(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024105004
(43)【公開日】2024-08-06
(54)【発明の名称】原価管理装置、製造支援システム、原価管理方法及び原価管理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/12 20230101AFI20240730BHJP
【FI】
G06Q40/12
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023009492
(22)【出願日】2023-01-25
(71)【出願人】
【識別番号】390014672
【氏名又は名称】株式会社アマダ
(74)【代理人】
【識別番号】110001612
【氏名又は名称】弁理士法人きさらぎ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼▲崎▼ 尚子
(72)【発明者】
【氏名】岩井 義樹
【テーマコード(参考)】
5L040
5L055
【Fターム(参考)】
5L040BB63
5L055BB63
(57)【要約】
【課題】ユーザの負担を軽減しつつ適切な原価管理ができる原価管理装置、製造支援システム、原価管理方法及び原価管理プログラム。
【解決手段】表示部と制御部を備え、前記制御部は、一又は複数の部品を含む製品の製造にかかった実績時間を取得する実績時間取得処理と、前記実績時間を用いて前記製品の実績反映原価を算出する実績反映原価算出処理と、前記実績反映原価が所定の第1の許容範囲内であるかどうかを判定する実績反映原価判定処理と、前記実績反映原価が前記第1の許容範囲外であると判定した場合には、前記実績反映原価を要確認原価として抽出する要確認原価抽出処理と、抽出した前記要確認原価を前記表示部に表示する要確認原価表示処理とを実行可能に構成されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部と制御部を備え、
前記制御部は、
一又は複数の部品を含む製品の製造にかかった実績時間を取得する実績時間取得処理と、
前記実績時間を用いて前記製品の実績反映原価を算出する実績反映原価算出処理と、
前記実績反映原価が所定の第1の許容範囲内であるかどうかを判定する実績反映原価判定処理と、
前記実績反映原価が前記第1の許容範囲外であると判定した場合には、前記実績反映原価を要確認原価として抽出する要確認原価抽出処理と、
抽出した前記要確認原価を前記表示部に表示する要確認原価表示処理と
を実行可能に構成されている
原価管理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記実績時間取得処理において、前記製品の一連の製造工程の前記製造工程毎に前記実績時間を取得すると共に、前記実績反映原価算出処理において、前記製造工程毎に前記実績反映原価を算出する
請求項1に記載の原価管理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記製品の過去の前記実績反映原価に基づいて前記実績反映原価の前記第1の許容範囲を定める
請求項1又は2に記載の原価管理装置。
【請求項4】
入力部を備え、
前記入力部は、ユーザが前記入力部を介して手動により前記実績反映原価の前記第1の許容範囲を任意の範囲に変更可能に構成されている
請求項1又は2に記載の原価管理装置。
【請求項5】
前記制御部は、
取得した前記実績時間が所定の第2の許容範囲内であるかどうかを判定する実績時間判定処理を更に実行可能に構成されると共に、前記実績時間が前記第2の許容範囲外であると判定した場合には、前記実績反映原価算出処理を実行しないように構成されている
請求項1又は2に記載の原価管理装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記実績時間の前記第2の許容範囲を前記製品の過去の前記実績時間のヒストグラムに基づいて定めるように構成されている
請求項5に記載の原価管理装置。
【請求項7】
前記実績反映原価は、前記実績時間と、前記製品の製造に係る設備及び作業者のアワーレートとに基づいて算出される。
請求項1又は2に記載の原価管理装置。
【請求項8】
前記アワーレートは、複数の前記設備で共通する標準的な値が設定されると共に、前記設備毎に異なる値を設定可能に構成されている
請求項7に記載の原価管理装置。
【請求項9】
前記アワーレートは、複数の前記作業者で共通する標準的な値が設定されると共に、前記作業者毎に異なる値を設定可能に構成されている
請求項7に記載の原価管理装置。
【請求項10】
前記制御部は、複数の被演算子を組み合わせた分析条件に基づいて前記製品の原価に関する情報を分析可能に構成されており、
前記被演算子の候補は、前記製品の標準原価と、前記製品の前記実績反映原価とを含む
請求項1又は2に記載の原価管理装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記製品の前記実績反映原価を順次記憶可能に構成されると共に、記憶した前記実績反映原価の一覧を前記表示部に表示するよう構成されている
請求項1又は2に記載の原価管理装置。
【請求項12】
表示部と制御部を含む原価管理装置と、
加工機と
を備え、
前記原価管理装置の前記制御部は、
一又は複数の部品を含む製品の製造にかかった実績時間を取得する実績時間取得処理と、
前記実績時間を用いて前記製品の実績反映原価を算出する実績反映原価算出処理と、
前記実績反映原価が所定の第1の許容範囲内であるかどうかを判定する実績反映原価判定処理と、
前記実績反映原価が前記第1の許容範囲外であると判定した場合には、前記実績反映原価を要確認原価として抽出する要確認原価抽出処理と、
抽出した前記要確認原価を前記表示部に表示する要確認原価表示処理と
を実行可能に構成されており、
前記加工機は、前記実績時間を記録可能に構成されると共に、記録した前記実績時間を前記原価管理装置に送信するように構成されている
製造支援システム。
【請求項13】
表示部と制御部を含む原価管理装置と、
実績登録端末と
を備え、
前記原価管理装置の前記制御部は、
一又は複数の部品を含む製品の製造にかかった実績時間を取得する実績時間取得処理と、
前記実績時間を用いて前記製品の実績反映原価を算出する実績反映原価算出処理と、
前記実績反映原価が所定の第1の許容範囲内であるかどうかを判定する実績反映原価判定処理と、
前記実績反映原価が前記第1の許容範囲外であると判定した場合には、前記実績反映原価を要確認原価として抽出する要確認原価抽出処理と、
抽出した前記要確認原価を前記表示部に表示する要確認原価表示処理と
を実行可能に構成されており、
前記実績登録端末は、前記実績時間を記録可能に構成されると共に、記録した前記実績時間を前記原価管理装置に送信するように構成されている
製造支援システム。
【請求項14】
一又は複数の部品を含む製品の製造にかかった実績時間を原価管理装置により取得する実績時間取得工程と、
前記実績時間を用いて前記製品の実績反映原価を前記原価管理装置により算出する実績反映原価算出工程と、
前記実績反映原価が所定の第1の許容範囲内かどうかを前記原価管理装置により判定する実績反映原価判定工程と、
前記実績反映原価が前記第1の許容範囲外であった場合には、前記原価管理装置により前記実績反映原価を要確認原価として抽出する要確認原価抽出工程と、
抽出した前記要確認原価を前記原価管理装置の表示部に表示する要確認原価表示工程と
を備える
原価管理方法。
【請求項15】
一又は複数の部品を含む製品の製造にかかった実績時間を取得する実績時間取得処理と、
前記実績時間を用いて前記製品の実績反映原価を算出する実績反映原価算出処理と、
前記実績反映原価が所定の第1の許容範囲内かどうかを判定する実績反映原価判定処理と、
前記実績反映原価が前記第1の許容範囲外であった場合には、前記実績反映原価を要確認原価として抽出する要確認原価抽出処理と、
抽出した前記要確認原価を表示部に表示する要確認原価表示処理と
を原価管理装置に実行させる
原価管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原価管理装置、製造支援システム、原価管理方法及び原価管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、板金加工の工程について想定される費用である想定原価を算出する想定原価算出部と、その工程について実際に生じた費用である実績原価を算出する実績原価算出部と、想定原価に対する実績原価の差を利益として算出する利益算出部とを備えた原価管理装置がある(特許文献1等)。想定原価は、工程情報に係る工程について想定される加工時間である想定加工時間と、工程情報に係る工程についての時間当たりに要する費用との積により算出される。また、実績原価は、工程情報に係る工程について実際に要した加工時間である実績加工時間と、工程情報に係る工程についての時間当たりに要する費用との積により算出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の原価管理装置では、単に想定原価と、実績原価と、想定原価に対する実績原価の差とを算出するだけであり、想定原価の妥当性の検討や実績原価の見直し等は、全てユーザに委ねられており、適切な原価管理を行う上では、ユーザの負担が大きいだけでなく、経理及び製造の幅広い知識やデータ処理の技能が求められるという問題がある。
