【0034】
第1中空部3311,4311を形成する第3側壁部3311c,4311cは、第1側壁部3311a,4311aよりも室外側X1に延出している。室外側X1に延出した第3側壁部3311c,4311cの端部は外方に屈曲し、障子3,4の閉鎖時に互いに重なり合うように配置される室外側重合片3311g,4311gを形成している。本実施形態において、縦框33の室外側重合片3311gの先端が、障子3,4の閉鎖時に、縦框43の室外側重合片4311gの先端に対して、室外側X1から重なるように配置される。
【0035】
縦框33の室外側重合片3311gには、ヒレ部材333が取り付けられている。ヒレ部材333は、障子3,4の閉鎖時に、縦框43の室外側重合片4311gに対して、室外側X1から弾性的に当接することによって、室外側X1から室内側X2への風雨の侵入を防止する。
【0036】
第2中空部3312,4312を形成する第3側壁部3312c,4312cの室外側X1の端部には、カバー材332,432を係止するための第2係止部3312d,4312dが設けられている。第2係止部3312d,4312dは、第1中空部3311,4311を形成する第2側壁部3311b,4311bよりも室内側X2に配置され、室外側X1に向けて突出している。
【0037】
カバー材332,432は、第2中空部3312,4312を形成する第1側壁部3312a,4312a、第2側壁部3312b,4312b及び第3側壁部3312c,4312cに亘って、室内側X2から覆うように設けられる。詳しくは、カバー材332,432は、第1側壁部3312a,4312aを覆う第1カバー壁部332a,432aと、第2側壁部3312b,4312bを覆う第2カバー壁部332b,432bと、第3側壁部3312c,4312cを覆う第3カバー壁部332c,432cと、を有する。
【0038】
カバー材332,432の内面側の各面には、複数の脚部332d,432dがそれぞれ突設されている。カバー材332,432と第2中空部3312との間には、脚部332d,432dの突出高さに相当する空間部S1が形成されている。この空間部S1によって、縦框本体331,431とカバー材332,432との間に断熱部が形成される。そのため、縦框33,43は断熱性に優れる。
【0039】
カバー材332,432の第2カバー壁部332b,432bの室外側X1の端部には、縦框本体331,431の第1係止部3311f,4311fに対して係止する第1係止部332e,432eが設けられている。カバー材332,432の第3カバー壁部332c,432cの室外側X1の端部には、縦框33,43の外方に向けて屈曲し、縦框本体331,431の第2係止部3312d,4312dに対して係止する第2係止部332f,432fが設けられている。カバー材332,432は、第1係止部332e,432eと第1係止部3311f,4311fとの係止、及び第2係止部332f,432fと第2係止部3312d,4312dとの係止によって、縦框本体331,431に取り付けられる。
【0040】
カバー材332,432の第2カバー壁部332b,432bに設けられる第1係止部332e,432eの近傍には、障子3,4の閉鎖時に互いに重なり合うように配置される室内側重合片332g,432gが外方に突出するように形成されている。本実施形態において、縦框33の室内側重合片332gの先端が、障子3,4の閉鎖時に、縦框43の室内側重合片432gの先端に対して、室内側X2から重なるように配置される。
【0041】
縦框33の室内側重合片332gには、ヒレ部材334が取り付けられている。ヒレ部材334は、障子3,4の閉鎖時に、縦框43の室内側重合片432gに対して、室内側X2から弾性的に当接することによって、ヒレ部材333と共に、室外側X1から室内側X2への風雨の侵入を防止する。
【0042】
カバー材332,432の第3カバー壁部332c,432cは、縦框本体331,431の室外側壁部3311e,4311eの内方端に対して、左右の見付け方向の同じ位置に配置される。これによって、縦框本体331,431の室外側壁部3311e,4311eと第3カバー壁部332c,432cの室外側X1の端部との間に、面材Gの端縁部Gaを収容するための面材収容部330,430が形成される。
【0043】
面材Gの縦框33,43側の端縁部Gaは、グレイジングチャネル7を介して、面材収容部330,430内に収容される。グレイジングチャネル7は、端面被覆部71と、室外面被覆部72と、室内面被覆部73と、を一体に有する。端面被覆部71は、縦框本体331,431の第4側壁部3311d,4311dの内方に対面するように、面材Gの縦端面Gbに沿って配置される。室外面被覆部72は、端面被覆部71の室外側X1の端部から内方に屈曲し、面材Gの端縁部Gaを室外側X1から覆うように配置される。室内面被覆部73は、端面被覆部71の室内側X2の端部から内方に屈曲し、面材Gの端縁部Gaを室内側X2から覆うように配置される。
【0044】
縦框33,43には、調整部品8がそれぞれ設けられている。図1に示すように、調整部品8は、障子3,4において合掌部10を構成する縦框33,43の上下方向の中央部もしくは中央部付近に、1つずつ設けられる。この調整部品8の詳細については、後述する。
【0045】
次に、障子3,4の縦框33,34,43,44のうちの戸尻側の縦框34,44について説明する。戸尻側の縦框34,44は、左右対称である以外、同一構成である。
【0046】
図3及び図5に示すように、戸尻側の縦框34,44は、金属製の縦框本体341,441と、縦框本体341,441の室内側X2を覆う樹脂製のカバー材342,442と、を有する。
【0047】
縦框本体341,441は、それぞれアルミニウム等の金属材を長さ方向に押出し成形することによって形成される押出形材からなる。縦框本体341,441は、実質的に左右対称構造を有する。縦框本体341,441は、第1中空部3411、4411と、第2中空部3412,4412と、を有する。
