(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024104999
(43)【公開日】2024-08-06
(54)【発明の名称】洗浄機
(51)【国際特許分類】
A47L 15/42 20060101AFI20240730BHJP
【FI】
A47L15/42 G
A47L15/42 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023009485
(22)【出願日】2023-01-25
(71)【出願人】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100180851
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼口 誠
(72)【発明者】
【氏名】細木 忠治
【テーマコード(参考)】
3B082
【Fターム(参考)】
3B082BF02
3B082BG01
(57)【要約】
【課題】安価に製造することができると共にポンプフィルタを着脱する際の作業性に優れた洗浄機を提供する。
【解決手段】食器洗浄機100は、洗浄タンク20の側部20cから先端部27aが突出するように設けられ、先端部とは反対側の後端部27bが洗浄ポンプに連通するサクションパイプ27と、サクションパイプへの異物の侵入を防止する長孔状のフィルタ孔94が形成されたポンプフィルタ90と、サクションパイプの先端部を覆うようにサクションパイプとポンプフィルタとを固定する固定部と、を備える。先端部は、下方に向かって開口する吸引口82aが形成されており、固定部は、ポンプフィルタに形成された下方に突出する第一係止部93と、第一係止部を挿入可能に設けられ、サクションパイプの上端に形成された第一被係止部83と、によって構成されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄タンクの側面から先端部が突出するように設けられ、前記先端部とは反対側の後端部が洗浄ポンプに連通するサクションパイプと、
前記サクションパイプへの異物の侵入を防止する長孔状のフィルタ孔が形成されたポンプフィルタと、
前記サクションパイプの前記先端部を覆うように前記サクションパイプと前記ポンプフィルタとを固定する第一固定部又は第二固定部と、を備え、
前記先端部は、下方に向かって開口する吸引口が形成されており、
前記第一固定部は、前記ポンプフィルタに形成された下方に突出する第一係止部と、前記第一係止部を挿入可能に設けられ、前記サクションパイプの上端に形成された第一被係止部と、によって構成されており、
前記第二固定部は、前記サクションパイプの上端に形成された上方に突出する第二係止部と、前記第二係止部を挿入可能に設けられ、前記ポンプフィルタに形成される第二被係止部と、によって構成されている、洗浄機。
【請求項2】
前記ポンプフィルタは、前記サクションパイプに固定されたときに、前記先端部に向かって開口する開口面と、前記先端部に対向する後面と、上方に位置する上面と、側方に位置する側面と、下方に位置する下面と、を有する、有底筒状の箱体であり、
前記ポンプフィルタは、前記サクションパイプに固定されたとき、前記先端部の一部が前記開口面の内側に位置するように形成され、
前記第一係止部及び前記第二被係止部は、前記上面に形成されている、請求項1記載の洗浄機。
【請求項3】
前記フィルタ孔は、前記上面、後面及び側面にのみ形成され、前記下面には形成されていない、請求項2記載の洗浄機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食器等の被洗浄物の洗浄を行う洗浄機に関する。
【背景技術】
【0002】
食器洗浄機における洗浄タンクの貯水部上方には、洗浄水中のゴミ等の異物が洗浄ポンプに吸い込まれないようにするためのフィルタが設けられている。このようなフィルタは、毎日のお手入れが欠かせない部材であるために、簡単に取り外しができるように、貯水部の上方を塞ぐように載置するだけの簡単な取付方法が採用されている。ところが、使用者がお手入れの後にフィルタを付け忘れたり、洗浄時の泡立ちによってフィルタが下から押し上げられて浮き上がったりすることがある。この場合、爪楊枝等の大きな異物が貯水部に入り込み、洗浄ポンプに吸い込まれた結果、ポンプロックが発生するようなことがあった。
【0003】
このような課題を解決するための発明が、例えば特許文献1や特許文献2に開示されている。特許文献1に記載の食器洗浄機では、ポンプフィルタが、洗浄タンクの側面に対して配置されると共に洗浄水ポンプの吸込側に上下方向に係合片が設けられており、ポンプフィルタには洗浄水ポンプの係合片に係止される係止片が設けられている。洗浄水ポンプの係合片には、上端部を洗浄水ポンプから間隔を開けるように傾く傾斜部が設けられている。この構成では、ポンプフィルタの係止片を洗浄水ポンプの係合片に挿着するときに傾斜した上端部がガイドとなるので取り付けがしやすくなる。
【0004】
また、特許文献2の食器洗浄機では、ポンプフィルタ(ポンプガード)は、洗浄タンクの側面に対して配置されており、吸込口に対応する吸込開口を有する環状の取付板と、取付板に対して吸込開口を覆うように固定され、複数のフィルタ孔を有するポンプガード本体と、を備える。取付板は、洗浄タンクの側面に対して固定された複数のネジによって、吸込口の周りで回転可能に係止されている。この構成では、通常時におけるポンプガード本体の下面を上方に回転移動させることができるので、通常時において清掃しにくいポンプガード本体の下面を、ポンプフィルタの着脱を行うことなく清掃することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000-254074号公報
【特許文献2】特開2015-77267号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、特許文献1に記載の食器洗浄機や特許文献2に記載の食器洗浄機に設けられるポンプフィルタは、構成的に複雑となりやすく、コストアップの要因となっていた。
【0007】
