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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024105008
(43)【公開日】2024-08-06
(54)【発明の名称】充電電力分配用タップ
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/02 20160101AFI20240730BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240730BHJP
   B60L 53/18 20190101ALI20240730BHJP
   B60L 53/67 20190101ALI20240730BHJP
【FI】
H02J7/02 J
H02J7/00 P
B60L53/18
B60L53/67
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023009499
(22)【出願日】2023-01-25
(71)【出願人】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【弁理士】
【氏名又は名称】小淵 景太
(72)【発明者】
【氏名】栂 修平
【テーマコード(参考)】
5G503
5H125
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA04
5G503BB01
5G503CC02
5G503FA03
5G503FA06
5H125AA01
5H125AC11
5H125AC23
5H125BE02
5H125DD02
5H125FF13
(57)【要約】
【課題】元々設置されている充電装置を改修することなく、対応できる電気自動車の数を増加させることが可能な充電電力分配用タップを提供する。
【解決手段】蓄電池91の電力で電動機を駆動して移動する電気自動車9の充電に用いられる充電電力分配用タップA1において、電気自動車9を充電するための充電装置B1の充電コネクタ51を接続されて充電装置B1から電力を入力される入力口19と、入力口19に入力される電力を電気自動車9に出力する複数の電力出力部(充電コネクタ6a)と、入力口19と複数の電力出力部のいずれかとを導通させる切替部11と、を備えた。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電池の電力で電動機を駆動して移動する電気移動体の充電に用いられる充電電力分配用タップであって、
前記電気移動体を充電するための充電装置の充電コネクタを接続されて前記充電装置から電力を入力される電力入力部と、
前記電力入力部に入力される電力を前記電気移動体に出力する複数の電力出力部と、
前記電力入力部と前記複数の電力出力部のいずれかとを導通させる切替部と、
を備えている充電電力分配用タップ。
【請求項2】
前記複数の電力出力部はそれぞれ、前記電気移動体に接続される第2充電コネクタを備えている、
請求項1に記載の充電電力分配用タップ。
【請求項3】
前記複数の電力出力部はそれぞれ、前記電気移動体に接続される充電ケーブルの充電プラグを接続可能な充電コンセントを備えている、
請求項1に記載の充電電力分配用タップ。
【請求項4】
前記切替部が配置された第1筐体と、
前記電力入力部が配置され、かつ、前記第1筐体とは離れて配置される第2筐体と、
前記第1筐体と前記第2筐体とに接続された外部接続ケーブルと、
をさらに備えている、
請求項1ないし3のいずれかに記載の充電電力分配用タップ。
【請求項5】
前記第1筐体および前記外部接続ケーブルは、埋設されている、
請求項4に記載の充電電力分配用タップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車などの充電に用いられる充電電力分配用タップに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電気自動車の普及に伴い、電気自動車の蓄電池に充電をするための充電装置の整備が進んでいる。充電装置による充電にはある程度時間がかかるので、使用者は、充電が完了するまでの間、買い物などでその場を離れる場合が多い。この場合、充電が完了していても、当該充電装置を占有してしまうことがある。この不都合を解消するための充電装置が開発されている。例えば、特許文献1に開示されている急速充電装置は、複数の電源プラグ(充電コネクタ)を備え、選択規則および充電状態に応じて、電力を供給する電源プラグを切り替える。当該急速充電装置によると、ある電源プラグによる充電で所定の充電状態になると、別の電源プラグによる充電が開始されるので、当該急速充電装置が占有されてしまうことを防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-15876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記急速充電装置においても、備えている電源プラグの数以上の電気自動車に対応することはできない。一般的に、充電装置に備えられている充電コネクタの数は、4個程度までである。また、元々設置されている充電装置において充電コネクタを増やそうとすると、大幅な改修、または、新たな充電装置の購入、設置が必要になる。