【0005】
本発明の一態様は、ユーザの負担を軽減しつつ適切な原価管理ができる原価管理装置、製造支援システム、原価管理方法及び原価管理プログラムである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る原価管理装置は、表示部と制御部を備え、前記制御部は、一又は複数の部品を含む製品の製造にかかった実績時間を取得する実績時間取得処理と、前記実績時間を用いて前記製品の実績反映原価を算出する実績反映原価算出処理と、前記実績反映原価が所定の第1の許容範囲内であるかどうかを判定する実績反映原価判定処理と、前記実績反映原価が前記第1の許容範囲外であると判定した場合には、前記実績反映原価を要確認原価として抽出する要確認原価抽出処理と、抽出した前記要確認原価を前記表示部に表示する要確認原価表示処理とを実行可能に構成されている。
【0007】
本発明の一態様に係る製造支援システムは、表示部と制御部を含む原価管理装置と、加工機とを備え、前記原価管理装置の前記制御部は、一又は複数の部品を含む製品の製造にかかった実績時間を取得する実績時間取得処理と、前記実績時間を用いて前記製品の実績反映原価を算出する実績反映原価算出処理と、前記実績反映原価が所定の第1の許容範囲内であるかどうかを判定する実績反映原価判定処理と、前記実績反映原価が前記第1の許容範囲外であると判定した場合には、前記実績反映原価を要確認原価として抽出する要確認原価抽出処理と、抽出した前記要確認原価を前記表示部に表示する要確認原価表示処理とを実行可能に構成されており、前記加工機は、前記実績時間を記録可能に構成されると共に、記録した前記実績時間を前記原価管理装置に送信するように構成されている。
【0008】
本発明の一態様に係る製造支援システムは、表示部と制御部を含む原価管理装置と、実績登録端末とを備え、前記原価管理装置の前記制御部は、一又は複数の部品を含む製品の製造にかかった実績時間を取得する実績時間取得処理と、前記実績時間を用いて前記製品の実績反映原価を算出する実績反映原価算出処理と、前記実績反映原価が所定の第1の許容範囲内であるかどうかを判定する実績反映原価判定処理と、前記実績反映原価が前記第1の許容範囲外であると判定した場合には、前記実績反映原価を要確認原価として抽出する要確認原価抽出処理と、抽出した前記要確認原価を前記表示部に表示する要確認原価表示処理とを実行可能に構成されており、前記実績登録端末は、前記実績時間を記録可能に構成されると共に、記録した前記実績時間を前記原価管理装置に送信するように構成されている。
【0009】
本発明の一態様に係る原価管理方法は、一又は複数の部品を含む製品の製造にかかった実績時間を原価管理装置により取得する実績時間取得工程と、前記実績時間を用いて前記製品の実績反映原価を前記原価管理装置により算出する実績反映原価算出工程と、前記実績反映原価が所定の第1の許容範囲内かどうかを前記原価管理装置により判定する実績反映原価判定工程と、前記実績反映原価が前記第1の許容範囲外であった場合には、前記原価管理装置により前記実績反映原価を要確認原価として抽出する要確認原価抽出工程と、抽出した前記要確認原価を前記原価管理装置の表示部に表示する要確認原価表示工程とを備える。
【0010】
本発明の一態様に係る原価管理プログラムは、一又は複数の部品を含む製品の製造にかかった実績時間を取得する実績時間取得処理と、前記実績時間を用いて前記製品の実績反映原価を算出する実績反映原価算出処理と、前記実績反映原価が所定の第1の許容範囲内かどうかを判定する実績反映原価判定処理と、前記実績反映原価が前記第1の許容範囲外であった場合には、前記実績反映原価を要確認原価として抽出する要確認原価抽出処理と、抽出した前記要確認原価を表示部に表示する要確認原価表示処理とを原価管理装置に実行させる。
【0011】
本発明の一態様に係る原価管理装置、製造支援システム、原価管理方法及び原価管理プログラムによれば、要確認原価抽出処理及び要確認原価表示処理により確認が必要な実績反映原価だけを自動的に抽出し、ユーザに提示するため、ユーザの負担を軽減しつつ適切な原価管理ができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一態様に係る原価管理装置、製造支援システム、原価管理方法及び原価管理プログラムによれば、ユーザの負担を軽減しつつ適切な原価管理ができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る製造支援システムを示す概略図である。
【
図2】
図2は、本実施形態の原価管理装置を示す機能ブロック図である。
【
図3】
図3は、本実施形態の原価管理装置の制御部が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、本実施形態の製作手配情報の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、本実施形態の工程単価の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、本実施形態の標準原価の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、本実施形態の加工実績の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、本実施形態のアワーレートの一例を示す図である。
【
図9】
図9は、本実施形態の実績反映原価の算出の一例を示す模式図である。
【
図10】
図10は、本実施形態の要確認原価の抽出の一例を示す模式図である。
【
図11】
図11は、本実施形態の原価分析の一例を示す図である。
【
図12】
図12は、本実施形態の原価変動追跡の一例を示す図である。
【
図13】
図13は、本実施形態の原価管理画面の一例を示す図である。
【
図14】
図14は、本実施形態の原価管理方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための最良の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態は、各請求項に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0015】
[本実施形態に係る製造支援システムの全体構成]
図1は、本発明の実施形態に係る製造支援システムを示す概略図である。
まず、
図1を参照して、本発明の実施形態に係る製造支援システム1を概説する。本実施形態に係る製造支援システム1は、一又は複数の部品を含む製品の原価を管理する製造支援システムである。製造支援システム1は、概略的には、
図1に示すように、原価管理装置100を備える。また、製造支援システム1は、生産管理装置10と、加工機70と、実績登録端末200とを備える。これらの装置は、相互に通信可能に接続されている。
【0016】
本実施形態において、製品は、工場内の全ての製造工程を経て、取引先に納品可能な状態の品であり、一又は複数の部品を含む。
【0017】
製品の製造工程は、例えば、1枚の定尺の金属板(以下、本実施形態においてシート)を任意の形状に切り出すブランク加工を行うブランク工程や、ブランク工程後にシート上の仕掛り品を仕分ける仕分け工程、二次工程、組立工程、検査工程等の製品が完成するまでの各工程を含む。二次工程は、例えば、曲げ加工や、塗装、バリ取りを含む。組立工程は、溶接や、ねじ止め等を含む。
【0018】
生産管理装置10、加工機70、原価管理装置100及び実績登録端末200は、ローカルネットやイントラネット等のプライベートネットワークを介して相互に通信可能に接続されている。無線通信により接続する場合、製造支援システム1は、一又は複数のアクセスポイントAPを更に備えてもよい。
【0019】
生産管理装置10は、生産管理部(図示せず)と標準原価算出部(図示せず)を備える。生産管理部は、受注情報と、製品情報と、製品及び部品の製造工程情報と、各製造工程の進捗情報との管理を行う。また、生産管理部は、製品の製作手配を行う。さらに、生産管理部は、受注をした製品及びその製品を構成する部品に製造番号を発行する。またさらに、生産管理部は、製品の製作手配を行う際に、その製品に関する製作手配情報12を作成する。生産管理部は、作成した製作手配情報12を加工機70及び実績登録端末200に送信する。