そこで、本発明の目的は、安価に製造することができると共にポンプフィルタを着脱する際の作業性に優れた洗浄機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の洗浄機は、洗浄タンクの側面から先端部が突出するように設けられ、先端部とは反対側の後端部が洗浄ポンプに連通するサクションパイプと、サクションパイプへの異物の侵入を防止する長孔状のフィルタ孔が形成されたポンプフィルタと、サクションパイプの先端部を覆うようにサクションパイプとポンプフィルタとを固定する第一固定部又は第二固定部と、を備え、先端部は、下方に向かって開口する吸引口が形成されており、第一固定部は、ポンプフィルタに形成された下方に突出する第一係止部と、第一係止部を挿入可能に設けられ、サクションパイプの上端に形成された第一被係止部と、によって構成されており、第二固定部は、サクションパイプの上端に形成された上方に突出する第二係止部と、第二係止部を挿入可能に設けられ、ポンプフィルタに形成される第二被係止部と、によって構成されている。
【0009】
この構成の洗浄機では、洗浄タンクの側面から飛び出すサクションパイプの上端に形成された第一被係止部に、ポンプフィルタに形成された下方に突出する第一係止部を貯水部の上方から挿入するか、または、サクションパイプの上端に形成され、上方に突出する第二係止部に、ポンプフィルタに形成された第二被係止部を貯水部の上方から挿入させるだけの簡易な作業によってサクションパイプとポンプフィルタとを固定することができる。また、上記と逆の簡易な作業によって、サクションパイプからポンプフィルタを取り外すことができる。また、第一係止部、第二係止部、第一被係止部及び第二被係止部は、挿入部分と突出部分とを形成するだけの簡易な構成なので、安価に製造することができる。
【0010】
本発明の洗浄機では、ポンプフィルタは、サクションパイプに固定されたときに、先端部に向かって開口する開口面と、先端部に対向する後面と、上方に位置する上面と、側方に位置する側面と、下方に位置する下面と、を有する、有底筒状の箱体であり、ポンプフィルタは、サクションパイプに固定されたとき、先端部の一部が開口面の内側に位置するように形成され、第一係止部及び第二被係止部は、上面に形成されてもよい。この構成では、ポンプフィルタがサクションパイプの先端部を前後左右上下から覆うので、より効果的にサクションパイプへ異物が侵入することを防止できる。
【0011】
本発明の洗浄機では、フィルタ孔は、上面、後面及び側面にのみ形成され、下面には形成されていなくてもよい。貯水部底面には、残飯等のゴミが溜まりやすいところ、本構成のポンプフィルタは、貯水部の底面に対向する下面にフィルタ孔が形成されていないので、フィルタ孔からゴミが侵入することを抑制できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、安価に製造することができると共にポンプフィルタを着脱する際の作業性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る食器洗浄機の斜視図である。
【
図3】
図3は、ドア部を開放した状態の
図1の食器洗浄機を斜め上方から見た斜視図である。
【
図4】
図4は、仕切板を取り外した状態の
図1の食器洗浄機の洗浄タンク周辺を斜め上方から見た斜視図である。
【
図5】
図5(a)は、吸引口部材を斜め上方から見た斜視図であり、
図5(b)は、第一ポンプフィルタを斜め上方から見た斜視図である。
【
図6】
図6は、
図1の食器洗浄機の機能構成を示す機能ブロック図である。
【
図7】
図7は、
図1の食器洗浄機の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、変形例2に係る食器洗浄機の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、変形例3に係る食器洗浄機の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して一実施形態に係る食器洗浄機(洗浄機)100について説明する。図面の説明において、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。なお、説明の便宜のため、
図1において、前後方向、左右方向及び上下方向をそれぞれ設定した。なお、図に示される形状、寸法比率、水位位置は、説明する製品のものと必ずしも一致していない。
【0015】
図1に示されるように、一実施形態に係る食器洗浄機100は、洗浄室1Bの前面にドア部15が設けられた小型卓上タイプの洗浄機である。
図1~
図3に示されるように、食器洗浄機100は、本体部1と、ドア部15と、洗浄タンク20と、上側ノズル3と、下側ノズル4と、洗浄ポンプ5と、濯ぎタンク6と、濯ぎポンプ7と、洗剤供給ポンプ8と、リンス剤供給ポンプ9と、コントローラ10(
図6参照)と、を備えている。
【0016】
本体部1は、図示しないフレームと、ステンレス鋼製の外装パネル11と、内装パネル2と、を含んで形成されている。外装パネル11は、左右方向における側面を形成する一対の側部パネル11A,11Aと、上部パネル11Bと、上側前部パネル11Cと、下側前部パネル11Dと、後部パネル11Eと、底部パネル11Fと、を有している。下側前部パネル11Dには、食器洗浄機100の各種動作を操作でき、食器洗浄機100の状態を表示する操作表示部13が設けられている。
【0017】
操作表示部13は、運転モードや各種設定の入力操作を行う部分である。操作表示部13は、各種ボタンやタッチパネルによって構成されてもよいし、本体部1とは別体のリモコン、操作端末等によって構成されてもよい。
【0018】
本体部1の下部領域には、洗浄タンク20と、洗浄ポンプ5と、濯ぎタンク6と、濯ぎポンプ7と、洗剤供給ポンプ8と、リンス剤供給ポンプ9と、を収容する機械室1Aが形成されている。本体部1の上部領域には、食器(被洗浄物)D等を収容する洗浄室1Bが形成されている。洗浄室1Bは、洗浄タンク20の上方の空間であって、内装パネル2によって構成されている。内装パネル2は、主に、一対の側部パネル2A,2Aと、上部パネル(図示せず)と、後部パネル(図示せず)と、を有している。一対の側部パネル2A,2Aの内面には、ラックを支持するラックレール23が形成されている。本体部1には、食器D等がセットされたラックを洗浄室1Bに出し入れする開口部1Cが形成されている。