【0005】
本発明は上記した事情のもとで考え出されたものであって、元々設置されている充電装置を改修することなく、対応できる電気自動車の数を増加させることが可能な充電電力分配用タップを提供することをその目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0007】
本発明の第1の側面によって提供される充電電力分配用タップは、蓄電池の電力で電動機を駆動して移動する電気移動体の充電に用いられる充電電力分配用タップであって、前記電気移動体を充電するための充電装置の充電コネクタを接続されて前記充電装置から電力を入力される電力入力部と、前記電力入力部に入力される電力を前記電気移動体に出力する複数の電力出力部と、前記電力入力部と前記複数の電力出力部のいずれかとを導通させる切替部と、を備えている。
【0008】
なお、「電気移動体」は、蓄電池の電力で電動機を駆動して移動する移動体であって、いわゆる電気自動車だけでなく、ハイブリッド車なども含まれる。また、「電気移動体」は、いわゆる自動車だけでなく、二輪車、船舶、飛行機などの他の乗り物、または、無人搬送車、ドローンなどの無人移動体も含まれる。
【0009】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記複数の電力出力部はそれぞれ、前記電気移動体に接続される第2充電コネクタを備えている。
【0010】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記複数の電力出力部はそれぞれ、前記電気移動体に接続される充電ケーブルの充電プラグを接続可能な充電コンセントを備えている。
【0011】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記切替部が配置された第1筐体と、前記電力入力部が配置され、かつ、前記第1筐体とは離れて配置される第2筐体と、前記第1筐体と前記第2筐体とに接続された外部接続ケーブルと、をさらに備えている。
【0012】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第1筐体および前記外部接続ケーブルは、埋設されている。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る充電電力分配用タップは、電力入力部に充電装置の充電コネクタを接続され、充電装置から入力される電力を、切替部の切り替えにより、複数の電力出力部のいずれかから出力させる。したがって、元々設置されている充電装置を改修することなく、対応できる電気自動車の数を増加させることが可能である。
【0014】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1実施形態に係る充電電力分配用タップを説明するための図であり、(a)は全体構成を示す概略図であり、(b)は全体構成を示すブロック図である。
図2】第2実施形態に係る充電電力分配用タップの全体構成を示す概略図である。
図3】第3実施形態に係る充電電力分配用タップの全体構成を示す概略図である。
図4】第4実施形態に係る充電電力分配用タップの全体構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して具体的に説明する。
【0017】
〔第1実施形態〕
図1は、第1実施形態に係る充電電力分配用タップA1を説明するための図である。図1(a)は、充電電力分配用タップA1の全体構成を示す概略図であり、図1(b)は、充電電力分配用タップA1の全体構成を示すブロック図である。
【0018】
充電電力分配用タップA1は、施設の駐車場などに配置された充電装置B1に接続されて、電気自動車9の充電に用いられる。電気自動車9は、動力源としての電動機および電動機に電力を供給する蓄電池91を備えた自動車であり、電動機のみを動力源とするいわゆる電気自動車だけでなく、内燃機関が併設されたハイブリッド車なども含まれる。
【0019】
充電装置B1は、電気自動車9の充電を行うための設備であり、本実施形態では、いわゆる急速充電装置である。充電装置B1は、直流電源部2、通信部3、制御部4、および充電ケーブル5を備えている。
【0020】
直流電源部2は、制御部4からの指令に応じて、直流電力を出力する構成である。直流電源部2は、電力系統から入力される交流電力を直流電力に変換して出力する。直流電源部2は、例えば、コンバータおよび平滑回路を備えている。コンバータは、制御部4からの指令に応じて、電力系統から入力される交流電力を直流電力に変換する。平滑回路は、コンバータが出力する直流電力を平滑して出力する。なお、直流電源部2の具体的な構成は限定されず、直流電力を出力できればよい。例えば、直流電源部2は、電力系統から入力される交流電圧を昇圧する変圧器を備えてもよい。