【0048】
第1中空部3411,4411は、室外側X1に面するように配置される第1側壁部3411a,4411aと、室内側X2に面するように配置される第2側壁部3411b,4411bと、障子3,4の外方に面するように配置される第3側壁部3411c,4411cと、障子3,4の内方に面するように配置される第4側壁部3411d,4411dと、によって断面略矩形に形成される。
【0049】
第2中空部3412,4412は、第1中空部3411,4411の室内側X2に隣接して配置される。第2中空部3412,4412は、室内側X2に面するように配置される第1側壁部3412a,4412aと、障子3,4の外方に面するように配置される第2側壁部3412b,4412bと、障子3,4の内方に面するように配置される第3側壁部3412c,4412cと、第1中空部3411,4411の第2側壁部3411b,4411bと、によって断面略矩形に形成される。第2中空部3412,4412の左右の見付け方向の寸法は、第1中空部3411,4411の左右の見付け方向の寸法よりも大きい。第2中空部3412,4412は、第1中空部3411,4411よりも障子3,4の内方に突出している。第1中空部3411,4411の第3側壁部3411c,4411cと、第2中空部3412,4412の第2側壁部3412b,4412bとは、見込み方向に面一状に配置されている。
【0050】
第1中空部3411,4411を形成する第4側壁部3411d,4411dの室外側X1の端部は、内方に向けて突出して、面材Gの端縁部Gaの室外側X1を覆うように配置される室外側壁部3411e,4411eを形成している。
【0051】
第1中空部3411,4411を形成する第1側壁部3411a,4411aの内端部には、内方に向けてさらに延出する延出部3411f,4411fが設けられている。延出部3411f,4411fは、室外側壁部3411e,4411eの室外側X1に、室外側壁部3411e,4411eとの間に間隔をあけて略平行に配置される。
【0052】
第1中空部3411,4411を形成する第1側壁部3411a,4411aと第3側壁部3311c,4311cとの境界部には、カバー材342,442を係止するための第1係止部3411g,4411gが設けられている。
【0053】
第2中空部3412,4412を形成する第3側壁部3412c,4412cの室外側X1の端部には、カバー材342,442を係止するための第2係止部3412d,4412dが設けられている。第2係止部3412d,4412dは、第1中空部3411,4411を形成する第2側壁部3411b,4411bよりも室内側X2に配置され、室外側X1に向けて突出している。
【0054】
カバー材342,442は、第1中空部3411,4411から第2中空部3412,4412に亘る領域を室内側X2から覆うように設けられる。詳しくは、カバー材342,442は、第2中空部3412,4412の第1側壁部3412a,4412aを覆う第1カバー壁部342a,442aと、第1中空部3411,4411の第3側壁部3411c,4411c及び第2中空部3412,4412の第2側壁部3412b,4412bに亘って覆う第2カバー壁部342b,442bと、第2中空部3412,4412の第3側壁部3412c,4412cを覆う第3カバー壁部342c,442cと、を有する。
【0055】
カバー材342,442の内面側の各面には、複数の脚部342d,442dがそれぞれ突設されている。カバー材342,442と、第1中空部3411,4411及び第2中空部3412,4412との間には、脚部342d,442dの突出高さに相当する空間部S2がそれぞれ形成されている。この空間部S2によって、縦框本体341,441とカバー材342,442との間に断熱部が形成される。そのため、縦框34,44は断熱性に優れる。
【0056】
カバー材342,442の第2カバー壁部342b,442bの室外側X1の端部には、縦框本体341,441の第1係止部3411g,4411gに対して係止する第1係止部342e,442eが設けられている。カバー材342,442の第3カバー壁部342c,442cの室外側X1の端部には、縦框本体341,441の第2係止部3412d,4412dに対して係止する第2係止部342h,442hが設けられている。カバー材342,442は、第1係止部342e,442eと第1係止部3411g,4411gとの係止、及び第2係止部342h,442hと第2係止部3412d,4412dとの係止によって、縦框本体341,441に取り付けられる。
【0057】
第1係止部342e,442eには、ヒレ部材343,443が設けられている。ヒレ部材343,443は、障子3,4,5,6の閉鎖時に、障子5,6の戸尻側の縦框54,64の室内側X2の側面に弾性的に当接することによって、障子3,4と障子5,6との間から室内側X2への風雨の侵入を防止する。
【0058】
カバー材342,442の第3カバー壁部342c,442cは、縦框本体341,441の室外側壁部3411e,4411eの内方端に対して、左右の見付け方向の同じ位置に配置される。これによって、縦框本体341,441の室外側壁部3411e,4411eと第3カバー壁部342c,442cの室外側X1の端部との間に、面材Gの端縁部Gaを収容するための面材収容部340,440が形成される。
【0059】
面材Gの縦框34,44側の端縁部Gaは、グレイジングチャネル7を介して、面材収容部340,440内に収容される。グレイジングチャネル7は、縦框33,43に設けられるものと同一構成である。
【0060】
室外側X1の障子5,6の縦框53,54,63,64について説明する。室外側X1の障子5,6は、下枠22上の共通のガイドレール222に沿ってスライド移動可能に設けられる。