【0020】
図4は、本実施形態の製作手配情報の一例を示す図である
製作手配情報12は、
図4に示すように、製品情報と部品情報を含む。また、製作手配情報12は、取引先や部品データ等を含む。製品情報は、例えば、製品名、製品の生産納期、製品の加工予定日、製品の製造工程情報、製品の数量(手配数)、製品の製造番号、材料に関する情報等を有する。また、部品情報は、例えば、部品名、部品の生産納期、部品の加工予定日、部品の製造工程情報、部品の数量(手配数)、部品の製造番号(部品番号)、材料に関する情報等を有する。
【0021】
部品データは、部品の形状等が分かる設計データ(図面データ)であり、例えば、部品のCAD(コンピュータ支援設計:computer-aided design)データである。製造工程情報は、製品が完成するまでの一連の製造工程を示す情報である。材料に関する情報は、例えば、材料の種類、板厚等である。
【0022】
図5は、本実施形態の工程単価の一例を示す図である。
図6は、本実施形態の標準原価の一例を示す図である。
標準原価算出部は、製作手配情報12に基づいて製造にかかる工数を見積もり、見積もった工数(本実施形態において、予想工数)と工程単価14の標準値とを掛け合わせて、標準原価16を算出する。標準原価算出部は、算出した標準原価16を原価管理装置100に送信する。本実施形態において、工数は、製品及び部品の生産(加工)に要する時間(分)とする。
【0023】
ここで、標準原価算出部による標準原価16の算出の一例を示す。例えば、
図5に示すように、製造工程毎に工程単価14の標準値が設定されている。ブランク工程の工程単価14の標準値は、100円/分であり、ベンド工程の工程単価14の標準値は、200円であり、溶接工程の工程単価14の標準値は、300円である。
【0024】
図6は、本実施形態の標準原価の一例を示す図である。
標準原価算出部は、
図6に示すように、それぞれの製造工程の工程単価14の標準値と、各部品の予想工数とを掛け合わせ、標準原価16として算出する。例えば、
図4に示す製作手配情報12に含まれる部品A(部品番号「A001」)の1個当たりのブランク工程の標準原価16は、100円である。また、部品Aの1個当たりのベンド工程の標準原価16は、600円である。さらに、部品B(部品番号「B001」)の1個当たりの溶接工程の標準原価16は、1500円である。
【0025】
図2は、本実施形態の原価管理装置を示す機能ブロック図である。
原価管理装置100は、デスクトップパソコン(desktop personal computer)やノートパソコン(laptop computer)、タブレット(tablet)端末等の電子計算機であり、
図2に示すように、入力部110と、表示部120と、制御部130と、記憶部140とを含む。
【0026】
入力部110は、例えば、キーボード(Keyboard)、マウス(Mouse)、タッチパッド(Touchpad)、ジョイスティック(Joystick)等の入力機器により構成されており、入力部110を操作することにより、原価管理装置100において通常必要とされる情報入力の機能に加え、例えば、後述する実績反映原価146の後述する第1の許容範囲の設定や、後述する原価分析の分析条件(条件式)の作成等の操作をすることができる。このような構成を備えることにより、原価管理装置100は、入力部110を介して実績反映原価146の第1の許容範囲を手動により任意の範囲に変更できる。
【0027】
表示部120は、表示装置としてのディスプレイ(Display)を有しており、原価管理装置100において通常必要とされる画面表示の機能に加え、例えば、原価管理画面122等を表示する。また、表示部120は、入力部110の機能を有するタッチパネル(Touch screen)で構成され得る。表示部120がタッチパネルで構成された場合は、ユーザは、例えば、表示部120を操作することにより、実績反映原価146の第1の許容範囲の設定等の各種の情報を原価管理装置100に対して入力可能となる。
【0028】
なお、入力部110及び表示部120の構成は、上述した構成に限定されず、これら入力部110及び表示部120に代わり、同等の機能を有する構成であれば(例えば、遠隔から利用可能な表示手段や入力手段等)、これに限定されるものではない。
【0029】
図13は、本実施形態の原価管理画面の一例を示す図である。
原価管理画面122は、
図13に示すように、制御部130の後述する要確認原価抽出処理により抽出された後述する要確認原価CCを表示する抽出結果表示領域122aを含む。また、原価管理画面122は、制御部130の後述する原価分析部135が製品の原価に関する情報を分析した結果を表示する原価分析表示領域122bを含む。さらに、原価管理画面122は、制御部130の後述する原価変動追跡部136が追跡し、順次記憶した製品の実績反映原価146の一覧を表示する原価一覧表示領域122cを含む。
【0030】
本実施形態において、表示部120は、
図13に示すように、一画面に抽出結果表示領域122aと、原価分析表示領域122bと、原価一覧表示領域122cとを同時に表示可能に構成されてもよいし、各表示領域は、別々の画面に表示されてもよい。一画面に抽出結果表示領域122aと、原価分析表示領域122bと、原価一覧表示領域122cとを同時に表示可能に構成される場合、一つの原価管理画面122で情報を一覧することができ、画面を切り替える必要がなくなるため、ユーザの負担を軽減できるという利点を有している。
【0031】
制御部130は、例えば、CPU(Central Processing Unit)及びGPU(Graphics Processing Unit)を有する統合型演算処理装置により構成される。制御部130は、
図2に示すように、加工実績取得部131と、アワーレート取得部132と、原価算出部133と、要確認原価抽出部134と、原価分析部135と、原価変動追跡部136とを含む。
【0032】
図3は、本実施形態の原価管理装置の制御部が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
図7は、本実施形態の加工実績の一例を示す図である。
加工実績取得部131は、
図3に示すように、製品の製造にかかった実績時間ATを取得する実績時間取得処理(
図3のS1)を実行可能に構成されている。具体的には、加工実績取得部131は、
図7に示すように、加工機70及び実績登録端末200から後述する加工実績MPを取得する。加工実績MPは、実績時間ATを含む。また、実績時間取得処理において、加工実績取得部131は、製品の一連の製造工程の個々の製造工程毎に実績時間ATを取得する。
【0033】
さらに、加工実績取得部131は、取得した実績時間ATを記憶部140の後述する実績時間格納部141に格納するとともに、製品の過去の全ての実績時間ATが集約されたヒストグラムを更新する。このような構成を備えることにより、実績時間格納部141のデータ容量を抑えつつ、製品の過去の全ての実績時間ATを表現できるという利点を有している。
【0034】
アワーレート取得部132は、
図3に示すように、製品の製造に係る設備及び作業者のアワーレート(hourly rate)144を取得するアワーレート取得処理(
図3のS2)を実行可能に構成されている。具体的には、アワーレート取得部132は、記憶部140の後述するアワーレート格納部143から製品の製造に係る設備及び作業者のアワーレート144を取得する。本実施形態において、アワーレート144は、時間当たりの費用を意味する。また、本実施形態において、アワーレート144は、1分当たりの費用であるが、これに限定されず、1時間当たりの費用でもよい。
【0035】
図8は、本実施形態のアワーレートの一例を示す図である。
加工機70等の製造に係る設備のアワーレート144(設備費)は、例えば、設備の減価償却費や、消耗品代、電気代、燃料代等を考慮して決定される。また、作業者のアワーレート144(人件費)は、作業者の給与等を考慮して決定される。本実施形態において、設備のアワーレート144は、
図8に示すように、複数の設備で共通する標準的な値が設定されている。また、設備のアワーレート144は、設備毎に異なる値を設定可能に構成されている。さらに、作業者のアワーレート144は、複数の作業者で共通する標準的な値が設定されている。またさらに、作業者のアワーレート144は、作業者毎に異なる値を設定可能に構成されている。
【0036】
なお、本実施形態において、アワーレート取得部132は、原則として、設備のアワーレート144と作業者のアワーレート144を取得するが、これに限定されず、作業者が介在しない設備を使用する場合、アワーレート取得部132は、その設備のアワーレート144のみを取得してもよい。