【0021】
通信部3は、充電ケーブル5に配置された通信線3aを介して、電気自動車9との間で通信を行う。通信部3は、各電気自動車9と、例えばCAN(Controller Area Network)通信の規格に応じて通信を行う。なお、通信規格は限定されない。通信部3は、電気自動車9から、蓄電池91の容量、現在の充電率(SoC:State of Charge)、および要求電力値などの情報を受信する。要求電力値は、電気自動車9が蓄電池91を充電するために、充電装置B1に要求する電力値である。なお、通信部3と各電気自動車9との間で送受信される情報は限定されない。また、通信部3と電気自動車9との通信方法は限定されず、例えば無線通信であってもよい。
【0022】
充電ケーブル5は、内部に電力線2aおよび通信線3aが配置されており、先端に充電コネクタ51が配置されている。充電ケーブル5は、通常は、充電コネクタ51が電気自動車9のプラグインコネクタ92に接続されることで、電気自動車9と接続される。本実施形態では、充電ケーブル5は、充電コネクタ51が充電電力分配用タップA1の入力口19(後述)に接続され、充電電力分配用タップA1を介して、電気自動車9に接続される。電気自動車9は、通信線3aを介して、通信部3と通信を行う。また、当該電気自動車9は、電力線2aを介して、直流電源部2から供給される電力によって、蓄電池91を充電される。
【0023】
制御部4は、充電装置B1の制御を行う構成であり、例えばマイクロコンピュータなどによって実現されている。制御部4は、直流電源部2の出力電力を制御する。また、制御部4は、通信部3による通信を制御する。制御部4は、通信部3が受信した情報または信号を取得し、また、通信部3を介して、情報または信号を送信する。制御部4は、通信部3を介して電気自動車9と通信を行うことで、当該電気自動車9の情報を取得する。制御部4は、各種情報に基づいて、直流電源部2の出力電力を制御する。各種情報には、通信により取得した情報、および、図示しない操作部から入力された情報などが含まれている。
【0024】
充電電力分配用タップA1は、充電装置B1と複数の電気自動車9との接続を可能にする。充電電力分配用タップA1は、筐体10、切替部11、記憶部12、接続情報取得部13、完了情報取得部14、制御部15、入力口19、および複数の充電ケーブル6(61,62,63,・・・,6n)を備えている。
【0025】
入力口19は、筐体10に配置されており、充電装置B1の充電コネクタ51を接続されて、充電装置B1から電力を入力される。入力口19は、充電コネクタ51が接続された際に、充電装置B1の電力線2aに導通する電源端子、および、通信線3aに導通する信号端子などを備えている。
【0026】
複数の充電ケーブル6(61,62,63,・・・,6n)は、筐体10から延びており、入力口19に入力される電力を電気自動車9に出力する。各充電ケーブル6は、内部に電力線16および通信線17が配置されており、先端に充電コネクタ6aが配置されている。各充電ケーブル6は、充電コネクタ6aが電気自動車9のプラグインコネクタ92に接続されることで、電気自動車9と接続される。本実施形態では、充電電力分配用タップA1は、n本の充電ケーブル6を備えているので、n台の電気自動車9を接続可能である。なお、充電電力分配用タップA1が備える充電ケーブル6の数は限定されない。
【0027】
充電コネクタ6aは、本体6bおよびコネクタ6cを備えている。本体6bは、利用者が把持する部分であって、ハンドルが形成されている。本体6bは、内部に電力線16および通信線17が配置されている。コネクタ6cは、本体6bの先端部に配置された例えば金属製の筒状部材であり、電気自動車9のプラグインコネクタ92に接続される部分である。コネクタ6cの内側には、図示しないが、電力線16に導通する電源端子、および、通信線17に導通する信号端子などが配置されている。充電コネクタ6aは、充電コネクタ6aをプラグインコネクタ92にロックする機構、および、取り外すためのボタンなどを備えているが、記載を省略している。なお、充電コネクタ6aの構成はこれに限定されない。
【0028】
切替部11は、充電装置B1から入力される電力の出力先を、制御部15からの指令に応じて切り替える。切替部11は、入力口19の電源端子といずれかの充電ケーブル6の電力線16とを導通させ、入力口19の信号端子と当該充電ケーブル6の通信線17とを導通させる。切替部11は、例えば、入力口19の電源端子と各充電ケーブル6の電力線16との間にそれぞれ配置されたリレースイッチと、入力口19の通信端子と各充電ケーブル6の通信線17との間にそれぞれ配置されたリレースイッチとを備える。各リレースイッチは、制御部15からの指令に応じて、オンとオフとを切り替える。なお、切替部11の具体的な構成は限定されず、充電装置B1から入力される電力の出力先を複数の充電ケーブル6のいずれかに切り替えることができればよい。