【0061】
まず、障子5,6の縦框53,54,63,64のうちの戸先側の縦框53,63について説明する。縦框53,63は、左右対称である以外、同一構成である。
【0062】
図3及び図5に示すように、障子3,6において縦枠23側に配置される戸先側の縦框53,63は、金属製の縦框本体531,631と、樹脂製のカバー材532,632と、を有する。
【0063】
縦框本体531,631は、アルミニウム等の金属材を長さ方向に押出し成形することによって形成される押出形材からなる。縦框本体531,631は、中空部5311、6311を有する。
【0064】
中空部5311,6311は、室外側X1に面するように配置される第1側壁部5311a,6311aと、室内側X2に面するように配置される第2側壁部5311b,6311bと、障子5,6の外方に面するように配置される第3側壁部5311c,6311cと、障子5,6の内方に面するように配置される第4側壁部5311d,6311dと、によって断面略矩形に形成される。
【0065】
第3側壁部5311c,6311cは、第1側壁部5311a,6311a及び第2側壁部5311b,6311bの見込み方向の位置よりも室外側X1及び室内側X2に延出している。第3側壁部5311c,6311cの室外側X1の端部には、外方に向けて延出する室外側延出部5311e,6311eが設けられている。第3側壁部5311c,6311cの室内側X2の端部には、外方に向けて延出する室内側延出部5311f,6311fが設けられている。室外側延出部5311e,6311eと室内側延出部5311f,6311fとは、平行に配置される。室外側延出部5311e,6311eと室内側延出部5311f,6311fとは、障子5,6の閉鎖時に、縦枠23の突出片232を室内外方向から挟むように配置される。
【0066】
室外側延出部5311e,6311eと室内側延出部5311f,6311fとの間には、引き寄せ部材533,633と、ヒレ部材534,634と、が設けられている。引き寄せ部材533,633は、障子5,6の閉鎖時に縦枠23の突出片232に当接することによって、障子5,6を室内側X2に僅かに引き寄せるように案内する。ヒレ部材534,634は、障子5,6の閉鎖時に縦枠23の突出片232に室外側X1から弾性的に当接することによって、室外側X1から縦框53,63と縦枠23との間への風雨の侵入を防止する。
【0067】
第4側壁部5311d,6311dは、第1側壁部5311a,6311a及び第2側壁部5311b,6311bよりも室外側X1及び室内側X2に延出している。第4側壁部5311d,6311dの室外側X1の端部は内方に屈曲し、面材Gの端縁部Gaを室外側X1から覆うように配置される室外側壁部5311g,6311gを形成している。第4側壁部5311d,6311dの室内側X2の端部は内方に屈曲し、カバー材532,632を係止するための第1係止部5311h,6311hを形成している。
【0068】
カバー材532,632は、縦框本体531,631の室内側延出部5311f,6311fから面材Gの端縁部Gaに亘って、それらの室内側X2を覆うように設けられる。カバー材532,632の内端部には、縦框本体531,631の第1係止部5311h,6311hに係止するが設けられている。カバー材532,632の外端部には、縦框本体531,631の室内側延出部5311f,6311fに係止する第2係止部532b,632bが設けられている。カバー材532,632は、第1係止部532a,632aと第1係止部5311h,6311hとの係止、及び第2係止部532b,632bと室内側延出部5311f,6311fとの係止によって、縦框本体531,631に取り付けられる。
【0069】
カバー材532の内面側には、複数の脚部532c,632cが突設されている。カバー材532,632と縦框本体531,631との間には、脚部532c,632cの突出高さに相当する空間部S3がそれぞれ形成されている。この空間部S3によって、縦框本体531,631とカバー材532,632との間に断熱部が形成される。そのため、縦框53,63は、断熱性に優れる。
【0070】
カバー材532,632の内方端は、縦框本体531,631の室外側壁部5311g,6311gの内方端に対して、左右の見付け方向の同じ位置に配置される。これによって、縦框本体531,631の室外側壁部5311g,6311gとカバー材532,632との間に、面材Gの端縁部Gaを収容するための面材収容部530,630が形成される。
【0071】
面材Gの縦框53,63側の端縁部Gaは、グレイジングチャネル7を介して、面材収容部530,630に収容される。グレイジングチャネル7は、障子3,4の縦框33,34,43,44に設けられるものと同一構成である。
【0072】
次に、障子5,6の縦框53,54,63,64のうちの戸尻側の縦框54,64について説明する。縦框54,64は、左右対称である以外、同一構成である。障子5,6の縦框54,64は、障子3,4,5,6の閉鎖時に、図2に示すように、障子3,4の縦框34,44に対して、見込み方向に重なるように配置される。
【0073】
図3及び図5に示すように、戸尻側の縦框54,64は、金属製の縦框本体541,641と、縦框本体541,641の室内側X2の一部を覆う樹脂製のカバー材542,642と、を有する。
【0074】
縦框本体541,641は、それぞれアルミニウム等の金属材を長さ方向に押出し成形することによって形成される押出形材からなる。縦框本体541,641は、中空部5411、6411を有する。
【0075】