【0019】
ドア部15は、開口部1Cの外側に配置されている。ドア部15は、開口部1Cを開閉可能に設けられており、ドア部15が開けられると、開口部1Cの内側の洗浄室1Bが本体部1の外部に開放される。ドア部15は、ドア部15の下端において左右方向に延在する軸を回転軸として回動可能に設けられている。作業者は、ドア部15を回動させることによって、洗浄室1Bを開放することができる。
【0020】
洗浄タンク20は、洗浄室1Bの下方に設けられている。洗浄タンク20は、洗浄室1Bに収容された食器D等の洗浄に用いられる洗浄水を貯留する貯留部として機能する。洗浄タンク20は、洗浄室1Bと機械室1Aとを仕切る仕切板22から下方に凹むように形成されている。
図3及び
図4に示されるように、仕切板22は、底部パネル11Fに形成された複数の支持部22cによって支持されている。洗浄タンク20は、側部20cと底部20aとから形成されている。
図2に示されるように、洗浄タンク20には、洗浄水検知部24と、洗浄水温度センサ25Bと、オーバーフロー部29と、第一ポンプフィルタ(ポンプフィルタ)90と、排水ポンプ26と、第二ポンプフィルタ95と、が設けられている。
【0021】
洗浄水検知部24は、洗浄タンク20に貯留された洗浄水の水位を検知する。洗浄水検知部24は、例えば、洗浄タンク20内の水位が定水位H1を超えている場合にONとなり、定水位H1以下の場合にOFFとなるスイッチである。洗浄水検知部24による検知結果は、コントローラ10によって取得される。後段にて詳述する洗浄ポンプ5は、駆動中に空気を吸い込むと、いわゆるエア噛みを起こして上側ノズル3及び下側ノズル4から洗浄水を噴射できなくなる。一実施形態では、洗浄水検知部24が運転中にOFFになったときに洗浄ポンプ5の稼働を停止することで、洗浄ポンプ5による空気の吸い込みを防止する。
【0022】
オーバーフロー部29は、洗浄タンク20において満水位を超えた水を流入させて洗浄タンク20の外部に排水し、洗浄タンク20に貯留される洗浄水の水位を規定する。
【0023】
洗浄タンク20の側部20cには、円形状の貫通孔20bが形成されている。貫通孔20bには、先端部27aが内側に突出するように設けられたサクションパイプ27が設けられている。
図2~
図4に示されるように、サクションパイプ27の先端部27aとは反対側の後端部27bは、洗浄ポンプ5に連通する。サクションパイプ27は、洗浄タンク20の貫通孔20bからサクションパイプ27が抜け出ることを防止する抜止部28が一体的又は着脱可能に設けられている。すなわち、抜止部28は、サクションパイプ27と一体として形成されてもよいし、別体として形成されてもよい。本実施形態では、サクションパイプ27とは別体として形成されている。
【0024】
サクションパイプ27の先端部27aには、吸引口82aを形成する吸引口部材80が設けられている。より詳細には、吸引口部材80は、抜止部28の先端部27a側に隣接して設けられている。
図5(a)に示されるように、吸引口部材80は、サクションパイプ27に連通可能に接続される接続部81と、吸引口部材80の吸引口82aが下方を向くように形成する上方覆い部82と、上方覆い部82の上端(言い替えればサクションパイプ27における先端部27aの上端)に形成される第一被係止部83(第一固定部)と、が形成されている。第一被係止部83は、下方に凹む孔部である。後段にて詳述する第一ポンプフィルタ90に形成される第一係止部93(第一固定部)を挿入可能に形成されている。
【0025】
図4及び
図5(b)に示される第一ポンプフィルタ90は、サクションパイプ27の先端部27aから異物の侵入を防止するフィルタユニットである。第一ポンプフィルタ90は、サクションパイプ27に固定されたときに、先端部27aに向かって開口する開口面91と、側方に位置する一対の側面92a,92aと、上方に位置する上面92bと、先端部27aに対向する後面92cと、下方に位置する下面92dと、を有する、有底筒状の箱体(六面体)である。一対の側面92a,92aと、上面92bと、後面92cには、サクションパイプ27への異物の侵入を防止する長孔状のフィルタ孔94が形成されている。なお、下面92dには、フィルタ孔94は形成されていない。上面92bには、下方に突出する第一係止部93が形成されている。第一係止部93は、開口面91の一部を遮るように形成されている。第一係止部93は、第一被係止部83として形成された孔部に挿入可能に形成されている。
【0026】
第一ポンプフィルタ90は、第一ポンプフィルタ90の第一係止部93が吸引口部材80の第一被係止部83に挿入されることによって、サクションパイプ27に固定されたとき、サクションパイプ27の先端部27aの一部が開口面91の内側に位置するように形成されている。より詳細にヒア、第一ポンプフィルタ90がサクションパイプ27に固定されたとき、先端部27aの前方が後面92cによって、先端部27aの上方が上面92bによって、先端部27aの下方が下面92dよって、先端部27aの側方が一対の側面92a,92aによって覆われる。
【0027】
図2及び洗浄タンク20の底部20aには、円形状の貫通孔20dが形成されている。貫通孔20dには、排水パイプ26Aが接続されている。排水パイプ26Aの先端は貫通孔20dに接続され、排水パイプ26Aの後端は排水ポンプ26に接続されている。排水ポンプ26は、コントローラ10によって制御される。排水ポンプ26は、洗浄タンク20に貯留された水を外部に排出する。
【0028】
図2~
図4に示されるように、第二ポンプフィルタ95は、排水パイプ26Aに異物の侵入を防止するフィルタユニットである。第二ポンプフィルタ95は、貫通孔20dを覆うことが可能に形成された有底筒状の箱体である。箱体を形成する各面には、異物の侵入を防止する長孔状のフィルタ孔96が形成されている。
【0029】