【0029】
切替部11によって出力先に切り替えられた充電ケーブル6が接続された電気自動車9は、通信線17および通信線3aを介して、通信部3と通信を行う。また、当該電気自動車9は、電力線16および電力線2aを介して、直流電源部2から供給される電力によって、蓄電池91を充電される。
【0030】
接続情報取得部13は、各充電ケーブル6の充電コネクタ6aに電気自動車9が接続されているか否かについての情報である接続情報を取得する。なお、接続情報取得部13が接続情報を取得する方法は限定されない。例えば、接続情報取得部13は、各充電コネクタ6aから、電気自動車9が接続されたことを示す信号を入力されることで接続情報を取得してもよい。また、接続情報取得部13は、各充電コネクタ6aに接続された電気自動車9、または、電気自動車9から接続情報を取得した充電装置B1から、接続情報を取得してもよい。接続情報取得部13は、取得した接続情報を制御部15に出力する。
【0031】
完了情報取得部14は、各充電ケーブル6に接続された電気自動車9の充電が完了したか否かについての情報である完了情報を取得する。なお、完了情報取得部14が完了情報を取得する方法は限定されない。例えば、完了情報取得部14は、各充電コネクタ6aから電気自動車9に出力される電力を検出し、電力が出力されなくなったときに充電が完了したと判断することで完了情報を取得してもよい。また、完了情報取得部14は、各充電コネクタ6aに接続された電気自動車9、または、電気自動車9から完了情報を取得した充電装置B1から、完了情報を取得してもよい。完了情報取得部14は、取得した完了情報を制御部15に出力する。
【0032】
制御部15は、切替部11の切り替えを制御する構成であり、例えばマイクロコンピュータなどによって実現されている。制御部15は、接続情報取得部13から入力される接続情報、および、完了情報取得部14から入力される完了情報に基づいて、切替部11の切り替えを行う。制御部15は、接続情報取得部13から入力される接続情報に基づいて、各充電ケーブル6に電気自動車9が接続された順番の情報を優先順位情報として記憶部12に記憶する。本実施形態では、制御部15は、先に電気自動車9が接続された充電ケーブル6ほど優先して充電を行う。制御部15は、充電を行っていた電気自動車9の充電が完了したことを示す完了情報が入力されると、切替部11に電力の出力先を切り替える指令を出力する。このとき、制御部15は、記憶部12に記憶された優先順位情報に従って、次の優先順位の充電ケーブル6を出力先とするように指令を出力する。
【0033】
例えば、図1(a)において、充電装置B1が充電を行っていない状態で、最初に充電ケーブル61に電気自動車9が接続されると、制御部15は、充電装置B1から入力される電力の出力先を充電ケーブル61とするように、切替部11に指令を出力する。切替部11は、入力口19の電源端子と充電ケーブル61の電力線16とを導通させ、入力口19の信号端子と充電ケーブル61の通信線17とを導通させる。これにより、充電装置B1は、充電ケーブル61に接続された電気自動車9と通信を行って、当該電気自動車9への充電を開始する。
【0034】
充電ケーブル61による充電中に、充電ケーブル62に別の電気自動車9が接続され、その後、充電ケーブル63にさらに別の電気自動車9が接続された場合、制御部4は、記憶部12に優先順位情報を記憶する。充電装置B1は、充電ケーブル61に接続された電気自動車9が満充電になると、電力の出力を停止する。制御部15は、充電が完了したことを示す完了情報が入力されると、優先順位情報に従って、充電ケーブル62を出力先に切り替えるように、切替部11に指令を出力する。切替部11は、入力口19の電源端子と充電ケーブル62の電力線16とを導通させ、入力口19の信号端子と充電ケーブル62の通信線17とを導通させる。これにより、充電装置B1は、充電ケーブル62に接続された電気自動車9と通信を行って、当該電気自動車9への充電を開始する。その後、充電が完了したことを示す完了情報が入力されると、制御部15は、充電ケーブル63を出力先に切り替えるように、切替部11に指令を出力する。
【0035】
なお、制御部15による切替部11の切り替えの規則は限定されない。例えば、優先順位は、接続された順番ではなく、その他の要因に応じて設定されてもよい。例えば、充電ケーブル6にあらかじめ優先順位を設定してもよいし、また、接続されている複数の電気自動車9の充電率や充電容量に基づいて優先順位を設定してもよい。また、制御部15は、電気自動車9が満充電になる前に、所定の充電率になったときに、出力先を切り替えさせてもよい。切替部11、記憶部12、接続情報取得部13、完了情報取得部14、および制御部15は、筐体10の内部に収容されている。
【0036】
次に、本実施形態に係る充電電力分配用タップA1の作用および効果について説明する。
【0037】