中空部5411,6411は、室外側X1に面するように配置される第1側壁部5411a,6411aと、室内側X2に面するように配置される第2側壁部5411b,6411bと、障子5,6の外方に面するように配置される第3側壁部5411c,6411cと、障子5,6の内方に面するように配置される第4側壁部5411d,6411dと、第2側壁部5411b,6411bの外方端と第3側壁部5411c,6411cの室内側X2の端部とを段状に接続する第4側壁部5411e,6411eと、によって形成される。
【0076】
第4側壁部5411e,6411eの室内側X2の側面には、内方に向けてL字状に屈曲する屈曲片5411f,6411fが突設されている。屈曲片5411f,6411fは、障子3,4,5,6の閉鎖時に、障子3,4の戸尻側の縦框34,44の延出部3411f,4411fと室外側壁部3411e,4411eとの間に挿入されることによって、見込み方向に重なり合うように配置される。これによって、障子3,4の縦框34,44と障子5,6の縦框54,64との間に、ラビリンス構造が形成される。
【0077】
屈曲片5411f,6411fの根元部の外方側には、ヒレ部材543,643が設けられている。ヒレ部材543,643は、障子3,4,5,6の閉鎖時に、障子3,4の縦框34,44の室外側壁部3411e,4411eに対して室外側X1から弾性的に当接することによって、上記のラビリンス構造と共に、室外側X1からの風雨の侵入を防止する。
【0078】
中空部5411,6411を形成する第1側壁部5411a,6411aは、第4側壁部5411d,6411dよりも内方に延出し、面材Gの端縁部Gaの室外側X1を覆うように配置される室外側壁部5411g,6411gを形成している。中空部5411,6411を形成する第2側壁部5411b,6411bは、第4側壁部5411d,6411dよりも内方に延出し、カバー材542を係止するための係止部5411h,6411hを形成している。
【0079】
カバー材542,642は、縦框本体541,641の係止部5411h,6411hを包み込むように取り付けられている。カバー材542,642の内方端は、縦框本体541,641の室外側壁部5411g,6411gの内方端に対して、左右の見付け方向の同じ位置に配置される。これによって、縦框本体541,641の室外側壁部5411g,6411gとカバー材542,642との間に、面材Gの端縁部Gaを収容するための面材収容部540,640が形成される。
【0080】
面材Gの縦框54,64側の端縁部Gaは、グレイジングチャネル7を介して、面材収容部540,640内に収容される。グレイジングチャネル7は、障子3,4の縦框33,34,43,44に設けられるものと同一構成である。
【0081】
次に、調整部品8について説明する。
【0082】
調整部品8は、回転操作されることによって面材Gを押圧し、面材Gに対する縦框33,43の左右の見付け方向の位置を調整する。これによって、調整部品8は、湾曲している縦框33,43を略直線状に矯正し、障子3,4のツヅミを解消する。縦框33,43にそれぞれ設けられる調整部品8は、同一構成である。
【0083】
調整部品8は、図4に示すように、第4側壁部3311d,4311dから第1中空部3311,4311内に突出するように設けられる。調整部品8は、ナット部材81と、ねじ部材82と、を有して構成される。
【0084】
ナット部材81は、縦框本体331,431の第4側壁部3311d,4311dを貫通するように取り付けられる。詳しくは、ナット部材81は、第4側壁部3311d,4311dの貫通部位において、第4側壁部3311d,4311dを表裏から挟着することによって、第4側壁部3311d,4311dに対して回転不能に固定されている。ナット部材81の内周面には、雌ねじが形成されている。
【0085】
ねじ部材82は、ねじ軸部82aと、ねじ軸部82aの端部に設けられるねじ頭部82bと、によって構成される。ねじ部材82は、調整部品8における押圧部材である。ねじ軸部82aの外周には、ナット部材81の雌ねじに螺合する雄ねじが形成されている。ねじ軸部82aは、第1中空部3311,4311内からナット部材81に螺合している。ねじ軸部82aの先端は、ナット部材81を貫通し、グレイジングチャネル7の端面被覆部71に、押圧部材突き当て用のスペーサ部材9を介して当接している。
【0086】
スペーサ部材9は、樹脂材あるいは金属材によってシート状に形成される。スペーサ部材9は、グレイジングチャネル7の端面被覆部71に貼り付けられている。スペーサ部材9の見込み方向の幅は、グレイジングチャネル7の端面被覆部71の見込み方向の幅に比べて十分に小さい。詳しくは、スペーサ部材9の見込み方向の幅は、面材Gの見込み方向の幅以下である。そのため、スペーサ部材9は、端面被覆部71と室外面被覆部72との間及び端面被覆部71と室内面被覆部73との間に配置される各コーナー部74に対して当接しない。スペーサ部材9の見込み方向の幅は、面材GのスペーサSPの見込み方向の幅以下であってもよい。
【0087】
第1中空部3311,4311を形成する第3側壁部3311c,4311cには、縦框33,43の外側からねじ部材82を回転操作するための操作口3311h,4311hが形成されている。操作口3311h,4311hは、図示しないキャップ部材によって塞がれてもよい。
【0088】
次に、縦框33,43のツヅミを解消するための調整部品8の機能について説明する。
【0089】
ツヅミの解消のための調整部品8の調整操作は、工場出荷前の障子3,4の組み立て時に実施される。図4において、障子3の縦框33に設けられる調整部品8は、縦框33のツヅミを解消する前の状態を示し、障子4の縦框43に設けられる調整部品8は、縦框43のツヅミを解消した後の状態を示している。縦框33,43の調整部品8は同一の機能を有するため、図6及び図7に示す障子4の縦框43を参照して、調整部品8の機能について説明する。
【0090】