【0037】
例えば、設備の標準的なアワーレート144は、
図8に示すように、100円/分であり、個別に設定された設備L及び設備Mのアワーレート144は、それぞれ、80円/分及び150円/分である。また、作業者の標準的なアワーレート144は、150円/分であり、個別に設定された作業者X及び作業者Yのアワーレート144は、それぞれ、200円/分及び120円/分である。
【0038】
図9は、本実施形態の実績反映原価の算出の一例を示す模式図である。
原価算出部133は、
図3に示すように、実績時間ATを用いて製品の実績反映原価146を算出する実績反映原価算出処理(
図3のS4)を実行可能に構成されている。本実施形態において、「実績反映原価」とは、製品の加工実績MPを考慮した原価を意味する。
【0039】
具体的には、原価算出部133は、
図9に示すように、加工実績取得部131が取得した実績時間ATと、アワーレート取得部132が取得したアワーレート144とに基づいて実績反映原価146を算出する。また、原価算出部133は、算出した実績反映原価146を記憶部140の後述する実績反映原価格納部145に格納する。
【0040】
さらに、実績反映原価算出処理において、原価算出部133は、製品の一連の製造工程の個々の製造工程毎に実績反映原価146を算出する。例えば、
図4に示す製作手配情報12に含まれる製品Aの場合、製品Aは部品Aで構成されている。そのため、原価算出部133は、部品Aのブランク工程の実績反映原価146と、ベンド工程の実績反映原価146とをそれぞれ算出し、ブランク工程の実績反映原価146と、ベンド工程の実績反映原価146とを足し合わせて製品Aの実績反映原価146を算出する。
【0041】
部品Aのベンド工程は、
図7及び
図9に示すように、設備Nの実績時間ATの合計が270分である。設備Nのアワーレート144は、個別に設定されておらず、標準的な100円/分である。そのため、設備Nの実績反映原価146は、設備Nの実績時間ATの合計と設備Nのアワーレート144を掛け合わせた27,000円である。また、部品Aのベンド工程は、作業者Xの実績時間ATの合計が270分であり、作業者Xのアワーレート144は、上述したように200円/分である。そのため、作業者Xの実績反映原価146は、54,000円である。さらに、作業者Yの実績時間ATの合計は、180分であり、作業者Yのアワーレート144は、上述したように120円/分である。そのため、作業者Yの実績反映原価146は、21,600円である。
【0042】
よって、
図7に示した部品Aのベンド工程の加工実績MPに係る実績反映原価146は、設備Nの実績反映原価146と、作業者Xの実績反映原価146と、作業者Yの実績反映原価146とを足し合わせた102,600円である。また、部品Aの生産数は、100個であるため、部品Aの1個当たりのベンド工程における実績反映原価146は、1,026円である。また、原価算出部133は、ブランク工程における実績反映原価を同様に算出する。例えば、ブランク工程における実績反映原価146は、120円である。この場合、部品Aの1個当たりの実績反映原価は、ブランク工程の実績反映原価146と、ベンド工程の実績反映原価146とを足し合わせた1,146円である。そして、製品Aは、1個の部品Aで構成されるため、製品Aの1個当たりの実績反映原価146は、1,146円である。
【0043】
また、原価算出部133は、
図3に示すように、加工実績取得部131が取得した実績時間ATが所定の第2の許容範囲内であるかどうかを判定する実績時間判定処理(
図3のS3)を更に実行可能に構成されると共に、実績時間ATが第2の許容範囲外であると判定した場合には、上述した実績反映原価算出処理を実行しないように構成されている。すなわち、本実施形態において、原価算出部133は、加工実績取得部131が取得した実績時間ATが第2の許容範囲内であると判定した場合に限り、実績反映原価算出処理を実行するように構成されている。
【0044】
さらに、原価算出部133は、分析条件の後述する被演算子として利用したり、生産管理装置10へのフィードバックとしての利用したりするために、部品毎及び製造工程毎の実績時間ATの平均値を算出し、逐次算出した平均値を更新して蓄積するように構成されている。そして、原価算出部133は、実績時間ATが第2の許容範囲外であると判定した場合には、その実績時間ATを実績時間ATの平均値の算出時及び更新時のデータから除外するように構成されている。
【0045】
原価算出部133は、実績時間ATの第2の許容範囲を製品の過去の実績時間ATのヒストグラムに基づいて定めるように構成されている。具体的には、原価算出部133は、過去の実績時間ATの正規分布を算出し、算出した実績時間ATの正規分布の平均値から±3σの区間を実績時間ATの第2の許容範囲として定める。
【0046】
要確認原価抽出部134は、
図3に示すように、実績反映原価146が所定の第1の許容範囲内であるかどうかを判定する実績反映原価判定処理(
図3のS5)と、実績反映原価146が第1の許容範囲外であると判定した場合には、その実績反映原価146を要確認原価CCとして抽出する要確認原価抽出処理(
図3のS6)と、抽出した要確認原価CCを表示部120に表示する要確認原価表示処理(
図3のS7)とを実行可能に構成されている。
【0047】
なお、要確認原価抽出部134は、実績反映原価146が第1の許容範囲内であると判定した場合には、その実績反映原価146を要確認原価CCとして抽出しない。
【0048】
図10は、本実施形態の要確認原価の抽出の一例を示す模式図である。
また、要確認原価抽出部134は、製品の過去の実績反映原価146に基づいて実績反映原価146の第1の許容範囲を定める。実績反映原価146の第1の許容範囲は、例えば、
図10に示すように、製品の前回の実績反映原価146の±30%の範囲である。製品Aの前回の実績反映原価146が750円であった場合、製品Aの実績反映原価146の第1の許容範囲は、525円以上975円以下である。また、製品Bの前回の実績反映原価146が1,200円であった場合、製品Bの実績反映原価146の第1の許容範囲は、840円以上1,560円以下である。
【0049】
なお、製品の過去の実績反映原価146は、前回の実績反映原価146に限定されない。製品の過去の実績反映原価146は、例えば、前々回の実績反映原価146でもよいし、過去の複数の実績反映原価146の平均値であってもよい。また、実績反映原価146の第1の許容範囲は、製品の過去の実績反映原価146から上限値までの範囲と、下限値までの範囲が異なっていてもよい。例えば、実績反映原価146の第1の許容範囲は、製品の過去の実績反映原価146の-20%~+30%でもよいし、-15%~+5%でもよい。
【0050】
さらに、本実施形態において、実績反映原価146の第1の許容範囲は、ユーザが入力部110を介して手動により任意の範囲に変更可能に構成されている。また、製品の過去の実績反映原価146として使用する比較対象の実績反映原価146もユーザが入力部110を介して手動により任意のものに変更可能に構成されている。
【0051】
製品Aの今回の実績反映原価146は、
図10に示すように、1,146円であり、実績反映原価146の第1の許容範囲(525円以上975円以下)外である。そのため、要確認原価抽出処理において、要確認原価抽出部134は、製品Aの実績反映原価146を要確認原価CCとして抽出する。一方で、製品Bの今回の実績反映原価146は、1,000円であり、実績反映原価146の第1の許容範囲(840円以上1,560円以下)内である。そのため、要確認原価抽出処理において、要確認原価抽出部134は、製品Bの実績反映原価146を抽出しない。
【0052】
要確認原価表示処理において、要確認原価抽出部134は、
図13に示すように、表示部120に表示される原価管理画面122の抽出結果表示領域122aに抽出した要確認原価CCを表示する。
図10に示す例の場合、要確認原価抽出部134は、製品Aの実績反映原価146を要確認原価CCとして原価管理画面122の抽出結果表示領域122aに表示する。
【0053】
図11は、本実施形態の原価分析の一例を示す図である。
原価分析部135は、複数の被演算子を組み合わせた分析条件に基づいて製品の原価に関する情報を分析可能に構成されている。具体的には、ユーザは、
図11に示すように、入力部110を介して被演算子の候補と、数字及び演算子とを選択して組み合わせることで任意の分析条件(条件式)を作成することが可能である。原価分析部135は、ユーザが作成した分析条件に基づいて製品の原価に関する情報を分析する。
【0054】
被演算子の候補は、