本実施形態によると、入力口19は、充電装置B1の充電コネクタ51を接続されて、充電装置B1から電力を入力される。切替部11は、充電装置B1から入力される電力の出力先を、制御部15からの指令に応じて、複数の充電ケーブル6のいずれかに切り替える。したがって、充電電力分配用タップA1は、元々設置されている充電装置B1を改修することなく、対応できる電気自動車9の数を増加させることが可能である。また、充電電力分配用タップA1は、複数の充電ケーブル6を備え、各充電ケーブル6は先端に充電コネクタ6aが配置されている。したがって、充電電力分配用タップA1は、複数の電気自動車9を容易に接続可能である。
【0038】
また、本実施形態によると、制御部15は、接続情報取得部13から入力される接続情報に基づいて、接続された順番の情報を優先順位情報として記憶し、優先順位情報に従って出力先を切り替える。したがって、充電電力分配用タップA1は、先に接続された電気自動車9から順番に充電を行うことができる。また、本実施形態によると、制御部15は、完了情報が入力されると、切替部11に電力の出力先を切り替える指令を出力する。したがって、充電電力分配用タップA1は、電気自動車9の充電が完了すると、接続されている他の電気自動車9の充電を開始できる。これにより、充電電力分配用タップA1は、充電装置B1が1台の電気自動車9に占有されてしまうことを防止できる。
【0039】
なお、本実施形態においては、充電装置B1が通信線3aを介して電気自動車9と通信を行う場合について説明したが、これに限られない。充電電力分配用タップA1は、充電装置B1が電気自動車9と無線通信を行う場合や通信を行わない場合など、通信線3aを備えない場合にも、用いることができる。この場合、充電電力分配用タップA1は、各通信線17を備えなくてもよい。
【0040】
また、本実施形態においては、充電装置B1がいわゆる急速充電装置である場合について説明したが、これに限られない。充電装置B1は、いわゆる普通充電装置であってもよい。
【0041】
また、本実施形態においては、充電装置B1および充電電力分配用タップA1が電気自動車9を充電する場合について説明したが、これに限られない。充電装置B1および充電電力分配用タップA1は、電気自動車9以外の移動体を充電してもよい。この移動体の他の例として、例えば二輪車(電動オートバイ、電動アシスト自転車)、船舶、飛行機などの他の乗り物、または、無人搬送車、ドローンなどの無人移動体などが考えられる。
【0042】
〔第2実施形態〕
図2は、第2実施形態に係る充電電力分配用タップA2の全体構成を示す概略図であり、図1(a)に対応する図である。なお、図2において、上記第1実施形態と同一または類似の要素には、上記第1実施形態と同一の符号を付している。第2実施形態に係る充電電力分配用タップA2は、充電ケーブル6が筐体10に着け外し可能である点で、第1実施形態に係る充電電力分配用タップA1と異なる。
【0043】
第2実施形態に係る充電電力分配用タップA2において、充電ケーブル6は、筐体10にあらかじめ取り付けられているのではなく、着け外し可能になっている。第2実施形態に係る充電ケーブル6は、基端に充電プラグ6dが配置されている。第2実施形態に係る筐体10には、充電プラグ6dを接続するための充電コンセント18が複数配置されている。ユーザは、充電ケーブル6の充電プラグ6dを筐体10のいずれかの充電コンセント18に接続し、充電ケーブル6の充電コネクタ6aを電気自動車9のプラグインコネクタ92に接続する。なお、充電プラグ6dおよび充電コンセント18の形状および仕様は限定されない。充電コンセント18の形状および仕様を従来から利用されている充電ケーブルの充電プラグに対応させれば、従来の充電ケーブルをそのまま利用できる。また、図2においては省略しているが、筐体10は、各充電コンセント18を個別に覆う開閉蓋を備えるのが望ましい。
【0044】
本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。さらに、本実施形態によると、充電電力分配用タップA2は、充電ケーブル6が筐体10にあらかじめ取り付けられている充電電力分配用タップA1と比較して、部品数が少なくなるので、製造コストを抑制できる。
【0045】
〔第3実施形態〕
図3は、第3実施形態に係る充電電力分配用タップA3の全体構成を示す概略図であり、図1(a)に対応する図である。なお、図3において、上記第1実施形態と同一または類似の要素には、上記第1実施形態と同一の符号を付している。第3実施形態に係る充電電力分配用タップA3は、入力口19が配置された筐体102と、複数の充電ケーブル6が配置された筐体101とが別体であり、互いに離れて配置されている点で、第1実施形態に係る充電電力分配用タップA1と異なる。
【0046】