縦框43の第3側壁部4311cに形成されている操作口4311hから、図示しないドライバー等の工具を挿入し、ねじ部材82のねじ頭部82bを時計周りに正回転させると、ねじ部材82はナット部材81内を面材Gに向けて前進する。ねじ部材82の回転量によって、縦框43から面材Gに向けて突出するねじ軸部82aの突出量が調整される。ナット部材81内を前進したねじ軸部82aは、スペーサ部材9及びグレイジングチャネル7の端面被覆部71を介して、面材Gの縦端面Gbを内方に向けて押圧する。
【0091】
ねじ軸部82aが面材Gの縦端面Gbを押圧すると、図6中の矢印で示すように、縦框43が面材Gに対して離れる方向に移動する。第4側壁部4311dと面材Gとの距離Dが次第に開き、面材Gに対する縦框43の左右の見付け方向の位置が調整される。これによって、図7に示すように、框体40の内方に向けて湾曲していた縦框43は、略直線状に矯正され、ツヅミは解消される。そのため、合掌部10において、縦框33,43の間に隙間が発生するおそれはない。ツヅミによる縦框43の湾曲は極めて微小なものであるが、図7では理解を容易にするため、ツヅミを破線によって誇張して示している。
【0092】
ねじ軸部82aの先端は、グレイジングチャネル7のコーナー部74を押圧しない。調整部品8による調整時に、グレイジングチャネル7の室外面被覆部72及び室内面被覆部73が押圧されてグレイジングチャネル7と縦框43との嵌合が外れることがないため、面材Gの保持力が低下するおそれはない。
【0093】
調整部品8は、縦框43の上下方向の中央部に配置されるため、縦框43のツヅミを効果的に解消することができる。
【0094】
図8は、他の実施形態に係る調整部品8Aを有する縦框43を示している。この調整部品8Aのナット部材81は、縦框本体431の第1中空部4311を形成する第3側壁部4311cを貫通するとともに、第3側壁部4311cを表裏から挟着することによって、第3側壁部4311cに対して回転不能に固定されている。縦框本体431の第1中空部4311を形成する第4側壁部4311dには、挿通孔4311iが形成されている。
【0095】
ねじ部材82のねじ軸部82aは、縦框43の外側からナット部材81に螺合している。ねじ軸部82aの先端は、ナット部材81及び第3側壁部4311cを貫通し、さらに第4側壁部4311dの挿通孔4311iを貫通し、グレイジングチャネル7の端面被覆部71に、スペーサ部材9を介して当接している。
【0096】
この調整部品8Aも、図6に示す調整部品8と同様に、ねじ部材82の回転操作によって、面材Gに対する縦框43の上下方向の中央部の見付け方向の位置を調整し、縦框43のツヅミを解消する。ねじ頭部82bは縦框43の外側に露出するため、ねじ部材82の回転操作が容易に行える。
【0097】
図9は、他の実施形態に係る調整部品8Bを有する縦框43を示している。この調整部品8Bは、ナット部材を有していない。縦框本体431の第1中空部4311を形成する第4側壁部4311dには、第1中空部4311内に向けて円筒状に突出する螺合孔4311jが形成されている。螺合孔4311jの内周には、ねじ軸部82aを螺合させる雌ねじが形成されている。
【0098】
この調整部品8Bも、図6に示す調整部品8と同様に、ねじ部材82の回転操作によって、面材Gに対する縦框43の上下方向の中央部の見付け方向の位置を調整し、縦框43のツヅミを解消する。縦框本体431にナット部材を固定する必要がないため、部品点数が削減され、障子4の組み立て作業が簡略化される。
【0099】
図10は、他の実施形態に係る調整部品8Cを有する縦框43を示している。この縦框43のグレイジングチャネル7の端面被覆部71には、ねじ軸部82aを貫通させる貫通孔71aが形成されている。スペーサ部材9は、面材Gの縦端面Gbに貼り付けられている。スペーサ部材9は、端面被覆部71と面材Gの縦端面Gbとの間に配置される。調整部品8Cは、図6に示す調整部品8と同一構成である。
【0100】
この調整部品8Cは、ねじ軸部82aによってグレイジングチャネル7の端面被覆部71を押圧しないので、調整時にグレイジングチャネル7を損傷するおそれがない。
【0101】
図11は、他の実施形態に係る調整部品8Dを有する縦框43を示している。この調整部品8Dは、軸受部材83と、押圧部材84と、によって構成されている。軸受部材83及び押圧部材84は、樹脂部品である。調整部品8Dについて、図12及び図13を参照してさらに説明する。
【0102】
軸受部材83は、略円筒状の軸受部材本体831を有する。軸受部材本体831の中心には、貫通孔からなる軸孔832が形成されている。図13に示すように、軸受部材本体831において面材Gから遠い側の面である外端面831aには、一対の係止爪片833が突設されている。一対の係止爪片833は、軸孔832を挟んで対向する位置に設けられている。
【0103】
図12に示すように、軸受部材本体831において面材Gに近い側の面である内端面831bには、複数の連続するカム面834が設けられている。複数のカム面834は、軸孔832の周りに配列されている。複数のカム面834のそれぞれは、軸孔832の周方向に沿って、軸方向に沿う高さが次第に高くなるように形成されている。
【0104】
複数のカム面834のそれぞれは、軸孔832の周方向に沿う同一方向に傾斜する傾斜面である。具体的には、軸受部材本体831を内端面831b側から見たときに、複数のカム面834のそれぞれは、反時計周りに次第に高さが高くなるように形成されている。カム面834は周方向に連続する鋸刃状に形成されている。複数のカム面834は、鋸刃状の境界部を挟んで、反時計周りに次第に高さが高くなるように傾斜している。
【0105】
複数のカム面834は、軸孔832の周りに形成された鋸刃状の段部からなるということもできる。複数のカム面834は、軸孔832の周りに、軸受部材本体831の内端面831bから外端面831aに向けて鋸刃状に凹設された溝部あるいは切欠き部であるということもできる。図12に示すように、軸受部材本体831は、軸孔832の周りに180°離れた位置に、2つの同一形状の連続するカム面834を有している。軸受部材本体831の内端面831bは、面材Gに向けて最も突出しているが、カム面を構成しない面である。