上側ノズル3は、洗浄室1Bの上方に設けられている。上側ノズル3は、洗浄室1Bの上方に設けられた上部支持部21Aに回転自在に設けられている。上側ノズル3は、上側ノズル3における回転軸の回転中心である基端部から半径方向に沿って先端部まで延在するノズル本体部30を有している。ノズル本体部30には、洗浄タンク20に貯留された洗浄水を噴射する洗浄噴射孔31と、回転中心から洗浄噴射孔31まで延在すると共に洗浄水が流通する洗浄流路32と、濯ぎタンク6に貯留された濯ぎ水を噴射する濯ぎ噴射孔33と、回転中心から濯ぎ噴射孔33まで延在すると共に濯ぎ水が流通する濯ぎ流路34と、が一体的に形成されている。上側ノズル3は、洗浄流路32に発生する洗浄水の流れ又は濯ぎ流路34に発生する濯ぎ水の流れが回転力に変換されることによって回転する。上側ノズル3には、洗浄流路32に洗浄水を供給する上側洗浄配管58及び濯ぎ流路34に濯ぎ水を供給する上側濯ぎ配管78が接続されている。
【0030】
下側ノズル4は、洗浄室1Bの下方に設けられている。下側ノズル4は、洗浄室1Bの下方に設けられた下部支持部21Bに回転自在に設けられている。下側ノズル4は、下側ノズル4における回転軸の回転中心である基端部から半径方向に沿って先端部まで延在するノズル本体部40を有している。ノズル本体部40には、洗浄タンク20に貯留された洗浄水を噴射する洗浄噴射孔41と、回転中心から洗浄噴射孔41まで延在すると共に洗浄水が流通する洗浄流路42と、濯ぎタンク6に貯留された濯ぎ水を噴射する濯ぎ噴射孔43と、回転中心から濯ぎ噴射孔43まで延在すると共に濯ぎ水が流通する濯ぎ流路44と、が一体的に形成されている。下側ノズル4は、洗浄流路42に発生する洗浄水の流れ又は濯ぎ流路44に発生する濯ぎ水の流れが回転力に変換されることによって回転する。下側ノズル4には、洗浄流路42に洗浄水を供給する下側洗浄配管59及び濯ぎ流路44に濯ぎ水を供給する下側濯ぎ配管79が接続されている。
【0031】
食器ラックに並べられた食器Dは、洗浄工程において上側ノズル3及び下側ノズル4によって洗浄水が噴射され、濯ぎ工程において上側ノズル3及び下側ノズル4によって濯ぎ水が噴射される。
【0032】
洗浄ポンプ5は、機械室1Aに配置されている。洗浄ポンプ5は、食器D等を収容する洗浄室1Bに洗浄タンク20に貯留された洗浄水を送り出す。洗浄ポンプ5は、洗浄タンク20の洗浄水を取り込み、上側ノズル3及び下側ノズル4に洗浄水を送り出す。洗浄ポンプ5の第一吐出口5aには、上側洗浄配管58が接続されている。上側洗浄配管58は、上側ノズル3に接続されている。洗浄ポンプ5の第二吐出口5bには、下側洗浄配管59が接続されている。下側洗浄配管59は、下側ノズル4に接続されている。
【0033】
濯ぎタンク6は、機械室1Aに配置されている。濯ぎタンク6は、食器D等の濯ぎに用いられる濯ぎ水を貯留する。濯ぎタンク6には、外部の水源から給水管60を介して水が供給される。給水管60には、ストレーナ60Aが設けられている。給水管60におけるストレーナ60Aの下流側には、給水弁65が設けられている。給水弁65は、給水管60の開閉を行う供給弁66と供給弁66を駆動する駆動部67とを有し、濯ぎタンク6への水の供給の有無を切り替える。駆動部67の例には、ソレノイドが含まれる。駆動部67は、コントローラ10によって制御される。
【0034】
濯ぎタンク6には、濯ぎ水検知部62と、オーバーフロー部63と、濯ぎ水ヒータ64Aと、濯ぎ水温度センサ64Bと、が設けられている。
【0035】
濯ぎ水検知部62は、濯ぎタンク6に貯留された水が、定水位H2にあることを検知するスイッチである。濯ぎ水検知部62の検知結果は、コントローラ10によって取得される。駆動部67は、コントローラ10によって制御されている。例えば、コントローラ10は、濯ぎ水検知部62における定水位H2の検知と連動して駆動部67を制御して弁を開閉し、濯ぎタンク6に貯留される濯ぎ水の水位を一定に維持する。
【0036】
オーバーフロー部63は、濯ぎタンク6において定水位H2よりも高い水位である高水位H3を超えた水を排出する。濯ぎタンク6では、例えば、給水弁65が閉弁異常となったときに、高水位H3を超えて供給された水が排出される。濯ぎタンク6に貯留される水の水位が高水位H3以下の場合には、オーバーフロー部63の開口部は水中から露出しており、外部空間と連通する。
【0037】
濯ぎ水ヒータ64Aは、殺菌能力及び濯ぎ能力を向上させるために濯ぎタンク6に貯留された濯ぎ水を加熱する。濯ぎ水温度センサ64Bは、濯ぎ水の温度を検知する。濯ぎ水温度センサ64Bの例は、温度の小さな変化に比例して抵抗値が大きく変化する焼結半導体から形成されるサーミスタである。濯ぎ水温度センサ64Bによる検知結果は、コントローラ10によって取得される。濯ぎ水ヒータ64AにおけるON・OFFは、コントローラ10によって制御される。
【0038】
濯ぎポンプ7は、濯ぎタンク6に貯留された濯ぎ水を取込管77Aを介して取り込み、食器D等を収容する洗浄室1Bに送り出す。より詳細には、濯ぎポンプ7は、上側ノズル3及び下側ノズル4を介して、洗浄室1Bに濯ぎ水を送り出す。濯ぎポンプ7の吐出口には、濯ぎ配管77を介して上側濯ぎ配管78と下側濯ぎ配管79とが接続されている。上側濯ぎ配管78は、上側ノズル3に接続されている。下側濯ぎ配管79は、下側ノズル4に接続されている。
【0039】
洗剤供給ポンプ8は、機械室1Aに配置されている。洗剤供給ポンプ8は、洗剤タンク8A内に貯留された洗剤を配管8Bを介して洗浄室1Bに供給する。洗浄室1B内に吐出された洗剤は、洗浄タンク20内に流れ込み、洗浄水と混じり合う。リンス剤供給ポンプ9は、機械室1Aに配置されている。リンス剤供給ポンプ9は、リンス剤タンク9Aに貯留されたリンス剤を配管9Bを介して濯ぎ配管77に供給する。濯ぎ配管77に供給されたリンス剤は、濯ぎ水と混じり合い、上側ノズル3及び下側ノズル4を介して洗浄室1Bに供給される。
【0040】
コントローラ10は、本体部1における上部パネル11Bと洗浄室1Bを構成する上部パネルとの間に配置されている。コントローラ10は、例えば、濯ぎ水ヒータ64Aや給水弁65の駆動部67等、食器洗浄機100における動作全般を制御する。コントローラ10は、集積回路に実装されたコンピュータシステムあるいはプロセッサである。コントローラ10は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及び入出力インターフェース等から構成される。ROMには、各種プログラム又はデータが格納されている。