図11に示すように、製品の標準原価16と、製品の実績反映原価146とを含む。被演算子の候補は、最新の標準原価16の他に、前回の標準原価16と、前々回の標準原価16とを含んでもよい。本実施形態において、原価分析部135は、分析に必要な標準原価16を生産管理装置10から取得するように構成されている。
【0055】
また、被演算子の候補は、最新の実績反映原価146の他に、前回の実績反映原価146と、前々回の実績反映原価146とを含んでもよい。さらに、被演算子の候補は、一連の製造工程の実績反映原価146を合わせた実績反映原価146の他に、個々の製造工程毎の実績反映原価146を含んでもよい。またさらに、被演算子の候補は、過去の複数の実績反映原価146の平均値を含んでもよい。
【0056】
製品の原価に関する情報は、例えば、標準原価16の精度や、ある製造工程における改善活動評価値等である。
図11に示す例では、標準原価16の精度を分析するための分析条件として「((“標準原価”-“実績反映原価”)/“標準原価”)×100」という条件式を作成している。また、例えば、ベンド工程における改善活動評価値は、「“ベンド工程の実績反映原価(前回)”-“ベンド工程の実績反映原価(今回)”」で表される。原価分析部135は、分析結果を表示部120に表示される原価管理画面122の原価分析表示領域122bに表示する。
【0057】
図12は、本実施形態の原価変動追跡の一例を示す図である。
原価変動追跡部136は、製品の実績反映原価146を順次記憶可能に構成される。具体的には、ユーザは、
図12に示すように、入力部110を介して実績反映原価146の変動を追跡したい製品を選択可能に構成されている。原価変動追跡部136は、ユーザが選択した製品の実績反映原価146を順次記憶し、実績反映原価146の変動を追跡する。
【0058】
また、原価変動追跡部136は、記憶した実績反映原価146の一覧を表示部120に表示するよう構成されている。具体的には、原価変動追跡部136は、記憶した実績反映原価146の一覧を表示部120に表示される原価管理画面122の原価一覧表示領域122cに表示する。また、追跡対象となる製品は、複数の追跡対象となる製品を纏めた追跡グループとしてグループ設定が可能であり、原価変動追跡部136は、登録された追跡グループ毎に追跡結果を表示する。
【0059】
実績反映原価146の変動の追跡は、例えば、ユーザが手動で追跡対象となる製品を削除することで追跡を終了してもよいし、予め追跡期間を設定してもよい。
【0060】
さらに、原価変動追跡部136は、ユーザが選択した製品以外に、例えば、要確認原価抽出部134が要確認原価CCとして抽出した実績反映原価146に係る製品を自動的に追跡対象として追加し、その製品の実績反映原価146の変動を追跡してもよい。
【0061】
記憶部140は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等の記憶媒体を有すると共に、様々なデータを読み書き可能に記憶する。記憶部140は、
図2に示すように、実績時間格納部141と、アワーレート格納部143と実績反映原価格納部145を含む。また、記憶部140は、原価管理プログラム147を格納する。さらに、記憶部140は、原価管理装置100の各部の制御に必要なプログラムを格納する。
【0062】
実績時間格納部141は、加工実績取得部131が取得した実績時間ATを格納する。アワーレート格納部143は、各製造工程で使用される設備のアワーレート144を格納する。また、アワーレート格納部143は、各製造工程を担当する作業者のアワーレート144を格納する。実績反映原価格納部145は、制御部130の原価算出部133が算出した実績反映原価146を格納する。
【0063】
原価管理プログラム147は、一又は複数の部品を含む製品の製造にかかった実績時間ATを取得する実績時間取得処理と、実績時間ATを用いて製品の実績反映原価146を算出する実績反映原価算出処理と、実績反映原価146が所定の第1の許容範囲内かどうかを判定する実績反映原価判定処理と、実績反映原価146が第1の許容範囲外であった場合には、実績反映原価146を要確認原価CCとして抽出する要確認原価抽出処理と、抽出した要確認原価CCを表示部120に表示する要確認原価表示処理とを原価管理装置100に実行させる。
【0064】
加工機70は、例えば、CNC(コンピュータ数値制御:Computer Numerical Control)工作機械であり、シートを加工するブランク加工機70aや、ブランク加工後の個々の仕掛品を加工する二次加工機70b等である。ブランク加工機70aは、例えば、レーザ加工機、タレットパンチプレス(turret punch press)、シャーリング機、プラズマ加工機、ウォータージェット加工機等である。二次加工機70bは、例えば、プレスブレーキ、パネルベンダ、ベンディングロボット等の曲げ加工機、NCフライス盤、NC旋盤、マシニングセンタ、溶接ロボット等である。加工機70は、生産管理装置10及び原価管理装置100と通信可能に構成されている。
【0065】
加工機70は、実績時間ATを記録可能に構成されると共に、記録した実績時間ATを原価管理装置100に送信するように構成されている。具体的には、加工機70は、加工開始時、加工中断時、及び加工完了時に加工実績MPを原価管理装置100に送信する。加工実績MPは、例えば、シート毎の加工開始時、加工中断時、及び加工完了時のそれぞれに対応する時刻や実績時間AT、部品の生産数等の情報を含む。
【0066】
実績登録端末200は、デスクトップパソコンやノートパソコン、タブレット端末等の電子計算機であり、ネットワークを介して生産管理装置10や原価管理装置100等と接続している。実績登録端末200は、入力部(図示せず)及び表示部(図示せず)を備える。実績登録端末200の表示部は、実績入力画面を表示可能に構成されている。実績登録端末200は、加工機70を使用しない各製造工程の作業場に1台ずつ配置されることが好ましいが、これに限定されない。
【0067】
実績登録端末200は、実績時間ATを記録可能に構成されると共に、記録した実績時間ATを原価管理装置100に送信するように構成されている。また、ユーザは、実績登録端末200の入力部を介して実績登録端末200の表示部に表示される実績入力画面上で加工実績MPを記録可能に構成されている。具体的には、ユーザは、生産管理装置10から送信された製作手配情報12を実績登録端末200で受け取り、対象の製造工程の作業を行う。そして、ユーザが作業する製造工程の製作手配情報12の実績入力画面上で、実績登録端末200の入力部を介して作業の開始、中断及び終了の合図をすると、実績登録端末200は、合図した日時を記録すると共に、実績時間ATを算出する。
【0068】
また、ユーザは、実績入力画面上で、実績登録端末200の入力部を介して作業者、使用設備や作業内容の情報等の付加情報を入力することができる。さらに、ユーザは、実際に生産した個数(生産数)を実績入力画面上で入力する。その後、これらの情報の登録を確定することで、加工開始時、加工中断時、及び加工完了時のそれぞれに対応する時刻と、算出された実績時間ATと、付加情報と、生産数とを含む加工実績MPが作成される。加工実績MPの作成後、実績登録端末200は、その加工実績MPを原価管理装置100に送信する。
【0069】
[本実施形態に係る原価管理方法]
次に、本実施形態に係る原価管理装置100による原価管理方法について説明する。本実施形態に係る原価管理方法は、一又は複数の部品を含む製品の製造にかかった実績時間ATを原価管理装置100により取得する実績時間取得工程と、実績時間ATを用いて製品の実績反映原価146を原価管理装置100により算出する実績反映原価算出工程と、実績反映原価146が所定の第1の許容範囲内かどうかを原価管理装置100により判定する実績反映原価判定工程と、実績反映原価146が第1の許容範囲外であった場合には、原価管理装置100により実績反映原価146を要確認原価CCとして抽出する要確認原価抽出工程と、抽出した要確認原価CCを原価管理装置100の表示部120に表示する要確認原価表示工程とを備える。
【0070】
また、本実施形態に係る原価管理方法は、製品の製造に係る設備及び作業者のアワーレート144を原価管理装置100により取得するアワーレート取得工程と、取得した実績時間ATが所定の第2の許容範囲内であるかどうかを判定する実績時間判定工程とを備える。
【0071】
図14は、本実施形態の原価管理方法の一例を示すフローチャートである。
本実施形態に係る原価管理方法について
図14を参照して詳述する。まず、生産管理装置10は、客先からの製品の製作依頼に応じて製作手配情報12を作成し(
図14のS10)、各製造工程に製品の製作手配をする(