【0106】
図11に示すように、第4側壁部4311dに形成される挿通孔4311iは、軸受部材83の外径に略等しい大きさを有している。軸受部材83は、挿通孔4311iを通して、縦框本体431の第1中空部4311内に配置される。軸受部材83の一対の係止爪片833は、縦框本体431の第3側壁部4311cに形成された操作口4311hの周縁に対して、第1中空部4311内から弾性的に係止する。これによって、軸受部材83は、縦框本体431の第3側壁部4311cに回転不能に固定される。
【0107】
押圧部材84は、軸受部材83の軸孔832に回転可能に嵌合する回転軸841を有する。回転軸841は、軸受部材83の軸孔832の長さに略等しい長さを有する。具体的には、回転軸841の長さは、軸受部材本体831の外端面831aと内端面831bとの間の距離に略等しい。回転軸841の面材Gから遠い側の端面には、マイナスドライバー等の工具によって押圧部材84を回転操作するための直線状の溝部841aが設けられている。
【0108】
押圧部材84は、回転軸841の面材Gに近い側の端部に、回転軸841と同軸状の円筒部842を一体に有する。円筒部842の外径は、回転軸841の外径よりも大きく、軸受部材本体831の外径に略等しい。
【0109】
円筒部842の外周面には、一対の係止爪843が突設されている。一対の係止爪843は、円筒部842の外周面よりも径方向の外側に突出している。一対の係止爪843は、円筒部842の外周面において180°離れた位置に形成された矩形の開口部842aの内側にそれぞれ配置されている。係止爪843は、開口部842aの一辺にそれぞれ接続されている。これによって、係止爪843は、円筒部842の径方向の内側に向けて弾性的に変形可能である。
【0110】
回転軸841の外周面には、径方向に突出する一対の突起部844が形成されている。一対の突起部844は、円筒部842における面材Gから遠い側の端面842bから、回転軸841の長さ方向に沿って延びている。一対の突起部844は、回転軸841の外周面において180°離れた位置に配置されている。一対の突起部844を含む回転軸841の外径は、軸受部材83の軸孔832の内径よりも大きく、円筒部842の外径よりもやや小さい。一対の突起部844の長さは、軸受部材83における軸受部材本体831の内端面831bから複数のカム面834のうちの最も高さの低いカム面834までの距離に略等しい。各突起部844の先端面844aは、カム面834の傾斜に対応する形状を有する傾斜面である。
【0111】
図11に示すように、押圧部材84は、軸受部材83を取り付けた後の縦框本体431の第1中空部4311内に、挿通孔4311iを通して配置される。押圧部材84の回転軸841は、軸受部材83の軸孔832に挿入されて嵌合する。面材Gが納められる前の縦框43の組み立て時において、押圧部材84の一対の突起部844は、軸受部材83の最も高さの低いカム面834に当接している。このとき、押圧部材84は軸受部材83に最も近接し、押圧部材84の円筒部842は、第4側壁部4311dの挿通孔4311iから最も小さな突出量で突出する。円筒部842に設けられた一対の係止爪843は、第1中空部4311内から挿通孔4311iの周縁に対して弾性的に係止する。これによって、押圧部材84は、縦框本体431への取り付け状態を維持するため、縦框43の輸送時等に縦框43から抜け外れるおそれはない。
【0112】
調整部品8Dによって縦框43のツヅミを解消する場合は、縦框43の外側から、操作口4311hを通して、図示しないマイナスドライバー等の工具によって押圧部材84の回転軸841を時計周りに正回転させる。これによって、押圧部材84の一対の突起部844の先端面844aが当接するカム面834は、次第に高さの高いカム面834に変更される。押圧部材84は、高さの異なるカム面834を通過する度に「カチッ、カチッ」という音を発生させながら、次第に高さの高いカム面834に向けて移動する。これに伴って、押圧部材84は、第4側壁部4311dの挿通孔4311iから、次第に面材Gに向けて突出し、円筒部842によって面材Gの縦端面Gbを押圧する。
【0113】
図14は、図11に示す押圧部材84の初期状態から、時計回りに略90°回転させた状態を示している。このとき、押圧部材84の一対の突起部844の先端面844aは、軸受部材83の最も高さの高いカム面844に当接している。そのため、押圧部材84は、挿通孔4311iから面材Gに向けて最も突出する。縦框43の湾曲の程度に応じて、押圧部材84の回転量が調整され、押圧部材84が面材Gを押圧する押圧量が調整される。カム面834は鋸刃状の傾斜面であるため、押圧部材84が逆回転するおそれはない。
【0114】
図15及び図16は、図11図14に示す調整部品8Dと同様に、軸受部材と押圧部材との2部材で構成される調整部品の他の実施形態を示している。調整部品8Dと同一の機能を有する部位には同一の符号を付している。この調整部品8Eは、軸受部材83の軸孔832の周りの複数のカム面835が階段状の段部からなる点で、調整部品8Dと相違している。押圧部材84の一対の突起部844の先端面844aは、カム面835に対応して、回転軸841の軸方向に対して直交する平坦面である。
【0115】