【0041】
以下、本実施形態の食器洗浄機100の動作(制御)について説明する。本実施形態の食器洗浄機100では、洗浄タンク20内に洗浄タンク20に貯留された水を昇温する洗浄水ヒータが設けられていない。したがって、洗浄タンク20に貯留された水の温度は、時間の経過と共に低下する。
図7に示されるように、上述した構成の食器洗浄機100では、濯ぎタンク6に貯留された水を洗浄室1Bに供給して(ステップS1)、洗浄タンク20に洗浄水を貯留した後、洗浄タンク20に貯留された水を上側ノズル3及び下側ノズル4から噴射させることによって食器Dを洗浄する(ステップS2)。次に、排水ポンプ26を制御して、洗浄タンク20に貯留された水を排出する(ステップS3)。上記ステップS1~ステップS3の工程を「洗浄工程」と称する。次に、濯ぎタンク6に貯留された水を上側ノズル3及び下側ノズル4から噴射させることによって食器Dを濯ぐ(ステップS4)。この食器Dを濯ぐ工程を「濯ぎ工程」と称する。
【0042】
本実施形態の食器洗浄機100では、作業者によって電源が投入されてから電源が落とされるまで、上記洗浄工程と濯ぎ工程とを一サイクルとする洗浄サイクルを繰り返す。
【0043】
本実施形態の食器洗浄機100では、濯ぎ工程が終了してからの経過時間(待機時間)を計測する(ステップS5)。コントローラ10は、濯ぎ工程の終了をトリガーとして、タイマーを作動させる。本実施形態の食器洗浄機100では、濯ぎ工程終了後(タイマーの作動開始後)、所定時間以内に次の洗浄開始命令を受け付けると(ステップS6:YES)、濯ぎ工程によって洗浄タンク20に貯留された水を利用して次の洗浄工程を実施する。
【0044】
一方、所定時間(例えば、6分30秒)を経過すると(ステップS7:YES)、濯ぎ工程において洗浄タンク20に貯留された水を排出する(ステップS8)。所定時間を経過すると、濯ぎ工程において洗浄タンク20に貯留された水の温度が低下し、十分な洗浄能力が得られないと考えられるためである。なお、洗浄タンク20内に貯留された水が60℃であった場合、3分で約10℃低下することからも、洗浄能力が低下することは明らかである。
【0045】
上記所定時間以内に次の洗浄開始命令を受け付けた場合には(ステップS6:YES)、濯ぎ工程が終了してから洗浄開始命令を受け付けたときまでの時間(待機時間)を取得する(ステップS11)。本実施形態では、ステップS11で取得される待機時間に基づいて、次の洗浄工程において、上側ノズル3及び下側ノズル4から洗浄水を噴射させるときの(ステップS2)噴射時間を決定する(ステップS12)。すなわち、次の洗浄工程における上側ノズル3及び下側ノズル4における噴射時間を自動的に切り替える。例えば、待機時間が3分以上であった場合、次の洗浄工程における上側ノズル3及び下側ノズル4における噴射時間を通常の2倍とする。
【0046】
本実施形態では、濯ぎ工程が終了してから所定時間を経過した洗浄タンク20に貯留された水については、十分な洗浄能力が得られないとして排出されるものの、所定時間以内であっても、濯ぎ工程が終了してから時間が経過するに連れて洗浄能力は低下する。その点、本実施形態の食器洗浄機100では、前サイクルにおいて洗浄タンク20に貯留された水を次のサイクルの洗浄工程で用いる場合であっても、待機時間に基づいて次の洗浄工程における上側ノズル3及び下側ノズル4における噴射時間を切り替えるので、次のサイクルでの洗浄能力の低下を抑制することができる。
【0047】
なお、前サイクルにおいて洗浄タンク20に貯留された水を洗浄工程で用いる場合であっても、次の洗浄工程(ステップS2)において洗浄能力の低下を抑制する手法は、上記実施形態以外にも以下の実施形態が考えられる。
【0048】
第二の実施形態は、ステップS11で取得される待機時間に基づいて、次の洗浄工程において、給水(ステップS1)、洗浄(ステップS2)及び排水(ステップS3)をやり直す(追加洗浄を実施する)か否かという決定をする(ステップS14)。例えば、ステップS11において取得された待機時間が3分以上であった場合、一度、洗浄タンク20に貯留されている水を排出して(ステップS13)、給水(ステップS1)、洗浄(ステップS2)及び排水(ステップS3)からなる洗浄工程をやり直す。例えば、ステップS11において取得された待機時間が3分未満であった場合、追加洗浄を実施しない。すなわち、洗浄(ステップS2)と排水(ステップS3)とを実施する。第二の実施形態であっても、待機時間に基づいて次の洗浄工程において給水からやり直すので、次のサイクルでの洗浄能力の低下を抑制することができる。
【0049】
第三の実施形態は、第二の実施形態を少し変形させたものであり、ステップS11において取得された待機時間に応じて、ステップS13において洗浄タンク20から排出させる水の量を切り替えるというものである。例えば、ステップS14において追加洗浄を実施するという決定をする(ステップS14)。ステップS11において取得された待機時間が3分以上であった場合、洗浄タンク20に貯留されている水の50%を排出して(ステップS13)、洗浄タンク20が定水位H1になるまで給水(ステップS1)、洗浄(ステップS2)及び排水(ステップS3)からなる洗浄工程をやり直す。第三の実施形態であっても、待機時間に基づいて次の洗浄工程において給水からやり直すので、次のサイクルでの洗浄能力の低下を抑制することができる。更に、第三の実施形態は、上記の排水を洗浄運転前に実施することで、洗浄タンク20に貯留される水の温度が適温になり、洗浄能力に優れる、また、第三の実施形態は、洗浄タンク20に貯留される水を全排水及び全給水する場合と比べて、節水をすることができる。
【0050】
第四の実施形態は、ステップS11において取得される待機時間に基づいて、作業者に向けて洗剤の増量を促す発報をする(ステップS15)。例えば、ステップS11において取得された待機時間が3分以上であった場合、操作表示部13に洗剤の増量を促す発報をさせる。ここで、洗浄工程において洗剤量を増やした場合、洗浄能力を向上させることができる。第四の実施形態では、待機時間に基づいて次の洗浄工程において投入される洗剤量を調整できるので、次のサイクルでの洗浄能力の低下を抑制することができる。また、第四の実施形態では、洗浄時間の延長、使用水量を増加させることなく、必要な洗浄能力を確保できる。