図14のS11)。具体的には、生産管理装置10は、作成した製作手配情報12を加工機70及び実績登録端末200に送信する。ユーザは、加工機70を使用する製造工程の場合、加工機70で製作手配情報12を受け取る。また、加工機70を使用しない製造工程の場合、実績登録端末200で製作手配情報12を受け取る。以下、加工機70を使用しない製造工程を例にして説明するが、これに限定ない。
【0072】
ユーザは、製作手配情報12の内容を実績登録端末200で確認し、作業を行う。その際に、ユーザは、作業する製造工程の製作手配情報12の実績入力画面上で、実績登録端末200の入力部を介して作業の開始、中断及び終了の合図をする。実績登録端末200は、合図した日時を記録すると共に、実績時間ATを算出する。さらに、ユーザは、実績入力画面上で、実績登録端末200の入力部を介して付加情報と生産数を入力する。
【0073】
その後、ユーザが実績登録端末200を操作し、情報の登録を確定することで、実績登録端末200は、加工開始時、加工中断時、及び加工完了時のそれぞれに対応する時刻と、算出された実績時間ATと、付加情報と、生産数とを含む加工実績MPを作成し、登録する(
図14のS200)。そして、実績登録端末200は、加工実績MPを原価管理装置100に送信する。
【0074】
次に、原価管理装置100の制御部130の加工実績取得部131は、実績時間ATを含む加工実績MPを取得する(
図14のS100:実績時間取得工程)。また、制御部130のアワーレート取得部132は、記憶部140のアワーレート格納部143から加工実績MPを取得した製造工程で使用された設備のアワーレート144と、その製造工程の作業を担当した作業者のアワーレート144とを取得する(
図14のS110:アワーレート取得工程)。
【0075】
さらに、原価管理装置100の制御部130の原価算出部133は、制御部130の加工実績取得部131が取得した実績時間ATが第2の許容範囲内であるかどうかを判定する(
図14のS120:実績時間判定工程)。実績時間ATが第2の許容範囲外であると判定した場合(
図14のS120にてNO)、原価算出部133は、実績反映原価146を算出しない。また、原価管理装置100は、一連の工程を終了する。
【0076】
原価管理装置100の制御部130の加工実績取得部131が取得した実績時間ATが第2の許容範囲内であると判定した場合(
図14のS120にてYES)、制御部130の原価算出部133は、実績時間ATと制御部130のアワーレート取得部132が取得したアワーレート144に基づいて製品の実績反映原価146を算出する(
図14のS130:実績反映原価算出工程)。原価算出部133は、算出した実績反映原価146を記憶部140の実績反映原価格納部145に格納する。
【0077】
その後、原価管理装置100の制御部130の要確認原価抽出部134は、制御部130の原価算出部133が算出した実績反映原価146が所定の第1の許容範囲内であるかどうかを判定する(
図14のS140:実績反映原価判定工程)。実績反映原価146が第1の許容範囲外であると判定した場合(
図14のS140にてNO)、要確認原価抽出部134は、その実績反映原価146を要確認原価CCとして抽出する(
図14のS150:要確認原価抽出工程)。
【0078】
そして、原価管理装置100の制御部130の要確認原価抽出部134は、抽出した要確認原価CCを表示部120の原価管理画面122の抽出結果表示領域122aに表示する(
図14のS160:要確認原価表示工程)。一方で、実績反映原価146が第1の許容範囲内であると判定した場合(
図14のS140にてYES)、要確認原価抽出部134は、その実績反映原価146を抽出しない。また、原価管理装置100は、一連の工程を終了する。以上の工程により、本実施形態に係る原価管理装置100による一連の原価管理方法が実行される。
【0079】
[本実施形態に係る原価管理装置、製造支援システム、原価管理方法及び原価管理プログラムの利点]
以上説明したように、本実施形態に係る原価管理装置100は、表示部120と制御部130を備え、制御部130は、一又は複数の部品を含む製品の製造にかかった実績時間ATを取得する実績時間取得処理と、実績時間ATを用いて製品の実績反映原価146を算出する実績反映原価算出処理と、実績反映原価146が所定の第1の許容範囲内であるかどうかを判定する実績反映原価判定処理と、実績反映原価146が第1の許容範囲外であると判定した場合には、実績反映原価146を要確認原価CCとして抽出する要確認原価抽出処理と、抽出した要確認原価CCを表示部120に表示する要確認原価表示処理とを実行可能に構成されている。
【0080】
そして、本実施形態に係る原価管理装置100は、このような構成を備えることにより、確認が必要な実績反映原価146だけを自動的に抽出し、表示部120を介してユーザに提示するため、ユーザの負担を軽減しつつ適切な原価管理ができるという利点を有している。
【0081】
また、本実施形態に係る原価管理装置100において、制御部130は、実績時間取得処理において、製品の一連の製造工程の製造工程毎に実績時間ATを取得すると共に、実績反映原価算出処理において、製造工程毎に実績反映原価146を算出する。このような構成を備えることにより、個々の製造工程毎に実績反映原価146を算出するため、精度よく実績反映原価146を算出することができ、より適切な原価管理ができるという利点を有している。
【0082】
さらに、個々の製造工程毎に実績反映原価146を算出することで、実績反映原価146の変化に大きな影響を与えている主要な製造工程を特定することができるという利点を有している。またさらに、一部の製造工程で実績時間ATが取得できなかった場合でも、実績時間ATを取得できなかった製造工程を特定することができ、また、実績時間ATが取得できた製造工程の実績反映原価146は、確認することができるという利点を有している。
【0083】
さらに、本実施形態に係る原価管理装置100において、制御部130は、製品の過去の実績反映原価146に基づいて実績反映原価146の第1の許容範囲を定める。このような構成を備えることにより、製品毎に適した第1の許容範囲を定めることができ、より適切な原価管理ができるという利点を有している。
【0084】
またさらに、本実施形態に係る原価管理装置100は、入力部110を備え、入力部110は、ユーザが入力部110を介して手動により実績反映原価146の第1の許容範囲を任意の範囲に変更可能に構成されている。このような構成を備えることにより、ユーザの運用環境に合わせて抽出する要確認原価CCの範囲を定められるため、実用的な要確認原価CCの提示ができるという利点を有している。
【0085】
また、本実施形態に係る原価管理装置100において、制御部130は、取得した実績時間ATが所定の第2の許容範囲内であるかどうかを判定する実績時間判定処理を更に実行可能に構成されると共に、実績時間ATが第2の許容範囲外であると判定した場合には、実績反映原価算出処理を実行しないように構成されている。このような構成を備えることにより、実績時間ATが所謂外れ値であった場合に、その実績時間ATに基づいて実績反映原価146を算出され、要確認原価CCとして抽出されることを防止できるため、ユーザが余計な情報を確認する必要がなくなり、ユーザの負担を軽減できると共に、より適切な原価管理ができるという利点を有している。
【0086】
また、実績時間ATにばらつきが発生する理由として、作業の開始、中断及び終了の合図をし忘れることで、意図しない実績時間ATが記録されてしまうこと等が挙げられるが、第2の許容範囲外の実績時間ATを除外することで、原価に関する情報の分析に使用する実績時間ATの平均値を信憑性のある値に保つことができる。
【0087】
さらに、本実施形態に係る原価管理装置100において、制御部130は、実績時間ATの第2の許容範囲を製品の過去の実績時間ATのヒストグラムに基づいて定めるように構成されている。このような構成を備えることにより、実績時間格納部141のデータ容量を抑えつつ製品の過去の全ての実績時間ATを表現できるとともに、比較的少ない計算量で実績時間ATの外れ値を除外できるという利点を有している。
【0088】
またさらに、本実施形態に係る原価管理装置100において、実績反映原価146は、実績時間ATと、製品の製造に係る設備及び作業者のアワーレート144とに基づいて算出される。このような構成を備えることにより、製品毎又は製造工程毎に実績反映原価146を比較できるという利点を有している。
【0089】
また、本実施形態に係る原価管理装置100において、アワーレート144は、複数の設備で共通する標準的な値が設定されると共に、設備毎に異なる値を設定可能に構成されている。このような構成を備えることにより、従来の原価管理装置では全てのアワーレート144を個別に設定しなければ原価算出ができない場合があり、アワーレート144を設定する煩雑さからユーザが利用しづらかったが、標準的な値を基本として標準的な値から離れた設備だけ個別にアワーレート144を設定できるため、ユーザの負担を軽減しつつ、適切な原価管理ができるという利点を有している。