調整部品8Eによって縦框43のツヅミを解消する場合は、縦框43の外側から、図示しないマイナスドライバー等の工具を押圧部材84の回転軸841の溝部841aに差し込んだ状態で、縦框43を掴んで、縦框43を面材Gから引き離す。あるいは、縦框43の段差に当て木をし、ハンマー等によって当て木を叩きながら縦框43を面材Gとの間に隙間を形成するようにしてもよい。縦框43の段差とは、縦框43を面材Gから引き離す方向に対して交差するように配置される段差である。このような縦框43の段差は、例えば、縦框43の第3カバー壁部432cの表面、縦框本体431の第1側壁部4311aと室外側重合片4311gとの間の段差、縦框本体431の室外側壁部4311eの内端の少なくともいずれかとすることができる。
【0116】
このようにして縦框43を面材Gから引き離すと、押圧部材84は、工具によって押し付けられて面材Gの縦端面Gbを押圧する。そのため、縦框本体431に固定されている軸受部材83が、縦框43と共に押圧部材84から引き離される。その結果、押圧部材84の一対の突起部844は、軸受部材83のカム面835から離脱する。工具によって押圧部材84の回転軸841を時計周りに正回転させると、押圧部材84の一対の突起部844の先端面844aが当接するカム面835は、高さの高い他のカム面835に変更される。これによって、面材Gに向けた円筒部842の突出量が調整され、面材Gの縦端面Gbを押圧する押圧量が調整される。カム面835は、回転軸841の軸方向に対して直交する平坦面であるため、押圧部材84の突起部844は、カム面835に対して安定的に当接する。そのため、押圧部材84が逆回転するおそれはない。
【0117】
以上説明した調整部品8D,8Eは、軸受部材83と押圧部材84の2部材を縦框本体431の操作口4311h及び挿通孔4311iに係止するだけで、縦框43に装着可能である。縦框本体431にナット部材81を取り付けたり、縦框本体431に雌ねじ加工を施したりする必要がないため、縦框43に、ツヅミを調整するための機構を簡単に設けることができる。縦框本体431に雌ねじを有するナット部材を設ける必要がないため、押圧部材84を可及的に大径に形成することができる。これによって、面材Gの縦端面Gbを押圧する面積を大きくすることができるため、面材Gへの負荷の集中を抑制することができる。
【0118】
調整部品8D,8Eは、軸受部材83に一対の突起部844を設け、押圧部材84に複数のカム面834,835を設けた構成であってもよい。押圧部材84の円筒部842とグレイジングチャネル7の端面被覆部71との間には、スペーサ部材9が配置されてもよい。押圧部材84は、調整部品8,8A,8Bと同様に、グレイジングチャネル7のコーナー部74を押圧しないため、グレイジングチャネル7と縦框43との嵌合が外れることはない。調整部品8D,8Eの押圧部材84は、図10に記載の調整部品8Cの場合と同様に、グレイジングチャネル7に形成された貫通孔71aを挿通して面材Gを直接押圧するようにしてもよい。
【0119】
図17は、スペーサ部材の他の実施形態を示している。このスペーサ部材9Aは、上下方向に長尺な帯状に形成されて縦框43に取り付けられている。縦框43には、図6に示す調整部品8が取り付けられている。スペーサ部材9Aは、図6図8及び図9に示すスペーサ部材9と同一部材である。スペーサ部材9Aの上端91は、ねじ9aによって、縦框本体431の第4側壁部4311dに固定されている。具体的には、スペーサ部材9Aの上端91は、第4側壁部4311dにおける面材Gに面する内方側の面に固定されている。ねじ9aによるスペーサ部材9Aの固定部位は、調整部品8の位置よりも上方の部位である。スペーサ部材9Aの下端側は、固定されていない自由端92である。スペーサ部材9Aの自由端92は、第4側壁部4311dを貫通して面材Gに向けて突出する調整部品8のねじ軸部82aの先端を、面材G側から覆うように配置されている。
【0120】
ねじ部材82が回転操作されることによってねじ軸部82aが面材Gに向けて突出すると、ねじ軸部82aの先端は、スペーサ部材9Aの自由端92を介して面材Gを押圧する。そのため、このスペーサ部材9Aは、スペーサ部材9と同一の機能を有する。スペーサ部材9Aは縦框本体431に取り付けられるため、調整部品8の押圧部材であるねじ部材82のねじ軸部82aに対する位置合わせが容易であり、位置ズレが生じるおそれはない。スペーサ部材9Aは、縦框33,43に図8図9図11図16に示す調整部品8A,8B,8D,8Eが設けられる場合にも同様に適用可能である。
【0121】
上述した建具1において、調整部品8,8A~8Eは、合掌部10を構成する戸先側の縦框33,43にそれぞれ設けられるものに限らない。調整部品8,8A~8Eは、合掌部10を構成する縦框33,43のいずれか一方のみに設けられてもよい。調整部品8,8A~8Eは、戸先側の縦框33,43に加えて、戸尻側の縦框34,44にも設けられてもよい。
【0122】
調整部品8,8A~8Eは、合掌部を構成する引き違い窓の縦框に設けられるものに限定されない。調整部品8,8A~8Eは、合掌部を構成しない引き違い窓の縦框に設けられてもよい。調整部品8,8A~8Eは、辷り出し窓、FIX窓、上げ下げ窓、外倒し窓、内倒し窓、あるいは開き窓等の他の窓の縦框に設けられてもよい。
【0123】
調整部品8,8A~8Eは、障子の大きさ等に応じて、1つの縦框に2以上設けられてもよい。
【0124】
本実施形態の建具1は、以下の効果を奏する。
【0125】
(1) 建物躯体100の開口部101に取り付けられる枠体2と、上框31,41、下框32,42及び左右の縦框33,43とを框組みすることによって構成される框体30,40の内側に面材Gが納められ、前記枠体2に取り付けられる障子3,4と、前記障子3,4の前記左右の縦框33,43の少なくともいずれか一方に設けられる調整部品8,8A~8Eと、を備え、前記調整部品8,8A~8Eは、回転によって前記縦框33,43から前記面材Gに向けて突出して前記面材Gを押圧する押圧部材82,84を有し、前記押圧部材82,84の突出量が調整されることによって、面材Gに対する縦框33,43の見付け方向の位置を調整する、建具1である。
【0126】