【0051】
次に、上記実施形態の食器洗浄機100の作用効果について説明する。上記実施形態の食器洗浄機100では、洗浄タンク20の側部20cから飛び出すサクションパイプ27の上端に形成された第一被係止部83に、第一ポンプフィルタ90に形成された下方に突出する第一係止部93を洗浄タンク20の上方から挿入するだけの簡易な作業によってサクションパイプ27と第一ポンプフィルタ90とを固定することができる。また、上記と逆の簡易な作業によって、サクションパイプ27から第一ポンプフィルタ90を取り外すことができる。また、第一係止部93及び第一被係止部83は、挿入部分と突出部分とを形成するだけの簡易な構成なので、安価に製造することができる。また、本実施形態の食器洗浄機100では、吸引口28aが下方を向くように形成されているので、サクションパイプ27による空気の吸い込みを抑制できる。
【0052】
上記実施形態の食器洗浄機100では、第一ポンプフィルタ90は、サクションパイプ27に固定されたときに、開口面91と、後面92cと、上面92bと、一対の側面92a,92aと、下面92dと、を有する、有底筒状の箱体であり、第一ポンプフィルタ90は、サクションパイプ27に固定されたとき、先端部27aの一部が開口面91の内側に位置するように形成されている。この構成では、第一ポンプフィルタ90がサクションパイプ27の先端部27aを前後左右上下から覆うので、より効果的にサクションパイプ27へ異物が侵入することを防止できる。
【0053】
上記実施形態の食器洗浄機100では、フィルタ孔94は、上面92b、後面92c及び一対の側面92a,92aにのみ形成され、下面92dには形成されていない。これにより、洗浄タンク20の底部20aには、残飯等のゴミが溜まりやすいところ、本構成の第一ポンプフィルタは、洗浄タンク20の底部20aに対向する下面92dにフィルタ孔94が形成されていないので、フィルタ孔94からゴミが侵入することを抑制できる。
【0054】
なお、上記実施形態の食器洗浄機100の特徴的な動作は、洗浄タンク20において、洗浄水ヒータが設けられていないタイプの食器洗浄機を例に挙げて説明したが、洗浄水ヒータを備えるタイプの食器洗浄機においても同様の効果を発揮する。
【0055】
以上、一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【0056】
(第一変形例)
上記実施形態では、サクションパイプ27と第一ポンプフィルタ90とを固定する固定部が、第一ポンプフィルタ90に形成された下方に突出する第一係止部93と、第一係止部93を挿入可能に設けられ、サクションパイプ27の上端に形成された第一被係止部83と、によって構成された例を挙げて説明したがこれに限定されない。例えば、サクションパイプ27と第一ポンプフィルタ90とを固定する固定部(第二固定部)は、サクションパイプ27の上端に形成された上方に突出する第二係止部(図示せず)と、第二係止部を挿入可能に設けられ、第一ポンプフィルタ90に形成される第二被係止部(図示せず)と、によって構成されてもよい。第二被係止部は、例えば、上面92bに形成することができる。この場合も、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。なお、第一変形例に係る構成は、洗浄水ヒータを備えるタイプの食器洗浄機においても同様の効果を発揮する。
【0057】
(第二変形例)
第二変形例では、上記実施形態及び上記第一変形例における動作のうち、次のサイクルでの洗浄能力の低下を抑制する動作に代えて、下記の動作(制御)を実施する。なお、第二変形例では、上述した濯ぎタンク6、給水弁65、濯ぎ水検知部62、オーバーフロー部63、濯ぎ水ヒータ64A、濯ぎ水温度センサ64Bによって構成される濯ぎ水供給装置68が内臓されておらず、外部の濯ぎ水供給装置によって供給される、給湯直結式の食器洗浄機において特に効果を発揮する。また、上記実施形態と同様に、第二変形例の食器洗浄機100では、洗浄タンク20内に洗浄タンク20に貯留された水を昇温する洗浄水ヒータが設けられていない。したがって、洗浄タンク20に貯留された水の温度は、時間の経過と共に低下する。
【0058】
例えば、
図8に示されるように、濯ぎタンク6に貯留された水を洗浄室1Bに供給して洗浄タンク20に洗浄水を貯留したとき(ステップS1)、洗浄タンク20に貯留された洗浄水の温度を取得する(ステップS21)。洗浄タンク20に貯留された洗浄水の温度は、洗浄水温度センサ25Bによって取得されてもよいし、外部の濯ぎ水供給装置から供給される温度情報を取得してもよいし、食器洗浄機100において設定値として予め記憶させてもよい(ユーザによって任意に設定されてもよい)。なお、上記実施形態と同じステップ番号を有するステップは、上記実施形態と同じ内容を実施するので、ここでの詳細な説明は省略する。
【0059】
例えば、第二変形例の食器洗浄機100では、ステップS21において取得された温度に基づいて、洗浄工程における上側ノズル3及び下側ノズル4からの噴射時間を決定し(ステップS22)、ステップS2における噴射時間を自動的に設定することができる。例えば、ステップS21において取得された温度に基づいて、ステップS2における噴射時間を、下記の表1のように変更することができる。
【表1】
【0060】
このような動作(制御)によれば、洗浄タンク20に貯留された水の温度による洗浄能力の過不足を補填し、給湯温度が高い場合には上側ノズル3及び下側ノズル4の作動時間を短縮できるので、消費電力量の低減化を図ることができる。また、給湯温度が低い場合には上側ノズル3及び下側ノズル4の作動時間を延長できるので、洗浄能力の低下を抑制できる。
【0061】