【0090】
さらに、本実施形態に係る原価管理装置100において、アワーレート144は、複数の作業者で共通する標準的な値が設定されると共に、作業者毎に異なる値を設定可能に構成されている。このような構成を備えることにより、従来の原価管理装置では全てのアワーレート144を個別に設定しなければ原価算出ができない場合があり、アワーレート144を設定する煩雑さからユーザが利用しづらかったが、標準的な値を基本として標準的な値から離れた作業者だけ個別にアワーレート144を設定できるため、ユーザの負担を軽減しつつ、適切な原価管理ができるという利点を有している。
【0091】
またさらに、本実施形態に係る原価管理装置100において、制御部130は、複数の被演算子を組み合わせた分析条件に基づいて製品の原価に関する情報を分析可能に構成されており、被演算子の候補は、製品の標準原価16と、製品の実績反映原価146とを含む。このような構成を備えることにより、予め用意された被演算子の候補の中から複数の被演算子を組み合わせて分析条件を作成するだけで簡単に原価に関する情報の分析が可能となり、ユーザの負担を軽減することができるという利点を有している。また、ユーザが自分の運用環境に合わせて自由に分析条件を作成することが可能であるため、自由度が高い分析が可能となり、適切な原価管理ができるという利点を有している。
【0092】
また、本実施形態に係る原価管理装置100において、制御部130は、製品の実績反映原価146を順次記憶可能に構成されると共に、記憶した実績反映原価146の一覧を表示部120に表示するよう構成されている。このような構成を備えることにより、ユーザは、実績反映原価146の変動の様子を一目で把握することが可能となり、都度実績反映原価146を確認し、自分で実績反映原価146の変動の様子を監視したり、格納された実績反映原価146を検索したりする必要がなくなるため、ユーザの負担を軽減しつつ、適切な原価管理ができるという利点を有している。
【0093】
[変形例]
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は、上述した実施形態に記載の範囲には限定されない。上述した実施形態には、多様な変更又は改良を加えることが可能である。
【0094】
例えば、上述した実施形態において、制御部130は、実績時間取得処理において、製品の一連の製造工程の製造工程毎に実績時間ATを取得すると共に、実績反映原価算出処理において、製造工程毎に実績反映原価146を算出するものとして説明したが、これに限定されない。制御部130は、実績時間取得処理において、製品の一連の製造工程全体の実績時間ATを取得すると共に、実績反映原価算出処理において、一連の製造工程全体の実績反映原価146を算出してもよい。
【0095】
上述した実施形態において、制御部130は、製品の過去の実績反映原価146に基づいて実績反映原価146の第1の許容範囲を定めるものとして説明したが、これに限定されない。制御部130は、製品の過去の実績反映原価146に基づいて実績反映原価146の第1の許容範囲を定めなくてもよい。例えば、制御部130は、他の製品の実績反映原価146や、複数製品の実績反映原価146に基づいて実績反映原価146の第1の許容範囲を定めてもよい。
【0096】
上述した実施形態において、原価管理装置100は、入力部110を備え、入力部110は、ユーザが入力部110を介して手動により実績反映原価146の第1の許容範囲を任意の範囲に変更可能に構成されているものとして説明したが、これに限定されない。入力部110は、ユーザが入力部110を介して手動により実績反映原価146の第1の許容範囲を任意の範囲に変更できなくてもよい。
【0097】
上述した実施形態において、制御部130は、取得した実績時間ATが所定の第2の許容範囲内であるかどうかを判定する実績時間判定処理を更に実行可能に構成されると共に、実績時間ATが第2の許容範囲外であると判定した場合には、実績反映原価算出処理を実行しないように構成されているものとして説明したが、これに限定されない。制御部130は、実績時間判定処理を実行できなくてもよい。また、実績時間ATが第2の許容範囲外であると判定した場合であっても、実績反映原価算出処理を実行してもよい。
【0098】
上述した実施形態において、制御部130は、実績時間ATの第2の許容範囲を製品の過去の実績時間ATのヒストグラムに基づいて定めるように構成されているものとして説明したが、これに限定されない。制御部130は、実績時間ATの第2の許容範囲を製品の過去の実績時間ATのヒストグラムに基づいて定めるように構成されなくてもよい。例えば、制御部130は、他の製品の過去の実績時間ATや、複数製品の過去の実績時間ATに基づいて実績時間ATの第2の許容範囲を定めるように構成されてもよい。また、実績時間ATの第2の許容範囲は、製品の実績時間ATの正規分布の平均値から±3σの区間でなくてもよい。例えば、実績時間ATの第2の許容範囲は、実績時間ATの正規分布の平均値から±2σの区間でもよい。
【0099】
上述した実施形態において、実績反映原価146は、実績時間ATと、製品の製造に係る設備及び作業者のアワーレート144とに基づいて算出されるものとして説明したが、これに限定されない。実績反映原価146は、実績時間ATを用いて算出される構成であれば、種々の任意の構成を採用可能である。
【0100】
上述した実施形態において、アワーレート144は、複数の設備で共通する標準的な値が設定されると共に、設備毎に異なる値を設定可能に構成されているものとして説明したが、これに限定されない。アワーレート144は、設備毎に異なる値を設定することができず、全ての設備に共通の標準的な値が設定されてもよい。また、アワーレート144は、全ての設備が異なる値であってもよい。
【0101】
上述した実施形態において、アワーレート144は、複数の作業者で共通する標準的な値が設定されると共に、作業者毎に異なる値を設定可能に構成されているものとして説明したが、これに限定されない。アワーレート144は、作業者毎に異なる値を設定することができず、全ての作業者に共通の標準的な値が設定されてもよい。また、アワーレート144は、全ての作業者が異なる値であってもよい。
【0102】
上述した実施形態において、制御部130は、複数の被演算子を組み合わせた分析条件に基づいて製品の原価に関する情報を分析可能に構成されており、被演算子の候補は、製品の標準原価16と、製品の実績反映原価146とを含むものとして説明したが、これに限定されない。制御部130は、複数の被演算子を組み合わせた分析条件に基づいて製品の原価に関する情報を分析できなくてもよい。
【0103】
上述した実施形態において、制御部130は、製品の実績反映原価146を順次記憶可能に構成されると共に、記憶した実績反映原価146の一覧を表示部120に表示するよう構成されているものとして説明したが、これに限定されない。制御部130は、製品の実績反映原価146を順次記憶可能に構成されなくてもよいし、記憶した実績反映原価146の一覧を表示部120に表示しなくてもよい。
【0104】
上述した実施形態において、製造支援システム1は、実績登録端末200を備えるものとして説明したが、これに限定されず、製造支援システム1は、一連の製造工程に加工機70を使用しない製造工程を含まない場合、実績登録端末200を備えなくてもよい。
【0105】
上述した実施形態において、製造支援システム1は、加工機70を備えるものとして説明したが、これに限定されず、製造支援システム1は、一連の製造工程に加工機70を使用する製造工程を含まない場合、加工機70を備えなくてもよい。また、加工機70は、実績時間ATを記録可能に構成されるものとして説明したが、これに限定されず、実績登録端末200を使用して加工機70の加工実績MPを登録してもよい。
【0106】
上述した実施形態において、生産管理装置10は、標準原価算出部を備えるものとして説明したが、これに限定されず、生産管理装置10は、標準原価算出部を備えなくてもよい。また、原価管理装置100は、標準原価算出部を備えてもよい。
【0107】
上述した実施形態において、生産管理装置10、加工機70、原価管理装置100及び実績登録端末200は、ネットワークを介して互いに直接データをやりとりするものとして説明したが、これに限定されず、製造支援システム1は、サーバ50を更に備えてもよい。また、サーバ50は、製作手配情報12、工程単価14、標準原価16、アワーレート144、実績反映原価146、実績時間AT及び加工実績MPのうち、一部又は全部を格納可能に構成されてもよい。
【符号の説明】
【0108】
1 製造支援システム
10 生産管理装置
12 製作手配情報
14 工程単価