これによれば、縦框33,43に設けられる調整部品8,8A~8Eを回転操作して押圧部材82,84の突出量を調整するだけで、面材Gに対する縦框33,43の見付け方向の位置を調整でき、障子3,4のツヅミを容易に解消することができる。
【0127】
(2) 上記(1)に記載の建具1において、前記押圧部材は、前記縦框33,43に設けられる雌ねじに螺合するねじ部材82である。
【0128】
これによれば、面材Gを押圧する調整部品8,8A~8Cに既存部品を使用できるため、縦框33,34に安価に調整部品8,8A~8Cを構築することができる。
【0129】
(3) 上記(1)に記載の建具1において、前記調整部品8D,8Eは、前記縦框33,43に固定され、前記押圧部材84を回転可能に嵌合する軸孔832が設けられた軸受部材83を有し、前記軸受部材83及び前記押圧部材84のいずれか一方に、軸方向に沿う高さが異なる複数のカム面834,835を有し、前記軸受部材83及び前記押圧部材84のいずれか他方に、前記カム面834,835に当接する突起部844を有し、前記押圧部材84は、回転によって前記突起部844が当接する前記カム面834,835の位置が変更されることによって、前記縦框33,43から前記面材Gに向けた突出量が調整される。
【0130】
これによれば、軸受部材83と押圧部材84の2部材を縦框33,43に取り付けるだけで、縦框33,43に雌ねじ加工を施す必要なく、縦框33,43に調整部品8D,8Eを容易に装着可能である。押圧部材84を可及的に大径に形成することができるため、面材Gの縦端面Gbを押圧する面積を大きくでき、面材Gへの負荷の集中を抑制することができる。
【0131】
(4) 上記(1)~(3)のいずれかの建具1において、前記面材Gは、グレイジングチャネル7を介して前記縦框33,43の面材収容部330,430内に納められ、前記グレイジングチャネル7は、前記面材Gの縦端面Gbに配置される端面被覆部71と、前記面材Gの室外側に配置される室外面被覆部72と、前記面材Gの室内側に配置される室内面被覆部73と、を一体に有し、前記調整部品8,8A,8B,8D,8Eの前記押圧部材82,84の先端は、前記グレイジングチャネル7の前記端面被覆部71を押圧し、前記端面被覆部71と前記室外面被覆部72との間及び前記端面被覆部71と前記室内面被覆部73との間のコーナー部74を押圧しないように配置される。
【0132】
これによれば、調整部品8,8A,8B,8D,8Eによる調整時に、グレイジングチャネル7のコーナー部74が押圧されてグレイジングチャネル7と縦框33,43との嵌合が外れることがないため、面材Gの保持力が低下するおそれはない。
【0133】
(5) 上記(1)~(4)のいずれかに記載の建具1において、前記調整部品8,8A,8B,8D,8Eの前記押圧部材82,84の先端と前記面材Gとの間に配置されるスペーサ部材9Aを有し、前記スペーサ部材9Aの一端91は前記縦框33,43に固定され、前記スペーサ部材9Aの他端は自由端92であり、前記スペーサ部材9Aの前記自由端92が、前記押圧部材82,84の先端と前記面材Gとの間に配置される。
【0134】
これによれば、スペーサ部材9Aは、調整部品8の押圧部材82,84に対する位置合わせが容易であり、位置ズレが生じるおそれがない。
【0135】
(6) 上記(1)~(3)のいずれかに記載の建具1において、前記面材Gは、グレイジングチャネル7を介して前記縦框33,43の面材収容部330,430内に納められ、前記グレイジングチャネル7は、前記面材Gの縦端面Gbに配置される端面被覆部71を有し、前記グレイジングチャネル7の前記端面被覆部71は、前記調整部品8C,8D,8Eの前記押圧部材82,84を貫通させる貫通孔71aを有し、前記押圧部材82,84は、前記貫通孔71aを貫通して前記面材Gを押圧するように配置される。
【0136】
これによれば、調整部品8C,8D,8Eは、押圧部材82,84によってグレイジングチャネル7の端面被覆部71を押圧しないので、調整時にグレイジングチャネル7を損傷するおそれがない。
【0137】
(7) 上記(1)~(6)のいずれかに記載の建具1において、前記枠体2の同一のガイドレール221上にスライド移動可能に取り付けられる2枚の前記障子3,4を有し、前記調整部品8,8A~8Eが設けられる前記縦框33,43は、2枚の前記障子3,4の合掌部10を構成する。
【0138】
2枚の障子3,4の縦框33,43同士が突き合わされる合掌部10は、縦框33,43の湾曲が隙間として視認され易いが、本実施形態の建具1によれば、調整部品8,8A~8Eの調整によって、合掌部10を構成する縦框33,43間のツヅミによる隙間の発生を容易に解消することができる。
【0139】
(8) 上記(1)~(7)のいずれかに記載の建具1において、前記調整部品8,8A~8Eは、前記縦框33,43の上下方向の中央部に配置される。
【0140】
これによれば、1つの縦框33,43に対して1つの調整部品8,8A~8Eを設けるだけで、障子3,4のツヅミを効果的に解消することができる。
【符号の説明】
【0141】
1 建具、 2 枠体、 3,4 障子、 30,40 框体、 31,41 上框、 32,42 下框、 33,43 縦框、 330,430 面材収容部、 7 グレイジングチャネル、 71 端面被覆部、 71a 貫通孔、 72 室外面被覆部、 73 室内面被覆部、 74 コーナー部、 8,8A~8E 調整部品、 82 ねじ部材(押圧部材)、 83 軸受部材、 832 軸孔、 834,835 カム面、 84 押圧部材、 844 突起部、 9,9A スペーサ部材、 92 自由端、 10 合掌部、 100 建物躯体、 101 開口部、 221 ガイドレール、 G 面材、 Gb 縦端面、 X1 室外側、 X2 室内側
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17