第二変形例では、上記ステップS21に代えて、ステップS21において取得された温度に基づいて、洗浄(ステップS2)及び排水(ステップS3)の後の追加洗浄、すなわち、給水(ステップS31)、洗浄(ステップS32)及び排水(ステップS33)を含んで構成される追加洗浄の繰り返し回数を決定し、上記追加洗浄の繰り返し回数を自動的に設定してもよい。例えば、ステップS21において取得された温度に基づいて、上記追加設定の繰り返し回数を、下記の表2のように変更することができる。
【表2】
【0062】
このような動作(制御)によれば、洗浄タンク20に貯留された水の温度による洗浄能力の過不足を補填し、給湯温度が高い場合には追加洗浄の回数を低減できるので、消費水量の低減化を図ることができる。また、給湯温度が低い場合には追加洗浄の回数を増やすことができるので、洗浄能力の低下を抑制できる。また、この変形例では、従来の洗浄工程と濯ぎ工程との間に追加洗浄を設けることで、濯ぎ工程の回数を低減することができるため、消費水量を減らすことができる。
【0063】
更に、第二変形例では、上記ステップS21に代えて、ステップS21において取得された温度に基づいて、作業者に向けて洗剤の増量を促す発報をしてもよい(ステップS15)。例えば、ステップS21において取得された温度が、50℃以下の場合、操作表示部13に洗剤の増量を促す発報をさせる。ここで、洗浄工程において洗剤量を増やした場合、洗浄能力を向上させることができる。この変形例では、洗浄タンク20へ供給された水の温度に基づいて洗浄工程において投入される洗剤量を調整できるので、洗浄能力の低下を抑制することができる。また、この変形例では、洗浄時間の延長、使用水量を増加させることなく、必要な洗浄能力を確保できる。
【0064】
なお、第二変形例に係る食器洗浄機100の特徴的な動作は、洗浄タンク20において、洗浄水ヒータが設けられていないタイプの食器洗浄機を例に挙げて説明したが、洗浄水ヒータを備えるタイプの食器洗浄機においても、例えば、洗浄水ヒータが故障して洗浄水ヒータの昇温機能が低下した場合等に同様の効果を発揮する。
【0065】
(第三変形例)
第三変形例では、上記実施形態、上記第一変形例及び第二変形例における動作に加え、下記の動作(制御)を実施する。なお、第三変形例では、第二変形例と同様に、濯ぎ水供給装置68が内臓されておらず、外部の濯ぎ水供給装置によって供給される、給湯直結式の食器洗浄機において特に効果を発揮する。また、上記実施形態と同様に、第二変形例の食器洗浄機100では、洗浄タンク20内に洗浄タンク20に貯留された水を昇温する洗浄水ヒータが設けられていない。したがって、洗浄タンク20に貯留された水の温度は、時間の経過と共に低下する。
【0066】
例えば、
図9に示されるように、第三変形例に係る食器洗浄機100は、濯ぎタンク6に貯留された水を洗浄室1Bに供給して食器Dを濯いだとき(ステップS4)の、洗浄タンク20に貯留された洗浄水の温度を取得する(ステップS41)。洗浄タンク20に貯留された洗浄水の温度は、外部の濯ぎ水供給装置から供給される温度情報を取得してもよいし、食器洗浄機100において設定値として予め記憶させてもよい(ユーザによって任意に設定されてもよい)。
【0067】
また、所定時間以内に次の洗浄開始命令を受け付けた場合には(ステップS6:YES)、濯ぎ工程が終了してから洗浄開始命令を受け付けたときまでの時間(待機時間)を取得する(ステップS11)。なお、上記実施形態と同じステップ番号を有するステップは、上記実施形態と同じ内容を実施するので、ここでの詳細な説明は省略する。
【0068】
例えば、第三変形例の食器洗浄機100では、ステップS41において取得された温度と、ステップS11において取得される待機時間とに基づいて、次のサイクルのステップS2において上側ノズル3及び下側ノズル4から噴射される水の温度を推定する(ステップS42)。そして、ステップS42において、次サイクルの洗浄サイクルにて噴射される水の推定温度(以下、単に「推定温度」と称する。)に基づいて、次の洗浄工程における上側ノズル3及び下側ノズル4からの噴射時間を決定し(ステップS43)、ステップS2における噴射時間を自動的に設定する。例えば、ステップS41において取得された温度と、ステップS11において取得される待機時間と、に基づいて洗浄温度を推定し(ステップS42)、この推定温度に基づいて次のサイクルのステップS2における噴射時間を、下記の表3のように変更することができる。このときの噴射時間の決定(ステップS43)は、ステップS11において取得される待機時間が3分以上のときのみ実施するように構成してもよい。
【表3】
【0069】
なお、ステップS42における洗浄温度の推定は、ステップS21において取得された温度と、ステップS11において取得される待機時間と、所定時間あたりの温度低下量(例えば、3分間で10℃低下等)と、に基づいて推定することができる。
【0070】
上記実施形態では、濯ぎ工程が終了してから所定時間を経過した洗浄タンク20に貯留された水については、十分な洗浄能力が得られないとして排出されるものの、所定時間以内であっても、濯ぎ工程が終了してから時間が経過するに連れて洗浄能力は低下する。また、ステップS4において給水される水の温度が低い場合には、より一層の洗浄能力の低下が予想される。その点、第三変形例の食器洗浄機100の動作(制御)では、前サイクルにおいて洗浄タンク20に貯留された水を次のサイクルの洗浄工程で用いる場合であっても、次サイクルの洗浄時に噴射される水の温度に基づいて次の洗浄工程における上側ノズル3及び下側ノズル4における噴射時間を切り替える(洗浄時に噴射される水の温度低下を噴射時間を長くすることによって担保する)ので、次のサイクルでの洗浄能力の低下を抑制することができる。また、次サイクルの洗浄時に噴射される水の温度低下が見込まれない場合には、従来の洗浄時間(最短の時間)にて洗浄を実施することができることから、無駄な電力消費を低減することができる。
【0071】
第三変形例では、次サイクルにおいて前サイクルの濯ぎ工程において洗浄タンク20において貯留された水を利用するとき、洗浄タンク20の水を一部入れ替える。具体的には、ステップS44に示されるように、洗浄タンク20に貯留された水の一部を排水し、ステップS1において、ステップS44において排水された水の量だけ給水する。第三変形例では、次サイクルの洗浄を開始する前に、この一部排水と給水とを所定回数繰り返す。そして、第三変形例では、ステップS43に代えて、この洗浄前の給排水回数を、ステップS42において推定される次サイクルの洗浄サイクルにて噴射される水の推定温度に基づいて決定してもよい(ステップS45)。