16 標準原価
50 サーバ
70 加工機
70a ブランク加工機
70b 二次加工機
100 原価管理装置
110 入力部
120 表示部
122 原価管理画面
122a 抽出結果表示領域
122b 原価分析表示領域
122c 原価一覧表示領域
130 制御部
131 加工実績取得部
132 アワーレート取得部
133 原価算出部
134 要確認原価抽出部
135 原価分析部
136 原価変動追跡部
140 記憶部
141 実績時間格納部
143 アワーレート格納部
144 アワーレート
145 実績反映原価格納部
146 実績反映原価
147 原価管理プログラム
200 実績登録端末
AP アクセスポイント
AT 実績時間
CC 要確認原価
MP 加工実績
【手続補正書】
【提出日】2024-05-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部と制御部を備え、
前記制御部は、
一又は複数の部品を含む製品の製造にかかった実績時間を取得する実績時間取得処理と、
前記実績時間と前記製品のアワーレートとを用いて、前記製品の加工実績を考慮した原価である実績反映原価を算出する実績反映原価算出処理と、
前記実績反映原価が所定の第1の許容範囲内であるかどうかを判定する実績反映原価判定処理と、
前記実績反映原価が前記第1の許容範囲外であると判定した場合には、前記実績反映原価を要確認原価として抽出する要確認原価抽出処理と、
抽出した前記要確認原価を前記表示部に表示する要確認原価表示処理と
を実行するように構成されており、
前記要確認原価表示処理では、前記第1の許容範囲内であると判定した前記実績反映原価は表示しない
原価管理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記実績時間取得処理において、前記製品の一連の製造工程の前記製造工程毎に前記実績時間を取得すると共に、前記実績反映原価算出処理において、前記製造工程毎に前記実績反映原価を算出する
請求項1に記載の原価管理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1の許容範囲内であるか否かの判定対象となる前記実績反映原価よりも前に算出された前記製品の過去の実績反映原価を基準とした所定の範囲を、判定対象となる前記実績反映原価の前記第1の許容範囲として特定する
請求項1又は2に記載の原価管理装置。
【請求項4】
入力部を備え、
前記入力部は、ユーザの手動入力に基づき、前記第1の許容範囲を任意の範囲に変更するよう構成されている
請求項1又は2に記載の原価管理装置。
【請求項5】
前記制御部は、
取得した前記実績時間が所定の第2の許容範囲内であるかどうかを判定する実績時間判定処理を更に実行するよう構成されると共に、前記実績時間が前記第2の許容範囲外であると判定した場合には、前記実績反映原価算出処理を実行しないように構成されている
請求項1又は2に記載の原価管理装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記製品の過去の前記実績時間の正規分布を算出し、算出した前記正規分布の平均値を基準とした所定の範囲を、判定対象となる前記実績時間の前記第2の許容範囲として特定するように構成されている
請求項5に記載の原価管理装置。
【請求項7】
前記実績反映原価は、前記実績時間と、前記製品の製造に係る設備及び作業者のアワーレートとに基づいて算出される
請求項1又は2に記載の原価管理装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記実績反映原価の算出にあたり、
アワーレートが個別に設定された設備については、個別に設定された値を前記アワーレートとして使用し、
アワーレートが個別に設定されていない設備については、複数の前記設備で共通する基本値を前記アワーレートとして使用する
よう構成されている
請求項7に記載の原価管理装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記実績反映原価の算出にあたり、
アワーレートが個別に設定された作業者については、個別に設定された値を前記アワーレートとして使用し、
アワーレートが個別に設定されていない作業者については、複数の前記作業者で共通する基本値を前記アワーレートとして使用する
よう構成されている
請求項7に記載の原価管理装置。
【請求項10】
入力部を備え、
前記表示部は、被演算子の候補として、前記製品の標準原価と、前記製品の前記実績反映原価とを含む複数の項目を表示するよう構成されており、
前記入力部は、前記表示部に表示された複数の候補の中から分析に用いる被演算子を複数選択する操作、及び、選択された複数の前記被演算子を組み合わせた分析条件を作成する操作を受け付けるよう構成されており、
前記制御部は、前記入力部を介して作成された前記分析条件に基づいて分析処理を実行するよう構成されている
請求項1又は2に記載の原価管理装置。
【請求項11】
記憶部を備え、
前記制御部は、算出した前記製品の前記実績反映原価を前記記憶部に記憶するよう構成されると共に、記憶した過去の前記実績反映原価の一覧を前記表示部に表示するよう構成されている
請求項1又は2に記載の原価管理装置。
【請求項12】
表示部と制御部を含む原価管理装置と、
加工機と
を備え、
前記原価管理装置の前記制御部は、
一又は複数の部品を含む製品の製造にかかった実績時間を取得する実績時間取得処理と、
前記実績時間と前記製品のアワーレートとを用いて、前記製品の加工実績を考慮した原価である実績反映原価を算出する実績反映原価算出処理と、
前記実績反映原価が所定の第1の許容範囲内であるかどうかを判定する実績反映原価判定処理と、
前記実績反映原価が前記第1の許容範囲外であると判定した場合には、前記実績反映原価を要確認原価として抽出する要確認原価抽出処理と、
抽出した前記要確認原価を前記表示部に表示する要確認原価表示処理と
を実行するよう構成されており、
前記要確認原価表示処理では、前記第1の許容範囲内であると判定した前記実績反映原価は表示せず、
前記加工機は、前記実績時間を記録するよう構成されると共に、記録した前記実績時間を前記原価管理装置に送信するように構成されている
製造支援システム。
【請求項13】
表示部と制御部を含む原価管理装置と、
実績登録端末と
を備え、
前記原価管理装置の前記制御部は、
一又は複数の部品を含む製品の製造にかかった実績時間を取得する実績時間取得処理と、
前記実績時間と前記製品のアワーレートとを用いて、前記製品の加工実績を考慮した原価である実績反映原価を算出する実績反映原価算出処理と、
前記実績反映原価が所定の第1の許容範囲内であるかどうかを判定する実績反映原価判定処理と、
前記実績反映原価が前記第1の許容範囲外であると判定した場合には、前記実績反映原価を要確認原価として抽出する要確認原価抽出処理と、
抽出した前記要確認原価を前記表示部に表示する要確認原価表示処理と
を実行するよう構成されており、
前記要確認原価表示処理では、前記第1の許容範囲内であると判定した前記実績反映原価は表示せず、
前記実績登録端末は、前記実績時間を記録するよう構成されると共に、記録した前記実績時間を前記原価管理装置に送信するように構成されている
製造支援システム。
【請求項14】
一又は複数の部品を含む製品の製造にかかった実績時間を原価管理装置により取得する実績時間取得工程と、
前記実績時間と前記製品のアワーレートとを用いて、前記製品の加工実績を考慮した原価である実績反映原価を前記原価管理装置により算出する実績反映原価算出工程と、
前記実績反映原価が所定の第1の許容範囲内かどうかを前記原価管理装置により判定する実績反映原価判定工程と、
前記実績反映原価が前記第1の許容範囲外であった場合には、前記原価管理装置により前記実績反映原価を要確認原価として抽出する要確認原価抽出工程と、
抽出した前記要確認原価を前記原価管理装置の表示部に表示する要確認原価表示工程と
を備え、
前記要確認原価表示工程では、前記第1の許容範囲内であると判定した前記実績反映原価は表示しない
原価管理方法。
【請求項15】
一又は複数の部品を含む製品の製造にかかった実績時間を取得する実績時間取得処理と、
前記実績時間と前記製品のアワーレートとを用いて、前記製品の加工実績を考慮した原価である実績反映原価を算出する実績反映原価算出処理と、
前記実績反映原価が所定の第1の許容範囲内かどうかを判定する実績反映原価判定処理と、
前記実績反映原価が前記第1の許容範囲外であった場合には、前記実績反映原価を要確認原価として抽出する要確認原価抽出処理と、
抽出した前記要確認原価を表示部に表示する要確認原価表示処理と
を原価管理装置に実行させ、
前記要確認原価表示処理では、前記第1の許容範囲内であると判定した前記実績反映原価は表示しない
原価管理プログラム。