第3実施形態に係る充電電力分配用タップA3は、筐体10の代わりに、筐体101、筐体102、および外部接続ケーブル103を備えている。筐体102は、入力口19が配置されている。筐体101は、切替部11、記憶部12、接続情報取得部13、完了情報取得部14、および制御部15を内部に収容している。複数の充電ケーブル6は、筐体101から延びている。筐体102は、充電装置B1の近くに配置されて、充電装置B1の充電コネクタ51が入力口19に接続される。外部接続ケーブル103は、筐体101と筐体102とに接続されている。具体的には、外部接続ケーブル103は、内部に電力線および通信線が配置されている。外部接続ケーブル103の電力線は、入力口19の電源端子と切替部11の入力側の電源端子とに接続されている。外部接続ケーブル103の通信線は、入力口19の信号端子と切替部11の入力側の信号端子とに接続されている。筐体101は、筐体102から離れた位置に配置可能である。外部接続ケーブル103の長さは、筐体101の最大寸法より長い。例えば、外部接続ケーブル103の長さが10m以上あれば、筐体101を充電装置B1から10m以上離れた位置に配置できる。なお、外部接続ケーブル103の一部および筐体101は、地面または床面に埋設されてもよい。
【0047】
本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。さらに、本実施形態によると、入力口19が配置されている筐体102と、複数の充電ケーブル6が配置されている筐体101とは、外部接続ケーブル103で接続されており、互いに離れて配置可能である。したがって、電気自動車9が駐車される位置と充電装置B1とが離れている場合でも、筐体102を充電装置B1の近くに配置し、筐体101を電気自動車9が駐車される位置に配置することが可能である。また、外部接続ケーブル103および筐体101は、埋設された場合、電気自動車9の移動の邪魔になることを抑制できる。
【0048】
〔第4実施形態〕
図4は、第4実施形態に係る充電電力分配用タップA4の全体構成を示す概略図であり、図1(a)に対応する図である。なお、図4において、上記第1~3実施形態と同一または類似の要素には、上記第1~3実施形態と同一の符号を付している。第4実施形態に係る充電電力分配用タップA4は、それぞれに充電コンセント18が配置された複数の筐体104を備えている点で、第3実施形態に係る充電電力分配用タップA3と異なる。
【0049】
第4実施形態に係る充電電力分配用タップA4は、第2実施形態に係る充電電力分配用タップA2と同様、充電ケーブル6が着け外し可能である。また、充電電力分配用タップA4は、第3実施形態に係る充電電力分配用タップA3と同様、入力口19が配置されている筐体102と、切替部11などが収容されている筐体101とが、外部接続ケーブル103で接続されている。充電電力分配用タップA4は、さらに、複数の筐体104および外部接続ケーブル105を備えている。
【0050】
各筐体104はそれぞれ、充電コンセント18が配置され、外部接続ケーブル105で筐体101に接続されている。筐体101は、充電コンセント18が配置されてもよいし、配置されなくてもよい。各外部接続ケーブル105は、内部に電力線および通信線が配置されている。各外部接続ケーブル103の電力線は、切替部11の出力側のいずれかの電源端子と充電コンセント18の電源端子とに接続されている。各外部接続ケーブル103の通信線は、切替部11の出力側のいずれかの信号端子と充電コンセント18の信号端子とに接続されている。各筐体104はそれぞれ、筐体101から離れた位置に配置可能である。本実施形態では、外部接続ケーブル103の一部、筐体101、各筐体104、および各外部接続ケーブル105は、地面または床面に埋設されている(埋設されている部分を破線で示している)。なお、これらの一部または全部が埋設されなくてもよい。
【0051】
本実施形態においても、第2,3実施形態と同様の効果を奏することができる。さらに、本実施形態によると、切替部11などが収容されている筐体101と、充電コンセント18が配置されている筐体104とは、外部接続ケーブル105で接続されており、互いに離れて配置可能である。したがって、電気自動車9が駐車される位置がそれぞれ互いに離れている場合でも、各筐体104を電気自動車9がそれぞれ駐車される位置に配置することが可能である。また、外部接続ケーブル103の一部、筐体101、各筐体104、および各外部接続ケーブル105が埋設された場合、電気自動車9の移動の邪魔になることを抑制できる。
【0052】
本発明に係る充電電力分配用タップは、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る充電電力分配用タップの各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【符号の説明】
【0053】
A1~A4:充電電力分配用タップA、11:切替部、18:充電コンセント、19:入力口、6:充電ケーブル、6a:充電コネクタ、6b:充電プラグ、10,101,102:筐体、103:外部接続ケーブル、B1:充電装置、51:充電コネクタ、9:電気自動車、91:蓄電池
図1
図2
図3
図4