【0072】
例えば、ステップS41において取得された温度と、ステップS11において取得される待機時間と、に基づいて洗浄温度を推定し(ステップS42)、この推定温度に基づいて洗浄前の給排水回数を、下記の表4のように変更することができる。このときの噴射時間の決定(ステップS43)は、ステップS11において取得される待機時間が3分以上のときのみ実施するように構成してもよい。
【表4】
【0073】
この第三変形例の食器洗浄機100の動作(制御)では、前サイクルにおいて洗浄タンク20に貯留された水を次のサイクルの洗浄工程で用いる場合であっても、次サイクルの洗浄時に噴射される水の温度に基づいて次の洗浄工程前の給排水回数を切り替える(洗浄時に噴射される水の温度低下を給排水回数を多くすることによって担保する)ので、次のサイクルでの洗浄能力の低下を抑制することができる。また、次サイクルの洗浄時に噴射される水の温度低下が見込まれない場合には、従来の給排水回数(最短の回数)にて洗浄を実施することができることから、無駄な電力消費を低減することができる。
【0074】
第三変形例では、上記ステップS43に代えて、ステップS42において推定される次サイクルの洗浄サイクルにて噴射される水の推定温度に基づいて、洗浄(ステップS2)及び排水(ステップS3)の後の追加洗浄、すなわち、給水、洗浄及び排水を含んで構成される追加洗浄の繰り返し回数を決定し(ステップS46)、上記追加洗浄の繰り返し回数を自動的に設定してもよい。例えば、ステップS42において取得された推定温度に基づいて、上記追加設定の繰り返し回数を、下記の表5のように変更することができる。
【表5】
【0075】
この第三変形例の食器洗浄機100では、前サイクルにおいて洗浄タンク20に貯留された水を次のサイクルの洗浄工程で用いる場合であっても、次サイクルの洗浄時に噴射される水の温度に基づいて次の洗浄工程の繰り返し回数を切り替える(洗浄時に噴射される水の温度低下を洗浄工程の繰り返し回数を多くすることによって担保する)ので、次のサイクルでの洗浄能力の低下を抑制することができる。また、次サイクルの洗浄時に噴射される水の温度低下が見込まれない場合には、従来の洗浄工程の回数(最短の回数)にて洗浄を実施することができることから、無駄な電力消費を低減することができる。
【0076】
第三変形例では、上記ステップS43に代えて、ステップS42において推定される次サイクルの洗浄サイクルにて噴射される水の推定温度に基づいて、洗浄工程において投入すべき必要洗剤量を決定し(ステップS47)、次回の洗浄工程において、操作表示部13に表示する投入洗剤量の表示を変更してもよい。なお、第三変形例は、洗剤が自動で投入されないタイプ(洗剤供給ポンプ8を備えないタイプ)の食器洗浄機100において実装することができる。例えば、ステップS42において取得された推定温度に基づいて、上記必要洗剤量を、下記の表6のように変更することができる。なお、8gは、付属の計量スプーン一杯分の分量なので、作業者は操作表示部13に表示される洗剤量を見て、投入する洗剤量を容易に調整することができる。
【表6】
【0077】
また、洗剤供給ポンプ8を備えるタイプの食器洗浄機100においては、操作表示部13に表示する投入洗剤量の表示変更に代えて、洗剤供給ポンプ8が供給する洗剤量を自動的に制御してもよい。
【0078】
この第三変形例の食器洗浄機100では、前サイクルにおいて洗浄タンク20に貯留された水を次のサイクルの洗浄工程で用いる場合であっても、次サイクルの洗浄時に噴射される水の温度に基づいて次の洗浄工程で用いられる洗剤量を調整できる(洗浄時に噴射される水の温度低下を洗浄工程の洗剤量を多くすることによって担保する)ので、次のサイクルでの洗浄能力の低下を抑制することができる。また、次サイクルの洗浄時に噴射される水の温度低下が見込まれない場合には、従来の洗剤量(最小の洗剤量)にて洗浄を実施することができることから、無駄な洗剤消費を低減することができる。
【0079】
なお、第三変形例に係る食器洗浄機100の特徴的な動作は、洗浄タンク20において、洗浄水ヒータが設けられていないタイプの食器洗浄機を例に挙げて説明したが、洗浄水ヒータを備えるタイプの食器洗浄機においても、例えば、洗浄水ヒータが故障して洗浄水ヒータの昇温機能が低下した場合等に同様の効果を発揮する。
【0080】
上記実施形態及び変形例は、本体部1の前面側にドア部15が設けられたタイプの食器洗浄機100に適用するだけでなく、例えば、ドア部が上下に開閉するタイプの食器洗浄機、コンベア等の搬送装置によって一方向に食器等を搬送しながら食器等を洗浄するコンベアタイプの食器洗浄機等にも適用することができる。
【0081】
上記実施形態及び変形例では、濯ぎ水供給装置68は、食器洗浄機100に搭載される例を挙げて説明したが、例えば、食器洗浄機100とは別体として構成されるガスブースタに搭載されてもよい。
【0082】
上記実施形態及び変形例では、洗剤供給ポンプ8及びリンス剤供給ポンプ9を備え、洗剤やリンス剤が自動投入されるタイプの食器洗浄機100を例に挙げて説明したが、洗剤やリンス剤は、作業者によって手動で投入されるタイプの食器洗浄機100であってもよい。
【0083】
本願発明は、上記実施形態及びその他の変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0084】
10…コントローラ、13…操作表示部、15…ドア部、20…洗浄タンク、20a…底部、20c…側部、26…排水ポンプ、27…サクションパイプ、27a…先端部、27b…後端部、28a…吸引口、68…濯ぎ水供給装置、80…吸引口部材、82a…吸引口、83…第一被係止部(第一固定部)、90…第一ポンプフィルタ(ポンプフィルタ)、91…開口面、92a…側面、92b…上面、92c…後面、92d…下面、93…第一係止部(第一固定部)、94…フィルタ孔、95…第二ポンプフィルタ、96…フィルタ孔、100…食器洗浄機(洗浄機)、D…食器。